(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125051
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】蓄熱システム
(51)【国際特許分類】
F28D 20/00 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
F28D20/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033120
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【弁理士】
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】後藤 功一
(57)【要約】
【課題】外界に熱を捨てず、送風機の流入空気が高温でなくすことが可能となり、または、電力当たりの蓄熱量を増加させることが可能となる。
【解決手段】一実施形態に係る蓄熱システムは、電気ヒータから熱を発生させてその発生熱を蓄熱する蓄熱槽を具備する。この蓄熱システムにおいて、蓄熱槽は、ヒートポンプにより加熱した流体から吸熱し蓄熱する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気ヒータから熱を発生させてその発生熱を蓄熱する蓄熱槽を具備した蓄熱システムであって、
前記蓄熱槽は、ヒートポンプにより加熱した流体から吸熱し蓄熱する、蓄熱システム。
【請求項2】
ヒートポンプにより加熱した流体から吸熱した熱を蓄熱する蓄熱槽を具備する、蓄熱システム。
【請求項3】
前記流体を前記電気ヒータと前記蓄熱槽にその順番に流通させる搬送機をさらに具備し、
前記ヒートポンプは、前記蓄熱槽より下流の前記流体から吸熱し、前記電気ヒータより上流の前記流体に放熱する、請求項1に記載の蓄熱システム。
【請求項4】
前記電気ヒータは前記蓄熱槽に内蔵されており、前記流体を前記蓄熱槽に流通させる搬送機をさらに具備し、
前記ヒートポンプは、前記蓄熱槽より下流の前記流体から吸熱し、前記蓄熱槽より上流の前記流体に放熱する、請求項1に記載の蓄熱システム。
【請求項5】
前記流体を前記電気ヒータと前記蓄熱槽にその順番に流通させる搬送機をさらに具備し、
前記ヒートポンプは、1台または熱輸送的に連結した複数台であり、外界から吸熱し、前記電気ヒータより上流の前記流体に放熱する、請求項1に記載の蓄熱システム。
【請求項6】
前記電気ヒータは前記蓄熱槽に内蔵されており、前記流体を前記蓄熱槽に流通させる搬送機をさらに具備し、
前記ヒートポンプは、1台または熱輸送的に連結した複数台であり、外界から吸熱し、前記蓄熱槽より上流の前記流体に放熱する、請求項1に記載の蓄熱システム。
【請求項7】
前記流体が、大気から吸い込まれた空気であり、最終的に前記蓄熱槽から前記大気に放出される、請求項1、3、4、5または6に記載の蓄熱システム。
【請求項8】
前記電気ヒータの上流側に設けられた搬送機と、
前記搬送機と前記電気ヒータとの間に設けられ、前記ヒートポンプによって吸熱された熱で前記流体を加熱する加熱器と、をさらに備え、
前記流体の流路は、前記搬送機によって前記加熱器と前記電気ヒータと前記蓄熱槽との間を循環する循環経路である、請求項1、3、または5に記載の蓄熱システム。
【請求項9】
前記搬送機が前記蓄熱槽の上流側に設けられ、
前記搬送機と前記蓄熱槽との間に設けられ、前記ヒートポンプによって吸熱された熱で前記流体を加熱する加熱器をさらに備え、
前記流体の流路は、前記搬送機によって前記加熱器と前記蓄熱槽との間を循環する循環経路である、請求項4または6に記載の蓄熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、蓄熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電や風力発電といった自然エネルギによる発電が増加しており、季節や時間帯によっては、発電量が電力需要より大きくなる地域が発生している。また、季節や時間帯によっては電力需要が大きくなり、発電量が電力需要より小さく電力不足となる時もある。そこで、蓄熱を用いて電力調整を実施する蓄熱システムが提案されている。
【0003】
図9は、従来の蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
図9に示す蓄熱システム201は、蓄熱槽1、電気ヒータ2、第1送風機3、第2送風機4、復水ポンプ8、ボイラ9、蒸気タービン10、復水器11、弁12~弁15、および発電機30を備える。
【0004】
蓄熱システム201では、電力が余剰である時、復水ポンプ8、蒸気タービン10、第2送風機4が停止する。また、弁12および弁13が開き、弁14および弁15が閉じる。また、余剰電力を用いて電気ヒータ2と第1送風機3が稼働する。第1送風機3は、電気ヒータ2と蓄熱槽1との間で空気5を循環させる。空気5は、電気ヒータ2で発生した熱により加熱される。加熱された空気5は、蓄熱槽1まで輸送されて、蓄熱槽1内の蓄熱物質を加熱する。これにより蓄熱が行われる。このようにして蓄熱運転が実施される。
【0005】
また、蓄熱システム201では、電力が余剰でない時、電気ヒータ2と第1送風機3は停止する。また、弁12および弁13が閉じて弁14および弁15が開く。また、復水ポンプ8と第2送風機4が稼働する。第2送風機4は、蓄熱槽1とボイラ9との間で空気5を循環させる。空気5は、蓄熱槽1の蓄熱物質で加熱されている。その熱は、ボイラ9まで輸送される。ボイラ9は、復水ポンプ8により搬入された水6を、空気5からの熱により加熱して蒸気7を製造する。これにより、空気5は、温度低下して流出する。このようにして放熱運転が実施される。
【0006】
蒸気7は、蒸気タービン10内を低温低圧になりながら流通する。これにより、羽根車である蒸気タービン10が回転駆動する。この回転駆動に伴って、蒸気タービン10に機械的に接続された発電機30が発電する。
【0007】
蒸気タービン10から排出された蒸気7は、復水器11にて冷却水、例えば海水により冷却されて水6に変化する。水6は、復水ポンプ8によって、ボイラ9と蒸気タービン10との間を循環する。このようにして、蓄熱槽1内の蓄熱物質に蓄熱されていた熱により、蒸気7を発生して発電する。
【0008】
図10は、
図9に示す蓄熱システム201とは異なる従来の蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。ここでは、上述した蓄熱システム201と同様の構成要素には同じ符号を付して、詳細な説明を省略する。
【0009】
上述した蓄熱システム201は、蓄熱運転時に、電気ヒータ2の上流に設けられた第1送風機3によって空気5が電気ヒータ2と蓄熱槽1との間で循環する循環経路が形成される閉サイクルを有する。一方、
図10に示す蓄熱システム202は、蓄熱槽1から流出した空気5を大気に放出する開サイクルを有する。
【0010】
蓄熱システム201および蓄熱システム202は、共に、電力余剰である時には電力を使い、電力余剰でない時には発電することによって、電力を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
蓄熱システム201および蓄熱システム202では、蓄熱運転時に、蓄熱槽1に流入した空気5は、蓄熱物質に熱を渡して温度低下してから流出するが、蓄熱槽1からの流出温度は、第1送風機3の流入温度より充分に高い。そのため、閉サイクルを有する蓄熱システム201では、第1送風機3に流入する空気5の体積流量が大きくなるので、第1送風機3の負荷が高くなる。また、第1送風機3の耐熱温度を超過する場合もある。よって、蓄熱システム201では第1送風機3の流入空気を冷却したいという課題がある。
【0013】
一方、蓄熱システム202は、蓄熱槽1から流出した空気5を大気に放出する開サイクルを有するため、第1送風機3の負荷は高くならない。しかし、蓄熱システム201では、空気5が蓄熱槽1から大気中に排出される際に、電気ヒータ2の消費電力で加熱した熱の内、蓄熱槽1に与えなかった分などの熱が、大気中に捨てられてしまう。よって、蓄熱システム202では、外界である大気に捨てる熱を減らしたいという課題がある。
【0014】
また、蓄熱システム201、202ともに、消費電力あたりの蓄熱量を増やしたいという課題がある。
【0015】
本発明が解決しようする課題は、外界に熱を捨てず、送風機の流入空気が高温でなくすことが可能な蓄熱システムや、電力当たりの蓄熱量を増加させることが可能な蓄熱システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
一実施形態に係る蓄熱システムは、電気ヒータから熱を発生させてその発生熱を蓄熱する蓄熱槽を具備する。この蓄熱システムにおいて、蓄熱槽は、ヒートポンプにより加熱した流体から吸熱し蓄熱する。
【発明の効果】
【0017】
本実施形態によれば、外界に熱を捨てず、送風機の流入空気が高温でなくす可能となり、または、電力当たりの蓄熱量を増加させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
【
図2】第1実施形態の変形例に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
【
図3】第2実施形態に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
【
図4】第3施形態に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
【
図5】第3実施形態の変形例に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
【
図6】第4実施形態に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
【
図7】第5実施形態に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
【
図8】第6実施形態に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
【
図9】従来の蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
【
図10】
図9に示す蓄熱システムとは異なる従来の蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。下記の実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
図1では、
図9に示す蓄熱システム201と同様の構成要素には同じ符号を付す。なお、
図1には、蓄熱運転に関する構成要素のみを示し、放熱運転に関する構成要素については記載を省略する。
【0021】
図1に示すように、本実施形態に係る蓄熱システム101は、蓄熱システム202の構成要素に加えて、冷却器17と、加熱器18と、ヒートポンプ19と、第1搬送機22と、第2搬送機23と、をさらに備える。
【0022】
冷却器17は、蓄熱槽1と第1送風機3との間に設けられる。加熱器18は、第1送風機3と電気ヒータ2との間に設けられる。ヒートポンプ19は、加熱器18と冷却器17との間に設けられる。第1搬送機22は、冷却器17とヒートポンプ19との間に設けられる。第2搬送機23は、加熱器18とヒートポンプ19との間に設けられる。
【0023】
ヒートポンプ19は、例えば、フロン等の冷媒を用いて蒸気圧縮式冷凍サイクルを原理とした熱輸送機器である。第1搬送機22は、ヒートポンプ19と冷却器17との間で第1熱媒体20を循環させる。第2搬送機23は、ヒートポンプ19と加熱器18との間で第2熱媒体21を循環させる。
【0024】
以下、上記のように構成された蓄熱システム101の蓄熱運転について説明する。
【0025】
蓄熱システム101が蓄熱運転する時、蓄熱システム101の運転制御装置(不図示)から入力される制御信号に応じて、弁12および弁13は開状態となる一方で、弁14および弁15は閉状態となる。また、電気ヒータ2、第1送風機3、第2送風機4、ヒートポンプ19、第1搬送機22、および第2搬送機23が商用電力で稼働する。
【0026】
ヒートポンプ19は、第1熱媒体20を冷却する。冷却された第1熱媒体20は、冷却器17にて蓄熱槽1の出口空気を冷却する。また、ヒートポンプ19は、第2熱媒体21を加熱する。加熱された第2熱媒体21は、加熱器18にて電気ヒータ2の入口空気を加熱する。このようにしてヒートポンプ19は、蓄熱槽1から流出した空気である第1流体から吸熱し、電気ヒータ2に流入する空気5である第2流体を加熱する。蓄熱運転では、ヒートポンプ19の加熱量=吸熱量+電気入力の関係が成立するため、熱量の損失は発生していない。
【0027】
一方、蓄熱システム101が放熱運転する時には、従来の蓄熱システム201と同様に、蓄熱槽1から放熱した熱が、蒸気タービン10の熱源として使用される。ただし、本実施形態では、蓄熱槽1から放熱した熱の用途は、蒸気タービン10の熱源に限定されず、例えば、空調であってもよい。
【0028】
本実施形態によれば、ヒートポンプ19によって、蓄熱槽1の熱を大気中に排出することなく第1送風機3の流入空気を冷却できる。これにより、第1送風機3の負荷が高くなることや、第1送風機3の流入空気が耐熱温度を超過することをなくすことが可能となる。
【0029】
なお、本実施形態に係る蓄熱システム101では、空気5が循環しているが、蓄熱運転時と同様に放熱運転時も閉サイクルであれば、外気である空気5とは異なる流体を循環させてもよい。
【0030】
図2は、第1実施形態の変形例に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
図2では、上述した第1実施形態に係る蓄熱システム101と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0031】
図2に示す蓄熱システム101aには、電気ヒータ内蔵蓄熱槽29が設けられている。電気ヒータ内蔵蓄熱槽29は、蓄熱槽1に電気ヒータ2を内蔵したものである。電気ヒータ内蔵蓄熱槽29では、蓄熱運転時に、内蔵された電気ヒータ2が発熱する。
本変形例によれば、電気ヒータ内蔵蓄熱槽29によって、第1実施形態に係る蓄熱システム101に比べてシステム構成をよりコンパクトにすることが可能となる。なお、本変形例に係る電気ヒータ内蔵蓄熱槽29は、電気ヒータ2の全部を蓄熱槽1に内蔵した構成であるが、電気ヒータ2の一部を電気ヒータ内蔵蓄熱槽29に内蔵した構成であってもよい。
【0032】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
図3では、
図1に示す第1実施形態に係る蓄熱システム101と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。なお、
図3には、蓄熱運転に関する構成要素のみを示し、放熱運転に関する構成要素については記載を省略する。
【0033】
第1実施形態に係る蓄熱システム101は、
図9に示す従来の蓄熱システム201と同様に、閉サイクルを有する。一方、本実施形態に係る蓄熱システム102は、
図10に示す従来の蓄熱システム202と同様に、開サイクルを有する。
【0034】
本実施形態に係る蓄熱システム102が蓄熱運転する時には、第1実施形態と同様に、ヒートポンプ19が、蓄熱槽1の出口空気から吸熱し、電気ヒータ2の入口空気を加熱する。ただし、蓄熱槽1から流出した空気5は、大気に放出される。
【0035】
また、蓄熱システム102が放熱運転する時には、従来の蓄熱システム202と同様に、蓄熱槽1から放熱した熱が、蒸気タービン10の熱源として使用される。ただし、本実施形態においても、蓄熱槽1から放熱した熱の用途は、蒸気タービン10の熱源に限定されず、例えば、空調であってもよい。
【0036】
また、本実施形態に係る蓄熱システム102には、
図2に示す第1実施形態の変形例と同様に、電気ヒータ内蔵蓄熱槽29が設けられていてもよい。この場合、電気ヒータ内蔵蓄熱槽29は、電気ヒータ2の全部を蓄熱槽1に内蔵した構成であってもよいし、電気ヒータ2の一部を電気ヒータ内蔵蓄熱槽29に内蔵した構成であってもよい。
【0037】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、ヒートポンプ19が蓄熱槽1の出口空気から吸熱する。そのため、従来の蓄熱システム202と比較して、大気中に排出する熱を減らすことが可能となる。また、加熱側成績係数COP(Coefficient of Performance)を有するヒートポンプ19では、電気入力=1に対して加熱量=COPとなる。COPは必ず1よりも大きい。これにより、ヒートポンプ19の加熱部分(加熱器18)では、空気5は消費電力よりも大きく加熱される。電気ヒータ2では、電気入力=1に対して加熱量=1となる。そのため、従来の蓄熱システム202と比較して、全体電力当たりの空気加熱量が増える。したがって、全体電力当たりの蓄熱量が増加するという効果も得ることができる。
【0038】
(第3実施形態)
図4は、第3施形態に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
図4では、
図1に示す第1実施形態に係る蓄熱システム101と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、
図4には、蓄熱運転に関する構成要素のみを示し、放熱運転に関する構成要素については記載を省略する。
【0039】
本実施形態に係る蓄熱システム103には、
図4に示すように、冷却器17および第1搬送機22が設けられておらず、その代わりに大気送風機24が設けられている。大気送風機24は、蓄熱運転時に商用電力で稼働する。
【0040】
本実施形態に係る蓄熱システム103が蓄熱運転する時には、大気送風機24によって、大気16が、ヒートポンプ19を流通する。また、第2搬送機23によって、第2熱媒体21が、ヒートポンプ19と加熱器18との間を循環する。
【0041】
ヒートポンプ19は、大気16から吸熱するとともに、第2熱媒体21を加熱する。加熱された第2熱媒体21は、加熱器18にて電気ヒータ2の入口空気を加熱する。このように、蓄熱運転時には、ヒートポンプ19が、第1流体である大気16から吸熱して電気ヒータ2に流入する空気5である第2流体を加熱する。
【0042】
また、蓄熱システム103が放熱運転する時には、第1実施形態と同様に、蓄熱槽1から放熱した熱が、蒸気タービン10の熱源として使用される。ただし、本実施形態でも、蓄熱槽1から放熱した熱の用途は、蒸気タービン10の熱源に限定されず、例えば、空調であってもよい。また、蓄熱運転時と同様に放熱運転時も閉サイクルであれば、空気5とは異なる流体を循環させてもよい。なお、ヒートポンプ19は大気16から吸熱しているが、外界からであれば大気16でなくてもよく、例えば排温水でもよい。
【0043】
本実施形態において、加熱側成績係数COPを有するヒートポンプ19では、電気入力=1に対して加熱量=COPとなる。COPは必ず1よりも大きい。これにより、ヒートポンプ19の加熱部分(加熱器18)では、空気5は消費電力よりも大きく加熱される。電気ヒータ2では、電気入力=1に対して加熱量=1となる。そのため、本実施形態でも、全体電力あたりの加熱量が増加する。よって全体電力当たりの蓄熱量が増加するという効果を得ることができる。
【0044】
図5は、第3実施形態の変形例に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
図5では、上述した第3実施形態に係る蓄熱システム103と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0045】
図5に示す蓄熱システム103aには、第1実施形態の変形例と同様に、電気ヒータ内蔵蓄熱槽29が設けられている。そのため、本変形例によれば、電気ヒータ内蔵蓄熱槽29によって、第3実施形態に係る蓄熱システム103に比べてシステム構成をよりコンパクトにすることが可能となる。なお、本変形例に係る電気ヒータ内蔵蓄熱槽29も、電気ヒータ2の全部を蓄熱槽1に内蔵した構成であってもよいし、電気ヒータ2の一部を電気ヒータ内蔵蓄熱槽29に内蔵した構成であってもよい。また、ヒートポンプ19は大気16から吸熱しているが、外界からであれば大気16でなくてもよく、例えば排温水でもよい。
【0046】
(第4実施形態)
図6は、第4実施形態に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
図6では、
図4に示す第3実施形態に係る蓄熱システム103と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、
図6には、蓄熱運転に関する構成要素のみを示し、放熱運転に関する構成要素については記載を省略する。
【0047】
第3実施形態に係る蓄熱システム103は、第1実施形態に係る蓄熱システム101と同様に、閉サイクルを有する。一方、本実施形態に係る蓄熱システム104は、第2実施形態に係る蓄熱システム102と同様に、開サイクルを有する。
【0048】
本実施形態に係る蓄熱システム104が蓄熱運転する時には、第3実施形態と同様に、ヒートポンプ19が、大気16から吸熱し、電気ヒータ2の入口空気を加熱する。ただし、蓄熱槽1から流出した空気5は、大気中に排出される。
【0049】
また、蓄熱システム104が放熱運転する時には、第3実施形態と同様に、蓄熱槽1から放熱した熱が、蒸気タービン10の熱源として使用される。ただし、本実施形態においても、蓄熱槽1から放熱した熱の用途は、蒸気タービン10の熱源に限定されず、例えば、空調であってもよい。
【0050】
また、本実施形態に係る蓄熱システム104には、
図5に示す第3実施形態の変形例と同様に、電気ヒータ内蔵蓄熱槽29が設けられていてもよい。この場合、電気ヒータ内蔵蓄熱槽29は、電気ヒータ2の全部を蓄熱槽1に内蔵した構成であってもよいし、電気ヒータ2の一部を電気ヒータ内蔵蓄熱槽29に内蔵した構成であってもよい。
【0051】
以上説明した本実施形態においても、加熱側成績係数COPを有するヒートポンプ19では、電気入力=1に対して加熱量=COP>1となる。これにより、ヒートポンプ19の加熱部分(加熱器18)では、空気5は消費電力よりも大きく加熱される。そのため、本実施形態でも、全体電力あたりの加熱量が増加する。よって全体電力当たりの蓄熱量が増加するという効果を得ることができる。なお、本実施形態では、ヒートポンプ19は大気16から吸熱しているが、外界からであれば大気16でなくてもよく、例えば排温水でもよい。
【0052】
(第5実施形態)
図7は、第5実施形態に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
図7では、
図4に示す第3実施形態に係る蓄熱システム103と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、
図7には、蓄熱運転に関する構成要素のみを示し、放熱運転に関する構成要素については記載を省略する。
【0053】
本実施形態に係る蓄熱システム105には、第1ヒートポンプ26および第2ヒートポンプ27という複数のヒートポンプが設けられ、各ヒートポンプは連結されている。また、第1ヒートポンプ26と第2ヒートポンプ27との間には、第3搬送機28が設けられている。
【0054】
本実施形態に係る蓄熱システム105が蓄熱運転する時には、電気ヒータ2、第1送風機3、第2搬送機23、大気送風機24、第1ヒートポンプ26、第2ヒートポンプ27、および第3搬送機28が商用電力で稼働する。
【0055】
大気送風機24によって、大気16が、第1ヒートポンプ26を流通する。また、第3搬送機28によって、第3熱媒体25が、第1ヒートポンプ26と第2ヒートポンプ27との間を循環する。また、第2搬送機23によって、第2熱媒体21が、第1ヒートポンプ26と加熱器18との間を循環する。第3熱媒体25は、例えば温水である。
【0056】
第1ヒートポンプ26は、大気16から吸熱して第3熱媒体25を加熱する。第2ヒートポンプ27は、第3熱媒体25から吸熱して第2熱媒体21を加熱する。第2熱媒体21は、加熱器18にて電気ヒータ2の入口空気を加熱する。このように、第1ヒートポンプ26と第2ヒートポンプ27との組合せによって、大気16から吸熱した熱が、電気ヒータ2の入口空気を加熱する。
【0057】
また、蓄熱システム105が放熱運転する時には、第3実施形態と同様に、蓄熱槽1から放熱した熱が、蒸気タービン10の熱源として使用される。ただし、本実施形態においても、蓄熱槽1から放熱した熱の用途は、蒸気タービン10の熱源に限定されず、例えば、空調であってもよい。また、蓄熱運転時と同様に放熱運転時も閉サイクルであれば、空気5とは異なる流体を循環させてもよい。
【0058】
また、本実施形態に係る蓄熱システム104には、
図5に示す第3実施形態の変形例と同様に、電気ヒータ内蔵蓄熱槽29が設けられていてもよい。この場合、電気ヒータ内蔵蓄熱槽29は、電気ヒータ2の全部を蓄熱槽1に内蔵した構成であってもよいし、電気ヒータ2の一部を電気ヒータ内蔵蓄熱槽29に内蔵した構成であってもよい。
【0059】
本実施形態では、複数のヒートポンプを連結する構成にすることによって、第2熱媒体21の温度をより高くすることができる。これにより、加熱器18にて空気5をより高温に加熱することができる。
【0060】
また、本実施形態においても、加熱側成績係数COPを有するヒートポンプ19の加熱部分(加熱器18)では、空気5は消費電力より大きく加熱される。また、本実施形態では、空気5をある温度まで加熱する際、ヒートポンプ19による加熱量を増やし、電気ヒータ2による加熱量を減らすと、消費電力は減少する一方で全体電力あたりの加熱量が増加する。よって、本実施形態においても、全体電力当たりの蓄熱量が増加するという効果を得ることができる。
【0061】
なお、本実施形態では、閉サイクルとなっているが、開サイクルであってもよい。また、上述した第1実施形態に係る蓄熱システム101および第2実施形態に係る蓄熱システム102に、複数のヒートポンプを連結する構成を適用してもよい。この場合も、本実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、ヒートポンプ19は大気16から吸熱しているが、外界からであれば大気16でなくてもよく、例えば排温水でもよい。
【0062】
(第6実施形態)
図8は、第6実施形態に係る蓄熱システムの概略的な構成を示す模式図である。
図8では、
図4に示す第3実施形態に係る蓄熱システム103と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。また、
図8には、蓄熱運転に関する構成要素のみを示し、放熱運転に関する構成要素については記載を省略する。
【0063】
本実施形態では、熱源として求められる蓄熱槽1の蓄熱温度が、電気ヒータ2を必要とせず、ヒートポンプ19のみで実現できることを前提とする。
【0064】
本実施形態に係る蓄熱システム106には、電気ヒータ2が設置されておらず、加熱器18が弁12を介して蓄熱槽1と接続される。この蓄熱システム106が蓄熱運転する時には、第1送風機3、ヒートポンプ19、第2搬送機23、および大気送風機24が商用電力で稼働する。
【0065】
大気送風機24によって、大気16が、ヒートポンプ19を流通する。また、第2搬送機23によって、第2熱媒体21が、ヒートポンプ19と加熱器18との間を循環する。ヒートポンプ19は、大気16から吸熱するとともに、第2熱媒体21を加熱する。加熱された第2熱媒体21は、加熱器18にて蓄熱槽1の入口空気を加熱する。このようにして、ヒートポンプ19は、大気16から吸熱した熱で、蓄熱槽1の入口空気を加熱する。
【0066】
また、蓄熱システム106が放熱運転する時には、第3実施形態と同様に、蓄熱槽1から放熱した熱が、蒸気タービン10の熱源として使用される。ただし、本実施形態においても、蓄熱槽1から放熱した熱の用途は、蒸気タービン10の熱源に限定されず、例えば、空調であってもよい。また、蓄熱運転時と同様に放熱運転時も閉サイクルであれば、空気5とは異なる流体を循環させてもよい。
【0067】
本実施形態でも、第3実施形態と同様に、加熱側成績係数COPを有するヒートポンプ19の加熱部分(加熱器18)では、空気5は消費電力より大きく加熱される。また、本実施形態では、電気ヒータ2のみの加熱の場合や、電気ヒータ2とヒートポンプ19による加熱の場合と比較して、全体電力当たりの加熱量が増加する。よって、本実施形態においても、全体電力当たりの蓄熱量が増加するという効果を得ることができる。
【0068】
なお、本実施形態では、閉サイクルとなっているが、開サイクルであってもよい。また、本実施形態のように電気ヒータ2を不要とする構成は、上述した第1実施形態に係る蓄熱システム101、第2実施形態に係る蓄熱システム102、および第5実施形態に係る蓄熱システム105にそれぞれ適用してもよい。この場合も、本実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、ヒートポンプ19は大気16から吸熱しているが、外界からであれば大気16でなくてもよく、例えば排温水でもよい。
【0069】
以上、実施形態を幾つか説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規なシステムは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明したシステムの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0070】
1:蓄熱槽
2:電気ヒータ
3:第1送風機
4:第2送風機
5:空気
6:水
7:蒸気
8:復水ポンプ
9:ボイラ
10:蒸気タービン
11:復水器
12~15:弁
16:大気
17:冷却器
18:加熱器
19:ヒートポンプ
20:第1熱媒体
21:第2熱媒体
22:第1搬送機
23:第2搬送機
24:大気送風機
25:第3熱媒体
26:第1ヒートポンプ
27:第2ヒートポンプ
28:第3搬送機
29:電気ヒータ内蔵蓄熱槽
30:発電機
101~106、201、202:蓄熱システム