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  • 特開-集塵機および工業用機械 図1
  • 特開-集塵機および工業用機械 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125066
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】集塵機および工業用機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20240906BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B23Q11/00 M
B25F5/00 Z
B25F5/00 G
B25F5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033149
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】318001706
【氏名又は名称】京セラインダストリアルツールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】小寺 利英
(72)【発明者】
【氏名】永松 宗
【テーマコード(参考)】
3C011
3C064
【Fターム(参考)】
3C011BB03
3C064AC03
3C064BA08
3C064BA11
3C064BB48
3C064BB82
3C064CA72
3C064CA78
3C064CB54
3C064CB82
3C064DA05
3C064DA11
3C064DA17
3C064DA37
3C064DA56
3C064DA73
3C064DA91
(57)【要約】
【課題】集塵漏れを低減し、かつ電動工具の停止後にユーザが抱く不快感を低減する。
【解決手段】制御部(13)は、電動工具(52)の動作中に、モータ(10)へ、第1電流値(A1)を有する第1電流を流し、電動工具(52)の動作が停止する第1タイミング(T1)から、第1タイミング(T1)よりも後の第2タイミング(T2)までの間に、モータ(10)へ、第1電流値(A1)よりも小さい第2電流値(A2)を有する第2電流を流し、第2タイミング(T2)にて、モータ(10)へ第2電流を流すことを停止させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動工具と連動して駆動可能な集塵機であって、
モータと、
前記モータへ流す電流を制御する制御部と、を備えており、
前記制御部は、
前記電動工具の動作中に、前記モータへ、第1電流値を有する第1電流を流し、
前記電動工具の動作が停止する第1タイミングから、前記第1タイミングよりも後の第2タイミングまでの間に、前記モータへ、前記第1電流値よりも小さい第2電流値を有する第2電流を流し、
前記第2タイミングにて、前記モータへ前記第2電流を流すことを停止させる、集塵機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1タイミングにて、前記モータへ流す電流が有する電流値を離散的に減少させる、請求項1に記載の集塵機。
【請求項3】
前記制御部は、
前記電動工具の動作中に、前記モータへ、前記第1電流値を有する第1定電流を流し、
前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間に、前記モータへ、前記第2電流値を有する第2定電流を流す、請求項1に記載の集塵機。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1タイミングにて、前記第1定電流を前記第2定電流へ切り替える、請求項3に記載の集塵機。
【請求項5】
電源コードを用いて前記電動工具へ電力供給が可能である、請求項1に記載の集塵機。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の集塵機と、
前記集塵機と連動して駆動可能な電動工具と、を備えている、工業用機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、集塵機および工業用機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集塵機と、集塵機と連動して駆動可能な電動工具と、を備えている、工業用機械が知られている。当該工業用機械については、特許文献1を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-155302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている技術において、集塵機と電動工具とを同時に停止させると、電動工具の停止直前に生じた塵埃を集塵機が集め切れないおそれがある。従って、特許文献1に開示されている技術においては、集塵漏れが生じるおそれがある。
【0005】
集塵漏れへの対策として、電動工具の停止からしばらくの間、集塵機の動作を継続させる手法が考えられる。しかしながら、当該手法においては、電動工具の停止後も集塵機の動作音が引き続き生じることになるため、この動作音がユーザに対して不快感を与えるおそれがある。
【0006】
本開示の一態様は、集塵漏れを低減し、かつ電動工具の停止後にユーザが抱く不快感を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る集塵機は、電動工具と連動して駆動可能な集塵機であって、モータと、前記モータへ流す電流を制御する制御部と、を備えており、前記制御部は、前記電動工具の動作中に、前記モータへ、第1電流値を有する第1電流を流し、前記電動工具の動作が停止する第1タイミングから、前記第1タイミングよりも後の第2タイミングまでの間に、前記モータへ、前記第1電流値よりも小さい第2電流値を有する第2電流を流し、前記第2タイミングにて、前記モータへ前記第2電流を流すことを停止させる。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、集塵漏れを低減し、かつ電動工具の停止後にユーザが抱く不快感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示に係る集塵機および工業用機械の概略構成を示す模式図である。
図2】本開示に係る集塵機のモータへ流す電流のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(集塵機および工業用機械の概略構成)
図1は、本開示に係る集塵機51および工業用機械101の概略構成を示す模式図である。工業用機械101は、集塵機51と、集塵機51と連動して駆動可能な電動工具52と、を備えている。
【0011】
集塵機51は、電源プラグ1、工具用コンセント2、アースピン3、電流センサ4、ロッカースイッチ5、スイッチ基板6、変速用ボリューム7、モータ制御スイッチ8、メイン基板9、およびモータ10を備えている。スイッチ基板6は、モード切替スイッチ11およびモード表示灯12を備えている。メイン基板9は、制御部13を備えている。これらの各構成要素は、図示しない本体に備えられていてもよい。
【0012】
電源プラグ1は、例えば図示しない電源から集塵機51へ電力供給を行うためのものである。工具用コンセント2によって集塵機51と電動工具52とを電気的に接続することにより、集塵機51は、電動工具52へ電力供給を行うことが可能である。
【0013】
アースピン3は、漏電した電気を地面に逃がすことで感電事故を防ぐためのものである。ロッカースイッチ5は、操作ボタンの両端を交互に押すことで電気回路の接続および遮断を行うためのものである。変速用ボリューム7は、機械的な位置の変化をアナログ電気信号に変換し、モータに流れる電流値を変化させることで、モータの回転数を制御するものである。
【0014】
電流センサ4は、電流が有する電流値を読み取る。電流センサ4の読み取り対象となる電流は、例えば、電動工具52の動作状態に応じて変化する電流である。モード切替スイッチ11は、連動モードと単動モードとを切り替えるスイッチである。連動モードとは、集塵機51と電動工具52とが連動する動作モードである。単動モードとは、集塵機51と電動工具52とが連動しない動作モード、換言すれば、集塵機51と電動工具52とが個別に動作する動作モードである。モード表示灯12の点灯パターンに応じて、連動モードおよび単動モードのいずれであるかをユーザに対して通知することができる。モータ制御スイッチ8は、モータ10のオンとモータ10のオフとを切り替えるスイッチである。
【0015】
モータ10は、集塵機51の動力源である。制御部13は、モータ10へ流す電流を制御するものである。制御部13は、ハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアによって実現されてもよい。
【0016】
(制御部による電流制御)
図2は、集塵機51のモータ10へ流す電流のタイミングチャートである。制御部13は、電動工具52の動作中である第1期間D1に、モータ10へ、第1電流値A1を有する第1電流を流す。制御部13は、電動工具52の動作が停止する第1タイミングT1から、第1タイミングT1よりも後の第2タイミングT2までの間である第2期間D2に、モータ10へ、第1電流値A1よりも小さい第2電流値A2を有する第2電流を流す。制御部13は、第2タイミングT2にて、モータ10へ第2電流を流すことを停止させる。
【0017】
第1電流は、第1期間D1内における、任意の1タイミングの電流と定義される。第2電流は、第2期間D2内における、任意の1タイミングの電流と定義される。制御部13は、電流センサ4が読み取った電流値に基づいて、第1期間D1、第2期間D2、第1タイミングT1、および第2タイミングT2のそれぞれを検知してもよい。第2期間D2の長さは、任意であり、例えば3秒以上かつ5秒以下であってもよい。第2電流値A2の大きさは、任意であり、例えば第1電流値A1の半分であってもよい。
【0018】
制御部13は、第2期間D2に、モータ10へ第2電流を流す。集塵機51によれば、第2期間D2まで、集塵機51の動作を継続させるため、集塵漏れを低減することができる。集塵機51によれば、第2期間D2において第1期間D1よりも集塵機51の動作音が小さい。そのため、電動工具52の停止後における集塵機51の動作音に起因する、ユーザの不快感を低減することができる。
【0019】
第1タイミングT1にてモータ10へ流す電流が有する電流値を十分小さくすることにより、第1タイミングT1の直後から、ユーザの不快感を十分に低減することができる。第1タイミングT1にてモータ10へ流す電流が有する電流値を十分小さくするために、下記の技術を適用してもよい。
【0020】
制御部13は、第1タイミングT1にて、モータ10へ流す電流が有する電流値を離散的に減少させてもよい。換言すれば、制御部13は、第1タイミングT1にて、当該電流値を急激に減少させてもよい。これは、第1タイミングT1を起点として、当該電流値を経過時間に対してなだらかに減少させることと相反する。
【0021】
制御部13は、第1期間D1に、モータ10へ、第1電流値A1を有する第1定電流C1を流し、第1タイミングT1と第2タイミングT2との間である第2期間D2に、モータ10へ、第2電流値A2を有する第2定電流C2を流してもよい。換言すれば、制御部13は、第1定電流C1と第2定電流C2との切り替えタイミングにて、モータ10へ流す電流が有する電流値を急激に減少させてもよい。これは、当該切り替えタイミングを起点として、当該電流値を経過時間に対してなだらかに減少させることと相反する。
【0022】
制御部13は、第1タイミングT1にて、第1定電流C1を第2定電流C2へ切り替えてもよい。換言すれば、制御部13は、第1タイミングT1にて、モータ10へ流す電流が有する電流値を急激に減少させてもよい。これは、第1タイミングT1を起点として、当該電流値を経過時間に対してなだらかに減少させることと相反する。
【0023】
集塵機51は、電源コード14を用いて電動工具52へ電力供給が可能であってもよい。このような構成にすることで、電源コード14を用いて集塵機51から電動工具52へ電力供給を行うことができるため、有線で電動工具52へ電力供給を行う集塵機51を実現できる。
【0024】
電源コード14は、集塵機51に設けられていてもよいし、電動工具52に設けられていてもよい。あるいは、電源コード14は、一部が集塵機51に設けられており残りが電動工具52に設けられていてもよいし、集塵機51および電動工具52の両方へ外付けされるものであってもよい。電動工具52が、電動工具52に設けられた図示しないバッテリによって動作可能である場合、集塵機51から電動工具52へ電力供給を行わなくてもよい。
【0025】
例えばBluetooth(登録商標)を用いて集塵機51と電動工具52とが無線通信を行い、電動工具52の動作状態を集塵機51へ通知してもよい。工業用機械101についても、本開示の範疇に含まれる。
【0026】
(まとめ)
本開示の態様1に係る集塵機は、電動工具と連動して駆動可能な集塵機であって、モータと、前記モータへ流す電流を制御する制御部と、を備えており、前記制御部は、前記電動工具の動作中に、前記モータへ、第1電流値を有する第1電流を流し、前記電動工具の動作が停止する第1タイミングから、前記第1タイミングよりも後の第2タイミングまでの間に、前記モータへ、前記第1電流値よりも小さい第2電流値を有する第2電流を流し、前記第2タイミングにて、前記モータへ前記第2電流を流すことを停止させる。
【0027】
前記の構成によれば、制御部は、第1タイミングから第2タイミングまでの間に、モータへ第2電流を流す。前記の構成によれば、第1タイミングから第2タイミングまでの間、集塵機の動作を継続させるため、集塵漏れを低減することができる。前記の構成によれば、第1タイミングから第2タイミングまでの間において電動工具の動作中よりも集塵機の動作音が小さい。そのため、電動工具の停止後における集塵機の動作音に起因する、ユーザの不快感を低減することができる。
【0028】
本開示の態様2に係る集塵機は、前記態様1において、前記制御部は、前記第1タイミングにて、前記モータへ流す電流が有する電流値を離散的に減少させる。
【0029】
前記の構成によれば、第1タイミングにてモータへ流す電流が有する電流値を十分小さくすることにより、第1タイミングの直後から、ユーザの不快感を十分に低減することができる。
【0030】
本開示の態様3に係る集塵機は、前記態様1において、前記制御部は、前記電動工具の動作中に、前記モータへ、前記第1電流値を有する第1定電流を流し、前記第1タイミングと前記第2タイミングとの間に、前記モータへ、前記第2電流値を有する第2定電流を流す。
【0031】
前記の構成によれば、第1定電流と第2定電流との切り替えタイミングにてモータへ流す電流が有する電流値を十分小さくすることにより、当該切り替えタイミングの直後から、ユーザの不快感を十分に低減することができる。
【0032】
本開示の態様4に係る集塵機は、前記態様3において、前記制御部は、前記第1タイミングにて、前記第1定電流を前記第2定電流へ切り替える。
【0033】
前記の構成によれば、第1タイミングにてモータへ流す電流が有する電流値を十分小さくすることにより、第1タイミングの直後から、ユーザの不快感を十分に低減することができる。
【0034】
本開示の態様5に係る集塵機は、前記態様1から4のいずれかにおいて、電源コードを用いて前記電動工具へ電力供給が可能である。
【0035】
前記の構成によれば、電源コードを用いて集塵機から電動工具へ電力供給を行うことができるため、有線で電動工具へ電力供給を行う集塵機を実現できる。
【0036】
本開示の態様6に係る工業用機械は、前記態様1から5のいずれかの集塵機と、前記集塵機と連動して駆動可能な電動工具と、を備えている。
【0037】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
10 モータ
13 制御部
14 電源コード
51 集塵機
52 電動工具
101 工業用機械
A1 第1電流値
A2 第2電流値
C1 第1定電流
C2 第2定電流
D1 第1期間
D2 第2期間
T1 第1タイミング
T2 第2タイミング
図1
図2