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特開2024-125085双ロール式鋳造装置、及び双ロール式鋳造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125085
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】双ロール式鋳造装置、及び双ロール式鋳造方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/06 20060101AFI20240906BHJP
   B22D 11/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B22D11/06 330B
B22D11/00 E
B22D11/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033180
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】503420833
【氏名又は名称】学校法人常翔学園
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽賀 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】正田 良治
【テーマコード(参考)】
4E004
【Fターム(参考)】
4E004DA13
4E004NC08
4E004NC09
4E004QA01
4E004SA01
(57)【要約】
【課題】鋳造体の表面に発生するデブリ、リップルマーク及びこれらが原因となって発生する鋳造方向の筋模様や擦れを抑制でき、圧下割れも抑制できる双ロール式鋳造装置、及び双ロール式鋳造方法を提供する。
【解決手段】軽金属材料の溶湯から板状の鋳造体を連続して製造する双ロール式鋳造装置100は、互いに逆方向に回転する一対の鋳造ロール11A,11Bと、一対の鋳造ロール11A,11Bの間に溶湯Mを鋳造ロール11A,11Bのロール外周面11aよりも高い液位で貯留する溶湯溜りを形成するための堰を有し、鋳造ロール同士の間のギャップ部17に溶湯Mを供給するノズル13を備える。鋳造ロール11A,11Bには、ロール外周面10aの全周にロール軸方向の一端から他端まで連続する直線状又は曲線状の複数の溝27が設けられ、溝27の深さは、0.04mm以上、且つ鋳造体25の板厚の1/2以下である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽金属材料の溶湯から板状の鋳造体を連続して製造する双ロール式鋳造装置であって、
前記鋳造体の厚さに対応する距離を隔てて並設され、互いに逆方向に回転する一対の鋳造ロールと、
前記一対の鋳造ロールから上方に向けて前記溶湯を貯留する溶湯溜まりを形成する堰を有し、前記一対の鋳造ロールのロール外周面同士のギャップ部に前記溶湯を供給するノズルと、
を備え、
前記鋳造ロールは、前記ロール外周面の全周にロール軸方向の一端から他端まで連続する直線状又は曲線状の複数の溝を有し、前記溝の深さは、0.04mm以上、且つ前記鋳造体の板厚の1/2以下である、
双ロール式鋳造装置。
【請求項2】
前記複数の溝と前記鋳造ロールのロール軸方向との傾斜角度は、45°未満である、
請求項1に記載の双ロール式鋳造装置。
【請求項3】
前記複数の溝は、前記ロール外周面に前記ロール軸方向に沿って設けられている、
請求項2に記載の双ロール式鋳造装置。
【請求項4】
前記複数の溝は、前記ロール外周面に前記ロール軸方向から傾斜した網目状に設けられている、
請求項2に記載の双ロール式鋳造装置。
【請求項5】
前記複数の溝は、前記ロール外周面の周方向に沿って10mm以下のピッチで設けられている、
請求項1に記載の双ロール式鋳造装置。
【請求項6】
前記軽金属材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金、若しくはマグネシウム又はマグネシウウム合金である、
請求項1に記載の双ロール式鋳造装置。
【請求項7】
前記堰は、
前記鋳造ロールのロール軸方向と平行に且つ互いに対向して配置され、一端部が前記鋳造ロールの前記ロール外周面に当接又は接近して設けられた一対の主堰と、
前記主堰の前記ロール軸方向の両端に互いに対向して配置された一対の横堰と、
を有し、
前記溶湯溜まりは、前記一対の主堰と前記一対の横堰に囲まれる空間に形成される、
請求項1に記載の双ロール式鋳造装置。
【請求項8】
前記ギャップ部は、前記ロール軸方向に沿って延びている、
請求項1に記載の双ロール式鋳造装置。
【請求項9】
前記ノズルは、前記一対の鋳造ロールの上方に配置され、前記一対の鋳造ロールの回転方向下流側が下方に向いている、
請求項1から8のいずれか一項に記載の双ロール式鋳造装置。
【請求項10】
軽金属材料の溶湯から板状の鋳造体を連続して製造する双ロール式鋳造方法であって、
前記鋳造体の厚さに対応する距離を隔てて並設された一対の鋳造ロールと、
前記一対の鋳造ロールから上方に向けて前記溶湯を貯留する溶湯溜まりを形成する堰を有するノズルと、
を備え、
前記鋳造ロールは、前記ロール外周面の全周にロール軸方向の一端から他端まで連続する直線状又は曲線状の複数の溝が設けられ、前記溝の深さは、0.04mm以上、且つ前記鋳造体の板厚の1/2以下であり、
前記一対の鋳造ロールを互いに逆方向に回転させて、前記溶湯溜まりに貯留された前記溶湯を、前記一対の鋳造ロールのロール外周面同士のギャップ部に供給する工程を有する、
双ロール式鋳造方法。
【請求項11】
前記複数の溝と前記鋳造ロールのロール軸方向との傾斜角度は、45°未満である、
請求項10に記載の双ロール式鋳造方法。
【請求項12】
前記複数の溝は、前記ロール外周面に前記ロール軸方向に沿って設けられている、
請求項11に記載の双ロール式鋳造方法。
【請求項13】
前記複数の溝は、前記ロール外周面に前記ロール軸方向から傾斜した網目状である、
請求項11に記載の双ロール式鋳造方法。
【請求項14】
前記複数の溝の前記ロール外周面における周方向ピッチは10mm以下であり、
前記鋳造ロールを10m/min以上、150m/min以下の周速度で回転させる、
請求項10から13のいずれか一項に記載の双ロール式鋳造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、双ロール式鋳造装置、及び双ロール式鋳造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、資源枯渇の観点から、様々なもののリサイクルが進み、多量に消費されている金属のリサイクルも以前から行われてきていた。特に、アルミニウム材については、電解精錬の不要なリサイクル材を原料として用いることで、COの低減効果が高められるため、リサイクルが活発に進められている。一般的に、リサイクルに使う再利用原料は不純物を多く含み、粗大な金属間化合物を生じて製品品質を満足しないことがある。そのため、不純物を除去する技術の開発が行われている一方で、溶解原料に不純物が多く含まれていても、特性への影響を抑える不純物無害化技術の開発が行われている。双ロール鋳造による薄板の連続鋳造においては、通常のアルミ板生産で行われているDC鋳造(Direct Chill Casting)に比べ冷却速度が速く、不純物に対する許容量を高くすることが知られており、技術開発が進められている。また、熱間圧延工程を省略できることから、省エネルギー化と製造コストの低減とを実現する連続鋳造圧延法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一対の鋳造ロールを使用した双ロール鋳造により、アルミニウム合金又は鋼からなる帯板状の鋳造体を連続鋳造する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62-254953号公報
【特許文献2】特開2017-51964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アルミニウム等の軽金属は、鋼材のような比重の高い材料と比較して軽いため、双ロール方式で連続鋳造する場合に溶湯の静水圧(溶湯ヘッド圧)が低くなる。溶湯ヘッド圧が低下すると、製造される鋳造体の表面状態が劣化することが知られており、これは、溶湯のロール表面との接触縁におけるメニスカスの振動が激しくなることに起因すると考えられる。特にアルミニウム合金は、鋼材よりも粘度及び表面張力が小さいため、メニスカスの振動の影響を受けやすい。そこで、一対の鋳造ロールの間に溶湯溜まりとなる堰を設けて、堰の高さにより溶湯の貯留量を増量させ、溶湯ヘッド圧を高める構成が提案されている(例えば特許文献2)。
【0006】
しかし、鋳造ロールの間に堰を設けた場合には、ロール表面に対向する堰の先端で、溶湯の凝固物が生じやすくなる問題を生じた。この凝固物は、堰の先端から離脱し、鋳造物の表面に付着してデブリになると考えられる。また、堰の先端とロール表面との間では、溶湯のメニスカスが生じ、このメニスカスが振動して鋳造物の表面にリップルマーク(表面欠陥の一種)を生じさせる。これらデブリの発生とメニスカスの振動は、ロール軸方向に不均一に発生するため、鋳造体の表面状態を大きく低下させ、鋳造体の品質低下を招く。さらに、鋳造時における一対の鋳造ロールの間では、溶湯の固相率が不均一な状態となって、鋳造ロールのニップ力による圧下割れが生じ易くなる。そして、これら表面欠陥等に起因してロール回転方向の筋模様や擦れが生じることがあった。
【0007】
そこで本発明は、鋳造体の表面に発生するデブリ、リップルマーク及びこれらが原因となって発生する鋳造方向の筋模様や擦れを抑制でき、圧下割れも抑制できる双ロール式鋳造装置、及び双ロール式鋳造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は下記の構成からなる。
(1) 軽金属材料の溶湯から板状の鋳造体を連続して製造する双ロール式鋳造装置であって、
前記鋳造体の厚さに対応する距離を隔てて並設され、互いに逆方向に回転する一対の鋳造ロールと、
前記一対の鋳造ロールから上方に向けて前記溶湯を貯留する溶湯溜まりを形成する堰を有し、前記一対の鋳造ロールのロール外周面同士のギャップ部に前記溶湯を供給するノズルと、
を備え、
前記鋳造ロールは、前記ロール外周面の全周にロール軸方向の一端から他端まで連続する直線状又は曲線状の複数の溝を有し、前記溝の深さは、0.04mm以上、且つ前記鋳造体の板厚の1/2以下である、
双ロール式鋳造装置。
(2) 軽金属材料の溶湯から板状の鋳造体を連続して製造する双ロール式鋳造方法であって、
前記鋳造体の厚さに対応する距離を隔てて並設された一対の鋳造ロールと、
前記一対の鋳造ロールから上方に向けて前記溶湯を貯留する溶湯溜まりを形成する堰を有するノズルと、
を備え、
前記鋳造ロールは、前記ロール外周面の全周にロール軸方向の一端から他端まで連続する直線状又は曲線状の複数の溝が設けられ、前記溝の深さは、0.04mm以上、且つ前記鋳造体の板厚の1/2以下であり、
前記一対の鋳造ロールを互いに逆方向に回転させて、前記溶湯溜まりに貯留された前記溶湯を、前記一対の鋳造ロールのロール外周面同士のギャップ部に供給する工程を有する、
双ロール式鋳造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、鋳造体の表面に発生するデブリ、リップルマーク及びこれらが原因となって発生する鋳造方向の筋模様や擦れを抑制できる。また、圧下割れも抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、双ロール式鋳造装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、鋳造ロールのロール外周面の各溝を模式的に示す説明図である。
図3図3は、図2に示す鋳造ロールのIII-III線で切断した断面矢視図である。
図4図4は、連続鋳造の工程を示す工程説明図である。
図5図5は、鋳造後の鋳造体の表面の状態を示す写真である。
図6図6は、参考例の鋳造体の表面状態を示す写真である
図7図7は、ロール外周面に溝を有しない一対の鋳造ロールのロール外周面と、主堰の先端である一端部との対向部に生じるメニスカスを参考例として示す、概略断面図である。
図8図8は、図7に示す主堰の先端の隅部に生じる凝固物を参考例として示す、概略断面図である。
図9A図9Aは、ロール外周面の周方向に沿った溝による溶湯のメニスカスを参考例として示す説明図である。
図9B図9Bは、図9AのIX-IX線に沿った概略断面図である。
図10図10は、双ロール式鋳造装置から取り出した凝固体の写真である。
図11図11は、鋳造体の模式的な斜視図である。
図12図12は、ギャップ部における鋳造体のロール軸方向の固相率の分布を模式的に示す説明図である。
図13図13は、鋳造体の表面近傍の変形量を模式的に示す説明図である。
図14A図14Aは、鋳造方向に沿った縦割れを示す説明図である。
図14B図14Bは、鋳造方向から傾斜した斜め方向に沿った斜め割れを示す説明図である。
図15図15は、ロール軸方向に連続する複数の溝による、凝固層の表面近傍におけるバンドエリアの変形の様子を模式的に示す説明図である。
図16図16は、鋳造ロールに設ける溝の変形例を示す図で、ロール外周面の各溝を模式的に示す説明図である
図17図17は、ロール外周面に網目状の溝が設けられた鋳造ロールにより製造した鋳造体の表面の写真である。
図18図18は、参考例として示す写真で、傾斜角度が45°以上の溝が設けられた鋳造ロールにより製造した鋳造体の表面の写真である。
図19図19は、溝の傾斜角度に応じたメニスカスの状態をロール軸方向に関して概略的に示す説明図である。
図20A図20Aは、他の溝の形状を概略的に示す説明図である。
図20B図20Bは、他の溝の形状を概略的に示す説明図である。
図20C図20Cは、他の溝の形状を概略的に示す説明図である。
図21A図21Aは、更に他の形状の溝を概略的に示す説明図である。
図21B図21Bは、更に他の形状の溝を概略的に示す説明図である。
図22図22は、溝の形状毎に表面欠陥の発生の抑制効果を纏めて示した説明図である。
図23図23は、試験例1~6の各鋳造ロールを用いて製造した鋳造体の表面の拡大写真を纏めて示す説明図である。
図24図24は、試験例7のロール外周面が平滑面である平坦ロールを用いて製造した鋳造体の表面の拡大写真を纏めて示す説明図である。
図25図25は、試験例1~7の鋳造体の表面を浸透探傷検査した結果の写真を纏めて示す説明図である。
図26図26は、鋳造体を冷間圧延した後の鋳造体の表面を浸透探傷検査した結果の写真を纏めて示す説明図である。
図27図27は、冷間圧延後に熱処理を行った鋳造体を深絞りした結果の写真を纏めて示す説明図である。
図28図28は、鋳造体の表面、及び鋳造体の冷間圧延後と深絞り後の表面の浸透探傷検査結果の写真を纏めて示す説明図である
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態の双ロール式鋳造装置は、軽金属材料の溶湯から板状の鋳造体を連続して製造する鋳造装置であり、ここでは一対の鋳造ロールの上方に供給された溶湯を鋳造ロールの下方に向けて鋳造する縦型構造を例にして説明する。双ロール式鋳造装置の構造はこれに限らず、適宜に変更されてもよい。
【0012】
<双ロール式鋳造装置の構成>
図1は、双ロール式鋳造装置の構成を模式的に示す斜視図である。双ロール式鋳造装置100は、一対の冷却用の鋳造ロール11A,11Bとノズル13を備える。各鋳造ロール11A,11Bは、ロール外周面11aを互いに対向させて並設されており、矢印Rで示すように互いに逆方向に回転する。本構成の鋳造ロール11A,11Bは、同じロール長及び同じロール径を有する円柱状又は円筒状のロールであり、それぞれの回転軸線が同一面内に配置される。鋳造ロール11A,11Bの回転軸線は互いに平行であるが、ロール外周面11aがテーパー面等の他の形状である場合には、非平行であってもよい。
【0013】
鋳造ロール11A,11Bは、製造する鋳造体25の板厚に応じた距離を隔てて配置され、所定のニップ力が得られるように不図示の加圧機構によって互いの接近方向に付勢される。また、鋳造ロール11A,11Bは、不図示のモータ等の回転駆動源に接続されている。上記した間隔及びニップ力、並びにロール回転速度は、製造する鋳造体25の厚さ、材質等に応じて適宜に調整が可能となっている。
【0014】
ノズル13は、一対の鋳造ロール11A,11Bの間からロール回転方向の上流側、即ち、ロール並び方向に直交する一方の側(図1では上側)に向けた領域に、軽金属材料の溶湯Mを貯留する溶湯溜まり15を形成する。溶湯溜まり15内の溶湯Mは、ロール外周面11a同士の最小隙間となるギャップ部17に供給される。このギャップ部17は、鋳造ロール11A,11Bの中心点同士を連結したライン上に位置し、一対の鋳造ロール11A,11Bのロール軸方向に沿って延びている。
【0015】
以下、鋳造ロール11A,11Bのロール軸方向をX方向、鋳造ロール11A,11Bの並び方向をY方向、X方向及びY方向に直交する鉛直方向をZ方向として説明する。
【0016】
ノズル13は、一対の主堰21A,21Bと、一対の横堰23A,23Bを有する。本構成の主堰21A,21B及び横堰23A,23Bのそれぞれは、鋳造ロール11A,11Bの上方に向けて延びて配置された板状体であるが、これらを一体にしたブロック状に構成してもよく、表面を平坦でなくしてもよい。主堰21A,21Bは、鋳造ロール11A,11Bのロール軸方向(X方向)と平行で、且つ互いに対向して鋳造ロール11A,11Bのロール外周面11aに当接、又は僅かに隙間を有して接近して配置される。横堰23A,23Bは、主堰21A,21Bの鋳造ロール11A,11Bのロール軸方向(X方向)の両端に互いに対向して配置される。なお、図1においては、手前側の横堰23Aを透かして示している。
【0017】
溶湯溜まり15は、主堰21A,21Bと横堰23A,23Bにより囲まれる空間に形成される。主堰21A,21Bは、主堰21Aの一端部と鋳造ロール11Aのロール外周面11aとの間、及び主堰21Bの一端部と鋳造ロール11Bのロール外周面11aとの間でそれぞれ溶湯Mを堰き止める。また、横堰23A,23Bは、主堰21A,21BのX方向の両端を塞ぐように設けられ、鋳造ロール11A,11Bの端面と当接、又は僅かな隙間を有して配置される。主堰21A,21B,横堰23A,23Bは、各々鋳造ロール11A,11Bに接触してもよく、溶湯が漏れなければ鋳造ロール11A,11Bとの間に隙間を有してもよい。これにより、ギャップ部17の上方に、軽金属材料の溶湯Mを貯留する金属プールが必要十分な容量を有し、且つ必要な溶湯ヘッド圧を生じるように形成される。主堰21A,21B及び横堰23A,23Bの溶湯Mと接する内側面には、アルミナ繊維等からなる断熱シートを設けてもよい。
【0018】
鋳造ロール11A,11Bは回転しながら溶湯溜まり15内の溶湯Mを抜熱することで、ロール外周面11a近傍に、詳細を後述する溶湯Mの凝固層が形成される。形成された凝固層は、鋳造ロール11A,11Bの間のギャップ部17においてプレスされ、溶湯溜まり15の外側へ送り出される。これにより、ギャップ部17から板状の鋳造体25が連続して形成される。
【0019】
鋳造ロール11A,11Bの材料としては、熱伝導性の高い、例えば、銅、銅合金を使用できる。主堰21A,21B及び横堰23A,23Bは、溶湯Mとなる軽金属材料よりも高い融点の材料であればよく、例えば、軟鋼等の鉄系材料にアルミナ繊維等からなる断熱シートを設けたもの、或いはケイ酸カルシウム系又はアルミナ系の断熱材等により形成される。これら材料は一例であって、例示した材料に限定されることはない。
【0020】
鋳造体25の材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム、マグネシウム合金等の鉄鋼系より凝固シェル強度が低い軽金属材料が挙げられる。アルミニウム系材料の場合、1000系のアルミニウム、2000系、3000系、4000系、5000系、6000系、7000系、8000系の他、JISで規定しないものを含むアルミニウム合金を使用できる。
【0021】
上記した双ロール式鋳造装置100においては、鋳造ロール11A,11Bのロール外周面11aの全周に、ロール軸方向の一端から他端まで連続する直線状又は曲線状の複数の溝27が設けられている。溝27は、ロール外周面11aの周方向に等ピッチで設けてもよく、不等ピッチで設けてもよい。溝27は、詳細は後述するが、ロール軸方向に平行又はロール軸方向に沿った直線状に限らず、波形等の曲線状、又は直線と曲線とが混在した形態でもよい。
【0022】
また、溝27に代えて、ロール外周面11aから突起する突条としてもよい。溝27の断面形状は、三角形、四角形等の多角形、U字形等の曲線を有する形状等、任意の溝形状にできる。また、溝の深さ(又は突起の高さ)は、ロール軸方向に沿って一定でもよく、周期的に深さ(高さ)が変化する形態等の不定の深さ(高さ)でもよい。例えば、ロール軸方向の両端ほど溝の深さを浅くした場合、抜熱が比較的大きいロール端部の影響を受けにくく、均一な抜熱を実現しやすくなる。
【0023】
図2は、鋳造ロール11A,11Bのロール外周面11aの各溝27を模式的に示す説明図である。以下の説明においては、同一部材又は同一部位については、同一の符号を付与することで、その説明を省略又は簡略化する。図2に示す方向Tは、ロール外周面11aの周方向を表している。ここで例示する各溝27は、ロール外周面11aにおけるロール軸方向(X方向)の一端から他端まで連続した直線状であり、ロール軸方向と平行に設けられている。
【0024】
図3は、図2に示す鋳造ロール11A,11BのIII-III線で切断した断面矢視図である。溝27の深さDは、0.04mm以上、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上、更に好ましくは0.5mm以上である。溝27の深さDは、鋳造体25の板厚の1/2以下、好ましくは1/3以下である。溝27のロール軸方向に直交する断面における溝角θは、45°以上、好ましくは60°以上であると、鋳造体25のロール外周面11aからの剥離が良好となり、次工程で冷間圧延する際、鋳造体25に形成される山の折れ込みが生じにくくなる。溝角θは、150°以下が好ましく、120°以下がより好ましい。
【0025】
溝27は、例えば、平目のローレットを用いて加工してもよい。ローレット加工のままでもよいが、溝27同士の間に形成される頂部を平坦状又は曲面状にしてもよい。その場合、後述する鋳造時において、溝27の谷部で溶湯に凝固遅れが生じることによる化合物の晶出を抑制できる。
【0026】
溝27の周方向のピッチPは、10mm以下が好ましく、より好ましくは5mm以下、更に好ましくは2mm以下である。
【0027】
<連続鋳造工程>
次に、上記した双ロール式鋳造装置100による連続鋳造の手順を説明する。
図4は、連続鋳造の工程を示す工程説明図である。まず、双ロール式鋳造装置100の鋳造ロール11A,11B間に設けられたノズル13内の溶湯溜まり15に、前述した軽金属材料からなる溶湯Mを供給する。そして、鋳造ロール11A,11Bを、溶湯溜まり15内のロール外周面11aがギャップ部17に向かうように、互いに逆方向に回転させる。鋳造ロール11A,11Bの周速度は、鋳造する材料にもよるが、例えば10~150m/minに設定できる。また、鋳造ロール11A,11B間のニップ力は、ロール軸方向の単位長さあたりの荷重として、例えば2N/mm~1000N/mmに設定できる。
【0028】
これにより、溶湯Mは、鋳造ロール11A,11Bによって冷却されながらギャップ部17に送られる。溶湯Mがロール外周面11aに触れ始める部分では、溶湯Mがロール外周面11aから抜熱されて凝固した凝固層33と、流動性が低い半凝固層35とが形成される。2つの鋳造ロール11A,11Bに挟まれた凝固層33及び半凝固層35は、ロール軸間で加圧されながら、ギャップ部17から溶湯溜まり15の外側に押し出され、板状の鋳造体25が形成される。なお、上記した凝固層33は、溶湯Mが凝固した層に限らず、半凝固層を含む場合もある。
【0029】
図5は、鋳造後の鋳造体25の表面の状態を示す写真である。鋳造体25の表面には、図1に示すロール外周面11aに設けられた溝27によって直線状の凹凸模様が形成される。この凹凸模様は、ロール軸方向(X方向)に連続するとともに、鋳造方向CDの全体にわたり形成されている。この凹凸模様は、後述する冷間圧延工程にて、圧下率を65%以上にすることで消滅させることができる。
【0030】
<鋳造体の表面欠陥>
ここで、ロール外周面にロール軸方向と垂直及び平行な格子状の溝が設けられた鋳造ロールを用いて製造した鋳造体を参考例として示す。
図6は、参考例の鋳造体の表面状態を示す写真である。参考例の鋳造体の表面には、ロール外周面の周方向溝による鋳造方向CDに沿った筋状の突起STが略全面に形成され、鋳造方向に沿って複数のリップルマークRPが生じている。また、表面の一部には、凝固物(以下、デブリともいう。)DBが認められる。リップルマークRPの鋳造方向CDの間隔は不均一であり、鋳造時のロール外周面との接触状態が一定ではないことがわかる。
【0031】
(リップルマーク、凝固物の発生防止)
上記したデブリDB、リップルマークRP等の表面欠陥は、図1に示す双ロール式鋳造装置100の鋳造ロール11A,11Bに設けられた溝27によって良化できる。デブリDB、リップルマークRPの発生は、特に主堰21A,21Bの先端における凝固物(半凝固物を含む)の付着、溶湯Mのメニスカスの振動に大きく起因している。
【0032】
図7は、ロール外周面に溝を有しない一対の鋳造ロール51A,51Bのロール外周面51aと、主堰21A,21Bの先端である一端部21aとの対向部に生じるメニスカス41を参考例として示す、概略断面図である。溶湯溜まり15内における、ロール外周面51aと主堰の一端部21aとが対向する隅部には、溶湯Mのメニスカス41によって僅かな空隙43が生じる。このメニスカス41は、鋳造ロール51A,51Bの回転に伴って成長と崩壊を繰り返して、メニスカス41の振動を生じる。この振動が鋳造体25の表面にリップルマークを発生させる一要因となる。
【0033】
図8は、図7に示す主堰21A,21Bの先端の隅部に生じる凝固物を参考例として示す、概略断面図である。前述したメニスカス41が発生する隅部には、溶湯Mが温度低下して凝固した凝固物45(完全に凝固していない半凝固物も含む)が生じやすい。凝固物45は、連続して発生したり、隅部で成長した後に剥がれ落ちたりして、ロール外周面51aに付着したままギャップ部17に送られる。その結果、鋳造体25の表面に凝固物からなるデブリDB(図6)の付着が生じ、鋳造体25の表面性状を低下させる。
【0034】
上記は溝を有しない鋳造ロールの場合であるが、ロール外周面の周方向に沿った溝が存在する場合にも、メニスカス41がロール軸方向に沿って不均一となる不具合を生じる。
図9Aは、ロール外周面の周方向に沿った溝53による溶湯のメニスカス41を参考例として示す説明図である。図9Bは、図9AのIX-IX線に沿った概略断面図である。図9Aに示すように、ロール外周面に周方向に連続する溝53が存在する場合、主堰21A,21B付近に生じるメニスカス41は、矢印Rで示すロール回転方向に沿って延びるため、空隙43の領域が更に増大する。その結果、メニスカス41は、ロール軸方向に関してその大きさが一定でなくなり、溝53の位置では、他の位置よりもメニスカス41が大きくなる。
【0035】
一方、本構成の鋳造ロール11A,11Bにおいては、上記したデブリDB,リップルマークRP等の表面性状の低下が抑えられる。デブリについては、ロール外周面11aに設けた複数の溝27の凹凸によって、前述した隅部において温度低下した溶湯M、半凝固物を含む層を機械的に掻き取るため、溶湯Mが隅部で凝固する前に掻き出される。これによって、隅部における微小な凝固物の発生と脱落を繰り返すことがなくなり、デブリDBの発生が抑制できると考えられる。また、リップルマークRPについては、鋳造ロール11A,11Bの回転による溝27の移動により、ロール外周面11a近傍の溶湯Mに流れを付与できる。また、ロール外周面11aの移動速度がメニスカス41の振動周期よりも速くなる。これらのことから、リップルマークを誘引するメニスカス41の振動を防止できると考えられる。
【0036】
ここで、図示はしないが、一対の鋳造ロールの一方を、ロール外周面に溝を有しない平滑面の鋳造ロール(平坦ロール)にして、他方の鋳造ロールを、図2図3に示す互いに平行な複数の溝が設けられた鋳造ロール(平目ロール)にして鋳造した結果を例示する。鋳造後、一対の鋳造ロールの間で溶湯が冷え固まった後の凝固体を双ロール式鋳造装置100から取り出して、この凝固体のロール外周面との接触側の面を観察すると、平坦ロール側と平目ロール側とでは明確な差異を生じた。
【0037】
図10は、双ロール式鋳造装置100から取り出した凝固体の写真であり、中央の写真が凝固体の正面から見た写真で、左側の写真が上記した平坦ロールとの接触側の面、右側の写真が上記した平目ロールとの接触側の面をそれぞれ示す写真である。この凝固体の平坦ロールとの接触面(左側写真)には多数のデブリが存在するが、平目ロールとの接触面(右側写真)はデブリが存在しない。このことから、溝27の存在によって、凝固物の発生が抑制されている様子がわかる。
【0038】
(圧下割れの防止効果)
鋳造ロール11A,11Bの溝27は、デブリDB及びリップルマークRPの発生を抑制する以外にも、ギャップ部17における圧下割れの抑制にも寄与する。
図11は、鋳造体25の模式的な斜視図である。鋳造時における鋳造体25の表面では、X方向に沿って圧下割れCkを生じることがある。この圧下割れCkの発生は、鋳造時のギャップ部17において、X方向に沿って固相率の分布が生じていることが一要因として挙げられる。
【0039】
図12は、ギャップ部17における鋳造体25のロール軸方向(X方向)の固相率の分布を模式的に示す説明図である。連続鋳造工程時のギャップ部17では、ロール軸方向(X方向)に沿って固相率の分布が生じる。つまり、ギャップ部17では、均一な固相率にならずに、ロール外周面に近い固相率の高い凝固層(高固相率部分ともいう)33同士の間に、流動性が高く固相率の低い部分(低固相率部分ともいう)37がロール軸方向に沿った複数箇所に分散して生じる。その結果、鋳造ロール11A,11Bからの加圧力が、ギャップ部17を通過する鋳造体25に不均一に負荷されることになる。ここで、低固相率部分37を含むロール軸方向の領域をAr、その他の領域をApと呼び、低固相率部分37を含み、流動性の比較的高い半凝固層35をバンドエリアとも呼ぶ。
【0040】
図13は、鋳造体25の表面近傍の変形量を模式的に示す説明図である。バンドエリア35内の低固相率部分37を含む領域Arと、他の領域Apとでは、鋳造ロール11A,11Bにより加圧された際、高固相率部分33がロール周方向(鋳造方向CD)に変形する延伸量がそれぞれ異なる。つまり、鋳造ロール11A,11Bによってバンドエリア35が加圧されると、バンドエリア35内の低固相率部分37がロール周方向に流動し、バンドエリア35はその流動分だけ抜け落ちて薄くなる。また、その薄くなった部分に形成されている高固相率部分33は周囲よりも薄い。そのため、領域Apにおいては、加圧力によって高固相率部分33がロール周方向に変形量δ1で延伸される一方、領域Arにおいては、低固相率部分37の抜け落ち分、変形に寄与する体積が減少する。その結果、領域Arにおける高固相率部分33のロール周方向の変形量δ2は、領域Apの変形量δ1に達せず、変形量に分布が生じる。実際には、領域Arと領域Apは隣接しており、領域Arは領域Apと同じだけ伸びる必要があることから引張応力を生じる。その結果、発生した引張応力によって圧下割れCkが生じやすくなる。
【0041】
このような圧下割れCkは、図13に示すX方向に延びる幅方向割れ以外にも、図14Aに示す鋳造方向CDに沿った縦方向の圧下割れCk、図14Bに示す鋳造方向CDから傾斜した方向に沿った斜め方向の圧下割れCkとして出現することがある。
【0042】
上記した圧下割れCkは、鋳造ロール11Aと鋳造ロール11Bとの間のギャップ部17におけるバンドエリアの厚さの差異に起因する変形の差異を軽減することで防止できる。
図15は、ロール軸方向に連続する複数の溝による、凝固層の表面近傍におけるバンドエリアの変形の様子を模式的に示す説明図である。本構成の鋳造ロール11A,11Bには、ロール軸方向(X方向)に連続する複数の溝27を設けてある。これらの溝27は、ロール外周面11aの凝固層33に食い付いてアンカー効果を生じさせる。このアンカー効果によって、凝固層33の鋳造方向CDへの変形(伸び)に差異が生じにくくなる。つまり、溝27は、鋳造体25のロール軸方向の長さ及びロール周方向の長さを、割れが発生しない程度の特定の長さに制限する効果を奏する。
【0043】
これによれば、鋳造ロール11A,11Bの圧下による鋳造体25の表面に平行な方向、特に鋳造方向CDへの変形(伸び)が、鋳造体25の表面上で均一となり、不均一な変形に起因する割れの発生を抑制できる。この割れの抑制効果は、溶湯Mの凝固が既に完了した凝固状態で得られることに限らず、溶湯Mの凝固が完了していない半凝固状態で鋳造ロール11A,11Bから離れる場合にも同様にして得られる。また、特に高速・低荷重の双ロール式鋳造装置において上記効果は顕著となる。ここでいう高速鋳造の具体的な鋳造速度は、例えば5~150m/minで行うことができる。
【0044】
<焼きなまし、冷間圧延>
以上説明した鋳造工程により製造された鋳造体25は、上記の鋳造工程後に、焼きなまし工程、冷間圧延工程を実施してもよい。各工程は、インラインで連続して実施してもよく、個別に実施してもよい。また、実施する順番はどちらが先であってもよい。
【0045】
焼きなまし工程としては、例えば6000系のアルミニウム材の場合、約400℃で2~3時間保持した後、空冷又は炉冷する処理、約300℃に加熱後に空冷する処理等が挙げられる。焼きなまし処理により、材料を軟化させ、残留応力を除去できる。
【0046】
冷間圧延工程としては、一対の圧延ロールに鋳造体25を挟み込んで加圧しながら圧延する処理が挙げられる。冷間圧延工程により、鋳造体25の表面組織の緻密化により機械強度を向上でき、表面の平滑化により表面品質を向上できる。
【0047】
以上のように、本構成の鋳造ロールを用いた双ロール式鋳造方法によれば、ロール外周面の全周にロール軸方向の一端から他端まで連続する複数の溝を設け、溝の深さを0.04mm以上、且つ鋳造体の板厚の1/2以下にすることで、鋳造体の表面に発生するデブリ、リップルマーク及びこれらが原因となって発生する鋳造方向の筋模様や擦れを抑制できる。また、圧下割れも抑制できる。
【0048】
<鋳造ロールに設ける溝の変形例>
(綾目ロール)
鋳造ロール11A,11Bのロール外周面11aに設ける溝は、前述したロール軸方向に平行な複数の溝27に限らない。
図16は、鋳造ロールに設ける溝の変形例を示す図で、ロール外周面11aの各溝27A,27Bを模式的に示す説明図である。図16に示す方向Tは、ロール外周面の周方向である。この場合の溝27A,27Bは、ロール軸方向(X方向)から時計方向及び反時計方向にそれぞれ傾斜角度αで傾斜して、互いに交差した網目状(綾目)に設けられている。なお、ここでいう傾斜角度αは、ロール軸方向(0°)から90°までの範囲で表される角度を意味する。
【0049】
複数本の溝27A,27Bのそれぞれは、ロール外周面11aの全周にわたって等ピッチで設けられている。溝27A,27Bの間隔は、等ピッチでもよいが、不等ピッチであってもよい。傾斜角度αは、45°未満、好ましくは40°以下、より好ましくは30°以下、更に好ましくは20°以下である。上記のような浅い角度範囲にすることで、前述したギャップ部17における主堰21A,21Aの一端部21aにおけるロール回転方向先方側(メニスカス41の発生位置)における溶湯Mに流れを付与でき、また、溶湯及び半凝固物を含む層の掻き出し効果を高められる。
【0050】
図17は、ロール外周面11aに網目状の溝27A,27Bが設けられた鋳造ロール11A,11Bにより製造した鋳造体25の表面の写真である。鋳造体25の表面には、ロール外周面11aの溝27A,27Bに応じた均一な凹凸模様が形成される。この条件下では、デブリ、リップルマークが存在しないため、メニスカスがロール軸方向に一定となって、凝固物の形成も生じていないと推測できる。
【0051】
図18は、参考例として示す写真で、傾斜角度αが45°以上の溝が設けられた鋳造ロールにより製造した鋳造体の表面の写真である。この鋳造体においては、ロール軸方向(X方向)に境界線Lが発生しており、各境界線Lで区画される領域Wa,Wb,Wc,Wdで、それぞれ異なるメニスカスの振動が生じたと考えられる。
【0052】
図19は、溝の傾斜角度αに応じたメニスカスの状態をロール軸方向に関して概略的に示す説明図である。溝の傾斜角度αが45°未満の場合には、前述した図17に示すように、ロール軸方向に関してどの位置でも均等な大きさのメニスカス41が生じ、各位置でのメニスカス41の振動も小さく収まる傾向となる。一方、溝の傾斜角度αが45°以上の場合には、前述した図18に示すように、ロール軸方向に関して場所毎に異なる大きさのメニスカス41が生じ、各位置でのメニスカスの振動も比較的大きくなる。このように、溝の傾斜角度αによって鋳造体の表面性状が大きく変化するため、溝の傾斜角度αを所定の範囲に設定することが鋳造体の品質向上に重要となる。
【0053】
(他の溝の形状)
上記した溝27,27A,27Bは、いずれも直線溝で示しているが、種々の形状に変更することもできる。
図20A図20B図20Cは、各種の溝の形状を概略的に示す説明図である。図20Aに示すように、鋳造ロール11A,11Bの正面視で、ロール外周面11aのロール軸方向の一端から他端まで連続する溝27Cが、ロール軸Axから傾斜角度αで傾斜して設けられていてもよい。なお、ここでは1本の溝27Cを代表として示しているが、等ピッチ又は不等ピッチで複数本の溝が存在するものとする。このことは、図20B図20Cも同様である。
【0054】
図20Bに示す溝27Dは、その一部に湾曲部55を有している。この場合、湾曲部55における溝27Dの接線とロール軸Axとの交差角が傾斜角度αとなる。湾曲部は1つに限らず複数箇所に設けてもよく、各湾曲部の傾斜角度αは等しくてもよく、異なってもよい。
【0055】
図20Cに示す溝27Eは、折れ線状の溝であり、複数の傾斜角度α1,α2,・・・を有する溝が接続された形状となっている。傾斜角度α1,α2.・・・は、互いに異なっていてもよく、等しくてもよい。
【0056】
図21A図21Bは、更に他の形状の溝を概略的に示す説明図である。図21Aに示す溝27Fは、円弧等の曲線状の溝を組み合わせて複数の閉曲線を有する形状である。図21Bに示す溝27Gは、菱形等の多角形状が複数接続された形状である。このように、溝が閉空間を形成することで、溶湯等の掻き出し効果を向上でき、前述した凝固物の抑制とメニスカスの更新をより促進できる。
【0057】
以上を総括すると、溝の形状と鋳造体の表面性状との関係は次の通りとなる。
図22は、溝の形状毎に表面欠陥の発生の抑制効果を纏めて示した説明図である。凝固物(デブリ)の発生に関しては、溝の傾斜角度αが30°以下では安定して抑制でき、傾斜角度が45°では鋳造条件によってはデブリの発生を抑制できる。一方、溝の傾斜角度αが90°となるロール外周面に沿った溝では、デブリの発生を抑制し難い。
【0058】
リップルマークの発生に関しては、溝の傾斜角度αが30°以下では安定して抑制でき、傾斜角度が45°でも抑制効果が得られる。溝の傾斜角度αが90°では、リップルマークの発生を抑制し難い。
【0059】
鋳造体25の圧下割れ、冷間圧延後の割れ、深絞り後の表面割れに関しては、溝の傾斜角度αが30°以下では安定して抑制でき、傾斜角度が45°以上でも抑制効果が得られる。以上のように、鋳造体の表面性状は、溝の傾斜角度αに大きく影響され、45°未満の浅い角度にするほど表面性状が良化され、機械的特性も優れるが、45°以上ではデブリ、ニップルマーク等によって表面性状及び機械的特性が劣化することがある。
【実施例0060】
次に、図1に示す縦型の双ロール式鋳造装置100を用いて、鋳造ロールのロール外周面における溝の種類と、鋳造体表面の割れ、ニップルマーク及びデブリの発生状態との相関関係を調べた結果を説明する。
【0061】
[評価1]
表1に、試験例1~7の鋳造ロールに溝加工する際のローレット加工の条件、鋳造体の溝形状及び試験結果をそれぞれ纏めて示した。鋳造ロールは、ロール外周面の溝を転造によるローレット加工でそれぞれ異なる形状に加工したものを使用した。試験例1~3に用いた鋳造ロールは、平目のローレットで溝加工し、試験例4~6に用いた鋳造ロールは、傾斜角度αが45°の綾目のローレットで溝加工した。また、各試験例で用いたローレットは山の頂角が90°である。試験例7は、ローレット加工を実施せずに、ロール外周面に溝を有しない平滑面の鋳造ロールを用いた。ローレットの溝ピッチは、平目に関しては周方向間隔(図2のピッチP)、綾目に関しては周方向格子間隔(図16のピッチP)で示している。試験結果については、割れ、ニップルマーク及びデブリが生じることなく良好な表面性状が得られた場合を「A」、平均的に良好な表面性状が得られた場合を「B」、多数の割れ、ニップルマーク又はデブリが生じた場合を「C」と評価した。
【0062】
【表1】
【0063】
図23は、試験例1~6の各鋳造ロールを用いて製造した鋳造体の表面の拡大写真を纏めて示す説明図である。鋳造条件は次の通りである。
(鋳造ロール)
材質:銅製
ロール径:φ250mm
ロール周速:30m/min
ロール軸方向単位長さあたりの荷重(ニップ力):20N/mm
(溶湯)
材料の組成:Al-3Si-1Fe-0.8Cu-0.5Mg-0.2Mn
注湯温度:695℃
(鋳造体)
板幅(X方向幅):50mm
板厚:3.8mm
【0064】
図23図27、及び図28においては、平目のローレットで加工した鋳造ロールを「平目ロール」、綾目のローレットで加工した鋳造ロールを「綾目ロール」、ローレット加工せずに平滑なロール面を有する鋳造ロールを「平坦ロール」として示している。
試験例1~3の平目ロール、及び試験例4~6の綾目ロールの各ロール外周面に、それぞれの目の種類(細目、中目、荒目)に応じた凹凸形状を設けた。試験例4におけるロール外周面の溝深さは、平均値で46μmであり、試験例1~3,5,6におけるロール外周面の溝深さは、いずれも平均値で50μm以上であった。また、試験例1~6のロール外周面の溝角θは、108.5°~148.7°の範囲であった。
【0065】
図23に示すように、各種の鋳造ロールを用いて製造した鋳造体の表面は、それぞれ細目、中目、荒目に応じた凹凸模様が均質に生じていた。試験例4には凝固物の付着による軽度なデブリが一部に発生したが、他の試験例にはデブリ、リップルマーク、割れの発生は認められなかった。
【0066】
図24は、試験例7のロール外周面が平滑面である平坦ロールを用いて製造した鋳造体の表面の拡大写真を纏めて示す説明図である。鋳造体の状態が良い面では平坦な面状が得られたが、状態が不良の面では、凝固物DBの付着によるデブリと、化合物が濃縮して形成されるリップルマークRPを生じた。
【0067】
図25は、試験例1~7の鋳造体の表面を浸透探傷検査した結果の写真を纏めて示す説明図である。試験例1~6の鋳造体は、浸透探傷検査によっても割れ等は認められなかった。試験例7には広い範囲にわたって割れの発生を確認できた。
【0068】
図26は、鋳造体を冷間圧延した後の鋳造体の表面を浸透探傷検査した結果の写真を纏めて示す説明図である。冷間圧延後の試験例1~6の鋳造体の表面は、鋳造ロールの溝による凹凸が平坦化され、いずれにも割れ等は認められなかった。しかし、試験例7の鋳造体の表面には多数の割れが認められた。
【0069】
図27は、冷間圧延後に熱処理を行った鋳造体を深絞りした結果の写真を纏めて示す説明図である。供試片と深絞りの条件は以下の通りである。
(供試片)
鋳造ロールの周速:30m/min
ロール軸方向単位長さあたりの荷重(ニップ力):20N/mm
上記の条件以外は、前述した試験例1~7と同様である。作製した試験例1~7の鋳造体を、400℃/60minで焼きなましし、1mmの厚さに冷間圧延した後、400℃/60minで再び焼きなましを実施した。上記処理後にφ51.2mmの円板状に加工した。
【0070】
(深絞り)
各供試片を直径φ32mmのパンチにより有底円筒状に深絞り加工した。深絞り後の供試片は、試験例1~6のいずれにおいても、割れ等は生じなかった。一方、試験例7では多数の割れが生じた。
【0071】
以上のように、平目ロールを用いて製造した試験例1~3の鋳造体は、鋳造体の表面にデブリ、ニップルマーク、割れは生じず、深絞り後も略良好な表面性状を維持できた。また、綾目ロールを用いて製造した試験例4~6の鋳造体は、鋳造体の表面にデブリ、ニップルマーク、割れは生じず、深絞り後も略良好な表面性状を維持できた。一方、平坦ロールを用いて製造した試験例7の鋳造体は、表面性状が低下し、深絞りの成形性の低下が顕著であった。
【0072】
[評価2]
表2に示すように、試験例8として、溝深さが238μm、傾斜角度αが20°の綾目の溝をロール外周面に設けた鋳造ロールを用い、評価1と同様の条件で鋳造した。試験例8で用いたローレットは、山の頂角が90°である。また、ロール外周面の溝は、このローレットによる旋削加工により設けた。
【0073】
【表2】
【0074】
得られた鋳造体の表面を浸透探傷検査し、また、この鋳造体を評価1の供試片と同様の条件で冷間圧延した板材について、表面を浸透探傷検査した。さらに、この冷間圧延後の板材を評価1の供試片と同様の条件で深絞り加工した。
【0075】
図28は、鋳造体の表面、及び鋳造体の冷間圧延後と深絞り後の表面の浸透探傷検査結果の写真を纏めて示す説明図である。鋳造後の表面性状、冷間圧延後の表面性状、深絞り後の表面性状はいずれも良好であって、デブリ、リップルマーク及び圧下割れのいずれも生じなかった。
【0076】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0077】
例えば、上記の鋳造ロールは横型の鋳造機にも適用でき、メニスカスの変動などを抑制できる。
【0078】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 軽金属材料の溶湯から板状の鋳造体を連続して製造する双ロール式鋳造装置であって、
前記鋳造体の厚さに対応する距離を隔てて並設され、互いに逆方向に回転する一対の鋳造ロールと、
前記一対の鋳造ロールから上方に向けて前記溶湯を貯留する溶湯溜まりを形成する堰を有し、前記一対の鋳造ロールのロール外周面同士のギャップ部に前記溶湯を供給するノズルと、
を備え、
前記鋳造ロールは、前記ロール外周面の全周にロール軸方向の一端から他端まで連続する直線状又は曲線状の複数の溝を有し、前記溝の深さは、0.04mm以上、且つ前記鋳造体の板厚の1/2以下である、
双ロール式鋳造装置。
この双ロール式鋳造装置によれば、鋳造ロールのロール外周面にロール軸方向の一端から他端まで連続する複数の溝が設けられるため、鋳造時に堰の先端で溶湯が凝固物になる前に掻き出される。そのため、堰の先端で微小な凝固物の発生と脱落が生じることなく、鋳造体の表面へのデブリの付着を抑制できる。また、堰の先端と鋳造ロールとの間における溶湯のメニスカスの振動が抑制され、鋳造体の表面のリップルマークが生じ難くなる。さらに、ギャップ部において、溶湯の凝固層及び半凝固層が鋳造ロールに挟まれて変形する際に、ロール軸方向及びロール周方向の変形量を、割れが発生しない程度の特定の長さに制限できる。
【0079】
(2) 前記複数の溝と前記鋳造ロールのロール軸方向との傾斜角度は、45°未満である、(1)に記載の双ロール式鋳造装置。
この双ロール式鋳造装置によれば、溝の傾斜角度を小さくするほど、表面欠陥を生じにくくなり、高品質な鋳造体を安定して製造できる。
【0080】
(3) 前記複数の溝は、前記ロール外周面に前記ロール軸方向に沿って設けられている、(2)に記載の双ロール式鋳造装置。
この双ロール式鋳造装置によれば、ロール軸方向に沿った溝によって溶湯の掻き出しが均等に行われる。
【0081】
(4) 前記複数の溝は、前記ロール外周面に前記ロール軸方向から傾斜した網目状に設けられている、(2)に記載の双ロール式鋳造装置。
この双ロール式鋳造装置によれば、網目状の溝によって溶湯の掻き出しが均等に行える。
【0082】
(5) 前記複数の溝は、前記ロール外周面の周方向に沿って10mm以下のピッチで設けられている、(1)から(3)のいずれか一つに記載の双ロール式鋳造装置。
この双ロール式鋳造装置によれば、複数の溝による溶湯の掻き出し効果をより確実に得られる。
【0083】
(6) 前記軽金属材料は、アルミニウム又はアルミニウム合金、若しくはマグネシウム又はマグネシウウム合金である、(1)から(5)のいずれか一つに記載の双ロール式鋳造装置。
この双ロール式鋳造装置によれば、各種の軽金属材料を良好な表面性状にして鋳造できる。
【0084】
(7) 前記堰は、
前記鋳造ロールのロール軸方向と平行に且つ互いに対向して配置され、一端部が前記鋳造ロールの前記ロール外周面に当接又は接近して設けられた一対の主堰と、
前記主堰の前記ロール軸方向の両端に互いに対向して配置された一対の横堰と、
を有し、
前記溶湯溜まりは、前記一対の主堰と前記一対の横堰に囲まれる空間に形成される、(1)から(6)のいずれか一つに記載の双ロール式鋳造装置。
この双ロール式鋳造装置によれば、主堰と横堰により囲まれる溶湯溜まりに溶湯が貯留されることで、ロール軸方向に沿った幅全体で、溶湯の液位を鋳造ロールよりも上方にでき、ギャップ部における溶湯の静水圧を均等に高められる。
【0085】
(8) 前記ギャップ部は、前記ロール軸方向に沿って延びている、(1)から(7)のいずれか一つに記載の双ロール式鋳造装置。
この双ロール式鋳造装置によれば、ロール軸方向に延びるギャップ部の幅を有した板状の鋳造体を形成できる。
【0086】
(9) 前記ノズルは、前記一対の鋳造ロールの上方に配置され、前記一対の鋳造ロールの回転方向下流側が下方に向いている、(1)から(8)のいずれか一つに記載の双ロール式鋳造装置。
この双ロール式鋳造装置によれば、縦形の鋳造装置の構成となり、溶湯の注湯が容易に行える。
【0087】
(10) 軽金属材料の溶湯から板状の鋳造体を連続して製造する双ロール式鋳造方法であって、
前記鋳造体の厚さに対応する距離を隔てて並設された一対の鋳造ロールと、
前記一対の鋳造ロールから上方に向けて前記溶湯を貯留する溶湯溜まりを形成する堰を有するノズルと、
を備え、
前記鋳造ロールは、前記ロール外周面の全周にロール軸方向の一端から他端まで連続する直線状又は曲線状の複数の溝が設けられ、前記溝の深さは、0.04mm以上、且つ前記鋳造体の板厚の1/2以下であり、
前記一対の鋳造ロールを互いに逆方向に回転させて、前記溶湯溜まりに貯留された前記溶湯を、前記一対の鋳造ロールのロール外周面同士のギャップ部に供給する工程を有する、
双ロール式鋳造方法。
この双ロール式鋳造方法によれば、鋳造ロールのロール外周面にロール軸方向の一端から他端まで連続する複数の溝が設けられるため、鋳造時に堰の先端で溶湯が凝固物になる前に掻き出される。そのため、堰の先端で微小な凝固物の発生と脱落が生じることなく、鋳造体の表面へのデブリの付着を抑制できる。また、堰の先端と鋳造ロールとの間における溶湯のメニスカスの振動が抑制され、鋳造体の表面のリップルマークが生じ難くなる。さらに、ギャップ部において、溶湯の凝固層及び半凝固層が鋳造ロールに挟まれて変形する際に、ロール軸方向及びロール周方向の変形量を、割れが発生しない程度の特定の長さに制限できる。
【0088】
(11) 前記複数の溝と前記鋳造ロールのロール軸方向との傾斜角度は、45°未満である、(10)に記載の双ロール式鋳造方法。
この双ロール式鋳造方法によれば、溝の傾斜角度を小さくするほど、表面欠陥を生じにくくなり、高品質な鋳造体を安定して製造できる。
【0089】
(12) 前記複数の溝は、前記ロール外周面に前記ロール軸方向に沿って設けられている、(11)に記載の双ロール式鋳造方法。
この双ロール式鋳造方法によれば、ロール軸方向に沿った溝の凹凸によって溶湯の掻き出しが均等に行われる。
【0090】
(13) 前記複数の溝は、前記ロール外周面に前記ロール軸方向から傾斜した網目状である、(11)に記載の双ロール式鋳造方法。
この双ロール式鋳造方法によれば、網目状の溝の凹凸によって溶湯の掻き出しが均等に行える。
【0091】
(14) 前記複数の溝の前記ロール外周面における周方向ピッチは10mm以下であり、
前記鋳造ロールを10m/min以上、150m/min以下の周速度で回転させる、(10)から(13)のいずれか一つに記載の双ロール式鋳造方法。
この双ロール式鋳造方法によれば、メニスカスの振動周期よりも十分短い周期で複数の溝によって溶湯を掻き出すことができる。これにより、堰の先端に凝固物が発生する前に溶湯を送り出すことができ、デブリの発生を抑えられる。
【符号の説明】
【0092】
11A,11B 鋳造ロール
11a ロール外周面
13 ノズル
15 溶湯溜り
17 ギャップ部
21A,21B 主堰(堰)
21a 一端部
23A,23B 横堰(堰)
25 鋳造体
27,27A,27B,27C,27D,27E,27F,27G 溝
33 凝固層
35 半凝固層
37 低固相率部分
41 メニスカス
43 空隙
45 凝固物
100 双ロール式鋳造装置
M 溶湯
図1
図2
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図9B
図10
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図14B
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図20B
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図21B
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