(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125101
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】ドライバ回路
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20240906BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240906BHJP
G02F 1/133 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 623B
G09G3/20 623R
G09G3/20 642B
G02F1/133 505
G09G3/20 623V
G09G3/20 621F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033214
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白崎 聖
【テーマコード(参考)】
2H193
5C006
5C080
【Fターム(参考)】
2H193ZC23
5C006AC21
5C006AF50
5C006AF51
5C006AF52
5C006AF64
5C006BC12
5C006BC24
5C006BF04
5C006BF08
5C006BF14
5C006BF22
5C006BF24
5C006BF25
5C006BF34
5C006EA03
5C006FA20
5C006FA22
5C006FA26
5C080AA10
5C080BB06
5C080DD05
5C080JJ02
5C080JJ04
(57)【要約】
【課題】バイアス電流を一律に増加させてスルーレートを高くすることなく、複数のドライバ回路間のスルーレートのばらつきを一定の範囲内に抑制する。
【解決手段】バイアス電圧生成回路12は、出力アンプ11のバイアス電流を決定するためのバイアス電圧を生成して出力する。メモリ13は、出力アンプ11により出力される出力電圧のスルーレートが予め設定された目標範囲内となるように調整されたトリミングコードを記憶する。スルーレート調整回路20は、スルーレートの調整を行う調整モードでは、出荷検査装置60から入力されたトリミングコードに基づいて出力アンプ11のスルーレートを調整する。そして、スルーレート調整回路20は、通常動作モードでは、メモリ13に記憶されているトリミングコードに基づいて抵抗値を変化させることによりバイアス電圧生成回路12のバイアスレベルを変化させて、出力アンプ11のスルーレートを調整する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルを駆動するための出力信号を出力する出力アンプと、
前記出力アンプのバイアスレベルを設定するバイアス設定回路と、
前記出力アンプにより出力される出力信号のスルーレートが予め設定された目標範囲内となるように調整されたトリミングコードを記憶するメモリと、
通常動作モードにおいて、前記メモリに記憶されているトリミングコードに基づいて抵抗値を変化させることにより前記バイアス設定回路のバイアスレベルを変化させて、前記出力アンプのスルーレートを調整する調整回路と、
を備えたドライバ回路。
【請求項2】
前記調整回路は、スルーレートの調整を行う調整モードでは、外部から入力されたトリミングコードに基づいて前記出力アンプのスルーレートを調整する請求項1記載のドライバ回路。
【請求項3】
前記調整回路は、互いに抵抗値が異なり前記バイアス設定回路に一端が接続された複数の抵抗素子と、前記複数の抵抗素子の他端とグランドの間に接続された複数のスイッチ素子と、前記複数のスイッチ素子の各々のオン又はオフを制御するセレクタを備える請求項1又は2記載のドライバ回路。
【請求項4】
液晶表示パネルを駆動するための出力信号を出力する出力アンプと、
前記出力アンプのバイアスレベルを設定するバイアス設定回路と、
入力されたトリミングコードに基づいて抵抗値を変化させることにより前記バイアス設定回路のバイアスレベルを変化させて、前記出力アンプのスルーレートを調整する調整回路と、
調整モードにおいて前記調整回路に出力するトリミングコードを順次変化させて、前記出力アンプに入力信号が入力されてから予め設定された時間経過後の出力信号の電圧値が、予め設定された目標電圧となったトリミングコードを記憶して、通常動作モードでは、記憶したトリミングコードを前記調整回路に出力する自動設定回路と、
を備えたドライバ回路。
【請求項5】
前記自動設定回路は、前記出力アンプに入力信号が入力されてから予め設定された時間経過後の出力信号の電圧値と、予め設定された目標電圧の電圧値とを比較する比較器を備え、前記比較器の出力が2つの電圧値が一致したことを示す論理となった際のトリミングコードを記憶する請求項4記載のドライバ回路。
【請求項6】
前記自動設定回路は、液晶表示パネルを駆動するための出力信号における垂直帰線区間において調整モードとなって、記憶しているトリミングコードをスルーレートが予め設定された目標範囲内となるようなトリミングコードとなるように更新する請求項4又は5記載のドライバ回路。
【請求項7】
前記調整回路は、互いに抵抗値が異なり前記バイアス設定回路に一端が接続された複数の抵抗素子と、前記複数の抵抗素子の他端とグランドの間に接続された複数のスイッチ素子と、前記複数のスイッチ素子の各々のオン又はオフを制御するセレクタを備える請求項4又は5記載のドライバ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示用の液晶表示パネルの高解像度化に伴い、カスケード配置した複数のドライバICにより液晶表示パネルをブロック単位で分割して駆動することが行われる。
【0003】
そして、液晶表示パネルの書き込みスピードの高速化が求められるようになっており、液晶表示パネルに対する書き込み時間が短くなってきている。その結果、複数のドライバIC間において出力アンプのスルーレートのばらつきが大きいと、液晶表示パネルのブロック間において輝度差が発生してしまい表示品質が悪化してしまうという問題が発生する場合がある。
【0004】
ドライバICの出力アンプのスルーレートを高くする方法として、例えば、特許文献1には、バイアス電流を大きくすることによりスルーレートを高くする方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ドライバICの出力アンプのバイアス電流を大きくすると、ドライバICの消費電力が増加して発熱の問題等が発生する。そのため、複数のドライバICのバイアス電流を一律に増加させてスルーレートを高くしたのでは、数多くのドライバICを用いて液晶表示パネルを駆動することが難しくなってしまう。
【0007】
本発明の目的は、バイアス電流を一律に増加させてスルーレートを高くすることなく、複数のドライバ回路間のスルーレートのばらつきを一定の範囲内に抑制することが可能なドライバ回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のドライバ回路は、液晶表示パネルを駆動するための出力信号を出力する出力アンプと、
前記出力アンプのバイアスレベルを設定するバイアス設定回路と、
前記出力アンプにより出力される出力信号のスルーレートが予め設定された目標範囲内となるように調整されたトリミングコードを記憶するメモリと、
通常動作モードにおいて、前記メモリに記憶されているトリミングコードに基づいて抵抗値を変化させることにより前記バイアス設定回路のバイアスレベルを変化させて、前記出力アンプのスルーレートを調整する調整回路とを備えている。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の他のドライバ回路は、液晶表示パネルを駆動するための出力信号を出力する出力アンプと、
前記出力アンプのバイアスレベルを設定するバイアス設定回路と、
入力されたトリミングコードに基づいて抵抗値を変化させることにより前記バイアス設定回路のバイアスレベルを変化させて、前記出力アンプのスルーレートを調整する調整回路と、
調整モードにおいて前記調整回路に出力するトリミングコードを順次変化させて、前記出力アンプに入力信号が入力されてから予め設定された時間経過後の出力信号の電圧値が、予め設定された目標電圧となったトリミングコードを記憶して、通常動作モードでは、記憶したトリミングコードを前記調整回路に出力する自動設定回路とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バイアス電流を一律に増加させてスルーレートを高くすることなく、複数のドライバ回路間のスルーレートのばらつきを一定の範囲内に抑制することが可能なドライバ回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】カスケードに配置された5つのドライバIC111~115により、液晶表示パネル100をブロックに分割してそれぞれ駆動する様子を示す図である。
【
図2】書き込み期間が十分に長い場合に、ドライバICにより液晶表示パネルへの書き込みが行われる際の様子を説明するための図である。
【
図3】書き込み期間が短い場合に、ドライバICにより液晶表示パネルへの書き込みが行われる際の様子を説明するための図である。
【
図4】スルーレートの異なる2つのドライバIC111、112により液晶表示パネルへの書き込みが行われる際の様子を説明するための図である。
【
図5】複数のドライバIC111~115を用いて液晶表示パネル100をブロック毎に駆動する場合に、ブロック間において輝度差が発生してしまう様子を説明するための図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態のドライバIC10のブロック図である。
【
図7】スルーレート調整間の出力波形例を示す図である。
【
図8】
図7の入力電圧の立ち上がり時刻周辺の拡大図である。
【
図9】スルーレート調整後のドライバIC10の動作を説明するための図である。
【
図10】本発明の第2の実施形態のドライバIC10Aのブロック図である。
【
図11】
図10中のスルーレート自動設定回路30の構成を示すブロック図である。
【
図12】ドライバICが液晶表示パネルの表示駆動する際の1フレーム分の信号の構造を示す図である。
【
図13】スルーレート調整1が実行される様子を説明するための図である。
【
図14】スルーレート調整2が実行される様子を説明するための図である。
【
図15】スルーレート調整3が実行される様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
まず、本実施形態のドライバIC(ドライバ回路)について説明する前に、複数のドライバICを用いて液晶表示パネルを駆動する様子を
図1に示す。
【0014】
図1では、カスケードに配置された5つのドライバIC111~115により、液晶表示パネル100をブロックに分割してそれぞれ駆動する様子が示されている。
【0015】
このようなドライバICから液晶表示パネルに対する画像の書き込みを行う場合、書き込みを行うための書き込み期間は書き込みタイミング信号により制御されている。具体的には、書き込みタイミング信号がロウレベル(以下、Lレベルと略す。)である書き込み期間内でドライバICから液晶表示パネルへの書き込みを行う必要がある。そして、書き込み期間の終了時点におけるドライバICの出力電圧が液晶表示パネルに書き込まれることになる。
【0016】
ここで、書き込み期間が十分に長い場合には、
図2に示すように、ドライバICの出力電圧は書き込みを行いたいある目標値に収束するため、目標値とする電圧に基づいて液晶表示パネルへの書き込みが行われる。
【0017】
しかし、液晶表示パネルの書き込みスピードが高速化すると、この書き込み期間が短くなってしまう。そして、書き込み期間が短くなると、
図3に示すように、ドライバICの出力電圧が目標値に収束する前に書き込み期間が終了してしまう場合がある。その結果、目標値とする電圧とは異なる電圧に基づいて液晶表示パネルへの書き込みが行われてしまうことになる。
【0018】
そして、複数のドライバICのスルーレートは、製造ばらつき等に起因してそれぞれ異なる。そして、複数のドライバIC間のスルーレートのばらつきが大きくなると、液晶表示パネルに表示する画像に問題が発生する場合がある。
【0019】
例えば、
図4に示すように、ドライバIC111のスルーレートは高く、ドライバIC112のスルーレートは低い場合を用いて説明する。
【0020】
ドライバIC111のスルーレートとドライバIC112のスルーレートとが異なることにより、出力電圧の立ち上がりに差が生じ、出力電圧が目標値とする電圧に収束するまでの時間にも差が生じる。その結果、
図4に示すように書き込み期間が短いと、出力電圧の目標値が同じ場合でも、書き込み期間が終了した時点の電圧値はそれぞれ異なってしまう。
【0021】
その結果、
図5に示すように、複数のドライバIC111~115を用いて液晶表示パネル100をブロック毎に駆動する場合、全てのブロックの輝度を同一にするような表示を行おうとしても、ブロック間において輝度差が発生してしまい表示品質が悪化してしまうという問題が発生することになる。
【0022】
(第1の実施形態)
次に、本発明の第1の実施形態のドライバIC10のブロック図を
図6に示す。
【0023】
本実施形態のドライバIC10は、
図6に示されるように、液晶表示パネルを駆動するための出力信号を出力する出力アンプ11と、バイアス電圧生成回路12と、メモリ13と、スルーレート調整回路20とを備えている。
【0024】
バイアス電圧生成回路12は、出力アンプ11のバイアスレベルを設定するバイアス設定回路として機能する。具体的には、バイアス電圧生成回路12は、出力アンプ11のバイアス電流を決定するためのバイアス電圧を生成して出力する。出力アンプ11のバイアス電流は、バイアス電圧生成回路12からのバイアス電圧に基づいて決定される。
【0025】
メモリ13は、例えば、ヒューズ素子やEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)等の不揮発性の記憶素子により構成されている。そして、メモリ13は、出力アンプ11により出力される出力電圧のスルーレートが予め設定された目標範囲内となるように調整されたトリミングコードを記憶する。
【0026】
本実施形態では、ドライバIC10の出荷検査時に、出荷検査装置60によりドライバIC10のスルーレートを調整するものである。
【0027】
スルーレート調整回路20は、スルーレートの調整を行う調整モードでは、ドライバIC10の外部の出荷検査装置60から入力されたトリミングコードに基づいて出力アンプ11のスルーレートを調整する。
【0028】
なお、スルーレート調整回路20は、通常動作モードにおいては、メモリ13に記憶されているトリミングコードに基づいて抵抗値を変化させることによりバイアス電圧生成回路12のバイアス電圧を変化させて、出力アンプ11のスルーレートを調整する。
【0029】
そして、スルーレート調整回路20は、セレクタ21と、可変抵抗回路22とにより構成されている。
【0030】
可変抵抗回路22は、例えば、互いに抵抗値が異なりバイアス電圧生成回路12に一端が接続された複数の抵抗素子と、この複数の抵抗素子の他端とグランドの間に接続された複数のスイッチ素子とから構成されている。そして、可変抵抗回路22は、セレクタ21からの選択信号に基づいて、複数のスイッチ素子のいずれかがオンするように構成されている。
【0031】
セレクタ21は、可変抵抗回路22に出力する選択信号を切り替えることにより、可変抵抗回路22における複数のスイッチ素子の各々のオン又はオフを制御するよう構成されている。そして、セレクタ21は、調整モードの場合には、出荷検査装置60からのトリミングコードに基づいて、可変抵抗回路22に出力する選択信号を切り替えている。また、セレクタ21は、通常動作モードの場合には、メモリ13読み出したトリミングコードに基づいて、可変抵抗回路22に出力する選択信号を切り替えている。
【0032】
そして、可変抵抗回路22は、バイアス電圧生成回路12内のFETのドレイン端子とグランドとの間に接続されている。そのため、可変抵抗回路22の抵抗値が変化することによりバイアス電圧生成回路12により生成されるバイアス電圧も変化する。
【0033】
次に、ドライバIC10の出荷検査の際に出荷検査装置60によりドライバIC10のスルーレートを調整する際の動作について説明する。
【0034】
まず、出荷検査装置60は、
図7に示すような入力波形を出力アンプ11の入力電圧として入力する。すると、出力アンプ11は、
図7に示すように、出力アンプ11のスルーレートに応じて波形が変化した出力電圧が出力されることになる。
【0035】
この
図7の入力電圧の立ち上がり時刻周辺の拡大図を
図8に示す。
【0036】
図8(A)は、出力アンプ11の入力電圧の波形を示したものである。ここで、スルーレートを調整する際に目標とする出力電圧のターゲット波形を
図8(B)に示すものとしてスルーレート調整を行う。具体的には、入力電圧の立ち上がりから時間T経過後の電圧が、予め設定された範囲内、例えば、目標電圧の0.9倍から目標電圧の範囲内に収まるような波形をターゲット波形とする。
【0037】
ここで、出力アンプ11の出力電圧の波形が
図8(C)に示すような波形であったものとして説明する。
図8(C)に示す波形では、時間T経過後の電圧が、目標電圧の0.9倍から目標電圧の範囲内に収まっていない。そのため、出荷検査装置60は、セレクタ21に出力するトリミングコードをスルーレートが高くなるように変化させて、時間T経過後の電圧が目標電圧の0.9倍から目標電圧の範囲内に収まるようにスルーレート調整を行う。
【0038】
そして、このようなスルーレート調整が完了すると、出荷検査装置60は、スルーレートが目標の範囲内に収まった際のトリミングコードをメモリ13に書き込んで出荷検査を終了する。
【0039】
なお、出荷後のドライバIC10では、メモリ13に書き込まれたトリミングコードに基づいて、出力アンプ11のスルーレートが設定される。スルーレート調整後のドライバIC10の動作について
図9を参照して説明する。
【0040】
出荷後のドライバIC10では、
図9に示すように、セレクタ21は、メモリ13から読み出されたトリミングコードに基づいて可変抵抗回路22の切り替えを行う。その結果、出力アンプ11のスルーレートは、出荷検査時に調整された所定範囲のスルーレートとなる。
【0041】
このようにしてドライバICの出荷検査の際に各ドライバICのスルーレート調整をそれぞれ行うことにより、出荷される全てのドライバIC間のスルーレートのばらつきは一定の範囲内に抑制されることになる。
【0042】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態のドライバIC10Aのブロック図を
図10に示す。
【0043】
上記で説明した第1の実施形態のドライバIC10では、出荷検査時にスルーレートを所定の範囲内となるように調整するものであった。しかし、ドライバIC10を出荷後にスルーレートが変化した場合には、スルーレートが変化したままの状態となってしまう。
【0044】
そこで、本実施形態のドライバIC10Aでは、出荷後の通常動作状態においてもスルーレートの調整が行われるようにしたものである。
【0045】
本実施形態のドライバIC10Aは、
図10に示されるように、メモリ13がスルーレート自動設定回路30に置き換えられた構成となっている。
【0046】
スルーレート自動設定回路30は、調整モードにおいて、スルーレート調整回路20に出力するトリミングコードを順次変化させて、出力アンプ11に入力信号が入力されてから予め設定された時間経過後の出力信号の電圧値が、予め設定された目標電圧となったトリミングコードを記憶する。そして、スルーレート自動設定回路30は、通常動作モードでは、記憶したトリミングコードをスルーレート調整回路20に出力するような動作を行う。
【0047】
図10中のスルーレート自動設定回路30の構成を
図11のブロック図に示す。
【0048】
スルーレート自動設定回路30は、
図11に示されるように、コンパレータ(比較器)31と、カウンタ回路32と、トリミングコード生成回路33と、コードラッチ部34とを備えている。
【0049】
カウンタ回路32は、クロック信号CLKを入力すると、予め設定された期間経過後にスタンバイ信号STBを出力する。
【0050】
コンパレータ31は、出力アンプ11の出力電圧と目標電圧(ターゲット電圧)との比較を行っている。そして、コンパレータ31は、カウンタ回路32からのスタンバイ信号STBを入力した時点において、出力アンプ11の出力電圧と目標電圧とが一致すると、出力しているラッチ信号40の論理をHレベルからLレベルに変更する。つまり、コンパレータ31は、出力アンプ11に入力信号が入力されてから予め設定された時間経過後の出力信号の電圧値と、予め設定された目標電圧の電圧値とを比較するように構成されている。
【0051】
トリミングコード生成回路33は、スルーレートの調整を行う調整モードにおいて、トリミングコードを変化させて順次生成している。
【0052】
コードラッチ部34は、調整モードでは、トリミングコード生成回路33により生成されたトリミングコードをセレクタ21に出力し、ラッチ信号40がHレベルからLレベルになった際のトリミングコードをラッチする。
【0053】
つまり、コードラッチ部34は、コンパレータ31の出力であるラッチ信号40が2つの電圧値が一致したことを示す論理であるLレベルとなった際のトリミングコードをラッチして記憶する。そして、コードラッチ部34は、通常動作モードでは、ラッチしたトリミングコードをセレクタ21に出力する。
【0054】
なお、スルーレート自動設定回路30は、液晶表示パネルを駆動するための出力信号におけるVブランク期間(垂直帰線区間)において調整モードとなって、コードラッチ部34において記憶されているトリミングコードをスルーレートが予め設定された目標範囲内となるようなトリミングコードとなるように更新する。
【0055】
ドライバICが液晶表示パネルの表示駆動する際の1フレーム分の信号の構造を
図12に示す。1フレーム分の信号には、イニシャル期間、表示期間、Vブランク期間が存在する。
【0056】
スルーレート自動設定回路30は、複数ラインからなるVブランク期間において、ライン毎にスルーレート調整を行う。具体的には、スルーレート自動設定回路30は、1ライン毎にあるトリミングコードを変化させてスルーレート調整を行い、調整後のスルーレートが目標とした所定範囲内になるとその時のトリミングコードを新たにコードラッチ部34において保持するようにする。
【0057】
このようにしてVブランク期間において、スルーレート調整1、2、3、・・が順次実行される様子を
図13~
図15に示す。
【0058】
まず、
図13では、スルーレート調整1が実行される様子が示されている。このスルーレート調整1では、スタンバイ信号STBが出力された時点における出力アンプ11の出力電圧は目標電圧に達していないため、コンパレータ31から出力されるラッチ信号40はHレベルのままとなっている。
【0059】
そして、次に実行されるスルーレート調整2の様子を
図14に示す。このスルーレート調整2では、トリミングコードが変化することにより、変化後のスルーレートは、スルーレート調整1の場合よりも高くなっている。しかし、スタンバイ信号STBが出力された時点における出力アンプ11の出力電圧はまだ目標電圧に達していないため、コンパレータ31から出力されるラッチ信号40はHレベルのままとなっている。
【0060】
そして、次に実行されるスルーレート調整3の様子を
図15に示す。このスルーレート調整3では、トリミングコードが変化することにより、変化後のスルーレートは、スルーレート調整2の場合よりもさらに高くなっている。そのため、スタンバイ信号STBが出力された時点における出力アンプ11の出力電圧は目標電圧よりも大きくなっているため、コンパレータ31から出力されるラッチ信号40がHレベルからLレベルに変化している。
【0061】
その結果、スルーレート調整3の際のトリミングコードが新たにコードラッチ部34に保持されることになる。
【0062】
このように本実施形態のドライバIC10Aでは、通常動作時のVブランク期間においてスルーレート調整が定期的に行わられる。そのため、本実施形態のドライバIC10Aによれば、経年変化等により出力アンプ11の特性等が変化した場合でも、永続的にスルーレート調整が行われ、スルーレートは所定の範囲内に収まることになる。
【符号の説明】
【0063】
10 ドライバIC(ドライバ回路)
11 出力アンプ
12 バイアス電圧生成回路(バイアス設定回路)
13 メモリ
20 スルーレート調整回路
21 セレクタ
22 可変抵抗回路
30 スルーレート自動設定回路
31 コンパレータ(比較器)
32 カウンタ回路
33 トリミングコード生成回路
34 コードラッチ部
60 出荷検査装置