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特開2024-125104防振ボルト及び防振ボルトの製造方法
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  • 特開-防振ボルト及び防振ボルトの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125104
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】防振ボルト及び防振ボルトの製造方法
(51)【国際特許分類】
   F16B 33/06 20060101AFI20240906BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20240906BHJP
   F16F 15/08 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
F16B33/06 E
F16B35/00 Q
F16F15/08 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033221
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004385
【氏名又は名称】NOK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100120846
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 雅也
(72)【発明者】
【氏名】織奥 豊
【テーマコード(参考)】
3J048
【Fターム(参考)】
3J048AC03
3J048BA25
3J048EA34
(57)【要約】
【課題】振動の伝達を抑制することができる防振ボルトを提供する。
【解決手段】、防振ボルト1は、ゴム材料から形成されたゴム層10を備えている。ゴム層10は、少なくとも、ネジ山5が形成されているネジ部4及び座面6の一部に、取り付けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム材料から形成されたゴム層を備え、
前記ゴム層は、少なくとも、ネジ山が形成されているネジ部及び座面の一部に、取り付けられている、
防振ボルト。
【請求項2】
前記ゴム層は、少なくともネジ部に取り付けられている、
請求項1に記載の防振ボルト。
【請求項3】
前記ゴム層は、ネジ部及び座面に取り付けられている、
請求項2に記載の防振ボルト。
【請求項4】
前記ゴム層は、接着されて取り付けられており、
前記接着は加硫接着である、
請求項1に記載の防振ボルト。
【請求項5】
前記ゴム層は、膜状である、
請求項1に記載の防振ボルト。
【請求項6】
前記ゴム層の厚みは、10μm以上150μm以下である、
請求項5に記載の防振ボルト。
【請求項7】
前記ゴム層と、前記ゴム層が取り付けられている部分との間には、接着層が形成されており、
前記接着層は、前記ゴム層が加硫接着されて形成される部分である、
請求項4に記載の防振ボルト。
【請求項8】
ゴム材料から形成されたゴム層を備え、前記ゴム層は防振ボルトのゴム層部に取り付けられており、前記ゴム層部は、少なくとも、前記防振ボルトのネジ山が形成されているネジ部及び座面の一部である、防振ボルトの製造方法であって、
前記ゴム層部に加硫接着剤を塗布し、
前記加硫接着剤が塗布された部分に、前記ゴム材料を塗布し、
前記ゴム材料及び前記加硫接着剤を加熱して、前記ゴム材料を加硫して前記ゴム層を形成し、前記ゴム層を前記ゴム層部に加硫接着させる、
防振ボルトの製造方法。
【請求項9】
前記ゴム層が膜状となるように、前記加硫接着剤が塗布された部分に、前記ゴム材料を塗布する、
請求項8に記載の防振ボルトの製造方法。
【請求項10】
前記ゴム層の厚みが10μm以上150μm以下となるように、前記加硫接着剤が塗布された部分に、前記ゴム材料を所定の厚さに塗布する、
請求項9に記載の防振ボルトの製造方法。
【請求項11】
前記ゴム材料を溶剤に溶解させたゴムのりを、前記加硫接着剤が塗布された部分に塗布することにより、前記ゴム材料の塗布を行う、
請求項8に記載の防振ボルトの製造方法。
【請求項12】
前記ゴム材料及び前記加硫接着剤の加熱の際に加圧する、
請求項8に記載の防振ボルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防振ボルト及び防振ボルトの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品と部品とを接続したり、部品を固定したりする締結のためにボルトが使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08-284929号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
振動を発生する部品に他の部品がボルトによって締結されている場合、振動を発生する部品から締結されている部品に、ボルトを介して振動が伝達されることがある。振動や振動に基づく異音については、低減や除去が求められることがあり、この場合、ボルトに対して振動の伝達の抑制が求められる。
【0005】
本発明の課題は、振動の伝達を抑制することができる防振ボルト及び防振ボルトの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る防振ボルトは、ゴム材料から形成されたゴム層を備え、前記ゴム層は、少なくとも、ネジ山が形成されているネジ部及び座面の一部に、取り付けられている。
【0007】
本発明の一態様に係る防振ボルトにおいて、前記ゴム層は、少なくともネジ部に取り付けられている。
【0008】
本発明の一態様に係る防振ボルトにおいて、前記ゴム層は、ネジ部及び座面に取り付けられている。
【0009】
本発明の一態様に係る防振ボルトにおいて、前記ゴム層は、接着されて取り付けられており、前記接着は加硫接着である。
【0010】
本発明の一態様に係る防振ボルトにおいて、前記ゴム層は、膜状である。
【0011】
本発明の一態様に係る防振ボルトにおいて、前記ゴム層の厚みは、10μm以上150μm以下である。
【0012】
本発明の一態様に係る防振ボルトにおいて、前記ゴム層と、前記ゴム層が取り付けられている部分との間には、接着層が形成されており、前記接着層は、前記ゴム層が加硫接着されて形成される部分である。
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る防振ボルトの製造方法は、ゴム材料から形成されたゴム層を備え、前記ゴム層は防振ボルトのゴム層部に取り付けられており、前記ゴム層部は、少なくとも、前記防振ボルトのネジ山が形成されているネジ部及び座面の一部である、防振ボルトの製造方法であって、前記ゴム層部に加硫接着剤を塗布し、前記加硫接着剤が塗布された部分に、前記ゴム材料を塗布し、前記ゴム材料及び前記加硫接着剤を加熱して、前記ゴム材料を加硫して前記ゴム層を形成し、前記ゴム層を前記ゴム層部に加硫接着させる。
【0014】
本発明の一態様に係る防振ボルトの製造方法においては、前記ゴム層が膜状となるように、前記加硫接着剤が塗布された部分に、前記ゴム材料を塗布する。
【0015】
本発明の一態様に係る防振ボルトの製造方法においては、前記ゴム層の厚みが10μm以上150μm以下となるように、前記加硫接着剤が塗布された部分に、前記ゴム材料を所定の厚さに塗布する。
【0016】
本発明の一態様に係る防振ボルトの製造方法においては、前記ゴム材料を溶剤に溶解させたゴムのりを、前記加硫接着剤が塗布された部分に塗布することにより、前記ゴム材料の塗布を行う。
【0017】
本発明の一態様に係る防振ボルトの製造方法においては、前記ゴム材料及び前記加硫接着剤の加熱の際に加圧する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、振動の伝達を抑制することができる防振ボルト及び防振ボルトの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る防振ボルトの斜視図である。
図2図1に示される防振ボルトの側面図である。
図3図1に示される防振ボルトの断面図である。
図4図3に示される防振ボルトの一部を拡大して示す部分拡大断面図である。
図5】接着剤が塗布された図1に示される防振ボルトの一部を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る防振ボルト1の斜視図であり、図2は、防振ボルト1の側面図であり、図3は、防振ボルト1の断面図である。なお、図3は、防振ボルト1の軸線xを含む平面による断面を示す断面図である。図1~3に示されるように、防振ボルト1は、ゴム材料から形成されたゴム層10を備えている。ゴム層10は、少なくとも、ネジ山5が形成されているネジ部4及び座面6の一部に、取り付けられている。以下、防振ボルト1の構成について具体的に説明する。
【0022】
図1~3に示されるように、防振ボルト1は、軸線xを中心軸又は略中心軸とし、軸線xに沿って延びている。防振ボルト1は、頭部2と、軸部3とを有している。軸部3には、ネジ山5が形成されている部分であるネジ部4と、内筒部7とが形成されている。内筒部7は、頭部2に接続する軸部3の部分である。頭部2は、軸部3よりも径方向に突出しており、軸部3の側に面する環状の面である座面6を形成している。なお、径方向は、軸線xに直交する方向である。
【0023】
ゴム層10は、例えば、少なくともネジ部4に取り付けられている。ゴム層10は、例えば、ネジ部4のみに取り付けられており、具体的には例えば、ネジ部4の全体又は一部に取り付けられている。また、ゴム層10は、例えば、ネジ部4及び座面6に取り付けられている。具体的には例えば、ゴム層10は、ネジ部4の全体又は一部に取り付けられており、また、座面6の全体又は一部に取り付けられている。また、ゴム層10は、例えば、座面6のみに取り付けられており、具体的には例えば、座面6の全体又は一部に取り付けられている。図示の例においては、ゴム層部10は、ネジ部4全体及び座面6全体に取り付けられている。また、ゴム層部10は、内筒部7にも取り付けられている。なお、軸部3の先端面3aにゴム層10は取り付けられていなくてもよい。
【0024】
ゴム層10は、上述のようなゴム層10が取り付けられる防振ボルト1の部分(以下、ゴム層部ともいう。)に、例えば、接着されて取り付けられている。ゴム層10の接着は、例えば、加硫接着である。図3に示されるように、ゴム層10は、例えば、膜状である。ゴム層10の厚みは、例えば、10μm以上150μm以下である。また、例えば図4に示されるように、ゴム層10とゴム層部との間には、接着層11が形成されている。接着層11は、ゴム層10を加硫接着するための加硫接着剤によって形成される膜状の部分である。ゴム層10がゴム層部に加硫接着されて、接着層11は形成される。
【0025】
ゴム層10を形成するゴム材料は、主成分としてゴム(ゴムポリマー)を含んでいる。ゴムは、例えば、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(H-NBR)、アクリルゴム(ACM)、フッ素ゴム(FKM)等の合成ゴムである。ゴムは他のゴムであってもよい。ゴム材料のゴムは、防振ボルト1の用途に応じて適宜選択される。ゴム材料は、従来公知のゴム材料であってよい。ゴム材料には、種々の添加剤が含められていてもよい。ゴム材料には、例えば、カーボンブラックが含まれている。また、ゴム材料には、例えば、必要に応じて加硫剤や加硫促進剤、各種助剤及び充填剤等が含まれていてもよい。助剤としては、例えば、可塑剤、酸化亜鉛等の受酸剤、ステアリン酸等の加工助剤、老化防止剤及びワックス等のゴム工業で一般的に用いられている各助剤がある。また、ゴム材料は、ゴム及び他の添加剤が溶媒に溶解されたゴムのりであってもよい。この場合、ゴムは、溶剤に溶けるゴムである。
【0026】
ゴム層10を加硫接着するための加硫接着剤には、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂及びシラン等の一般に市販されている接着剤が用いられる。これらの接着剤は、防振ボルト1の用途に応じて適宜選択することができる。加硫接着剤は、例えば、有機溶剤に溶解させた溶液として用いられる。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類等が用いられる。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
ゴム層10が取り付けられるネジ部4及び座面6には、下地処理(表面処理)がなされていてもよい。下地処理には、特に制限はなく、公知の下地処理を用いることができる。下地処理には、例えば、リン酸亜鉛処理、リン酸鉄処理等の化成処理剤を用いた化成処理法、及び電気亜鉛めっき、溶融亜鉛めっき等のめっき法がある。化成処理剤としては、例えば、シリコーン化合物、チタン化合物及びジルコニウム化合物等を含有する有機系化成処理剤等が挙げられる。また、化成処理剤としては、環境汚染を防ぐ観点から、クロムを実質的に含まないクロムフリーの化成処理剤が好ましい。なお、下地処理に用いられる下地処理剤は、上述の物に限られない。
【0028】
ゴム層10には、図5に示されるように、接着剤が塗布されて接着剤層12が形成されていてもよい。接着剤層12は、ネジ部4におけるゴム層10にのみ形成されていてもよく、また、ネジ部4におけるゴム層10の一部にのみ形成されていてもよい。また、接着剤層12は、座面6におけるゴム層10にのみ形成されていてもよく、また、座面6におけるゴム層10の一部にのみ形成されていてもよい。また、接着剤層12は、ネジ部4におけるゴム層10の全体又は一部に形成されており、また、座面6におけるゴム層10の全体又は一部に形成せれていてもよい。この接着剤層12は、後述するように、防振ボルト1の緩みを抑制することができる。接着剤層12を形成する接着剤は、例えばフェノール系樹脂接着剤や塩化ゴム系接着剤である。なお、図5において、接着層11の図示は省略されている。
【0029】
次いで、本発明の実施形態に係る防振ボルト1の製造方法について説明する。
【0030】
防振ボルト1の製造方法においては、ゴム層部に加硫接着剤を塗布する。次いで、加硫接着剤が塗布された部分に、ゴム材料を塗布する。そして、ゴム材料及び加硫接着剤を加熱して、ゴム材料を加硫してゴム層10を形成し、ゴム層10をゴム層部に加硫接着させる。なお、ゴム層部は、上述のように、ゴム層10が取り付けられる防振ボルト1の部分であり、少なくとも、防振ボルト1のネジ部4及び座面6の一部である。上述のように、図示の例の防振ボルト1においては、ゴム層10は、ネジ部4の全体及び座面6の全体に取り付けられており、また、内筒部7全体にも取り付けられている。このため、ゴム層部は、ネジ部4の全体、座面6の全体及び内筒部7の全体である。以下、防振ボルト1の製造方法における工程について具体的に説明する。
【0031】
防振ボルト1の製造方法においては、ゴム層10が取り付けられる防振ボルト1のゴム層部に、上述の下地処理がなされる。下地処理において、下地処理剤は、防振ボルト1のゴム層部に、例えば、浸漬、噴霧、はけ刷り、ロールコート等の方法によって、所定の塗布量で塗布される。そして、塗布された下地処理剤は、所定の条件で乾燥された後、所定の条件で焼付け処理される。なお、防振ボルト1の製造方法において、防振ボルト1のゴム層部に、上述の下地処理がなされなくてもよい。
【0032】
次いで、下地処理がなされた防振ボルト1のゴム層部に、上述のような加硫接着剤が塗布される。加硫接着剤は、例えば、下地処理と同様の塗布方法により、所定の塗布量でゴム層部に塗布される。そして、塗布された加硫接着剤は、所定の条件で乾燥された後、所定の条件で焼付処理される。このように、下地処理がなされたゴム層部に加硫接着剤の層である加硫接着剤層が形成される。なお、上述のように、防振ボルト1のゴム層部に下地処理がなされなくてもよく、この場合、加硫接着剤層は、下地処理がなされていないゴム層部に形成される。
【0033】
次いで、加硫接着剤層上に、上述のようなゴム材料が塗布される。塗布されるゴム材料は、上述のようなゴム材料の各成分が配合された配合物を混錬することにより作られる。混錬は、例えば、インタミックス、ニーダ、バンバリーミキサ等の混練機又はオープンロールによってなされる。ゴム材料の塗布は、例えば、ゴム材料を溶剤に溶解させて作られたゴムのりを、防振ボルト1の加硫接着剤層上に塗布することにより行う。ゴム材を溶解させる溶剤は、有機溶剤である。有機溶剤が、ゴムのりの粘度を所望の粘度に調整できるものであれば、溶剤の量を調整することにより、ゴムのりの粘度を調整することができる。有機溶剤は、例えば、メチルエチルケトン、トルエン及び酢酸エチル等である。これらの有機溶剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0034】
ゴムのりは、防振ボルト1に形成されるゴム層10が膜状となるように、加硫接着剤層の上に塗布される。例えば、ゴム層10の厚みが10μm以上150μm以下となるように、加硫接着剤層上に、ゴムのりが所定の厚さで塗布される。ゴムのりの粘度は、例えば、形成されるゴム層10の厚さが所望の厚さとなるような所定の厚さで、加硫接着剤層上にゴムのりを塗布できるように、調整されている。このように、ゴム層10の厚みを所望の値にする点において、粘度を調整できるゴムのりは好ましい。
【0035】
ゴムのりの加硫接着剤層への塗布方法は、加硫接着剤層へゴム材料を塗布できるものであればよい。ゴムのりの塗布方法は、例えば、スプレー法、ディッピング法、ロールコート法、ディスペンサー法等がある。なお、ゴム材料は、溶剤に溶解されてゴムのりとされることなく、上述のゴムのりの塗布と同様にして、加硫接着剤層上に塗布されてもよい。
【0036】
次いで、上述のようにして塗布されたゴムのりを所定の条件で乾燥し、有機溶剤を揮発させる。ゴムのりの乾燥は、例えば、室温から約100℃の間の温度で所定時間行われる。次いで、ゴム材料を所定の条件で加熱して、ゴム材料を加硫し、ゴム層10を形成する。この際、加硫接着層も加熱されて、ゴム層10がゴム層部に加硫接着され、ゴム層10とゴム層部との間に接着層11が形成される。加硫のための加熱温度は、例えば、約150~230℃である。加硫のための加熱の際に、必要に応じてゴム材料を加圧してもよい。
【0037】
このようにして、防振ボルト1の製造方法によって、図1~4に示されるような、ネジ部4、座面6及び内筒部7にゴム層10が形成された、また、ネジ部4、座面6及び内筒部7とゴム層10との間に接着層11が形成された防振ボルト1が作られる。ゴム層10の厚さは、所望の厚さ又は略所望の厚さに一様又は略一様となっている。
【0038】
図5に示されるように、接着剤層12が形成される場合は、形成されたゴム層10の上に、接着剤が塗布されて、接着剤層12が形成される。接着剤層12を形成するための接着剤の塗布方法は、この接着剤を塗布できるものであればよい。上述のように、接着剤層12を形成するために、接着剤は、ネジ部4におけるゴム層10にのみ塗布されてもよく、また、ネジ部4におけるゴム層10の一部にのみ塗布されてもよい。また、接着剤層12を形成するための接着剤は、座面6におけるゴム層10にのみ塗布されてもよく、また、座面6におけるゴム層10の一部にのみ塗布されてもよい。また、接着剤層12を形成するための接着剤は、ネジ部4におけるゴム層10の全体又は一部に塗布され、また、座面6におけるゴム層10の全体又は一部に塗布せれてもよい。
【0039】
防振ボルト1は、上述のような構成を有しており、ネジ部4及び座面6にゴム層10が形成されている。このため、防振ボルト1が、振動を発生する部品と他の部品との締結に用いられると、ネジ部4は対応する雌ネジ部にゴム層10を介して接触し、また、座面6は、対応する接触面にゴム層10を介して接触する。このように、締結される部材と防振ボルト1との間にゴム層10が介在する。このため、振動を発生する部品から他の部品に伝達される振動は、この振動の伝達経路の途中で振動伝達率の低いゴム層10に伝達され、ゴム層10において振動が減衰される。これにより、振動を発生する部品から他の部品に伝達される振動が低減される。このように、防振ボルト1によれば、防振ボルト1によって締結される部品間において振動が伝わりにくくすることができる。これにより、振動それ自体や、騒音等の振動に基づく異音を、低減又は除去することができる。
【0040】
また、ゴム層10の振動伝達率は低いため、防振ボルト1の振動を抑制することができる。このため、防振ボルト1の緩みを抑制することができる。また、ゴム層10によって、防振ボルト1が係合する雌ネジ部に対する防振ボルト1の摩擦係数を増加させることができ、これによっても、防振ボルト1の緩みを抑制することができる。また、ゴム層10に、図5に示されるように、接着剤層12が形成されている場合、防振ボルト1は、防振ボルト1によって締結される部材に、接着剤層12によって接着される。これにより、防振ボルト1の緩みトルクの初期値が上昇する。このように、接着剤層12によって、防振ボルト1の緩みをより抑制することができる。
【0041】
上述のように、本発明の実施形態に係る防振ボルト1及び防振ボルト1の製造方法よれば、締結される部品間の振動の伝達を抑制することができる。
【0042】
以上、上記実施形態を通じて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に様々な変更又は改良を加えることができることが当業者には明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0043】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、上述の実施形態は、本発明が利用される利用対象を限定するものではなく、本発明はあらゆるものをその利用対象として含み得る。上記実施形態が備える各構成要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。例えば、本発明は、製造上の公差等の実施において発生する差を含むものである。また、技術的に矛盾しない範囲において、異なる実施形態で示した構成要素同士を部分的に置換し又は組み合わせることができる。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 防振ボルト、2 頭部、3 軸部、3a 先端面、4 ネジ部、5 ネジ山、6 座面、7 内筒部、10 ゴム層、11 接着層、12 接着剤層、x 軸線
図1
図2
図3
図4
図5