(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125116
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】バスバー、電池、及びバスバーの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 50/503 20210101AFI20240906BHJP
H01M 50/505 20210101ALI20240906BHJP
【FI】
H01M50/503
H01M50/505
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033239
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 達也
(72)【発明者】
【氏名】石黒 博士
【テーマコード(参考)】
5H043
【Fターム(参考)】
5H043AA02
5H043AA19
5H043CA05
5H043FA04
5H043JA03F
5H043JA06F
(57)【要約】
【課題】製造上の歩留まりを向上させ、かつ、振動吸収性能に優れたバスバーを提供する。
【解決手段】バスバー30は、外部端子22間を電気的に接続するバスバー30であって、外部端子22の並び方向Kに延在する基部31と、基部31の並び方向Kの一端部が、並び方向Kに直交した方向に折り返されている第1折返部T1と、第1折返部T1から、並び方向Kに直交する方向に、基部31から突出して設けられ、一方の外部端子22に接続される第1舌部32と、基部31の並び方向Kの他端部が、並び方向Kに直交した方向に折り返されている第2折返部T2と、第2折返部T2から、並び方向Kに直交する方向に、基部31から突出して設けられ、他方の外部端子22に接続される第2舌部34と、を備え、展開された形状が矩形の板状となっている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子間を電気的に接続するバスバーであって、
前記端子の並び方向に延在する基部と、
前記基部の前記並び方向の一端部が、前記並び方向に直交した方向に折り返されている第1折返部と、
前記第1折返部から、前記並び方向に直交する方向に、前記基部から突出して設けられ、一方の前記端子に接続される第1舌部と、
前記基部の前記並び方向の他端部が、前記並び方向に直交した方向に折り返されている第2折返部と、
前記第2折返部から、前記並び方向に直交する方向に、前記基部から突出して設けられ、他方の前記端子に接続される第2舌部と、を備え、
展開された形状が矩形の板状となっているバスバー。
【請求項2】
前記第1折返部には、前記基部の板厚方向に起立し、前記基部を正面から見て、前記並び方向に対して傾斜した第1起立部を備え、
前記第2折返部には、前記基部の板厚方向に起立し、前記基部を正面から見て、前記並び方向に対して傾斜した第2起立部を備えている
請求項1に記載のバスバー。
【請求項3】
前記基部は、正面から見て、略三角形又は略台形に形成されている
請求項1に記載のバスバー。
【請求項4】
前記基部には、前記並び方向に折り曲げられた折曲がり部が形成されている
請求項1に記載のバスバー。
【請求項5】
前記基部には、前記並び方向に垂直な方向に延びる溝部が形成されている
請求項1に記載のバスバー。
【請求項6】
前記第1舌部には、前記第1舌部の板厚方向の段差を形成する第1段差部を備え、
前記第2舌部には、前記第2舌部の板厚方向の段差を形成する第2段差部を備えている
請求項1に記載のバスバー。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のバスバー
を備える電池。
【請求項8】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のバスバーの製造方法であって、
前記バスバーは、矩形の平板を折り曲げる折曲加工によって形成される
バスバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバー、電池、及びバスバーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池は、所定方向に沿って配列された複数の単電池において、隣接して配置された単電池の端子間をバスバーによって電気的に接続することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、第1取付面と第2取付面とがXY面に平行に配置され、第1立ち上がり面と第2立ち上がり面とがYZ面に平行または傾斜して配置され、つなぎ面がXZ面に平行または傾斜して配置されたバスバーが開示されている。これにより、三次元的に異なる方向に変形すること可能とし、いずれの方向からの負荷に対しても応力緩和の効果を奏する。
【0004】
ところで、バスバーでは、製造上の歩留まりを向上させ、かつ、振動吸収性能に優れていることが好ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事実を考慮し、製造上の歩留まりを向上させ、かつ、振動吸収性能に優れたバスバーを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様のバスバーは、端子間を電気的に接続するバスバーであって、前記端子の並び方向に延在する基部と、前記基部の前記並び方向の一端部が、前記並び方向に直交した方向に折り返されている第1折返部と、前記第1折返部から、前記並び方向に直交する方向に、前記基部から突出して設けられ、一方の前記端子に接続される第1舌部と、前記基部の前記並び方向の他端部が、前記並び方向に直交した方向に折り返されている第2折返部と、前記第2折返部から、前記並び方向に直交する方向に、前記基部から突出して設けられ、他方の前記端子に接続される第2舌部と、を備え、展開された形状が矩形の板状となっている。
【0008】
本発明の第2態様のバスバーでは、本発明の第1態様のバスバーにおいて、前記第1折返部には、前記基部の板厚方向に起立し、前記基部を正面から見て、前記並び方向に対して傾斜した第1起立部を備え、前記第2折返部には、前記基部の板厚方向に起立し、前記基部を正面から見て、前記並び方向に対して傾斜した第2起立部を備えている。
【0009】
本発明の第3態様のバスバーでは、本発明の第1態様又は第2態様のバスバーにおいて、前記基部は、正面から見て、略三角形又は略台形に形成されている。
【0010】
本発明の第4態様のバスバーでは、本発明の第1態様から第3態様のいずれか1つのバスバーにおいて、前記基部には、前記並び方向に折り曲げられた折曲がり部が形成されている。
【0011】
本発明の第5態様のバスバーでは、本発明の第1態様から第4態様のいずれか1つのバスバーにおいて、前記基部には、前記並び方向に垂直な方向に延びる溝部が形成されている。
【0012】
本発明の第6態様のバスバーでは、本発明の第1態様から第5態様のいずれか1つのバスバーにおいて、前記第1舌部には、前記第1舌部の板厚方向の段差を形成する第1段差部を備え、前記第2舌部には、前記第2舌部の板厚方向の段差を形成する第2段差部を備えている。
【0013】
本発明の第7態様の電池では、本発明の第1態様から第6態様のいずれか1つのバスバーを備える。
【0014】
本発明の第8態様のバスバーの製造方法では、本発明の第1態様から第6態様のいずれか1つのバスバーの製造方法であって、前記バスバーは、矩形の平板を折り曲げる折曲加工によって形成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1態様のバスバーでは、第1舌部と第2舌部との間に、並び方向の荷重が作用した際に、第1折返部及び第2折返部が変形することで、並び方向の荷重が分散される。また、第1舌部と第2舌部との間に、前後方向の荷重が作用した際に、第1折返部及び第2折返部が変形することで、前後方向の荷重が分散される。さらに、第1舌部と第2舌部との間に、上下方向の荷重が作用した際に、第1折返部及び第2折返部が変形することで、上下方向の荷重が分散される。その結果、並び方向、前後方向、及び上下方向の振動吸収することができる。
【0016】
また、展開された形状が矩形の板状となっていることで、プレス加工における打ち抜きの配列が効率よくされる。そのため、バスバーの製造上の部留まりを向上させることができる。その結果、製造上の歩留まりを向上させ、かつ、振動吸収性能に優れたバスバーとすることができる。
【0017】
本発明の第2態様のバスバーでは、第1舌部と第2舌部との間に、並び方向の荷重が作用した際に、第1起立部と、基部及び第1舌部との間、並びに、第2起立部と、基部及び第2舌部との間で変形することで、並び方向の荷重が分散される。また、第1舌部と第2舌部との間に、前後方向の荷重が作用した際に、第1起立部と、基部及び第1舌部との間、並びに、第2起立部と、基部及び第2舌部との間で変形することで、前後方向の荷重が分散される。さらに、第1舌部と第2舌部との間に、上下方向の荷重が作用した際に、第1起立部と、基部及び第1舌部との間、並びに、第2起立部と、基部及び第2舌部との間で変形することで、上下方向の荷重が分散される。その結果、並び方向、前後方向、及び上下方向の振動吸収することができる。
【0018】
本発明の第3態様のバスバーでは、基部は、正面から見て、略三角形又は略台形に形成されていることで、基部が矩形に形成されている場合と比較して、基部のサイズが小さくされる。そのため、バスバーを小型化して、重量低減を図ることができる。
【0019】
本発明の第4態様のバスバーでは、基部には、並び方向に折り曲げられた折曲がり部が形成されていることで、第1舌部と第2舌部との間に、並び方向の荷重が作用した際に、第1折返部及び第2折返部の変形に加えて、折曲がり部が変形し、並び方向の荷重が分散される。また、第1舌部と第2舌部との間に、上下方向の荷重が作用した際に、第1折返部及び第2折返部の変形に加えて、折曲がり部が変形し、上下方向の荷重が分散される。そのため、簡易な構成で、並び方向、前後方向、及び上下方向の振動をより吸収することができる。
【0020】
本発明の第5態様のバスバーでは、基部には、並び方向に垂直な方向に延びる溝部が形成されていることで、第1舌部と第2舌部との間に、並び方向の荷重が作用した際に、第1折返部及び第2折返部の変形に加えて、溝部が変形することで、並び方向の荷重が分散される。また、第1舌部と第2舌部との間に、上下方向の荷重が作用した際に、第1折返部及び第2折返部の変形に加えて、溝部が変形することで、上下方向の荷重が分散される。そのため、簡易な構成で、並び方向、前後方向、及び上下方向の振動をより吸収することができる。
【0021】
本発明の第6態様のバスバーでは、第1舌部は、第1段差部を備え、第2舌部は、第2段差部を備えていることで、一方の端子と他方の端子との間に、上下方向の差(高さ方向の差)がある場合に、第1段差部と第2段差部とが弾性変形する。そのため、第1舌部及び第2舌部が、端子に隙間なく接触される。その結果、第1舌部及び第2舌部が端子に隙間なく接触して取り付けられ、導通性を向上させることができる。
【0022】
本発明の第7態様の電池では、製造上の歩留まりを向上させ、かつ、振動吸収性能に優れたバスバーを備えた電池とすることができる。
【0023】
本発明の第8態様のバスバーの製造方法では、バスバーは、矩形の平板を折り曲げる折曲加工によって形成されることで、簡易な方法で、製造上の歩留まりを向上させ、かつ、振動吸収性能に優れたバスバーを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態に係る組電池を模式的に示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る組電池のバスバー付近を示す断面図であり、
図1のA-A断面を示している。
【
図3】第1実施形態に係るバスバーを示す斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係るバスバーの製造方法を説明する図である。
【
図5】第1実施形態に係るバスバーに対して並び方向に荷重が加わった場合を説明する図であり、
図5(A)は、並び方向外側に荷重が加わった状態を示し、
図5(B)は、並び方向内側に荷重が加わった状態を示している。
【
図6】第1実施形態に係るバスバーに対して前後方向に荷重が加わった場合を説明する図であり、
図6(A)及び
図6(B)は、第1舌部と第2舌部とが互いに離れる方向に荷重が加わった状態を示している。
【
図7】第1実施形態に係るバスバーに対して上下方向に荷重が加わった場合を説明する図であり、
図7(A)及び
図7(B)は、第1舌部と第2舌部とが互いに離れる方向に荷重が加わった状態を示している。
【
図8】第2実施形態に係るバスバーを示す図であり、
図8(A)は、斜視図であり、
図8(B)は、
図8(A)のB-B断面を示す断面図である。
【
図9】第3実施形態に係るバスバーを示す斜視図である。
【
図10】第4実施形態に係るバスバーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1実施形態〕
以下、第1実施形態に係るバスバーについて、図面を参照して説明する。第1実施形態に係るバスバー30は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車載用電源として使用される電池としての組電池10を構成する複数の電池セル(単電池)20の端子間を接続する例を説明する。
【0026】
なお、各図において、矢印Gは、電池セル20の長手方向Gを示し、矢印Jは、電池セル20の幅方向Jを示し、矢印Hは、電池セル20の上下方向Hを示している。また、矢印Dは、バスバー30の前後方向Dを示し、矢印Eは、バスバー30の幅方向Eを示し、矢印Fは、バスバー30の上下方向Fを示している。なお、バスバー30の幅方向E及び電池セル20の幅方向Jは、外部端子22の並び方向Kと一致している。
【0027】
[組電池10の構成]
図1に示すように、組電池10は、複数の電池セル20と、バスバー30と、を備えている
【0028】
(電池セル20)
電池セル20は、内部に収容空間を有する筐体21と、端子としての外部端子22と、を備えている。筐体21は、幅方向Jを厚さ方向とし、長手方向Gに延在した矩形の板状に形成されている。
【0029】
筐体21の内部には、電極体(図示せず)と、電解液(図示せず)と、が密閉して収容されている。
【0030】
外部端子22は、筐体21の上部に、外部に露出して設けられている。外部端子22には、長手方向Gの一端側に、負極外部端子23又は正極外部端子24がが設けられ、長手方向Gの他端側に、負極外部端子23又は正極外部端子24が設けられている。外部端子22は、上下方向Hを板厚方向とした矩形の板状に形成されている。外部端子22は、筐体21の内部において、電極体が備える集電体と電気的に接続されている。
【0031】
複数の電池セル20は、筐体21の幅方向Jの幅広面が相互に対向するように、幅方向Jに一列に並んで配置されている。電池セル20は、負極外部端子23と正極外部端子24が幅方向Jに沿って交互に並ぶように配置されている。複数の電池セル20は、交互に反転させた状態で、幅方向Jに並ぶように配置されている。外部端子22が幅方向Jに並ぶ方向を並び方向Kとする。
【0032】
(バスバー30)
バスバー30は、隣接して配置された各電池セル20の、並び方向Kの外部端子22間を、電気的に接続するように配置されている。バスバー30は、隣接して配置された電池セル20間を跨ぐように、各外部端子22に接続されている。これにより、各々の電池セル20が電気的に接続されて組電池10が構築される。
【0033】
[バスバー30の詳細構成]
バスバー30は、例えば、アルミニウムや銅等の導電性材料によって構成されている。
【0034】
図2及び
図3に示すように、バスバー30は、長尺矩形の板材を折り曲げて形成されている。言い換えると、バスバー30は、展開された形状が、長尺矩形の板状になっている。
【0035】
バスバー30は、基部31と、第1舌部32と、第1起立部33と、第2舌部34と、第2起立部35と、を備えている。
【0036】
基部31は、上下方向Fを板厚方向として、並び方向Kに延在している。言い換えると、基部31は、外部端子22の並び方向Kに延在している。
【0037】
基部31は、正面から見て(上方から見て)、略三角形に形成されている。なお、基部31は、正面から見て、略台形に形成することもできる。
【0038】
第1起立部33は、基部31の並び方向Kの一端部が、上下方向Fの下方に折り曲げられて形成されている。第1起立部33は、基部31の板厚方向に起立して形成されている。なお、第1起立部33は、上下方向Fに対して、若干傾斜する方向に起立していてもよい。第1起立部33は、基部31を正面から見て、並び方向Kに対して、傾斜(例えば、45度)して形成されている。
【0039】
第1舌部32は、第1起立部33の上下方向Fの下端部が、前後方向Dに折り曲げられて形成されている。第1舌部32は、上下方向Fを板厚方向として、前後方向Dに延在している。第1舌部32は、基部31の下方に設けられている。第1舌部32は、基部31から前後方向Dの後方に突出して設けられている。言い換えると、第1舌部32は、基部31の並び方向Kに直交する方向に、基部31から突出して設けられている。
【0040】
第1舌部32の下面は、外部端子22の上面に接触した状態で、例えば、レーザ溶接や超音波溶接等により接合されている。
【0041】
基部31の並び方向Kの一端側と、第1起立部33と、第1舌部32の前後方向Dの前側とは、基部31の並び方向Kの一端部が、並び方向Kに直交した方向に、基部31と一部が重なるように折り返されている第1折返部T1を構成する。
【0042】
第2起立部35は、基部31の並び方向Kの他端部が、上下方向Fの下方に折り曲げられて形成されている。第2起立部35は、基部31の板厚方向に起立して形成されている。なお、第2起立部35は、上下方向Fに対して、若干傾斜する方向に起立していてもよい。第2起立部35は、基部31を正面から見て、並び方向Kに対して、傾斜(例えば、45度)して形成されている。
【0043】
第2舌部34は、第2起立部35の上下方向Fの下端部が、前後方向Dに折り曲げられて形成されている。第2舌部34は、上下方向Fを板厚方向として、前後方向Dに延在している。第2舌部34は、基部31の下方に設けられている。第2舌部34は、基部31から前後方向Dの後方に突出して設けられている。言い換えると、第2舌部34は、基部31の並び方向Kに直交する方向に、基部31から突出して設けられている。
【0044】
第2舌部34の下面は、外部端子22の上面に接触した状態で、例えば、レーザ溶接や超音波溶接等により接合されている。
【0045】
基部31の並び方向Kの他端側と、第2起立部35と、第2舌部34の前後方向Dの前側とは、基部31の並び方向Kの一端部が、並び方向Kに直交した方向に、基部31の一部と重なるように折り返されている第2折返部T2を構成する。
【0046】
[バスバー30の製造方法]
まず、
図4(A)に示すように、矩形の1枚の板材100を、打ち抜き加工によって、バスバー板30Aを形成する。
図4(B)に示すように、バスバー板30Aは、長尺矩形の板材であり、バスバー30の展開された形状である。
【0047】
次に、バスバー板30Aを、プレス加工機によって、折り曲げて、基部31を形成する。
【0048】
次に、バスバー板30Aを、同じ又は別のプレス加工機によって、折り曲げて、第1舌部32、第1起立部33、第2舌部34、及び第2起立部35を形成し、バスバー30を製造する。すなわち、バスバー30は、矩形の平板を折り曲げる折曲加工によって形成される。
【0049】
[バスバー30の動作]
図5(A)に示すように、第1舌部32と第2舌部34に対して、第1舌部32と第2舌部34とが、並び方向Kにおいて、互いに近づく方向に荷重が作用した場合、第1起立部33と基部31との間、第1舌部32と第1起立部33との間、第2起立部35と基部31との間、及び第2舌部34と第2起立部35との間、でバスバー30が変形される。
【0050】
図5(B)に示すように、第1舌部32と第2舌部34に対して、第1舌部32と第2舌部34とが、並び方向Kにおいて、互いに遠ざかる方向に荷重が作用した場合、第1起立部33と基部31との間、第1舌部32と第1起立部33との間、第2起立部35と基部31との間、及び第2舌部34と第2起立部35との間、でバスバー30が変形される。
【0051】
そのため、バスバー30は、並び方向Kの荷重を分散することができる。
【0052】
図6(A)に示すように、第1舌部32に対して、前後方向Dの前方に向けて荷重が作用し、第2舌部34に対して、前後方向Dの後方に向けて荷重が作用し場合、第1起立部33と基部31との間、第1舌部32と第1起立部33との間、第2起立部35と基部31との間、及び第2舌部34と第2起立部35との間、でバスバー30が変形される。
【0053】
図6(B)に示すように、第1舌部32に対して、前後方向Dの後方に向けて荷重が作用し、第2舌部34に対して、前後方向Dの前方に向けて荷重が作用し場合、第1起立部33と基部31との間、第1舌部32と第1起立部33との間、第2起立部35と基部31との間、及び第2舌部34と第2起立部35との間、でバスバー30が変形される。
【0054】
そのため、バスバー30は、前後方向Dの荷重を分散することができる。
【0055】
図7(A)に示すように、第1舌部32に対して、上下方向Fの下方に向けて荷重が作用し、第2舌部34に対して、上下方向Fの上方に向けて荷重が作用し場合、第1起立部33と基部31との間、第1舌部32と第1起立部33との間、第2起立部35と基部31との間、及び第2舌部34と第2起立部35との間、でバスバー30が変形される。
【0056】
図7(B)に示すように、第1舌部32に対して、上下方向Fの上方に向けて荷重が作用し、第2舌部34に対して、上下方向Fの下方に向けて荷重が作用し場合、第1起立部33と基部31との間、第1舌部32と第1起立部33との間、第2起立部35と基部31との間、及び第2舌部34と第2起立部35との間、でバスバー30が変形される。
【0057】
そのため、バスバー30は、上下方向Fの荷重を分散することができる。
【0058】
[作用]
第1実施形態のバスバー30は、外部端子22間を電気的に接続するバスバー30であって、外部端子22の並び方向Kに延在する基部31と、基部31の並び方向Kの一端部が、並び方向Kに直交した方向に折り返されている第1折返部T1と、第1折返部T1から、並び方向Kに直交する方向に、基部31から突出して設けられ、一方の外部端子22に接続される第1舌部32と、基部31の並び方向Kの他端部が、並び方向Kに直交した方向に折り返されている第2折返部T2と、第2折返部T2から、並び方向Kに直交する方向に、基部31から突出して設けられ、他方の外部端子22に接続される第2舌部34と、を備え、展開された形状が矩形の板状となっている(
図3参照)。
【0059】
基部31の一端部が基部31の並び方向Kに直交した方向に折り返され、並び方向Kに直交する方向に、基部31から突出して設けられ、一方の外部端子22に接続される第1舌部32と、基部31の他端部が基部31の並び方向Kに直交した方向に折り返され、並び方向Kに直交する方向に、基部31から突出して設けられ、他方の外部端子22に接続される第2舌部34と、を備えている。このため、第1舌部32と第2舌部34との間に、並び方向Kの荷重が作用した際に、第1折返部T1及び第2折返部T2が変形することで、並び方向Kの荷重が分散される。また、第1舌部32と第2舌部34との間に、前後方向Dの荷重が作用した際に、第1折返部T1及び第2折返部T2が変形することで、前後方向Dの荷重が分散される。さらに、第1舌部32と第2舌部34との間に、上下方向Fの荷重が作用した際に、第1折返部T1及び第2折返部T2が変形することで、上下方向Fの荷重が分散される。その結果、並び方向K、前後方向D、及び上下方向Fの振動吸収することができる。
【0060】
また、展開された形状が矩形の板状となっていることで、プレス加工における打ち抜きの配列が効率よくされる。そのため、バスバーの製造上の部留まりを向上させることができる。
【0061】
その結果、製造上の歩留まりを向上させ、かつ、振動吸収性能に優れたバスバーとすることができる。
【0062】
第1実施形態のバスバー30では、第1折返部T1には、基部31の板厚方向に起立し、基部31を正面から見て、並び方向Kに対して傾斜した第1起立部33を備え、第2折返部T2には、基部31の板厚方向に起立し、基部31を正面から見て、並び方向Kに対して傾斜した第2起立部35を備えている(
図3参照)。
【0063】
このため、第1舌部32と第2舌部34との間に、並び方向Kの荷重が作用した際に、第1起立部33と、基部31及び第1舌部32との間、並びに、第2起立部35と、基部31及び第2舌部34との間で変形することで、並び方向Kの荷重が分散される。また、第1舌部32と第2舌部34との間に、前後方向Dの荷重が作用した際に、第1起立部33と、基部31及び第1舌部32との間、並びに、第2起立部35と、基部31及び第2舌部34との間で変形することで、前後方向Dの荷重が分散される。さらに、第1舌部32と第2舌部34との間に、上下方向Fの荷重が作用した際に、第1起立部33と、基部31及び第1舌部32との間、並びに、第2起立部35と、基部31及び第2舌部34との間で変形することで、上下方向Fの荷重が分散される。その結果、並び方向K、前後方向D、及び上下方向Fの振動吸収することができる。
【0064】
第1実施形態のバスバー30では、基部31は、正面から見て、略三角形に形成されている(
図3参照)。
【0065】
基部31は、正面から見て、略三角形に形成されていることで、基部31が矩形に形成されている場合を比較して、基部31のサイズが小さくされる。そのため、バスバーを小型化して、重量低減を図ることができる。
【0066】
〔第2実施形態〕
第2実施形態のバスバーは、第1舌部及び第2舌部の構成が異なる点で、第1実施形態のバスバーと相違する。なお、第1実施形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同様の用語又は同様の符号を用いて説明する。
【0067】
[構成]
図8(A)に示すように、バスバー130は、第1舌部132と、第2舌部134と、を有している。
【0068】
図8(B)に示すように、第1舌部132は、先端部132Aと、基端部132Bと、傾斜部132Cと、で断面略Z状に形成されている。
【0069】
先端部132Aは、前後方向Dの後端に配置されている。先端部132Aは、上下方向Fを板厚方向とした矩形の板状に形成されている。先端部132Aの下面は、外部端子22の上面に接触した状態で、例えば、レーザ溶接や超音波溶接等により接合されている。
【0070】
基端部132Bは、前後方向Dにおいて、先端部132Aより前方に配置されている。基端部132Bは、上下方向Fを板厚方向とした板状に形成されている。
【0071】
傾斜部132Cは、先端部132Aの前端と、基端部132Bの後端とを接続するように、前後方向Dに対して傾斜して設けられている。
【0072】
先端部132Aと、基端部132Bと、傾斜部132Cとは、第1舌部132の板厚方向の段差を形成した第1段差部S1を構成する。
【0073】
第2舌部134も、第1舌部132と同様に形成され、先端部134Aと、基端部134Bと、傾斜部134Cと、で断面略Z状に形成されている。
【0074】
先端部134Aと、基端部134Bと、傾斜部134Cとは、第2舌部134の板厚方向の段差を形成した第2段差部S2を構成する。
【0075】
[作用]
第2実施形態のバスバー130では、第1舌部132には、第1舌部132の板厚方向の段差を形成する第1段差部S1を備え、第2舌部134には、第2舌部134の板厚方向の段差を形成する第2段差部S2を備えている(
図8A参照)。
【0076】
第1舌部132は、第1段差部S1を備え、第2舌部134は、第2段差部S2を備えていることで、第1段差部S1及び第2段差部S2が弾性変形可能とされる。そのため、一方の外部端子22と他方の外部端子22との間に、上下方向Fの差(高さ方向の差)がある場合に、第1段差部S1と第2段差部S2とが弾性変形することによって、第1舌部132及び第2舌部134が、外部端子22に隙間なく接触される。その結果、第1舌部132及び第2舌部134が外部端子22に隙間なく接触して取り付けられ、導通性を向上させることができる。
【0077】
なお、他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0078】
〔第3実施形態〕
第3実施形態のバスバーは、基部の構成が異なる点で、第1実施形態のバスバーと相違する。なお、第1実施形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同様の用語又は同様の符号を用いて説明する。
【0079】
[構成]
図9に示すように、バスバー230は、基部231と、第1舌部232と、第2舌部234と、を備えている。
【0080】
基部231は、外部端子22の並び方向Kに延在している。基部231は、並び方向Kの中央部に、並び方向Kに折り曲げられた折曲がり部231Aが形成されている。
【0081】
基部231は、正面から見て(上方から見て)、略三角形に形成されている。なお、基部231は、正面から見て、略台形に形成することもできる。
【0082】
第1舌部232は、基部231の並び方向Kの一端側が、前後方向Dに折り曲げられて形成されている。第1舌部232は、上下方向Fを板厚方向として、前後方向Dに延在している。第1舌部232は、基部231の下方に設けられている。第1舌部232は、基部231から前後方向Dの後方に突出して設けられている。言い換えると、第1舌部232は、基部231の並び方向Kに直交する方向に、基部231から突出して設けられている。
【0083】
第1舌部232の下面は、外部端子22の上面に接触した状態で、例えば、レーザ溶接や超音波溶接等により接合されている。
【0084】
基部231の並び方向Kの一端側と、第1舌部232の前後方向Dの前側とは、基部231の並び方向Kの一端部が、並び方向Kに直交した方向に、基部231の一部と重なるように折り返されている第1折返部T1を構成する。
【0085】
第2舌部234は、基部231の並び方向Kの他端側が、前後方向Dに折り曲げられて形成されている。第2舌部234は、上下方向Fを板厚方向として、前後方向Dに延在している。第2舌部234は、基部231の下方に設けられている。第2舌部234は、基部231から前後方向Dの後方に突出して設けられている。言い換えると、第2舌部234は、基部231の並び方向Kに直交する方向に、基部231から突出して設けられている。
【0086】
第2舌部234の下面は、外部端子22の上面に接触した状態で、例えば、レーザ溶接や超音波溶接等により接合されている。
【0087】
基部231の並び方向Kの他端側と、第2舌部234の前後方向Dの前側とは、基部231の並び方向Kの一端部が、並び方向Kに直交した方向に、基部231の一部と重なるように折り返されている第2折返部T2を構成する。
【0088】
[作用]
第3実施形態のバスバー230では、基部231には、並び方向Kに折り曲げられた折曲がり部231Aが形成されている(
図9参照)。
【0089】
このため、第1舌部232と第2舌部234との間に、並び方向Kの荷重が作用した際に、第1折返部T1及び第2折返部T2の変形に加えて、折曲がり部231Aが変形することで、並び方向Kの荷重が分散される。また、第1舌部232と第2舌部234との間に、上下方向Fの荷重が作用した際に、第1折返部T1及び第2折返部T2の変形に加えて、折曲がり部231Aが変形することで、上下方向Fの荷重が分散される。そのため、簡易な構成で、並び方向K、前後方向D、及び上下方向Fの振動をより吸収することができる。また、簡易な構成であるため、折り曲げ加工の成形性を向上させることができる。
【0090】
なお、他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0091】
〔第4実施形態〕
第4実施形態のバスバーは、基部の構成が異なる点で、第1実施形態のバスバーと相違する。なお、第1実施形態で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については、同様の用語又は同様の符号を用いて説明する。
【0092】
[構成]
図10に示すように、バスバー330の基部331は、正面から見て(上方から見て)、略台形に形成されている。
【0093】
基部331の並び方向Kの中央部には、前後方向Dに延在した溝部331Aが形成されている。溝部331Aは、上方に開放した断面略U字状に形成することができる。
【0094】
[作用]
第4実施形態のバスバー330では、基部331には、並び方向Kに垂直な方向に延びる溝部331Aが形成されている(
図10参照)。
【0095】
このため、第1舌部32と第2舌部34との間に、並び方向Kの荷重が作用した際に、第1折返部T1及び第2折返部T2の変形に加えて、溝部331Aが変形することで、並び方向Kの荷重が分散される。また、第1舌部32と第2舌部34との間に、上下方向Fの荷重が作用した際に、第1折返部T1及び第2折返部T2の変形に加えて、溝部331Aが変形することで、上下方向Fの荷重が分散される。そのため、簡易な構成で、並び方向K、前後方向D、及び上下方向Fの振動をより吸収することができる。
【0096】
なお、他の構成及び作用効果については、上記第1実施形態と略同様であるので説明を省略する。
【0097】
以上、本発明のバスバーを、第1実施形態~第4実施形態に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、これらの実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更などは許容される。
【0098】
第1実施形態~第4実施形態では、第1舌部及び第2舌部は、前後方向Dにおいて、基部に対して、同じ方向に延在する例を示した。しかし、第1舌部と第2舌部とは、前後方向Dにおいて、基部に対して、異なる方向(反対方向)に延在していてもよい。
【0099】
第1実施形態~第4実施形態では、第1舌部及び第2舌部は、外部端子に接触した状態で、溶接により接合されている例を示した。しかし、第1舌部及び第2舌部は、第1舌部及び第2舌部に形成された貫通孔に、外部端子に形成されたピンが挿入され、カシメられることで外部端子に接合されるものであってもよい。
【0100】
第3実施形態では、基部231は、並び方向Kの中央部に、並び方向Kに折り曲げられた折曲がり部231Aが形成されている例を示した。しかし、基部は、断面略円弧状のアーチ状に形成してもよい。
【0101】
第1実施形態~第4実施形態では、バスバーは、電池セル20の端子間を接続する例を示した。しかし、バスバーは、組電池の端子間を接続してもよい。
【0102】
第1実施形態~第4実施形態では、外部端子22は、筐体21の上部に、外部に露出して設けられている例を示した。しかし、外部端子は、筐体の側部に、外部に露出して設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0103】
10 組電池
20 電池セル
22 外部端子(端子の一例)
30 バスバー
31 基部
32 第1舌部
33 第1起立部
34 第2舌部
35 第2起立部
231A 折曲がり部
331A 溝部
K 並び方向
S1 第1段差部
S2 第2段差部
T1 第1折返部
T2 第2折返部