(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125139
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】アズブジンを含む抗腫瘍医薬組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7068 20060101AFI20240906BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240906BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240906BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240906BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240906BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240906BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20240906BHJP
A61K 31/5377 20060101ALI20240906BHJP
A61K 31/517 20060101ALI20240906BHJP
A61K 31/519 20060101ALI20240906BHJP
A61K 31/4709 20060101ALI20240906BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240906BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240906BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240906BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240906BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20240906BHJP
A61P 1/18 20060101ALI20240906BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20240906BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240906BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20240906BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20240906BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240906BHJP
A61P 13/02 20060101ALI20240906BHJP
A61P 5/14 20060101ALI20240906BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A61K31/7068
A61K45/00
A61P35/00
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A61P15/00
A61P13/08
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A61K31/519
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A61P17/00
A61P25/00
A61P1/00
A61P1/16
A61P1/18
A61P11/00
A61P13/12
A61P19/08
A61P7/00
A61P35/02
A61P13/02
A61P5/14
A61P13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083308
(22)【出願日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】202310201580.X
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523187789
【氏名又は名称】ホーナン・ジェニュイン・バイオテック・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】パン・リー
(72)【発明者】
【氏名】リミン・ジア
(72)【発明者】
【氏名】ジヨン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ザオヤン・ワン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084MA13
4C084MA17
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4C086ZC75
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アズブジンを含む抗腫瘍医薬組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、アズブジン及びEGFR/TKI阻害剤を含む医薬組成物を開示する。本発明に係る医薬組成物は、抗腫瘍においてより優れた相乗効果を示し、薬剤耐性の発生を遅らせ、有効性と安全性を高め、それによって患者の生存期間を延長するという目標を達成することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アズブジン或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体又はアイソトープ誘導体と、
(ii)EGFR/TKI阻害剤と、を含む医薬組み合わせ製品。
【請求項2】
前記EGFR/TKI阻害剤が、オシメルチニブ(Osimertinib)、ゲフィチニブ(Gefitinib、エルロチニブ(Erlotinib)、ドキシチニブ(Doxitinib)、オルムチニブ(Olmutinib)、イコチニブ(Icotinib)、ピロチニブ(Pyrotinib)、ダコミチニブ(Dacomitinib)、アファチニブ(Afatinib)、ネラチニブ(Neratinib)、ラパチニブ(Lapatinib)、ABT-414、バルリチニブ(Varlitinib)、HLX-07、テセバチニブ(Tesevatinib)、テリアチニブ(Theliatinib)、エペルチニブコハク酸塩(Epaltinib succinate)、S-222611、フルモネルチニブ(Furmonertinib)、ベフォテルチニブ(Befotertinib)、レジベルチニブ(Rezivertinib)、ポジオチニブ(Poziotinib)、及びそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組み合わせ製品。
【請求項3】
前記EGFR/TKI阻害剤が、オシメルチニブ、ドキシチニブ、又はそれらの組み合わせである、請求項1又は2に記載の医薬組み合わせ製品。
【請求項4】
前記(i)及び(ii)が同時に、別々に、連続的に投与されるか、又は前記(i)及び(ii)が同一の剤形に存在する、請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬組み合わせ製品。
【請求項5】
腫瘍関連疾患の治療に用いられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組み合わせ製品。
【請求項6】
前記腫瘍関連疾患が、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、黒色腫、脳腫瘍、食道癌、胃癌、肝臓癌、膵臓がん、結腸直腸癌、肺癌、腎がん、皮膚癌、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、肉腫、脂肪肉腫、骨軟骨腫、骨腫、骨肉腫、セミノーマ、精巣腫瘍、子宮癌、頭頸部腫瘍、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、真性多血症、白血病、甲状腺腫瘍、尿管腫瘍、膀胱腫瘍、胆嚢がん、非小細胞肺癌、胆管癌及び絨毛癌からなる群により選択され、好ましくは非小細胞肺癌である、請求項5に記載の医薬組み合わせ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の分野に属し、具体的にはアズブジンを含む抗腫瘍医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
デオキシシチジンキナーゼ(DCK)は、幅広い基質の特異性を備えた酵素であり、ピリミジン及びプリンデオキシヌクレオシドをリン酸化することができ、デオキシヌクレオシド生合成のサルベージ経路における肝要な酵素であり、正常なDNA代謝を維持して様々な抗ウイルス及び抗がんのヌクレオシド類似体薬物(これらの薬物は、リン酸化された後にのみ活性化され、それによって腫瘍の増殖を阻害する。)をリン酸化することができる。過去数十年間、広く研究されているアポトーシスについての放射線治療戦略は、腫瘍治療に重要な手段の1つになっている。
【0003】
アズブジンは、広域スペクトルRNAウイルス阻害剤であり、人工的に合成されたウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)のヌクレオシド類似体として、細胞内で抗ウイルス活性を有する5’-三リン酸塩代謝物(アズブジン三リン酸塩)に代謝され、新型コロナウイルスポリメラーゼ(RdRp)に特異的に作用することができ、ウイルスのRdRpを標的として宿主細胞においてRdRpの活性を阻害することにより、RNA鎖の合成と複製をブロックすることができる。2021年7月、アズブジン錠は、ウイルス量の高い成人のHIV-1感染患者を治療するために用いられるのが中国での販売に承認された。また、2022年7月、アズブジンは、新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認された。
【0004】
特許文献CN201010506595.Xには、結腸がん、肝臓癌、胃癌、食道癌、肺癌、乳がん、子宮頸癌、白血病、リンパ腫などの腫瘍を治療するためにアズブジンを使用することが開示されている。アズブジンは様々なヒトのがん細胞や動物の移植腫瘍に対して明らかな阻害効果を有することが見られた。
【0005】
EGFR(上皮成長因子受容体、Epidermal Growth Factor Receptor)は、膜貫通タンパク質チロシンキナーゼerbB受容体ファミリーのメンバーである。EGFRは、上皮成長因子(EGF)などのそのリガンドに結合することにより、細胞膜上でホモ二量体を形成したり、ファミリー内の他の受容体(例えば、erbB2、erbB3、又はerbB4)とヘテロ二量体を形成したりできる。これらの二量体の形成により、EGFR細胞内の肝要なチロシン残基がリン酸化されることが可能になり、それによって細胞内の複数の下流のシグナル伝達経路が活性化される。これらの細胞内のシグナル伝達経路は、細胞の増殖、生存及び抗アポトーシスにおいて重要な役割を果たす。リガンド及び受容体の発現増加、EGFR遺伝子の増幅及び変異などを含むEGFRシグナル伝達経路の調節不全は、細胞の悪性形質転換を促進し、腫瘍細胞の増殖、浸潤、転移及び血管新生に重要な役割を果たす。EGFRは、膀胱がん、脳腫瘍、頭頸部がん、膵臓がん、肺癌、乳がん、卵巣がん、結腸がん、前立腺がん及び腎臓がんなど多くのヒトの悪性疾患で過剰発現されることが報告されている。また、EGFRの過剰発現は、患者の予後不良と関連している場合が多い。
【0006】
肺癌は、がんの中でも罹患率が最も高く、その約85%が非小細胞肺癌(NSCLC)である。統計によると、2020年に世界中で新たに診断された肺癌罹患数が220万人であり、肺癌で死亡した人が180万人であり、がん関連死亡者の約18%を占め、5年生存率がわずか10%~20%であった。統計によると、世界中の様々な国や地域のNSCLC患者の約10%~40%には上皮成長因子受容体(EGFR)変異が発生したから、EGFRを標的とすることは非小細胞肺癌に重要な治療戦略である。臨床的には、EGFR阻害剤の使用は、EGFR変異陽性非小細胞肺癌に対する第一選択治療の標準療法となっている。
【0007】
第1世代のEGFR阻害剤は、可逆的競合阻害剤であり、代表的な薬剤としてゲフィチニブ、エルロチニブである。しかしながら、50~60%の患者は、1~2年後に、T790M変異を発生するという主な分子メカニズムで薬剤耐性を生じることがある。第2世代のEGFR阻害剤は、共有結合型阻害剤であり、代表的な薬剤としてアファチニブであり、第1世代のEGFR阻害剤よりも治療効果に優れるが、依然として患者にT790M変異による薬剤耐性を引き起こす恐れがある。第3世代のEGFR阻害剤は、主にT790M薬剤耐性変異を対象として設計され、代表的な薬剤としてオシメルチニブがあるが、1年程度に使用されると、C797S変異による薬剤耐性が生じる恐れがある。現在、EGFR阻害剤の薬剤耐性の問題を解決するために、新しいEGFR阻害剤が世界中で開発されている。中国では人口が多く、喫煙者も多く、肺癌の発生率が他の国よりも高いため、肺癌患者の5年生存率を高めるために新しい肺癌治療薬を開発するのは中国にとってより重要である。
【0008】
マルチメカニズム併用投与は、腫瘍薬剤に対する薬剤耐性の発生を遅らせたり、回避したりするための重要な戦略である。現在の非小細胞肺癌の治療戦略及びEGFR阻害剤の研究の進歩によれば、マルチメカニズムの非小細胞肺癌併用薬は、薬剤耐性の発生を遅らせ、有効性と安全性を高め、それによって患者の生存期間を延長するという目標を達成する。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、アズブジンとEGFR阻害剤との医薬組み合わせ製品、及び腫瘍疾患を予防又は治療するための薬物の調製におけるこの医薬組成物製品の使用を提供する。
【0010】
本発明に係る医薬組成物は、各単剤と比較して、以下の利点を有する。
1.併用後、各単剤の腫瘍抑制効果が向上した。
2.薬剤耐性の発生が遅くなり、有効性及び安全性が向上し、それによって患者の生存期間を延長することが図れる。
【0011】
本発明の技術的課題を解決するために、本発明は、
(i)アズブジン或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体又はアイソトープ誘導体と、
(ii)EGFR/TKI阻害剤と、を含む医薬組み合わせ製品を提供する。
【0012】
本発明における好ましい技術的態様では、前記EGFR/TKI阻害剤は、オシメルチニブ、ゲフィチニブ、エルロチニブ、ドキシチニブ、オルムチニブ、イコチニブ、ピロチニブ、ダコミチニブ、アファチニブ、ネラチニブ、ラパチニブ、ABT-414、バルリチニブ、HLX-07、テセバチニブ、テリアチニブ、エペルチニブコハク酸塩、S-222611、フルモネルチニブ、ベフォテルチニブ、レジベルチニブ、ポジオチニブ及びれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0013】
本発明における好ましい技術的態様では、前記EGFR/TKI阻害剤は、オシメルチニブ、ドキシチニブ、又はそれらの組み合わせである。
【0014】
本発明における好ましい技術的態様では、前記(i)及び(ii)は同時に、別々に、連続的に投与されるか、又は前記(i)及び(ii)は同じ剤形に存在する。
【0015】
また、本発明は、腫瘍関連疾患を治療するための上記医薬組み合わせ製品を提供する。
【0016】
本発明における好ましい技術的態様では、前記腫瘍関連疾患は、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、黒色腫、脳腫瘍、食道癌、胃癌、肝臓癌、膵臓がん、結腸直腸癌、肺癌、腎がん、皮膚癌、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、肉腫、脂肪肉腫、骨軟骨腫、骨腫、骨肉腫、セミノーマ、精巣腫瘍、子宮癌、頭頸部腫瘍、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、真性多血症、白血病、甲状腺腫瘍、尿管腫瘍、膀胱腫瘍、胆嚢がん、非小細胞肺癌、胆管癌及び絨毛癌からなる群により選択され、好ましくは非小細胞肺癌である。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記アズブジンの用量は1~100mgの範囲であり、前記EGFR/TKI阻害剤の用量は1~100mgの範囲である。
【0018】
本開示に記載されるアズブジンの用量は、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mg、60mg、61mg、62mg、63mg、64mg、65mg、66mg、67mg、68mg、69mg、70mg、71mg、72mg、73mg、74mg、75mg、76mg、77mg、78mg、79mg、80mg、81mg、82mg、83mg、84mg、85mg、86mg、87mg、88mg、89mg、90mg、91mg、92mg、93mg、94mg、95mg、96mg、97mg、98mg、99mg、100mgから選択される。
【0019】
本開示に記載されるEGFR/TKI阻害剤の用量は、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mg、60mg、61mg、62mg、63mg、64mg、65mg、66mg、67mg、68mg、69mg、70mg、71mg、72mg、73mg、74mg、75mg、76mg、77mg、78mg、79mg、80mg、81mg、82mg、83mg、84mg、85mg、86mg、87mg、88mg、89mg、90mg、91mg、92mg、93mg、94mg、95mg、96mg、97mg、98mg、99mg、100mgから選択される。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記アズブジンは、用量が1~100mgの範囲であり、投与頻度が1日1回、1日2回、又は1日3回でよく、前記EGFR/TKI阻害剤は、用量が1~100mgの範囲であり、投与頻度が1日1回、1日2回又は1日3回でよい。
【0021】
いくつかの実施形態では、前記アズブジンは、用量が1~60mgの範囲であり、投与頻度が1日1回又は1日2回でよく、前記EGFR/TKI阻害剤は、用量が1~60mgの範囲であり、投与頻度が1日1回である。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記アズブジンは、用量が1~20mgの範囲であり、投与頻度が1日1回又は1日2回でよく、前記EGFR/TKI阻害剤は、用量が1~20mgの範囲であり、投与頻度が1日1回である。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記アズブジンは、用量が1~10mgの範囲であり、投与頻度が1日1回又は1日2回でよく、前記EGFR/TKI阻害剤は、用量が1~10mgの範囲であり、投与頻度が1日1回である。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記EGFR/TKI阻害剤は、用量が1mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mgから選択され、投与頻度が1日1回又は1日2回であり、前記EGFR/TKI阻害剤は、用量が10mg、20mg、40mg、60mgから選択され、投与頻度が1日1回である。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記アズブジンは、用量が1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mgから選択され、投与頻度が1日1回又は1日2回であり、前記アズブジンは、用量が1mg、2mg、4mg、6mgから選択され、投与頻度が1日1回である。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記EGFR/TKI阻害剤は、用量が1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mgから選択され、投与頻度が1日1回又は1日2回であり、前記EGFR/TKI阻害剤は、用量が10mg、20mg、40mg、60mgから選択され、投与頻度が1日1回である。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記EGFR/TKI阻害剤は、用量が1mg、2mg、4mg、6mg、8mgから選択され、投与頻度が1日1回又は1日2回であり、前記EGFR/TKI阻害剤は、用量が1mg、2.5mg、5mg、10mgから選択され、投与頻度が1日1回である。
【0028】
本発明に記載されている併用の投与経路としては、経口投与、非経口投与、経皮投与であり、好ましくは経口投与である。前記非経口投与には、静脈内注射、皮下注射、筋肉注射が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
また、本発明は、上記アズブジンと、EGFR/TKI阻害剤と、一つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤との医薬組成物を提供する。前記医薬組成物は、任意の薬学的に許容される剤形にすることができる。例えば、錠剤、カプセル剤、滴丸剤、粒剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、注射剤(インフュジョン、注射用無菌粉末及び注射用濃溶液を含む)、坐剤、吸入剤又はスプレー剤として製剤化することができる。前記医薬組成物は、同じ剤形にしてもよく、例えば、アズブジン及びEGFR/TKI阻害剤を、複合錠剤、複合カプセル剤、複合滴丸剤、複合粒剤、複合溶液剤、複合懸濁剤、複合シロップ剤、複合注射剤(インフュジョン、注射用無菌粉末及び注射用濃溶液を含む)、複合坐剤、複合吸入剤又は複合スプレー剤として製剤化することができる。
【0030】
また、本発明は、有效量の上記アズブジン及び有効量の上記EGFR/TKI阻害剤を患者に投与することを含む腫瘍疾患の治療方法、を提供する。
【0031】
また、本発明は、本開示に記載されているアズブジンとEGFR/TKI阻害剤との医薬組成物が包装された、腫瘍疾患を治療するための薬物において用いられる医薬キットを提供する。
【0032】
本発明では、アズブジンとEGFR/TKI阻害剤を併用投与することにより、腫瘍疾患を治療するための薬物の効果が増強される。
【0033】
本発明に記載される「併用」は、投与方式であり、所定の期間内に少なくとも1つの用量でアズブジンと少なくとも1つの用量でEGFR/TKI阻害剤を投与し、両方の薬剤とも薬理学的効果を示すことを指す。前記期間は、一つの投与周期内としてもよく、4週間以内、3週間以内、2週間以内、1週間以内、又は24時間以内であることが好ましく、12時間以内であることがより好ましい。アズブジン及びEGFR/TKI阻害剤は、同時に投与してもよく、連続して投与してもよい。この期間には、アズブジン及びEGFR/TKI阻害剤が同じ投与経路又は異なる投与経路で投与されるような治療が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】
図1は、ヒト肺癌NCI-H1975マウス皮下移植腫瘍の腫瘍体積に対するアズブジン(FNC)とオシメルチニブの単独又は併用の影響である。
【
図2】
図2は、マウスの腫瘍重量に対するアズブジンとオシメルチニブの単独又は併用の影響である。
【
図3】
図3は、ヒト肺癌NCI-H1975によるマウス皮下移植腫瘍の腫瘍体積に対するアズブジンとドキシチニブの単独又は併用の影響である。
【
図4】
図4は、マウスの腫瘍重量に対するアズブジンとドキシチニブの単独又は併用の影響である。
【
図5】
図5は、アズブジン、オシメルチニブ、ドキシチニブの化学構造である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本開示を実施例に合わせてより詳細に説明する。本開示の実施例は、本開示の技術的態様を説明するためにのみ使用され、本開示の本質及び範囲を限定するものではない。
【0036】
実験材料
実験動物及び飼育環境
実験動物
種:マウス
系統:BALB/cヌードマウス
週齢及び体重:6~8週齢、17.42~23.71g
性別:雌
数量:40匹(群分けから残したマウスが含まれていない)
サプライヤー:浙江維通利華実験動物有限公司
【0037】
飼育環境
動物が到着してから実験環境で7日間飼育してから実験を開始した。動物をSPFグレードの動物室でIVC(独立換気システム)ケージで飼育した(ケージあたり4匹)。各ケージの動物情報カードに、ケージ内の動物の数、性別、系統、受領日、投薬レジメン、実験番号、グループ及び実験開始日が示されている。すべてのケージ、床敷材及び飲料水は使用前に滅菌された。ケージ、飼料及び飲料水は週に2回交換した。飼育環境及び光照射状況は次の通りであった。
- 温度:20~26°C
- 湿度:40~70%
- 光照射周期:12時間光照射、12時間光照射なし(午前8時に点灯~午後8時に消灯)
【0038】
ケージ:ポリカーボネート製、体積325mm×210mm×180mm。床敷材はとうもろこしの穂軸で、週に2回交換した。
食物:実験動物に、実験期間中、食物(照射滅菌済みの乾燥ペレット状食物)を自由に摂取させた。
飲料水:実験動物に滅菌水を自由に飲ませた。
ケージの識別:各ケージの動物情報に、ケージ内の動物の数、性別、系統、受領日、投薬レジメン、実験番号、グループ及び実験開始日を示した。
動物の識別:実験動物は耳タグで識別された。
【0039】
実施例1
実験目的:ヒト肺癌NCI-H1975(EGFRL858R/T790M)細胞株BALB/cヌード雌マウスの皮下異種移植動物モデルにおけるアズブジンとオシメルチニブの併用の抗腫瘍効果を評価する。
【0040】
NCI-H1975を、10%血清を含むRPMI 1640培地に使用し、37°C、5%CO2無菌恒温条件下で培養し、各ボトル内の細胞のコンフルエンスが90%以上に達したら、細胞を消化し、PBSに再懸濁し、細胞カウンターでカウントしながら細胞濃度が5x107個/mlになるようにし、各マウスにを0.1ml注射した。8継代細胞をヌードマウスの皮下に接種し、腫瘍が800mm3程度に成長したところで腫瘍を取り出し、2×2×2mm3のサイズに切り取り、各マウスの右背中に接種した。接種後の腫瘍の平均体積が100~120mm3に達したとき、腫瘍体積と動物の体重に基づいてランダム化層別グループ分け法を採用して各グループに投薬を開始した。肺癌細胞株モデルを、ランダムに各群8匹ずつに4つの実験群に分けた。グループ分け後に、28日間連続投薬した。
【0041】
腫瘍体積抑制率(TGITV):
TGITV(%)=[1-(Ti-T0)/(Vi-V0)]×100%
(Ti:投与i日目の治療群の腫瘍体積平均値、T0:投与0日目の治療群の腫瘍体積平均値、Vi:投与i日目の溶媒対照群の腫瘍体積平均値、V0:投与0日目の溶媒対照群の腫瘍体積平均値)
【0042】
腫瘍重量抑制の結果(T重量/C重量):
実験終了後、生き残った動物を安楽死させ、腫瘍組織を剥がし、腫瘍重量を秤量し、各群の腫瘍重量の差を計算し、そして腫瘍重量抑制結果(T重量/C重量)を次の計算式で計算した。
腫瘍重量抑制結果(T重量/C重量)%=WMean治療群/WMean溶媒対照群×100%、ここでは、Wは腫瘍重量を指す。
【0043】
腫瘍体積抑制の結果
各群の担癌マウスの腫瘍体積変化曲線を
図1に示し、異なる時点での平均腫瘍体積と有意統計を表1に示す。初回投与日をDay0とした。投与28日後、対照群と比較して、G2を除く各投与群の腫瘍体積に有意差が認められた。腫瘍TGIは、オシメルチニブ+アズブジン(2.5+1mpk)群(94.5%)>オシメルチニブ群(66.4%)>アズブジン(1mpk)群(35.7%)の順になった。
【0044】
【0045】
腫瘍重量抑制の結果
対照群と治療群における担癌マウスのT
重量/C
重量パーセンテージを表2に、各群の担癌マウスの腫瘍重量変化曲線を
図2に示す。
【0046】
【0047】
肺癌細胞株NCI-H1975担癌マウスモデルでは、腫瘍阻害率TGI(%)の統計分析の結果は、アズブジンが用量依存的に腫瘍増殖を阻害する効果があったことを示した。アズブジンとオシメルチニブの併用により、それぞれの単剤の腫瘍抑制効果が向上した。本実験における被験薬の投与量は、動物に明らかな毒副作用を与えず、安全性が良好であった。
【0048】
実施例2
実験目的:ヒト肺癌NCI-H1975(EGFRL858R/T790M)細胞株BALB/cヌード雌マウスの皮下異種移植動物モデルにおけるアズブジンとドキシチニブの併用の抗腫瘍効果を評価する。
【0049】
NCI-H1975細胞を、10%ウシ胎児血清を加えたRPMI 1640培地、37oC、5%CO2インキュベーターの培養条件下で培養した。通常の継代を週に1回行った。細胞の飽和度が80%~90%になり、必要な数に達したら、細胞を収集し、カウントして接種した。
【0050】
腫瘍細胞接種
NCI-H1975細胞0.1mL(5×106)を各マウスの右背中に皮下接種し、腫瘍の平均体積が約154mm3に達したときに各グループに投薬を開始した。
【0051】
実験指標は、腫瘍増殖が阻害、遅延又は治癒されるかどうかを調査することであった。腫瘍の直径を、週に2回又は1日おきにノギスで測定した。腫瘍体積は、V=0.5a×b2の計算式で算出し、但し、a及びbはそれぞれ腫瘍の長径及び短径を表す。
【0052】
化合物の抗腫瘍効果は、TGI(%)又は相対的腫瘍増殖率T/C(%)によって評価された。TGI(%)は腫瘍増殖阻害率を反映する。TGI(%)は、TGI(%)=[1-(ある治療群の投与終了時の平均腫瘍体積-当該治療群の投与開始時の平均腫瘍体積)/(溶媒対照群の治療終了時の平均腫瘍体積-溶媒対照群の治療開始時の平均腫瘍体積)]×100%という計算式で計算した。
【0053】
相対的腫瘍増殖率T/C(%)は、T/C%=TRTV/CRTV×100%(ただし、TRTVは治療群のRTV平均値を表し、CRTVは陰性対照群のRTV平均値を表す)という計算式で計算した。腫瘍測定の結果から、RTV=Vt/V0という計算式で相対的腫瘍体積(relative tumor volume,RTV)を算出し、ここでは、V0はグループ投与時(即ちd0)に測定された腫瘍体積であり、Vtはある測定時の腫瘍体積であり、TRTVとCRTVは同じ日に取得したデータである。
【0054】
統計分析
統計分析では、各群の各時点での腫瘍体積の平均値及び標準誤差(SEM)(具体的なデータについては、表3を参照のこと)を含む。治療群では、投与後20日目から試験終了時に最高の治療効果を示したため、このデータに基づいた統計分析によりグループ間の差異を評価した。2つのグループ間の比較はT-testで分析され、3つ以上のグループ間の比較はone-way ANOVAで分析された。すべてのデータ分析をPrismで行った。p<0.05は有意差と見なされた。
【0055】
NCI-H1975細胞皮下異種移植腫瘍BALB/cヌードマウスに被験薬を投与した後の各群の腫瘍体積変化を表3に、各群の担癌マウスの腫瘍体積変化曲線を
図3に示す。
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
試験結果
実験は、ヒト肺癌細胞株NCI-H1975異種移植腫瘍マウスモデルにおいて、アズブジンが用量依存的に腫瘍増殖を阻害する効果があったことを示した。アズブジンとドキシチニブの併用により、それぞれの単剤の腫瘍抑制効果が向上した。
【0060】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、これらは単なる例であり、本発明の原理及び要旨から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な変更や修正を加え得ることは、当業者なら理解すべきである。従って、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されるものである。