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特開2024-125140アズブジンと化学療法剤とを含む抗腫瘍医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125140
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】アズブジンと化学療法剤とを含む抗腫瘍医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7068 20060101AFI20240906BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240906BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240906BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240906BHJP
   A61K 31/4164 20060101ALI20240906BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240906BHJP
   A61K 31/337 20060101ALI20240906BHJP
   A61K 31/675 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A61K31/7068
A61K45/00
A61P35/00
A61P43/00 121
A61K31/4164
A61K39/395 N
A61K31/337
A61K31/675
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023083815
(22)【出願日】2023-05-22
(31)【優先権主張番号】202310201602.2
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523187789
【氏名又は名称】ホーナン・ジェニュイン・バイオテック・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100122644
【弁理士】
【氏名又は名称】寺地 拓己
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】パン・リー
(72)【発明者】
【氏名】リミン・ジア
(72)【発明者】
【氏名】ジヨン・シン
(72)【発明者】
【氏名】ザオヤン・ワン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA02
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZC75
4C085AA14
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA02
4C086BC38
4C086DA38
4C086EA17
4C086MA02
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZC75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】腫瘍疾患を予防又は治療するための、アズブジンと化学療法剤とを含む医薬組成物を提供する。
【解決手段】(i)アズブジン或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体又はアイソトープ誘導体と、(ii)カペシタビン、シクロホスファミド、ダカルバジン、パクリタキセルに代表される化学療法剤、又はアバスチンと、を含む医薬組成物とする。本発明の医薬組成物は、抗腫瘍においてより優れた相乗効果を示し、化学療法剤の用量を減らし、有効性と安全性を高めることができ、それによって患者の生存期間を延長することが図れる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アズブジン或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体又はアイソトープ誘導体と、
(ii)化学療法剤と、を含む医薬組成物。
【請求項2】
前記化学療法剤が、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファジミン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、アクチノマイシンD、ダウノルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、フォリン酸、ドキソルビシンリポソーム、ダウノルビシンリポソーム、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パリイッタジン(paliittazine)、ペメトレキセド、ペントスタチン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、サトラプラチン、ストレプトゾシン、テガフルウラシル、テモゾロミド、テニポシド、チオテパ、チオグアニン、トポテカン、トレオスルファン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記化学療法剤が、カペシタビン、シクロホスファミド、ダカルバジン、パクリタキセル、及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
(i)アズブジン或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体又はアイソトープ誘導体と、
(ii)アバスチン(Avastin)と、を含む、医薬組成物。
【請求項5】
前記(i)及び(ii)が同時に、別々に、又は連続的に投与されるか、或いは前記(i)及び(ii)が同一の剤形に存在する、請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
腫瘍関連疾患を治療するために使用される、請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記腫瘍関連疾患が、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、黒色腫、脳腫瘍、食道癌、胃癌、肝臓癌、膵臓がん、結腸直腸癌、肺癌、腎がん、皮膚癌、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、肉腫、脂肪肉腫、骨軟骨腫、骨腫、骨肉腫、セミノーマ、精巣腫瘍、子宮癌、頭頸部腫瘍、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、真性多血症、白血病、甲状腺腫瘍、尿管腫瘍、膀胱腫瘍、胆嚢がん、非小細胞肺癌、胆管癌、及び絨毛癌からなる群より選択される、請求項6に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品の分野に属し、具体的にはアズブジンを含む抗腫瘍医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
デオキシシチジンキナーゼ(DCK)は、幅広い基質の特異性を備えた酵素であり、ピリミジン及びプリンデオキシヌクレオシドをリン酸化することができ、デオキシヌクレオシド生合成のサルベージ経路における肝要な酵素であり、正常なDNA代謝を維持して様々な抗ウイルス及び抗がんのヌクレオシド類似体薬物(これらの薬物は、リン酸化された後にのみ活性化され、それによって腫瘍の増殖を阻害する。)をリン酸化することができる。過去数十年間、広く研究されているアポトーシスについての放射線治療戦略は、腫瘍治療に重要な手段の1つになっている。
【0003】
アズブジン(FNC)は、広域スペクトルRNAウイルス阻害剤であり、人工的に合成されたウイルスRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)のヌクレオシド類似体として、細胞内で抗ウイルス活性を有する5’-三リン酸塩代謝物(アズブジン三リン酸塩)に代謝され、新型コロナウイルスポリメラーゼ(RdRp)に特異的に作用することができ、ウイルスのRdRpを標的として宿主細胞においてRdRpの活性を阻害することにより、RNA鎖の合成と複製をブロックすることができる。2021年7月に、アズブジン錠は、ウイルス量の高い成人のHIV-1感染患者を治療するために用いられるのが中国での販売に承認された。また、2022年7月に、アズブジンは、新型コロナウイルス感染症の治療薬として承認された。
【0004】
特許文献CN201010506595.Xには、結腸がん、肝臓癌、胃癌、食道癌、肺癌、乳がん、子宮頸癌、白血病、リンパ腫などの腫瘍を治療するためにアズブジンを使用することが開示されている。アズブジンは様々なヒトのがん細胞や動物の移植腫瘍に対して明らかな抑制効果を有することが見られた。
【0005】
従来の腫瘍治療法の中で、化学療法は、その治療効果が強く、薬効が高いという特徴により、最も広く使用されている臨床腫瘍治療法になっている。そして、現在臨床で使用されている化学療法薬は、ほとんど選択性が低く、腫瘍組織を治療する一方で、人体の正常な組織にも大きな損傷を与え、重篤な毒副作用を引き起こす恐れがある。
【0006】
単剤療法には、物理的及び化学的な特性が悪く、生体利用率が低く、有効性が低いなどの欠点がある。そこで、化学療法薬をアズブジンと併用できれば、腫瘍効果を高める可能性がある。抗腫瘍メカニズムにおける2つの薬物間の補完的な相乗効果に基づいて、両薬とも腫瘍細胞を標的とすることにより、化学療法と免疫が協働して抗腫瘍効果を高めることを図る。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、アズブジン(FNC)と化学療法剤の医薬組成物、及び腫瘍疾患を予防又は治療するための医薬品の調製におけるこの医薬組成物の使用を提供する。
【0008】
本発明の医薬組成物は、各単剤と比較して、以下の利点を有する。
1.併用後、各単剤の腫瘍抑制効果が向上した。
2.薬剤耐性の発生が遅くなり、有効性及び安全性が向上し、それによって患者の生存期間を延長することが図れる。
【0009】
本発明の技術的課題を解決するために、本発明は、
(i)アズブジン或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体又はアイソトープ誘導体と、
(ii)化学療法剤と、を含む医薬組成物を提供する。
【0010】
本発明の好ましい技術的態様において、前記化学療法剤は、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロファジミン、シクロホスファミド、シタラビン、ダカルバジン、アクチノマイシンD、ダウノルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、エトポシド、フルダラビン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イダルビシン、イホスファミド、イリノテカン、フォリン酸、ドキソルビシンリポソーム、ダウノルビシンリポソーム、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトキサントロン、オキサリプラチン、パリイッタジン(paliittazine)、ペメトレキセド、ペントスタチン、プロカルバジン、ラルチトレキセド、サトラプラチン、ストレプトゾシン、テガフ-ルウラシル、テモゾロミド、テニポシド、チオテパ、チオグアニン、トポテカン、トリオスファン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0011】
本発明の好ましい技術的態様において、前記化学療法剤は、カペシタビン、シクロホスファミド、ダカルバジン、パクリタキセル及びそれらの任意の組み合わせからなる群より選択される。
【0012】
また、本発明は、
(i)アズブジン或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体又はアイソトープ誘導体と、
(ii)アバスチン(Avastin)と、を含む別の医薬組成物を提供する。
【0013】
本発明の好ましい技術的態様において、前記(i)及び(ii)は同時に、別々に、又は連続的に投与されるか、或いは前記(i)及び(ii)は同一の剤形に存在する。
【0014】
本発明の好ましい技術的態様において、腫瘍関連疾患を治療するために使用される。
【0015】
本発明の好ましい技術的態様において、前記腫瘍関連疾患は、乳がん、卵巣がん、前立腺がん、黒色腫、脳腫瘍、食道癌、胃癌、肝臓癌、膵臓がん、結腸直腸癌、肺癌、腎がん、皮膚癌、神経膠芽腫、神経芽細胞腫、肉腫、脂肪肉腫、骨軟骨腫、骨腫、骨肉腫、セミノーマ、精巣腫瘍、子宮癌、頭頸部腫瘍、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、真性多血症、白血病、甲状腺腫瘍、尿管腫瘍、膀胱腫瘍、胆嚢がん、非小細胞肺癌、胆管癌、及び絨毛癌からなる群より選択される。
【0016】
いくつかの実施形態において、前記アズブジンの用量は1~100mgの範囲であり、前記化学療法剤の用量は1~500mgの範囲である。
【0017】
いくつかの実施形態において、前記アズブジンの用量は1~100mgの範囲であり、前記ベバシズマブ(Avastin)の用量は1~500mgの範囲である。
【0018】
本開示に記載されるアズブジンの用量は、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mg、60mg、61mg、62mg、63mg、64mg、65mg、66mg、67mg、68mg、69mg、70mg、71mg、72mg、73mg、74mg、75mg、76mg、77mg、78mg、79mg、80mg、81mg、82mg、83mg、84mg、85mg、86mg、87mg、88mg、89mg、90mg、91mg、92mg、93mg、94mg、95mg、96mg、97mg、98mg、99mg、100mgから選択される。
【0019】
本開示に記載される化学療法剤の用量は、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mg、51mg、52mg、53mg、54mg、55mg、56mg、57mg、58mg、59mg、60mg、61mg、62mg、63mg、64mg、65mg、66mg、67mg、68mg、69mg、70mg、71mg、72mg、73mg、74mg、75mg、76mg、77mg、78mg、79mg、80mg、81mg、82mg、83mg、84mg、85mg、86mg、87mg、88mg、89mg、90mg、91mg、92mg、93mg、94mg、95mg、96mg、97mg、98mg、99mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、160mg、170mg、180mg、190mg、200mg、210mg、220mg、230mg、240mg、250mg、260mg、270mg、280mg、290mg、300mg、310mg、320mg、330mg、340mg、350mg、360mg、370mg、380mg、390mg、400mg、410mg、420mg、430mg、440mg、450mg、460mg、470mg、480mg、490mg、500mgから選択される。
【0020】
いくつかの実施形態において、前記アズブジンは、用量が1~100mgの範囲であり、投与頻度が1日1回、1日2回又は1日3回でよく、また、前記化学療法剤は、用量が1~500mgの範囲であり、投与頻度が1日1回、1日2回又は1日3回でよい。
【0021】
いくつかの実施形態において、前記アズブジンは、用量が1~50mgの範囲であり、投与頻度が1日1回又は1日2回でよく、また、前記化学療法剤は、用量が1~100mgの範囲であり、投与頻度が1日1回である。
【0022】
いくつかの実施形態において、前記アズブジンは、用量が1~20mgの範囲であり、投与頻度が1日1回又は1日2回でよく、また、前記化学療法剤は、用量が1~40mgの範囲であり、投与頻度が1日1回である。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記アズブジンは、用量が1~10mgの範囲であり、投与頻度が1日1回又は1日2回でよく、また、前記化学療法剤は、用量が1~10mgの範囲であり、投与頻度が1日1回である。
【0024】
いくつかの実施形態において、前記化学療法剤は、用量が、1mg、2mg、2.5mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、49mg、50mgであり、投与頻度が1日1回又は1日2回であり、また、前記化学療法剤は、用量が、10mg、20mg、40mg、60mgであり、投与頻度が1日1回である。
【0025】
いくつかの実施形態において、前記アズブジンは、用量が、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mgであり、投与頻度が1日1回又は1日2回であり、また、前記アズブジンは、用量が、1mg、2mg、4mg、6mgであり、投与頻度が1日1回である。
【0026】
いくつかの実施形態において、前記化学療法剤は、用量が、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mgであり、投与頻度が1日1回又は1日2回であり、また、前記化学療法剤は、用量が、10mg、20mg、40mg、60mgであり、投与頻度が1日1回である。
【0027】
いくつかの実施形態において、前記化学療法剤は、用量が、1mg、2mg、4mg、6mg、8mgであり、投与頻度が1日1回又は1日2回であり、また、前記化学療法剤は、用量が、1mg、2.5mg、5mg、10mgであり、投与頻度が1日1回である。
【0028】
本発明による併用投与経路としては、経口投与、非経口投与、経皮投与である。前記非経口投与には、静脈内注射、皮下注射、筋肉注射が含まれるが、以下に限定されず、好ましくは経口投与である。
【0029】
また、本発明は、上記アズブジンと、化学療法剤と、一つまたは複数の薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤との医薬組成物を提供する。前記医薬組成物は、任意の薬学的に許容される剤形にすることができる。例えば、錠剤、カプセル剤、滴丸剤、粒剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、注射剤(インフュジョン、注射用無菌粉末及び注射用濃溶液を含む)、坐剤、吸入剤又はスプレー剤として製剤化することができる。前記医薬組成物は、同一の剤形にすることもでき、例えば、アズブジン及び化学療法剤は、複合錠剤、複合カプセル剤、複合滴丸剤、複合粒剤、複合溶液剤、複合懸濁剤、複合シロップ剤、複合注射剤(インフュジョン、注射用無菌粉末及び注射用濃溶液を含む)、複合坐剤、複合吸入剤又は複合スプレー剤として製剤化することができる。
【0030】
また、本発明は、有效量の上記アズブジン及び有効量の上記化学療法剤を患者に投与することを含む腫瘍疾患の治療方法を提供する。
【0031】
また、本発明は、本開示に記載されるアズブジンと化学療法剤の医薬組成物が包装された、腫瘍疾患を治療するための薬物において使用するための医薬キットを提供する。
【0032】
本発明では、アズブジンと化学療法剤を併用投与することにより、腫瘍疾患を治療するための薬物の効果の増強が図れる。
【0033】
本発明に記載される「併用」は、投与方式であり、所定の期間内に少なくとも1つの用量のアズブジンと少なくとも1つの用量の化学療法剤を投与し、両方の薬剤とも薬理学的効果を示すことを指す。前記期間は、一つの投与周期内としてもよく、4週間以内、3週間以内、2週間以内、1週間以内、又は24時間以内であることが好ましく、12時間以内であることがより好ましい。アズブジン及び化学療法剤は、同時に投与されてもよく、連続して投与されてもよい。この期間には、アズブジン及び化学療法剤が同じ投与経路又は異なる投与経路で投与されるような治療が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1図1は、ヒト結腸がんCOLO 205腫瘍モデルにおける皮下異種移植の腫瘍体積に対するアズブジンとカペシタビン(Capecitabine)の単独又は併用の影響である。
図2図2は、ヒト結腸直腸癌LoVo腫瘍モデルにおける皮下異種移植の腫瘍体積に対するアズブジンとカペシタビンの単独又は併用の影響である。
図3図3は、ヒトバーキットリンパ腫(Burkitt lymphoma)細胞Daudi腫瘍モデルにおける皮下異種移植の腫瘍体積に対するアズブジンとシクロホスファミド(Cyclophosphamide)の単独又は併用の影響である。
図4図4は、ヒト急性リンパ芽球性白血病細胞MOLT4腫瘍モデルにおける皮下異種移植の腫瘍体積に対するアズブジンとシクロホスファミドの単独又は併用の影響である。
図5図5は、ヒト卵巣がんOVCAR-8腫瘍モデルにおける皮下異種移植の腫瘍体積に対するアズブジンとパクリタキセル(Paclitaxel)の単独又は併用の影響である。
図6図6は、ヒト卵巣がんOVCAR-8腫瘍モデルにおける皮下異種移植の腫瘍体積に対するアズブジンとアバスチン(Avastin)の単独又は併用の影響である。
図7図7は、ヒト黒色腫A2058腫瘍モデルにおける皮下異種移植の腫瘍体積に対するアズブジンとダカルバジン(Dacarbazine)の単独又は併用の影響である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本開示を実施例に合わせてより詳細に説明する。本開示の実施例は、本開示の技術的態様を説明するためにのみ使用され、本開示の本質及び範囲を限定するものではない。
【0036】
実験材料
実験動物及び飼育環境
実験動物
雌、7~8週齢(腫瘍細胞の接種時のマウスの週齢)、体重15.7~20.7g、68匹(48匹に20匹の残りマウスを加え)のBALB/cヌードマウスを使用した。マウスは、北京維通利華実験動物技術有限公司から購入され、SPFグレードの飼育環境に飼育された。実験動物を、恒温恒湿の独立換気ボックスに、20~26oCの飼育室の温度下、40~70%湿度下、10~20回/時間で換気を行い昼と夜の明暗交替時間を12h/12hとした条件下で、飼育し、また、コバルト60放射線滅菌マウス全価ペレット飼料を継続的に供給して制限なく自由に摂取させ、高圧蒸気滅菌された水道水を飲料水ボトルに常に供水して自由に飲ませた。飼育マウスボックスとして、高圧滅菌された規格325mm×210mm×180mmのポリサルフォンマウスボックスを使用した。
【0037】
実施例1 Colo 205ヒト結腸がんモデルにおけるアズブジンとカペシタビンの併用の抗腫瘍効果に関する試験結果と考察
細胞培養
Colo 205細胞は、10%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培養液で培養した。指数増殖期のColo 205細胞を適切な濃度になるようにPBSに再懸濁してMatrigelと1:1で混合した後、マウスの皮下腫瘍接種に供し、雌マウスの右側皮下に5×10Colo 205細胞を接種し、接種当日を0日目とした。腫瘍の平均体積が110.26mmになったとき、腫瘍の大きさに基づいてランダムにグループ分けした。
【0038】
相対的腫瘍増殖率は、T/C%として表し、ある時点での治療群と対照群の相対的腫瘍体積又は腫瘍重量のパーセンテージ値であり、次の式で算出した。
有効性評価基準
T/C%=TRTV/CRTV×100%(ただし、TRTVは治療群の平均RTVで、CRTVは溶媒対照群の平均RTVであり、RTV=Vt/V0、V0はグループ分けされたときの動物の腫瘍体積で、Vtは治療後の動物の腫瘍体積である。)
又は、T/C%=TTW/CTW×100%(但し、TTWは治療群の実験終了時の平均腫瘍重量であり、CTWは溶媒対照群の実験終了時の平均腫瘍重量である)。
【0039】
相対的腫瘍抑制率は、TGI(%)として表し、次の式:
TGI%=(1-T/C)×100%(但し、TとCは、それぞれ所定の時点での治療群と対照群の相対的腫瘍体積(RTV)又は腫瘍重量(TW)である。)で算出した。
【0040】
腫瘍接種後25日目(グループ分け後20日目)に、溶媒群ではマウスの平均腫瘍体積が1465.47mmであった。被験薬単剤群であるアズブジン1mg/kg治療群では、平均腫瘍体積が985.14mmであり、対照群と比較して統計学的有意差が見られなく(p=0.540)、相対的腫瘍抑制率TGI(%)が32.43%であった。カペシタビン400mg/kg治療群では、平均腫瘍体積がそれぞれ264.96mmであり、対照群と比較して統計学的有意差が見られ(p<0.001)、相対的腫瘍抑制率TGI(%)が81.93%であった。アズブジン1mg/kgとカペシタビン400mg/kgの併用群では、平均腫瘍体積がそれぞれ144.76mmであり、対照群と比較して統計学的有意差が見られ(<0.001)、相対的腫瘍抑制率TGI(%)が90.14%であった。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
腫瘍重量抑制の結果
【0044】
【表3】
【0045】
実施例2 ヒト結腸がんLoVo細胞におけるアズブジンとカペシタビンの併用の薬力学研究
細胞培養
ヒト結腸がん細胞LoVo(カタログ番号:ECACC-87060101)をインビトロで単層培養した。培養条件は、F12K培地に10%ウシ胎児血清、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンを加え、37oC、5%COインキュベーターで培養したことにした。トリプシン-EDTAによる通常の消化を、継代のために週に2回行った。細胞の飽和度が80%~90%になって必要な数に達したら、細胞を収集し、カウントして接種した。
【0046】
LoVo細胞0.1mL(10×10)を各マウスの右背中に皮下接種し、腫瘍の平均体積が約147mmに達したときにグループに分けて投薬を開始した。
【0047】
【表4】
【0048】
実験結果
Lovo細胞皮下異種移植腫瘍BALB/cヌードマウスに被験薬を投与した後の各群の腫瘍体積変化(投与21日後)を表5に、腫瘍重量変化を表6に示す。
【0049】
【表5】
【0050】
【表6】
【0051】
この実験では、LoVo異種移植腫瘍モデルにおける被験薬のインビボ薬効を評価した。投与21日後の各群の腫瘍体積、腫瘍重量をそれぞれ表5、表6及び2に示す。投与開始21日後、ブランク対照群では、担癌マウスの腫瘍体積が1481mmに達した。被験薬アズブジン(1mg/kg)では、ブランク対照群と比較してわずかな抗腫瘍効果が見られ、腫瘍体積が902mm、T/Cが62.00%、TGIが43.40%、p値が0.086であった。被験薬カペシタビン(400mg/kg)では、ブランク対照群と比較してわずかな抗腫瘍効果が見られ、腫瘍体積が919mm、T/Cが60.94%、TGIが42.11%、p値が0.696であった。
【0052】
被験薬併用群であるアズブジン+カペシタビン(1+400mg/kg)では、ブランク対照群と比較して明らかな抗腫瘍効果が見られ、腫瘍体積が676mm、T/Cが48.18%、TGIが60.29%、p値が0.282であった。アズブジン+カペシタビンの併用投与により、このLoVo結腸直腸腫瘍における単剤カペシタビンの抗腫瘍効果を高めることができ、TGIが42.1%から60.3%に増加した。
【0053】
実施例3 ヒトバーキットリンパ腫細胞Daudiの皮下異種移植腫瘍モデルに対するアズブジンとシクロホスファミドの併用のインビボ薬力学
ヒトバーキットリンパ腫細胞Daudi(カタログ番号:DSMZ-ACC129)をインビトロで浮遊培養した。培養条件は、RPMI 1640培地に10%ウシ胎児血清、2mMのグルタミン、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンを加え、37oC、5%COインキュベーターで培養したことにした。細胞の飽和度が80%~90%になって必要な数に達したら、細胞を収集し、カウントして接種した。
【0054】
腫瘍細胞の接種
Daudi細胞(マトリゲル添加、体積比1:1)0.2mL(10×10)を各マウスの右背中に皮下接種し、腫瘍の平均体積が約100mmに達したときグループに分けて投薬を開始した。
【0055】
【表7】
【0056】
実験結果
Daudi細胞皮下異種移植腫瘍CB 17 SCIDマウスに被験薬を投与した後の各群の腫瘍体積、腫瘍重量の変化を表8、表9に示す。
【0057】
【表8】
【0058】
【表9-1】
【0059】
この実験では、Daudi異種移植腫瘍モデルにおける被験薬のインビボ薬効を評価した。異なる時点での各群の腫瘍体積を表8、表9-1に示す。投与開始27日後、ブランク対照群では、担癌マウスの腫瘍体積が2,895mmに達した。被験薬アズブジン(1mg/kg)では、ブランク対照群と比較して明らかな抗腫瘍効果が見られ、腫瘍体積がそれぞれ909mm、T/Cが30.64%、TGIが71.09%、p値が<0.0001であった。被験薬シクロホスファミド(50mg/kg)では、ブランク対照群と比較して明らかな抗腫瘍効果が見られ、腫瘍体積がそれぞれ263mm、T/Cが8.83%、TGIが94.17%、p値が<0.0001であった。被験薬併用群であるアズブジン+シクロホスファミド(1+50mg/kg)では、ブランク対照群と比較して明らかな抗腫瘍効果が見られ、腫瘍体積が13mm、T/Cが0.42%、TGIが103.15%、p値が<0.0001であった。
【0060】
この実験では、被験薬アズブジン(1mg/kg)とシクロホスファミドの併用により、このヒトバーキットリンパ腫細胞Daudiにおける単剤CTXの抗腫瘍効果を高めることができ、TGIが94.17%から103.15%に増加した。
【0061】
実施例4 ヒト急性リンパ芽球性白血病細胞MOLT4の細胞皮下異種移植腫瘍モデルに対するアズブジンとシクロホスファミドの併用のインビボ薬力学研究
細胞培養
ヒト急性リンパ芽球性白血病細胞MOLT4(カタログ番号:ECACC-85011413)をインビトロで浮遊培養した。培養条件は、RPMI1640培地に10%ウシ胎児血清、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンを加え、37oC、5%COインキュベーターで培養したことにした。細胞の飽和度が80%~90%になって必要な数に達したら、細胞を収集し、カウントして接種した。
【0062】
腫瘍細胞の接種
MOLT4細胞(マトリゲル添加、体積比1:1)0.2mL(10×10個)を各マウスの右背中に皮下接種し、腫瘍の平均体積が約148mmに達したときにグループに分けて投薬を開始した。
【表9-2】
【0063】
MOLT4細胞皮下異種移植腫瘍SCID Beigeマウスに被験薬を投与した後の各群の腫瘍体積及び重量の変化を表10、表11に示す。
【0064】
【表10】
【0065】
【表11】
【0066】
この実験では、MOLT4異種移植腫瘍モデルにおける被験薬のインビボ薬効を評価した。異なる時点での各群の腫瘍体積を表10、表11に示す。投与開始28日後、ブランク対照群では、担癌マウスの腫瘍体積が2,896mmに達した。被験薬アズブジン(1mg/kg)では、ブランク対照群と比較して抗腫瘍効果が見られ、腫瘍体積が979mm、T/Cが33.89、TGIが69.73%、p値<0.0001であった。シクロホスファミドCTX(50mg/kg)では、ブランク対照群と比較して明らかな抗腫瘍効果が見られ、腫瘍体積が716mm、T/Cが24.53%、TGIが79.34%、p値が<0.0001であった。被験薬併用群であるアズブジン+シクロホスファミド(1+50mg/kg)では、ブランク対照群と比較して明らかな抗腫瘍効果が見られ、腫瘍体積が253mm、T/Cが8.75%、TGIが96.14%、p値が<0.001であった。被験薬併用群における腫瘍重量の分析及び統計結果は、腫瘍体積のデータと基本的に合致している。
【0067】
この実験では、被験薬アズブジン(1mg/kg)、シクロホスファミド(50mg/kg)及びアズブジン+シクロホスファミド(1+50mg/kg)は、試験用量でMOLT4異種移植腫瘍の増殖に対して有意な抑制効果を示した。この実験では、被験薬アズブジン(1mg/kg)とシクロホスファミドの併用により、MOLT4ヒト急性淋巴母細胞白血病腫瘍における単剤シクロホスファミドの抗腫瘍効果を高めることができ、TGIが79.34%から96.14%に増加した。
【0068】
実施例5 ヒト卵巣がんOVCAR-8腫瘍モデルにおけるアズブジンとパクリタキセルの併用の有効性評価
OVCAR-8細胞を10%ウシ胎児血清を含むRPMI1640培養液で培養した。指数増殖期のOVCAR-8細胞を採取し、適切な濃度になるようにPBSに再懸濁してMatrigelと1:1で混合した後、マウスの皮下腫瘍接種に供した。
【0069】
雌マウスの右側皮下に1×10OVCAR-8細胞を接種した。腫瘍の平均体積が174.25mmになったとき、腫瘍の大きさに基づいてランダムにグループ分けした。
【0070】
この実験に用いられた動物実験の実験方案は、CrownBio IACUC委員会によって審査及び承認された。実験中、動物実験はAAALACの要件に従って実行された。腫瘍接種後に、腫瘍の増殖及び治療が動物の正常な行動に対して与える影響を含む定期的なモニタリングを行い、具体的には、実験動物の活動性、摂食と飲水状況、体重の増減(週2回体重測定)、目、被毛及び他の異常常態をモニタリングした。実験中に観察された臨床症状を生データとして記録した。腫瘍体積は、腫瘍体積(mm)=1/2×(a×b)(ただし、aは長径、bは短径を表す)で算出した。
【0071】
相対的腫瘍増殖率は、T/C%として表し、ある時点での治療群と対照群の相対的腫瘍体積又は腫瘍重量のパーセンテージ値であり、次の式で算出した。
T/C%=TRTV/CRTV×100%(ただし、TRTVは治療群の平均RTVで、CRTVは溶媒対照群の平均RTVであり、RTV=V/V、Vはグループ分けされたときの動物の腫瘍体積で、Vは治療後の動物の腫瘍体積である。)
又は、T/C%=TTW/CTW×100%(ただし、TTWは治療群の実験終了時の平均腫瘍重量で、CTWは溶媒対照群の実験終了時の平均腫瘍重量である。)
【0072】
相対的腫瘍抑制率は、TGI(%)として表し、次の式:
TGI%=(1-T/C)×100%(ただし、TとCは、それぞれ治療群と対照群のある特定の時点での相対的腫瘍体積(RTV)又は腫瘍重量(TW)である)で算出した。
【0073】
異なる治療群におけるある日の腫瘍体積を比較するために、まず、バートレット検定(Bartlett's test)にてすべての群間の等分散性の仮定を検証した。バートレット検定のp値が0.05以上である場合、一元配置分散分析は、すべての群の平均値が等しいかどうかを検定するために使用された。一元配置分散分析のp値が0.05未満である場合、テューキーのHSD検定にてすべての群間のペアワイズ比較を行うか、又はダネットの検定(Dunnett's test)にて各治療群と対照群の間のペアワイズ比較を行った。バートレット検定のp値が0.05未満である場合、クラスカル・ウォリス検定(Kruskal-Wallis test)は、すべての群の中央値が等しいかどうかを検定するために使用された。クラスカル・ウォリス検定のp値が0.05未満である場合、コノバー検定(Conover test)にてすべて群間のペアワイズ比較を行うか、又は各治療群と対照群の間のペアワイズ比較を行い、また複数の検定のグループ数に基づいて対応するp値の補正を行った。
【0074】
さらに、探索的データ分析の目的で、任意の時点ですべての群間のペアワイズ比較を行った。この比較では、特定の時点で比較される2つの群の腫瘍体積データのみを使用したため、複数の検定の補正は必要ではなかった。まず、バートレット検定を使用して2つの群間の等分散性の仮定を検証し、バートレット検定のp値が0.05以上である場合、ウェルチのt検定(Welch's t test)にて2つの群の平均値が等しいかどうかを比較したが、バートレット検定のp値が0.05未満である場合、マン・ホイットニーのU検定(Mann-Whitney U test)にて2つの群の中央値が等しいかどうかを比較した。
【0075】
すべての統計分析及びグラフ化は、R言語環境(バージョン3.3.1版)で実行された。特に明記しない限り、すべての検定は両側検定であり、p値が0.05未満の場合は統計的に有意であると見なされた。
【0076】
実験結果
投与後34日目に、溶媒対照群では、腫瘍体積が558.68mmであった。被験薬アズブジン1mg/kg治療群、陽性薬パクリタキセル15mg/kg治療群、性薬アバスチン10mg/kg治療群では、平均腫瘍体積がそれぞれ460.67mm、403.40mm、456.04mmであり、対照群と比較して統計学的有意差が見られなく(p=0.952、0.769及び0.957)、相対的腫瘍抑制率TGI(%)がそれぞれ18.09%、26.49%及び17.70%であった。被験薬アズブジン1mg/kgとパクリタキセル15mg/kgを併用した治療群では、平均腫瘍体積が157.34mmであり、対照群と比較して統計学的有意差が見られ(p=0.00707)、相対的腫瘍抑制率TGI(%)が71.57%であった。被験薬アズブジンとパクリタキセルを併用投与したところ、パクリタキセル単剤の抗腫瘍効果が有意に改善された(TGIが26.5%であった)。被験薬アズブジン1mg/kgとアバスチン10mg/kgを併用した治療群では、平均腫瘍体積が294.36mmであり、対照群と比較して統計学的有意差が見られ(p=0.140)、相対的腫瘍抑制率TGI(%)が48.61%であった。被験薬アズブジンとアバスチンを併用投与したところ、アバスチン単剤の抗腫瘍効果が有意に改善された(TGIが17.70%であった)。各治療群と対照群の腫瘍増殖状況を表12に示す。
【0077】
【表12】
【0078】
実施例6 ヒト黒色腫A2058細胞の皮下異種移植腫瘍モデルに対するアズブジンとダカルバジンの併用のインビボ薬力学研究
ヒト黒色腫細胞A2058(カタログ番号:CRL-11147)をインビトロで単層培養した。培養条件は、DMEM培地に10%ウシ胎児血清、100U/mLのペニシリン及び100μg/mLのストレプトマイシンを加え、37oC、COインキュベーターで培養したことにした。トリプシン-EDTAによる通常の消化を、継代のために週に2回行った。細胞の飽和度が80%~90%になって必要な数に達したら、細胞を収集し、カウントして接種した。
【0079】
腫瘍細胞の接種
マトリゲル添加A2058細胞0.2mL(5×10)を各マウスの右背中に皮下接種し、腫瘍の平均体積が約136mmに達したときにグループに分けて投薬を開始した。
実験結果の分析
【0080】
【表13】
【0081】
この実施例では、A2058異種移植腫瘍モデルにおける被験薬のインビボ薬効を評価した。異なる時点での各群の腫瘍体積を表13に示す。投与開始14日後、ブランク対照群では、担癌マウスの腫瘍体積が2724mmに達した。被験薬アズブジン(1mg/kg)では、ブランク対照群と比較してわずかな抗腫瘍効果が見られ、腫瘍体積が2253mm、T/Cが79.67%、TGIが18.22%、p値が0.518であった。ダカルバジン(60mg/kg)では、ブランク対照群と比較して抗腫瘍効果が見られ、腫瘍体積が1255mm、T/Cが44.77%、TGIが56.74%、p値が0.002であった。被験薬併用群であるアズブジン+ダカルバジン(1+60mg/kg)では、ブランク対照群と比較して明らかな抗腫瘍効果が見られ、腫瘍体積が910mm、T/Cが31.52%、TGIが70.07%、p値が<0.001であった。
【0082】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、これらは単なる例であり、本発明の原理及び要旨から逸脱することなく、これらの実施形態に対して様々な変更や修正を加え得ることは、当業者なら理解すべきである。従って、本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されるものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7