(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125144
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】光照射デバイスおよび光照射システム
(51)【国際特許分類】
A61N 5/06 20060101AFI20240906BHJP
A61N 5/067 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A61N5/067
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023130847
(22)【出願日】2023-08-10
(62)【分割の表示】P 2023535883の分割
【原出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】323003506
【氏名又は名称】イルミメディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166785
【弁理士】
【氏名又は名称】大川 智也
(72)【発明者】
【氏名】塚本 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和秀
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA01
4C082PA02
4C082PA03
4C082PC10
4C082PG13
4C082PJ30
4C082RA02
4C082RE16
4C082RE21
4C082RE58
4C082RJ03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】長尺状である本体の軸方向に交差する方向に向けて、簡易な構成で効率良く光を出射することが可能な光照射デバイスを提供する。
【解決手段】光照射デバイス2は、長尺状である医療用の光照射デバイスであって、光源によって出射された光を先端部まで伝送する光ファイバ210を備える。光ファイバ210の先端部は、先端部が接続される基端部の軸方向に対して屈曲した屈曲部220に形成されている。光照射デバイス2は、光ファイバ210における屈曲部220の先端から光を出射することで、基端部の軸方向に交差する方向に光を出射する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状であり、最先端部から光を出射する医療用の光照射デバイスであって、
光源によって出射された光を先端部まで伝送する光ファイバを備え、
前記光ファイバの先端部は、前記先端部が接続される基端部の軸方向に対して屈曲した屈曲部に形成されると共に、前記屈曲部の最先端部が、前記光照射デバイスにおいて光が出射される最先端部となり、
前記光ファイバにおける前記屈曲部の前記最先端部から光を出射することで、前記基端部の軸方向に交差する方向に光を出射することを特徴とする光照射デバイス。
【請求項2】
請求項1に記載の光照射デバイスであって、
前記光照射デバイスの先端部の全体が前記軸方向に対して屈曲することで、前記光ファイバの前記先端部が屈曲することを特徴とする光照射デバイス。
【請求項3】
請求項2に記載の光照射デバイスであって、
前記光照射デバイスにおける前記先端部の屈曲部位の少なくとも一部に、放射線不透過性を有する屈曲部マーカー部を備えることを特徴とする光照射デバイス。
【請求項4】
請求項1に記載の光照射デバイスであって、
前記光ファイバの前記屈曲部における前記最先端部は、切断面が前記基端部の軸から遠ざかる方向を向くように斜めに切断されていることを特徴とする光照射デバイス。
【請求項5】
請求項1に記載の光照射デバイスであって、
前記光ファイバの先端から前記光照射デバイスの外部へ光が出射される時点における光照射密度が、100W/cm2以上10000W/cm2以下であることを特徴とする光照射デバイス。
【請求項6】
請求項1に記載の光照射デバイスであって、
前記屈曲部が位置する部位の少なくとも一部の剛性を高める剛性付与部をさらに備えたことを特徴とする光照射デバイス。
【請求項7】
請求項6に記載の光照射デバイスであって、
前記剛性付与部は、前記屈曲部の前記最先端部から出射される光を透過する材質によって、少なくとも前記屈曲部の前記最先端部を覆う先端剛性付与部を含むことを特徴とする光照射デバイス。
【請求項8】
請求項6に記載の光照射デバイスであって、
前記剛性付与部は、前記屈曲部のうち、前記最先端部よりも基端側に設けられた基端剛性付与部を含むことを特徴とする光照射デバイス。
【請求項9】
請求項1に記載の光照射デバイスであって、
磁界内に置かれることで発生する磁力によって、生体内における前記屈曲部の位置および方向の少なくとも一方を案内する磁性部材をさらに備えたことを特徴とする光照射デバイス。
【請求項10】
医療用の光照射システムであって、
長尺管形状に形成されたカテーテルと、
長尺状であり、前記カテーテルの内腔に挿入されると共に、最先端部から光を出射する光照射デバイスと、
を備え、
前記光照射デバイスは、光源によって出射された光を先端部まで伝送する光ファイバを備え、
前記光ファイバの先端部は、前記先端部が接続される基端部の軸方向に対して屈曲した屈曲部に形成されると共に、前記屈曲部の最先端部が、前記光照射デバイスにおいて光が出射される最先端部となり、
前記光ファイバにおける前記屈曲部の前記最先端部から光を出射することで、前記基端部の軸方向に交差する方向に光を出射することを特徴とする光照射システム。
【請求項11】
請求項10に記載の光照射システムであって、
前記カテーテルは、内周面から内側に向けて突出することで、内腔を押し進められた前記光照射デバイスの前記屈曲部に接触して前記屈曲部の姿勢を保持する姿勢保持部を備えたことを特徴とする光照射システム。
【請求項12】
請求項11に記載の光照射システムであって、
前記姿勢保持部のうち基端側を向く面は、前記カテーテルの内側に向かう程基端側に近づく方向に傾斜していることを特徴とする光照射システム。
【請求項13】
請求項11に記載の光照射システムであって、
前記姿勢保持部の少なくとも一部に、放射線不透過性を有する突起マーカー部を備えることを特徴とする光照射システム。
【請求項14】
請求項11に記載の光照射システムであって、
前記カテーテルを軸方向から見た場合に、複数の前記姿勢保持部が、前記カテーテルの前記内周面のうち、周方向の角度が互いに異なる複数の位置に設けられていることを特徴とする光照射システム。
【請求項15】
請求項14に記載の光照射システムであって、
複数の前記姿勢保持部が、前記カテーテルの軸方向に互いに離間した複数の位置に設けられていることを特徴とする光照射システム。
【請求項16】
請求項15に記載の光照射システムであって、
複数の前記姿勢保持部の各々の、前記カテーテルの内周面から内側端部までの長さが、前記カテーテルの内径の1/2以下であることを特徴とする光照射システム。
【請求項17】
請求項10に記載の光照射システムであって、
前記カテーテルまたは前記光照射デバイスの先端部へ入射した光を光センサへ伝送する光検出用伝送部材、または、前記先端部に設けられた光センサをさらに備えたことを特徴とする光照射システム。
【請求項18】
請求項10に記載の光照射システムであって、
前記カテーテルは、複数の温度センサをさらに備え、
前記複数の温度センサの各々の温度の測定位置が、前記カテーテルにおける複数の部位の各々に配置されていることを特徴とする光照射システム。
【請求項19】
請求項10に記載の光照射システムであって、
前記カテーテルは、基端側から先端側へかけて延びる配線をさらに備え、
前記配線が螺旋状に配置されていることを特徴とする光照射システム。
【請求項20】
請求項10に記載の光照射システムであって、
前記カテーテルのうち、少なくとも前記光照射デバイスの前記最先端部から出射される光を透過させる部位は、熱伝導率が0.1W/m・K以上の材質によって形成されていることを特徴とする光照射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生体管腔内に挿入されて光を照射する光照射デバイスおよび光照射システムに関する。
【背景技術】
【0002】
疾患を治療する技術の1つとして、PDT(Photodynamic Therapy:光線力学的療法)が知られている。PDTでは、光感受性物質が生体に投与された後、生体に対して光が照射される。その結果、癌細胞で発生する活性酸素によって癌細胞が死滅する可能性がある。しかし、PDTでは、光感受性物質を癌細胞に選択的に集積させることが困難である。光感受性物質が正常な細胞に取り込まれることに起因する副作用の発生が、PDTの課題となっている。
【0003】
これに対し、近年、NIR-PIT(Near-infrared photoimmunotherapy:近赤外光線免疫療法)が提案されている。NIR-PITでは、癌細胞の特異的な抗原に対する抗体と、光感受性物質の2つの化合物を結合させた複合体が用いられる。複合体は、生体に投与されると、体内のがん細胞に選択的に集積され易い。その後、複合体中の光感受性物質の励起波長(例えば、690nmを含む波長等)の光が照射されることで、複合体が活性化される(例えば、特許文献1等参照)。NIR-PITでは、抗体によって複合体が選択的に癌細胞に集積され、且つ、癌細胞へ局所的に光が照射されると、PDTに比べて副作用が発生し難くなる。
【0004】
690nmを含む波長域は、生体の分光学的窓とも言われ、他の波長域に比べて生体成分による光の吸収が少ない波長域である。一方で、690nmを含む波長域の光は、体表から照射されても体内まで浸透し難いので、体表からの照射では体内深部の癌を治療することは困難である。
【0005】
そこで、体表からの光の照射ではなく、より癌細胞に近い位置から光を照射するための技術が提案されている。例えば、特許文献2に記載の光照射デバイスは、外部に設けられた光源が出射した光を、光ファイバによって先端まで伝送したうえで、側面の一方向に向けて出射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2014-523907号公報
【特許文献2】特開2018-867号公報
【発明の概要】
【0007】
特許文献2に記載の光照射デバイスでは、光源が出射した光を伝送する光ファイバの軸方向は、光照射デバイスの軸方向に対して先端部まで一致している。つまり、光ファイバの先端部の軸方向と、光照射デバイスの軸方向は平行となっている。従って、特許文献2の光照射デバイスでは、軸方向に対して交差する方向(側方)に光を出射させるために、光ファイバのコアと光照射デバイスの側面の一部を接続する樹脂体、または、軸方向に出射された光を側方に反射させるミラー等を設ける必要がある。その結果、光照射デバイスの先端部の構成が複雑になる。さらに、樹脂体等を光が通過する際に、光のエネルギーロスも生じやすくなる。従って、軸方向に交差する方向に向けて、簡易な構成で効率良く光を出射することは、従来の光照射デバイスでは困難であった。
【0008】
本開示の典型的な目的は、長尺状である本体の軸方向に交差する方向に向けて、簡易な構成で効率良く光を出射することが可能な光照射デバイスおよび光照射システムを提供することである。
【0009】
本開示における典型的な実施形態が提供する光照射デバイスは、長尺状であり、最先端部から光を出射する医療用の光照射デバイスであって、光源によって出射された光を先端部まで伝送する光ファイバを備え、前記光ファイバの先端部は、前記先端部が接続される基端部の軸方向に対して屈曲した屈曲部に形成されると共に、前記屈曲部の最先端部が、前記光照射デバイスにおいて光が出射される最先端部となり、前記光ファイバにおける前記屈曲部の前記最先端部から光を出射することで、前記基端部の軸方向に交差する方向に光を出射する。
【0010】
本開示における典型的な実施形態が提供する光照射システムは、医療用の光照射システムであって、長尺管形状に形成されたカテーテルと、長尺状であり、前記カテーテルの内腔に挿入されると共に、最先端部から光を出射する光照射デバイスと、を備え、前記光照射デバイスは、光源によって出射された光を先端部まで伝送する光ファイバを備え、前記光ファイバの先端部は、前記先端部が接続される基端部の軸方向に対して屈曲した屈曲部に形成されると共に、前記屈曲部の最先端部が、前記光照射デバイスにおいて光が出射される最先端部となり、前記光ファイバにおける前記屈曲部の前記最先端部から光を出射することで、前記基端部の軸方向に交差する方向に光を出射する。
【0011】
本開示に係る光照射デバイスおよび光照射システムによると、長尺状である本体の軸方向に交差する方向に向けて、簡易な構成で効率良く光が出射される。
【0012】
本開示の光照射デバイスは、長尺状であり、最先端部から光を出射する医療用の光照射デバイスである。光照射デバイスは、光源によって出射された光を先端部まで伝送する光ファイバを備える。光ファイバの先端部は、先端部が接続される基端部の軸方向に対して屈曲した屈曲部に形成されている。光ファイバにおける屈曲部の最先端部が、光照射デバイスにおいて光が出射される最先端部となる。光照射デバイスは、光ファイバにおける屈曲部の最先端部から光を出射することで、基端部の軸方向に交差する方向に光を出射する。
【0013】
本開示の光照射デバイスによると、光ファイバにおける屈曲部の最先端部から、基端部の軸方向に対して交差する方向へ、光が直接出射される。従って、光照射デバイスの先端部の構成が複雑になることを抑制しつつ、軸方向に対して交差する方向への光の出射が実現される。さらに、光ファイバの屈曲部の最先端部から、光照射デバイスの外部へ直接光が出射されるので、光の出射方向を調整するための樹脂体等を設ける場合に比べて、光のエネルギーロスも生じにくくなる。よって、長尺状である光照射デバイスの本体の軸方向に交差する方向へ向けて、簡易な構成で効率良く光が出射される。
【0014】
なお、光照射デバイスが備える光ファイバの数は、1つでもよいし複数でもよい。複数の光ファイバが用いられる場合、複数の光ファイバの先端部が屈曲部として形成されることで、光照射デバイス本体の軸方向に交差する方向に向けて適切に光が出射される。
【0015】
また、複数の光ファイバが用いられる場合、複数の光ファイバの一部を、光の照射位置の照準を定めるエイミング光を伝達するエイミング光伝達部として使用してもよい。この場合、医療従事者は、エイミング光が照射される位置を確認することで、治療のための光の照射位置を適切に定めることができる。
【0016】
光ファイバの先端部と共に、光照射デバイスの先端部の全体が軸方向に対して屈曲していてもよい。この場合、医療従事者は、光照射デバイスの先端部の屈曲方向を把握することで、光が出射される方向を適切に把握することができる。従って、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0017】
ただし、光照射デバイスの先端部は屈曲させずに、光照射デバイスが備える光ファイバの先端部のみを屈曲させることも可能である。この場合でも、長尺状である光照射デバイスの本体の軸方向に交差する方向へ向けて、簡易な構成で効率良く光が出射される。
【0018】
光照射デバイスにおける先端部の屈曲部位の少なくとも一部に、放射線不透過性を有する屈曲部マーカー部が設けられていてもよい。この場合、医療従事者(例えば医師等)は、放射線(例えばX線等)を利用して生体内部を撮影しながら、光照射デバイスによって生体組織に光を照射させる際に、撮影画像に表れる屈曲部マーカー部を確認することで、先端部の位置および屈曲方向(つまり、光が出射される方向)を適切に把握することができる。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0019】
光ファイバの屈曲部における最先端部は、切断面が光ファイバの基端部の軸から遠ざかる方向を向くように、斜めに切断されていてもよい。この場合、切断面を軸に対して垂直とする場合に比べて、切断面において露出される光ファイバのコアの断面積が増加する。従って、コアの径が大きい光ファイバを採用しなくても、光が出射されるコアの断面積が確保され易くなる。よって、光照射デバイスの小型化が容易になる。
【0020】
光ファイバの先端から光照射デバイスの外部へ光が出射される時点における光照射密度が、100W/cm2以上10000W/cm2以下であってもよい。この場合、光感受性物質に光を照射することによる治療効果が適切に得られ易くなる。
【0021】
なお、光照射デバイスから外部へ光が出射される時点における光照射密度は、より望ましくは500W/cm2以上5000W/cm2以下、さらに望ましくは800W/cm2以上2000W/cm2以下であってもよい。一例として、本開示では、光照射デバイスから外部へ光が出射される時点における光照射密度は、約1273W/cm2とされる。
また、光照射密度の上記の条件は、光照射デバイスが備える光ファイバの数に関わらず適用できる。例えば、複数の光ファイバから同時に光を出射させて光を合波させる場合には、合波された光の光照射密度の条件が、上記の条件とされてもよい。
【0022】
光照射デバイスは、屈曲部が位置する部位の少なくとも一部の剛性を高める剛性付与部をさらに備えてもよい。剛性付与部を設けることで、例えば、光ファイバの基端部の軸方向に対する屈曲部の角度を安定させることも可能である。また、屈曲部の回転操作および押し込み操作等が行われる場合に、意図しない屈曲部の角度変化等が生じる可能性が、剛性付与部によって低下する。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0023】
剛性付与部は、屈曲部の最先端部から出射される光を透過する材質によって、少なくとも屈曲部の最先端部を覆う先端剛性付与部を含んでいてもよい。この場合、屈曲部の先端の剛性が、先端剛性付与部によって高められると共に、屈曲部の最先端部から出射された光が、先端剛性付与部を透過して生体組織に照射される。よって、屈曲部の回転操作および押し込み操作等の操作性が向上し易くなる。
【0024】
剛性付与部は、屈曲部のうち、最先端部よりも基端側に設けられた基端剛性付与部を含んでいてもよい。この場合、屈曲部の最先端部よりも基端側に、意図しない角度変化等が生じる可能性が適切に低下する。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0025】
なお、基端剛性付与部の材質は、光透過性を有する材質である必要は無い。従って、基端剛性付与部の材質には多くの材質を採用できる。例えば、基端剛性付与部の材質には、先端剛性付与部の材質よりも高い剛性を有する材質(例えば金属等)が用いられてもよい。この場合、先端剛性付与部は、光の透過と剛性の付与を両立させつつ、基端剛性付与部は、屈曲部の角度変化等の可能性をさらに低下させる。よって、より適切に治療が行われ易くなる。
【0026】
光照射デバイスは、磁界内に置かれることで発生する磁力によって、生体内における屈曲部の位置および方向の少なくとも一方を案内する磁性部材をさらに備えてもよい。この場合、光照射デバイスが生体内に挿入された状態で、光照射デバイスの屈曲部の位置および方向の少なくともいずれかが適切に案内される。よって、より適切に治療が行われ易くなる。
【0027】
また、光照射デバイスは、無線給電によって発光することで屈曲部の位置を示す発光部材を、先端部に備えてもよい。発光部材の少なくとも一部が磁性部材によって構成されていてもよい。この場合、発光部材を発光させることで、光照射デバイスの屈曲部の位置および方向が示されるだけでなく、発光部材に磁力を発生させることで、屈曲部の位置および方向の少なくとも一方を案内することも可能である。また、磁性部材は、前述した剛性付与部を兼用することも可能である。この場合、部品点数が増加することが抑制された状態で、複数の有用な機能が光照射デバイスに付与される。
【0028】
本開示の光照射システムは、カテーテルおよび光照射デバイスを備える。カテーテルは、長尺管形状に形成されており、可撓性を有する。光照射デバイスは、長尺状であり、カテーテルの内腔に挿入されると共に、最先端部から光を出射する。光照射デバイスは、光源によって出射された光を先端部まで伝送する光ファイバを備える。光ファイバの先端部は、先端部が接続される基端部の軸方向に対して屈曲した屈曲部に形成されている。光ファイバにおける屈曲部の最先端部が、光照射デバイスにおいて光が出射される最先端部となる。光照射システムは、光ファイバにおける屈曲部の最先端部から光を出射することで、基端部の軸方向に交差する方向に光を出射する。
【0029】
本開示の光照射システムによると、光ファイバにおける屈曲部の最先端部から、基端部の軸方向に対して交差する方向へ、光が直接出射される。従って、光照射デバイスの先端部の構成が複雑になることを抑制しつつ、軸方向に対して交差する方向への光の出射が実現される。さらに、光ファイバの屈曲部の最先端部から、光照射デバイスの外部へ直接光が出射されるので、光の出射方向を調整するための樹脂体等を設ける場合に比べて、光のエネルギーロスも生じにくくなる。よって、長尺状である光照射デバイスの本体の軸方向に交差する方向へ向けて、簡易な構成で効率良く光が出射される。なお、光照射システムにおいて使用する光照射デバイスの構成には、前述した光照射デバイスの複数の構成の少なくともいずれかを採用することが可能である。
【0030】
長尺管形状であるカテーテルの内周面に、姿勢保持部が設けられていてもよい。姿勢保持部は、カテーテルの内周面から内側に向けて突出することで、カテーテルの内腔を押し進められた光照射デバイスの屈曲部に接触し、屈曲部の姿勢を保持する。この場合、光照射デバイスの屈曲部が姿勢保持部に接触することで、屈曲部がカテーテル内の適切な位置で適切な角度に保持される。従って、屈曲部の最先端部から出射される光が、生体組織における目標の位置に対してより正確に照射され易くなる。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0031】
姿勢保持部のうち基端側を向く面は、カテーテルの内側に向かう程基端側に近づく方向に傾斜していてもよい。この場合、姿勢保持部の基端側を向く面に屈曲部が接触することで、屈曲部の角度が、光ファイバの基端部の軸方向に対して、より確実に傾斜し易くなる。よって、軸方向に交差する方向への光の照射が、さらに適切に行われ易くなる。
【0032】
前記カテーテルは、姿勢保持部の少なくとも一部に、放射線不透過性を有する突起マーカー部を備えていてもよい。この場合、医療従事者(例えば医師等)は、放射線(例えばX線等)を利用して生体内部を撮影しながら、光照射デバイスによって生体組織にレーザ光を照射させる際に、撮影画像に表れる突起マーカー部の位置を確認することで、光照射デバイスの屈曲部を接触させる姿勢保持部の位置を適切に把握することができる。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0033】
カテーテルを軸方向から見た場合に、複数の姿勢保持部が、カテーテルの内周面のうち、周方向の角度が互いに異なる複数の位置に設けられていてもよい。この場合、医療従事者は、周方向の位置が異なる複数の姿勢保持部のうち、光を出射させたい方向に位置する姿勢保持部を選択して光照射デバイスの屈曲部を接触させることで、光の照射方向を容易且つ正確に調整することができる。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0034】
複数の姿勢保持部が、カテーテルの軸方向に互いに離間した複数の位置に設けられていてもよい。この場合、医療従事者は、目標とする姿勢保持部の軸方向の位置を把握したうえで、光照射デバイスの屈曲部を軸方向に押し進めることで、目標とする姿勢保持部に屈曲部を容易に接触させることができる。
【0035】
なお、複数の姿勢保持部を配置する方法の詳細は、適宜選択できる。例えば、長尺管形状であるカテーテルの内周面に、複数の姿勢保持部が螺旋状に沿って配置されていてもよい。この場合、医療従事者は、複数の姿勢保持部のうち、屈曲部を接触させる目標とする姿勢保持部をより容易に選択することができる。また、複数の姿勢保持部の軸方向における位置を一致させることも可能である。また、カテーテルの内周面に姿勢保持部を1つだけ設けることも可能である。
【0036】
複数の姿勢保持部の各々の、カテーテルの内周面から内側端部までの長さが、カテーテルの内径の1/2以下であってもよい。この場合、医療従事者は、特定の姿勢保持部よりも軸方向先端側の姿勢保持部に屈曲部を接触させる際に、特定の姿勢保持部に屈曲部が接触することを避けて、光照射デバイスを先端側に押し進めることができる。従って、カテーテル内で光照射デバイスを推し進める際の操作性が向上する。
【0037】
カテーテルまたは光照射デバイスの先端部へ入射した光を光センサへ伝送する光検出用伝送部材、または、先端部に設けられた光センサをさらに備えてもよい。この場合、光照射システムの先端部へ入射する光の状態が、光センサによって適切に検出される。なお、先端部へ入射した光を光センサへ伝送する光検出用伝送部材が設けられる場合、光照射デバイスの先端部の構成が複雑になることが抑制された状態で、先端部における光の状態が適切に検出される。また、カテーテルまたは光照射デバイスの先端部に光センサが設けられる場合、先端部における光の状態が、先端部の光センサによって直接検出される。つまり、光が伝送される過程で生じ得る光の特定の変化が生じにくい。よって、より正確に光の状態が検出され易くなる。
【0038】
なお、光センサとは別で、または光センサと共に、他のセンサが光照射デバイスの先端部に設けられてもよい。例えば、カテーテルの先端部近傍に温度センサが設けられてもよい。この場合、カテーテルの先端部近傍における温度が適切に検出される。よって、例えば、光が出射されることに起因する温度上昇等が適切に把握される。
【0039】
カテーテルは、複数の温度センサを備えていてもよい。複数の温度センサの各々の温度の測定位置は、カテーテルにおける複数の部位の各々に配置されていてもよい。この場合、複数の測定位置の各々における温度の検出結果に基づいて有用な情報が得られる。例えば、複数の測定位置のいずれが、他の測定位置に比べて高い温度となっているかを確認することで、光照射デバイスによって光が照射されている方向を確認することも可能である。また、医療従事者は、各測定位置における温度をより正確に把握することで、治療の精度を向上させることも可能である。
【0040】
カテーテルは、基端側から先端側へかけて延びる配線をさらに備えていてもよい。配線の少なくともいずれかは、カテーテルにおいて螺旋状に配置されていてもよい。配線が螺旋状に配置されることで、配線が軸線方向に沿って真っ直ぐに配置される場合に比べて、長尺管形状であるカテーテルの剛性が適切に確保され易くなる。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0041】
なお、螺旋状に配置する配線は適宜選択できる。例えば、温度センサ(例えば熱電対等)の配線が螺旋状に設けられていてもよい。また、複数の温度センサの測定位置(測定点)をカテーテルに配置する場合、螺旋状に配置された配線の複数の位置の各々に、温度センサの測定位置が配置されてもよい。この場合、長尺状であるカテーテルの軸線方向および周方向の各々について、複数の温度センサの測定位置を容易且つ適切に配置することが可能である。
【0042】
また、少なくともいずれかの配線が、放射線不透過性を有する材質を含んでいてもよい。この場合、放射線撮影によって、長尺状であるカテーテルの位置が適切に把握され易くなる。なお、放射線不透過性を有する配線が螺旋状に配置されている場合には、カテーテルの位置はさらに把握され易くなる。
【0043】
カテーテルのうち、少なくとも光照射デバイスの最先端部から出射される光を透過させる部位は、熱伝導率が0.1W/m・K以上の材質によって形成されていてもよい。この場合、例えば、血流または生理食塩水等によって光照射デバイスの先端部が冷却され易くなる。よって、光を出射することで生じる熱によって種々の不具合が生じる可能性が低下する。その結果、より適切に治療が行われ易くなる。
【0044】
カテーテルは、先端側に接合されたカテーテル先端チップをさらに備えていてもよい。カテーテル先端チップには、カテーテルの軸線方向に貫通する貫通穴が、光照射デバイスの径よりも小さい径で形成されていてもよい。カテーテル先端チップの少なくとも一部は、放射線不透過性を有する材質によって形成されていてもよい。この場合、医療従事者(例えば医師等)は、放射線による撮影画像に表れる先端チップの位置を把握することで、カテーテルの位置を適切な位置に配置することができる。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。なお、カテーテル先端チップとは別で、カテーテルの先端部に放射性不透過性を有するマーカー部を設ける場合でも、カテーテル先端の位置の把握は容易になる。
【0045】
光源は、波長300nm以上2000nm以下の光を出射してもよい。より望ましくは、光源は、波長600nm以上1000nm以下のレーザ光を出射してもよい。この場合、本開示の光照射デバイスを、光感受性物質を用いた疾患の治療に用いることで、治療効果が適切に得られ易くなる。
【0046】
カテーテルに光照射デバイスが挿入された状態で、カテーテルの内腔に冷却用の流体が流入されてもよい。この場合、光の照射による温度上昇に起因する不具合(例えば、生体組織の熱損傷等)が、冷却用の流体によって適切に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1】光照射デバイス2とカテーテル3が分離された状態の光照射システム1の縦断面図である。
【
図2】光照射デバイス2がカテーテル3に装着された状態(使用状態)の、光照射システム1の先端部近傍の拡大縦断面図である。
【
図3】光照射デバイス2の先端部近傍の拡大図である。
【
図4】カテーテル3のシャフト310を、軸線O3に沿って基端側から見た図である。
【
図5】カテーテル3に設けられた複数の姿勢保持部340の位置を点線で示した図である。
【
図6】第1変形例における光照射デバイス2のデバイス本体212の断面図である。
【
図7】第2変形例の光照射システム1の先端部近傍の拡大断面図である。
【
図8】第3変形例のカテーテル3の先端部近傍の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下、本開示における典型的な実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の光照射システム1は、生体の管腔(例えば、血管、リンパ腺、尿道、気道、消化器官、分泌腺、および生殖器官等の少なくともいずれか)の内部に挿入されることで使用される。光照射システム1は、生体の管腔内に挿入された状態で、生体組織へ光(本実施形態ではレーザ光)を照射する。光照射システムは、例えば、PDT(Photodynamic Therapy:光線力学的療法)、およびNIR-PIT(Near-infrared photoimmunotherapy:近赤外光線免疫療法)等の少なくともいずれかの療法に利用できる。
【0049】
本実施形態の光照射システム1は、光照射デバイス2とカテーテル3を備える。光照射システム1の使用時には、まず、カテーテル3が生体管腔内に挿入される。次いで、光照射デバイス2が、長尺管形状であるカテーテル3のルーメン311に挿入される。挿入が完了すると、光照射デバイス2から生体組織に光が照射される。ただし、カテーテル3を使用せずに、光照射デバイス2のみを単独で使用することも可能である。
【0050】
図1~
図3、
図5、
図7、
図8には、互いに直交するXY軸が図示されている。これらの図面において、図面下側(+X方向)を「先端側」、図面上側(-X方向)を「基端側」、図面左側(+Y方向)を「左側」、図面右側(-Y方向)を「右側」とする。光照射システム1、光照射デバイス2、およびカテーテル3は、先端側から生体管腔内に挿入される。基端側は、医療従事者(例えば医師等)によって操作される。
【0051】
(光照射デバイス)
図1~
図3を参照して、本実施形態の光照射デバイス2について説明する。光照射デバイスは、最先端部から光を出射する。
図1に示すように、光照射デバイス2の形状は、長尺状である。光照射デバイス2は、コネクタ201、および光ファイバ210を備える。コネクタ201は、光照射デバイス2の基端側に位置すると共に、術者によって把持される。コネクタ201は、一対の羽根部202と接続部203を備える。接続部203は、略円筒状の部材である。接続部203の基端部には羽根部202が接続される。接続部203の内側には光ファイバ210が接続される。なお、羽根部202と接続部203は一体に形成されていてもよい。
【0052】
光ファイバ210の基端部は、コネクタ(図示せず)を介して、レーザ光を発生させるレーザ光発生装置(光源)5に、直接、または他の光ファイバを介して間接的に接続されている。光ファイバ210の先端部は、切断されてクラッド及び被服が除去される。その結果、レーザ光発生装置5が発生させた光は、光ファイバ210によって先端部へ伝送され、先端中央部のコアから出射する。
【0053】
詳細には、本実施形態の光ファイバ210は、光を出射する先端部を備えた第1光ファイバと、第1光ファイバの基端側にコネクタを介して接続される第2光ファイバを備える。第1光ファイバの開口数の最小値は、第2光ファイバの開口数の最大値よりも大きい。その結果、光ファイバ210の全体としての光の伝送時の損失が抑制される。
【0054】
第1光ファイバは、光照射デバイス2の長手方向(軸線O2の方向)に延びる第1コアと、第1コアの外周面(外表面)を被覆する第1クラッドを備える。第1コアは、第1クラッドの略中央に配置されており、第1クラッドよりも高い光屈折率を有する。第1クラッドの屈折率は均一である。第1光ファイバは、第1コアと第1クラッドの屈折率差によって光を全反射させることで光を伝送させる。本実施形態の第1光ファイバは、第1コアと第1クラッドが共に樹脂によって形成されたプラスチック光ファイバである。第1コアは、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA:Polymethylmetacrylate)、ポリスチレン、ポリカーボネート、含重水素化ポリマー、ノルボルネン系ポリマー等の少なくともいずれかによって形成することが可能である。第1光ファイバには、プラスチック光ファイバに代えて、他の光ファイバ(例えば、石英ガラス光ファイバ、または多成分ガラス光ファイバ等)を採用してもよい。
【0055】
第2光ファイバは、第1光ファイバの基端側に接続される。第2光ファイバは、第2コアと、第2コアの外周面(外表面)を被覆する第2クラッドを備える。本実施形態の第2光ファイバは、第2コアと第2クラッドが共に石英(二酸化ケイ素)によって形成された石英ガラス光ファイバである。第2コア260cは、例えば、二酸化ケイ素を主成分として、添加物として二酸化ゲルマニウム、フッ素等を用いることにより形成できる。第2クラッド260clは、例えば、純石英ガラスにより形成できる。第2光ファイバ260には、石英ガラス光ファイバに代えて、プラスチック光ファイバや、多成分ガラス光ファイバを採用してもよい。
【0056】
レーザ光発生装置5は、波長300nm以上2000nm以下のレーザ光を出射してもよい。より望ましくは、レーザ光発生装置5は、波長600nm以上1000nm以下のレーザ光を出射してもよい。この場合、光照射デバイス2を、光感受性物質を用いた疾患の治療に用いることで、治療効果が適切に得られ易くなる。なお、本実施形態では、レーザ光発生装置5が出射するレーザ光の中心波長は約690nmとされている。
【0057】
図2および
図3を参照して、本実施形態の光照射デバイス2の先端部の構成について説明する。
図2は、光照射デバイス2がカテーテル3に装着された状態(使用状態)の、光照射システム1の先端部近傍の拡大縦断面図である。
図3は、光照射デバイス2の先端部近傍の拡大図である。
図3に示すように、光ファイバの先端部は、先端部が接続される基端部の軸線O2の方向に対して屈曲した屈曲部220に形成されている。光照射デバイス2は、光ファイバ210における屈曲部220の最先端部221から光を出射することで、基端部の軸線O2の方向に交差する方向(本実施形態では、軸線O2に対して斜めに交差する方向)に光を出射する。つまり、屈曲部220の最先端部221が、光照射デバイス2において光が出射される最先端部となる。なお、屈曲部220は、基端部の軸線O2の方向に対して垂直に交差する方向に光を出射してもよい。
【0058】
本実施形態の光照射デバイス2によると、光ファイバ210における屈曲部220の最先端部221から、基端部の軸線O2の方向に交差する方向へ、光が直接出射される。従って、光照射デバイス2の先端部の構成が複雑になることを抑制しつつ、軸線O2の方向に対して交差する方向への光の出射が実現される。さらに、光ファイバ210の屈曲部220の最先端部221から、光照射デバイス2の外部へ直接光が出射されるので、光の出射方向を調整するための樹脂体等を設ける場合に比べて、光のエネルギーロスも生じにくくなる。よって、長尺状である光照射デバイス2の本体の軸線O2の方向に交差する方向へ向けて、簡易な構成で効率良く光が出射される。
【0059】
図2および
図3に示すように、本実施形態では、光照射デバイス2の先端部の全体が軸線O2の方向に対して屈曲することで、光ファイバ210の先端部が屈曲している。従って、医療従事者は、光照射デバイス2の先端部の屈曲方向を把握することで、光が出射される方向を適切に把握することができる。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0060】
図3に示すように、光照射デバイス2の光ファイバ210における屈曲部220の少なくとも一部には、放射線不透過性を有する屈曲部マーカー部240が設けられている。従って、医療従事者(例えば術者等)は、放射線(例えばX線等)を利用して生体内部を撮影しながら、光照射デバイス2によって生体組織に光を照射させる際に、撮影画像に表れる屈曲部マーカー部240を確認することで、屈曲部220の位置および屈曲方向(つまり、光が出射される方向)を適切に把握することができる。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0061】
図2および
図3に示すように、光ファイバ210の屈曲部220における先端は、切断面(最先端部221)が光ファイバ210の基端部の軸線O2(
図3参照)から遠ざかる方向を向くように、斜めに切断されている。その結果、切断面を軸線O2に対して垂直とする場合に比べて、切断面において露出される光ファイバ210のコアの断面積が増加する。従って、コアの径が大きい光ファイバを採用しなくても、光が出射されるコアの断面積が確保され易くなる。よって、光照射デバイス2の小型化が容易になる。
【0062】
図3に示すように、光ファイバ210のうち、屈曲部220が位置する部位の少なくとも一部には、光ファイバ210の剛性を高める剛性付与部230(230A,230B)が設けられている。剛性付与部230を設けることで、例えば、光ファイバ210の基端部の軸線O2方向に対する屈曲部220の角度を安定させることも可能である。また、屈曲部220の回転操作および押し込み操作等が行われる場合に、意図しない屈曲部220の角度変化等が生じる可能性が、剛性付与部230によって低下する。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0063】
詳細には、剛性付与部230には、先端剛性付与部230Aが含まれる。先端剛性付与部230Aは、屈曲部220の最先端部221から出射される光を透過する材質によって、少なくとも屈曲部220の先端を覆う。その結果、屈曲部220の先端の剛性が、先端剛性付与部230Aによって高められると共に、屈曲部220の最先端部221から出射された光が、先端剛性付与部230Aを透過して生体組織に照射される。よって、屈曲部220の回転操作および押し込み操作等の操作性が向上し易くなる。
【0064】
さらに、剛性付与部230には、基端剛性付与部230Bが含まれる。基端剛性付与部230Bは、屈曲部220のうち、先端よりも基端側(本実施形態では、屈曲部220と、屈曲部220が接続される基端部の接続部位)を覆うことで、光ファイバ210の剛性を高める。従って、屈曲部220の先端よりも基端側に、意図しない角度変化等が生じる可能性が適切に低下する。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。なお、基端剛性付与部230Bの材質は、光透過性を有する材質である必要は無い。従って、基端剛性付与部230Bの材質には多くの材質を採用できる。一例として、本実施形態の基端剛性付与部230Bの材質には、先端剛性付与部230Aの材質よりも高い剛性を有する材質(本実施形態では、編み込まれた金属)が用いられている。従って、先端剛性付与部230Aは、光の透過と光ファイバ210への剛性の付与を両立させつつ、基端剛性付与部230Bは、屈曲部220の角度変化等の可能性をさらに低下させる。よって、より適切に治療が行われ易くなる。
【0065】
図3に示すように、光ファイバ210の屈曲部220には磁性部材240が設けられている。磁性部材240は、磁界内に置かれることで発生する磁力によって、生体内における屈曲部220の位置および方向の少なくとも一方を案内する案内部材として機能する。従って、光照射デバイス2が生体内に挿入された状態で、光照射デバイス2の屈曲部220の位置および方向の少なくともいずれかが適切に案内される。詳細には、本実施形態では、屈曲部220に磁性部材240が設けられることで、屈曲部220の最先端部221の方向が磁性部材によって適切に案内される。よって、光の照射方向が適切に制御される。なお、本実施形態では、屈曲部マーカー部240と磁性部材240が兼用されている。しかし、屈曲部マーカー部と磁性部材が別々に設けられていてもよい。
【0066】
なお、光照射デバイス2は、無線給電によって発光することで屈曲部220の位置を示す発光部材を、先端部に備えてもよい。例えば、発光部材の少なくとも一部が磁性部材240によって構成されていてもよい。この場合、発光部材を発光させることで、光照射デバイス2の屈曲部220の位置および方向が示されるだけでなく、発光部材に磁力を発生させることで、屈曲部220の位置および方向の少なくとも一方を案内することも可能である。また、磁性部材は、前述した剛性付与部230を兼用することも可能である。この場合、部品点数が増加することが抑制された状態で、複数の有用な機能が光照射デバイス2に付与される。
【0067】
光ファイバ210の最先端部(つまり、屈曲部220の最先端部221)から光照射デバイス2の外部へ光が出射される時点における光照射密度は、100W/cm2以上10000W/cm2以下とされている。この場合、光感受性物質に光を照射することによる治療効果が適切に得られ易くなる。なお、光照射デバイス2から外部へ出射される時点における光照射密度は、より望ましくは500W/cm2以上5000W/cm2以下、さらに望ましくは800W/cm2以上2000W/cm2以下であってもよい。一例として、本実施形態では、光照射デバイス2から外部へ出射される時点における光照射密度は、約1273W/cm2とされている。
【0068】
(カテーテル)
図1、
図2、
図4、および
図5を参照して、本実施形態のカテーテル3について説明する。
図1に示すように、カテーテル3の形状は長尺管形状である。カテーテル3は、コネクタ301、シャフト310、および先端チップ320を備える。コネクタ301は、カテーテル3の基端側に位置すると共に、術者によって把持される。コネクタ301は、一対の羽根部302と接続部303を備える。接続部303は、略円筒状の部材である。接続部303の基端部には羽根部302が接続される。接続部303の先端部にはシャフト310が接続される。なお、羽根部302と接続部303は一体に形成されていてもよい。
【0069】
シャフト310は、抗血栓性、可撓性、および生体適合性を有することが望ましい。シャフト310の材質には、樹脂材料および金属材料等の少なくともいずれかを採用できる。樹脂材料には、例えば、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、およびフッ素樹脂等を採用できる。金属材料には、例えば、SUS304等のステンレス鋼、ニッケルチタン合金、コバルトクロム合金、およびタングステン鋼等を採用できる。なお、複数の材料を組み合わせてシャフト310を構成することも可能である。
【0070】
シャフト310は、軸線O3に沿って延びる長尺管形状の部材である。本実施形態のシャフト310は、先端部と基端部の両方が開放された中空の円筒状に形成されている。シャフト310の内部のルーメン311は、カテーテル3のデリバリー時には、カテーテル3に対してガイドワイヤを挿通させるためのガイドワイヤルーメンとして機能する。ルーメン311は、カテーテル3のデリバリー後には、カテーテル3に対して光照射デバイス2を挿通させるためのデバイス用ルーメンとして機能する。
【0071】
図1および
図2に示すように、先端チップ320は、シャフト310の先端部に接続される。先端チップ320は、カテーテル3を生体管腔内でスムーズに進行させるために、基端側から先端側にかけて縮径した外形を有している。先端チップ320の略中央には、軸線O2方向に貫通する貫通孔321が形成されている。
図3に示すように、貫通孔321の内径Φ1は、シャフト310のルーメン311の内径Φ3よりも小さく、且つ光照射デバイス2の光ファイバ210の屈曲部220の外径よりも小さい。従って、光照射デバイス2が、カテーテル3のルーメン311内を十分に押し進められても、光照射デバイス2の光ファイバ210が、貫通孔321を通じて先端側に突出してしまう可能性は低い。
【0072】
図2、
図4、および
図5に示すように、カテーテル3のシャフト310の内周面(つまり、ルーメン311)には、光照射デバイス2の屈曲部220の姿勢を保持する姿勢保持部340(340A,340B,340C,340D)が設けられている。姿勢保持部340は、カテーテル3のシャフト310の内周面から内側(つまり、軸線O3に近づく側)に向けて突出することで、光照射デバイス2の屈曲部220に接触する。その結果、屈曲部220が、カテーテル3内の適切な位置で、適切な角度に保持される。従って、屈曲部220の最先端部221から出射される光が、生体組織における目標の位置に対してより正確に照射され易くなる。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0073】
図2に示すように、姿勢保持部340のうち、基端側を向く面(つまり、
図2における-X方向である上方を向く面)は、カテーテル3のシャフト310の内側に向かう程(つまり、軸線O3に近づく程)、基端側に近づくように傾斜している。詳細は後述するが、光照射デバイス2の屈曲部220は、シャフト310内を基端側から先端側へ向けて押し進められる。従って、姿勢保持部340の基端側を向く面に屈曲部220が接触することで、屈曲部220の角度が、光ファイバ210の基端部の軸線O2(
図3参照)の方向に対して、より確実に傾斜し易くなる。よって、軸線O2に交差する方向への光の照射が、さらに適切に行われ易くなる。
【0074】
各々の姿勢保持部340の少なくとも一部(本実施形態では、各々の姿勢保持部340の全体)には、放射線不透過性を有する突起マーカー部341が設けられている。(
図3では、姿勢保持部340Aに設けられた突起マーカー部341Aと、姿勢保持部340Cに設けられた突起マーカー部341Cのみが図示されている。)医療従事者は、放射線(例えばX線等)を利用して生体内部を撮影しながら、光照射デバイス2によって生体組織にレーザ光を照射させる際に、撮影画像に表れる突起マーカー部341の位置を確認することで、光照射デバイス2の屈曲部220を接触させる姿勢保持部340の位置を適切に把握することができる。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0075】
図4は、カテーテル3のシャフト310を、軸線O3に沿って基端側から見た図である。
図4に示すように、カテーテル3を軸線O3の方向から見た場合に、複数の姿勢保持部340A,340B,340C,340Dが、カテーテル3のシャフト310の内周面(つまり、ルーメン311)のうち、周方向の角度(位置)が互いに異なる複数の位置に設けられている。医療従事者は、周方向の位置が異なる複数の姿勢保持部340A,340B,340C,340Dのうち、光を出射させたい方向に位置する姿勢保持部を選択して光照射デバイス2の屈曲部220を接触させることで、光の照射方向を容易且つ正確に調整することができる。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。
【0076】
図4および
図5に示すように、複数の姿勢保持部340A,340B,340C,340Dは、カテーテル3の軸線O3の方向において互いに離間した複数の位置に設けられている。従って、医療従事者は、目標とする姿勢保持部の軸線O3方向の位置を把握したうえで、光照射デバイス2の屈曲部220を軸線O3の方向に押し進めることで、目標とする姿勢保持部に屈曲部220を容易に接触させることができる。
【0077】
詳細には、本実施形態では、長尺管形状であるカテーテル3のシャフト310の内周面に、複数の姿勢保持部340A,340B,340C,340Dが螺旋状に配置されている。従って、医療従事者は、複数の姿勢保持部340A,340B,340C,340Dのうち、屈曲部220を接触させる目標とする姿勢保持部をより容易に選択することができる。
【0078】
図4に示すように、複数の姿勢保持部340A,340B,340C,340Dの各々の、カテーテル3のシャフト310の内周面から内側端部までの長さLが、カテーテル3のシャフト310の内径Dの1/2以下とされている。従って、医療従事者は、特定の姿勢保持部よりも軸線O3の方向の先端側の姿勢保持部に屈曲部220を接触させる際に、目標とする姿勢保持部よりも手前側の姿勢保持部に屈曲部220が接触することを容易に避けて、光照射デバイス2の屈曲部220を先端側に押し進めることができる。従って、カテーテル3内で光照射デバイス2を推し進める際の操作性が向上する。
【0079】
図4に示すように、カテーテル3におけるシャフト310の先端側側面(本実施形態では、先端側側面の一部)には、光照射デバイス2の屈曲部220の最先端部221から出射される光を外部に透過させる光透過部330が設けられている。本実施形態では、光透過部330は、複数の姿勢保持部340の各々によって屈曲部220が保持される位置に設けられている。(
図4では、姿勢保持部340Aに近接する光透過部330Aと、姿勢保持部340Cに近接する光透過部330Cのみが図示されている。)従って、本実施形態の光照射システム1は、光照射デバイス2の屈曲部220の最先端部221から出射される光を、軸線O3に交差する方向に透過させて、生体の特定の位置に選択的に照射することが可能である。
【0080】
なお、本実施形態では、カテーテル3におけるシャフト310のうち、姿勢保持部340によって屈曲部220が保持される部位を、光を透過させる材質によって部分的に形成することで、光透過部330が設けられている。しかし、光透過部の構成を変更することも可能である。例えば、シャフト310自体、または、シャフト310の先端部の全体の材質を、光を透過させる材質とすることで、カテーテルに光透過部が設けられてもよい。
【0081】
カテーテル3のうち、少なくとも光照射デバイス2の最先端部221から出射される光を透過させる部位は、熱伝導率が0.1W/m・K以上の材質によって形成されている。従って、例えば、血流または生理食塩水等によって光照射デバイス2の先端部が冷却され易くなる。よって、光を出射することで生じる熱によって種々の不具合が生じる可能性が低下する。その結果、より適切に治療が行われ易くなる。
【0082】
図4に示すように、カテーテル3のシャフト310の先端部には、光センサ350が設けられている。従って、カテーテル3の先端部における光の状態が、先端部の光センサ350によって直接検出される。つまり、光センサ350によって検出される光には、伝送される過程で生じ得る光の特性の変化が生じにくい。よって、より正確に光の状態が検出され易くなる。なお、本実施形態では、複数の姿勢保持部340A,340B,340C,340Dの各々によって屈曲部220が保持された際に、屈曲部220の先端から出射される光を検出するために、複数の姿勢保持部340A,340B,340C,340Dの各々に近接した位置に光センサ350が別途設けられている。(
図4では、姿勢保持部340Aに近接する光センサ350Aと、姿勢保持部340Cに近接する光センサ350Cのみが図示されている。)従って、いずれの姿勢保持部に屈曲部220を接触させた場合でも、光の状態が適切に検出される。なお、図面を簡略化するために、光センサ350から延びる配線の図示は省略されている。
【0083】
図4に示すように、本実施形態のカテーテル3は、先端部に温度センサ360を備える。従って、例えば、光が生体組織に出射されることに起因する温度上昇等が適切に把握される。
【0084】
本実施形態では、カテーテル3のシャフト310の先端部に設けられた先端チップ320の少なくとも一部(本実施形態では、先端チップ320の全て)が、放射線不透過性を有する材質によって形成されることで、マーカー部として機能する。従って、カテーテル3の先端部の位置が、放射線撮影画像等によって適切に把握される。
【0085】
(使用方法)
本実施形態の光照射システム1の使用方法の一例について説明する。まず、術者は、生体管腔内にガイドワイヤ(図示せず)を挿入する。次いで、術者は、ガイドワイヤの基端側を、カテーテル3の先端チップ320の貫通孔321からルーメン311へ挿入し、コネクタ301の基端側へ突出させる。術者は、カテーテル3をガイドワイヤに沿って押し進め、カテーテル3に設けられた複数の光透過部330の少なくともいずれかを、光照射の目的部位まで移動させる。なお、カテーテル3を生体管腔内で移動させる際に、術者は、放射線撮影画像によって突起マーカー部341の位置を確認することで、カテーテル3を目的部位に適切に移動させることができる。その後、術者は、カテーテル3からガイドワイヤを抜去する。
【0086】
術者は、カテーテル3のコネクタ301の基端側開口から光照射デバイス2を挿入し、カテーテル3のルーメン311に沿って光照射デバイス2を生体管腔内で押し進める。術者は、複数の突起マーカー部341によって示される複数の姿勢保持部340のうち、目標とする姿勢保持部340に、屈曲部マーカー部240によって示される屈曲部220を接触させる。その結果、目標とする姿勢保持部340によって、光照射デバイス2における光ファイバ210の屈曲部220の姿勢が適切に保持される。この状態で、レーザ光発生装置5から光を発生させることで、屈曲部220の先端部から目的部位に選択的に光が照射される。
【0087】
術者は、カテーテル3に光照射デバイス2が挿入された状態で、カテーテル3のルーメン311に冷却用の流体を流入させることができる。従って、光の照射による温度上昇に起因する不具合(例えば、生体組織の熱損傷等)が、冷却用の流体によって適切に抑制される。
【0088】
(変形例)
上記実施形態で開示された技術は一例に過ぎない。従って、上記実施形態で例示された技術を変更することも可能である。
図6~
図8を参照して、上記実施形態の変形例の一部について説明する。なお、
図6に示す第1変形例、
図7に示す第2変形例、および
図8に示す第3変形例の一部の構成には、前述した実施形態と同様の構成を採用することが可能である。従って、第1変形例~第3変形例の構成のうち、前述した実施形態と同様の構成を採用できる部位については、上記実施形態と同じ番号を付し、その説明を省略または簡略化する。
【0089】
図6は、第1変形例における光照射デバイス2のデバイス本体212の断面図である。第1変形例における光照射デバイス2のデバイス本体212は、複数の光ファイバ210を内部に備える。詳細は図示しないが、複数の光ファイバ210を備えたデバイス本体の先端部には、上記実施形態と同様に、複数の光ファイバ210を屈曲させた屈曲部が形成される。以上のように、光照射デバイス2が備える光ファイバ210の数は、1つでもよいし複数でもよい。
【0090】
また、第1変形例のデバイス本体212に設けられる複数の光ファイバの一部には、光の照射位置の照準を定めるエイミング光を伝達するエイミング用光ファイバ211が含まれる。従って、医療従事者は、エイミング光が照射される位置を確認することで、治療のための光の照射位置を適切に定めることができる。なお、
図6に示す例では、治療のための光を照射する複数の光ファイバ210の中心に、エイミング用光ファイバ211が配置されている。よって、医療従事者は、治療のための光の照準を、より正確にエイミング光によって合わせることができる。
【0091】
図7は、第2変形例の光照射システム1の先端部近傍の拡大断面図である。第2変形例のカテーテル3は、先端部(本実施形態では、光照射デバイス2の屈曲部220から外部に光が出射される位置の近傍)へ入射した光を光センサ(図示せず)へ伝送する光検出用伝送部材351が設けられている。本実施形態の光検出用伝送部材351は光ファイバであり、カテーテル3のシャフト310の一部分から、シャフト310の内部を基端側へ挿通され、光センサに接続される。第2変形例では、カテーテル3の先端部の構成が、光センサによって複雑になることが抑制された状態で、先端部における光の状態が適切に検出される。また、第2変形例に示すように、カテーテル3に設けられる姿勢保持部340の数は1つでもよい。
【0092】
図8は、第3変形例のカテーテル3の先端部近傍の拡大図である。第3変形例のカテーテル3は、複数の温度センサ360(360A,360B,360C,360D,360E)を備える。複数の温度センサ360の各々の測定位置(本実施形態では、360A,360B,360C,360D,360Eで示す測定点)が、カテーテル3の先端部における複数の部位の各々に配置されている。詳細には、
図8に示す例では、複数の温度センサ360の各々の測定位置が、複数の姿勢保持部340(340A,340B,340C,340D,340E)の各々によって案内される光の通過位置の近傍に設けられている。従って、複数の測定位置の各々における温度の検出結果に基づいて有用な情報が得られる。例えば、複数の測定位置のいずれが、他の測定位置に比べて高い温度となっているかを確認することで、光が照射されている方向を確認することも可能である。また、医療従事者は、各測定位置における温度をより正確に把握することで、治療の精度を向上させることも可能である。
【0093】
第3変形例のカテーテル3では、温度センサ360の配線が、カテーテル3のシャフト310において螺旋状に配置されている。従って、配線が軸線方向に沿って真っ直ぐに配置される場合に比べて、長尺状であるカテーテル3の剛性が適切に確保され易くなる。よって、治療の精度がさらに向上し易くなる。一例として、本実施形態では、測定点を複数備えた長尺状の熱電対が温度センサ360として用いられている。長尺状である温度センサ360の配線が螺旋状に配置されることで、カテーテル3の剛性が確保されている。
【0094】
第3変形例のカテーテル3では、温度センサ360の配線が、放射線不透過性を有する材質を含んでいる。従って、放射線撮影によって、長尺状であるカテーテル3の位置が適切に把握され易くなる。なお、第3変形例では、放射線不透過性を有する温度センサ360の配線が螺旋状に配置されることで、カテーテル3の位置がさらに把握され易くなる。
【0095】
上記実施形態および変形例で例示された構成のうちの一部のみを、光照射システム、光照射デバイス、またはカテーテルに採用することも可能である。また、異なる実施形態および変形例で示された複数の構成を組み合わせることも可能である。前述したように、カテーテル3を使用せずに、光照射デバイス2のみを単独で使用することも可能である。