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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125150
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】粉末噴射用のディスペンサー装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 13/00 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
A61M13/00
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023152055
(22)【出願日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】10-2023-0028780
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】521236313
【氏名又は名称】ネクストバイオメディカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】イ,ドンヘン
(72)【発明者】
【氏名】イ,ウンヘ
(72)【発明者】
【氏名】キム,セユン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】カテーテルの折れを防止し、粉末の微細噴射現象なしで医薬用粉末を噴射させることができるディスペンサー装置を提供する。
【解決手段】医薬用粉末容器が装着可能な薬物容器アダプター100と、医薬用粉末容器から伝達された医薬用粉末が通過可能なように連通している第1移送管及び医薬用粉末が空気と共に排出可能なように第1移送管と連通し、両端が空気流入口及び導管装着部と連通する第2移送管を含むハウジング200と、ハウジング200の第1移送管の中途に位置して医薬用粉末の流れを制御する制御バルブ300と、を含む医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置1。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)医薬用粉末容器が装着可能な薬物容器アダプター(100)と、
(b)医薬用粉末容器から伝達された医薬用粉末が通過可能なように連通している第1移送管(201)、及び医薬用粉末が空気と共に排出可能なように第1移送管(201)と連通し、両端が空気流入口(204)及び導管装着部(203)と連通する第2移送管(202)を含むハウジング(200)と、
(c)前記ハウジングの第1移送管の中途に位置して医薬用粉末の流れを制御する制御バルブ(300)と、を含む医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)。
【請求項2】
前記制御バルブは、バルブ内に流路を有するボールバルブ(ball valve)又はバタフライバルブ(butterfly valve)である、請求項1に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)。
【請求項3】
前記制御バルブが開いた状態で制御バルブ内流路の内径は、i)一定である、ii)医薬用粉末が通過する方向に行くほど狭くなってから再び広くなる、又はiii)医薬用粉末が通過する方向に行くほど狭くなってから一定に維持される、請求項1に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)。
【請求項4】
前記バルブを開閉するためにハウジング内でバルブが回転するバルブ収容部(205)には微細突起(206)が形成されている、請求項2に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)。
【請求項5】
前記導管装着部に結合し、前記ハウジングを基準に遠位部の管内径が近位部の管内径よりも大きいチューブキャップ(400)をさらに含む、請求項1に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)。
【請求項6】
前記第1移送管と第2移送管とが連通する部位にはボトムキャップ(bottom cap)(500)が結合している、請求項1に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)。
【請求項7】
前記第1移送管の内径は第2移送管に近づくほど広くなる、請求項1に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)。
【請求項8】
前記ハウジングの空気流入口(204)に結合している空気供給装置(2)をさらに含む、請求項1に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)。
【請求項9】
前記第1移送管は、空気の流れを上方に伝達する第1移送管上方チャネル(201b)及び空気の流れを下方に伝達する第1移送管下方チャネル(201a)を備えることである、請求項1に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)。
【請求項10】
前記第2移送管は、空気をハウジング内に引き込む第2移送管引込チャネル(202b)及び空気をハウジングの外部に排出させる第2移送管排出チャネル(202a)を備える、請求項1に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)。
【請求項11】
前記第1移送管は、空気の流れを上方に伝達する第1移送管上方チャネル(201b)及び空気の流れを下方に伝達する第1移送管下方チャネル(201a)を備え;及び
前記第2移送管は空気をハウジング内に引き込む第2移送管引込チャネル(202b)及び空気をハウジングの外部に排出させる第2移送管排出チャネル(202a)を備え;
ここで、前記第2移送管引込チャネル(202b)は第1移送管上方チャネル(201b)と連通し、前記第2移送管排出チャネル(202a)は第1移送管下方チャネル(201a)と連通する、請求項1に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)。
【請求項12】
前記制御バルブは、空気の流れを上方に伝達する制御バルブ上方チャネル(302)及び空気の流れを下方に伝達する制御バルブ下方チャネル(301)を備える、請求項1に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)。
【請求項13】
前記制御バルブは、制御バルブが開状態から閉状態に切り替わる時に空気の循環経路を維持するように、制御バルブの回転方向にしたがって制御バルブの表面周縁に沿って窪んだ空気閉鎖防止ノッチ(303)を備える、請求項1に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)。
【請求項14】
(i)請求項1の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)の空気流入口(204)に空気供給装置(2)を結合させる段階と、
(ii)前記導管装着部(203)にチューブキャップ(400)及び導管を結合させる段階と、
(iii)前記薬物容器アダプター(100)に医薬用粉末含有の容器を結合させる段階と、
(iv)前記空気供給装置(2)の電源をオン(on)する段階と、
(v)前記制御バルブの開閉状態を調節しながら医薬用粉末を噴射する段階と、を含む、医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)の使用方法。
【請求項15】
前記(i)~(iii)段階の順序は変更可能である、請求項14に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)の使用方法。
【請求項16】
前記チューブギャップは、前記ハウジングを基準に遠位部の管内径が近位部の管内径よりも大きい、請求項14に記載の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末噴射用のディスペンサー装置に関し、より具体的には、カテーテルの折れを防止し、粉末の微細噴射現象を防止し、且つ噴射中に粉末の流れを除去できるように改善した粉末噴射用のディスペンサー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
胃腸管出血(gastrointestinal bleeding)は臨床でしばしば遭遇する臨床疾患で、胃腸管出血の80%以上が上部胃腸管で発生する。上部胃腸管出血は、食道、胃及び十二指腸の病変から出血し、血を吐いたり血便をしたりする疾患である。上部胃腸管出血は、内視鏡検査から90%以上の出血病巣が確認でき、40~50%が胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の出血を原因としているとされている。最近では、胃や大腸のポリープ切除術や、早期胃癌と大腸癌の治療のための粘膜切除術と治療的内視鏡手術が多く行なれているが、このような手術途中又は手術後に出血が起き、緊急手術を施さなければならないか、深刻には死亡に至る場合もある。このような手術途中の出血及び胃腸管出血、そして組織検査のための体内組織の採取時に発生する出血などを治療するために、内視鏡に用いた止血法が用いられている。内視鏡を用いた止血法は、止血の必要な粘膜損傷部位に、体内挿入された内視鏡導管(カテーテル)を接近させた後、導管を通して粉末状の止血剤を投与及び噴射させることによって止血させる方法である。そのために様々な形態の医薬用粉末噴射器が開発されてきた。
【0003】
しかしながら、現在まで開発された粉末噴射装置は、粉末の噴射が必要でない状況でも微細に粉末が噴射される微細噴射現象が観察され、カテーテルの導管の先端が塞がれる他、細いカテーテルを粉末噴射装置に装着した後に作動させる過程でカテーテルが折れて粉末が正しく噴射されないか、カテーテルの導管が損傷する問題があった。また、手術中に使用者の意志によって粉末の噴射を中断し、再噴射できる機能が必要であるとの使用者要求事項があり、そのため、より改善された形態の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置の開発が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、上述したように、上記のような問題を解決した改善された形態の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置を開発しようと鋭意研究努力した。その結果、医薬用粉末の流れを完全に制御できるように開閉用回転バルブを導入し、ラッパ管状のチューブキャップを導入することにより、本発明を完成するに至った。
【0005】
したがって、本発明の目的は、上述した構成を含む改善された形態の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、上述した医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置の使用方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、本発明は、次を含む医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置(1)を提供する:
(a)医薬用粉末容器が装着可能な薬物容器アダプター(100);
(b)医薬用粉末容器から伝達された医薬用粉末が通過可能なように連通された第1移送管(201)、及び医薬用粉末が空気と共に排出可能なように第1移送管(201)と連通し、両端が空気流入口(204)及び導管装着部(203)と連通する第2移送管202を含むハウジング(200);及び
(c)前記ハウジングの第1移送管の中途に位置して医薬用粉末の流れを制御する制御バルブ(300)。
【0008】
本発明の他の態様によれば、本発明は、次の段階を含む医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置の使用方法を提供する:
(i)上述した医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置の空気流入口(204)に空気供給装置2を結合させる段階;
(ii)前記導管装着部(203)にチューブキャップ(400)及び導管を結合させる段階;
(iii)前記薬物容器アダプター(100)に医薬用粉末含有の容器を結合させる段階;
(iv)前記空気供給装置(2)の電源をオン(on)する段階;及び
(v)前記制御バルブの開閉状態を調節しながら医薬用粉末を噴射する段階。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、上述した構成を含む医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置であり、カテーテルの折れを防止し、粉末の微細噴射現象無しで医薬用粉末を噴射させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1A】本発明の一実施例に係る医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置の斜視図である。
図1B】本発明の一実施例に係る医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置の各部品を示す分解図である。
図2】前記本発明の一実施例に係るハウジングの断面を示す図である。
図3】本発明のバルブの作動が不能になることを防止するためにバルブ内流路の両端の直径を流路中間の直径よりも広く構成した構造を示す図である。
図4】本発明の医薬用粉末の噴射用装置において制御バルブがハウジングと結合する部位(バルブ回転部)の微細な隙間を遮断するために突出した微細突起を示す図である。
図5】前記バルブとバルブ収容部の微細突起が接する部位の拡大図である。
図6】本発明の薬物容器アダプター、薬物容器及びハウジングの結合形態を説明する斜視図及び断面図である。
図7】既存に一般に使用されている導管(20)を導管装着部にガイドするチューブキャップの形状を示す図である。
図8】本発明の導管(20)の折れを防止するために導管(20)を導管装着部にガイドするチューブキャップを示す図である。
図9】本発明の第1移送管及び第2移送管とが出会って連通される部位に医薬用粉末が集まり得るように底面に溝が形成されたボトムキャップ(500)を示す図である。
図10】本発明の医療用粉末噴射用のディスペンサー装置に空気供給装置をさらに結合させた形態を示す図である。
図11A】本発明の第1移送管及び制御バルブがそれぞれ2つのチャネルに分岐している形態の医療用粉末噴射用のディスペンサー装置を示す図であり、制御バルブが開いた状態の断面を示す。
図11B】本発明の第2移送管の変形形態であり、第2移送管引込チャネル202bにおいて空気の進行方向にチャネル内径が狭くなるオリフィス(orifice)構造を示す図である。
図12】本発明の第1移送管及び制御バルブがそれぞれ2つのチャネルに分岐している形態の医療用粉末噴射用のディスペンサー装置を示す図であり、制御バルブが閉じた状態の断面を示す。
図13図12の2つのチャネルに分岐している制御バルブが閉じた状態の立体構造及び断面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施例を用いて本発明をより詳細に説明する。ただし、これらの実施例は単に本発明をより具体的に説明するためのものであり、本発明は様々な形態で具現可能である。本発明の要旨によって本発明の範囲がこれらの実施例に限定されないということは、当業界における通常の知識を有する者にとって明らかであり、本発明は、添付する特許請求の範囲によって定義されるだけである。
【0012】
なお、本発明で使われる用語は、単に特定の実施例を説明するためのもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈において特に断らない限り、複数の表現を含む。本発明の明細書全般において、ある構成要素を「含む」とした場合に、特に断りのない限り、他の構成要素を排除することではなく他の構成要素をさらに含み得るということを意味する。
【0013】
本明細書において用語「医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置」は、空気供給装置を別個に備え、それを前記医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置に結合させて使用する形態の噴射器を取り上げて説明する。しかし、本明細書で包括しようとする「粉末噴射用のディスペンサー装置」は、粉末を噴射するための用途を持つ装置の一部又は全部を意味する。したがって、本発明の粉末噴射用のディスペンサー装置は、粉末噴射器の一部の部品、又はそれを含む完成品全体のいずれを意味してもよく、本明細書における特許請求の範囲及び図面を参照して説明される構成を有する物品であれば、一部の部品として本明細書の一実施例に提示された粉末噴射用のディスペンサー装置の形態だけでなく、これを含む完成品全体を意味してもよい。
【0014】
また、前記「粉末噴射用のディスペンサー装置」は、「粉末噴射器」、「粉末噴射装置」、「粉末スプレー」、「粉末スプレー装置」などの用語とも表現されてよいが、医薬用途の粉末を人体に塗布するために利用可能な如何なる装置も前記「粉末噴射用のディスペンサー装置」と解釈されてよい。
本発明の一態様によれば、医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置を提供する。
【0015】
本明細書において用語「医薬用粉末」は、臨床的に使用されている粉末状の薬剤を意味し、「医療用粉末」、「医療用粉体」、「粉末状薬剤」のような表現で使われてもよい。前記医薬用粉末の例には、止血剤、癒着防止剤、創傷被服材、医療用接着剤などの様々な製品が存在するが、これに限定されるず、様々な医薬用粉末が含まれてよいことが、当業者には容易に理解できよう。
【0016】
図1Aは、本発明の粉末噴射用のディスペンサーを示す斜視図である。
【0017】
図1Bは、本発明の一実施例に係る医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置の各部品を示す分解図である。
【0018】
図2は、本発明の一実施例に係るハウジングの断面を示す図である。
図1B及び図2を参照すると、本発明の実施例に係る医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置は、(a)医薬用粉末容器が装着可能な薬物容器アダプター100;(b)ハウジング200;及び(c)医薬用粉末の流れを制御する制御バルブ300を含んで構成される。
【0019】
より具体的には、前記ハウジングは、医薬用粉末容器から伝達された医薬用粉末が通過可能なように連通している第1移送管201;及び医薬用粉末が空気と共に排出可能なように第1移送管201と連通し、両端が空気流入口204及び導管装着部203と連通する第2移送管202を含む。
【0020】
また、前記制御バルブ300は、前記ハウジングの第1移送管201の中途に位置する。
図2に示すように、本発明の装置において、前記ハウジングの第1移送管201は鉛直方向に連通しているものでよいが、これに限定されるものではない。
【0021】
本発明の一具現例において、前記バルブは前記ハウジングと嵌め合って結合する。
【0022】
本発明の一具現例において、前記バルブ及び前記ハウジングとの結合部にはパッキング(例えば、O-リング)が挿入され、空気又は医薬用粉末の漏れを予防する。本発明の具体的な具現例において、前記パッキングは、バルブと第1移送管が連通する流路を中心に両側に1個ずつ挿入される。
【0023】
本発明の一具現例において、前記バルブにはハウジングと嵌め合って結合(スナップフィット結合)するためにフック(hook)が形成されており、ハウジングにはフックが掛かって固定され得る掛止突部が存在する。
【0024】
本発明の一具現例において、前記医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置は、前記バルブのフックとハウジングの掛止突部の構造とが結合した部位をカバーするバルブキャップ310をさらに含んでよい。
【0025】
本発明の一具現例において、前記バルブは、バルブ内に流路を持つボールバルブ(ball valve)又はバタフライバルブ(butterfly valve)であってよい。
【0026】
本発明の一具現例において、前記バルブは、バルブを90゜以内の角度で回転させることにより、医薬用粉末の流れ及び開/閉を制御する。
図3は、本発明のバルブの作動が不能になることを防止するために、バルブ内流路の両端の直径を流路中間の直径よりも広く構成した構造を示す図である。
【0027】
図3を参照すると、本発明の具体的な具現例において、本発明のバルブが開いた時に、バルブ内流路の内径は、医薬用粉末が通過する方向に行くほど狭くなってから再び広くなる構造を有する。したがって、前記バルブが持つ流路の断面は、ベンチュリ管(venturi tube)又は砂時計の矢状断面のような形態を有する。
【0028】
上記のような構造は、バルブの開閉動作時にバルブとハウジングとの間に医薬用粉末が陥入して発生する内部摩擦によってバルブの作動が妨害される現象を防止することができる。
【0029】
本発明の他の具体的な具現例において、本発明のバルブの内径は一定に維持されてよい。
【0030】
本発明のさらに他の具体的な具現例において、本発明のバルブの内径は、医薬用粉末が通過する方向に行くほど狭くなってから一定に維持されてよい。
【0031】
本発明の具体的な具現例において、前記バルブが持つ流路の両端の内径は、第1移送管の内径と一致又は近似(±10%)するが、これに限定されるものではない。
【0032】
前記バルブが開いた時には、前記医薬用粉末が第1移送管を通過して第2移送管と連通している部位に到達し、前記バルブが閉じた状態の時には、前記医薬用粉末の通過を完全に遮ることができるので、医薬用粉末の微細噴射を予防することができる。
図4は、本発明の医薬用粉末の噴射用装置において制御バルブがハウジングと結合する部位(バルブ回転部)に微細な隙間を遮断するために突出した微細突起を示す図である。
図5は、前記バルブとバルブ収容部の微細突起とが接する部位の拡大図である。
【0033】
図4及び図5を参照すると、本発明の一具現例において、前記バルブを開閉するためにハウジング内でバルブが回転する部位(バルブ収容部205)には微細突起206が形成されてよい。
【0034】
前記微細突起206はバルブの作動性は維持しながら、バルブとバルブ収容部205間の微細な隙間を塞ぐことにより、前記隙間からの医療用粉末の微細な流れ(漏れ)を遮断する。
【0035】
本発明の一実施例において、前記ハウジングとバルブとが組み立てられる箇所に0.05mmの円形微細突起を適用した結果、作動性は維持されながらもハウジングとバルブとの隙間から粉末が漏れることを防ぐことができた。
図6は、本発明の薬物容器アダプター、薬物容器、及びハウジングの結合形態を説明する斜視図及び断面図である。
【0036】
図6を参照すると、本発明の一具現例において、前記薬物容器は、前記薬物容器アダプターと鉛直方向に結合してよい。上記のように薬物容器が薬物容器アダプター又はハウジングと鉛直方向に結合する場合に、薬物容器内の医薬用粉末が重力によってハウジング側にさらに効率よく伝達され得る。
【0037】
本発明の一具現例において、前記薬物容器アダプターは前記ハウジングと嵌め合って結合(スナップフィット結合)したり又はねじ結合してよい。前記薬物容器アダプターと前記ハウジングとの間にはシーリングパッキング(sealing packing)(すなわち、アダプターシール40)が挿入される。
【0038】
本発明の一具現例において、前記医薬用粉末容器は前記薬物容器アダプターとねじ結合してよいが、これに限定されるものではない。
【0039】
本発明の一実施例において、上記の図6のような構造を有する薬物容器アダプターをアダプターシール40と共にハウジングに結合させ、医療用粉末を含む薬物容器を結合させた後に、気密の有無をテストした結果、5秒間で圧力損失が0.005psi以下に維持されることを確認した。したがって、NBM内部技術的選定事項を満たしている。
図7は、既存に一般的に使用されている導管20を導管装着部にガイドするチューブキャップの形状を示す図である。
図8は、本発明の導管20の折れを防止するために導管20を導管装着部にガイドするチューブキャップを示す図である。
【0040】
図7及び図8を参照すると、本発明の一具現例において、前記粉末噴射用装置は、第2移送管と平行な方向に結合するチューブキャップ400をさらに含む。
【0041】
前記チューブキャップ400は前記ハウジングの導管装着部に結合し、前記ハウジングを基準に遠位部の管内径が近位部の管内径よりも大きいことを特徴とする。
【0042】
前記チューブキャップ400は、ハウジングを基準に遠位部の管内径が近位部の管内径よりも大きいためラッパのような形態を有することから、ラッパ管チューブキャップと呼ばれてよい。前記チューブキャップは、導管20が導管装着部に装着されることをガイドしながらも、遠位部の直径が近位部の直径よりも広いため、導管20の折れ及び変形を予防し、自由な可動性範囲を提供する。
【0043】
本発明の一具現例において、前記チューブキャップ400は、内部に導管20が通過可能なように連通してより、導管を導管装着部203にガイドする。
【0044】
また、前記チューブキャップ400がハウジングの導管装着部に結合しながら導管装着部とチューブギャップとが密着する。導管を前記チューブキャップを通して導管装着部に押し込みながら結合させると、導管の弾性力によって導管末端の内径が増えながら前記チューブキャップと導管装着部との間に密着する。その結果、前記チューブキャップ400は、導管が導管装着部から抜けない他にも空気が漏れないように気密を維持する役割も担うことができる。
図9は、本発明の第1移送管及び第2移送管とが出会って連通する部位に医薬用粉末が集まり得るように底面に溝が形成されたボトムキャップ500の形状を示す図である。
【0045】
図9を参照すると、本発明の一具現例において、前記第1移送管及び第2移送管が連通する部位には、空気の流れ方向に底面に溝が形成されたボトムキャップ500(bottom cap)が結合する。前記溝はU字状又はV字状に形成されてよい。
【0046】
本発明の他の具現例において、前記本発明の第1移送管及び第2移送管とが出会って連通する部位にはボトムキャップ500が備えられてよい。前記ボトムキャップ500は第1移送管の下方面を塞がり、第1移送管に沿って落下する医療用粉末が第2移送管の空気の流れ方向に沿って移動して噴射され得るようにする。前記ボトムキャップ500の形状は、上述したU字状、V字状、又はその他の形状の溝が形成される他にも、平坦な底面、丸い底面などを有してよいが、これに限定されるものではない。
【0047】
本発明の一具現例において、前記ボトムキャップ500と前記ハウジングとの結合部にはパッキング(例えば、O-リング)が挿入されて空気又は粉末の漏れを予防する。
【0048】
図9に示すように、前記第1移送管の内径は第2移送管に近づくほど広くなる。このように第1移送管の内径が第2移送管に近づくほど広くなる場合に、医薬用粉末が第1移送管の側壁に付着して浪費される現象を最小に抑えることができる。
図10は、本発明の医療用粉末噴射用のディスペンサー装置に空気供給装置をさらに結合させた形態を示す図である。
【0049】
図10に示すように、本発明の粉末噴射用のディスペンサー装置は、ハウジングの空気流入口204に結合した空気供給装置2がさらに含まれたり又は結合してよい。
【0050】
また、本発明の一具現例において、前記装置は、前記空気流入口204と前記空気供給装置2との間に空気フィルター30をさらに含んでよい。
【0051】
本発明の一具現例において、前記ハウジングの空気流入口204と前記空気供給装置2、又は前記ハウジングの空気流入口204と前記空気フィルター30は、ねじ結合又は嵌め合って結合(スナップフィット結合)してよいが、これに限定されるものではない。
【0052】
本発明の一具現例において、前記ハウジングの空気流入口204と前記空気供給装置2との結合部、又は前記ハウジングの空気流入口204と前記空気フィルター30との結合部にはパッキング(例えば、O-リング)が挿入され、濾過された空気の漏れを予防する。
また、本発明の他の態様に係る医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置1によれば、上述した装置の構成を含む医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置を提供する。
【0053】
本発明の一具現例において、前記医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置はバイブレーターをさらに備える。前記バイブレーターは、薬物容器内の薬物粉末がより落下しやすくなるように振動を発生させる。
図11Aは、本発明の第1移送管及び制御バルブがそれぞれ2つのチャネルに分岐している形態の医療用粉末噴射用のディスペンサー装置を示す図であり、制御バルブが開いた状態の断面を示しており、図11Bは、第2移送管の変形形態であり、第2移送管引込チャネル202bにおいて空気の進行方向にチャネル内径が狭くなるオリフィス(orifice)構造を示す図である。
【0054】
図12は、制御バルブが閉じた状態の断面を示している。
【0055】
図11Aに示すように、本発明の粉末噴射用のディスペンサー装置において、前記第1移送管201は、空気の流れを上方に伝達する第1移送管上方チャネル201b、及び空気の流れを下方に伝達する第1移送管下方チャネル201aを備える。
【0056】
本発明の一具現例に係る前記第1移送管上方チャネル201bは、第2移送管からハウジング内に流入した空気を制御バルブ及び薬物容器の方に送る。制御バルブ及び薬物容器の方に移送された空気はさらに制御バルブ及び第1移送管下方チャネル201bの順に循環し、薬物が第2移送管から排出されるようにする。
【0057】
本発明の一具現例において、前記第2移送管202は、空気をハウジング内に引き込む第2移送管引込チャネル202b、及び空気をハウジングの外部に排出させる第2移送管排出チャネル202aを備える。
本発明の一具現例において、前記第1移送管201は、空気の流れを上方に伝達する第1移送管上方チャネル201b、及び空気の流れを下方に伝達する第1移送管下方チャネル201aを備え;及び
前記第2移送管は、空気をハウジング内に引き込む第2移送管引込チャネル202b及び空気をハウジングの外部に排出させる第2移送管排出チャネル202aを備え;
このとき、前記第2移送管引込チャネル202bは第1移送管上方チャネル201bと連通し、前記第2移送管排出チャネル202aは第1移送管下方チャネル201aと連通する。
【0058】
上記の本発明の一具現例に係る医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置のように、第2移送管引込チャネル202bから流入した空気は、第1移送管上方チャネル201bを通して制御バルブ及び薬物容器の方に移送される。移送された空気は、容器内の薬物と共に制御バルブを通って第1移送管下方チャネル201aに移動する。第1移送管下方チャネル201aに移送された空気は薬物と共に第2移送管排出チャネル202aを通って装置外に噴射される。
【0059】
また、図11Bに示すように、本発明の他の具現例において、前記第2移送管引込チャネル202bは、空気の進行方向にチャネルの内径が狭くなるオリフィス(orifice)構造を有してよい。上記のように、空気の進行方向にチャネルの内径が狭くなる場合に、同一の流入圧力においても流速を増加させ得る特徴がある。
【0060】
本発明の一具現例において、前記制御バルブは、空気の流れを上方に伝達する制御バルブ上方チャネル302及び空気の流れを下方に伝達する制御バルブ下方チャネル301を備える。
【0061】
本発明の具体的な具現例において、前記制御バルブは、開いた状態において、制御バルブ上方チャネル302と前記第1移送管上方チャネル201bとが連通し、前記制御バルブ下方チャネル301と前記第1移送管下方チャネル201aとが連通する。
【0062】
本発明の他の具体的な具現例において、前記制御バルブ下方チャネル301の内径は、制御バルブが開いた状態で第1移送管下方チャネル201aとの連通部に近づくほど直径が狭くなる。
【0063】
本発明のさらに他の具体的な具現例において、本発明の制御バルブは、空気閉鎖防止ノッチ303を備える。前記空気閉鎖防止ノッチ303は、窪んでいる構造により、制御バルブが閉じた状態で第1移送管上方チャネル201bと第1移送管下方チャネル201aとを連通させる。このような空気閉鎖防止ノッチ303の具体的な構造は図12及び図13に示されている。
【0064】
前記制御バルブが閉じた状態では、第1移送管上方チャネル201bから流入した空気は薬物容器に移送されなくなる。しかし、制御バルブが閉じても、第1移送管上方チャネル201bから流入した空気は、前記空気閉鎖防止ノッチ303を経由して第1移送管下方チャネル201aに移動して装置外に排出される。
【0065】
このように空気が第1移送管上方チャネル-制御バルブ-第1移送管下方チャネルに直接連結される循環経路を空気空回転経路(air idle pathway)と呼ぶ。
【0066】
一方、制御バルブが開いた状態で、空気が第1移送管上方チャネル-制御バルブ-薬物容器-制御バルブ-第1移送管下方チャネルの順に連結される循環経路は、空気貫通経路(air through pathway)と呼ぶ。
【0067】
図13は、上記の図12の2つのチャネルに分岐している制御バルブが閉じた状態の立体構造(A,C)及び断面(B)を示す図である。空気閉鎖防止ノッチ303は、制御バルブが開状態から閉状態に切り替わる時にも空気の循環経路を維持するように構成されているので、回転方向にしたがって制御バルブの表面周縁に沿って連結される。その結果、図13のAに示すように、空気閉鎖防止ノッチ303は制御バルブの表面に‘コ’状に構成されてよい。
【0068】
前記空気閉鎖防止ノッチ303は、制御バルブ上方チャネル302及び空気の流れを下方に伝達する制御バルブ下方チャネル301と連結されずに断絶していることを特徴とする。
本発明の他の態様によれば、本発明は、次の段階を含む医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置の使用方法を提供する:
(i)上記の医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置の空気流入口204に空気供給装置2を結合させる段階;
(ii)前記導管装着部203にチューブキャップ400及び導管を結合させる段階;
(iii)前記薬物容器アダプター100に医薬用粉末含有の容器を結合させる段階;
(iv)前記空気供給装置2の電源をオン(on)する段階;及び
(v)前記制御バルブの開閉状態を調節しながら医薬用粉末を噴射する段階。
本発明の一具現例において、前記(i)~(iii)段階の順序は変更されてもよい。
【0069】
本発明の他の具現例において、前記チューブギャップは、前記ハウジングを基準に遠位部の管内径が近位部の管内径よりも大きいものである。
本発明の一態様に係る前記粉末噴射用のディスペンサー装置の使用方法は、上述した構成を含む本発明の一態様に係る粉末噴射用のディスペンサー装置を用いる方法に関し、よって、両発明間に共通する構成については同一の説明が適用される。したがって、本明細書の複雑性を避けるために、共通する構成については重複する記載を省略する。
以上、図面を参照して好ましい実施例と一緒に本発明について詳しく説明したが、このような図面と実施例に本発明の技術的思想の範囲が限定されるものではない。したがって、本発明の技術的思想の範囲内で様々変形例又は均等な範囲の実施例が可能である。したがって、本発明に係る技術的思想の権利範囲は、特許請求の範囲によって解釈されるべきであり、それと同等又は均等な範囲内の技術思想は本発明の権利範囲に属するものと解釈されるべきであろう。
【符号の説明】
【0070】
1:医薬用粉末噴射用のディスペンサー装置
2:空気供給装置
10:薬物容器
20:導管
30:空気フィルター
40:アダプターシール
41a,41b,42,43:O-リング
100:薬物容器アダプター
200:ハウジング
201:第1移送管
201a:第1移送管下方チャネル
201b:第1移送管上方チャネル
202:第2移送管
202a:第2移送管排出チャネル
202b:第2移送管引込チャネル
203:導管装着部
204:空気流入口
205:バルブ収容部
206:微細突起
300:制御バルブ
301:制御バルブ下方チャネル
302:制御バルブ上方チャネル
303:空気閉鎖防止ノッチ
310:バルブキャップ
400:チューブキャップ
500:ボトムキャップ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13