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特開2024-125166燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125166
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 8/04 20160101AFI20240906BHJP
   H01M 8/04537 20160101ALI20240906BHJP
   H01M 8/0444 20160101ALI20240906BHJP
   H01M 8/04746 20160101ALI20240906BHJP
   H01M 8/04303 20160101ALI20240906BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/04537
H01M8/0444
H01M8/04746
H01M8/04303
H01M8/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200181
(22)【出願日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】10-2023-0028547
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(71)【出願人】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジェウォン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヒマン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ジェクォン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、サンウク
【テーマコード(参考)】
5H127
【Fターム(参考)】
5H127AA06
5H127AB04
5H127AB29
5H127AC05
5H127BA02
5H127BA22
5H127BA28
5H127BA58
5H127BB02
5H127BB12
5H127BB37
5H127BB39
5H127DA11
5H127DB04
5H127DB53
5H127DB99
5H127DC22
5H127DC56
5H127DC65
(57)【要約】
【課題】燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法を提供する。
【解決手段】本発明は、カソードとアノードとを含む燃料電池スタック、燃料電池スタックのカソードへ空気を送出するように設けられた空気圧縮機、空気圧縮機からカソードに流入する空気を調節するように設けられた空気調節バルブ、水素をアノードへ伝達し、アノードを通過した水素が排出される水素流動ライン、及び燃料電池スタックのストップ制御モードで、燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度のうちの少なくとも一つに基づいて、空気圧縮機の回転速度または空気調節バルブの開度量のうちの少なくとも一つを制御する制御器、を含む燃料電池システム、及びその制御方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソードとアノードとを含む燃料電池スタック、
燃料電池スタックのカソードへ空気を送出するように設けられた空気圧縮機、
空気圧縮機からカソードに流入する空気を調節するように設けられた空気調節バルブ、
水素をアノードへ伝達し、アノードを通過した水素が排出される水素流動ライン、及び
燃料電池スタックのストップ制御モードで、燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度のうちの少なくとも一つに基づいて、空気圧縮機の回転速度または空気調節バルブの開度量のうちの少なくとも一つを制御する制御器、を含む、燃料電池システム。
【請求項2】
制御器は、燃料電池セルの電圧の標準偏差の限界値を設定し、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超える場合、空気圧縮機の速度及び空気調節バルブの開放量のうちの少なくとも一つを調節することにより、燃料電池セルの電圧の標準偏差を前記設定された限界値以下に低下させることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
空気圧縮機の速度を第1速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブを第1開放量に開放することにより、燃料電池セルの電圧の標準偏差を前記設定された限界値以下に低下させることを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
制御器は、アノードの水素濃度の制限値を設定し、アノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下する場合、水素流動ラインを介して水素を外部へ排出し、空気圧縮機の速度及び空気調節バルブの開放量のうちの少なくとも一つを調節することにより、排出される水素を希釈することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
空気圧縮機の速度を第2速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブを第2開放量に開放して排出される水素を希釈することを特徴とする、請求項4に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
空気をカソードへ伝達する空気流動ライン、
水素流動ラインから分岐してカソード出口側の空気流動ラインに連結され、パージされた水素を空気流動ラインへ伝達する水素パージライン、及び
水素パージラインに設けられ、排出される水素を調節する水素パージバルブ、をさらに含み、
制御器は、空気圧縮機の速度が第2速度であるか、或いは空気調節バルブの開放量が第2開放量であるか、或いはこれらの両条件を満たす場合、水素パージバルブを開放して水素を排出し、排出が完了した場合には水素パージバルブを閉鎖することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
制御器は、燃料電池セルの電圧の標準偏差の限界値を設定し、アノードの水素濃度の制限値を設定し、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超え、アノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下する場合、空気圧縮機速度の第2速度への上昇及び空気調節バルブの第1開放量への開放のうちの少なくとも一つを行うことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
空気をカソードへ伝達する空気流動ライン、
水素流動ラインから分岐してカソード出口側の空気流動ラインに連結され、排出された水素を空気流動ラインへ伝達する水素パージライン、及び
燃料電池セルに設けられ、排出される水素を調節する水素パージバルブをさらに含み、
燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超え、アノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下する場合、制御器は、空気圧縮機の速度を第2速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブを第1開放量に開放した後、水素パージバルブを開放して水素を排出し、排出が完了した場合には水素パージバルブを閉鎖することを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
制御器は、水素パージバルブを閉鎖した後、空気圧縮機を一定時間駆動し続けて排出される水素を希釈することを特徴とする、請求項8に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
水素排出は完了したが、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超える場合、制御器は、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値以下になる時点まで空気圧縮機を駆動することを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
制御器は、燃料電池スタックのストップ制御モードの繰り返しにより取得されたバッテリーの充電量が、予め設定された基準値を超えて充電された場合、空気圧縮機の駆動を中断し、空気調節バルブは開放することを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
燃料電池スタックのカソードへ空気を供給する空気圧縮機と空気調節バルブ、該空気圧縮機と空気調節バルブを制御する制御器、及び水素をアノードへ伝達し、アノードを通過した水素が排出される水素流動ラインを含む燃料電池システムを制御する方法であって、
制御器が燃料電池スタックのストップ制御モードに進入するステップと、
制御器が燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップと、
制御器が燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度の変化程度に応じて空気圧縮機及び空気調節バルブのうちの少なくとも一つを制御するストップと、を含む、燃料電池システムの制御方法。
【請求項13】
燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップは、
制御器が、燃料電池セルの電圧の標準偏差の限界値を設定し、アノードの水素濃度の制限値を設定し、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超えるか、或いはアノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下するか否かをモニタリングすることを特徴とする、請求項12に記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項14】
燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップで、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超えたと判断される場合、
空気圧縮機または空気調節バルブを制御するステップで、空気圧縮機の速度を第1速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブを第1開放量に開放することにより、燃料電池セルの電圧の標準偏差を前記設定された限界値以下に低下させることを特徴とする、請求項13に記載の燃料電池システムの制御方法。
【請求項15】
燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップで、アノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下したと判断される場合、
空気圧縮機または空気調節バルブを制御するステップで、水素流動ラインを介して水素を外部へ排出し、空気圧縮機速度の第2速度への上昇及び空気調節バルブの第2開放量への開放のうちの少なくとも一つを行うことにより、排出される水素を希釈することを特徴とする、請求項13に記載の燃料電池システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法に係り、具体的には、燃料電池スタックのストップ制御時の空気圧縮機、空気調節バルブの制御に関する技術である。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、外部から水素と空気の供給を受け、燃料電池スタックの内部で電気化学(electrochemistry)反応によって電気エネルギーを生成する装置であって、燃料電池車両(FCEV)や発電用燃料電池などの様々な分野における電力源として使用できる。
【0003】
燃料供給システムは、水素タンク内部の圧縮水素を減圧して燃料電池スタックのアノード(Anode、燃料極)へ供給し、空気供給システムは、空気圧縮機を作動させて吸入した外部空気を燃料電池スタックのカソード(Cathode、空気極)へ供給する。
【0004】
燃料電池スタックの燃料極に水素が供給され、空気極に酸素が供給されると、燃料極では、触媒反応を介して水素イオンが分離される。分離された水素イオンは、電解質膜を介して空気極としての酸化極へ伝達され、酸化極では、燃料極で分離された水素イオンと電子及び酸素が共に電気化学反応を起こし、これにより電気エネルギーを得ることができる。具体的には、燃料極では水素の電気化学的酸化が起こり、空気極では酸素の電気化学的還元が起こり、このときに生成される電子の移動により電気と熱が発生し、水素と酸素とが結合する化学作用によって水蒸気または水が生成される。
【0005】
燃料電池スタックの電気エネルギー生成過程で発生する水蒸気と、水や熱などの副産物と反応していない水素及び酸素などを排出するために排出装置が備えられ、水蒸気、水素及び酸素などのガスは、排気通路を介して大気中に排出される。
【0006】
一方、燃料電池車両は、燃料電池スタックの要求出力が0であるか或いは非常に少ない状況、例えば、燃料電池車両が停車中の状況であるか、或いは燃料電池車両に内在したバッテリーのみで走行が可能な場合、下り坂から惰力のみで走行が可能な場合などの状況で燃料電池スタックのストップ制御モードに進入する。
【0007】
燃料電池スタックのストップ制御が持続すると、燃料電池スタックの電圧が、白金が還元溶出する電圧よりも降下する状況に頻繁に晒される可能性があり、これにより、燃料電池スタックの劣化の可能性が増大する。
【0008】
また、燃料電池スタックのストップ制御モードでは、空気圧縮機を低速に維持するため、再循環により濃度が減少した水素ガスの外部排出の際に、排出基準に該当する排出濃度が問題となる場合がある。
【0009】
上記の背景技術として説明された事項は、本発明の背景に対する理解を増進させるためのものに過ぎず、当該技術分野における通常の知識を有する者に既に知られている従来技術に該当することを認めるものと受け入れられてはならないであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】韓国特許第10-1459900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、かかる問題点を解決するために提案されたもので、その目的は、燃料電池スタックのストップ制御の際に発生しうる空気流量のムラによる燃料電池セルの劣化を防止することができ、燃料電池スタックのストップ制御の際に発生しうるアノード内の水素濃度の低下による燃料電池セルの劣化を防止することができ、排出基準を遵守して水素を排出することができる燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するための本発明による燃料電池システムは、カソードとアノードとを含む燃料電池スタック、燃料電池スタックのカソードへ空気を送出するように設けられた空気圧縮機、空気圧縮機からカソードに流入する空気を調節するように設けられた空気調節バルブ、水素をアノードへ伝達し、アノードを通過した水素が排出される水素流動ライン、及び燃料電池スタックのストップ制御モードで、燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度のうちの少なくとも一つに基づいて、空気圧縮機の回転速度または空気調節バルブの開度量のうちの少なくとも一つを制御する制御器、を含む。
【0013】
制御器は、燃料電池セルの電圧の標準偏差の限界値を設定し、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超える場合、空気圧縮機の速度または空気調節バルブの開放量を調節することにより、燃料電池セルの電圧の標準偏差を前記設定された限界値以下に低下させることができる。
【0014】
空気圧縮機の速度を第1速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブを第1開放量に開放することにより、燃料電池セルの電圧の標準偏差を前記設定された限界値以下に低下させることができる。
【0015】
制御器は、アノードの水素濃度の制限値を設定し、アノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下する場合、水素流動ラインを介して水素を外部へ排出し、空気圧縮機の速度または空気調節バルブの開放量を調節することにより、排出される水素を希釈することができる。
【0016】
空気圧縮機の速度を第2速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブを第2開放量に開放することにより、排出される水素を希釈することができる。
【0017】
本発明による燃料電池システムは、空気をカソードへ伝達する空気流動ライン、水素流動ラインから分岐してカソード出口側の空気流動ラインに連結され、パージされた水素を空気流動ラインへ伝達する水素パージライン、及び水素パージラインに設けられ、排出される水素を調節する水素パージバルブ、をさらに含むことができ、制御器は、空気圧縮機の速度が第2速度であるか、或いは空気調節バルブの開放量が第2開放量である場合、水素パージバルブを開放して水素を排出し、排出が完了した場合には水素パージバルブを閉鎖することができる。
【0018】
制御器は、燃料電池セルの電圧の標準偏差の限界値を設定し、アノードの水素濃度の制限値を設定し、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超え、アノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下する場合、空気圧縮機の速度を第2速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブを第1開放量に開放することができる。
【0019】
本発明の燃料電池システムは、空気をカソードへ伝達する空気流動ライン、水素流動ラインから分岐してカソード出口側の空気流動ラインに連結され、排出された水素を空気流動ラインへ伝達する水素パージライン、及び燃料電池セルに設けられ、排出される水素を調節する水素パージバルブをさらに含み、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超え、アノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下する場合、制御器は、空気圧縮機の速度を第2速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブを第1開放量に開放した後、水素パージバルブを開放して水素を排出し、排出が完了した場合には水素パージバルブを閉鎖することができる。
【0020】
制御器は、水素パージバルブを閉鎖した後、空気圧縮機を一定時間駆動し続けることにより、排出される水素を希釈することができる。
【0021】
水素排出は完了したが、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超える場合、制御器は、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値以下になる時点まで空気圧縮機を駆動することができる。
【0022】
制御器は、燃料電池スタックのストップ制御モードの反復により取得されたバッテリーの充電量が、予め設定された基準値を超えて充電された場合、空気圧縮機の駆動を中断し、空気調節バルブは開放することができる。
【0023】
燃料電池スタックのカソードへ空気を供給する空気圧縮機と空気調節バルブ、該空気圧縮機と空気調節バルブを制御する制御器、及び水素をアノードへ伝達し、アノードを通過した水素が排出される水素流動ラインを含む燃料電池システムを制御する方法であって、燃料電池システムの制御方法は、制御器が燃料電池スタックのストップ制御モードに進入するステップと、制御器が燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップと、制御器が燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度の変化程度に応じて空気圧縮機または空気調節バルブを制御するステップと、を含む。
【0024】
燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップは、制御器が、燃料電池セルの電圧の標準偏差の限界値を設定し、アノードの水素濃度の制限値を設定し、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超えるか、或いはアノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下するかをモニタリングすることができる。
【0025】
燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップで、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超えたと判断される場合、空気圧縮機または空気調節バルブを制御するステップで空気圧縮機の速度を第1速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブを第1開放量に開放することにより、燃料電池セルの電圧の標準偏差を前記設定された限界値以下に低下させることができる。
【0026】
燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップで、アノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下したと判断される場合、空気圧縮機または空気調節バルブを制御するステップで、水素流動ラインを介して水素を外部へ排出し、空気圧縮機の速度を第2速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブを第2開放量に開放することにより、排出される水素を希釈することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法によれば、燃料電池スタックのストップ制御時に発生しうる空気流量のムラによる燃料電池セルの劣化を防止することができ、燃料電池スタックのストップ制御時に発生しうるアノード内の水素濃度の低下による燃料電池セルの劣化を防止することができ、排出基準を遵守して水素を排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施形態による燃料電池システムの概略図である。
図2】燃料電池スタックのストップ制御モードを説明するためのグラフである。
図3】燃料電池スタックのストップ制御モード時に発生するセル電圧のバラツキを示すグラフである。
図4】燃料電池スタックのストップ制御モード時に発生するアノードの水素濃度の低下を示すグラフである。
図5】燃料電池スタックのストップ制御モード時(アノードの水素濃度の制御及び排出水素の希釈のための)の燃料電池システム内の水素及び空気の流れを示す図である。
図6】燃料電池スタックのストップ制御モード時に発生するセル電圧のバラツキ及びアノードの水素濃度の低下を示すグラフである。
図7】本発明の一実施形態による燃料電池システムの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本明細書に開示された実施形態を詳細に説明するが、図面
符号に関係なく、同一又は類似の構成要素には同一の参照符号を付し、これについての重複説明は省略する。
【0030】
本明細書に開示された実施形態を説明するにあたり、関連する公知の技術についての具体的な説明が、本明細書に開示された実施形態の要旨を不明確にするおそれがあると判断された場合、その詳細な説明を省略する。また、添付図面は、本明細書に開示された実施形態を容易に理解することができるようにするためのものに過ぎず、添付図面によって、本明細書に開示された技術的思想が制限されず、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むと理解されるべきである。
【0031】
「第1」、「第2」等のように序数を含む用語は、多様な構成要素の説明に使用できるが、これらの構成要素はこれらの用語によって限定されるものではない。これらの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使われる。
【0032】
単数の表現は、文脈上明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。
【0033】
本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせが存在することを指定しようとするもので、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせの存在または付加の可能性を予め排除しないものと理解されるべきである。
【0034】
燃料電池スタックは、燃料電池スタックの要求出力が0であるか或いは非常に少ない状況で、燃料電池スタックのストップ制御モードに進入する。ストップ制御モードでは、燃料電池スタックの発電が不要であるため、燃料電池スタックの発電を最小化する。
【0035】
図2は、燃料電池スタックのストップ制御モードを説明するためのグラフである。
【0036】
ストップ制御モードに進入すると、燃料電池スタックの下限電圧(白金が還元溶出する電圧)に晒される状況を避けるために電圧の上昇、下降を繰り返し行う。このとき、空気圧縮機は、駆動可能な最小速度のみを維持し、空気調節バルブの開度量を調節して電圧の微細な調節を行う。
【0037】
ストップ制御モード時の燃料電池スタックでは、少ない空気の流量で電圧をコントロールするため、ストップ制御モードが長時間持続すると、燃料電池スタックのセル内の空気流量のバランスが崩れてセル電圧にバラツキが生じる。
【0038】
特に、セル電圧の平均から遠く離れた燃料電池セルは、燃料電池スタックの耐久性に悪影響を及ぼす。
【0039】
一方、燃料電池スタックで燃料として使用される水素は、アノードを通過した後も再循環し、再びアノードに流入して再使用できるようにする。水素のアノード内の再循環によって、アノードの内部の水素濃度は次第に下落するが、水素濃度が低い状態で燃料電池スタックの発電が行われると、これも燃料電池スタックの耐久性に悪影響を及ぼす。よって、アノードの水素濃度が低ければ、一部の水素を排出し、新しい水素の供給を受けてアノードの水素濃度を高めることができる。
【0040】
ただし、ストップ制御モードでは、電圧下限値を避けるために一部の発電が行われるが、ストップ制御モードでは、アノードの水素排出が行われなかった。これにより、ストップ制御モードが長時間持続すると、アノード内の水素濃度が足りない状態で発電が行われることにより、燃料電池スタックの耐久性に悪影響を及ぼす。
【0041】
上記の問題を解決するための本発明による燃料電池システムは、カソードとアノードとを含む燃料電池スタック100と、燃料電池スタック100のカソードへ空気を送出するように設けられた空気圧縮機200と、空気圧縮機200からカソードに流入する空気を調節するように設けられた空気調節バルブ300と、水素をアノードへ伝達し、アノードを通過した水素が排出される水素流動ライン550と、燃料電池スタック100のストップ制御モードで、燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度のうちの少なくとも一つに基づいて、空気圧縮機200の回転速度または空気調節バルブ300の開度量のうちの少なくとも一つを制御する制御器400と、を含む。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態による燃料電池システムの概略図である。
【0043】
燃料電池システムの空気圧縮機200は、空気流動ライン350に設けられ、外気を加圧してカソードへ供給する。空気調節バルブ300は、カソードの入口と出口側の空気流動ライン350に設けられ、カソードに流入する空気の流量を調節する。
【0044】
空気調節バルブ300の開度量の調節によって、カソードに流入する空気の流量と、カソードに流入せずにカソードをバイパスして外部へ排出される空気の流量との比率が定められることができる。カソードをバイパスするために、カソード入口側の空気流動ライン350から分岐してカソード出口側の空気流動ライン350に連結されるバイパスライン370が存在する。
【0045】
一方、燃料電池スタック100のアノード側には、水素流動ライン550を介してアノードへ水素を供給する水素供給タンク500が設けられ、アノードを通過した水素を再びアノードへ再循環させるための水素再循環器530が設けられる。
【0046】
水素再循環器には、アノードを通過した水素を貯蔵する水素貯蔵器535と、水素貯蔵器535に存在する水素を再びアノードへ供給するエジェクタ537が含まれる。
【0047】
本発明の一実施形態では、エジェクタタイプを示したが、水素流動ライン550に別途のブロワーを設け、再循環水素を加圧してアノードへ供給する方式を借りることも可能である。
【0048】
図3は、燃料電池スタックのストップ制御モード時に発生するセル電圧のバラツキを示すグラフである。図3を参照すると、ストップ制御モードに進入して燃料電池スタックの電圧の上昇と下降が繰り返し行われる場合、セル電圧のバラツキが上昇することが分かる。セル電圧のバラツキが一定に上昇すると、制御器400は、空気圧縮機200を駆動し、空気調節バルブ300を開度してセル電圧のバラツキを下げることができる。
【0049】
図4は、燃料電池スタックのストップ制御モード時に発生するアノードの水素濃度の低下を示すグラフである。図4を参照すると、ストップ制御モードに進入して燃料電池スタックの電圧の上昇と下降が繰り返し行われる場合、アノードの水素濃度が次第に低下することが分かる。アノードの水素濃度が一定に低下すると、再循環する水素を水素流動ライン550を介して外部へ排出し、水素供給タンク500から水素の供給を受けてアノードの水素濃度を上昇させることができる。
【0050】
但し、外部へ排出される水素濃度は、法規による規制を受ける。よって、排出される水素を適法な排出濃度となるように希釈させる必要がある。これにより、制御器400は、空気圧縮機200を駆動し、空気調節バルブ300を開度することにより、排出される水素を希釈する。
【0051】
これにより、燃料電池スタック100のストップ制御モードの長時間持続にも燃料電池セルの電圧バラツキを改善し、アノードの水素濃度の低下を防止して燃料電池スタック100の耐久性を増大させることができる。
【0052】
一方、具体的な各構成の制御は、次のとおりに行われることができる。
【0053】
まず、燃料電池セルの電圧の標準偏差を低下させるための制御は、次のとおりに行われることができる。
【0054】
制御器400は、燃料電池セルの電圧の標準偏差の限界値を設定し、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超える場合、空気圧縮機200の速度または空気調節バルブ300の開放量を調節することにより、燃料電池セルの電圧の標準偏差を設定された限界値以下に低下させることができる。
【0055】
例えば、電圧の標準偏差の限界値を0.3Vに設定し、制御器400が燃料電池セルをモニタリングした結果、電圧の標準偏差が0.3Vを超える場合、制御器400は、空気圧縮機200の速度と空気調節バルブ300の開放量を増加させて燃料電池セルの電圧の標準偏差を0.3V以下に調節することができる。
【0056】
さらに具体的には、制御器400が空気圧縮機200の速度を第1速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブ300を第1開放量に開放して燃料電池セルの電圧の標準偏差を前記設定された限界値以下に低下させることができる。
【0057】
図3を参照すると、第1速度と第1開放量をt1時間維持して燃料電池セルの電圧の標準偏差を前記設定された限界値以下に低下させることができる。
【0058】
ここで、第1速度や第1開放量などの表現は、任意の値を意味する。すなわち、空気圧縮機の速度、空気調節バルブの開放量は、使用される空気圧縮機や空気調節バルブの仕様などの多様な変因に応じて定められる数値であるので、明確な値が与えられるものではない。
【0059】
一方、アノードの水素濃度を上昇させるための制御は、次のとおりに行われることができる。
【0060】
制御器400は、アノードの水素濃度の制限値を設定し、アノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下する場合、水素流動ライン550を介して水素を外部へ排出し、空気圧縮機200の速度又は空気調節バルブ300の開放量を調節することにより、排出される水素を希釈することができる。
【0061】
すなわち、アノードの水素濃度が制限値未満に低下した場合、水素流動ライン550を介して水素を外部へ排出して低濃度の水素は捨て、水素供給タンク500から水素の供給を受けてアノードの水素濃度を制限値以上に上昇させることができる。
【0062】
ただし、水素が外部へ排出されるためには、法規に定められた濃度以下を満足しなければならないので、制御器400は、空気の流量を増やすために空気圧縮機200の速度を第2速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブ300を第2開放量に開放することにより、排出される水素を希釈することができる。
【0063】
一方、空気圧縮機200の速度と空気調節バルブ300の開放量に関連して、第2速度は第1速度よりも大きい値に設定できる。第2開放量は、第1開放量よりも小さい値に設定できる。
【0064】
アノードの水素濃度の回復及び排出水素の希釈が必要な場合、燃料電池スタック100内に流入する空気の量は、燃料電池セルの電圧の標準偏差の低下に必要な量よりも少なく、むしろ排出水素の希釈のためにバイパスされる空気の流量が多く必要であるので、空気圧縮機200の速度は大きいものの、空気調節バルブ300の開放量は小さくなければならない。
【0065】
一方、本発明による燃料電池システムは、空気をカソードへ伝達する空気流動ライン350と、水素流動ライン550から分岐してカソード出口側の空気流動ライン350に連結され、パージされた水素を空気流動ライン350へ伝達する水素パージライン570と、水素パージライン570に設けられ、排出される水素を調節する水素パージバルブ510と、をさらに含むことができ、制御器400は、空気圧縮機200の速度が第2速度であるか、或いは空気調節バルブ300の開放量が第2開放量である場合、水素パージバルブ510を開放して水素を排出し、排出が完了した場合には水素パージバルブ510を閉鎖することができる。
【0066】
具体的には、図4及び図5を参照すると、アノードの水素濃度が前記設定された制限値よりも低下した場合、水素パージバルブ510を開放して水素を外部へ排出することができる。ただし、水素パージバルブ510は、空気圧縮機200の速度が第2速度を満たし、空気調節バルブ300の開放量が第2開放量を満たした場合に、水素パージバルブ510を開放することが好ましい。
【0067】
すなわち、水素パージバルブ510の開放時点は、カソードをバイパスして外部へ排出される空気の流量を十分に確保した後に行われることが好ましい。
【0068】
水素排出量が目標の排出量を満たすと、水素パージバルブ510を閉鎖する(目標の排出量Trgtflwは、空気の流量によって導出される推定値に相当する)。
【0069】
水素パージバルブ510を閉鎖した後に一定時間t2の間、空気圧縮機200の速度及び空気調節バルブ300の開放量を維持して水素の希釈が良好に行われるようにする。
【0070】
一方、燃料電池スタック100のストップ制御モードの長時間持続によって、燃料電池セルの電圧の標準偏差が限界値を超える場合と、アノードの水素濃度が制限値未満に低下する場合とが同時に発生する可能性がある。
【0071】
これを解決するために、制御器400は、空気圧縮機200の速度を第2速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブ300を第1開放量に開放することができる。
【0072】
すなわち、2つの場合を同時に解決するために、空気圧縮機200の速度を第2速度に上昇させて、水素を希釈するのに十分な流量を確保し、空気調節バルブ300の開放量を第1開放量に上昇させて燃料電池セルの電圧の標準偏差を限界値以下に下げることができるのである。
【0073】
2つの場合が同時に発生した場合にも同様に、空気圧縮機200の速度が第2速度を満たす場合に水素パージバルブ510を開放して水素を排出し、水素排出量が目標の排出量を満足すれば水素パージバルブ510を閉鎖する。また、制御器400は、水素パージバルブ510を閉鎖した後に空気圧縮機200を一定時間駆動し続けることにより、排出される水素を希釈することができる。
【0074】
ただし、水素排出は完了したが、燃料電池セルの電圧の標準偏差が依然として前記設定された限界値を超える場合に、制御器400は、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値以下になる時点まで、空気圧縮機200を駆動して燃料電池セルの電圧の標準偏差を限界値以下に低下させることができる。
【0075】
一方、燃料電池スタック100のストップ制御モードが繰り返し発生する出力によってバッテリーが充電できる。バッテリーは、高電圧バス端に燃料電池スタックと並列に連結され、燃料電池システムの補機類(BoP)を駆動するか或いは各種電子装備を駆動することができる。
【0076】
一般に、バッテリーの耐久性のためにバッテリーの総容量の80%~90%内で充電完了容量を設定するので、制御器400は、燃料電池スタック100のストップ制御モードの繰り返しにより取得されたバッテリーの充電量が、予め設定された基準値を超えて充電された場合には、空気圧縮機の駆動を中断し、空気調節バルブ300は開放することができる。
【0077】
具体的には、バッテリーの過充電を回避するために、空気の供給を中断して燃料電池スタック100の電圧を0Vに維持させる。ただし、空気調節バルブ300は、開放状態を維持するが、これは、燃料電池スタック100の始動時に出力が遅延するのを防止するためである。
【0078】
一方、図7は、本発明の一実施形態による燃料電池システムの制御方法を示すフローチャートである。
【0079】
本発明による燃料電池システムの制御方法は、燃料電池スタック100のストップ制御モードに進入するステップ(S100)と、制御器400が燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップ(S300)と、制御器400が燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度の変化程度に応じて空気圧縮機200または空気調節バルブ300を制御するステップ(S400)と、を含む。
【0080】
燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップ(S300)は、制御器400が、燃料電池セルの電圧の標準偏差の限界値を設定し、アノードの水素濃度の制限値を設定し、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超えるか、或いはアノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下するか否かをモニタリングすることができる。
【0081】
燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップ(S300)で、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超えたと判断される場合、空気圧縮機200または空気調節バルブ300を制御するステップ(S400)で空気圧縮機200の速度を第1速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブ300を第1開放量に開放(S410)することにより、燃料電池セルの電圧の標準偏差を前記設定された限界値以下に低下させることができる。
【0082】
燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップ(S300)で、アノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下したと判断される場合、空気圧縮機200または空気調節バルブ300を制御するステップ(S400)で、水素流動ライン550を介して水素を外部へ排出し、空気圧縮機200の速度を第2速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブ300を第2開放量に開放(S420)することにより、排出される水素を希釈することができる。
【0083】
燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップ(S300)で、燃料電池セルの電圧の標準偏差が前記設定された限界値を超え、アノードの水素濃度が前記設定された制限値未満に低下したと判断される場合、空気圧縮機または空気調節バルブを制御するステップ(S400)で、水素流動ライン550を介して水素を外部へ排出し、空気圧縮機200の速度を第2速度に上昇させるか、或いは空気調節バルブ300を第1開放量に開放(S430)することにより、排出される水素を希釈することができる。
【0084】
一方、燃料電池システムの制御方法は、燃料電池セルの電圧またはアノードの水素濃度をモニタリングするステップ(S300)の前に、燃料電池スタック100のストップ制御モードの繰り返しにより取得されたバッテリーの充電量が、予め設定された基準値を超えて充電されたか否かを判断(S200)するステップを行うことができる。
【0085】
制御器400は、燃料電池スタックのストップ制御モードの繰り返しにより取得されたバッテリーの充電量が、予め設定された基準値を超えて充電された場合には、空気圧縮機200の駆動を中断し、空気調節バルブ300は開放(S250)することができる。
【0086】
具体的には、バッテリーの過充電を避けるために、空気の供給は中断して燃料電池スタック100の電圧を0Vに維持させる。ただし、空気調節バルブ300は開放状態を維持するが、これは、燃料電池スタック100の始動時に出力が遅延するのを防止するためである。
【0087】
本発明の特定の実施形態について図示及び説明したが、以下の特許請求の範囲によって提供される本発明の技術的思想から逸脱することなく、本発明に様々な改良及び変更を加え得るのは、当技術分野における通常の知識を有する者にとって自明であろう。
【符号の説明】
【0088】
100 燃料電池スタック
200 空気圧縮機
300 空気調節バルブ
400 制御器
500 水素供給タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7