IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日置電機株式会社の特許一覧

特開2024-125176巻芯、センサ用部品、電流センサおよび電流測定装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125176
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】巻芯、センサ用部品、電流センサおよび電流測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/18 20060101AFI20240906BHJP
   G01R 1/22 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G01R15/18 B
G01R1/22 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015503
(22)【出願日】2024-02-05
(31)【優先権主張番号】P 2023032437
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000227180
【氏名又は名称】日置電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】柄澤 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 哲也
(72)【発明者】
【氏名】池田 健太
(72)【発明者】
【氏名】丸山 貴史
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA11
2G025AB14
2G025AC01
(57)【要約】
【課題】クランプした測定対象の電流センサに対する位置による測定結果のばらつきを十分に低減する。
【解決手段】電流検出時に検出対象導体を囲んで環状に配置される電流センサにおける周方向の一部を構成するセンサ用部品10の巻芯10aであって、磁気コア20における周方向の一部を構成するコア部材20aと、コア部材20aが挿通させられると共に検出用巻線を巻回可能に構成された巻芯本体30とを備え、巻芯本体30は、磁気コア20における周方向の他の一部を構成する外部コア部材および外部コア部材が挿通させられると共に検出用巻線を巻回可能に構成された外部巻芯本体を備えてセンサ用部品10と共に電流センサを構成する外部センサ用部品の外部コア部材における周方向の一端部を、巻芯本体30における周方向の端部P30a,P30bに挿入して外部コア部材をコア部材20aに接触させることができるように構成されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流検出時に検出対象導体を囲んで環状に配置される電流センサにおける周方向の一部を構成するセンサ用部品の巻芯であって、
磁気コアにおける前記周方向の一部を構成するコア部材と、
前記コア部材が挿通させられると共に検出用巻線を巻回可能に構成された筒状体とを備え、
前記筒状体は、前記磁気コアにおける前記周方向の他の一部を構成する外部コア部材および当該外部コア部材が挿通させられると共に前記検出用巻線を巻回可能に構成された外部筒状体を備えて前記センサ用部品と共に前記電流センサを構成する外部センサ用部品の当該外部コア部材における当該周方向の一端部を、当該筒状体における当該周方向の両端部のうちの少なくとも一方に挿入して当該外部コア部材を前記コア部材に接触させることができるように構成されている巻芯。
【請求項2】
前記筒状体は、前記周方向の両端部に第1の鍔部がそれぞれ設けられて当該両第1の鍔部の間に前記検出用巻線を巻回可能に構成されている請求項1記載の巻芯。
【請求項3】
前記筒状体は、前記電流センサを環状に配置したときに、前記両端部のうちの少なくとも一方の前記第1の鍔部が前記外部センサ用部品に当接するように構成されている請求項2記載の巻芯。
【請求項4】
前記筒状体は、前記周方向における前記両第1の鍔部の間に第2の鍔部が設けられている請求項2記載の巻芯。
【請求項5】
前記筒状体は、前記両端部のうちの少なくとも一方の前記第1の鍔部における前記周方向の厚みが、前記第2の鍔部における当該周方向の厚みに対する1/2の厚みとなるように形成されている請求項4記載の巻芯。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載の巻芯と、
前記検出用巻線が巻回された前記巻芯を収容可能に構成されたケーシングとを備えているセンサ用部品。
【請求項7】
請求項6記載のセンサ用部品を複数備えて電流検出時に前記検出対象導体を囲んで環状に配置可能に構成された電流センサ。
【請求項8】
一対の前記センサ用部品と、当該両センサ用部品のうちの少なくとも一方に対する他方の相対的な回動を許容する回動軸とを備え、当該少なくとも一方のセンサ用部品に対する当該他方のセンサ用部品の相対的な回動によって、当該両センサ用部品の前記コア部材における前記周方向の一端部同士および他端部同士がそれぞれ接して環状の前記磁気コアが形成される閉状態と、当該コア部材における少なくとも当該一端部同士が相互に離間した開状態とに移行可能に構成され、
前記両センサ用部品は、前記閉状態において前記コア部材の前記周方向における端部が挿入される前記筒状体の前記周方向における端部と、当該挿入されるコア部材の当該周方向における端部との間に、前記開状態から当該閉状態への移行時および当該閉状態から当該開状態への移行時に当該コア部材の当該周方向における端部の外面が当該筒状体の当該周方向における端部の内面に当接するのを回避可能な空隙が形成されるように、当該筒状体の当該周方向における端部の内径および当該コア部材の当該周方向における端部の外径がそれぞれ規定されている請求項7記載の電流センサ。
【請求項9】
一対の前記センサ用部品と、当該両センサ用部品のうちの少なくとも一方に対する他方の相対的な接離動を許容する案内機構とを備え、当該少なくとも一方のセンサ用部品に対する当該他方のセンサ用部品の接離動によって、当該両センサ用部品の前記コア部材における前記周方向の一端部同士および他端部同士がそれぞれ接して環状の前記磁気コアが形成される閉状態と、当該コア部材における当該一端部同士および当該他端部同士がそれぞれ相互に離間した開状態とに移行可能に構成され、
前記両センサ用部品は、前記閉状態において前記コア部材の前記周方向における端部が挿入される前記筒状体の前記周方向における端部の内面と、当該挿入されるコア部材の当該周方向における端部の外面とが、前記案内機構による前記他方のセンサ用部品の案内による接離動の方向に沿って延在する面でそれぞれ構成されている請求項7記載の電流センサ。
【請求項10】
請求項7記載の電流センサと、
前記検出対象導体についての前記電流センサによる検出結果に基づいて予め規定された被測定量を測定する測定部とを備えている電流測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流検出時に検出対象導体を囲んで環状に配置される電流センサにおける周方向の一部を構成するセンサ用部品の巻芯、そのような巻芯を備えて構成されたセンサ用部品、そのようなセンサ用部品を備えて構成された電流センサ、およびそのような電流センサを備えて構成された電流測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出願人は、測定装置本体および電流センサを備え、電流センサによってクランプした測定対象を流れる電流の電流値を測定可能に構成された電流測定装置を下記の特許文献に開示している。この場合、上記の電流センサは、把持部およびクランプ部が一体的に形成されると共に、接続ケーブルを介して測定装置本体に接続されている。また、クランプ部は、正面視半環状に形成されて測定対象をクランプ可能に構成された一対のセンサ部を備えている。このセンサ部は、磁性コア、コアホルダ、FG巻線部、シールド板およびカバーなどで構成された磁束検出部の周囲に巻線が巻回されたセンサ本体が樹脂ケース内に収容されて一体化されている。
【0003】
磁性コアは、コアホルダ内に並んで配置された半体を備え、半体は、複数の磁性薄板が積層されて構成されている。コアホルダは、磁性コア(半体)およびFG巻線部を収容可能に構成されている。FG巻線部(磁気検出素子)は、コアホルダに取り付けられた磁性コアにおける半体の間に設けられたギャップの近傍に位置させられた状態でホルダ本体に取り付けられ、両センサ部が測定対象を取り囲んで環状をなすように配置された状態において測定対象に電流が供給されることで生じる磁界によって磁性コアに誘起される磁束を検出可能に構成されている。カバーは、シールド板によって覆われたコアホルダ(磁性コアおよびFG巻線部)を収容可能に構成されると共に、磁性コア(コアホルダ)の周囲に巻線を巻回するためのボビンとして機能するように構成されている。
【0004】
この電流センサの製造に際しては、まず、磁性コア(半体)を収容したコアホルダにFG巻線部やシールド板を取り付けた後にカバー内に収容することによって磁束測定対象を製作する。次いで、磁束測定対象(カバー)の周囲に巻線を巻回することによってセンサ本体を製作して樹脂ケース内に収容する。これにより、センサ部が製作される。この後、センサ部を把持部に取り付けると共に、FG巻線部の巻線、巻線および接続ケーブルを把持部内において信号処理回路基板にそれぞれ接続することにより、電流センサが完成する。
【0005】
この電流センサを備えた電流測定装置によって測定対象を流れる電流の電流値を測定するときには、電流センサに接続されている接続ケーブルを測定装置本体に接続すると共に、電流センサのクランプ部によって測定対象をクランプする。この際に、測定対象を電流が流れていることで測定対象の周囲に磁界が生じているときには、この磁界によって電流センサの磁性コアに磁束が誘起され、この磁束がFG巻線部によって検出される。これにより、FG巻線部によって検出される磁束の量に基づき、測定装置本体内の測定部によって測定対象を流れている電流の電流値が測定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6587875号公報(第4-8頁、第1-6図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、出願人が開示している電流測定装置の電流センサには、以下のような改善すべき課題が存在する。具体的には、上記の電流センサでは、半環状に形成された一対のセンサ部における両端部を互いに接合することで両センサ部内の磁性コアなどが測定対象を囲んで環状をなすように構成されている。この場合、この電流センサのセンサ部では、カバーの両端部から磁性コアの端部がそれぞれ突出させられている。また、このセンサ部では、カバーがボビンとして機能するように構成されて巻線が巻回されている。したがって、そのようなセンサ部を備えた電流センサでは、両センサ部を接合して磁性コアを環状に配置した状態において、磁性コアの接合部(すなわち、センサ部の両端部)に、カバーが存在しないことで巻線が巻回されていない部位が生じることとなる。
【0008】
この場合、電流センサによって測定対象をクランプして測定対象の周囲に磁性コア等が環状に配置された状態において、センサ部における巻線が存在しない部位の近傍に測定対象が位置するときと、センサ部における巻線が存在する部位の近傍に測定対象が位置するときとでは、検出される磁束の量が相違するおそれがある。このため、出願人が開示している電流測定装置では、クランプした測定対象の電流センサに対する位置によって、測定される電流の電流値に差異が生じるおそれがある。このため、この点を改善するのが好ましい。
【0009】
本発明は、かかる改善すべき課題に鑑みてなされたものであり、クランプした測定対象の電流センサに対する位置による測定結果のばらつきを十分に低減し得る電流センサのセンサ用部品を製造可能な巻芯、そのような巻芯を備えて構成されたセンサ用部品、そのようなセンサ用部品を備えて構成された電流センサ、およびそのような電流センサを備えて構成された電流測定装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る巻芯は、電流検出時に検出対象導体を囲んで環状に配置される電流センサにおける周方向の一部を構成するセンサ用部品の巻芯であって、磁気コアにおける前記周方向の一部を構成するコア部材と、前記コア部材が挿通させられると共に検出用巻線を巻回可能に構成された筒状体とを備え、前記筒状体は、前記磁気コアにおける前記周方向の他の一部を構成する外部コア部材および当該外部コア部材が挿通させられると共に前記検出用巻線を巻回可能に構成された外部筒状体を備えて前記センサ用部品と共に前記電流センサを構成する外部センサ用部品の当該外部コア部材における当該周方向の一端部を、当該筒状体における当該周方向の両端部のうちの少なくとも一方に挿入して当該外部コア部材を前記コア部材に接触させることができるように構成されている。
【0011】
また、本発明に係るセンサ用部品は、上記の巻芯と、前記検出用巻線が巻回された前記巻芯を収容可能に構成されたケーシングとを備えている。また、本発明に係る電流センサは、上記のセンサ用部品を複数備えて電流検出時に前記検出対象導体を囲んで環状に配置可能に構成されている。また、本発明に係る電流測定装置は、上記の電流センサと、前記検出対象導体についての前記電流センサによる検出結果に基づいて予め規定された被測定量を測定する測定部とを備えている。
【0012】
したがって、本発明に係る巻芯、センサ用部品、電流センサおよび電流測定装置によれば、コア部材の端部を筒状体の端部に挿入する分だけ、センサ用部品を接合して電流センサを環状に配置した状態において電流センサの周方向でコア部材(磁気コア)が筒状体から露出している部位、すなわち、筒状体が存在しないことで検出用巻線が巻回されていない部位の範囲を十分に狭くすることができる。これにより、検出対象導体を囲んで電流センサを環状に配置した状態において、検出対象導体のほぼ全周に亘って検出用巻線が存在する状態とすることができ、電流センサ内における検出対象導体の位置の相違による磁束の検出量の相違を十分に小さくできるため、検出した磁束の量に基づいて検出対象導体を流れる電流の電流値を正確に測定することができる。
【0013】
また、本発明に係る巻芯は、前記筒状体は、前記周方向の両端部に第1の鍔部がそれぞれ設けられて当該両第1の鍔部の間に前記検出用巻線を巻回可能に構成されている。したがって、本発明に係る巻芯、センサ用部品、電流センサおよび電流測定装置によれば、鍔部が存在しない筒状部では、筒状部における周方向の端部まで検出用巻線を巻回したときに、巻き崩れが生じて検出用巻線が筒状部から外れるおそれがあるのに対し、その端部に第1の鍔部を形成したことで筒状体の端部の極く近くまで巻き崩れを生じさせることなく検出用巻線を巻回することができる。これにより、センサ用部品を接合して電流センサを環状に配置した状態において電流センサの周方向で検出用巻線が巻回されていない部位の範囲を一層狭くすることができるため、電流センサ内における検出対象導体の位置の相違による磁束の検出量の相違を一層小さくすることができる。
【0014】
また、本発明に係る巻芯は、前記筒状体は、前記電流センサを環状に配置したときに、前記両端部のうちの少なくとも一方の前記第1の鍔部が前記外部センサ用部品に当接するように構成されている。したがって、本発明に係る巻芯、センサ用部品、電流センサおよび電流測定装置によれば、センサ用部品を接合して電流センサを環状に配置した状態において電流センサの周方向でコア部材(磁気コア)が筒状体から露出している部位、すなわち、筒状体が存在しないことで検出用巻線が巻回されていない部位を一層狭くすることができるため、電流センサ内における検出対象導体の位置の相違による磁束の検出量の相違を一層小さくすることができる。
【0015】
また、本発明に係る巻芯は、前記筒状体は、前記周方向における前記両第1の鍔部の間に第2の鍔部が設けられている。したがって、本発明に係る巻芯、センサ用部品、電流センサおよび電流測定装置によれば、筒状体の第1の鍔部の間においても検出用巻線の巻き崩れが生じる事態を好適に回避することができるため、電流センサ内における検出対象導体の位置の相違による磁束の検出量の相違を一層小さくすることができる。
【0016】
また、本発明に係る巻芯は、前記筒状体は、前記両端部のうちの少なくとも一方の前記第1の鍔部における前記周方向の厚みが、前記第2の鍔部における当該周方向の厚みに対する1/2の厚みとなるように形成されている。したがって、本発明に係る巻芯、センサ用部品、電流センサおよび電流測定装置によれば、電流センサの周方向で第1の鍔部や第2の鍔部の存在に起因して検出用巻線が存在しない範囲を、センサ用部品の接合部の近傍(すなわち、第1の鍔部の近傍)、およびセンサ用部品の周方向における中央部の近傍(第2の鍔部の近傍)において等しくすることができる。これにより、電流センサ内における検出対象導体の位置の相違による磁束の検出量の相違を一層小さくすることができる。
【0017】
また、本発明に係る電流センサは、一対の前記センサ用部品と、当該両センサ用部品のうちの少なくとも一方に対する他方の相対的な回動を許容する回動軸とを備え、当該少なくとも一方のセンサ用部品に対する当該他方のセンサ用部品の相対的な回動によって、当該両センサ用部品の前記コア部材における前記周方向の一端部同士および他端部同士がそれぞれ接して環状の前記磁気コアが形成される閉状態と、当該コア部材における少なくとも当該一端部同士が相互に離間した開状態とに移行可能に構成され、前記両センサ用部品は、前記閉状態において前記コア部材の前記周方向における端部が挿入される前記筒状体の前記周方向における端部と、当該挿入されるコア部材の当該周方向における端部との間に、前記開状態から当該閉状態への移行時および当該閉状態から当該開状態への移行時に当該コア部材の当該周方向における端部の外面が当該筒状体の当該周方向における端部の内面に当接するのを回避可能な空隙が形成されるように、当該筒状体の当該周方向における端部の内径および当該コア部材の当該周方向における端部の外径がそれぞれ規定されている。
【0018】
したがって、本発明に係る電流センサ、およびこれを備えた電流測定装置によれば、空隙の存在により、回動軸を回動中心とするセンサ用部品の回動に際して、コア部材の端部が筒状体の端部に当接したり、筒状体の端部がコア部材の端部に当接したりする事態が回避されるため、閉状態から開状態への移行および開状態から閉状態への移行に際して、両センサ用部品の一方に対する他方の相対的な回動をスムースに実行し得る電流センサを提供することができる。
【0019】
また、本発明に係る電流センサは、一対の前記センサ用部品と、当該両センサ用部品のうちの少なくとも一方に対する他方の相対的な接離動を許容する案内機構とを備え、当該少なくとも一方のセンサ用部品に対する当該他方のセンサ用部品の接離動によって、当該両センサ用部品の前記コア部材における前記周方向の一端部同士および他端部同士がそれぞれ接して環状の前記磁気コアが形成される閉状態と、当該コア部材における当該一端部同士および当該他端部同士がそれぞれ相互に離間した開状態とに移行可能に構成され、前記両センサ用部品は、前記閉状態において前記コア部材の前記周方向における端部が挿入される前記筒状体の前記周方向における端部の内面と、当該挿入されるコア部材の当該周方向における端部の外面とが、前記案内機構による前記他方のセンサ用部品の案内による接離動の方向に沿って延在する面でそれぞれ構成されている。
【0020】
したがって、本発明に係る電流センサ、およびこれを備えた電流測定装置によれば、筒状体の端部の内面にコア部材の端部の挿入および離脱を阻害する突出部などが存在せず、かつコア部材の端部の外面に筒状体の端部への挿入および離脱を阻害する突出部などが存在しないことで、閉状態から開状態への移行および開状態から閉状態への移行に際して、両センサ用部品の一方に対する他方の相対的な接離動をスムースに実行し得る電流センサを提供することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る巻芯、センサ用部品、電流センサおよび電流測定装置によれば、筒状体が存在しないことで検出用巻線が巻回されていない部位の範囲を十分に狭くすることができるため、検出対象導体を囲んで電流センサを環状に配置した状態において、検出対象導体のほぼ全周に亘って検出用巻線が存在する状態とすることができ、電流センサ内における検出対象導体の位置の相違による磁束の検出量の相違を十分に小さくできる結果、検出した磁束の量に基づいて検出対象導体を流れる電流の電流値を正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】電流測定装置1の構成を示す構成図である。
図2】電流センサ3(センサ用部品10,10)の断面図である。
図3】巻芯10a,10aを一体化させた状態の外観斜視図である。
図4】巻芯10a,10aを分離させた状態の外観斜視図である。
図5】巻芯10aの分解斜視図である。
図6】巻芯10aにおける鍔部32a~32c近傍の断面図である。
図7】巻芯10a,10aの断面図である。
図8】分離させた状態の巻芯10a,10aにおける端部近傍の断面図である。
図9】一体化させた状態の巻芯10a,10aにおける端部近傍の断面図である。
図10】分離させた状態の巻芯10b,10bにおける端部近傍の断面図である。
図11】従来の電流センサにおける磁束検出部25xの外観斜視図である。
図12】従来の電流センサにおけるクランプ部22xの外観図である。
図13】巻芯10aの分解斜視図である。
図14】巻芯10a,10aの断面図である。
図15】閉状態の電流センサ3Aにおけるセンサ用部品10A(センサ用部品10A1,10A2)の断面図である。
図16】開状態の電流センサ3Aにおけるセンサ用部品10A(センサ用部品10A1,10A2)の断面図である。
図17】回動軸Oを回動中心としてセンサ用部品10,10を回動させる際に生じるおそれがある課題について説明するための説明図である。
図18】回動軸Oを回動中心としてセンサ用部品10,10を回動させる際に生じるおそれがある課題について説明するための他の説明図である。
図19】電流センサ3Aのセンサ用部品10A1における一端側の拡大断面図である。
図20】電流センサ3Aのセンサ用部品10A2における一端側の拡大断面図である。
図21】閉状態の電流センサ3Bにおけるセンサ用部品10Bの断面図である。
図22】開状態の電流センサ3Bにおけるセンサ用部品10Bの断面図である。
図23】電流センサ3Bのセンサ用部品10Bにおける一端側の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、巻芯、センサ用部品、電流センサおよび電流測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1に示す電流測定装置1は、「電流測定装置」の一例であって、測定装置本体2および電流センサ3を備えて構成されている。この場合、測定装置本体2は、電流センサ3による検出結果に基づいて「検出対象導体」の一例である測定対象(測定対象導線)Xについての予め規定された被測定量(一例として、測定対象Xを流れる電流の電流値)を測定する「測定部(測定回路:図示せず)」を備えている。具体的には、測定装置本体2は、上記の「測定部」を収容し、かつ各種の操作スイッチを有する操作部や測定値等を表示する表示部など(いずれも図示せず)が配設された筐体を備えると共に、ケーブル4を介して電流センサ3を接続可能に構成されている。
【0025】
一方、電流センサ3は、「電流センサ」に相当し、一例として、半環状に形成された一対のセンサ用部品10,10を備え、測定対象Xを流れる電流の検出時に測定対象Xを囲んで環状に配置することができるように構成されている。なお、本例では、一例として、形状や機能などが同じ2つのセンサ用部品10,10で電流センサ3が構成されており、一方のセンサ用部品10を「センサ用部品」としたときに、他方のセンサ用部品10が「センサ用部品と共に電流センサを構成する外部センサ用部品」に相当する。また、2つのセンサ用部品10,10によって電流センサ3が構成される本例では、互いに接合されて環状をなすように配置された状態における両センサ用部品10,10の延在方向が「周方向」に相当する。
【0026】
この場合、図2に示すように、センサ用部品10は、巻芯10a、巻線40およびケーシング50を備えている。また、巻芯10aは、「電流センサにおける周方向の一部を構成するセンサ用部品の巻芯」に相当すると共に、かつ出願人が前述の特許文献に開示している電流センサにおける磁束検出部に対応する構成要素の一例であって、図2~5に示すように、コア部材20aおよび巻芯本体30を備えて構成されている。
【0027】
コア部材20aは、「磁気コアにおける周方向の一部を構成するコア部材」および「磁気コアにおける周方向の他の一部を構成する外部コア部材」の一例であって、2つのセンサ用部品10,10によって電流センサ3が構成される本例では、一方のセンサ用部品10における巻芯10aのコア部材20aと、他方のセンサ用部品10における巻芯10aのコア部材20aとが相俟って「磁気コア」の一例である磁気コア20が構成される。この場合、図5,7~9に示すように、本例の巻芯10aでは、複数枚(一例として8枚)の板状磁性体を積層することで半環状のコア部材20aが構成されると共に、各板状磁性体の積層位置を「周方向」に交互にずらすことでコア部材20aの端部P20a,P20bが櫛歯形状となるように構成されている。
【0028】
巻芯本体30は「コア部材が挿通させられると共に検出用巻線を巻回可能に構成された筒状体」および「外部コア部材が挿通させられると共に検出用巻線を巻回可能に構成された外部筒状体」の一例であって、図2~5に示すように、シェル31,31を備えて構成されている。この場合、本例の巻芯10aでは、両シェル31,31が同じ形状で同じ大きさに形成されている。また、本例の巻芯10aでは、巻芯本体30(シェル31)の側面視における「周方向」の長さが、コア部材20aにおける上記の板状磁性体の側面視における「周方向」の長さと等しく形成されている。したがって、巻芯本体30(シェル31)の側面視における「周方向」の長さは、前述のように各板状磁性体の積層位置を「周方向」に交互にずらして端部P20a,P20bを櫛歯形状としているコア部材20aの側面視における「周方向」の長さよりも短くなっている。
【0029】
また、図8,9に示すように、本例の巻芯10aでは、コア部材20aの端部P20aにおける櫛歯形状の凸部の先端部(8枚の板状磁性体のうちの4枚の端部)が巻芯本体30の端部P30aから「周方向」において突出させられ、かつ端部P20aにおける櫛歯形状の凹部の底部(8枚の板状磁性体のうちの他の4枚の端部)が巻芯本体30内に位置すると共に、コア部材20aの端部P20bにおける櫛歯形状の凸部の先端部(端部P20aにおける凹部の底部を構成する4枚の板状磁性体の端部)が巻芯本体30の端部P30bから「周方向」において突出させられ、かつ端部P20bにおける櫛歯形状の凹部の底部(端部P20aにおける凸部の先端部を構成する4枚の板状磁性体の端部)が巻芯本体30内に位置するように、コア部材20a(8枚の板状磁性体)が巻芯本体30(シェル31,231)を挿通させられている。
【0030】
これにより、図7,9に示すように、本例のセンサ用部品10(巻芯10a)では、一方のセンサ用部品10(巻芯10a)のコア部材20aにおける「周方向」の端部P20a(凸部の先端部)を、他方のセンサ用部品10(巻芯10a)の巻芯本体30における端部P30bに挿入し、かつ他方のセンサ用部品10(巻芯10a)のコア部材20aにおける「周方向」の端部P20b(凸部の先端部)を、一方のセンサ用部品10(巻芯10a)の巻芯本体30における端部P30aに挿入して、一方のセンサ用部品10(巻芯10a)のコア部材20aにおける端部P20aと他方のセンサ用部品10(巻芯10a)のコア部材20aにおける端部P20bとを互いに接触させることが可能となっている。また、本例のセンサ用部品10(巻芯10a)では、一方のセンサ用部品10(巻芯10a)のコア部材20aにおける「周方向」の端部P20b(凸部の先端部)を、他方のセンサ用部品10(巻芯10a)の巻芯本体30における端部P30aに挿入し、かつ他方のセンサ用部品10(巻芯10a)のコア部材20aにおける「周方向」の端部P20a(凸部の先端部)を、一方のセンサ用部品10(巻芯10a)の巻芯本体30における端部P30bに挿入して、一方のセンサ用部品10(巻芯10a)のコア部材20aにおける端部P20bと他方のセンサ用部品10(巻芯10a)のコア部材20aにおける端部P20aとを互いに接触させることが可能となっている。
【0031】
また、図3~7に示すように、本例のセンサ用部品10(巻芯10a)における巻芯本体30には、その「周方向」の両端部に鍔部32a,32b(「第1の鍔部」の一例)がそれぞれ設けられると共に、その「周方向」における鍔部32a,32bの間に鍔部32c(「第2の鍔部」の一例)が設けられ、図2に示すように、鍔部32aと鍔部32cとの間、および鍔部32bと鍔部32cとの間に巻線40を巻回することができるように巻芯本体30が構成されている。この場合、図7に示すように、本例のセンサ用部品10(巻芯10a)では、鍔部32a,32cの「周方向」における離間距離と、鍔部32b,32cの「周方向」における離間距離とが等しくなるように巻芯本体30が形成されている。
【0032】
また、図7,9に示すように、本例のセンサ用部品10(巻芯10a)では、センサ用部品10,10(電流センサ3)を環状に配置したときに、一方のセンサ用部品10(巻芯10a)における巻芯本体30の鍔部32aと他方のセンサ用部品10(巻芯10a)における巻芯本体30の鍔部32bとが互いに当接した状態になると共に、一方のセンサ用部品10(巻芯10a)における巻芯本体30の鍔部32bと他方のセンサ用部品10(巻芯10a)における巻芯本体30の鍔部32aとが互いに当接した状態となるように巻芯本体30が構成されている(「筒状態における少なくとも一方の第1の鍔部が外部センサ用部品に当接する」との構成の一例)。これにより、本例の電流センサ3では、環状に配置した状態において、その「周方向」の全体に巻芯本体30が存在する状態となる。
【0033】
また、図6に示すように、本例のセンサ用部品10(巻芯10a)では、鍔部32aの「周方向」における厚みTaと、鍔部32bの「周方向」における厚みTbとが互いに等しく、かつ厚みTa,Tbがそれぞれ鍔部32cの「周方向」における厚みTcに対する1/2の厚みとなるように鍔部32a~32cが巻芯本体30に形成されている(「両端部のうちの少なくとも一方の第1の鍔部における周方向の厚みが、第2の鍔部における周方向の厚みに対する1/2の厚みとなる」との構成の一例)。これにより、本例のセンサ用部品10(巻芯10a)では、鍔部32aの厚みTaと鍔部32bの厚みTbとの和が鍔部32cの厚みTcと等しくなっている。
【0034】
ケーシング50は、「ケーシング」の一例であって、図2に示すように、互いに嵌合させることで筒状となるシェル51,51を備え、巻芯本体30の周囲に巻線40が巻回された巻芯10aを収容可能に構成されている。この場合、本例の電流センサ3では、ケーシング50(シェル51)の側面視における「周方向」の長さが、巻芯10aにおける巻芯本体30(シェル31)の側面視における「周方向」の長さと等しく形成されている。したがって、本例の電流センサ3では、両センサ用部品10,10を接合して電流センサ3を環状に配置したときに、両センサ用部品10におけるケーシング50の「周方向」における端部同士が互いに接した状態となり、電流センサ3における「周方向」の全体において、巻芯10aや巻線40がケーシング50によって覆われた状態となる。
【0035】
この電流測定装置1によって測定対象Xを流れる電流の電流値を測定する際には、図1に示すように、測定対象Xを囲んで環状をなすようにセンサ用部品10,10を接合する。この際には、図7,9に示すように、一方のセンサ用部品10の巻芯10aにおけるコア部材20aの端部P20aを他方のセンサ用部品10の巻芯10aにおける巻芯本体30の端部P30bに挿入し、かつ他方のセンサ用部品10の巻芯10aにおけるコア部材20aの端部P20bを一方のセンサ用部品10の巻芯10aにおける巻芯本体30の端部P30aに挿入すると共に、一方のセンサ用部品10の巻芯10aにおけるコア部材20aの端部P20bを他方のセンサ用部品10の巻芯10aにおける巻芯本体30の端部P30aに挿入し、かつ他方のセンサ用部品10の巻芯10aにおけるコア部材20aの端部P20aを一方のセンサ用部品10の巻芯10aにおける巻芯本体30の端部P30bに挿入する。
【0036】
これにより、両センサ用部品10,10(巻芯10a,10a)におけるコア部材20a,20aが互いに接して測定対象Xを囲む環状の磁路が形成される。また、一方のセンサ用部品10(巻芯10a)における巻芯本体30の端部P30a(鍔部32a)と他方のセンサ用部品10(巻芯10a)における巻芯本体30の端部P30b(鍔部32b)とが接し、かつ一方のセンサ用部品10(巻芯10a)における巻芯本体30の端部P30b(鍔部32b)と他方のセンサ用部品10(巻芯10a)における巻芯本体30の端部P30a(鍔部32a)とが接した状態となる。さらに、本例の電流センサ3(センサ用部品10)では、一方のセンサ用部品10におけるケーシング50の一端部(巻芯本体30における端部P30a側の端部)と他方のセンサ用部品10におけるケーシング50の他端部(巻芯本体30における端部P30b側の端部)とが接し、かつ一方のセンサ用部品10におけるケーシング50の他端部(巻芯本体30における端部P30b側の端部)と他方のセンサ用部品10におけるケーシング50の一端部(巻芯本体30における端部P30a側の端部)とが接した状態となる(図示せず)。
【0037】
この場合、図11,12に示すように、前述の特許文献に開示の電流センサでは、ボビンとして機能するカバー38ax,38bx(以下、区別しないときには「カバー38x」ともいう)内に、磁性コア31xやシールド板36ax,36bx,37ax,37bxなどで構成される部材30xが挿入されて磁束検出部25xが構成されると共に、この磁束検出部25xにおけるカバー38xの周囲に巻線26xが巻回されてセンサ部22ax,22bx(以下、区別しないときには「センサ部22x」ともいう)が構成されている。なお、両図では、本例の電流センサ3(センサ用部品10)の構成要素と、従来の電流センサの構成要素との混合を避けるために、従来の電流センサの構成要素について、符号の末尾に「x」を付している。
【0038】
また、前述の特許文献に開示の電流センサでは、カバー38xに対する部材30xの相対的な位置ずれを規制するために、カバー38xの外側から部材30xに達する長さの図示しない固定用ピンを備えている。具体的には、前述の特許文献に開示の電流センサでは、カバー38xの周方向における両端部近傍にピン保持部39xがそれぞれ設けられると共に、部材30xの周方向における両端部近傍に固定用ピンを挿入可能な図示しない挿入用穴がそれぞれ設けられている。これにより、前述の特許文献に開示の電流センサでは、カバー38xのピン保持部39xおよび部材30xの挿入用穴に挿入した固定用ピンによってカバー38xに対して部材30xが位置決めされた状態となる。
【0039】
しかしながら、前述の特許文献に開示の電流センサでは、カバー38xの周方向における両端部近傍にピン保持部39xを設けたことにより、このピン保持部39xの形成部位(すなわち、カバー38xの周方向における両端部)に巻線26xを巻回することができなくなっている。このため、前述の特許文献に開示の電流センサでは、磁性コア31xの接合部(センサ部22xの両端部)に、カバー38xが存在しないことで巻線26xが巻回されていない部位が生じるだけでなく、カバー38xが存在するにも拘わらず、ピン保持部39xの存在に起因して巻線26xが巻回されていない部位が生じている。
【0040】
一方、本例の電流センサ3では、前述したように、ボビンとして機能する巻芯本体30(シェル31)内に磁気コア20(コア部材20a)が挿入されて巻芯10aが構成されると共に、この巻芯10aにおける巻芯本体30(シェル31)の周囲に巻線40が巻回されてセンサ用部品10が構成されている。この場合、図13,14に示すように、本例の電流センサ3では、磁気コア20(コア部材20a)の外周面に凹部21aが形成され、かつ内周面に凹部21bが形成されると共に、巻芯本体30(シェル31)における外周側内面に凸部33aが形成され、かつ内周側内面に凸部33bが形成されている。これにより、本例の電流センサ3では、凹部21aに凸部33aが嵌合させられ、かつ凹部21bに凸部33bが嵌合させられることにより、巻芯本体30(シェル31)に対して磁気コア20(コア部材20a)が位置決めされた状態となる。
【0041】
したがって、本例の電流センサ3では、前述の特許文献に開示の電流センサとは異なり、ボビンとして機能する巻芯本体30(シェル31)における周方向の両端部近傍に、磁気コア20(コア部材20a)の相対的な位置ずれを規制するための固定用ピンを保持するピン保持部39xなどを設ける必要がなくなっている。これにより、本例の電流センサ3では、巻芯本体30(シェル31)における周方向の全体(鍔部32a~32cを除く)に巻線40を巻回することが可能となっている。なお、本例の電流センサ3の構成に関し、磁気コア20(コア部材20a)に凹部21a,21bが形成されると共に、巻芯本体30(シェル31)に凸部33a,33bが形成されて凹部21a,21bに凸部33a,33bが嵌合させられると説明したが、磁気コア20(コア部材20a)に凸部(凹部21a,21b以外の部位)が形成されると共に、巻芯本体30(シェル31)に凹部(凸部33a,33b以外の部位)が形成されて巻芯本体30の凹部に磁気コア20の凸部が嵌合させられると捉えることもできる。
【0042】
次いで、電流センサ3(センサ用部品10,10)をケーブル4によって測定装置本体2に接続すると共に、測定装置本体2の図示しない操作部を操作して測定処理を開始させる。この際に、測定対象Xを電流が流れていることで測定対象Xの周囲に磁界が生じているときには、この磁界によって電流センサ3の磁気コア20に磁束が誘起され、この磁束が巻線40を介して検出される。したがって、巻線40を介して検出される磁束の量に基づき、測定装置本体2の「測定部」によって測定対象Xを流れている電流の電流値が測定される。
【0043】
この場合、本例の電流センサ3(センサ用部品10および巻芯10a)では、前述したように、測定対象Xを囲んで環状をなすように両センサ用部品10,10を接合するときに、コア部材20aの端部P20a,P20b(櫛歯形状の凸部の先端)が巻芯本体30の端部P30b,P30aにそれぞれ挿入されて両巻芯本体30,30の端部P30a,P30b同士を当接させられた状態となる。これにより、巻芯本体30における鍔部32a~32cの形成部位を除き、巻芯本体30に巻回された巻線40が電流センサ3のほぼ全周(すなわち、測定対象Xのほぼ全周)に亘って存在する状態となっている。したがって、環状の電流センサ3内のいずれの位置に測定対象Xが存在する状態であったとしても、巻線40を介して検出される磁束の量が同程度となるため、電流センサ3に対する測定対象Xの位置の相違によって測定される電流値に差異が生じる事態が回避される。
【0044】
このように、この巻芯10aでは、磁気コア20における周方向の一部を構成するコア部材20aが挿通させられると共に巻線40を巻回可能に構成された巻芯本体30が、「外部センサ用部品」としてのセンサ用部品10のコア部材20aにおける周方向の一端部を、巻芯本体30における周方向の両端部のうちの少なくとも一方(本例では、双方)に挿入して「外部センサ用部品」としてのセンサ用部品10のコア部材20aをコア部材20aに接触させることができるように構成されている。また、このセンサ用部品10は、巻芯10aと、巻線40が巻回された巻芯10aを収容可能に構成されたケーシング50とを備えている。さらに、この電流センサ3は、複数のセンサ用部品10(本例では2つ)を備えて電流検出時に「検出対象導体」の一例である測定対象Xを囲んで環状に配置可能に構成されている。また、この電流測定装置1は、電流センサ3と、検出対象導体についての電流センサ3による検出結果に基づいて予め規定された被測定量を測定する「測定部」を有する測定装置本体2とを備えている。
【0045】
したがって、この巻芯10a、センサ用部品10、電流センサ3および電流測定装置1によれば、コア部材20aの端部P20a,P20bを巻芯本体30の端部P30a,P30bに挿入する分だけ、センサ用部品10,10を接合して電流センサ3を環状に配置した状態において電流センサ3の周方向でコア部材20a(磁気コア20)が巻芯本体30から露出している部位、すなわち、巻芯本体30が存在しないことで巻線40が巻回されていない部位の範囲を十分に狭くすることができる。これにより、測定対象Xを囲んで電流センサ3を環状に配置した状態において、測定対象Xのほぼ全周に亘って巻線40が存在する状態とすることができ、電流センサ3内における測定対象Xの位置の相違による磁束の検出量の相違を十分に小さくできるため、検出した磁束の量に基づいて測定対象Xを流れる電流の電流値を正確に測定することができる。
【0046】
また、この巻芯10aでは、周方向の両端部に鍔部32a,32bがそれぞれ設けられて鍔部32a,32bの間に巻線40を巻回可能に巻芯本体30が構成されている。したがって、この巻芯10a、センサ用部品10、電流センサ3および電流測定装置1によれば、「鍔部」が存在しない「筒状部」では、「筒状部」における「周方向」の端部まで「検出用巻線」を巻回したときに、巻き崩れが生じて「検出用巻線」が「筒状部」から外れるおそれがあるのに対し、端部P30a,P30bに鍔部32a,32bを形成したことで巻芯本体30の端部P30a,P30bの極く近くまで巻き崩れを生じさせることなく巻線40を巻回することができる。これにより、センサ用部品10,10を接合して電流センサ3を環状に配置した状態において電流センサ3の周方向で巻線40が巻回されていない部位の範囲を一層狭くすることができるため、電流センサ3内における測定対象Xの位置の相違による磁束の検出量の相違を一層小さくすることができる。
【0047】
また、この巻芯10aでは、電流センサを環状に配置したときに、両端部のうちの少なくとも一方(本例では双方)の鍔部32a,32bが「外部センサ用部品」としてのセンサ用部品10に当接するように巻芯本体30が構成されている。したがって、この巻芯10a、センサ用部品10、電流センサ3および電流測定装置1によれば、センサ用部品10,10を接合して電流センサ3を環状に配置した状態において電流センサ3の周方向でコア部材20a(磁気コア20)が巻芯本体30から露出している部位、すなわち、巻芯本体30が存在しないことで巻線40が巻回されていない部位を一層狭くすることができるため、電流センサ3内における測定対象Xの位置の相違による磁束の検出量の相違を一層小さくすることができる。
【0048】
また、この巻芯10aでは、巻芯本体30の鍔部32a,32bの間に鍔部32cが設けられている。したがって、この巻芯10a、センサ用部品10、電流センサ3および電流測定装置1によれば、巻芯本体30の鍔部32a,32bの間においても巻線40の巻き崩れが生じる事態を好適に回避することができるため、電流センサ3内における測定対象Xの位置の相違による磁束の検出量の相違を一層小さくすることができる。
【0049】
また、この巻芯10aでは、両端部のうちの少なくとも一方(本例では、双方)の鍔部32a,32bにおける周方向の厚みTa,Tbが、鍔部32cにおける周方向の厚みTcに対する1/2の厚みとなるように巻芯本体30が形成されている。したがって、この巻芯10a、センサ用部品10、電流センサ3および電流測定装置1によれば、電流センサ3の周方向で鍔部32a~32cの存在に起因して巻線40が存在しない範囲を、センサ用部品10,10の接合部の近傍(すなわち、鍔部32a,32bの近傍)、およびセンサ用部品10の周方向における中央部の近傍(鍔部32cの近傍)において等しくすることができる。これにより、電流センサ3内における測定対象Xの位置の相違による磁束の検出量の相違を一層小さくすることができる。
【0050】
また、この巻芯10aでは、磁気コア20(コア部材20a)の外周面および内周面の少なくとも一方(本例では、双方)に凹部および凸部のいずれか一方(本例では、凹部21a,21b)を設けると共に、巻芯本体30(シェル31)の外周側内面および内周側内面の少なくとも一方(本例では、双方)に、磁気コア20(コア部材20a)に設けた一方(本例では、凹部21a,21b)と嵌合可能な凹部および凸部のいずれか他方(本例では、凸部33a,33b)を設け、磁気コア20に設けた凹部および凸部のいずれか一方と巻芯本体30に設けた凹部および凸部のいずれか他方とが嵌合させられることによって、巻芯本体30に対する磁気コア20の周方向への相対的な位置ずれが規制されている。
【0051】
したがって、この巻芯10a、センサ用部品10、電流センサ3および電流測定装置1によれば、前述の特許文献に開示の電流センサとは異なり、巻芯本体30(シェル31)に対する磁気コア20(コア部材20a)の周方向への位置ずれを規制するための固定用ピンを保持するピン保持部39xなどを設ける必要がないため、巻芯本体30における周方向の全体(鍔部32a~32cを除く)に巻線40を巻回することができる。これにより、測定対象Xを囲んで電流センサ3を環状に配置した状態において、測定対象Xのほぼ全周に亘って巻線40が存在する状態とすることができ、電流センサ3内における測定対象Xの位置の相違による磁束の検出量の相違を十分に小さくできるため、検出した磁束の量に基づいて測定対象Xを流れる電流の電流値を正確に測定することができる。
【0052】
次に、「電流センサ」の他の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、上記の電流センサ3と同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0053】
図15,16に示す電流センサ3Aは、「電流センサ」の他の一例であって、「センサ用部品」の他の一例である一対のセンサ用部品10A,10A(後述のセンサ用部品10A1またはセンサ用部品10A2のいずれか)を備え、測定対象Xを流れる電流の検出時に測定対象Xを囲んで環状に配置することができるように構成されている。なお、両図および後に参照する図17~20では、センサ用部品10A,10の構成についての理解を容易とするために、巻芯10a以外の構成要素(巻線40やケーシング50など)の図示を省略している。
【0054】
この電流センサ3Aにおけるセンサ用部品10Aの巻芯10aは、電流センサ3におけるセンサ用部品10の巻芯10aと同様にして、コア部材20aおよび巻芯本体30を備えて構成されている。また、この電流センサ3Aは、両センサ用部品10A,10Aの一方に対する他方の相対的な回動を許容する回動軸Oを備え、一方のセンサ用部品10Aに対する他方のセンサ用部品10Aの回動軸Oを回動中心とする相対的な回動、および他方のセンサ用部品10Aに対する一方のセンサ用部品10Aの回動軸Oを回動中心とする相対的な回動によって、図15に示す閉状態、および図16に示す開状態に移行させることができるように構成されている(両「センサ用部品」の双方が回動させられる構成の例)。
【0055】
具体的には、図15に示すように、閉状態においては、一方のセンサ用部品10Aにおけるコア部材20aの端部P20aと他方のセンサ用部品10Aにおけるコア部材20aの端部P20bとが接すると共に、一方のセンサ用部品10Aにおけるコア部材20aの端部P20bと他方のセンサ用部品10Aにおけるコア部材20aの端部P20aとが接した状態となり、これにより、環状の磁気コア20A(「磁気コア」の他の一例)が形成される。また、図16に示すように、開状態においては、一方のセンサ用部品10Aにおけるコア部材20aの端部P20aと他方のセンサ用部品10Aにおけるコア部材20aの端部P20bとが離間すると共に、一方のセンサ用部品10Aにおけるコア部材20aの端部P20bと他方のセンサ用部品10Aにおけるコア部材20aの端部P20aとが離間した状態となり、同図における上側(回動軸Oから離間した側)の端部P20a,P20bの間を通過させるようにして測定対象Xをクランプすることが可能に構成されている。
【0056】
この場合、前述の電流センサ3におけるセンサ用部品10を採用して、回動軸Oを回動中心として両センサ用部品10,10を回動させようとしたときには、一方のセンサ用部品10(巻芯10a)におけるコア部材20aが他方のセンサ用部品10(巻芯10a)における巻芯本体30に当接すると共に、他方のセンサ用部品10(巻芯10a)におけるコア部材20aが一方のセンサ用部品10(巻芯10a)における巻芯本体30に当接したり、一方のセンサ用部品10(巻芯10a)における巻芯本体30が他方のセンサ用部品10(巻芯10a)におけるコア部材20aに当接すると共に、他方のセンサ用部品10(巻芯10a)における巻芯本体30が一方のセンサ用部品10(巻芯10a)におけるコア部材20aに当接したりして、両センサ用部品10,10のスムースな回動(開閉操作)が困難となるおそれがある。
【0057】
具体的には、図17,18は、図15,16に示す回動軸Oと同様の位置を回動中心として両センサ用部品10,10を回動させる構成について説明するための説明図であり、図17は、閉状態のセンサ用部品10,10において図15に示す矢印Aoの部位に対応する部位を拡大した図であり、図18は、図15に示す矢印Aiで示す部位に対応する部位を拡大したもの図である。
【0058】
ここで、回動軸Oを回動中心としてセンサ用部品10,10をそれぞれ回動させる構成において閉状態から開状態に移行させるときには、図17に示すように、左方のセンサ用部品10のコア部材20aにおける端部P20aの角部PL20が一点鎖線L1の軌跡で左方に向かって移動させられると共に、図18に示すように、左方のセンサ用部品10のコア部材20aにおける端部P20bの角部PL20が一点鎖線L1の軌跡で左方に向かって移動させられ、かつ図17に示すように、右方のセンサ用部品10のコア部材20aにおける端部P20bの角部PR20が一点鎖線L1の軌跡で右方に向かって移動させられると共に、図18に示すように、右方のセンサ用部品10のコア部材20aにおける端部P20aの角部PR20が一点鎖線L1の軌跡で右方に向かって移動させられることとなる。
【0059】
しかしながら、図17に示すように、左方のセンサ用部品10のコア部材20aにおける端部P20aの角部PL20の移動軌跡(一点鎖線L1)が、右方のセンサ用部品10の巻芯本体30における端部P30bと重なり、かつ、図18に示すように、左方のセンサ用部品10のコア部材20aにおける端部P20bの角部PL20の移動軌跡(一点鎖線L1)が、右方のセンサ用部品10の巻芯本体30における端部P30aと重なっているため、右方のセンサ用部品10に対する左方のセンサ用部品10の回動(左方への移動)が妨げられるおそれがある。同様にして、図17に示すように、右方のセンサ用部品10のコア部材20aにおける端部P20bの角部PR20の移動軌跡(一点鎖線L1)が、左方のセンサ用部品10の巻芯本体30における端部P30aと重なり、かつ、図18に示すように、右方のセンサ用部品10のコア部材20aにおける端部P20aの角部PR20の移動軌跡(一点鎖線L1)が、左方のセンサ用部品10の巻芯本体30における端部P30bと重なっているため、左方のセンサ用部品10に対する右方のセンサ用部品10の回動(右方への移動)が妨げられるおそれがある。
【0060】
また、回動軸Oを回動中心としてセンサ用部品10,10をそれぞれ回動させる構成において閉状態から開状態に移行させるときには、図17に示すように、左方のセンサ用部品10の巻芯本体30における端部P30aの角部PL30が二点鎖線L2の軌跡で左方に向かって移動させられると共に、図18に示すように、左方のセンサ用部品10の巻芯本体30における端部P30bの角部PL30が二点鎖線L2の軌跡で左方に向かって移動させられ、かつ図17に示すように、右方のセンサ用部品10の巻芯本体30における端部P30bの角部PR30が二点鎖線L2の軌跡で右方に向かって移動させられると共に、図18に示すように、右方のセンサ用部品10の巻芯本体30における端部P30aの角部PR30が二点鎖線L2の軌跡で右方に向かって移動させられることとなる。
【0061】
しかしながら、図17に示すように、左方のセンサ用部品10の巻芯本体30における端部P30aの角部PL30の移動軌跡(二点鎖線L2)が、右方のセンサ用部品10のコア部材20aにおける端部P20bと重なり、かつ、図18に示すように、左方のセンサ用部品10の巻芯本体30における端部P30bの角部PL30の移動軌跡(二点鎖線L2)が、右方のセンサ用部品10のコア部材20aにおける端部P20aと重なっているため、右方のセンサ用部品10に対する左方のセンサ用部品10の回動(左方への移動)が妨げられるおそれがある。同様にして、図17に示すように、右方のセンサ用部品10の巻芯本体30における端部P30bの角部PR30の移動軌跡(二点鎖線L2)が、左方のセンサ用部品10のコア部材20aにおける端部P20aと重なり、かつ、図18に示すように、右方のセンサ用部品10の巻芯本体30における端部P30aの角部PR30の移動軌跡(二点鎖線L2)が、左方のセンサ用部品10のコア部材20aにおける端部P20bと重なっているため、左方のセンサ用部品10に対する右方のセンサ用部品10の回動(右方への移動)が妨げられるおそれがある。
【0062】
なお、図示および詳細な説明を省略するが、回動軸Oを回動中心としてセンサ用部品10,10を回動させる構成においては、上記のように閉状態から開状態に移行させるときだけでなく、開状態から閉状態に移行させるときにも、コア部材20aと巻芯本体30との当接に起因して、一方のセンサ用部品10に対する他方のセンサ用部品10の回動が妨げられるおそれがある。
【0063】
したがって、本例の電流センサ3Aにおけるセンサ用部品10Aでは、回動軸Oを回動中心として回動させる際の上記の課題に鑑みてコア部材20aの端部P20a,P20bや巻芯本体30の端部P30a,P30bの形状や大きさが規定されている。
【0064】
具体的には、図19に示す電流センサ3Aのセンサ用部品10A1では、コア部材20aにおける端部P20a,P20b近傍の外径Do(図16参照)が、巻芯本体30における端部P30b,P30a近傍の内径Di(図16参照)よりも小径となるように(一例として、端部寄りほど外径Doが徐々に小径となるように)コア部材20aの外径Doが規定されている。なお、このセンサ用部品10A1では、一例として、巻芯本体30における各部の内径が前述のセンサ用部品10における巻芯本体30の対応する部位の内径と同様に規定されている。
【0065】
これにより、このセンサ用部品10A1,10A1を備えた電流センサ3Aでは、閉状態において、右方のセンサ用部品10A1のコア部材20aにおける端部P20bが挿入される左方のセンサ用部品10A1の巻芯本体30(「閉状態においてコア部材の周方向における端部が挿入される筒状体」の一例)における端部P30aと、右方のセンサ用部品10A1のコア部材20a(「開状態において挿入されるコア部材」の一例)における端部P20bとの間に「空隙」の一例である空隙S1が形成されると共に、左方のセンサ用部品10A1のコア部材20aにおける端部P20aが挿入される右方のセンサ用部品10A1の巻芯本体30(「閉状態においてコア部材の周方向における端部が挿入される筒状体」の他の一例)における端部P30bと、左方のセンサ用部品10A1のコア部材20a(「開状態において挿入されるコア部材」の他の一例)における端部P20aとの間に「空隙」の他の一例である空隙S1が形成される。
【0066】
この空隙S1,S1・・の存在により、このセンサ用部品10A1,10A1を備えた電流センサ3Aでは、左方のセンサ用部品10A1のコア部材20aにおける端部P20bの角部PL20aの移動軌跡(一点鎖線L1a)が、右方のセンサ用部品10A1の巻芯本体30における端部P30aとは重ならならず、かつ、左方のセンサ用部品10A1のコア部材20aにおける端部P20aの角部PL20aの移動軌跡も、右方のセンサ用部品10の巻芯本体30における端部P30bとは重ならないため(図示せず)、右方のセンサ用部品10A1に対して左方のセンサ用部品10A1をスムースに回動(左方へ移動)させることが可能となっている。また、このセンサ用部品10A1,10A1を備えた電流センサ3Aでは、右方のセンサ用部品10A1のコア部材20aにおける端部P20bの角部PR20aの移動軌跡(一点鎖線L1a)が、左方のセンサ用部品10A1の巻芯本体30における端部P30aとは重ならず、かつ、右方のセンサ用部品10A1のコア部材20aにおける端部P20aの角部PR20aの移動軌跡も、左方のセンサ用部品10A1の巻芯本体30における端部P30bとは重ならないため(図示せず)、左方のセンサ用部品10A1に対して右方のセンサ用部品10A1をスムースに回動(右方へ移動)させることが可能となっている。
【0067】
なお、図19では、図15に示す矢印Aiの部位を拡大した図であるが、矢印Aoの部位についても上記の空隙S1,S1が形成されており(図示せず)、これにより、左方のセンサ用部品10A1に対して右方のセンサ用部品10A1をスムースに回動(右方へ移動)させ、かつ右方のセンサ用部品10A2に対して左方のセンサ用部品10A2をスムースに回動(右方へ移動)させることが可能となっている。
【0068】
また、図20に示す電流センサ3Aのセンサ用部品10A2では、巻芯本体30における端部P30b,P30a近傍の内径Diがコア部材20aにおける端部P20a,P20b近傍の外径Doよりも大径となるように(一例として、端部寄りほど外径Doが徐々に大径となるように)巻芯本体30のDiが規定されている。なお、このセンサ用部品10A2では、一例として、コア部材20aにおける各部の外径が前述のセンサ用部品10におけるコア部材20aの対応する部位の外径と同様に規定されている。
【0069】
これにより、このセンサ用部品10A2,10A2を備えた電流センサ3Aでは、閉状態において、右方のセンサ用部品10A2のコア部材20aにおける端部P20bが挿入される左方のセンサ用部品10A2の巻芯本体30(「閉状態においてコア部材の周方向における端部が挿入される筒状体」の一例)における端部P30aと、右方のセンサ用部品10A2のコア部材20a(「開状態において挿入されるコア部材」の一例)における端部P20bとの間に「空隙」の一例である空隙S2が形成されると共に、左方のセンサ用部品10A2のコア部材20aにおける端部P20aが挿入される右方のセンサ用部品10A2の巻芯本体30(「閉状態においてコア部材の周方向における端部が挿入される筒状体」の他の一例)における端部P30bと、左方のセンサ用部品10A2のコア部材20a(「開状態において挿入されるコア部材」の他の一例)における端部P20aとの間に「空隙」の他の一例である空隙S2が形成される。
【0070】
この空隙S2,S2・・の存在により、このセンサ用部品10A2,10A2を備えた電流センサ3Aでは、左方のセンサ用部品10A2の巻芯本体30における端部P30bの角部PL30aの移動軌跡(二点鎖線L2a)が、右方のセンサ用部品10A2のコア部材20aにおける端部P20aとは重ならならず、かつ、左方のセンサ用部品10A2の巻芯本体30における端部P30aの角部PL30aの移動軌跡も、右方のセンサ用部品10のコア部材20aにおける端部P20bとは重ならないため(図示せず)、右方のセンサ用部品10A2に対して左方のセンサ用部品10A2をスムースに回動(左方へ移動)させることが可能となっている。また、このセンサ用部品10A2,10A2を備えた電流センサ3Aでは、右方のセンサ用部品10A2の巻芯本体30における端部P30bの角部PR30aの移動軌跡(二点鎖線L2a)が、左方のセンサ用部品10A2のコア部材20aにおける端部P20aとは重ならず、かつ、右方のセンサ用部品10A2の巻芯本体30における端部P30aの角部PR30aの移動軌跡も、左方のセンサ用部品10A2のコア部材20aにおける端部P20bとは重ならないため(図示せず)、左方のセンサ用部品10A2に対して右方のセンサ用部品10A2をスムースに回動(右方へ移動)させることが可能となっている。
【0071】
なお、図20では、図15に示す矢印Aiの部位を拡大した図であるが、矢印Aoの部位についても上記の空隙S2,S2が形成されており(図示せず)、これにより、左方のセンサ用部品10A2に対して右方のセンサ用部品10A2をスムースに回動(右方へ移動)させ、かつ右方のセンサ用部品10A2に対して左方のセンサ用部品10A2をスムースに回動(右方へ移動)させることが可能となっている。
【0072】
このように、この電流センサ3Aでは、一対のセンサ用部品10A(センサ用部品10A1、またはセンサ用部品10A2)と、両センサ用部品10Aのうちの一方に対する他方の相対的な回動を許容する回動軸Oとを備え、一方のセンサ用部品10Aに対する他方のセンサ用部品10Aの相対的な回動によって、両センサ用部品10Aのコア部材20aにおける周方向の一端部同士および他端部同士がそれぞれ接して環状の磁気コア20Aが形成される閉状態と、コア部材20aにおける少なくとも一端部同士が相互に離間した開状態とに移行可能に構成され、両センサ用部品10Aが、閉状態においてコア部材20aの周方向における端部が挿入される巻芯本体30の周方向における端部と、挿入されるコア部材20aの周方向における端部との間に、開状態から閉状態への移行時および閉状態から開状態への移行時にコア部材20aの周方向における端部の外面が巻芯本体30の周方向における端部の内面に当接するのを回避可能な「空隙(空隙S1または空隙S2)」が形成されるように、巻芯本体30の周方向における端部の内径Diおよびコア部材20aの周方向における端部の外径Doがそれぞれ規定されている。
【0073】
したがって、この電流センサ3A、およびこれを備えた電流測定装置1によれば、空隙S1,S2の存在により、回動軸Oを回動中心とするセンサ用部品10A,10Aの回動に際して、コア部材20aの端部P20a,P20bが巻芯本体30の端部P30a,P30bに当接したり、巻芯本体30の端部P30a,P30bがコア部材20aの端部P20a,P20bに当接したりする事態が回避されるため、閉状態から開状態への移行および開状態から閉状態への移行に際して、両センサ用部品10A,10Aの一方に対する他方の相対的な回動をスムースに実行し得る電流センサ3Aを提供することができる。
【0074】
続いて、「電流センサ」のさらに他の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。なお、上記の電流センサ3,3Aと同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0075】
図21,22に示す電流センサ3Bは、「電流センサ」のさらに他の一例であって、「センサ用部品」の他の一例である一対のセンサ用部品10B,10Bを備え、測定対象Xを流れる電流の検出時に測定対象Xを囲んで環状に配置することができるように構成されている。なお、両図および後に参照する図23では、センサ用部品10Bの構成についての理解を容易とするために、巻芯10a以外の構成要素(巻線40やケーシング50など)の図示を省略している。
【0076】
この電流センサ3Bにおけるセンサ用部品10Bの巻芯10aは、電流センサ3,3Aにおけるセンサ用部品10,10Aの巻芯10aと同様にして、コア部材20aおよび巻芯本体30を備えて構成されている。また、この電流センサ3Bは、両センサ用部品10B,10Bの一方に対する他方の相対的な接離動を許容する「案内機構(図示せず)」を備え、一方のセンサ用部品10Bに対する他方のセンサ用部品10Bの接離動(矢印B1,B2の向きへの移動)、および他方のセンサ用部品10Bに対する一方のセンサ用部品10Bの接離動(矢印B1,B2の向きへの移動)によって、図21に示す閉状態、および図22に示す開状態に移行させることができるように構成されている(両「センサ用部品」の双方が接離動させられる構成の例)。
【0077】
具体的には、図21に示すように、閉状態においては、一方のセンサ用部品10Bにおけるコア部材20aの端部P20aと他方のセンサ用部品10Bにおけるコア部材20aの端部P20bとが接すると共に、一方のセンサ用部品10Bにおけるコア部材20aの端部P20bと他方のセンサ用部品10Bにおけるコア部材20aの端部P20aとが接した状態となり、これにより、環状の磁気コア20B(「磁気コア」のさらに他の一例)が形成される。また、図22に示すように、開状態においては、一方のセンサ用部品10Bにおけるコア部材20aの端部P20aと他方のセンサ用部品10Bにおけるコア部材20aの端部P20bとが離間すると共に、一方のセンサ用部品10Bにおけるコア部材20aの端部P20bと他方のセンサ用部品10Bにおけるコア部材20aの端部P20aとが離間した状態となり、一例として、同図における上側の端部P20a,P20bの間を通過させるようにして測定対象Xをクランプすることが可能に構成されている。
【0078】
なお、上記の「案内機構」については、センサ用部品10B,10Bの矢印B1,B2の向きへの移動を案内する案内ピンおよび案内溝や、矢印B1,B2の向きへの移動を案内するリンク機構などによって構成することができる。
【0079】
この電流センサ3Bにおけるセンサ用部品10Bでは、図23に示すように、閉状態においてコア部材20aの周方向における端部P20a,P20bが挿入される巻芯本体30の周方向における端部P30b,P30aの面Fi30,Fo30(「筒状体の周方向における端部の内面」の一例)と、挿入されるコア部材20aの周方向における端部の面Fi20,Fo20(「コア部材の周方向における端部の外面」の一例)とが、「案内機構」によるセンサ用部品10B,10Bの案内による接離動の方向(矢印B1,B2の方向)に沿って延在する面でそれぞれ構成されている。なお、同図では、図21に示す矢印A1の部位を拡大した図であるが、矢印A2の部位についても、コア部材20aの周方向における端部の面Fi20,Fo20や、巻芯本体30の周方向における端部P30b,P30aの面Fi30,Fo30が「案内機構」によるセンサ用部品10B,10Bの案内による接離動の方向(図21,22に示す矢印B1,B2の方向)に沿って延在する面でそれぞれ構成されている(図示せず)。
【0080】
これにより、このセンサ用部品10B,10Bを備えた電流センサ3Bでは、左方のセンサ用部品10Bのコア部材20aにおける端部P20aが挿入される右方のセンサ用部品10Bの巻芯本体30における端部P30bの内面にコア部材20aの挿入や離脱を阻害する突出部などが存在せず、かつ右方のセンサ用部品10Bの巻芯本体30における端部P30bに挿入される左方のセンサ用部品10Bのコア部材20aにおける端部P20aの外面に巻芯本体30への挿入や離脱を阻害する突出部などが存在しないため、右方のセンサ用部品10Bの巻芯本体30における端部P30bに対して左方のセンサ用部品10Bのコア部材20aにおける端部P20aをスムースに挿入し、これをスムースに離脱させることが可能となっている。
【0081】
また、このセンサ用部品10B,10Bを備えた電流センサ3Bでは、右方のセンサ用部品10Bのコア部材20aにおける端部P20bが挿入される左方のセンサ用部品10Bの巻芯本体30における端部P30aの内面にコア部材20aの挿入や離脱を阻害する突出部などが存在せず、かつ左方のセンサ用部品10Bの巻芯本体30における端部P30aに挿入される右方のセンサ用部品10Bのコア部材20aにおける端部P20bの外面に巻芯本体30への挿入や離脱を阻害する突出部などが存在しないため、左方のセンサ用部品10Bの巻芯本体30における端部P30aに対して右方のセンサ用部品10Bのコア部材20aにおける端部P20bをスムースに挿入し、これをスムースに離脱させることが可能となっている。
【0082】
また、このセンサ用部品10B,10Bを備えた電流センサ3Bでは、左方のセンサ用部品10Bのコア部材20aにおける端部P20bが挿入される右方のセンサ用部品10Bの巻芯本体30における端部P30aの内面にコア部材20aの挿入や離脱を阻害する突出部などが存在せず、かつ右方のセンサ用部品10Bの巻芯本体30における端部P30aに挿入される左方のセンサ用部品10Bのコア部材20bにおける端部P20bの外面に巻芯本体30への挿入や離脱を阻害する突出部などが存在しないため、右方のセンサ用部品10Bの巻芯本体30における端部P30aに対して左方のセンサ用部品10Bのコア部材20aにおける端部P20bをスムースに挿入し、これをスムースに離脱させることが可能となっている。
【0083】
また、このセンサ用部品10B,10Bを備えた電流センサ3Bでは、右方のセンサ用部品10Bのコア部材20aにおける端部P20aが挿入される左方のセンサ用部品10Bの巻芯本体30における端部P30bの内面にコア部材20aの挿入や離脱を阻害する突出部などが存在せず、かつ左方のセンサ用部品10Bの巻芯本体30における端部P30bに挿入される右方のセンサ用部品10Bのコア部材20aにおける端部P20aの外面に巻芯本体30への挿入や離脱を阻害する突出部などが存在しないため、左方のセンサ用部品10Bの巻芯本体30における端部P30bに対して右方のセンサ用部品10Bのコア部材20aにおける端部P20aをスムースに挿入し、これをスムースに離脱させることが可能となっている。
【0084】
このように、この電流センサ3Bでは、一対のセンサ用部品10Bと、両センサ用部品10Bのうちの一方に対する他方の相対的な接離動を許容する「案内機構」とを備え、一方のセンサ用部品10Bに対する他方のセンサ用部品10Bの接離動によって、両センサ用部品10Bのコア部材20aにおける周方向の一端部同士および他端部同士がそれぞれ接して環状の磁気コア20Bが形成される閉状態と、コア部材20aにおける一端部同士および他端部同士がそれぞれ相互に離間した開状態とに移行可能に構成され、両センサ用部品10Bが、閉状態においてコア部材20aの周方向における端部が挿入される巻芯本体30の周方向における端部の面Fi30,Fo30と、挿入されるコア部材20aの周方向における端部の面Fi20,Fo20とが、「案内機構」による他方のセンサ用部品10Bの案内による接離動の方向に沿って延在する面でそれぞれ構成されている。
【0085】
したがって、この電流センサ3B、およびこれを備えた電流測定装置1によれば、巻芯本体30の端部P30a,P30bの内面にコア部材20aの端部P20a,P20bの挿入および離脱を阻害する突出部などが存在せず、かつコア部材20aの端部P20a,P20bの外面に巻芯本体30の端部P30a,P30bへの挿入および離脱を阻害する突出部などが存在しないことで、閉状態から開状態への移行および開状態から閉状態への移行に際して、両センサ用部品10B,10Bの一方に対する他方の相対的な接離動をスムースに実行し得る電流センサ3Bを提供することができる。
【0086】
なお、「巻芯」、「センサ用部品」、「電流センサ」および「電流測定装置」の構成は、上記の巻芯10a、センサ用部品10,10A(10A1,10A2),10B、電流センサ3,3A,3Bおよび電流測定装置1の構成の例に限定されない。
【0087】
例えば、その端部P20a,P20bが櫛歯形状のコア部材20aを巻芯本体30に挿通させた巻芯10aの構成を例に挙げて説明したが、図10に示すように、櫛歯形状のコア部材20aに代えて、面接合タイプのコア部材60a(環状に配置される磁気コア60の周方向の一部を構成する部材であって、接合部が平面状となっているコア部材:「コア部材」および「外部コア部材」の他の一例)を巻芯本体30に挿通させて巻芯10b(「巻芯」の他の一例)を構成することもできる。なお、同図に示す例では、例えば、左方の巻芯10bを「巻芯」とし、この巻芯10bに巻線40を巻回してケーシング50に収容したもの(図示せず)を「センサ用部品」としたときに、右方の巻芯10bに巻線40を巻回してケーシング50に収容したもの(図示せず)が「外部センサ用部品」に相当する。なお、巻芯本体30や、図示しない巻線40およびケーシング50については前述のセンサ用部品10,10A,10Bと同様のため、詳細な説明を省略する。
【0088】
この巻芯10bでは、コア部材60aにおける端部P60aの先端部が巻芯本体30の端部P30aから「周方向」において突出させられると共に、コア部材60aにおける端部P60bが巻芯本体30内に位置するように、コア部材60aが巻芯本体30(シェル31,31)を挿通させられている。これにより、この巻芯10b、および巻芯10bを備えた「センサ用部品」では、一方の「センサ用部品(巻芯10b)」のコア部材60aにおける「周方向」の端部P60aを、他方の「センサ用部品(巻芯10b)」の巻芯本体30における端部P30bに挿入して、一方の「センサ用部品(巻芯10b)」のコア部材60aにおける端部P60aと他方の「センサ用部品(巻芯10b)」のコア部材60aにおける端部P60bとを互いに接触させることが可能となっている。また、この「センサ用部品(巻芯10b)」では、他方の「センサ用部品(巻芯10b)」のコア部材60aにおける「周方向」の端部P60aを、一方の「センサ用部品(巻芯10b)」の巻芯本体30における端部P30bに挿入して、他方の「センサ用部品(巻芯10b)」のコア部材60aにおける端部P60aと一方の「センサ用部品(巻芯10b)」のコア部材60aにおける端部P60bとを互いに接触させることが可能となっている。
【0089】
したがって、この巻芯10b、巻芯10bを備えた「センサ用部品」、そのような「センサ用部品」を備えた「電流センサ」、およびそのような「電流センサ」を備えた「測定装置」においても、前述の巻芯10a、センサ用部品10,10A,10B、電流センサ3,3A,3Bおよび電流測定装置1と同様の効果を奏することができる。
【0090】
また、「第2の鍔部」としての鍔部32cが設けられた巻芯本体30の例について説明したが、「第2の鍔部」を設けずに「第1の鍔部」だけを設けて「筒状態」を構成することもできる(図示せず)。さらに、「第1の鍔部」についても、「筒状態」における「周方向」の両端部のうちのいずれか一方だけに設けることもできる(図示せず)。加えて、「第1の鍔部」および「第2の鍔部」などの「鍔部」を設けずに「筒状態」を構成することもできる(図示せず)。また、「コア部材」を「筒状体」に収容して一体化した「巻芯」を例に挙げて説明したが、一例として、「コア部材」の周囲に「シールド部材」を配設して一体化したものを「筒状体」に収容して「巻芯」を構成することもできる(図示せず)。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明によれば、「外部センサ用部品」としてのセンサ用部品10のコア部材20aにおける周方向の端部を、巻芯本体30における周方向の両端部に挿入して「外部センサ用部品」としてのセンサ用部品10のコア部材20aをコア部材20aに接触させることができるように巻芯本体30を形成して巻芯10aを構成したことにより、コア部材20aの端部を巻芯本体30に挿入する分だけ、センサ用部品10,10を接合して電流センサ3を環状に配置した状態において電流センサ3の周方向でコア部材20a(磁気コア20)が巻芯本体30から露出している部位、すなわち、巻芯本体30が存在しないことで巻線40が巻回されていない部位の範囲を十分に狭くすることができるため、電流センサ3内における測定対象Xの位置の相違による磁束の検出量の相違を十分に小さくできる。これにより、本発明は、電流検出時に検出対象導体を囲んで環状に配置される「電流センサ」用の「巻芯」および「センサ用部品」や、そのような「電流センサ」を備えた「測定装置」に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 電流測定装置
2 測定装置本体
3,3A,3B 電流センサ
4 ケーブル
10,10A1,10A2,10B センサ用部品
10a,10b 巻芯
20,60 磁気コア
20a,20A,20B,60a コア部材
21a,21b 凹部
30 巻芯本体
31 シェル
33 凸部
32a~32c 鍔部
40 巻線
50 ケーシング
51 シェル
Di 内径
Do 外径
Fi20,Fo20,Fi30,Fo30 面
O 回動軸
P20a,P20b,P30a,P30b,P60a,P60b 端部
PL20,PR20,PL20a,PR20a,PL30,PR30,PL30b,PR30b 角部
S1,S2 空隙
Ta~Tc 厚み
X 測定対象
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23