IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社の特許一覧

特開2024-125178情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム
<>
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム 図1
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム 図2
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム 図3
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム 図4
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム 図5
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム 図6
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム 図7
  • 特開-情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125178
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/22 20060101AFI20240906BHJP
   H04L 41/06 20220101ALI20240906BHJP
   H04L 43/028 20220101ALI20240906BHJP
【FI】
H04L12/22
H04L41/06
H04L43/028
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024017964
(22)【出願日】2024-02-08
(62)【分割の表示】P 2023540659の分割
【原出願日】2023-06-30
(31)【優先権主張番号】P 2023033209
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼津 健
(72)【発明者】
【氏名】畑田 充弘
【テーマコード(参考)】
5K030
【Fターム(参考)】
5K030GA15
5K030HA08
5K030LC13
(57)【要約】      (修正有)
【課題】堅牢なセキュリティを実現する情報処理システム、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】上位NW(network)装置と複数の下位NW装置とからなる情報処理システムであって、各下位NW装置は、下位NW装置に接続される端末の通信に関する情報と、下位NW装置が関与する通信内容と、外部装置に記憶される過去のサイバー攻撃の情報とを併せて分析することにより得られる情報とを照合し、不正な通信を検知し、検知した不正な通信の情報を、上位NW装置に通知する。上位NW装置は、各アンダーレイネットワークを構成する複数の下位NW装置からそれぞれ通知された不正な通信の情報を、通信を許可しないIPアドレスのリストに追加し、当該リストに追加された情報を用いて、UTMのセキュリティ機能により、不正な通信を遮断する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーバレイネットワークを構成する装置である上位NW装置と、前記オーバレイネットワークを構成する装置を提供する事業者と同一事業者が提供する装置であって各アンダーレイネットワークを構成する装置である複数の下位NW装置とからなる情報処理システムであって、
前記上位NW装置は、
前記各アンダーレイネットワークを構成する前記複数の下位NW装置からそれぞれ通知された不正な通信の情報を、通信を許可しないIPアドレスのリストに追加し、当該リストに追加された情報を用いて、UTMのセキュリティ機能により、前記不正な通信を遮断する遮断部
を有し、
前記各下位NW装置は、
前記下位NW装置に接続される端末の通信に関する情報と、前記下位NW装置が関与する通信内容と、外部装置に記憶される過去のサイバー攻撃の情報とを併せて分析することにより得られる情報とを照合し、前記不正な通信を検知する検知部と、
前記検知部により検知された前記不正な通信の情報を、前記上位NW装置に通知する通知部と
を有することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記遮断部は、前記複数の下位NW装置からそれぞれ通知された不正な通信の情報を、通信を許可しないIPアドレスのリストに追加し、当該リストに追加された情報を用いて、前記不正な通信の通信先への通信を遮断する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
オーバレイネットワークを構成する装置である上位NW装置と、前記オーバレイネットワークを構成する装置を提供する事業者と同一事業者が提供する装置であって各アンダーレイネットワークを構成する装置である複数の下位NW装置とが実行する情報処理方法であって、
前記各下位NW装置が、前記下位NW装置に接続される端末の通信に関する情報と、前記下位NW装置が関与する通信内容と、外部装置に記憶される過去のサイバー攻撃の情報とを併せて分析することにより得られる情報とを照合し、不正な通信を検知する検知工程と、
前記各下位NW装置が、前記検知工程により検知された前記不正な通信の情報を、前記上位NW装置に通知する通知工程と
前記上位NW装置が、前記各アンダーレイネットワークを構成する前記複数の下位NW装置からそれぞれ通知された不正な通信の情報を、通信を許可しないIPアドレスのリストに追加し、当該リストに追加された情報を用いて、UTMのセキュリティ機能により、前記不正な通信を遮断する遮断工程と
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項4】
オーバレイネットワークを構成する装置である上位NW装置としてのコンピュータと、前記オーバレイネットワークを構成する装置を提供する事業者と同一事業者が提供する装置であって各アンダーレイネットワークを構成する装置である複数の下位NW装置としての複数のコンピュータに実行させる情報処理プログラムであって、
前記上位NW装置としてのコンピュータに、
前記各アンダーレイネットワークを構成する前記複数の下位NW装置からそれぞれ通知された不正な通信の情報を、通信を許可しないIPアドレスのリストに追加し、当該リストに追加された情報を用いて、UTMのセキュリティ機能により、前記不正な通信を遮断する遮断ステップ
を実行させ、
前記各下位NW装置としての各コンピュータに、
前記下位NW装置に接続される端末の通信に関する情報と、前記下位NW装置が関与する通信内容と、外部装置に記憶される過去のサイバー攻撃の情報とを併せて分析することにより得られる情報とを照合し、前記不正な通信を検知する検知ステップと、
前記検知ステップにより検知された前記不正な通信の情報を、前記上位NW装置に通知する通知ステップと
を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、不正通信を検知する技術が存在する。例えば、ゲートウェイにおけるファイアウォール、IPS(Intrusion Prevention System)の設置や通信監視により、不審な通信や挙動を行う端末を特定する技術が知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】C&Cサーバとは?マルウェア感染したPCからの攻撃の自動遮断による対策方法、[2023年6月20日検索]、インターネット(https://www.ntt.com/bizon/sec/cybersec04.html)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術においては、セキュリティの問題が存在していた。例えば、感染直後のPC(Personal Computer)宛等検知ブロックでは対処できない場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、堅牢なセキュリティを実現するための情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の情報処理システムは、オーバレイネットワークを構成する装置である上位NW(network)装置と、前記オーバレイネットワークを構成する装置を提供する事業者と同一事業者が提供する装置であって各アンダーレイネットワークを構成する装置である複数の下位NW装置とからなる情報処理システムであって、前記上位NW装置は、前記各アンダーレイネットワークを構成する前記複数の下位NW装置からそれぞれ通知された不正な通信の情報を、通信を許可しないIPアドレスのリストに追加し、当該リストに追加された情報を用いて、UTMのセキュリティ機能により、前記不正な通信を遮断する遮断部を有し、前記各下位NW装置は、前記下位NW装置に接続される端末の通信に関する情報と、前記下位NW装置が関与する通信内容と、外部装置に記憶される過去のサイバー攻撃の情報とを併せて分析することにより得られる情報とを照合し、前記不正な通信を検知する検知部と、前記検知部により検知された前記不正な通信の情報を、前記上位NW装置に通知する通知部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、堅牢なセキュリティを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、従来技術について説明するための図である。
図2図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る上位NW装置の構成の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る下位NW装置の構成の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る情報処理システムが行う処理概要を説明するための図である。
図6図6は、実施形態に係る情報処理システムが行う検知処理と遮断処理の一例を説明するための図である。
図7図7は、実施形態に係る情報処理システムによる処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8図8は、情報処理プログラムを実行するコンピュータの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本願に係る情報処理システム、情報処理方法および情報処理プログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示しており、重複する説明は省略される。
【0010】
[従来技術]
まず、図1を用いて、従来技術について説明する。図1は、従来技術について説明するための図である。
【0011】
なお、以下では、オーバレイネットワークを構成する装置を上位NW装置と記載し、アンダーレイネットワークを構成する装置を下位NW装置と記載する。ここで上位NW装置とは、例えば、クラウドプロキシサーバやUTM(Unified Threat Management)のことをいう。また、下位NW装置とは、例えば、DPI(Deep Packet Inspection)、ルータ、スイッチなどのネットワーク機器のことをいう。
【0012】
従前のセキュリティ対策は、信頼できる「内側」と信頼できない「外側」にネットワークを分け、その境界線で対策を講じることが行われていた。例えば、内側のネットワークとしては、社内LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)で接続されたデータセンタなどが該当し、外側のネットワークとしては、インターネットが該当する。例えば、境界線で講じられる対策として、境界線にファイアウォールやプロキシー、IDS(Intrusion Detection System)/IPS(Intrusion Prevention System)などのセキュリティ機器を設置し、通信の監視や制御を行うことで外部からのサイバー攻撃を遮断する。
【0013】
こうした従前のセキュリティ対策は、保護すべきデータやシステムがネットワークの内側にあることを前提としている。しかし、クラウドが普及したことにより、外側であるインターネット上に保護すべきものがある状況が珍しくない。このように、守るべき対象がさまざまな場所に点在するようになったことで境界が曖昧になり、従来の考え方では十分な対策を講じることが難しくなりつつある。
【0014】
そこで広まっているのがゼロトラストの考え方である。ゼロトラストセキュリティサービスにおいては、すべての通信を信頼しないことを前提に、さまざまなセキュリティ対策を講じている。具体的には、ネットワークの内外に関わらない通信経路の暗号化や多要素認証の利用などによるユーザ認証の強化、ネットワークやそれに接続される各種デバイスの統合的なログ監視などが挙げられる。ゼロトラストを実現するためのセキュリティソリューションはすでに多数登場している。例えば、クライアント装置の監視とログの分析によりサイバー攻撃の早い検知と対処を可能にするEDR(Endpoint Detection and Response)などを設けることが行われている。
【0015】
また、従来、不正通信を検知する技術が存在する。例えば、ゲートウェイにおけるファイアウォール、IPSの設置や通信監視により、不審な通信や挙動を行う端末を特定する技術が知られている。
【0016】
従来技術においては、セキュリティの問題が存在していた。例えば、図1に例示するように、不審な通信や挙動を行う端末を特定することが可能である一方、正常に機能していたPCがマルウェア等に感染した場合には、検知ブロックでは対処することが難しく、不審な通信を許容してしまう場合がある。
【0017】
そこで、以下に記載する本実施の形態の情報処理システム1は、オーバレイネットワークを構成する装置である上位NW装置100とアンダーレイネットワークを構成する装置である下位NW装置200とからなる情報処理システムであって、上位NW装置100は、下位NW装置200から通知された不正な通信の情報に基づいて、不正な通信を遮断し、下位NW装置200は、下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報を取得し、取得した下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報に基づいて、不正な通信を検知し、検知した不正な通信の情報を、上位NW装置100に通知する。
【0018】
このような情報処理システムにより、堅牢なセキュリティの実現といった効果が得られる。
【0019】
また、情報処理システム1では、リモートワーク等の新しい働き方やIoT等の活用による新たな事業拡大によって一層複雑化、サイバーリスクの高まるICT(Information and Communication Technology)環境に対し、アンダーレイNWとオーバレイNWが連携して防御する、回線事業者(キャリア)ならではのゼロトラストセキュリティサービスを提供する。
【0020】
情報処理システム1は、オーバレイNWの機能とアンダーレイNWの機能が密接に連携したセキュアなNaaS(Network as a Service)型ICTサービスを提供する。この情報処理システム1のサービスを受ける企業は、IT(Information Technology)ベンダー委託にコストを費やしたり、NW設計に掛かるコストを掛けたりすることなく、管理ポータルサイトから申し込むことで、即時に、本情報処理システム1のサービスの開始、変更、解約が容易に可能となり、設計から運用の稼働に係るコストを削減することが可能である。
【0021】
[情報処理システムの構成]
次に、図2を用いて、情報処理システム1の構成について説明する。図2が示すように、情報処理システム1は、上位NW装置100と、下位NW装置200とを有する。以下、これら各装置について説明する。なお、情報処理システム1において、上位NW装置100と下位NW装置200とは、それぞれ一つである場合に限定されるものではなく、複数設けられていてもよい。
【0022】
上位NW装置100は、情報処理システム1の上位のネットワークを制御する装置である。上位NW装置100は、下位NW装置200から通知された不正な通信の情報を用いて、不正な通信を遮断する。
【0023】
下位NW装置200は、情報処理システム1の下位のネットワークを制御する装置である。下位NW装置200は、下位NW装置200に接続される端末(例えば、OA機器、IoT機器等)の通信に関する情報を取得し、取得した情報に基づいて、不正な通信を検知し、不正な通信の情報を上位NW装置100に通知する。
【0024】
[上位NW装置の構成]
次に、図3を用いて、上位NW装置100の構成について説明する。図3が示すように、上位NW装置100は、通信部110と、制御部120と、記憶部130とを有する。なお、これらの各部は、複数の装置が分散して保持してもよい。以下にこれら各部の処理を説明する。
【0025】
通信部110は、NIC(Network Interface Card)等で実現され、LAN(Local Area Network)やインターネットなどの電気通信回線を介した外部装置と制御部120の通信を可能とする。例えば、通信部110は、外部装置と制御部120との通信を可能とする。
【0026】
記憶部130は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部130が記憶する情報としては、例えば、上位NW装置100が管理する端末情報、下位NW装置200が管理する端末情報、下位NW装置200に接続された端末の通信に関する情報、不正な通信に関する情報、検知された不正な通信の情報、その他不正な通信の検知に必要な情報、その他不正な通信の遮断に必要な情報が含まれる。ここで、不正な通信に関する情報には、不正な通信の通信先の種別、端末情報、IPアドレスといった情報が含まれる。なお、記憶部130が記憶する情報は上記に記載した例に限定されない。
【0027】
制御部120は、CPU(Central Processing Unit)やNP(Network Processor)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いて実現され、メモリに記憶された処理プログラムを実行する。図3に示すように、制御部120は、遮断部121を有する。以下、制御部120が有する各部について説明する。
【0028】
遮断部121は、下位NW装置200から通知された不正な通信の情報に基づいて、不正な通信を遮断する。例えば、遮断部121は、下位NW装置200から通知された不正な通信の情報を用いて、不正な通信の通信先への通信を遮断する。例えば、遮断部121は、通知部223により通知された不正な通信の種別、IPアドレスの情報を用いて、不正な通信の通信先への通信を遮断する。
【0029】
例えば、遮断部121は、通知部223により通知された不正な通信先のIPアドレスの情報を、通信を許可しないIPアドレスのリストに追加することで、フィルタリングにより、不正な通信の通信先への通信を遮断する。
【0030】
[下位NW装置の構成]
次に、図4を用いて、下位NW装置200の構成について説明する。図4が示すように、下位NW装置200は、通信部210と、制御部220と、記憶部230とを有する。なお、これらの各部は、複数の装置が分散して保持してもよい。以下にこれら各部の処理を説明する。
【0031】
通信部210は、NIC等で実現され、LANやインターネットなどの電気通信回線を介した外部装置と制御部220の通信を可能とする。例えば、通信部210は、外部装置と制御部220との通信を可能とする。
【0032】
記憶部230は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部230が記憶する情報としては、例えば、上位NW装置100が管理する端末情報、下位NW装置200が管理する端末情報、下位NW装置200に接続された端末の通信に関する情報、不正な通信に関する情報、検知された不正な通信の情報、その他不正な通信の検知に必要な情報が含まれる。ここで、記憶部230が記憶する不正な通信に関する情報は、下位NW装置200が関与する通信内容と、外部装置(統合セキュリティ分析基盤)に記憶される過去のサイバー攻撃の情報等を併せて分析することにより得られる情報が含まれる。なお、記憶部230が記憶する情報は上記に記載した例に限定されない。
【0033】
制御部220は、CPUやNPやFPGA等を用いて実現され、メモリに記憶された処理プログラムを実行する。図4に示すように、制御部220は、取得部221と、検知部222と、通知部223とを有する。以下、制御部220が有する各部について説明する。
【0034】
取得部221は、下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報を取得する。例えば、取得部221は、下位NW装置200に接続されるOA機器やIoT機器の通信に関する情報を取得する。
【0035】
例えば、取得部221は、通信に関する情報として、通信日時や接続先IPアドレス、接続元IPアドレス等を含むフローデータを取得する。
【0036】
検知部222は、取得部221により取得された下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報に基づいて、不正な通信を検知する。例えば、検知部222は、取得部221により取得された下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報と、記憶部230に記憶される不正な通信に関する情報とを照合することにより、不正な通信を検知する。
【0037】
また、検知部222は、下位NW装置200から送信された下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報と、外部装置に記憶される不正な通信に関する情報とを照合することにより、不正な通信を検知してもよい。
【0038】
なお、検知部222は、記憶部230に記憶される不正な通信に関する情報そのものを不正な通信として検知してもよい。例えば、検知部222は、記憶部130が記憶する、下位NW装置200が関与する通信内容と、外部装置に記憶される過去のサイバー攻撃の情報等を併せて分析することにより得られる情報そのものを、不正な通信として検知してもよい。
【0039】
例えば、検知部222は、アンダーレイNWにおいて収集されるISP(Internet Serves Provider)のデータとして、例えばトラフィック量の変動の異常、異常なトラフィックのパターン等、通信の特性に応じた検知を行う。なお、検知部222は、既存のどのような検知手法を用いてもよい。
【0040】
通知部223は、検知部222により検知された不正な通信の情報を上位NW装置100に通知する。例えば、通知部223は、検知部222により検知された不正な通信の情報として、不正な通信の検知日時、検知種別、接続先IPアドレス、接続元IPアドレスといった情報を上位NW装置100に通知する。
【0041】
このように、通知部223は、検知部222により不正な通信が検知された場合には、不正な通信の情報を上位NW装置100へ直ちに通知する。このため、上位NW装置100は、通信を許可しないIPアドレスのリストに不正なIPアドレスを追加することで、即時にオーバレイサービスに反映することが可能となり、オーバレイNWとアンダーレイNWとが連携して、不正通信の検知精度を高めることが可能となる。
【0042】
[情報処理システムによる処理の概要]
次に、図5を用いて、情報処理システム1による処理について説明する。図5は、情報処理システム1による処理の概要を説明するための図である。
【0043】
まず、下位NW装置200の取得部221は、下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報を取得する。例えば、下位NW装置200に接続されるOA機器やIoT機器等の通信に関する情報を取得する。
【0044】
続いて、下位NW装置200の検知部222は、取得部221により取得された下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報に基づいて、不正な通信を検知する。
【0045】
続いて、下位NW装置200の通知部223は、検知部222により検知された不正な通信の情報を上位NW装置100に通知する。
【0046】
そして、上位NW装置100の遮断部121は、通知部223により通知された不正な通信の情報に基づいて、不正な通信の通信先への通信を遮断する。
【0047】
遮断部121は、外部装置と連携し、悪性端末のIPアドレスをリストに追加し、フィルタリングを行う。例えば、遮断部121は、アンダーレイNWでフローデータの分析やDDoS(Distributed Denial of Service)の分析により発見したC2(Command and Control server)サーバのIPアドレスが記憶されたデータベースを利用し、上位NW装置100であるUTMのセキュリティ機能の1つであるファイアウォールのACL(Access Control List)に従ってアクセス制御を行い、C2への通信を遮断する。
【0048】
このように、上位NW装置100は、各アンダーレイNWで検知された悪性フローの検知結果を集中的に収集しつつ、通信を許可しないIPアドレスのリストに追加してオーバレイNWで不正通信を遮断することで、検知精度を高めることを可能にした。さらに、上位NW装置100は、利用者がオーバレイNWのみを利用し、アンダーレイNWは他社を利用している場合であっても、オーバレイNWで遮断を実現することで、このような利用者にも不正通信を遮断するサービスを精度よく提供することが可能である。
【0049】
また、情報処理システム1では、オーバレイNWとアンダーレイNWとを同一事業者が提供している。また、情報処理システム1を利用する利用者は、例えば、オーバレイNWのみの利用し、アンダーレイNWは他社を利用する等の柔軟な利用を可能とする。
【0050】
このように、情報処理システム1は、上位NW装置100と下位NW装置200とが密接に連携して、不正な通信の検知・遮断を行う。
【0051】
[情報処理システムによる検知・遮断処理]
次に、図6を用いて、情報処理システム1による検知処理と遮断処理とについて説明する。図6は、情報処理システム1による検知処理と遮断処理とを説明するための図である。
【0052】
図6(1)に示すように、下位NW装置200の記憶部230には、不正な通信先の種別、IPアドレスといった不正な通信に関する情報が記憶されている。ここで、記憶部230に記憶される不正な通信に関する情報は、下位NW装置200が関与する通信内容と、外部装置に記憶される過去のサイバー攻撃の情報等を併せて分析することにより得られる情報であってもよい。
【0053】
例えば、記憶部230は、下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報と、過去のDDoS攻撃情報との分析により得られた、不正な通信先の種別やIPアドレスといった不正な通信に関する情報を記憶する。
【0054】
下位NW装置200の検知部222は、取得部221により取得された下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報と、記憶部230に記憶される不正な通信に関する情報とを照合することにより、不正な通信を検知する。なお、このとき、検知部222は、記憶部130に記憶される不正な通信に関する情報そのものを不正な通信として検知してもよい。例えば、検知部222は、不正な通信として、種別「C2サーバ」、IPアドレス「203.0.113.15」を検知する。
【0055】
下位NW装置200の通知部223は、検知部222により検知された不正な通信の情報(種別「C2サーバ」、IPアドレス「203.0.113.15」)を上位NW装置100に通知する。
【0056】
そして、上位NW装置100の遮断部121は、下位NW装置200から通知された不正な通信の情報を用いて、不正な通信の通信先への通信を遮断する。例えば、遮断部121は、図6(2)に示すように、通知された不正な通信先のIPアドレス「203.0.113.15」の情報を、通信を許可しないIPアドレスのリストに追加することで、フィルタリングにより、不正な通信の通信先への通信を遮断する。
【0057】
このように、情報処理システム1は、上位NW装置100と下位NW装置200とが連携して、不正な通信を検知し、不正な通信を遮断する。
【0058】
[フローチャート]
次に、図7を用いて、情報処理システム1による処理の流れについて説明する。なお、下記の各ステップは、異なる順序で実行することもでき、また、省略される処理があってもよい。
【0059】
まず、下位NW装置200の取得部221は、下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報を取得する(ステップS101)。例えば、取得部221は、下位NW装置200に接続されるOA機器やIoT機器の通信に関する情報を取得する。
【0060】
次に、下位NW装置200の検知部222は、取得部221により取得された下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報に基づいて、不正な通信を検知する(ステップS102)。例えば、検知部222は、取得部221により取得された下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報と、記憶部230に記憶される不正な通信に関する情報とを照合することにより、不正な通信を検知する。
【0061】
下位NW装置200の通知部223は、検知部222により検知された不正な通信の情報を上位NW装置100に通知する(ステップS103)。例えば、通知部223は、検知部222により検知された不正な通信の情報として、種別、IPアドレスといった情報を上位NW装置100に通知する。
【0062】
上位NW装置100の遮断部121は、通知部223により通知された不正な通信の情報に基づいて、不正な通信を遮断する(ステップS104)。例えば、遮断部121は、通知部223により通知された不正な通信の情報を用いて、不正な通信の通信先への通信を遮断する。
【0063】
[効果]
実施形態に係る情報処理システム1は、オーバレイネットワークを構成する装置である上位NW装置100とアンダーレイネットワークを構成する装置である下位NW装置200とからなる情報処理システムであって、上位NW装置100は、下位NW装置200から通知された不正な通信の情報に基づいて、不正な通信を遮断する遮断部121を有し、下位NW装置200は、下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報を取得する取得部221と、取得部221により取得された下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報に基づいて、不正な通信を検知する検知部222と、検知部222により検知された不正な通信の情報を、上位NW装置100に通知する通知部223とを有する。
【0064】
これにより情報処理システム1は、下位NW装置200が取得した情報から不正な通信を検知し、検知した不正な通信の情報を上位NW装置100に通知して遮断することにより、堅牢なセキュリティを実現することができる。
【0065】
実施形態に係る情報処理システム1の下位NW装置200における検知部222は、取得部221により取得された下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報と、記憶部230に記憶される不正な通信に関する情報とを照合することにより、不正な通信を検知する。
【0066】
これにより情報処理システム1は、下位NW装置200に接続される端末の通信に関する情報と不正な通信に関する情報とを照合して不正な通信を検知することにより、堅牢なセキュリティを実現することができる。
【0067】
実施形態に係る情報処理システム1の上位NW装置100における遮断部121は、下位NW装置200から通知された不正な通信の情報を用いて、不正な通信の通信先への通信を遮断する。
【0068】
これにより情報処理システム1は、通知された不正な通信の情報を用いて、不正な通信の通信先への通信を遮断することにより、堅牢なセキュリティを実現することができる。
【0069】
[プログラム]
上記実施形態において説明した情報処理システム1が実行する処理をコンピュータが実行可能な言語で記述したプログラムを作成することもできる。この場合、コンピュータがプログラムを実行することにより、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、かかるプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータに読み込ませて実行することにより上記実施形態と同様の処理を実現してもよい。
【0070】
図8は、情報処理プログラムを実行するコンピュータの一例を示す図である。図8に示すように、コンピュータ1000は、例えば、メモリ1010と、CPU1020と、ハードディスクドライブインタフェース1030と、ディスクドライブインタフェース1040と、シリアルポートインタフェース1050と、ビデオアダプタ1060と、ネットワークインタフェース1070とを有する。これらの各部は、バス1080によって接続される。
【0071】
メモリ1010は、ROM(Read Only Memory)1011およびRAM1012を含む。ROM1011は、例えば、BIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムを記憶する。ハードディスクドライブインタフェース1030は、ハードディスクドライブ1090に接続される。ディスクドライブインタフェース1040は、ディスクドライブ1100に接続される。ディスクドライブ1100には、例えば、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能な記憶媒体が挿入される。シリアルポートインタフェース1050には、例えば、マウス1110およびキーボード1120が接続される。ビデオアダプタ1060には、例えば、ディスプレイ1130が接続される。
【0072】
ここで、図8に示すように、ハードディスクドライブ1090は、例えば、OS(Operating System)1091、アプリケーションプログラム1092、プログラムモジュール1093およびプログラムデータ1094を記憶する。上記実施形態で説明した各テーブルは、例えばハードディスクドライブ1090やメモリ1010に記憶される。
【0073】
また、情報処理プログラムは、例えば、コンピュータ1000によって実行される指令が記述されたプログラムモジュールとして、ハードディスクドライブ1090に記憶される。具体的には、上記実施形態で説明したコンピュータ1000が実行する各処理が記述されたプログラムモジュール1093が、ハードディスクドライブ1090に記憶される。
【0074】
また、情報処理プログラムによる情報処理に用いられるデータは、プログラムデータとして、例えば、ハードディスクドライブ1090に記憶される。そして、CPU1020が、ハードディスクドライブ1090に記憶されたプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094を必要に応じてRAM1012に読み出して、上述した各手順を実行する。
【0075】
なお、情報処理プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、ハードディスクドライブ1090に記憶される場合に限られず、例えば、着脱可能な記憶媒体に記憶されて、ディスクドライブ1100等を介してCPU1020によって読み出されてもよい。あるいは、制御プログラムに係るプログラムモジュール1093やプログラムデータ1094は、LANやWAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続された他のコンピュータに記憶され、ネットワークインタフェース1070を介してCPU1020によって読み出されてもよい。
【0076】
[その他]
様々な実施形態を、図面を参照して、本明細書で詳細に説明したが、これらの複数の実施形態は例であり、本発明をこれらの複数の実施形態に限定することを意図するものではない。本明細書に記載された特徴は、当業者の知識に基づく様々な変形や改良を含む、様々な方法によって実現され得る。
【0077】
また、上述した「部(module、-er接尾辞、-or接尾辞)」は、ユニット、手段、回路などに読み替えることができる。例えば、通信部(communication module)、制御部(control module)および記憶部(storage module)は、それぞれ、通信ユニット、制御ユニットおよび記憶ユニットに読み替えることができる。
【符号の説明】
【0078】
1 情報処理システム
100 上位NW装置
110 通信部
120 制御部
121 遮断部
130 記憶部
200 下位NW装置
210 通信部
220 制御部
221 取得部
222 検知部
223 通知部
230 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8