(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125186
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】スライドレール及びスライドレールの製造方法
(51)【国際特許分類】
B60N 2/07 20060101AFI20240906BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20240906BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B60N2/07
B60N2/90
B60R16/02 620A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024026835
(22)【出願日】2024-02-26
(31)【優先権主張番号】63/488327
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュランド ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】ファンデンヘーデ ディーン
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA02
3B087BB03
3B087DE09
(57)【要約】
【課題】スライド移動可能な支持体に設けられた電装品に接続されるべきハーネスに加わり得る負荷を低減することができるスライドレール及びスライドレールの製造方法を提供する。
【解決手段】電装品67が設けられた支持体7をフロア3に対してスライド移動可能に連結させるためのスライドレール1であって、フロアに設けられたレール11と、レールにスライド移動可能に係合し、且つ、支持体を支持するスライダ12と、電装品に接続されるべきハーネス202と、スライダに連結され、且つ、ハーネスが挿通された筒状のプロテクタ212と、を有し、プロテクタが延在方向に直交する一側と、一側に対して逆向きの他側とに曲げ変形可能に構成され、プロテクタには、一側への曲げ半径が所定の閾値Rth以上となるように制限するための複数のスリット220が一側から他側に向かって延びるように形成されている。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電装品が設けられた支持体をフロアに対してスライド移動可能に連結させるためのスライドレールであって、
前記フロアに設けられたレールと、
前記レールにスライド移動可能に係合し、且つ、前記支持体を支持するスライダと、
前記電装品に接続されるべきハーネスと、
前記スライダに連結され、且つ、前記ハーネスが挿通された筒状のプロテクタと、を有し、
前記プロテクタが延在方向に直交する一側と、前記一側に対して逆向きの他側とに曲げ変形可能に構成され、
前記プロテクタには、前記一側への曲げ半径が所定の閾値以上となるように制限するための複数のスリットが前記一側から前記他側に向かって延びるように形成されているスライドレール。
【請求項2】
前記スリットの幅がそれぞれ前記一側に向かうにつれて、広くなっている請求項1に記載のスライドレール。
【請求項3】
前記スリットはそれぞれ前記プロテクタの平面視で三角形状をなす請求項2に記載のスライドレール。
【請求項4】
前記ハーネス及び前記プロテクタの一部を収納する収納空間と、前記収納空間に連通し、前記ハーネス及び前記プロテクタが通過する入口孔と、を備えた収納ケースを含む請求項1に記載のスライドレール。
【請求項5】
前記プロテクタは前記収納空間において前記一側及び前記他側に屈曲してS字状をなすように配置され、
前記収納空間には前記プロテクタの延在方向を前記他側に屈曲させるべく案内するガイド壁が設けられている請求項4に記載のスライドレール。
【請求項6】
前記収納ケースの前記入口孔は前記レールの端部に連結し、
前記プロテクタ及び前記ハーネスが前記レールの前記端部から前記レールの内部に突入している請求項4に記載のスライドレール。
【請求項7】
前記プロテクタの外面には外方向に向けて突出する突起が設けられている請求項6に記載のスライドレール。
【請求項8】
前記突起は前記プロテクタの延在方向に沿って延びた突条をなす請求項7に記載のスライドレール。
【請求項9】
前記プロテクタは結合部材を介して前記スライダに連結され、
前記結合部材には前記ハーネスを通過させるべき通孔が設けられ、
前記通孔は前記結合部材の前記支持体側の面にて開口し、
前記通孔の前記支持体側の面の開口には筒状をなす筒部が接続されている請求項1に記載のスライドレール。
【請求項10】
前記支持体は、前記スライダに接続されたシートクッションと、前記シートクッションの後部から上方に延びるシートバックと、を有する請求項1~請求項9のいずれか1つの項に記載のスライドレール。
【請求項11】
電装品が設けられた支持体をフロアに対してスライド移動可能に連結させるためのスライドレールの製造方法であって、
レール及び、前記レールにスライド移動可能に支持されたスライダを含むレール装置を前記フロアに組み付けるステップと、
前記スライダに前記支持体を組み付けるステップと、
前記電装品に接続されるべきハーネスが収納された筒状のプロテクタを前記スライダに連結させるステップと、を含み、
前記プロテクタが延在方向に直交する一側と、前記一側に対して逆向きの他側とに曲げ変形可能に構成され、
前記プロテクタには、前記一側への曲げ半径が所定の閾値以上となるように制限するための複数のスリットが前記一側から前記他側に向かって延びるように形成されているスライドレールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スライドレールであって、特に、乗物用シートとフロアとの間に設けられるスライドレールと、そのスライドレールの製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗物用シートのシートバックやシートクッション等のシート本体を、フロアに対してスライド移動可能に連結されるためのスライドレールが公知である(例えば、特許文献1)。スライドレールは、フロアに固定された左右一対のロアレールと、ロアレールにスライド移動に結合され、上面にシートが固定された左右一対のアッパレールと、アッパレールをスライド移動させる電動モータとを備えている。
【0003】
シート本体をスライド移動可能とするスライドレールであって、一端がフロアに固定され、他端がアッパレールに連動するハーネスを備えたものが公知である(例えば、特許文献2)。特許文献2のスライドレールには、ロアレールに対するアッパレールの移動に連動してハーネスを巻き取り、若しくは繰り出す巻取装置が設けられている。巻取装置の内部にはハーネスを収容する収容空間が設けられ、ハーネスは一端側においてその収容空間に設けられた中心軸に巻き回された状態で収容されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実全平1-99734号公報
【特許文献2】特開2005-313662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の巻取装置に例示されるように、ハーネスが曲がった状態で保持され、ハーネスの曲げ半径が小さくなりすぎると、ハーネスに負荷が加わり過ぎる虞がある。
【0006】
本発明は、以上の背景を鑑み、スライド移動可能な支持体に設けられた電装品に接続されるべきハーネスに加わり得る負荷を低減することができるスライドレール及びスライドレールの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、電装品(67)が設けられた支持体(7)をフロア(3)に対してスライド移動可能に連結させるためのスライドレール(1)であって、前記フロアに設けられたレール(11)と、前記レールにスライド移動可能に係合し、且つ、前記支持体を支持するスライダ(12)と、前記電装品に接続されるべきハーネス(202)と、前記スライダに連結され、且つ、前記ハーネスが挿通された筒状のプロテクタ(212)と、を有し、前記プロテクタが延在方向に直交する一側と、前記一側に対して逆向きの他側とに曲げ変形可能に構成され、前記プロテクタには、前記一側への曲げ半径が所定の閾値(Rth)以上となるように制限するための複数のスリット(220)が前記一側から前記他側に向かって延びるように形成されている。
【0008】
この態様によれば、この態様によれば、この態様によれば、ハーネスが挿通されたプロテクタが一側に屈曲したときの曲げ半径が所定の閾値以上となるように制限される。そのため、一側に屈曲したときのハーネスの屈曲半径を制限することができ、ハーネスに加わり得る負荷を低減することができる。
【0009】
上記の態様において、好ましくは、前記スリットの幅がそれぞれ前記一側に向かうにつれて、広くなっている。
【0010】
この態様によれば、プロテクタが一側に曲げ変形可能に構成され、且つ、一側に屈曲したときの曲げ半径を所定の閾値以上となるように制限することができる。
【0011】
上記の態様において、好ましくは、前記スリットはそれぞれ前記プロテクタの平面視で三角形状をなす。
【0012】
この態様によれば、プロテクタが一側に曲げ変形可能に構成され、且つ、一側に屈曲したときの曲げ半径を所定の閾値以上となるように制限することができる。
【0013】
上記の態様において、好ましくは、前記ハーネス及び前記プロテクタの一部を収納する収納空間(205)と、前記収納空間に連通し、前記ハーネス及び前記プロテクタが通過する入口孔(206)と、を備えた収納ケース(203)を含む。
【0014】
この態様によれば、収納ケースにより、ハーネス及びプロテクタを収納することができる。
【0015】
上記の態様において、好ましくは、前記プロテクタは前記収納空間において前記一側及び前記他側に屈曲してS字状をなすように配置され、前記収納空間には前記プロテクタの延在方向を前記他側に屈曲させるべく案内するガイド壁が設けられている。
【0016】
この態様によれば、ハーネス及びプロテクタを収納空間に良好に収納することができ、ガイド壁によって、プロテクタの他側への曲げ半径を制限することができる。
【0017】
上記の態様において、好ましくは、前記収納ケースの前記入口孔は前記レールの端部に連結し、前記プロテクタ及び前記ハーネスが前記レールの前記端部から前記レールの内部に突入している。
【0018】
この態様によれば、プロテクタ及びハーネスをレール内に収納することできる。
【0019】
上記の態様において、好ましくは、前記プロテクタの外面には外方向に向けて突出する突起(224)が設けられている。
【0020】
この態様によれば、プロテクタとレールとの間の接触面積を低減することができる。
【0021】
上記の態様において、好ましくは、前記突起は前記プロテクタの延在方向に沿って延びた突条をなす。
【0022】
この態様によれば、より確実にプロテクタとレールとの間の接触面積の低減を図ることができる。
【0023】
上記の態様において、好ましくは、前記プロテクタは結合部材(240)を介して前記スライダに連結され、前記結合部材には前記ハーネスを通過させるべき通孔(265)が設けられ、前記通孔は前記結合部材の前記支持体側の面にて開口し、前記通孔の前記支持体側の面の開口には筒状をなす筒部(267)が接続されている。
【0024】
この態様によれば、筒部によってハーネスの延在方向を支持体側に向かって案内することができる。
【0025】
上記の態様において、好ましくは、前記支持体は、前記スライダに接続されたシートクッション(5)と、前記シートクッションの後部から上方に延びるシートバック(6)と、を有する。
【0026】
この態様によれば、シートクッション及びシートバックを備えたシート本体をフロアにスライド移動可能に連結することができる。
【0027】
上記課題を解決するために本発明のある態様は、電装品(67)が設けられた支持体(7)をフロア(3)に対してスライド移動可能に連結させるためのスライドレール(1)の製造方法であって、レール(11)及び、前記レールにスライド移動可能に支持されたスライダ(12)を含むレール装置(275)を前記フロアに組み付けるステップと、前記スライダに前記支持体を組み付けるステップと、前記電装品に接続されるべきハーネス(202)が収納された筒状のプロテクタ(212)を前記スライダに連結させるステップと、を含み、前記プロテクタが延在方向に直交する一側と、前記一側に対して逆向きの他側とに曲げ変形可能に構成され、前記プロテクタには、前記一側への曲げ半径が所定の閾値(Rth)以上となるように制限するための複数のスリットが前記一側から前記他側に向かって延びるように形成されている。
【0028】
この態様によれば、ハーネスが挿通されたプロテクタが一側に屈曲したときの曲げ半径が所定の閾値以上となるように制限される。そのため、一側に屈曲したときのハーネスの屈曲半径を制限することができ、ハーネスに加わり得る負荷を低減することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明の一態様は、電装品(67)が設けられた支持体(7)をフロア(3)に対してスライド移動可能に連結させるためのスライドレール(1)であって、前記フロアに設けられたレール(11)と、前記レールにスライド移動可能に係合し、且つ、前記支持体を支持するスライダ(12)と、前記電装品に接続されるべきハーネス(202)と、前記スライダに連結され、且つ、前記ハーネスが挿通された筒状のプロテクタ(212)と、を有し、前記プロテクタが延在方向に直交する一側と、前記一側に対して逆向きの他側とに曲げ変形可能に構成され、前記プロテクタには、前記一側への曲げ半径が所定の閾値(Rth)以上となるように制限するための複数のスリット(220)が前記一側から前記他側に向かって延びるように形成されている。
【0030】
この態様によれば、この態様によれば、この態様によれば、ハーネスが挿通されたプロテクタが一側に屈曲したときの曲げ半径が所定の閾値以上となるように制限される。そのため、一側に屈曲したときのハーネスの屈曲半径を制限することができ、ハーネスに加わり得る負荷を低減することができる。
【0031】
上記の態様において、好ましくは、前記スリットの幅がそれぞれ前記一側に向かうにつれて、広くなっている。
【0032】
この態様によれば、プロテクタが一側に曲げ変形可能に構成され、且つ、一側に屈曲したときの曲げ半径を所定の閾値以上となるように制限することができる。
【0033】
上記の態様において、好ましくは、前記スリットはそれぞれ前記プロテクタの平面視で三角形状をなす。
【0034】
この態様によれば、プロテクタが一側に曲げ変形可能に構成され、且つ、一側に屈曲したときの曲げ半径を所定の閾値以上となるように制限することができる。
【0035】
上記の態様において、好ましくは、前記ハーネス及び前記プロテクタの一部を収納する収納空間(205)と、前記収納空間に連通し、前記ハーネス及び前記プロテクタが通過する入口孔(206)と、を備えた収納ケース(203)を含む。
【0036】
この態様によれば、収納ケースにより、ハーネス及びプロテクタを収納することができる。
【0037】
上記の態様において、好ましくは、前記プロテクタは前記収納空間において前記一側及び前記他側に屈曲してS字状をなすように配置され、前記収納空間には前記プロテクタの延在方向を前記他側に屈曲させるべく案内するガイド壁が設けられている。
【0038】
この態様によれば、ハーネス及びプロテクタを収納空間に良好に収納することができ、ガイド壁によって、プロテクタの他側への曲げ半径を制限することができる。
【0039】
上記の態様において、好ましくは、前記収納ケースの前記入口孔は前記レールの端部に連結し、前記プロテクタ及び前記ハーネスが前記レールの前記端部から前記レールの内部に突入している。
【0040】
この態様によれば、プロテクタ及びハーネスをレール内に収納することできる。
【0041】
上記の態様において、好ましくは、前記プロテクタの外面には外方向に向けて突出する突起(224)が設けられている。
【0042】
この態様によれば、プロテクタとレールとの間の接触面積を低減することができる。
【0043】
上記の態様において、好ましくは、前記突起は前記プロテクタの延在方向に沿って延びた突条をなす。
【0044】
この態様によれば、より確実にプロテクタとレールとの間の接触面積の低減を図ることができる。
【0045】
上記の態様において、好ましくは、前記プロテクタは結合部材(240)を介して前記スライダに連結され、前記結合部材には前記ハーネスを通過させるべき通孔(265)が設けられ、前記通孔は前記結合部材の前記支持体側の面にて開口し、前記通孔の前記支持体側の面の開口には筒状をなす筒部(267)が接続されている。
【0046】
この態様によれば、筒部によってハーネスの延在方向を支持体側に向かって案内することができる。
【0047】
上記の態様において、好ましくは、前記支持体は、前記スライダに接続されたシートクッション(5)と、前記シートクッションの後部から上方に延びるシートバック(6)と、を有する。
【0048】
この態様によれば、シートクッション及びシートバックを備えたシート本体をフロアにスライド移動可能に連結することができる。
【0049】
本発明の一態様は、電装品(67)が設けられた支持体(7)をフロア(3)に対してスライド移動可能に連結させるためのスライドレール(1)の製造方法であって、レール(11)及び、前記レールにスライド移動可能に支持されたスライダ(12)を含むレール装置(275)を前記フロアに組み付けるステップと、前記スライダに前記支持体を組み付けるステップと、前記電装品に接続されるべきハーネス(202)が収納された筒状のプロテクタ(212)を前記スライダに連結させるステップと、を含み、前記プロテクタが延在方向に直交する一側と、前記一側に対して逆向きの他側とに曲げ変形可能に構成され、前記プロテクタには、前記一側への曲げ半径が所定の閾値(Rth)以上となるように制限するための複数のスリットが前記一側から前記他側に向かって延びるように形成されている。
【0050】
この態様によれば、ハーネスが挿通されたプロテクタが一側に屈曲したときの曲げ半径が所定の閾値以上となるように制限される。そのため、一側に屈曲したときのハーネスの屈曲半径を制限することができ、ハーネスに加わり得る負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】実施形態に係る電動スライドレール備えた乗物用シートの構成図
【
図3】電動スライドレールの断面図(
図5のIII-III断面図)
【
図7】第1ブラケットを省略して示すねじアセンブリの斜視図
【
図8】第1ブラケット及びアウタケースを省略して示すねじアセンブリの斜視図
【
図11】配索装置の構造を説明するための上面断面図
【
図12】レールの第1実施例に係るプロテクタ及びハーネスが通過する部分の断面図(
図11のXII-XII断面図)
【
図13】第1実施例に係るプロテクタ及びハーネスの斜視図
【
図14】(A)右側及び(B)左側にそれぞれ屈曲したときのプロテクタの上面図
【
図15】ケース上部材へのプロテクタ及びハーネスの組付けを説明するための斜視図
【
図16】第2実施例に係るプロテクタ及びハーネスの斜視図
【
図17】第2実施例に係るプロテクタ及びハーネスの(A)断面図及び(B)組立を説明するための説明図
【
図18】結合部材のスライダへの組付けを説明するための斜視図
【
図19】スライダ及びプロテクタの接続部分の上面図
【
図21】(A)配索装置の上面断面図、及び、(B)(A)よりもスライダが前方に移動した場合ときの配索装置の上面断面図
【発明を実施するための形態】
【0052】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。電動スライドレールは、レールと、レールに対してスライド移動可能なスライダとを有する。レールは第1の構造体に結合され、スライダは第2の構造体に結合される。レールに対してスライダが移動することによって、電動スライドレールは第1の構造体に対して第2の構造体を移動させる。電動スライドレールは、例えば、車両のフロアとシートとの間に設けられ、フロアに対してシートを移動させる。また、電動スライドレールは、基台とワークホルダとの間に設けられ、基台に対してワークホルダを移動させる。
【0053】
以下、図面を参照して電動スライドレール1及び電動スライドレール1を備えた乗物用シート2の実施形態について説明する。
図1に示すように、乗物用シート2は、その下部に少なくとも1つの電動スライドレール1を有し、電動スライドレール1において車両のフロア3に結合されている。乗物用シート2は、乗員の臀部を支持するシートクッション5と、シートクッション5の後部から上方に延び、乗員の背部を支持するシートバック6とを有する。電動スライドレール1は、フロア3とシートクッション5との間に設けられ、フロア3に対してシートクッション5をスライド移動可能に支持する。乗物用シート2は、一対の電動スライドレール1を有することが好ましい。
【0054】
以下、乗物用シート2のうち、電動スライドレール1の駆動によって、フロア3に対してスライド移動する部分をシート本体7と記載する。シート本体7は、シートクッション5と、シートバック6とを含む。シート本体7は、更に、シートバック6の上部に設けられたヘッドレストや、シートクッション5の前側に設けられたオットマンを含み得る。
【0055】
図2に示すように、電動スライドレール1は、前後方向に延在するレール11と、レール11にスライド可能に係合するスライダ12とを有する。レール11の延在方向を前後方向とする。レール11の延在方向は、車両の前後方向と一致してもよく、一致しなくてもよい。すなわち、レール11の延在方向は、車両への搭載方向を限定するものではない。本実施形態では、レール11の延在方向は、車両の前後方向と一致する。本実施形態では、スライダ12はレール11に対して上側に設けられている。そのため、レール11をロアレール、スライダ12をアッパレールと称してもよい。
【0056】
図3及び
図4に示すように、レール11は、溝形の断面を有する。詳細には、レール11は、面が上下を向くレール底壁14と、レール底壁14の左右の縁部から上方に延びて面が左右を向く左右のレール外側壁15と、左右のレール外側壁15の上端からそれぞれ互いに近づく方向に延び、面が上下を向く左右のレール上壁16と、左右のレール上壁16の内端からそれぞれ下方に延び、面が左右を向く左右のレール内側壁17とを有する。
【0057】
レール底壁14、左右のレール外側壁15、左右のレール上壁16、及び左右のレール内側壁17は、それぞれ前後に延在している。左右のレール外側壁15及び左右のレール内側壁17は、互いに平行に、かつレール底壁14に対して垂直に延在している。左右のレール内側壁17の下端は、レール底壁14に対して間隔をおいて配置されている。レール11は、その上部に前後に延びるレール開口19を有する。レール開口19は、左右のレール内側壁17によって画定されている。レール11は、金属板をプレス成形することによって形成されているとよい。レール底壁14の左右の縁側部は、上方に隆起した段部21を有してもよい。左右の段部21は、前後に延在し、その上面が平坦に形成されている。
【0058】
左右のレール内側壁17のそれぞれには、互いに近づく方向に突出すると共に、前後方向に延びた突部22が形成されている。左右の突部22の断面は、円弧状又は台形状に形成されているとよい。各突部22は、対応するレール内側壁17において、上下方向における中間部に配置されているとよい。左右のレール内側壁17の上端部及び下端部は、突部22よりも左右外方に配置されている。
【0059】
図3に示すように、スライダ12は、レール開口19の開口端に配置され、面が上下を向く板状のベース部25と、ベース部25の左右の側縁からレール底壁14側、すなわち下方に延びる左右のスライダ内側壁26と、左右のスライダ内側壁26の下端からそれぞれ左右外方に延びる左右のスライダ下壁27と、左右のスライダ下壁27の左右外端から上方に延びる左右のスライダ外側壁28とを有する。左右のスライダ内側壁26は、請求項の第3側壁及び第4側壁に対応する。ベース部25、左右のスライダ内側壁26、左右のスライダ下壁27、及び左右のスライダ外側壁28は、前後に延在している。
【0060】
スライダ12は、プレス成形又はロール成形された複数の金属板を互いに締結することによって形成されているとよい。本実施形態では、スライダ12は、ベース部25、左側のスライダ内側壁26、左側のスライダ下壁27、及び左側のスライダ外側壁28を構成する第1ピース12Aと、ベース部25、右側のスライダ内側壁26、右側のスライダ下壁27、及び右側のスライダ外側壁28を構成する第2ピース12Bとから構成されている。第1ピース12Aと第2ピース12Bとが、それぞれのベース部25で互いに重ね合わされ、締結されることによってスライダ12が形成されている。他の実施形態では、スライダ12はプレス成形又はロール成形された1枚の金属板から形成されてもよい。スライダ12の前後長は、レール11の前後長に対して短く設定されている。スライダ12は、ベース部25において、シートクッション5に結合される。
【0061】
ベース部25は、左右のレール上壁16よりも上方に配置されてもよく、左右のレール上壁16よりも下方に配置されてもよい。左右のスライダ内側壁26は、面が左右を向き、左右に互いに距離をおいて対向する。左右のスライダ内側壁26は、左右のレール内側壁17の間に配置されている。各スライダ内側壁26は、左右において対応するレール内側壁17と隙間を介して対向する。各スライダ下壁27は、レール底壁14と左右において対応するレール11内壁の下端の間を通過して左右に延びている。各スライダ12外壁は、左右において対応するレール外側壁15及びレール内側壁17の間に配置されている。各スライダ外側壁28の左右方向における外面側には、複数の車輪31が回転可能に支持されている。各車輪31は、左右方向回りの回転軸を有し、レール底壁14に接地している。本実施形態では、各車輪31は、レール底壁14の段部21の上面に接地している。スライダ12は、車輪31を介してレール11に接地することによって、レール11に対して円滑にスライド移動することができる。以上の構成により、スライダ12はレール11に受容され、かつレール11にスライド可能に係合する。他の実施形態では、スライダ12はボールやローラーベアリングを介してレール11に支持されてもよい。
【0062】
左右のスライダ内側壁26には、互いに近づく方向に凹むと共に、前後方向に延びた凹部33が形成されている。スライダ内側壁26の凹部33の背面側には突部が形成されている。左右の凹部33の前後方向から見た断面は、円弧状又は台形状に形成されているとよい。各凹部33は、対応するスライダ内側壁26において、上下方向における中間部に配置されているとよい。各凹部33は、左右において対応するレール11の突部22と対向する位置に配置されている。
【0063】
スライダ12は、ベース部25と、左右のスライダ内側壁26とによって、レール底壁14側、すなわち下方に向けて開口する溝形に形成されている。
図5及び
図6に示すように、ベース部25の下面には、ねじアセンブリ35及び電動モータ36が支持されている。ねじアセンブリ35は、前後方向周りに回転可能にスライダ12に支持されたねじ部材38、39を含む。電動モータ36は、スライダ12に支持され、ねじ部材38、39を回転させる。
【0064】
図8に示すように、本実施形態では、ねじ部材38、39は、第1ねじ部材38と第2ねじ部材39とを含む。他の実施形態では、ねじアセンブリ35は、単一のねじ部材を有してもよい。第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39は、長手方向における中間部の外周面にねじ山38A、39Aを有する。ねじ山38A、39Aの数は、電動スライドレール1の大きさや、電動スライドレール1の長手方向における要求強度によって決定されるとよい。例えば、要求強度を増加させたい場合には、ねじ山38A、39Aの数を増加させるとよい。
図5及び
図6に示すように、ねじアセンブリ35は、第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39を回転可能に支持するギヤケース41と、ギヤケース41をスライダ12に支持するための第1ブラケット42とを有する。
【0065】
図7及び
図8に示すように、ギヤケース41は、前後に長い直方体の箱形に形成されている。ギヤケース41は、第1ねじ部材38と、第2ねじ部材39と、電動モータ36の回転軸36Aに連結する駆動軸43とを回転可能に支持している。第1ねじ部材38、第2ねじ部材39、及び駆動軸43は、それぞれ前後に延び、互いに並列にギヤケース41に配置されている。ギヤケース41は、外殻をなす箱形のアウタケース41Aと、アウタケース41Aの前端及び後端に支持された前支持部材41B及び後支持部材41Cとを有する。前支持部材41B及び後支持部材41Cには、第1ねじ部材38の前端及び後端を回転可能に支持する前後一対の第1軸受部45と、第2ねじ部材39の前端及び後端を回転可能に支持する前後一対の第2軸受部46と、駆動軸43を回転可能に支持する前後一対の第3軸受部47とが設けられている。
【0066】
第1ねじ部材38はギヤケース41の左側部に沿って配置され、第2ねじ部材39はギヤケース41の右側部に沿って配置されている。駆動軸43は、第1ねじ部材38と第2ねじ部材39との中間部の下方に配置されている。駆動軸43は、ギヤケース41内において駆動ギヤ43Aを有する。第1ねじ部材38は、駆動ギヤ43Aに噛み合う第1ギヤ38Bを有する。第2ねじ部材39は、駆動ギヤ43Aに噛み合う第2ギヤ39Bを有する。駆動ギヤ43A、第1ギヤ38B、及び第2ギヤ39Bのそれぞれは、平歯車であってよい。駆動軸43が回転すると、第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39は互いに同一方向に回転する。第1ギヤ38Bと第2ギヤ39Bとは、対称形であってよい。
【0067】
図5及び
図6に示すように、ギヤケース41は、第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39を側方に露出させるための開口であるケース開口48を有する。第1ねじ部材38のねじ山38Aは、ギヤケース41の左側部に形成されたケース開口48を通過して左方に突出している。同様に、第2ねじ部材39のねじ山39Aは、ギヤケース41の右側部に形成されたケース開口48を通過して右方に突出している。ケース開口48はアウタケース41Aに形成されている。
【0068】
第1ブラケット42は、前後に延在し、前端に設けられた第1結合部42Aと、後端に設けられた第2結合部42Bとを有する。第1ブラケット42は、第1結合部42A及び第2結合部42Bにおいてスライダ12のベース部25の下面に結合されている。第1ブラケット42は、第1結合部42Aから第2結合部42Bに延びる支持部42Cを有する。第1ブラケット42は、第1結合部42A、第2結合部42B、支持部42Cを含む一体的な金属製の部材であるとよい。支持部42Cは、第1結合部42A及び第2結合部42Bに対して下方に位置する部分を有する。支持部42Cによって第1ブラケット42はベース部25と協働して閉構造を形成する。ギヤケース41はスライダ12のベース部25と支持部42Cとの間に配置されている。第1ブラケット42は、金属板を折曲成形することに形成されている。第1結合部42Aはギヤケース41の前部から前方に延出し、第2結合部42Bはギヤケース41の後部から後方に延出している。第1結合部42A及び第2結合部42Bは、ねじやリベット等の締結部材によってベース部25に締結されているとよい。第1結合部42A及び第2結合部42Bの締結点間の距離は、ギヤケース41の前後長よりも長く設定されている。
【0069】
第1ブラケット42の後方には、電動モータ36をスライダ12のベース部25に支持するための第2ブラケット51が設けられている。第2ブラケット51は、ベース部25に結合される結合部51Aと、結合部51Aからベース部25と相反する側、すなわち下方に延びる支持部51Bとを有する。支持部51Bは結合部51Aに対して直交し、第2ブラケット51はL字形に形成されている。電動モータ36は、その一側の端部において支持部51Bに結合されている。本実施形態では、電動モータ36は結合部51Aの下方に配置され、第2ブラケット51は電動モータ36のねじ部材38、39側の端部を片持ち支持する。
【0070】
駆動軸43の後端は、ギヤケース41の後支持部材41Cから後方に突出し、第1ブラケット42に形成された貫通孔を通過して後方に延びている。電動モータ36の回転軸36Aは、駆動軸43の後端部に接続されている。回転軸36Aと駆動軸43とはカップリングによって結合されているとよい。また、回転軸36Aと駆動軸43とは、互いに噛み合う嵌合部を有してもよい。電動モータ36の回転軸36Aと駆動軸43とは、同一直線上に配置されている。電動モータ36は、円筒形に形成され、前後に延びている。
【0071】
電動モータ36の回転軸36Aと駆動軸43との間に、減速機40が設けられてもよい。減速機40は、例えば、遊星歯車機構であるとよい。減速機40は、第2ブラケット51の支持部51Bの電動モータ36と相反する側の面に設けられているとよい。他の実施形態では、減速機40は、ギヤケース41の後端面に支持されてもよい。減速機40は選択的な構成であり、省略可能である。
【0072】
ねじアセンブリ35、電動モータ36、第1ブラケット42、及び第2ブラケット51は、ベース部25の下方、かつ左右のスライダ内側壁26の間に配置されている。左右のスライダ内側壁26は、ねじアセンブリ35と対応する位置に開口であるスライダ開口55を有する。スライダ開口55は、スライダ内側壁26の凹部33に形成されている。第1ねじ部材38のねじ山38Aの左部は、ギヤケース41の左側のケース開口48及び左側のスライダ内側壁26のスライダ開口55を通過して左側のスライダ内側壁26の左方に突出している。同様に、第2ねじ部材39のねじ山39Aの右部は、ギヤケース41の右側のケース開口48及び右側のスライダ内側壁26のスライダ開口55を通過して右側のスライダ内側壁26の右方に突出している。
【0073】
図2に示すように、レール11には、前後方向に延在し、ねじ部材38、39と係合するねじ係合部57、58が形成されている。ねじ係合部57、58は、左側のレール内側壁17に形成され、第1ねじ部材38のねじ山38Aに噛み合う第1ねじ係合部57と、右側のレール内側壁17に形成され、第2ねじ部材39のねじ山39Aに噛み合う第2ねじ係合部58とを有する。第1ねじ係合部57及び第2ねじ係合部58は、対応するレール内側壁17の突部22に形成されている。第1ねじ係合部57及び第2ねじ係合部58は、突部22に前後方向に並んで形成された複数の係合孔59を含む。第1ねじ部材38は、第1ねじ部材38のねじ山38Aの左部において第1ねじ係合部57の複数の係合孔59と噛み合い、前後方向周りに回転することによって第1ねじ係合部57に対して前後に移動する。同様に、第2ねじ部材39は、第2ねじ部材39のねじ山39Aの右部において第2ねじ係合部58の複数の係合孔59と噛み合い、前後方向周りに回転することによって第2ねじ係合部58に対して前後に移動する。
【0074】
電動スライドレール1は、制御装置66によって制御される。制御装置66は、例えばフロア3に設けられる。制御装置66は、電子制御装置であり、電源68と、操作スイッチ67とに接続されている。操作スイッチ67は、前進に対応したボタンと、後退に対応したボタンとを有する。制御装置66は、操作スイッチ67からの信号に基づいて、電動モータ36の回転方向及び回転量を制御する。これにより、操作者は操作スイッチ67を操作することによって電動スライドレール1を作動させ、フロア3に対して乗物用シート2を前後に移動させることができる。
【0075】
左右の電動スライドレール1の各レール11は、ブラケットを介して、又は直接に車両のフロア3に結合される。各レール11はフロア3に形成されたレール溝4に受容されるとよい。レール11のレール上壁16の上面は、フロア3の上面と同一平面上に配置されるとよい。レール11がレール溝4に配置されることによって、レール11がフロア3から突出することを抑制することができる。左右の電動スライドレール1の各スライダ12は、シートクッション5に結合される。左右の電動スライドレール1の各スライダ12は、連結部材によって互いに接続されてもよい。
【0076】
電動モータ36の回転は、回転軸36A、駆動軸43、駆動ギヤ43A、第1ギヤ38B又は第2ギヤ39Bを介して第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39に伝達される。その結果、第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39が同一方向に回転する。第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39が回転すると、第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39が第1ねじ係合部57及び第2ねじ係合部58に対して前後に移動し、レール11に対してスライダ12が前後に移動する。
【0077】
レール1に係合するスライダ12がレール1に対して前後にスライド移動すると、スライダ12に支持されたシート本体7もまたフロア3に対して前後にスライド移動する。すなわち、電動スライドレール1は第1の構造体であるフロア3に対し、第2の構造体であるシート本体7を前後にスライド移動させる役割を果たす。
【0078】
電動スライドレール1によってスライド移動するシート本体7等の第2の構造体に、各種の電装品(例えば、リクライニング装置のモータや、操作スイッチ67等)が設けられる場合がある。このとき、シート本体7等の第2の構造体が電装品を支持する支持体として機能する。しかし、電装品を支持する第2の構造体が第1の構造体に対して移動するため、その第2の構造体の移動に配慮した電装品への配索が必要となる。
【0079】
そこで、電動スライドレール1は、
図9に示すように、電装品への給電や信号伝達のための配索装置201を備えている。
【0080】
図10には、配索装置201の分解斜視図が示されている。
図9及び
図10に示すように、配索装置201は、操作スイッチ67等の電装品に接続されるべきワイヤハーネス(以下、ハーネス202、
図10を参照)と、ハーネス202の一部を収納する収納ケース203(
図9を参照)と、を備える。
【0081】
配索装置201は、乗物用シート2において、フロア3に対するハーネス202の不要な動きを抑制しつつ、スライダ12の位置に応じたハーネス202の収納及び送出を可能にする。ある実施形態では、ハーネス202は電力の供給や通信のために使用される。また、配索装置201は、
図9に示すように、レール11の開口を塞ぐカバーとして機能する。
【0082】
収納ケース203は樹脂製の部材であり、扁平な箱形をなしている。
図10及び
図11に示すように、収納ケース203は、その内部に画定された収納空間205(収納室ともいう)と、収納空間205と外部とを接続する入口孔206及び出口孔207とを有している。
【0083】
図9及び
図10に示すように、収納ケース203には、収納空間205を拡張するための拡張部材208が接続されている。拡張部材208は開口を有する有底な四角筒状をなしている。本実施形態では、拡張部材208は四角筒状をなす筒部材208Aと、筒部材208Aの一端を閉じ、底部を構成する底部材208Bとを備えている。筒部材208Aは金属製(好ましくは、アルミニウム製)の部材であり、例えば、金属材料を押出し成形することによって形成されたものであってよい。収納ケース203にはその側部に収納空間205に連通する連通孔209が設けられ、その連通孔209に拡張部材208の開口部分が接続され、収納空間205が拡張される。
【0084】
図9及び
図11に示すように、収納ケース203の入口孔206は、収納ケース203右半部前側に設けられ、レール11の前端又は後端に連結している。本実施形態では、
図9及び
図11に示すように、入口孔206はレール11の後端に接続している。入口孔206は、収納ケース203の右半部の前端に設けられ、前方に向けて開口している。
【0085】
図10に示すように、出口孔207にはフロア3に固定されたコネクタ210が挿入されている。これにより、収納ケース203はフロア3に接続される。
図11に示すように、ハーネス202の一端側にはコネクタ211が設けられ、そのコネクタ211がフロア3に設けられたコネクタ210に結合されている。これにより、ハーネス202はその一端においてフロア3(車体)に固定されるとともに、電源68(バッテリ)や車体に設けられた各種装置等に接続されている。
【0086】
ハーネス202は、コネクタ210から収納空間205、及び、入口孔206を順に通過し、右側のレール11内に後端から突入している。本実施形態では、
図12に示すように、ハーネス202はレール11内において、レール外側壁15とレール内側壁17との間に形成された隙間に突入している。
図11に示すように、ハーネス202は、その隙間を前方に延びて、レール内側壁17の下側(
図12も参照)を通過して、スライダ12に達している。
【0087】
図12に示すように、ハーネス202は金属によって構成された芯線202Aと、芯線202Aの外周部に設けられ、電気絶縁材によって構成された被覆部202Bとを含む。芯線202Aは被覆部202Bによって覆われ、被覆されている。
【0088】
ハーネス202は2つの装置を電気的に接続する。具体的には、ハーネス202は車体に設けられた電源68(バッテリ)と、各種の電装品とを接続するように構成され得る。ハーネス202に接続される電装品には、例えば、スライダ12をレール11に対してスライド移動させる電動モータ36が含まれ得る。その他、電装品には、シート本体7に設けられた各種アクチュエータが含まれ得る。例えば、ハーネス202に接続される電装品には、シートバック6をシートクッション5に対して傾倒させるリクライニング装置(詳細には、リクライニング装置の駆動源)や、シートクッション5、シートバック6及びヘッドレストの少なくとも一つに設けられ、着座者に対して送風するブロワが含まれ得る。
【0089】
電装品にはシート本体7に設けられ、着座者からの入力を受け付ける操作スイッチ67が含まれ得る。その他、電装品には、シート本体7に設けられる各種の音響装置(スピーカ、マイク等)、振動発生装置、タッチパネルディスプレイ等の着座者への報知を行う報知装置が含まれ得る。電装品には、シート本体7に設けられ、着座者の生体情報や外部環境に係る情報を取得するセンサ(カメラ、着座センサ、温度センサ等)や、着座面の温度を制御するための温調装置が含まれ得る。その他、電装品には、シート本体7の移動を制御するための制御装置66が含まれ得る。電装品には更に、センサによる検出結果の取得する装置や、報知装置の動作を制御する各種装置が含まれ得る。
【0090】
図10及び
図11に示すように、配索装置201は、ハーネス202及び収納ケース203に加えて、更に、プロテクタ212(ハーネスプロテクタや、ワイヤプロテクタともいう)を備えている。プロテクタ212は筒状(チューブ状)をなし、内部にハーネス202を収容する。プロテクタ212は一端においてスライダ12に結合(連結)されている。
【0091】
プロテクタ212は、
図11に示すように、ハーネス202のコネクタ210近傍からスライダ12近傍までの部分を覆い、ハーネス202を保護する。なお、
図10においては、ハーネス202がプロテクタ212の内部に収容されていることを示すため、プロテクタ212の一部を破断して図示した。
【0092】
プロテクタ212は樹脂製の部材であり、
図12及び
図13に示すように、ハーネス202の延在方向に沿って延びる筒状をなしている。プロテクタ212は例えば、プラスチック等の樹脂材料を押出し成形することによって四角筒を形成し、四角筒を切削することによって形成されたものであってよい。以下、説明の便宜上、プロテクタ212のレール11内を通過し、前後方向に延在するハーネス202を覆う部分に注目し、上下左右の各方向を定めて説明を行うが、プロテクタ212の他の部分についても同様の構成を有している。
【0093】
図12及び
図13には、プロテクタ212の第1実施例が示されている。
図12に示すように、第1実施例に係るプロテクタ212は左壁213、右壁214、上壁215及び下壁216を有し、ハーネス202を収容する内室217を備えた略四角筒状をなしている。左壁213、右壁214、上壁215及び下壁216はそれぞれ、ハーネス202の延在方向に直交する方向を向く板状の壁体によって構成されている。左壁213はプロテクタ212の左側に設けられ、左方を向く面を有している。右壁214は、プロテクタ212の右側に設けられ、右方(左壁213と逆方向)を向く面を有している。上壁215はプロテクタ212の上側に設けられ、上方を向く面を有し、下壁216はプロテクタ212の下側に設けられ、下方を向く面を有している。
【0094】
図13に示すように、プロテクタ212には、右側の側面から左側の側面に向かって切り欠かれた複数のスリット220が設けられている。スリット220が設けられることによって、プロテクタ212は左側及び右側に曲げ変形可能に構成されている。スリット220の前後方向の幅は左側から右側に漸次(次第にともいう)広くなっている。本実施形態では、スリット220は平面視(詳細には、上面視)で三角形状(楔状ともいう)をなしている。スリット220はプロテクタ212の延在方向に沿って概ね等間隔に設けられていることが好ましい。
【0095】
図14(A)には、プロテクタ212が上面視で右側に屈曲した場合が示され、
図14(B)にはプロテクタ212が上面視で左側に屈曲した場合が示されている。
図14(A)及び(B)に示すように、プロテクタ212は左右両側(すなわち、延在方向に直交する一側とその一側に対して逆向きの他側と)にそれぞれ曲げ変形(屈曲変形)可能に構成されている。
【0096】
但し、
図14(A)に示すように、プロテクタ212が右側に屈曲したときには、スリット220の前縁を画定する面220Aと後縁を画定する面220Bとが当接し、プロテクタ212の曲げ半径は所定の閾値R
th以上となる範囲内に制限される。これにより、プロテクタ212が右側に屈曲したときに、ハーネス202の曲げ半径が小さくなりすぎることを防止することができる。なお、ここでいう曲げ半径(屈曲半径ともいう)とは、曲げ点でのプロテクタ212の内側曲率を最も良好に表すことができる円(
図14(A)の一点鎖線参照)の半径を表すものであって、曲げ半径が小さくなるほど、曲率が大きくなる。
【0097】
図11及び
図15に示すように、プロテクタ212及びハーネス202の一部は、収納ケース203に設けられた収納空間205に収納されている。収納ケース203の内部には、プロテクタ212の移動方向をガイドするガイド壁222が設けられている。本実施形態では、ガイド壁222は、略円弧状をなすように湾曲している。
【0098】
図11に示すように、プロテクタ212は収納空間205内において、コネクタ210近傍から直線状に延び、その後、スリット220が設けられた側(右側)に湾曲している。その後、プロテクタ212はガイド壁222に接しながらスリット220が設けられた側とは逆側(左側)に湾曲し、入口孔206を通過して、収納空間205の外部(収納ケース203の外部)に延びている。このように、プロテクタ212は収納空間205において、スリット220が設けられた側と、スリット220が設けられた側とは逆側とに湾曲するS字状をなしている。
【0099】
ガイド壁222は、プロテクタ212の側面に摺接することによって、収納空間205内を移動するプロテクタ212をスリット220が設けられた側とは逆側(左側)に滑らかに湾曲させるように案内する。これにより、ハーネス202の曲げ半径が小さくなり過ぎることを防止する。
【0100】
このようなガイド壁222を構成するため、
図10に示すように、収納ケース203はその上半部を構成するケース上部材203Aと、その下半部を構成するケース下部材203Bとにより構成されているとよい。ケース上部材203Aとケース下部材203Bとが連結されることによって、収納ケース203にはハーネス202及びプロテクタ212を収納可能な収納空間205が構成される。
図15にはガイド壁222の上半部がケース上部材203Aに設けられた場合であって、ケース上部材203Aを下側から見たときの斜視図が示されている。
【0101】
図11及び
図12に示すように、プロテクタ212はハーネス202とともに、入口孔206を通過して、レール外側壁15とレール内側壁17との間に形成された隙間に突入している。プロテクタ212及びハーネス202はその隙間を前方に延び、スライダ12の近傍に達している。プロテクタ212はスライダ12の近傍にて開口し、ハーネス202はその開口部分から延びてレール内側壁17の下側を通過し、スライダ12に延びている。これにより、ハーネス202及びプロテクタ212をレール11に収容することができるため、ハーネス202及びプロテクタ212を良好に保護することができる。
【0102】
図12及び
図13に示すように、プロテクタ212の外面には外方向に向けて突出する突起224が設けられている。突起224はプロテクタ212の右壁214の外面と、左壁213の外面とにそれぞれ設けられている。
【0103】
本実施形態では、突起224はそれぞれ、プロテクタ212の延在方向(すなわち、前後方向)に延びた突条となっている。本実施形態では、右壁214には、突起224が上縁及び下縁にそれぞれ前後に延在する突条をなすように設けられている。左壁213には、突起224が左壁213の上縁及び下縁にそれぞれ前後に延在するように設けられ、更に、2つの突起224が左壁213の上下方向略中央部に上下に配置されて、それぞれ前後方向に延在する突条をなすように設けられている。
【0104】
これらの突起224(突条)によって、プロテクタ212及びレール外側壁15の接触面積や、プロテクタ212及びレール内側壁17の接触面積を低減することが可能となる。これにより、プロテクタ212がレール11内を摺動するときの摺動抵抗が抑えられる。また、突起224がプロテクタ212の延在方向に延びるように形成されているため、プロテクタ212及びレール内側壁17のより確実に接触面積の低減を図ることができる。
【0105】
図16及び
図17には、プロテクタ212の第2実施例が示されている。
図16に示すように、第2実施例に係るプロテクタ212は、第1実施例と同様に樹脂製の部材であり、左壁213、右壁214、上壁215及び下壁216を有し、ハーネス202を収容する内室217を備えた略四角筒状をなしている。
【0106】
第2実施例に係るプロテクタ212は、左右方向を向く面を有する板状の主部226と、主部226の上端に接続された上接続部227と、主部226の下端に接続された下接続部228とを備えている。主部226はプロテクタ212の左壁213を構成し、上接続部227は上壁215及び右壁214の上半部を構成し、下接続部228は下壁216及び右壁214の下半部を構成する。
【0107】
図17(A)に示すように、上接続部227は一端において主部226の上端にヒンジ部226Aを介してヒンジ連結されている。これにより、上接続部227は一端において主部226の上端に前後方向に延びる軸線を中心として回転可能に接続されている。下接続部228は一端において主部226の下端にヒンジ部226Bを介してヒンジ連結されている。これにより、下接続部228は一端において主部226の下端前後方向に延びる軸線を中心として回転可能に接続されている(
図17(B)の矢印を参照)。上接続部227及び下接続部228はそれぞれ他端において互いに接続可能に構成されている。上接続部227と下接続部228とが接続されることによって、
図17(B)に示すように、ハーネス202を収容する内室217が構成される。
【0108】
このように、第2実施例に係るプロテクタ212は、ハーネス202を収容する内室217を容易に構成することができる。更に、第2実施例に係るプロテクタ212は、上接続部227と下接続部228とを接続することによって、ハーネス202を容易に内室217に収容することができる。
【0109】
図10及び
図11に示すように、プロテクタ212の一端は結合部材240を介してスライダ12に結合(連結)されている。以下、結合部材240の構成について説明する。なお、プロテクタ212の他端は、ハーネス202に設けられたコネクタ211に結合されていてもよい。
【0110】
図18及び
図19に示すように、結合部材240は、スライダ12のベース部25の後方に配置される基部242と、基部242の左右両縁前部にそれぞれ設けられたスライダ係合部243と、基部242の右縁後部に設けられたプロテクタ接続部244とを備えている。
【0111】
スライダ12の後端部には、左右一対の延出部245が設けられている。延出部245はそれぞれ、スライダ内側壁26、スライダ下壁27、スライダ外側壁28がそれぞれ後方に延出することによって構成されている。延出部245のうち、スライダ内側壁26に連続する部分を延出部内壁246、スライダ下壁27に連続する延出部下壁247、スライダ外側壁28に連続する部分を延出部外壁248と記載する。
【0112】
延出部内壁246の上縁にはそれぞれ下方に凹む上切欠部250が設けられている。延出部下壁247には上下方向に貫通する受容孔251が設けられている。受容孔251は延出部内壁246の下縁にまで延び、延出部内壁246の下縁には上方に切り欠かれた下切欠部252が形成されている。
【0113】
図18に示すように、スライダ係合部243はその一部が受容孔251に受容された状態で、延出部245に結合する(
図18の矢印を参照)。スライダ係合部243は、延出部内壁246と延出部外壁248との間に配置される外壁部254と、延出部内壁246の内側に配置される内壁部255と、内壁部255と外壁部254とを接続する横接続部256とを備えている。
【0114】
内壁部255の上端には上切欠部250に掛け止めされる掛止爪257が設けられている。横接続部256が下切欠部252に挿入され、掛止爪257が上切欠部250に掛け止めされることによって、掛止爪257と横接続部256との間に延出部内壁246が挟持される。これにより、スライダ係合部243と延出部245とが結合し、結合部材240がスライダ12の後部に接続される。なお、外壁部254によって、延出部内壁246及び延出部外壁248の左右方向の移動が規制されるため、結合部材240とスライダ12の後部との左右方向のずれの発生を抑えることができる。
【0115】
プロテクタ接続部244は後方に延びる上下一対の突出片260を備える。突出片260はそれぞれ左右方向を向く面を有する板状をなしている。
図19に示すように、突出片260にはそれぞれ左右方向に突出する係合凸部261を備えている。プロテクタ212の前縁には前方に延びる延出片262が設けられている。延出片262は左右方向を向く面を有する板状をなし、その延出片262には係合凸部261を受容する係合孔263が設けられている。係合孔263の径は係合凸部261の径と概ね等しく、係合凸部261が係合孔263に突入し、受容されることによって、突出片260と延出片262とが結合する。これにより、結合部材240がプロテクタ212の前縁と結合する。
【0116】
図18及び
図19に示すように、プロテクタ接続部244には、突出片260を右側から覆う保護部材264が設けられている。保護部材264は、突出片260と延出片262との結合部分を覆い、結合部材240とプロテクタ212とが分離することを防止する。なお、
図19に示すように、結合部材240はプロテクタ212の前縁と、レール外側壁15及びレール内側壁17の間にて結合されている。
【0117】
基部242にはハーネス202を通過させるための貫通孔である通孔265が設けられている。
図19に示すように、通孔265はプロテクタ接続部244の前方において開口し、基部242の左右中央に向かって延びている。その後、通孔265は、上方に延び、基部242の上面に達し、基部242の上面(シート本体7側の側面)にて開口している。
【0118】
基部242の上面に設けられた通孔265の開口には、
図18に示すように、筒状をなして上方に延びる筒部267が接続されている。筒部267には上下方向に貫通する内孔268が形成され、内孔268は通孔265に連通している。
【0119】
図11に示すように、ハーネス202はプロテクタ212の前縁から前方に延びて、通孔265に突入し、その後、筒部267の内孔268を通過して、基部242の上方に達している。ハーネス202は、筒部267によって、上方に(すなわち、シート本体7に向かって)延びるように案内される。
【0120】
本実施形態では、
図20に示すように、結合部材240は第1結合部材240Aと、第2結合部材240Bとによって構成されている。第1結合部材240Aは、基部242の上半部、筒部267の後半部、スライダ係合部243及びプロテクタ接続部244を構成する。第2結合部材240Bは、基部242の下半部及び筒部267の前半部を構成する。第1結合部材240A及び第2結合部材240Bの一方には係止爪270が設けられ、他方には係止爪270が係止される係止孔271が設けられている。係止爪270が係止孔271に係止されることによって、第1結合部材240Aと第2結合部材240Bとが結合する。
【0121】
第1結合部材240Aと第2結合部材240Bとが結合されることによって、両者の間に通孔265が形成される。更に、第1結合部材240Aに設けられた筒部267の後半部と、第2結合部材240Bに設けられた筒部267の前半部とが連結し、筒部267が構成される。保護部材264は第1結合部材240Aの側部に結合されている。
【0122】
次に、電動スライドレール1を製造する際には、作業者はまず、配索装置201を組み立てる。作業者は、まず、プロテクタ212にハーネス202を通した後、プロテクタ212に結合部材240を組み付ける。その後、作業者は、プロテクタ212をケース上部材203Aに設けられたガイド壁222に沿うように配置し、ケース上部材203Aとケース下部材203Bとを結合させる。これにより、プロテクタ212及びハーネス202の一部は、収納ケース203の内部に収納される。その後、作業者が拡張部材208を収納ケース203に組付けると、配索装置201の組立が完了する。
【0123】
作業者は、レール11と、スライド移動可能に連結されたスライダ12とを含むレール装置275をフロア3に固定する。その後、作業者は、プロテクタ212に挿入済のハーネス202の端部をコネクタ210に結合し、プロテクタ212をレール11に挿入しつつ、収納ケース203の出口孔207にコネクタ210を挿入する。収納ケース203の出口孔207にコネクタ210されることによって、収納ケース203はフロア3に固定される。なお、その際、作業者は収納ケース203や拡張部材208をボルト等によってフロア3に固定してもよい。次に作業者はスライダ12の位置を調節し、結合部材240をスライダ12に連結させることによって、電動スライドレール1の製造が完了する。
【0124】
次に、ハーネス202の送出及び収納動作と、電動スライドレール1の効果について説明する。
【0125】
図21(A)の矢印に示すように、スライダ12がレール11に対して前方に移動し、
図21(A)に示す位置から
図21(B)に示す位置に変位すると、ハーネス202及びプロテクタ212が入口孔206を通過して前方に送り出される。
【0126】
これにより、ハーネス202及びプロテクタ212のうち、収納ケース203及び拡張部材208に収納されている部分の長さが短くなる。そのため、
図21(B)の矢印に示すように、プロテクタ212が移動し、ハーネス202及びプロテクタ212の曲げ半径が小さくなる。
【0127】
スライダ12がレール11に対して後方に移動すると、
図21(B)に示す位置から
図21(A)に示す位置に変位すると、プロテクタ212及びハーネス202がスライダ12によって後方に押される。これにより、プロテクタ212及びハーネス202が入口孔206を通過して収納ケース203の内部に押し込まれる。
【0128】
これにより、プロテクタ212及びハーネス202の収納ケース203及び拡張部材208に収納されている部分の長さが長くなる。このとき、プロテクタ212はガイド壁222によって案内されて、プロテクタ212が
図21(B)の矢印の向きと逆向きに移動し、ハーネス202及びプロテクタ212は、それぞれの曲げ半径が大きくなるように変形する。これにより、ハーネス202の収納ケース203及び拡張部材208に収納されている部分の長さが長くなり、ハーネス202が収納ケース203及び拡張部材208に入口孔206から収納されることになる。
【0129】
このように、ハーネス202及びプロテクタ212は入口孔206を介して収納ケース203に出し入れされる。スライダ12の移動によるハーネス202及びプロテクタ212の収納・送出によって、ハーネス202及びプロテクタ212の収納ケース203及び拡張部材208の内部に収容された部分の曲げ半径が変化する。このとき、ハーネス202の曲げ半径が小さくなり過ぎ、ハーネス202に過剰な負荷がかかり得る。
【0130】
しかしながら、
図14(A)及び
図14(B)に示すように、プロテクタ212が延在方向一方側(
図14(A)に示す右側)に屈曲したときの曲げ半径が所定の閾値R
th以上となるように制限されている。そのため、
図14(B)に示すように、プロテクタ212が延在方向一方側に屈曲したときに、ハーネス202の曲げ半径が小さくなり過ぎず、ハーネス202に加わり得る負荷を低減することができる。
【0131】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
【0132】
上記実施形態では、配索装置201が電動スライドレール1に設けられている例を記載したが、配索装置201は着座者によって手動でスライド移動されるスライドレールに設けられていてもよい。
【0133】
上記実施形態ではシート本体7が第2の構造体であり、電装品がシート本体7に設けられていたが、本発明はこの態様には限定されない。例えば、スライダ12が第2の構造体であり、電装品がレール11に対してスライダ12をスライド移動させるための電動モータ36であってもよい。その他、基台が第1の構造体であり、ワークホルダが第2の構造体であって、電装品はワークホルダに設けられた各種のアクチュエータであってもよい。
【0134】
上記実施形態では、レール11の左右両縁を画定する2つのレール外側壁15の間を左右方向に3つの隙間に区分けする2つのレール内側壁17が設けられ、ハーネス202及びプロテクタ212がその3つの隙間のうちの右端に位置する隙間を通過するように配置されていたが、ハーネス202及びプロテクタ212はその3つの隙間のうちの左端に位置する隙間を通過するように配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0135】
1 :電動スライドレール(スライドレール)
3 :フロア
5 :シートクッション
6 :シートバック
7 :シート本体(支持体の一例)
11 :レール
12 :スライダ
67 :操作スイッチ(電装品の一例)
202 :ハーネス
203 :収納ケース
205 :収納空間
206 :入口孔
212 :プロテクタ
220 :スリット
222 :ガイド壁
224 :突起
240 :結合部材
265 :通孔
267 :筒部