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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125196
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】光触媒殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/08 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
A61L2/08 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024030092
(22)【出願日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】P 2023033119
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】中野 彬
(72)【発明者】
【氏名】菅原 章
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA01
4C058BB06
4C058KK50
(57)【要約】
【課題】本体部内の全体にわたって殺菌することが可能な光触媒殺菌装置を提供する。
【解決手段】この光触媒殺菌装置100では、本体部1の外面に設けられ、光源2から照射した光を反射する反射材層3と、本体部1の内面に設けられ、光源2から照射された光および反射材層3により反射された光と反応することにより本体部1の内部を殺菌する光触媒層4と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体が通過または保管される内部を殺菌可能であり、光を透過可能な管状または容器状の本体部と、
前記本体部に外部から光を照射する光源と、
前記本体部の外面に設けられ、前記光源から照射した光を反射する反射材と、
前記本体部の内面に設けられ、前記光源から照射された光および前記反射材により反射された光と反応することにより前記本体部の内部を殺菌する光触媒と、を備える、光触媒殺菌装置。
【請求項2】
前記反射材は、前記本体部の前記外面に層状に形成された反射材層を含み、
前記光触媒は、前記本体部の前記内面に層状に形成された光触媒層を含む、請求項1に記載の光触媒殺菌装置。
【請求項3】
前記本体部は、前記外面を構成する外側面と、前記内面を構成する内側面とを有する側面部を含み、
前記反射材層は、前記本体部の前記外側面に設けられ、前記光源から照射された光を前記本体部の前記内側面に向けて反射する第1反射材層を含み、
前記光触媒層は、前記本体部の前記内側面に設けられ、前記第1反射材層から反射された光と反応する第1光触媒層を含む、請求項2に記載の光触媒殺菌装置。
【請求項4】
前記反射材層は、前記光源から照射された光が入射する前記本体部の入射部分に設けられ、前記光源から照射された光を前記側面部が延びる方向に向かって反射する第2反射材層を含む、請求項3に記載の光触媒殺菌装置。
【請求項5】
前記本体部は、前記光源から照射された光が入射する入射部分の角部が、面取りされており、
前記第2反射材層は、前記本体部の面取りされた前記角部に設けられている、請求項4に記載の光触媒殺菌装置。
【請求項6】
前記光源は、前記本体部の周囲に所定の間隔をあけて複数設けられている、請求項1に記載の光触媒殺菌装置。
【請求項7】
前記本体部は、前記光源から照射された光が入射する入射部分に前記外面から外部に向かって突出するフランジ部を含み、
前記第2反射材層は、前記フランジ部の上面および前記フランジ部の下面に設けられており、
前記フランジ部の前記上面と前記フランジ部の前記下面との間から、前記光源から照射された光が前記本体部に入射するように構成されている、請求項4に記載の光触媒殺菌装置。
【請求項8】
前記本体部の前記光源から照射された光が入射する入射面が、前記光源に向かって凸状となるように弧状に湾曲している、請求項7に記載の光触媒殺菌装置。
【請求項9】
前記反射材が設けられる前記本体部の前記外面は、前記光源から照射された光を乱反射するための凹凸形状を有している、請求項1に記載の光触媒殺菌装置。
【請求項10】
前記本体部は、外底面と、内底面とを含む容器状であり、
前記反射材層は、前記本体部の前記外底面に設けられ、前記光源から照射された光を前記内底面に向かって反射する第3反射材層を含み、
前記光触媒層は、前記本体部の前記内底面に設けられ、前記第3反射材層により反射された光と反応する第2光触媒層を含む、請求項4に記載の光触媒殺菌装置。
【請求項11】
前記本体部は、容器状であり、
前記本体部に近接して取り付けられる蓋部をさらに備え、
前記光触媒は、前記本体部の内側に配置される前記蓋部の内面に設けられ、
前記反射材は、前記蓋部の前記内面とは反対側の前記蓋部の外面に設けられている、請求項1に記載の光触媒殺菌装置。
【請求項12】
前記本体部と、前記光触媒層との間に設けられ、前記光触媒層において生成された物質から前記本体部を保護する保護層をさらに備える、請求項2に記載の光触媒殺菌装置。
【請求項13】
前記本体部は、光を透過可能な樹脂により形成され、
前記保護層は、無機材料により形成されている、請求項12に記載の光触媒殺菌装置。
【請求項14】
前記本体部は、アクリル系樹脂またはポリエステル系樹脂によって構成されている、請求項13に記載の光触媒殺菌装置。
【請求項15】
前記本体部は、前記反射材層側における屈折率が前記光触媒層側における屈折率よりも低くなるように構成されている、請求項2に記載の光触媒殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、光触媒殺菌装置に関し、特に、光源を備える光触媒殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から照射された光により内部を殺菌する殺菌装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、冷凍室と、冷蔵室と、野菜室とを備える冷蔵庫が開示されている。特許文献1の冷蔵庫は、冷凍室内の貯氷容器の内部を殺菌するための紫外線照射装置が上方に配置されている。また、特許文献1では、紫外線照射装置から照射された紫外線によりヒドロキシラジカルを発生させて、貯氷容器の内部を殺菌している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-55717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1では、貯氷容器のように内部が殺菌される本体部に氷などの物体が貯蔵されているが、氷が多い場合に、紫外線が物体により遮蔽されて底面側まで到達しない場合がある。この場合、紫外線が到達しなかった底面側では殺菌するために十分なヒドロキシラジカルが発生しないため、殺菌することが困難であるという問題点がある。
【0006】
上記課題を解決するために、この発明の1つの目的は、本体部内の全体にわたって殺菌することが可能な光触媒殺菌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による光触媒殺菌装置は、物体が通過または保管される内部を殺菌可能であり、光を透過可能な管状または容器状の本体部と、本体部に外部から光を照射する光源と、本体部の外面に設けられ、光源から照射した光を反射する反射材と、本体部の内面に設けられ、光源から照射された光および反射材により反射された光と反応することにより本体部の内部を殺菌する光触媒と、を備える。
【0008】
この発明の一の局面による光触媒殺菌装置では、上記のように、本体部の外面に設けられ、光源から照射した光を反射する反射材と、本体部の内面に設けられ、光源から照射された光および反射材により反射された光と反応することにより本体部の内部を殺菌する光触媒と、を備える。これにより、光源から照射された光が外面に設けられた反射材により反射されることにより、反射材の反射面に対する光の入射角度に応じて、光が異なる方向に反射されるため、広範囲の光触媒に光を照射させることができる。また、本体部が光を透過可能であることにより、本体部の外面に設けられた反射材によって光源から照射された光を本体部の外面側から本体部の壁部を通過させることができるため、光源から照射された光を内容物に遮られることなく本体部の内面に設けられた光触媒に照射して、殺菌することができる。これらの結果、本体部内の全体にわたって殺菌することができる。
【0009】
上記一の局面による光触媒殺菌装置において、好ましくは、反射材は、本体部の外面に層状に形成された反射材層を含み、光触媒は、本体部の内面に層状に形成された光触媒層を含む。このように構成すれば、反射材層および光触媒層を本体部に密着させて、光触媒殺菌装置を構成することができる。これにより、反射材層と本体部との間の隙間をなくすことができるため、反射材層が、本体部の外面に到達した光を効率よく反射させることができる。また、光触媒層と本体部との間の隙間をなくすことができるため、光触媒層が、本体部の内面を効果的に殺菌することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、本体部は、外面を構成する外側面と、内面を構成する内側面とを有する側面部を含み、反射材層は、本体部の外側面に設けられ、光源から照射された光を本体部の内側面に向けて反射する第1反射材層を含み、光触媒層は、本体部の内側面に設けられ、第1反射材層から反射された光と反応する第1光触媒層を含む。このように構成すれば、第1反射材層により、光源から照射された光が外部に漏れることを抑制しつつ、本体部の内側面に設けられた第1光触媒層の広範囲に光を照射することができる。また、本体部の内側面に設けられた第1光触媒層が光と反応することにより、本体部の内側面側から本体部の内部を殺菌することができる。
【0011】
上記一の局面による光触媒殺菌装置において、好ましくは、反射材層は、光源から照射された光が入射する本体部の入射部分に設けられ、光源から照射された光を側面部が延びる方向に向かって反射する第2反射材層を含む。このように構成すれば、第2反射材層により光源から照射された光を側面部が延びる方向に向かって反射することができるため、入射部分から離れた位置の光触媒層に光を到達させることができる。これにより、本体部内のより全体にわたって殺菌することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、本体部は、光源から照射された光が入射する入射部分の角部が、面取りされており、第2反射材層は、本体部の面取りされた角部に設けられている。このように構成すれば、たとえば、面取りにより角部を斜めに切り取ることにより、形成された傾斜部分の長さは、切り取られた角部を構成する辺の長さよりも大きくすることができる。これにより、光源から水平に照射された光が入射する部分が増えるため、光源から照射された光が照射される面積を増やすことができる。このため、第2反射材層を本体部の面取りされた角部に設けることにより、第2反射材層により反射される光の量を増やすことができるとともに、光触媒層に入射する光の量を増やすことができる。この結果、本体部内全体を効果的に殺菌することができる。
【0013】
上記一の局面による光触媒殺菌装置において、好ましくは、光源は、本体部の周囲に所定の間隔をあけて複数設けられている。このように構成すれば、光触媒層に照射される光源からの光の量を増やすことができるため、本体部内全体をさらに効果的に殺菌することができる。
【0014】
上記一の局面による光触媒殺菌装置において、好ましくは、本体部は、光源から照射された光が入射する入射部分に外面から外部に向かって突出するフランジ部を含み、第2反射材層は、フランジ部の上面およびフランジ部の下面に設けられており、フランジ部の上面とフランジ部の下面との間から、光源から照射された光が本体部に入射するように構成されている。このように構成すれば、たとえば、フランジ部と光源との高さ位置を合わせて、光を照射することにより、水平方向に照射された光は光触媒層に向かうように導光することが可能であるとともに、上方または下方に向かう光は、フランジ部の上面およびフランジ部の下面に設けられた第2反射材層により光触媒層に到達させることができる。この結果、光源から照射された光を効率よく光触媒層に導くことができるため、本体部内を効率よく殺菌することができる。
【0015】
この場合、好ましくは、本体部の光源から照射された光が入射する入射面が、光源に向かって凸状となるように弧状に湾曲している。このように構成すれば、入射面が弧状に湾曲していることにより、入射面がレンズのような機能を発揮し、光源から照射された光の向きを反射材層および光触媒層に向けることができる。この結果、効率よく光触媒層および反射材層に光を照射することができる。
【0016】
上記一の局面による光触媒殺菌装置において、好ましくは、反射材が設けられる本体部の外面は、光源から照射された光を乱反射するための凹凸形状を有している。このように構成すれば、本体部の外面において光が乱反射することにより、広範囲の光触媒層に光を拡散させて到達させることができるため、本体部内の全体にわたって殺菌することができる。
【0017】
上記一の局面による光触媒殺菌装置において、好ましくは、本体部は、外底面と、内底面とを含む容器状であり、反射材層は、本体部の外底面に設けられ、光源から照射された光を内底面に向かって反射する第3反射材層を含み、光触媒層は、本体部の内底面に設けられ、第3反射材層により反射された光と反応する第2光触媒層を含む。このように構成すれば、たとえば、底面側と反対側の本体部の開口部側から光を照射した場合でも、外底面に設けられた第3反射材層により内底面に設けられた第2光触媒層に光を到達させることができるため、開口部側から底面側までにわたって本体部内を殺菌することができる。
【0018】
上記一の局面による光触媒殺菌装置において、好ましくは、本体部は、容器状であり、本体部に近接して取り付けられる蓋部をさらに備え、光触媒は、本体部の内側に配置される蓋部の内面に設けられ、反射材は、蓋部の内面とは反対側の蓋部の外面に設けられている。このように構成すれば、蓋部を閉じた状態でも本体部の内側に配置される蓋部の内面に設けられた光触媒層によって本体部内を殺菌することができるため、密閉された状態で本体部内を殺菌することができる。
【0019】
上記触媒が光触媒層を含む光触媒殺菌装置において、好ましくは、本体部と、光触媒層との間に設けられ、光触媒層において生成された物質から本体部を保護する保護層をさらに備える。このように構成すれば、保護層を備えることにより、光触媒層により生成された生成物が本体部と反応することを抑制することができるため、光触媒層により生成された生成物によって本体部が酸化することを抑制することができる。
【0020】
この場合、好ましくは、本体部は、光を透過可能な樹脂により形成され、保護層は、無機材料により形成されている。このように構成すれば、本体部が光を透過可能な樹脂で形成されていることにより、光触媒層に光を到達させることができるとともに、ガラスにより形成される場合と比べて光触媒殺菌装置の割れにくさを向上させることができる。また、保護層を無機材料で形成することにより、無機材料は、有機材料よりも酸化しにくいため、本体部に加えて保護層が酸化することを抑制することができる。
【0021】
上記本体部が光を透過可能な樹脂により形成される光触媒殺菌装置において、好ましくは、本体部は、アクリル系樹脂またはポリエステル系樹脂によって構成されている。このように構成すれば、光を透過させるアクリル系樹脂およびポリエステル系樹脂を用いることによって、光触媒層に光を到達させることができるとともに、ガラスにより形成される場合と比べて光触媒殺菌装置の割れにくさをさらに向上させることができる。
【0022】
触媒が光触媒層を含む光触媒殺菌装置において、好ましくは、本体部は、反射材層側における屈折率が光触媒層側における屈折率よりも低くなるように構成されている。このように構成すれば、光源から照射された光が本体部を透過する際に、屈折率の違いから曲がるように光が進むため、直進する場合と比べて光源から遠い位置において光を反射させることができる。この結果、反射材層で反射した光は、光源からより遠い位置に到達するため、光源から遠い光触媒層に光を到達させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記のように、本体部内の全体にわたって殺菌することが可能な光触媒殺菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態による光触媒殺菌装置の構成を示す断面図である。
図2】第1実施形態による光源から照射された光が光触媒層に到達するまでの流れを示す断面図である。
図3】角部を面取りしていない本体部を示す図である。
図4】角部を切断した本体部を示す図である。
図5】角部を弧状に面取りした本体部を示す図である。
図6】入射面を湾曲させた本体部を示す図である。
図7】光源の配置の一例を示す図である。
図8】第2実施形態による光触媒殺菌装置の構成を示す断面図である。
図9】第2実施形態による光源から照射された光が光触媒層に到達するまでの流れを示す断面図である。
図10】第3実施形態による光触媒殺菌装置の構成を示す断面図である。
図11】第3実施形態による光触媒殺菌装置の本体部の部分拡大図である。
図12】第4実施形態による光触媒殺菌装置の構成を示す断面図である。
図13】第4実施形態による光触媒殺菌装置の本体部の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1図7を参照して、第1実施形態による光触媒殺菌装置100の構成について説明する。
【0027】
図1に示すように、光触媒殺菌装置100は、本体部1と、光源2と、反射材層3と、光触媒層4とを含む。光触媒殺菌装置100は、本体部1内を殺菌するための装置である。なお、反射材層3は、特許請求の範囲に記載した「反射材」の一例である。光触媒層4は、特許請求の範囲に記載した「光触媒」の一例である。
【0028】
本体部1は、内部に物体が保管される容器状である。物体は、たとえば、氷または食品である。本体部1の形状は特に限定されないが、たとえば円柱形状である。本体部1は、開口部を有している。本体部1の開口部側をZ1側とし、Z1側と反対の底面側をZ2側とする。
【0029】
本体部1は、光を透過可能な素材で構成されている。具体的には、本体部1の素材は、光触媒層4が反応可能な光を透過可能な素材で構成される。本体部1は、たとえば、ホウケイ酸ガラスを含むガラスで構成される。
【0030】
本体部1は、外面を構成する外側面1aと、外底面1bとを有する。本体部1は、内面を構成する内側面1cと内底面1dとを有する。外側面1aと内側面1cとを合わせて側面部とする。また、外底面1bと内底面1dとを合わせて底面部とする。
【0031】
本体部1は、光源2から照射された光が入射する入射部分に外面から外部に向かって突出するフランジ部1eを含む。フランジ部1eは、本体部1の外周面に沿って、設けられる。フランジ部1eは、本体部1の外側面1aが延びる方向(Z方向)の一部に形成されている。フランジ部1eは、開口部側(Z1側)に設けられていてもよく、底面側(Z2側)に設けられていてもよい。フランジ部1eの上面とフランジ部1eの下面との間から、光源2から照射された光が本体部1に入射する。
【0032】
光源2は、本体部1に外部から光を照射する。光源2は、LED(light emitting diode)から構成される。光源2から照射される光の波長は、使用する光触媒層4に合わせて選択される。第1実施形態では、光源2から紫外線を照射するように構成されており、光源2から照射される光の波長は、360nm以上400nm未満である。
【0033】
反射材層3は、本体部1の外面に設けられる。反射材層3は、光源2から照射した光を反射する。反射材層3は、本体部1の外面に層状に形成される。反射材層3は、鏡のような機能を有するものであればよく、たとえば、アルミニウムを含んでもよい。反射材層3は、たとえば、本体部1の外面に蒸着されて形成されてもよく、塗布または吹き付けのような他の方法で設けられてもよい。
【0034】
反射材層3は、第1反射材層3aと、第2反射材層3bと、第3反射材層3cとを含む。第1反射材層3aは、本体部1の外側面全体に設けられ、光源2から照射された光を内側面1cに向けて反射する。
【0035】
第2反射材層3bは、光源2から照射された光が入射する本体部1の入射部分に設けられる。第2反射材層3bは、光源2から照射された光を側面部が延びる方向に向かって反射する。第2反射材層3bは、フランジ部1eの上面およびフランジ部1eの下面に設けられる。
【0036】
第3反射材層3cは、本体部1の外底面1bに設けられる。第3反射材層3cは、光源2から照射された光を内底面1dに向かって反射する。
【0037】
光触媒層4は、本体部1の内面に設けられる。光触媒層4は、光源2から照射された光および反射材により反射された光と反応することにより本体部1の内部を殺菌する。光触媒層4が光を吸収することにより、本体部1の内側面1cにおいて空気中の水分が酸化されてヒドロキシラジカルが生成されるとともに、酸素が還元されて活性酸素が生成される。生成されたヒドロキシラジカルおよび活性酸素は、本体部1内の細菌および有害物質を含む有機物を分解し、二酸化炭素および水を生成する。光触媒層4は、酸化チタンを含む。光触媒層4は、たとえば、本体部1の外表面2aを光触媒溶液に浸けてから焼結して設けられてもよく、他の方法で設けられてもよい。
【0038】
光触媒層4は、第1光触媒層4aと、第2光触媒層4bとを含む。第1光触媒層4aは、本体部1の内側面1cに設けられる。第1光触媒層4aは、第1反射材層3aまたは第2反射材層3bから反射された光と反応する。第2光触媒層4bは、本体部1の内底面1dに設けられる。第2光触媒層4bは、第3反射材層3cにより反射された光と反応する。
【0039】
図1に示すように、蓋部5は、本体部1の開口部に取り付けられる。蓋部5は、本体部1に近接して取り付けられる。近接とは、密着する場合と、隙間がわずかに形成されている場合とを含む。隙間は、たとえば、1mm以下になるように設定される。
【0040】
蓋部5は、本体部1の内側に配置される内面(Z2側の面)に光触媒層4が設けられる。また、蓋部5は、内面と反対の外面(Z1側の面)に反射材層3が設けられる。
【0041】
図2に基づいて、光触媒殺菌装置100が本体部1を殺菌する流れを説明する。図2では、光を進む方向を破線で示している。光源2から照射された光のうち一部は、第1光触媒層4aに直接到達する。光源2から照射された光の一部は、フランジ部1eに設けられた第2反射材層3bによって反射される。第2反射材層3bにおいて反射された光は、第1光触媒層4aと、第1反射材層3aと、第3反射材層3cとのうちいずれかに到達する。なお、第2反射材層3bがフランジ部1eの上下に設けられているため、一度の反射により第1光触媒層4aと、第1反射材層3aと、第3反射材層3cとのうちいずれかに到達する場合と、上下の第2反射材層3b間で反射を繰り返したのちに、第1光触媒層4aと、第1反射材層3aと、第3反射材層3cとのうちいずれかに到達する場合とがある。
【0042】
第1反射材層3aで反射された光は、第1光触媒層4aと、第3反射材層3cとのうちいずれかに到達する。さらに、第3反射材層3cで反射された光は、第2光触媒層4bに到達する。これにより、光源2から照射された光の多くが光触媒層4に吸収される。
【0043】
光源2から照射された光の一部は、蓋部5の上面に設けられた反射材層3によって反射し、蓋部5の下面に設けられた光触媒層4に光が到達し、吸収される。また、光源2から照射された光の一部は、蓋部5の下面に設けられた光触媒層4に直接到達する。光触媒層4で吸収された光により、本体部1の内部が殺菌される。
【0044】
本体部1の反射材層3が設けられる外面は、光源2から照射された光を乱反射するための凹凸形状を有している。具体的には、本体部1をすりガラスにより構成することにより、外面が凹凸形状を有する。
【0045】
本体部1の光触媒層4が設けられる内面は、光触媒層4を保持しやすくするための凹凸形状を有している。具体的には、本体部1をすりガラスにより構成することにより、外面が凹凸形状を有する。
【0046】
図4および図5に示すように、本体部1は、光源2から照射された光が入射する入射部分の角部1fおよび外底面1bと外側面1aとが交わる角部1gとが、面取りされていてもよい。面取りは、図4に示すように角部1fおよび角部1gが切り落としてもよく、図5に示すように弧状に形成してもよい。図3に示すように、面取りをしない場合と比べて、図4および図5に示すように面取りをすることにより、光が反射する面積を増やすことができる。また面取りは、角を切り落とす場合よりも、角を弧状にするほうが光を乱反射できるため好ましい。本体部1の面取りされた入射部分の角部1fには、第2反射材層3bが設けられる。角部1fには、第2光触媒層4bが設けられる。
【0047】
図6に示すように、本体部1の光源2から照射された光が入射する入射面1hが、光源2に向かって凸状となるように弧状に湾曲している。図3に示すように、弧状に湾曲していない場合と比べて、弧状に湾曲している場合は、光を集光することができるため好ましい。
【0048】
図7に示すように、光源2は、本体部1の周囲に所定の間隔をあけて複数設けられる。4方向から光を照射可能なように、光源2が4つ配置されている。
【0049】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0050】
第1実施形態では、上記のように、本体部1の外面に設けられ、光源2から照射した光を反射する反射材層3と、本体部1の内面に設けられ、光源2から照射された光および反射材層3により反射された光と反応することにより本体部1の内部を殺菌する光触媒層4と、を備える。これにより、光源2から照射された光が外面に設けられた反射材層3により反射されることにより、反射材層3の反射面に対する光の入射角度に応じて、光が異なる方向に反射されるため、広範囲の光触媒層4に光を照射させることができる。また、本体部1が光を透過可能であることにより、本体部1の外面に設けられた反射材層3によって光源2から照射された光を本体部1の外面側から本体部1の壁部を通過させることができるため、光源2から照射された光を内容物に遮られることなく本体部1の内面に設けられた光触媒層4に照射して、殺菌することができる。これらの結果、本体部1内の全体にわたって殺菌することができる。
【0051】
また、第1実施形態では、上記のように、反射材は、本体部1の外面に層状に形成された反射材層3を含み、光触媒は、本体部1の内面に層状に形成された光触媒層4を含む。これにより、反射材層3および光触媒層4を本体部1に密着させて、光触媒殺菌装置100を構成することができる。これにより、反射材層3と本体部1との間の隙間をなくすことができるため、反射材層3が、本体部1の外面に到達した光を効率よく反射させることができる。また、光触媒層4と本体部1との間の隙間をなくすことができるため、光触媒層4が、本体部1の内面を効果的に殺菌することができる。
【0052】
また、第1実施形態では、上記のように、本体部1は、外面を構成する外側面1aと、内面を構成する内側面1cとを有する側面部を含み、反射材層3は、本体部1の外側面1aに設けられ、光源2から照射された光を本体部1の内側面1cに向けて反射する第1反射材層3aを含み、光触媒層4は、本体部1の内側面1cに設けられ、第1反射材層3aから反射された光と反応する第1光触媒層4aを含む。これにより、第1反射材層3aにより、光源2から照射された光が外部に漏れることを抑制しつつ、本体部1の内側面1cに設けられた第1光触媒層4aの広範囲に光を照射することができる。また、本体部1の内側面1cに設けられた第1光触媒層4aが光と反応することにより、本体部1の内側面1c側から本体部1の内部を殺菌することができる。
【0053】
また、第1実施形態では、上記のように、反射材層3は、光源2から照射された光が入射する本体部1の入射部分に設けられ、光源2から照射された光を側面部が延びる方向に向かって反射する第2反射材層3bを含む。これにより、第2反射材層3bにより光源2から照射された光を側面部が延びる方向に向かって反射することができるため、入射部分から離れた位置の光触媒層4に光を到達させることができる。これにより、本体部1内のより全体にわたって殺菌することができる。
【0054】
また、第1実施形態では、上記のように、本体部1は、光源2から照射された光が入射する入射部分の角部1fが、面取りされており、第2反射材層3bは、本体部1の面取りされた角部1fに設けられている。これにより、角部1fを面取りすることにより、光源2から照射された光が照射される面積を増やすことができる。このため、第2反射材層3bを本体部1の面取りされた角部1fに設けることにより、第2反射材層3bにより反射される光の量を増やすことができるとともに、光触媒層4に入射する光の量を増やすことができる。この結果、本体部1内全体を効果的に殺菌することができる。
【0055】
また、第1実施形態では、上記のように、光源2は、本体部1の周囲に所定の間隔をあけて複数設けられている。これにより、たとえば、面取りにより角部を斜めに切り取ることにより、形成された傾斜部分の長さは、切り取られた角部を構成する辺の長さよりも大きくすることができる。これにより、光源2から水平に照射された光が入射する部分が増えるため、光触媒層4に照射される光源2からの光の量を増やすことができるため、本体部1内全体をさらに効果的に殺菌することができる。
【0056】
また、第1実施形態では、上記のように、本体部1は、光源2から照射された光が入射する入射部分に外面から外部に向かって突出するフランジ部1eを含み、第2反射材層3bは、フランジ部1eの上面およびフランジ部1eの下面に設けられており、フランジ部1eの上面とフランジ部1eの下面との間から、光源2から照射された光が本体部1に入射するように構成されている。これにより、たとえば、フランジ部1eと光源2との高さ位置を合わせて、光を照射することにより、水平方向に照射された光は光触媒層4に向かうように導光することが可能であるとともに、上方または下方に向かう光は、フランジ部1eの上面およびフランジ部1eの下面に設けられた第2反射材層3bにより光触媒層4に到達させることができる。この結果、光源2から照射された光を効率よく光触媒層4に導くことができるため、本体部1内を効率よく殺菌することができる。
【0057】
また、第1実施形態では、上記のように、本体部1の光源2から照射された光が入射する入射面1hが、光源2に向かって凸状となるように弧状に湾曲している。これにより、入射面1hが弧状に湾曲していることにより、入射面1hがレンズのような機能を発揮し、光源2から照射された光の向きを反射材層3および光触媒層4に向けることができる。この結果、入射角のばらつきを小さくすることができるため、効率よく光触媒層4および反射材層3に光を照射することができる。
【0058】
また、第1実施形態では、上記のように、反射材層3が設けられる本体部1の外面は、光源2から照射された光を乱反射するための凹凸形状を有している。これにより、本体部1の外面において光が乱反射することにより、広範囲の光触媒層4に光を拡散させて到達させることができるため、本体部1内の全体にわたって殺菌することができる。
【0059】
また、第1実施形態では、上記のように、本体部1は、外底面1bと、内底面1dとを含む容器状であり、反射材層3は、本体部1の外底面1bに設けられ、光源2から照射された光を内底面1dに向かって反射する第3反射材層3cを含み、光触媒層4は、本体部1の内底面1dに設けられ、第3反射材層3cにより反射された光と反応する第2光触媒層4bを含む。これにより、たとえば、底面側と反対側の本体部1の開口部側から光を照射した場合でも、外底面1bに設けられた第3反射材層3cにより内底面1dに設けられた第2光触媒層4bに光を到達させることができるため、開口部側から底面側までにわたって本体部1内を殺菌することができる。
【0060】
また、第1実施形態では、上記のように、本体部1は、容器状であり、本体部1に近接して取り付けられる蓋部5をさらに備え、光触媒層4は、本体部1の内側に配置される蓋部5の内面に設けられ、反射材層3は、蓋部5の内面とは反対側の蓋部5の外面に設けられている。これにより、蓋部5を閉じた状態でも本体部1の内側に配置される蓋部5の内面に設けられた光触媒層4によって本体部1内を殺菌することができるため、密閉された状態で本体部1内を殺菌することができる。
【0061】
[第2実施形態]
次に、図8および図9を参照して、本発明の第2実施形態による光触媒殺菌装置200の構成について説明する。第2実施形態では、本体部11は、管状の部材である。
【0062】
本体部11は、内部を物体が通過可能である。本体部11は、たとえば、配管などに用いられる。
【0063】
本体部11は、外側面11aと内側面11bとを有する。本体部11の外側面11aには、第1反射材層3aが設けられる。本体部11の内側面11bには、第1光触媒層4aが設けられる。
【0064】
本体部11は、外側面1aにフランジ部11cが設けられている。フランジ部11cの光が入射する入射面11eは、光源2に向かって凸状となるように弧状に湾曲している。また、フランジ部11cに対応する本体部11の内側面11bには、フランジ部11cに向かって凸状となるように弧状に湾曲している湾曲部11dが設けられる。
【0065】
フランジ部11cの上面およびフランジ部11cの下面には、第2反射材層3bが設けられている。また、本体部11の内側面11bの湾曲部11dには、第3反射材層3cが設けられている。言い換えると、第1実施形態では外底面に設けられていたが、外底面を有さない第2実施形態では湾曲部11dに設けられる。
【0066】
図9に示すように、光触媒殺菌装置100が本体部1を殺菌する流れを説明する。光源2から照射された光のうち一部は、第1光触媒層4aに直接到達する。光源2から照射された光の一部は、フランジ部11cに設けられた第2反射材層3bによって反射される。第2反射材層3bにおいて反射された光は、第1光触媒層4aと、第1反射材層3aとのうちいずれかに到達する。なお、第2反射材層3bがフランジ部11cの上下に設けられているため、一度の反射により第1光触媒層4aと、第3反射材層3cとのうちいずれかに到達する場合と、上下の第2反射材層3b間で反射を繰り返したのちに、第1光触媒層4aと、第3反射材層3cとのうちいずれかに到達する場合とがある。
【0067】
第3反射材層3cで反射された光は、第1光触媒層4aと、第1反射材層3aとのうちいずれかに到達する。さらに、第1反射材層3aで反射された光は、第1光触媒層4aに到達する。これにより、光源2からの光が光触媒層4に吸収される。光触媒層4で吸収された光により、本体部1の内部が殺菌される。
【0068】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0069】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、上記のように、本体部1の外面に設けられ、光源2から照射した光を反射する反射材層3と、本体部1の内面に設けられ、光源2から照射された光および反射材層3により反射された光と反応することにより本体部1の内部を殺菌する光触媒層4と、を備える。これにより、光源2から照射された光が外面に設けられた反射材層3により反射されることにより、反射材層3の反射面に対する光の入射角度に応じて、光が異なる方向に反射されるため、広範囲の光触媒層4に光を照射させることができる。また、本体部1が光を透過可能であることにより、本体部1の外面に設けられた反射材層3によって光源2から照射された光を本体部1の外面側から本体部1の壁部を通過させることができるため、光源2から照射された光を内容物に遮られることなく本体部1の内面に設けられた光触媒層4に照射して、殺菌することができる。これらの結果、本体部1内の全体にわたって殺菌することができる。
【0070】
また、第2実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0071】
[第3実施形態]
次に、図10および図11を参照して、本発明の第3実施形態による光触媒殺菌装置300の構成について説明する。第3実施形態では、光触媒殺菌装置300は、保護層6を備える。
【0072】
第3実施形態では、本体部301は、光を透過可能な樹脂により形成されている。樹脂は、たとえば、アクリル系樹脂およびポリエステル系樹脂などが挙げられる。アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリル酸エステルなどが挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、コポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0073】
保護層6は、本体部301と光触媒層4との間に設けられる。保護層6は、光触媒が光と反応して生成する物質(ヒドロキシラジカル、活性酸素など)から本体部1を保護するように構成されている。保護層6は、光触媒が光と反応して生成する物質と反応しないか、反応したとしても光触媒層4と本体部1との結合状態を維持することができる物質により形成されている。たとえば、保護層6は、無機材料により形成されている。無機材料は、金属単体でもよく、金属化合物であってもよい。無機材料は、たとえば、リン酸ジルコニウムを含むリン酸塩、ケイ酸ナトリウムを含むケイ酸塩などが挙げられる。
【0074】
図11に示すように、保護層6は、本体部301の表面に形成される。具体的には、本体部301の内側面1cおよび内底面1dの表面に設けられる。保護層6は、本体部301の内側面1cおよび内底面1dの表面に成膜されて形成される。また、保護層6の本体部301と接する面と反対側の面に光触媒層4が成膜される。保護層6と、本体部301との接合方法は特に限定しないが、たとえば、化学的な結合を利用してもよい。たとえば、また、保護層6と、光触媒層4との接合方法は特に限定しないが、たとえば、化学的な結合を利用してもよい。
【0075】
第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0076】
(第3実施形態の効果)
第3実施形態では、上記のように、本体部301と、光触媒層4との間に設けられ、光触媒層4において生成された物質から本体部301を保護する保護層6をさらに備える。これにより、保護層6を備えることにより、光触媒層4により生成された生成物が本体部301と反応することを抑制することができるため、光触媒層4により生成された生成物によって本体部301が酸化することを抑制することができる。
【0077】
第3実施形態では、上記のように、本体部301は、光を透過可能な樹脂により形成され、保護層6は、無機材料により形成されている。これにより、本体部301が光を透過可能な樹脂で形成されていることにより、光触媒層4に光を到達させることができるとともに、ガラスにより形成される場合と比べて光触媒殺菌装置300の割れにくさを向上させることができる。また、保護層6を無機材料で形成することにより、無機材料は、有機材料よりも酸化しにくいため、本体部301に加えて保護層6が酸化することを抑制することができる。
【0078】
第3実施形態では、上記のように、本体部301は、アクリル系樹脂またはポリエステル系樹脂によって構成されている。これにより、光を透過させるアクリル系樹脂およびポリエステル系樹脂を用いることによって、光触媒層4に光を到達させることができるとともに、ガラスにより形成される場合と比べて光触媒殺菌装置300の割れにくさをさらに向上させることができる。
【0079】
また、第3実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0080】
[第4実施形態]
次に、図12および図13を参照して、本発明の第4実施形態による光触媒殺菌装置400の構成について説明する。第4実施形態では、本体部401は、屈折率の異なる部分を有している。
【0081】
本体部401は、反射材層3側における屈折率と、光触媒層4側における屈折率とが異なるように構成されている。具体的には、反射材層3側の屈折率は、光触媒層4側よりも低く形成されている。本体部401は、たとえば、ガラスでもよく、第3実施形態に記載した光を透過させる樹脂で形成されていてもよい。または、ガラスおよび樹脂の組み合わせでもよい。
【0082】
図13に示すように、本体部401の屈折率は、反射材層3側から光触媒層4側に向かって、屈折率が徐々に大きくなる。第4実施形態では、本体部1は、低屈折率層401aと、高屈折率層401bと、屈折率一定層401cとから構成される。図13では、ハッチングの幅を異ならせることにより屈折率の差を表しており、ハッチングの幅が大きい程屈折率が高い。また、低屈折率層401aと高屈折率層401bとは、屈折率が異なる2種類の層で表しているが、光触媒層4に向かって屈折率が徐々に高くなるように構成されていてもよい。また、高屈折率層401bと屈折率一定層401cとは、異なるハッチングで示しているが、同じ屈折率でもよい。本体部401は、屈折率の異なる材料を組み合わせてもよく、加工によって屈折率を異ならせてもよい。加工による場合は、たとえば、圧力または遠心力をかけて密度差を生じさせることにより行われる。
【0083】
図13において破線で示したように、光源2から照射された光は、屈折率の低い低屈折率層401aにおいて徐々に曲がりながら進み、反射材層3に到達する。また、反射材層3から反射された光は、屈折率の低い低屈折率層401aにおいて徐々に曲がりながら進み、低屈折率層401aと高屈折率層401bとの境界で屈折した後、高屈折率層401bおよび屈折率一定層401cを屈折した状態で直進する。そのため、反射材層3に到達するまでの距離が長くなるとともに、反射材層3から光触媒層4に到達するまでの距離が長くなる。これによって、光源2から照射された光が反射材層3の底面側に近い位置で反射するため、底面側の光触媒層4に到達するまでの回数を減らすことができ、光の減衰を抑制することができる。また、反射材層3から光触媒層4に到達するまでの距離が長くなることにより底面側の光触媒層4にまで光を到達させることができる。
【0084】
第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0085】
(第4実施形態の効果)
第4実施形態では、上記のように、本体部401は、反射材層3側における屈折率が光触媒層4側における屈折率よりも低くなるように構成されている。これにより、光源2から照射された光が本体部401を透過する際に、屈折率の違いから曲がるように光が進むため、直進する場合と比べて光源2から遠い位置において光を反射させることができる。この結果、反射材層3で反射した光は、光源2からより遠い位置に到達するため、光源2から遠い光触媒層4に光を到達させることができる。
【0086】
また、第4実施形態のその他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0087】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0088】
たとえば、上記第1~第4実施形態では、光触媒層が酸化チタンを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、光触媒層が酸化タングステンまたは酸化ニオブでもよい。また、この場合、光源から照射される光は、可視光であってもよい。
【0089】
また、上記第1~第4実施形態では、本体部が、円柱形状である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、本体部が、直方体形状であってもよい。
【0090】
また、上記第1実施形態、第2実施形態および第4実施形態では、本体部が、ガラスで構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、本体部は光を透過可能であれば、アクリルを含む樹脂であってもよい。
【0091】
また、上記第1~第4実施形態では、本体部が、フランジ部を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、フランジ部を有していなくてもよい。
【0092】
また、上記第1~第4実施形態では、本体部の光源からの光が入射する入射部分の角部および外底面と外側面とが交わる角部とが面取りされている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、いずれか一方のみを面取りしてもよく、両方とも面取りされていなくてもよい。
【0093】
また、上記第1~第4実施形態では、本体部の光源から照射された光が入射する入射面が、光源に向かって凸状となるように弧状に湾曲している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、本体部の光源から照射された光が入射する入射面が、湾曲せずに平面であってもよい。
【0094】
また、上記第1~第4実施形態では、本体部の外面および内面が凹凸形状を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、本体部の外面および内面が平面であってもよい。
【0095】
また、上記第1~第4実施形態では、本体部をすりガラスにより構成することで、本体部の外面および内面が凹凸形状を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、本体部の表面を下降して凹凸形状を有するように構成されていてもよい。
【0096】
また、上記第1~第4実施形態では、光源が、本体部の周囲に所定の間隔をあけて複数設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、光源が1つでもよい。また、光源の数は2、3、または5以上でもよい。
【0097】
また、上記第1~第4実施形態では、反射材層が、アルミニウムを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、反射材層が、アルミニウム以外の金属で形成されていてもよく、鏡を用いてもよい。
【0098】
また、上記第1~第4実施形態では、反射材層および光触媒層を底面部に設ける例を示しているが、本発明はこれに限られない。本発明は、反射材層および光触媒層が、側面部だけに設けられていてもよい。
【0099】
また、上記第1~第4実施形態では第1反射材層は、本体部1の外側面全体に設けられる例を示しているが、本発明はこれに限られない。本発明は、第1反射部材は、外側面の一部に設けてもよい。この場合、Z方向における外側面の中央から下方(Z2側)だけに第1反射材層を設けて、光源をZ方向における外側面の中央から上方(Z1側)に設けてもよい。
【0100】
また、第3実施形態では、本体部が、アクリル系樹脂またはポリエステル系樹脂により形成される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、本体部がアクリル系樹脂およびポリエステル系樹脂以外の光を透過可能な樹脂により形成されていてもよい。
【0101】
また、第3実施形態では、本体部が、樹脂で構成される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、本体部がガラスで構成されていてもよい。
【0102】
また、第3実施形態では、本体部と光触媒層との間に中間層を設ける例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、本体部と光触媒層との間に中間層を設けるとともに、または、本体部と光触媒層との間に中間層を設ける代わりに、本体部と蓋部との間に中間層を設けてもよい。
【0103】
また、第3実施形態および第4実施形態は、第1実施形態の構成を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。第3実施形態および第4実施形態は、第2実施形態の構成を備えていてもよく、また、第1実施形態および第2実施形態のいずれかの構成と、第3実施形態および第4実施形態とを組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1、11、301、401 本体部
1a、11a 外側面
1b 外底面
1c、11b 内側面
1d 内底面
1e、11c フランジ部
1f 角部
1h、11e 入射面
2 光源
3 反射材層
3a 第1反射材層
3b 第2反射材層
3c 第3反射材層
4 光触媒層
4a 第1光触媒層
4b 第2光触媒層
5 蓋部
6 保護層
100、200、300、400 光触媒殺菌装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13