(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125199
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/292 20170101AFI20240906BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G06T7/292
H04N7/18 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024030549
(22)【出願日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】202310197320.X
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】王 平
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・ホォイガン
(72)【発明者】
【氏名】汪 留安
(72)【発明者】
【氏名】孫 俊
【テーマコード(参考)】
5C054
5L096
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054FC15
5C054HA18
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA05
5L096DA01
5L096FA19
5L096FA66
5L096FA69
5L096GA51
5L096HA05
5L096HA08
(57)【要約】
【課題】本発明は、情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、第一カメラヘッドからの複数の第一軌跡及び第二カメラヘッドからの複数の第二軌跡のうちから、異なるカメラヘッドからの、同じ対象に属し、かつ時点が一致した位置点を点ペアとして抽出する点ペア抽出ユニットであって、前記第一軌跡及び前記第二軌跡は1つ又は複数の対象のうちの所定対象の、異なる時点における複数の位置点を含む、点ペア抽出ユニット;及び、前記点ペアに基づいて外接輪郭を、前記第一カメラヘッドと前記第二カメラヘッドとの交差領域として生成する交差領域確定ユニットを含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を処理する装置であって、
第一カメラヘッドからの複数の第一軌跡及び第二カメラヘッドからの複数の第二軌跡のうちから、異なるカメラヘッドからの、同じ対象に属し、かつ時点が一致した位置点を点ペアとして抽出する点ペア抽出ユニットであって、前記第一軌跡及び前記第二軌跡は1つ又は複数の対象のうちの所定対象の、異なる時点における複数の位置点を含む、点ペア抽出ユニット;及び
前記点ペアに基づいて外接輪郭を、前記第一カメラヘッドと前記第二カメラヘッドとの交差領域として生成する交差領域確定ユニットを含む、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記点ペアに対してフィルタリングを行うフィルタリングユニットをさらに含み、
前記交差領域確定ユニットはフィルタリング後の点ペアに基づいて前記外接輪郭を生成する、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、
前記フィルタリングユニットは前記点ペアのうちの以下の点ペアを除去して前記点ペアに対してフィルタリングを行い、即ち、
点ペアであって、その中の2つの位置点の距離が第一閾値よりも大きいものである、装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、
前記フィルタリングユニットは前記点ペアのうちの以下の点ペアを除去して前記点ペアに対してフィルタリングを行い、即ち、
点ペアであって、その中の2つの位置点のうちの任意の1つの位置点に対応する外接枠の高さが第二閾値よりも大きいものである、装置。
【請求項5】
請求項2に記載の装置であって、
前記フィルタリングユニットは前記点ペアのうちの以下の異常点ペアを除去して前記点ペアに対してフィルタリングを行い、即ち、
異常点ペアであって、その中の2つの位置点のうちの少なくとも1つの位置点が他のすべての位置点から離れているものである、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記フィルタリングユニットはDBSCANを使用して正常点ペアと前記異常点ペアを区別する、装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のうちの任意の1項に記載の装置であって、
前記交差領域確定ユニットはフィルタリング後の点ペアに基づいて、フィルタリング後の点ペアを含む最小多辺形を前記外接輪郭として求める、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記交差領域確定ユニットはAlphashapeを使用して前記外接輪郭を求める、装置。
【請求項9】
情報を処理する方法であって、
第一カメラヘッドからの複数の第一軌跡及び第二カメラヘッドからの複数の第二軌跡のうちから、異なるカメラヘッドからの、同じ対象に属し、かつ時点が一致した位置点を点ペアとして抽出し、前記第一軌跡及び前記第二軌跡は1つ又は複数の対象のうちの所定対象の、異なる時点における複数の位置点を含み;及び
前記点ペアに基づいて外接輪郭を、前記第一カメラヘッドと前記第二カメラヘッドとの交差領域として生成することを含む、方法。
【請求項10】
コンピュータに、請求項9に記載の方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理の技術分野に関し、特に、ビデオ認識のための情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
クロスカメラヘッド多目標追跡(Multi-Target Multi-Camera Tracking、MTMCT)は、同じシーンにおいて異なるカメラヘッドがキャプチャーしたビデオに対して行われる多目標追跡であり、ビデオ監視分野における非常に重要な研究課題である。シングルカメラヘッド目標追跡(Multi-Object Tracking、MOT)と比較して、クロスカメラヘッド多目標追跡は異なるカメラが得た追跡軌跡を融合することで、クロスカメラ追跡の出力軌跡を得ることができる。クロスカメラヘッドの軌跡の融合を行うときに、多くの難点があり、例えば、異なるカメラヘッドの角度の差が原因で、同じ物体の外観に大きな相違が生じたり、オクルージョンの問題が発生したりすることがある。
【0003】
交差領域が少なくとも2つのカメラヘッドにより同時に覆われる領域であると定義されている。実際の応用では、カメラヘッドが高密度に配置されるので、交差領域を利用してクロスカメラヘッドのマッチングパフォーマンスを向上させるのが一般的な手法である。例えば、Aカメラヘッドのビデオにおける或る人物の外接枠(バウンディングボックス)シーケンスがAカメラヘッドとBカメラヘッドとの交差領域に出現する場合に、この時点にそれは必ずBカメラヘッドのビデオにも出現する。今のところ、交差領域を利用してパフォーマンスを向上させる方法が多くあるが、そのほとんどは手動方式で交差領域を確定するのである。本発明では交差領域を自動取得する方法が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的在は、交差領域を自動取得するための情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によれば、情報処理装置が提供され、それは、
第一カメラヘッドからの複数の第一軌跡及び第二カメラヘッドからの複数の第二軌跡のうちから、異なるカメラヘッドからの、同じ対象に属し、かつ時点が一致した位置点を点ペアとして抽出する点ペア抽出ユニットであって、第一軌跡及び第二軌跡は1つ又は複数の対象のうちの所定対象の、異なる時点における複数の位置点を含む、もの;及び
点ペアに基づいて外接輪郭を第一カメラヘッドと第二カメラヘッドとの交差領域として生成する交差領域確定ユニットを含む。
【0006】
本発明のもう1つの側面によれば、情報処理方法が提供され、それは、
第一カメラヘッドからの複数の第一軌跡及び第二カメラヘッドからの複数の第二軌跡のうちから、異なるカメラヘッドからの、同じ対象に属し、かつ時点が一致した位置点を点ペアとして抽出し、第一軌跡及び第二軌跡は1つ又は複数の対象のうちの所定対象の、異なる時点における複数の位置点を含み;及び
点ペアに基づいて外接輪郭を第一カメラヘッドと第二カメラヘッドとの交差領域として生成することを含む。
【0007】
本発明のまたもう1つの側面によれば、コンピュータプログラムが提供され、このコンピュータプログラムは、コンピュータに、本発明による情報処理方法を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明による情報処理装置、情報処理方法及びコンピュータプログラムを使用することで、点ペアの抽出によって異なるカメラヘッドの交差領域を自動取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例による情報処理装置の構成図である。
【
図2】本発明のもう1つの実施例による情報処理装置の構成図である。
【
図3】本発明による情報処理装置における点ペア抽出ユニットによって抽出された点ペアの集合を示す図である。
【
図4】本発明による情報処理装置におけるフィルタリングユニットのフィルタリング処理によってフィルタリングされた後の点ペアの集合を示す図である。
【
図5】本発明による情報処理装置における交差領域確定ユニットによって確定された交差領域を示す図である。
【
図6】本発明による情報処理装置の原理を示す図である。
【
図7】本発明による情報処理方法のフローチャートである。
【
図8】本発明の実施例による情報処理装置及び方法を実現し得る汎用パソコンの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明を実施するための好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の実施例は例示に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0011】
本発明では、軌跡マッチングに基づくマルチカメラヘッド交差領域の計算方法が提供されている。本方法の重点は、従来の方法における交差領域の手動設定を置き換えるために、各2つのカメラヘッド間の交差領域を如何に自動生成するかにある。
【0012】
図1は本発明の実施例による情報処理装置の構成図である。
図1に示すように、本発明の実施例による情報処理装置100は点ペア抽出ユニット110及び交差領域確定ユニット120を含み得る。
【0013】
点ペア抽出ユニット110は、第一カメラヘッドからの複数の第一軌跡及び第二カメラヘッドからの複数の第二軌跡のうちから、異なるカメラヘッドからの、同じ対象に属し、かつ時点が一致した位置点を点ペアとして抽出し得る。そのうち、第一軌跡及び第二軌跡は1つ又は複数の対象のうちの所定対象の、異なる時点における複数の位置点を含む。また、点ペア抽出ユニット110は抽出した点ペアの集合を交差領域確定ユニット120に提供し得る。
【0014】
また、交差領域確定ユニット120は点ペア抽出ユニット110が抽出した点ペアの集合に基づいて外接輪郭を、第一カメラヘッドと第二カメラヘッドの交差領域として生成し得る。
【0015】
本発明では“点ペア”の概念が提案されている。点ペアとは次のような2つの条件を満足した位置点(ビデオ中のポイントをワールド座標系にマッピングした結果)を指し、a)それらが異なるカメラヘッドからのものであるが、同じ対象(例えば、人物)に属し;及び、b)それらが同じ時点に発生したものである。異なるカメラヘッドからの、同じ対象に属し、かつ時点が一致した位置点を抽出することで、本発明の実施例による情報処理装置100は異なるカメラヘッドの交差領域を自動取得できる。
【0016】
図2は本発明のもう1つの実施例による情報処理装置の構成図である。
図2に示すように、本発明のもう1つの実施例による情報処理装置200は点ペア抽出ユニット210、交差領域確定ユニット220及びフィルタリングユニット230を含み得る。
図2に示す点ペア抽出ユニット210及び交差領域確定ユニット220は
図1に示す点ペア抽出ユニット110及び交差領域確定ユニット120に対応するので、ここではその詳しい説明を省略する。
【0017】
点ペア抽出ユニット210は第一カメラヘッドからの複数の第一軌跡及び第二カメラヘッドからの複数の第二軌跡のうちから、異なるカメラヘッドからの、同じ対象に属し、かつ時点が一致した位置点を点ペアとして抽出し得る。また、点ペア抽出ユニット210は抽出した点ペアの集合をフィルタリングユニット230に提供し得る。
【0018】
また、フィルタリングユニット230は点ペア抽出ユニット210が提供した点ペアの集合に対してフィルタリングを行うことで、品質が良くない幾つかの点ペアを除去し得る。そして、フィルタリングユニット230はフィルタリング後の点ペアの集合を交差領域確定ユニット220に提供し得る。
【0019】
さらに、交差領域確定ユニット220はフィルタリングユニット230のフィルタリング後の点ペアの集合に基づいて外接輪郭を、第一カメラヘッドと第二カメラヘッドとの交差領域として生成し得る。
【0020】
以下、
図3乃至
図5と併せて情報処理装置200の処理、特に、フィルタリングユニット230が実行するフィルタリング処理をより詳しく説明する。フィルタリング処理は主に、次のようなノイズの干渉を抑えるために用いられ、即ち、初期マッチング時の誤った関連付け、誤ったポイント推定、ポイントをワールド座標系にマッピングした誤差などである。
【0021】
図3は情報処理装置200中の点ペア抽出ユニット210が抽出した点ペアの集合を示す図である。なお、
図3乃至
図5中の黒いブロックは異なる建物を示し、
図3乃至
図4中の星(★)及び丸い点(●)はそれぞれ、第一カメラヘッドからの第一軌跡及び第二カメラヘッドからの第二軌跡における位置点(軌跡点)を表す。各星の位置点は何れも、それと同じ時点に発生し、かつ同じ識別子(同じ対象に属する)としてクラスタリングされる1つの丸い点の位置点に対応する。
【0022】
図3中の点ペアの集合はフィルタリングされていない点ペアの集合である。点ペアを<p
mgt,p
ngt>として表すことができ、そのうち、m及びnは2つの異なるカメラヘッドを表し、gは現在の対象の識別子を表し、tは現在の時点を表す。
【0023】
フィルタリングユニット230が実行するフィルタリング処理は第一フィルタリング処理、第二フィルタリング処理及び第三フィルタリング処理を含み得る。
【0024】
第一フィルタリング処理では、フィルタリングユニット230は遠距離点ペアを除去できる。具体的には、フィルタリングユニット230は点ペアの集合内の次のような点ペアを除去することで点ペアの集合に対してフィルタリングを行い、即ち、点ペアであって、その中の2つの位置点の距離が第一閾値よりも大きいものである。
【0025】
より具体的には、各対の点ペアを1つずつチェックし、この点ペア内の2つの位置点の距離dist(pmgt,pngt)がaよりも大きい場合に、この点ペアを除去する。その理由は次のとおりであり、即ち、点ペア中の2つの位置点の距離が大き過ぎる場合に、それらは同じ対象(例えば、人物)に属しない2つの外接枠シーケンスからのものである可能性が高く、即ち、誤ったマッチングである可能性が高い。
【0026】
第二フィルタリング処理では、フィルタリングユニット230は小さな外接枠(bounding box)に対応する点ペアを除去できる。具体的には、フィルタリングユニット230は点ペアの集合における次のような点ペアを除去することで点ペアに対してフィルタリングを行うことができ、即ち、点ペアであって、その中の2つの位置点のうちの任意の1つの位置点に対応する外接枠の高さが第二閾値よりも小さいものである。
【0027】
より具体的には、各対の点ペアを1つずつチェックし、この点ペア内の2つの位置点のうちの任意の1つの点に対応する外接枠の高さが閾値cよりも小さい場合に、この点ペアを除去する。このステップの目的はカメラヘッド遠景領域の影響を除去することにあり、遠景領域では、人物の枠が小さ過ぎるから、特徴の信頼性が低くなりやすい。
【0028】
第三フィルタリング処理では、フィルタリングユニット230は異常点ペアを除去できる。具体的には、フィルタリングユニット230は点ペアの集合中の次のような異常点ペアを除去することで点ペアに対してフィルタリングを行うことができ、即ち、異常点ペアであって、その中の2つの位置点のうちの少なくとも1つの位置点が他のすべての位置点から離れている(即ち、該位置点と他のすべての位置点との間の距離が所定閾値よりも大きい)ものある。
【0029】
異常点ペアの概念は離群(群から離れる)点である。1つの点が他のすべての点から離れている場合に、この点は離群点、即ち、ノイズである。ここで、DBSCAN(Density-Based Spatial Clustering of Applications with Noise)を用いて正常点ペアと異常点ペアを区別できる。DBSCANは点ペア集合の分布密度に基づいて異常点ペアを選ぶことができる。
【0030】
図4は情報処理装置200におけるフィルタリングユニット230がフィルタリング処理を行った後のフィルタリング後の点ペアの集合を示す図である。
【0031】
図5は情報処理装置200内の交差領域確定ユニット220が確定した交差領域を示す図である。フィルタリング後の点ペアを得た後に、交差領域確定ユニット220はこれらの点を含む最小多辺形(多角形)を外接輪郭として求める。外接輪郭では凹角が許可されることが想定されるため、Alphashapeを使用して外接輪郭を求解できる。
図5は最終的に生成された交差領域の例であり、
図5の外接輪郭の内部は交差領域である。
【0032】
なお、第一フィルタリング処理、第二フィルタリング処理及び第三フィルタリング処理は必ずしも、“第一”、“第二”及び“第三”の順に実行される必要がない。この3つの処理のうちの一部のみを実行しても良く、又は、異なる順に従ってこの3つの処理を行っても良い。
【0033】
本実施例では、交差領域を利用して、異なるカメラヘッドに対応する同じ対象に対してマッチングをより良く行うために、情報処理装置200の出力を物理上のカメラヘッドの交差領域と同等にせず、後続の軌跡マッチングに対して対応する修正を行うことで、軌跡の関連付けにプラスの効果がない領域を除去する。これにより、本発明による情報処理装置200は異なるカメラヘッドの交差領域を自動取得でき、また、ノイズの干渉を除去できるため、クロスカメラヘッドマッチングの精度を向上させることもできる。
【0034】
図6は本発明による情報処理装置の原理を示す図である。
【0035】
図6に示すように、クロスカメラヘッドマッチングの全体的な認識フローは以下のとおりであり、即ち、シングルカメラヘッドの追跡結果を得た後に、先に、外接枠シーケンスの外観特徴(例えば、Reid(Re-identification)特徴)に基づいてクロスカメラヘッド初期マッチングを行い、次に、各2つのカメラヘッド間の交差領域を計算し、最後に、交差領域を用いて、クロスカメラヘッドの軌跡再マッチングを行う。監視ビデオでは、幾つかの対象(例えば、車両、歩行者)がより識別可能な外観特徴を有し、初期マッチング時に関連付けられ得る。これらの典型的な対象に基づいて交差領域を求めた後、それらを用いて識別が困難な対象のマッチングを補助できる。以上、
図1乃至
図5と併せて交差領域自動生成の操作を詳細に説明しているが、以下、
図6における他の部分を重点的に説明する。
【0036】
位置点が同じ対象に属するかを判断するために、第一カメラヘッド及び第二カメラヘッドからのビデオに対してクロスカメラヘッド初期マッチングを行うことで、複数の第一軌跡及び複数の第二軌跡のための対象識別子を得る必要があり、対象識別子は軌跡の属する対象を指示する。
【0037】
具体的には、まず、シングルカメラヘッド軌跡結果に基づいて各カメラヘッド中の異なる対象(例えば、人物)の軌跡を得ることができる。軌跡は例えば、カメラヘッドにおける所定対象の異なる時点の外接枠のシーケンスであり、例えば、Aカメラヘッドにおける外接枠シーケンスA_1及び外接枠シーケンスA_2、及びBカメラヘッドにおける外接枠シーケンスB_1及び外接枠シーケンスB_2である。各外接枠は1つの位置点に対応する。一例として、まず、外接枠の底辺の中点を抽出し、外接枠の底辺の中点を得た後に、変換マトリックスによりこの点をグローバル平面図に変換(マッピング)することで、グローバル平面図内の位置点を取得し、この位置点は該外接枠に対応する位置点である。よって、各外接枠のシーケンスは1組の位置点に対応する。
【0038】
その後に、各外接枠についてReid特徴を抽出することで、各外接枠の外観代表ベクトル、即ち、同じ対象に属するかを判断できる特徴を得ることができる。
【0039】
さらに、次のようなクロスカメラヘッド初期マッチングを実行し、即ち、各2つの外接枠シーケンスの比較により類似度マトリックスを取得し、そして、クラスタリングを行うことで、異なる外接枠シーケンスに対応する対象識別子IDを取得し、例えば、外接枠シーケンスA_1及び外接枠シーケンスB_1のIDは1、外接枠シーケンスA_2及び外接枠シーケンスB_2のIDは2である。
【0040】
初期のマッチング結果を得た後に、次のようにすべての対象識別子を1つずつチェックし、即ち、現在の対象識別子に係るすべての外接枠シーケンスについて、各2つの比較を行い、それらが異なるカメラヘッドに属し、かつ時点が一致したかを判断する。はいの場合に、各対の、一致した時点における対応する位置点の坐標を点ペアとして取得する。
【0041】
例えば、IDが1のすべての外接枠シーケンスについて、各2つの比較を行い、異なるカメラヘッドに属し、かつ時点が一致した外接枠のシーケンスにおける外接枠を選択する。具体的には、外接枠シーケンスA_1及び外接枠シーケンスB_1における外接枠の時間スタンプを比較し、同じ時点を有する外接枠を選択し、かつ各対の、一致した時点における対応する位置点の坐標を点ペアとして取得する。
【0042】
さらに、上述の方法により交差領域を自動生成する。
【0043】
最後に、点ペアに基づいて確定された交差領域を用いて、第一カメラヘッド及び第二カメラヘッドに跨る軌跡マッチング(再マッチング)を行う。
【0044】
本発明ではクロスカメラヘッド初期マッチング-交差領域自動生成-クロスカメラヘッド再マッチングの処理順序が提案されている。より識別可能な外観特徴を有する対象を利用して交差領域を求めた後に、求められた交差領域を用いて、識別が困難な対象のマッチングを補助することで、クロスカメラヘッドマッチングの精度を向上させることができる。
【0045】
以下、
図7と併せて本発明の実施例による情報処理方法を説明する。
【0046】
図7に示すように、本発明の実施例による情報処理方法はステップS110で開始する。ステップS110では、第一カメラヘッドからの複数の第一軌跡及び第二カメラヘッドからの複数の第二軌跡のうちから、異なるカメラヘッドからの、同じ対象に属し、かつ時点が一致した位置点を点ペアとして抽出する。そのうち、第一軌跡及び第二軌跡は1つ又は複数の対象のうちの所定対象の、異なる時点における複数の位置点を含む。
【0047】
オプションとして、好ましくは、ステップS120では点ペアに対してフィルタリングを行う。
【0048】
次に、ステップS130では、(フィルタリング後の)点ペアに基づいて外接輪郭を生成して、第一カメラヘッドと第二カメラヘッドとの交差領域とする。その後に、プロセスは終了する。
【0049】
本発明の実施例により、点ペアに対してのフィルタリングは、点ペアのうちの次のような点ペアを除去することを含み、即ち、点ペアであって、その中の2つの位置点の距離が第一閾値よりも大きいものである。また、点ペアに対してのフィルタリングは点ペアのうちの次のような点ペアを除去することを含んでも良く、即ち、点ペアであって、その中の2つの位置点のうちの任意の1つの位置点に対応する外接枠の高さが第二閾値よりも小さいものである。また、点ペアに対してのフィルタリングは点ペアのうちの次のような異常点ペアを除去することを含んでも良く、即ち、異常点ペアであって、その中の2つの位置点のうちの少なくとも1つの位置点が他のすべての位置点から離れているものである。例えば、DBSCANを使用して正常点ペアと異常点ペアを区別できる。
【0050】
本発明の実施例により、フィルタリング後の点ペアに基づいてフィルタリング後の点ペアを含む最小多辺形を外接輪郭として求解する。例えば、Alphashapeを用いて外接輪郭を求解できる。
【0051】
本発明の実施例により、第一カメラヘッド及び第二カメラヘッドからのビデオに対してクロスカメラヘッドマッチングを行うことで、複数の第一軌跡及び複数の第二軌跡のための対象識別子を取得し、対象識別子は軌跡の属する対象を指示する。
【0052】
本発明の実施例により、対象識別子の取得は次のようなことを含み、即ち、それぞれ、第一カメラヘッドからの、複数の第一軌跡に関する複数の第一外接枠シーケンス、及び第二カメラヘッドからの、複数の第二軌跡に関する複数の第二外接枠シーケンスを取得し;複数の第一外接枠シーケンス及び複数の第二外接枠シーケンスにおける各外接枠の特徴を抽出し;及び、抽出した特徴に基づいて、複数の第一外接枠シーケンスと複数の第二外接枠シーケンスとのマッチングを行い、複数の第一外接枠シーケンス及び複数の第二外接枠シーケンスにおける各外接枠シーケンスの対象識別子を確定することであり、また、点ペアの抽出ステップでは、対象識別子に基づいて複数の第一軌跡及び複数の第二軌跡が同じ対象に属するかを確定する。
【0053】
本発明の実施例により、情報処理方法はさらに、交差領域を使用して、第一カメラヘッドと第二カメラヘッドに跨る軌跡マッチングを行うことを含む。
【0054】
これにより、本発明の実施例による情報処理方法は異なるカメラヘッドの交差領域を自動取得できる。
【0055】
本発明の実施例による情報処理方法の上述のステップの各具体的な実施方式については既に詳細に説明されているから、ここではその詳しい説明を省略する。
【0056】
もちろん、上述の方法における各操作(処理/ステップ)は、各種のマシン可読記憶媒体に記憶されているコンピュータ実行可能なプログラムの方式で実現することもできる。
【0057】
また、本発明の目的は次のような方式で実現されても良く、即ち、上述の実行可能なプログラムを記憶した記憶媒体を直接又は間接的にシステム又は機器に提供し、かつ該システム又は機器におけるコンピュータ又は中央処理ユニット(CPU)は上述のプログラムを読み出して実行する。このときに、該システム又は機器がプログラムを実行する機能を有すれば、本発明の実施方式はプログラムに限定されず、また、該プログラムは任意の形式であっても良く、例えば、オブジェクト指向型ログラム、手続き型プログラム、OS(operating system)に提供するスクリプトプログラムなどであっても良い。
【0058】
上述の記憶媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、半導体記憶器などを含んでも良いが、これらに限定されない。
【0059】
図8は本発明の実施例による情報処理装置及び方法を実現し得る汎用パソコンの構成図である。
【0060】
図8では、中央処理装置(CPU)1301は、ROM1302に記憶されているプログラム又は記憶部1308からRAM1303にロッドされているプログラムに基づいて各種の処理を行う。RAM1303では、ニーズに応じて、CPU1301が各種の処理を行うときに必要なデータなどを記憶することもできる。CPU1301、ROM1302及びRAM1303は、バス1304を経由して互いに接続される。入力/出力インターフェース1305もバス1304に接続される。
【0061】
また、入力/出力インターフェース1305にはさらに、次のような部品が接続され、即ち、キーボードなどを含む入力部1306、液晶表示器(LCD)などのような表示器及びスピーカーなどを含む出力部1307、ハードディスクなどを含む記憶部1308、ネットワーク・インターフェース・カード、例えば、LANカード、モデムなどを含む通信部1309である。通信部1309は、例えば、インターネット、LANなどのネットワークを経由して通信処理を行う。ドライブ1310は、ニーズに応じて、入力/出力インターフェース1305に接続されても良い。取り外し可能な媒体811、例えば、半導体メモリなどは、必要に応じて、ドライブ1310にセットされることにより、その中から読み取られたコンピュータプログラムを記憶部1308にインストールすることができる。
【0062】
また、本発明は、さらに、マシン可読命令コードを含むプログラムプロダクトを提供する。このような命令コードは、マシンにより読み取られて実行されるときに、上述の本発明の実施形態における方法を実行することができる。それ対応に、このようなプログラムプロダクトをキャリー(carry)する、例えば、磁気ディスク(フロッピーディスク(登録商標)を含む)、光ディスク(CD-ROM及びDVDを含む)、光磁気ディスク(MD(登録商標)を含む)、及び半導体記憶器などの各種記憶媒体も、本発明に含まれる。
【0063】
また、以上の実施例などに関し、さらに以下のように付記として開示する。
【0064】
(付記1)
情報処理装置であって、
第一カメラヘッドからの複数の第一軌跡及び第二カメラヘッドからの複数の第二軌跡のうちから、異なるカメラヘッドからの、同じ対象に属し、かつ時点が一致した位置点を点ペアとして抽出する点ペア抽出ユニットであって、前記第一軌跡及び前記第二軌跡は1つ又は複数の対象のうちの所定対象の、異なる時点における複数の位置点を含む、もの;及び
前記点ペアに基づいて外接輪郭を、前記第一カメラヘッドと前記第二カメラヘッドとの交差領域として生成する交差領域確定ユニットを含む、装置。
【0065】
(付記2)
付記1に記載の情報処理装置であって、さらに、
前記点ペアに対してフィルタリングを行うフィルタリングユニットを含み、
前記交差領域確定ユニットはフィルタリング後の点ペアに基づいて前記外接輪郭を生成する、装置。
【0066】
(付記3)
付記2に記載の情報処理装置であって、
前記フィルタリングユニットは前記点ペアのうちの以下の点ペアを除去して前記点ペアに対してフィルタリングを行い、即ち、点ペアであって、その中の2つの位置点の距離が第一閾値よりも大きいものである、装置。
【0067】
(付記4)
付記2に記載の情報処理装置であって、
前記フィルタリングユニットは前記点ペアのうちの以下の点ペアを除去して前記点ペアに対してフィルタリングを行い、即ち、点ペアであって、その中の2つの位置点のうちの任意の1つの位置点に対応する外接枠の高さが第二閾値よりも小さいものである、装置。
【0068】
(付記5)
付記2に記載の情報処理装置であって、
前記フィルタリングユニットは前記点ペアのうちの以下の異常点ペアを除去して前記点ペアに対してフィルタリングを行い、即ち、異常点ペアであって、その中の2つの位置点のうちのの少なくとも1つの位置点が他のすべての位置点から離れているものである、装置。
【0069】
(付記6)
付記5に記載の情報処理装置であって、
前記フィルタリングユニットはDBSCANを使用して正常点ペアと前記異常点ペアを区別する、装置。
【0070】
(付記7)
付記2乃至6のうちの任意の1項に記載の情報処理装置であって、
前記交差領域確定ユニットはフィルタリング後の点ペアに基づいて、フィルタリング後の点ペアを含む最小多辺形を前記外接輪郭として求める、装置。
【0071】
(付記8)
付記7に記載の情報処理装置であって、
前記交差領域確定ユニットはAlphashapeを用いて前記外接輪郭を求める、装置。
【0072】
(付記9)
情報処理方法であって、
第一カメラヘッドからの複数の第一軌跡及び第二カメラヘッドからの複数の第二軌跡のうちから、異なるカメラヘッドからの、同じ対象に属し、かつ時点が一致した位置点を点ペアとして抽出し、前記第一軌跡及び前記第二軌跡は1つ又は複数の対象のうちの所定対象の、異なる時点における複数の位置点を含み;及び
前記点ペアに基づいて外接輪郭を、前記第一カメラヘッドと前記第二カメラヘッドとの交差領域として生成することを含む、方法。
【0073】
(付記10)
付記9に記載の方法であって、さらに、
前記点ペアに対してフィルタリングを行い;及び
フィルタリング後の点ペアに基づいて外接輪郭を生成することを含む、方法。
【0074】
(付記11)
付記10に記載の方法であって、
前記点ペアに対してのフィルタリングは前記点ペアのうちの以下の点ペアを除去することを含み、即ち、点ペアであって、その中の2つの位置点の距離が第一閾値よりも大きいものである、方法。
【0075】
(付記12)
付記10に記載の方法であって、
前記点ペアに対してのフィルタリングは前記点ペアのうちの以下の点ペアを除去することを含み、即ち、点ペアであって、その中の2つの位置点のうちの任意の1つの位置点に対応する外接枠の高さが第二閾値よりも小さいものである、方法。
【0076】
(付記13)
付記10に記載の方法であって、
前記点ペアに対してのフィルタリングは前記点ペアのうちの以下の異常点ペアを除去することを含み、即ち、異常点ペアであって、その中の2つの位置点のうちの少なくとも1つの位置点が他のすべての位置点を離れているものである、方法。
【0077】
(付記14)
付記13に記載の方法であって、
DBSCANを使用して正常点ペアと前記異常点ペアを区別する、方法。
【0078】
(付記15)
付記10乃至14のうちの任意の1項に記載の方法であって、
フィルタリング後の点ペアに基づいて、フィルタリング後の点ペアを含む最小多辺形を前記外接輪郭として求める、方法。
【0079】
(付記16)
付記15に記載の方法であって、
Alphashapeを使用して前記外接輪郭を求める、方法。
【0080】
(付記17)
付記9に記載の方法であって、
前記第一カメラヘッド及び前記第二カメラヘッドからのビデオに対してクロスカメラヘッドマッチングを行うことで、前記複数の第一軌跡及び前記複数の第二軌跡のための対象識別子を取得し、前記対象識別子は軌跡の属する対象を指示する、方法。
【0081】
(付記18)
付記17に記載の方法であって、
前記対象識別子の取得は、
それぞれ、前記第一カメラヘッドからの、前記複数の第一軌跡に関する複数の第一外接枠シーケンス、及び前記第二カメラヘッドからの、前記複数の第二軌跡に関する複数の第二外接枠シーケンスを取得し;
前記複数の第一外接枠シーケンス及び前記複数の第二外接枠シーケンスにおける各外接枠の特徴を抽出し;及び
抽出した特徴に基づいて、前記複数の第一外接枠シーケンス及び前記複数の第二外接枠シーケンスに対してマッチングを行い、前記複数の第一外接枠シーケンス及び前記複数の第二外接枠シーケンスにおける各外接枠シーケンスの対象識別子を確定することを含み、
前記点ペアの抽出では、前記対象識別子に基づいて、前記複数の第一軌跡及び前記複数の第二軌跡が同じ対象に属するかを確定する、方法。
【0082】
(付記19)
付記9乃至14及び付記16乃至18のうちの任意の1項に記載の方法であって、さらに、
前記交差領域を用いて、前記第一カメラヘッドと前記第二カメラヘッドに跨る軌跡マッチングを行うことを含む、方法。
【0083】
(付記20)
マシン可読記憶媒体であって、
マシン可読命令コードを含むプログラムが記憶されており、
前記命令コードはコンピュータにより読み取って実されるときに、前記コンピュータに、付記9-付記19に記載の情報処理方法を実行させることができる、マシン可読記憶媒体。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこの実施形態に限定されず、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対するあらゆる変更は、本発明の技術的範囲に属する。
【外国語明細書】