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特開2024-125202自動位置合わせされたCSLとエッジ終端構造とを有する電子デバイス並びにその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125202
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】自動位置合わせされたCSLとエッジ終端構造とを有する電子デバイス並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240906BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240906BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240906BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240906BHJP
   H01L 21/265 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 652T
H01L29/78 652P
H01L29/78 652J
H01L29/78 658A
H01L29/06 301V
H01L29/06 301G
H01L29/06 301D
H01L21/265 Q
H01L21/265 U
H01L21/265 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024030877
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】102023000003849
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(31)【優先権主張番号】18/583,748
(32)【優先日】2024-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】312014443
【氏名又は名称】エスティーマイクロエレクトロニクス インターナショナル エヌ.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】グアルネラ,アルフィオ
(72)【発明者】
【氏名】サッジョ,マリオ ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】カマッレリ,カテノ マルコ
(72)【発明者】
【氏名】ザネッティ,エドアルド
(57)【要約】      (修正有)
【課題】可変厚さを有する電流拡散層を有する電子デバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】電子デバイスを製造する方法は、空間対称性のある格子構造を有し、活性エリア34と、活性エリアを取り囲むエッジ領域36と、を備えるN型の半導体本体50を配置するステップと、エッジ領域において、格子構造が空間対称性を有しない意図的な損傷領域80を形成するステップと、ランダム注入によって、損傷領域にP+型のエッジ終端領域58を形成するステップと、チャネリング注入によって、損傷領域及び損傷領域に対して横方向のエッジ領域に電流拡散層(CSL)70を形成するステップと、を含む。CSLは、損傷領域において最小厚さを有し、損傷領域に対して横方向に最大厚さを有する。最小厚さは、エッジ終端領域の厚さよりも低い。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスであって、
第1の導電性と、第1のドーピング値と、前面とを有する半導体本体と、
使用時に、前記電子デバイスの導電チャネルを収容するように構成された活性エリアと、
前記活性エリアを取り囲み、前記活性エリアと構造的に連続しているエッジ領域であって、前記エッジ領域が、前記第1の導電性とは反対の第2の導電性を有するエッジ終端領域を少なくとも部分的に収容し、前記エッジ終端領域が、前記前面から始まり、前記前面に直交する方向に沿って第1の値を有する最大深さまで前記半導体本体内に延在する、エッジ領域と、
前記活性エリア内、及び部分的に前記エッジ領域内に延在しており、前記前面に面する電流拡散層と、
を備え、
前記電流拡散層が、前記第1の導電性と前記第1のドーピング値よりも大きい第2のドーピング値とを有し、
前記電流拡散層が、前記前面から始まり、第2の深さ値と第3の深さ値との間で可変である、前記エッジ領域における深さを有し、前記第2の深さ値が、前記エッジ終端領域の前記第1の深さ値よりも大きく、前記第3の深さ値が、前記エッジ終端領域の前記第1の深さ値よりも小さく、
前記電流拡散層が、前記エッジ終端領域の少なくとも一部において前記第3の深さ値を有する、電子デバイス。
【請求項2】
前記半導体本体が、空間対称性のある格子構造を有する材料のものであり、
前記電子デバイスが、前記前面において前記エッジ領域の一部に延在する損傷領域を更に備え、前記半導体本体が、アモルファス格子構造、又は空間対称性のない格子構造を有する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記エッジ終端領域が、前記損傷領域に少なくとも部分的に延在しており、前記損傷領域における前記エッジ終端領域の第1の部分が、前記損傷領域上に完全に重畳され、重畳エリアを画定しており、前記エッジ終端領域の前記第1の部分が、前記損傷領域の下に前記エッジ終端領域の前記第1の深さ値まで延在する、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記第3の深さ値が、ゼロであり、
前記電流拡散層が、前記エッジ終端領域と前記損傷領域との間の重畳ゾーンにおいて前記第3の深さ値を有し、
前記損傷領域が、前記重畳ゾーンに対して横方向に更に延在しており、
前記電流拡散層が、ゼロよりも大きく、かつ前記第2の深さ値よりも小さい第4の深さ値を有し、前記第4の深さ値が、前記損傷領域にあり、前記重畳ゾーンに対して横方向に隣接する、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記損傷領域が、非反応性イオン種又は非ドーピングイオン種を収容する、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記損傷領域が、前記前面から始まり、前記第1の深さ値及び前記第2の深さ値よりも小さい第5の値を有する最大深さ全体にわたって前記半導体本体内に延在する、請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記損傷領域の前記第5の深さ値が、0.1~0.6μmに含まれる、請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記活性エリアが、前記第2の導電性を有する少なくとも1つの本体領域と、前記本体領域内に前記第1の導電性を有する少なくとも1つのソース領域と、を含み、
前記本体領域が、前記前面から始まり、前記第2の深さ値よりも小さい第6の値を有する最大深さまで前記半導体本体内に延在する、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記エッジ終端領域が、前記本体領域と電気的に接触しており、前記本体領域のそれぞれのドーピングよりも大きいドーピングを有する、請求項8に記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記エッジ終端領域が、相互に電気的に連続する第1のガードリング及び第2のガードリングを含み、
前記第1のガードリングが、前記第2のガードリングの前記ドーピングよりも大きいドーピングを有し、第1の端部部分を通して前記本体領域に直接電気的に接続されており、前記第2のガードリングが、前記第1のガードリングの第2の端部部分において前記第1のガードリングに直接電気的に接続されている、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項11】
前記電子デバイスが、
前記半導体本体の、前記方向に沿って前記前面と対向する後面に延在するドレイン領域を更に含む、第1の伝導トランジスタ、
前記半導体本体の前記前面に延在するドレイン領域を更に含む第2の伝導トランジスタ、のうちの1つである、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項12】
電子デバイスであって、
第1の導電性と、第1のドーピング値と、前面とを有する半導体本体と、
使用時に、前記電子デバイスの導電チャネルを収容するように構成された活性エリアと、
前記活性エリアを取り囲み、前記活性エリアと構造的に連続しているエッジ領域であって、前記エッジ領域が、前記第1の導電性とは反対の第2の導電性を有するエッジ終端領域を少なくとも部分的に収容し、前記エッジ終端領域が、前記前面から始まり、前記前面に直交する方向に沿って第1の値を有する最大深さまで前記半導体本体内に延在する、エッジ領域と、
前記活性エリア内に延在する電流拡散層と、
を備え、
前記電流拡散層が、前記第1の導電性と前記第1のドーピング値よりも大きい第2のドーピング値とを有し、
前記電流拡散層が、前記エッジ領域に存在しない、電子デバイス。
【請求項13】
前記電流拡散層上の前記第2の導電性を有する本体領域と、
前記第1の導電性を有する前記本体領域上のソース領域と、
を更に備え、
前記第2の導電性を有する前記エッジ終端領域の一部分が、前記本体領域に接触しており、かつ前記ソース領域に接触している、
請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
電子デバイスを製造する方法であって、
第1の導電性と、第1のドーピング値と、前面とを有する半導体本体を配置することであって、前記半導体本体が、使用時に前記電子デバイスの導電性チャネルを収容するように構成された活性エリアと、前記活性エリアを取り囲み、前記活性エリアと構造的に連続しているエッジ領域と、を含む、半導体本体を配置することと、
前記エッジ領域に少なくとも部分的に、前記第1の導電性とは反対の第2の導電性を有するエッジ終端領域を形成することであって、前記エッジ終端領域が、前記前面から始まり、前記前面に直交する方向に沿って第1の値を有する最大深さまで前記半導体本体内に延在する、エッジ終端領域を形成することと、
前記活性エリア内、及び部分的に前記エッジ領域内に、前記前面に面する電流拡散層を形成することと、
を含み、
前記電流拡散層が、前記第1の導電性と前記第1のドーピング値よりも大きい第2のドーピング値とを有し、
前記電流拡散層を形成することが、前記前面から始まり、第2の深さ値と第3の深さ値との間で可変である、前記エッジ領域における深さを有する前記電流拡散層を形成することを含み、前記第2の深さ値が、前記第1の深さ値よりも大きく、前記第3の深さ値が、前記第1の深さ値よりも小さく、
前記電流拡散層が、前記エッジ終端領域の少なくとも一部において前記第3の深さ値を有する、方法。
【請求項15】
前記半導体本体が、空間対称性のある格子構造を有する材料のものであり、
前記前面における前記エッジ領域の選択部分において、前記空間対称性を変化させて、アモルファス格子構造、及び空間対称性のない格子構造のうちの少なくとも1つを有する損傷領域を形成することを更に含み、
前記損傷領域を形成することが、前記電流拡散層及び前記エッジ終端領域を形成する前に実行される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記損傷領域を形成することが、非反応性イオン種又は非ドーピングイオン種の注入を実行することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記損傷領域を形成することが、エッチングを実行することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記電流拡散層を形成することが、前記エッジ終端領域を形成する前に実行され、前記損傷領域及び前記損傷領域に対して横方向の両方において前記半導体本体内にチャネリングイオン注入を実行することを含み、
前記電流拡散層が、前記損傷領域に対して横方向に前記第2の深さ値を有し、前記損傷領域において前記第3の深さ値を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記エッジ終端領域を形成することが、前記損傷領域に前記第2の導電性を少なくとも部分的に有するイオン種の注入を実行することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記損傷領域を形成することが、以下のパラメータ:30keV~300keVに含まれる注入エネルギーと、1013原子/cm程度の注入投与量と、を使用して非反応性イオン種又は非ドーピングイオン種の前記注入を実行することを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子デバイス及びその製造方法に関し、特に、可変厚さを有する電流拡散層(current spreading layer、CSL)を有する電子デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
他の半導体材料(例えば、シリコンなど)と比較してSiCの拡散率が低いため、ドーパント拡散は適用可能な技術ではなく、また、エピタキシャル成長は、特に局所的に閉じ込められた体積に対して、有用な代替法ではない可能性があることから、イオン注入は、今日では、シリコンカーバイド、SiCにドーパントを導入するための確立された技術となっている。
【0003】
知られているように、SiCの結晶構造は、注入中に、得られる深さ分布に影響を及ぼす。実際、いわゆるチャネリングは、アモルファスターゲットに対して、結晶材料へのイオンの侵入深さをかなり増加させることがある。この現象は、衝突するイオンビームの方向が主結晶軸又は主結晶面にほぼ平行である場合に生じ得る。これらの方向では、イオン経路長当たりのエネルギー損失の低減はより小さく、したがって、イオンは、ターゲット内により深く移動する。
【0004】
チャネリングの確率を理論的に説明するために、「臨界チャネリング角」の概念が導入されてきた。この場合、臨界角は、原子の軸方向列とイオンがその軸に沿って依然として導かれる入射ビームとの間の最大角度と考えられる。イオン注入の間のチャネリング現象を調査及び予測するために、今日では、例えばバイナリ衝突近似(MC-BCA)を使用する、結晶ターゲットにおけるモンテカルロシミュレーションのための異なるソフトウェアが存在する。
【0005】
チャネリングは、しばしば望ましくない効果であり、一般に、SiCウェハは、注入中のチャネリング効果を最小限に抑えるためにランダムな非チャネリング方向に傾けられる。深さに関しておおよそのガウス型のドーピングプロファイルがこのようにして得られ、深さは、エネルギー、使用されるイオン、及びターゲット原子構造によって決定される。一方、注入が結晶軸に沿って実行される場合、完全に異なるプロファイルが得られ、イオンはターゲット内への深さにおいて結晶の方向に従う。SiCでは、最も深いチャネリングイオンが、対応するランダム注入に対して予想される作用範囲を何度も貫通し得ることが実証されている。
【0006】
局所的に閉じ込められた注入領域を形成するために、注入ステップの間にSiCウェハを局所的に遮蔽するように構成された、例えば酸化シリコン(SiO)のハードマスクを使用することが知られている。しかしながら、本出願人は、前述のタイプのハードマスクを使用すると、このハードマスクの存在によってSiC基板上に生成される格子応力効果に起因して、同じマスクを除去した後に、マスクが適用された層の平坦性の問題を引き起こす可能性があることを検証した。
【0007】
図1を参照すると、例えばパワーMOSFETなどの電子デバイス1の一部分が、活性エリアを取り囲むそのエッジ領域に限定して示されている。電子デバイス1は、互いに対向する前面10a及び後面10bによって定められた、N型の第1の導電性を有するSiCの半導体本体10と、N型であり、半導体本体10のドーピングよりも大きいドーピングを有する電流拡散層(CSL)12であって、前面から始まり、例えば1μmの深さにわたって半導体本体10内に延在する、電流拡散層(CSL)12と、第1の導電性(N型)とは反対の第2の導電性(P型)を有し、CSL12の深さよりも低い最大深さでCSL12内に延在する本体領域14と、本体領域14内のソース領域17と、本体領域14のドーピング値よりも大きいドーピング値を有する第2の導電性を有し、本体領域14と電気的に接触して前面10aに面して延在し、CSL12の深さよりも低い最大深さでCSL12内に延在する第1のエッジ終端領域16と、第2の導電性を有し、第1のエッジ終端領域16のドーピングよりも低いドーピング値を有する第2のエッジ終端領域18と、前面10a上の誘電体層20と、誘電体層20上にあり、電子デバイス10のエッジフィールドプレートを形成する導電層22と、導電層22と電気的に接触している第1のメタライゼーション24a並びに第1のエッジ終端領域16及びソース17と電気的に接触している第2のメタライゼーション24bであって、第1のメタライゼーション24aと第2のメタライゼーション24bとの間に所定のバイアス電圧(典型的には10~20Vの電圧範囲内)を印加する、第1のメタライゼーション24a及び第2のメタライゼーション24bと、を含む。
【0008】
第2のエッジ終端領域18は、CSL12の深さよりも深い深さにわたって半導体本体10内に延在する。
【0009】
第1のエッジ終端領域16及び第2のエッジ終端領域18は、電子デバイス1に損傷を与えるような値の電界の発生を防止又は抑制する機能を有する。特に、本出願人は、CSL12よりも深い深さまで延在するエッジ終端領域(ここでは特にエッジ終端領域18)が、CSL12を局所的に遮断し、電界を低減させて、使用される半導体材料及びフィールド酸化物の臨界破壊値未満でエッジ領域に電界線を分布させることを確認した。
【0010】
CSL12を形成することは、エピタキシャル成長又はチャネリングした深いイオン注入を提供するので、CSL12内に第2のエッジ終端領域18を形成することは、導電性を(N型からP型に)局所的に反転させながら、所望のドーピング値を得るまで、所望の深さに達するように、対応する高エネルギー及び高投与量のイオン注入を提供する必要がある。高エネルギー及び高投与量のイオン注入に関連するそのようなプロセスステップは、状況によっては望ましくない場合があることは明らかである。
【0011】
したがって、上述の欠点を克服する必要性が感じられる。
【発明の概要】
【0012】
本開示は、電子デバイス及びその製造方法を対象とする。例えば、少なくとも1つの実施形態では、電子デバイスは、第1の導電性と、第1のドーピング値と、前面とを有する半導体本体と、使用時に、電子デバイスの導電チャネルを収容するように構成された活性エリアと、活性エリアを取り囲み、活性エリアと構造的に連続しているエッジ領域であって、エッジ領域が、第1の導電性とは反対の第2の導電性を有するエッジ終端領域を少なくとも部分的に収容し、エッジ終端領域が、前面から始まり、前面に直交する方向に沿って第1の値を有する最大深さまで半導体本体内に延在する、エッジ領域と、活性エリア内、及び部分的にエッジ領域内に延在しており、前面に面する電流拡散層と、含み、電流拡散層が、第1の導電性及び第1のドーピング値よりも大きい第2のドーピング値を有し、電流拡散層が、前面から始まり、第2の深さ値と第3の深さ値との間で可変である、エッジ領域における深さを有し、第2の深さ値が、エッジ終端領域の第1の深さ値よりも大きく、第3の深さ値が、エッジ終端領域の第1の深さ値よりも小さく、電流拡散層が、エッジ終端領域の少なくとも一部において第3の深さ値を有するものとして要約され得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本開示のより良い理解のために、添付の図面が参照される。
図1】本開示の対象ではない実施形態による電子デバイスを、電子デバイスのエッジ領域に限定して示す横断面図である。
図2】本開示の一態様による、電子デバイスの活性エリア及びエッジ領域を含むダイを示す上面図である。
図3図2のスクライブ線III-IIIに沿って、図2のダイによって収容された電子デバイスをエッジ領域に限定して示す横断面図である。
図4図3の電子デバイスの製造方法のステップを示すフロー図である。
図5】更なる実施形態による、電子デバイスをエッジ領域に限定して示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の好ましい実施形態は、非限定的な例として以下に記載される。
【0015】
図2を参照すると、ダイ若しくはチップ30、又はその一部は、直交軸X、Y、Zの3軸基準系で示されている。ダイ30は、示されていない半導体ウェハをダイシングするステップ後に得られる。ダイ30は、平面XY上の平面図で示されている。
【0016】
ダイ30は、ダイ30を物理的に定める外縁32を含む。ダイ30は、例えば、MOSFET、具体的にはパワーMOSFET、更に具体的には縦型伝導MOSFETなどの図3に部分的に示される少なくとも1つの電子デバイス40を収容する。以下の説明において、「電子デバイス」及び「MOSFET」という単語は、交換可能に、かつ一般性を失うことなく使用される。
【0017】
ダイ30は、少なくとも2つの機能領域:典型的にはダイ30の中央部分に延在する活性エリア34及び活性エリア34を完全に取り囲むエッジ領域又は周辺領域36を含む。エッジ領域は、実際には、活性エリア34と外縁32との間に延在し、外縁32によって外側が定められる。活性エリア34は、MOSFET40の使用時に導電チャネル領域を含む。代わりに、エッジ領域36は、使用時に導電チャネルを有しない領域である。エッジ領域36は、図3を参照してよりよく説明及び示されるように、例えば、ガードリングとも呼ばれる1つ以上のエッジ終端領域などの活性エリアの外側の電界線の密集を低減又は防止するための機能要素を備える。
【0018】
図3は、図2のスクライブラインIII-IIIに沿ったダイ30の一部分の平面XZにおける断面図である。活性エリア34とエッジ領域36とを区別する図3の破線は、定性的であると理解されるべきである。
【0019】
MOSFET40は、特にシリコンカーバイド(SiC)、更には特に4H-SiCポリタイプの半導体本体50を含む。あるいは、半導体本体50は、3C-SiC又は6H-SiCであってもよい。
【0020】
一般に、半導体本体50は、チャネリングを利用することによってイオン注入を可能にするように構成された結晶構造又は格子を有する材料からなる。そのような結晶格子は、原子(又はイオン/分子)群の周期的分布によって説明され得る。理想的には、空間座標において無限に延在する結晶を考慮すると、周期性は、並進不変性(又は並進対称性)をもたらす。したがって、結晶全体は、原子及び/又はイオン及び/又は分子群を含有し得る、単位格子と呼ばれる基本単位の周期的反復によって生成される。並進対称性は、基本セルに属する一般的な点が、最初のものからの適切な並進によって得られる基本セルの点と1対1の対応関係にあることを意味する。
【0021】
半導体本体50は、第1の導電性(例えば、N型)及び1・1015~1・1020原子/cm程度のドーピングを有する。一実施形態では(図示せず)、半導体本体50は、その上に形成された(例えば、エピタキシャル成長された)ドリフト層を有する基板を備える。この場合、基板は、例えば、1・1018~1・1020原子/cm程度のドーピングを有し、ドリフト層は、例えば、1・1015~1・1017原子/cm程度のドーピングを有する。ドリフト層は、例えば、3~100μm(境界を含む)に含まれる厚さを有する。
【0022】
半導体本体50は、軸Zの方向に沿って互いに対向する前面50aによって上方に、及び後面50bによって下方に定められる。前面50aには、第1の導電性とは反対の第2の導電性(P型)を有する本体領域51が存在する。ソース領域52は、前面50aにおいて本体領域51内に延在する。ドレイン領域54は、後面50bに延在する。ゲート領域56は、それ自体既知の方法で、前面50a上に延在し、ゲート誘電体56a及びゲート誘電体56a上のゲート導電領域56bを含む。
【0023】
図3は、表現を簡単にするために、単一の本体領域51、単一のソース領域52、及び単一のゲート領域56を示す。しかしながら、MOSFET40が、任意の複数の当該本体51、ソース52、及びゲート領域56を備え得ることは明らかである。特に、示された本体51、ソース52、及びゲート領域56は、活性エリア34の端部に近接して延在する。
【0024】
MOSFET40はまた、半導体本体50内に、前面50aに注入され、前面50aに面する第1のエッジ終端領域58を備える。第1のエッジ終端領域58は、第2の導電性及び本体領域51よりも大きいドーピング(P+)を有する。第1のエッジ終端領域58は、本体領域51と電気的に接触してエッジ領域36内に(及び任意選択で部分的に活性エリア34の領域内にも)延在する。第1のエッジ終端領域58は、本体電圧及びソース電圧にバイアスされたときに、エッジ終端領域58(特に、以下で説明する導電層62の部分62a)の上に延在するデバイスの構造を高電界から遮蔽する機能を有する。
【0025】
フィールド誘電体層(「フィールド酸化物」)60は、第1のエッジ終端領域58の上(前面50a上)に延在し、導電層62(例えば、金属層又はN型ドープポリシリコン)は、誘電体層60上に延在する。層62は、ゲートバイアスをデバイスに分配するように構成される(ゲート導電領域56bは、層62と電気的に接続される)。
【0026】
導電層62は、第1のエッジ終端領域58の上に延在し、誘電体又は酸化物(例えば、SiO)層によって第1のエッジ終端領域58から電気的に絶縁される第1の部分62a及び誘電体層60の上に延在する第2の部分62bを含む。第1の部分62a及び第2の部分62bは、相互に構造的及び電気的に連続している。第2の部分62bは、ゲート電位をエッジ終端領域36に取るので、MOSFET40のエッジフィールドプレートを形成する。
【0027】
導電層62は、(図示されていない方法で)ゲート導電領域56bと電気的に接続されており、特に、ゲート導電領域56bを形成する同じステップの間に形成される。パッシベーション層64は、導電層62の上に延在して、導電層62を保護し絶縁する。パッシベーション層64は、メタライゼーション63が導電層62と電気的に接触している場所で中断されている。
【0028】
任意選択で、MOSFET40は、(P型の)第2の導電性を有し、第1のエッジ終端領域58のドーピングよりも低いドーピングを有する第2のエッジ終端領域68を備える。第2のエッジ終端領域68は、本体領域51に接触する第1のエッジ終端領域58の端部部分(又は端部領域)と対向する第1のエッジ終端領域58の端部部分(又は端部領域)に延在する。したがって、第2のエッジ終端領域68は、エッジ領域36内で第1のエッジ終端領域58の延長として延在する。第2のエッジ終端領域68は、第1のエッジ終端領域58の曲率半径上で電界線が太くなることを回避し、したがってエッジ降伏電圧の値を最大にするように、電位の電界線を分散又は細くする機能を有する。
【0029】
第1のエッジ終端領域58のドーピング密度は、1・1018~1・1020原子/cm程度である。第2のエッジ終端領域68のドーピング密度は、1・1016~1・1018原子/cm程度である。
【0030】
前面50aから始まる方向Zに沿った第1のエッジ終端領域58の厚さは、例えば、0.3~1μm(境界を含む)に含まれる。前面50aから始まる方向Zに沿った第2のエッジ終端領域68の厚さは、例えば、0.5~2μm(境界を含む)に含まれる。
【0031】
MOSFET40は、前面50aに面して半導体本体50内に延在する電流拡散層(CSL)70を更に備える。CSL70は、前面50aから始まり、軸Zに沿って0.3~2μmに含まれる最大厚さTCSL_MAXを有する。一般に、CSL70は、本体51の深さと等しい深さを有するか、又は本体51の下に最大1μmの値だけ延在する。一実施形態では、CSL70が到達する最大深さは、本体領域51が到達する最大深さよりも大きい。したがって、この場合、本体領域51は、CSL70に完全に含有される。
【0032】
CSL70は、MOSFET40のオン抵抗Ronの値を改善させる機能を有する濃縮層を形成する。CSL70のドーピングは、半導体本体50のドーピングよりも大きい。CSL70は、例えば、1017原子/cm程度のドーピング、又はそれを収容する半導体本体50の部分のドーピングの2~20倍に含まれるドーピングを有する。
【0033】
本開示の一態様によれば、CSL70は、前面50aから始まる軸Zに沿って、均一でない厚さを有する。特に、CSL70は、活性エリア34(ここでRonを低減する機能を実行する)で最大厚さTCSL_MAX及び第1のエッジ終端領域58の一部分(特に、少なくとも本体領域51と接触する部分と対向する第1のエッジ終端領域58の端部部分(又は端部領域))で異なる厚さTCSL_MINを有する。MOSFET40が第2のエッジ終端領域68を有する実施形態では、CSL70は、第2のエッジ終端領域68においても(特に、少なくとも第2のエッジ終端領域68の延在部全体にわたって)厚さTCSL_MINを有する。TCSL_MINの値は、TCSL_MAXの値よりも低く、特に0~0.3μmに含まれる。値TCSL_MINは、ゼロに等しく、エッジ終端領域58(及び存在する場合には領域68)のPドーパント投与量は、導電型の局所的な反転(NからPへ)に起因して、CSL70のそれぞれのNドーパント投与量よりも大きい。
【0034】
CSL70の厚さTCSL_MAXは、第1のエッジ終端領域58の最大厚さよりも大きく、存在する場合には第2のエッジ終端領域68の最大厚さよりも大きい。
【0035】
本開示の一態様によれば、CSL70は、チャネリングイオン注入によって形成される。
【0036】
チャネリング注入は、注入中のイオンビームがチャネリング方向に位置合わせされると生じる。例えば、SiCでは、方向000-1又は方向11-23である。典型的には、基板は、000-1方向に成長したインゴットから切断され、150mm又は200mmの直径を有する基板の場合、表面は4°勾配している(ウェハをダイシングする場合)。これは、000-1ウェハ上にチャネリングで注入するために、注入中にイオンビームを4°の傾斜で、11-23ウェハについては13°又は21°の傾斜で傾斜させる必要があることを伴う。
【0037】
本出願人は、チャネリング効果が、半導体本体50の前面50aの上に配置されたマスキング表面層、例えば、1つ以上の天然の又は意図的に加えられた酸化物層などの存在によって変化することを確認した。当該マスキング表面層を使用する場合、CSL70の厚さTCSL_MINは、0に等しくてもよく、又はマスキング表面層における半導体本体50の領域では、CSL70が存在しなくてもよい。CSL70の厚さ値TCSL_MINは、当該マスキング表面層の厚さの関数であり、マスキング表面層の厚さが十分に大きい場合、CSL70は、当該マスキング表面層の下に延在しない。
【0038】
本出願人はまた、チャネリング効果が、半導体本体50の表面の前面50aにおける領域、すなわち、CSL70を形成するためのチャネリング注入が生じる領域への意図的な損傷によって変化することを検証した。この損傷は、例えば、非反応性又は非ドーピング種のイオン注入によって、すなわち、半導体本体50の導電特性を局所的に変化させることなく、その結晶格子に損傷を与えることによって得ることができる。この目的に適した化学種には、例えばSi、Ar、Ge、Heのイオンが含まれる。
【0039】
したがって、本開示の一態様によれば、CSL70を形成する間にチャネリングを変化又は抑制するために、前面50aに損傷領域80が形成される。
【0040】
損傷領域80は、半導体本体50において前面50aから始まり、例えば0.1~0.6μm(境界を含む)に含まれる最大深さまで延在する。一実施形態では、損傷領域80の厚さは、均一であり、更なる実施形態では、損傷領域80の厚さは、均一ではなく、最大値0.6μm~最小値0.1μmで変動する。
【0041】
損傷領域80は、特に、厚さTCSL_MINを有するCSL70を形成することが望まれる半導体本体50の部分において、MOSFET40のエッジ領域36内に延在する。
【0042】
損傷領域80を形成することは、1013原子/cmよりも大きい注入投与量及び原子を必要な深さ全体にわたって結晶構造からシフトさせるのに十分なエネルギー(例えば、境界を含む範囲30~300keVのエネルギー)を使用することを含む。損傷を導入する注入は、チャネリング条件では実行されず、プロセス中のウェハのアニーリングは、生じた損傷を除去しないように回避される。
【0043】
更なる実施形態によれば、損傷領域80は、半導体本体50の前面50aをエッチングする1つ以上のステップ、例えば物理的エッチング特性(イオン衝撃)を有するRIE(Reactive Ion Etching、反応性イオンエッチング)プロセスによって形成される。
【0044】
所望の表面部分(すなわち、厚さTCSL_MINを有するCSL70を有することが所望される)のみをエッチングすることによって損傷を与えるために、所望の表面部分のみを露出させるエッチングマスクが使用される。
【0045】
上述の2つの可能な損傷ステップの結果として、半導体本体50は、損傷領域80において、損傷領域80に対して横方向に延在する半導体本体50と同じ格子構造を有しない。特に、半導体本体50は、損傷を受けると、アモルファス構造若しくは無秩序結晶構造又は半導体本体50の意図せずに損傷を受けた部分の空間対称性のない格子構造を有する。しかしながら、本出願人は、CSL70を形成するためにマスクされていない注入を実施することによって、損傷領域80において、厚さTCSL_MINの薄い注入層が形成されることを確認した。上述したように、厚さTCSL_MINを有するCSL70の領域は、第1のエッジ終端領域58及び第2のエッジ終端領域68の厚さよりも低い厚さを有するので、厚さTCSL_MINを有するCSL70の存在は、MOSFET40の動作に影響を及ぼさない。
【0046】
値TCSL_MINは、0に等しく、エッジ終端領域58(及び存在する場合には領域68)のPドーパント投与量は、導電型の局所的な反転(NからPへ)に起因して、CSL70のそれぞれのNドーパント投与量よりも大きい。CSL70の厚さ値は、第1のエッジ終端領域58及び第2のエッジ終端領域68(存在する場合)に対して横方向の損傷領域80において、0よりも大きいが、TCSL_MAXよりも小さい。
【0047】
図3は、損傷領域80に対して横方向に延在し、前面50aに面する任意選択のチャネルストップ領域90を更に示す。チャネルストップ領域90は、特に、損傷領域80とダイ30のエッジ32との間に延在する。チャネルストップ領域90は、第1の導電性(例えばリンをドーピングすることによって得られたN型)を有するドーピング種の注入によって形成され、ドーパント投与量は、1・1019~5・1020原子/cmに含まれる。チャネルストップ領域90は、ダイエッジ上のドレインと等電位リングを形成する機能を有する。
【0048】
また、損傷領域80とダイ30のエッジ32との間に、深さ値TCSL_MAXを有するCSL70の部分も任意選択で存在し、チャネルストップ領域90は、CSL70のこの部分内に延在し、半導体本体50においてTCSL_MAXよりも小さいそれぞれの深さ値を有することに留意されたい。
【0049】
図4は、本開示を理解するのに有用な要素に限定して、MOSFET40の製造プロセスのステップをフロー図によって示す。
【0050】
図4を参照すると、ステップS1において、半導体本体50が設けられ、ステップS2において、上述した技術のいずれかに従って損傷領域80が形成される。次いで、ステップS3において、チャネリングイオン注入によってCSL70が形成される。前に説明したように、CSL70は、注入マスクが存在しない場合であっても、損傷領域80の存在及び不在の結果として、損傷領域80において、及び損傷領域80に対して横方向にそれぞれ異なる厚さTCSL_MIN及びTCSL_MAXを有する。最後に、ステップS4において、エッジ終端領域58、68は、従来のイオン注入又はランダムイオン注入(非チャネリング)によって形成される。
【0051】
ステップS2は、前述のようにマスキング表面層を形成することによって置き換えられてもよい。しかしながら、注入によって損傷領域80を形成することは、マスキング表面層を形成することに関して、マスキング表面層を選択的に除去する更なるステップを必要としないという利点を有する。
【0052】
上述したステップS1~S4に続いて、MOSFET40の構造は、エッジ領域36に関して、フィールド誘電体層60、導電層62、メタライゼーション63、及びパッシベーション層64の形成によって完成される。
【0053】
本開示の利点は、前述したことから明らかである。特に、本開示によれば、図4のステップS3においてハードマスクを使用する必要はない。更に、エッジ終端領域58、68を形成することは、所望の深さ及び導電性に達するために高エネルギー及び高投与量のイオン注入を使用することを必要としない。
【0054】
最後に、添付の特許請求の範囲において定義される本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書において記載及び図示されるものに対して修正及び変形が行われ得ることが明らかである。
【0055】
例えば、本開示は、垂直チャネルMOSFET以外の電子デバイス、例えば、水平チャネルMOSFET、トレンチFET、ダイオード、サイリスタ、MESFET、MISFET、IGBTなどに適用される。
【0056】
更に、半導体本体50は、例えばGaNなどのSiC以外の材料であり得る。
【0057】
更に、半導体本体50は、半導体材料(SiC、GaNなど)の基板及び任意選択で基板上に成長させた1つ以上のエピタキシャル表面層を備え得る。
【0058】
更に、一実施形態では、図3及び図5に示される本体領域51、すなわち、第1のエッジ終端領域58と直接電気的に接続している本体領域は、ソース領域52を収容していない。実際、この実施形態では、示された本体領域51は、すなわち、電気伝導に関与しないように設計されたデバイス40のエリアの近くで、エッジ領域36まで延在し、ソース領域が存在しないことにより、エッジ領域36に向かう電荷キャリア(伝導電流)の流れが防止される。
【0059】
要約すると、したがって、本開示は、電子デバイス40であって、
第1の導電性(例えば、N)及び第1のドーピング値を有し、方向Zに沿って互いに対向する前面50a及び後面50bが設けられた半導体本体50と、
使用時に、電子デバイスの導電チャネルを収容するように構成された活性エリア34と、
活性エリア34を取り囲み、活性エリア34と構造的に連続しており、第1の導電性(N)とは反対の第2の導電性(例えば、P)を有し、前面50aから始まり、方向Zに沿って、第1の値を有する最大深さまで半導体本体50内に延在するエッジ終端領域(前述の領域58のみ、又は領域58及び68の両方)を少なくとも部分的に収容するエッジ領域36(第1の深さ値は、エッジ終端領域58の値であるか、又はエッジ終端領域58及びエッジ終端領域68が存在する場合にはエッジ終端領域58及びエッジ終端領域68の深さ値の大きい方である)と、を備える、電子デバイス40に関する。
【0060】
エッジ領域36はまた、活性エリア34内、及び部分的にエッジ領域36内に延在し、前面50aに面する電流拡散層(CSL)70を収容し、CSL70は、導電性N及び第1のドーピング値よりも大きい第2のドーピング値を有する。CSL70は、エッジ終端領域の少なくとも一部(すなわち、領域58の一部、及び存在する場合には領域68の一部)に少なくとも存在しない。言い換えれば、CSL70は、エッジ終端領域の少なくとも一部(すなわち、領域58の一部、及び存在する場合には領域68の一部)において、最小深さ値TCSL_MINを有し、値TCSL_MINは、0に等しく、エッジ終端領域のPドーパント投与量は、CSL70のそれぞれのNドーパント投与量よりも大きい。CSL70はまた、半導体本体50において、前面50aから始まり、最大値TCSL_MAXと最小値TCSL_MINとの間で可変である深さを有し、最大深さ値TCSL_MAXは、第1の深さ値よりも大きく、最小深さ値TCSL_MINは、第1の深さ値よりも小さい。
【0061】
更なる実施形態では、電子デバイス40(ここでは、MOSFET)は、エッジ領域36内に、エッジ領域36の延在範囲全体にわたって延在する損傷領域80を有する。したがって、エッジ領域36では、CSL70が深さ値TCSL_MAXに達することはない。第1のエッジ終端領域58及び、存在する場合には、第2のエッジ終端領域68は、損傷領域80の一部分にわたって、又は損傷領域80の延在部全体にわたって交互に延在する。
【0062】
図5を参照すると、損傷領域80及びエッジ終端領域58(及び任意選択で領域68)の両方がエッジ領域36の延在部全体にわたって延在する場合、CSL70は、エッジ領域36に存在しない。図3の要素に対応する図5の要素は、同じ参照番号で示され、更に説明されない。
【0063】
電子デバイス(40)は、第1の導電性(N)及び第1のドーピング値を有し、前面(50a)が設けられた半導体本体(50)と、使用時に、電子デバイスの導電チャネルを収容するように構成された活性エリア(34)と、活性エリア(34)を取り囲み、活性エリア(34)と構造的に連続しており、第1の導電性(N)とは反対の第2の導電性(P)を有し、前面(50a)から始まり、前面(50a)に直交する方向(Z)に沿って第1の値を有する最大深さまで半導体本体(50)内に延在するエッジ終端領域(58;58、68)を少なくとも部分的に収容するエッジ領域(36)と、当該活性エリア(34)内、及び部分的に当該エッジ領域(36)内に延在し、前面(50a)に面する電流拡散層(CSL)(70)であって、CSL(70)が、第1の導電性(N)及び第1のドーピング値よりも大きい第2のドーピング値を有し、CSL(70)が、エッジ領域(36)において、前面(50a)から始まり、第2の深さ値(TCSL_MAX)と第3の深さ値(TCSL_MIN)との間で可変である深さを有し、当該第2の深さ値(TCSL_MAX)が、エッジ終端領域の第1の深さ値よりも大きく、当該第3の深さ値(TCSL_MIN)が、エッジ終端領域の第1の深さ値よりも小さく、CSL(70)が、エッジ終端領域(58;58、68)の少なくとも一部において第3の深さ値(TCSL_MIN)を有することを特徴とする、電流拡散層、CSL(70)と、を含むものとして要約され得る。
【0064】
半導体本体(50)は、空間対称性のある格子構造を有する材料であってもよく、電子デバイス(40)は、前面(50a)においてエッジ領域(36)の一部に延在する損傷領域(80)を更に含んでもよく、半導体本体(50)は、アモルファス格子構造又は空間対称性のない格子構造を有してもよい。
【0065】
エッジ終端領域(58;58、68)は、当該損傷領域(80)に少なくとも部分的に延在し、当該損傷領域(80)であり得る場合には当該損傷領域(80)上に完全に重畳されてもよく、したがって重畳エリアを形成し、また、エッジ終端領域(58;58、68)の当該第1の深さ値まで、損傷領域(80)の下に延在してもよい。
【0066】
第3の深さ値(TCSL_MIN)は、ゼロであってもよく、CSL70は、エッジ終端領域58;58、68)と損傷領域(80)との間の重畳ゾーンにおいて第3の深さ値(TCSL_MIN)を有してもよく、損傷領域(80)は、重畳ゾーンに対して横方向に更に延在してもよく、CSL70は、重畳ゾーンに横方向に隣接する損傷領域80において、0よりも大きく第2の深さ値(TCSL_MAX)よりも小さい第4の深さ値を有する。
【0067】
当該損傷領域(80)は、例えば、Si、Ar、Ge、Heなどの非反応性又は非ドーピングイオン種を収容し得る。
【0068】
当該損傷領域(80)は、前面(50a)から始まり、第1の深さ値及び第2の深さ値よりも小さくてもよい第5の値を有する最大深さ(TCSL_MAX)全体にわたって半導体本体(50)内に延在し得る。
【0069】
損傷領域(80)の第5の深さ値は、0.1~0.6μmであってもよい。
【0070】
活性エリア(34)は、第2の導電性(P)を有する少なくとも1つの本体領域(51)及び本体領域内の第1の導電性(N)を有する少なくとも1つのソース領域(52)を含み得、本体領域は、前面(50a)から始まり、第2の深さ値(TCSL_MAX)よりも小さい第6の値を有する最大深さまで半導体本体(50)内に延在し得る。
【0071】
エッジ終端領域(58;58、68)は、本体領域と電気的に接触していてもよく、本体領域のそれぞれのドーピングよりも大きいドーピングを有してもよい。
【0072】
エッジ終端領域(58;58、68)は、相互に電気的に連続する第1のガードリング(58)及び第2のガードリング(68)を含んでもよく、第1のガードリングは、第2のガードリングのドーピングよりも大きいドーピングを有し、第1の端部部分を通して本体領域に直接電気的に接続されており、第2のガードリングは、第1のガードリングの第2の端部部分において第1のガードリングに直接電気的に接続されている。
【0073】
半導体本体(50)は、シリコンカーバイド、特に3C-SiC、4H-SiC、6H-SiCであってもよい。
【0074】
当該デバイスは、以下のうちの1つであり得る:縦型伝導トランジスタは、半導体本体(50)の、当該方向(Z)に沿って前面(50a)と対向する後面(50b)に延在するドレイン領域(54)を更に含み得、水平型伝導トランジスタは、半導体本体(50)の前面(50a)に延在するドレイン領域を更に含み得る。
【0075】
電子デバイス(40)は、第1の導電性(N)及び第1のドーピング値を有し、前面(50a)が設けられた半導体本体(50)と、使用時に、電子デバイスの導電チャネルを収容するように構成された活性エリア(34)と、活性エリア(34)を取り囲み、活性エリア(34)と構造的に連続しており、第1の導電性(N)とは反対の第2の導電性(P)を有し、前面(50a)から始まり、前面(50a)に直交する方向(Z)に沿って第1の値を有する最大深さまで半導体本体(50)内に延在するエッジ終端領域(58;58、68)を少なくとも部分的に収容するエッジ領域(36)と、当該活性エリア(34)内に延在し、第1の導電性(N)及び第1のドーピング値よりも大きい第2のドーピング値を有する電流拡散層(CSL)(70)であって、CSL(70)が、エッジ領域(36)に存在しないことを特徴とする、電流拡散層、(CSL)(70)と、を含むものとして要約され得る。
【0076】
電子デバイス(40)を製造する方法は、第1の導電性(N)と第1のドーピング値とを有し、前面(50a)が設けられた半導体本体(50)であって、半導体本体(50)が、使用時に電子デバイスの導電チャネルを収容するように構成された活性エリア(34)と、活性エリア(34)を取り囲み、活性エリア(34)と構造的に連続しているエッジ領域(36)とを含む、半導体本体(50)を配置するステップ(S1)と、エッジ領域(36)内に、第1の導電性(N)とは反対の第2の導電性(P)を有し、前面(50a)から始まり、前面(50a)に直交する方向(Z)に沿って第1の値を有する最大深さまで半導体本体(50)内に延在するエッジ終端領域(58、58、68)を少なくとも部分的に形成するステップと、当該活性エリア(34)内、及び部分的に当該エッジ領域(36)内に、前面(50a)に面する電流拡散層(CSL)(70)を形成するステップ(S3)と、を含み、CSL(70)を形成するステップ(S3)は、CSL(70)が、第1の導電性(N)及び第1のドーピング値よりも大きい第2のドーピング値を有し、CSL(70)を形成するステップ(S3)が、エッジ領域(36)において、前面(50a)から始まる第2の深さ値(TCSL_MAX)と第3の深さ値(TCSL_MIN)との間で可変である深さを有するCSL(70)を形成することを含み、当該第2の深さ値(TCSL_MAX)が、第1の深さ値よりも大きく、当該第3の深さ値(TCSL_MIN)が、第1の深さ値よりも小さく、CSL(70)が、エッジ終端領域(58;58、68)の少なくとも一部において第3の深さ値(TCSL_MIN)を有することを特徴とするものとして要約され得る。
【0077】
半導体本体(50)は、空間対称性のある格子構造を有する材料であってもよく、前面(50a)のエッジ領域(36)の選択部分において、当該空間対称性を変化させて、それによってアモルファス格子構造又は空間対称性のない格子構造を有する損傷領域(80)を形成するステップを更に含んでもよく、当該損傷領域(80)を形成するステップは、CSL(70)及びエッジ終端領域(58;58、68)を形成するステップの前に実行される。
【0078】
損傷領域(80)を形成するステップは、例えばSi、Ar、Ge、Heなどの非反応性イオン種又は非ドーピングイオン種の注入を実行することを含み得る。
【0079】
損傷領域(80)を形成するステップは、エッチングを実行することを含み得る。
【0080】
CSL(70)を形成するステップは、エッジ終端領域(58;58、68)を形成するステップの前に実行され得、半導体本体(50)において、損傷領域(80)及び損傷領域(80)に対して横方向の両方でチャネリングイオン注入を実行することを含み得、CSL(70)は、損傷領域(80)に対して横方向に第2の深さ値(TCSL_MAX)及び損傷領域(80)において第3の深さ値(TCSL_MIN)を有する。
【0081】
エッジ終端領域(58;58、68)を形成することは、当該損傷領域(80)に少なくとも部分的に第2の導電性(P)を有するイオン種の注入を実行することを含み得る。
【0082】
損傷領域(80)を形成するステップは、以下のパラメータ:-30keV~300keVに含まれる注入エネルギーと、1013原子/cm程度の注入投与量と、を使用して非反応性イオン種又は非ドーピングイオン種の当該注入を実行することを含み得る。
【0083】
上で説明される様々な実施形態を組み合わせて、更なる実施形態を提供することができる。実施形態の態様は、必要に応じて、様々な特許、出願、及び刊行物の概念を採用するように変更して、更なる実施形態を提供することができる。
【0084】
これらの変更は、上記の詳細な説明に照らして実施形態に対して行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書及び特許請求の範囲に開示された特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに全ての可能な実施形態を含むように解釈されるべきである。したがって、特許請求の範囲は本開示によって限定されるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】