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特開2024-125206調整されたスイッチング周波数および最小オン時間オーバーライドを含む電圧コンバータ
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  • 特開-調整されたスイッチング周波数および最小オン時間オーバーライドを含む電圧コンバータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125206
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】調整されたスイッチング周波数および最小オン時間オーバーライドを含む電圧コンバータ
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/155 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024030935
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】63/488,346
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518364964
【氏名又は名称】ルネサス エレクトロニクス アメリカ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】RENESAS ELECTRONICS AMERICA INC.
【住所又は居所原語表記】1001 Murphy Ranch Road, Milpitas, California 95035, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイソン・ヒューストン
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレン・リチャード・シュローダー
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS01
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD21
5H730FG05
5H730FG07
5H730FG22
(57)【要約】
【課題】 電圧コンバータのためのシステムおよび方法を提供する。
【解決手段】
コントローラは、電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWM(パルス幅変調)オン時間の持続時間を決定することができる。コントローラは、電圧レギュレータを動作させるために使用されるスイッチング周波数を決定することができる。コントローラは、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも大きいか小さいかを判定することができる。コントローラは、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも小さいと判定したことに応答して、電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWM信号のための電圧ウィンドウを増加させることができる。コントローラは、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、スイッチング周波数を調節するようにFLL(周波数ロックループ)を実行することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧レギュレータを動作させる方法であって、
前記電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWM(パルス幅変調)オン時間の持続時間を決定するステップと、
前記電圧レギュレータを動作させるために使用されるスイッチング周波数を決定するステップと、
前記PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも大きいか小さいかを判定するステップと、
前記PWMオン時間の持続時間が前記基準オン時間よりも小さいと判定したことに応答して、前記電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWM信号のための電圧ウィンドウを増加させるステップと、
前記PWMオン時間の持続時間が前記基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、前記スイッチング周波数を調節するようにFLL(周波数ロックループ)を実行するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記FLLを実行する前記ステップは、
前記スイッチング周波数が第1の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定するステップと、
前記スイッチング周波数が前記第1の基準スイッチング周波数よりも小さいと判定したことに応答して、前記電圧ウィンドウを減少させるステップと、
前記スイッチング周波数が前記第1の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、前記スイッチング周波数が、前記第1の基準スイッチング周波数よりも大きい第2の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定するステップと、
前記スイッチング周波数が前記第2の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、前記電圧ウィンドウを増加させるステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
新しいPWMサイクルが発生したと判定するステップをさらに含み、
前記PWMオン時間の持続時間を決定する前記ステップは、前記新しいPWMサイクルの前の完了したPWMサイクルにおけるPWM信号のPWMオン時間を決定するステップを含み、
前記スイッチング周波数を決定する前記ステップは、前記新しいPWMサイクルの前の完了したPWMサイクルにおける前記PWM信号のスイッチング周波数を決定するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記スイッチング周波数を決定する前記ステップは、
前記電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWMオフ時間の持続時間を決定するステップと、
前記PWMオン時間と前記PWMオフ時間を合計してサイクル時間を決定するステップと、
前記サイクル時間の逆数を決定して前記スイッチング周波数を決定するステップと、
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記基準オン時間は、第1の基準オン時間であり、前記FLLを実行する前記ステップは、
前記PWMオン時間の持続時間が前記第1の基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、前記スイッチング周波数が第1の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定するステップと、
前記スイッチング周波数が前記第1の基準スイッチング周波数よりも小さいと判定したことに応答して、前記PWMオン時間の持続時間が、前記第1の基準オン時間よりも大きい第2の基準オン時間よりも大きいか小さいかを判定するステップと、
前記PWMオン時間の持続時間が前記第2の基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、前記電圧ウィンドウを減少させるステップと、
前記スイッチング周波数が前記第1の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、前記スイッチング周波数が第2の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいか判定するステップと、
前記スイッチング周波数が前記第2の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、前記電圧ウィンドウを増加させるステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記PWM信号のための前記電圧ウィンドウを増加させることで、前記スイッチング周波数が減少し、
前記PWM信号のための前記電圧ウィンドウを減少させることで、前記スイッチング周波数が増加する、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記電圧レギュレータは、ヒステリシス電流モードバックレギュレータである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
コントローラを備える半導体装置であって、
前記コントローラは、
電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWM(パルス幅変調)オン時間の持続時間を決定し、
前記電圧レギュレータを動作させるために使用されるスイッチング周波数を決定し、
前記PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも大きいか小さいかを判定し、
前記PWMオン時間の持続時間が前記基準オン時間よりも小さいと判定したことに応答して、前記電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWM信号のための電圧ウィンドウを増加させ、
前記PWMオン時間の持続時間が前記基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、前記スイッチング周波数を調節するようにFLL(周波数ロックループ)を実行する、
半導体装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記スイッチング周波数が第1の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定し、
前記スイッチング周波数が前記第1の基準スイッチング周波数よりも小さいと判定したことに応答して、前記電圧ウィンドウを減少させ、
前記スイッチング周波数が前記第1の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、前記スイッチング周波数が、前記第1の基準スイッチング周波数よりも大きい第2の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定し、
前記スイッチング周波数が前記第2の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、前記電圧ウィンドウを増加させるようにさらに構成される、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記コントローラは、
新しいPWMサイクルが発生したことを判定し、
前記新しいPWMサイクルの前の完了したPWMサイクルにおけるPWM信号のPWMオン時間を決定することで、前記PWMオン時間の持続時間を決定し、
前記新しいPWMサイクルの前の前記完了したPWMサイクルにおける前記PWM信号のスイッチング周波数を決定することで、前記スイッチング周波数を決定するようにさらに構成される、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWMオフ時間の持続時間を決定し、
前記PWMオン時間と前記PWMオフ時間を合計してサイクル時間を決定し、
前記サイクル時間の逆数を決定して前記スイッチング周波数を決定するように構成される、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記基準オン時間は、第1の基準オン時間であり、前記コントローラは、
前記PWMオン時間の持続時間が前記第1の基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、前記スイッチング周波数が第1の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定し、
前記スイッチング周波数が前記第1の基準スイッチング周波数よりも小さいと判定したことに応答して、前記PWMオン時間の持続時間が、前記第1の基準オン時間よりも大きい第2の基準オン時間よりも大きいか小さいかを判定し、
前記PWMオン時間の持続時間が前記第2の基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、前記電圧ウィンドウを減少させ、
前記スイッチング周波数が前記第1の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、前記スイッチング周波数が第2の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定し、
前記スイッチング周波数が前記第2の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、前記電圧ウィンドウを増加させるようにさらに構成される、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記PWM信号のための前記電圧ウィンドウを増加させることで、前記スイッチング周波数が減少し、
前記PWM信号のための前記電圧ウィンドウを減少させることで、前記スイッチング周波数が増加する、
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項14】
電力段、ドライバ回路、および前記コントローラは、それぞれヒステリシス電流モードバックレギュレータの一部である、請求項8に記載の半導体装置。
【請求項15】
入力電圧を出力電圧に変換するように構成された電力段と、
前記電力段を駆動するように構成されたドライバ回路と、
コントローラと、
を備えるシステムであって、
前記コントローラは、
前記ドライバ回路を動作させるための制御信号を生成し、
前記電力段を駆動するために使用されるPWM(パルス幅変調)オン時間の持続時間を決定し、
前記電力段を駆動するために使用されるスイッチング周波数を決定し、
前記PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも大きいか小さいかを判定し、
前記PWMオン時間の持続時間が前記基準オン時間よりも小さいと判定したことに応答して、前記制御信号の電圧ウィンドウを増加させ、
前記PWMオン時間の持続時間が前記基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、前記スイッチング周波数を調節するようにFLL(周波数ロックループ)を実行するように構成される、
システム。
【請求項16】
前記コントローラは、
前記スイッチング周波数が第1の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定し、
前記スイッチング周波数が前記第1の基準スイッチング周波数よりも小さいと判定したことに応答して、前記電圧ウィンドウを減少させ、
前記スイッチング周波数が前記第1の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、前記スイッチング周波数が、前記第1の基準スイッチング周波数よりも大きい第2の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定し、
前記スイッチング周波数が前記第2の基準スイッチング周波数よりも小さいと判定したことに応答して、前記電圧ウィンドウを維持し、
前記スイッチング周波数が前記第2の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、前記電圧ウィンドウを増加させるようにさらに構成される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記基準オン時間は、第1の基準オン時間であり、前記コントローラは、
前記PWMオン時間の持続時間が前記第1の基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、前記スイッチング周波数が第1の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定し、
前記スイッチング周波数が前記第1の基準スイッチング周波数よりも小さいと判定したことに応答して、前記PWMオン時間の持続時間が、前記第1の基準オン時間よりも大きい第2の基準オン時間よりも大きいか小さいかを判定し、
前記PWMオン時間の持続時間が前記第2の基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、前記電圧ウィンドウを減少させ、
前記スイッチング周波数が前記第1の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、前記スイッチング周波数が第2の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定し、
前記スイッチング周波数が前記第2の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、前記電圧ウィンドウを増加させるようにさらに構成される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントローラは、
新しいPWMサイクルが発生したことを判定し、
前記新しいPWMサイクルの前の完了したPWMサイクルにおけるPWM信号のPWMオン時間を決定することで前記PWMオン時間の持続時間を決定し、
前記新しいPWMサイクルの前の前記完了したPWMサイクルにおける前記PWM信号のスイッチング周波数を決定することで前記スイッチング周波数を決定するようにさらに構成される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラは、
前記電力段を駆動するために使用されるPWMオフ時間の持続時間を決定し、
前記PWMオン時間と前記PWMオフ時間を合計してサイクル時間を決定し、
前記サイクル時間の逆数を決定して前記スイッチング周波数を決定するようにさらに構成される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記制御信号の前記電圧ウィンドウを増加させることで、前記スイッチング周波数が減少し、
前記制御信号の前記電圧ウィンドウを減少させることで、前記スイッチング周波数が増加する、
請求項15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2023年3月3日に出願された「VOLTAGE CONVERTER WITH REGULATED SWITCHING FREQUENCY AND MINIMUM ON TIME OVERRIDE」と題する米国特許出願第63/488,346号の優先権を主張する。その全文は、参照により本出願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、電圧レギュレータのための方法およびシステムに関する。より詳細には、調整されたスイッチング周波数および最小オン時間オーバーライドを含むヒステリシス電流モードバックレギュレータに関する。
【背景技術】
【0003】
バックコンバータやブーストコンバータなどの電圧レギュレータまたは電圧コンバータは、入力電圧を、電圧レベルが異なる出力電圧に変換するために使用され得る。バックコンバータや降圧コンバータは、入力電圧をより低い電圧に変換することができる。ブーストコンバータや昇圧コンバータは、入力電圧をより高い電圧に変換することができる。バック/ブーストコンバータは、入力電圧を昇圧または降圧することができる。電圧コンバータは、PWM(パルス幅変調)制御信号によってオンおよびオフされる複数のスイッチを含むことができる。PWM制御信号のデューティ比は、電圧コンバータの出力電圧を決定することができる。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態において、一般に、調整されたスイッチング周波数および最小オン時間オーバーライドを含む電圧コンバータを実現することができる方法が提供される。該方法は、電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWM(パルス幅変調)オン時間の持続時間を決定するステップを含むことができる。さらに、該方法は、電圧レギュレータを動作させるために使用されるスイッチング周波数を決定するステップを含むことができる。さらに、該方法は、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも大きいか小さいかを判定するステップを含むことができる。さらに、該方法は、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも小さいと判定したことに応答して、電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWM信号のための電圧ウィンドウを増加させるステップを含むことができる。さらに、該方法は、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、スイッチング周波数を調節するようにFLL(周波数ロックループ)を実行するステップを含むことができる。
【0005】
一実施形態において、一般に、調整されたスイッチング周波数および最小オン時間オーバーライドを含む電圧コンバータを実現することができる半導体装置が提供される。半導体装置は、電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWM(パルス幅変調)オン時間の持続時間を決定するように構成されたコントローラを含むことができる。さらに、コントローラは、電圧レギュレータを動作させるために使用されるスイッチング周波数を決定するように構成され得る。さらに、コントローラは、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも大きいか小さいかを判定するように構成され得る。さらに、コントローラは、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも小さいと判定したことに応答して、電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWM信号のための電圧ウィンドウを増加させるように構成され得る。さらに、コントローラは、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、スイッチング周波数を調節するようにFLL(周波数ロックループ)を実行するように構成され得る。
【0006】
一実施形態において、一般に、調整されたスイッチング周波数および最小オン時間オーバーライドを含む電圧コンバータを実現することができるシステムが提供される。該システムは、入力電圧を出力電圧に変換するように構成された電力段を含むことができる。さらに、該システムは、電力段を駆動するように構成されたドライバ回路を含むことができる。さらに、該システムは、ドライバ回路を動作させるための制御信号を生成するように構成されたコントローラを含むことができる。さらに、コントローラは、電力段を駆動するために使用されるPWM(パルス幅変調)オン時間の持続時間を決定するように構成され得る。さらに、コントローラは、電力段を駆動するために使用されるスイッチング周波数を決定するように構成され得る。さらに、コントローラは、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも大きいか小さいかを判定するように構成され得る。さらに、コントローラは、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも小さいと判定したことに応答して、制御信号の電圧ウィンドウを増加させるように構成され得る。さらに、コントローラは、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、スイッチング周波数を調節するようにFLL(周波数ロックループ)を実行するように構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
以下、添付の図を参照して本発明の様々な実施形態のさらなる特徴、構造、および動作を詳細に説明する。図において、同様の参照符号は同一または機能的に同様の要素を示す。
図1】一実施形態における、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライドを実現することができる例示的なシステムを示す図である。
図2】別の実施形態における、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライドを実現することができる例示的な電圧レギュレータシステムを示す図である。
図3】一実施形態における、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライド機能を実現することができるプロセスを示すフロー図である。
図4】別の実施形態における、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライドを実現することができる別のプロセスを示すフロー図である。
図5】別の実施形態における、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライド機能の実装例を示す図である。
図6】別の実施形態における、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライドを実現することができる別のプロセスを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の説明では、本願の様々な実施形態の理解を促すために、特定の構造、構成要素、材料、寸法、処理ステップ、および技術などを含む多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、当業者であれば、本願の様々な実施形態が、これらの具体的な詳細なしに実現され得ることを理解するであろう。場合によっては、本願を不明瞭にしないために、既知の構造または処理ステップの詳細に関する説明を省略する。
【0009】
図1は、一実施形態における、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライド機能を実現することができるシステムを示す図である。図1に示すシステム100は、電圧調節システムまたは電圧コンバータによって実現され得る。システム100は、コントローラ101と、ドライバIC(集積回路)102と、電力段103と、インダクタ104と、負荷105と、を含むことができる。
【0010】
コントローラ101は、例えば、プロセッサ、マイクロコントローラ、CPU(中央処理装置)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、またはシステム100を制御および動作するように構成された任意の他の回路を含むことができる。例示的な実施形態ではCPUとして説明されているが、コントローラ101は、これらの実施形態においてCPUに限定されるものではなく、ドライバIC102を制御および動作するように構成された他の任意の回路を備えてもよい。コントローラ101は、ドライバIC102を制御して電力段103内のスイッチHSおよびLSを選択的にオンおよびオフするためのパルス幅変調(PWM)信号またはPFM(パルス周波数変調)信号(添付の図面ではPWMと示されている)などの制御信号を生成するように構成され得る。コントローラ101は、デューティ比またはスイッチング周波数などの制御信号の特性を、後述する電圧Vrampからのフィードバックなどの様々な条件に基づいて制御することができる。
【0011】
ドライバIC102は、コントローラ101からPWM信号を受信するように構成され得る。ドライバIC102は、受信したPWM信号を使用して駆動信号110を生成することができる。ドライバIC102は、駆動信号110を介して電力段103内のスイッチを駆動することができる。駆動信号110は、電力段103のハイサイド(HS)スイッチおよびローサイド(LS)スイッチをオンまたはオフすることができるゲート電圧をもつ電圧信号であり得る。一実施形態において、HSスイッチおよびLSスイッチは、MOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)などのFET(電界効果トランジスタ)であり得る。他の実施形態において、HSスイッチおよびLSスイッチは、ダイオードまたはIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)であり得る。ドライバIC102は、HSスイッチを駆動するように構成されたドライバと、電力段103内のLSスイッチを駆動するように構成された別のドライバと、を含むことができる。ドライバIC102は、HSスイッチおよびLSスイッチを駆動するために、ゲート電圧または駆動信号110を供給するように構成され得る。HSスイッチは、LSスイッチがオフにされる間にオンにされるように構成され得、その逆もまた同様である。HSスイッチがオンにされ、LSスイッチがオフにされると、HSスイッチとLSスイッチとの間のスイッチノードVswにおける電圧は、スイッチノードVswにおける電圧がVinと等価になるように、Vinまで引き上げられることができる。HSがオフにされ、LSがオンにされると、スイッチノードにおける電圧は、接地に引き下げられることができる。これにより、Vswは、ゼロと等価になる。
【0012】
電力段103は、ドライバIC102から駆動信号110を受信するように構成され得る。HSスイッチおよびLSスイッチをオンおよびオフして出力電圧Voutを生成することができる。出力電圧Voutは、インダクタ104を介して例えば負荷105に出力され得る。Voutは、フィードバック信号112としてコントローラ101にフィードバックされて、フィードバック情報をコントローラ101に提供することができる。
【0013】
システム100などのスイッチング電圧コンバータにおいて、周波数制御は、予測可能なダイナミクス、構成要素の選択、効率、および安定性に影響を与える可能性がある。また、電力段103の最小スイッチオン時間およびオフ時間の制御は、電流感知検出、安定した定常動作、および過電流検出などの様々な機能に影響を与える可能性がある。電圧モードまたは電流モードのパワーコンバータは、固定のスイッチング周波数を利用する場合があるが、ヒステリシスモードのパワーコンバータは、出力電圧を調整するためにスイッチング周波数が変更される場合がある。また、従来のシステムにおいて、周波数制御ならびに最小オン時間およびオフ時間の制御は、異なる回路と異なる制御ループによって実行され得る。例えば、周波数制御は、FLL(周波数ロックループ)を使用して、PWM信号が高電圧と低電圧の間で交互に切り替わる間にスイッチング周波数を調節することで実行され得る。しかしながら、出力電圧Voutが低く、FLLが設置されている場合、PWM信号の最小オン時間が大幅に低下する可能性がある。オン時間が最小要件を下回ると、故障状態の検知が困難になるなどの問題が発生する可能性がある。
【0014】
スイッチング周波数の調整と最小オン時間の増加の両方が必要な状況では、例えば、低い出力電圧Voutに対してスイッチング周波数を調整している間に最小オン時間を増加させる必要があるなど、2つの動作が互いに干渉する可能性がある。後述するように、コントローラ101は、フィードバック信号112を受信してスイッチング周波数と最小オン時間を調整するように構成され得る。より詳細には、コントローラ101は、特定の条件下でFLLブロックを使用して、スイッチング周波数よりも最小オン時間の調節を優先して効率を向上させることができ、コントローラ101に最小オン時間とスイッチング周波数の両方を調節させることで部品コストを削減することができる。
【0015】
図2は、一実施形態における、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライド機能を実現することができる例示的な電圧レギュレータシステムを示す図である。図2の説明は、図1に示す構成要素を参照してもよい。別の例示的な実施形態において、コントローラ101は、誤差増幅器202と、電圧源204、206と、コンパレータ208、210と、SRラッチ214と、FLL回路212と、増幅器216と、を少なくとも含むことができる。誤差増幅器202は、システム100の出力Voutからフィードバック信号112を受信するように構成され得る。また、誤差増幅器202は、所定の基準電圧Vrefを受信することができる。誤差増幅器202は、フィードバック信号112とVrefとを比較して誤差の差異を生成し、誤差の差異に基づいて制御電圧Vcを生成することができる。電圧源204および206は、現在アクティブなPWMサイクルの電圧ウィンドウVwを増減させるように構成され得る。電圧ウィンドウは、上限境界電圧Vw+および下限境界電圧Vw-によって定義される電圧範囲内で制御電圧Vcを限定することができ、制御電圧Vcは、Vw+とVw-との中心の電圧(例えば、Vw+とVw-の中央値)であり得る。電圧ウィンドウに対する変更、またはVw+およびVw-に対する変更により、SRラッチ214によって出力されるPWM信号のスイッチング周波数および/またはPWMオン時間を変更することができる。
【0016】
図2に示す実施形態において、第1の電圧供給部204は、電圧ウィンドウVwの上限境界電圧Vw+を制御することができ、第2の電圧供給部206は、電圧ウィンドウVwの下限境界電圧Vw-を制御することができる。コンパレータ208および210は、電圧ウィンドウVwの境界Vw+およびVw-、ならびに電圧フィードバック情報Vrampから出力を受信するように構成され得る。増幅器216は、インダクタ104をわたる電圧を感知し、利得gmに基づいて、感知した電圧を増幅することで、Vrampを生成することができる。コンパレータ208は、反転入力(-)で上限境界電圧Vw+を受信することができ、非反転入力(+)でVrampを受信することができる。コンパレータ210は、非反転入力(+)で下限境界電圧Vw-を受信することができ、反転入力(-)でVrampを受信することができる。
【0017】
PWM信号は、HIGH状態(例えば、「T」または「true」状態)またはLOW状態(例えば、「F」または「false」状態)にされ得る。PWM信号に基づいて、ドライバIC102は、HSスイッチおよびLSスイッチの状態を強制することができる。例えば、PWM信号がHIGH状態の間、ドライバIC102は、HSオンとLSオフを強制する。PWM信号がLOW状態の間、ドライバIC102は、HSオフとLSオンを強制する。電圧フィードバック情報Vrampは、PWM信号の論理状態に従うインダクタ104を流れる電流をエミュレートすることができる。例えば、HSスイッチがオンでLSスイッチがオフの場合、Vrampは増加する。これは、インダクタ104を流れる電流が増加していることを示している。また、HSスイッチがオフでLSスイッチがオンの場合、Vrampは減少する。これは、インダクタ104を流れる電流が減少していることを示している。
【0018】
コンパレータ208および210は、それぞれの(+)入力および(-)入力の相対電圧を示す論理出力を生成することができる。コンパレータ(コンパレータ208またはコンパレータ210)の(+)入力の電圧が(-)入力の電圧より高い場合、コンパレータは、論理状態「T」または「true」を出力することができる。(-)入力の電圧が(+)入力の電圧より高い場合、コンパレータは、論理状態「F」または「false」を出力することができる。
【0019】
SRラッチ214は、コンパレータ208および210の出力を入力として受信することができる。コンパレータ208の出力は、SRラッチ214のリセットピンRに供給されることができ、コンパレータ210の出力は、SRラッチ214のセットピンSに供給されることができる。SRラッチ214は、SRラッチ214のセットピンおよびリセットピンにおける入力電圧に基づいてPWM信号を生成するように構成され得る。PWM信号は、ドライバIC102に出力され得る。ドライバIC102は、駆動信号110を生成して、電力段103を駆動することができる。
【0020】
SRラッチ214がPWM信号をHIGHまたは「T」状態で出力すると、ドライバIC102は、HSスイッチをオンにし、LSスイッチをオフにし、Vrampを増加させることができる。Vrampが電圧ウィンドウVw+(すなわちVc+電圧源204)の上端より上に上昇すると、コンパレータ208は、論理状態「T」を出力することができる。これがSRラッチ214のRピン入力に印加されると、SRラッチ214がリセットされる。SRラッチ214をリセットすることで、PWMが解放され、すなわちPWM信号が「F」状態で出力される。「F」状態のPWM信号は、ドライバIC102を介してHSスイッチをオフにし、LSスイッチをオンにし、Vrampを低下させる。VrampがVw-(すなわちVc-電圧源206)を下回ると、R入力は解放されるが、SRラッチ214はPWM「F」状態を保持する。
【0021】
SRラッチ214がPWM信号をLOWまたは「F」状態で出力すると、ドライバIC102は、HSスイッチをオフにし、LSスイッチをオンにし、Vrampを減少させることができる。Vrampが電圧ウィンドウVw-(すなわちVc-電圧源206)の下端より下に下降すると、コンパレータ210は、論理状態「T」を出力することができる。これがSRラッチ214のSピン入力に印加されると、SRラッチ214がセットされる。SRラッチ214をセットすることで、PWM信号が「T」状態で出力される。「T」状態のPWM信号は、ドライバ102を介してHSスイッチをオンにし、LSスイッチをオフにし、Vrampを増加させる。VrampがVw-を上回ると、S入力は解放されるが、SRラッチ214はPWM「T」状態を保持する。
【0022】
完全なサイクルにおけるVrampの上昇持続時間をオン時間Tonとする。完全なサイクルにおけるVrampの下降持続時間をオフ時間Toffとする。総サイクル時間Ton+Toffをスイッチング周期Tswとする。スイッチング周波数はTswの逆数、つまりFsw=1/Tswである。総サイクル時間に対するオン時間の比をデューティ比Dとする。これは、D=Ton/(Ton+Toff)=Ton/Tswである。デューティ比Dは、コントローラ101が出力電圧Voutを調節するために変更するパラメータである。Tonは、Ton=D*Tsw、またはTon=D/Fswと表すことができる。
【0023】
一実施形態において、TonおよびToffは、電圧ウィンドウVwのサイズによって決定され得る。例えば、電圧ウィンドウVwが大きければ、TonおよびToffが大きくなり、ひいてはTswが大きくなる。電圧ウィンドウVwが小さければ、TonとToffが小さくなり、ひいてはTswが小さくなる。電圧ウィンドウVwのサイズを変えることで、所望のスイッチング周波数Fswを得ることができる。Vwを変化させてTonを変化させると、Tswも同じ割合で変化する。したがって、電圧ウィンドウVwを変化させてもデューティ比Dが直接変化しない場合がある。
【0024】
コントローラ101は、FLL回路212を含むことができる。FLL回路212は、SRラッチ214が出力するPWM信号、クロック信号CLK、および所定のまたはプログラム可能な基準スイッチング周波数(FswRef)を受信することができる。FLL回路212は、PWM信号をリアルタイムで監視し、PWM信号を使用してスイッチング周波数Fswを決定することができる。例えば、FLL回路212は、受信したPWM信号のTonとToffの時間を測定し、測定されたTonとToffを合計することで、Tswを測定するように構成され得る。FLL回路212は、受信したPWM信号のスイッチング周波数Fswを決定するために、Tswの逆数を決定することができる。したがって、FLL回路212は、受信したPWM信号を使用してスイッチング周波数Fswを監視することができる。FLL回路212は、受信したPWM信号のスイッチング周波数Fswと基準FswRefとを比較することができる。比較結果に基づいて、FLL回路212は、Fswを低減させるために電圧ウィンドウVwを増加させるか、またはFswを増加させるために電圧ウィンドウVwを減少させるかを決定することができる。また、一実施形態において、FLL回路212は、受信したPWM信号のTswと基準サイクル時間とを比較し、この比較結果に基づいて、電圧ウィンドウVwを増加させるか電圧ウィンドウVwを減少させるかを決定することができる。電圧ウィンドウVwを増加させるか減少させるかの決定は、Tswの測定にはすべてのサイクル時間Tswを観察する必要があるため、各サイクルの終了時にFLL回路212によって行うことができる。一実施形態例において、FLL回路212によって受信されるクロック信号CLKは、スイッチング周波数Fswの測定に使用され得る。
【0025】
電圧ウィンドウVwを増加させるか減少させるかを決定したことに応答して、FLL回路212は、決定結果に従って電圧ウィンドウVwを調整(例えば、増加または減少)することができる。電圧ウィンドウVwの調整は、現在のスイッチングサイクル、すなわちスイッチングサイクルnに対して有効であり得る。電圧ウィンドウのサイズの決定(例えば、増減の量)および電圧ウィンドウのサイズの調整は、瞬間的であり得るため、現在のサイクルからの決定は、次のサイクル、すなわちサイクルn+1に対しても有効であり得る。一実施形態において、FLL回路212は、電圧ウィンドウVwの境界Vw+およびVw-を調整するためにコントローラ101によって使用される電圧信号218を出力することができる。FswRefがPWM信号からの測定されたスイッチング周波数を下回る場合、電圧ウィンドウを減少させてスイッチング周波数Fswを増加させることができる。FLL回路212は、電圧源204を減少させて上限境界Vw+を低減させ、電圧源206を減少させて上限境界Vw-を上昇させることで、電圧ウィンドウを減少させることができる。これにより、より狭い(例えば減少した)電圧ウィンドウVwを形成することができる。FswRefがPWM信号からの測定されたスイッチング周波数を上回る場合、電圧ウィンドウを増加させてスイッチング周波数Fswを減少させることができる。FLL回路212は、電圧源204を増加させて上限境界Vw+を上昇させ、電圧源206を増加させてVcとVw-との差を増加させることで、電圧ウィンドウを増加させることができる。これにより、下限境界Vw-を低下させ、より広い(例えば増加した)電圧ウィンドウVwを形成することができる。電圧ウィンドウVwを調整するために電圧源204、206に対して行われる調整量は、システム100の所望の実施例に応じて、等しくすることができ、または互いに異なることができる。一実施形態において、所望の実装が、電圧ウィンドウVwがVcを中心として対称である必要がある場合、電圧源204、206に行われる調整量は、Vcを中心とする電圧ウィンドウの対称性を維持するために等価であり得る。別の実施形態において、所望の実装で電圧ウィンドウVwが対称である必要がない場合、電圧源204、206に行われる調整量は、異なることができる。例えば、電圧源204、206を等しく調整することなく電圧ウィンドウを調整するために、FLL212は、電圧源204、206の両方ではなく、いずれか一方に電圧信号218を印加することができる。
【0026】
また、FLL回路212は、電圧ウィンドウVwを調整してPWM信号のオン時間の持続時間を増加させるように構成され得る。FLL回路212は、PWM信号の最小オン時間の持続時間が所定の閾値を超えるかどうかを判定するように構成され得る。所定の閾値は、コントローラ101が正常に機能するためにスイッチがオンである必要がある最小時間、スイッチ遷移時間の速度に関する制限、または他の動作上の制約による制限を表す、プログラム可能な最小オン時間(TonRef)であり得る。オン時間がTonRefよりも小さい場合、コントローラ101は、電圧ウィンドウVw+を増加させることができ、すなわち、電圧源204を増加させて上限境界Vw+を上昇させ、電圧源206を増加させて下限境界Vw-を下降させることができる。オン時間が所定の基準オン時間の持続時間よりも大きい場合、FLL回路212は、システム100のスイッチング周波数を調整し続けることができる。この優先順位の決定により、最小オン時間の制約は、Fswの調節を上回る。Fswは、最小オン時間が侵害されないというより高い優先順位の制約に従って制御される。
【0027】
ウィンドウサイズVwによって決定されるスイッチング周波数Fswは、システム100の様々な非理想的要素によって期待値から逸脱する可能性がある。これらの非理想的要素は、所望の出力電圧、Vin電源電圧、レギュレータの負荷電流、損失性コンポーネントにおける電力の散逸、多相コントローラにおけるアクティブ相の数、および温度などの動作条件、ならびに/またはスイッチング周波数を変化させ得る他の条件によって変化し得る。FLL回路212は、スイッチング周波数Fswの精度に影響を与える不確定要素を克服する周波数調節機構を提供する。
【0028】
出力電圧を決定するデューティ比Dは、出力電圧の精度に寄与するそれ自体の一連の非理想的要素に対して調整される必要がある。これには、電力損失要素や負荷変動、および理想的な性能からの他の実質的な逸脱が含まれる。しかしながら、コントローラ101のデューティ比Dは、近似値D=Vout/Vinによって、入力電源電圧に対する所望の出力電圧の比によって主に決定される。上述したように、Ton=Tsw*D=D/Fswである。つまり、所与のFswに対して、Ton=(Vout/Vin)/Fswとなる。VinがVoutより十分に大きく、Fswが十分に高い場合、Tonは非常に小さくなり、minTon制約を侵害している可能性がある。別の実施形態において、Tonを測定する代わりに推定することができる。推定は、VinおよびVoutの測定値などの様々なパラメータ値に基づいて行うことができる。Voutの電圧調節は、Vinと所望のVoutレベルの両方に依存する。最小オン時間(minTon)を満たす必要があり、Vinと所望のVoutレベルによってそれが制限されている場合、スイッチング周波数Fswを減少させる必要がある。この調整は、電圧ウィンドウVwを増加させることで行われる。このような妥協は、電圧レギュレータが適切に機能するために必要である。したがって、スイッチング周波数Fswの調節は、最小オン時間の制約を満たす必要性によって決定される。
【0029】
ここに示す実施形態により、コントローラは、PWMオン時間とスイッチング周波数の両方の調節を実行することができる。ここでは、PWMオン時間の調節は、スイッチング周波数の調節よりも優先され得る。PWMオン時間の調節に優先順位を与えることで、低いデューティ比の動作条件における低いPWMオン時間に起因する問題を回避することができる。
【0030】
図3は、一実施形態における、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライド機能を実現することができるプロセスを示すフロー図である。図3の説明は、図1および図2に示す構成要素を参照してもよい。プロセス300は、1つまたは複数のブロック301、303、305、307、309、311、313、および315によって示される1つまたは複数の操作、動作、または機能を含むことができる。個別のブロックとして図に示されているが、所望の用途に応じて、様々なブロックを追加のブロックに分割したり、より少ない数のブロックに組み合わせたり、省略したり、異なる順序で実行されたり、並行して実行されたりすることができる。
【0031】
プロセス300は、電圧レギュレータシステムによって実現され得る。例えば、システム100のコントローラ101は、プロセス300を実行することができる。プロセス300は、ブロック301で開始することができる。ブロック301では、コントローラ101は、新しいPWMサイクルが発生したかどうかを判定することができる。例えば、コントローラ101は、PWM信号の立ち上がりエッジを検出することができる。立ち上がりエッジは、新しいPWMサイクルの兆候である。コントローラ101が新しいPWMサイクルを検出しなかった場合(301:NO)、プロセス300は、新しいPWMサイクルが開始するまでブロック301周囲をループすることができる。
【0032】
ブロック301でコントローラ101が新しいPWMサイクルが開始したと判定した場合(301:YES)、プロセス300は、ブロック301からブロック303に続くことができる。ブロック303では、コントローラ101は、以前に完了したPWMサイクル、すなわちPWMサイクルn-1のオン時間PWMTonおよびスイッチング周波数Fswを決定することができる。オン時間PWMTonは、PWMサイクルn-1内のPWM信号が「オン」状態である時間の継続時間であり得、スイッチング周波数Fswは、PWMサイクルn-1内のPWM信号を生成するためにHSスイッチおよびLSスイッチがオンおよびオフする速度であり得る。コントローラ101は、決定されたオン時間PWMTonとラッチされたスイッチング周波数Fswをラッチすることができる。プロセス300は、ブロック303からブロック305に続くことができる。ブロック305では、コントローラ101は、ラッチされたPWMTonがTonRef(図2参照)よりも小さいかどうかを判定することができる。コントローラ101が行う比較は、最小オン時間動作が周波数調節動作をオーバーライドする必要があるかどうかを確認することである。ラッチされたPWMTonがTonRefよりも小さい場合(305:YES)、最小オン時間機能が動作する必要があり、プロセス300は、ブロック305からブロック307に続くことができる。
【0033】
ブロック307では、コントローラ101は、電圧ウィンドウVwを増加させることができる。電圧ウィンドウVwを増加させることで、PWMTonを増加させることができる(ToffもTswも、Tonの増加と同じ割合で増加させることができるので、Dを維持することができる)。この決定は、Fswの調節よりも優先されるので、最小オン時間機能は、Fsw調節よりも優先される。したがってPWMオン時間の調節は、スイッチング周波数の調節よりも優先される。
【0034】
ブロック305においてPWMTonがTonRefよりも大きい場合(305:NO)、プロセス300は、ブロック305からブロック309に続くことができる。PWMTonがTonRefよりも大きいという判定は、最小オン時間機能を動作させる必要がなく、FLLがスイッチング周波数の調節を継続できることを意味する。ブロック309では、コントローラ101は、ラッチされたPWMスイッチング周波数が低い基準スイッチング周波数FswLowRefよりも小さいかどうかを判定するように構成される。例示的な実施形態において、2つの基準スイッチング周波数が存在することができる。低い基準スイッチング周波数FswLowRefと、FswLowRefよりも大きい高い基準スイッチング周波数FswHighRefである。ラッチされたPWMスイッチング周波数がFswLowRefよりも小さい場合(309:YES)、プロセス300は、ブロック309から311に続くことができる。なお、2つの基準スイッチング周波数に対して行われる比較は、スイッチング周波数の境界間のディザリングを低減することができるように、定義された範囲内でFswを調節することができることに留意されたい。FswLowRefとFswHighRefの間の範囲は、様々な条件によって変化する場合がある。1つまたは複数の実施形態において、所定の公称スイッチング周波数が存在することができ、公称周波数周辺の周波数の範囲が、スイッチング周波数がシステム100の機構および動作パラメータに影響を与える周波数の閾値範囲として割り当てられ得る。この周波数の範囲は、基準FswLowRefおよびFswHighRefのセッティングに使用され得る。
【0035】
ブロック311では、コントローラ101は、電圧ウィンドウを減少させることができる。電圧ウィンドウを減少させるとこで、スイッチング周波数を上昇させてFswLowRefとFswHighRefとの間で調整されたスイッチング周波数レベルを得ることができる。ラッチされたPWMスイッチング周波数がFswLowRefよりも大きい場合(309:NO)、プロセス300は、ブロック309からブロック313に続くことができる。ブロック313では、コントローラ101は、PWMスイッチング周波数がFswHighRefよりも大きいかどうかを判定することができる。PWMスイッチング周波数がFswHighRefよりも大きい場合(313:YES)、プロセス300は、ブロック313からブロック315に続くことができる。ブロック315では、コントローラ101は、電圧ウィンドウVwを増加させるように構成される。電圧ウィンドウを増加させることで、スイッチング周波数を減少させてFswLowRefとFswHighRefとの間で調整されたスイッチング周波数レベルを得ることができる。PWMスイッチング周波数がFswHighRefよりも小さい場合、(313:NO)、コントローラ101は、電圧ウィンドウを調整する必要がなく、ブロック301に戻って次のPWMサイクルの開始を待つことができる。
【0036】
図4は、別の実施形態における、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライド機能を実現することができる別のプロセスを示すフロー図である。図4の説明は、図1図3に示す構成要素を参照してもよい。プロセス400は、1つまたは複数のブロック401、403、405、407、409、411、413、415、および417によって示される1つまたは複数の操作、動作、または機能を含むことができる。個別のブロックとして図に示されているが、所望の用途に応じて、様々なブロックを追加のブロックに分割したり、より少ない数のブロックに組み合わせたり、省略したり、異なる順序で実行されたり、並行して実行されたりすることができる。
【0037】
プロセス400は、電圧レギュレータシステムによって実現され得る。例えば、システム100のコントローラ101は、プロセス400を実行することができる。プロセス400は、ブロック401で開始することができる。ブロック401では、コントローラ101は、新しいPWMサイクルが発生したかどうかを判定することができる。例えば、コントローラ101は、PWM信号の立ち上がりエッジを検出することができる。立ち上がりエッジは、新しいPWMサイクルの兆候である。コントローラ101が新しいPWMサイクルを検出しなかった場合(401:NO)、プロセス400は、新しいPWMサイクルが開始するまでブロック401周囲をループすることができる。
【0038】
ブロック401でコントローラ101が新しいPWMサイクルが開始したと判定した場合(401:YES)、プロセス400は、ブロック401からブロック403に続くことができる。ブロック403では、コントローラ101は、以前に完了したPWMサイクル、すなわちPWMサイクルn-1のオン時間PWMTonおよびスイッチング周波数Fswを決定することができる。オン時間PWMTonは、PWMサイクルn-1内のPWM信号が「オン」状態である時間の継続時間であり得、スイッチング周波数Fswは、PWMサイクルn-1内のPWM信号を生成するためにHSスイッチおよびLSスイッチがオンおよびオフする速度であり得る。コントローラ101は、決定されたオン時間PWMTonとラッチされたスイッチング周波数Fswをラッチすることができる。
【0039】
ブロック405では、コントローラ101は、ラッチされたPWMTonが第1の基準オン時間(TonRef1)よりも小さいかどうかを判定することができる。TonRef1は、プログラム可能な第1の所定の閾値であり、コントローラ101が正常に動作するためにスイッチがオンである必要がある最小時間を示す。ラッチされたPWMTonがTonRef1よりも小さい場合(405:YES)、プロセス400は、ブロック405からブロック407に続くことができる。
【0040】
ブロック407では、コントローラ101は、電圧ウィンドウVwを増加させるように構成される。電圧ウィンドウVwを増加させることで、PWMTonを増加させることができる。PWMTonがTonRef1よりも大きい場合(405:NO)、プロセス400は、ブロック405からブロック409に続くことができる。
【0041】
ブロック409では、コントローラ101が最小オン時間の制約が満たされたと判定したため、オーバーライド動作は必要なくなり、スイッチング周波数の調整に戻ることができる。コントローラ101は、PWMスイッチング周波数がFswLowRefよりも小さいかどうかを判定することができる。PWMスイッチング周波数がFswLowRefよりも小さい場合(409:YES)、プロセス400は、ブロック409からブロック411に続くことができる。
【0042】
ブロック411では、コントローラ101は、PWMTonが第2の基準オン時間(TonRef2)よりも小さいかどうかを判定することができる。TonRef2は、プログラム可能な第2の所定の閾値であり、第1の基準オン時間TonRef1よりも大きい第2の基準オン時間を表す。2つの基準オン時間TonRef1、TonRef2は、オン時間がオン時間ウィンドウ内にある間、コントローラ101が最小オン時間の監視を継続することを可能にするウィンドウ境界を作製することができる。例えば、測定された最小オン時間が、閾値レベル(たとえば、TonRef1)付近で推移している場合などである。なお、2つのPWM基準オン時間に対して行われる比較によって、オン時間境界でのジッタリングを低減できるように、定義された範囲内でPWMTonを調節することができることに留意されたい。
【0043】
ラッチされたPWMTonがTonRef2よりも小さい場合(411:YES)、プロセス400は、ブロック411からブロック401に続いて新しいPWMサイクル(サイクルn+2)の開始を待つことができる。
【0044】
ラッチされたPWMTonがTonRefよりも大きい2場合(411:NO)、プロセス400は、ブロック411からブロック413に続くことができる。ブロック413では、コントローラ101は、電圧ウィンドウを減少させることができる。判定ブロック409に戻ると、PWMスイッチング周波数がFswLowRefよりも大きい場合(409:NO)、プロセス400は、ブロック409からブロック415に続くことができる。ブロック415では、コントローラ101は、PWMスイッチング周波数がFswHighRefよりも大きいかどうかを判定することができる。PWMスイッチング周波数がFswHighRefよりも大きい場合(415:YES)、プロセス400は、ブロック415からブロック417に続くことができる。ブロック417では、コントローラ101は、電圧ウィンドウVwを増加させるように構成される。PWMスイッチングがFswHighRefよりも小さい場合(415:NO)、コントローラ101は、電圧ウィンドウを調整する必要がなく、ブロック401に戻って次のPWMサイクル(PWMサイクルn+1)の開始を待つことができる。図4に示すように、ブロック403でPWMTonとFswをラッチした後、FLLを実行する代わりに、コントローラ101は、PWMオン時間(PWMTon)が所望の範囲内(例えば、TonRef1とTonRef2の間)にあるかどうかを確認する。したがって、PWMオン時間の調節は、スイッチング周波数の調節よりも優先される。なお、2つの基準スイッチング周波数に対して行われる比較は、スイッチング周波数の境界間のディザリングを低減することができるように、定義された範囲内でFswを調節することができることに留意されたい。
【0045】
なお、プロセス400では、ブロック409のスイッチング周波数のテストは、TonがTonRef1とTonRef2の間にあり、スイッチング周波数を低減するために電圧ウィンドウを増加させる必要がある状態を防止するために、TonRef2のテスト(例えば、ブロック411)の前に実行されることに留意されたい。さらに、TonRef2のテストの前に実行されるスイッチング周波数のテストにより、スイッチング周波数が低すぎる場合(例えば、409:YES)、電圧ウィンドウを減少させること(例えば、ブロック413)ができる。スイッチング周波数が高すぎる場合(415:YES)、電圧ウィンドウは、TonRef2のテストの結果に関係なく、増加される。
【0046】
図5は、別の実施形態における、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライド機能の実装例を示す図である。図5の説明は、図1図4に示す構成要素を参照してもよい。例示的な実施形態において、線502は、スイッチング周波数調整器および最小オン時間オーバーライド機能が実現された最小オン時間を示す。線504は、スイッチング周波数調整器および最小オン時間オーバーライド機能が実現されていない場合の最小オン時間を示す。線506は、所定のTonRefを示す。線508は、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライド機能が実現されていない場合のスイッチング周波数を示す。線510は、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライド機能が実現された場合のスイッチング周波数を示す。線512は、電圧出力Voutを示す。
【0047】
例示的な実施形態において、開始条件は、プログラムされたスイッチング周波数1MHzで、線512に示す1.0Vの出力電圧Voutで開始して200マイクロ秒の間続く。Voutが1.0Vである間、線502および504に示す測定されたPWMTonは、120ナノ秒になり得る。200マイクロ秒~300マイクロ秒の間、Voutは、1.0Vから0.3Vに変化する。システム100がスイッチング周波数を調節するためにFLLを利用する場合、線504および508は、Min_Tonオーバーライド制御なしでFLLを使用する場合にPWMTonおよびスイッチング周波数がどのように反応するかを示している。Voutが0.3Vに達すると、線504のPWMTonは、40ナノ秒未満に低下し、電流感知の問題や故障状態の検知の難しさなど、スイッチング動作の問題や調節の問題を引き起こす可能性がある。図5に示すように、所定のTonRefは、線506で示すように60ナノ秒と定義されている。TonRefは、スイッチング周波数調節機能の使用から最小オン時間オーバーライド機能に動作を切り替えるタイミングを決定するために使用され得る。したがって、線502で示すように、PWMTonが60ナノ秒を下回ると、コントローラ101は、オン時間を60ナノ秒の閾値を上回るように増加させることを優先するように動作を切り替えることができる。線502で示すように、最小オン時間オーバーライド機能が引き継いで、PWMTonが少なくともTonRefと等しいように補正を行う。最小オン時間オーバーライドがないと、オン時間は、線504で示すように40ナノ秒未満で継続する。コントローラ101がスイッチング周波数の代わりにオン時間を調節しているため、線510で示すように、スイッチング周波数はほぼ0.6MHzに減少する。Voutが1.0Vまで増加すると、コントローラ101は、最小オン時間オーバーライド機能からスイッチング周波数調節機能に動作を切り替えることができる。これは、1MHzに戻る線510、および120ナノ秒のオン時間に増加する線502から確認することができる。
【0048】
図6は、別の実施形態における、スイッチング周波数レギュレータおよび最小オン時間オーバーライド機能を実現する別のプロセスを示すフロー図である。図6の説明は、図1図6に示す構成要素を参照してもよい。プロセス600は、1つまたは複数のブロック601、603、605、607、および609によって示される1つまたは複数の操作、動作、または機能を含むことができる。個別のブロックとして図に示されているが、所望の用途に応じて、様々なブロックを追加のブロックに分割したり、より少ない数のブロックに組み合わせたり、省略したり、異なる順序で実行されたり、並行して実行されたりすることができる。
【0049】
プロセス600は、電圧レギュレータシステムによって実現され得る。例えば、電圧レギュレータシステム100のコントローラ101は、プロセス600を実行することができる。プロセス600は、ブロック601で開始することができる。ブロック601では、コントローラは、電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWM(パルス幅変調)オン時間の持続時間を決定することができる。一実施形態において、電圧レギュレータは、ヒステリシス電流モードバックレギュレータであり得る。
【0050】
プロセス600は、ブロック601からブロック603に続くことができる。ブロック603では、さらに、コントローラは、電圧レギュレータを動作させるために使用されるスイッチング周波数を決定することができる。一実施形態において、コントローラは、電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWMオフ時間の持続時間を決定し、PWMオン時間とPWMオフ時間とを合計してサイクル時間を決定し、サイクル時間の逆数を決定することで、スイッチング周波数を決定することができる。
【0051】
プロセス600は、ブロック603からブロック605に続くことができる。ブロック605では、さらに、コントローラは、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも大きいか小さいかを判定することができる。
【0052】
プロセス600は、ブロック605からブロック607に続くことができる。ブロック607では、さらに、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも小さいと判定したことに応答して、コントローラは、電圧レギュレータを動作させるために使用されるPWM信号のための電圧ウィンドウを増加させることができる。一実施形態において、PWM信号のための電圧ウィンドウを増加させるとスイッチング周波数を減少させることができ、PWM信号のための電圧ウィンドウを増加させるとスイッチング周波数を増加させることができる。
【0053】
プロセス600は、ブロック607からブロック609に続くことができる。ブロック609では、さらに、コントローラは、PWMオン時間の持続時間が基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、スイッチング周波数を調節するようにFLL(周波数ロックループ)を実行することができる。
【0054】
一実施形態において、FLLを実行するステップは、スイッチング周波数が第1の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定するステップを含むことができる。さらに、FLLを実行するステップは、スイッチング周波数が第1の基準スイッチング周波数よりも小さいと判定したことに応答して、電圧ウィンドウを減少させるステップを含むことができる。さらに、FLLを実行するステップは、スイッチング周波数が第1の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、スイッチング周波数が第2の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定するステップを含むことができる。ここで、第2の基準スイッチング周波数は、第1の基準スイッチング周波数よりも大きい。さらに、FLLを実行するステップは、スイッチング周波数が第2の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、電圧ウィンドウを増加させるステップを含むことができる。
【0055】
さらに、一実施形態において、コントローラは、新しいPWMサイクルが発生したことを判定することができる。さらに、コントローラは、PWMオン時間の持続時間を決定することができる。これは、新しいPWMサイクルの前の完了したPWMサイクルにおけるPWM信号のPWMオン時間を決定するステップを含む。さらに、コントローラは、スイッチング周波数を決定することができる。これは、新しいPWMサイクルの前の完了したPWMサイクルにおけるPWM信号のスイッチング周波数を決定するステップを含む。
【0056】
一実施形態において、基準オン時間は、第1の基準オン時間であり得、FLLを実行するステップは、PWMオン時間の持続時間が第1の基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、スイッチング周波数が第1の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかをコントローラが判定するステップを含むことができる。スイッチング周波数が第1の基準スイッチング周波数よりも小さいと判定したことに応答して、コントローラは、PWMオン時間の持続時間が第2の基準オン時間よりも大きいか小さいかを判定することができる。ここで、第2の基準オン時間は、第1の基準オン時間よりも大きい。PWMオン時間の持続時間が第2の基準オン時間よりも大きいと判定したことに応答して、コントローラは、電圧ウィンドウを減少させることができる。スイッチング周波数が第1の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、コントローラは、スイッチング周波数が第2の基準スイッチング周波数よりも大きいか小さいかを判定することができる。スイッチング周波数が第2の基準スイッチング周波数よりも大きいと判定したことに応答して、コントローラは、電圧ウィンドウを増加させることができる。
【0057】
図におけるフローチャートおよびブロック図は、本発明の様々な実施形態によるシステム、方法、およびコンピュータプログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、および動作を示している。これに関して、フローチャートまたはブロック図における各ブロックは、指定された論理機能を実現するための1つまたは複数の実行可能命令を含む命令のモジュール、セグメント、またはその一部を表すことができる。いくつかの代替的な実装例において、ブロックに示された機能は、図に示す順序からはずれて発生してもよい。例えば、連続して示されている2つのブロックは、実際には、実質的に同時に実現されてもよく、関係する機能に応じて、場合によっては逆の順序で実現されてもよい。また、ブロック図および/またはフローチャートの各ブロック、ならびにそれらのブロックの組み合わせは、指定された機能または動作を実行する、または特別な目的のハードウェアおよびコンピュータ命令の組み合わせを実行する、特別な目的のハードウェアベースのシステムよって実現され得ることに留意されたい。
【0058】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためにのみ使用されており、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される単数を表す用語は、特に明示されない限り、その複数を含むことも意図している。また、本明細書で使用される「備える」という用語は、記載されている特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を画定するが、1つまたは複数の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または追加を排除しないことに留意されたい。
【0059】
添付の特許請求の範囲に記載のすべての手段またはステップと機能要素の対応する構造、材料、操作、およびそれらの等価物は、具体的に記載されている他の要素と組み合わせて機能を実現するための任意の構造、材料、または操作を包含することを意図している。本発明の開示されている実施形態の説明は、例示および説明のために提供されているが、網羅的であること、あるいは開示された形態に限定されることを意図していない。当業者には、本発明の範囲および精神から逸脱することなく、多くの修正および変形を適用することができることが明らかであろう。上述した実施形態は、本発明の原理および実用化を最適に説明するために、また、検討される特定の用途に適するように種々の修正を伴う様々な実施形態について本発明を当業者が理解できるように、選択および説明されたものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】