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特開2024-125212トリプル・レバー・ドラグ・システム
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  • 特開-トリプル・レバー・ドラグ・システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125212
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】トリプル・レバー・ドラグ・システム
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/033 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
A01K89/033 501
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024031025
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】63/488,391
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/585,964
(32)【優先日】2024-02-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521321985
【氏名又は名称】ピュア・フィッシング・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パトリック スヴェンソン
(72)【発明者】
【氏名】ローランド ディサンテ
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108HC02
2B108HC07
2B108HC14
(57)【要約】
【課題】レバー・ドラグ機構を有する釣り用リールを提供すること。
【解決手段】ドラグ機構のレバーは、ドラグ機構を係合又は係合解除するためにそれぞれ前方又は後方に回転することができる。レバーを前方に回転させてドラグ機構に係合させると、シャフトをリールから外側に引っ張ることができ、その結果、複数のドラグ・ワッシャが複数のドラグ・プレートと接触させられる。ドラグ・ワッシャはスプールに結合することができ、ドラグ・プレートはドラグ・プレート・ハブに結合することができる。その結果、ドラグ機構が係合されているとき、ドラグ・ワッシャは、スプールが、好ましくは、ドラグ・プレート・ハブに結合されるようにドラグ・プレートに摩擦結合することができる。ドラグ機構が係合解除されると、スプールはドラグ・プレート・ハブとは独立して回転することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームと、
前記フレームに摺動可能に結合されたシャフトと、
前記シャフトを中心に回転するように構成されたスプールと、
第1のドラグ・ワッシャ、第2のドラグ・ワッシャ、及び第3のドラグ・ワッシャであって、前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャが前記スプールとともに回転するように、前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャのそれぞれが前記スプールに結合されている、第1のドラグ・ワッシャ、第2のドラグ・ワッシャ、及び第3のドラグ・ワッシャと、
第1のドラグ・プレート及び第2のドラグ・プレートであって、前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートのそれぞれが前記フレームに結合されている、第1のドラグ・プレート及び第2のドラグ・プレートと
を備える釣り用リールであって、
前記シャフトが前記フレームから外側に移動されると、前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャのうちの少なくとも1つが、前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートのうちの少なくとも1つに向かって移動し、
前記シャフトが前記フレームに向かって内側に移動されると、前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャのうちの少なくとも1つが、前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートのうちの少なくとも1つから離れるように移動する、釣り用リール。
【請求項2】
前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャのうちの少なくとも1つが、前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートのうちの少なくとも1つと係合して摩擦を生成するように構成されている、請求項1に記載の釣り用リール。
【請求項3】
前記シャフトが前記フレームに対して内側又は外側に移動する距離を調節するように構成されたキャリブレーション・ノブに前記シャフトが結合されている、請求項1に記載の釣り用リール。
【請求項4】
前記シャフトが前記フレームから外側に移動したとき、前記スプールが前記フレームの第1の側に向かって移動するように構成されている、請求項1に記載の釣り用リール。
【請求項5】
前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャがそれぞれ、少なくとも1つのピンを介して前記スプールに結合されている、請求項1に記載の釣り用リール。
【請求項6】
前記シャフトが前記フレームから外側に移動されたとき、前記スプールが、前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャのうちの少なくとも1つを、前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートのうちの少なくとも1つに向かって移動させるように構成されている、請求項1に記載の釣り用リール。
【請求項7】
前記スプールに加わる抵抗が、前記シャフトを前記フレームから内側又は外側に移動させることによって選択的に調節可能である、請求項1に記載の釣り用リール。
【請求項8】
前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャがそれぞれリング状である、請求項1に記載の釣り用リール。
【請求項9】
前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートとともに回転するように、前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートに結合されたハブと、
前記ハブを選択的に回転させるように構成されたハンドルと
をさらに含む、請求項1に記載の釣り用リール。
【請求項10】
前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートのうちの少なくとも1つが、前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャのうちの少なくとも1つと係合されているとき、前記ハンドルが前記スプールを回転させるように構成されている、請求項9に記載の釣り用リール。
【請求項11】
フレームと、
前記フレームに摺動可能に結合されたシャフトと、
前記シャフトを中心に回転するように構成されたスプールと、
第1のドラグ・ワッシャ、第2のドラグ・ワッシャ、及び第3のドラグ・ワッシャであって、前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャが前記スプールとともに回転するように、前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャのそれぞれが前記スプールに結合されている、第1のドラグ・ワッシャ、第2のドラグ・ワッシャ、及び第3のドラグ・ワッシャと、
第1のドラグ・プレート及び第2のドラグ・プレートであって、前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートのそれぞれが、前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャのうちの少なくとも1つと係合するように構成されている、第1のドラグ・プレート及び第2のドラグ・プレートと
を含む釣り用リールであって、
前記釣り用リールが第1の位置にあるとき、前記第1のドラグ・プレートが、前記第1のドラグ・ワッシャ及び前記第2のドラグ・ワッシャのそれぞれと係合し、前記第2のドラグ・プレートが、前記第3のドラグ・ワッシャと係合し、
前記釣り用リールが第2の位置にあるとき、前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャのうちの少なくとも1つと、前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートのうちの少なくとも1つとの間に隙間が形成される、釣り用リール。
【請求項12】
前記釣り用リールが前記第1の位置から前記第2の位置に移行するとき、前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートのうちの少なくとも1つが移動するように構成されている、請求項11に記載の釣り用リール。
【請求項13】
前記シャフトが前記フレームに向かって内側に移動されると、前記第1の位置から前記第2の位置に移行する、請求項11に記載の釣り用リール。
【請求項14】
前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャと、前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートとの間の締付け圧力を調節するように構成されたキャリブレーション・ノブをさらに含む、請求項11に記載の釣り用リール。
【請求項15】
前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャがそれぞれ、少なくとも部分的に炭素繊維で構成されている、請求項11に記載の釣り用リール。
【請求項16】
前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートを選択的に回転させるためのハンドルをさらに含む、請求項11に記載の釣り用リール。
【請求項17】
前記釣り用リールが前記第1の位置にあるとき、前記ハンドルが前記スプールを回転させるように構成されている、請求項16に記載の釣り用リール。
【請求項18】
前記釣り用リールが前記第1の位置にあるとき、前記釣り用リールが前記第2の位置にあるときよりも、前記スプールの回転に対してより大きな抵抗を生成するように構成されている、請求項11に記載の釣り用リール。
【請求項19】
前記釣り用リールが前記第1の位置から前記第2の位置に移行するとき、前記スプールが軸方向に移動する、請求項11に記載の釣り用リール。
【請求項20】
前記釣り用リールが前記第1の位置から前記第2の位置に移行するとき、前記スプールが、前記第1のドラグ・ワッシャ、前記第2のドラグ・ワッシャ、及び前記第3のドラグ・ワッシャのうちの少なくとも1つと、前記第1のドラグ・プレート及び前記第2のドラグ・プレートのうちの少なくとも1つとを移動させる、請求項19に記載の釣り用リール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、係属中である「TRIPLE LEVER DRAG SYSTEM」という名称の2023年3月3日付けで出願した米国仮特許出願第63/488,391号に対する優先権を主張するものであり、その全体の開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に、釣り用リールのドラグ機構に関し、より詳細には、複数のドラグ・ワッシャ及びドラグ・プレートを含む引き係合(pull-to-engage)ドラグ機構に関する。
【背景技術】
【0003】
従来の釣り用リールは、(例えば、魚によって)釣り糸に張力がかかったときにスプールの回転に対してドラグ又は抵抗を与えるためのドラグ機構を含む。釣り糸にかかる張力が、釣り糸が耐えられないほど大きくなると、ドラグ機構は、スプールが回転し、魚がリールから釣り糸を引き出すことを許容する。釣り糸に張力がかかっているときに魚がリールから釣り糸を引き出すことを許容することによって、ドラグ機構は釣り糸、ロッド、及び釣り人にかかる圧力を軽減する。
【0004】
典型的な実例では、炭素繊維のドラグ・ワッシャがスプールに固定され、金属のドラグ・プレートが釣り用リールのフレームに固定されている。ドラグ・ワッシャとドラグ・プレートとが(例えば、レバーによって)互いに接触させられると、摩擦が生じてドラグ・ワッシャに対するドラグ・プレートの回転に抵抗する。したがって、ドラグ・ワッシャとドラグ・プレートを互いに接触させて、スプールの回転及び糸の繰り出しに対する抵抗を生じさせることができる。
【0005】
典型的には、また好ましくは、ドラグ又は抵抗のレベルは、状況に適したドラグのレベルを得ることができるように、釣り人によって調節可能である。例えば、キャスティングのとき、最大キャスティング距離を得ることが望ましい場合があり、したがって、リールをドラグがほとんどないか全くない「フリー・スプール」モードにすることが望ましい場合がある。生き餌を使うとき、生き餌が泳ぐことができて魚をおびき寄せるが、生き餌が沈むことができないように、比較的低いレベルのドラグが望ましい場合がある。魚が引っかかったとき、魚が泳ぎ去ることに耐えるため、より高いレベルのドラグが望ましい場合がある。さらに、ドラグのレベルは、魚の大きさがよりよく推定されるにつれて、及び/又は、魚が疲れてくるにつれて、随時調節することができる。
【0006】
調節可能なドラグを提供するために、従来のリールの多くは、一般に、リールの側面に配置された回転可能なレバー及びキャリブレーション・ノブを含むレバー・ドラグ機構を利用する。レバーを第1の方向に前方に回転させると、ドラグ・ワッシャとドラグ・プレートは互いに対して進められ、ドラグ・ワッシャとドラグ・プレートとの間に摩擦を発生させるように締付け圧力が加えられる。ドラグ・ワッシャとドラグ・プレートとの間にかかる締付け圧力の量は、キャリブレーション・ノブを回転させることによって選択的に調節することができる。したがって、釣り人は、キャリブレーション・ノブを回転させることによって、ドラグのレベルを選択的に調節することができる。加えて、レバーを第2の方向に後方に回転させると、ドラグ・ワッシャとドラグ・プレートが互いから離される。したがって、釣り人は、レバーを第2の方向に後方に回転させて、リールを、スプールが最小限の抵抗で回転する「フリー・スプール」モードの状態にすることができる。
【0007】
この構成は調節可能なドラグを提供するが、いくつかの欠点を含む。従来のレバー・ドラグ機構は、1つのドラグ・ワッシャと1つのドラグ・プレートとを有する。したがって、従来のレバー・ドラグ機構では、摩擦を発生させる境界面は通常1つだけである。従来のレバー・ドラグ機構で望ましいレベルのドラグを生成するには、単一の境界面で比較的高い摩擦力が必要とされる。この比較的高い摩擦力によって、繰り返し使用するとドラグ・ワッシャ及びドラグ・プレートが摩耗する可能性がある。加えて、ドラグを与える境界面が1つだけなので、必要な摩擦を生成するために、ドラグ・ワッシャとドラグ・プレートとの間に比較的大きな締付け圧力が必要になる場合がある。ドラグ・ワッシャとドラグ・プレートとの間の比較的大きな締付け圧力は、スプールによって釣り糸を選択的に巻き取ることを厄介にする「側圧荷重(sideload)」を生じさせる可能性がある。
【0008】
さらに、既知のレバー・ドラグ機構は、典型的には、「押し係合(push-to-engage)」設計である。押し係合設計では、レバーを前方に回転させてドラグ機構を係合させると、シャフトは軸方向内側に並進移動する。シャフトが軸方向内側に押されることで、ドラグ・ワッシャをドラグ・プレートに接触させる。しかしながら、押し係合ドラグ機構は、釣り人にとって厄介な場合がある。例えば、釣り人が意図せずシャフトを内側に押しやすく、それによってドラグ機構を意図せず係合させる可能性がある。
【0009】
加えて、押し係合機構では、レバーの繰り返し操作及び周囲の振動(例えば、ボートからの振動)によって、キャリブレーション・ノブの位置が時間とともに変わる「ドラグ・ドリフト(drag drift)」が発生する場合がある。その結果、押し係合ドラグ機構では、レバーを回転させてもドラグのレベルに一貫性がなくなる場合があり、釣り人は時々キャリブレーション・ノブを再較正する必要があり得る。これとは対照的に、引き係合(pull-to-engage)ドラグ機構については、その内容が参照により本明細書に組み込まれる「PULL TO TURN LEVER DRAG PRESET KNOB」という名称の米国仮特許出願第17/995,522号には、ドラグ・ドリフトしにくいキャリブレーション・ノブが記載されている。
【0010】
したがって、既知のドラグ機構によって設けられる境界面よりも多くの境界面でドラグを発生させることができるドラグ機構の必要性がある。加えて、このようなドラグ機構は、シャフトがリール内に選択的に移動されるとスプールを自由に回転させることができる引き係合レバー・ドラグ機構であることが望ましい。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、上記で論じた従来技術のデバイスの欠点及び制限の多くを克服する。記載される本発明は、釣り用リールのスプールの回転を選択的に防止又は抵抗するためのドラグ機構を含む。ドラグ機構は、スプールに固定された複数のドラグ・ワッシャ(例えば、内側ドラグ・ワッシャ、中央ドラグ・ワッシャ、及び外側ドラグ・ワッシャ)を含む。釣り人が釣り用リールのレバーを第1の方向に前方に回転させると、シャフトは、釣り用リールのフレームから軸方向外側に並進移動することができる。シャフトが軸方向外側に引っ張られると、好ましくは、ドラグ・ワッシャはドラグ・プレート(例えば、内側ドラグ・プレートと外側ドラグ・プレート)に接触させられる。ドラグ・ワッシャとドラグ・プレートは、互いに対して圧力を加えて、ドラグ機構に摩擦を生成することができる。その結果、ドラグ機構は、ドラグ・プレートに対するドラグ・ワッシャの回転に抵抗することができる。したがって、ドラグ・ワッシャはスプールに固定することができるので、ドラグ機構はまた、好ましくは、スプールの回転を防止又は抵抗する。ドラグ機構を係合解除し、スプールが最小限の抵抗で回転できるようにするために、レバーを後方に第2の方向に回転させて、ドラグ・ワッシャをドラグ・プレートから離すことができる。
【0012】
本発明のこれら及び他の態様及び利点は、添付の図面に関連した以下の詳細な説明を考慮した後に、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の教示に従って構成されたドラグ機構を有する釣り用リールの正面断面図であり、ドラグ機構は係合解除位置にある。
図2】ドラグ機構が係合位置にある、図1の釣り用リールの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示は、様々な修正物及び代替の形態が可能であるが、その特定の実施例は、図に実例として示され、本明細書において詳細に説明される。しかしながら、本明細書に提示される図及び詳細な説明は、開示される特定の実施例に本開示を限定することを意図するものではなく、逆に、添付の特許請求の範囲によって規定される本開示の趣旨及び範囲内に入るすべての修正物、均等物、及び代替物を包含することを意図していることを理解すべきである。
【0015】
次に、図面を参照して本発明を説明するが、これらの図面では、図面全体を通じて同様の参照番号は同様の部分を指す。本発明の特徴を明確に説明するために、図面において要素の比例関係は必ずしも維持されていない。
【0016】
図1に示すように、釣り用リール1は、釣り竿(図示せず)と結合するように構成されたフレーム5と、フレーム5に回転可能に結合されたスプール10とを含むことができる。スプール10をフレーム5に保持するために、スプール10を、フレーム5の左側20からフレーム5の右側25に延在するシャフト15に支持することができる。スプール10の回転を容易にするために、スプール10を、第1のスプール軸受30及び第2のスプール軸受35を通るシャフト15に結合することができる。第1のスプール軸受30及び第2のスプール軸受35は、それぞれ、フレーム5の左側20及び右側25に近接してシャフト15に配置されてもよい。
【0017】
スプール10は、リール1に釣り糸を受けて保持するように設計することができる。例えば、スプール10は、釣り糸をスプール10に巻き付けることができるような砂時計形状(すなわち、直径が中間部よりも端部に向かって大きくなる円筒形)を有する実質的に円筒形であってもよい。釣り糸が第1の方向にスプール10に巻き付けられているとき、スプール10が第1の方向に回転すると、好ましくは、スプール10にさらなる釣り糸が巻き付けられる。したがって、スプール10を第1の方向に回転させると、好ましくは、釣り糸を「巻き取る」又は収納することができる。
【0018】
対照的に、スプール10が第1の方向とは反対の第2の方向に回転させられると、釣り糸はスプール10から巻き戻され、その結果、さらなる釣り糸が、好ましくは、リール1から放たれる又は「放出される」。釣り人が釣り糸をキャスティングする又はその他のことで釣り糸を放出するとき、釣り人はスプール10が比較的低い抵抗で回転することを望む場合がある。これを容易にするために、釣り人は、図1に示すように、ドラグ機構40を係合解除位置に配置することができる。
【0019】
ドラグ機構40が係合解除位置にあるとき、スプール10は、好ましくは、最小限の抵抗で回転する。例えば、ドラグ機構40は、(図2に関連して説明するように)互いに選択的に係合可能な内側ドラグ・ワッシャ45、中央ドラグ・ワッシャ50、外側ドラグ・ワッシャ55、内側ドラグ・プレート60、及び外側ドラグ・プレート65を含むことができる。ドラグ機構40が係合解除位置にあるとき、内側ドラグ・ワッシャ45と内側ドラグ・プレート60との間に第1の隙間70を形成することができる。加えて、内側ドラグ・プレート60と中央ドラグ・ワッシャ50との間に第2の隙間75を形成することができる。さらに、外側ドラグ・ワッシャ55と外側ドラグ・プレート65との間には、第3の隙間80を形成することができる。したがって、ドラグ機構40が係合解除位置にあるとき、リール1は、スプール10が最小限の抵抗で回転するような「フリー・スプール」モードにあることができる。
【0020】
図2を参照すると、釣り人が魚を引っかけたとき、釣り人は、好ましくは、さらなる釣り糸の放出を防ぐように、リール1がスプール10の回転に抵抗することを望む場合がある。このような構成を容易にするために、釣り人は、図2に示すように、ドラグ機構40を係合位置に配置することができる。
【0021】
ドラグ機構40を係合位置に配置するために、釣り人は、レバー(図示せず)を第1の方向に回転させて、好ましくは、シャフト15をリール1から軸方向外側に引く又は並進移動させることができる。レバーは、フレーム5の右側25に配置されてもよいが、代替の実施例では、レバーは、左側20に配置されてもよい。より詳細には、レバーは、シャフト15の第1の端部85に結合されていてもよい。レバーが後方に回転されると、シャフト15の第1の端部85は、好ましくは、フレーム5の右側25から閾値距離離れるように並進移動する。閾値距離は、シャフト15の第1の端部85にねじ結合されたキャリブレーション・ノブ90を回転することによって、釣り人によって調節することができる。
【0022】
シャフト15がリール1から軸方向外側に並進移動する結果、好ましくは、スプール10及びシャフト・ハブ95は右側25に向かって並進移動する。より詳細には、シャフト15のフランジ100がシャフト・ハブ95と係合して、好ましくは、シャフト・ハブ95を右側25に向かって引っ張ることができる。シャフト・ハブ95が右側25に向かって移動すると、シャフト・ハブ95の半径方向リップ105がスプール10と係合して、好ましくは、スプール10も右側25に向かって移動させることができる。
【0023】
図2にさらに示すように、スプール10が右側25に向かって並進移動する結果、好ましくは、ドラグ・ワッシャ45、50、55がドラグ・プレート60、65と接触してドラグ機構40に摩擦係合を生成する。特に、ドラグ・ワッシャ45、50、55及びドラグ・プレート60、65は互いに向かって移動することができ、その結果、隙間70、75、80(図1参照)がなくなる前に実質的に狭くなることができる。ドラグ・ワッシャ45、50、55はリング状であってもよく、ドラグ・プレート60、65は円板状(例えば、実質的に円形のプレート)であってもよいが、他の構成も予測可能である。いくつかの実施例では、ドラグ・ワッシャ45、50、55及び/又はドラグ・プレート60、65は金属及び/又は炭素繊維から構成されてもよい。
【0024】
より詳細には、スプール10が右側25に向かって並進移動すると、スプール10は、内側ドラグ・ワッシャ45に当接して、好ましくは、内側ドラグ・ワッシャ45を右側25に向かって並進移動させることができる。その結果、スプール10は、内側ドラグ・ワッシャ45が内側ドラグ・プレート60に接触させられるように内側ドラグ・ワッシャ45を押すことができる。さらに、スプール10及び内側ドラグ・ワッシャ45の並進移動は、内側ドラグ・プレート60を、中央ドラグ・ワッシャ50と接触させるように押す又は配置することができる。中央ドラグ・ワッシャ50は、外側ドラグ・ワッシャ55に結合されてもよく、その結果、外側ドラグ・ワッシャ55は、好ましくは、外側ドラグ・プレート65と接触するよう押される又は配置される。したがって、ドラグ機構40が係合されると、内側ドラグ・ワッシャ45と内側ドラグ・プレート60との間、内側ドラグ・プレート60と中央ドラグ・ワッシャ50との間、及び外側ドラグ・ワッシャ55と外側ドラグ・プレート65との間に摩擦を発生させることができる。したがって、ドラグ機構40は、好ましくは、3つの境界面で摩擦を生成することができる。
【0025】
ドラグ・ワッシャ45、50、55とドラグ・プレート60、65とが摩擦係合すると、好ましくは、スプール10は回転に抵抗することができる。例えば、ドラグ・ワッシャ45、50、55は、スプール10とともにシャフト15を中心に回転するように、スプール・ピン110でスプール10に結合することができる。ドラグ・ワッシャ45、50、55とは対照的に、ドラグ・プレート60、65は、シャフト15を中心に選択的に回転可能とすることができるドラグ・プレート・ハブ115に結合することができる。その結果、ドラグ・ワッシャ45、50、55がドラグ・プレート60、65と摩擦係合しているとき、スプール10は、好ましくは、ドラグ・プレート・ハブ115に対して回転することに抵抗する。
【0026】
スプール10がドラグ機構40を介してドラグ・プレート・ハブ115に結合されているとき、ハンドル(図示せず)を使用してドラグ・プレート・ハブ115、したがってスプール10を選択的に回転させることができる。ハンドルは、フレーム5に回転可能に結合することができ、ギア120、125を介してドラグ・プレート・ハブ115と係合して、ドラグ・プレート・ハブ115を回転させることができる。例えば、ハンドルは第1のギア120に結合することができ、第2のギア125は第1のギア120及びドラグ・プレート・ハブ115と接続することができる。したがって、ドラグ・プレート・ハブ115は、好ましくは、ハンドルが回転されるとシャフト15を中心に回転することができる。
【0027】
その結果、ドラグ機構40が係合されているとき、釣り人はハンドルを使ってスプール10を第1の方向に回転させて、さらなる釣り糸を巻き取ることができる。加えて、釣り人がハンドルを定位置に固定した場合、スプール10とドラグ・プレート・ハブ115とが結合していることが、スプール10が回転して釣り糸を放出するのを防止するのに役立つことができる。
【0028】
ドラグのレベルを設定するために、釣り人はキャリブレーション・ノブ90を回転させて、レバーの回転に応じてシャフト15が移動する閾値距離を調節することができる。閾値距離を短くすると、シャフト15は右側25に向かってさらに並進移動する。その結果、ドラグ・ワッシャ45、50、55とドラグ・プレート60、65とは互いに対して大きな圧力を加え、より大きなレベルのドラグが生じる。したがって、閾値距離を短くするようにキャリブレーション・ノブ90を回転すると、ドラグのレベルは、好ましくは、増大する。逆に、閾値距離を長くするようにキャリブレーション・ノブ90を回転した場合、シャフト15は、好ましくは、レバーの回転に応じてより短い距離を並進移動する。したがって、閾値距離を短くするようにキャリブレーション・ノブ90を回転した場合、ドラグ機構40は、好ましくは、より高いレベルの摩擦及びドラグを生じる。
【0029】
釣り糸にかかる張力がドラグ・ワッシャ45、50、55とドラグ・プレート60、65との間に生じる摩擦力を超える場合、ドラグ機構40は、ドラグ・ワッシャ45、50、55とドラグ・プレート60、65との間の回転を許容することができる。したがって、スプール10はさらなる釣り糸を放出するように回転することができる。釣り糸が切れるのを防ぐ助けとなるように、釣り人は、ドラグ機構40に生じる摩擦が釣り糸の強度以下となるようにキャリブレーション・ノブ90を調節することができる。したがって、釣り糸の強度よりも大きな張力に対しては、スプール10は回転してさらなる釣り糸を放出して、好ましくは、釣り糸の張力を緩和することができる。
【0030】
前述の説明から明らかなように、本発明の特定の態様は、本明細書に示された実例の特定の詳細によって限定されるものではなく、したがって、それらの他の修正物、応用物、変形物、又は均等物が当業者に想起されることが企図される。しかしながら、本発明の構成物の多くのこのような変更物、修正物、変形物、及び他の使用物及び応用物は、本明細書及び添付の図面を考慮した後に、当業者には明らかになるであろう。加えて、上記でそうでないとの言及がなされていない限り、添付図面はすべては縮尺通りではないことに留意すべきである。本発明の趣旨及び範囲から逸脱しないすべてのこのような変更物、修正物、変形物、及び応用物での他の使用物は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明によって包含されるものとみなされる。
図1
図2
【外国語明細書】