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特開2024-125215樹脂組成物、表示装置の製造方法、及び表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125215
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】樹脂組成物、表示装置の製造方法、及び表示装置
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20240906BHJP
   C08F 220/30 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
C08F290/06
C08F220/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024031106
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】10-2023-0028720
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】森田 惠介
【テーマコード(参考)】
4J100
4J127
【Fターム(参考)】
4J100AL03R
4J100AL08P
4J100AL08Q
4J100BA11P
4J100BA12P
4J100BC08Q
4J100BC43P
4J100CA05
4J100DA01
4J100DA04
4J100EA05
4J100FA03
4J100FA19
4J100JA01
4J100JA03
4J100JA05
4J127AA03
4J127BA041
4J127BB031
4J127BB091
4J127BB221
4J127BC021
4J127BD471
4J127CB151
4J127CB152
4J127CC012
4J127CC091
4J127DA47
4J127DA62
4J127DA63
4J127DA66
4J127EA13
4J127FA08
4J127FA14
4J127FA21
(57)【要約】
【課題】酸素を含む大気下で硬化する際に優れた粘着性を示す樹脂組成物、及びそれを利用して形成される接着部材を含む表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】一実施例の樹脂組成物は、第1乃至第3単量体を含んで重合された(メタ)アクリレート共重合体と、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、単官能(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤とを含む。前記(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量は1,000g/mol以上50,000g/mol未満であり、前記第1単量体は特定の化学式構造で表され、前記第2単量体はアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、及びアルコキシ(メタ)アクリレートのうちの少なくとも一つを含み、前記第3単量体は脂環式(メタ)アクリレートである。一実施例の表示装置は、ウィンドウと表示モジュールとの間に前記樹脂組成物から由来する重合体を含む接着部材を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1乃至第3単量体を含んで重合された(メタ)アクリレート共重合体と、
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、
単官能(メタ)アクリレートモノマーと、
光重合開始剤と、を含み、
前記(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量は1,000g/mol以上50,000g/mol未満であり、
前記第1単量体は下記化学式1で表され、
前記第2単量体は、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びアルコキシアルキル(メタ)アクリレートのうちのいずれか一つを含み、
前記第3単量体は脂環式(メタ)アクリレートである樹脂組成物:
<化学式1>


前記化学式1において、
は水素原子またはメチル基であり、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、非置換の炭素数1以上18以下のアルキル基、非置換の炭素数1以上12以下のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、またはハロゲン原子であり、
xは0以上4以下の整数であり、yは0以上5以下の整数である。
【請求項2】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、単官能(メタ)アクリレートモノマー、及び光重合開始剤の100重量部に対して、
前記(メタ)アクリレート共重合体は0.1以上50以下の重量部で含まれる請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリレート共重合体は、1mol%以上50mol%以下の前記第1単量体を、重合された形態で含む請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、重量平均分子量が5,000以上100,000以下である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
光硬化後、25℃でのJISK6854に準拠した剥離強度が400gf/25mm以上である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
光硬化後、60℃でのJISK6854に準拠した剥離強度が100gf/25mm以上である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記(メタ)アクリレート共重合体はガラス転移温度が100℃以上である請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
第1基材の上に樹脂組成物を提供するステップと、
大気下で前記樹脂組成物に紫外線光を照射して接着部材を形成するステップと、
前記接着部材の上に第2基材を提供するステップと、を含み、
前記樹脂組成物は、
第1乃至第3単量体を含んで重合された(メタ)アクリレート共重合体と、
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、
単官能(メタ)アクリレートモノマーと、
光重合開始剤と、を含み、
前記第1単量体は下記化学式1で表され、
前記第2単量体は、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びアルコキシアルキル(メタ)アクリレートのうちいずれか一つを含み、
前記第3単量体は脂環式(メタ)アクリレートである表示装置の製造方法:
<化学式1>


前記化学式1において、
は水素原子またはメチル基であり、
及びRは、それぞれ独立して、水素原子、非置換の炭素数1以上18以下のアルキル基、非置換の炭素数1以上12以下のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、またはハロゲン原子であり、
xは0以上4以下の整数であり、yは0以上5以下の整数である。
【請求項9】
前記(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量は1,000g/mol以上50,000g/mol未満である請求項8に記載の表示装置の製造方法。
【請求項10】
表示パネルと、
前記表示パネルの上に配置されるウィンドウと、
前記表示パネルと前記ウィンドウとの間に配置され、請求項1乃至7のうちいずれか一項に記載の樹脂組成物から由来する重合体を含む接着部材と、を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂組成物、接着部材の製造を含む表示装置の製造方法、及びそれによって製造された表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ、携帯電話、タブレットコンピュータ、ナビゲーション、ゲーム機などといったマルチメディア装置に使用される多様な表示装置が開発されている。多様な形状の表示装置に適用される接着部材を形成するために使用される接着樹脂は、多様な形態の表示装置の部材に対して優れたコーティング性を有する必要がある。
【0003】
一方、接着部材を形成するために酸素を含む大気下で接着樹脂を硬化させる場合、硬化阻害現象が発生し、接着性が不十分であるため、それを解決するための方案が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2021-0052993号公報(KR2021-0052993A)
【特許文献2】韓国公開特許第10-2022-0044300号公報(KR2022-0044300A)
【特許文献3】韓国公開特許第10-2022-0034613号公報(KR2022-0034613A)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、酸素を含む大気下で硬化する際に優れた粘着性を示す樹脂組成物、及びそれを利用して形成される接着部材を含む表示装置の製造方法を提供することである。
【0006】
また、本発明の目的は、常温及び高温で接着信頼性が優秀な接着部材を含む表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施例の樹脂組成物は、第1乃至第3単量体を含んで重合された(メタ)アクリレート共重合体と、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、単官能(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤とを含み得る。前記(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量は1,000g/mol以上50,000g/mol未満であり得る。前記第1単量体は下記化学式1で表され、前記第2単量体は、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びアルコキシアルキル(メタ)アクリレートのうちのいずれか一つを含み、前記第3単量体は脂環式(脂肪族環式)の(メタ)アクリレートであり得る。
【0008】
<化学式1>

【0009】
前記化学式1において、Rは水素原子またはメチル基であり、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、非置換の炭素数1以上18以下のアルキル基、非置換の炭素数1以上12以下のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、またはハロゲン原子であり、xは0以上4以下の整数であり、yは0以上5以下の整数である。
【0010】
一実施例の樹脂組成物において、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、単官能(メタ)アクリレートモノマー、及び光重合開始剤の100重量部に対して、前記(メタ)アクリレート共重合体は0.1以上50以下の重量部で含まれ得る。
【0011】
一実施例の樹脂組成物において、前記(メタ)アクリレート共重合体は1mol%以上50mol%以下の前記第1単量体を重合された形態で含み得る。
【0012】
一実施例の樹脂組成物において、前記ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは重量平均分子量が5,000以上100,000以下であり得る。
【0013】
一実施例の樹脂組成物は、光硬化後に、25℃でのJISK6854に準拠した剥離強度が400gf/25mm以上であり、60℃でのJISK6854に準拠した剥離強度が100gf/25mm以上であり得る。
【0014】
一実施例の樹脂組成物は有機溶剤を含まないのであり得る。
【0015】
一実施例の樹脂組成物において、前記(メタ)アクリレート共重合体はガラス転移温度が100℃以上であり得る。
【0016】
一実施例の樹脂組成物において、前記第1単量体は4-ベンゾイルフェニルメタクリレートであり得る。
【0017】
一実施例の表示装置の製造方法は、第1基材の上に、上述した一実施例の樹脂組成物を提供するステップと、大気下で前記樹脂組成物に紫外線光を照射して接着部材を形成するステップと、前記接着部材の上に第2基材を提供するステップとを含み得る。
【0018】
一実施例の表示装置は、表示パネルと、前記表示パネルの上に配置されるウィンドウと、前記表示パネルと前記ウィンドウとの間に配置される接着部材とを含むのであり、前記接着部材は、上述した一実施例の樹脂組成物から由来する重合体を含み得る。
【発明の効果】
【0019】
一実施例の樹脂組成物は、光硬化の際に大気中の酸素によって表面硬化が阻害される現象を抑制する特性を提供し得る。それに伴い、一実施例の樹脂組成物からなる接着部材は、常温だけでなく高温領域でも優れた粘着性を示し得る。
【0020】
一実施例の接着部材は、優れた剥離強度を有することから、それを含む表示装置は、優れた接着信頼性を示し得る。
【0021】
また、一実施例の表示装置の製造方法によると、大気下で、一度の光照射によって接着部材を製造し得るため、追加の工程増加及び設備増設を必要とせず、生産効率を向上させ得ることから、製造コストが節減し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施例の表示装置を示す斜視図である。
図2】一実施例の表示装置を示す分解斜視図である。
図3】一実施例の表示装置を示す断面図である。
図4a】一実施例の表示装置の製造ステップを概略的に示す図である。
図4b】一実施例の表示装置の製造ステップを概略的に示す図である。
図4c】一実施例の表示装置の製造ステップを概略的に示す図である。
図5】一実施例の表示装置を示す断面図である。
図6】一実施例の表示装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、多様な変更を加えることができ、多様な形態を有することができるゆえ、特定の実施例を図面に例示し、本文に詳細に説明する。しかし、これは、本発明を特定な開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解すべきである。
【0024】
本明細書において、ある構成要素(または領域、層、部分など)が他の構成要素の「上にある」、または「結合される」と言及されれば、それは他の構成要素の上に直接配置・連結・結合され得るか、またはそれらの間に第3の構成要素が配置され得ることを意味する。
【0025】
同じ図面符号は同じ構成要素を指す。また、図面において、構成要素の厚さ、割合、及び寸法は技術的内容の効果的な説明のために誇張されている。「及び/または」は、関連する構成要素が定義する一つ以上の組み合わせを全て含む。
【0026】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使用されるが、前記構成要素は前記用語に限らない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にのみ使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しないながらも第1構成要素は第2構成要素と命名されてもよく、類似して第2構成要素も第1構成要素と命名され得る。単数の表面は文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。
【0027】
また、「下に」、「下側に」、「上に」、「上側に」などの用語は、図面に示した構成要素の連関関係を説明するために使用される。前記用語は相対的な概念であって、図面に示した方向を基準に説明される。
【0028】
「含む」または「有する」などの用語は明細書の上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解すべきである。
【0029】
異なるように定義されない限り、本明細書で使用された全ての用語(技術的及び科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるようなものと同じ意味を有する。また、一般的に使用される辞書で定義された用語と同じ用語は、関連技術の脈絡で有する意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、ここで明示的に定義されない限り、過度に、理想的であるか形式的な意味に解釈してはならない。
【0030】
以下では図面を参照して、本発明の一実施例の接着部材及びそれを含む表示装置について説明する。図1は、一実施例の表示装置を示す斜視図である。図2は、一実施例による表示装置の分解斜視図である。
【0031】
図1に示した一実施例の表示装置DDは、電気的信号によって活性化される装置である。例えば、表示装置DDは、パソコン、ノートパソコン、個人デジタル端末機、ゲーム機、携帯用電子機器、テレビ、モニタ、外部広告板、カーナビゲーション、またはウェアラブル装置であるが、実施例はこれに限らない。図1では、表示装置DDが携帯電話であることを例示的に示している。
【0032】
図1を参照すると、一実施例による表示装置DDは、表示面DAを介して映像IMを表示し得る。表示領域DAは、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2によって定義される平面を含み得る。表示装置DDは、第3方向軸DR3の方向に向かって映像IMを表示領域DAに表示し得る。表示領域DAは、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2が定義する平面の少なくとも一側から曲げられる曲面を含み得る。図1に示した一実施例の表示装置DDは、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2が定義する平面の両側面からそれぞれ曲げられる2つの曲面を含むと示されている。但し、表示領域DAの形状はこれに限らない。例えば、表示領域DAは、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2によって定義される平面のみを含んでもよく、表示領域DAは、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2によって定義される平面の少なくとも2つ以上、例えば、4つの側面からそれぞれ曲げられる4つの曲面を更に含んでもよい。
【0033】
一実施例の表示装置DDは、フレキシブル(flexible)なものであり得る。「フレキシブル」とは曲げられる特性を意味するのであり、完全に折りたたまれる構造から、数ナノメートルレベルに曲げられる構造まで、全てを含み得る。例えば、表示装置DDは、折りたたみ可能な(foldable)表示装置であり得る。また、表示装置DDはリジッド(rigid)なものであり得る。
【0034】
非表示領域NDAは、表示領域DAに隣接した領域であり得る。非表示領域NDAは表示領域DAを囲み得る。それによって、表示領域DAの形状は実質的に非表示領域NDAによって定義され得る。但し、これは例示的な図示であって、非表示領域NDAは表示領域DAの一側にのみ隣接して配置されてもよく、省略されてもよい。表示領域DAは多様な形状に提供され、いずれか一つの実施例に限らない。
【0035】
図1及び以下の図面には第1方向軸DR1乃至第3方向軸DR3を示したが、本明細書で説明される第1乃至第3方向軸DR1、DR2、DR3が指示する方向は、相対的な概念であって、他の変更に変換されてもよい。また、第1乃至第3方向軸DR1、DR2、DR3が指示する方向は、第1乃至第3方向と説明され、同じ図面符号が使用され得る。本明細書では、第1方向軸DR1と第2方向軸DR2とは互いに直交し、第3方向軸DR3は、第1方向軸R1と第2方向軸DR2とが定義する平面に対する、法線方向であり得る。
【0036】
表示装置DDの厚さ方向は、第1方向軸DR1及び第2方向軸DR2が定義する表面に対する法線方向である、第3方向軸DR3に沿った方向であり得る。本明細書において、表示装置DDを構成する部材の前面(または上面、上部面、上側)と背面(または下面、下部面、下側)は、第3方向軸DR3を基準に定義され得る。また、本明細書において、第3方向軸DR3が延長される方向は、厚さ方向に沿っており、前面(または上面、上部面、上側)は、映像IMが表示される面と隣接する面(または方向)を意味し、背面(または下面、下部面、下側)は、映像IMが表示される面と離隔される面(または方向)を意味し得る。
【0037】
図2を参照すると、表示装置DDは、表示モジュールDMと、表示モジュールDMの上に配置されるウィンドウWPと、表示モジュールDMとウィンドウWPとの間に配置される接着部材APとを含み得る。また、表示装置DDは表示モジュールDMが収納される筐体HAUを更に含み得る。
【0038】
図1及び図2に示した表示装置DDにおいて、ウィンドウWPと筐体HAUが結合されて表示装置DDの外観を構成し得る。筐体HAUは、表示モジュールDMの下側に配置され得る。筐体HAUは相対的に高い剛性を有する物質を含み得る。例えば、筐体HAUは、ガラス、プラスチック、または金属からなる複数のフレーム及び/またはプレートを含んでもよい。筐体HAUは所定の収容空間を提供し得る。表示モジュールDMは収容空間内に収容されて外部の衝撃から保護され得る。
【0039】
表示モジュールDMは電気的信号によって活性化され得る。表示モジュールDMは、活性化されて表示装置DDの表示領域DA(図1)に映像IM(図1)を表示し得る。表示モジュールDMには、アクティブ領域AA-DMと周辺領域NAA-DMが定義され得る。アクティブ領域AA-DMは電気的信号によって活性化される領域であり得る。周辺領域NAA-DMは、アクティブ領域AA-DMの少なくとも一側に隣接して位置する領域であり得る。周辺領域NAA-DMにはアクティブ領域AA-DMを駆動するための回路や配線などが配置され得る。
【0040】
接着部材APは一実施例の樹脂組成物からなり得る。接着部材APは、一実施例の樹脂組成物から由来する重合体を含み得る。一実施例の樹脂組成物については後述する。接着部材APによって、表示モジュールDMとウィンドウWPとが結合され得る。接着部材APは、約25℃の常温及び約60℃の高温で優れた接着特性を示し得る。
【0041】
ウィンドウWPは、透過領域TAと、ベゼル領域BZAとを含み得る。透過領域TAとベゼル領域BZAとを含むウィンドウWPの前面は表示装置DDの前面に当たる。透過領域TAは、表示モジュールDMのアクティブ領域AA-DMの少なくとも一部と重畳し得る。透過領域TAは光学的に透明な領域である。映像IM(図1)は、透過領域TAを介してユーザに提供され得る。
【0042】
ベゼル領域BZAは、透過領域TAに比べ相対的に光透過率が低い領域であり得る。ベゼル領域BZAは透過領域TAの形状を定義し得る。ベゼル領域BZAは、透過領域TAに隣接して透過領域TAを囲み得る。ベゼル領域BZAは所定のカラーを有し得る。ベゼル領域BZAは、表示モジュールDMの周辺領域NAA-DMをカバーし、周辺領域NAA-DMが外部から視認されることを遮断し得る。但し、実施例はこれに限らず、ベゼル領域BZAは、透過領域TAの一側にのみ隣接して配置されてもよく、一部が省略されてもよい。
【0043】
図3は、一実施例による表示装置DDを示す断面図である。図3では、図2の筐体HAUを省略し、表示モジュールDM、接着部材AP、及びウィンドウWPを示している。
【0044】
図3を参照すると、表示モジュールDMは、表示パネルDPと、表示パネルDPの上に配置される入力感知部TPとを含み得る。表示パネルDPは、ベース基板BSと、ベース基板BSの上に配置される回路層DP-CLと、回路層DP-CLの上に配置される表示素子層DP-ELと、表示素子層DP-ELをカバーする封止層TFEと、を含み得る。一実施例の表示装置DDは、表示パネルDPとウィンドウWPとの間に配置される接着部材APを含み得る。例えば、一実施例の表示装置DDにおいて、接着部材APは、入力感知部TPとウィンドウWPとの間に配置され得る。接着部材APは、光学透明接着樹脂層(OCR、opticallyclearadhesiveresinlayer)であり得る。
【0045】
一方、図3などに示した表示パネルDPの構成は例示的なものであって、表示パネルDPの構成はこれに限らない。例えば、表示パネルDPは液晶表示素子を含んでもよいが、この場合は封止層TFEが省略されてもよい。
【0046】
ベース基板BSは、回路層DP-CLが配置されるベース面を提供し得る。ベース基板BSは、曲げ(bending)、折りたたみ(folding)、巻き(rolling)などが可能なフレキシブル基板であり得る。ベース基板BSは、ガラス基板、金属基板、または高分子基板などであり得る。しかし、実施例はこれに限らず、ベース基板BSは、無機層、有機層、または複合材料層を含んでもよい。
【0047】
回路層DP-CLは、絶縁層、半導体パターン、導電パターン、及び信号ラインなどを含み得る。例えば、回路層DP-CLは、表示素子層DP-ELの発光素子(図示せず)を駆動するためのスイッチングトランジスタと駆動トランジスタとを含み得る。
【0048】
表示素子層DP-ELは、光を放出する発光素子(図示せず)を含み得る。例えば、発光素子(図示せず)は、有機発光物質、無機発光物質、有機-無機発光物質、量子ドット、量子ロッド、マイクロLED、またはナノLEDを含み得る。
【0049】
封止層TFEは、表示素子層DP-ELの上側に配置され得る。封止層TFEは、水分、酸素、及び/または、ほこり粒子などといった異物から発光素子層DP-ELを保護し得る。封止層TFEは少なくとも一つの無機層を含み得る。また、封止層TFEは、少なくとも一つの有機層と少なくとも一つの無機層とを含み得る。例えば、封止層TFEは、次の順で順次に積層される、無機層と、有機層と、さらなる無機層とを含み得る。
【0050】
入力感知部TPは表示パネルDPの上に配置され得る。例えば、入力感知部TPは、表示パネルDPの封止層TFEの上に直接配置され得る。入力感知部TPは、外部の入力を感知して所定の入力信号に変更し、入力信号を表示パネルDPに提供し得る。例えば、一実施例の表示装置DDにおいて、入力感知部TPは、タッチを感知するタッチ感知部であり得る。入力感知部TPは、ユーザの直接タッチ、ユーザの間接タッチ、物体の直接タッチ、または物体の間接タッチを認識し得る。
【0051】
入力感知部TPは、外部から印加されるタッチの位置及びタッチの強度(圧力)のうちの少なくともいずれか一つを感知し得る。入力感知部TPは、多様な構造を有するか多様な物質からなり、いずれか一つの実施例に限らない。入力感知部TP、は外部の入力を感知するための複数個の感知電極(図示せず)を含み得る。感知電極(図示せず)は、静電容量方式で外部の入力を感知し得る。表示パネルDPは、入力感知部TPから入力信号を提供され、入力信号に対する映像を生成し得る。
【0052】
ウィンドウWPは、表示パネルDP及び入力感知部TPなどを保護し得る。表示パネルDPで生成された映像IM(図1)は、ウィンドウWPを透過してユーザに提供され得る。ウィンドウWPは表示装置DDのタッチ面を提供し得る。
【0053】
ウィンドウWPはベース層BLと、プリント層BMとを含み得る。図示していないが、ウィンドウWPは、ベース層BLの上に提供される少なくとも一つの機能性層(図示せず)を更に含み得る。例えば、機能性層(図示せず)は、ハードコーティング層、指紋防止コーティング層などであってもよいが、実施例はこれに限らない。
【0054】
ベース層BLは、ガラス基板またはプラスチック基板であり得る。例えば、一実施例のウィンドウWPにおいて、ベース層BLとして強化ガラス基板が使用され得る。または、ベース層BLは可撓性のある高分子樹脂からなり得る。例えば、ベース層BLは、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリメチルメタアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリスチレン、エチレン-ビニルアルコール共重合体、またはこれらの組み合わせからなり得る。
【0055】
プリント層BMはベース層BLの一面の上に配置され得る。プリント層BMは、表示モジュールDMに隣接したベース層BLの下部面に提供され得る。プリント層BMはベース層BLの縁領域に配置され得る。プリント層BMはインクプリント層であり得る。また、プリント層BMは、顔料または染料を含んで形成される層であり得る。ウィンドウWPにおいて、ベゼル領域BZAは、プリント層BMが提供される部分であり得る。
【0056】
接着部材APはウィンドウWPの下方に配置され得る。ウィンドウWPにおいて、プリント層BMが提供されていないベース層BLとプリント層BMとの間には段差SP-aが存在し得る。一実施例による樹脂組成物からなる接着部材APは、良好な柔軟性及び高い接着力を有することで、段差SP-a部分が浮き上がることなくウィンドウWPに取り付けられ得る。
【0057】
一実施例の樹脂組成物は、(メタ)アクリレート共重合体と、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、単官能(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤とを含み得る。本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレート及び/またはメタアクリレートを意味し得る。
【0058】
(メタ)アクリレート共重合体は、第1単量体と、第2単量体と、第3単量体とを含んで重合されたものであり得る。(メタ)アクリレート共重合体は、第1単量体と、第2単量体と、第3単量体とを含む単量体混合物から重合されたものであり得る。それに伴い、(メタ)アクリレート共重合体は、第1単量体由来の第1繰返し単位と、第2単量体由来の第2繰返し単位と、第3単量体由来の第3繰返し単位とを含み得る。
【0059】
第1単量体は、ベンゾフェノン部分構造を有する(メタ)アクリレートであり得る。一実施例の樹脂組成物は、(メタ)アクリレート共重合体を含むのであって、このような(メタ)アクリレート共重合体は、第1単量体由来の第1繰返し単位を含むことで、光硬化の際に(メタ)アクリレート共重合体中のベンゾフェノン部分構造による水素引き抜き反応によって、(メタ)アクリレート共重合体が樹脂組成物中のマトリックスと架橋構造を形成し得ることから、優れた接着性を提供し得る。例えば、第1単量体は、下記化学式1で表され得る。
【0060】
<化学式1>

【0061】
化学式1において、Rは水素原子またはメチル基であり得る。R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、非置換の炭素数1以上18以下のアルキル基、非置換の炭素数1以上12以下のアルコキシ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、またはハロゲン原子であり得る。
【0062】
化学式1において、xは0以上4以下の整数であり得るのであって、yは0以上5以下の整数であり得る。化学式1において、x及びyのそれぞれが0であれば、化学式1は、R及びRのそれぞれに置換されていないのであり得る。よって、化学式1において1xが0であれば、一実施例の第1単量体は、Rに置換されていないのであり得る。また、yが0であれば、一実施例の第1単量体は、Rに置換されていないのであり得る。化学式1において、xが4で、4つのRがいずれも水素原子であれば、xが0である場合と同じであり得る。xが2以上の整数であれば、複数で提供されるRは、いずれも同じであり得るか、または複数のRのうちの少なくとも一つが残りとは異なり得る。yが5であって、5つのRがいずれも水素原子であれば、yが0である場合と同じであり得る。yが2以上の整数であれば、複数で提供されるRは、いずれも同じであり得るか、または複数のRのうちの少なくとも一つが残りとは異なり得る。
【0063】
例えば、化学式1のRはメチル基であり、R及びRのそれぞれは水素原子であり得る。つまり、第1単量体は4-ベンゾイルフェニルメタクリレートであり得るが、実施例はこれに限らない。第1単量体は、4-ベンゾイルフェニル-4’-メチル-ベンゾフェニル、4-ベンゾイルフェニル-2’-メチル-ベンゾフェニルなどであってもよい。
【0064】
一実施例において、第1単量体は全体に対する共重合体の割合が、0.1mol%以上50mol%以下であり得る。例えば、(メタ)アクリレート共重合体は、1mol%以上50mol%以下にて、第1単量体が重合された形態で含み得る。つまり、(メタ)アクリレート共重合体100mol%を基準に、第1単量体由来の第1繰返し単位の含量は、1mol%以上50mol%以下であり得る。一実施例の樹脂組成物は、第1単量体が前記含量で重合された(メタ)アクリレート共重合体を含むことで、大気下で光を硬化する際に、酸素によって表面硬化が阻害されることを抑制し得ることから、常温及び高温の領域で優れた粘着性/接着性(粘着性及び/または接着性)を示し得る。
【0065】
第2単量体は、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びアルコキシアルキル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも一つを含み得る。
【0066】
例えば、アルキル(メタ)アクリレートは、アルキル基を有する(メタ)アクリレートであり得る。アルキル(メタ)アクリレートは、非置換の炭素数1以上18以下のアルキル基を含有する(メタ)アクリレートであり得る。例えば、アルキル(メタ)アクリレートは、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、へプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも一つを含み得る。
【0067】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、ヒドロキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートであり得る。例えば、ヒドロキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、-(CH-OHであり得るのであって、ここで、nは自然数であり得る。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、少なくとも一つのヒドロキシ基を有する炭素数1以上15以下のアルキル(メタ)アクリレートであり得る。例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、及び8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレートのうちの少なくとも一つを含み得る。
【0068】
アルコキシアルキル(メタ)アクリレートは、アルコキシ基を有するアルキル(メタ)アクリレートであり得る。アルコキシアルキル(メタ)アクリレートは、炭素数1以上10以下のアルコキシ基を含有するアルキル(メタ)アクリレートであり得る。例えば、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートは、メトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシメチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどであってもよいが、実施例はこれに限らない。
【0069】
第3単量体は、脂環式(脂肪族環式)の(メタ)アクリレートであり得る。脂環式(脂肪族環式)の(メタ)アクリレートは、置換または非置換の炭素数3以上20以下のシクロアルキル基を含有する(メタ)アクリレートであり得る。例えば、脂環式の(メタ)アクリレートは、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートのうち少なくとも一つを含み得る。
【0070】
一実施例の樹脂組成物は、上述した(メタ)アクリレート共重合体を含むことで、酸素存在下で光硬化を行う場合であっても、基材の上に塗布された樹脂組成物の表面にて、硬化低下が発生することを抑制し得ることから、優れた粘着性/接着性を発現し得る。また、一実施例の樹脂組成物は、光硬化の際に常温だけでなく高温でも優れた粘/接着特性を示し得る。
【0071】
(メタ)アクリレート共重合体は、重量平均分子量(weight-averagemolecularweight、Mw)が1,000g/mol以上50,000g/mol未満、1000以上48,000以下、または1,000以上20,000以下であり得る。(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量が、上述した範囲を有すれば、前記(メタ)アクリレート共重合体を含む一実施例の樹脂組成物は、硬化の際に常温及び高温で優れた接着性を示し得る。(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量が1,000g/mol未満であれば、(メタ)アクリレート共重合体の分離及び精製が難しくなり得る。また、(メタ)アクリレート共重合体の重量平均分子量が50,000g/mol以上であれば、溶解性の低下及び接着性の低下が起こり得る。
【0072】
一実施例の樹脂組成物は、(メタ)アクリレート共重合体を、後述するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、単官能(メタ)アクリレートモノマー、及び光重合開始剤の100重量部に対して、0.1以上50以下の重量部で含み得る。一実施例の樹脂組成物は、(メタ)アクリレート共重合体を上述した含量範囲で含むことで、樹脂組成物の硬化後の優れたピール強度特性を示し得る。
【0073】
一実施例において、(メタ)アクリレート共重合体のガラス転移温度(Tg、Glass TransitionTemperature)は、100℃以上であり得る。この場合、(メタ)アクリレート共重合体は、樹脂組成物の光硬化の際に凝集性が最適化されて、樹脂組成物からなる接着部材APの接着性を向上させ得る。
【0074】
一実施例の樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含み得る。樹脂組成物は1種または2種以上のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含み得る。
【0075】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ウレタン結合を有する(メタ)アクリロイル基を少なくとも一つ含む光硬化性化合物を含み得る。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ウレタン結合を有するアクリレート、ポリカーボネート骨格を有するウレタンアクリレート、ポリエステル骨格を有するウレタンアクリレート、及びポリエーテル骨格を有するウレタンアクリレートのうち少のなくとも一つを含み得る。
【0076】
一実施例において、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、重量平均分子量(Mw)が5,000以上100,000未満であり得る。上述した範囲の重量平均分子量を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、相対的に高い重合度を有するオリゴマーの状態で樹脂組成物に含まれ、光硬化の後も高い重合度を維持し得る。それによって、一実施例の樹脂組成物からなる接着部材APは、優れた接着力を示し得る。
【0077】
例えば、一実施例の樹脂組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとして、UF-C051(KyoeishaChemicalCo.,Ltd.製品)及びUN-6034(NegamiChemicalIndustrialCo.,Ltd.製品)のうちの少なくとも一つを含み得る。但し、これは例示的なものであって、実施例はこれに限らない。
【0078】
一実施例において、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーを含む樹脂組成物は、バーコーティング、インクジェットプリンティング法、またはディスペンシング塗布法などの方法で塗布され得る低粘度特性を示し得る。それによって一実施例の樹脂組成物は、基材の上に均一な量及び均一な厚さで塗布され得るが、このような樹脂組成物からなる接着部材APは、接着信頼性が優れるという特性を示し得る。
【0079】
一実施例の樹脂組成物は、単官能(メタ)アクリレートモノマーを含み得る。単官能(メタ)アクリレートモノマーは、複数個の互いに異なるモノマーを含み得る。例えば、一実施例の樹脂組成物において、単官能(メタ)アクリレートモノマーは、少なくとも一つの単官能アクリレートモノマーと、少なくとも一つの単官能メタクリレートモノマーとを含み得る。
【0080】
単官能(メタ)アクリレートモノマーは、2-エチルヘキシルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、イソデシルアクリレート、2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イルメチルアクリレート、ブチルアクリレートのうちの少なくとも一つを含み得る。
【0081】
一実施例の樹脂組成物は、光硬化性樹脂組成物として光重合開始剤を含み得る。光重合開始剤は、紫外線照射などによる硬化の過程で、ラジカル重合性化合物の重合反応を誘導するものであれば、特に制限なく使用され得る。例えば、光重合開始剤としてベンゾイン系、ヒドロキシケトン系、アミノケトン系、ホスフィンオキシド系などのラジカル重合開始剤を使用し得る。
【0082】
例えば、光重合開始剤は、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノン、2-ヒドロキシ-1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-メチル-1-プロパノン、及び2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチルプロパン-1-オンのうちの少なくとも一つを含み得る。
【0083】
また、光重合開始剤は、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン-1、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルホリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィナート、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ホスフィンオキシド、[1-(4-フェニルスルファニルベンゾイル)ヘプチリデンアミノ]ベンゾアート、[1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)カルバゾール-3-イル]エチリデンアミノ]アセテート、及びビス(2,4-シクロペンタジエニル)ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1-ピリル)フェニル]チタン(IV)のうちの少なくとも一つを含み得る。また、樹脂組成物RCは、光重合開始剤としてOmnirad819(IGMResins社製)及びOmnirad184(IGMResins社製)のうち少なくとも一つを含み得る。Omnirad819(IGMResins社製)及びOmnirad184(IGMResins社製)は、ラジカル重合開始剤であり得る。
【0084】
一実施例の樹脂組成物は、有機溶剤を実質的に含まないのであり得る。つまり、一実施例の樹脂組成物は無溶剤タイプであり得る。一実施例において、無溶剤タイプの樹脂組成物を利用して接着部材APを形成すれば、有機溶剤を乾燥するための工程が省略されるため、製造効率が向上され得る。
【0085】
一実施例の表示装置に含まれる接着部材APは、一実施例の樹脂組成物をウィンドウWPの一面または表示モジュールDMの一面の上に提供した後、大気下で、ウィンドウWPの一面または表示モジュールDMの一面の上に提供された樹脂組成物に、紫外線光を照射し硬化して形成され得る。但し、実施例はこれに限らない。例えば、別途の工程にて一実施例の樹脂組成物を紫外線光で硬化することで接着部材APを形成し、接着フィルムの形態で硬化された状態の接着部材APの一面を、ウィンドウWPの一面または表示モジュールDMの一面の上に積層(lamination)し、接着部材APの残りの一面に、取り付けられていないウィンドウWPの一面または表示モジュールDMの一面を取り付けるという方法で、接着部材APが提供され得る。
【0086】
一実施例において、接着部材APの厚さT0は、50μm以上200μm以下であり得る。例えば、接着部材APは、50μm以上100μm以下の厚さT0を有し得る。但し、これは例示的なものであって、接着部材APの厚さT0はこれに限らない。
【0087】
一実施例において、接着部材APは、180°方向の剥離強度(180°ピール(Peel)強度)が400gf/25mm以上、または100gf/25mm以上であり得る。例えば、接着部材APは、約25℃の温度での180°ピール強度が400gf/25mm以上であり得る。また、接着部材APは、約60℃の温度での180°ピール強度が100gf/25mm以上であり得る。
【0088】
本明細書において、接着部材APの剥離強度は、一実施例の樹脂組成物からなる硬化物に対して測定された値であり得る。例えば、接着部材APの剥離強度は、ガラス基板(例えば、ソーダライムガラス)の上に、一実施例の樹脂組成物を塗布し光硬化することで硬化物を形成し、前記硬化物のうえにポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムをラミネートして製造された、剥離強度測定用の試片を利用して測定され得る。ここで、前記硬化物は、一実施例の接着部材APに対応し得る。接着部材APの剥離強度は、日本産業規格(Japanese Industrial Standard)JIS K 6854に準拠し、前記接着層とポリエチレンテレフタレートフィルムをガラス基板から、常温及び高温の剥離温度及び180°の剥離角度で剥離させる際の剥離強度を測定した値であり得る。本明細書において、常温(room temperature)は約25℃の温度であり、高温は約60℃の温度であり得る。
【0089】
一実施例の接着部材APは、常温で400gf/25mm以上の180°ピール強度を有し、高温で100gf/25mm以上の180°ピール強度を有することで優れた接着信頼性を示し得る。それによって、一実施例の接着部材APを含む表示装置DDは、接着部材APの界面で浮き上がり現象が発生せず、優れた信頼性を示し得る。
【0090】
一実施例の表示装装置DDは一実施例の表示装置の製造方法で形成され得る。一実施例の表示装置の製造方法において、接着部材は上述した一実施例の樹脂組成物からなり得る。一実施例の表示装置の製造方法は、第1基材の上に樹脂組成物を提供するステップと、樹脂組成物を硬化させて接着部材を形成するステップと、接着部材の上に第2基材を配置するステップとを含み得る。一実施例において、第1基材及び第2基材のうちのいずれか一つは表示モジュールDM(図3)であり、表示モジュールDM(図3)ではない残りの一つはウィンドウWP(図3)でありうる。
【0091】
図4a乃至図4cは、本発明の一実施例による表示装置の製造方法のうちの一部のステップを概略的に示す図である。図4aは、第1基材の上に接着部材を形成するための樹脂組成物を提供するステップを示す図である。図4bは、樹脂組成物からなる予備接着部材に紫外線光を照射するステップを示す図であり、図4cは、樹脂組成物からなる接着部材の上に第2基材を配置するステップを示す図である。以下に、図4a乃至図4cを参照して説明する、一実施例の表示装置の製造方法に関する説明において、上述した図1乃至図3を参照して説明した内容と、重複する内容は再度説明せず、相違点を中心に説明する。
【0092】
第1基材は、樹脂組成物RCが提供される部材であって、図4aでは表示モジュールDMの一面の上に樹脂組成物RCが提供されるものとして示されている。樹脂組成物RCを提供するステップは、表示モジュールDMの一面の上に提供された樹脂組成物RCから、予備接着部材P-APが形成されて、表示モジュールDMの上に予備接着部材P-APが積層されるステップを含み得る。この場合、第2基材はウィンドウWPであり得る。
【0093】
図4aの図示とは異なって、樹脂組成物RCがウィンドウWPの一面の上に提供されてもよい。予備接着部材P-APは、ウィンドウWPの一面の上に提供された樹脂組成物RCからなるのであってもよい。この場合、第2基材は表示モジュールDMであり得る。
【0094】
一部の実施例において、樹脂組成物RCは、別途の基板(例えば、キャリア基板)の上に提供され得る。別途の基板の上に樹脂組成物RCを提供して予備接着部材P-APを形成する場合、別途の基板には、樹脂組成物RCが塗布される面に離型処理(release treatment)がなされていてもよい。
【0095】
樹脂組成物RCは、バーコーティング(bar-coating)法、インクジェットプリンティング(Inkjet printing)法、またはディスペンシング(Dispensing)法などの方法で提供され得る。一実施例の樹脂組成物RCは、約25℃で1.0mPa・s以上50mPa・s以下の粘度値を有することで、ノズルNZなどから容易に吐出され、薄いながらも一定であるコーティング厚さが維持されるように提供され得る。また、樹脂組成物は、1.0mPa・s以上50mPa・s以下の粘度値を有することで、表示モジュールDMの段差部SP-bの屈曲をカバーしながら提供され得る。つまり、50mPa・s以下の低い粘度値を有することで、段差部SP-bのように屈曲のある部分にて、空いた空間なしに樹脂組成物RCが充填され得る。また、ノズルNZを介して提供される樹脂組成物RCは、1.0mPa・s以上の粘度値を有することで、表示モジュールDMから抜け出て垂れ落ちる現象なしに、所定の厚さで均一にコーティングされ得る。表示モジュールDMの上に均一にコーティングされた樹脂組成物RCは、予備接着部材P-AP(図4b)を形成し得る。
【0096】
一実施例の表示装置の製造方法は、樹脂組成RCを乾燥するステップを含まないのであり得る。一実施例の樹脂組成物RCは、実質的に有機溶剤を含まない無溶剤タイプの樹脂組成物であり、それに伴い、第1基材の上に塗布された後で、乾燥工程を必要としないのであり得る。それに伴い、一実施例の表示装置の製造方法は優れた製造効率を示し得る。
【0097】
図4a及び図4bを参照すると、樹脂組成物RCを一定の厚さでコーティングして形成された予備接着部材P-APは、光によって硬化され得る。例えば、ウィンドウWPを、予備接着部材P-APの上に配置する前に、予備接着部材P-APに紫外線光UVを提供し得る。予備接着部材P-APに紫外線光UVを提供したならば、予備接着部材P-APをなす樹脂組成物RCにて重合反応が行われ得る。予備接着部材P-APは、照射された紫外線光UVによって、重合されてから硬化されて、硬化物が形成され得る。前記硬化物は一実施例の接着部材APに対応し得る。
【0098】
一実施例において、予備接着部材P-AP、つまり、樹脂組成物RCを硬化させるステップは、大気下で行われ得る。本発明において、接着部材AP(図3)は、一実施例の樹脂組成物RCからなることで、大気中に酸素が存在しても、第1基材の上に塗布された樹脂組成物RCの表面におけるラジカル重合反応が阻害されることが抑制されることから、優れた硬化特性を示し得る。例えば、樹脂組成物RCを硬化させる際に、樹脂組成物RCに含まれた(メタ)アクリレート共重合体が最表面側に偏析することから、一定の凝集力によって、接着部材APの優れた接着性を確保し得る。
【0099】
それに伴い、一実施例の表示装置の製造方法は、樹脂組成物RCに紫外線光UVを一度照射するだけでも、樹脂組成物RCを完全に硬化させるため、工程ステップを減らすことができ、酸素を遮断するための設備増設などを必要としないのであり得る。つまり、一実施例の表示装置の製造方法は、製造コストが節減され、製造効率が向上され得る。
【0100】
但し、実施例はこれに限らず、必要によっては、予備接着部材P-APの状態で樹脂組成物RCの重合反応を一部行い、次に予備接着部材P-APをウィンドウWPでカバーした後、未反応の樹脂組成物RCを紫外線光UVで追加反応させて最終的な接着部材APを形成してもよい。
【0101】
一部実施例において、図4bの図示とは異なって、表示モジュールDMの上に樹脂組成物RCを一定の厚さでコーティングすることで予備接着部材P-APを形成し、予備接着部材P-APの上にウィンドウWPを提供した後、樹脂組成物RCを硬化させるための紫外線光UVを提供してもよい。このような場合、紫外線光UVは、ウィンドウWPを透過して提供され得る。例えば、予備接着部材P-APに照射される紫外線光UVの量は、樹脂組成物RCを完全に硬化させる程度の光量であり得る。例えば、365nm(ピーク値)波長領域の紫外線光UVを約1000mJ/cmで照射することで樹脂組成物RCを硬化させてもよいが、実施例はこれに限らない。
【0102】
本発明によると、紫外線光UVで硬化した後、接着部材APが形成され得る。図4a及び図4bを参照して説明したステップで製作される接着部材APは、上述した表示装置DDに適用され、一実施例の接着部材APは常温及び高温で優れた接着力を示し得る。
【0103】
図4cを参照すると、一実施例の表示装置の製造方法は接着部材APの上にウィンドウWPを配置して接合するステップを含み得る。一実施例において、接着部材APの一面が表示モジュールDMの上に取り付けられ、次に表示モジュールDMに取り付けられた接着部材APの一面と向き合う、接着部材APの他面の上に、ウィンドウWPが順次に取り付けられ得る。例えば、一実施例の表示装置の製造方法は、接着部材APの上にウィンドウWPを提供した後、常圧下でラミネート方法を利用して接着部材APにウィンドウWPを接合させ得る。
【0104】
また、これとは異なって、接着部材APの一面が、表示モジュールDMと向き合うウィンドウWPの一面の上に取り付けられるのであり、次に、ウィンドウWPに取り付けられた接着部材APと一面と向き合う接着部材APの他面を表示モジュールDMに取り付けて、接着部材APが表示装置DDに提供されてもよい。
【0105】
図4a乃至図4cで説明したステップによって製造された、一実施例の表示装置DDは、上述した一実施例の樹脂組成物から由来する重合体を含む接着部材APを含むことで、浮き上がり現象なしに、接着部材APを利用してウィンドウWPと表示モジュールDMの接着状態を維持し得る。
【0106】
図5は、一実施例による表示装置を示す断面図である。以下、図6に示した表示装置に関する説明において、上述した、図1乃至図4cを参照して説明した内容と、重複する内容については再度説明せず、相違点を中心に説明する。
【0107】
図5に示した表示装置DD-aは、図2及び図3を参照して説明した表示装置DDと対比すると、光制御層PPと光学接着層AP-aとを更に含み得る。一実施例の表示装置DD-aは、接着部材APとウィンドウWPとの間に配置される光制御層PPと、光制御層PPとウィンドウWPとの間に配置される光学接着層AP-aとを更に含み得る。
【0108】
光制御層PPは表示パネルDPの上に配置され、外部光による表示パネルDPにおける反射光を制御し得る。光制御層PPは、例えば偏光板を含むか、またはカラーフィルタ層を含み得る。
【0109】
光学接着層AP-aは光学透明接着樹脂層(OCR)であり得る。また、光学接着層AP-aは光学透明接着樹フィルム(OCA、optically clear adhesive film)であってもよい。光学接着層AP-aは上述した一実施例による樹脂組成物からなり得る。一実施例の樹脂組成物からなる光学接着層AP-aは、常温での180°ピール強度が400gf/25mm以上であり、高温での180°ピール強度が100gf/25mm以上であり得る。光学接着層AP-aを含む表示装置DD-aは優れた信頼性を示し得る。一実施例の光学接着層AP-aは高い接着力を示し得る。一実施例の表示装置DD-aは、一実施例の樹脂組成物からなる光学接着層AP-aと接着部材APとを含み得る。光学接着層AP-a及び接着部材APは、高い密着力を有することで、表示装置DD-aは、常温及び高温で光学接着層AP-aと接着部材APとの界面での浮き上がり現象が発生せず、優れた信頼性特性を示し得る。
【0110】
図6は、一実施例による表示装置を示す断面図である。以下、図6に示した一実施例に対する表示装置に関する説明において、上述した図1乃至図5を参照して説明した内容と、重複する内容については再度説明せず、相違点を中心に説明する。
【0111】
図6に示した表示装置DD-bは、図2及び図3を参照して説明した表示装置DDに比べ、光制御層PPと、光学接着層AP-aと、層間接着層PIBとを更に含み得る。図6に示した一実施例の表示装置DD-bは、図5に示した一実施例の表示装置DD-aと同様に、接着部材APとウィンドウWPとの間に配置される光制御層PPと、光制御層PPとウィンドウWPとの間に配置される光学接着層AP-aとを更に含み得る。
【0112】
一実施例の表示装置DD-bにおいて、接着部材APは、表示パネルDPと入力感知部TPとの間に配置され得る。つまり、入力感知部TPが表示パネルDPの上に直接に配置されず、接着部材APによって、表示パネルDPと入力感知部TPとが互いに結合され得る。例えば、接着部材APは、表示パネルDPの封止層TFE(図3)と入力感知部TPとの間に配置され得る。
【0113】
光制御層PPの下側には、層間接着層PIBが提供され得る。層間接着層PIBは、入力感知部TPと光制御層PPとの間に配置され、透湿防止性に優れた接着材料から形成されたのであり得る。例えば、層間接着層PIBはポリイソブチレンを含んで形成され得る。層間接着層PIBは、入力感知部TPの上に配置され、入力感知部TPの感知電極の腐食を防止し得る。一実施例の表示装置DD-bは、一実施例による樹脂組成物RCから形成された、光学接着層AP-aと接着部材APとを含み得る。それに伴い一実施例の表示装置DD-bは、優れた信頼性を示し得る。
【0114】
以下では、実施例及び比較例を参照しながら、本発明の一実施形態による樹脂組成物からなる接着部材及び表示装置について詳しく説明する。また、以下に示す実施例は、本発明の理解を助けるための一例示であって、本発明の範囲はこれに限らない。
【0115】
[実施例]
1.(メタ)アクリレート共重合体の合成
下記合成例1乃至合成例10において、分子量測定はTOSOH CORP.製品のGel Permeation Chromatography(GPC)分析装置「HLC-8420GPC」で実施した。この際、測定カラムにTSKgel SUPER HZM-Nを使用し、RI(示差屈折)検出器から検出された溶出曲線(SECcurve)から、標準ポリスチレン(PS)換算で得られた重量平均分子量(Mw)値を選択した。また、同時に得られた数平均分子量(Mn)をも用いて、分子量分布(分散度:Mw/Mn)も併せて測定した。
【0116】
共重合体の各組成比は、BRUKER社製の核磁気共鳴(NMR)分析装置「AVANCE III 300M」の測定にて、プロトンNMRスペクトルにおける各モノマー成分に帰属するシグナルの積分比から算出した。また、測定する際の重水素化された溶媒としては、重水素化クロロホルム(KANTO CHEMICAL CO.,INC.製品)利用した。
【0117】
1)合成例1:MC-1の合成
冷却管、滴下漏斗、窒素導入管、磁気攪拌子を備えた丸底フラスコに酢酸ブチル(butyl acetate)40mlを加え、窒素バブリングを実施しながら室温(約25℃;常温)で30分間撹拌して溶媒の脱酸素を実施した。これを油浴内で内温が約90℃になるまで加熱した後、滴下漏斗に、メタクリル酸モノマーとしての、メタクリル酸メチル(MMA、Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.製品)14.10g、メタクリル酸イソボルニル(IBXMA、Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.製品)11.10g、及び4-ベンゾイルフェニルメタクリレート(BPMA、Tokyo Chemical Industry Co., Ltd.製品)6.33gと、熱重合開始剤としてのV-601(FUJIFILM Wako Pure Chemical Corp.製品)4.64gと、酢酸ブチル10mlとを、予め均一溶液として加え、栓を開けてフラスコ内に1時間で、徐々に滴下した。次に、1時間撹拌して重合反応を実施した。反応後、フラスコを油浴から取り出して十分に冷却させた。次に、1000mlのビーカーに800mlのエタノールを加えて磁気攪拌子で撹拌し、ここに、フラスコ内の重合反応後の溶液を少しずつ滴下して、沈殿を析出させた。沈殿物を吸引ろ過でろ過し、それについて、更にエタノールで洗浄及びろ過を実施することで、酢酸ブチル及び未反応モノマーを除去した。沈殿物を減圧乾燥させて、MMA、IBXMA、BPMAの共重合体である白色粉末(MC-1)20.0gを得た。白色粉末(MC-1)の重量平均分子量は5700で、分子量分布は1.39であった。共重合体の組成比はMMA:IBXMA:BPMA=65.7:21.4:13.0であった。
【0118】
2)合成例2:MC-2の合成
MMAを11.0g、IBXMAを14.0g使用したこと以外は、合成例1と同一に行うことで、MMA、IBXMA、BPMAの共重合体である白色粉末(MC-2)を得た。数量18.0g、重量平均分子量4,600、分子量分布1.40であった。共重合体の組成比は、MMA:IBXMA:BPMA=48.0:39.0:13.0であった。
【0119】
3)合成例3:MC-3の合成
V-601を1.55g使用したこと以外は、合成例1と同一に行うことで、MMA、IBXMA、BPMAの共重合体である白色粉末(MC-3)を得た。数量26.3g、重量平均分子量18,900、分子量分布1.31であった。共重合体の組成比は、MMA:IBXMA:BPMA=62.1:24.4:13.5であった。
【0120】
4)合成例4:MC-4の合成
V-601を0.52g使用したこと以外は、合成例1と同一に行うことで、MMA、IBXMA、BPMAの共重合体である白色粉末(MC-4)を得た。数量20.2g、重量平均分子量47,900、分子量分布2.05であった。共重合体の組成比は、MMA:IBXMA:BPMA=63.3:22.1:14.6であった。
【0121】
5)合成例5:MC-5の合成
V-601を23.0g使用したこと以外は、合成例2と同一に行うことで、MMA、IBXMA、BPMAの共重合体である白色粉末(MC-5)を得た。数量5.6g、重量平均分子量1,300、分子量分布1.20であった。共重合体の組成比は、MMA:IBXMA:BPMA=40.0:43.3:16.7であった。
【0122】
6)合成例6:MC-6の合成
V-601を0.39g使用したこと以外は、合成例1と同一に行うことで、MMA、IBXMA、BPMAの共重合体である白色粉末(MC-6)を得た。数量18.9g、重量平均分子量53,200、分子量分布1.99であった。共重合体の組成比はMMA:IBXMA:BPMA=63.7:21.6:14.7であった。
【0123】
7)合成例7:MC-7の合成
BPMAを加えずに、合成例1と同一に行うことで、MMA、IBXMAの共重合体である白色粉末(MC-7)を得た。数量18.5g、重量平均分子量4,200、分子量分布1.52であった。共重合体の組成比は、MMA:IBXMA=72.6:27.4であった。
【0124】
8)合成例8:MC-8の合成
IBXMA及びBPMAを加えずにMMAを25.2g、V-601を2.21g利用して合成例1と同一に行うことで、MMAの単独重合体である白色粉末(MC-8)を得た。数量18.3g、重量平均分子量6,100、分子量分布1.56であった。
【0125】
9)合成例9:MC-9の合成
MMA、HEMAを加えずに、IBXMAを25.1g、V-601を5.77g利用して合成例1と同一に行うことで、IBXMAの単独重合体である白色粉末(MC-9)を得た。数量8.80g、重量平均分子量4,300、分子量分布1.26であった。
【0126】
10)合成例10:MC-10の合成
MMA、IBXMAを加えずに、BPMAを24.6g、V-601を4.00g利用して合成例1と同一に行うことで、BPMAの単独重合体である白色粉末(MC-10)を得た。数量26.6g、重量平均分子量4,900、分子量分布1.92であった。
【0127】
2.樹脂組成物の調製
表1及び2に記載の各成分を混合して実施例及び比較例の樹脂組成物を調整した。表1及び2に記載の配合比にしたがって各成分を遮光密閉容器に提供した。次に、ミックスローターを使用し、室温で12時間撹拌して、実施例及び比較例の樹脂組成物を製造した(単位:重要部)。
【0128】
【表1】
【0129】
【表2】
【0130】
<表1及び2の材料>
MC-1:合成例1のMMA、IBXMA、BPMA共重合体
MC-2:合成例2のMMA、IBXMA、BPMA共重合体
MC-3:合成例3のMMA、IBXMA、BPMA共重合体
MC-4:合成例4のMMA、IBXMA、BPMA共重合体
MC-5:合成例5のMMA、IBXMA、BPMA共重合体
MC-6:合成例6のMMA、IBXMA、BPMA共重合体
MC-7:合成例7のMMA、IBXMA共重合体
MC-8:合成例8のMMA単独重合体
MC-9:合成例9のIBXMA単独重合体
MC-10:合成例10のBPMA単独重合体
【0131】
UF-C051:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量32,000)(Kyoeisha Chemical Co., Ltd.(共栄社化学株式会社)製品)
UN-6304:ウレタンアクリレートオリゴマー(重量平均分子量13,000)(Negami Chemical Industrial Co., Ltd.製品)
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート(Toagosei Co., Ltd.製品)
4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート(OSAKA ORGANIC CHEMICAL INDUSTRY LTD.製品)
Omnirad 819:フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(IGM Resins B.V.製品)
【0132】
2.樹脂組成物及び接着部材の評価
下記表3には、実施例及び比較例の樹脂組成物に対する均一性、及び25℃の温度と60℃の温度における180°ピール強度をそれぞれ評価して示した。
【0133】
<樹脂組成物及び硬化物の均一性>
調整した実施例及び比較例組成物に対する均一性を肉眼で確認し、前記調整した実施例及び比較例組成物に光照射を行った後、硬化物の均一性を肉眼で確認して下記評価基準に従って評価した。
【0134】
〇:樹脂組成物及び光照射後の硬化物がいずれも均一
△:樹脂組成物は均一であるが、光照射後の硬化物が不均一(不溶分/白濁などの発生)
X:樹脂組成物が不均一(不溶分/白濁などの発生)
【0135】
<接着部材の180°剥離力>
調整した樹脂組成物を、76mm×26mmのスライドガラス基板の上に、厚さ50μmになるように塗布した。塗布した樹脂組成物について、365nmにピークを有するUV-LEDランプを利用して、光の総量が1000mJ/cm2になるように紫外線光を照射して硬化させることで接着部材を形成した。これに、150mm×20mmで、厚さ50μmのPETフィルム基材を、常圧ラミネータで接合し、オートクレーブにて30℃/0.5MPaの条件で5分間加圧脱泡することで、剥離強度測定用の試片を製造した。
【0136】
JIS K6854に準拠して、25℃及び60℃の温度条件で180°剥離(ピール)強度試験を行った。剥離開始から20mm~80mm範囲の剥離強度の平均値を評価値として選択した。
【0137】
【表3】
【0138】
【表4】
【0139】
表3及び表4を参照すると、合成例1~5でそれぞれ合成された(メタ)アクリレート共重合体(以下、共重合体)を含む、実施例1乃至5の樹脂組成物は、酸素を含む大気下で一度の光照射によって製作した、剥離強度測定用の試片の測定結果から、常温(25℃)及び高温(60℃)の両方で優れた接着性を示すことが分かる。このような結果は、次のような理由によると考えられる。すなわち、樹脂組成物が硬化される際に、一実施例の共重合体が接着部材の最表面(outermost surface)の側に偏析(segregation)することで、一定の凝集力によって接着性が担保されるとともに、共重合体中のベンゾフェノン構造による水素引き抜き反応によって、樹脂組成物中のマトリックスとの架橋構造を形成することによると考えられる。一方、合成例5による共重合体の重量平均分子量を下回る重量平均分子量を有する共重合体を得ることは難しかった。詳しくは、重量平均分子量が1,000未満の共重合体は固体状にならないため、相の状態及び純度の観点から精製及び単離が難しい。
【0140】
比較例1は、本発明による共重合体を含まない樹脂組成物を使用することで、高温だけでなく常温でも接着力が著しく低下した結果を示している。このような結果は、大気中の酸素の影響によって、接着部材の最表面にて硬化阻害現象が発生したためである。
【0141】
比較例2は、ベンゾフェノン構造を有しない共重合体(MMA/IBXMA)を含む樹脂組成物を使用しており、常温では本発明による実施例と同等のレベルの接着性を示したが、高温(60℃)では実施例に比べ粘着性が著しく低下していた。このような結果は、常温付近では、本発明による共重合体と同じ理由で一定の粘着性を担保し得るが、樹脂組成物中との架橋が発生しないため、高温での流動性が極めて高くなって全体の凝集力が消失されたことによると考えられる。
【0142】
一方、水素引き抜き反応による架橋構造効果は樹脂全体に平均化されるため、比較例3で使用した樹脂組成物のように、本発明による共重合体の代わりにBPMAのモノマーを含むだけでは、目標とする剥離(ピール)強度を担保するには足りないということが分かる。
【0143】
比較例4及び比較例5は、樹脂組成物に重量平均分子量50,000以上の共重合体を使用した結果である。比較例4及び比較例5は、樹脂組成物に含まれた共重合体の重量平均分子量が増加することで、溶解性が低下していた。詳しくは、比較例4で使用された樹脂組成物のように、共重合体を5重量部で含む場合は共重合体が溶解されなかった。一方、比較例5のように、共重合体を2重量部で含む場合は溶解されるが、共重合体の添加量が少ないからなのか、十分な接着性を発現することができなかった。
【0144】
比較例6乃至比較例8で使用された樹脂組成物にそれぞれモノマーの単独重合体を加えて評価したが、MMAの単独重合体は相溶性に優れるがピール強度が発現されておらず(比較例6)、IBXMAの単独重合体は硬化後に偏析された結果を示しており(比較例7)、BPMAの単独重合体を使用した場合は、常温及び高温でピール強度が測定されないくらいに接着性が著しく低下し、樹脂組成物の相溶性が足りないという結果を示した(比較例8)。
【0145】
これまで本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野における熟練した当業者または該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、後述する特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び技術領域から逸脱しない範囲内で本発明を多様に修正及び変更し得ることを理解できるはずである。
【0146】
よって、本発明の技術的範囲は明細書の詳細な説明に記載の内容に限らず、特許請求の範囲によって決められるべきである。
【0147】
好ましい一実施形態によると、下記のとおりである。
【0148】
本件の背景及び課題は下記(i)~(ix)のとおりである。
【0149】
(i) スマートフォンなどのモバイル機器の表示パネルには、多くの場合、表示面を覆うように、「ウィンドウ」と呼ばれる保護用の透明板が貼り付けられている。
【0150】
(ii) 「ウィンドウ」の貼り付けのためには、OCA(Optically Clear Adhesive:光学透明粘着剤)と呼ばれる、粘着剤または粘着シートが用いられている。
【0151】
(iii) 粘着シートを用いる場合、気泡や粉じんなどを噛み込んで、貼り付け操作をやり直す必要が生じうる。そのため、一般には、接着剤を表示パネルまたはウィンドウに塗布し、少し乾燥または予備硬化を行わせてからウィンドウまたは表示パネルを貼り付けるといった工程を行うことが考えられる。
【0152】
(iv) 貼り合わせ前などの乾燥または予備硬化を行う必要がある場合、それだけ、工程時間が長くなり、粉じんなどの異物が入り込むリスクも増大する。
【0153】
(v) そこで、無溶剤であることから乾燥工程が不要であって、予備硬化のための時間やコストを省くか、または最小化できるものが好ましい。特に、「ウィンドウ」または表示パネルに塗布した後、これらを貼り合わせる操作の前、または後に、紫外線などの光照射により、直接に重合・硬化を進めて行くことができることが好ましい。
【0154】
(vi) また、塗布の操作が容易であるように、塗布液の粘性及びレオロジー(粘弾性)特性が適当であることが必要である。
【0155】
(vii) 上記(ii)の光学特性、及び(v)~(vi)の特性を実現し、安価とするためには、一般に、アクリレートを含む組成を用いるのが好ましい。
【0156】
(viii) 一方では、塗布から硬化のまでの操作を大気中で行うことが工程・装置の負担を軽減する上で好ましい。
【0157】
(ix) ところが、アクリレートなどでは、大気中の酸素に起因する硬化阻害が生じ得る。このための対策が必要である。
【0158】
このような要求を同時に満足するように、多数の硬化性モノマーの組み合わせについて検討した。その結果、特定のアクリレート組成物の組み合わせにより、優れた効果を得ることができた。
すなわち、特に好ましい実施形態において、下記Aのとおりとする。
【0159】
A 下記A1の(メタ)アクリレート三元共重合体5~15重量%(特には10重量%)と、
下記A2のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー2~7重量%(特には5重量%)と、
下記A3の単官能(メタ)アクリレートモノマー80~95重量%(特には90重量%)と、
光重合開始剤1~5重量%(特には3重量%)とから形成される。
【0160】
A1 メタクリル酸メチル(MMA)と、メタクリル酸イソボルニル(IBXMA)と、ベンゾイルフェニルメタクリレート(BPMA)との三元共重合体:重量平均分子量(Mw)が、好ましくは3,000~60,000g/mol、より好ましくは4,000~50,000g/mol、分子量分布(Mw/Mn)が1.1~2.2(特には1.2~2.1)。
【0161】
ここで、三元共重合体中の3つのアクリレートの含量(モル%;NMR)は、下記のとおり。
・メタクリル酸メチル(MMA):35~70%、特には40~65%。
・メタクリル酸イソボルニル(IBXMA):15~50%、特には20~45%。
・ベンゾイルフェニルメタクリレート(BPMA):10~20%、特には12~18%。
【0162】
A2 ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー:重量平均分子量(Mw)が、10,000~50,000g/mol。ガラス転移点が、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネート ウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネート ウレタンプレポリマーなど。
【0163】
A3 単官能(メタ)アクリレートモノマー:アルキルモノ(メタ)アクリレート、またはヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート。特には、2-エチルヘキシルアクリレート、及び/または、4-ヒドロキシブチルアクリレート。
【符号の説明】
【0164】
DD:表示装置 DP:表示パネル
WP:ウィンドウ AP:接着部材
RC:樹脂組成物
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図5
図6