(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125217
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】構造用接着剤及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
C09J 201/00 20060101AFI20240906BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20240906BHJP
C09J 163/00 20060101ALI20240906BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20240906BHJP
C09J 175/04 20060101ALI20240906BHJP
C09J 201/10 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
C09J201/00
C09J11/08
C09J163/00
C09J4/02
C09J175/04
C09J201/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024031178
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】63/488,333
(32)【優先日】2023-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】523064398
【氏名又は名称】クレイトン・ポリマーズ・ネーデルラント・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン,ブレット
(72)【発明者】
【氏名】ヒーブナー,ジェラルド
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040BA202
4J040EC061
4J040EE001
4J040EF101
4J040EF282
4J040FA131
4J040GA31
4J040HB41
4J040JA13
4J040KA12
4J040KA16
4J040KA17
4J040KA26
4J040KA31
4J040KA35
4J040KA38
4J040KA42
(57)【要約】
【課題】本開示は、脱カルボキシル化ロジン酸(「DCR」)を含有する構造用接着剤組成物、その調製方法及び用途に関する。
【解決手段】構造用接着剤は、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ポリウレタン系接着剤及びシリル変性ポリマー系接着剤から選択される1成分又は2成分組成物であり得る。DCRは、25~90のKb値、20℃における0.9~1.0g/cm3の密度、40℃における15~60cStの粘度及び<50mg KOH/gの酸価を有する。構造用接着剤組成物は、硬化後に:少なくとも200psiの重ねせん断強さ、少なくとも25%の引張伸び及び少なくとも600psiの引張強さのうちの少なくとも1つを有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂、アクリルポリマー、ポリウレタン及びシリル変性ポリマーからなる群から選択される10~99重量%のポリマー前駆物質;
ASTM D1133に準拠して測定された、25~90のKb値、
20℃における0.9~1.0g/cm3の密度、
ASTM D-445に準拠して測定された、40℃における15~60cStの粘度及び
ASTM D1240-14(2018)に準拠して測定された、<50mg KOH/gの酸価
を有する1~25重量%の脱カルボキシル化ロジン酸;並びに
接着促進剤、エラストマー強化剤、腐食阻害剤、衝撃変性剤、反応性液体モノマー、レオロジー制御剤、顔料、着色剤、抗酸化剤、金属塩、消泡剤、分散剤、界面活性剤、難燃剤、硬化速度調整剤、促進物質、充填剤及びこれらの混合物から選択された、89重量%までの任意選択的成分;
を含む、構造用接着剤組成物であって、
硬化後に:
ASTM D3163に準拠して測定された、少なくとも200psiの重ねせん断強さ;
ASTM D412に準拠して測定された、少なくとも25%の引張伸び;及び
ASTM D412に準拠して測定された、少なくとも600psiの引張強さ;
のうちの少なくとも1つを有し、
湿気硬化、熱硬化、放射線硬化、化学硬化、誘導硬化、後硬化又はこれらの組合せのいずれかによって硬化される、構造用接着剤組成物。
【請求項2】
脱カルボキシル化ロジン酸が、1つ以上のC=C基を含み、18~20個の炭素原子を有する40~100重量%の三環式化合物を含む、請求項1に記載の構造用接着剤組成物。
【請求項3】
脱カルボキシル化ロジン酸中の芳香族及び脂環式としての三環式化合物の合計が、脱カルボキシル化ロジン酸の総重量に基づいて、>50重量%である、請求項2に記載の構造用接着剤組成物。
【請求項4】
脱カルボキシル化ロジン酸中の脂環式三環式化合物の量が、脱カルボキシル化ロジン酸の総重量に基づいて、>15重量%である、請求項3に記載の構造用接着剤組成物。
【請求項5】
脱カルボキシル化ロジン酸が、非水素化であり、非水素化脱カルボキシル化ロジン酸が:
5~20重量%の量における262のMWを有するC19種;
5~25重量%の量における260のMWを有するC19種;
35~55重量%の量における256のMWを有するC19種;
5~20重量%の量における252のMWを有するC19種;
0~5重量%の量における180のMWを有するC13種;及び
5~25重量%の量における174のMWを有するC13種
のうちの少なくとも1つを有する、請求項1に記載の構造用接着剤組成物。
【請求項6】
硬化前に、2rpm及び23℃において、少なくとも25,000cpsのブルックフィールド粘度を有する、請求項1に記載の構造用接着剤組成物。
【請求項7】
23℃において、30分未満のゲル化時間を有する、請求項1に記載の構造用接着剤組成物。
【請求項8】
ポリマー前駆物質が、エポキシであり、エポキシが、硬化性エポキシ樹脂を含み;
構造用接着剤組成物が、2部キットの形態であり、第1部が、硬化性エポキシ樹脂を含み、第2部が、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、プロピレンジアミン、テトラエチレンペンタアミン、ヘキサエチレンヘプタアミン、ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタメチレン-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、アミノエチルピペラジン及びこれらの混合物の群から選択される硬化剤を含み;
脱カルボキシル化ロジン酸が、第1部、第2部のいずれか又は第1部と第2部の両方に存在し;
第1部と第2部を混合して混合物を形成することによって、構造用接着剤組成物が形成される、請求項1~7のいずれかに記載の構造用接着剤組成物。
【請求項9】
ポリマー前駆物質が、エポキシであり、エポキシが、硬化性エポキシ樹脂を含み;
構造用接着剤組成物が、単一部分として提供され、単一部分が:
1~25重量%の脱カルボキシル化ロジン酸、
20~98重量%の硬化性エポキシ樹脂、
1~15重量%の硬化剤及び
80重量%までの任意選択的成分
の混合物を含む、請求項1~7のいずれかに記載の構造用接着剤組成物。
【請求項10】
ポリマー前駆物質が、アクリルであり、アクリルが、1つ以上のアクリレート又はメタクリレートのモノマー又はオリゴマーを含み;
構造用接着剤組成物が、2部キットの形態であり、第1部が、1つ以上のアクリレート又はメタクリレートのモノマー又はオリゴマーを含み、第2部が、ペルオキシド、ヒドロペルオキシド、ペルエステル、有機遷移金属塩、不安定な塩素を含む化合物、多官能性架橋モノマー及びこれらの混合物の群から選択されるフリーラジカル発生硬化剤を含み;
脱カルボキシル化ロジン酸が、第1部、第2部のいずれか又は第1部と第2部の両方に存在し;
第1部と第2部を混合して混合物を形成することによって、構造用接着剤組成物が形成される、請求項1~7のいずれかに記載の構造用接着剤組成物。
【請求項11】
ポリマー前駆物質が、アクリルであり、アクリルが、1つ以上のアクリレート又はメタクリレートのモノマー又はオリゴマーを含み;
構造用接着剤組成物が、単一部分として提供され、単一部分が:
1~25重量%の脱カルボキシル化ロジン酸、
20~98重量%の1つ以上のアクリレート又はメタクリレートのモノマー又はオリゴマー、
1~10重量%の硬化剤及び
80重量%までの任意選択的成分
の混合物を含む、請求項1~7のいずれかに記載の構造用接着剤組成物。
【請求項12】
ポリマー前駆物質が、ポリウレタンであり、ポリウレタンが、ポリオールポリマー及びイソシアネートを含み;
構造用接着剤組成物が、2部キットの形態であり、第1部が、ポリオールポリマーを含み、第2部が、イソシアネートを含み;
脱カルボキシル化ロジン酸が、第1部、第2部のいずれか又は第1部と第2部の両方に存在し;
第1部と第2部を混合して混合物を形成することによって、構造用接着剤組成物が形成される、請求項1~7のいずれかに記載の構造用接着剤組成物。
【請求項13】
ポリマー前駆物質が、ポリウレタンであり、ポリウレタンが、ポリオールポリマー、イソシアネート及びブロッキング剤を含み;
構造用接着剤組成物が、単一部分として提供され、単一部分が:
1~25重量%の脱カルボキシル化ロジン酸、
50~99重量%のポリウレタン前駆物質及び
50重量%までの任意選択的成分
の混合物を含む、請求項1~7のいずれかに記載の構造用接着剤組成物。
【請求項14】
ポリマー前駆物質が、シリル変性ポリマーであり、シリル変性ポリマーが、少なくとも1つのシリル基で置換された有機ポリマーを含み;
構造用接着剤組成物が、2部キットの形態であり、第1部が、少なくとも1つのシリル基で置換された有機ポリマーを含み、第2部が、架橋触媒を含み;
脱カルボキシル化ロジン酸が、第1部、第2部のいずれか又は第1部と第2部の両方に存在し;
第1部と第2部を混合して混合物を形成することによって、構造用接着剤組成物が形成される、請求項1~7のいずれかに記載の構造用接着剤組成物。
【請求項15】
ポリマー前駆物質が、シリル変性ポリマーであり、シリル変性ポリマーが、少なくとも1つのシリル基で置換された有機ポリマーを含み;
構造用接着剤組成物が、単一部分として提供され、単一部分が:
1~25重量%の脱カルボキシル化ロジン酸、
75~99重量%のシリル変性ポリマー、
0.1~1重量%の架橋触媒及び
80重量%までの任意選択的成分
の混合物を含む、請求項1~7のいずれかに記載の構造用接着剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、脱カルボキシル化ロジン酸(「DCR」)を含有する構造用接着剤、その調製方法及び用途に関する。
【背景技術】
【0002】
構造用接着剤は、典型的には、ねじ、ボルト、釘、ステープル、リベット並びに溶接、ろう付け及びはんだ付けなどの金属溶融プロセスなどの従来の連結技術と置き換わる又は増強させるために使用され得る熱硬化性組成物である。構造用接着剤、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、ウレタン系接着剤及びシリル変性ポリマー系接着剤は、2つの形態、すなわち、硬化される2成分系又は1成分系で入手可能である。構造用接着剤は、熱及び/若しくは化学線照射にそれを暴露することによる又は周囲湿気への暴露によって硬化され得、一般に多くの表面に対して良好な接着特性及び高い接合強度を示す。
【0003】
接着剤及び乾燥した接着剤によって形成されるポリマーフィルムの物理的特性を変性するために、可塑剤が、かなりの期間、接着剤組成物中で添加剤として使用されてきた。可塑剤は、接着接合の形成を促進し、劣化後の接合の破損を防ぐことができる。可塑剤はまた、ポリマーを軟化させ、接着結合に可撓性を付け加え、接着剤のガラス転移温度(Tg)を低下させ、フィルム形成を増強することもできる。加えて、可塑剤は、ポリマー成分の流動担体として作用し得る。過去において、ベンゾエート又はジベンゾエート、アジペート及びフタレートのブレンドなどの石油系可塑剤が使用されてきた。また、典型的なアクリル構造用接着剤、詳細にはメタクリル酸メチル(MMA)接着剤は、可塑剤を使用しないが、可撓性/伸長性を増加させるために、固体ゴムを使用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構造用接着剤における、石油系可塑剤及び固体ゴムに代わる生物由来系の代替物に対する必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本開示は:エポキシ、アクリル、ポリウレタン及びシリル変性ポリマーからなる群から選択される10~99重量%のポリマー前駆物質、1~25重量%の脱カルボキシル化ロジン酸(「DCR」)及び89重量%までの任意選択的成分を含む構造用接着剤組成物に関する。DCRは、ASTM D1133に準拠した25~90のKb値を有し、20℃における0.9~1.0g/cm3の密度を有し、ASTM D-445に準拠して測定された40℃における15~60cStの粘度を有し、ASTM D1240-14(2018)を使用して測定された<50mg KOH/gの酸価を有する。構造用接着剤は、硬化後に少なくとも200psiの重ねせん断強さを有する。
【0006】
一態様において、構造用接着剤組成物は、エポキシ、アクリル、ポリウレタン及びシリル変性ポリマーの群から選択されるポリマー前駆物質;脱カルボキシル化ロジン酸;任意選択的成分;並びに使用されたポリマー前駆物質に応じて硬化剤又は触媒を含む又は本質的にこれらからなる単一部分として供給される。
【0007】
一態様において、構造用接着剤組成物は、2部キットとして供給される。2部キットは、第1部及び第2部を含む、本質的にこれらからなる又はこれらからなる。第1部は、エポキシ、アクリル、ポリウレタン及びシリル変性ポリマーの群から選択されるポリマー前駆物質を含む又は本質的にこれらからなる。第2部は、使用されたポリマー前駆物質に応じて、硬化剤又は触媒を含む又は本質的にこれらからなる。実施形態において、脱カルボキシル化ロジン酸は、第1部、第2部のいずれか又は第1と第2部の両方に存在する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の用語は、以下の意味を有する:
「から本質的になる」とは、特許請求された組成物が、規定された物質を主に含有し、特許請求された発明の新規な特徴又は機能に実質的に影響を及ぼすことがない付加的な成分を許容し、存在する場合は、付加的な成分を<30%又は<20%又は<10%の量で含有することを意味する。
【0009】
「[A、B及びCなどの群]のうちの少なくとも1つ」又は「[A、B及びCなどの群]のいずれか」又は「[A、B及びC]から選択された」とは、単一の群構成員、2つ以上の群構成員又は群構成員の組合せを意味する。例えば、A、B及びCのうちの少なくとも1つは、例えば、Aのみ、Bのみ若しくはCのみ、同様にA及びB、A及びC、B及びC;又はA、B及びC若しくはA、B及びCの任意の他の全ての組合せを含む。別の例では、A及びBのうちの少なくとも1つとは、Aのみ、Bのみ、同様にA及びBを意味する。
【0010】
「A、B又はC」と提示された実施形態のリストは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、「A若しくはB」、「A若しくはC」、「B若しくはC」又は「A、B若しくはC」の実施形態を含むと解釈されるべきである。
「二重結合当量」又はDBEは、不飽和度を指す又は化合物/分子/種中に存在する二重結合/三重結合の数を指す。
【0011】
動粘度は、ASTM D445に従って測定され得る。
【0012】
化合物又は化合物中の成分/種の分子量(MW)は、MS(質量分析)によって、好ましくはGC(ガスクロマトグラフィー)又はHPLC(高速液体クロマトグラフィー)のようなクロマトグラフィー分離法と組み合わせて決定することができる。実施形態において、MWは、GC-MSによって決定され、30m×0.25mm×0.20μmの大きさの高置換シアノプロピル相を有するカラム(例えばSupelco SP-2330、Restek rtx-2330又はAgilent HP-88)を使用して、以下の操作パラメータ:100℃で5.0分間、5℃/分で250℃まで加熱し、250℃で10.00分間保持するという温度プロファイル;10mgの化合物の、トルエン、シクロヘキサンなどの1mlの好適な溶媒中溶液を形成;250℃において1:40の分割比を有する1μlの溶液を注入;分析全体を通して1ml/分の流量を維持というパラメータを用いる。個々の成分の同定は、QMS(四重極型質量分析計)検出器によって、200℃のイオン源温度及び35~500amuの質量範囲で実施される。
【0013】
溶媒又はポリマーの「溶解度パラメータ」又は(δ)は、式δ=(ΔE/V)1/2のように、そのモル体積(V)で除算した気化エネルギー(ΔE)の平方根を指す。2つの物質の溶解度パラメータがより近くなるほど、それらの物質間の溶解度が高くなり、したがって、「似たものは似たものを溶かす」という表現になる。Hansenは、溶媒又はポリマーの溶解度パラメータは、3種類の相互作用:分散力(δD2)、極性相互作用(δP2)及び水素結合(δH2)が寄与した結果であることを確定し(Hansen、2007年;Hansen、1967年)、総溶解度(Hildebrand)パラメータδTは:δT=(δ2D+δ2P+δ2H)1/2に基づいて、3つのHansen溶解度パラメータ(HSP)のそれぞれの寄与の結果であるとした。
【0014】
本開示は、生物由来の脱カルボキシル化ロジン酸(DCR)、ポリマー前駆物質及び接着剤の種類に応じて任意選択的に硬化剤又は触媒を含む、本質的にこれらからなる又はこれらからなる構造用接着剤組成物に関する。ポリマー前駆物質は、エポキシ、アクリル、ポリウレタン又はシリル変性ポリマーのいずれかであり得る。接着剤組成物は、2成分(2部)組成物又は1成分(1部)組成物であり得る。
【0015】
脱カルボキシル化ロジン酸(DCR):構造用接着剤は、生物由来のDCRを含む。DCRは、ロジン酸を脱カルボキシル化することによって又はロジン酸を二量体化及び脱カルボキシル化し、二量体化種を分離/除去することによって得られたロジン由来の組成物である。DCRは液体の形態であり、粗製DCR、蒸留若しくは精製されたDCR又はこれらの混合物のいずれかであり得る。DCRは、水素化及び/又は官能化され得る。粗製DCRは、5~25重量%のより高い分子量(450~1500Da)成分、例えば、炭化水素、オリゴマー、ポリマー、不純物又は脂肪酸の二量体/三量体を含有するDCRである。蒸留又は精製されたDCRは、色を改善し、イオウを低減するなどのために、重質留分を除去した粗製DCRを指す。水素化DCRは、C=C二重結合を低減するための水素化を施し、水素化化合物を得たDCRを指す。別段に規定されない限り、本明細書におけるDCRは、非水素化DCR(粗製、蒸留若しくは精製された)又は水素化DCRの両方を指す。
【0016】
DCRは、例えば220~300℃などの高温におけるロジン酸の分解によって生成される。ロジン酸は通常は固体であり、例えば65~85℃などの軟化点を有する。ロジン酸は、十分に脱カルボキシル化されてDCRを形成し得る。ロジン酸は、部分的に脱カルボキシル化されて、その一部が、例えば、C20H30O2のような一般分子式を有するモノカルボン酸を含有する分子の混合物であるDCRを形成することができる。
【0017】
実施形態において、DCRは、1つ以上のC=C基を含み、DCRの総重量に基づいて、18~20個の炭素原子を有する40~100重量%の三環式種、<19個の炭素原子を有する0~30重量%の成分及びC19H20~C19H34の範囲の分子式を有する40~100重量%の成分を含む。実施形態において、DCR中の芳香族及び脂環式としての三環式種の合計は、DCRの総重量の>50重量%又は>55重量%又は>60重量%又は>74重量%又は>90重量%又は100重量%までである。芳香族DCRは、252~256のMWを有するDCR種として規定され、254のMWは、反応性二重結合を有するものとして規定され、脂環式DCRは、260又は262のMWを有するDCR種として規定される。
【0018】
実施形態において、DCRは、>50重量%又は>60重量%又は>70重量%又は>80重量%のC19(MW 248~262)含有量を有する。実施形態において、脂環式DCR(MW 260及び262)の量は、DCRの総重量に基づいて、>15重量%又は>20重量%又は>30重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>80重量%である。
【0019】
実施形態において、反応性二重結合(C=C基)を有する三環式種の総量は、DCRの総重量の<5重量%、<3重量%、<1重量%又は0重量%である。反応性C=C基は、254又は258のMWを有するDCR種として規定される。
【0020】
実施形態において、DCRは、254、250及び248のMWを有するC19種を、<5重量%又は<3重量%又は<1重量%又は<0.5重量%又は0重量%の量で有する。
【0021】
実施形態において、DCRは、174及び180のMWを有するC13種を、5~20重量%又は5~15重量%又は>5重量%又は<20重量%の量で有する。
【0022】
水素化後の実施形態において、hDCR中に18~20個の炭素原子を有する三環式種の量は、hDCRの総重量に基づいて、少なくとも70重量%又は75~100重量%又は75~95重量%又は80~100重量%又は80~95重量%まで上昇する。
【0023】
水素化前の実施形態において、非水素化DCRは、262のMWを有するC19種を、5~20重量%又は5~15重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%の量で含有する。水素化後、hDCRは、262のMWを有するC19種を、25~100重量%又は25~90重量%又は25~80重量%又は40~75重量%又は50~70重量%又は>25重量%又は>35重量%又は>50重量%又は>75重量%の量で含有する。
【0024】
水素化前の実施形態において、非水素化DCRは、260のMWを有するC19種を、5~25重量%又は10~20重量%又は>5重量%又は>10重量%又は>15重量%又は<20重量%の量で含有する。水素化後、hDCRは、260のMWを有するC19種を、0~5重量%又は0~3重量%又は0~1重量%又は<5重量%又は<2重量%又は0重量%の量で含有する。
【0025】
水素化前の実施形態において、非水素化DCRは、256のMWを有するC19種を、35~55重量%又は40~50重量%又は>37重量%又は>40重量%又は>45重量%の量で含有する。水素化後、hDCRは、256のMWを有するC19種を、0~40重量%又は5~35重量%又は10~30重量%又は<40重量%又は<30重量%の量で含有する。
【0026】
水素化前の実施形態において、非水素化DCRは、252のMWを有するC19種を、5~20重量%又は5~15重量%、>5重量%又は>10重量%の量で含有する。水素化後、hDCRは、252のMWを有するC19種を、0~5重量%又は0~3重量%又は<5重量%又は<3重量%又は<1重量%又は0重量%の量で含有する。
【0027】
水素化前の実施形態において、非水素化DCRは、180のMWを有するC13種を、0~5重量%又は0~3重量%又は<5重量%又は<2重量%又は<1重量%又は0重量%の量で含有する。水素化後、hDCRは、180のMWを有するC13種を、0~25重量%又は5~20重量%又は5~15重量%又は>5重量%又は>7重量%又は>10重量%の量で含有する。
【0028】
水素化前の実施形態において、非水素化DCRは、174のMWを有するC13種を、5~25重量%、5~20重量%又は5~15重量%又は>5重量%又は>10重量%又は<20重量%の量で含有する。水素化後、hDCRは、174のMWを有するC13種を、0~5重量%又は0~3重量%又は<5重量%又は<2重量%又は0重量%の量で含有する。
【0029】
これまでに規定された分析方法(例えば、MS、MS/GC/HPLC及びGC-MS)を使用して測定された、非水素化DCR及びhDCR中の種のMWは、以下の保持プロファイルによって同定され得る:174g/molのMW、7.0~8.5分;180g/molのMW、2.5~4.0分;248g/molのMW、32.5~34.5分;250g/molのMW、26.0~31.0分;252g/molのMW、24.5~31.0分;254g/molのMW、16.5~25.0分;256g/molのMW、16.5~25.0分;260g/molのMW、11.0~16.0分;及び262g/molのMW、11.0~16.0分。保持時間範囲が重複している成分に関して、成分のMWを同定するために、各ピークのマススペクトルが使用される。同一のMWを有する成分(異性体)は一群とされ、異性体当たりの総量が報告される。
【0030】
実施形態において、hDCRは、C19H34の分子式及び262g/molのMWを有する種の少なくとも5個の異性体又は10個の異性体又は20個の異性体又は50個の異性体又は100個の異性体を含む。
【0031】
水素化後の実施形態において、hDCRは、C=C二重結合を、<40%又は<30%又は<20%又は<15%又は<10%又は<5%又は>1%又は1~40%又は2~20%又は1~10%の量で含む。
【0032】
水素化後の実施形態において、hDCRは、平均二重結合当量を、0.1~2又は0.2~1.5又は0.5~1.4又は0.5~2又は<2又は<1.8又は<1.5又は<1.2又は>0.1の量で含む。
【0033】
実施形態において、DCRは、m/z(質量/電荷)値を、GC-FID-MSによって測定されて、170~280又は220~280又は230~270又は234~262又は235~265又は>230又は<265の範囲で有すると特徴付けられる。
【0034】
実施形態において、DCRは、<5%又は<3%又は<2%又は<0.9%又は<0.5%又は<0.2%又は<0.1%又は0~5%又は0~3%又は0~2%又は0~1%の酸素含有量を有すると特徴付けられる。酸素含有量(%における)は、酸素対炭素比として算出される又は存在する酸素原子の合計を存在する炭素原子の合計で除算して算出され得て、酸素原子及び炭素原子の数は、元素分析から得られる。
【0035】
実施形態において、非水素化DCRは、DCRを製造するためのロジン酸供給原料より低い酸価(カルボン酸含有量)を有すると特徴付けられる。実施形態において、DCRは、ASTM D1240-14(2018)又はASTM D465を使用して測定された、<50又は<45又は<40又は<35又は<30又は<25又は<20又は<15又は<10又は<7又は<5又は0.5~40又は0.5~30又は0.5~20又は1~20又は1~15又は1~15又は1~10mg/KOHの酸価を有する。
【0036】
実施形態において、hDCRは、ASTM D1240-14(2018)又はASTM D465を使用して測定された、<1又は<0.8又は<0.5又は<0.2又は0.01~1又は0.1~0.8又は0.01~0.5mg KOH/gの酸価を有する。
【0037】
実施形態において、DCRは、0.9~1.0又は0.91~0.99又は0.92~0.98又は0.93~0.97又は0.94~0.96又は>0.9又は<1.1g/cm3の密度を有する。
【0038】
実施形態において、DCRは、その相対的に高い分子量に一部起因して、石油化学基油の粘度と同等の粘度、例えば、ASTM D-445に準拠して40℃で測定された、5~60又は10~60、15~60又は5~55又は10~50又は10~45又は15~40又は>5又は>10又は>20又は>25又は>28又は<45又は<50又は<60cStの粘度を有すると特徴付けられる。
【0039】
実施形態において、非水素化DCRは、ASTM D611に準拠して、3~40℃又は5~40℃又は5~30℃又は5~25℃又は2~20℃又は5~20℃又は5~15℃又は<25℃又は<20℃又は>3℃又は>5℃又は>8℃のアニリン点を有する。
【0040】
実施形態において、hDCRは、ASTM D611に準拠して、20~80℃、30~70℃、30~60℃、40~50℃又は>20℃又は>30℃又は>40℃又は<70℃のアニリン点を有する。
【0041】
実施形態において、非水素化DCRは、ASTM D97に準拠して、-40~+10℃又は-35~+8℃、-30~+5℃又は-30~+0℃又は-30~-5℃又は-28~0℃又は-28~-5℃又は-28~-10℃又は>-40℃又は>-30℃又は>-28℃又は<+5℃又は<+10℃の流動点を有する。
【0042】
実施形態において、hDCRは、ASTM D97に準拠して、-40~-10℃又は-35~-20℃又は-35~-25℃又は<0℃又は<-5℃、<-10℃又は>-40℃又は>-35℃の流動点を有する。
【0043】
実施形態において、非水素化DCRは、ASTM D92に準拠して、135~180℃又は135~175℃又は135~165℃又は135~160℃又は140~175℃又は140~160℃又は140~158℃又は140~155℃又は>135℃又は>140℃又は<175℃又は<165℃又は<160℃の引火点を有する。
【0044】
実施形態において、hDCRは、ASTM D92に準拠して、95~140℃又は100~135℃又は95~135℃又は<140℃又は<135℃又は>95℃又は>100℃の引火点を有する。
【0045】
実施形態において、DCRは、ASTM D2887に準拠して測定された、200~390℃又は210~390℃又は235~390℃又は280~380℃又は290~370℃又は300~360℃又は>290℃又は>230℃又は>210℃又は<400℃又は<370℃の沸点を有する。
【0046】
実施形態において、非水素化DCRは、ASTM D6166に準拠して、0~12.0又は0.5~12.0又は0.8~12.0又は0.9~11又は1.0~10.0又は1.0~6.0又は1.0~5又は>0又は>1.0又は>1.2又は<10.0又は<7.0又は<6.0又は<5.0又は<2.4又は<3.0のガードナー色を有する。
【0047】
実施形態において、hDCRは、ASTM D6166に準拠して、<1又は<0.8又は<0.5又は<0.2又は0.1~1又は0.15~0.8又は0.1~0.5のガードナー色を有する。
【0048】
実施形態において、非水素化DCRは、DCRの総重量に基づいて、ASTM D5453に準拠して測定された、<500ppm(0.05重量%)又は<300ppm(0.03重量%)又は<200ppm(0.02重量%)又は<100ppm(0.01重量%)又は<10ppm(0.001重量%)又は20~700ppm(0.002~0.7重量%)、30~500ppm(0.003~0.5重量%)又は40~400ppm(0.004~0.4重量%)又は40~300ppm(0.004~0.3重量%)又は40~200ppm(0.004~0.2重量%)のイオウ含有量を有する。
【0049】
実施形態において、hDCRは、ASTM D5453に準拠して測定された、0.001~10ppm又は0.001~5ppm又は<10ppm又は<8ppm又は<5ppm又は>0.001ppmのイオウ含有量を有する。
【0050】
実施形態において、DCRは、DCRの総重量に基づいて、<5又は<4.75又は<4.5又は<4.25又は<4.0又は<3.75又は<3.5又は<3.25又は<3.0又は<2.75又は<2.5又は<2.25又は<2.0又は<1.5又は<1.0又は<0.5重量%のVOCを有する。DCRのVOCは:i)製品中に0.01%以上で存在する全VOCからの重量パーセント寄与を合計する方法に準拠する又はii)EPA(環境保護庁)法24若しくは同等の方法に準拠して測定される。
【0051】
実施形態において、DCRは、ASTM D1133に準拠して、25~90又は30~85又は35~80又は40~75又は45~70又は50~65又は>40又は>50又は>60又は>70又は>80のKb(カウリブタノール)値を有する。
【0052】
実施形態において、非水素化DCRは、ASTM D2270に準拠して測定された、>-200又は-200~-50又は<0又は<-50の粘度指数を有する。実施形態において、hDCRは、ASTM D2270に準拠して測定された、<25又は<0又は-50~0又は>-50の粘度指数を有する。粘度指数は、温度変化に対する流体の粘度における変化の、単位のない任意の尺度であり、例えば、40℃における粘度及び100℃における粘度の指数である。
【0053】
実施形態において、DCRは、14~18又は14.2~17.8又は14.5~17.5又は15~17又は15.2~16.5のδD値;3~6又は3.2~5.5又は3.4~5.2又は3.5~5.0のδP値;及び7~10又は7.5~9.5又は8~9又は8.2~8.8のδH値を有する。
【0054】
実施形態において、非水素化DCRは、ASTM D1331に準拠して、25~50又は28~45又は30~40ダイン/cmの表面張力を有する。
【0055】
エポキシ系接着剤:実施形態において、接着剤組成物は、ポリマー前駆物質として少なくとも1つの硬化性エポキシ樹脂を含むエポキシ系である。エポキシ樹脂は、1分子当たり少なくとも1つのエポキシ官能基を含有するモノマー、ダイマー、オリゴマー又はポリマーのエポキシ材料のいずれかであり得る。そのような樹脂は、芳香族又は脂肪族、環式又は非環式、単官能性又は多官能性であり得る。エポキシ樹脂の置換基は、オキシラン環と反応性である求核基又は求電子基(活性水素原子など)を持たない任意の基であり得る。置換基は、ハロゲン、エステル基、エーテル、スルホン酸基、シロキサン基、ニトロ基、アミド基、ニトリル基及びリン酸基を含み得る。
【0056】
実施形態において、エポキシドは、グリシジルエーテル型のものである。好適なグリシジルエーテルエポキシドは、ビスフェノールA及びF、脂肪族ジオール又は脂環式ジオールのグリシジルエーテル;末端エポキシ基を有する直鎖ポリマーエポキシド(例えば、ポリオキシアルキレングリコールのジグリシジルエーテル);並びに芳香族グリシジルエーテル(例えば、2価フェノールと過剰のエピクロルヒドリンとを反応させることによって調製されるもの)を含む。エポキシの例は、米国特許第6,486、256号明細書及び国際公開第94/00,527号に開示されており、参照により本明細書に組み込む。
【0057】
実施形態において、エポキシ成分は、特定の要件に対して、構造用接着剤の機械的特性を変性及び適合させるために、2つ以上のエポキシ樹脂の混合物を含む。使用され得るエポキシ樹脂の種類は、例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの反応生成物、フェノールとホルムアルデヒド(ノボラック樹脂)及びエピクロルヒドリンの反応生成物、過酸エポキシ、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、エピクロルヒドリンとp-アミノフェノールの反応生成物、エピクロルヒドリンとグリオキサールテトラフェノールの反応生成物並びに参照により本明細書に組み込む「Handbook of Epoxy Resins」 McGraw-Hill、Inc.、1967年において名称付けされた他のものを含む。
【0058】
エポキシ系接着剤に関する実施形態において、アミン硬化剤が利用される。硬化剤は、エポキシ樹脂を架橋させるように機能する。実施形態において、アミン硬化剤は、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、プロピレンジアミン、テトラエチレンペンタアミン、ヘキサエチレンヘプタアミン、ヘキサメチレンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタメチレン-ジアミン、4,7,10-トリオキサトリデカン-1,13-ジアミン、アミノエチルピペラジン及びこれらの組合せを含む。アミン硬化剤は、酸化ポリプロピレン又は酸化ポリエチレンから誘導され得るこれらのポリエーテルアミンを含む、1つ以上のアミン部分を有するポリエーテルアミンであり得る。
【0059】
実施形態において、硬化剤は、「潜在性」硬化剤として特徴付けられる。潜在性硬化剤は、標的のエポキシ樹脂と接触しながら、硬化プロセスの昇温状態において融解するまで、エポキシ樹脂を硬化させるように作用しない硬化剤である。潜在性硬化剤の例は、無水物、ブロックされたアミン(メチルエチルケトキシム又はフェニルグリシジルエーテル)、ジシアンジアミド、イミダゾール及び酸無水物(例えば、ピロメリト酸二無水物又はナド酸メチル無水物)並びにこれらの混合物を含む。
【0060】
アクリル系接着剤:実施形態において、接着剤組成物は、アクリル前駆物質を含むアクリル系である。アクリル前駆物質は、1つ以上のアクリレート又はメタクリレートのモノマー又はオリゴマーの混合物であり得る。
【0061】
好適なアクリレート又はメタクリレートのモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸のテトラエチレングリコール、イソデシル、ヒドロキシエチル及びヒドロキシプロピルのエステル;アクリル酸及びメタクリル酸のブチル、イソデシル、メチル、テトラヒドロフルフリル、イソボルニル及び2-エチルヘキシルのエステル;ブチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ビスフェノールA、エトキシル化ビスフェノールA、ペンタエリトリトールのジアクリレート、ジメタクリレート、トリアクリレート、トリメタクリレート、テトルアクリレート及びテトラメタクリレート;並びにこれらの混合物である。
【0062】
好適なアクリル化又はメタクリル化されたオリゴマーは、所望の最終使用に適切な接着特性を有し、アクリレート又はメタクリレート官能性を有するならば、広範囲の材料から調製され得る。実施形態において、アクリル化又はメタクリル化されたオリゴマーは、アクリレート官能基でキャップされたポリウレタン骨格を有するものであり、例えば、ポリエステルポリオール又はポリ(アルキレンオキシド)ポリオールと、過剰のジイソシアネートとの反応によって形成され、次にヒドロキシエチルアクリレートなどの、ヒドロキシル含有のアクリレート又はメタクリレートと更に反応させたものなどである。
【0063】
アクリル系接着剤に関する実施形態において、フリーラジカル発生剤が、硬化剤として使用される。多くのフリーラジカル発生剤が、硬化剤として含まれ得る。フリーラジカル発生剤は文献において公知であり、「Free Radicals in Solution」、C.Walling、J.Wiley & Sons、New York、1957年及び「The Chemistry of Organic Film Formers」、D.H.Solomon、J.Wiley & Sons、New York.1967年、135頁に記載されており、参照により本明細書に組み込む。
【0064】
フリーラジカル発生剤の例は、クメンヒドロペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジアシルペルオキシド、ラウロイルペルオキシドなどの有機ペルオキシド及びヒドロペルオキシド、P-ブチルペルオキシベンゾエート又はtert-ブチルペルオキシベンゾエートなどのペルエステル、メチルエチルケトンヒドロペルオキシドなどのケトンヒドロペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド並びにこれらの混合物を含む。フリーラジカル発生剤はまた、ナフテン酸コバルトなどの有機遷移金属塩又は塩化スルホニルなどの不安定な塩素を含む化合物であってもよい。
【0065】
フリーラジカル発生剤は、多官能性架橋モノマーであり得る。例は、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、1,2-エタンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート並びにビスフェノールAジメタクリレート及びエトキシル化ビスフェノールAジメタクリレートなどのエポキシ-ジアクリレートを含む。
【0066】
実施形態において、エポキシ樹脂はアクリル系組成物に含まれ、強度、可撓性、耐久性、耐熱性及びさまざまな基材に対する接着性を含む特性を改善する。
【0067】
ポリウレタン系接着剤:実施形態において、接着剤組成物は、ポリウレタン前駆物質を含むポリウレタン系である。ポリウレタンポリマー前駆物質は、典型的には、ポリイソシアネートとポリオールポリマーとを反応させることによって調製される。
【0068】
イソシアネートは特に限定されず、従来から公知のさまざまなイソシアネート化合物から選択され、非変性イソシアネート、変性ポリイソシアネート及びイソシアネートプレポリマーを含み得る。そのような有機ポリイソシアネートは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる、W.SiefkenによるJustus Liebigs Annalen der Chemie、562、75~136頁に記載されている種類の脂肪族、脂環式、芳香族-脂肪族、芳香族及び複素環式のポリイソシアネートを含む。ポリマー前駆物質における使用に好適なポリイソシアネート化合物の例は、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、変性TDI、変性MDI、変性HDIなどである。好適な脂肪族ジイソシアネートの例は、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン-1,4ジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチル-1,6ジイソシアナトヘキサン及びm-テトラメチルキシレンジイソシアネートを含む。
【0069】
好適なポリオールの例は、グリコール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、変性ポリエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ヒマシ油ポリオール、ポリアクリレートポリオール、これらのコポリマー及び組合せを含むが、これらに限定されない。ポリオールは、ジオール若しくはトリオール又はこれらの混合物であり得る。
【0070】
1成分ポリウレタン系接着剤に関する実施形態において、ポリウレタン系接着剤は、ポリオールポリマー及びイソシアネート官能性をブロックするためにメチルエチルケトンオキシム又はジメチロールプロピオン酸などのブロッキング剤と予め反応させたポリイソシアネートを含む。ポリウレタンポリマー前駆物質の調製において、アルコール成分のヒドロキシル基と、多官能性イソシアネートのイソシアネート基との比は重要である。実施形態において、ポリウレタン前駆物質の合成のためのイソシアネート基当量とヒドロキシル基当量との比は、約1.05:1.00の当量NCO/OH~約10:1の当量NCO/OH、好ましくは約1.2:1.0の当量NCO/OH~約3:1の当量NCO/OH、最も好ましくは約2:1の当量NCO/OHである。1成分ポリウレタン系接着剤は、次に湿気硬化及び/又は熱硬化される。
【0071】
実施形態において、2成分ポリウレタン系接着剤に関して、ポリマー前駆物質は、主剤としてのポリオール及び硬化剤としてのポリイソシアネート成分を含む2成分である。
【0072】
触媒は、ポリウレタン系接着剤に添加され、硬化時間を早めることができ、有機スズなどの有機金属触媒又は第3級アミンを含む。ポリウレタン化学で使用される有機金属及び金属塩の触媒は、典型的には、周期律表の第VIII族、第I-B族、第II-B族及び第IV-A族からの金属又は金属イオン、例えば、スズ、鉛、鉄及び水銀を含有する。触媒は、ポリウレタンポリマー前駆物質の約0重量%~約3重量%又は0.001%~1.5%又は0.01%~1.5%の量で添加され得る。
【0073】
シリル変性ポリマー(「SMP」)系接着剤:実施形態において、接着剤組成物は、ポリマー前駆物質として少なくとも1つのSMPを含むシリル変性ポリマー系である。SMPは、少なくとも1つのシリル基で置換された任意の有機ポリマーである。一部の実施形態において、シリル変性ポリマーは、シリル末端ポリマーである。本明細書で使用される場合、「シリル末端ポリマー」は、少なくとも1つのシリル基の置換がポリマー骨格の鎖の端部にあるシリル変性ポリマーである。
【0074】
「シリル基」は、一般式-SinR2n+2を有し得て、式中、Rは、水素、有機基又はこれらの任意の組合せであり、少なくとも1つのRサブ基が有機基で置換されている、前述の式の任意のバージョンも含み得る。一部の実施形態において、少なくとも1つのシリル基は非置換であり、Rサブ基の全てが同一であってよい。一部の実施形態において、少なくとも1つのシリル基は置換され、Rサブ基の一部が同一であり得て、一方、他のRサブ基は互いに異なってよい。一部の実施形態において、少なくとも1つのシリル基は置換され、Rサブ基の全ては異なる。実施形態において、少なくとも1つのシリル基は、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリス(2-プロペニルオキシ)シリル基、トリアセトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、ジメトキシエチルシリル基、(クロロメチル)ジメトキシシリル基、(クロロメチル)ジエトキシシリル基、(メトキシメチル)ジメトキシシリル基、(メトキシメチル)ジエトキシシリル基、(N,N-ジエチルアミノメチル)ジメトキシシリル基、(N,N-ジエチルアミノメチル)ジエトキシシリル基又はこれらの組合せである。
【0075】
実施形態において、少なくとも1つのシリル変性ポリマーは、特定のポリマー骨格によって特徴付けられ得る。例えば、少なくとも1つのシリル変性ポリマーは、飽和炭化水素ポリマー骨格、(メタ)アクリル酸エステルポリマー骨格又はポリオキシアルキレンポリマー骨格を有する。実施形態において、少なくとも1つのシリル変性ポリマーは、複数のシリル変性ポリマーであり、同一であってよく又は異なってよい。SMPは、米国特許第11472988号明細書及び同第9598619号明細書、米国特許出願公開第2023313005号明細書及び欧州特許出願公開第3689996号明細書に記載されており、全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0076】
実施形態において、架橋触媒又は架橋促進触媒がSMP系接着剤に使用される。触媒は、ポリマーのシリル基などの加水分解性基の架橋に関連して活性を有する任意の触媒であってよい。有機スズ触媒、例えば、ジブチルスズジアセチルアセトネート(DBTDAA)又はジオクチルスズジアセチルアセトネート(DOTCAA)又はジブチルスズジラウレート(DBTDL)、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズ-ジブチレート又はスズオクトエート(tinoctoate)が、SMP系接着剤に使用され得る。また、ジイソプロポキシ-チタンビス(エチルアセトアセテート)、ジブトキシ-チタン-ビス(エチルアセトアセテート)、チタンアセチルアセトネート又はジブトキシ-チタン-ビスアセチルアセトネートなどのオルトチタネート及び他の有機チタネート(チタンキレート)もまた使用されてよい。触媒は、SMP系接着剤の総重量に基づいて、0.1~1重量%又は0.1~0.6重量%又は>0.1重量%又は>0.2重量%又は<1重量%又は<0.8重量%又は<0.6重量%の任意の量で添加され得る。
【0077】
任意選択的成分:実施形態において、構造用接着剤組成物は、任意選択的成分を更に含む。任意選択的成分は、接着促進剤、エラストマー強化剤、腐食阻害剤、衝撃変性剤、反応性液体モノマー、レオロジー制御剤、顔料、着色剤、抗酸化剤、金属塩、消泡剤、分散剤、界面活性剤、難燃剤、硬化速度調整剤、促進物質、充填剤及びこれらの混合物の群から選択される。
【0078】
充填剤の例は、さまざまなすり砕いたチョーク又は沈殿させたチョーク、石英粉末、アルミナ、非平板状クレイ、ドロマイト、炭素繊維、ガラス繊維、ポリマー繊維、二酸化チタン、溶融シリカ、カーボンブラック、酸化カルシウム、炭酸マグネシウムカルシウム、バライト、アルミニウムマグネシウムカルシウムシリケート型のシリケート様充填剤、例えば、ケイ灰石及び緑泥石並びにこれらの混合物を含む。
【0079】
任意選択的成分の量は、以下に規定された構造用接着剤における使用のためのポリマー前駆物質の種類に依存する。
【0080】
構造用接着剤の組成:構造用接着剤は、1成分組成物(キット)又は2成分組成物(キット)であり得る。1成分組成物において、DCR、ポリマー前駆物質、例えば、エポキシ、アクリル、ポリウレタン又はSMPは、基材に適用されて硬化される前に、接着剤の種類に応じて任意選択的に、硬化剤又は触媒及び任意選択的成分が共に混合される。実施形態において、構造用接着剤組成物は、エポキシ、アクリル、ポリウレタン及びシリル変性ポリマーからなる群から選択される10~99重量%又は20~99重量%又は40~99重量%又は50~99重量%又は>25重量%又は>50重量%のポリマー前駆物質、1~25重量%又は1~25重量%又は1~20重量%又は1~15重量%のDCR及び89重量%まで、<80重量%又は<70重量%又は0~89重量%又は0~79重量%又は1~59重量%又は1~49重量%の任意選択的成分を含む。2成分接着剤組成物に関して、DCRは、構造用接着剤組成物のA部及び/又はB部にあり得る。ポリマー前駆物質の種類に応じて、以下はさまざまな構造用接着剤配合物の説明である。
【0081】
エポキシ系接着剤:1成分エポキシ系接着剤に関する実施形態において、エポキシ系接着剤組成物の総重量に基づいて、DCRは、1~25重量%又は5~20重量%又は5~15重量%又は5~10重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%又は<10重量%又は>1重量%又は>3重量%の量で存在し;エポキシポリマー前駆物質は、>25重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>60重量%又は>90重量%又は20~98重量%又は20~95重量%又は20~90重量%又は20~85重量%又は50~98重量%の量で存在し;硬化剤は、1~15重量%又は<20重量%又は<15重量%又は<10重量%又は>1重量%又は>2重量%の量で存在し;任意選択的成分は、<80重量%又は<70重量%又は<60重量%又は<50重量%又は0~80重量%又は1~80重量%、1~50重量%又は1~30重量%の量で存在する。
【0082】
2成分エポキシ系接着剤に関する実施形態において、DCRは、エポキシポリマー前駆物質若しくは硬化剤のいずれ又は両方に添加され得る。実施形態において、DCRはエポキシポリマー前駆物質(A部)に添加され、B部は硬化剤を含む又は本質的にこれらからなる又はこれらからなる。実施形態において、A部は(A部の総重量に基づいて):エポキシポリマー前駆物質を、20~99重量%又は20~95重量%又は30~95重量%又は40~95重量%又は50~95重量%、<99重量%又は<95重量%又は<90重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>60重量%の量で含み;DCRを、1~25重量%又は5~20重量%又は5~15重量%又は5~10重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%又は<10重量%又は>1重量%又は>3重量%の量で含み;任意選択的成分は、A部の総重量に基づいて、<80重量%まで又は<70重量%又は<60重量%又は<50重量%又は0~80重量%又は1~80重量%、1~50重量%又は1~30重量%の量で存在する。実施形態において、B部は(B部の総重量に基づいて):硬化剤を、100重量%(B部の総重量)まで又は10~100重量%又は20~99重量%又は25~95重量%又は30~95重量%又は40~95重量%又は50~90重量%又は<99重量%又は<95重量%又は<90重量%又は>20重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>60重量%又は>65重量%の量で含み;任意選択的成分、例えば触媒、レオロジー添加剤、又は硬化促進物質を、B部の総重量に基づいて、<50重量%、<40重量%又は<30重量%又は0~50重量%又は1~50重量%、1~40重量%又は1~30重量%又は1~20重量%の量で含む。
【0083】
実施形態において、DCRは硬化剤(B部)に添加され、A部はエポキシポリマー前駆物質を含む又はこれらから本質的になる。実施形態において、A部は(A部の総重量に基づいて):エポキシポリマー前駆物質を、100重量%まで、10~99重量%又は20~95重量%又は30~95重量%又は40~95重量%又は50~95重量%又は<95重量%又は<90重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>60重量%の量で含み;任意選択的成分を、<90重量%又は<80重量%又は<70重量%又は<60重量%、<50重量%、<40重量%又は<30重量%又は1~90重量%又は1~75重量%、1~50重量%又は1~40重量%又は1~30重量%の量で含む。実施形態において、B部は(B部の総重量に基づいて):DCRを、1~25重量%又は5~20重量%又は5~15重量%又は5~10重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%又は<10重量%又は>1重量%又は>3重量%の量で含み;硬化剤を、20~99重量%、25~99重量%又は30~99重量%又は40~99重量%又は50~99重量%、75~99重量%又は<100重量%又は<99重量%又は<95重量%又は<90重量%、<80重量%又は>20重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>60重量%又は>65重量%の量で含み;任意選択的成分、例えば触媒、レオロジー添加剤又は硬化促進物質を、B部の総重量に基づいて、<90重量%、<80重量%又は<70重量%又は<60重量%又は<50重量%又は0~90重量%又は1~90重量%、1~75重量%又は1~50重量%又は1~30重量%の量で含む。
【0084】
DCRがA部とB部の両方に添加される実施形態において、各部に添加されるDCRの量は、上記の配合物に基づいて、1~25重量%又は5~20重量%又は5~15重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%又は<10重量%又は>1重量%又は>3重量%の範囲である。
【0085】
エポキシ系接着剤を形成するためのA部とB部の混合において、A部とB部の量は、所望のエポキシ対アミン水素のモル比に依存し、0.5:1~4:1又は0.5:1~3:1又は0.5:1~1.5:1の範囲である。
【0086】
アクリル系接着剤:1成分アクリル系接着剤に関する実施形態において、アクリル系接着剤組成物の総重量に基づいて、DCRは、1~25重量%又は5~20重量%又は5~15重量%又は5~10重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%又は<10重量%又は>1重量%又は>3重量%の量で存在し;アクリルポリマー前駆物質は、20~99重量%まで、25~99重量%又は30~99重量%又は40~99重量%又は50~99重量%、20~75重量%又は<100重量%又は<99重量%又は<95重量%又は<90重量%又は>20重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>60重量%又は>65重量%の量で存在し;硬化剤は、<10重量%又は<5重量%又は<4重量%又は>1重量%又は1~10重量%又は1~5重量%の量で存在し;任意選択的成分は、<80重量%又は<70重量%又は<60重量%又は<50重量%又は0~50重量%又は1~50重量%、1~40重量%又は1~30重量%の量で存在する。
【0087】
2成分アクリル系接着剤に関する実施形態において、DCRは、アクリルポリマー前駆物質若しくは硬化剤のいずれ又は両方に添加され得る。実施形態において、DCRは、アクリルポリマー前駆物質(A部)に添加され、B部は硬化剤を含む。実施形態において、A部は(A部の総重量に基づいて):アクリルポリマー前駆物質を、20~99重量%又は25~99重量%又は30~99重量%又は40~99重量%又は50~99重量%又は<100重量%又は<99重量%又は<95重量%又は<90重量%又は>20重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>60重量%又は>65重量%の量で含み;DCRを、1~25重量%又は5~20重量%又は5~15重量%又は5~10重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%又は<10重量%又は>1重量%又は>3重量%の量で含み;任意選択的成分を、A部の総重量に基づいて、<80重量%又は<70重量%又は<60重量%又は<50重量%又は0~50重量%又は1~45重量%又は1~40重量%又は1~30重量%の量で含む。実施形態において、B部は(B部の総重量に基づいて):硬化剤を、<50重量%又は<40重量%又は>20重量%又は>30重量%又は20~50重量%の量で含み;任意選択的成分を、B部の総重量に基づいて、<80重量%又は<70重量%又は<60重量%又は<50重量%又は0~85重量%又は1~85重量%、1~75重量%又は1~50重量%又は1~30重量%の量で含む。B部はまた、B部の総重量に基づいて、エポキシを、<85重量%又は<70重量%又は<50重量%又は1~85重量%又は1~75重量%又は1~50重量%又は1~30重量%の量で含有し得る。
【0088】
実施形態において、DCRは硬化剤(B部)に添加され、A部はアクリルポリマー前駆物質から本質的になる。実施形態において、A部は(A部の総重量に基づいて):アクリルポリマー前駆物質を、10~100重量%、10~99重量%又は20~99重量%、25~99重量%又は30~99重量%又は40~99重量%又は50~99重量%又は<100重量%又は<99重量%又は<95重量%又は<90重量%又は>20重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>60重量%又は>65重量%の量で含み;任意選択的成分を、A部の総重量に基づいて、90重量%まで又は<80重量%又は<70重量%又は<60重量%又は<50重量%又は0~90重量%又は1~90重量%又は1~80重量%又は1~70重量%、1~60重量%又は1~50重量%又は1~30重量%の量で含む。実施形態において、B部は(B部の総重量に基づいて):硬化剤を、<50重量%又は<40重量%又は>20重量%又は>30重量%又は20~50重量%の量で含み;DCRを、1~25重量%又は5~20重量%又は5~15重量%又は5~10重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%又は<10重量%又は>1重量%又は>3重量%の量で含み;任意選択的成分を、B部の総重量に基づいて、<80重量%又は<70重量%又は<60重量%又は<50重量%又は0~80重量%又は1~80重量%、1~75重量%又は1~50重量%又は1~30重量%の量で含む。B部はまた、B部の総重量に基づいて、エポキシを、<85重量%又は<70重量%又は<50重量%又は1~85重量%又は1~75重量%又は1~50重量%又は1~30重量%の量で含有し得る。
【0089】
DCRがA部とB部の両方に添加される実施形態において、各部に添加されるDCRの量は、上記の配合物に基づいて、1~25重量%又は5~20重量%又は5~15重量%又は5~10重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%又は<10重量%又は>1重量%又は>3重量%の範囲である。
【0090】
アクリル系接着剤を形成するためのA部とB部の混合において、A部とB部の量は、1:1~20:1又は5:1~15:1又は7:1~12:1の範囲である。
【0091】
ポリウレタン系接着剤:1成分ポリウレタン系接着剤に関する実施形態において、ポリウレタン系接着剤組成物の総重量に基づいて、DCRは、1~25重量%又は5~20重量%又は5~15重量%又は5~10重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%又は<10重量%又は>1重量%又は>3重量%の量で存在し;ポリウレタンポリマー前駆物質(ポリオール、イソシアネート及びブロッキング剤)は、50~99重量%、60~99重量%、70~99重量%又は<99重量%又は<95重量%又は<90重量%又は>20重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>60重量%又は>65重量%の量で存在し;任意選択的成分は、触媒を含み、<50重量%又は<40重量%、<30重量%又は0~50重量%又は1~50重量%又は5~50重量%又は5~45重量%の量で存在する。実施形態において、硬化環境の相対湿度が<50%である場合、触媒は、0.1~0.5重量%の量で使用される。
【0092】
2成分ポリウレタン系接着剤に関する実施形態において、DCRは、ポリオールポリマー若しくはポリイソシアネートのいずれか又は両方に添加され得る。実施形態において、DCRはポリオールポリマー(A部)に添加され、B部はイソシアネートを含む又はこれらから本質的になる。実施形態において、A部は(A部の総重量に基づいて):ポリオールポリマーを、10~99重量%又は20~99重量%、25~99重量%又は30~99重量%又は40~99重量%又は50~99重量%又は<100重量%又は<99重量%又は<95重量%又は<90重量%又は>20重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>60重量%又は>65重量%の量で含み;DCRを、1~25重量%又は5~20重量%又は5~15重量%又は5~10重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%又は<10重量%又は>1重量%又は>3重量%の量で含み;任意選択的成分を、触媒を含み、A部の総重量に基づいて、<90重量%又は<75重量%又は<50重量%又は<25重量%又は<20重量%、0~90重量%又は0~50重量%又は0~25重量%又は1~25重量%又は1~20重量%の量で含む。実施形態において、B部は(B部の総重量に基づいて):ポリイソシアネートを、10~99重量%又は20~99重量%、25~99重量%又は30~99重量%又は40~99重量%又は50~99重量%又は<100重量%又は<99重量%又は<95重量%又は<90重量%又は>20重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>60重量%又は>65重量%の量で含み;任意選択的成分を、触媒を含み、B部の総重量に基づいて、<80重量%又は<70重量%又は<60重量%又は0~80重量%又は1~80重量%又は1~70重量%又は1~60重量%の量で含む。実施形態において、硬化環境の相対湿度が<50%である場合、触媒は、B部に0.1~0.5重量%の量で添加される。
【0093】
実施形態において、DCRはポリイソシアネート(B部)に添加され、A部はポリオールポリマーを含む又はこれらから本質的になる。実施形態において、A部は(A部の総重量に基づいて):ポリオールポリマーを、10~100重量%、10~99重量%又は20~99重量%、25~99重量%又は30~99重量%又は40~99重量%又は50~99重量%、85~99重量%又は<100重量%又は<99重量%又は<95重量%又は<90重量%又は>20重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>60重量%又は>65重量%の量で含み;任意選択的成分を、触媒を含み、A部の総重量に基づいて、<90重量%又は<75重量%又は<50重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%、0~90重量%又は0~75重量%又は0~50重量%又は0~25重量%又は1~25重量%又は1~20重量%の量で含む。実施形態において、B部は(B部の総重量に基づいて):ポリイソシアネートを、10~99重量%又は20~99重量%、25~99重量%又は30~99重量%又は40~99重量%又は50~99重量%、85~99重量%又は<100重量%又は<99重量%又は<95重量%又は<90重量%又は>20重量%又は>40重量%又は>50重量%又は>60重量%又は>65重量%の量で含み;DCRを、1~25重量%又は5~20重量%又は5~15重量%又は5~10重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%又は<10重量%又は>1重量%又は>3重量%の量で含み;任意選択的成分を、触媒を含み、B部の総重量に基づいて、<80重量%又は<70重量%又は<60重量%又は0~80重量%又は1~80重量%又は1~70重量%又は1~60重量%の量で含む。実施形態において、硬化環境の相対湿度が<50%である場合、触媒は、B部に0.1~0.5重量%の量で添加される。
【0094】
DCRがA部とB部の両方に添加される実施形態において、各部に添加されるDCRの量は、上記の配合物に基づいて、0.5~25重量%又は1~20重量%又は5~15重量%又は5~10重量%の範囲である。
【0095】
ポリウレタン系接着剤を形成するためのA部とB部の混合において、A部とB部の量は、1:1~8:1又は2:1~7:1の範囲である。
【0096】
SMP系接着剤:SMP系接着剤に関する実施形態において、SMP系接着剤組成物の総重量に基づいて、DCRは、1~25重量%又は5~20重量%又は5~15重量%又は5~10重量%又は<25重量%又は<20重量%又は<15重量%又は<10重量%又は>1重量%又は>3重量%の量で存在し;シリル変性ポリマー前駆物質は、20~99重量%又は30~99.5重量%又は40~99.5重量%又は75~99重量%又は<100重量%又は<99重量%又は<95重量%又は>20重量%又は>40重量%又は>50重量%の量で存在し;任意選択的成分は、触媒を含み、<90重量%又は<80重量%又は<70重量%又は<60重量%又は0~90重量%、1~90重量%又は1~80重量%又は1~70重量%又は1~60重量%の量で存在する。
【0097】
製造方法:条件(温度、湿度など)が、早期硬化が起きるのを許容しないならば、成分を組み合わせる方法は限定されない。例えば、1成分エポキシ系接着剤は、予め混合されて凍結される又は>80℃で硬化する潜在性硬化剤を含んでよい。アクリル系接着剤は、UVエネルギーに暴露されて任意選択的な光開始剤を分解する又は<30℃で保存されて使用前の分解及び偶発的な硬化を防ぐことができる。ポリウレタン系接着剤及びSMP系接着剤は、出発物質の物理的若しくは化学的な乾燥による又は不活性ガス、典型的には窒素下で操作して硬化を遅らせることによって、乾燥を保持することができる。
【0098】
2成分組成物の場合、接着剤組成物の第1のA部は、ポリマー前駆物質成分、例えば、エポキシ又はアクリルを含み、接着剤組成物の別個のB部は上述の硬化剤成分を含む。ポリウレタン系2成分接着剤組成物に関する実施形態において、接着剤組成物の第1のA部はポリオールを含み、別個のB部は上述のポリイソシアネートを含む。接着剤組成物は、2つの部を共に混合することによって調製される。
【0099】
適用前に、成分(A部及びB部)は互いに別々に保存され、適用の間又は適用の直前にのみ互いに混合される。成分は、2つの別々の区分で構成されるパック中に存在し、1つの区分にA部、他の区分にB部が存在する。成分(A部及びB部)は、パックの区分中に導入され、密封される。
【0100】
小規模の用途のために、接着剤包装は、並列型ダブルカートリッジ又は同軸カートリッジのいずれかであり得て、これには2つの管状区分が互いに横に並んで配置される又は互いの内部に配置されてピストンで密封されている。より大規模の用途のために、成分(A部及びB部)は分配され、用途におけるその後の混合のために、ドラム又はペール中で保存される。混合は、典型的には、静的ミキサーを介する又は動的ミキサーの補助で達成される。混合段階で、2つの成分が可能な限り均質に混合されることを確実にすることが重要である。
【0101】
構造用接着剤は、当技術分野で公知の技術、例えば熱、化学、放射線、誘導などに従って硬化され得る。硬化時間は、接着剤組成物で使用された硬化に応じて変化し、瞬時(<5秒)~72時間又は15秒~48時間又は30秒~36時間又は1秒~24時間又は<24時間の範囲である。複数の硬化技術が同一の接着剤に使用され得て、例えば、接着剤は室温で硬化され、続いて例えば熱又は放射線への暴露のような後硬化によって硬化され得る。実施形態において、接着剤は、部分的又は完全に熱硬化される。誘導硬化は部分的硬化に使用され、続いて第2の硬化技術、例えば、誘導硬化、続いて室温硬化に使用され得る。実施形態において、接着剤は、UV/光硬化を使用して、UV光/放射線への暴露後、数秒~数分で硬化される。
【0102】
エポキシ系接着剤は、1成分接着剤の場合、熱及びUVによって硬化され;2成分接着剤組成物に関して、熱硬化、室温硬化、湿気硬化、加圧硬化、誘導硬化、UV硬化、後硬化及びこれらの組合せによって硬化され得る。実施形態において、硬化時間は、1時間~24時間又は12時間~24時間かかる。
【0103】
アクリル系接着剤は、熱硬化、湿気硬化、誘導硬化、紫外線光硬化、後硬化及びこれらの組合せによって硬化され得る。実施形態において、硬化時間は、瞬時(<5秒)~36時間又は30秒~24時間である。
【0104】
ポリウレタン系接着剤は、1成分又は2成分のいずれであるかに応じて、湿気、室温又は熱によって硬化され得る。実施形態において、硬化時間は、1分~24時間又は2分~16時間かかる。
【0105】
SMP系接着剤は、湿気又は熱によって硬化され得る。実施形態において、硬化時間は、1分~24時間又は2分~16時間かかる。
【0106】
構造用接着剤の特性:
実施形態において、未硬化の構造用接着剤は、2rpmで、少なくとも25,000cps又は>50,000cps又は>55,000cps又は>60,000cps又は25,000~1,000,000cps又は50,000~750,000cps又は50,000~500,000cps又は50,000~300,000cpsのブルックフィールド粘度を有する。
【0107】
実施形態において、構造用接着剤は、硬化中に、<30分又は<15分又は<10分又は<8分のゲル化時間を有する。ゲル化時間は、組成物がもはや手動で撹拌できない場合の、混合後の時間と考えられる。
【0108】
実施形態において、構造用接着剤は、瞬時(<5秒)~72時間又は5秒~48時間又は10秒~40時間又は10秒~36時間又は1秒~24時間又は<24時間又は<12時間の範囲の硬化時間を有する。
【0109】
構造用接着剤は、硬化後に、以下の機械的特性:重ねせん断強さ、引張伸び及び引張強さの1つ以上を有する。
【0110】
実施形態において、硬化された構造用接着剤は、硬化後に少なくとも200psi又は少なくとも300psi又は少なくとも400psi又は少なくとも500psi又は200~6,000psi又は300~5,000psi又は400~4,000psiの重ねせん断強さを有する。
【0111】
実施形態において、硬化された構造用接着剤は、硬化後に少なくとも25%又は少なくとも30%又は少なくとも35%又は少なくとも50%又は少なくとも75%又は少なくとも90%又は25~200%又は30~150%又は30~99%の引張伸びを有する。
【0112】
実施形態において、硬化された構造用接着剤は、硬化後に少なくとも600psi又は>700psi又は>800psi又は<10,000psiの引張強さを有する。
【0113】
エポキシ系構造用接着剤の実施形態において、未硬化のエポキシ系構造用接着剤は、2rpm及び23℃において、少なくとも50,000cps若しくは好ましくは少なくとも55,000cps若しくはより好ましくは少なくとも60,000cpsのブルックフィールド粘度を有し;又は20rpm及び23℃において、少なくとも700cps若しくは好ましくは>850cps若しくはより好ましくは>1000cpsのブルックフィールド粘度を有し;硬化中に、構造用接着剤は、<15分又は好ましくは<10分;又はより好ましくは<8分のゲル化時間を有し;硬化後に、硬化された構造用接着剤は:ASTM D3163に準拠して測定された、少なくとも200psi又は好ましくは少なくとも400psi又はより好ましくは少なくとも500psi又は<6,000psi又は200~6,000psiの重ねせん断強さ;ASTM D412に準拠して測定された、少なくとも50%又は好ましくは>75%又は好ましくは>90%又は<99%の引張伸び;ASTM D412に準拠して測定された、少なくとも600psi又は好ましくは少なくとも700psi又はより好ましくは少なくとも800psi又は<10,000psiの引張強さのうちの少なくとも1つを有する。
【0114】
アクリル系構造用接着剤の実施形態において、未硬化アクリル系構造用接着剤は、2rpm及び23℃において、少なくとも50,000cps又は好ましくは少なくとも75,000cps又はより好ましくは少なくとも100,000cpsのブルックフィールド粘度を有し;硬化中に、構造用接着剤は、<15分又は好ましくは<10分;又はより好ましくは<8分のゲル化時間を有し;硬化後に、硬化された構造用接着剤は:ASTM D3163に準拠して測定された、少なくとも300psi又は好ましくは少なくとも400psi又はより好ましくは少なくとも500psi又は<6,000psi又は200~6,000psiの重ねせん断強さ;ASTM D412に準拠して測定された、少なくとも25%又は好ましくは少なくとも30%又はより好ましくは少なくとも50%又は<99%の引張伸び;ASTM D412に準拠して測定された、少なくとも1,000psi又は好ましくは少なくとも1,500psi又はより好ましくは2,000psi又は<10,000psiの引張強さのうちの少なくとも1つを有する。
【0115】
ポリウレタン系構造用接着剤の実施形態において、ポリウレタン系構造用接着剤は、硬化中に、<15分又は好ましくは<10分;又はより好ましくは<8分のゲル化時間を有し;硬化後に、硬化されたポリウレタン系構造用接着剤は:ASTM D3163に準拠して測定された、少なくとも200psi又は好ましくは少なくとも400psi又はより好ましくは少なくとも500psi又は<6,000psi又は200~6,000psiの重ねせん断強さ;ASTM D412に準拠して測定された、少なくとも50%又は好ましくは>75%又はより好ましくは>100%又は<200%の引張伸び;ASTM D412に準拠して測定された、少なくとも600psi又は好ましくは少なくとも700psi又はより好ましくは少なくとも800psi又は<10,000psiの引張強さのうちの少なくとも1つを有する。
【0116】
SMP系構造用接着剤の実施形態において、SMP系構造用接着剤は、硬化中に、<15分又は好ましくは<10分;又はより好ましくは<8分のゲル化時間を有し;硬化後に、硬化されたSMP系構造用接着剤は:ASTM D3163に準拠して測定された、少なくとも200psi又は好ましくは少なくとも400psi又はより好ましくは少なくとも500psi又は<6,000psi又は200~6,000psiの重ねせん断強さ;ASTM D412に準拠して測定された、少なくとも50%又は好ましくは>75%又はより好ましくは>100%又は<200%の引張伸び;ASTM D412に準拠して測定された、少なくとも600psi又は好ましくは少なくとも700psi又はより好ましくは少なくとも800psi又は<10,000psiの引張強さのうちの少なくとも1つを有する。
【0117】
構造用接着剤の使用:構造用接着剤組成物は、連結される2つの部品間に接着剤組成物を適用し、接着剤を硬化させて接合連結部を形成することによって、溶接又は機械的締め具を補足又は除くために使用され得る。構造用接着剤が適用され得る好適な基材は、金属(例えば、鋼、鉄、銅、アルミニウムなど、これらの合金を含む。)、炭素繊維、ガラス繊維、ガラス、エポキシ繊維複合材料、木材、セラミックス、プラスチック及びこれらの混合物を含む。
【0118】
構造用接着剤は、それ自体で単一成分を有するキットとして又は硬化プロセスにおいて共に混合される2つの別個の成分を有する2部(成分)キットとして提供され得る。
【0119】
構造用接着剤は、液体、ペースト及び加熱時に液化し得る半固体又は固体として適用され得る。構造用接着剤は、有用な接合を形成するのに合致する、中間ドット、ストライプ、対角線又は任意の他の幾何学的形態における連続式ビーズとして適用され得る。接着剤組成物は、刷毛塗り、スプレー、ナイフ塗り、二重カートリッジを含むカートリッジ適用され得る。
【0120】
構造用接着剤は、水上用車両(watercraft vehicle)、航空機又は自動車、オートバイ若しくは自転車などの車両(motorcraft vehicle)の組立などの車両組立に使用され得る。接着剤組成物は、ヘムフランジ接着剤として使用され得る。実施形態において、接着剤は、車体フレーム構造に使用される。組成物はまた、建築における構造用接着剤として又は家庭用及び産業用器具の構造用接着剤としても使用され得る。
【0121】
実施形態において、複合物品の製造方法は、構造用接着剤を表面に適用すること、及び表面に接触した構造用接着剤を硬化させて複合物品を形成することを含む。
【0122】
実施形態において、部材間に接合連結部を形成する方法は、2つ以上の部材のうちの少なくとも1つの表面に構造用接着剤を適用すること、構造用接着剤が2つ以上の部材の間に挟まれるように部材を連結すること、及び構造用接着剤を硬化させて2つ以上の部材の間に接合連結部を形成することを含む。
【実施例0123】
以下の実施例は、本開示を更に例証するために提供され、特性又は測定方法は以下に示すとおりである。
【0124】
DCR試料はKraton Corporationからのものであり、特性は表1に示される。DCR1及びDCR2は、それぞれ以下の成分を有する:0.39%及び0.1%の%O2含有量;69.5%及び77.7%の%三環式種並びにその分子量及び量によって同定された他の成分:芳香族(252のMWを有する)15.7%及び14.0%;反応性二重結合(254のMWを有する)0.1%及び0.5%;芳香族(256のMWを有する)40.3%及び45.3%;脂環式(260のMWを有する)0.7%及び0.3%;並びに反応性二重結合(258のMWを有する)0.4%及び0.8%。
【0125】
【0126】
エポキシ樹脂1は、無希釈の透明な二官能ビスフェノールA/エピクロルヒドリン由来の液体エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂1は、185~195g/当量のエポキシド当たりの重量(ASTM D1652)、25℃における110~150Pの粘度(ASTM D445)、25℃における1.16g/mlの密度(ASTM D1475)及び25℃における0.03mmHgの蒸気圧を有する。
【0127】
RA1は、変性尿素の溶液であり、52%の活性物質を有し、68°Fにおける9.43ポンド/ガロンの密度及び196°Fの引火点を有する液体レオロジー添加剤である。
【0128】
RA2は、アミン官能性オリゴアミドの溶液であり、20℃における0.98g/mlの密度、20000mPasの粘度及び20℃における1.517の屈折率を有するレオロジー添加剤である。
【0129】
硬化剤は、チオール(-SH)末端を有する明るい色の液体ポリマーであり、25℃における13Pasの粘度、13重量%のメルカプタン含有量及び約15の色数(APHA)を有する。
【0130】
触媒は、第3級アミン促進物質及び硬化剤であり、590~630mg KOH/gのアミン価、25℃における180~320cpsの粘度、8.1ポンド/ガロンの密度を有する。
【0131】
粘度は、ブルックフィールド粘度計によって室温(23℃)で測定された。
【0132】
ゲル化時間は、Gardnerゲル化時間テスト装置によって測定された。
【0133】
引張強さ及び引張伸びは、ASTM D412に従って測定された。検査試料の形態は、犬の骨形状の検査試料で測定され、長さ165mm、全幅19mm、ゲージ幅13mm、ゲージ長さ50mm、幅狭区域の長さ57mm、幅狭グリップの長さ115mm及び厚さ3.2mmであった。
【0134】
接合された硬質プラスチックの重ねせん断試験は、ASTM D3163に従って測定された。
【0135】
接合された金属の重ねせん断試験は、ASTM D3528に従って測定された。
【0136】
実施例1 2部エポキシ接着剤。
【0137】
以下の表2を参照し、A部及びB部の成分を、共に混合してエポキシ接着剤を形成する前に、室温で別々に混合した。構造用接着剤1を形成するために、A部とB部を、室温において1:1比で共に混合した。
【0138】
【0139】
構造用接着剤1及び比較接着剤(詳細は下記)を使用して、アクリル固体表面、この場合はDuPont Corianを、中密度繊維板(MDF)に接合した。
【0140】
比較接着剤(Comp接着剤1)は、American Acrylic AdhesivesからSubstrate Bonderとして入手可能な安息香酸エステルをA部に利用しているエポキシ構造用接着剤である。
【0141】
構造用接着剤1とComp接着剤1の両方を、7日間(7)室温(23℃)で硬化させた。
【0142】
【0143】
構造用接着剤組成物の破損様態は、基材破損及び凝集破損を含む。基材破損は、重ねせん断試験中に、構造用接着剤と基材の間の接合が破壊する前に、基材が破砕する又は破壊することとして規定される。凝集破損は、重ねせん断試験中に、構造用接着剤自体が裂開し、接着剤残留物が両方の基材上に残ることとして規定される。
【0144】
実施例2 2部アクリル接着剤。
【0145】
以下の表4を参照し、A部及びB部の成分を、共に混合してアクリル接着剤を形成する前に、室温で別々に混合した。構造用接着剤2を形成するために、A部とB部を、室温において10:1比で共に混合した。
【0146】
KAB564は、メタクリル酸メチル、ブタジエン、スチレン(MBS)系の衝撃変性剤であり、16メッシュでの≦1.0%の粒度、105℃で60分間において≦1.5%の揮発性物質及び≧0.4g/ccのかさ密度を有する。
【0147】
ヒュームドシリカは、親水性ヒュームドシリカであり、比表面積は200m2/gであり、約4%のpH値(4%の分散体中)である。
【0148】
触媒2は、ジメチルパラトルイジン、第3級アミン触媒である。
【0149】
リン酸エステルは、2-メタクリル酸ヒドロキシエチルのモノ-リン酸エステル及びジ-リン酸エステルを含有する接着促進剤であり、93℃の引火点及び1.5~2.5のpHを有する。
【0150】
硬化阻害剤は、ブチル化ヒドロキシトルエンである。
【0151】
ペルオキシドは、クリーム状のペースト形態におけるジベンゾイルペルオキシド(50%)の微細分散体である。
【0152】
【0153】
構造用接着剤2の特性は、以下の表5で見られる。比較接着剤(Comp接着剤2)は、ITW Performance PolymersからPlexus MA 420として入手可能な2部メタクリレート接着剤である。
【0154】
構造用接着剤2とComp接着剤2の両方を、24時間(24)室温(23℃)で硬化させた。
【0155】
【0156】
構造用接着剤2及び比較接着剤(詳細は下記)を使用して、アルミニウムを、ガラス繊維強化複合材料(「FRP」)、ポリカーボネートシート及び6061アルミニウムに接合した、以下の表6を参照のこと。Comp接着剤2を適用する前に、金属プライマーをアルミニウムパネルに予め適用した。
【0157】
DCR1を構造用接着剤1中の可塑剤として使用し、一方、Comp接着剤2は、固体ゴムを使用して伸びを向上させた。DCR2を石油系ゴムの代わりに使用して、製品を、より環境を配慮したものとした。
【0158】
【0159】
構造用接着剤組成物の破損様態は、基材破損及び凝集破損を含む。基材破損は、重ねせん断試験中に、構造用接着剤と基材の間の接合が破壊する前に、基材が破砕する又は破壊することとして規定される。凝集破損は、重ねせん断試験中に、構造用接着剤自体が裂開し、接着剤残留物が両方の基材上に残ることとして規定される。
【0160】
実施例3 2部ポリウレタン接着剤。
【0161】
構造用接着剤3は、表7中の原料を使用して、A部とB部を4:1の比で共に混合することによって製造することができる。
【0162】
【0163】
構造用接着剤3は、<30分のゲル化時間、>100%の引張伸び及び>250psiの引張強さを有することが期待される。
【0164】
実施例4 シリル変性ポリマー接着剤。
【0165】
構造用接着剤4は、表8中に列記された成分を共に混合することによって製造することができる。
【0166】
【0167】
構造用接着剤4は、<30分のゲル化時間、>50%の引張伸び及び>250psiの引張強さを有することが期待される。
【0168】
用語「含む(comprising)」及び「含む(including)」は、さまざまな態様を説明するために本明細書で使用されてきたが、用語「から本質的になる(consisting essentially of)」及び「からなる(consisting of)」は、本開示のより特異的な態様を提供するために、「含む(comprising)」及び「含む(including)」の代わりに使用され得て、また開示される。