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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125237
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】硬化オーバーレイ型マットレス
(51)【国際特許分類】
   A47C 27/12 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
A47C27/12 B
A47C27/12 K
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024108862
(22)【出願日】2024-07-05
(62)【分割の表示】P 2022143340の分割
【原出願日】2022-09-08
(71)【出願人】
【識別番号】509180658
【氏名又は名称】株式会社バイオフェイス東京研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100110434
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 勝
(72)【発明者】
【氏名】溝垣 友通
(57)【要約】
【課題】 並んで配置された複数の敷寝具と共に使用されるマットレスであって、十分な睡眠を確保できる構造のマットレスを提供する。
【解決手段】 本発明の硬化オーバーレイ型マットレスは、並んで配置された複数の敷寝具の上面に載置される硬化オーバーレイ型マットレスであって、種類の異なるポリエステル綿を配合してシート状に加工し、そのシート状に加工されたポリエステル綿シートを積層したところで熱圧着させ、次いで熱処理を加えて硬化された硬化ポリエステルシートを、並んで配置された前記複数の敷寝具の上面に亘るサイズに加工したことを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並んで配置された複数の敷寝具の上面に載置される硬化オーバーレイ型マットレスであって、
再生ポリエステル綿、及び融点の異なる2種類のポリエステル綿を配合してシート状に加工し、そのシート状に加工されたポリエステル綿シートを積層したところで熱圧着させ、次いで熱処理を加えた後に冷却して硬化することで連続的に形成された硬化ポリエステルシートを、並んで配置された前記複数の敷寝具の上面に亘るサイズに切断して加工したことを特徴とする硬化オーバーレイ型マットレス。
【請求項2】
請求項1記載の硬化オーバーレイ型マットレスであって、前記硬化ポリエステルシートの前記複数の敷寝具の上面に亘るサイズは、140cm角よりも大きく300cm角よりも小さくされることを特徴とする硬化オーバーレイ型マットレス。
【請求項3】
請求項1記載の硬化オーバーレイ型マットレスであって、前記硬化ポリエステルシートの厚みは、1cm乃至4cmの範囲であることを特徴とする硬化オーバーレイ型マットレス。
【請求項4】
請求項1記載の硬化オーバーレイ型マットレスであって、前記硬化ポリエステルシートの表面反発力は、ゴルフボールを高さ60cmから自由落下させた場合に、最初の反発力での到達高さが約25cm以上であることを特徴とする硬化オーバーレイ型マットレス。
【請求項5】
請求項1記載の硬化オーバーレイ型マットレスであって、前記硬化ポリエステルシートは、単位面積当たりの重さが1.2kg/mもしくはそれ以上であることを特徴とする硬化オーバーレイ型マットレス。
【請求項6】
平坦な上面を有する台部と、その台部の上面に載置される硬化オーバーレイ型マットレスを有する組み合わせ寝具であって、種類の異なるポリエステル綿を配合してシート状に加工し、そのシート状に加工されたポリエステル綿シートを積層したところで熱圧着させ、次いで熱処理を加えて硬化された硬化ポリエステルシートを、前記台部の上面に亘るサイズに加工したことを特徴とする組み合わせ寝具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は並んで配置された複数の敷寝具の上面に載置することが可能な硬化オーバーレイ型マットレスに関する。
【背景技術】
【0002】
発泡ウレタン素材などの発泡樹脂を使用した寝具や敷物、クッションなどの日用品は、例えば人々が寝転ぶ場合では通常その発泡樹脂を用いた部分が変形して潰れるとともに接触した部分の表面積を広げた形で体重や圧力を受け止めるように構成されている。発泡樹脂は成型時に気泡を内包するようにしており、成型後では、圧力を受けた場合に気泡部分が大きく変形して体積を縮小させ、圧力を解除したところで形が元に戻る。
【0003】
ところで、家族構成や住宅事情などに依存するものの、複数人数の就眠者が同時にシングルサイズの布団やマットレスなどを並べて使用する場合があり、個々の敷布団やマットレスはシングルサイズ(例えば180cm×90cm)であっても並べて使用することで、キングサイズ(例えば200cm×200cm)に近い使い勝手を利用することができる。このように2台の敷布団やマットレスを並べた場合の隙間を埋めるための隙間パッド(例えば、特許文献1、2参照。)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3215277号
【特許文献2】実用新案登録第3202978号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、隙間パッドのような部材を配置しても、小さな子供などの場合には、手や足が隙間パットの端部から入り込んで就眠中に健康を損なうような寝方になってしまう恐れもあり、隙間パッドが発泡ウレタンなどの素材である場合は、柔らか過ぎて2つの敷布団やマットレスの間の隙間を反映した窪みが生ずることもあり、そのような窪みによって首痛や腰痛などの就眠時の姿勢に起因する健康障害も発生しやすい。
【0006】
そこで、本発明は、並んで配置された複数の敷寝具と共に使用されるマットレスであって、十分な睡眠を確保できる構造のマットレスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の技術的な課題を解決するため、本発明の硬化オーバーレイ型マットレスは、並んで配置された複数の敷寝具の上面に載置される硬化オーバーレイ型マットレスであって、種類の異なるポリエステル綿を配合してシート状に加工し、そのシート状に加工されたポリエステル綿シートを積層したところで熱圧着させ、次いで熱処理を加えて硬化された硬化ポリエステルシートを、並んで配置された前記複数の敷寝具の上面に亘るサイズに加工したことを特徴とする。
【0008】
このような処理で製造された硬化オーバーレイ型マットレスは、前記硬化ポリエステルシートを所望のサイズに切断することで形成でき、一例として前記硬化ポリエステルシートの前記複数の敷寝具の上面に亘るサイズとしては、140cm角よりも大きく300cm角よりも小さくされ、より好ましくは175cm角以上で245cm角以下のサイズとされ、縦横が同じサイズのものに限定されず、縦横のどちらかが長くなるようなサイズであっても良い。
【0009】
また、本発明の好適な実施形態にかかる硬化オーバーレイ型マットレスにおいては、前記硬化ポリエステルシートの厚みは、1cm乃至4cmの範囲とすることができ、より好ましくは1.5cm乃至3.3cmの範囲とすることができる。また、本発明の一例の硬化オーバーレイ型マットレスにおいては、硬化ポリエステルシートは、単位面積当たりの重さが1.2kg/mもしくはそれ以上であり、より好ましくは1.5kg/mもしくはそれ以上とされる。
【0010】
さらに本発明の好適な実施形態にかかる硬化オーバーレイ型マットレスにおいては、硬化ポリエステルシートの表面反発力は、例えばゴルフボールを高さ60cmから自由落下させた場合に、最初の反発力での到達高さが約25cm以上であり、より好ましくは約28cm以上であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の1つの実施形態の硬化オーバーレイ型マットレスを一対のマットレス上で使用する例を示す模式的な斜視図である。
図2】本発明の実施形態の硬化オーバーレイ型マットレスの模式的な上面図である。
図3】本発明の実施形態の硬化オーバーレイ型マットレスの使用状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態の硬化オーバーレイ型マットレスについて行ったゴルフボールを用いた反発力比較実験を説明する模式図である。
図5】本発明の実施形態の硬化オーバーレイ型マットレスに用いる硬化ポリエステルシートの製造方法の一例を説明するための流れ図である。
図6】本発明の実施形態の組み合わせ寝具の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の硬化オーバーレイ型マットレスの実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、硬化オーバーレイ型マットレス10について説明するための模式的な斜視図であり、並べて配置される一対の敷寝具としてのマット12、16が配されており、これらマット12、16の間には、並べて配置したとしても僅かな隙間14が存在する。これらマット12、16の上面は寝ようとする者がそれぞれの姿勢で横たわることが可能とされるが、さらにその上面を覆うように硬化オーバーレイ型マットレス10が配置され、全体として大きなサイズのベッドとして利用可能となり、硬化オーバーレイ型マットレス10とマット12、16により1つの組み合わせ寝具が構成される。
【0013】
なお、本明細書においてマットレスの用語については、広く解されるものであって、単独で使用することも可能であり、例えばキルティングや被覆するカバーなどを備えていても良い。硬化オーバーレイ型マットレス10の上にシーツやタオルを被せて利用することも可能である。また、硬化オーバーレイ型マットレス10の下に配置される一対の敷寝具も広く解されるものであって、敷布団やシングルサイズのベッドはもちろんのこと、それ以外にもソファー、クッションや、木箱、段ボール箱、みかん箱、酒類の瓶ケースなど種々の素材のものや、それらの組み合わせも含む。敷寝具の一方が建物などに固定してあっても良い。また、必ずしも住居用の敷寝具に限定するものでもなく、病院やホテルなどの業務用や乗り物、その他の施設の一部で人が寝転がってあるいは座って利用する様なあらゆる形態に適用できる。硬化オーバーレイ型マットレスは必ずしも常時使用するものに限らず、一時的な利用も含む。
【0014】
硬化オーバーレイ型マットレス10に用いられる硬化ポリエステルシートは、硬化されて連続的に形成された硬化ポリエステルシートを所望のサイズに切断して製品化される。硬化ポリエステルシートの前記複数の敷寝具の上面に亘るサイズとしては、140cm角よりも大きく300cm角よりも小さくされ、より好ましくは175cm角以上で245cm角以下のサイズとされ、縦横が同じサイズのものに限定されず、縦横のどちらかが長くなるようなサイズであっても良い。このような硬化オーバーレイ型マットレス10のサイズの例としては、図2のW(幅)とL(長さ)の関係で説明すると、例えば140cm×205cm、160cm×205cm、180cm×205cm、200cm×205cm、240cm×205cm、280cm×205cm、300cm×205cmのようなサイズを有することができ、また、これらのサイズを有する硬化ポリエステルシートの厚みは、例えば1cm乃至4cmの範囲とされる。これらのサイズと厚みは例示であり、切断法や製造方法を調整することで他の平面サイズや厚みにできることは言うまでもない。
【0015】
図3は使用者20、22が本実施形態の硬化オーバーレイ型マットレス10を用いて寝ている状態の模式図である。もし硬化オーバーレイ型マットレス10が存在しない場合では、一対の例えばシングルサイズのマット12、16の間の隙間14に使用者22がはまり込んでしまうような可能性もある。しかし、硬化オーバーレイ型マットレス10を一対のマット12、16の上面を覆うように載置したところで、隙間14には使用者20、22のいずれもが嵌るようなこともなくなり、安心して睡眠をすることができる。ここで本実施形態の硬化オーバーレイ型マットレス10は、発泡樹脂製ではなく熱処理により硬化させていることから、隙間14が数センチ程度に開いた場合でも大きな窪みを生じることなく、使用者20、22を硬化オーバーレイ型マットレス10の上面上に安定して支持することができる。すなわち、使用者20、22は、ウレタンに比べて硬いが十分なクッション性を有する硬化オーバーレイ型マットレス10の上で、隙間14の上であっても過度に沈み込むことも無く寝るときの姿勢を維持することができ、さらに硬化オーバーレイ型マットレス10はその構造に起因して通気性も優れることから、快適な安眠をすることができる。
【0016】
硬化オーバーレイ型マットレス10に用いられる硬化ポリエステルシートの材質は、100%のポリエステル綿を主な材料としており、ここでポリエステル綿とはポリエステル繊維を綿に加工したもので、特徴は弾力性が高いことで知られ、ソファー・布団・クッション・ぬいぐるみなどに使用される綿状の繊維の塊である。ポリエステル綿はちぎって分けることも可能であるが、本実施例では、それらをプレス加工して所要の厚みのシート化を図った硬化ポリエステルシートに仕上げている。完成した硬化ポリエステルシートの重量としては、圧縮されていることから、単位面積当たりの重さが1.2kg/mもしくはそれ以上であることが望ましく、典型的には硬化ポリエステルシートは1.3kg/m2乃至2.0kg/m2の範囲での重さを有す。
【0017】
硬化オーバーレイ型マットレス10に用いられる硬化ポリエステルシートは、種類の異なるポリエステル綿を配合することで得られるシートであり、特に低融点ポリエステル綿を混ぜることで、熱処理時に一時的に溶けたポリエステル綿と溶けないポリエステル綿が混在する状態を作り、そこから極めて短い時間の冷却処理により、低融点ポリエステル綿を瞬時に固化させて全体的に硬く反発係数の高い硬化ポリエステルシートが得られることになる。一例を挙げれば、低融点ポリエステル綿は10乃至25%の重量比であり、再生ポリエステル綿は20乃至50%の重量比、通常のポリエステル綿は30乃至60%の重量比で均一に各ポリエステル綿を混ぜ合わせてポリエステル綿シートを得る。低融点ポリエステル綿としては、全体的に低融点のポリエステル繊維を綿状にしたものも使用することができ、芯はポリエステル綿とし、鞘の部分は共重合ポリエステルあるいはポリエチレンとなるような芯鞘で組成が異なるような繊維を用いることもできる。通常のポリエステル綿としては例えば12乃至18デニールの太ささのものを使用し、低融点ポリエステル綿としては例えば4乃至6デニールの太さの繊維を使用できる。
【0018】
製造時においては、例えば通常のポリエステル綿と、ペットボトルなどの再生資源を綿状に加工した再生ポリエステル綿と、低融点ポリエステル綿を均一になるように混ぜ、シート状のポリエステル綿シートを製造する。このシートを重ねるように折り返して、少しずつ送り、複数枚のポリエステル綿シートを熱圧着させる。具体的には熱ローラーなどにより圧力を加えて繊維を板状に加圧し、その際には低融点ポリエステルが溶融してシート内の隅々まで至るような温度に維持される。この加熱のため、比較的に大きさ規模の熱処理装置が使用され、熱圧着によりシート内の低融点ポリエステルの成分が溶融されながらポリエステル綿シートが熱処理装置内を搬送され、熱処理装置の最後に位置するブロワーで冷却風を当てて、溶融していた融点の低いポリエステル成分を硬化させる。圧縮されたポリエステル綿シートは固い状態となって硬化し、シート材の体積を減らして硬化されることになる。
【0019】
なお、硬化ポリエステルシートには、所望の難燃剤などを加えることも可能であり、抗菌性や防カビ性の材料を混ぜることも可能であるが、所望の難燃剤や抗菌性や防カビ性の材料については最終的な製品に塗布するようにしても良い。また、ウェブ状で熱処理装置から排出された硬化ポリエステルシートは、所要のサイズに切断され、カバーなどを付与して硬化オーバーレイ型マットレスが構成されることとなる。
【0020】
このような硬化ポリエステルシートについては、本件発明者はその高反発性能についての試験を行っている。図4はゴルフボールの落下試験を示す図である。ゴルフボールの落下試験は、ある一定の高さ、本試験では60cmの高さから、一定のゴルフボール22を本実施形態の硬化ポリエステルシートと比較例として高反発ポリウレタン材の表面にそれぞれ自由落下させ、それぞれシート表面で跳ねて到達した最大高さを計測した。すると、次の表1に示すように、本実施形態の硬化ポリエステルシート18では、大きく跳ね上がって最大33乃至40cm程度の高さまでの跳ね上がりが測定された。これに対して、比較例としての高反発ポリウレタン材20に対してゴルフボール22を自由落下させた場合では、約6cmの高さまでしか跳ね上がりがなく、その反発係数が著しく異なることが示された。
【0021】
表1
【0022】
本実施形態の硬化オーバーレイ型マットレスに用いられる硬化ポリエステルシートは概ねどのような厚みでも高い反発力を示す傾向があり、例えば厚み(高さ)が10cmを越える硬化ポリエステルシートでは、約60cmの高さからゴルフボールを落下させた場合に、約45cm程度もしくはそれ以上となり、厚みが薄い場合には跳ね上がり高さが低くなる傾向がある。例えば硬化ポリエステルシートの厚みが2cm程度の薄い場合には、30cm程度となり得る。なお、ゴルフボールもそれぞれ反発が異なるため、いわゆる公認球(重さ:45.93グラム以内、直径:42.67mm以上、反発係数:0.800以内)を使用した。
【0023】
次に、本実施形態の硬化オーバーレイ型マットレスに用いられる硬化ポリエステルシートの製造工程の流れについて簡単に図5を参照しながら説明する。一例として、本実施形態の硬化オーバーレイ型マットレスに用いられる硬化ポリエステル枕部材の製造では、巨大なベルトコンベヤーを配した製造ラインを利用することができ、初めに、製造に従事する職人が原料のポリエステル綿として、通常のポリエステル綿、再生ポリエステル綿、および低融点ポリエステル綿を手などでちぎりながらシート加工機に導入する(手順S10)。このシート加工機では、導入されたポリエステル綿を良く混ぜることができ、混ぜ合わされたポリエステル綿を平たく押し伸ばす(手順S12)。次に、流れ作業の中でシート加工機から排出されたポリエステル綿シートを何枚かの枚数のシートが重なるように積層させ(手順S14)、次いで熱ロールで加熱しながら積層されたシートを圧縮する(S16)。この圧縮工程で積層されていたポリエステル綿シートはその厚みが大きく減少されるように加工される。本実施形態の硬化ポリエステルシートの製造工程では、圧縮した後に引き続いて熱処理を施して(手順S18)、通常のポリエステル綿が圧縮されたまま熱を付与して低融点ポリエステル綿を溶かしで全体に広げ、最後に冷却風を当てることで瞬時に硬化させて硬化ポリエステルシートを固めることができる。硬化された硬化ポリエステルシートは、大きな糸鋸やレーザービームなどの切断装置を利用して切断され(手順S20)、最終的には大型のサイズの硬化ポリエステルシートからなる硬化オーバーレイ型マットレスを得ることができる(手順S22)。
【0024】
図6は硬化高反発オーバーレイ型マットレス10を用いた組み合わせ寝具を示す斜視図である。図6では、台部62は100cm×100cmの例えば段ボール製であり、組み立てることで上面が正方形の箱体である。このような台部62を縦横に2つずつ並べて台部とし、これに硬化高反発オーバーレイ型マットレス10を載置しても十分な寝具として機能する。段ボールであれば持ち運びや保管に場所を大きく占有することも無く、例えばキャンプや避難所などの一時的に使用する場合に重宝する。台部62の間の隙間の上であっても過度に沈み込むことも無く寝るときの姿勢を維持することができ、さらに硬化高反発オーバーレイ型マットレス10はその構造に起因して通気性も優れることから、使用者は快適に睡眠をとることができる。
【0025】
以上のように、本実施形態の硬化オーバーレイ型マットレスは、圧縮されて固化した硬化ポリエステルシートを用いるため、一般的な発砲ウレタン樹脂のような柔らかさがなく、固くて高反発なシートとなることから、並んで配置された複数の敷寝具の上面に載置された場合に、窪みを作らずに使用者の就寝時の姿勢を安定させることができ、首痛や腰痛などの就寝時の姿勢に起因するような健康障害の発生を未然に防止できる。また、就寝時だけに限らず、例えばマットレスを使用した運動をするときにも隙間の窪みの発生を抑えることができ、使用者における怪我などの発生も未然に防止できる。
【符号の説明】
【0026】
10 硬化オーバーレイ型マットレス
12、16 マット
14 隙間
20、22 使用者
24 ゴルフボール
26 硬化ポリエステルシート
28 高反発ポリウレタン材
図1
図2
図3
図4
図5
図6