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特開2024-125252コプラナリティ測定方法及びコプラナリティ測定装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125252
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】コプラナリティ測定方法及びコプラナリティ測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/14 20060101AFI20240910BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G01B11/14 H
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033271
(22)【出願日】2023-03-05
(71)【出願人】
【識別番号】000154163
【氏名又は名称】三晶エムイーシー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181881
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 俊一
(72)【発明者】
【氏名】村澤 直
【テーマコード(参考)】
2F065
4M106
【Fターム(参考)】
2F065AA21
2F065CC25
2F065DD03
2F065DD06
2F065FF04
2F065GG04
2F065HH04
2F065JJ08
2F065JJ19
2F065JJ26
2F065LL12
2F065PP11
2F065QQ24
2F065QQ25
2F065QQ29
2F065QQ31
4M106AA02
4M106AA05
4M106AA20
4M106BA04
4M106CA24
4M106CA50
4M106DB04
4M106DB07
(57)【要約】
【課題】 理想の回路基板上に実際に搭載されたことを想定した電子部品の各リード端子について、求める品質が一致する者それぞれの要請に副って客観性があり且つ実用性の高いコプラナリティを導くことができるコプラナリティ測定方法及び装置の提供。
【解決手段】 電子部品2を定盤3上に載置し当該電子部品2が具備するリード端子1のコプラナリティを検出するコプラナリティ測定方法において、前記定盤3の載置面を鏡面とし、リード端子1の列に正対し各リード端子1の実像及び前記載置面に映し出された鏡像を含む視野又は撮像データを得ると共に、当該視野又は撮像データにおける各リード端子1の実像と鏡像との距離と当該視野又は撮像データの視線角度θより各リード端子1の載置面からの距離を導き当該電子部品2のリード端子1のコプラナリティを得るコプラナリティ測定方法及びコプラナリティ測定装置。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を定盤上に載置し当該電子部品が具備するリード端子のコプラナリティを検出するコプラナリティ測定方法において、
前記定盤の載置面を鏡面とし、
リード端子の列に正対し各リード端子の実像及び前記載置面に映し出された鏡像を含む視野又は撮像データを得ると共に、
当該視野又は撮像データにおける各リード端子の実像と鏡像との距離と、当該視野又は撮像データの視線角度より、各リード端子の載置面からの距離を導き、当該電子部品のリード端子のコプラナリティを得ることを特徴とするコプラナリティ測定方法。
【請求項2】
電子部品を定盤上に載置し当該電子部品が具備するリード端子のコプラナリティを検出するコプラナリティ測定方法において、
前記定盤の載置面を鏡面とし、
リード端子の列に正対し各リード端子の実像又は前記載置面に映し出された鏡像を含む視野を得ると共に、
当該視野の定位置に前記実像及び鏡像が配置される様に前記視野に含まれる像を前後に移動させ、前記定位置に実像又は鏡像の一方が配置された状態から前記定位置に実像又は鏡像の他方が配置されるまでの前記視野に含まれる像の最短の移動量と、当該視野の視線角度より、各リード端子の載置面からの距離を導き、当該電子部品のリード端子のコプラナリティを得ることを特徴とするコプラナリティ測定方法。
【請求項3】
鏡面の載置面を備え電子部品を載置する定盤と、
前記電子部品のリード端子の先端部に向けて光を照射する照明手段と、
前記電子部品の側方斜め上から前記リード端子の先端部に向けて画角が設定され、リード端子の列に正対し各リード端子の実像若しくは載置面に映し出された鏡像又は双方を視野に入れる測定鏡と、
を備えることを特徴とするコプラナリティ測定装置。
【請求項4】
前記測定鏡の視野において視線角度を一定に保ちつつ像を前後に移動させる位置調整手段とを備えることを特徴とする請求項3に記載のコプラナリティ測定装置。
【請求項5】
鏡面の載置面を備え電子部品を載置する定盤と、
前記電子部品のリード端子の先端部に向けて光を照射する照明手段と、
前記電子部品の側方斜め上から前記リード端子の先端部に向けて画角が設定され、リード端子の列に正対し各リード端子の実像及び載置面に映し出された鏡像を視野に入れた撮像データを採取する撮像手段と、
前記撮像手段により採取された撮像データにおける各リード端子の実像と鏡像との距離より各リード端子の載置面からの距離を導き当該電子部品のリード端子のコプラナリティを導くコプラナリティ算出手段とを備えることを特徴とするコプラナリティ測定装置。
【請求項6】
視野に、当該視野の定位置を示し、又は実像と鏡像との距離を測定するための目印を表示する目印表示手段を備えることを特徴とする請求項3乃至請求項5に記載のコプラナリティ測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品のリード端子のコプラナリティを検出するコプラナリティ測定方法及び測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子制御化された機器の増加、高機能化又は小型化などを背景に、それらに搭載される電子部品の高集積化、小型化及び実装状態の高密度化への要求が高まっている。
一方で、小型かつ高密度に組み付けられた電子機器においては、僅かな浮きや歪みによっても回路基板や表面実装デバイス接続部の浮きや短絡などによる不具合が生じる場合がある。その様な不具合が生じる可能性を極力低くするために、コプラナリティ検査の精度が重要となる。
【0003】
コプラナリティ(coplanarity)とは、「共平面性」又は「面均一性」を意味し、この技術分野においては「端子平坦度」とも言われ複数の端子の接続部が同一平面上に存在する性質や状態を意味するが、一般的には、完全に平坦な理想の定盤3上に表面実装デバイスを置いたときの検査台の表面とピンとのギャップがコプラナリティ(値)と呼ばれる。許容される最大のコプラナリティは、その都度公差として定義される。
実用面では、完全に平坦な理想の回路基板上に表面実装デバイスを自重のみ(無負荷状態)で載置したときの当該回路基板表面とピンとのギャップとすることが望ましい。
【0004】
従来、コプラナリティ検出には、第一の手法として、被検査物を受け台に固定し、接触検出ユニットを下方から垂直に上昇させ、接触検出ユニットの被検査物の側面に列設された端子のいずれかと接触した位置及び全端子と接触した位置との間の距離を端子のコプラナリティ(値)として求める測定方法(下記特許文献1参照。)が挙げられる。
当該第一の手法は、端子への接触及び加圧が伴うため、測定時のコプラナリティと測定後のコプラナリティの同一性が保証できないと言う問題がある他、回路基板上に実際に搭載された際のコプラナリティとは異なると言う問題がある。
【0005】
第二の手法として、半導体装置の裏面側に折り返えされたJリードの平坦度をレーザ測長機を用いて測定するリード測定方法であって、レーザ測長機から出射されるレーザビームを半導体装置のJリードの配列方向に走査するとともに、Jリード配列方向と交差する方向に変調することにより、Jリードの平坦度を測定する測定方法が挙げられる(下記特許文献2参照。)。
当該第二の手法は、半導体装置のjリードが形作る不陸程度を検出するものであって、理想の回路基板上に実際に搭載された際の回路基板表面からの距離に基づくコプラナリティを検出するものではないと言う問題がある。
【0006】
第三の手法として、側面から複数のリードが水平に引き出され、それらのリードの先端部が下方にクランク状に折曲された表面実装型集積回路パッケージのコプラナリティを測定する装置であって、ステージ上に被測定用の表面実装型集積回路パッケージパッケージを載置し、ステージの上面の側方に、リードに向けてカメラを設置し、カメラの下方に、リードに向けて照明を設置し、照明から照射される光がリードの先端部及びステージの側面で反射してカメラにより受光されるようにカメラ及び照明の位置を調整したコプラナリティ測定装置を用い、照明を点灯させてリードの先端部付近に光を照射し、リードの先端部及びステージの側面で反射された反射光による画像がカメラにより取り込み、取り込まれた画像から画像処理部によって各リードの先端部の形状を示す明点群とステージの側面の形状を示す明直線との間隔を算出し、全算出結果の中から最大値を検索することによりパッケージに設けられたリードのコプラナリティを求めるコプラナリティ測定方法(下記特許文献3参照。)が挙げられる。
【0007】
当該第三の手法は、リードの先端部の、位置ズレ、又は切断面の切断状態若しくはメッキ状態の相違により、取り込まれた反射像の色彩、面積及び形状が著しく相違し、リードの形状を正確に測定するためには、リードの先端部の、正確な位置決めを行い、又は切断面の状態に合わせて光源の輝度及び画像処理部の二値化レベル等を調整する必要があるため、極めて作業性が悪く、精度低いと言う問題がある。
【0008】
第四の手法として、照明をパッケージを挟んでカメラと対向する位置に設置し、ステージ上にパッケージを固定した後に、照明を点灯させての先端部付近に光を照射し、パッケージとステージとの間から投影されたリードの画像をカメラにより取り込み、取り込まれた当該投影画像から画像処理部によって各リードの先端部の形状を示す暗点群とステージの側面の形状を示す暗直線との間隔を算出し、全算出結果の中から最大値を検索することによりパッケージに設けられたリードのコプラナリティを求めるコプラナリティ測定方法(下記特許文献3参照。)が挙げられる。
投影像を利用する当該第四の手法は、上記問題点に加えて、更に、照明の照射環境の均一化を図る必要が生じると言う問題がある。
【0009】
これらの様に、画像処理装置を用いる方法は、コンタクトに光源を当てた際に陰となる部分が発生した場合、又はリード、ステージ及び背景に明確な色彩の相違が存在しない場合などには、リードやステージの輪郭を画像として明瞭に取り込むことができない。そして、この様な不都合な現象は、コンタクトが狭いピッチで配列され、又は複数のコンタクトの列が重なり合ったコネクタにおいてより顕著となる。
【0010】
基板表面と各ピンとの距離が小さいと光の干渉や透過量不足によりコプラナリティ検査の測定対象となる基板表面と各ピンとの隙間に暗部等ができ、基板表面と各ピンとの距離の測定に誤測定が生じるという問題に鑑み、第五の手法として、半導体装置を透明ステージ上に設定してリード端子のコプラナリティを測定するコプラナリティ測定方法において、コプラナリティ測定のための基準線を前記透明ステージの上端より所定距離だけ下方に設け、前記リード端子と前記基準線との距離を測定し、前記リード端子と前記基準線との測定距離から前記所定距離を差し引くことにより前記リード端子のコプラナリティを算出するコプラナリティ測定方法が挙げられる(下記特許文献4参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平10-281748号公報
【特許文献2】特開平11-183150号公報
【特許文献3】特開平3-165536号公報
【特許文献4】特開平5-102266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、ステージが機械的に固定されている以上、その様に便宜的に設定された基準線が常に実際のステージの上端から所定の距離を維持していると言う保証は得られないため、導かれたコプラナリティは、当該基準線が意図したものであるとの仮定の上で成り立つものに過ぎず、客観性、説得力及び実用性が乏しいものとならざるを得ない。
【0013】
そもそも、電子部品の生産者と電子部品の実装を行う者(以下、「使用者」と記す。)にはそれぞれの要請があり、生産者側は、製品寸法の不良を出さないために、検査や管理に便宜な測定基準に基づく相関精度の高い検査方法及び検査装置を求める一方、使用者側は、実装不良を出さないために、「実装の再現」下での検査及び検査基準に基づき回路基板表面と各ピンとの距離がより小さい製品を求める傾向がある。
尚、ここで、「実装の再現」とは、製品が無負荷自重で定盤に載置された状態を指す。
【0014】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、理想の回路基板上に実際に搭載されたことを想定した電子部品の各リード端子について、求める品質が一致する者それぞれの要請に副って客観性があり且つ実用性の高いコプラナリティを導くことができるコプラナリティ測定方法及び装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するためになされた本発明によるコプラナリティ測定方法は、電子部品を定盤上に載置し当該電子部品が具備するリード端子のコプラナリティを検出するコプラナリティ測定方法において、前記定盤の載置面を鏡面とし、リード端子の列に正対し各リード端子の実像及び前記載置面に映し出された鏡像を含む視野又は撮像データを得ると共に、当該視野又は撮像データにおける各リード端子の実像と鏡像との距離(クリアランス、重心距離)と、当該視野又は撮像データの視線角度より、各リード端子の載置面からの距離を導き、当該電子部品のリード端子のコプラナリティを得ることを特徴とする。
【0016】
コプラナリティ測定方法は、上記方法の他、前記定盤の載置面を鏡面とし、リード端子の列に正対し各リード端子の実像又は前記載置面に映し出された鏡像を含む視野を得ると共に、当該視野の定位置に前記実像及び鏡像が配置される様に前記視野に含まれる像を前後に移動させ、前記定位置に実像又は鏡像の一方が配置された状態から前記定位置に実像又は鏡像の他方が配置されるまでの前記視野に含まれる像の最短の移動量(クリアランス、重心距離)と、当該視野の視線角度より、各リード端子の載置面からの距離を導き、当該電子部品のリード端子のコプラナリティを得る構成を採ることができる。
【0017】
上記課題を解決するためになされた本発明によるコプラナリティ測定装置は、鏡面の載置面を備え電子部品を載置する定盤と、前記電子部品のリード端子の先端部に向けて光を照射する照明手段と、前記電子部品の側方斜め上から前記リード端子の先端部に向けて画角が設定され、リード端子の列に正対し各リード端子の実像若しくは載置面に映し出された鏡像又は双方を視野に入れる測定鏡と、を備えることを特徴とする。
前記測定鏡の視野において視線角度を一定に保ちつつ像を前後に移動させる位置調整手段とを備える構成を採ることができる。
【0018】
コプラナリティ測定装置は、鏡面の載置面を備え電子部品を載置する定盤と、前記電子部品のリード端子の先端部に向けて光を照射する照明手段と、前記電子部品の側方斜め上から前記リード端子の先端部に向けて画角が設定され、リード端子の列に正対し各リード端子の実像及び載置面に映し出された鏡像を視野に入れた撮像データを採取する撮像手段と、前記撮像手段により採取された撮像データにおける各リード端子の実像と鏡像との距離(クリアランス、重心距離)より各リード端子の載置面からの距離を導き当該電子部品のリード端子のコプラナリティを導くコプラナリティ算出手段とを備える構成を採ることができる。
【0019】
更に、コプラナリティ測定装置は、視野に、当該視野の定位置を示し、又は実像と鏡像との距離を測定するための目印(レクティル、目盛り、グリッド)を表示する目印表示手段を備える構成を採ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によるコプラナリティ測定方法及びコプラナリティ測定装置によれば、リード端子の列に正対し各リード端子の実像と載置面に映し出された鏡像を視野に入れてみなし距離を得さえすれば、当該みなし距離に載置面に対する測定鏡又は撮像手段の傾斜角度(視線角度)に基づく視線補正計算を施すことによって当該電子部品の各リード端子について、理想の回路基板表面と各リード端子との距離を正確に導くことができる。
【0021】
本発明によれば、定盤との間隙を狙って測定すると言う困難な手法を採らないため、リード端子の先端部の位置ズレ、切断面の切断状態若しくはメッキ状態に精密な条件を設ける必要が無く、又は複雑な装置、複雑な調整若しくは複雑な計算を用いることなく、得られた像又は撮像データに基づき、当該定盤からの現実の距離に基づく正確なコプラナリティを導くことができる。
【0022】
また、リード端子の列に正対し各リード端子の実像と載置面に映し出された鏡像を視野に入れた撮像データを採取する手法を採れば、検査対象であるリード端子のコプラナリティを客観性のある実態画像として保存することができるため、理想の回路基板上に実際に搭載されたことを想定した電子部品の各リード端子について、例えば生産者と使用者等、求める品質が一致する立場の者それぞれの要請に副って客観性があり且つ実用性の高いコプラナリティを導くことができると共に、当該コプラナリティの実態を共有することができる。
【0023】
一方、リード端子の列に正対し各リード端子の実像と載置面に映し出された鏡像を前記測定鏡の視野において視線角度を一定に保ちつつ前後に移動させる手法を採れば、当該視野における各リード端子の実像と鏡像との距離(クリアランス、重心距離)と視線角度とを得る構成が採られてさえいれば、各リード端子の実像と載置面に映し出された鏡像の像を拡大させた状態でコプラナリティ測定の基となる各リード端子の実像と鏡像との距離(みなし距離)を正確に測定することができ、そして、そこからコプラナリティを正確に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明によるコプラナリティ測定装置の一例を示す側面図である。
図2】本発明によるコプラナリティ測定方法における原理を示す説明図である。
図3】本発明によるコプラナリティ測定方法における原理を示す説明図である。
図4】本発明によるコプラナリティ測定方法における被写領域の撮像データの一例を示す写真である。
図5】本発明によるコプラナリティ測定方法における被写領域の撮像データの一例を示す部分拡大写真である。
図6】本発明によるコプラナリティ測定方法における撮像データの説明図である。
図7】本発明によるコプラナリティ検出における、(A):実装の再現状態の一例、及び(B):従来の検査状態の一例を示す側面図である。
図8】本発明によるコプラナリティ検出における確からしさ診断処理の一例を示す側面図である。
図9】本発明によるコプラナリティ測定装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図10】本発明によるコプラナリティ測定装置の一例を示す側面図である。
図11】本発明によるコプラナリティ測定方法及び装置で行われる視線補正計算処理の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、コプラナリティ測定方法(以下、「測定方法」と記す。)の実施の形態を、その装置(以下、「測定装置」と記す。)の構成と共に、図面に基づき詳細に説明する。
【実施例0026】
図1に示す測定装置は、回路基板の表面に実装される表面実装型集積回路パッケージ(以下、電子部品2と記す。)の側面から引き出された複数のリード端子1の先端部のコプラナリティを導く装置であって、前記電子部品2を載置する定盤3と、前記電子部品2のリード端子1の先端部の列に向けて光を照射する照明手段5と、前記電子部品2の側方斜め上から前記リード端子1の先端部の列に対向する様に画角が設定された撮像手段4と、前記撮像手段4により撮影された像の撮像データと当該撮像データの視線角度θに基づいて前記リード端子1のコプラナリティを算出するコプラナリティ算出手段(以下、「算出手段」と記す。)6を備える。
この例では、検査台7上に、前記定盤3を支える定盤台8と、前記撮像手段4を支える撮像台9と、前記照明手段5を支える照明台(図示省略)とを備える(図1参照)。
尚、ここで、視線角度θとは、コプラナリティを測定する際の視線(実像視線Lj及び鏡像視線Lk2)と定盤3の載置面とが成す角度である(図2乃至図11参照)。
【0027】
前記定盤3は、電子部品2が実装される理想の回路基板の実装面と見立てた平坦な載置面を備え、当該載置面は、明瞭な鏡像を映す鏡面処理が施されている。
この測定装置は、検査対象である電子部品2を定位置に無負荷状態で配置(自重のみで載置)するための位置決め手段を備える。
前記位置決め手段は、前記載置面に、出没自在な位置決めピン3a、又は装脱自在な位置決め治具を設ける構成、又は電子部品2を載置面の定位置に正確に載置できる移送手段を具備する構成等から適宜選択すればよい。
前記位置決め手段は、理想の回路基板上に自重のみで載置された状態を測定装置の定盤3上で再現すべく、画像採取時などのコプラナリティ測定時において撤去する構成を採るものとする。
【0028】
尚、鏡面処理は、定盤3の表面の研磨処理やメッキ処理など屈折が生じる被膜等の層が生じない処理が適しており、鏡面内での屈折等を招来するガラス鏡を採用する処理は、原則として不適である。
前記定盤台8は、定盤3をその載置面の水平を維持しつつ上げ下げする定盤高調整手段8aと、同定盤3をその載置面の水平を維持しつつ検査対象のリード端子1に正対して進退する位置調整手段8bを備える。尚、前記定盤3を、前記位置調整手段8bの進退方向に対して直交する左右側方へ移動させる移送手段を備える構成を採ることもできる。
【0029】
前記撮像手段4は、外界から撮像データを検出し記録し出力する機能が与えられたカメラモジュール4aと、外界から当該カメラモジュール4aへ取り入れる光を調整するためのレンズモジュール4bとで構成される。
【0030】
前記レンズモジュール4bは、複数のレンズを組み合わせた光学系機構であって、各レンズの配置変更を行うリニアモーター等のアクチュエータを具備し、カメラモジュール4aへ供給する光について焦点距離(ピント)又は視野(画角・倍率)等を調整する。
前記カメラモジュール4aは、撮像調整手段4cで設定されたレンズモジュール4bの状態(構成レンズの配置等)で定まる視野の画像を光に反応する撮像素子(イメージセンサ)で採取し、当該イメージセンサから出力されたアナログ撮像データをデジタルデータにAD変換した撮像データを記録媒体に記録し出力する。
【0031】
前記撮像台9は、前記カメラモジュール4a、レンズモジュール4b及び主照明モジュール5aを一列に搭載できる支持台9aと、当該支持台9aを揺動自在に支持する揺動手段9bと、当該支持台9aを上下移動自在に支持する昇降手段9cと、これら支持台9a、揺動手段9b及び昇降手段9cを定盤3の被写領域(図4参照)に面した状態で進退させる進退手段9dとを備える。尚、前記撮像台9を、前記進退手段9dの進退方向に対して直交する左右側方へ移動させる移送手段を備える構成を採ることもできる。
更に、前記支持台9aは、前記撮像手段4における、前記カメラモジュール4aとレンズモジュール4bとの距離、及び前記カメラモジュール4a及びレンズモジュール4bと被写領域との距離等を、それらの光軸に沿って変更し、前記カメラモジュール4aの焦点距離及び視野等を調整するための配置調整手段9eを備える。
【0032】
前記照明手段5は、前記撮像手段4の光軸に沿う平行光線をもって検査対象を照らす主照明モジュール5aと、当該主照明モジュール5aを補完するための副照明モジュール5bと、それらの光源が発する光線を遮光板又は鏡板(以下、「遮光板等11」と記す。)で適宜遮断し、照らす位置及び範囲等を調整する遮光モジュール5cと、前記主照明モジュール5a及び副照明モジュール5b各々の光源の光度及び色彩、並びに遮光板等11の形態、位置及び向きを調整することによって被写領域の照度等を調整する照明調整手段10とで構成される。
前記照明手段5は、上記構成をもって、撮像手段4の単一視野におさめられた撮像データにおいて、定盤3に載置された電子部品2のリード端子1の実像と鏡像が均一な色彩で撮影され、且つ当該リード端子1の外縁や凹凸が鮮明に撮影されるように配光する機能を果たす。
【0033】
前記主照明モジュール5aは、前記撮像台9の支持台9aにおけるレンズモジュール4bの前方に配置され、光源としてLED等を採用し、撮像手段4のレンズモジュール4bの光路内に光源を組み込む同軸照明として構成されている。
前記副照明モジュール5bは、前記主照明モジュール5a及び遮光モジュール5cと協働して、検査対象を照らす位置、範囲、並びに被写領域の照度及び影(フレア)等を調整すべく備えられたものであって、前記定盤3の被写領域へ所望の方向から投光できる様に、当該面した位置の上位において位置及び向きを調整できるように配置されている。
前記副照明モジュール5bは、光源としてLEDを採用し、電子部品2の斜め上から複数の被写領域を照らすための光学系部材(レンズ、反射鏡又はプリズム等)を具備する構成を採ることができる。
遮光モジュール5cは、前記照明台等に遮光板等11が、フレア等のノイズが発生しないようにその遮光位置、遮光範囲及び遮光方向(遮光面)、又は照射位置、照射範囲及び照射方向(面)が自由に変更出来るように架設されたものである。
【0034】
前記照明台は、前記副照明モジュール5bを、その光軸の向きを自由に調整出来るように架設するための構造体である。照明台は、前記遮光モジュール5cを、その遮光板等11の架設位置、及び当該遮光板等11の向きを自由に調整出来るように架設する(遮光)台を兼ねる構成を採ることもできる。
前記照明台は、前記検査台7又は撮像台9のいずれに固定してもよい。
【0035】
前記撮像調整手段4cは、前記カメラモジュール4aによる画像採取、レンズモジュール4bによる焦点距離及び画角の調整を行うための制御用コンピュータシステムとして構成したものである。
前記撮像調整手段4cは、前記定盤高調整手段8a及び前記配置調整手段9eを制御する機能、前記照明調整手段10、並びに前記揺動手段9b、昇降手段9c及び進退手段9d(、更には、前記移送手段)を制御するアングル調整手段12としての機能を加えることができる。
【0036】
前記撮像調整手段4cは、前記照明調整手段10により、撮像データの画像コントラストが最も大きくなる様に(外縁や凹凸が鮮明となる様に)照明手段5を調整しつつ、予め設定された被写領域(定盤3の表面及びリード端子1等)の焦点距離を走査して複数の撮像データを採取し、採取した撮像データのなかで画像コントラストが最も大きい距離が焦点となる様にレンズモジュール4b及び配置調整手段9e等を調整し、当該調整距離における撮像データをコプラナリティ算出用の撮像データとして採用する。
【0037】
この際、前記撮像調整手段4cは、定盤高調整手段8aによって電子部品2を搭載した定盤3の高さを調整し、位置調整手段8bによって定盤台8の位置を被写領域の検査対象であるリード端子1に正対して前後に調整し、アングル調整手段12で制御された揺動手段9b、昇降手段9c及び進退手段9dによって、カメラモジュール4aの受光部及びレンズモジュール4bを検査対象たる電子部品2のリード端子1の列に正対させ、その光軸が斜め上からリード端子1の先端部を指す様に、載置面に対する光軸の視線角度θ及び画角を調整する。
【0038】
同時に、前記撮像調整手段4cは、照明調整手段10によって、主照明モジュール5a及び副照明モジュール5bの光度及び色彩、並びに副照明モジュール5b及び遮光モジュール5cにおける遮光板等11の向き及び位置を調整し、前記レンズモジュール4b及び配置調整手段9eによって、前記カメラモジュール4aの焦点距離、画角又は倍率等を調整し、カメラモジュール4aによって、各リード端子1の実像と載置面に映し出された鏡像を単一の視野入れた撮像データを採取する(図2乃至図4参照。)。
【0039】
尚、撮像調整手段4c、並びにその定盤高調整手段8a、位置調整手段8b、アングル調整手段12及び照明調整手段10の機能は、スペーサ、又は調整つまみ等を用いた手動によるものを採用することができる。例えば、各レンズの配置変更を手動で行うマイクロメータ(ネジ待遇)等を具備する構成を採ってもよい。
【0040】
前記算出手段6は、前記撮像調整手段4cと共に、当該コプラナリティ測定装置の各機能を制御する演算手段の一部である。
当該算出手段6は、前記カメラモジュール4aにより採取された撮像データを記憶手段から読み出し、撮像データから各リード端子1の実像及び鏡像の各先端面の外縁(エッジ)を検出すると共に、検出した外縁に基づいて各リード端子1の実像と鏡像との距離(クリアランス又は重心距離)2hcを導き、当該距離2hcを二等分することにより、みなし実装点Oc(又はみなし実装面)と、各リード端子1のみなし実装点Oc(又はみなし実装面)からの距離(以下、「みなし距離」と記す。)hcを導く。
【0041】
当該算出手段6は、前記みなし距離hcに対して当該電子部品2のリード端子1の仕様及び検査時における視線角度(図2及び図11参照。)θに基づく視線補正計算を行い、そこで得た当該電子部品2を無負荷状態(自重のみで)で定盤3上に載置した場合(図5参照)の各リード端子1と定盤3との距離(定盤3の載置面からの鉛直距離。以下、「実距離」と記す。)hをコプラナリティとして導く。
当該算出手段6で導かれた実距離hは、記憶手段に記録され、ディスプレイ装置又はプリンタ等に適宜出力される(図7(A)参照)。
この手法によれば、コントラスト(明暗差や彩度差等)が小さく撮像データから定盤3の載置面が検出し難い場合であっても、定盤3の載置面の検出誤差が実距離hの算出に大きく影響を与えることがなく、実装面に対する実距離hを安定的に高い精度で導くことができる。
【0042】
また、この算出手段6は、検査の確からしさを自己診断する確からしさ診断手段13を具備し、導かれた実装面に対する実距離hの信頼性を評価する機能が与えられている。
この際、確からしさ診断手段13は、定盤3の表面としてもっともらしい仮想直線:y=Ax+Bを設定し、各リード端子1の実像と鏡像とのクリアランス又は重心距離を二等分する中点(みなし実装点Oc):(xi,yi)と前記仮想直線:y=Ax+Bとのy方向の差:|yi-Axi-b|を導くと共に、この誤差の二乗和が最小になる直線を仮想基準線として導く(図8参照)。
この例では、各リード端子1の中点の前記仮想基準線に対するバラツキが小さい程、当該検査結果の確からしさ・信頼性が高いと評価する。
【実施例0043】
コプラナリティ測定装置は、鏡面の載置面を備え電子部品2を載置する前記定盤3と、前記電子部品2のリード端子1の先端部に向けて光を照射する前記照明手段5を具備すると共に、前記撮像手段4に替えて、前記電子部品2の側方斜め上から前記リード端子1の先端部に向けて画角が設定され、リード端子1の列に正対し各リード端子1の実像と載置面に映し出された鏡像を単一の視野に入れた像を測定者の視覚に供給する(測定者に視認させる)測定鏡14を備える構成(以下、「実施例2」と記す。)を採ることもできる(図10参照)。
【0044】
前記実施例2は、前記実施例1と同様に、定盤3を支える前記定盤台8と、前記測定鏡14を支える測定鏡台と、前記照明手段5を支える照明台とを備える(図10参照)。
測定鏡台は、前記実施例1の撮像台9と同様に、測定鏡14の向き、焦点距離及び視野等を調整すべく、接眼装置及び対物装置を一列に搭載できる支持台と、当該支持台を揺動自在に支持する揺動手段と、当該支持台を上下移動自在に支持する昇降手段と、これら支持台、揺動手段及び昇降手段を定盤3の被写領域に面した状態で進退させる進退手段とを備える。尚、前記測定鏡台を、前記進退手段の進退方向に対して直交する左右側方へ移動させる移送手段を備える構成を採ることもできる。
【0045】
前記測定鏡14は、接眼装置、鏡体(フレーム)及び対物装置を備えた拡大鏡(顕微鏡)である。
前記顕微鏡の鏡体は、前記測定鏡台の、支持台、揺動手段及び昇降手段としての構成を備え、当該鏡体は、検査対象に正対する姿勢で同測定鏡台の進退手段に搭載されている。
これらの構成は、前記接眼装置と対物装置との距離、及び前記接眼装置又は対物装置と被写領域との距離等をそれらの光軸に沿って調整し、当該顕微鏡及びその支持台及び当該支持台に支持された接眼装置及び対物装置の向きを調整するための調整機構を具備する。
前記調整機構は、前記接眼装置と対物装置との間隔を定めるスペーサ、又はラック&ピニオン若しくはねじ待遇等の進退機構から適宜選択することができる。
前記進退機構は、手動又は電動のアクチュエータのいずれを採用しても良い。
【0046】
前記接眼装置は、接眼レンズを備え、当該接眼レンズの視野における検査対象の傾斜角等の測角を目的とした十字線(レティクル)、及び測距(実像と鏡像との間の距離2hcを測定すること)を目的とした目盛りの表示を当該視野において目視可能に備える。
前記対物装置は、対物レンズと主照明モジュール5aを備え、主照明モジュール5aは、対物レンズの前方に配置され、顕微鏡の光路内にLED等の光源を組み込む同軸照明として構成されている。
【実施例0047】
更に、コプラナリティ測定装置は、実施例1又は実施例2の構成に加えて、各リード端子1の実像と載置面に映し出された鏡像を前記測定鏡14の視野において前後に移動させる位置調整手段8bとを備える構成を採ることもできる(図10参照)。
前記位置調整手段8bは、検査対象であるリード端子1の植設方向に定盤3を進退させる可動型の定盤台8である。定盤3の移動距離を測定するための便宜として目盛りとそれを指示する目印を、検査台7、定盤台8又は定盤3に表示することができる。
【0048】
上記構成を採用することによって、各リード端子1の実像と載置面に映し出された鏡像を同時に視野に入れて実像と鏡像との距離を測定することができるのみならず、実像と鏡像を同時に視野に入れることができない程度に拡大することが望ましい場合においても、実像と鏡像との距離を正確に測定することができる。
即ち、十分に拡大した状態で実像の下端又は重心の位置にレティクル又は目盛りの基点を合わせ、続いて、測定鏡14の倍率及び視線角度θを変えることなく前記レティクル又は目盛りに沿って視野内の像を移動させて鏡像の下端又は重心の位置に同レティクル又は目盛りを合わせ、最後に、前記位置調整手段8bによる移動距離又は目盛りの差を読むことによって、実像と鏡像との距離を導く。
更に、二等分することによりみなし実装点Oc及びみなし距離hcを導き、各リード端子1のみなし実装点Ocからの距離に視線角度(図2及び図11参照。)θに基づく視線補正計算(図10参照)を行って得た値を当該電子部品2のリード端子1の実距離hとする。
【実施例0049】
前記実施例1の撮像手段4、及び前記実施例2の測定鏡14の単一の視野に入れるリード端子1は、検査対象である電子部品2の一方向から引き出されているものに限るものではなく、複数方向から引き出された各リード端子1の列の実像と載置面に映し出された鏡像を、プリズムや鏡等で撮像手段4又は測定鏡14の単一の視野へ導き、複数列のコプラナリティを一括して観察し、又は撮像する構成を採ることもできる。
【符号の説明】
【0050】
θ 視線角度,Lj 実像視線,Lk2 鏡像視線,
Oc みなし実装点,hc みなし距離,h 実距離,
1 リード端子,2 電子部品,
3 定盤,3a 位置決めピン,
4 撮像手段,
4a カメラモジュール,4b レンズモジュール,4c 撮像調整手段,
5 照明手段,
5a 主照明モジュール,5b 副照明モジュール,5c 遮光モジュール,
6 コプラナリティ算出手段,7 検査台,
8 定盤台,8a 定盤高調整手段,8b 位置調整手段,
9 撮像台,9a 支持台,9b 揺動手段,9c 昇降手段,9d 進退手段,
9e 配置調整手段,
10 照明調整手段,11 遮光板等,12 アングル調整手段,
13 確からしさ診断手段,14 測定鏡,
図1
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図3
図4
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図11