(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125267
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ビームアンカー及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
F16B 2/10 20060101AFI20240910BHJP
E04G 21/32 20060101ALN20240910BHJP
【FI】
F16B2/10 A
E04G21/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024017590
(22)【出願日】2024-02-08
(31)【優先権主張番号】18/167,850
(32)【優先日】2023-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ポラード, ジェラルド オレン
(72)【発明者】
【氏名】バジャー, アレクサンドル ゲオルゲ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ビームに着脱可能に構成されたビームアンカーに関する。
【解決手段】第1のアームアセンブリと第2のアームアセンブリの各々は、顎部を有するトルクアームと、各々がアームスロットを含むスロット部を有するスロットアームとを備える。ビームアンカーは、顎部が互いに対向し、スロット部が横並びになっており、第1のアームアセンブリと第2のアームアセンブリのトルクアームとスロットアームは、一対の旋回ジョイントにおいて、一対のブレースに結合されている。第1のアームアセンブリは、トルクアームをそのスロットアームにロックするロック位置と、トルクアームが自由に旋回可能なロック解除位置と、の間で移動可能なロッキング機構を含む。コネクタピンがアームスロットの中に延在し、コネクタピンへの荷重が、スロットアームを互いから離れるように旋回させ、顎部がビームのウェブに係合するまで、トルクアームを互いに向けて旋回させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェブ(430)と前記ウェブ(430)に垂直に配向されたフランジ(432)とを有するビーム(426)に取り付けるためのビームアンカー(100)であって、
互いに対して平行な関係で配置可能な一対のブレース(102)、
第1のアームアセンブリ(120)と第2のアームアセンブリ(122)であって、各々が、顎部(130)を有するトルクアーム(124)とアームスロット(154)を含むスロット部(152)を有するスロットアーム(146)とを備え、前記第1のアームアセンブリ(120)と前記第2のアームアセンブリ(122)は、前記ブレース(102)の間に配置可能であり、それによって、
前記顎部(130)は、互いに対向し、
前記スロット部(152)は、横並びになっており、
前記第1のアームアセンブリ(120)と前記第2のアームアセンブリ(122)の前記トルクアーム(124)と前記スロットアーム(146)は、前記ビームアンカー(100)の両側で一対の旋回ジョイント(160)において、それぞれ、前記ブレース(102)に結合されている、第1のアームアセンブリ(120)と第2のアームアセンブリ(122)、
ロッキング機構(170)であって、前記第1のアームアセンブリ(120)と前記第2のアームアセンブリ(122)のうちの一方の前記トルクアーム(124)が、前記第1のアームアセンブリ(120)と前記第2のアームアセンブリ(122)のうちの同じ一方の前記スロットアーム(146)にロックされるロック位置(190)と、前記トルクアーム(124)が、前記スロットアーム(146)に対して自由に旋回可能であるロック解除位置(192)と、の間で移動可能である、ロッキング機構(170)、及び
前記アームスロット(154)の両方の中に延在するように構成されたコネクタピン(206)を備え、
前記ビームアンカー(100)は、前記ビーム(426)に取り付けられたときに、前記ロッキング機構(170)が前記ロック位置(190)にある状態で、前記コネクタピン(206)に加えられる荷重(300)が、前記コネクタピン(206)が前記アームスロット(154)に沿って摺動するにつれて、前記スロットアーム(146)を互いから離れるように旋回させ、前記顎部(130)が前記ビーム(426)の前記ウェブ(430)に係合するまで、前記トルクアーム(124)を互いに向けて旋回させる、ように構成されている、ビームアンカー(100)。
【請求項2】
前記スロット部(152)は、スロットアーム間隙(156)を画定するように離隔し、
前記コネクタピン(206)は、前記スロットアーム間隙(156)から出るように延在する荷重付加部材(202)に結合され、
前記コネクタピン(206)への前記荷重(300)は、前記荷重付加部材(202)への引張荷重(300)からもたらされる、請求項1に記載のビームアンカー(100)。
【請求項3】
前記ロッキング機構(170)は、前記トルクアーム(124)又は前記スロットアーム(146)のうちの一方のピンボア(128)の中に挿入可能なロッキングピン(172)を備え、前記ロッキングピン(172)は、前記ロック位置(190)と前記ロック解除位置(192)との間で軸方向に移動可能である、請求項1に記載のビームアンカー(100)。
【請求項4】
前記ロッキングピン(172)は前記ロック位置(190)に向けて付勢され、それによって、前記ロッキングピン(172)が前記ピンボア(128)に位置合わせされたときに、前記ロッキングピン(172)は、前記ピンボア(128)の中に促され、それによって、前記トルクアーム(124)を前記スロットアーム(146)にロックする、請求項3に記載のビームアンカー(100)。
【請求項5】
前記第1のアームアセンブリ(120)と前記第2のアームアセンブリ(122)は、各々、それぞれの前記スロットアーム(146)に対するそれぞれの前記トルクアーム(124)の旋回運動をロック及びロック解除するための専用ロッキング機構(170)を有する、請求項1に記載のビームアンカー(100)。
【請求項6】
各トルクアーム(124)は、前記ビーム(426)の前記ウェブ(430)に加えられる力を分散させるための前記顎部(130)の両側の一対の顎ブロック(132)を有する、請求項1に記載のビームアンカー(100)。
【請求項7】
前記第1のアームアセンブリ(120)と前記第2のアームアセンブリ(122)は、各々、顎パッド(134)であって、前記顎部(130)をカバーし、前記顎ブロック(132)にわたり延在する、顎パッド(134)を含む、請求項6に記載のビームアンカー(100)。
【請求項8】
各顎パッド(134)は、それぞれ、前記ビーム(426)の前記ウェブ(430)と前記フランジ(432)に対して接触するように構成されたウェブ接触面(136)とフランジ接触面(138)を有する、請求項7に記載のビームアンカー(100)。
【請求項9】
前記第1のアームアセンブリ(120)と前記第2のアームアセンブリ(122)は、サイズと形状が同一である、請求項1に記載のビームアンカー(100)。
【請求項10】
1以上のビームアンカー(100)を備える落下防止システム(110)であって、各ビームアンカー(100)は、ウェブ(430)と前記ウェブ(430)に垂直なフランジ(432)とを有するビーム(426)をクランプするように構成され、各ビームアンカー(100)は、
互いに対して平行な関係で配置可能な一対のブレース(102)、
一対のアームアセンブリであって、各々が、顎部(130)を有するトルクアーム(124)とアームスロット(154)を含むスロット部(152)を有するスロットアーム(146)とを備え、前記一対のアームアセンブリは、前記ブレース(102)の間に配置可能であり、それによって、
前記顎部(130)は、互いに対向し、
前記スロット部(152)は、横並びになっており、
前記一対のアームアセンブリの前記トルクアーム(124)と前記スロットアーム(146)は、前記ビームアンカー(100)の両側で一対の旋回ジョイント(160)において、それぞれ、前記ブレース(102)に結合されている、一対のアームアセンブリ、
少なくとも1つのロッキング機構(170)であって、前記アームアセンブリのうちの一方の前記トルクアーム(124)が、前記アームアセンブリのうちの同じ一方の前記スロットアーム(146)に旋回不可能にロックされるロック位置(190)と、前記トルクアーム(124)が自由に旋回可能であるロック解除位置(192)と、の間で移動可能である、少なくとも1つのロッキング機構(170)、
前記アームスロット(154)の両方の中に延在するように構成されたコネクタピン(206)、及び
前記1以上のビームアンカー(100)に取り付けられる安全ネット(400)を備え、
各ビームアンカー(100)は、前記ビーム(426)に取り付けられたときに、前記ロッキング機構(170)が前記ロック位置(190)にある状態で、前記安全ネット(400)への荷重(300)が前記コネクタピン(206)に伝達され、前記コネクタピン(206)が前記アームスロット(154)に沿って摺動するにつれて、前記スロットアーム(146)を互いから離れるように旋回させ、前記顎部(130)が前記ビーム(426)の前記ウェブ(430)に係合するまで、前記トルクアーム(124)を互いに向けて旋回させる、ように構成されている、落下防止システム(110)。
【請求項11】
ウェブ(430)と前記ウェブ(430)に垂直なフランジ(432)とを有するビーム(426)にビームアンカー(100)を設置する方法(500)であって、
前記ビームアンカー(100)を提供することであって、前記ビームアンカー(100)は、
互いに対して平行な一対のブレース(102)、
第1のアームアセンブリ(120)と第2のアームアセンブリ(122)であって、各々が、顎部(130)を有するトルクアーム(124)とアームスロット(154)を含むスロット部(152)を有するスロットアーム(146)とを備え、前記第1のアームアセンブリ(120)と前記第2のアームアセンブリ(122)は、前記ブレース(102)の間に配置され、それによって、
前記顎部(130)は、互いに対向し、
前記スロット部(152)は、横並びになっており、
前記第1のアームアセンブリ(120)と前記第2のアームアセンブリ(122)の前記トルクアーム(124)と前記スロットアーム(146)は、前記ビームアンカー(100)の両側で一対の旋回ジョイント(160)において、それぞれ、前記ブレース(102)に結合されている、第1のアームアセンブリ(120)と第2のアームアセンブリ(122)、及び
前記アームスロット(154)の両方の中に延在するコネクタピン(206)を備える、前記ビームアンカー(100)を提供すること、
前記第1のアームアセンブリ(120)の前記トルクアーム(124)を、前記ビーム(426)の前記フランジ(432)と少なくとも同じ幅を有する前記顎部(130)の間の顎間隙(140)を提供する開位置(144)へ旋回させること、
前記フランジ(432)が前記顎間隙(140)を通過するように前記ビームアンカー(100)を移動させ、前記第2のアームアセンブリ(122)の前記顎部(130)を前記フランジ(432)に載置することによって、前記ビームアンカー(100)を前記ビーム(426)に取り付けること、
前記第1のアームアセンブリ(120)の前記トルクアーム(124)を、前記ビーム(426)の前記フランジ(432)よりも狭い前記顎間隙(140)を提供する閉位置(142)へ旋回させること、並びに
前記第1のアームアセンブリ(120)の前記トルクアーム(124)を前記閉位置(142)にロックすることを含む、方法(500)。
【請求項12】
前記コネクタピン(206)が前記アームスロット(154)に沿って摺動するにつれて、前記スロットアーム(146)を互いから離れるように旋回させ、前記顎部(130)が前記ビーム(426)の前記ウェブ(430)に係合するまで、前記トルクアーム(124)を互いに向けて旋回させるやり方で、荷重(300)を前記コネクタピン(206)に加えることを更に含む、請求項11に記載の方法(500)。
【請求項13】
前記荷重(300)を前記コネクタピン(206)に加えることは、
前記コネクタピン(206)に結合され、前記スロットアーム(146)の間のスロットアーム間隙(156)から出るように延在する荷重付加部材(202)に、引張荷重(300)を加えることを含む、請求項12に記載の方法(500)。
【請求項14】
前記荷重付加部材(202)に前記引張荷重(300)を加えることは、
前記荷重付加部材(202)に取り付けられた安全ネット(400)又は安全テザーに前記荷重(300)を加えることを含む、請求項13に記載の方法(500)。
【請求項15】
前記コネクタピン(206)への前記荷重(300)の結果として、前記顎部(130)が前記ウェブ(430)に係合するときに、前記第1のアームアセンブリ(120)と前記第2のアームアセンブリ(122)の各々の前記顎部(130)の両側の一対の顎ブロック(132)を介して、前記ウェブ(430)へのクランプ力を分散させることを更に含む、請求項12に記載の方法(500)。
【請求項16】
前記第1のアームアセンブリ(120)と前記第2のアームアセンブリ(122)の前記顎ブロック(132)と前記顎部(130)とをそれぞれカバーする顎パッド(134)を用いて、前記ビーム(426)を保護することを更に含む、請求項15に記載の方法(500)。
【請求項17】
前記トルクアーム(124)を前記閉位置(142)にロックすることは、
前記第1のアームアセンブリ(120)の前記トルクアーム(124)又は前記スロットアーム(146)のうちの一方のロッキングピン(172)を、前記第1のアームアセンブリ(120)の前記トルクアーム(124)又は前記スロットアーム(146)のうちの残りの一方に形成されたピンボア(128)の中に軸方向に摺動させることを含む、請求項11に記載の方法(500)。
【請求項18】
前記ロッキングピン(172)が前記ピンボア(128)に位置合わせされたときに、前記ロッキングピン(172)が前記ピンボア(128)の中に促されるように、前記ロッキングピン(172)をロック位置(190)向けて付勢することを更に含む、請求項17に記載の方法(500)。
【請求項19】
前記第1のアームアセンブリ(120)の前記トルクアーム(124)をロック解除すること、
前記第1のアームアセンブリ(120)の前記トルクアーム(124)を前記開位置(144)へ旋回させること、及び
前記ビーム(426)の前記フランジ(432)が前記顎間隙(140)を通過するように、前記ビームアンカー(100)を移動させることによって、前記ビーム(426)から前記ビームアンカー(100)を取り外すこと、
を実行することによって、前記ビームアンカー(100)を取り外すことを更に含む、請求項11に記載の方法(500)。
【請求項20】
前記ビーム(426)に前記ビームアンカー(100)を取り付けることは、
床梁(428)に前記ビームアンカー(100)を取り付けることを含む、請求項11に記載の方法(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、広くは、落下防止システムに関し、特に、ビームに着脱可能に結合されるように構成されたビームアンカーに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 落下防止システムは、人の落下を阻むことを含め、落下からの保護を提供するために、産業環境において一般的に使用されている。落下防止システムの様々な種類の中には、I型ビームに固定されるように構成されたビームアンカーが含まれる。従来のビームアンカーは、I型ビームに設置するために両手を使う必要があった。設置者が、I型ビームにアクセスするために梯子を使用する場合、設置者は、従来のビームアンカーを設置したり取り外したりする間、両手を梯子から離さなければならない。更に、幾つかのビームアンカーの設置には、ビームアンカーをI型ビームに固定するために、レバーやクランプを手で締めたり金物を操作したりする、時間がかかるプロセスが必要とされる。
【0003】
[0003] このように、従来のビームアンカーに関連する上述の欠点を回避するビームアンカーが、当該技術分野において必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 従来の落下防止システムに関連する上述された必要性は、本開示によって特に対処され、軽減される。本開示は、ウェブとウェブに垂直に配向されたフランジとを有するビームに取り付けるためのビームアンカーを提供する。ビームアンカーは、互いに対して平行な関係で配置可能な一対のブレースを含む。更に、ビームアンカーは、第1のアームアセンブリと第2のアームアセンブリを含む。それらの各々は、顎部を有するトルクアームと、アームスロットを含むスロット部を有するスロットアームとを備える。第1のアームアセンブリと第2のアームアセンブリは、ブレースの間に配置可能である。それによって、顎部は互いに対向し、スロット部は横並びになっており、第1のアームアセンブリと第2のアームアセンブリのトルクアームとスロットアームは、ビームアンカーの両側の一対の旋回ジョイントにおいて、それぞれ、ブレースに結合されている。ビームアンカーはまた、ロッキング機構も含む。ロッキング機構は、第1のアームアセンブリ又は第2のアームアセンブリのうちの一方のトルクアームが、第1のアームアセンブリ又は第2のアームアセンブリのうちの同じ一方のスロットアームにロックされるロック位置と、トルクアームがスロットアームに対して自由に旋回可能なロック解除位置と、の間で移動可能である。更に、ビームアンカーは、両方のアームスロットの中に延在するように構成されたコネクタピンを含む。ビームアンカーは、ビームに取り付けられたときに、ロッキング機構がロック位置にある状態で、コネクタピンに加えられる荷重が、コネクタピンがアームスロットに沿って摺動するにつれて、スロットアームを互いから離れるように旋回させ、顎部がビームのウェブに係合するまで、トルクアームを互いに向けて旋回させる、ように構成されている。
【0005】
[0005] また、落下防止システムも開示される。落下防止システムは、1以上のビームアンカーを含む。1以上のビームアンカーの各々は、ウェブとウェブに垂直なフランジとを有するビームにクランプするように構成されている。各ビームアンカーは、互いに対して平行な関係で配置可能な一対のブレースを含む。加えて、各ビームアンカーは、一対のアームアセンブリを含む。一対のアームアセンブリの各々は、顎部を有するトルクアームと、アームスロットを含むスロット部を有するスロットアームとを備える。一対のアームアセンブリの各々は、ブレースの間に配置可能である。それによって、顎部は互いに対向し、スロット部は横並びになっており、一対のアームアセンブリのトルクアームとスロットアームは、ビームアンカーの両側の一対の旋回ジョイントにおいて、それぞれ、ブレースに結合されている。ビームアンカーは、少なくとも1つのロッキング機構を更に含む。少なくとも1つのロッキング機構は、アームアセンブリのうちの一方のトルクアームが、アームアセンブリのうちの同じ一方のスロットアームに旋回不可能にロックされるロック位置と、トルクアームが自由に旋回可能なロック解除位置と、の間で移動可能である。更に、ビームアンカーは、両方のアームスロットの中に延在するように構成されたコネクタピンを含む。複数のビームアンカーに加えて、落下防止システムは、1以上のビームアンカーに取り付けられた安全ネットを含む。各ビームアンカーは、ビームに取り付けられたときに、ロッキング機構がロック位置にある状態で、安全ネットへの荷重がコネクタピンに伝達され、コネクタピンがアームスロットに沿って摺動するにつれて、スロットアームを互いから離れるように旋回させ、顎部がビームのウェブに係合するまで、トルクアームを互いに向けて旋回させる、ように構成されている。
【0006】
[0006] また、ビームアンカーをビームに設置する方法も開示される。該方法は、互いに平行な一対のブレース及び第1のアームアセンブリと第2のアームアセンブリを備えるビームアンカーを提供することを含む。第1のアームアセンブリと第2のアームアセンブリは、各々、顎部を有するトルクアームと、アームスロットを含むスロット部を有するスロットアームとを備える。第1のアームアセンブリと第2のアームアセンブリは、ブレースの間に配置可能である。それによって、顎部は互いに対向し、スロット部は横並びになっており、第1のアームアセンブリと第2のアームアセンブリのトルクアームとスロットアームとは、ビームアンカーの両側の一対の旋回ジョイントにおいて、それぞれ、ブレースに結合されている。更に、ビームアンカーは、両方のアームスロットの中に延在するコネクタピンを含む。該方法は、ビームのフランジと少なくとも同じ幅を有する顎部の間の顎間隙を提供する開位置へ、第1のアームアセンブリのトルクアームを旋回させることを含む。加えて、該方法は、フランジが顎間隙を通過するようにビームアンカーを移動させ、第2のアームアセンブリの顎部をフランジに載置することによって、ビームアンカーをビームに取り付けることを含む。加えて、該方法は、第1のアームアセンブリのトルクアームを、ビームのフランジよりも狭い顎間隙を提供する閉位置へ旋回させることを含む。更に、該方法は、第1のアームアセンブリのトルクアームを閉位置にロックすることを含む。
【0007】
[0007] 上述の特徴、機能、及び利点は、本開示の様々な実施形態において単独で達成することができるか、又は、更なる別の実施形態において組み合わせることができ、その更なる詳細は、以下の説明及び図面を参照して確認することができる。
【0008】
[0008] 本開示のこれらの特徴及び他の特徴は、図面を参照することにより明確となり、全体を通して類似の参照番号は類似の部分を指す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】[0009] ビームアンカーの一実施例の斜視図であり、一対のブレースの間に配置された一対のアームアセンブリを示し、各アームアセンブリのトルクアームとスロットアームを更に示す。
【
図2】[00010]
図1のビームアンカーの更なる斜視図である。
【
図3】[00011]
図2の線3に沿って見られたビームアンカーの下側の図であり、アームアセンブリのスロットアームの間のスロットアーム間隙から突出する荷重付加部材(例えば、アイボルト)を有する荷重付加機構を示す。
【
図4】[00012]
図2の線4‐4に沿って切り取られたビームアンカーの断面図であり、アームアセンブリのうちの一方のトルクアームをスロットアームにロックするためのロック位置にあるロッキング機構の一実施例を示す。
【
図5】[00013] トルクアームがスロットアームに対して自由に旋回することを可能にするロック解除位置に移動された、
図4のロッキング機構の断面図である。
【
図6】[00014] スロットアームのうちの一方を示すためにブレースのうちの一方が分離された、
図1~
図5のビームアンカーの部分分解図である。
【
図7】[00015] ビームアンカーの分解図である。
【
図8】[00016] 一連のバレルセクションを備える航空機の胴体の分解図である。
【
図9】[00017]
図8のバレルセクションのうちの1つの斜視図であり、複数の床板を支持するための床梁のネットワークを示す。
【
図10】[00018]
図9の線10に沿って見られた床梁の下側の図である。
【
図11】[00019] ビームアンカーの正面図、及びビームアンカーが設置されるビームの断面図である。
【
図12】[00020] ビームへのビームアンカーの設置を可能にする顎間隙を提供するために、開位置に旋回されたビームアンカーのトルクアームのうちの一方を示す。
【
図13】[00021] ビームのフランジが顎間隙を通過するまでビームアンカーを外向きに移動させた後でビームに取り付けられたビームアンカーを示す。
【
図14】[00022] 閉位置に旋回され、適所にロックされ、それによって、ビームアンカーをビームに固定したトルクアームを示す。
【
図15】[00023] ビームに取り付けられたビームアンカーの下面斜視図である。
【
図16】[00024] ビームに取り付けられたビームアンカーの上面斜視図である。
【
図17】[00025] ビームに取り付けられた複数のアンカーを示す床梁ネットワークの下面斜視図である。
【
図18】[00026]
図17のビームアンカーに固定された安全ネットを示す。
【
図19】[00027]
図18の参照番号19によって特定される安全ネット設置の一部分の拡大図である。
【
図20】[00028] スロットアーム内にそれぞれ形成されたアームスロットの各々の中に延在するコネクタピンを示すためにブレースのうちの一方が取り外された状態の、ビームに設置されたビームアンカーの正面図である。
【
図21】[00029] スロットアームを互いから離れるように旋回させ、顎部をビームのウェブにクランプさせる、コネクタピンへの引張荷重の付加を示す。
【
図22】[00030] ビームアンカーをビームに設置する方法に含まれる動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[00031] 次に、添付図面を参照しながら本明細書で以降に複数の実施例及び複数のバージョンがより完全に説明されることとなる。しかし、それらの図面には、本開示の複数の実施例又は複数のバージョンの全てが示されているわけではない。実際、幾つかの異なる実施例又はバージョンが提供されてよく、これらは、本明細書で説明される複数の実施例又は複数のバージョンに限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施例又はバージョンは、本開示が包括的なものになり且つ本開示の範囲が当業者に十分に伝わることとなるように提供されている。
【0011】
[00032] 本明細書は、「幾つかの実施例(some example)」、「ある実施例(one example)」、又は「一実施例(an example)」への参照を含む。「幾つかの実施例」、「ある実施例」、又は「一実施例」という表現の事例は、必ずしも同じ実施例を指すわけではない。特定の特徴、構造、又は特性が、本開示と合致する任意の適切な様態で組み合わせられ得る。
【0012】
[00033] 本明細書で使用されるときに、「含む、備える(comprising)」は、非限定的な(open-ended)用語であり、特許請求の範囲で使用されるときに、この用語は、追加的な構造又はステップを排除しない。
【0013】
[00034] 本明細書で使用されるときに、「ように構成される(configured to)」は、様々な部品又は構成要素が、1以上の作業を実行する「ように構成される」として説明又は請求され得ることを意味している。このような文脈において、「ように構成される」は、部品又は構成要素が、動作中にそれらの1以上の作業を実行する構造を含んでいることを示すことによって、構造を暗示するために使用される。従って、部品又は構成要素は、特定の部品又は構成要素が現在動作しない(例えば、電源が入っていない)場合でさえも、そのタスクを実行するよう構成されていると言うことができる。
【0014】
[00035] 本明細書で使用されるときに、単語「一(a)」又は「1つの(an)」に続く単数形の要素又はステップは、複数の当該要素又はステップを必ずしも除外しないと理解されるべきである。
【0015】
[00036] 本明細書で使用されるときに、列挙されたアイテムと共に使用される「~のうちの少なくとも1つ」という表現は、列挙されたアイテムのうちの1以上の種々の組み合わせが使用されてもよく、列挙された各アイテムのうちの1つだけが必要とされてもよいということを意味する。言い換えるならば、「~のうちの少なくとも1つ」とは、列挙された中から、アイテムの任意の組み合わせ及び任意の数のアイテムが使用されてよく、列挙されたアイテムの全てが必要とされるわけではないことを意味している。アイテムは、特定の物体、物、又はカテゴリであり得る。
【0016】
[00037]
図1~
図7を参照すると、ウェブ430(
図11)と少なくとも1つのフランジ432とを有するビーム426(
図11)に着脱可能に結合されるように構成されたビームアンカー100の一実施例が示されている。ビームアンカー100は、人の落下を安全に阻むことを含め、落下の危険からの保護を提供するように構成された落下防止システム110(
図18~
図20)の一部であり得る。一実施例では、複数のビームアンカー100が、ビーム426の配置(
図9)に結合され得る。安全ハーネス(図示せず)、又は
図17~
図19で示され以下で説明されるような安全ネット400などの、様々な異なる種類の落下防止デバイスのうちのいずれか1つが、ビームアンカー100に固定され得る。有利なことに、ビームアンカー100は、片手だけを使用してビーム426に設置することができる。加えて、ビームアンカー100は、ビームアンカー100をビーム426に固定するために、レバー、クランプ、又は他の金物の締結や操作を必要としない。
【0017】
[00038] 上述されたように、ビームアンカー100は、垂直ウェブ430と少なくとも1つの水平フランジ432とを有するビーム426に設置され得る。以下で説明される
図9~
図16の一実施例では、ビームアンカー100がI型ビームに着脱可能に設置される。I型ビームは、垂直ウェブ430によって相互接続された上側及び下側の水平フランジ432を有するI形状の断面を有する。垂直ウェブ430は、上側及び下側フランジ432の中央に置かれている。別の一実施例では、ビームアンカー100が、単一の下側水平フランジ432と垂直ウェブ430とを有するT形状の断面を有するビーム426に設置され得る。ビームアンカー100は、任意のサイズのビーム426に取り付けられるようにサイズ決定され得る。例えば、ビームアンカー100は、数インチ以上までのフランジ432の幅を有するビーム426、及び/又は、垂直ウェブ430が1インチ以上までの厚さを有するビーム426に、取り付けられるようにサイズ決定され得る。
【0018】
[00039]
図1~
図3及び
図6~
図7で示されているように、ビームアンカー100は、互いに対して離隔し平行な関係で配置された一対のブレース102を含む。各ブレース102は、両側にブレース端部104を有する。ビームアンカー100は、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122を更に含む。第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122の各々は、トルクアーム124とスロットアーム146を含む。各トルクアーム124は、顎部130とトルクアーム旋回端部126を有する。各スロットアーム146は、スロットアーム旋回端部148と、スロット部152の長さ方向に延在するアームスロット154を含むスロット部152とを有する。
【0019】
[00040] 第1のスロットアームアセンブリ120と第2のスロットアームアセンブリ122のトルクアーム124とスロットアーム146は、一対のブレース102の間で互いに対して横並び且つ平行な関係で配置可能である。加えて、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122のトルクアーム124とスロットアーム146は、それぞれ、ビームアンカー100の第1の側106と第2の側108(すなわち、両側)で一対の旋回ジョイント160において、それぞれ、ブレース102に結合されている。より具体的には、第1のアームアセンブリ120のトルクアーム124のトルクアーム旋回端部126とスロットアーム146のスロットアーム旋回端部148が、ビームアンカー100の第1の側106で旋回ジョイント160において一対のブレース102のブレース端部104に旋回可能に結合されている。同様に、第2のアームアセンブリ122のトルクアーム124のトルクアーム旋回端部126とスロットアーム146のスロットアーム旋回端部148が、ビームアンカー100の第2の側108で旋回ジョイント160においてブレース端部104に旋回可能に結合されている。
【0020】
[00041]
図1~
図7の例示的なビームアンカー100では、ビームアンカー100の第1の側106と第2の側108の各々の旋回ジョイント160が、スロットアーム旋回端部148とトルクアーム旋回端部126を旋回ジョイント160においてブレース端部104に結合する旋回ピン158を含む。図示されている一実施例では、各旋回ピン158が、1以上のナット168によってその端部に固定されたボルト166の形態を採る機械的ファスナ164である。しかし、旋回ピン158は、様々な代替的構成のうちのいずれか1つで提供されてよく、ボルト166に限定されない。更に、これに関して、ビームアンカー100の第1の側106と第2の側108の各々のスロットアーム146、トルクアーム124、及びブレース102は、任意の様態で旋回可能に結合され得、旋回ピン158によって旋回可能に結合されることに限定されない。
【0021】
[00042] 第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122の各々のトルクアーム124とスロットアーム146は、
図7で示されているように、旋回ジョイント160においてスペーサ162(例えば、プラスチック又はナイロン(商標)ワッシャー)を介して互いからわずかに離隔(例えば、0.050インチ以上)され得る。代替的に、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122の各々のトルクアーム124とスロットアーム146は、互いに摺動接触し得る。図示されていない更なる他の複数の実施例では、各旋回ジョイント160が、ブレース102とスロットアーム146との間のスペーサ、及びブレース102とトルクアーム124との間のスペーサを含み得る。
【0022】
[00043]
図1~
図3及び
図6で示されているように、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122は、顎部130が互いに対向し、対向する顎部130の間の顎間隙140を画定するようなやり方で、一対のブレース102の間に配置される。加えて、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122は、スロット部152が、
図3で示されているように、互いに横並び且つ重なる関係にあり、スロットアーム間隙156を画定するように離隔するよう、一対のブレース102の間に配置される。
【0023】
[00044]
図1~
図7の一実施例では、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122が、各々、それぞれの第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122のトルクアーム124をスロットアーム146にロック及びロック解除するための専用ロッキング機構170を有する。各ロッキング機構170は、ロック位置190(
図4)とロック解除位置192(
図5)との間で移動可能である。第1のアームアセンブリ120又は第2のアームアセンブリ122のロッキング機構170が、ロック位置190にあるときに、それぞれのトルクアーム124は、スロットアーム146にロックされ、それによって、トルクアーム124がスロットアーム146に対して旋回することを防止する。第1のアームアセンブリ120又は第2のアームアセンブリ122のトルクアーム124が、それぞれのスロットアーム146にロックされたときに、トルクアーム124は閉位置142にある。第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122の両方のトルクアーム124が閉位置142にあるときに、顎部130の間の顎間隙140(
図11及び
図14)が、ビームアンカー100が設置されるビーム426のフランジ432の幅よりも狭くなるように、ビームアンカー100はサイズ決定され、構成される。ロッキング機構170は、典型的には、
図14で示され、以下で説明されるように、ビームアンカー100がビーム426に設置された後で、ロック位置190に配置される。
【0024】
[00045] 第1のアームアセンブリ120又は第2のアームアセンブリ122のロッキング機構170が、ロック解除位置192(
図12~
図13)にあるときに、それぞれのトルクアーム124は、スロットアーム146に対して自由に旋回可能である。ロック解除位置192では、それぞれのトルクアーム124が、開位置144(例えば、
図12~
図13)に旋回され得る。開位置144は、
図13~
図14で示され、以下で説明されるように、ビーム426への又はからのビームアンカー100の設置又は取り外しを可能にする顎間隙140を提供する。より具体的には、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122のうちの少なくとも一方のトルクアーム124が開位置144にあるときに、一対の顎部130の間の顎間隙140がビーム426のフランジ432と少なくとも同じ幅を有するように、ビームアンカー100はサイズ決定され、構成される。
【0025】
[00046]
図4~
図5を参照すると、ビームアンカー100の一実施例では、各ロッキング機構170が、ロッキングピン172を備える。ロッキングピン172は、それぞれのトルクアーム124及びスロットアーム146内のピンボア128内で軸方向に移動可能である。ロッキングピン172は、ロック位置190とロック解除位置192との間で移動可能である。各トルクアーム124内のピンボア128は、トルクアーム旋回端部126と顎部130との間に配置される。各スロットアーム146内のピンボア128は、スロットアーム旋回端部148の近傍でスロットアーム146の上側から突出するピンタブ150内に配置される。しかし、図示されていない他の複数の実施例では、ピンタブ150が、トルクアーム124の様々な他の位置のうちのいずれか1つに形成されてもよい。第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122の各々のロッキング機構170は、ロッキングピン172がロック位置190にあるときに、トルクアーム124がスロットアーム146にロックされるようなやり方で、ロッキングピン172がトルクアーム124とスロットアーム146の両方のピンボア128を通って延在する、ように構成される。ロッキングピン172がロック解除位置192にあるときに、ロッキングピン172は、ピンボア128のうちの一方(例えば、トルクアーム124のピンボア128)のみを通って延在し、それによって、トルクアーム124がスロットアーム146に対して旋回することを可能にする。
【0026】
[00047]
図4~
図5を参照すると、ロッキング機構170は、トルクアーム124内のピンスリーブ182内で軸方向に摺動可能なロッキングピン172を有する。ピンスリーブ182は、トルクアーム124内のピンボア128内に螺合可能に設けられたネジ部178を有する。ピンスリーブ182はまた、六角部180であって、ネジ部178に隣接して配置され、トルクアーム124から突出する六角部180も有する。六角部180は、ネジ部178のトルクアーム124へ設置(例えば、レンチを介した)を容易にする。
【0027】
[00048]
図4~
図5のロッキング機構170は、ロッキングピン172から延在するピンシャフト174を含む。図示されていないが、ピンシャフト174の一端は、ネジ切りされ得、ロッキングピン172は、ピンシャフト174のネジ切りされた端部に螺合可能に係合され得る。反対側の端部では、
図3で示されているように、ピンシャフト174が、六角部180内に形成されたピンスロット186から側方に突出するピンハンドル176を有する。ピンハンドル176は、ピンハンドル176がロック位置190とロック解除位置192との間でロッキングピン172を移動させるために手動で把持されたときに、ピンスロット186内で移動するように構成されている。
図4で示されているように、ロッキングピン172がロック位置190に移動されたときに、ロッキングピン172の自由端は、スロットアーム146内のピンボア128に取り付けられたピン受け188内に受け入れられる。
図5で示されているように、ロッキングピン172がロック解除位置192に移動されたときに、ロッキングピン172の自由端は、トルクアーム124内のピンスリーブ182の内側に後退する。
【0028】
[00049] 幾つかの実施例では、ロッキングピン172が、ロック位置190に向けて付勢(例えば、バネ荷重付加)され得る。例えば、
図4~
図5で示されているように、ロッキング機構170は、コイルバネ184であって、ピンスリーブ182の内側に捕捉され、ピンシャフト174を取り囲むコイルバネ184を含み得る。ロッキングピン172が、スロットアーム146内のピンボア128(例えば、ピン受け188)に位置合わされ、ピンハンドル176のクロッキングが、六角部180内のピンスロット186のクロッキングと一致したときに、ロッキングピン172は、コイルバネ184によってピンボア128の中に付勢され、それによって、トルクアーム124をスロットアーム146にロックする。ピンハンドル176が六角部180の端部をクリアするまで、ピンスロット186に沿ってピンハンドル176を引っ張り、次いで、ピンハンドル176が六角部180の端面に対してもたれるように、ピンハンドル176をピンスロット186との位置合わせから出すように回転させることによって、ロッキングピン172は、ロック解除位置192に一時的に固定され得る。ロッキングピン172は、ピンスロット186に位置合わせされるまでピンハンドル176を回転させることによって、ロック位置190に向けて戻すことができる。その後、ロッキングピン172がスロットアーム146内のピンボア128に位置合わせされたときに、コイルバネ184はロッキングピン172をロック位置190に付勢することになる。
【0029】
[00050] ビームアンカー100の本実施例は、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122の各々のための専用ロッキング機構170を含むが、図示されていない代替的な一実施例では、第1のアームアセンブリ120のみが、ロッキング機構170を含む。このロッキング機構170は、そのトルクアーム124が開位置144に旋回することを可能にし、ビーム426へのビームアンカー100の設置及び取り外しを可能にする。このような代替的な一実施例では、第2のアームアセンブリ122がロッキング機構170を欠いており、第2のアームアセンブリ122のトルクアーム124とスロットアーム146は、互いに固定的に結合され得る。
【0030】
[00051]
図1~
図3及び
図6~
図7を参照すると、ビームアンカー100は、ビーム426に取り付けられたときにビームアンカー100に荷重付加するための荷重付加機構200を含む。荷重付加機構200は、
図3及び
図6で示されているように、スロットアーム間隙156を横切ってスロットアーム146の両方のアームスロット154の中に延在するコネクタピン206(
図5及び
図7)を含む。荷重付加機構200は、荷重付加部材202であって、コネクタピン206に結合され、スロットアーム間隙156(
図3)から出るように延在する荷重付加部材202を含む。コネクタピン206は、コネクタピン206の軸方向運動を制限するために、荷重付加部材202の両側に肩部208を有する。コネクタピン206は、荷重がビーム426の中央にかかることを確実にするように、ビームアンカー100の中央に置かれる。
【0031】
[00052] 荷重付加部材202は、複数の図で示されているアイボルト204(すなわち、閉環フックボルト)などの、コネクタピン206から垂直に延在するシャフト状部材として提供され得る。図示されている一実施例では、アイボルト204が、ネジ部178であって、コネクタピン206を通って延在し、ロックナット168を介して固定されるネジ部178を有する。しかし、代替的な一構成では、荷重付加部材202(例えば、アイボルト204)及びコネクタピン206が、一体構造(例えば、共に溶接される)であり得る。
【0032】
[00053]
図20~
図21で示されているように、ビームアンカー100は、ロッキング機構170がロック位置190にある状態でビーム426に取り付けられたときに、コネクタピン206への荷重300が、スロットアーム146を互いから離れるように旋回させ、トルクアーム124を互いに向けて旋回させる、ように構成されている。より具体的には、コネクタピン206への荷重300が、荷重付加部材202(例えば、アイボルト204)への引張荷重(例えば、下向きの荷重)の結果である。コネクタピン206は、引張荷重をスロットアーム146に伝達し、コネクタピン206がアームスロット154に沿って摺動するにつれて、第1の側106と第2の側108において、それぞれ、スロットアーム146が旋回ピン158の周りで互いから離れるように旋回するよう促すことを、コネクタピン206に実行させる。同時に、トルクアーム124は、互いに向けて旋回し、顎部130をビーム426のウェブ430に係合させる。これに関して、
図21で示されているように、顎部130は、クランプ力302をウェブ430に加える。クランプ力302は、ビームアンカー100をビーム426にロックし、ビーム426に対するビームアンカー100の移動を防止する。
【0033】
[00054] 荷重付加部材202への荷重300は、ビーム426に取り付けられたビームアンカー100に取り付けられた安全ハーネス(図示せず)又は安全ネット400へ落下する装置(例えば、工具や材料など)又は人の重量によってもたらされ得る(例えば、
図17~
図18)。例えば、
図8~
図16で示され、以下で説明されるように、複数のビームアンカー100が、床梁428への床板434の手作業での配置のための準備において、航空機420のバレルセクション424(
図8~
図9)の床梁428に取り付けられ得る。ビームアンカー100を床梁428に取り付けた後で、
図17~
図19で示され、以下で説明されるように、安全ネット400が、ビームアンカー100に取り付けられ得る。1つの例示的な安全ネット400は、クロスパターンで配置された弾性ウェビングで構成され得る。安全ネット400は、ロッキングDリングカラビナなどの取り付けクリップ402又は他の取り付けデバイスを使用して、ビームアンカー100の荷重付加部材202(例えば、アイボルト204)に取り付けられ得る。
【0034】
[00055]
図1~
図3及び
図6~
図7の一実施例を参照すると、ビームアンカー100は、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122の各々のトルクアーム124の顎部130の両側に一対の顎ブロック132を含む。顎ブロック132は、ビーム426への力を分散させるように構成されている。例えば、顎ブロック132は、顎部130がウェブ430に係合し、ウェブ430にクランプ力302(
図21)を加えるときに、ウェブ430への力を分散させるように構成されている。図示されている一実施例では、顎ブロック132が、機械的ファスナ164を使用して、顎部130の両側に取り付けられている。図示されていない別の一実施例では、各トルクアーム124の顎ブロック132が、顎部130と一体化され得る。
【0035】
[00056]
図1~
図3及び
図6~
図7では、ビームアンカー100が、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122の各々で、顎部130と顎ブロック132とをカバーする顎パッド134を更に含む。図示されている一実施例では、各顎パッド134が、それぞれ、ビーム426の垂直に配向されたウェブ430と水平に配向されたフランジ432に対して接触するように構成されたウェブ接触面136(
図20)とフランジ接触面138(
図20)を有する。顎パッド134は、上述された機械的ファスナ164(
図20)を使用して、顎ブロック132と顎部130とに機械的に結合され得る。各顎パッド134は、ビームアンカー100が取り付けられるビーム426よりも柔らかい材料で形成され得る。顎パッド134は、傷、へこみ、くぼみ、擦り傷、及び他の種類の損傷から、ビーム426を保護するように構成されている。一実施例では、顎パッド134が、耐衝撃性ポリウレタンで形成され得るが、顎パッド134は、様々な材料のいずれか1つで形成されてもよい。
【0036】
[00057] ビームアンカー100の金物は、鋼鉄などの金属材料で好適に形成される。例えば、ロッキングピン172、ピンスリーブ182、ピンハンドル176、ピン受け188、旋回ピン158、及び荷重付加機構200(例えば、コネクタピン206やアイボルト204)を含む、ロッキング機構170は、金属材料で形成され得る。しかし、上述された金物部品のうちのいずれか1以上は、高強度ポリマー材料で形成され得る。
【0037】
[00058] ビームアンカー100の非金物部品のうちのいずれか1以上は、ポリマー材料などの非金属材料で好適に形成される。例えば、ブレース102、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122のトルクアーム124とスロットアーム146、顎ブロック132、及び顎パッド134は、炭素繊維ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの熱可塑性材料で形成され得る。上述された構成要素は、積層造形(例えば、3Dプリンティング)、射出成型、又は他の適切な製造技法を使用して、形成され得る。有利なことに、炭素繊維PEEKは、低質量(すなわち、軽量)、優れた耐化学性、低熱膨張率、及び低吸湿性などを含む、高温での好適な機械的特性を有する。PEEKは、上述された構成要素を形成するのに好適な材料であるが、任意の適切な金属及び/又は非金属材料が使用されてもよい。有利なことに、上述されたビームアンカー100の第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122は、ブレース102と同様に、サイズ、形状、及び材料が同一であり、それは製造コストを低減させ得る。
【0038】
[00059]
図22を参照すると、ビームアンカー100をビーム426に設置する方法500に含まれる動作のフローチャートが示されている。方法500は、
図8~
図9で示されているように、航空機420の胴体422のバレルセクション424の床梁428にビームアンカー100を設置する文脈で説明される。上述されたように、ビーム426は、
図10で示されているように、ウェブ430と、ウェブ430に垂直に配向された少なくとも1つのフランジ432とを有する。
【0039】
[00060] 方法500のステップ502は、ビームアンカー100を提供することを含む。ビームアンカー100の一実施例は、
図1~
図9で示され、上述されている。上述されたように、ビームアンカー100は、一対のブレース102、及び第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122を備える。第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122の各々は、顎部130を有するトルクアーム124と、アームスロット154を含むスロット部152を有するスロットアーム146とを備える。第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122は、ブレース102の間に配置可能である。それによって、顎部130は互いに対向し、スロット部152は横並びになっており、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122のトルクアーム124とスロットアーム146は、ビームアンカー100の第1の側106と第2の側108の一対の旋回ジョイント160において、それぞれ、ブレース102に結合されている。ビームアンカー100はまた、コネクタピン206と荷重付加部材202も含む。コネクタピン206は、スロットアーム間隙156を横切って両方のアームスロット154の中に延在する。荷重付加部材202(例えば、アイボルト204)は、以下で説明されるように、ビームアンカー100に荷重付加するためにコネクタピン206に結合される。
【0040】
[00061]
図11~
図12を参照すると、方法500のステップ504は、ビーム426のフランジ432と少なくとも同じ幅を有する顎部130の間の顎間隙140を提供する開位置144へ、第1のアームアセンブリ120のトルクアーム124を旋回させることを含む。トルクアーム124を旋回させる前に、第1のアームアセンブリ120のロッキング機構170は、トルクアーム124が旋回することを可能にするために、ロック解除位置192(例えば、
図5)に移動される。ロッキング機構170がコイルバネ184を含む、上述された
図4~
図5の一実施例では、該方法が、ピンハンドル176が六角部180の端部をクリアするまで、ピンスロット186に沿ってピンハンドル176を手動で引っ張り、次いで、コイルバネ184の付勢力の下で、ピンハンドル176が六角部180の端面に対してもたれるように、ピンハンドル176をピンスロット186との位置合わせから出すように回転させることによって、ロッキング機構170をロック解除位置192に配置することを含む。
図11~
図12で示されているように、第2のアームアセンブリ122のロッキング機構170は、既にロック位置190(例えば、
図4)にあり、それによって、第2のアームアセンブリ122のトルクアーム124を閉位置142に維持する。
【0041】
[00062] 方法500のステップ506は、ビームアンカー100をビーム426に取り付けることを含む。
図12~
図13の文脈では、ステップ506が、ビームアンカー100をバレルセクション424の床梁428のうちの1つに取り付けることを含む。ビームアンカーは、航空機420の構築中、又は、航空機420が整備、改修、又は修理中であるときを含め、いつでも航空機420に取り付けることができる。ビームアンカー100を取り付けるステップ506は、
図12で示されているように、フランジ432が顎間隙140を通過するまで、ビームアンカー100を(例えば、片手で)上向きに移動させ、その後、ビームアンカー100を側方に(例えば、横向きに)移動させ、
図13で示されているように、第2のアームアセンブリ122の顎部130をフランジ432に載置することを含む。
【0042】
[00063] 方法500のステップ508は、
図14で示されているように、第1のアームアセンブリ120のトルクアーム124を、開位置144(
図13)から閉位置142へ旋回させることを含む。ビーム426のフランジ432に載置された第2のアームアセンブリ122の顎部130によってビームアンカー100の重量が支持された状態で、第1のアームアセンブリ120のトルクアーム124は、片手を使用して手動で閉位置142に旋回され得る。
【0043】
[00064] 第1のアームアセンブリ120のトルクアーム124を閉位置142へ旋回させた後で、方法500のステップ510は、第1のアームアセンブリ120のトルクアーム124を閉位置142にロックすることを含む。これもまた、片手を使用して実行され得る。第1のアームアセンブリ120のロッキング機構170がロッキングピン172を備える上述された一実施例では、ステップ510が、トルクアーム124のロッキングピン172をスロットアーム146内のピンボア128(例えば、ピン受け188)の中に軸方向に摺動させ、それによって、ロック解除位置192(
図5)からロック位置190(
図4)にロッキングピン172を移動させ、トルクアーム124を閉位置142にロックすることを含む。ロッキング機構170の幾つかの実施例では、該方法が、ロッキングピン172がスロットアーム146内のピンボア128に位置合わせされたときに、ロッキングピン172が自動的にピンボア128の中に促されるように、ロッキングピン172をロック位置190に向けて付勢することを含む。上述された一実施例では、ロッキング機構170がコイルバネ184(
図4~
図5)を含み、ピンスロット186に位置合わせされるまでピンハンドル176を回転させ、その後で、ロッキングピン172に位置合わせされたときにコイルバネ184がロッキングピン172をピンボア128の中に促すことによって、ロッキングピン172がロック位置190に移動され得る。
図15~
図16は、両方のロッキング機構170がロック位置190にある状態で、ビーム426に取り付けられたビームアンカー100を示している。
【0044】
[00065] 方法500は、
図20~
図21で示されているように、コネクタピン206がアームスロット154に沿って摺動するにつれて、スロットアーム146を互いから離れるように旋回させ、顎部130がビーム426のウェブ430に係合するまで、トルクアーム124を互いに向けて旋回させるやり方で、荷重300をコネクタピン206に加えることを更に含む。
図17~
図19では、荷重300をコネクタピン206に加えるステップが、荷重付加機構200の荷重付加部材202に加えられる荷重300によってもたらされ得る。図示されている一実施例では、荷重300をコネクタピン206に加えるステップが、荷重付加部材202に引張荷重を加えることを含む。荷重付加部材202は、
図3で示され、上述されたように、コネクタピン206に結合されている。図示されている一実施例では、荷重付加部材202がアイボルト204である。アイボルト204は、
図19で示されているように、スロットアーム146の間のスロットアーム間隙156から出るように延在する。荷重付加部材202に引張荷重を加えるステップは、安全ネット400又は安全テザー(図示せず)を荷重付加部材202に取り付け、安全ネット又は安全テザーに荷重300(例えば、落下する物体又は人に起因する)を加えることを含む。
【0045】
[00066] 方法500は、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122の顎部130の間でウェブ430をクランプするときに、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122の顎部130の両側の一対の顎ブロック132を介して、ウェブ430への力を分散させることを更に含む。上述され、
図21で示されるように、荷重付加部材202(例えば、アイボルト204)を介してコネクタピン206に荷重300(例えば、下向きの荷重)が加えられるときに、顎部130は、ウェブ430にクランプ力302を加える。顎ブロック132は、ウェブ430へのクランプ力302を分散させ、それによって、普通であれば顎部130単独によって加えられる集中したクランプ力に起因して生じ得るはずの潜在的な損傷を防止する。
【0046】
[00067] 更に、これに関して、方法500は、ビーム426に係合しクランプ力302をウェブ430に加えるときに、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122の顎ブロック132と顎部130とをカバーする顎パッド134を用いて、顎部130からの損傷に対してビーム426を保護することを含む。上述されたように、第1のアームアセンブリ120と第2のアームアセンブリ122は、各々、顎部130と顎ブロック132とをカバーする顎パッド134を含み得る。顎パッド134は、ビーム426よりも柔らかい材料で形成され得、それによって、ビーム426への損傷を防止する。
【0047】
[00068] 方法500は、(例えば、片手を使用して)第1のアームアセンブリ120のトルクアーム124をロック解除し、(例えば、片手を使用して)トルクアーム124を開位置144へ旋回させることによって、ビームアンカー100をビーム426から取り外すことを更に含み得る。トルクアーム124が開位置144にある状態で、該方法は、ビーム426のフランジ432がビームアンカー100の対向する顎部130の間の顎間隙140を通過するまで、(例えば、片手で)ビームアンカー100を下向きに移動させることによって、ビームアンカー100をビーム426から取り外すことを含む。ビームアンカー100をビーム426から取り外すプロセスは、上述されたビームアンカー100を設置するプロセスの逆である。
【0048】
[00069] 前述の説明及び関連図面で提示された教示内容の利点を理解している、本開示に関連する技術分野の当業者には、本開示の多数の変形例及びその他の例が想起されよう。本明細書で説明される構成は、例示のためのものであり、限定的であることも、網羅的であることも意図されていない。本明細書では特定の用語が用いられているが、それらは、一般的且つ説明的な意味にのみ使用されており、限定を目的とするものではない。
【外国語明細書】