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特開2024-125270油圧衝撃機器を加熱するための設備および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125270
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】油圧衝撃機器を加熱するための設備および方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 17/04 20060101AFI20240910BHJP
   F15B 1/02 20060101ALI20240910BHJP
   F15B 21/0427 20190101ALI20240910BHJP
【FI】
E21B17/04
F15B1/02 A
F15B21/0427
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024019244
(22)【出願日】2024-02-13
(31)【優先権主張番号】23156038
(32)【優先日】2023-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515277780
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヴィータニエミ, ヤルノ
(72)【発明者】
【氏名】パーキネン, ペルティ
(72)【発明者】
【氏名】レスキネン, マルッティ
(72)【発明者】
【氏名】ハマライネン, ミッコ
(72)【発明者】
【氏名】コイヴマキ, ペルットゥ
(72)【発明者】
【氏名】ケラ, ティーモ
(72)【発明者】
【氏名】コホラ, ヴィル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】低温動作条件で岩石処理機械の衝撃機器を加熱するための設備および方法を提供する。
【解決手段】本設備は、予熱された油圧流体を、供給チャネル19を通して衝撃機器の油圧回路18に供給するための暖機モードWMを含む。油圧回路には、1つまたは複数の油圧アキュムレーターがある。供給チャネルは、暖機モード中に予熱された油圧流体の供給を制限するための制御要素CEを備えている。制御要素は、圧力アキュムレーターの分離要素が移動しないように、供給チャネル内の予熱された油圧流体の供給を制限する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低温動作条件で岩石処理機械(Rtm)の油圧衝撃機器(9)を加熱するための設備であって、
予熱された油圧流体を、少なくとも1つの供給チャネル(19)を通して前記衝撃機器(9)の油圧回路(18)に供給するための選択的に実行可能な暖機モード(WM)を備えており、
前記衝撃機器(9)の前記油圧回路(18)が、事前充填圧力(Pcp)が与えられている少なくとも1つの圧力アキュムレーター(Pa)に接続されている、
設備において、
前記供給チャネル(19)が、前記暖機モード(WM)が選択されたことに応答して、前記予熱された油圧流体の前記供給を制限するための少なくとも1つの制御要素(CE)を備えており、
前記制御要素(CE)が、圧力が前記供給されている流れの下流側で最初に位置する第1の圧力アキュムレーター(Pa1)の第1の事前充填圧力(Pcp1)を下回るように、前記供給チャネル(19)内の前記予熱された油圧流体の前記供給を制限するように構成されている
ことを特徴とする、
設備。
【請求項2】
前記第1の圧力アキュムレーター(Pa1)が、前記衝撃機器(9)の打撃ピストン(21)の衝撃方向(A)での運動を実行するために、加圧された油圧流体を蓄積するための高圧力アキュムレーターであり、
前記油圧回路(18)が、前記第1の事前充填圧力(Pcp1)よりも低い第2の事前充填圧力(Pcp2)が与えられている低圧アキュムレーターである第2の圧力アキュムレーター(Pa2)をさらに含み、
前記制御要素(CE)が、前記第1の圧力アキュムレーター(Pa1)の第1の流体空間(Fs1)での圧力が前記第1の事前充填圧力(Pcp1)よりも低くなり、前記第2の圧力アキュムレーター(Pa2)の第2の流体空間(Fs2)での圧力が前記第2の事前充填圧力(Pcp2)よりも低くなるように、前記予熱された油圧流体の前記供給を制御するように構成されている
ことを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記制御要素(CE)がスロットル(24)である
ことを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項4】
制御要素(CE)が、前記供給されている予熱された油圧流体を絞るための調整可能な開口部を伴う比例弁(25)である
ことを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項5】
前記暖機モード(WM)の実行を少なくとも開始および終了するための少なくとも1つの制御ユニット(CU)を備える
ことを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項6】
少なくとも1つの制御ユニット(CU)を備え、
温度データを与えるための少なくとも1つの温度センサー(TS)をさらに備え、
前記暖機モード(WM)が、前記温度データに応答して制御される
ことを特徴とする、請求項1に記載の設備。
【請求項7】
可動キャリア(2)と、
前記キャリア(2)に対して移動可能に取り付けられている少なくとも1つの掘削ブーム(3)と、
前記少なくとも1つの掘削ブーム(3)に取り付けられており、供給ビーム(5)を含む少なくとも1つの掘削ユニット(4)と、
前記供給ビーム(5)に取り付けられており、衝撃機器(9)を含む削岩機械(6)と、
低温動作条件で前記衝撃機器(9)を加熱するための設備と
を備える、削岩リグ(1)であって、
前記設備が、請求項1から6のいずれか一項に記載の設備である
ことを特徴とする、削岩リグ(1)。
【請求項8】
低温動作条件で岩石処理機械(Rtm)の衝撃機器(9)を加熱する方法であって、
前記岩石処理機械(Rtm)に暖機モード(WM)をもたらし、通常運転モード(NM)を開始する前に前記暖機モード(WM)を実行するために、予熱された油圧流体を前記衝撃機器(9)の油圧回路(18)に選択的に導くことと、
前記予熱された油圧流体を、事前充填圧力(Pcp)が与えられている少なくとも1つの圧力アキュムレーター(Pa)を介して、前記衝撃機器(9)の油圧回路(18)内に導くことと
を含み、
前記暖機モード中に、前記予熱された油圧流体を、少なくとも1つの制御要素(CE)を通して前記衝撃機器(9)の前記油圧回路(18)に導くことと、
前記予熱された油圧流体を下流側で受け取る前記少なくとも1つの圧力アキュムレーターのうちの最初のものである第1の圧力アキュムレーター(Pa1)での圧力を、前記第1の圧力アキュムレーター(Pa1)の第1の事前充填圧力(Pcp1)を下回るように低減するために、前記制御要素(CE)によって、前記予熱された油圧流体の衝撃機器(9)への供給を制限することと
を特徴とする、方法。
【請求項9】
前記暖機モード(WM)中に、前記衝撃機器(9)の衝撃サイクルが低減された動作周波数で動作しているように、前記制御要素(CE)によって、前記導かれている予熱された油圧流体の特性を制限する
ことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、低温動作条件で岩石処理機械の油圧衝撃機器を加熱するための設備に関する。
【0002】
本発明はさらに、削岩機械、および岩石処理機械の油圧衝撃機器を加熱する方法に関する。
【0003】
本発明の分野は、独立請求項の前文においてより具体的に定義されている。
【0004】
鉱山および他の作業現場では、岩石表面に掘削穴を掘削するために、削岩機械を備えた異なるタイプの削岩リグが使用される。また、岩石を破砕するために、油圧岩石破砕機を備えた掘削機などの他の作業機械も使用される。削岩機械および岩石破砕機は、通常、基本機械の油圧システムに接続されている油圧衝撃機器を備えている。多くの場合、これらの機械は、少なくとも冬期の間、低温動作条件でも動作可能である必要がある。冷たい温度は、油圧システム内の油圧流体の粘度、ならびにまた圧力アキュムレーター内のシール部および圧力分離要素のようなエラストマー材料に影響を及ぼす。したがって、通常動作を開始する前に、油圧流体およびシステムを予熱するように、異なる種類の設備が設計されている。しかしながら、既知の解決策はいくつかの欠点を示している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、衝撃機器を加熱するための新規の改良された設備、そのような加熱設備を備えた削岩リグ、および衝撃機器を加熱するための方法を提供することである。
【0006】
本発明による設備は、第1の独立装置請求項の特徴的な特徴によって特徴付けられる。
【0007】
本発明による削岩リグは、第2の独立装置請求項の特徴的な特徴によって特徴付けられる。
【0008】
本発明による方法は、独立方法請求項の特徴的な特徴によって特徴付けられる。
【0009】
開示されている解決策の概念は、岩石処理機械の油圧衝撃機器が、低温動作条件での使用のために、加熱設備で予熱されることである。本設備は、予熱された油圧流体を、少なくとも1つの供給チャネルを通して、衝撃機器の油圧回路に供給するための選択的に実行可能な暖機モードを備えている。油圧回路は、事前充填圧力が与えられている1つまたは複数の圧力アキュムレーターに接続されている。上述の供給チャネルは、暖機モードが選択されたことに応答して、予熱された油圧流体の供給を制限するための少なくとも1つの制御要素を備えている。制御要素は、圧力が、供給されている流れの下流側で最初に位置する第1の圧力アキュムレーターの第1の事前充填圧力を下回るように、供給チャネル内の予熱された油圧流体の供給を制限する。
【0010】
言い換えると、暖機を実行するために、制限された穏やかな油圧動力が衝撃機器に与えられる。この解決策は、暖機中に、事前充填された圧力アキュムレーターのガス空間での圧縮および体積変化を防止することを意図する。ガス空間はガスで満たされており、膜、ピストン、または他の分離要素が、圧力アキュムレーターの流体空間からガス空間を分離する。暖機中に、油圧流体が事前充填圧力よりも低い圧力で供給されているため、分離要素の移動は、回避されることができる。この目標は、暖機中に衝撃機器の油圧回路に供給されている予熱された油圧流体が、ガス空間の内側のガスを圧縮することができない事実に基づいている。
【0011】
この解決策の利点は、暖機中に圧力アキュムレーターの膜の移動を回避することができ、それによって低温である膜に有害な応力が向けられないことである。このようにして、膜の破損を回避することができ、膜の動作寿命をより長くすることができる。これにより、削岩機械の維持費およびダウンタイムを減少させることができる。さらなる利点は、この解決策が、ニトリルゴム(NBR)などの、耐久性が低温で低減しまたは不十分である膜材料の使用を可能にし得ることである。一般的に、エラストマー材料の脆性は低温において上昇するという事実が知られている。
【0012】
ピストンタイプのアキュムレーターでは、開示されている解決策は、ピストンシールの損傷を防止し得る。
【0013】
暖機中に、低減された油圧動力が実装されるため、実行された暖機モードは、衝撃機器の油圧回路の一部でありまたはそれに接続されているシールなどの他の構成要素に対しても穏やかである。
【0014】
さらなる利点は、暖機モード中に供給されている油圧動力が制限される場合に、衝撃機器のシール部が受ける応力および摩耗を減少させることが可能であることである。衝撃機器は、暖機モード中に低周波数で動作し、それによってシール部の摺動の速さは、低いままである。また、シール部に影響する圧力は、低く一定であり、このことはシール部の耐久性にプラスの影響を与える。
【0015】
一実施形態によれば、少なくとも1つの制御要素は、暖機モード中に、供給されている予熱された油圧流体の流れもしくは圧力、または流れおよび圧力を制限するように構成されている。言い換えると、暖機中に供給されている油圧動力は、油圧が、第1の圧力アキュムレーターにおいてその事前充填圧力を下回ったままであるように制御される。
【0016】
一実施形態によれば、岩石処理機械は、岩石表面に掘削穴を掘削するための削岩機械である。削岩機械は、掘削工具に衝撃パルスを向けるための油圧衝撃機器を備える。典型的には、掘削工具を回転させるための回転機器もある。
【0017】
一実施形態によれば、開示されている解決策は、鉱山および建設作業現場の岩石を破壊することを意図した油圧岩石破砕機械にも実装され得る。油圧岩石破砕機械は、衝撃機器を備え、低い周囲温度で打撃動作を始めるときに保護される必要がある油圧アキュムレーターもある。したがって、この実施形態では、岩石処理機械は、油圧破砕機および油圧破砕ハンマーとしても知られている油圧岩石破砕機械である。
【0018】
一実施形態によれば、制御要素は、衝撃機器の周波数が、暖機において通常動作モードの周波数の10%未満であるように、供給されている油圧流体の流れを制限するように構成されている。例えば、打撃機構の周波数は、通常の動作周波数が30Hzである衝撃機器では、1Hzに制限されることができる。
【0019】
一実施形態によれば、設備は、少なくとも1つの圧力アキュムレーターのガス空間に広がる圧力を感知するための少なくとも1つの圧力センサーを備える。このようにして、圧力感知データに応答して、暖機モード中に油圧流体の供給を制御することが可能であり得る。制御システムは、ガス空間の圧力を監視し、ガス空間内の圧力が増加したかどうかを通知し得、このことは、分離要素によって制限されている容積が減少したことを示す。このようにして、分離要素の移動を検出することができる。予熱された油圧流体の供給を制御する制御システムは、監視プログラム、および監視を実行するための所定の圧力限界を備えていることができる。
【0020】
一実施形態によれば、設備は、暖機モード中に供給流れの制限を実行するための専用の制御要素を備える。制御要素は、通常動作中に衝撃機器への油圧流体の供給を制御する制御弁に対して、別個の構成要素である。
【0021】
さらなる実施形態では、通常の制御弁は、暖機モード中に開示されている制限を実行するように制御され、通常動作モードにおいてこの制限機能なしで使用される。
【0022】
一実施形態によれば、設備は、暖機中に予熱された油圧流体を供給するための専用の暖機供給チャネルまたは回路を備える。そして、供給を制限する制御要素は、暖機供給チャネルに位置している。暖機供給チャネルを通した流体供給は、暖機の継続時間にわたって選択されることができ、加熱が完了すると、通常の供給チャネルを介した通常の無制限供給が実行される。
【0023】
一実施形態によれば、供給を制限する制御要素は、代替的に、衝撃機器の通常の供給チャネル、すなわち、必要な油圧流体を支給するために通常掘削モード中に使用される供給チャネルと接続して位置している。この解決策では、制御要素は、選択的に、流れを制限するように動作可能に接続可能であり、それに応じて、流れに影響を与えないように動作不可能に接続可能である。
【0024】
一実施形態によれば、第1の圧力アキュムレーターは、衝撃機器の打撃ピストンの衝撃方向での移動を実行するために、加圧された油圧流体を蓄積するための高圧力アキュムレーターである。油圧回路は、第1の事前充填圧力よりも低い第2の事前充填圧力が与えられている低圧力アキュムレーターである第2の圧力アキュムレーターをさらに備える。次いで、制御要素は、第1の圧力アキュムレーターの第1の流体空間での圧力が、第1の事前充填圧力よりも低くなり、第2の圧力アキュムレーターの第2の流体空間での圧力が、第2の事前充填圧力よりも低くなるように、予熱された油圧流体の供給を制御するように構成されている。言い換えると、衝撃機器は、ガス空間および流体空間を各々含む複数の圧力アキュムレーターを備える。高圧力アキュムレーターは、供給されている流体流れを最初に受け取る圧力アキュムレーターであり、低圧力アキュムレーターは、最後の圧力アキュムレーターであり、そこから最終的に油圧流体が衝撃機器の油圧回路から排出される。この解決策の利点は、高圧力または低圧力アキュムレーターの膜もしくは他の分離要素が、暖機モード中に移動しないように、供給されている予熱された油圧流体の圧力を制限することができることである。
【0025】
一実施形態によれば、低圧力アキュムレーターの第2の流体空間での圧力は、高圧力アキュムレーターの第1の流体空間での圧力よりも低く、理由は、衝撃機器の内側の内部流動抵抗のため、そして油圧動力が打撃ピストンの打撃運動を生成するために使用されるからである。
【0026】
一実施形態によれば、第1の圧力アキュムレーター、すなわち高圧力アキュムレーターの第1の事前充填圧力は、衝撃機器の性能および構造に応じて、典型的には50~70バールであるのに対し、第2の圧力アキュムレーター、すなわち低圧力アキュムレーターの第2の事前充填圧力は、典型的には1~7バールである。
【0027】
一実施形態によれば、衝撃機器の油圧回路は、供給されている予熱された油圧流体を受け取るように構成されている第3の圧力アキュムレーターを、高圧力アキュムレーターの後で低圧力アキュムレーターと並列に備える。これにより、複数の圧力アキュムレーターを流れの方向で検査する場合、順序は、第1の圧力アキュムレーター、次いで同時に第3の圧力アキュムレーターおよび第2の圧力アキュムレーターである。第3の圧力アキュムレーターは、ダンパーまたはスタビレーター圧力アキュムレーターであり得、そのガス空間には第3の事前充填圧力が与えられている。したがって、制御要素は、第3の圧力アキュムレーターの第3の流体空間での圧力が、第3の事前充填圧力を下回るように、予熱された油圧流体の供給を制御するように構成されている。別の方法で述べると、複数の圧力アキュムレーターの各々の流体空間での圧力は、暖機中に、対応する複数の圧力アキュムレーターの事前充填圧力よりも低く設定されることができる。そして、その目的は、複数の圧力アキュムレーターのすべての分離要素が、暖機中に動かないままであることであり得る。
【0028】
一実施形態によれば、制御要素はスロットルである。言い換えると、予熱された油圧流体の供給流れは、暖機モード中に、制御要素を通した衝撃機器への流体流れを減少させるために絞られる。
【0029】
一実施形態によれば、スロットルは固定オリフィスを備えている。
【0030】
一実施形態によれば、スロットルは固定オリフィスを備えており、オリフィスの直径は0.7~1.0mmである。直径0.8mmが、1つの試験設備に適していることがわかった。
【0031】
一実施形態によれば、制御要素は、少なくとも2つの直列のスロットルを備える。したがって、例えば、直径が1.0mmのスロットルが2つあり得る。
【0032】
一実施形態によれば、スロットルは調整可能であり、それによってスロットルのオリフィスのサイズを変えることができる。オリフィスのサイズは、手動または遠隔で調整可能であり得る。
【0033】
一実施形態によれば、供給されている油圧流体を絞ることは、流体内に熱を生成し得、この現象を暖機で利用することができる。
【0034】
一実施形態によれば、制御要素は、供給されている予熱された油圧流体を絞るための調整可能な開口部を伴う比例弁である。言い換えると、この実施形態は、開口部または流路のサイズを変動させることによって通る流体流れを制御することができる弁である比例弁を利用する。
【0035】
一実施形態によれば、比例弁は、設備に属し、かつ暖機モードを制御する制御ユニットの制御下で制御され得る。
【0036】
一実施形態によれば、暖機中に衝撃機器に支給されている油圧動力を絞りまたは制限することができる他の任意のタイプの調整可能な弁を使用することも可能である。
【0037】
一実施形態によれば、設備は、通常動作モードの実行を制御するための少なくとも1つの温度コントローラーまたはサーモスタットを備える。流体温度が十分に高い場合、温度コントローラーは開くことができ、その後にのみ、より大きな衝撃の生成を可能にすることができる。したがって、解決策は、暖機モードを制御するための温度データを与えるために実装されている1つまたは複数の機械式油圧温度検出器を備え得る。
【0038】
一実施形態によれば、設備は、暖機モードの実行を少なくとも開始および終了するための少なくとも1つの制御ユニットを備える。言い換えると、制御ユニットは、暖機の継続時間を自動的に制御するように構成されている。制御ユニットは、設備の動作を暖機モードと通常掘削モードとの間で選択することができる。
【0039】
一実施形態によれば、制御ユニットは、暖機モードの動作を制御し、かつ制御ユニットのプロセッサにおいて実行可能である制御プログラム、アルゴリズム、またはシーケンスを備え得る。
【0040】
一実施形態によれば、制御要素は、調整可能な要素であり、制御ユニットは、供給されている流れに生じる制限の大きさを調整するために、制御要素のオリフィスのサイズを調整するように構成されている。
【0041】
一実施形態によれば、設備は、少なくとも1つの制御ユニットと、また温度データを与えるための1つまたは複数の温度センサーとを備える。そして、暖機モードは、温度データに応答して制御される。言い換えると、制御ユニットは、収集された温度データに応答して、暖機モードの実行の始動および停止、ならびに暖機の大きさを制御し得る。
【0042】
一実施形態によれば、設備は、周囲温度を決定するための少なくとも1つの温度センサーを備える。
【0043】
一実施形態によれば、設備は、削岩機械、またはそのアクチュエーターもしくは構成要素のうちの1つの温度を決定するための少なくとも1つの温度センサーを備える。
【0044】
一実施形態によれば、設備は、衝撃機器に供給されている油圧流体の温度を決定するための少なくとも1つの温度センサーを備える。
【0045】
一実施形態によれば、開示されている解決策はまた、削岩リグに関する。削岩リグは、可動キャリアと、キャリアに対して移動可能に取り付けられている1つまたは複数の掘削ブームと、掘削ブームに取り付けられており、供給ビームを含む少なくとも1つの掘削ユニットと、前記供給ビームに取り付けられており、衝撃機器を含む削岩機械と、低温動作条件で衝撃機器を加熱するための設備とを備える。加熱をもたらすための設備は、本文書に開示されている特徴および実施形態によるものである。
【0046】
一実施形態によれば、開示されている解決策はまた、低温動作条件で岩石処理機械の衝撃機器を加熱する方法に関する。方法は、岩石処理機械に暖機モードをもたらし、通常動作モードを開始する前に暖機モードを実行するために、予熱された油圧流体を衝撃機器の油圧回路に選択的に導くことと、予熱された油圧流体を、事前充填圧力が与えられている少なくとも1つの圧力アキュムレーターを介して、前記衝撃機器の油圧回路内に導くこととを含む。方法はさらに、暖機モード中に、予熱された油圧流体を、少なくとも1つの制御要素を通して衝撃機器の油圧回路に導くことと、予熱された油圧流体を下流側で受け取る少なくとも1つの圧力アキュムレーターのうちの最初のものである第1の圧力アキュムレーターでの圧力を、第1の圧力アキュムレーターの第1の事前充填圧力を下回るように低減するために、制御要素によって、予熱された油圧流体の衝撃機器への供給を制限することとを含む。言い換えると、予熱された油圧流体の供給の大きさは、1つまたは複数の圧力アキュムレーターの内側のガス空間が圧縮されないように、また1つまたは複数の圧力アキュムレーターのガス空間と流体空間との間の膜または対応する分離要素が暖機モード中に移動しないように、低く設定される。
【0047】
一実施形態によれば、方法は、暖機モード中に、衝撃機器の衝撃サイクルが低減された動作周波数で動作しているように、制御要素によって、導かれている予熱された油圧流体の特性を制限することを含む。暖機モード中に衝撃機器が低減された容量で動作しているため、予熱された油圧流体は、衝撃機器を通って流れ、通って流れる予熱された油圧流体は、衝撃機器およびその構成要素、特に圧力アキュムレーターを効果的に加熱することができる。したがって、予熱された油圧流体の流れは、熱の伝達を強化し、それでも、衝撃機器およびその構成要素が大幅に低減された油圧動力で動作するので、暖機は穏やかである。加熱は、衝撃機構が全く動いていない状況と比較して、より効果的であり得る。
【0048】
上記で開示されている実施形態は、上記の特徴のうちの必要とされるものを有する適切な解決策を形成するために組み合わされてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態は、添付の図面においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】削岩リグの概略側面図である。
図2】油圧削岩機械の概略図である。
図3】衝撃機器を予熱するための設備の概略図である。
図4】衝撃機器の油圧回路に接続されている圧力アキュムレーターの概略図である。
図5】圧力アキュムレーター、およびその圧力空間内の圧力差による分離要素の移動の概略図である。
図6】油圧破砕ハンマーを備えた作業機械の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
わかりやすくするために、図は、開示されている解決策のいくつかの実施形態を簡略化して示す。図面において、同様の参照番号は同様の要素を示す。
【0052】
図1は、表面掘削を意図した削岩リグ1を示す。削岩リグ1は、可動キャリア2と、キャリア2に接続されている少なくとも1つの掘削ブーム3とを備える。掘削ブーム3の遠位端部には、供給ビーム5と、そこに支持されている削岩機械6とを備えた掘削ユニット4がある。掘削機械6には、掘削工具7が接続可能である。削岩機械6は、削岩機械6の前端に、工具7を接続するためのシャンクアダプター8を備え得る。削岩機械6は、衝撃機器9と回転機器10とを備える。削岩機械6は、供給機器11によって供給ビーム5上を移動することができる。削岩機械6は油圧で動作し、油圧システムHSに接続されている。冷たい温度で動作を開始する場合、実際の掘削工程が始められる前に、油圧システムHSの油圧流体および油圧削岩機械6は、予熱される必要がある。適切に予熱されない場合、衝撃機器9の構成要素に対する損傷のリスクが生じる。したがって、開示されている削岩リグ1は、開示されている予熱設備を備え得る。
【0053】
図2は、1つのタイプの岩石処理機械Rtmである削岩機械6を開示している。削岩機械は、本体12と、衝撃機器9と、回転機器10と、フラッシング筐体13と、シャンクアダプター8と、本体12の前端部に取り付けられているギア筐体14とを備える。衝撃機器9は、シャンクアダプター8に衝撃パルスを生成するための衝撃ピストンを備える。ピストンは、衝撃方向および戻り方向に往復移動する。
【0054】
図2はまた、衝撃機器9の油圧回路の一部である第1の圧力アキュムレーターPa1および第2の圧力アキュムレーターPa2を示す。第1の圧力アキュムレーターPa1は高圧力アキュムレーターであり得、第2の圧力アキュムレーターPa2は低圧力アキュムレーターであり得る。圧力アキュムレーターPa1、Pa2は、衝撃ピストンの運動に従って、加圧された油圧を蓄積および放出する。
【0055】
図3は、制御ユニットCUにおいて暖機モードWMが起動されたときに、予熱された油圧流体が穏やかに制限された方法で衝撃機器9を通って循環することのできる設備を、簡略化された油圧図によって開示する。油圧流体は、タンク16に接続して配置されている加熱手段を備え得る予熱機器15によって予熱されることができ、あるいは予熱機器15は、油圧流体を加熱するために、油圧流体を、油圧スロットルを通して循環させ得る。予熱機器15は、制御ユニットCUによって制御され得る。油圧ポンプ17は、油圧流体が油圧回路18内で衝撃機器9を通って流れ、タンク16に戻るように圧送する。暖機モードWMの間、油圧流体は、供給チャネル19を介して、そして制御弁CVによって制御要素CEを通して、衝撃機器9の供給ポート20に搬送される。制御要素CEは、打撃ピストン21が、より低い衝撃速度での往復運動を実行し、第1の圧力アキュムレーターPa1および第2の圧力アキュムレーターPa2を事前充填圧力よりも低いままで加圧するように、予熱された油圧流体の供給を制限する。予熱された油圧流体は、衝撃機器9の内側を穏やかに流れ、低温である構造に過度の応力を与えない。予熱された油圧流体は、衝撃機器9の内側の油圧チャネルを通り、その中で予熱された流体の熱が効果的に拡散することを可能にする。最後に、油圧流体流れは出口ポート22を通して排出される。通常モードNMが接続されると、予熱が終了し、制御弁CVは、制御要素CEを通るチャネル23を通して流体流れを向ける。通常モードNMでは、流体流れは制限されず、それによって、衝撃機器9は、その設計衝撃速度で動作することができ、圧力アキュムレーターPa1およびPa2は、それらの流体空間の内側に、より大きな圧力を受けることができる。第1の圧力アキュムレーターPa1は打撃ピストン21の衝撃方向Aでの運動を補助し、第2の圧力アキュムレーターPa2は戻り方向Bでの運動を補助することができる。
【0056】
制御弁CV、チャネル23、および制御要素CEの油圧接続は、当然ながら、図3に示す例示的な解決策とは異なることができる。
【0057】
制御ユニットCUは、少なくとも制御要素CE、制御弁CV、および予熱機器15を制御するための制御原理を含む1つまたは複数の制御プログラムを実行するためのプロセッサを備え得る。制御ユニットCUは、自動的にあるいは操作者の助けを借りて、開示されている設備を制御するように配置され得る。制御ユニットCUと操作者との間の通信のために、ユーザーインターフェースUIがあり得る。制御ユニットCUは、1つまたは複数の温度センサーTSから温度データを受信することができる。周囲温度、油圧流体温度、および構成要素温度を感知するための1つまたは複数の温度センサーTSがあり得る。制御ユニットCUによって受信された温度データは、動作モードを通常モードNMと暖機モードWMとの間で制御するときに、考慮に入れられることができる。
【0058】
制御ユニットCUはまた、油圧ポンプ17の動作を制御するように構成され得る。制御ユニットCUは、暖機モードWM中に、油圧ポンプ17により低い流体流れおよび圧力要求を与え得る。油圧ポンプ17は、例えば、調整可能な容積容量を備えていてもよい。
【0059】
図3はさらに、供給チャネル19に取り付け可能な制御要素CEのいくつかの実施形態を開示する。制御要素CEは、固定オリフィス24aまたは調整可能なオリフィス24bのいずれかを伴うスロットル24であり得る。あるいは、制御要素CEは、供給されている予熱された油圧流体を絞るための調整可能な開口部を伴う比例弁25であり得る。比例弁25は、制御ユニットCUの制御下で電気的に制御され得る。
【0060】
図3の簡略化された油圧図では、衝撃機器9の打撃ピストン21の動作サイクルを制御する制御弁は開示されていない。制御弁は、例えば、打撃ピストン21を取り囲むスリーブ構造であってもよい。
【0061】
図4は、衝撃機器の油圧回路18に配置されている2つの連続した油圧アクチュエーターPa1およびPa2を開示する。供給チャネル19は、暖機モード中に供給されている予熱された油圧流体の流れ、圧力、または流れおよび圧力を制限するための制御要素CEを備えている。制御要素は、供給されている流れの下流側で最初に位置する第1の圧力アキュムレーターPa1での油圧流体圧力Fp1が、第1の圧力アキュムレーターPa1のガス空間GSでの第1の事前充填圧力Pcp1を下回るように、供給を制限する。圧力Fp1は、第1の圧力アキュムレーターPa1の流体空間Fs1に広がっている。油圧流体が衝撃機器を通って流れ、油圧エネルギーが打撃ピストンの往復運動を行うために利用されるため、第2の圧力アキュムレーターPa2では、油圧流体圧力Fp2はより低い。第1の圧力アキュムレーターPa1は、打撃ピストンの衝撃方向での運動を実行するために、加圧された油圧流体を蓄積するための高圧力アキュムレーターであり、第2の圧力アキュムレーターPa2は、第1の事前充填圧力Pcp1よりも低い第2の事前充填圧力Pcp2が与えられている低圧力アキュムレーターである。制御要素CEは、また、第2の圧力アキュムレーターPa2の第2の流体空間Fs2での油圧流体圧力Fp2が、第2の事前充填圧力Pcp2よりも低くなるように、予熱された油圧流体の供給を制御するように構成されている。そして、圧力Fp1およびFp2は、分離要素Se1およびSe2に対して移動を引き起こさず、それによって、穏やかな加熱を圧力アキュムレーターPa1、Pa2にもたらすことができる。
【0062】
衝撃機器のいくつかの油圧回路では、1つのみの圧力アキュムレーターがあってもよく、3つまたはそれ以上の圧力アキュムレーターがあってもよい。そして一方で、予熱された油圧流体の供給のための同じ原理も適用される。
【0063】
図5は、油圧回路18に接続されている圧力アキュムレーターPaを開示し、予熱された油圧流体が、制御ユニットCUによって制御されている制御要素CEを通して供給されている。事前充填圧力は、ガスポート26を通してガス空間Gsに設定することができる。膜などの分離要素Seは、流体空間Fsの内側の圧力がガス空間Gsの内側の圧力よりも大きいときに、流体空間Fsからガス空間Gsに向かって移動27することができる。この分離要素Seの移動27は、ガス空間Gsの内側の圧力Psgを感知することによって検出されることができる。ガス空間Gsの圧力が上昇した場合、分離要素Se’が移動したことを意味する。流体空間Fsの内側に広がる圧力Psfも感知されることができる。制御ユニットCUは、制御要素CEの動作を制御するときに、収集された圧力データを考慮に入れることができる。
【0064】
図6は、ブーム28と、ブーム28に取り付けられている油圧岩石破砕ハンマー29とを備えた移動式作業機械27を開示する。岩石破砕ハンマー29は、岩石材料を破砕するための破砕工具30に衝撃パルスを与えるように構成されている衝撃機器9を備える岩石処理機械Rtmである。衝撃機器9は、必要に応じて衝撃機器9を予熱するために開示されている設備を備えた油圧システムHSに接続されている。
【0065】
図面および関連する説明は、本発明の概念を例示することのみを意図している。本発明は、その詳細において、特許請求の範囲内で変動し得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】