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特開2024-125272自動車用車両パネルにおける機器の位置決め装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125272
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】自動車用車両パネルにおける機器の位置決め装置
(51)【国際特許分類】
   B60J 5/04 20060101AFI20240910BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20240910BHJP
   E05B 85/16 20140101ALI20240910BHJP
【FI】
B60J5/04 H
F16B5/10 A
E05B85/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024023461
(22)【出願日】2024-02-20
(31)【優先権主張番号】23157972.3
(32)【優先日】2023-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516180070
【氏名又は名称】ミネベア アクセスソリューションズ イタリア ソチエタ ペル アツィオーニ
【氏名又は名称原語表記】MINEBEA ACCESSSOLUTIONS ITALIA S.P.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドレ ピエリ
(72)【発明者】
【氏名】アントニー ゲラン
(72)【発明者】
【氏名】シモン ルゼ
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ グレコ
(72)【発明者】
【氏名】マッシモ フラッティーニ
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト グラマーリャ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】自動車用機器を自動車用車両パネルに取り付ける際に、開口部内で自動車用機器を正確に位置決めできるようにする装置を提供する。
【解決手段】自動車用車両パネル(10)に画定された開口部(12)に挿入される自動車用機器を位置決めするための位置決め装置を対象とし、前記位置決め装置は、前記自動車用機器を受け入れるようになっている凹部を含む中央本体(31)と、前記中央本体から突出し、前記開口部の縁部(12E)と協働し、前記凹部に挿入される前記自動車用機器を前記開口部内でセンタリングするようになっている周縁リムと、前記周縁リム上に配置された少なくとも2つの可撓性保持部材(34)とを備え、それぞれの可撓性保持部材は、前記位置決め装置を前記自動車用車両パネルに取り外し可能に取り付けることができるように、前記開口部の縁部と協働する位置決め装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用車両パネル(10)に画定された開口部(12)に挿入される自動車用機器(22)を位置決めするための位置決め装置(30)であって、前記位置決め装置(30)は、
- 前記自動車用機器(22)を受け入れるようになっている凹部(32)を含む中央本体(31)と、
- 前記中央本体(31)から突出し、前記開口部(12)の縁部(12E)と協働し、前記凹部(32)に挿入される前記自動車用機器(22)を前記開口部(12)内でセンタリングするようになっている周縁リム(33)と、
- 前記周縁リム(33)上に配置された少なくとも2つの可撓性保持部材(34)とを備え、
それぞれの可撓性保持部材(34)は、前記位置決め装置(30)を前記自動車用車両パネル(10)に取り外し可能に取り付けることができるように、前記開口部(12)の縁部(12E)と協働するようになっていることを特徴とする位置決め装置(30)。
【請求項2】
前記少なくとも2つの可撓性保持部材(34)が可逆的スナップフィット手段(35)を含むことを特徴とする請求項1に記載の位置決め装置(30)。
【請求項3】
前記周縁リム(33)および前記少なくとも2つの可撓性保持部材(34)は、前記自動車用機器(22)と前記自動車用車両パネル(10)の前記開口部(12)の前記縁部(12E)との間の隙間に挿入されるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の位置決め装置(30)。
【請求項4】
前記それぞれの可撓性保持部材(34)の幅は、前記自動車用機器(22)と前記自動車用車両パネルの前記開口部(12)の前記縁部(12E)との間の前記隙間の幅よりも大きくなっていることを特徴とする請求項3に記載の位置決め装置(30)。
【請求項5】
前記少なくとも2つの可撓性保持部材(34)の少なくとも1つは、可撓性舌片(36)によって延在され、前記可撓性舌片(36)の第1の方向への変位が、前記第1の方向とは反対の前記それぞれの可撓性保持部材(34)の第2の方向への変位を与えるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の位置決め装置(30)。
【請求項6】
前記それぞれの可撓性保持部材(34)は、前記可撓性舌片(36)によって延在されることを特徴とする請求項5に記載の位置決め装置(30)。
【請求項7】
前記位置決め装置(30)は長手方向軸(X-X)に沿って延在し、前記少なくとも2つの可撓性保持部材(34)が前記長手方向軸の両側に配置されており、好ましくは、2対の可撓性保持部材(34)が前記長手方向軸の両側に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の位置決め装置(30)。
【請求項8】
それぞれの可撓性保持部材(34)は、可撓性舌片(36)によって延在され、前記可撓性舌片(36)の第1の方向への変位が、前記第1の方向とは反対の第2の方向への前記それぞれの可撓性保持部材(34)の変位を与えるようになっており、前記長手方向軸の両側に配置された前記可撓性舌片(36)が可撓性リブ(37)によって連結されていることを特徴とする請求項7に記載の位置決め装置(30)。
【請求項9】
前記周縁リム(33)が延在する方向とは反対の方向に前記中央本体(31)から突出し、指を挿入するための開口部(12)を画定する少なくとも1つの指掴み領域(38)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の位置決め装置(30)。
【請求項10】
前記中央本体(31)は、その端部の一方に、前記開口部(12)を通して少なくとも部分的に押し込むことができるようになっている押し込み領域(39)を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の位置決め装置(30)。
【請求項11】
開口部(12)が画定された自動車用車両パネルに装備するための自動車用アセンブリ(20)であって、前記開口部(12)内に取り付けられるようになっている中央部品(23)を含む自動車用機器(22)と、位置決め装置(30)とを備え、前記位置決め装置(30)が、請求項1または2に記載のものであることを特徴とする自動車用アセンブリ(20)。
【請求項12】
自動車用機器(22)は車両ドアハンドル、好ましくはフラッシュ型ハンドルであり、自動車用車両パネルはドアパネルであることを特徴とする請求項11に記載の自動車用アセンブリ(20)。
【請求項13】
開口部(12)が画定され、縁部(12E)によって画定される自動車用車両パネルに自動車用機器(22)を位置決めする方法であって、前記自動車用車両パネルは外側と内側とを備え、この方法は、請求項1または2に記載の位置決め装置(30)を使用して行われ、
- 前記自動車用車両パネルの前記外側から前記開口部(12)に前記位置決め装置(30)を挿入するステップと、
- 前記自動車用車両パネルの前記内側から中央本体(31)に前記自動車用機器(22)を挿入するステップと、
- 前記自動車用車両パネルに前記自動車用機器(22)を、例えばねじ止めによって取り付けるステップと、
- 前記自動車用車両パネルの前記外側から開口部(12)より前記位置決め装置(30)を取り外すステップとを含むことを特徴とする自動車用車両パネルに自動車用機器(22)を位置決めする方法。
【請求項14】
開口部(12)が画定された自動車用車両パネルに装備するための自動車用アセンブリ(20)の自動車用機器(22)を位置決めする方法であって、前記自動車用アセンブリ(20)は、前記開口部(12)内に取り付けられるようになっている中央部品(23)を含む前記自動車用機器(22)と位置決め装置(30)とを備え、前記位置決め装置(30)は、
- 前記自動車用機器(22)を受け入れるようになっている凹部(32)を含む中央本体(31)と、
- 前記中央本体(31)から突出し、前記開口部(12)の縁部(12E)と協働し、前記凹部(32)に挿入される前記自動車用機器(22)を前記開口部(12)内でセンタリングするようになっている周縁リム(33)と、
- 前記周縁リム(33)上に配置された少なくとも2つの可撓性保持部材(34)とを備え、
それぞれの可撓性保持部材(34)は、前記位置決め装置(30)を前記自動車用車両パネル(10)に取り外し可能に取り付けることができるように、前記開口部(12)の縁部(12E)と協働するようになっており、
前記周縁リム(33)および前記少なくとも2つの可撓性保持部材(34)は、前記自動車用機器(22)と前記自動車用車両パネル(10)の前記開口部(12)の前記縁部(12E)との間の隙間に挿入されるようになっており、
前記それぞれの可撓性保持部材(34)の幅は、前記自動車用機器(22)と前記自動車用車両パネルの前記開口部(12)の前記縁部(12E)との間の前記隙間の幅よりも大きくなっており、
位置決め装置(30)を挿入することは、前記位置決め装置(30)を開口部(12)に面して位置決めし、少なくとも1つの可撓性舌片(36)を前記開口部(12)の中心とは反対を向いた第1の方向に変位させることを含み、前記位置決め装置(30)を取り外すことは、前記少なくとも1つの可撓性舌片(36)を前記第1の方向と反対の第2の方向に変位させることを含むことを特徴とする自動車用車両パネルに自動車用機器(22)を位置決めする方法。
【請求項15】
請求項11に記載の自動車用車両パネルに自動車用機器(22)を位置決めする方法であって、前記自動車用機器(22)は、開口部(12)内で傾斜可能なフラッシュ型ハンドルであり、位置決め装置(30)を取り外すステップは、
- 押し込み領域(39)を自動車用車両パネル(10)に向かう方向に押し込み、ハンドルが傾斜するサブステップと、
- 指掴み領域(38)を自動車用車両パネル(10)に対し反対の方向に引っ張るサブステップとを含むことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用車両パネルへの自動車用車両機器の取り付けに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本発明の目的は、自動車用機器を自動車用車両パネルに取り付ける際に、開口部内で自動車用機器を正確に位置決めできるようにする装置を提供することであり、特に、取り付け中に自動車用機器を開口部内でセンタリングするのに役立つことである。
【課題を解決するための手段】
【0003】
そのために、本発明は、自動車用車両パネルに画定された開口部に挿入される自動車用機器を位置決めするための位置決め装置を対象とし、この位置決め装置は、
- 自動車用機器を受け入れるようになっている凹部を含む中央本体と、
- 中央本体から突出し、開口部の縁部と協働し、凹部に挿入される自動車用機器を開口部内でセンタリングするようになっている周縁リムと、
- 周縁リム上に配置された少なくとも2つの可撓性保持部材とを備え、
それぞれの可撓性保持部材は、位置決め装置を自動車用車両パネルに取り外し可能に取り付けることができるように、開口部の縁部と協働するようになっている。
【0004】
周縁リムが開口部の縁部と協働し、開口部内で自動車用機器をセンタリングするおかげで、位置決め装置は、中央部品と開口部の縁部との間に一定の遊びを得るのに役立つ治具として機能する。周縁リムの幅と形状は、得られる遊びに応じて調整することができる。
【0005】
少なくとも、周縁リムの幅と形状は、自動車用アセンブリの自動車用車両パネルへの取り付けを容易にするように、開口部内の中央部品の配置がひどく非対称にならないように選択することができる。
【0006】
例えば、自動車用機器を自動車用車両パネルにねじ止めにより組み付ける場合、開口部内に位置決め装置が存在することで、自動車用機器と自動車用車両パネルとに設けられたねじ穴の位置合わせが可能になる。これにより、作業者は自動車用機器を保持することなくねじ止めを行うことができる。
【0007】
好ましくは、少なくとも2つの可撓性保持部材は、位置決め装置の挿入および取り外しを容易にするように、可逆的スナップフィット手段を含む。
【0008】
特定の実施形態によれば、周縁リムおよび少なくとも2つの可撓性保持部材は、自動車用機器と自動車用車両パネルの開口部の縁部との間の隙間に挿入されるようになっている。
【0009】
好ましくは、それぞれの可撓性保持部材の幅は、自動車用機器と自動車用車両パネルの開口部の縁部との間の隙間の幅よりも大きくなっている。
【0010】
好ましくは、少なくとも2つの可撓性保持部材の少なくとも1つは、可撓性舌片によって延在され、可撓性舌片の第1の方向への変位が、第1の方向とは反対の可撓性保持部材(34)の第2の方向への変位を与えるようになっている。
【0011】
特定の実施形態によれば、それぞれの可撓性保持部材は、可撓性舌片によって延在される。
【0012】
特定の実施形態によれば、位置決め装置は、長手方向軸に沿って延在し、少なくとも2つの可撓性保持部材が長手方向軸の両側に配置されており、好ましくは、2対の可撓性保持部材が長手方向軸の両側に配置されている。
【0013】
別の実施形態によれば、位置決め装置は、周縁リムが延在する方向とは反対の方向に中央本体から突出し、指を挿入するための開口部を画定する少なくとも1つの指掴み領域を備える。
【0014】
好ましくは、中央本体は、その端部の一方に、開口部を通して少なくとも部分的に押し込むことができるようになっている押し込み領域を備える。
【0015】
本発明はまた、開口部が画定された自動車用車両パネルに装備するための自動車用アセンブリに関し、開口部内に取り付けられるようになっている中央部品を含む自動車用機器と、位置決め装置とを備え、当該位置決め装置が、前述のいずれかに記載のものである。
【0016】
特定の実施形態によれば、自動車用機器は車両ドアハンドル、好ましくはフラッシュ型ハンドルであり、自動車用車両パネルはドアパネルである。
【0017】
本発明はまた、開口部が画定され、縁部によって画定される自動車用車両パネルに自動車用機器を位置決めする方法に関し、自動車用車両パネルは外側と内側とを備え、この方法は、位置決め装置を使用して行われ、この方法は、
- 自動車用車両パネルの外側から開口部に位置決め装置を挿入するステップと、
- 自動車用車両パネルの内側から中央本体に自動車用機器を挿入するステップと、
- 自動車用車両パネルに自動車用機器を、例えばねじ止めによって取り付けるステップと、
- 自動車用車両パネルの外側から開口部より位置決め装置を取り外すステップとを含む。
【0018】
上記の方法の特定の実装によると、位置決め装置を挿入することは、位置決め装置を開口部に面して位置決めし、少なくとも1つの可撓性舌片を開口部の中心とは反対を向いた第1の方向に変位させることを含み、位置決め装置を取り外すことは、少なくとも1つの可撓性舌片を第1の方向と反対の第2の方向に変位させることを含む。
【0019】
一般的な方法の特定の実装によると、自動車用機器は、開口部内で傾斜可能なフラッシュ型ハンドルであり、位置決め装置を取り外すステップは、
- 押し込み領域を自動車用車両パネルに向かう方向に押し込み、ハンドルが傾斜するサブステップと、
- 指掴み領域を自動車用車両パネルに対し反対の方向に引っ張るサブステップとを含む。
【0020】
本発明は、添付の図を参照して以下の説明を読むことにより、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1の実施形態による位置決め装置を備えた自動車用機器が挿入される開口部を備えた自動車用車両パネルの部分断面図である。
図2図1の位置決め装置の外側の斜視図である。
図3図1の位置決め装置の内側の斜視図である。
図4図2のIV-IV面に沿った断面図である。
図5】本発明の変形例に係る位置決め装置のIV-IV面に沿った断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態による位置決め装置の斜視図である。
図7図6の位置決め装置の側面図である。
図8図6の位置決め装置を備えた自動車用機器が挿入される開口部を備えた自動車用車両パネルの断面図である。
図9図6の位置決め装置を自動車用車両パネルの開口部に挿入された自動車用機器から取り外した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、開口部12が画定され、縁部12Eによって区切られた自動車用車両パネル10の部分断面図である。自動車用車両パネル10は、外側16と内側18とを備える。自動車用アセンブリ20は、自動車用車両パネル10に画定された開口部12と協働するようになっている。
【0023】
当該自動車用アセンブリ20は、開口部12内に取り付けられる中央部品23を含む自動車用機器22と位置決め装置30とを備える。
【0024】
図に示す例では、自動車用機器22は車両用ドアハンドル、好ましくはフラッシュ型ハンドルであり、自動車用車両パネル10はドアパネルである。車両用ドアハンドル22は、開口部12内に取り付けられる中央部品23を備える。ここで中央部品23は、車両のユーザがドアパネル10を開けるために掴むことを目的とした把持手段である。
【0025】
位置決め装置30は、自動車用車両パネル10に画定された開口部12に挿入される自動車用機器22を位置決めするために使用される。そのために、位置決め装置30は、図1に示すように、自動車用機器22を収容するための凹部32を含む中央本体31を備える。
【0026】
好ましくは、凹部32の形状は、中央部品23の形状と一致する。
【0027】
位置決め装置30は、図3に示すように、中央本体31から突出する周縁リム33も備える。周縁リム33は、図1に示すように、開口部12の縁部12Eと協働するようになっている。
【0028】
周縁リム33はまた、図1に示すように、凹部32に挿入される自動車用機器22を開口部12内にセンタリングするようになっている。そのために、周縁リム33の幅と形状は、中央部品23と開口部の縁部12Eとの間の必要な遊びにほぼ一致するように選択することができる。
【0029】
言い換えれば、位置決め装置30は、中央部品23と開口部の縁部12Eとの間に一定の遊びを得るのに役立つ治具として機能する。
【0030】
少なくとも、周縁リム33の幅と形状は、自動車用アセンブリ20の自動車用車両パネル10への取り付けを容易にするように、開口部12内の中央部品23の配置がひどく非対称にならないように選択される。
【0031】
例えば、自動車用機器22を自動車用車両パネル10にねじ止めにより組み付ける場合、開口部12内に位置決め装置30が存在することで、自動車用機器と自動車用車両パネル10とに設けられたねじ穴(図示せず)の位置合わせが可能になる。これにより、作業者は自動車用機器22を保持することなくねじ止めを行うことができる。
【0032】
周縁リム33はまた、中央部品23の縁部23Eと協働してセンタリングを支援するようになっている。ただし、この協働によって、位置決め装置30を中央部品23の所定位置に保持することはできないことに留意する必要がある。
【0033】
位置決め装置30は、周縁リム33上に配置された少なくとも2つの可撓性保持部材34も備えている。それぞれの可撓性保持部材34は、開口部12の縁部12Eと協働するようになっており、位置決め装置30を自動車用車両パネル10に取り外し可能に取り付けることができる。少なくとも2つの可撓性保持部材34は可撓性があるので、弾性変形して開口部12の縁部12Eと良好かつ可逆的に協働することができる。
【0034】
位置決め装置30は、長手方向軸X-Xに沿って延在している。
【0035】
図に示す全ての実施形態によれば、少なくとも2つの可撓性保持部材34は、長手方向軸の両側に配置され、図2および図3に最もよく示すように、好ましくは、2対の可撓性保持部材34が長手方向軸の両側に配置される。長手方向軸の両側に配置される少なくとも2つの可撓性保持部材34は、互いに向き合うように配置することができる。少なくとも2つの可撓性保持部材34の他の代替位置も考慮することができる。
【0036】
周縁リム33および少なくとも2つの可撓性保持部材34は、図1および図5に示すように、自動車用機器22と自動車用車両パネル10の開口部12の縁部12Eとの間の隙間に挿入されるようになっている。
【0037】
ここで、それぞれの可撓性保持部材34の幅は、自動車用機器22と自動車用車両パネル10の開口部12の縁部12Eとの間の隙間の幅よりも大きくするようになっている。それぞれの可撓性保持部材34の幅を大きくすることにより、位置決め装置30を自動車用車両パネル10上に保持することができる。
【0038】
図に示す全ての実施形態では、少なくとも2つの可撓性保持部材34は、可逆的スナップフィット手段35を含む。このような可逆的スナップフィット手段35は、例えば、図1図5に示す実施形態については図2図5に、図6図9に示す実施形態については図7図9に示されている。
【0039】
特に、図4図5は、可逆的スナップフィット手段35が開口部12の縁部12Eとどのように協働するかを示している。スナップフィット手段35は可逆的であるため、位置決め装置30を自動車用車両パネル10に取り外し可能に取り付けることができる。これにより、必要に応じて可逆的スナップフィット手段35を分離することができる。可逆的スナップフィット手段35は、好ましくは可撓性である。
【0040】
図1図4に示す第1の実施形態と、図6図9に示す本発明の第3の実施形態とでは、全ての可撓性保持部材34は同一である。
【0041】
図に示す全ての例において、少なくとも2つの可撓性保持部材34の少なくとも1つは、可撓性舌片36によって延在されている。
【0042】
この可撓性舌片36は、第1の方向への変位が、第1の方向と反対の第2の方向への可撓性保持部材34の変位を付与するようになっている。言い換えれば、特に可撓性舌片36に圧力をかけることによって、可撓性舌片36が第1の方向に変形すると、可撓性保持部材34は、例えば洗濯ばさみの可動部のように、第1の方向と反対の第2の方向に同時に変位する。これは図4および図5に示されており、矢印の方向は、可撓性舌片36に力が加えられる方向を示している。
【0043】
図1図4に示す第1の実施形態では、それぞれの可撓性保持部材34が可撓性舌片36によって延在されることによって、全ての可撓性保持部材34が延在されている。したがって、全ての可撓性保持部材34は、それぞれの可撓性保持部材34に固有の第2方向に移動できるという利点が得られる。
【0044】
さらに、この第1の実施形態では、可撓性舌片36は、長手方向軸X-Xの両側に配置され、可撓性リブ37によって連結されている。このような連結は、長手方向軸X-Xの両側における少なくとも2つの可撓性保持部材34の対称的な動きを得るのに役立つ。
【0045】
図5に示す本発明の第2の実施形態では、長手方向軸X-Xの一方の側に配置された1つまたは複数の可撓性保持部材34のみが、図5の左側の可撓性舌片36によって延在されている。その場合、少なくとも2つの可撓性保持部材34はスナップフィット手段35を含むべきであり、このスナップフィット手段35は長手方向軸X-Xの一方の側と他方の側とで異なっている。
【0046】
例えば、第1のスナップフィット要素35A(図5の右側)は、開口部の縁部12Eと協働するようになっている肩部を備え、この肩部は開口部の縁部12Eと平行であり、すなわち、可撓性保持部材34の残りの部分とほぼ90°の角度を形成する。長手方向軸X-Xの反対側に配置された第2のスナップフィット要素35Bも、開口部の縁部12Eと協働するようになっている肩部を備えるが、開口部の縁部12Eと異なるより低い角度を形成する。
【0047】
この第2の実施形態によれば、まず第1のスナップフィット要素35Aを開口部12から挿入して縁部12Eにスナップフィットすることにより、位置決め装置30を開口部12に挿入することが必要であり、次に第2のスナップフィット要素35Bを挿入して縁部12Eにスナップフィットする。
【0048】
図6図9に示す第3の実施形態では、特に傾斜ハンドルが適応されており、位置決め装置30は、周縁リム33が延在する方向とは反対方向に、中央本体31から突出する少なくとも1つの指掴み領域38を備える。傾斜ハンドルとは、ここでは、ハンドルの中央部品の一端にかかる圧力によって開口部内で傾斜することができる、すなわち自動車用車両パネルの表面から突出することができる中央部品を含むハンドルを意味する。ハンドルの中央部品が傾くと、それはもはや自動車用車両パネルの表面と面一ではなくなる。
【0049】
このようなハンドルは、同じ出願人による欧州特許出願第22158287号明細書に記載されている。
【0050】
図6および図9からわかるように、指掴み領域38は、指を挿入するための開口部を画定する。指掴み領域38は、ここではアーチを画定しているが、代わりにフックの形状にすることができる。
【0051】
この特定の実施形態では、中央本体31は、その端部の一方に、開口部12を通して少なくとも部分的に押し込むことができるようになっている押し込み領域39を備える。
【0052】
図9からわかるように、自動車用車両パネル10に向かう方向に押し込み領域39を押し込むと、ハンドル22が傾斜する。言い換えれば、押し込み領域39を押すことにより、押し込み領域39を備える端部とは反対側のハンドルの中央部品23の端部が自動車用車両パネル10の表面から突出するように、ハンドルの中央部品23が傾く。傾斜の移動方向は矢印で示されている。ハンドルの中央部品23が傾くと、ハンドルはもはや自動車用車両パネル10の表面と面一ではなくなる。
【0053】
本発明はまた、開口部12が画定された自動車用車両パネル10に自動車用機器20を位置決めするための方法に関し、開口部12は縁部12Eによって画定され、自動車用車両パネル10は、図1に示すように、外側16と内側18とを備える。この方法は、先に説明した実施形態のいずれか1つによる位置決め装置30を用いて行われる。
【0054】
本方法は、
- 自動車用車両パネル10の開口部12を画定する縁部12Eに周縁リム33を位置合わせすることにより、自動車用車両パネル10の外側16から開口部12に位置決め装置30を挿入するステップと、
- 自動車用車両パネル10の内側18から中央本体31に自動車用機器22を挿入するステップと、
- 他の取り付け手段も考えられるが、自動車用車両パネル10に自動車用機器22を、例えばねじ止めによって取り付けるステップと、
- 自動車用車両パネル10の外側16から開口部12より位置決め装置30を取り外すステップとを含む。
【0055】
上記の方法の特定の実装によると、位置決め装置30を挿入することは、位置決め装置30を開口部12に面して位置決めし、少なくとも1つの可撓性舌片36を開口部12の中心とは反対を向いた第1の方向に変位させることを含み、位置決め装置30を取り外すことは、少なくとも1つの可撓性舌片36を第1の方向と反対の第2の方向に変位させることを含む。
【0056】
特に図6図9に示す第3の実施形態による位置決め装置30を使用し、特に開口部12内で傾斜可能なフラッシュ型ハンドルが適応されている上記の方法の別の特定な実装によると、位置決め装置30を取り外すステップは、
- 押し込み領域39を自動車用車両パネル10に向かう方向に押し込み、ハンドルが傾斜するサブステップと、
- 指掴み領域38を自動車用車両パネル10に対し反対の方向に引っ張るサブステップとを含む。
【符号の説明】
【0057】
10 自動車用車両パネル
12 開口部
12E 開口部の縁部
16 自動車用車両パネルの外側
18 自動車用車両パネルの内側
20 自動車用アセンブリ
22 自動車用機器
23 中央部品
23E 中央部品の縁部
30 位置決め装置
31 中央本体
32 凹部
33 周縁リム
34 可撓性保持部材
35 スナップフィット手段
36 可撓性舌片
37 可撓性リブ
38 指掴み領域
39 押し込み領域
X-X 位置決め装置の長手方向軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【外国語明細書】