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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125275
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】電気装置用の過電圧保護回路
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/20 20060101AFI20240910BHJP
【FI】
H02H3/20 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024025380
(22)【出願日】2024-02-22
(31)【優先権主張番号】10 2023 104 757.4
(32)【優先日】2023-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】501493037
【氏名又は名称】ピルツ ゲーエムベーハー アンド コー.カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002310
【氏名又は名称】弁理士法人あい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マリウス ファビアン エルダー
(72)【発明者】
【氏名】ベネディクト カール ノイマン
(57)【要約】
【課題】過電圧のために第1のブレーカ回路が電流路を遮断した場合に第1のブレーカ回路に加えて電流路を切断できる、さらなるブレーカ回路を電流路に配置した電気装置用の過電圧保護回路(10)を提供する。
【解決手段】検知回路(26)および第1のブレーカ回路(28)を備え、前記検知回路(26)は、前記電気装置への電流路(18)における、規定の第1の閾値よりも大きい電圧を過電圧として検知し、前記第1のブレーカ回路(28)は、前記検知回路(26)により検知された過電圧に基づいて、前記電流路(18)の第1の接続解除を行う。前記スイッチオフ回路(12)はさらに、前記電流路(18)が前記第1のブレーカ回路(28)により接続解除されたときに、前記電流路(18)の第2の接続解除を行うよう構成される第2のブレーカ回路(38)を備えている。第2のブレーカ回路は、第1のブレーカ回路に依存して動作できる。過電圧が生じた場合、電流路は二度遮断され、そのようにして確実に接続解除される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気装置用の過電圧保護回路(10)であって、
検知回路(26)および第1のブレーカ回路(28)を有するスイッチオフ回路(12)を備え、
前記検知回路(26)は、前記電気装置への電流路(18)における、規定の第1の閾値よりも大きい電圧を過電圧として検知するよう構成されており、
前記第1のブレーカ回路(28)は、前記検知回路(26)により検知された過電圧に基づいて、前記電流路(18)の第1の接続解除を行うよう構成されており、
前記スイッチオフ回路(12)はさらに、前記電流路(18)が前記第1のブレーカ回路(28)により接続解除されたときに、前記電流路(18)の第2の接続解除を行うよう構成される第2のブレーカ回路(38)を備えている、過電圧保護回路。
【請求項2】
前記第1の接続解除は、第1の動作原理に従って、前記第1のブレーカ回路(28)により行われ、前記第2の接続解除は、第2の動作原理に従って、前記第2のブレーカ回路(38)により行われ、前記第2の動作原理は前記第1の動作原理と異なっている、請求項1に記載の過電圧保護回路。
【請求項3】
前記第1のブレーカ回路(28)は、前記電流路(18)中に配置された第1のスイッチング素子(30)を備えている、請求項1に記載の過電圧保護回路。
【請求項4】
前記第2のブレーカ回路(38)は、前記第1のスイッチング素子(30)と前記電気装置との間の前記電流路(18)に制御端子(40)を介して結合される第2のスイッチング素子(42)を備えている、請求項3に記載の過電圧保護回路。
【請求項5】
前記第2のブレーカ回路(38)はさらに、前記第1のスイッチング素子(30)と直列に前記電流路(18)中に配置された、第1の遮断器素子(44)を備えており、前記第2のスイッチング素子(42)は、作動時に前記第1の遮断器素子(44)を駆動するよう構成されている、請求項4に記載の過電圧保護回路。
【請求項6】
前記第2のブレーカ回路(38)はキャパシタ(46)をさらに備えており、前記第2のスイッチング素子(42)は、前記第1の遮断器素子(44)を駆動するために、作動時に前記キャパシタ(46)を短絡させるよう構成されている、請求項5に記載の過電圧保護回路。
【請求項7】
前記第2のブレーカ回路(38)はさらに、前記電流路(18)において前記キャパシタ(46)と前記第1の遮断器素子(44)との間で前記キャパシタ(46)と並列に接続され、かつ、前記第1の遮断器素子(44)が起動されているときに前記キャパシタ(46)を放電する、第1のサプレッサ素子(58)を備えている、請求項6に記載の過電圧保護回路。
【請求項8】
前記電流路(18)と接地端子(48)との間に接続された第2のサプレッサ素子(64)を有し、かつ、前記電流路(18)中に配置された第2の遮断器素子を有するスイッチオフ回路(62)をさらに備え、前記第2のサプレッサ素子(64)は、第2の規定の閾値よりも大きい電圧で前記第2の遮断器素子を起動する規格とされている、請求項7に記載の過電圧保護回路。
【請求項9】
前記第1の遮断器素子(44)および前記第2の遮断器素子は、単一の部品として実現されている、請求項8に記載の過電圧保護回路。
【請求項10】
前記第2のブレーカ回路(38)は、前記第1のブレーカ回路(28)に依存して、前記電流路(18)の前記第2の接続解除を行う、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の過電圧保護回路。
【請求項11】
前記過電圧保護回路(10)への電源(14)は、前記過電圧保護回路(10)が接続されているインダクタンスを有する変圧器とされており、前記第2のブレーカ回路(72)はキャパシタ(76)および遮断器素子(74)を備えており、前記キャパシタ(76)は、過電圧が生じたときに、当該キャパシタ(76)および前記インダクタンスが共振回路を形成し、それが電流の増加につながり、かつ前記遮断器素子(74)を作動させる規格とされている、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の過電圧保護回路。
【請求項12】
電源ユニットに統合されている、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の過電圧保護回路。
【請求項13】
安全切り替え装置に統合されている、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の過電圧保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気装置用の過電圧保護回路(overvoltage protection circuitry)に関する。
【背景技術】
【0002】
過電圧保護回路は安全制御器または安全切り替え装置で使用できるものであり、検知回路と第1のブレーカ回路とを有するスイッチオフ回路を備えており、検知回路は電気装置への電流路における第1の規定の閾値よりも大きい電圧を過電圧として検知するよう構成されており、第1のブレーカ回路は検知回路により検知されている過電圧に基づき、電流路の第1の接続解除を行うように構成されている。このような過電圧保護回路が、例えば下記特許文献1により公知である。
【0003】
安全制御システムまたは安全切り替え装置(以下、全体として「安全切り替え装置」と呼ぶ)は、安全切り替え装置で使用される電気部品に、規定の動作電圧を供給する電源を有している。通常、電源は、より高いDCまたはAC電圧を、1つまたはそれ以上のより低い動作電圧に変換する。危険なボディ電流(body current)から保護するため、部品の不具合があった場合でも最大出力電圧を人間にとって安全な値に制限するために、安全切り替え装置において、外部電源が通常使用される。一般の安全切り替え装置については、超えてはいけない最大出力電圧は通常65Vとされており、それによって、安全切り替え装置の運転用の公称電圧は通常24Vとなる。
【0004】
安全切り替え装置は、内部の電気部品に供給するための複数の内部電源ユニットをも有している。これらは、外部電源により供給される公称電圧(例えば24V)を、必要な、より低い動作電圧(例えば3.3V、5V、12Vまたは24V)に変換する。内部電源ユニットは、65Vまでの過電圧に対処するよう設計されていなければならず、その結果、電源ユニット内の部品が不良であったとしても、印加される過電圧が安全切り替え装置の部品を損傷または破壊することはない。このような過電圧保護回路の一般の電気回路設計(circuitry design)が、例えば特許文献1に示されている。
【0005】
特許文献1は、供給を受けることになる装置への電流路上の過電圧を検知ユニットが検知して、その後すぐに電流路中の第1の遮断手段を始動し、それにより過電圧に際して電流路を遮断する、過電圧監視回路を示している。さらには、この回路は、第1の遮断手段に並列に接続され、かつ、第1の遮断手段から独立して制御できる、第2の遮断手段を有している。第2の遮断手段は、第1の遮断手段を迂回して、動作中にそれを試験するために使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第10 2008 051 514 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この過電圧監視回路の問題は、通常トランジスタとして設計されている第1の遮断手段が、接続解除後(after disconnection) の過電圧のみを保護することである。ゆえに部品が機能しなかった場合、過電圧は、供給を受けることになる装置に、依然として損傷を引き起こす可能性がある。
【0008】
このことを背景として、接続解除後でさえ (even after disconnection) 過電圧から確実に保護する、改良された過電圧保護回路を提供することが、本発明の目的である。さらには、確実な保護を費用効果の高いやり方で実現できる過電圧保護回路を提供することが、目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一つの局面によれば、冒頭に述べた種類の過電圧保護回路であって、スイッチオフ回路はさらに、電流路が第1のブレーカ回路により接続解除されたときに、電流路の第2の接続解除を行うよう構成された第2のブレーカ回路を備えている、過電圧保護回路が提供される。
【0010】
すなわち、過電圧のために第1のブレーカ回路が電流路を遮断した場合に第1のブレーカ回路に加えて電流路を切断できる、さらなるブレーカ回路を電流路に配置するという着想である。ゆえに、過電圧が生じた場合、電流路は二度遮断され、そのようにして確実に接続解除される。第2のブレーカ回路は、第1のブレーカ回路に依存して動作できる。
【0011】
第2のブレーカ回路は、第1のブレーカ回路が起動されているときに、直接、自動的に、かつ直ちに起動されてもよい。
【0012】
第2のブレーカ回路は、過電圧の場合に第1のブレーカ回路により接続解除される電流路の区域への制御端子に結合されていてもよい。第2のブレーカ回路による接続解除(第2の接続解除)は、第1のブレーカ回路が電流路を接続解除する地点の上流である電流路の位置で(すなわち、電源と第1のブレーカ回路の接続解除手段との間の電流路の位置で)生じてもよい。
【0013】
第2のブレーカ回路は本質的に、電流路の付加的な遮断であるので、第1のブレーカ回路に依存して切り替えることができ、それゆえに、過電圧を点検し、かつ、第2のブレーカ回路を独立して起動する、その独自の検知回路を必要としない。このことは、第2のブレーカ回路が、簡単かつ安価とされ得、それでもなお、高い保護カテゴリ(protection category)の安全切り替え装置に対する規範的要件を満たし得ることを意味する。例えば、非常に速やかな接続解除を実現するために第1のブレーカ回路を使用できる一方、第2のブレーカ回路は、電流路を付加的に接続解除することにより、電気装置を本来的に安全にする。
【0014】
電流路は、第2のブレーカ回路により、不可逆的に接続解除されてもよい。
【0015】
さらなる改良形態では、第1のブレーカ回路による第1の接続解除が、第1の動作原理に従って行われてもよく、第2のブレーカ回路による第2の接続解除が、第2の動作原理に従って行われてもよく、第2の動作原理は第1の動作原理と異なっている。
【0016】
動作原理とはここでは、第1の接続解除および第2の接続解除が技術的に実現されるやり方を指している。第1の動作原理は例えば、スイッチング素子を作動させることにより電流路が開かれ、または閉じられるような仕方でその切り替え接点が電流路に配置された、スイッチング素子(例えば半導体スイッチまたはリレー)に基づいていてもよい。次に、第2の動作原理は、例えばいわゆるクローバ回路による過電圧保護から一般に公知のように、ヒューズの起動に基づいていてもよい。電流路に配置される電気ヒューズを、この目的のために使用できる。ヒューズは、基本的に導電性となるような仕方で設計されているが、規定の電流が超過されて電流路を接続解除したときに、好ましくは不可逆的に起動する。起動は、例えば電流路を短絡させることにより、意図的に引き起こすこともでき、ヒューズを起動する高短絡電流につながる。
【0017】
2つの異なる動作原理を適用することには、とりわけ、接続解除を多様化し、それにより安全性を増すことができる、という利点がある。さらには、より高い保護カテゴリの規範的要件を効果的に履行できる。
【0018】
さらなる改良形態では、第1のブレーカ回路は、電流路中に配置された第1のスイッチング素子を有していてもよい。スイッチング素子は、電流路の制御された停止をもたらすのを容易にする。スイッチング素子は、リレー、または、トランジスタ(例えばMOSFET)などの半導体スイッチであってもよい。スイッチング素子は、制御システムにより、または、電気回路により直接、制御されて、検知回路との容易な結合を可能にすることができる。半導体スイッチング素子も、電流路の非常に速やかな第1の接続解除を可能にする。
【0019】
第2のブレーカ回路は、第1のスイッチング素子と電気装置との間の場所で電流路に接続された制御端子を有する、第2のスイッチング素子を含んでいる。ゆえに、第2のブレーカ回路は第2のスイッチング素子を介して駆動できるが、電流路自体の接続解除は、上述したように、異なる原理に基づいていてもよい。スイッチング素子は、制御端子(例えば、トランジスタの場合、ゲート端子)を介して電流路に結合されていてもよく、その結果、第1のブレーカ回路が電流路を接続解除し、かつ、スイッチング素子が接続解除された区域(すなわち、第1の接続解除の場所と、接続された電気装置との間の区域)に接続されたときに、切り替わる。
【0020】
例えば、第2のスイッチング素子は、そのゲート端子(G)が上述した区域に接続され、かつ、そのソース端子(S)が、第1の接続解除の起きているところの上流の地点で電流路に接続された状態の、ノーマリーオフMOSFET(normally off MOSFET)であってもよい。第1の接続解除が引き起こされたのち、ソースとゲートとの間で電圧降下が生じてMOSFETをオンにし、電流路の第2の接続解除を引き起こす。この例では、第2のブレーカ回路を、簡単かつ効果的なやり方で、第1のブレーカ回路の駆動に結び付けることができる。
【0021】
第2のブレーカ回路はさらに、第1のスイッチング素子と直列に電流路中に配置された第1の遮断器素子と、容量素子(キャパシタ)とを備えていてもよい。第2のスイッチング素子は、キャパシタを短絡させて、それにより、作動されたときに第1の遮断器素子を起動できる。ゆえに、第2のブレーカ回路は、ヒューズなどの遮断器素子を介して、電流路を遮断できる。遮断器素子は、電流路において、第1のブレーカ回路のスイッチング素子と直列に配置できる。遮断器素子は、例えば、電源と第1のスイッチング素子との間の電流路の区域に配置されていてもよい。
【0022】
遮断器素子は、接地接続で電流路を短絡し、かつ、遮断器素子の閾値電流よりも大きい短絡電流を生成する第2のスイッチング素子により、駆動されてもよい。これに必要なエネルギーは例えば、電流路と接地接続との間に配置できるキャパシタにより供給されてもよい。第2のスイッチング素子が接地接続で電流路を短絡する場合、キャパシタは遮断器素子を介して放電し、それを駆動する。それにより、第2のブレーカ回路を、簡単かつ効果的なやり方で実現できる。
【0023】
第2のブレーカ回路はさらに、電流路においてキャパシタと遮断器素子との間でキャパシタと並列に接続され、かつ、第1の遮断器素子が起動されているときにキャパシタを放電する、第1のサプレッサダイオードを備えていてもよい。遮断器素子が駆動すると、キャパシタはもはや短絡されなくなる。このことは、キャパシタが完全に放電される前に起こり得る。その場合、キャパシタは、適切な規格 (dimension) とされたサプレッサダイオードを介して放電できる。ゆえに、この設計により、過電圧保護回路が、始動されたのちに安全な状態にあることが、さらに保証される。
【0024】
さらなる改良形態では、過電圧保護回路は、さらなるスイッチオフ回路(switch-off circuitry)を有していてもよい。さらなるスイッチオフ回路は、電流路と接地接続との間に接続されている第2のサプレッサダイオードと、電流路中に配置されている第2の遮断器素子とを有していてもよく、第2のサプレッサダイオードは、第2の規定の閾値よりも大きい電圧で第2の遮断器素子を起動する規格とされている。
【0025】
ゆえに、追加の電流路接続解除に加えて、過電圧保護回路は、第1のスイッチオフ回路から独立している、さらなるスイッチオフ回路を有していてもよい。付加的なスイッチオフ回路は、第1のスイッチオフ回路に対して冗長とされており、かつ、異なる動作原理に基づいていてもよい。付加的なスイッチオフ回路は、スイッチング素子を必要とせずに、例えば遮断器素子により、電流路を接続解除してもよい。電流路と接地接続との間に接続されたサプレッサダイオードは、過電圧閾値を超過したときに導電性となって、電流路と接地接続との間に短絡を引き起こし、それにより、第2のブレーカ回路に関連して上述したのと類似のやり方で第2の遮断器素子を駆動するような規格とされていてもよい。第1の遮断器素子および第2の遮断器素子は同一であってもよく、その結果、1つの遮断器素子しか必要とされない。それにより、個々の回路の間の相乗効果を利用できる。
【0026】
上述した特徴、および、以下に説明する特徴を、本発明の範囲を逸脱することなく、各場合に示される組み合わせにおいてのみならず、他の組み合わせでも、または、それ自体でも使用できると理解される。
【0027】
本発明の実施の形態を図面に示し、かつ、より詳細に以下の記述において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】過電圧保護回路の実施の形態にかかる簡略化された模式図を示す。
図2図1の個々の回路を、より具体的な好ましい構成とした模式図を示す。
図3図1または図2に係る過電圧保護回路において使用できる、代替的な第2のブレーカ回路を示す。
図4】代替的な第2のブレーカ回路の特定の実施の形態を示す。
図5】過電圧保護回路のさらなる実施の形態にかかる簡略化された模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、実施の形態にかかる過電圧保護回路の簡略化された模式図を示している。過電圧保護回路はその全体がここで、参照番号10により示されている。
【0030】
過電圧保護回路10は、電源14と負荷16との間に配置されている、少なくとも1つの第1のスイッチオフ回路12を有している。電源14は、電圧源または変圧器であってもよい。負荷は、任意の種類の付加であってよい。以下では、スイッチオフ回路12により本質的に実現されている、電源14と負荷16との間の送電線(power-carrying line)を電流路18と呼ぶ。
【0031】
電源14へのスイッチオフ回路12の接続を、スイッチオフ回路12の入力側(または、略して入力20)と呼び、負荷16へのスイッチオフ回路12の接続を、スイッチオフ回路12の出力側(または、略して出力22)と呼ぶ。「前」および「後」などの、電流路に関する方向の指示は常に、入力20から出力22への方向24を指す。ゆえに、他の素子の前(すなわち「上流」)に配置されるスイッチオフ回路12の素子は、回路に関して、より入力側に配置されており、それゆえに、スイッチオフ回路12の入力20に、より近くなっている。他の素子の後(すなわち「下流」)に配置される素子は、他の素子に対して、スイッチオフ回路12の出力22に、より近く配置されている素子である。
【0032】
図1に示す実施の形態では、スイッチオフ回路12は「3つの回路」を備えている。「第1の回路」は検知回路26であり、これは、電流路18上の過電圧を検知するよう、かつ、過電圧が検知されたときに、対応する制御信号を供給するよう構成されている。検知回路26は、電流路18上の電圧を基準電圧(第1の規定の閾値)と継続的に比較する簡単な閾値検知であってもよい。
【0033】
測定された電圧が基準電圧を規定の程度まで超過している場合、このことは、対応する出力信号を供給することにより、検知回路26によって信号伝達される。または、逆論理回路(reverse logic)では、このような信号はもはや供給されない。この種の検知回路26は一般に、さまざまな構成で公知となっている。
【0034】
スイッチオフ回路12の「第2の回路」は、ブレーカ回路(第1のブレーカ回路)28である。第1のブレーカ回路28は、電流路18を接続解除するよう、かつ、入力20と出力22との間の送電線を遮断するよう構成されている。ここに示す例では、第1のブレーカ回路28は、電流路18に接続されている切り替え可能な接点32、34を有し、かつ、検知回路26に接続されている制御端子36を有するスイッチング素子30を含んでいる。過電圧を示唆する検知回路26からの信号は、スイッチング素子30により電流路18が接続解除されるというスイッチング動作につながる。スイッチング素子30は、検知回路26により、過電圧が存在しない通常動作では閉じられて電流路18を通すように切り替え制御される、オートロックの(ノーマリーオフ)pチャネルMOSFETであってもよい。
【0035】
検知回路26および第1のブレーカ回路28はともに、典型的な過電圧保護回路を構成し、それはここで、本発明の開示に係るさらなるブレーカ回路38(第2のブレーカ回路)により補足されている。さらなるブレーカ回路38は、スイッチオフ回路12の「第3の回路」である。
【0036】
第2のブレーカ回路38は、電流路18を遮断するよう構成されている。第2のブレーカ回路38は電流路18を、第1のブレーカ回路28に加えて、第1のブレーカ回路のそれの上流の位置で遮断できる。この場合、第2のブレーカ回路38は、別体の検知回路を必要としない。事実、第2のブレーカ回路38の起動は、第1のブレーカ回路28の起動に結び付けることができる。
【0037】
ゆえに、検知回路26からの信号に応答して第1のブレーカ回路28が電流路18を接続解除しているときに、第2のブレーカ回路38は電流路18を接続解除できる。
【0038】
この連携のために、第2のブレーカ回路38は、第1のブレーカ回路28の下流の(すなわち、第1のブレーカ回路28と負荷16との間の地点で、かつ、それゆえに過電圧の場合に電源14から接続解除される区域で)電流路18に結合されていてもよい。例えば、第2のブレーカ回路38の制御端子40を上記区域に接続すれば、その結果、第1のブレーカ回路28による電流路18の接続解除(第1の接続解除)後に、通常動作中に制御端子40に存在する電圧が、もはや制御端子40に存在しなくなる。
【0039】
第2のブレーカ回路38は、第1のブレーカ回路28の上流である電流路18中の場所で、電流路18の接続解除(第2の接続解除)を行うこともできる。すなわち電流路18の第2の接続解除は、検知回路26の前で(すなわち、電流路18における過電圧を検知回路26が判定する地点の前で)起きてもよい。したがって、第2の接続解除後、第1のブレーカ回路28および検知回路26を、電源から分離できる。
【0040】
第2のブレーカ回路38は、第1のブレーカ回路28と異なる動作原理に基づいていてもよい。例えば、第2のブレーカ回路38は、図1に示すように、スイッチング素子42(第2のスイッチング素子)、ヒューズなどの遮断器素子44およびキャパシタ46を有していてもよい。遮断器素子44は、電流路18の送電線中に配置されていてもよい。スイッチング素子42およびキャパシタ46は、電流路18の送電線と接地端子48との間に配置されていてもよい。キャパシタ46は遮断器素子44の上流に配置されており、スイッチング素子42は遮断器素子44の下流に配置されている。
【0041】
第1のブレーカ回路28が起動して電流路18を接続解除すると、第2のブレーカ回路38の制御端子40と第1のブレーカ回路38の出力50との間に電圧が印加され、それによりスイッチング素子42が導電状態に切り替えられる。スイッチング素子42は例えば、オートロックの(ノーマリーオフ)pチャネルMOSFETであってもよく、これは、制御端子40(MOSFETのゲート(G))と出力50(MOSFETのソース(S))との間に負電圧が印加されたときにオンにされ、その結果、MOSFETのソース(S)およびドレイン(D)の間に電流を流すことができる。スイッチング素子42をオンにすることで、並列接続されたキャパシタ46を遮断器素子44を介して放電させる。それにより短絡電流が流れ、それが遮断器素子44を駆動して電流路18を接続解除する。電流路18は不可逆的に接続解除されてもよい。
【0042】
このように、第2のブレーカ回路38による電流路18の第2の接続解除により、第1の接続解除に加えて、電流路18が接続解除され、その結果、電流路18が二度、異なる地点で接続解除される。
【0043】
接続解除は、異なる仕方で行われてもよい。これにより確実および安全な接続解除が保証され、かつ、これは、高い保護カテゴリの規範的要件を満たすために、セーフティクリティカルな(safety-critical)電気装置(例えば安全切り替え装置)用の電源ユニットに使用されてもよい。
【0044】
上述した過電圧保護回路10、および、以下に説明する過電圧保護回路を、電源ユニットにおいて統合してもよい。電源ユニットは、電気装置の内部電源ユニット(特に、安全切り替え装置の内部電源ユニット)であってもよい。この文脈において、「内部」という用語は、電気装置の他の電気部品とともに、共通のハウジング中に電源ユニットが設置されていることを意味する。さまざまな実施の形態において、負荷16および電源14も、このハウジングに配置されていてもよい。
【0045】
過電圧保護回路10は、プリント回路基板上のディスクリートな(有線の)個々の部品とともに設計されたディスクリートな電気回路(discrete circuitry)であってもよい。この電気回路は、その独自の回路基板を使用していても、または、共通の回路基板上にある他の電気部品とともに設計されていてもよい。過電圧保護回路に加えて、電源ユニットは、例えば変圧器などの他の電気部品を有していてもよい。さらには、電源ユニットは、外部から(例えば、外部電源ユニットまたは一般電源から)電力を供給するために、外部接続を有していてもよい。
【0046】
ディスクリートな電気部品に加えて、電源ユニットは集積回路(IC)を有していてもよい。これらは、所望の出力電圧の供給用にさまざまな機能を果たしてもよく、かつ、それら独自の過電圧保護設備をも有していてもよい。しかし、ICは、安全関連の分析において単一の部品とみなされるため、ICの過電圧保護設備などの一体的な手段は通常、規範的要件を満たすための付加的な保護設備とみなすことができない。
【0047】
個々の回路の特定の構成について、より詳細に以下で説明する。
【0048】
図2は、図1の個々の回路の構成の模式図を示している。本開示にかかる発明が図2の特定の実施の形態に限定されず、個々の回路が他の組み合わせまたは変形例で組み合わされてもよいことが理解される。図2において、同じ引用符号は、図1における同じ要素を指す。ゆえに、これらの要素の詳細な説明は、以下において省略する。
【0049】
図2に示す実施の形態の過電圧保護回路10は、図1を参照してすでに説明したように、検知回路26と、第1のブレーカ回路28および第2のブレーカ回路38とを含む、第1のスイッチオフ回路12を備えている。
【0050】
本実施の形態では、検知回路26は、ダイオード52と、スイッチング素子54と、一式の抵抗器56とを含んでいる。ダイオード52は、送電線と接地端子48との間で、閉鎖方向に接続されており、かつ、抵抗器56と連動して、電流路18の過電圧に際してダイオード52が導電性となるような規格とされている。例えば24Vの電圧が通常動作中に出力22において供給された場合、ダイオード52は、送電線上で30Vで導電性となる(「絶縁破壊電圧」)ような規格とされていてもよい。検知回路26は、スイッチング素子54を使用して、ダイオード52が導電性であるかどうかを信号伝達する。
【0051】
スイッチング素子54は第1のブレーカ回路28に接続されている。第1のブレーカ回路28はここで、図1を参照してすでに説明したように、電流路18に配置されたスイッチング素子30(例えばオートロックの(ノーマリーオフ)pチャネルMOSFET)を含んで形成されている。スイッチング素子54はスイッチング素子30を、電流路18における過電圧に際して(すなわち、ダイオード52が導電性の場合に)電流路18がスイッチング素子30により接続解除されて負荷(ここでは図示せず)が電源14から接続解除されるような仕方で制御する。
【0052】
スイッチオフ回路12はさらに、第1のブレーカ回路28に加えて電流路18を接続解除する、第2のブレーカ回路38を備えている。この実施の形態では、第2のブレーカ回路38は、図1に係る実施の形態と本質的に同一である。第2のブレーカ回路38は、スイッチング素子42、遮断器素子44およびキャパシタ46を備えており、これらは図1を参照して説明したやり方で相互作用して、第1のブレーカ回路28に加え、かつ、それから独立して、電流路18の第2の接続解除を可能にする。
【0053】
図2に示す実施の形態に係る第2のブレーカ回路38はさらに、サプレッサダイオード58および抵抗器60を備えており、これらは、電流路18の送電線と接地端子48との間に直列に配置されている。キャパシタ46が完全に放電される前に遮断器素子44が起動された場合、キャパシタ46がいずれにせよ完全に放電されるように、残留電荷(remaining charge)がサプレッサダイオード58および抵抗器60を通って流れ得る。キャパシタ46が放電されると、もはや電気ショックの危険はなくなる。
【0054】
過電圧保護回路10はさらに、第2のスイッチオフ回路62を備えていてもよい。第2のスイッチオフ回路62は、送電線と接地接続48との間に接続されている、サプレッサダイオード64を備えていてもよい。サプレッサダイオード64は、電流路18における規定の電圧を超過したときに、導電性となる。サプレッサダイオード64は、規定の電圧が電流路18における過電圧用の閾値に対応とた規格にできる。ゆえに、サプレッサダイオード64は、過電圧が電流路18上に存在するときに、導電性となる。導電性のサプレッサダイオード64は、電流路18の送電線と接地端子48とを短絡させる。結果として生じる短絡電流が、電流路18中の遮断器素子を起動する。遮断器素子は電流路18を安全に、かつ好ましくは不可逆的に接続解除する。
【0055】
遮断器素子は、第2のスイッチオフ回路62の別体の遮断器素子であってもよい。あるいは、遮断器素子は、第2のブレーカ回路38の遮断器素子44と同一であってもよい。後者は、回路の間の相乗効果を利用し、かつ、不必要な冗長性を回避することを可能にする。
【0056】
第2のスイッチオフ回路62は、冗長な過電圧保護とされている。第2のスイッチオフ回路62は、第1のスイッチオフ回路12との相乗効果を用いて実現されてもよい。第2のスイッチオフ回路62は、第1のスイッチオフ回路12と異なる動作原理に基づいていてもよい。これにより、共通原因故障(common cause failures)が効果的に除去される。くわえて、第1のスイッチオフ回路12および第2のスイッチオフ回路62は、異なる設定を有していてもよい。例えば、一方のスイッチオフ回路ができるだけ速やかに作動する規格とされていてもよいのに対し、他方のスイッチオフ回路は安全かつ確実な接続解除に焦点を合わせている。
【0057】
第1のスイッチオフ回路12は例えば、電流路18の可逆的な接続解除を行うことができ、第2のスイッチオフ回路62は電流路18の不可逆的な接続解除を行うことができる。2つの回路ブレーカが、異なる種類の過電圧用に設計されて、例えば過電圧の水準または継続期間に関して異なる対応をすることも可能である。このようにして、より広い範囲の過電圧から、電気装置を効果的かつ安全に保護できる。
【0058】
図2に示す実施の形態では、電源14は変圧器とされており、過電圧保護回路10は、その入力20で、変圧器の二次巻き線66に結合されている。一次側には、電源ユニットを制御するため、かつ、電源14を調整するための集積回路68が存在する。集積回路68は診断用に、過電圧保護回路10に結合されていてもよい。例えば、集積回路68は、回路部品のガルバニック絶縁用に、オプトエレクトロニクスカプラ(opto-electronic coupler)70を介して、過電圧保護回路10に接続されていてもよい。原則として、過電圧保護は、フィードバックおよび集積回路を介して実施することもできるであろうが、これは規範的要件を満たさないであろう。なぜなら、集積回路は、その不具合が全体として考慮されねばならない単一の部品であることを前提としていなければならないからである。
【0059】
過電圧保護回路10は、図2に一部のみを示す電源ユニットに含まれていてもよい。さらなる部品が一次側に存在して、電源14を完成していてもよい(ここでは、明瞭にするために省かれている)。さらなる部品はとりわけ、外部電源への接続用の外部端子とされていてもよい。
【0060】
図3は、上述した過電圧保護回路10の1つにおいて第2のブレーカ回路38の代わりに使用できる、代替的な第2のブレーカ回路72を示している。図3は、このような回路の基本原理を示している。
【0061】
代替的な第2のブレーカ回路72は、遮断器素子74およびキャパシタ76を備えており、これらはともに、電源14の二次巻き線66と相互作用する。キャパシタ76は、電流路18にわたる電圧が増加し、かつ、周波数が増加すると、キャパシタ76と二次巻き線66のインダクタンスとが共振発振回路(resonant oscillating circuit)となる容量とされている。結果として生じる電流の増加により、遮断器素子72が起動される。遮断器素子72はヒューズとして実現されていてもよい。
【0062】
このように、代替的な第2のブレーカ回路72は、第1のブレーカ回路28(ここでは図示せず)に加えて、電流路18を安全に接続解除できる。電流路18は最初、第1のブレーカ回路28により速やかに接続解除できるが、電源ユニットは、共振回路がヒューズを起動したときに、本来的に安全となる。
【0063】
図4は、代替的な第2のブレーカ回路72の特定の実施の形態を示している。図4に係るブレーカ回路72は、図3に係る代替的な第2のブレーカ回路72の上述した要素に加えて、Zダイオードなどのダイオード78と、スイッチング素子80とを備えている。
【0064】
キャパシタ76は、過電圧に際し、スイッチング素子80およびダイオード78を介して接続できる。これにより、キャパシタ76が適切な大きさとされていれば、キャパシタ76と二次巻き線66のインダクタンスとからなる上述した共振回路が形成される。これにより電流が増加し、その結果、遮断器素子74が作動され、かつ、第1のブレーカ回路28に加えて電流路が接続解除される。
【0065】
最後に、図5は、過電圧保護回路10のさらなる実施の形態を示している。図5に示す実施の形態は本質的に、図1に示す実施の形態に対応している。過電圧保護回路は、第1のブレーカ回路28および第2のブレーカ回路38のスイッチング素子の具現化において異なっているだけである。半導体スイッチング素子の代わりに、ここではリレーが2つのブレーカ回路28、38のスイッチング動作用に使用される。しかし、基本的な原理は同じである。
【0066】
最初は、第1のブレーカ回路28の第1のリレー82が、過電圧に際して、検知回路26の制御により、それが電流路18を接続解除するように、切り替えられる。その後、電流路18の第1の接続解除に応答して、第2のブレーカ回路38の第2のリレー84が通電されて、第1のブレーカ回路28の上流のさらなる場所で電流路18を接続解除する遮断器素子44を起動する。このように、電流路18も、この構成において二度、接続解除される。
【0067】
リレー技術の使用には、それを、安全規格によりリレースイッチの使用が求められる安全装置においても使用できる、という根本的な利点がある。
【0068】
最後に、ここに開示した装置およびシステムの素子を、適切なハードウェアおよび/またはソフトウェア要素(例えば、適切な回路)を使用して実施してもよいことに留意されたい。回路は、従来の回路素子、集積回路を含む、特定用途向け集積回路、標準的な集積回路、特定用途向け標準製品(application-specific standard product)およびフィールドプログラマブルゲートアレイを含む、電子部品の構造配列(structural arrangement)とされている。くわえて、回路は、ソフトウェアコードに従ってプログラムされ、または構成されている、中央処理装置、グラフィックスプロセッシングユニットおよびマイクロプロセッサを含んでいてもよい。回路は、ソフトウェアを実行する上述したハードウェアを含んでいる場合であっても、純粋なソフトウェアではない。
【0069】
本発明の保護の範囲は、以下の特許請求の範囲により決定されるのであり、記述により説明した、または図面に示した特徴によっては限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5
【外国語明細書】
図1
図2
図3
図4
図5