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特開2024-125276均一照明のためのレンズシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125276
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】均一照明のためのレンズシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 19/00 20060101AFI20240910BHJP
   G02B 13/00 20060101ALI20240910BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240910BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20240910BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20240910BHJP
   F21V 9/40 20180101ALI20240910BHJP
   F21V 14/00 20180101ALI20240910BHJP
   F21V 14/06 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G02B19/00
G02B13/00
F21S2/00 330
F21S2/00 340
F21V8/00 355
F21V5/00 600
F21V9/40
F21V14/00 200
F21V14/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024026055
(22)【出願日】2024-02-23
(31)【優先権主張番号】63/486,898
(32)【優先日】2023-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】524072260
【氏名又は名称】アドバンスド プロダクツ コーポレーション プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Advanced Products Corporation, Pte. Ltd.
【住所又は居所原語表記】5006 Ang Mo Kio Avenue 5 #05-01/02 TECHplace II Singapore 569873
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】シュー ロニアン
(72)【発明者】
【氏名】タン リーハオ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】試料面を均一に照明する方法の提供、また、この方法を実行するように構成されたレンズシステムの提供。
【解決手段】LEDと、中心光軸に沿って配置された第1のレンズおよび第2のレンズと、ハウジングと、ハウジング内に配置された絞りと、を有するレンズシステムに関するものであり、レンズシステムは、関心領域において選択された照明プロファイル、すなわち均一またはフラットフィールドである照明プロファイルを有する照明面を提供することができる。本第1および第2のレンズは、選択的に対にされてハウジング内に配置され、平行または非発散である光出力を投射する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDと、
中心光軸に沿って配置された第1のレンズ及び第2のレンズと、
ハウジングと、
当該ハウジング内に配置された絞りと、を含み、
関心領域において選択された照明プロファイルを有する照明面を提供する、レンズシステム。
【請求項2】
前記第1のレンズ及び前記第2のレンズは、平行又は非発散の光出力を投射するように選択的に対をなして前記ハウジングの内部に配置される、請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項3】
選択された照明プロファイルは、均一またはフラットフィールドである、請求項2に記載のレンズシステム。
【請求項4】
前記LEDは、対称な光線を提供するために、前記第1のレンズ及び前記第2のレンズの中心光軸上に直交して配置されている、請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項5】
前記LEDは、非対称な光線を提供するために、前記第1のレンズ及び前記第2のレンズの中心光軸に対して斜めに配置されている、請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項6】
前記LEDは、前記絞りの断面サイズの1/10以下の断面サイズを有する、請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項7】
特定の用途のためのユーティリティレンズをさらに含む、請求項1に記載のレンズシステム。
【請求項8】
選択されたサイズと出力を備える光源を設けるステップと、
物理的および光学的特性に基づいて選択的に対にされ、平行または非発散の光出力を投影するよう、光源から予め決められた距離に配置され、中心光軸に沿って整列された第1のレンズ及び第2のレンズを設けるステップと、
第1のレンズと第2のレンズを通過する光を光源から発生させるステップと
照明面の位置を決定するステップと、を含み
当該照明面の位置を決定するステップにおいて、前記照明面は、選択された照明プロファイルを生成するために、前記第2のレンズの近位表面から所定の距離だけ離れた位置に配置される、方法。
【請求項9】
前記光源と、前記第1及び第2のレンズと、の間に絞りを設けるステップを、さらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記絞りの最大サイズを決定するステップを、さらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のレンズと前記第2のレンズとの間の離間距離を決定するステップを、さらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
当該照明面の位置を決定するステップは、フラットフィールド照明プロファイルを生成するように照明面を調整することを、さらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
光源と、
平行または非分散の光出力を投射するために選択的に対になる第1のレンズ及び第2のレンズと
ハウジングと、を含み、
関心領域において選択された照明プロファイルを有する照明面を提供する、レンズシステム。
【請求項14】
前記ハウジング内に配置された絞りをさらに含む、請求項13に記載のレンズシステム。
【請求項15】
前記光源は、反射型ディフューザー及び外部光源を含む、請求項13に記載のレンズシステム。
【請求項16】
前記外部光源は、複数のLEDに結合されたファイバー束を含む、請求項15に記載のレンズシステム。
【請求項17】
前記複数のLEDに結合されたファイバー束が、平行光にするレンズ及び集光レンズを通過する出力ビームを提供する、請求項16に記載のレンズシステム。
【請求項18】
前記外部光源は、複数のLEDに結合された液体ライトガイドを含む、請求項15に記載のレンズシステム。
【請求項19】
前記複数のLEDに結合された液体ライトガイドが、平行光にするレンズ及び集光レンズを通過する出力ビームを提供する、請求項18に記載のレンズシステム。
【請求項20】
前記複数のLEDは、多波長ライトエンジンを構成している、請求項19に記載のレンズシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の様々な態様は、試料面を均一に照明する方法に関する。本開示の様々な態様は、また、この方法を実行するように構成されたレンズシステムにも関連している。
【背景技術】
【0002】
レンズや光学システムの多くの用途では、平面や表面(ここでは「スクリーン」や「試料面」とも呼ばれる。)を均一な光で照らす必要がある。このような用途の例としては、顕微鏡検査、リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ディスプレイ投影、舞台照明、一般照明、さらには携帯用懐中電灯などがある。
【0003】
デジタルPCRを用いた生物学的アプリケーションでは、反応チャンバーのアレイが、例えばデオキシリボ核酸(DNA)などの生体試料と、蛍光色素と、を含むことがある。ほとんどの場合、「一貫した」または均一な蛍光シグナル、すなわち各反応チャンバーに等濃度の色素が存在する場合、装置の光源によって照らされたときに生成され得る蛍光が等しいこと、が求められる。しかし、光は光源から放射され、スクリーン上に進むという基本的な性質のため、照明分布は不均一になり易い。
【0004】
一般的な照明方法は、レンズやミラーを使って光の発生源(ここでは「光源」とも呼ぶ)からの光を集光し、スクリーン上に投影するものであり、これは一般に「クリティカル照明」と呼ばれる。クリティカル照明では、光源の構造によって発光面の明るさが不均一である場合、スクリーンの照明が不均一となる可能性が高くなる、すなわち、光源の画像がスクリーンで観察され得る。例えば光源がタングステン電球の場合、そのフィラメントがスクリーン上で好ましくない「人工物」として観察される可能性があり、例えば肖像画や絵画を正確に照明する上で問題となる。同様に、顕微鏡検査における細胞の観察では、不均一な光源から試料面に投影されて細胞に重畳される人工物が存在しないことが望ましい。
【0005】
照明方法において、光源は、第1のレンズによって第2のレンズ、すなわち球面レンズに投影され、第2のレンズは、光源に構造的な不均一性が存在する場合であっても、光源の構造的な不均一性を示さない照明プロファイルを投影し、これにより、スクリーンにおける照明は「均質」なものとなる。しかし、例えば発光源の大きさが望ましい領域の半分以下であるLEDのような小さい光源の場合、スクリーン上の照明プロファイルは、通常、「ドーム型」プロファイルを呈する。言い換えると、スクリーンの中央が最も明るくなる一方、隅が概ね暗くなり、中央から端に向かって次第に暗くなり、望ましくない。
【発明の概要】
【0006】
様々な実施形態は、レンズシステムを提供することができる。レンズシステムは、LEDと、中心光軸に沿って配列された第1のレンズおよび第2のレンズと、ハウジングと、ハウジング内に位置する絞りと、を含み、このレンズシステムは、関心領域において選択された照明プロファイルを有する照明面を提供する。ある態様では、第1のレンズと第2のレンズは選択的に対になってハウジング内に配置されて平行または非発散の光出力を投射し、選択された照明プロファイルは均一またはフラットフィールドである。
【0007】
様々な実施形態は、試料面を照明する方法を提供する。本方法は、選択されたサイズ及び出力の光源を提供すること、物理的および光学的特性に基づいて選択的に対にされ、平行または非発散の光出力を投射するように中心光軸に沿って光源から予め決められた距離に配置された第1のレンズ及び第2のレンズを提供すること、第1のレンズを通過し、次いで第2のレンズを通過する光源からの光を生成すること、そして、選択された照明プロファイルを生成するために、第2のレンズの近位表面から所定の距離に配置される照明面の位置を決定すること、を含むことができる。
【0008】
様々な実施形態は、レンズシステムをさらに提供することができる。レンズシステムは、光源と、レンズシステムが関心領域において選択された照明プロファイルを有する照明面を提供するため、平行または非発散の光出力を投影するように選択的に対をなす第1のレンズ及び第2のレンズと、ハウジングと、を含んでいても良い。ある態様では、レンズシステムは、ハウジング内に位置する絞りを含むものであっても良く、光源は、反射ディフューザーおよび外部光源を含むものであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面において、同じ参照文字は、通常、異なる図に亘って同じ部品を示している。図面は必ずしも縮尺通りではなく、通常、本開示の原理を説明することに重点が置かれている。様々な特徴または要素の寸法は、明確にするため、適宜、拡大または縮小する場合がある。以下の説明では、以下の図面を参照して本開示の様々な態様を説明する。
【0010】
図1A図1B、および図1Cは、スクリーンで生成され得る照明プロファイルまたは分布を例示する。
【0011】
図2は、本開示の一態様によるレンズシステムを例示する。
【0012】
図3は、本開示の態様による図2のレンズシステムの概略図である。
【0013】
図4A図4B、および図4Cは、本開示の態様による図2および図3のレンズシステムによって生成され得る、選択されたスクリーン位置における照明プロファイルを例示する。
【0014】
図5は、本開示の別態様によるレンズシステムを設計するための方法を例示する簡略化されたフロー図である。
【0015】
図6図6A図6B図6Cは、本開示の一態様によるレンズシステムによって生成され得る、選択された位置における照明プロファイルを示している。
【0016】
図7Aおよび図7Bは、本開示の一態様によるレンズシステムによって生成され得る、選択された位置における代表的な照明プロファイルを示している。
【0017】
図8は、本開示の別の態様によるレンズシステムを例示する。
【0018】
図9図9A図9B、および図9Cは、本開示の別の態様による図8のレンズシステムによって生成され得る、選択された位置における照明プロファイルを例示する。
【0019】
図10Aおよび図10Bは、本開示の一態様によるレンズシステムのレンズ設計を簡略化して示している。
【0020】
図11Aおよび図11Bは、本開示の別の態様によるレンズシステムのレンズ設計を簡略化して示している。
【0021】
図12Aおよび図12Bは、本開示のさらに別の態様によるレンズシステムのレンズ設計を簡略化して示している。
【0022】
図13A図13Fは、本開示の別の態様によるレンズシステムによって生成され得る一連の照明プロファイルを例示する。
【0023】
図14は、本開示の一態様によるレンズシステムによって生成され得る試料面におけるスクリーン画像を例示する。
【0024】
図15は、提案するレンズシステムのプロトタイプを示し、図15Aおよび図15Bは、本開示の態様によって生成され得る照明プロファイルを例示する。
【0025】
図16は、本開示の態様によるレンズシステムを例示し、図16Aおよび図16Bは、図16のレンズシステムによって生成され得る照明プロファイルを例示する。
【0026】
図17は、本開示の一態様による産業用途のレンズシステムのプロトタイプを示している。
【0027】
図18は、提案するレンズシステムを例示し、図18Aは、本開示の態様による図18のレンズシステムによって生成され得る照明プロファイルを例示する。
【0028】
図19は、本開示の一態様によるレンズシステムを例示する。
【0029】
図20は、本開示の別の態様によるレンズシステムを例示する。
【0030】
図21は、本開示のさらに別の態様によるレンズシステムを例示する。
【詳細な説明】
【0031】
以下の詳細な説明は、特定の詳細および本開示が実施され得る態様を例示する添付の図面を参照する。これらの態様は、当業者が本開示を実施することを可能にするのに十分に詳細に記載される。様々な態様の装置および様々な態様の方法を説明する。デバイスの基本的な特性は方法にも当てはまり、逆もまた同様である。本開示の範囲から逸脱することなく、他の態様を利用し、構造的に、論理的に変更することができる。いくつかの態様は、ひとつあるいはより多くのの他の態様と組み合わせて新たな態様を形成することが可能であり、様々な態様は必ずしも相互に排他的なものではない。
【0032】
本開示は、較正された2つのレンズセットアップを使用し、均一またはフラットフィールドである照明プロファイル(別名「トップハット」プロファイル)、および他のプロファイルを、所定のスクリーン位置において実現できるレンズシステムを提供する。このレンズシステムの2つのレンズは、概ね平行または非発散の光または出力光線を提供する必要がある。
【0033】
本開示の技術的利点には、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない。
(i)均一またはフラットな照明プロファイルを生成するレンズシステムを提供すること。
(ii)単独で、またはユーティリティレンズと組み合わせて、均一またはフラットな照明プロファイルを生成するレンズシステムを設計する方法を提供すること。
(iii)モジュール式のパッケージ/構造であって、様々な用途に使用できるレンズシステムを提供すること。
【0034】
光学システムを改善するために使用され得る、均一またはフラットな照明プロファイルを提供するための本レンズシステムの構成および方法をより容易に理解し、実用的なものとするため、次に、限定を意図しない図面に提供される例を用いて特定の態様を説明する。本明細書において開示される態様の利点および特徴は、添付図面に関する以下の説明を参照することで明らかになる。さらに、本明細書で説明する様々な態様の特徴は、相互に排他的ではなく、様々な組み合わせ及び順番にて存在し得ると理解されるべきである。簡潔な記載のため、特徴および特性の重複する説明は省略することがある。
【0035】
図1A図1B、および図1Cは、スクリーンまたはステージで生成され得る照明プロファイル/分布を例示している。図1Aに示されるように、例えばケーラー照明技術などの光学システム又は光顕微鏡を用いて観察され得る「グローバルに不均一な」照明プロファイルと呼ばれるようなドーム状の照明プロファイルがある。このようなドーム状プロファイルの均質性(すなわち、プロファイル内に、明らかな複数の明暗スポットが存在しない。)は、「ローカルに均一な」照明プロファイルと呼ばれることがある。
【0036】
さらに、図1Bに示すように、放射照度分布は、グローバルに一様なプロフィールを有しているが、明るい領域「a」と暗い領域「b」(それぞれ「ホットスポット」と「コールドスポット」と呼ばれることが多い)の小領域が存在しており、不均一(ローカルに不均一)である。これは、クリティカル照明法が採用された場合の典型的な例である。
【0037】
最後に、図1Cに示すように、グローバルかつローカルに均一な放射照度分布を有することが望ましく、これは「トップハット」プロファイルと呼ばれることもある。また、トップハットプロファイルは、本開示によって提供され、本開示において説明されるように、照射野(すなわち、ROI)が平坦な配光プロファイルを有しており、「フラットフィールド(平坦野)」であると考えられる。
【0038】
本開示において使用される場合、「グローバル」および「ローカル」という用語は、異なる照明方法が採用される場合のスクリーンにおける不均一あるいは均一な照明プロファイルの説明として有用である。さらに、スクリーンにおける照明プロファイルは、しばしば「放射照度分布」と呼ばれ、これは、スクリーンを横切る空間位置における単位面積当たりの光束(単位ワット/cm)である。
【0039】
図2は、本開示の一態様によるレンズシステム200の例示である。図2の概略図において、レンズシステム200は、第1のレンズ201、第2のレンズ202、LED203、および絞り205を含むハウジング204、を備えている。第1のレンズ201と第2のレンズ202は、それらの左表面が球面形状を呈し、それらの右表面が球面形状を呈するように示されている。
【0040】
図2において、LED203は、第1のレンズ201の左側表面から距離zに位置している。また、2つのレンズの間には、離間距離zが存在し得る。zの値は、ゼロを超えるか、あるいはゼロ(すなわち、第1のレンズと第2のレンズが接触している場合。)であり得る。例えば、zの最大値は、システムの有効焦点距離(EFL)によって決定し得る。一態様では、zの値は、EFLの1/3から1倍の範囲内であれば良く、zの値は、0.5mmから5mmの範囲内であれば良い。
【0041】
図2に示す一態様では、レンズシステム200においてスクリーン位置が定められ、S、S、Sとラベル付けされたスクリーン平面によって示されている。スクリーンが平面Sに配置される場合、トップハット型の放射照度分布は、レンズ202の右または近位表面の頂点からの距離dで観察されるはずである。レンズシステムに2つ以上のレンズがある場合、距離dは最も右のレンズの右または近位表面の頂点から測定される。平面Sと平面Sの間および平面Sを越えて選択され得る他の照明プロファイルが存在し得る。
【0042】
第2のレンズ202を越えて位置する任意の観察平面には、スクリーンを配置し得る関心領域(ROI)が存在し得ると理解されるべきである。ROIの最大直径(「Max ROI」)はMax Φ以下であり得る。したがって、ΦがROIの直径をコントロールする。絞りの直径が小さくなると、Φ<Max Φとなり、これによりROIの直径が小さくなる。
【0043】
別の態様では、LED203の光線の角度強度は、通常、光軸aについて対称である。光軸aは、LED203の位置平面に直交し、LED203の中心を通る中間光線によって定まる。LED203からの光線を「限界光線」として指定しても良く、この「限界光線」は、絞りの最大直径Max Φの半分に対応する、光軸aからの角度θにより定まる。θの値は、距離zの値にもよるが、通常45度以下である。
【0044】
LED203は、例えば、円形、正方形、または長方形状であっても良い。直径(円形の場合)または対角線(正方形または長方形の場合)は、ハウジング204の中で、第1のレンズ201の左側に位置する絞り205のMax Φ(図2に示す。)の1/10(すなわち、10分の1のサイズ)未満であることが好ましい。しかしながら、絞りの位置を、例えば、第1のレンズと第2のレンズの間のスペース、あるいは場合によっては第2のレンズの右側に移動させることも可能である。絞りの位置を変更することによる1つの結果は、絞りの直径に応じて平面S、S、Sの位置が変わることである。絞りの位置を変えることによるもう1つの結果は、Max Φ、Max ROIが変わることである。
【0045】
絞りを持たないレンズシステムは、本開示の範囲内にある。絞りがない場合、第1のレンズ201または第2のレンズ202の直径の一方が「仮想的」あるいは実質的な絞りを提供する。したがって、スクリーンでの放射照度分布を制限するために、観察平面に絞りを設ける必要はない。
【0046】
図3は、図2でも示される本開示の別の態様によるレンズシステム200を簡略化して示している。図3では、レンズシステム200の設計およびシミュレーションにおいて使用され得るいくつかのパラメータが指定されている。例えば、パラメータh1は、第1のレンズ201の左側表面に接する平面pにおける光軸からの限界光線の高さであり、パラメータh2は、第1のレンズ201の左側表面に接する平面において次に高い光線の高さである。パラメータh1´およびh2´は、それぞれ、平面Sにおけるこれらの光線の高さである。同様に、パラメータhoは、第1のレンズ201の左表面に接する平面における光軸aに近い光線の高さである。パラメータho´は、平面Sにおけるこの光線の高さである。
【0047】
これらのパラメータを用いると、次の式1のように放射照度比Q´を定義できる。
【数1】
放射照度比Q´は、差分h1´-h2´で囲まれた環状領域における放射照度と、平面Sにおける半径方向高さho´の円形領域における放射照度と、の比を表す。式1における記号「×」はスカラー積演算を表している。
【0048】
次の式2で与えられる放射照度比Qを定義することも可能である。
【数2】
式2において、パラメータEは、第1のレンズ201の左側表面における平面pにおける差h1-h2で囲まれた環状領域における放射照度であり、Eoは、レンズ1の左側表面に接する面における半径方向高さhoの円形領域における放射照度である。
【0049】
本シミュレーションでは、パラメータEとEoは、それぞれ、絞りのエッジ付近、中央付近におけるLEDによる放射照度である。どのようなLEDであっても、E≠Eoのとき、Q≠1となる。逆に、本レンズシステムは、平面Sにおいてトップハットプロファイルを生成するため、Q´は1にほぼ等しい。したがって、Q´とQの間には逆相関の性質があり、Q≠1であればQ´はほぼ1に等しく、Qがほぼ1であればQ´≠1となる。特に、一旦Qが(例えばLEDのデータシートから)決定されると、本開示では、Q≠1の場合、Q’がほぼ1に等しくなり、絞りを均一に照らす光源によりLEDが置き換えられる場合、Q’がほぼ1/Qに等しくなる。この逆特性は、例えば光学設計プログラムを用いて本レンズシステムを設計・解析する際に役立つ。
【0050】
図4A図4B、および図4Cは、それぞれ、図2及び図3に示すごとく、S、S、およびSのラベルが付された選択されたスクリーン位置における照明プロファイルを例示するものであり、本開示の態様によるレンズシステムによって生成され得る。図4A図4B、および図4Cに示すように、スクリーン位置における照明プロファイルの全範囲は、放射照度分布が観察平面でゼロに低下する幅であるwとラベル付けされた寸法によって定まる。幅wは、最大ROI以上であっても良く、観察平面に入射する限界光線によって定まる直径以上であっても良い。ある態様では、絞りが最大ROIを決定し得る。
【0051】
図4Aでは、dより小さい距離に位置するSに観察平面が位置し、照明プロファイルcがドーム形状となっている。図4Bでは、第2のレンズの右側表面から距離dの位置にスクリーンが位置し、トップハット型の照明プロファイルcが観察平面Sで観察され得る。図4Cでは、距離がdより大きくなっており、逆ドーム型の照明プロファイルcが観察平面Sで観察され得る。
【0052】
照明プロファイルは、LEDの角度強度のばらつきを「補償」することにより、異なる光学システムの照明プロファイルを形成する際にも有用になり得る。例えば、LEDの角度強度が中心で強すぎる場合には、dより大きい距離に配置されたスクリーンであれば、中心でのピーク強度を減少させ、それによって照度分布を平坦化し、トップハットプロファイルを生成できる。LEDの角度強度が中心で最小になる場合は、中心部の放射照度を上げることができるよう、dより小さい距離にスクリーンを設けると良い。さらに、観察平面までの距離dを変化させれば、本レンズシステムで使用する補助レンズやレンズの収差を補償あるいは補正できる。
【0053】
図5は、本開示の態様の一例である方法500の簡略化されたフロー図である。本方法500は、本レンズシステムの設計のモデル化および/またはシミュレーションに利用可能である。
【0054】
使用されるパラメータのうち、パラメータFは、第1のレンズおよび第2のレンズを含む本レンズシステムの有効焦点距離(EFL)である。このレンズシステムにおけるFの絶対値は、典型的にはMax Φ以上、すなわち|F|≧Max Φであり、Max Φは、限界光線あるいは絞りの最大径によって提供される。さらに、パラメータf1は第1のレンズのEFLであり、f1は一般的にzより大きい値を有する。パラメータf2は第2のレンズのEFLであり、f2は薄型レンズの式、すなわち、1/F=(1/f1)+(1/f2)によって決定できる。さらに、パラメータn1およびn2は、それぞれ、第1のレンズ、第2のレンズの屈折率(ref.index)であり、n1>1、かつ、n2>1である。手順は、概ね以下の通りである。
【0055】
操作501は、Max Φ≦Max ROIサイズとなるROIサイズを選択する操作である。
【0056】
操作502は、Max Φの10分の1未満となる適切なLEDサイズを選択する操作である。
【0057】
操作503は、F値およびθ値を適用し、z=Max Φ÷(2×tanθ)とする操作である。
【0058】
操作504は、f1>zとなるf1を選択し、zを変数としてf2値を提供する操作である。
【0059】
操作505は、z、d、レンズ曲率半径、中心厚さ、および基準指数パラメータを最適化する操作である。
【0060】
操作506は、放射照度測定値/プロファイルを取得する操作であり、操作507と共に繰り返し実行される。
【0061】
操作507は、所望のプロファイルを得るためにパラメータdを較正する操作である。所望のプロファイルが得られたとき、方法500の結果は、最適化されたパラメータに基づく本レンズシステムを生成するために利用可能である。
【0062】
図6図6A図6B、および図6Cは、本開示の一態様によるレンズシステムによって生成され得る、選択された位置における代表的な照明プロファイルを示している。これらの照明プロファイルについて、図6は、絞り近くの高ドーム型プロファイルcを示し、図6Aは、本レンズシステムにおけるスクリーン位置S近くの低ドーム型プロファイルcを示し、図6Bは、スクリーン位置Sのトップハット型プロファイルcを示し、図6Cは、スクリーン位置S近くの逆ドーム型プロファイルcを示している。
【0063】
本開示に従って概ね図2のように構成された本例の光システムは、第1のレンズの左の頂点から30mmにほぼ等しい距離zに位置する直径2mmの円形LEDを備え、Qが0.79167にほぼ等しいランバート角強度プロファイルを呈する。第1および第2のレンズは、1.5168にほぼ等しい屈折率を有する。第1のレンズの左側表面は198.03116mmにほぼ等しい曲率半径R11を有し、右側表面のR12は39.93589mmにほぼ等しい。第1のレンズの中心厚は約10.54185mmである。さらに、第2のレンズは、その左側表面および右側表面が、それぞれ、37.86627mmにほぼ等しい曲率半径R21、101.52952mmにほぼ等しい曲率半径R22となっている。第2のレンズの中心厚は、約14.83606mmである。第1のレンズと第2のレンズの離間距離zは約1.64147mmである。両レンズの直径は36mmであり、レンズシステムのEFLは40mmである。さらに、絞りは、第1のレンズの左の頂点に位置し、Max Φは、24mmにほぼ等しくなっている。シミュレーションの結果は、平面Sまでの距離dが17mm、平面SとSの間の距離が14mm、平面SとSの間の距離も14mmである。
【0064】
シミュレーションによるプロファイル中の「波状」の様子は、有限数の光線(約40,000,000本)の生成をシミュレートする光学設計プログラムのレイトレーシング機能の確率的性質による「レイトレーシングノイズ」であることを理解すべきである。光線の数を増やせば、シミュレーションによるトレーシングノイズが少なくなる。
【0065】
図7Aおよび図7Bは、本開示の態様によるレンズシステムによって生成され得る、選択された位置における代表的な照明プロファイルを示している。
【0066】
概要を図2に示す本システムでは、絞りの表面全体に亘って等間隔に配置された光線によって絞りが満たされている場合、例えばLEDである直径2mmの光源からの均一な照明が、第1のレンズの左の頂点から30mmにほぼ等しい距離zの絞りに与えられ、中間結果として、平面Sにおいて図7Aに示す放射照度分布cが得られる。レイトレーシング計算とパラメータ調整により、h1が約12mm、h2が約9.6mm、hoが約2.4mm、h1´が約14.40961mm、h2´が約11.81381mm、ho´が約3.08732mmであることが、所望のプロファイルを提供すると決定され得る。したがって、上記の式1を適用すると、Q´は1.26022(これも1/0.7935にほぼ等しい)にほぼ等しくなり、QはLEDの場合、0.79167にほぼ等しくなる。したがって、Q´は1/Qにほぼ等しく、これは上述の予想される逆相関である。これらの設計パラメータは、平面Sにおいて図7Bに示すトップハット型プロファイルcを生成するための仕様を満たしている。
【0067】
図8は、本開示の別の態様によるレンズシステム800を例示する図である。図8に示す概略図において、レンズシステム800は、第1のレンズ801、第2のレンズ802、LED803、および絞り805を含むハウジング804を備えている。第1のレンズ801は、その右側表面に球面形状を有していても良く、第2のレンズ802は、その左側表面に球面形状を有していても良く、これらのレンズは平凸レンズであっても良い。
【0068】
この態様によるレンズシステム800のパラメータでは、距離zが30mmにほぼ等しく、MaxΦが22mmにほぼ等しく、第1のレンズ801の曲率半径R1(右側表面)が51.68mmにほぼ等しく、同中心厚さが4.5mmにほぼ等しく、同直径が35mmにほぼ等しく、第2のレンズ802の曲率半径R2(左側表面)が31.03mmにほぼ等しく、同中心厚が9.31mmにほぼ等しく、同直径が40mmにほぼ等しくなる。第1のレンズ801及び第2のレンズ802の頂点間のスペースzは、約0.25mmである。レンズシステム800のEFLは、約37.465mmである。さらに、第1のレンズ801および第2のレンズ802の屈折率n1及びn2は、いずれも、ほぼ1.5168に等しい。さらに、LED803は、寸法1mm×1mmの正方形の表面を有し、波長554nmの光線を放出する。LED803の角度強度はランバーティアンであり、Qは0.81323にほぼ等しい。平面Sまでの距離dは約17.5mmである。平面Sと平面Sの間の距離は約8.75mmであり、平面Sと平面Sの間の距離も約8.75mmである。
【0069】
別の態様では、絞り805が光線によって一様に満たされる場合、光学設計プログラムでの計算に基づき、h1は11mmにほぼ等しく、h2は8.8mmにほぼ等しく、hoは2.2mmにほぼ等しく、h1´は12.33783mmにほぼ等しく、h2´は10.09543mmにほぼ等しく、h0´は2.62366mmにほぼ等しい。上記式1を適用すると、Q´は、1.23155、すなわち、1/0.81198にほぼ等しくなる。したがって、レンズシステム800の設計は、平面Sにおいてトップハットプロファイルを生成するための仕様を満たし得る。
【0070】
図9図9A図9B、および図9Cは、図8に示すごとくP、S、S、およびSとラベル付けされた選択されたスクリーン位置において、本開示の態様による本レンズシステム800によって生成され得る代表的な照明プロファイルを示している。本レンズシステムによるこれらの照明プロファイルのうち、図9は、絞り面P近くの高ドーム型プロファイルCを示している。図9Aは、スクリーン位置S近くの低ドーム型プロファイルCを示している。図9Bは、スクリーン位置SのトップハットプロファイルCを示している。図9Cは、スクリーン位置S近くの逆ドーム型プロファイルCを示している。
【0071】
図10A及び図10B図11A及び図11B、並びに図12A及び図12Bは、本開示の別の態様による本レンズシステムのレンズ設計を簡略化して示している。各設計には、図10Aの一対のレンズ1001a及び1002a、図10Bの一対のレンズ1001b及び1002b、図11Aの一対のレンズ1101a及び1102a、図11Bの一対のレンズ1101b及び1102b、図12Aの一対のレンズ1201a及び1202a、並びに図12Bの一対のレンズ1201b及び1202bが含まれ、これらのレンズは、曲率半径の組み合わせが異なりサイズも異なるレンズが、それぞれのLED1003a、1003b、1103a、1103b、1203a、1203bに基づき、ほぼ平行な出力光線およびプロファイルを実現できるように選択されて対にされたものである。さらに、これらのレンズは、平面S、S、Sの位置で所望のプロファイルが生成されるように較正された特定の距離dおよび他のパラメータを有する。
【0072】
例えば、第1のレンズがその左側表面に球面形状を有し、その右側表面に球面形状を有するとき、その曲率半径を、それぞれR11、R12とすることができる。第1のレンズのパラメータは、D1として規定される直径、R11及びR12の絶対値である|R11|あるいは|R12|を含み得る。したがって、角度出力強度が対称である任意のLEDについて、R11およびR12は、(D1)/2<|R11|≦無限大、あるいは(D1)/2<|R12|≦無限大、によって指定され得る。同様に、第2のレンズがその左側表面に球面形状を有し、その右側表面に球面形状を有するとき、その左側表面および右側表面の曲率半径を、R21あるいはR22とすることができる。第2のレンズパラメータは、D2として規定される直径、R21及びR22の絶対値である|R21|あるいは|R22|を含み得る。したがって、角度出力強度が対称である任意のLEDについて、R21およびR22は、(D1)/2<|R21|≦無限大、あるいは(D1)/2<|R22|≦無限大、によって指定され得る。
【0073】
本開示で提供されるレンズの仕様は、第1のレンズ及び第2のレンズの曲率半径の範囲が無限大よりも小さいか等しく、レンズ直径の半分より大きい、ことを意図するものである、と理解できる。表面が無限大の曲率半径を有する場合、それは表面が平面あるいは「プラノ」であることを意味する。そのため、片面が平面でもう片面が球面のレンズは、球面が凸面であればプラノコンベックス、球面が凹面であればプラノコンケーブと呼ぶことができる。
【0074】
図13A図13Fは、本開示の別の態様による本プロトタイプレンズシステムによって生成され得る一連の照明プロファイルを例示している。この態様において、このプロトタイプレンズシステムは、例えばThorlabs(部品番号MINTL5)製の中心波長が554nmのLEDと、上記の図10Aに示すように設計された一対のレンズと、を有する。プロトタイプのパラメータMaxΦは、26mmにほぼ等しくなっている。これは、より広い空間的範囲に亘る分布をスクリーン上で観察し、LEDからより高い光束を取り込むためである。LEDの寸法は1mm×1mmで、出力角度強度はほぼランバーティアンである。様々な距離dのスクリーン位置における放射照度分布は、図13Aから図13Fの通りである。図13Cは、距離dが17mmのときのトップハット型プロファイルであるプロファイルCを示し、図13Aおよび図13Bは、距離dが17mmよりも小さい場合を示し、図13Dから図13Fは、距離dが17mmを超える場合を示している。
【0075】
図14は、本開示の一態様による本レンズシステムによって試料面上で生成され得るスクリーン画像を例示している。図14の画像は、距離dが17mmであるスクリーン位置Sのものであり、図13Cに示されるトップハットプロファイルを有する。
【0076】
図15は、本レンズシステム1500のプロトタイプを示し、図15A、および図15Bは、本開示の態様による図15のレンズシステム1500によって生成され得る照明プロファイルを例示している。レンズシステム1500は、様々な用途で有用なコンパクトなモジュール式パッケージ/構造で提供可能である。図15A、および図15Bに示すように、レンズシステム1500は、トップハットプロファイルCを生成可能である。
【0077】
図16は、提案するレンズシステム1600を例示し、図16Aおよび図16Bは、本開示の態様によるレンズシステム1600によって生成され得る照明プロファイルを例示している。投影光学の産業応用の場合、「非最適化された」プロジェクタレンズ1610は、グローバルに不均一な照度プロファイル(図示せず)を呈する可能性があり、本開示によれば、プロジェクタによるそのようなグローバルに不均一プロファイルを修正/補正することができ、本開示のトップハット面を生成し得る。図16に示すように、第2のレンズの右側表面から距離dに位置する平面Sipは、図16Aに示す照明プロファイルCを有する「中間平面」として機能できる。照明プロファイルCは、Sとして示す「最終平面」における、より大きいかより小さい関心領域上に、図16Bに示すトップハット照明プロファイルCとしてプロジェクタレンズ1610により再画像化あるいは投影され得る。
【0078】
さらに、提案するレンズシステムは、投影レンズから200mmに位置するスクリーン上に、トップハット型の放射照度分布(これは、(例えば、図10Aに示すように)一対のレンズから約17mmに位置できる)を投影する投影レンズと一体化されても良い。この例では、写真スライドまたは小型液晶ディスプレイ(LCD)スクリーンが中間平面に配置された場合、投影レンズは、投影レンズの強度に応じて選択された距離に位置する二次スクリーン上に、均一に照明されたスライドまたはLCDスクリーンを中継する。
【0079】
観察平面までの距離dを変化させることにより、本レンズシステムを利用する光学システムにおける1または複数の補助レンズの収差を補償/補正することは、本開示の範囲内である。補助レンズは、例えば、投影レンズ、顕微鏡対物レンズ、テレセントリックリレーレンズ、または他のレンズであっても良い。補助レンズの収差を補正することにより、光学システムは、図16A及び図16Bに示すように、二次観察平面においてトップハット型の放射照度分布を維持できるようになる。
【0080】
図17は、産業向けに提案する本開示の一態様のレンズシステム1700のプロトタイプを示している。図17には、10倍対物レンズ1711に光を供給する役割を果たす補助レンズであるカプラレンズ1715に対して本レンズシステム1700が光を導く、という蛍光顕微鏡の典型的な光学構成が示されている。本レンズシステム1700は、蛍光顕微鏡で使用される標準的な照明モジュールと置き換え可能である。ビーム経路は、専ら説明のために描かれている。このビームは、ダイクロイックビームスプリッタ1712で反射し、対物レンズとカプラレンズとが一緒になって、トップハットプロファイルにより照度が均一なトップハット面を、レンズシステム1700から試料面Sに投射する。この照明は、細胞試料を含むスライドガラス1716を保持するステージ1710上の試料面において、バイオ試料または標本全体に均一に蛍光を活性化する励起エネルギー源として機能する。蛍光細胞像は、チューブレンズ1713とカメラ1714によってキャプチャできる。
【0081】
図18は、本レンズシステム1800を例示し、図18Aは、図19に示す本開示の別の態様の本レンズシステムによって生成され得る照明プロファイルCを例示している。
【0082】
この態様では、LED1803は、光学軸aに対し、0度から90度の間の傾斜角θで取り付けられる。これにより、平面S、S、S(およびそれ以降)における放射照度分布は、y=0とy=wの間のいずれかの場所にピークが位置するような非対称になり得る。図18Aでは、いずれの平面においても、スクリーンの上端にピークを有するように照明プロファイルCが示されている。LEDの傾斜角度を小さくすれば、ピークを下方に(すなわち、y<wに)シフトさせることができる。この態様の実用的な応用例としては、例えば、スクリーンの反射率がy=w付近では低く、y=0付近では高くなるような不均一な反射率を持つ場合を挙げることができる。LEDを傾けることで、非対称な放射照度分布と、スクリーンの正反対の反射率プロファイルと、の合成積により、スクリーンでトップハット型の放射照度分布を生成できるようになる。
【0083】
観察平面においてスクリーンが傾いている場合、本開示によるビームがスクリーンにトップハット照明を提供すると、非対称な放射照度プロファイルとなる。この場合、スクリーンと反対の回転方向にLEDを傾けることで、LEDからの非対称な放射照度プロファイルと、傾いたスクリーンによる反対側に非対称なプロファイルと、の組合せにより互いの非対称性を補正でき、トップハット型の放射照度分布をスクリーンで生成できる。
【0084】
図19は、本開示の別の態様による本レンズシステム1900を例示している。この態様において、例えばLEDである光源は、反射ディフューザー1909によって置き換えられても良く、1つ以上の外部光源1903aおよび1903bが、反射ディフューザー1909を照明しても良い。このような反射型ディフューザーは市販されており、例えばSpectralon(R)の拡散反射標準板がある。この構成は、キセノンアークランプおよび/または複数のLEDなどの複数の光源を、反射型ディフューザーの表面の単一の「有効光源」に組み合わせるのに有用であり、すなわち、反射型ディフューザー1909は、実質的に単一の光源として機能する。
【0085】
さらに、それぞれが反射型ディフューザー1909の表面上の共通の位置にビームが向かっている複数の外部光源を、光軸aの周りに設けることも良い。反射型ディフューザー1909からの散乱光は、光軸a上に配置されたレンズ1901と1902によって捕捉され、Sと示された平面に位置するスクリーンにトップハット型の放射照度分布を生成する。外部光源1903aと1903bは、同じ波長を有していても良いし、異なる波長を有していても良い。
【0086】
本開示による本レンズシステム1900には、絞り(図示せず)が含まれても良い。このような絞りは、反射型ディフューザー1909と第1のレンズ1901との間に配置されても良い。
【0087】
図20は、本開示の別の態様による本レンズシステム2000を例示している。図20に示す態様では、レンズシステム2000は、反射型ディフューザー2009、第1および第2のレンズ2001および2002、ならびに、複数のファイバー結合LED2003からの入力を有するファイバー束2004から単一の出力ビームを生成する1つまたは複数の外部光源、を含むことができる。レンズシステム2000は、「マルチ入力シングル出力」(MISO)のレンズシステムと考えることができる。ファイバー束2004からの出力ビームは、反射ディフューザー2009に照射される前に、カバープレート2007によって部分的にブロックされ、レンズ2005および2006により、それぞれ、平行光にされるか、あるいは集光される。図示はしないが、反射ディフューザー2009に向けて、このようなファイバー束出力を光軸aの周りに複数配置することも良い。
【0088】
図21は、本開示のさらに別の態様による本レンズシステム2100を例示している。レンズシステム2100は、「マルチ入力シングル出力」(MISO)のレンズシステムと考えられる。図21に示す態様では、レンズシステム2100は、反射型ディフューザー2109、第1および第2のレンズ2101および2102、ならびに、多波長光エンジン2110からの入力を有する液体ライトガイド2104から単一の出力ビームを生成する1つまたは複数の外部光源を含むことができる。多波長ライトエンジン2110は、レンズ2105によって平行光にされ、組み合わせフィルタ2108によって組み合わせられ、液体ライトガイド2104に集光される、複数のLEDまたは他の光源を有することができる。液体ライトガイド2104からの出力ビームは、反射ディフューザー2109上に導かれる前に、カバープレート2107によって部分的にブロックされ、レンズ2105および2106により、それぞれ、平行光にされるか、あるいは集光される。図示はしないが、反射ディフューザー2109に向かうように、このような液体ライトガイドの出力を光軸aの周りに複数配置することも良い。
【0089】
本開示の別の実施形態では、より多くのレンズを本開示の設計に含めることができる。例えば、第3のレンズまたは「レンズ3」がレンズ2の右側に配置されてもよい。第4のレンズまたは「レンズ4」は、レンズ3の右側に位置してもよく、レンズ4を越えても同様である。このような場合、絞りはレンズとレンズの間のどこにあってもよいし、最も右側のレンズの右側にあってもよい。
【0090】
均一な照射プロファイルを生成するための特定の構成および方法について本明細書に記載される特性は、本明細書に記載されるレンズシステムを使用する任意の光学システムについても成立し得る。また、特定の方法について本明細書に記載された特性は、本明細書に記載された方法のいずれについても成立し得る。さらに、本明細書に記載される任意のレンズシステムおよび方法について、全ての構成要素または操作が添付の図面または方法に示されることは必ずしも必要ではなく、一部の(全てではない)構成要素または操作のみが開示され得る。
【0091】
「comprising」という用語は、「including」という用語に類似した広義の意味を持つものと理解されるべきであり、指定された整数または演算、あるいは整数または演算のグループ、を含むことを意味するが、他の整数または演算、あるいは整数または演算のグループ、を除外することを意味しないと理解できる。この定義は、「comprise」や「comprises」など、「comprising」という用語の変形にも適用される。
【0092】
本明細書における「結合」(または「連結」)という用語は、電気的に結合している、または機械的に結合している、例えば、くっついている、または固定されている、または固定を伴わずにくっついているか接触しているだけ、と理解することができ、直接結合または間接結合(言い換えれば、直接接触を伴わない結合)の両方を含むと考えることができる。
【0093】
本明細書における「および」および「または」という用語は、2つの可能性のいずれかまたは両方を含むものとして「および/または」を意味すると考えることができる。
【0094】
本開示では、特定の態様を参照しながら特に示し説明しているが、添付の特許請求の範囲によって定義される本開示の思想および範囲から逸脱することなく、形態および詳細における様々な変更が可能であることが、当業者によって理解されるべきである。したがって、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味および均等の範囲内に入るすべての変更は、本開示の範囲に包含されることが意図される。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図8
図9
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
図14
図15
図15A
図15B
図16
図16A
図16B
図17
図18
図18A
図19
図20
図21
【外国語明細書】