(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125277
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】曲げ制限装置を備えた動的海底電力ケーブルシステム
(51)【国際特許分類】
H02G 9/12 20060101AFI20240910BHJP
H02G 1/10 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H02G9/12
H02G1/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024028009
(22)【出願日】2024-02-28
(31)【優先権主張番号】23159058
(32)【優先日】2023-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】519099829
【氏名又は名称】エヌケーティー エイチブイ ケーブルズ エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ズンネガルド, ペータル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】設置深さがより深い場合の設置に使用することができる動的海底電力ケーブルシステムを提供する。
【解決手段】海底電力ケーブルシステムは、接合位置で接合された第1の軸方向部分および第2の軸方向部分を有する要素を備える動的海底電力ケーブル5と、動的海底電力ケーブル5の周りに配置された曲げ制限装置19とを備え、曲げ制限装置19が、接合位置にわたって軸方向に延び、接合位置での動的海底電力ケーブル5の曲がりを制限するように配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合位置(35)で接合された第1の軸方向部分および第2の軸方向部分を有する要素(23a~23c、27a~27c)を備える動的海底電力ケーブル(5)と、
前記動的海底電力ケーブル(5)の周りに配置された曲げ制限装置(19、19.1、19.2)と
を備え、
前記曲げ制限装置(19、19.1、19.2)が、前記接合位置(35)にわたって軸方向に延び、前記曲げ制限装置(19、19.1、19.2)が、前記接合位置(35)での前記動的海底電力ケーブル(5)の曲がりを制限するように構成されている、
海底電力ケーブルシステム。
【請求項2】
前記曲げ制限装置(19、19.1、19.2)が、曲げ補剛材、曲げ制限器、チューブ、またはパイプのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の海底電力ケーブルシステム。
【請求項3】
前記動的海底電力ケーブル(5)が、前記第1の軸方向部分が延びる上端と、前記第2の軸方向部分が延びる下端とを有する、請求項1または2に記載の海底電力ケーブルシステム。
【請求項4】
前記接合位置(35)が、前記上端からおよび前記下端から少なくとも50mの距離に配置される、請求項3に記載の海底電力ケーブルシステム。
【請求項5】
前記要素(23a~23c、27a~27c)が、金属製遮水層(27a~27c)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の海底電力ケーブルシステム。
【請求項6】
前記金属製遮水層(27a~27c)が、前記第1の軸方向部分に沿って波形であり、前記第2の軸方向部分に沿って滑らかである、請求項5に記載の海底電力ケーブルシステム。
【請求項7】
前記金属製遮水層(27a~27c)が、銅材料またはステンレス鋼を含む、請求項5または6に記載の海底電力ケーブルシステム。
【請求項8】
前記要素(23a~23c、27a~27c)が導体(23a~23c)である、請求項1から4のいずれか一項に記載の海底電力ケーブルシステム。
【請求項9】
前記動的海底電力ケーブル(5)が、外側サービングまたは外側シース(33)を有し、前記曲げ制限装置が、前記外側サービングまたは外側シース(33)の周りに配置される、請求項1から8のいずれか一項に記載の海底電力ケーブルシステム。
【請求項10】
前記接合位置(35)が工場内で形成されている、請求項1から9のいずれか一項に記載の海底電力ケーブルシステム。
【請求項11】
前記動的海底電力ケーブル(5)に沿った第1の軸方向において、前記曲げ制限装置(19、19.2)が、前記接合位置(35)の前で徐々に増加する剛性、および前記接合位置の後で徐々に減少する剛性を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の海底電力ケーブルシステム。
【請求項12】
前記曲げ制限装置(19、19.2)が、第1の円錐端部分(39a)と、前記第1の円錐端部分(39a)の反対側に向けられた第2の円錐端部分(39b)とを含む本体(40)を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の海底電力ケーブルシステム。
【請求項13】
前記動的海底電力ケーブル(5)がAC電力ケーブルであり、少なくとも66kVの定格電圧を有するか、または前記動的海底電力ケーブル(5)がDC電力ケーブルであり、少なくとも80kVの定格電圧を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載の海底電力ケーブルシステム。
【請求項14】
浮体式構造物(3)と、
請求項1から13のいずれか一項に記載の海底電力ケーブルシステムであって、前記動的海底電力ケーブル(5)が、前記浮体式構造物(3)から海底(9)まで延び、前記曲げ制限装置(19、19.1、19.2)が、水面と前記海底(9)との間の水柱内に配置される、海底電力ケーブルシステムと
を備える、沖合システム(1)。
【請求項15】
前記動的海底電力ケーブル(5)のケーブル部分を持ち上げるように配置された1つ以上の浮力装置(17)を備え、前記曲げ制限装置(19、19.1、19.2)が、前記浮体式構造物(3)と、前記1つ以上の浮力装置(17)と前記動的海底電力ケーブル(5)との接触点との間にある、または前記海底(9)と、前記1つ以上の浮力装置(17)と前記動的海底電力ケーブル(5)との接触点との間にある、前記海底電力ケーブル(5)の部分に沿って配置される、請求項14に記載の沖合システム(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、海底電力ケーブルシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
浮体式風力タービンなどの発電用浮体式沖合構造物は、浮体式風力タービンによって生成された電力を送電網に供給するために動的海底電力ケーブルに接続される。浮体式石油プラットフォームなどの他の種類の浮体式沖合構造物は、電力消費目的で動的海底電力ケーブルに接続される場合がある。
【0003】
浮体式沖合構造物は波の動きを受ける。したがって、動的海底電力ケーブルは、例えば波形金属製遮水材を設けることによって、疲労特性が改善されるように特別に設計される。
【発明の概要】
【0004】
現在使用されている動的海底電力ケーブルは、数百メートルまでの比較的浅い水域に展開されている。したがって、そのようなケーブルは、単一の長さで、すなわちケーブル構成要素を接合することなく作製することができる。
【0005】
動的海底電力ケーブルがより深い深さに展開される場合、海底に近い深さの波形金属製遮水材の波形は、高い静水圧に起因して崩壊する可能性がある。ここで、より深い深さの設備の場合、金属製遮水材の波形部分と滑らかな部分とを接合することによって、より深い水位で金属製遮水材を波形から滑らかに移行させることが有益である場合がある。追加的に、または代替的に、動的海底電力ケーブルの長さに応じて、ケーブルは、いくつかの他の構成要素の接合部、例えば導体の接合部を備えてもよい。
【0006】
動的海底電力ケーブルに作用する最も高い曲げ力は、典型的には、浮体式構造物の近くで、そこから海底に吊り下げられる箇所である。ここで、典型的には、動的海底電力ケーブルは、浮体式構造物に近い動的電力ケーブルの曲がりを制限するために、曲げ補剛材、ベルマウス、または同様の装置を備えることができる。プラットフォーム領域ほど顕著ではないが、ケーブルの移動は、浮体式構造物と海底との間に延びる動的海底電力ケーブルの本質的に全体部分に沿って生じる。動的海底電力ケーブルは水中での曲がりから保護されていないため、任意の種類の構成要素接合部を有する長尺の動的海底電力ケーブルをより深い水中に展開することは危険である。
【0007】
上記に鑑みて、本開示の一般的な目的は、先行技術の問題を解決または少なくとも緩和する海底電力ケーブルシステムを提供することである。
【0008】
したがって、本発明の第1の態様によれば、接合位置で接合された第1の軸方向部分および第2の軸方向部分を有する要素を備える動的海底電力ケーブルと、動的海底電力ケーブルの周りに配置された曲げ制限装置とを備え、曲げ制限装置が、接合位置にわたって軸方向に延び、曲げ制限装置が、接合位置での動的海底電力ケーブルの曲がりを制限するように配置される、海底電力ケーブルシステムが提供される。
【0009】
したがって、曲げ制限装置は、接合位置を含む動的海底電力ケーブルの軸方向部分に沿った動的海底電力ケーブルの曲がりを限定する。したがって、要素は、接合位置における疲労損傷からより良好に保護されることができる。これにより、設置深さがより深い場合の設置に使用することができる動的海底電力ケーブルを提供することができる。
【0010】
一実施形態によれば、曲げ制限装置は、曲げ補剛材、曲げ制限器、チューブ、またはパイプのうちの少なくとも1つを含む。
【0011】
曲げ制限装置は、例えば、ステンレス鋼などの金属、ならびに/または熱硬化性、熱可塑性、および/もしくはエラストマーポリマーなどのポリマー材料を含むことができる。
【0012】
一実施形態によれば、動的海底電力ケーブルは、第1の軸方向部分が延びる上端と、第2の軸方向部分が延びる下端とを有する。
【0013】
動的海底電力ケーブルの下端は、海底上の剛性または可撓性海底接合部に接続されるように構成されてもよく、剛性または可撓性海底接合部は動的海底電力ケーブルを静的海底電力ケーブルに接続する。
【0014】
一実施形態によれば、接合位置は、上端からおよび下端から少なくとも50mの距離に配置される。
【0015】
一実施形態によれば、要素は金属製遮水層である。金属製遮水層は、半径方向の遮水材であり、すなわち、海底電力ケーブルの絶縁系への半径方向の水の浸透を防止する。
【0016】
一実施形態によれば、金属製遮水層は、第1の軸方向部分に沿って波形であり、第2の軸方向部分に沿って滑らかである。
【0017】
一実施形態によれば、金属製遮水層は、銅材料またはステンレス鋼を含む。
【0018】
一実施形態によれば、銅材料は、Cu-DHP、Cu-ETP、またはCu-OFである。これらの銅材料は、意図的に合金化された銅ではなく、凝固中に硬化プロセスを受けていない1相金属であり、このことは溶接品質にとって最も有益である。
【0019】
銅材料は、一例によれば、銅ニッケル合金などの銅合金を含むことができる。
【0020】
一実施形態によれば、ステンレス鋼は、ASTM A240/A240M-22bによって定義される304、304L、316、もしくは316L、316Ti、316Cb 321、もしくは347型、またはEN10088-1:2005によるその等価物のうちの1つから選択されるオーステナイト系ステンレス鋼型である。
【0021】
一実施形態によれば、要素は導体である。
【0022】
一例によれば、要素は、複数の金属製要素を含む外装層であってもよい。したがって、第1の軸方向部分に沿って延びる1つ以上の、例えばすべての金属製要素または外装線は、第2の軸方向部分に沿って延びるそれぞれの金属製要素または外装線と接合位置で接合される。
【0023】
一例によれば、要素は、内側半導体層と、内側半導体層の外側に配置された絶縁層と、絶縁層の外側に配置された外側半導体層とを備える絶縁系であり、絶縁系は、第1の軸方向部分、第2の軸方向部分、および接合位置に沿って同じまたは本質的に同じである半径方向厚さを有する。半径方向の厚さは、例えば、第1の軸方向部分および第2の軸方向部分に沿った半径方向の厚さに対して、接合位置で最大で10%、例えば最大で5%ずれてもよい。
【0024】
一実施形態によれば、動的海底電力ケーブルは、外側サービングまたは外側シースを有し、曲げ制限装置は、外側サービングまたは外側シースの周りに配置される。
【0025】
一実施形態によれば、接合位置は工場で形成されている。代替的に、接合位置は、ケーブル敷設容器上に形成されてもよい。
【0026】
一実施形態によれば、動的海底電力ケーブルに沿った第1の軸方向において、曲げ制限装置は、接合位置の前で徐々に増加する剛性、および接合位置の後で徐々に減少する剛性を有する。
【0027】
一実施形態によれば、曲げ制限装置は、第1の円錐形端部分と、第1の円錐形端部分の反対側に向けられた第2の円錐形端部分とを含む本体を有する。
【0028】
海底電力ケーブルは、高電圧ACまたはDC電力ケーブルであってもよい。
【0029】
一実施形態によれば、動的海底電力ケーブルはAC電力ケーブルであり、少なくとも66kVの定格電圧を有するか、または動的海底電力ケーブルはDC電力ケーブルであり、少なくとも80kVの定格電圧を有する。
【0030】
本開示の第2の態様によれば、浮体式構造物と、第1の態様による海底電力ケーブルシステムとを備える沖合システムが提供され、動的海底電力ケーブルは、浮体式構造物から海底まで延び、曲げ制限装置は、水面と海底との間の水柱内に配置される。
【0031】
浮体式構造物は、例えば、浮体式風力タービン、浮体式変電所、浮体式炭化水素プラットフォーム、浮体式炭化水素船舶、半潜水式プラットフォーム、または電力を生成するかもしくは電力を消費する任意の他の沖合浮体式構造物であってもよい。
【0032】
一実施形態は、動的海底電力ケーブルのケーブル部分を持ち上げるように配置された1つ以上の浮力装置を備え、曲げ制限装置は、浮体式構造物と、1つ以上の浮力装置と動的海底電力ケーブルとの接触点との間にある、または海底と、1つ以上の浮力装置と動的海底電力ケーブルとの接触点との間にある、海底電力ケーブルの部分に沿って配置される。
【0033】
一般に、特許請求の範囲で使用されるすべての用語は、本明細書で特に明示的に定義されない限り、技術分野におけるそれらの通常の意味に従って解釈されるべきである。「1つの(a/an/the)」要素、器具、構成要素、手段などへのすべての言及は、特に明記されない限り、要素、器具、構成要素、手段などの少なくとも1つの例を指すものとしてオープンに解釈されるべきである。
【0034】
ここで、添付の図面を参照して、本発明概念の具体的な実施形態を例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図2】動的海底電力ケーブルの一例の拡大断面図を概略的に示す図である。
【
図3】動的海底電力ケーブルの周りに配置された曲げ制限装置の一例を概略的に示す図である。
【
図4】動的海底電力ケーブルの周りに配置された曲げ制限装置の別の例を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
ここで、例示的な実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明概念を以下により完全に説明する。しかしながら、本発明概念は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、本発明概念の範囲を当業者に完全に伝えるように、例として提供される。説明全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【0037】
図1は、沖合システム1の一例を示す。沖合システム1は、浮体式構造物3と、動的海底電力ケーブル5とを備える。
【0038】
沖合システム1は、海水などの水中Wに展開される。特に、浮体式構造物3は、水中Wに展開して水面に浮く。
【0039】
浮体式構造物3は、例えば、浮体式風力タービン、浮体式変電所、浮体式炭化水素プラットフォーム、浮体式炭化水素船舶、半潜水式プラットフォーム、または電力を生成する、電力を消費する、もしくは異なる電圧間および/もしくはACとDCとの間で電力を変換する任意の他の沖合浮体式構造物であってもよい。
【0040】
動的海底電力ケーブル5は、浮体式構造物3に接続され、浮体式構造物3から海底9まで延びている。ここで、動的海底電力ケーブル5の上端は、浮体式構造物3に接続されている。
【0041】
沖合システム1は、剛性または可撓性接合部などの接合部11を備えてもよい。接合部11は、移行接合部であってもよい。接合部11は、海底9に配置される。動的海底電力ケーブル5の下端は、接合部11に接続されてもよい。
【0042】
沖合システム1は、海底9の上または下を延びる静的海底電力ケーブル13を備えてもよい。接合部11には、静的海底電力ケーブル13が接続されてもよい。したがって、接合部11は、動的海底電力ケーブル5を静的海底電力ケーブル13に接続することができる。
【0043】
沖合システム1は、沖合構造物3に取り付けられた曲げ補剛材またはベルマウス15を備えてもよい。曲げ補剛材またはベルマウス15は、動的海底電力ケーブル5の周りに配置され、沖合構造物3に近くで、動的海底電力ケーブル5が波の動きにより最も高い曲げ力を受ける箇所での動的海底電力ケーブル5の横方向の移動を制限する。
【0044】
沖合システム1は、1つ以上の浮力装置17を備えてもよい。1つ以上の浮力装置17は、動的海底電力ケーブル5を持ち上げて動的海底電力ケーブル5のS字形、または本質的にS字形のケーブル部分を形成するために、上端と下端との間の領域において動的海底電力ケーブル5の周りまたは下に配置することができる。1つ以上の浮力装置17は、例えば、浮力モジュールまたは海中ブイであってもよい。
【0045】
沖合システム1は、曲げ制限装置19を備える。曲げ制限装置19は、水面と海底9との間の水柱内に位置する、動的海底電力ケーブル5の部分の周りに配置される。動的海底電力ケーブル5および曲げ制限装置19は、動的海底電力ケーブルシステムを形成する。
【0046】
曲げ制限装置19は、動的海底電力ケーブル5の周りに曲げ制限装置19が配置された部分に沿った、動的海底電力ケーブル5の曲がりを制限または限定するように構成されている。曲げ制限装置19は、動的海底電力ケーブル5の到達可能な最小曲げ半径を限定し、それにより、曲げ制限装置19によって覆われた部分における曲げ誘起疲労損傷を低減する。
【0047】
動的海底電力ケーブル5は、接合位置で接合された第1の軸方向部分および第2の軸方向部分を有する要素を備える。要素は、例えば、金属製遮水層または導体であってもよい。曲げ制限装置19は、接合位置が位置する動的海底電力ケーブル5の周りに配置される。したがって、曲げ制限装置19は、接合位置にわたって軸方向に延び、接合位置上での動的海底電力ケーブル5の曲がりを制限する。
【0048】
図2は、動的海底電力ケーブル5の一例の断面を示す。例示的な動的海底電力ケーブル5は、多芯電力ケーブルであるが、代替的に単芯電力ケーブルであってもよい。
【0049】
動的海底電力ケーブル5は、高電圧ACまたはDC電力ケーブルであってもよい。
【0050】
例示的な動的海底電力ケーブル5は、3つの芯線21a~21cを備える。各電力芯線21a~21cは、それぞれの導体23a~23cと、導体23a~23cの周りに配置されたそれぞれの絶縁系25a~25cとを備える。各絶縁系25a~25cは、内側半導体層と、内側半導体層の外側に配置された絶縁層と、絶縁層の外側に配置された外側半導体層とを備える。
【0051】
各電力芯線21a~21cは、絶縁系25a~25cの外側で、導体23a~23cと同心円状または本質的に同心円状に配置された金属製遮水層27a~27cを備えてもよい。
【0052】
一例によれば、金属製遮水層27a~27cは、接合位置で接合された第1の軸方向部分および第2の軸方向部分を有する上述の要素である。ここで、金属製遮水層27a~27cの第1の軸方向部分は波形であってもよく、金属製遮水層27a~27cの第2の軸方向部分は滑らかであってもよい。金属製遮水層27a~27cが滑らかであることは、波形でないことを意味する。したがって、金属製遮水層27a~27cは、第2の軸方向部分に沿って波形のない滑らかな内面および外面を有する。接合位置は、動的海底電力ケーブル5の上端から下端までの軸方向において、金属製遮水層27a~27cが波形から滑らかに移行する箇所である。波形金属製遮水層27a~27cと、滑らかなまたは波形でない金属製遮水層27a~27cとの接合は、工場で、またはケーブル敷設容器で行うことができる。
【0053】
第1の軸方向部分は、接合位置から上端まで延びていてもよい。第2の軸方向部分は、接合位置から下端まで延びていてもよい。
【0054】
一例によれば、金属製遮水層は、第1の軸方向部分および第2の軸方向部分の両方に沿って滑らかまたは波形であってもよい。
【0055】
海底電力ケーブルシステムは、2つ以上の接合位置と、対応する数の曲げ制限装置とを備えてもよく、各曲げ制限装置は、それぞれの接合位置の周りに設けられ、それぞれの接合位置にわたって軸方向に延びる。
【0056】
一例によれば、導体23a~23cのうちの1つ以上は接合部を有し、この場合、要素は導体23a~23cであってもよい。接合位置は、この場合、導体接合部であってもよい。典型的には、導体接合部は工場で作製されているが、代替的に、ケーブル敷設容器上で作製されてもよい。導体接合部は、典型的には、溶接導体接合部であってもよい。絶縁系25a~25bは、導体接合部が存在する場合、接合されていてもいなくてもよい。
【0057】
工場での金属製遮水層27a~27cなどの要素と導体との接合は、製造後の動的海底電力ケーブル5の目視検査からは検出することができないことを特徴とする。
【0058】
動的海底電力ケーブル5は、各金属製遮水層27a~27cの外側に配置されたそれぞれのポリマーシース29a~29cを備える。
【0059】
動的海底電力ケーブル5は、すべての電力芯線21a~21cの周りに配置された1つ以上の外装層31を備えてもよい。外装層31は、例えば亜鉛めっき鋼もしくはオーステナイト系ステンレス鋼から作製された丸線もしくは平線もしくはロープなどの金属製要素、ジャケット付きアラミド繊維などの合成線、または金属線と合成線の両方の組合せを含むことができる。
【0060】
動的海底電力ケーブル5は、1つ以上の外装層31の外側に配置された外側サービングまたは外側シース33を有してもよい。
【0061】
動的海底電力ケーブル5が1つの電気相または極のみを備える場合、動的海底電力ケーブル5は、電力芯線のうちの1つと同じ構造を有し、すなわち、導体、絶縁系、金属製遮水層、およびポリマーシースを含む。外装層は、単一の電力芯線の周りに配置される。
【0062】
図3は、動的海底電力ケーブルシステムの例示的な実装形態を示す。この例では、曲げ制限装置19.1は、接合要素の接合位置35上で動的海底電力ケーブル5の周りに載置された曲げ制限器である。この例では、曲げ制限装置19.1は、動的海底電力ケーブル5の曲がりを制限する、互いに関節状に連結されて配置された複数のセグメント37を備える。
【0063】
図4は、動的海底電力ケーブルシステムの別の例示的な実装形態を示す。曲げ制限装置19.2は、接合要素の接合位置35上の動的海底電力ケーブル5の周りに載置され、その軸方向位置はここでは矢印38で示されている。
【0064】
この例では、曲げ制限装置19.2は、動的海底電力ケーブル5に沿った第1の軸方向において、接合位置35の前で徐々に増加する剛性、および接合位置35の後で徐々に減少する剛性を有する。
【0065】
曲げ制限装置19.2は、第1の円錐端部分39aと第2の円錐端部分39bとを有する本体40を有する。第2の円錐端部分39bは、第1の円錐端部分39aとは反対側に向けられている。第1の円錐端部分39aおよび第2の円錐端部分39bは、高分子材料から構成されてもよい。
【0066】
図4の曲げ制限装置19.2は、1つの曲げ補剛材、または互いに接続された2つの曲げ補剛材であってもよい。
【0067】
本明細書で開示される任意の例によれば、曲げ制限装置19、19.1、19.2は、接合位置35から動的海底電力ケーブル5の両方の軸方向に少なくとも1メートル軸方向に延びることができる。
【0068】
一例によれば、海底電力ケーブルの2つ以上の要素が接合されてもよい。例えば、2つの動的海底電力ケーブル長が結合されて動的海底電力ケーブルを形成することができる。この場合、2つの海底電力ケーブル長の導体、絶縁系、および他のすべての層が接合されている。一例によれば、接合部によって分割された2つの動的海底電力ケーブルの長さまたは部分の各々は、同じ構造を有してもよい。例えば、金属製遮水層が存在する場合、金属製遮水層は、両方の部分に沿って波形または滑らかであってもよい。
【0069】
本発明概念は、主に少数の例を参照して上述されている。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、添付の特許請求の範囲によって定義されるような、上記で開示されたもの以外の他の実施形態も本発明概念の範囲内で等しく可能である。
【外国語明細書】