(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125286
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】3次元撮像のための電気光学変調器およびその使用方法と製造方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240910BHJP
G02F 1/03 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G02F1/03 503
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024067924
(22)【出願日】2024-04-19
(62)【分割の表示】P 2021538181の分割
【原出願日】2019-09-11
(31)【優先権主張番号】62/729,862
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518172129
【氏名又は名称】エヌライト, インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NLIGHT, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー アレン エバース
(72)【発明者】
【氏名】ポール エス バンクス
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ エス トゥヴェイ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】場面から3Dデータを取得するために戻り光を変調する装置、システム
【解決手段】3D撮像システムは、入射光を受ける第1の部分反射面と、光が出射する第2の部分反射面と、を有するファブリペローキャビティを含む。電気光学材料
が、第1の部分反射面と第2の部分反射面との間のファブリペローキャビティ内に所在する。透明な縦型電極または横型電極が、電気光学材料内に電界を作り出す。電圧ドライバが、電気光学材料内の電界を時間の関数として変調するように構成されており、電気光学材料を通過する入射光が変調波形に従って変調されるようになっている。光センサが、ファブリペローキャビティの第2の部分反射面から出射した変調光を受け、その光を電子信
号に変換する。その電子信号から、関心対象の場面の3次元(3D)情報が取得され得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D撮像システムであって、
入射光を受ける第1の部分反射面と、光が出射する第2の部分反射面と、を有するファ
ブリペローキャビティと、
前記第1の部分反射面と前記第2の部分反射面との間の前記ファブリペローキャビティ
内に配置された電気光学材料であって、前記入射光の少なくとも一部が前記電気光学材料
を通過するように構成された電気光学材料と、
前記電気光学材料内で電界を作り出すように構成された複数の電極と、
前記電気光学材料内の前記電界を時間の関数として変調するように構成されており、前
記電気光学材料を通過する前記入射光が所定の変調波形に従って時間的に変調されるよう
に、前記電極のうちの少なくとも1つと接触している電圧ドライバと、
前記ファブリペローキャビティの前記第2の部分反射面から出射する光を受け、前記光
を1つ以上の電子信号に変換するように構成された光センサと、を備える3D撮像システ
ム。
【請求項2】
前記光センサに動作可能に連結されており、前記電子信号に基づいて3D画像データを
生成するように構成されたプロセッササブシステムをさらに備える、
請求項1に記載の3D撮像システム。
【請求項3】
前記プロセッササブシステムが、前記電界を変調するように前記電圧ドライバを制御す
るようにさらに構成されている、請求項2に記載の3D撮像システム。
【請求項4】
前記電極が、電気光学材料を縦方向に励起するように構成された透明な縦型電極である
、請求項1に記載の3D撮像システム。
【請求項5】
前記透明な縦型電極が前記電気光学材料の対向側面に所在し、各透明な縦型電極が複数
の電極に分割されている、請求項4に記載の3D撮像システム。
【請求項6】
前記電極が、電気光学材料を横方向に励起するように構成された横型電極である、請求
項1に記載の3D撮像システム。
【請求項7】
前記横型電極が前記電気光学材料の対向端部に所在し、各横型電極が複数の電極に分割
されている、請求項6に記載の3D撮像システム。
【請求項8】
前記電気光学材料が、ヨウ素酸カリウム(KIO3)、GaAs、ニオブ酸リチウム(
LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、およびリン酸二水素カリウム(
KD*P)から成る群から選択される、請求項1に記載の3D撮像システム。
【請求項9】
前記電気光学材料が、ポリフッ化ビニリデン(PVDFまたは[C2H2F2]n)お
よびフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体((CH2CF2)x(CHFC
F2)(1-x)、または(VDF)x(TRFE)(1-x))から成る群から選択さ
れ、式中、0≦x≦1である、請求項1に記載の3D撮像システム。
【請求項10】
前記電気光学材料が、ポリマー、ポリカーボネート、変性ポリカーボネート、セルロー
スアセテート、ポリエチレン、およびポリメチルメタクリレートから成る群から選択され
る、請求項1に記載の3D撮像システム。
【請求項11】
前記電気光学材料が、ポーリング電界の印加によって整列させた発色団または発色団の
組み合わせでドープされたポリマー材料である、請求項1に記載の3D撮像システム。
【請求項12】
前記電気光学材料が、リン酸二水素カリウム、水素が重水素で置換された固溶体、KH
2xD2(1-x)PO4の固溶体から成る群から選択され、式中、xが0≦x≦1であ
り、KD2P04であり、KDPまたはKD*Pの同形である物質の固溶体である、請求
項1に記載の3D撮像システム。
【請求項13】
前記電気光学材料が、一般式AxByCzH2rD2(1-r)FsG(1-s)O4
を有する化学物質群から成るDKDP材料であり、式中、x+y+z=1、0≦r≦1、
0≦s≦1であり、式中、A、B、Cが、NH4、K、Rb、またはCsから選択され、
式中、Hが水素であり、Dが重水素であり、FおよびGが、リンまたはヒ素から選択され
る、請求項1に記載の3D撮像システム。
【請求項14】
前記電気光学材料が、半導体の一般式(AxByCz)(DqErFs)から選択され
る結晶またはセラミックであり、式中、x+y+z=1かつq+r+s=1であり、式中
、A、B、およびCが、それぞれGa、In、およびAlから成る群から選択され、式中
、D、E、およびFが、それぞれP、As、およびSbから成る群から選択される、請求
項1に記載の3D撮像システム。
【請求項15】
前記電気光学材料が、一般式AIO3から選択される結晶またはセラミックであり、式
中、Aが、H、Li、K、Rb、Csから成る群から選択される、請求項1に記載の3D
撮像システム。
【請求項16】
3Dデータをキャプチャする方法であって、
入射光を受ける第1の部分反射面と、光が出射する第2の部分反射面と、を有するファ
ブリペローキャビティで入射光を受けることと、
前記電気光学材料内に電界を作り出すように構成された電極に、所定の波形を有する電
圧を印加して、前記電気光学材料を通過する前記入射光が前記所定の変調波形に従って時
間的に変調されるようにすることと、
前記ファブリペローキャビティの前記第2の部分反射面から出射した光をセンサで受け
ることと、
前記センサが、前記受けた光を1つ以上の電子信号に変換することと、
前記電子信号に基づいて前記3Dデータを生成することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記電気光学材料が、ポリフッ化ビニリデン(PVDFまたは[C2H2F2]n)お
よびフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体((CH2CF2)x(CHFC
F2)(1-x)、または(VDF)x(TRFE)(1-x))から成る群から選択さ
れ、式中、0≦x≦1である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記電気光学材料が、ポリマー、ポリカーボネート、変性ポリカーボネート、セルロー
スアセテート、ポリエチレン、およびポリメチルメタクリレートから成る群から選択され
る、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記電気光学材料が、ポーリング電界の印加によって整列させた発色団または発色団の
組み合わせでドープされたポリマー材料である、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記電気光学材料が、半導体の前記一般式(AxByCz)(DqErFs)から選択
される結晶またはセラミックであり、式中、x+y+z=1かつq+r+s=1であり、
式中、A、B、およびCが、それぞれGa、In、およびAlから成る群から選択され、
式中、D、E、およびFが、それぞれP、As、およびSbから成る群から選択される、
請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月11日に出願された米国仮特許出願第62/729,862
号の便益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
技術分野
【0002】
本開示は、電気光学変調器、光センサ、およびLIDARシステムに関するものであり
、特に3次元(3D)撮像データの生成に使用可能な電気光学変調器、光センサ、および
LIDARシステムに関するものである。
【背景技術】
【0003】
ある場面における表面や物体の3次元(3D)位置をキャプチャすることは、座標測定
機(CMM)、ロボットビジョンアプリケーション(RVA)、自律走行車(AVA)、
さらにはゲーム機のコントロール(バーチャルリアリティ(VR)や拡張バーチャルリア
リティ(AVR))を始めとする幾多もの用途で普遍的に必要とされることとなりつつあ
る。理想的な3Dカメラは、2次元(2D)の場面情報だけでなく、その場面の距離情報
(Z軸または範囲情報)もキャプチャすることができる。真の3D場面は、2D場面の画
像情報(従来のデジタルカメラやフィルムカメラで撮影された「写真」という2D情報)
を使用し、2D場面内の各物体(または各画素)の1D距離を加えて生成され、今日の2
Dビデオカメラや携帯電話のカメラと同じ機能のしかたで、映像を伴う完全な3D画像を
高解像度で生成する。しかし、この3D場面生成を達成するための現在の手法は、多くの
用途で、解像度、稼働範囲、SWaP(サイズ、重量、電力)、およびコスト面に深刻な
弱点を抱えている。
【0004】
場面全体の3D座標を画像として取得するために、いくつかの技術が用いられ得る。こ
れらの技術的手法には、それぞれに利点があるものの、高品質の3D撮像や、時間の関数
としての撮像(例えば、リアルタイム3D映像)の実現を妨げる欠点や根本的な物理的制
限もある。一般に、これらのタイプの3Dシステムは、(A)立体視による2画像間の距
離および相関推定、(B)FM変調光の距離推定、(C)投影光、ホログラフ、またはス
ペックル相関による距離推定、および(D)飛行時間撮像システムによる距離測定システ
ムと、大まかに特徴付けることができる。
【0005】
立体視:低コストの3Dシステムを実現するための一手法が、基線距離によって隔てら
れた複数のレンズおよびセンサを使用して、演算導出された3D情報を提供する立体カメ
ラを使用することである(人間の両眼視に類似)。これらのステレオ画像を使用して、フ
ォトグラメトリ(両センサの対応画素を用いた距離の三角測量)を使用して3Dジオメト
リデータを生成することが可能だが、これには、正確なキャリブレーション、すなわち、
基線分離のための公知の機械量が必要とされる。このような立体視型システムは、基線(
基線とは、個々の2つのセンサ間の距離のこと)を基準とする狭い範囲に限られる。加え
て、3D推定が照明条件や影の影響を受けやすいという問題もある。かかる立体視型デバ
イスは、暗条件下や難しい照明条件下だと良好に動作せず、相当量の計算資源を要するの
が一般的であることから、小型のシステムでリアルタイム3Dデータを抽出することが難
しい。
【0006】
FM変調:別の公知の距離推定法だと、距離推定に周波数変調(FM)された光を用い
る。FM変調された光はまた、送信機と受信機とで別個の開口を必要とし得る。優れた距
離性能を得るためには、これらの開口が正確に並んでおり、十分な距離を以て隔てられて
いる必要がある。FM変調方式だと、1画素を超える距離推定が必ずできるとは限らない
。つまり、このタイプの検知器は、1地点の直線距離測定に使用され得るのが典型的であ
り得る。3D測定は、場面内の各地点をスキャンして、それぞれの特定地点におけるセン
サと物体との間の距離を確定することによって行われる。そのため、FM変調型の3D機
器が有する地点ごとの制限を克服する必要がある。
【0007】
投影光:別の距離推定法は、場面内の物体に光のパターンを投影し、そのパターンのず
れを別のセンサで検出する。光プロジェクタおよび画像センサは、優れた距離性能を得る
ために、正確に整列され、十分な距離を以て隔てられた別個の送信用および受信用開口を
用いる。これらのシステムは、範囲情報の水平解像度を制限するいくつかのパターンを使
用するか、高速で移動する物体には使用できない複数の画像を使用する。そのため、投影
光型の3D機器が有するこれらの制限を克服する必要がある。
【0008】
飛行時間型(TOF):TOF距離測定システムは、光が場面の物体を通過して3Dカ
メラのセンサに戻ってくるまでの飛行時間を測定する時間感応型センサを使用する。時間
の測定には様々な技法が用いられ得るが、その一部は、画素の応答を制御し、その画素に
対する光の到達時期を(振幅または位相によって)記録する回路を画素ごとに要する。か
かる回路の複雑性や、記録されるデータの広範性が、かかるセンサの欠点であり、最も高
度な時間感応型センサでも、1辺が100~200画素に制限される。さらなるスケール
アップには、さらに費用のかさむチップ開発を必要とし得る。また、これらの技法は照明
条件に左右されやすく、場合によっては近距離および/または屋内範囲に限定されてきた
。これらの方策の場合、範囲測定で満足のいく性能を得るためには、各画素を対マスター
クロックおよび画素どうしでタイミングを正確に合わせる必要があり、粗いジェスチャ認
識に使用され得る時間感応型センサのスケールアップがさらに複雑になる。
【0009】
一部のTOFシステムに関しては、2つの別々のセンサまたはセンサシステムを使用す
る必要があり、その場合、物体の距離情報と画像情報との間の相関を必要とし得る。かか
るシステムは、1つのTOFセンサの解像度または画素数が、(2D画像を作成する)第
2のセンサよりも大幅に少ないことが典型的である。かかるシステムの一例が、大幅に解
像度が低い回転式1D飛行時間(TOF)距離測定システムと相関させた中解像度の2D
カメラ画像である。2つの異なるセンサシステムを使用して3Dが作成される場合、関連
ノイズを有する2つの異なる画像を互いに相関させる必要があり、そのために、基本的に
は、低解像度画像と高解像度画像との間の重要な特徴を推定し、この2つの画像を1つの
3D画像または点群に多重化する。この相関は、計算処理資源の使用量が多くなるため、
画素ごとの誤差が生じやすい。そのため、同じセンサの同じ画素から場面と距離の両方を
取得することによってデュアルセンサTOFシステムの計算上の制限および/または誤差
の問題を克服する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に記載されている革新的な改良型電気光学変調器および3Dセンサは、公知の3
Dシステムが有する上記制限の多くを克服する。
【0011】
3Dカメラは、2Dの場面情報だけでなく、その場面の距離情報(Z軸)も撮影できる
ことが理想的である。本明細書には、電気的に制御された電気光学結晶、電気光学セラミ
ック、および/または電気光学ポリマーを含み得る高ダイナミックレンジでコンパクトな
チップスケールの3D撮像システムおよび方法の実施形態が開示されている。
【0012】
一例示的実施形態によれば、3D撮像システムは、入射光を受ける第1の部分反射面と
、光が出射する第2の部分反射面と、を有するファブリペローキャビティを含む。電気光
学材料が、第1の部分反射面と第2の部分反射面との間のファブリペローキャビティ内に
所在する。透明な縦型電極または横型電極が、電気光学材料内に電界を作り出す。電圧ド
ライバが、電気光学材料内の電界を時間の関数として変調するように構成されており、電
気光学材料を通過する入射光が変調波形に従って変調されるようになっている。光センサ
が、ファブリペローキャビティの第2の部分反射面から出射した変調光を受け、その光を
電子信号に変換する。その電子信号から、関心対象の場面の3次元(3D)情報が取得さ
れ得る。
【0013】
別の例示的実施形態によれば、3Dデータをキャプチャする方法が、入射光を受ける第
1の部分反射面と、光が出射する第2の部分反射面と、を有するファブリペローキャビテ
ィで入射光を受けるステップと、電気光学材料内に電界を作り出すように構成された電極
に、所定の波形を有する電圧を印加して、電気光学材料を通過する入射光が所定の変調波
形に従って時間的に変調されるようにするステップと、ファブリペローキャビティの第2
の部分反射面から出射した光をセンサで受けるステップと、センサが、受けた光を1つ以
上の電子信号に変換するステップと、電子信号に基づいて3Dデータを生成するステップ
と、を含む。
【0014】
上記概要は、添付の請求項の制限範囲を定義するものではない。以下の図および詳細な
説明を吟味すれば、他の態様、実施形態、特徴、および利点が当業者にとって明らかにな
るであろう。かかる付加的な特徴、態様、利点はこの説明内にすべて含まれ、添付の請求
項によって保護されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面は例示のみを目的としたものであり、いかなる制限も定義しないということを理解
されたい。加えて、図中の構成要素は、必ずしも縮尺どおりではない。図においては、同
様の参照番号が、異なる図にまたがって対応部分を示す。
【
図1】感光性検知器の前にファブリペローキャビティを含む縦型電気光学光センサシステムの第1の実施例を表す模式図である。
【
図2】感光性検知器の前にファブリペローキャビティを含む縦型電気光学光センサシステムの第2の実施例を表す模式図である。
【
図3】感光性検知器の前にファブリペローキャビティを含む横型電気光学光センサシステムの第1の実施例を表す模式図である。
【
図4】感光性検知器の前にファブリペローキャビティを含む横型電気光学光センサシステムの第2の実施例を表す模式図である。
【
図5】例示的な横型電気光学光変調器(EOM)を表す透視模式図である。
【
図6】横型電気光学光変調器(EOM)の別例を表す透視模式図である。
【
図7】感光性検知器配列の前にファブリペローキャビティを含む例示的な一体型縦型電気光学光センサの側断面図である。
【
図8】感光性検知器配列の前にファブリペローキャビティを含む例示的な一体型横型電気光学光センサの側断面図である。
【
図9】低フィネスおよび高フィネスのファブリペローキャビティの光透過率を電圧の関数として表すグラフである。
【
図10】低フィネスおよび高フィネスのファブリペローキャビティの光透過率を光の入射角の関数として表すグラフである。
【
図11】ポッケルスセルなどの縦型電気光学変調器の一例を示す断面模式図である。
【
図12】マイクロレンズアレイの下方または背後に縦型変調器が形成された例示的なモノリシックセンサの一例を示す断面模式図である。
【
図13】マイクロレンズアレイの前方または上方に縦型変調器が形成された例示的なモノリシックセンサを示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の詳細な説明は、図面を参照および援用したもので、3D撮像および/またはレン
ジ検出のための光変調器、センサ、システム、および方法の1つ以上の実施例を説明およ
び例示している。制限目的ではなく、本発明の実施形態の例示および教示のみを目的とし
て提供されているこれらの実施例は、開示されている内容を当業者が実践できるように十
分に詳しく明示および記載されている。そのため、本発明の不明瞭化を避けるために適切
な場合には、当業者にとって公知である特定の情報が記載内容から省略され得る。本明細
書に開示された内容は実施例であり、本出願に基づいて最終的に付与される可能性のある
特許請求の範囲を不当に制限するものと読み取るべきでない。
【0017】
本出願全体を通じて、「例示的」という語は、「実施例、事例、実例としての役割を果
たす」という意味で使用されている。本明細書で「例示的」と記載されているシステム、
方法、装置、技法、機能などは、必ずしも他の機能よりも好適または有利であると解釈さ
れるものではない。
【0018】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される単数形「a」、「an」および「前
記(the)」は、その内容が単数のものを明確に指示していない限り、複数のものを含
む。
【0019】
加えて、「または」が使用されている場合は、別段の記載がない限り、「および/または
」のことである。同様に、「備える(「comprise」、「comprises」、
「comprising」)」と「含む(「include」、「includes」、
「including」)」は互換性があり、限定的であることを意図しない。
【0020】
本開示に記載されている革新的な改良型の3Dセンサシステムは、例えば、デュアルセ
ンサTOFシステムの計算上の制限および/またはエラーの問題など、公知の3Dセンサ
システムの制限を数多く克服する。本明細書に開示されたセンサは、同じセンサ上の同じ
画素(単数または複数)からの場面および距離の両方を取得することによって制限の克服
を実現し得る。本明細書には、電気光学位相変調器および/または電気的に調整可能な光
共振キャビティ、かかる変調器および電気的に調整可能なキャビティを採用したシステム
、変調器における高分子、結晶、多結晶、またはセラミックの電気光学薄膜の使用を通じ
て光変調または光スイッチングを電気的に刺激する手段、およびかかるデバイスを製作す
る手段が開示されている。
【0021】
レーザーTOF(飛行時間)、レーザーベースの投影、レーザーベースのFM変調、レ
ーザーベースの自動車用光源(レーザーベースの自動車用「ハイビーム」など)が普及す
るにつれて、3Dカメラ/場面生成器に、非3Dベースのカメラシステムからの潜在的な
干渉光源による干渉に対する耐性を高め、相互干渉を免れる必要が出てきた。本明細書に
開示されている方法、装置、およびシステムは、電気的に制御された電気光学結晶、電気
光学セラミック、または電気光学ポリマーを組み込み得るもので、潜在的な干渉レーザー
光源のタイミング一致の制限により、干渉の可能性を大幅に低減する。
【0022】
本明細書に開示されているシステムは、アクティブな時間多重化配置を含み得、これに
より、タイミング調整された照明源が、電気的に活性化されたセンサと同期する。
【0023】
図1は、ファブリペローセンサ12と電圧ドライバ回路16とを含む電気光学光変調器
システム10の一例を表す模式図である。センサ12は、関心対象の場面から散乱または
反射した戻り光の部分であり得る入射光14を受け得る。センサ12は、1つ以上の電子
信号38を出力し、その信号から、プロセッササブシステム(非図示)によってその場面
に関する3D情報が導出され得る。
【0024】
電圧ドライバ16は、既定の電気的な変調波形信号17をセンサ12に提供する。波形
信号17は、時変電圧を有し得、制御信号18を受けて電圧ドライバ16によって生成さ
れる。この波形は、電圧ランプ、方形波、正弦波、鋸歯、シグモイド、連続、不連続、ま
たはセンサに渡る入射光14を変調するための他の適切な電圧波形であり得る。電圧、電
流、タイミングなど、信号17の特性は、入射光14の所望変調およびファブリペローセ
ンサ12内の電気光学変調器の要件に基づいて任意の適切な値に設定され得る。制御信号
18は、プロセッサの制御下にあるプロセッササブシステム(非図示)によって生成され
得る。
【0025】
プロセッササブシステムは、メモリに連結された1つ以上のプロセッサを含み得る。プ
ロセッササブシステムの機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、または
それらの任意の適切な組み合わせで実装され得る。ソフトウェアで実装される場合、これ
らの機能は、1つ以上の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体(例えば、メモリ
)に記憶され、ハードウェアベースの処理ユニット(例えば、プロセッサ)によって実行
され得る。コンピュータ可読媒体は、データ記憶媒体を含む任意のコンピュータ可読記憶
媒体を含み得る。この媒体は、本開示に記載されている技法を実装するための命令、コー
ド、および/またはデータ構造を取得するために1つ以上のコンピュータまたは1つ以上
のプロセッサによってアクセスできる任意の利用可能な媒体であり得る。コンピュータプ
ログラム製品が、コンピュータ可読可能な媒体を含むこともあり得る。
【0026】
非限定的な例として、かかるコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPR
OM、CD-ROM、もしくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、もしく
は他の磁気記憶装置、フラッシュメモリ、または命令もしくはデータ構造の形態で所望の
プログラムコードを格納するのに使用可能であり、コンピュータによってアクセス可能で
ある他の任意の媒体を備えことができる。本明細書で使用されているディスクは、コンパ
クトディスク(CD)、レーザーディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DV
D)、フロッピーディスク、ブルーレイディスクなどを含む。磁気ディスクは、一般にデ
ータを磁気的に再生するのに対し、光ディスクは、レーザーを用いて光学的にデータを再
生する。上記の組み合わせも、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれるものとする。
【0027】
プロセッサは、1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)、汎用マイクロプロセッ
サ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルロジックアレイ(F
PGA)、または他の同等の集積または離散論理回路など、命令またはコードを実行する
ための1つ以上のプロセッサを含み得る。メモリおよびプロセッサは、単一チップとして
組み合わせられ得る。そのため、本明細書で使用される「プロセッサ」という用語は、先
述の構造のいずれか、または本明細書に記載された技法の実装に適した他の任意の構造を
言及し得る。加えて、いくつかの態様においては、本明細書に記載されている機能が、専
用のハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュール内で提供され得る。また、この
技法は、論理回路および/または論理素子を含む1つ以上の回路において完全に実装でき
得る。
【0028】
ファブリペローセンサ12は、感光性検知器36の前に、光変調器の働きをするファブ
リペローキャビティ(FPC)20を含む。FPC 20は、入射光14を受けるための
第1の部分反射ミラー22と、光が出射し得る第2の部分反射ミラー24と、第1のミラ
ー22と第2のミラー24と間に所在する電気光学変調器(EOM)26と、を含む。E
OM 26は、第1の電極30と、第2の電極28と、電極28、30の間に挟まれた電
気光学材料32と、を含む。
【0029】
FPC 20は「縦型」構成になっている。「縦型」とは、光14、34の経路に対す
る電極28、30の配置のことである。縦型構成においては、印加される電界(電極28
、30に対して垂直)が、FPC 20を通る光の伝搬と同じ方向になる。電気光学材料
32は、電気光学ポリマー、電気光学結晶、もしくは電気光学セラミック、またはこれら
の任意の適切な組み合わせから成り、以下でさらに詳述する、本明細書に開示された材料
のいずれかを含み得る。印加電圧17は、例えば電圧ランプとして、第1の電極30に接
続され得るのに対し、第2の電極28は接地21に接続されている。左から入射した光1
4の透過率は、印加電圧17に応じてFPC 20によって変調され、光がキャビティミ
ラー22、24を通過して右の感光性検知器36に進むようになっている。そのため、F
PC 20の光透過率は、EOM 26に印加される電圧波形に依存する。
【0030】
印加電圧は、例として、第1の電極30に接続された電圧ランプとして記載されている
のに対し、第2の電極28は接地に接続されている。「電圧ランプ」や「接地」の使用は
、あくまでも例示にすぎない。第1の電極28と第2の電極30との間での差動印加電圧
も、光の変調に使用され得る。
【0031】
縦型構成においては、ファブリペローミラー22、24が、電極28、30から分離し
得、代替として、ミラー22、24および電気光学スイッチ電極28、30の両方の機能
を同時に果たし得る。すなわち、ファブリペローミラー22、24および電極28、30
は、いくつかの実施形態において単一かつ同一であり得る。
【0032】
縦型電極28、30は、例えば、ITOや、金またはアルミニウムといった導体グリッ
ドなどの透明電極であり得る。
【0033】
光検知器36は、市販のCCDまたはCMOS検知器などの単一画素検知器であり得る
。検知器36から出力された電子信号38は、プロセッササブシステムによって収集され
得、場面に関する3Dデータを導出するために、このサブシステムによって処理され得る
。
【0034】
図2は、ファブリペローセンサ52と電圧ドライバ回路16とを含む電気光学光変調器
システム50の別例を表す模式図である。センサ52は、
図1のセンサ12と同様、関心
対象の場面から散乱または反射した戻り光の部分であり得る入射光14を受け得る。ただ
し、
図1のセンサ12とは対照的に、センサ52は、センサアレイ64から1つ以上の電
子信号を出力し、その信号から、プロセッササブシステム(非図示)によってその場面に
関する3D情報が導出され得る。
【0035】
この実施例においては、
図1の感光性検知器画素36が感光性アレイ64に置き換えら
れている。かかるアレイ64は、一例として、市販のCCD感光性アレイ、CMOS感光
性アレイ、2次元配列で配置された一連の光検知器などを含み得る。一般に、アレイ64
は画素の配列を含み、各画素は、受けた光の強度を特定することができる。アレイ64は
、任意の適切数の画素を含み得、現代のセンサは数百万画素を含むことが多い。アレイ6
4から出力された電子信号は、プロセッササブシステムによって収集され得、場面に関す
る3Dデータを導出するために、このサブシステムによって処理され得る。
【0036】
図3は、ファブリペローセンサ102と電圧ドライバ回路16とを含む電気光学光変調
器システム100の別の構成例を表す模式図である。センサ52は、
図2のセンサ102
と同様、関心対象の場面から散乱または反射した戻り光の部分であり得る入射光14を受
け得る。ただし、
図2のセンサ52とは対照的に、センサ102は、「横型」構成のEO
M 122を含む。「横型」とは、光の経路に対する電極126、128の配置のことで
ある。横型構成においては、印加電界(電極126、128に対して垂直)が、EOM
122を通る光の伝搬方向と比べて直交する方向になる。
【0037】
センサ102は、感光性検知器アレイ64の前にFPC 112を含む。FPC 11
2は、2つのミラー22、24間にEOM 122を含む。EOM 122は、第1また
は最上位電極126と、第2または最下位電極128と、それらの間にある電気光学材料
124と、を含む。電気光学材料124は、電気光学ポリマー、電気光学結晶、もしくは
電気光学セラミック、または本明細書に開示されている組み合わせなど、これらの任意の
適切な組み合わせを備え得る。
【0038】
印加電圧17は、第1の電極126に接続された電圧ランプを含む上記波形のいずれか
であり得るのに対し、第2の電極128は接地21に接続されている。左から入射した光
の透過率は、印加電圧波形17を介してEOM 122によって変調され、光がキャビテ
ィミラーを通過して右の感光性検知器(単一画素、非図示)または感光性アレイ64に進
むようになっている。横型構成においては、ファブリペローミラー22、24が電極12
6、128とは別々になっている。
【0039】
代替として、
図1に関連して上述したとおり、差動電圧波形が電極126、128に印加
され得る。
【0040】
図4は、ファブリペローセンサ152と、電圧ドライバ回路16および第2の電圧ドラ
イバ回路164と、を含む電気光学光変調器システム150の別の構成例を表す模式図で
ある。センサ152は、
図3のセンサ102と同様、関心対象の場面から散乱または反射
した戻り光の一部であり得る入射光14を受け得る。
【0041】
センサ152は、光検知器アレイ64の前に配置されたFPC 168を含む。FPC
168は、第1および第2のミラー22、24と、ミラー22、24の間に位置する分
割された横型EOM 176と、を含む。EOM 176は、最上位電極182と、中央
電極184と、最下位電極186と、第1および第2の電極182、184の間に所在す
る電気光学材料178と、第2および第3の電極184、186の間に位置する電気光学
材料180と、を含む。
【0042】
電気光学材料178、180は、電気光学ポリマー、電気光学結晶、もしくは電気光学
セラミック、または本明細書に開示されている組み合わせなど、先述の任意の適切な組み
合わせを含み得る。
【0043】
追加の中央電極184が、EOM 176の中心またはその付近に所在し得る。いくつ
かの実施形態において、中央電極184は、EOM 176の中心から離れた別の場所に
所在し得る。この特定実施例においては、ドライバ回路164からの印加電圧166が、
最下位電極186に接続されている。ドライバ164から出力される電圧波形166は、
電圧ドライバ16の上記波形のいずれであり得る。電圧波形166は、プロセッササブシ
ステム(非図示)からの第2の制御信号158を受けて生成され得る。第2の制御信号1
58は、信号18について
図1との関連で説明したのと同様の方法で、プロセッササブシ
ステムによって生成され得る。いくつかの実施形態において、信号158は、信号18か
ら独立し得る。いくつかの実施形態において、信号158は、信号18と同期し得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、中央電極184は、図示のとおり、接地188に接続さ
れ得る。
【0045】
電気光学材料に中央電極184を形成するために、中央電極184は、電気光学材料の
中心に切り込みまたは他の方法で配置された、例えば幅が数ミクロンの小溝を含み得、こ
れによって2つのセグメント178、180を形成し得る。この溝には、一例を挙げると
、スパッタリングされた金など、中央電極184を形成する導電性電極が配置され得る。
【0046】
中心、上側、下側の電極182、184、186間には差動電圧が印加され得る。印加
電圧は、例えば、最下位電極186に接続された電圧ランプ、最上位電極182に印加さ
れた第2の電圧ランプ、および中央電極184に印加された第3の電圧ランプであり得る
。左から入射した光の透過率は、印加電圧によって変調され、光がキャビティミラーを通
過して右側の感光性検知器64に進むようになっている。横型構成においては、ファブリ
ペローミラー22、24がこれらの電極とは別々になっている。
【0047】
センサ152は、EOM 176に3つの電極182、184、186を有することが
示されているが、いくつかの実施形態においては、3つより多くの電極が使用され得、例
えば、いくつかの実施形態においては、4つ以上の電極が使用され得、数百または数千個
の電極が使用され得る。いくつかの実施形態においては、例えば、数百または数千のドラ
イバ回路など、(2つより多い)さらなる電圧ドライバ回路が含まれ得る。
【0048】
図5は、ドライバ回路204に接続された、分割された横型電気光学光変調器202を
有するシステム200の構成例を表す透視模式図である。いくつかの実施形態において、
EOM 202は、
図3~
図4および
図8に示すファブリペローセンサのいずれにおいて
も、EOMとして代用され得る。ドライバ回路204は、ドライバ回路16について上述
した方法と同様の方法で、制御信号206を受けてEOM電圧変調波形212を作り出し
得る。
【0049】
EOM 202は、電気光学材料208の第1のセグメントと、電気光学材料210の
第2のセグメントと、を含む。電気光学材料208、210は、矩形状であるものとして
示されているが、正方形など、他の任意の適切な形状を有し得る。材料208、210は
それぞれ、電気光学ポリマー、電気光学結晶、もしくは電気光学セラミック、または本明
細書に開示されている組み合わせなど、これらの任意の適切な組み合わせを含み得る。E
OM 202は、上記のとおり横型構成になっている。
【0050】
この実施例においては、最上位電極226が、材料208の上面に形成され、接地22
2に接続されている。この実施例においては、最下位電極228が、材料210の下面に
形成され、接地224に接続されている。
【0051】
さらなる中央電極214が、EOMセグメント 208、210の中心に配置され得る
。この特定実施例においては、印加電圧ランプ212が、中央電極214に接続されてい
る。この電極214は、電気光学材料の中心またはその付近に、切り込みまたは他の方法
で配置された、例えば幅が数ミクロンの小溝などを含み得る。この溝は、市販の半導体加
工技術を用いてエッチングされ得る。この溝は、溝の側部に導電性の横型電極を形成する
壁部218および220を有する。一例を挙げると、スパッタリングされた金などの導体
が、床部および壁部218、220を覆うために溝内に配置され得、それによって横型中
央電極214を形成し得る。いくつかの実施形態においては、例えば、銅やアルミニウム
といった金属など、他の導体が使用され得る。他の実施形態においては、溝を使用する代
わりに、電気光学材料の表面に配置された小帯状の導電性金属を使用し得る。
【0052】
EOM 202の中央電極、最上位電極、最下位電極間に差動電圧が印加され得る。こ
の印加電圧は、例えば電圧ランプとして、図示のとおり、中央電極214に接続され得、
上下の電極226、228で接地し得る。電極214、226、228のいずれに対して
も、他の電圧が印加され得る。例えば、最上位電極226に第2の電圧ランプが印加され
得、最下位電極228に第3の電圧ランプが印加され得る。中央電極の目的は、最上位、
中央、最下位電極間に差動電圧を印加できるようにすることである。いくつかの実施形態
において、セグメント208、210間に印加される差動電圧は、互いに独立し得る。
【0053】
図6は、複数の電圧ドライバ回路258、260、261に連結された横型電気光学光
変調器(EOM)250の代替構成例を表す透視模式図である。いくつかの実施形態にお
いて、EOM 250は、
図3~
図4および
図8に示したファブリペローセンサのいずれ
においても、EOMとして代用され得る。ドライバ回路258、260、261は、ドラ
イバ回路16、164について上述したのと同様の方法で、制御信号262、264、2
66をそれぞれ受けて、EOM電圧変調波形V1、V2、V3、268、270、272
をそれぞれ生成し得る。
【0054】
EOM 250は、「横型」構成になっている。「横型」とは、上記のとおり、光の経
路に対する電極の配置のことである。電気光学材料は、電気光学ポリマー、電気光学結晶
、もしくは電気光学セラミック、または本明細書に開示されている組み合わせなど、これ
らの任意の適切な組み合わせを含み得る。
【0055】
図5のEOM 202と比較すると、さらなる追加電極が電気光学材料に配置されてい
る。この特定実施例においては、2つの電極溝274、276が電気光学材料に形成され
、材料をセグメント252、254、256に分離している。
【0056】
最上位材料セグメント252の上面に形成された最上位電極278は、図示のとおり接
地280に接続され得るか、いくつかの実施形態においては、別の電圧ドライバ回路に接
続され得る。追加電圧ランプV1、V2、V3は、最上位電極278、第2の電極274
、第3の電極276、および最下位電極290を基準にそれぞれ印加され得る。
【0057】
中央電極274、276はそれぞれ、電気光学材料に切り込みまたは他の方法で配置さ
れた、例えば幅が数ミクロンの小溝を含み得る。他の実装形態においては、溝ではなく、
電気光学材料の表面に配置された小帯状の導電性金属が必要とされ得る。スパッタリング
された金などの金属導体を用いて形成され得るこれらの帯または溝は、導電性電極を形成
し、溝内または電気光学材料の表面などに配置される。
【0058】
これらの溝は、市販の半導体加工技術を用いてエッチングされ得る。各溝は、溝の側部
に導電性の横型電極を形成する壁部282、284、286、288をそれぞれ有する。
一例を挙げると、スパッタリングされた金などの導体が、床部および壁部282、284
および286、288を覆うために溝内に配置され得、それによって横型中央電極274
、276を形成し得る。
【0059】
電極278、274、276、290間に差動電圧が印加され得る。印加電圧は、例え
ば、第2の電極、第3の電極、および最下位電極にそれぞれ接続された電圧ランプV1、
V2、V3として示されている。電極溝の目的は、最上位、中央、最下位電極間に差動電
圧を印加できるようにすることである。電極278、274、276、290のいずれに
対しても、他の電圧が印加され得る。いくつかの実施形態において、これらのセグメント
間に印加される差動電圧は、互いに独立し得る。
【0060】
本明細書に開示されている分割されたEOMは、
図5および
図6に示すとおり、2つま
たは3つのセグメントに限定されるものではない。いくつかの実施形態においては、分割
されたEOMが、数百、数千、数百万のセグメントなど、より多くのセグメントを含み得
る。また、いくつかの実施形態においては、EOMセグメントが、
図5および
図6に示す
例示的な1Dセグメント配列ではなく、2次元配列で配置され得る。
【0061】
図7は、感光性検知器アレイ306の前にファブリペローキャビティ304を含む一体
型縦型電気光学光センサ300の別例を示す側断面図である。センサ300は、モノリシ
ックセンサであり得る。上からの戻り光または入射光301が、多数のマイクロレンズ3
08を有するマイクロレンズアレイ302によって収集される。
【0062】
ファブリペローキャビティ304は、上側反射性コーティング310と、ITOコーテ
ィングなどの透明導体コーティング312と、電気光学(EO)材料314(例えば、電
気光学ポリマー(EOP)、電気光学結晶(EOC)、電気光学セラミック(EOCe)
など、本明細書に開示されている材料のいずれか)と、ITOコーティングなどの下側透
明導体コーティング316と、下側反射性コーティング318と、から成る。
【0063】
センサアレイ306は、光学的なクロストークを避けるために、酸化物などの誘電体層
であり得る光学的に不透明な遮蔽物328によって絶縁されたそれぞれのウェル320内
に所在する画素センサ322の配列を支持する半導体基板を含み得る。ポリシリコン層3
26および導体層324は、センサ322との間を往来する電子信号経路を提供し得る。
【0064】
システムの動作に対して正確な方法でFPC 304を経てセンサアレイ206(例え
ば、CMOS、CCD、または他のタイプのセンサアレイ)に光を透過させるために、正
確な時変的方法でEOコーティング312、316間に電圧が印加され得る。この電気的
に変調された光により、場面の全体像を収集することに加え、距離の特定も可能となる。
反射性コーティング310、318と導電性コーティング312、316は、それぞれ組
み合わせられ得る。この事例において、導電性コーティングは、ITO(インジウムスズ
酸化物)から成る。他の導電性コーティングを使用することもできる。電気光学変調器は
、「縦型」構成になっている。上記のとおり、「縦型」とは、光の経路に対する電極の配
置のことである。縦型構成においては、印加される電界(電極に対して垂直)が、(上か
らセンサへの)光の伝搬と同じ方向になる。電気光学材料は、電気光学ポリマー、電気光
学結晶、もしくは電気光学セラミック、または本明細書の他の箇所に開示されている組み
合わせなど、これらの任意の適切な組み合わせを備え得る。
【0065】
図8は、感光性検知器アレイ306の前にファブリペローキャビティ352を含む一体
型横型電気光学光センサ350の一例を示す側断面図である。センサ350は、モノリシ
ックセンサであり得る。上からの入射光は、マイクロレンズアレイ302によって収集さ
れる。ファブリペローキャビティ352は、上側反射性コーティング310と、電気光学
材料354(EOP、EOC、EOCeなど)と、下側反射性コーティング318と、を
含む。
【0066】
FPC 352は、その間に所在する電気光学材料354を通じて電界を作り出すため
の少なくとも2つの電極356、358を含む。電極構成は、光の伝搬に対して垂直また
は「横方向」である。いくつかの実施形態においては、電気光学材料354が分割され得
、異なる電圧ドライバを有する多数の横型電極が使用され得る。導電性電極256、35
8は、ITO(インジウムスズ酸化物)、または本明細書に開示されている金属導体のい
ずれかなど、他の適切な導電性材料を含み得る。
【0067】
システムの動作に対して正確な方法でFPC 352を経てセンサアレイ306(CM
OS、CCD、または他のタイプのセンサアレイ)に光を透過させるために、正確な方法
で電極356、358間に電圧が印加され得る。この電気的に変調された光により、場面
の全体像を収集することに加え、距離の特定も可能となる。印加電圧は、例えば、一方の
電極358に接続された電圧ランプであり得、他方の電極356は接地されている。横型
構成においては、2つ以上の電極が用いられ得る。電極356、358は、EO材料のセ
グメント間に設けられた薄い導電層、EO材料層間の溝内の導電性材料、またはEO材料
354の上面および下面上の導体ストリップから成り得る。
【0068】
電気光学材料354は、電気光学ポリマー、電気光学結晶、もしくは電気光学セラミッ
ク、または本明細書に開示されている組み合わせなど、任意の適切な組み合わせを含み得
る。
【0069】
いくつかの実施形態においては、
図7および
図8の各センサ300、350が、
図1~
図4に関連して説明したとおり、本明細書に開示されたプロセッササブシステムおよび適
切な電圧ドライバ回路(単数または複数)に接続され得、それぞれFPC 304、35
2を介して入射光の変調を制御するとともに、センサアレイ306から出力される電子信
号を処理して3D情報を導出することもし得る。
【0070】
本明細書に記載されているFPCのいくつかの実施形態において、電極および電極導電
層は、屈折率がEO材料とほぼ整合しており、0.0001、0.001、または0.0
1を超える単位で変化しないようになっている。本明細書に記載されているFPCのいく
つかの実施形態においては、材料(EO材料と導電性材料)の屈折率が整合していない。
【0071】
図9は、「低フィネス」のファブリペローキャビティと「高フィネス」のファブリペロ
ーキャビティの例示的な光透過率を電圧の関数として表したグラフ400である。このグ
ラフは、FPC変調器を使用することの利点を示しており、電極、電気光学材料、および
厚さの具体的な構成によって異なり得るが、印加された駆動電圧が比較的低い低フィネス
のキャビティでも、比較的低い電圧で高コントラストの透過率(例えば、80%以上)を
実現することができる。
【0072】
図10は、「低フィネス」のファブリペローキャビティと「高フィネス」のファブリペ
ローキャビティの例示的な光透過率を光入射角の関数として表したグラフ450である。
透過率は、電極、電気光学材料、厚さなどの具体的な構成によって異なり得る。ただしこ
の構成においては、低フィネスのキャビティであっても、比較的低い入射角で高コントラ
ストの透過率(例えば、80%)が実現され得る。
【0073】
図11は、ポッケルスセルなど、別の例示的な縦型電気光学変調器(EOM)500を
示す断面模式図である。EOM 500は、11枚の透明電極504、506の間に挟ま
れた10枚のEO材料502のウェハを含む。透明電極504、506は、本明細書に開
示されている透明電極材料のいずれでもあり得る。電極504、506のそれぞれに駆動
電圧が印加され得る。
【0074】
EO材料502は、縦型のEOM 500を形成する薄型ウェハにおいて使用される結
晶材料またはポーリングされた結晶性セラミック(EOおよびEOCe)であり得る。駆
動電圧を下げるためには、縦型のポッケルスセルを
図11に示すように重ねて変調層を形
成すれば良い。例えば、リン酸二重水素カリウム(KD*P)など、電気光学材料製の0
.5mm厚ウェハ10枚を重ねて、半波(オン―オフ状態間のコントラストが100%)
電圧が532nmで320Vになるように製造すれば良い。他の結晶厚または層数を使用
することもできる。例えば、EO材料製ウェハ層や、0.2mm以下または2mm以下の
ウェハ層を使用することができる。ニオブ酸リチウムなど、他の結晶性電気光学材料を代
わりに使用することもでき、他の電圧、波形、結晶厚を使用することもできる。
【0075】
この種の積層体500を製造する1つの方法が、フッ化マグネシウム(MgF
2)など
の複屈折補償材料の基板上にインジウムスズ酸化物(ITO)などの透明電極を蒸着し、
電気光学材料を挟むことである。これによってMgF
2-ITO-EO-ITO-MgF
2の層状構造となり、複屈折が補償される積層型の縦長ポッケルスセルを形成するには、
必要に応じてこの処理を繰り返せば良い。
図11に示す積層型変調器500は、任意の適
数の電極結晶サンドイッチ構造を備え得る。
【0076】
異なる結晶ウェハの光学軸は、0.5°以内に揃えられ得る。いくつかの実施形態にお
いては、光学軸を1°以内、または2°以内、もしくはそれ以上の角度以内に揃えること
ができる。同じ電圧信号を交流電極に供給することにより、各結晶素子に電圧を並列に印
加することができる。これらの素子は、1つおきに電圧が印加されるように電極接点を配
置するなど、適切な絶縁および機械的実装によって最もコンパクトにすることができる。
単結晶から成る積層アセンブリであっても、複屈折補償材料がアセンブリの窓(例えば、
透明電極によって生じる電界の外側に所在)として使用され、透明電極がその補償材料上
または変調器材料上に蒸着された場合に最もコンパクトになる。
【0077】
図11に示す変調器500などの積層型変調器は、
図2に示すような縦型電気光学変調
器用アレイ64や
図3の横型変調器用アレイ64など、光検知器アレイの前に配置するこ
とができ、代替として、マイクロレンズアレイ302とセンサアレイ306との間に統合
され得、
図7に示す縦型電気光学センサ用、および
図8に示す横型電気光学センサ用のF
PC 304および352の代わりとなり得る。
【0078】
いくつかの実施形態において、積層体500は、
図1~
図4および
図7~
図8に描かれ
たシステムのファブリペローキャビティの位相変調器として使用され得る。また、マイク
ロレンズアレイを使用しないセンサアレイ、および裏面照射型センサなど他のセンサアレ
イ構成にも使用できる。
【0079】
図12は、複数のマイクロレンズ558を有するマイクロレンズアレイ552の下また
は背後に縦型変調器554が形成されたモノリシックセンサ550の一例を示す断面模式
図である。変調器554は、感光性検知器アレイ556の前に所在する。上からの戻り光
または入射光は、マイクロレンズアレイ552によって収集される。
【0080】
変調器554は、本明細書に開示されている偏光変調器のいずれでもあり得、代替/追
加として、開示されているいずれかのファブリペロー型変調器であって、
図12に示す偏
光子層が本明細書の他の図面に示す反射層もしくは部分反射層またはコーティングに置き
換えられているファブリペロー型変調器を含み得る。開示されている横型変調器は、同様
にマイクロレンズアレイ552の前または後ろに所在し得る。
【0081】
例えば、いくつかの実施形態において、変調器層554は、透明導線560と組み合わ
された上側反射性コーティングと、電気光学(EO)材料562(例えば、本明細書に開
示されているいずれかの電気光学ポリマー(EOP)、電気光学結晶(EOC)、電気光
学セラミック(EOCe)など)と、下側反射性コーティング564として組み合わされ
た下側透明導線と、から成るファブリペローキャビティを含む。
【0082】
センサアレイ556は、光学的クロストークを避けるために、酸化物などの誘電体層で
あり得る光学的に不透明な遮蔽物568によって絶縁されたそれぞれのウェル566内に
所在する画素センサ570の配列を支持する半導体基板を含み得る。このセンサアレイは
、市販されているCCDまたはCMOS光センサアレイであり得る。
【0083】
図13は、マイクロレンズアレイ552の前または上に縦型変調器554が形成された
別の例示的なモノリシックセンサ600の断面模式図である。
【0084】
図7~
図8および
図12~
図13に描かれたセンサのいずれかに準拠したモノリシック
3Dセンサを構築する方法は、照射された側が前か後ろかに関係なく、平坦化された表面
を有するCMOSまたはCCDなどのセンサアレイから開始する。このファブリペローア
レイは、一連のリソグラフィ製造ステップを用いて、センサアレイ面に直接蒸着すること
ができる。酸化物または他の絶縁材料を備える絶縁層を、必須とされるいずれかの表面の
上に蒸着することができ、その後、ITO(インジウムスズ酸化物)などの導電性コーテ
ィングを施すことができる。ITO層の上には、EOP層をコーティングすることができ
る。EOP層の上方に第2のITO層を蒸着した後に、高分子偏光層を蒸着することがで
きる。必要であれば、最上位にマイクロレンズアレイを蒸着することができる。上記の材
料または製造方法は例示的なものであり、他の材料または製造方法も使用され得る。層の
順序は、反射性コーティングの外側にITOまたは同様の導電性コーティングを施し、電
気光学層と直接接触させ得るなど、異なることもあり得る。材料特性や加工要件によって
は、他のインタフェース層が必要になり得るが、結果的には、既存の微細加工プロセスに
合ったモノリシック積層となる。他の方法で構築された3Dセンサもあり得る。かかる構
造も、マイクロレンズ層の前に位置し得、より深く撮像アレイ構造に組み込まれ得る。例
えば、透明基板の片側に最上位の反射板が蒸着され得、反対側の面に最上位のITOコー
ティングが蒸着され得る。このコーティングされた基板は、センサアレイの上方に機械的
に位置付けることができる。他の同様の調整を、3Dセンサの製作および構築時に行うこ
とができる。
【0085】
本明細書に開示されている変調器、センサ、および一体型のモノリシックセンサシステ
ムは、米国特許第8,471,895(B2)号(本明細書では「’895特許」と称す
る)、2017年11月27日に出願された米国特許出願第15/823,482号、お
よび2017年12月28日に出願された第15/857,416号に開示されているも
のの少なくとも一部を含む3Dシステムにおいて、かつ/または3Dメソッドを実行する
目的で使用され得、米国特許第8,471,895(B2)号に関しては、参照により、
その全体が、完全に記載されているものとして本明細書に組み込まれる。両出願の主題は
、参照により、それらの全体が本明細書に記載されているものとして組み込まれる。
【0086】
本明細書に記載のセンサシステムは、コンパクトな3Dセンサを提供する。いくつかの
態様が、よりコンパクトなモノリシックセンサの機能を提供する。各光センサ画素または
画素グループの前の光場を変調して光信号に影響を及ぼすことにより、入射光場から時間
または深度情報(すなわち範囲情報)が、より効率良く取得され得る。
【0087】
’895特許に記載のシステムは、戻り光場を時間的に変調するのに、ポッケルスセル
などの変調器およびバルク電気光学材料を用いた。本明細書に開示された本システムでは
、光検知器アレイの前に薄型変調器を近接配置することにより、コンパクトな3D「チッ
プスケール」の距離推定センサを作成できるようにする。一実施形態において、この薄型
変調器は、感知アレイ上に薄型変調器を含めるために、感知アレイの製造に使用された製
造工程と同じ製造工程を用い得る。特に、電気光学材料の設計、配置、選択により、必要
な起動電圧を下げる。電圧を下げることにより、多くの用途に求められるサイズ、重量、
電力(低SWaP)および/または容積を減らすことができる。特に、消費電力の低減に
より、ハンドヘルドのデバイスやアプリケーションなど、小型デバイスにおいて使用され
得るチップスケールの撮像装置が実現される。
【0088】
いくつかの例示的なセンサシステムの構造および動作が、
図1~
図9に示されている。
以下の説明においては、
図7のセンサ300が参考例として使用されているが、開示され
ている他のセンサも同等に代替使用され得るものと理解されたい。例えば、
図7は、第1
の反射素子310と、電気光学材料314と、第2の反射素子318と、を有する一体型
センサシステム300を示している。センサ300が受けた入射戻り光を作成する目的で
場面を照らす外部起動された光源は図示されておらず、この光源は、関心対象の場面を照
らすために、本明細書に記載されたセンサシステムのいずれとも併用され得る。この光源
は、例えば100nS程度の短いパルスを発し得る。この光源は、十分な輝度を有する任
意の光源であり得る。一実施例において、この光源は、808nmの光を発するレーザー
ダイオードである。808nmは一例として挙げたに過ぎず、他の波長も使用され得る。
例えば、
図7のシステムは、各波長域に対応した素子を用いて、任意の紫外光、可視光、
近赤外光、短波長赤外光、長波長赤外光用に設計され得る。’895特許および2017
年12月18日に出願された「Driver Circuit Usable for
Supplying Pulsed Light Source」と題する米国特許出願
第15/845,719号(参照により、同出願の全体が本明細書に組み込まれる)に記
載された任意の光源などの光源が、いくつかの状況において、本明細書に開示されたシス
テムと併用され得る。
【0089】
(場面から反射または散乱した)戻り光場は、レンズレットアレイ(例えば、
図7のマ
イクロレンズアレイ302)を通過し、第1の反射体(例えば、反射性コーティング31
0)、および第1の導電体(例えば、ITOなどの透明電極であり得る上側導電性コーテ
ィング312)を通過する。この光はその後、2つの透明電極312、316(例えば、
上下の導電性コーティング)と下側反射体318(例えば、下側反射性コーティング)と
の間に挟まれた薄い変調材料314(例えば、縦型EO材料)を通過した後、最終的には
、感光性アレイ306、検知器、CCDアレイ、CMOSアレイ、または他の感光性検知
器アレイに着地する。
【0090】
変調層(例えば、縦型電気光学材料)は、電気光学ポリマー(EOP)、電気光学結晶
(EO)、電気光学セラミック(EOCe)、もしくは他の同様の電気光学材料、または
印加電圧で以て特性を変える材料で構成することができる。EOP、EO、またはEOC
e材料は、30pm/V、50pm/V、100pm/V、またはそれよりも高い電気光
学係数を有するため、かかる材料を使用することにより、変調器の電源オフ時とフル稼働
時との間で所望のコントラスト比を得るための起動電圧を下げることができる。かかる材
料は、時には薄さ1μmもしくは10μm、またはそれ以上の薄層で塗布することもでき
る。いくつかの実施形態に関しては、1μmよりも薄い層を使用することができる。EO
層の厚さは、これらの厚さを上回っても下回っても良い。材料と厚さは、変調器の静電容
量が1μF未満、100nF未満、10nF未満、または1nF未満となるように選択さ
れ得る。
【0091】
位相差およびそれによる変調をもたらす複屈折が生じるように製造されているEO変調
層に関しては、非正規の入射角で伝搬する光線が正規の入射角の光線とほぼ同量の位相差
を受けるように軸外複屈折を補償するための補償手段を含めることができる。複屈折を補
償するために、EOC、EOCe、またはEOPは、第1のEOC、EOCe、またはE
OP層と複屈折の符号が逆であるEO活性材料または非EO活性材料の層を1つ以上有す
るように製作することができる。追加/代替として、他の非電気光学活性ポリマー、結晶
、またはセラミックは、物理的応力または他の手段によって誘発された複屈折を有するこ
とができる。かかる複屈折補償層は、変調層に追加することができ、電気光学的に活性で
なければ電極間に追加されるか、または電極間の領域に対して外部に追加されるが、依然
としてセンサシステムの光路内である。いくつかの実装形態に関しては、より薄いEOC
、EOCe、またはEOP層を使用することによって複屈折の影響に対処することができ
る。ファブリペロー設計を使用した他の実装形態に関しては、Qまたは共振品質を小さく
して、複屈折または他の欠陥に対するシステムの感度を下げることができる。
【0092】
次に、適切なEOP、EO、およびEOCeのいくつかの実装形態について説明する。
各実装形態は、
図7および
図8に示されているセンサシステム300、350など、本明
細書に開示されているセンサシステムのいずれにおいても使用され得る。
【0093】
開示されているセンサは、本質的には、従来のTOF 3Dカメラが有する時間センシ
ング手法を、従来のようなCMOSセンサアレイの背後にある電子機器ではなく、CMO
Sセンサアレイの前にある光学系に入れる。一部の電気光学ポリマー、電気光学セラミッ
ク、および電気光学結晶は、従来の結晶材料に比べて最大40倍の電気光学反応を有する
材料の類である。かかるポリマー、セラミック、および結晶は、KH2PO4、KD2P
O4、LiNbO3、またはLiTaO3を含み得る。これらの材料は、駆動電圧が比例
的に低下する。ポリマーの場合には、セラミックや結晶とは異なる方法で塗布することが
できる。また、製造を簡便化するためのスピンコーティングによる塗布も可能である。選
択した材料に応じて、低複屈折、低温度感度、低誘電率など、他の性能上の利点も得られ
る。
【0094】
電気光学ポリマーや電気光学セラミックの場合には、これらの材料が、PMMA(ポリ
(メチルメタクリレート))などの有機ポリマーマトリクスなど、基材に添加される特殊
な化合物であるのが典型的である。この基材は、屈折率に合わせて選択され得るため、(
屈折率が一般に高い)セラミック材料は、異なる基材を使用する。他のポリマー基材を使
用することもできる。効果的であるためには、印加された「ポーリング」電圧を高温(1
50~200℃、場合によってはその前後)で用いて一部の材料内の分子を共通軸に揃え
、電気光学係数r33または他の係数を最大化する必要がある。開示されているモノリシ
ックセンサに関しては、製造工程において、まさにその高温での動作に使用されるのと同
じITOまたは他の電極を用いてポーリング電界を印加することができる。いくつかの実
施形態においては、このポーリング電界が、動作中の電極(ITO電極など)によって形
成される電界方向とは異なる方向に印加され得る。場合によっては、ポーリング電極は一
時的であり得、動作前に取り外され得る。いくつかの実施形態においては、ポーリング電
界と変調電界の方向が同じである。
【0095】
電気光学材料をポーリングするプロセスは、ポリマーであっても、セラミックであって
も、結晶であっても、ポーリングされた電気光学材料の分野における公知のプロセスであ
り得る。結晶材料は、もとより長距離秩序を有する。この秩序は、非中心対称性という性
質を含み得る。EO材料(ポリマー、セラミック、または結晶)は、ポッケルス効果や一
次電気光学効果を発揮するために、非中心対称的であるべきである。セラミックは長距離
秩序を有するのが典型的だが、セラミックの「粒」の中に限られる。セラミック基板を成
すセラミック粒子の集合体は、非中心対称性を有することを保証するものではない。最後
に、ポリマーは、固有の長距離秩序を有することも有しないこともある。
【0096】
EO材料、特にポリマーやセラミックの問題点は、秩序がないことである。非中心対称
の秩序を誘発するために、材料は「ポーリング」処理によって処理されるのが典型的であ
る。所望される電気的特性は、非中心対称の材料にしか見つからない。自然発生する可能
性のある「中心対称性」を崩すには、ポリマーやセラミック、時には結晶材料を偏光させ
る必要がある。その偏光は、双極子および/またはドメインの配向、不均質なポリマー材
料における電荷層の蓄積、およびその両効果の組み合わせによって生み出すことができる
。材料内で双極子配向を実現するには、ポリマーフィルムまたは層の表面間に十分に高い
電界を印加する必要がある。サンプルの厚みをまたぐ電界を生成する方法は各種ある。内
部電界は、コロナ放電でポリマーを帯電させること、電極を直に接触させて、両面が金属
化されたサンプルをポーリングすること、電子ビームで電荷層を堆積させること、または
液体接触で表面を帯電させることによって生成される。場合によっては、ポリマー(かか
るポリマーの1つが、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)と称されるもので、化学記号は
[C2H2F2]n)が天然の強誘電体であり、その場合には、電圧が印加されたときに
温度が一定の温度より高くなる必要がある。この温度は、強誘電体転移温度と称される。
材料に適した電圧を印加すると、冷却時にその材料が非中心対称配向になる。ポリカーボ
ネートから成る基材ポリマーに35重量%の双極性フェニルテトラエン発色団(SEO1
00とも称される)をドープした材料など、他の材料が、約150℃の温度で235Vの
ポーリング電圧を用いてポーリングされる。SEO100は一例として挙げられているに
すぎない。また、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、セルロースアセテート
、ポリエチレンなどの基材ポリマーから成る他の複合ポリマーを、同じまたは代替の発色
団や発色団の混合物を添加することよってポリマーを改変することもでき、それによって
SEO100と同様の挙動になった後にポーリングすることも可能である。これらのポー
リング可能ポリマーは、それらの特定実体に固有の特性(ポーリング電圧およびポーリン
グ温度)を有する。それらの実体の製造(ポーリング)と電極の塗布が完了すると、材料
はファブリペローキャビティ内の位相変調器として使用できるようになる。
【0097】
上記EO材料は、本明細書に開示されている変調器またはセンサシステムのいずれにお
いても使用され得る。加えて、いくつかの実施形態においては、画像センサの平坦化層上
に、または画像センサ製造工程における他のステップで、もしくは光センサまたはセンサ
アレイにエポキシまたは他の工程で取り付け可能な別の基板上に、エピタキシャル成長し
得る他の材料が使用され得る。これらの成長材料の一部においては、種々のエッチングス
テップまたは基板準備によってパターンを作成して、様々な結晶軸(またはそれに相当す
るもの)配向に材料を成長させることができる。
EOポリマーを使用した位相変調器(ファブリペロー変調器)
【0098】
図1~
図2および
図7に示すFPC構造に関しては、電気光学ポリマー材料(EO材料
32、314として使用)の位相変化量Δφが、電気光学係数に対して次の関係を有する
。
[等式1]
【数1】
式中、nはポリマーの屈折率、rijは電気光学係数、λは光の波長、lは伝搬方向の
厚み、dは印加電圧Vの方向の厚みである。FPCを縦方向に励磁する場合には、材料の
厚みlが、電圧が印加される距離dと同じである。横方向に励磁する構成の場合には、l
がdとは異なり得る。
【0099】
必要な振幅変調は、EOポリマーを反射層で囲むことによって形成されたファブリペロ
ーキャビティを使用して得ることができる。この場合、ファブリペロー変調器の対応透過
強度Tは、次式によって求められる。
[等式2]
【数2】
【0100】
式中、Fは、エタロンの反射率Rに対するフィネス係数4R/(1-R)2である。薄
膜エタロンの場合、フィネスが、入射角および温度に対する相対的な無感応性を維持しな
がら100超になり得る(0次波長板と多次波長板との間の感度差に類似する)。
【0101】
いくつかの構成においては、PVDFやSEO100など、ポーリングされたポリマー
が、横型または縦型電極を有して作られる。ポリマーがファブリペローキャビティに配置
されると、外部印加電圧が印加される。その結果、入射光が直接変調される。
図1~
図8
のいずれにも示すように構成されたかかるFPCを使用することにより、このタイミング
調整された光変調を用い、´895特許に開示されている方法で距離を確定することがで
きる。なお、同特許は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0102】
縦型および横型電気光学ファブリペローモノリシックセンサ300、350の例が、図
7および
図8にそれぞれ示されている。これらのセンサ300、350において、従来の
シリコンベースのCMOSセンサアレイ306の既存のSiO
2パッシベーション層32
8の上に追加コーティングが薄層で積層されている様子が図示されている。ファブリペロ
ーベースの変調器の場合、EOポリマー材料は、2つの反射性コーティング310、31
8の間に位置付けられ得、いくつかの実施形態においては、各反射性コーティングが、フ
ィネスが160の場合で約85%という固有の反射率を有し、他の実施形態においては、
フィネスが1000の場合で約94%という反射率を有する。0%~100%の範囲に属
する他の反射率値も使用され得る。
【0103】
上に列記したフィネスの場合に、得られたFPC層304の光透過率を印加電圧の関数
として縦型変調器の係数で表したものが
図9に示されており、電気光学係数は150pm
/Vである。この電圧は、透明電極層を使用して、センサの開口をまたいで均一に印加さ
れ得る。酸化インジウムスズ(ITO)は、透明導電性コーティングに広く用いられる材
料である。IZTOなどの導電性酸化物や、金(または他の金属)のメッシュ、透明また
は半透明の薄い金属層など、ITOの代わりに、(導電性を持ちながらも光を透過する)
他の透明電極も使用され得る。
【0104】
ファブリペローエタロンは、内部に入射した光電界の角度に感応し得る。この角度感度
のために、これまでは一部の用途でファブリペロー電気光学変調器が使えなかった。本明
細書に開示されているセンサシステムおよび変調器においては、エタロンの厚みが約0.
0012mm(1.2ミクロンまたは1.2e-06m)であり得る。この構成において
は、
図10に示すとおり、受光角が14°および20°のFWHMを実現することができ
る。これは、F3.5およびF2.7のレンズの角度許容度に相当する。
【0105】
また、本明細書に記載されているセンサのファブリペローキャビティには薄層が使用さ
れているため、温度感度も同様に大きく低減され得る。この低f#(角度受容性)ことに
より、2D画像上の各画素の距離を測定するためのセンサシステムおよび変調器が、3D
(位置+距離)データを直接生成できるようになる。そのため、本明細書に開示されてい
るセンサシステムおよび/または変調器は、チップレベルの3D測定カメラをはじめとす
る新たな用途を可能にし得る。
【0106】
いくつかの実施形態においては、縦方向のファブリペローキャビティ変調を作動させる
のに、808nmで34~70Vしか要しない場合がある。これは、開示されたファブリ
ペローキャビティセンサシステムおよび変調器を用いない既存のポッケルスセル変調器に
対して100倍の向上である。
【0107】
本明細書に開示されているモノリシック3Dセンサ(センサシステム)のファブリペロ
ーEO変調器は、約30Vで80%超の変調深度を実現することができる。EOポリマー
は薄い(約1.2μm)ため、角度許容度も高い。
図7~
図8および
図12~
図13に示
すとおり、CMOSセンサアレイの既存のSiO2パッシベーション層の上に蒸着された
薄膜の積層体を使用して、変調器機能を実現することができる。
【0108】
加えて、照明パターンまたは表面反射率のばらつきを考慮するために、開示されている
センサシステムのいずれにおいても使用されている同じ光学系によって正規化画像を作成
することもできる。そのために、ファブリペローセンサシステムの反射層を、各画素の真
上に配置されたカラーセンサのカラーフィルタがパターン化されたのと同じように、空間
的にパターン化することができる(例えば、ベイヤーパターン、チェッカーボードパター
ン、または他の既定パターン)。ファブリペロー変調が使用される場合には、印加電圧に
よって変調が起こらず、入射光のほぼすべてが画素に透過するように、1つおきの画素ま
たはその他の適切なパターンが、EOポリマーまたはEO材料の上および/または下に反
射防止層または無反射層を有し得る。いくつかの実施形態においては、一部の画素の上に
あるEO層の部分だけが印加電圧または電界を受けるようにITOがパターン化され得る
。このパターンは、画素単位で変調器層に形成され得るか、2つ以上の画素の群が特定の
パターン領域(パターンの非変調領域または反射変調領域)に含まれる画素の群に基づい
て形成され得る。その後、変調された応答および変調されていない応答を、RGBカラー
が他の色の画素に対して補間される方法と同様の方法で、残りの半分の画素に対して補間
することができる。これは、開示されたセンサシステムの1つの特定追加構成である。
【0109】
代替として、正規化画像は、同じセンサと同じ画素または検知器を使用して、変調画像
よりも早かったり遅かったりなど、異なる時期に取得された第2の画像を使用して得られ
得る。このように、変調された画像と変調されていない画像や応答を時間的にインターリ
ーブする手法は、本明細書に記載されている変調方式のいずれにも使用することができる
。
【0110】
他の実施形態においては、変調器層が、´895特許に記載されている実施形態と多く
と同様、印加された電界の下で、偏光状態の変化をもたらす透過光の位相変化を誘導する
材料で構成され得る。かかる実施形態が
図12に示されている。偏光子層は、例えば、2
017年2月28日に出願された「3D Imaging System and Me
thod(3D結像システムおよび方法)」と題する米国特許出願第15/445,56
0号に記載されている偏光グリッドに関して開示された方法でパターン化され得るか、一
定の偏光子層やフィルムなどの構造体であり得る。なお、同出願は、その全体が参照によ
って本明細書に組み込まれる。かかる変調層は、上記のような縦型または横型電極配置を
用いて構成することができる。いくつかの実施形態においては、EO材料のポーリングが
必須であり、ポーリング電界の方向が変調電界と同じ方向である。いくつかの実施形態に
おいては、ポーリング電界が変調電界とは異なる方向であり得る。
ファブリペローキャビティ内の電気光学変調器の追加実施例
【0111】
以下、本明細書に開示されているFPCのいずれかなど、ファブリペローキャビティ内
で使用可能な1つ以上の電気光学変調器の特定の構造例および材料例について説明する。
これらの構造、材料、および変調器に関する追加情報が、2017年12月28日に出願
された「Wide Field of View Electro-Optic Mod
ulator and Methods and Systems of Manufa
cturing and Using Same」と題する米国特許出願第15/857
,263号に記載されており、同出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる
。
【0112】
第1の実施例として、光軸を有するファブリペローキャビティ内の電気光学変調器(E
OM)が、光を受けるように構成された第1の電気光学材料であって、第1の電気光学材
料を通過する光線が複屈折を起こさない方向を示す第1の光軸を有し、第1の光軸が変調
器の光軸と平行にならないように変調器内に位置付けられている第1の電気光学材料と、
第1の電気光学材料から出力された光を受けるように構成された半波板と、半波板から出
力された光を受けるように構成された第2の電気光学材料であって、第2の電気光学材料
を通過する光線が複屈折を起こさない方向を示す第2の光軸を有し、第2の光軸が変調器
の光軸と平行にならないように変調器内に位置付けられている第2の電気光学材料と、を
含み得る。変調器の各端にある電極が、縦型に構成されて含まれており、透過光のベクト
ルが印加電界とほぼ平行である。これらの電極は、電界が変調器の光軸に対して概して横
方向になるように構成され得る。
【0113】
第1の光軸は、変調器の光軸と直交し得る。第2の光軸は、第1の光軸とは反対の方向
を向き得る。
【0114】
例えば、第1の光軸は変調器の光軸と直交し得、第2の光軸は変調器の光軸と直交し得
、第2の光軸は第1の光軸と反対の方向を向く。
【0115】
ファブリペローキャビティ内の第2の例示的EOMは、光軸を有するEOMを含み得る
。このEOMは、光を受けるように構成された第1の電気光学材料であって、第1の電気
光学材料を通過する光線が複屈折を起こさない方向を示す第1の光軸を有し、第1の光軸
が変調器の光軸と平行にならないように変調器内に位置付けられている第1の電気光学材
料と、第1の電気光学材料から出力された光を受けるように構成された第1の半波板と、
半波板から出力された光を受けるように構成された第2の電気光学材料であって、第2の
電気光学材料を通過する光線が複屈折を起こさない方向を示す第2の光軸を有し、第2の
光軸が変調器の光軸と平行にならないように変調器内に位置付けられている第2の電気光
学材料と、第2の電気光学材料から出力された光を受けるように構成された第3の電気光
学材料であって、第3の電気光学材料を通過する光線が複屈折を起こさない方向を示す第
3の光軸を有し、第3の光軸が変調器の光軸と平行にならないように変調器内に位置付け
られている第3の電気光学材料と、第3の電気光学材料から出力された光を受けるように
構成された第2の半波板と、第2の半波板から出力された光を受けるように構成された第
4の電気光学材料であって、第4の電気光学材料を通過する光線が複屈折を起こさない方
向を示す第4の光軸を有し、第4の光軸が変調器の光軸と平行にならないように変調器内
に位置付けられている第4の電気光学材料と、を含む。
【0116】
第2のEOMにおいては、第2の光軸が第1の光軸と反対の方向を向き得、第3の光軸
が第4の光軸と反対の方向を向く。
例えば、第1の光軸は変調器の光軸と直交し得、第2の光軸は変調器の光軸と直交し得、
第3の光軸は変調器の光軸と直交し得、第4の光軸は変調器の光軸と直交し得、第2の光
軸は、第1の光軸とは反対の方向を向き得、第3の光軸は、第4の光軸とは反対の方向を
向き得る。
【0117】
各EOM例において、EO材料の厚みは同じくらいであり得、代替として、それぞれの
厚みが異なり得る。各EO材料の厚みは、それぞれ10μm以下であり得る。例えば、E
O材料のうちの1つ以上の厚みは、1μm未満であり得る。
【0118】
半波板は0次波板であり得、この半波板は、有効な0次波板を作るための波板の組み合
わせである。半波板は、旋光器を作るための0次半波板の組み合わせである。
電気光学(EO)材料例
【0119】
本明細書に開示されたFPCなど、開示されたEOMおよび変調器においては、任意の
適切な電気光学材料が使用され得る。EO材料は、例えば、ニオブ酸リチウム(LiNb
O3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、またはリン酸二水素カリウム(KD*P
)結晶であり得る。これらはすべて、負の複屈折を有する一軸性結晶である。
【0120】
他の材料も電気光学材料に使用され得る。これらの材料は、例えば、ニオブ酸リチウム
(LiNbO3)、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、またはリン酸二水素カリウム
(KDP)結晶の等構造類似材料または固溶体であり得る。例えば、ニオブ酸リチウムと
タンタル酸リチウムとの間には固溶体が存在する。LiNbxTa(1-x)O3(xは
0と1と間の数、すなわち0≦x≦1の数)という組成を有するいずれの材料も適切な材
料であり得る。
【0121】
電気光学材料に使用され得る他の材料としては、リン酸二水素カリウムおよびその異性
体が挙げられる。リン酸二水素カリウムに関しては、水素が重水素に置換された固溶体が
存在する。KH2xD2(1-x)PO4(xは0と1との間の数、すなわち0≦x≦1
の数)であるいずれの固溶体も適切な材料であり得る。KD*P(KD2P04)(KD
*Pは、DKDP、重水素化リン酸二水素カリウム、またはリン酸二水素カリウム一塩基
性とも称される)が電気光学材料に使用され得る。これらの材料は、代替として、KDP
またはKD*Pの同形である材料の固溶体から成り得る。例えば、NH4、Rb、および
CsがKの、AsがPの代替となり得る。これらの等構造の変種はすべて、EOM 10
の適切な材料であり得る。DKDPに対する等構造材料は、一般式AxByCzH2rD
2(1-r)FsG(1-s)O4を有する化学物質群から概して成り、式中、x+y+
z=1、0≦r≦1、0≦s≦1であり、A、B、Cは、NH4、K、Rb、Csの元素
またはイオンから選択され、Hは水素、Dは重水素であり、FおよびGは、リンまたはヒ
素のイオンから選択される。例えば、y=z=r=s=0かつA=Kで、G=Pの場合、
記載の化合物は、材料KD2PO4である。
【0122】
電気光学材料に使用され得る他の材料としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)また
はPZTと同構造の材料から成る群から選択された材料が挙げられる。かかる群は、酸化
物強誘電体の一般式Pb[ZrxTi1-x]O3を有する化学物質から成り、式中、0≦
x≦1である。
【0123】
電気光学材料に使用され得る他の材料としては、酸化物強誘電体の一般式AxByCz
FO3から選択される任意の材料、結晶またはセラミックが挙げられ、式中、x+y+z
=1である。A、B、およびCは、元素またはイオンBa、Sr、Ca、Mg、Pb、B
iから選択される。Fは、元素またはイオンTi、Zr、または各元素間の部分固溶体か
ら選択される。使用され得る一般的な電気光学半導体化合物であるBaTiO3は、この
一般式から得られ、式中、A=Ba、F=Ti、x=1、y=z=0である。
【0124】
電気光学材料に使用され得る他の材料としては、半導体の一般式(AxByCz)(D
qErFs)から選択される任意の材料、結晶またはセラミックが挙げられ、式中、x+
y+z=1かつq+r+s=1である。A、B、およびCは、元素またはイオンGa、I
n、またはAlから選択され、D、E、およびFは、P、As、またはSbからそれぞれ
選択される。使用され得る電気光学材料は、この一般式から得られる半導体化合物GaA
sであり、A=Ga、D=As、x=1、q=1、x=y=r=s=0である。
【0125】
電気光学材料に使用され得る他の材料としては、半導体の一般式(AxByCz)(G
qHrLs)から選択される任意の材料、結晶またはセラミックが挙げられ、式中、x+
y+z=1かつq+r+s=1である。A、B、およびCは、元素またはイオンZn、C
d、Hgから選択され、G、H、Lは、S、Se、Teからそれぞれ選択される。使用さ
れ得る例示的電気光学材料は、この一般式から得られる半導体化合物および電気光学材料
CdSであり、A=Cd、G=S、x=1、q=1、x=y=r=s=0である。
【0126】
電気光学材料に使用できる他の材料としては、一般式AIO3から選択される任意の材
料、結晶またはセラミックが挙げられ、式中、Aは元素またはイオンH、Li、K、Rb
、Csから選択される。例えば、ヨウ素酸カリウムと称される強誘電体KIO3が使用さ
れ得、式中、A=Kである。
【0127】
電気光学材料に使用できる他の材料としては、強誘電体ポリマーの一般式から選択され
る任意の材料、結晶またはセラミックが挙げられる。かかるポリマーは、(CH2CF2
)nとも表記されるポリフッ化ビニリデンもしくは(PVDF)、または(CH2CF2
)x(CHFCF2)(1-x)もしくは(VDF)x(TRFE)(1-x)(0≦x
≦1)とも表記されるフッ化ビニリデン-トリフルオロエチレン共重合体を含むが、これ
らに限定されるものではない。
【0128】
電気光学材料に使用され得る他の材料としては、液晶や、まだ発明されていない他の材
料などが挙げられ得る。材料の配置や印加電圧は、材料およびシステムの要件に基づいて
決定される。
【0129】
第1の電気光学材料と第2の電気光学材料は、同じ材料であり得る。代替として、電気
光学材料はそれぞれ異なる材料であり得る。これらの材料には、上記の材料の任意の適切
な組み合わせが使用され得る。
【0130】
あるEO材料例は複屈折であり得るが、これらのEO材料は、代替として、GaAsな
どの立方体対称材料の場合や、複屈折を小さくした一軸性または二軸性材料の場合など、
場合によっては小さいかゼロである複屈折を有し得る。例えば、これらのEO材料の一方
または両方が複屈折を有しない場合もある。代替として、これらのEOMは、2枚のスラ
ブ状のEO材料ではなく、複屈折がわずかまたは皆無である単一のEO材料を有し得る。
【0131】
追加/代替として、これらのEO材料は、ポーリングされた汎用のポリマーを含み得る
。かかるポリマーは、SEO100を含み得るが、これに限定されるものではない。
【0132】
実施例によっては、本明細書に記載されているいずれの方法についても、特定の行為ま
たは事象を異なる順序で行うことができ、追加、統合、またはまとめて省略できるものと
理解すべきである(例えば、記載されているすべての行為または事象が、その方法の実施
に必要とは限らない)。さらに、特定の実施例においては、行為や事象が、順次ではなく
、マルチスレッド処理や複数のプロセッサなどを通じて同時に実行され得る。加えて、本
開示の特定の態様が、明瞭化のために単一のモジュールまたはコンポーネントによって実
行されるものとして記載されているが、本開示の技法は、記載された特定の実装形態と関
連付けられたコンポーネントまたはモジュールの任意の適切な組み合わせによって実行さ
れ得るものと理解すべきである。
【0133】
先述の記載内容は例示的であり、制限的ではない。特定の例示的実施形態について説明
してきたが、当業者であれば、先述の教示を鑑み、本発明にまつわる他の実施形態、組み
合わせ、および変更を容易に案出するであろう。そのため、本発明は、開示された実施形
態の少なくとも一部を網羅する以下の請求項によってのみ限定され、上記の明細書および
添付図面と併せて参照すると、他のかかる実施形態および修正をすべて網羅する。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3D撮像システムであって、
入射光を受ける第1の部分反射面と、光が出射する第2の部分反射面と、を有するファブリペローキャビティと、
前記第1の部分反射面と前記第2の部分反射面との間の前記ファブリペローキャビティ内に配置された電気光学材料であって、前記入射光の少なくとも一部が前記電気光学材料を通過するように構成された電気光学材料と、
前記電気光学材料内で電界を作り出すように構成された複数の電極と、
前記電気光学材料内の前記電界を時間の関数として変調するように構成されており、前記電気光学材料を通過する前記入射光が所定の変調波形に従って時間的に変調されるように、前記電極のうちの少なくとも1つと接触している電圧ドライバと、
前記ファブリペローキャビティの前記第2の部分反射面から出射する光を受け、前記光を1つ以上の電子信号に変換するように構成された光センサと、を備える3D撮像システム。
【外国語明細書】