IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝デバイス&ストレージ株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-半導体装置 図1
  • 特開-半導体装置 図2
  • 特開-半導体装置 図3
  • 特開-半導体装置 図4
  • 特開-半導体装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125324
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/48 20060101AFI20240910BHJP
   H01L 25/04 20230101ALI20240910BHJP
   H01L 33/56 20100101ALI20240910BHJP
   H01L 31/12 20060101ALI20240910BHJP
   H03K 17/78 20060101ALI20240910BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H01L23/48 Y
H01L23/48 F
H01L25/04 Z
H01L33/56
H01L31/12 C
H03K17/78 F
H01L23/02 F
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024095679
(22)【出願日】2024-06-13
(62)【分割の表示】P 2021023980の分割
【原出願日】2021-02-18
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】井上 一裕
(72)【発明者】
【氏名】野口 吉雄
(72)【発明者】
【氏名】竹下 篤史
(72)【発明者】
【氏名】長内 俊英
(57)【要約】
【課題】内部応力による半導体チップの破損を防ぐ半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、発光素子と、受光素子と、入力側端子と、スイッチング素子と、前記スイッチング素子がマウントされたマウントベッドおよび出力側端子を含むリードと、前記発光素子、前記受光素子、前記スイッチング素子および前記マウントベッドを封じた樹脂パッケージと、を備える。前記受光素子および前記スイッチング素子は、前記発光素子から前記受光素子に向かう第1方向と交差する第2方向に並ぶ。前記樹脂パッケージは、前記入力側端子を延出させた第1側面と、前記出力側端子を延出させた第2側面と、前記第1、第2側面につながる第3側面と、を含む。前記スイッチング素子は、前記第1、第2側面の間の中央に位置する。前記マウントベッドは、前記第3側面に対向し、前記第2方向において、前記出力側端子の側面の位置よりも前記樹脂パッケージの中心側に寄った側面を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子に電気的に接続された入力側端子と、
前記発光素子に対向する位置に設けられた受光素子と、
前記受光素子に電気的に接続された第1スイッチング素子であって、前記受光素子および前記第1スイッチング素子は、前記発光素子から前記受光素子に向かう第1方向と交差する第2方向に並ぶ、第1スイッチング素子と、
前記第1スイッチング素子がマウントされた第1マウントベッド、および、前記第1スイッチング素子に電気的に接続された第1出力側端子を含む第1リードと、
前記発光素子、前記受光素子、前記第1スイッチング素子および前記第1リードの前記第1マウントベッドを封じた樹脂パッケージであって、前記入力側端子を延出させた第1側面と、前記第1側面の反対側に設けられ、前記第1出力側端子を延出させた第2側面と、前記第2方向と交差する第3側面と、を含む樹脂パッケージと、を備え、
前記樹脂パッケージの前記第1側面および前記第2側面は、前記第2方向に沿って延在し、
前記第1スイッチング素子は、前記第1側面から前記第2側面に向かう第3方向において、前記第1側面と前記第2側面との間の中央に封じられ、
前記第1リードは、前記第1出力側端子の前記第2方向と交差する側面と、前記樹脂パッケージの前記第3側面に対向する前記第1マウントベッドの側面と、を有し、
前記樹脂パッケージは、
前記発光素子、前記受光素子、前記第1スイッチング素子及び前記第1マウントベッドを封じ、前記発光素子の発光を透過する第1樹脂と、
前記第1樹脂を覆い、前記第1側面、前記第2側面、前記第3側面を有して前記発光を遮蔽する第2樹脂と、
を有し、
前記第2方向における前記第1樹脂と前記第2樹脂との界面と前記第1マウントベッドの前記側面との距離は、前記界面と前記第3側面との距離よりも長い、半導体装置。
【請求項2】
前記第1出力側端子の前記側面の位置は、前記第2方向において、前記第1マウントベッドの前記側面の位置と前記第3側面との間に位置する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記樹脂パッケージの前記第3側面と前記第1スイッチング素子との間隔は、前記樹脂パッケージの前記第1方向の厚さの2分の1よりも広い請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記樹脂パッケージの前記第1側面と前記第1スイッチング素子との間隔は、前記樹脂パッケージの前記第2側面と前記第1スイッチング素子との間隔に等しい請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記樹脂パッケージ内に封じられ、前記受光素子に電気的に接続された第2スイッチング素子と、
前記第2スイッチング素子がマウントされた第2マウントベッドと、前記第2スイッチング素子に電気的に接続された第2出力側端子と、を含む第2リードと、
前記受光素子がマウントされた第3リードと、
をさらに備え、
前記第1リード、前記第2リードおよび前記第3リードは、前記第2方向に並び、
前記第3リードは、前記第1リードと前記第2リードとの間に設けられ、
前記第2マウントベッドは、前記樹脂パッケージ内に封じられ、
前記第2出力側端子は、前記樹脂パッケージの前記第2側面から延出し、
前記樹脂パッケージは、前記第2方向において前記第3側面と対向する第4側面を有し、
前記第2リードは、前記第2出力側端子の前記第2方向と交差する側面と、前記樹脂パッケージの前記第4側面に対向する前記第2マウントベッドの側面と、を有し、
前記第2マウントベッドの前記側面は、前記第2方向において、前記第2出力側端子の前記側面の位置よりも前記樹脂パッケージの中心側に寄った位置に設けられ、
前記第2スイッチング素子は、前記第1側面から前記第2側面に向かう第3方向において、前記第1側面と前記第2側面との間の中央に封じられる請求項1~4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記発光素子がマウントされ、前記入力側端子に電気的に接続された第3マウントベッドであって、前記樹脂パッケージ内に封じられ、前記第1方向において前記第3リードと対向する第3マウントベッドをさらに備え、
前記発光素子と前記受光素子は、前記第3マウントベッドと前記第3リードとの間において相互に対向するように配置される請求項記載の半導体装置。
【請求項7】
前記樹脂パッケージ内に封じられ、前記第1方向において前記第1リードの前記第1マウントベッドと対向する第1金属板と、
前記樹脂パッケージ内に封じられ、前記第1方向において前記第2リードの前記第2マウントベッドと対向する第2金属板と、
をさらに備え、
前記第1金属板と前記第2金属板と前記第3マウントベッドは、前記第2方向に並び、
前記第3マウントベッドは、前記第1金属板と前記第2金属板との間に設けられる請求項記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1リードの前記第1マウントベッド、前記第2リードの前記第2マウントベッドおよび前記第3リードのそれぞれの前記第2方向の幅の和は、前記第1金属板、前記第2金属板、および、前記第3マウントベッドのそれぞれの前記第2方向の幅の和と略同一である請求項記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高電圧、高電流下で使用される半導体チップは、電流容量を大きくするために大面積化される。このような半導体チップを樹脂封止した半導体装置では、パッケージ材料の熱膨張係数の差に起因した内部応力により、半導体チップが破損されることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-165621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
実施形態は、内部応力による半導体チップの破損を防ぐ半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、発光素子と、前記発光素子に電気的に接続された入力側端子と、前記発光素子に対向する位置に設けられた受光素子と、前記受光素子に電気的に接続された第1スイッチング素子と、前記第1スイッチング素子がマウントされた第1マウントベッドおよび前記第1スイッチング素子に電気的に接続された第1出力側端子を含む第1リードと、前記発光素子、前記受光素子、前記第1スイッチング素子および前記第1リードの前記第1マウントベッドを封じた樹脂パッケージと、を備える。前記受光素子および前記第1スイッチング素子は、前記発光素子から前記受光素子に向かう第1方向と交差する第2方向に並ぶ。前記樹脂パッケージは、前記入力側端子を延出させた第1側面と、前記第1側面の反対側に設けられ、前記第1出力側端子を延出させた第2側面と、前記第2方向と交差する第3側面と、を含む。前記第1側面および前記第2側面は、前記第2方向に沿って延在する。前記第1スイッチング素子は、前記第1側面から前記第2側面に向かう第3方向において、前記第1側面と前記第2側面との間の中央に封じられる。前記第1リードは、前記第1出力側端子の前記第2方向と交差する側面と、前記樹脂パッケージの前記第3側面に対向する前記第1マウントベッドの側面と、を有し、前記第1マウントベッドの側面は、前記第2方向において、前記第1出力側端子の前記側面の位置よりも前記樹脂パッケージの中心側に寄った位置に設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体装置を模式的に示す斜視図である。
図2】実施形態に係る半導体装置を示す模式図である。
図3】実施形態に係る半導体装置の構成を示す模式図である。
図4】実施形態に係る半導体装置の特性を示す模式図である。
図5】実施形態の変形例に係る半導体装置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。図面中の同一部分には、同一番号を付してその詳しい説明は適宜省略し、異なる部分について説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
【0008】
さらに、各図中に示すX軸、Y軸およびZ軸を用いて各部分の配置および構成を説明する。X軸、Y軸、Z軸は、相互に直交し、それぞれX方向、Y方向、Z方向を表す。また、Z方向を上方、その反対方向を下方として説明する場合がある。
【0009】
図1は、実施形態に係る半導体装置1を模式的に示す斜視図である。半導体装置1は、例えば、フォトカップラを含むフォトリレーである。
【0010】
半導体装置1は、第1スイッチング素子10と、第2スイッチング素子20と、受光素子30と、発光素子40と、樹脂パッケージ50と、入力側端子60a~60hと、出力側端子70a、70b、80a、80bと、を備える。第1スイッチング素子10および第2スイッチング素子20は、例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0011】
第1スイッチング素子10、第2スイッチング素子20、受光素子30および発光素子40は、樹脂パッケージ50の内部に封止られる。入力側端子60a~60hおよび出力側端子70a、70b、80a、80bは、それぞれ樹脂パッケージ50から延出するように設けられる。
【0012】
図2(a)および(b)は、実施形態に係る半導体装置1を示す模式図である。図2(a)は、樹脂パッケージ50の内部構成を示す模式平面図である。図2(b)は、図2(a)中に示すA-A線に沿った断面図である。
【0013】
図2(a)に示すように、半導体装置1は、第1リード70、第2リード80および第3リード90を備える。第1リード70、第2リード80および第3リード90は、例えば、銅もしくは鉄ニッケル合金を含む金属板である。
【0014】
第1リード70、第2リード80および第3リード90は、樹脂パッケージ50の内部に封止される。第1リード70の一部は、出力側端子70aおよび70bとして、樹脂パッケージ50の外部に延出する。第2リード80の一部は、出力側端子80aおよび80bとして、樹脂パッケージ50の外側に延出する。
【0015】
第1リード70は、例えば、マウントベッド70mを含む。第1スイッチング素子10は、マウントベッド70mの下面上にマウントされる。出力側端子70aおよび70bは、マウントベッド70mを介して、第1スイッチング素子10に電気的に接続される。
【0016】
第2リード80は、例えば、マウントベッド80mを含む。第2スイッチング素子20は、マウントベッド80mの下面上にマウントされる。出力側端子80aおよび80bは、マウントベッド80mを介して、第2スイッチング素子20に電気的に接続される。
【0017】
第3リード90は、第1リード70と第2リード80との間に設けられる。受光素子30は、第3リード90の下面上にマウントされる。
【0018】
図2(a)に示すように、入力側端子60a~60hは、それぞれ、樹脂パッケージ50の内部に位置する封止部分と、樹脂パッケージ50から延出する端子部分と、を含む。
【0019】
樹脂パッケージ50は、上面視において、例えば、長方形の形状を有し、X方向に延在する短辺と、Y方向に延在する長辺とを有する。入力側端子60a~60hおよび出力側端子70a、70b、80a、80bは、例えば、樹脂パッケージ50の長辺に沿った側面から延出する。
【0020】
樹脂パッケージ50は、その長辺に沿った第1側面SS1と、第1側面SS1の反対側の第2側面SS2と、短辺の沿った第3側面SS3と、第3側面SS3の反対側の第4側面SS4と、を有する。入力側端子60a~60hは、第1側面SS1から外部へ延出する。出力側端子70a、70b、80aおよび80bは、第2側面SS2から外部へ延出する。
【0021】
出力側端子70aおよび70bは、出力側端子80aおよび80bからY方向に離間して設けられる。出力側端子70aは、第2側面SS2の一方の端に設けられ、出力側端子80bは、第2側面SS2の他方の端に設けられる。出力側端子70bと出力側端子80aとの間の第2側面SS2に沿った沿面距離は、第1リード70と第2リード80との間に所定の電圧を印加できる長さに設けられる。すなわち、出力側端子70bと出力側端子80aとの間の沿面距離を長くするほど、樹脂パッケージ50内に封じられた第1リード70と第2リード80との間により高い電圧を印加することができる。
【0022】
図2(a)に示すように、第3リード90は、その全体が樹脂パッケージ50中に封止されるように設けられる。すなわち、第3リード90の端90efを第2側面SS2に露出させないことにより、出力側端子70bと出力側端子80aとの間の耐圧の低下を防ぐことができる。すなわち、出力側端子70bと出力側端子80aの間に樹脂以外の材料が表出しないことで両端子間の耐圧を安定的に確保できる。
【0023】
また、第1リード70のマウントベッド70mは、Y方向において、出力側端子70aの位置よりも樹脂パッケージ50の中央側に移動した位置に設けられる。例えば、出力側端子70aは、Y方向と交差する側面70aaと側面70abとを有する。側面70abは、出力側端子70bに向き合い、側面70aaは、側面70abの反対側に位置する。マウントベッド70mは、樹脂パッケージ50の短辺に沿った第3側面SS3に向き合う側面70msを有する。マウントベッド70mの側面70msのY方向の位置は、出力側端子70aの側面70aaのY方向の位置よりも樹脂パッケージ50の中心寄りである。さらに、マウントベッド70mは、X方向において、樹脂パッケージ50の第1側面SS1と第2側面SS2との間の中央に設けられる。このように、第1リード70は、第1スイッチング素子10が樹脂パッケージ50の中心に寄った位置に封止されるように設けられる。
【0024】
第1スイッチング素子10は、例えば、X方向において、樹脂パッケージ50の第1側面SS1と第2側面SS2との間の中央に封じられることが好ましい。また、第1スイッチング素子10と樹脂パッケージ50の第3側面SS3の間隔WDは、樹脂パッケージ50のZ方向の厚さPTの2分の1よりも広い。
【0025】
第2リード80のマウントベッド80mも樹脂パッケージ50の中心に寄った位置に設けられる。マウントベッド80mは、樹脂パッケージ50の短辺に沿った第4側面SS4に向き合う側面80msを有する。出力側端子80bは、Y方向において、出力側端子80aとは反対側に位置する側面80bbを有する。マウントベッド80mの側面80msのY方向の位置は、出力側端子80bの側面80bbのY方向の位置よりも樹脂パッケージ50の中心寄りである。また、マウントベッド80mは、X方向において、樹脂パッケージ50の第1側面SS1と第2側面SS2との間の中央に位置するように設けられる。すなわち、第2スイッチング素子20は、樹脂パッケージ50の中央寄りの位置に封止される。
【0026】
図2(b)に示すように、受光素子30は、第3リード90の下面上にマウントされる。第3リード90は、マウントベッド90mと、延在部90exと、を含む。受光素子30は、マウントベッド90mの下面上にマウントされる。延在部90exは、例えば、マウントベッド90mからX方向に延伸するように設けられる。第3リード90は、マウントベッド90mと延在部90exとの間に、開口90thを有する。開口90thは、樹脂パッケージ50と第3リード90との密着性を向上させるために設けられる。
【0027】
発光素子40は、マウントベッド60m上にマウントされる。マウントベッド60mは、例えば、第3リード90のマウントベッド90mと対向するように設けられ、入力側端子60dおよび60fに接続される(図3(b)参照)。受光素子30および発光素子40は、マウントベッド60mと第3リード90との間において、相互に対向するように配置される。受光素子30および発光素子40は、発光素子40から放射される光を受光素子30により検出するように配置される。
【0028】
受光素子30は、例えば、金属ワイヤMW1を介して、第3リード90に電気的に接続される。発光素子40は、マウントベッド60mを介して、入力側端子60dおよび入力側端子60fの少なくともいずれか一方に電気的に接続されると共に、金属ワイヤMW2を介して、入力側端子60eに電気的に接続される。
【0029】
樹脂パッケージ50は、第1樹脂51、第2樹脂53および第3樹脂55を含む。第1樹脂51は、第1スイッチング素子10、第2スイッチング素子20および受光素子30をその内部に封じる。第2樹脂53は、第1樹脂51を覆うように成形される。さらに、第2樹脂53は第3リード90を封止する。第3樹脂55は、発光素子40をマウントベッド60m上に封じる。第1樹脂51は、第3樹脂55を覆うように成形される。
【0030】
第1樹脂51および第2樹脂53は、例えば、エポキシ樹脂である。第3樹脂55は、例えば、シリコーン樹脂である。第1樹脂51および第3樹脂55は、発光素子40の光を透過する。第2樹脂53は、発光素子40の光を遮蔽する材料、例えば、酸化物、窒化物、炭化物もしくは複合化合物の粒子やカーボンなどを含む。第2樹脂53の熱膨張係数は、例えば、第1樹脂51の熱膨張係数よりも大きく、第1樹脂51を圧縮封止することが望ましい。
【0031】
第1リード70および第2リード80は、第1樹脂51から第2樹脂53を介して外部に延出するように設けられる。第3リード90は、第1樹脂51から第2樹脂53中に延在するが、第2樹脂53から外部に延出しないように設けられる。第3リード90は、第1樹脂51を成形した後に切断され、第2樹脂53は、第3リード90の端90efを覆うように成形される。
【0032】
図3(a)~(c)は、実施形態に係る半導体装置1の構成を示す模式図である。図3(a)は、第1リード70、第2リード80および第3リード90を示す模式平面図である。図3(b)は、入力側端子60a~60hを示す模式平面図である。図3(c)は、回路図である。
【0033】
図3(a)に示すように、第1スイッチング素子10は、第1リード70のマウントベッド70m下面上にマウントされる。第2スイッチング素子20は、第2リード80のマウントベッド80mの下面上にマウントされる。受光素子30は、第3リード90のマウントベッド90mの下面上にマウントされる。
【0034】
第1スイッチング素子10は、ソース端子ST1およびゲート端子GT1を有する。ソース端子ST1は、例えば、金属ワイヤMW3を介して、第3リード90に電気的に接続される。ゲート端子GT1は、例えば、金属ワイヤMW4を介して、受光素子30に電気的に接続される。
【0035】
第2スイッチング素子20は、ソース端子ST2およびゲート端子GT2を有する。ソース端子ST2は、例えば、金属ワイヤMW5を介して、第3リード90に電気的に接続される。ゲート端子GT2は、例えば、金属ワイヤMW6を介して、受光素子30に電気的に接続される。
【0036】
受光素子30は、例えば、金属ワイヤMW1を介して、第3リード90に電気的に接続される。受光素子30の裏面は、第3リード90に電気的に接続されても良いし、第3リード90から電気的に絶縁されても良い。受光素子30の裏面が第3リード90に電気的に接続される場合、金属ワイヤMW1を省略することも可能である。
【0037】
図3(b)に示すように、入力側端子60dおよび60fは、マウントベッド60mに接続される。発光素子40は、マウントベッド60m上にマウントされる。発光素子40は、マウントベッド60mを介して、入力側端子60dおよび60fに電気的に接続される。入力側端子60dおよび60fのそれぞれとマウントベッド60mとの間には、開口60thが設けられる。また、発光素子40は、金属ワイヤMW2を介して、入力側端子60eに電気的に接続される。
【0038】
入力側端子60a~60c、60gおよび60fは、他の構成要素に接続されることはなく、例えば、半導体装置1を回路基板などに実装する場合の安定性および実装強度を確保するために設けられる。
【0039】
図3(c)に示すように、入力側端子60eは、発光素子40のアノード側に接続される。また、入力側端子60d(60f)は、発光素子40のカソード側に接続される。発光素子40は、例えば、発光ダイオード(LED)である。
【0040】
受光素子30は、例えば、複数のフォトダイオード30rと、制御回路30fと、を含む。フォトダイオード30rは、直列接続され、制御回路30fに電気的に接続される。制御回路30fは、例えば、波形成形回路である。
【0041】
第1スイッチング素子10および第2スイッチング素子20は、例えば、MOSFETである。第1スイッチング素子10のドレインは、出力側端子70a(70b)に電気的に接続される。第2スイッチング素子20のドレインは、出力側端子80a(80b)に電気的に接続される。第1スイッチング素子10のソースおよび第2スイッチング素子のソースは、第3リード90を介して電気的に接続される。
【0042】
受光素子30のアノード側出力は、第1スイッチング素子10のゲートおよび第2スイッチング素子のゲートに電気的に接続される。一方、受光素子30のカソード側出力は、第3リード90を介して、第1スイッチング素子のソースおよび第2スイッチング素子のソースに電気的に接続される。
【0043】
発光素子40は、例えば、入力側端子60eと入力側端子60dとの間に流れる電流(入力信号)により駆動され、入力信号に対応した信号光を放射する。受光素子30は、発光素子40の信号光を検知し、第1スイッチング素子10のゲート・ソース間および第2スイッチング素子20のゲート・ソース間に、入力信号に対応する出力電圧を印加する。これにより、出力側端子70aと出力側端子80bとの間の電気的導通をオンオフ制御することができる。
【0044】
図4(a)~(c)は、実施形態に係る半導体装置1の特性を示す模式図である。図4(a)は、比較例に係る半導体装置を表す模式平面図である。図4(b)は、半導体装置1を表す模式平面図である。
【0045】
図4(a)および図4(b)は、第1リード70のマウントベッド70mの配置を表す部分平面図である。図4(c)は、第1スイッチング素子10に加わる応力を示すグラフである。
【0046】
図4(a)に示すように、比較例に係る半導体装置では、マウントベッド70mは、第1樹脂51と第2樹脂53の界面50ifの近傍に設けられる。例えば、樹脂パッケージ50の短辺に沿った側面に向き合うマウントベッド70mの側面70msは、Y方向において、出力側端子70aの側面70aaと同じ位置にある。すなわち、上面視において、マウントベッド70mの側面と出力側端子70aの側面70aaとは、その間に段差を有さず、連続的につながる。
【0047】
図4(b)に示すように、半導体装置1では、マウントベッド70mは、第1樹脂51と第2樹脂53の界面50ifから離れた位置に設けられる。言い換えれば、マウントベッド70mは、樹脂パッケージ50の短辺に沿った側面および長辺に沿った側面からより離れた位置に設けられることが好ましい。
【0048】
例えば、マウントベッド70mは、X方向において、樹脂パッケージ50の第1側面SS1と第2側面SS2との間の中央に位置するように設けられる。マウントベッド70m上にマウントされる第1スイッチング素子10も、X方向において、樹脂パッケージ50の第1側面SS1と第2側面SS2との間の中央に位置する。また、マウントベッド70mの側面70msは、Y方向において、出力側端子70aの側面70aaよりも樹脂パッケージ50の中心寄りに位置する。
【0049】
図4(c)は、マウントベッド70m上にマウントされた第1スイッチング素子10に加わる応力を表している。横軸は、第2側面SS2と第3側面SS3とが接するパッケージ50のコーナーからパッケージ50の片側半分の中心に向かう方向に沿ったチップ位置であり、縦軸は応力である。同図中の「CE」は、比較例に係る半導体装置における第1スイッチング素子10の位置を表している。また、「EB」は、半導体装置1における第1スイッチング素子10の位置を表している。
【0050】
図4(c)は、図4(a)および(b)中に示す位置A、BおよびCにおいて、第1スイッチング素子10に加わる応力を示している。ここに示す「応力」は、第1樹脂51、第2樹脂53および第1リード70のそれぞれの材料の熱膨張係数の差に起因するものである。
【0051】
位置Aは、第1スイッチング素子10のコーナーに該当し、位置Bは、樹脂パッケージ50の第3側面SS3に向き合う第1スイッチング素子10の側面の中央である。また、位置Cは、樹脂パッケージ50の第2側面SS2に向き合う第1スイッチング素子10の側面の中央である。
【0052】
図4(c)に示すように、半導体装置1の第1スイッチング素子10に加わる応力は、比較例に係る半導体装置の第1スイッチング素子10に加わる応力よりも小さい。特に、チップクラックが生じ易いコーナー(位置A)において、第1スイッチング素子10に加わる応力が大きく低下することが分かる。
【0053】
このように、樹脂パッケージ50の第1側面SS1、第2側面SS2および第3側面SS3からより離れた位置に第1スイッチング素子10を封じることにより、第1スイッチング素子10に加わる温度変化に起因した応力を低減し、素子破壊を防ぐことができる。
【0054】
すなわち、応力集中が生じ易い樹脂パッケージ50の端から第1スイッチング素子10を遠ざけることにより、第1スイッチング素子10に加わる応力を低減することができる。また、第1リード70のマウントベッド70mを第1側面SS1と第2側面SS2との間の中央に配置することにより、樹脂パッケージ50の上面視において、第1リード70は、入力側端子60a~60dに近づく。これにより、樹脂パッケージ50の上面視において、第1樹脂51および第2樹脂53だけを含む領域の面積が狭くなり、パッケージ50のZ方向の変形(例えば、撓み等)に対する剛性を高くすることができる。これにより、第1スイッチング素子10に加わる応力を低減することもできる。
【0055】
また、第1リード70および第2リード80は、樹脂パッケージ50の第2側面SS2とマウントベッド70mとの間に設けられた複数の開口70thを有する(図2(a)参照)。第2リード80は、第2側面SS2とマウントベッド80mとの間に設けられた複数の開口80thを有する(図2(a)参照)。さらに、Z方向における上面視において、入力端子60aおよび60dの一部がマウントベット70mと重なる。また、60fおよび60hの一部がマウントベッド80mと重なる。このような構成により、第1スイッチング素子10および第2スイッチング素子20に加わる応力が等方化され、素子破壊を防ぐことができる。なお、入力端子60a~60dの少なくとも1つが、上面視においてマウントベッド70mに重なり、入力側端子60f~60hの少なくとも1つが、上面視においてマウントベッド80mと重なるように構成しても良い。
【0056】
第1スイッチング素子10は、上面視において、例えば、樹脂パッケージ50のY方向における片側半分の中央に封じられる。第2スイッチング素子20も同様に、樹脂パッケージ50の第1側面SS1、第2側面SS2および第4側面SS4からより離れた位置に封じられる(図2(a)参照)。
【0057】
図5(a)および(b)は、実施形態の変形例に係る半導体装置2を示す模式図である。図5(a)は、半導体装置2を示す斜視図である。図5(b)は、図5(a)中に示すFCに沿った断面図である。FCは、Y-Z平面に平行な断面である。
【0058】
図5(a)に示すように、半導体装置2も、樹脂パッケージ50の内部に封じられた、第1スイッチング素子10と、第2スイッチング素子20と、受光素子30と、発光素子40(図示しない)と、を含む。第1スイッチング素子10は、第1リード70のマウントベッド70mの下面上にマウントされ、第2スイッチング素子20は、第2リード80のマウントベッド80mの下面上にマウントされる。受光素子30は、第3リード90のマウントベッド90mの下面上にマウントされる。発光素子40は、マウントベッド60m上にマウントされ、受光素子30と相互に向き合うように配置される。
【0059】
図5(b)に示すように、半導体装置2は、金属板60nおよび60pをさらに備える。金属板60nは、例えば、マウントベッド70mに対向する位置に設けられ、入力側端子60a~60cに接続される(図3(b)参照)。金属板60pは、例えば、マウントベッド80mに対向する位置に設けられ、入力側端子60gおよび60hに接続される(図3(b)参照)。
【0060】
金属板60nおよび60pを設けることにより、第1リード70、第2リード80および第3リード90の伸縮による応力を相殺、もしくは、X、Y、Z方向に分散させ、均一化することができる。例えば、第1リード70、第2リード80および第3リード90のY方向の幅をそれぞれWUL、WURおよびWUCとし、金属板60n、60pおよびマウントベッド60mのY方向の幅をそれぞれWLL、WLRおよびWLCとすると、WUL、WURおよびWUCの和が、WLL、WLR、WLCの和と略同一となるように設けられる。
【0061】
さらに、上面視において、マウントベッド70mは、マウントベッド60mと金属板60nとの間のスペースを覆うように設けられる。また、マウントベッド80mは、マウントベッド60mと金属板60pとの間のスペースを覆うように設けられる。一方、マウントベッド60mは、上面視において、第1リード70と第3リード90との間のスペースに位置する部分を含む。また、マウントベッド60mは、上面視において、第2リード80と第3リード90との間のスペースに位置する別の部分を含む。これにより、樹脂パッケージ50のZ方向における撓みを抑制し、第1スイッチング素子10および第2スイッチング素子20に加わる応力を低減することができる。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
1、2…半導体装置、 10…第1スイッチング素子、 20…第2スイッチング素子、 30…受光素子、 30f…制御回路、 30r…フォトダイオード、 40…発光素子、 50…樹脂パッケージ、 50if…界面、 51…第1樹脂、 53…第2樹脂、 55…第3樹脂、 60a~60h…入力側端子、 60m、70m、80m、90m…マウントベッド、 60n…第1金属板、 60p…第2金属板、 70…第1リード、 80…第2リード、 90…第3リード、 70a、70b、80a、80b…出力側端子、 70aa、70ab、70ms、80bb、80ms…側面、 90ef…端、 90ex…延在部、 60th、70th、80th、90th…開口、 GT1、GT2…ゲート端子、 MW1~MW6…金属ワイヤ、 SS1…第1側面、 SS2…第2側面、 SS3…第3側面、 SS4…第4側面、 ST1、ST2…ソース端子
図1
図2
図3
図4
図5