(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125328
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】光学積層体、該光学積層体の製造方法及び該光学積層体を備える液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/00 20060101AFI20240910BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20240910BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240910BHJP
B32B 27/30 20060101ALI20240910BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
G02B5/00 B
G02F1/13357
G02F1/1335
B32B27/30 A
B32B3/30
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024097432
(22)【出願日】2024-06-17
(62)【分割の表示】P 2020009202の分割
【原出願日】2020-01-23
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.POLAROID
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(72)【発明者】
【氏名】冨田 宏幸
(72)【発明者】
【氏名】塚田 賢一
(72)【発明者】
【氏名】河北 徳明
(57)【要約】
【課題】基材と光学機能層とが高い密着性を有し、これらの間にプライマー層を形成する必要がなく、その生産性及び生産コストに優れる、光学積層体の提供。
【解決手段】本発明の光学積層体は、基材と、光透過部及び光吸収部を備える光学機能層と、基材と光学機能層との間に、光透過部形成用組成物と基材との相互拡散により形成された浸透層と、を備え、光透過部及び光吸収部は、第1方向に交互に配列され、光透過部及び光吸収部は、第1方向と非平行な方向に線状に延び、浸透層の厚さが100nm以上3000nm以下であることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
光透過部及び光吸収部を備える光学機能層と、
前記基材と前記光学機能層との間に、光透過部形成用組成物と前記基材との相互拡散により形成された浸透層と、
を備え、
前記光透過部及び前記光吸収部は、第1方向に交互に配列され、
前記光透過部及び前記光吸収部は、前記第1方向と非平行な方向に線状に延び、
前記浸透層の厚さが100nm以上700nm以下である、光学積層体。
【請求項2】
前記(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルダイマー(2量体)及び(メタ)アクリルトリマー(3量体)の分子量が、150以上210以下である、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
前記光透過部形成用組成物に含まれる固形分100質量%に対する(メタ)アクリルモノマーの含有量が、30質量%以上65質量%以下である、請求項1又は2に記載の光学積層体。
【請求項4】
前記基材が、ポリカーボネートを主成分として含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学積層体。
【請求項5】
基材を準備する工程と、
前記基材の一方の面に、光透過部形成用組成物を供給する工程と、
前記光透過部形成用組成物を成形する工程と、
成形後の前記光透過部形成用組成物に対し、電離放射線を照射し硬化させ、第1方向に複数の溝を有し、前記第1方向とは非平行な方向に延びる光透過部を形成するともに、浸透層を前記基材と前記光透過部との間に形成する工程と、
前記光透過部が有する溝に、光吸収部形成用組成物を充填し、電離放射線を照射し硬化させ、光吸収部を形成する工程と、
を備え、
前記浸透層の厚さが100nm以上3000nm以下である、光学積層体の製造方法。
【請求項6】
面光源装置と、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学積層体と、液晶パネルとを備える、液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学積層体、該光学積層体の製造方法及び該光学積層体を備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーナビゲーション、テレビ及びパソコン等の表示装置は、通常、表示すべき映像を出射する映像源と、映像光の質を向上する光学シートとを備える。
【0003】
このような表示装置はその用途によって視野角を限定することが求められる。
例えば、カーナビゲーション等の車載の表示装置では、出射された映像が、車窓に映り込んでしまう可能性があり、特許文献1においては、光透過部と光吸収部とを備える光学機能層を備える光学シートが開示され、この光学シートが備える光学機能層の光吸収部により広い視野角の光を吸収し、視野角を狭くすることでこの映り込みを防止することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において開示される光学シートにおいて、基材と光学機能層との間に、プライマー層が密着性向上のために設けられており、このような光学シートは、基材上に、プライマー層形成用組成物を塗布、乾燥し、プライマー層を形成し、次いで、このプライマー層を形成した基材上に、光学機能層を形成し製造される。
【0006】
近年、これらの光学シートを備える表示装置には、より高い生産性と共に、その生産コスト削減が要求されている。
【0007】
今般、本発明者らは、鋭意検討した結果、基材上への光透過部の形成において、光透過部形成用組成物と、基材とを相互拡散させ、光透過部の形成と共に、浸透層を形成することにより、プライマー層を形成することなく、基材と光学機能層との密着性を向上することができるとの新たな知見を得た。
【0008】
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、その解決しようとする課題は、基材と光学機能層とが高い密着性を有し、これらの間にプライマー層を形成する必要がなく、その生産性及び生産コストに優れる、光学積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の光学積層体は、基材と、
光透過部及び光吸収部を備える光学機能層と、
基材と光学機能層との間に、光透過部形成用組成物と基材との間の相互拡散により形成された浸透層と、
を備え、
光透過部及び光吸収部は、第1方向に交互に配列され、
光透過部及び光吸収部は、第1方向と非平行な方向に線状に延び、
浸透層の厚さが100nm以上3000nm以下であることを特徴とする。
【0010】
一実施形態において、光透過部形成用組成物は、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルダイマー(2量体)及び(メタ)アクリルトリマー(3量体)の少なくとも1つを含む。
【0011】
一実施形態において、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルダイマー(2量体)及び(メタ)アクリルトリマー(3量体)の分子量は、150以上210以下である。
【0012】
一実施形態において、光透過部形成用組成物に含まれる固形分100質量%に対する(メタ)アクリルモノマーの含有量は、30質量%以上65質量%以下である。
【0013】
一実施形態において、光透過部形成用組成物の貯蔵弾性率は、1000MPa以上6000MPa以下である。
【0014】
一実施形態において、基材は、ポリカーボネートを主成分として含む。
【0015】
本発明の光学積層体の製造方法は、基材を準備する工程と、
基材の一方の面に、光透過部形成用組成物を供給する工程と、
光透過部形成用組成物を成形する工程と、
成形後の光透過部形成用組成物に対し、電離放射線を照射し硬化させ、第1方向に複数の溝を有し、第1方向とは非平行な方向に延びる光透過部を形成するともに、浸透層を前記基材と光透過部との間に形成する工程と、
光透過部が有する溝に、光吸収部形成用組成物を充填し、電離放射線を照射し硬化させ、光吸収部を形成する工程と、
を備え、
浸透層の厚さが100nm以上3000nm以下であることを特徴とする。
【0016】
本発明の液晶表示装置は、面光源装置と、上記光学積層体と、液晶パネルとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光学積層体によれば、基材と光学機能層とが高い密着性を有し、別途基材と光学機能層との間にプライマー層を形成する工程を省くことができるため、生産性を顕著に改善することができると共に、その生産コストを効果的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】
図1に示した光学積層体が備える光学機能層の一部を拡大した図である。
【
図4】本発明の光学積層体の製造方法の一実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(光学積層体)
本発明の光学積層体10は、
図1に示すように、基材11と、光透過部12及び光吸収部13を備える光学機能層14とを備え、基材11と光学機能層14との間に、浸透層15を備える。
一実施形態において、
図2に示すように、本発明の光学積層体10は、光学機能層14上に、入射面マット層16を備える。
また、一実施形態において、
図2に示すように、基材11下に、出射面マット層17を備える。
また、一実施形態において、
図2に示すように、本発明の光学積層体10は、基材11と出射面マット層17との間に、プライマー層又は第2の浸透層18を備える。
また、一実施形態において、本発明の光学積層体は、基材下に、偏光フィルムを備える(図示せず)。
さらに、一実施形態において、本発明の光学積層体は、光学機能層上に反射型偏光フィルムを備える(図示せず)。
【0020】
以下、本発明の光学積層体が備える各層について説明する。
【0021】
(基材)
基材としては、樹脂材料により構成されるシートを使用することができる。
樹脂材料としては、透光性を有するものであれば特に限定することなく使用することができ、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、(メタ)アクリル樹脂及びトリアセチルセルロース等のセルロース樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、浸透層の形成性及び耐熱性という観点からは、基材は、ポリカーボネートを主成分として含むことが好ましい。
また、基材は、上記した樹脂材料を2種以上含むものであってもよく、異なる樹脂材料により構成されるシートを従来公知の接着剤等を介して積層したものであってもよい。
なお、本発明において、「主成分」とは、基材における含有量が、50質量%以上であることを意味する。
【0022】
基材の屈折率は、1.40以上1.70以下であることが好ましい。これにより、基材に隣接する層との屈折率差を小さくすることができ、不要な全反射や屈折を防ぐことができる。
なお、本発明において、屈折率の測定は、JIS K 0062に準拠し、アッベ屈折率計を用いて行う。
【0023】
基材は、その表面、好ましくは、光学機能層が設けられた面とは反対の面に表面処理が施されていることが好ましい。表面処理方法は特に限定されるものではなく、例えば、サンドブラスト、エンボス加工されたロール等を使用した転写成形、印刷及び塗装等により行うことができる。
表面処理された基材の表面粗さRaは、0.1μm以上1.5μm以下であることが好ましい。これにより、視野角を狭い状態に維持しつつ、本発明の光学積層体を表示装置に適用した際、光学的な密着による干渉縞(ニュートンリング)の発生を効果的に抑制することができる。
なお、本発明において、表面粗さRaの測定は、キーエンス社製レーザー顕微鏡VK-8700を用いて、500倍での面分析にて行った。
【0024】
基材の厚さは、50μm以上500μm以下であることが好ましく、80μm以上250μm以下であることがより好ましい。これにより、基材の剛性及び強度と、製造コスト及び加工適性とを両立することができる。
【0025】
(光学機能層)
光学機能層14は、
図1に示すように、光透過部12及び光吸収部13が第1方向d1に交互に配列されている。
また、この光透過部12及び光吸収部13は、第1方向d1と非平行な方向、
図1においては、第1方向d1と直交する方向に線状に延びている。
光学機能層は、入光側から入射した光の進行方向を変化させて入光側とは反対の出光側から出射させ、正面方向(法線方向)の輝度を集中的に向上させる機能(集光機能)を有する。
なお、本明細書において使用する、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待しうる程度の範囲を含めて解釈することとする。
【0026】
光学機能層14において、
図3にPkで表した光透過部12及び光吸収部13のピッチは、30μm以上100μm以下であることが好ましい。
また、
図3にθaで示した光透過部12と光吸収部13との斜辺(脚部)における界面と、光学機能層14の層面の法線と、の成す角は、0°以上10°以下であることが好ましい。
また、
図3にDkで示した光吸収部13の厚さは、60μm以上150μm以下であることが好ましい。
さらに、
図3にWaで示した光吸収部13の上底幅は、5μm以上20μm以下であることが好ましく、下底幅Wbは、2μm以上10μm以下であることが好ましい。
これらの範囲内とすることにより、光の透過と光の吸収とのバランスをさらに良好なものとすることができる。
【0027】
図1及び2は光透過部12と光吸収部13との界面(脚部)が断面において一直線状となる例を示したが、これに限らず折れ線状、凸である曲面状、凹である曲面状等であってもよい。また、複数の光透過部12及び光吸収部13で断面形状が同じであってもよいし、所定の規則性を有して異なる断面形状であってもよい。また本形態では光透過部12、光吸収部13は等脚台形としたが、等脚である必要はなく、一方の脚部と他方の脚部とで傾斜角度が異なってもよい。
【0028】
光学機能層の厚さは、90μm以上200μm以下であることが好ましく、110μm以上150μm以下であることがより好ましい。これにより、光学機能層の集光機能を向上することができる。また、光学機能層の生産コストを低減することができると共にその生産性を向上することができる。
【0029】
(光透過部)
光透過部は光を透過させることを主要の機能とする部位であり、一実施形態において、
図1に示すように、基材側に短い下底、それとは反対側に長い上底を有する、等脚台形状を有する。
光透過部は、基材の層面に沿って当該断面を維持して延びるとともに、この延びる方向と略垂直方向に所定の間隔で配列される。そして、隣り合う光透過部の間には、等脚台形断面を有する溝が形成され、該溝中に、光吸収部が形成されている。
【0030】
光透過部の屈折率は、1.54以上1.59以下であることが好ましい。
これにより、光吸収部と屈折率差を設けることができ、全反射による光の利用効率を高めることが出来る。また、基材との屈折率差を小さくすることができ、不要な全反射や屈折を防ぐことができる。
光透過部と、光吸収部との屈折率差は、0.04以上であることが好ましく、0.60以上であることがより好ましい。
光透過部と、基材との屈折率差は、0.05以下であることが好ましく、0.03以下であることがより好ましい。
【0031】
光透過部は、光透過部形成用組成物を基材上に供給し、金型ロール等を使用して成形した後、紫外線や電子線等の電離放射線を照射し、成形された光透過部形成用組成物を硬化させることにより、形成することができる。
この光透過部形成用組成物を基材上へ供給してから、電離放射線照射までの間に、該組成物が基材へ浸透し、浸透層が形成される。
【0032】
光透過部の形成に用いられる光透過部形成用組成物は、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルダイマー(2量体)及び(メタ)アクリルトリマー(3量体)の少なくとも1つを含むことが好ましい。
光透過部形成用組成物が(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルダイマー(2量体)及び(メタ)アクリルトリマー(3量体)の少なくとも1つを含むことにより、該組成物と、基板、特にポリカーボネート製の基板との相互拡散性を向上でき、浸透層を形成することができる。
(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルダイマー(2量体)及び(メタ)アクリルトリマー(3量体)の中でも、芳香族基含有の、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルダイマー(2量体)及び(メタ)アクリルトリマー(3量体)が特に好ましい。 芳香族基含有の、(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルダイマー(2量体)及び(メタ)アクリルトリマー(3量体)を使用することにより、基材と光透過部との間に形成される浸透層の屈折率と、基材の屈折率と、光透過部の屈折率との差を小さくすることができ、光の出射方向における輝度(正面輝度)を効果的に向上することができる。
芳香族基含有(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、パラフェニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラフェニルフェニル(メタ)アクリレート及びフェニルグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの中でも、正面輝度の観点から、フェノキシエチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、芳香族基含有(メタ)アクリルダイマー(2量体)及び芳香族基含有(メタ)アクリルトリマー(3量体)は、上記した芳香族基含有(メタ)アクリルモノマー同士の共重合体であってもよく、本発明の特性を損なわない範囲においては、上記した芳香族基含有(メタ)アクリルモノマーと、その他のモノマーとの共重合体であってもよい。
【0033】
(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルダイマー(2量体)及び(メタ)アクリルトリマー(3量体)の分子量は、150以上210以下であることが好ましく、160以上200以下であることがより好ましい。これにより、光透過部形成用組成物と、基板、特にポリカーボネート製の基板との相互拡散性を向上することができる。
【0034】
光透過部形成用組成物に含まれる固形分100質量%に対する(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルダイマー(2量体)及び(メタ)アクリルトリマー(3量体)の含有量は、30質量%以上65質量%以下であることが好ましく、40質量%以上55質量%以下であることが好まし。光透過部形成用組成物における(メタ)アクリルモノマー、(メタ)アクリルダイマー(2量体)及び(メタ)アクリルトリマー(3量体)の含有量を上記数値範囲内とすることにより、基板、特にポリカーボネート製の基板と、光透過部形成用組成物との相互拡散性を向上することができる。また、形成される光透過部の弾性率を望ましいものとすることができる。
【0035】
また、光透過部形成用組成物は、電離放射線硬化型樹脂を含む。電離放射線硬化型樹脂とは、電子線や紫外線等を照射することにより、架橋硬化する樹脂である。
電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びブタジエン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル、ポリエーテル並びにエポキシ樹脂等を挙げることができる。
【0036】
一実施形態において、光透過部形成用組成物は、光重合開始剤を含む。
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン化合物、ベンゾフェノン化合物、α-アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン化合物等が挙げられる。
【0037】
一実施形態において、光透過部形成用組成物は、光増感剤を含む。
光増感剤としては、例えば、n-ブチルアミン、トリエチルアミン及びポリ-n-ブチルホソフィン等が挙げられる。
【0038】
光透過部形成用組成物の貯蔵弾性率は、1000MPa以上6000MPa以下であることが好ましく、2000MPa以上4000MPa以下であることがより好ましい。これにより、光透過部の形成をより容易に行うことができる。
なお、本発明において、貯蔵弾性率は、(株)ユービーエム製Pheogel-E4000又は同等品の装置を使用し、サンプルは厚さ1.0±0.1mm、幅5.0±0.5mm、長さ30mm以上サイズを用いる。
測定条件は、測定モード:温度依存性、測定温度範囲0~101℃、ステップ温度4℃、昇温速度4℃/分、周波数:10Hz,歪み波形は正弦波、測定治具は引っ張り、歪み制御3μmにより測定し、25±1℃での数値を読み取る。
また、光透過部形成用組成物の硬化は、Dバルブ(へレウス社製)により、積算光量1000mJ/cm2で行う。
【0039】
(光吸収部)
一実施形態において、光吸収部は、
図1に示すように、基材側に短い上底、それとは反対側に長い下底を有する、等脚台形状を有する。
【0040】
光吸収部の屈折率は、1.430以上1.540以下であることが好ましい。
これにより、光透過部と屈折率差を設けて、全反射による光の利用効率を高める事が出来る。
【0041】
一実施形態において、光吸収部形成用組成物は、光吸収粒子及び上記電離放射線硬化型樹脂を含む。
また、一実施形態において、光吸収部形成用組成物は、上記光重合開始剤や光増感剤を含む。
【0042】
光吸収粒子としては、カーボンブラック等の光吸収性の着色粒子が好ましく用いられるが、これらに限定されるものではなく、映像光の特性に合わせて特定の波長を選択的に吸収する着色粒子を使用してもよい。具体的には、カーボンブラック、グラファイト及び黒色酸化鉄等の金属塩、染料又は顔料等で着色した有機微粒子、並びに着色したガラスビーズ等を挙げることができる。着色粒子の平均粒子径は、特に限定されるものではなく、例えば、1μm以上20μm以下のものを使用することができる。また、光吸収部形成用組成物における分散性向上のため、光吸収粒子は、表面処理が施されたものであってもよい。
バインダー樹脂としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート及びブタジエン(メタ)アクリレート等の光硬化性樹脂を挙げることができる。
光吸収粒子の平均粒子径は特に限定されるものではないが、例えば、1μm以上20μm以下のものを好適に使用することができる。
【0043】
(浸透層)
本発明の光学積層体は、基材と光学機能層との間に、光透過部形成用組成物と基材とが相互拡散することにより形成される浸透層を備える。これにより、基材と光学機能層との間の密着性を、別途プライマー層を形成することなく、効果的に向上することができる。
【0044】
本発明の光学積層体が備える浸透層は、走査電子顕微鏡により観察することができる。
具体的には、光学積層体の断面を仕上げ切削厚約80nmの超薄切片として切り出し、Cuメッシュ上に採取する。その後、気相染色法にて四酸化オスミウムで30分間染色した後、(株)日立ハイテクノロジーズ製のS-4800又は同程度の装置を使用することにより、観察することができる。この際の測定条件としてはSTEMモード、加速電圧30kV、エミッション電流10μA、WD4mm、観察倍率2万倍~10万倍とする。撮影時の観察倍率基準は、Polaroid545とする。
【0045】
本発明において、浸透層の厚さは、100nm以上3000nm以下であることを特徴とする。これにより、基材と光学機能層との密着性を良好なものとすることができると共に、本発明の光学積層体の生産性を向上することができる。
より好ましくは、浸透層の厚さは、100nm以上700nm以下である。
浸透層の厚さは、後述するように、基材上に光透過部形成用組成物を供給後、電離放射線を照射するまでの時間、すなわち、基材と光透過部形成用組成物との接触時間を変更することにより、調整することができる。
【0046】
(入射面マット層)
一実施形態において、本発明の光学積層体は、光学機能層上に入射面マット層を備え、光源からの光の均一化を行うことができる。
【0047】
入射面マット層は、光学機能層側とは反対の面に表面処理が施されており、その表面粗さRaは、0.1μm以上1.5μm以下であることが好ましい。これにより、視野角を狭い状態に維持しつつ、本発明の光学積層体を表示装置に適用した際、光学的な密着による干渉縞(ニュートンリング)の発生を効果的に抑制することができる。
【0048】
入射面マット層は、樹脂材料を含み、樹脂材料としては、透光性を有するものであれば特に限定することなく使用することができ、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂等及び上記電離放射線硬化型樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性という観点からは、(メタ)アクリル樹脂を主成分として含むことが好ましい。
【0049】
入射面マット層の厚さは、5μm以上30μm以下であることが好ましい。これにより、干渉縞の発生をより効果的に防止することができる。
【0050】
入射面マット層は、一方の面に表面処理が施された上記樹脂材料から構成されるシートを後述するプライマー層を介して積層することにより形成してもよく、上記樹脂材料を含む組成物光学機能層上に、供給し、次いで、型等を利用し、成形し、硬化させることにより、形成してもよい。
【0051】
(出射面マット層)
一実施形態において、本発明の光学積層体は、基材下に出射面マット層を備え、これにより、干渉縞の発生を効果的に防止することができる。
【0052】
出射面マット層は、基材側とは反対の面に表面処理が施されており、その表面粗さRaは、0.1μm以上1.5μm以下であることが好ましい。これにより、視野角を狭い状態に維持しつつ、本発明の光学積層体を表示装置に適用した際、光学的な密着による干渉縞(ニュートンリング)の発生を効果的に抑制することができる。
【0053】
出射面マット層は、樹脂材料を含み、樹脂材料としては、透光性を有するものであれば特に限定することなく使用することができ、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂等及び上記電離放射線硬化型樹脂等が挙げられる。これらの中でも、耐熱性という観点からは、(メタ)アクリル樹脂を主成分として含むことが好ましい。
【0054】
出射面マット層を形成するために用いる組成物に、上記(メタ)アクリルモノマーを含有させてもよい。これにより、該組成物が基材に浸透し、出射面マット層の形成と共に、第2の浸透層を形成することができ、基材と出射面マット層との密着性を向上することができる。
好ましい(メタ)アクリルモノマーの種類、分子量や含有量については上記した通りである。
【0055】
出射面マット層の厚さは、5μm以上30μm以下であることが好ましい。これにより、干渉縞の発生をより効果的に防止することができる。
【0056】
出射面マット層は、一方の面に表面処理が施された上記樹脂材料から構成されるシートを後述するプライマー層を介して積層することにより形成してもよく、上記樹脂材料を基材上に、供給し、次いで、型等を利用し、成形し、硬化させることにより、形成してもよい。
【0057】
(プライマー層)
本発明の光学積層体は、光学機能層と入射面マット層との間、基材と出射面マット層との間に、プライマー層を備えることができ、これにより、これら層間の密着性を向上することができる。
【0058】
プライマー層は、樹脂材料を含み、層間の密着性を向上することができるものであれば特に限定されず、例えば、上記電離放射線硬化型樹脂を使用することができる。
【0059】
プライマー層の厚さは、0.1μm以上5.0μm以下であることが好ましい。これにより、層間の密着性を向上することができる。
【0060】
一実施形態において、プライマー層は、上記電離放射線硬化型樹脂を基材等の上に供給し、電離放射線を照射することにより形成することができる。
【0061】
(偏光フィルム)
一実施形態において、本発明の光学積層体は、基材下に、偏光フィルムを備える。
【0062】
偏光フィルムとしては、市販されるものを適宜選択して使用することができ、例えば、日東電工(株)製のNPF等を使用することができる。
【0063】
偏光フィルムは、従来公知の接着剤、粘着剤又は上記プライマー層を介して積層することができる。
【0064】
(反射型偏光フィルム)
一実施形態において、本発明の光学積層体は、光学機能層上に反射型偏光フィルムを備える。
【0065】
反射型偏光フィルムとしては、市販されるものを適宜選択して使用することができ、例えば、住友スリーエム(株)製のDBEF-D2-400等を使用することができる。
【0066】
反射型偏光フィルムは、従来公知の接着剤、粘着剤又は上記プライマー層を介して積層することができる。
【0067】
(光学積層体の製造方法)
本発明の光学積層体の製造方法は、
基材を準備する工程と、
基材の一方の面に、光透過部形成用組成物を供給する工程と、
光透過部形成用組成物を成形する工程と、
成形後の光透過部形成用組成物に対し、電離放射線を照射し硬化させ、第1方向に複数の溝を有し、前記第1方向とは非平行な方向に延びる光透過部を形成するともに、浸透層を基材と光透過部との間に形成する工程と、
光透過部が有する溝に、光吸収部形成用組成物を充填し、電離放射線を照射し硬化させ、光吸収部を形成する工程と、
を備えることを特徴とする。
【0068】
(基材を準備する工程)
基材は、Tダイ法やインフレション法等の従来公知の方法により作製したものを使用してもよく、市販されるものを使用してもよい。また、異種の材料により構成される基材を従来公知の接着剤等を介して積層したものを使用してもよい。
【0069】
(光透過部形成用組成物の塗布工程)
本発明の光学積層体の製造方法は、基材の一方の面に光透過部形成用組成物を供給する工程を含む。
一実施形態において、該工程は、
図4に示すように、形成する光吸収部の形状に賦形された金型ロール20及びニップロール21の間に挿入された、基材11と金型ロール20との間に、例えば、ダイ22により、光透過部形成用組成物23が供給される。
該工程において、基材に接触する光透過部形成用組成物が、基材に浸透し、浸透層が形成される。
【0070】
(光透過部形成用組成物の成形工程)
基材上に供給された光透過部形成用組成物23は、成形され、光吸収部の形状を有する溝が設けられる。一実施形態において、この成形は、上記した金型ロール20により行われ、金型ロール20の表面形状が、光透過部形成用組成物に転写される。
【0071】
(電離放射線照射工程)
本発明の光学積層体の製造方法は、
図4に示すように、金型ロール20により、成形した光透過部形成用組成物23に対し、電離放射線照射装置24から電離放射線を照射し、硬化させ、光透過部を形成する工程を含む。また、この電離放射線照射により、光透過部形成用組成物の基材の浸透も止まり、浸透層が形成される。
また、一実施形態において、電離放射線照射後、基材該基材上に形成された浸透層及び光透過部を備える積層体は、離型ロール25により金型ロール20より剥離される。
【0072】
電離放射線としては、例えば、紫外線を使用することができ、光源としては、例えば、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等を使用することができる。また、電子線を使用することもでき、光源としては、コックロフトワルトン型電子線加速機や、共振変圧型電子線加速機を使用することができる。
【0073】
(光吸収部の形成工程)
光吸収部は、光透過部に形成された溝に、光吸収部形成用組成物を充填し、電離放射線を照射し、硬化させることにより、形成することができる。
充填された光吸収部形成用組成物の余剰分は、ドクターブレード等を使用し掻き落とすことが好ましい。なお、照射される光については、上記した通りである。
【0074】
(液晶表示装置)
本発明の液晶表示装置30は、
図5に示すように、面光源装置31と、上記光学積層体10と、液晶パネル32とを備える。光学積層体については上述したため、ここでは記載を省略する。
【0075】
(面光源装置)
面光源装置としては、従来公知のものを使用することができ、例えば、光源側から観察者側に向け、反射シート、光源を備える導光板、拡散シート及びレンズ(プリズム)シートの順に積層された面光源装置を使用することができる。
また、光源側から観察者側に向け、反射板、導光板、拡散シート、プリズムシート、反射型輝度向上シートの順に積層された面光源装置を使用することができる。
また、該面光源装置は、レンズシートの観察者側に、反射型偏光シートを備えていてもよい。
【0076】
(液晶パネル)
液晶パネルとしては、従来公知のものを使用することができ、例えば、光源側から観察者側に向け、第1ガラス基板、液晶層、第2ガラス基板及び偏光フィルム(上偏光フィルム)の順に積層された液晶パネルを使用することができる。また、該液晶パネルは、第1ガラス板の光源側に、偏光フィルム(下偏光フィルム)を備えていてもよい。
【実施例0077】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
【0078】
実施例1
基材として、厚さ130μmのポリカーボネートフィルム(恵和(株)製、オプコン(登録商標)#130MH20、屈折率1.59)を用意した。
【0079】
図4に示すように、金型ロール20と、ニップロール21との間に、基材11を挟み込み、基材11と金型ロール20との間に、下記組成の光透過部形成用組成物22を供給し、金型ロール及びニップロール間を通過させると共に、基材側から高圧水銀灯を用いて2000mJ/cm
2の紫外線を照射し、基材上に光透過部を形成すると共に、基材と光透過部との間に浸透層を形成した。基材上への光透過部形成用組成物の供給から電離放射線照射までの時間は、10秒であり、この浸透層の厚さを測定したところ、100nmであった。
(光透過部形成用組成物)
・(メタ)アクリルモノマーA 50質量部
(ベンジルアクリレート、分子量162.2)
・キシレンジイソシアネート 12質量部・アクリル酸2-ヒドロキシエチル 12質量部・EO変性ビスフェノールA 12質量部・イソボルニルアクリレート 10質量部・ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(開始剤)3質量部
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤 1質量部
【0080】
上記光透過部が形成された基材上に、下記組成の光吸収部形成用組成物を塗布し、ドクターブレードにより、金型ロールにより成形された光透過部の溝中に、光吸収部形成用組成物を充填すると共に、余剰分を掻き落とした。その後、基材側から高圧水銀灯を用いて1000mJ/cm2の紫外線を照射し、光吸収部を形成し、光透過部及び光吸収部からなる光学機能層を形成し、本発明の光学積層体を得た。
(光吸収部形成用組成物)
・イソホロンジイソシアネート 20質量部・メタクリル酸メチル 10質量部・アクリル酸ブチル 10質量部・アクリル酸2-ヒドロキシエチル 10質量部・1,5-ペンタンジオール 10質量部・1,6-ヘキサンジオール 10質量部・1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 3質量部
【0081】
なお、形成された光学機能層の詳細は以下の通りである。
・ピッチ(Pk):39μm
・光吸収部上底幅(Wa):10μm
・光透過部下底幅(Wb):4μm
・光吸収部の厚さ(Dk):102μm
・光学機能層の厚さ:127μm
・光吸収部の屈折率:1.49
・光透過部の屈折率:1.57
【0082】
上記のようにして作製した光学積層体の断面を観察したところ、浸透層の形成が確認できた(
図6参照)。
具体的には、光学積層体の断面を仕上げ切削厚約80nmの超薄切片として切り出し、Cuメッシュ上に採取し、気相染色法にて四酸化オスミウムで30分間染色した後、(株)日立ハイテクノロジーズ製のS-4800を使用することにより、観察した。この際の測定条件としてはSTEMモード、加速電圧30kV、エミッション電流10μA、WD4mm、観察倍率2万倍~10万倍とした。撮影時の観察倍率基準は、Polaroid545とした。
また、AFM-IR法により確認したところ、浸透層は基材層、光学機能層の成分の混合層であることが確認できた。なお、AFM-IR法の条件は以下のようにした。
(測定条件)
・試料の断面作製:ミクロトームにより試料を断面方向から薄片化し、その断面切片をAFM-IR 用ZnSe製プリズムに固定。
・試料切片の厚み:300nm
・設定測定装置:NanoIR Spectroscopy System(Anasys Instruments 社製)
・光源: Tunable Pulsed Laser(1kHz)
・AFMモード:コンタクトモード
・測定波数範囲:1850~1000cm
-1
・波数分解能:2.5cm
-1
・Coaverages :256
・積算回数:3回(ラインスペクトルは1回)
・偏光角度:45度
【0083】
実施例2~5及び比較例2~3
光透過部形成用組成物の供給から紫外線照射までの時間を変更し、浸透層の厚さを表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、光学積層体を作製した。
【0084】
比較例1
基材として、厚さ130μmのポリカーボネートフィルム(恵和(株)製、オプコン(登録商標)#130MH20、屈折率1.59)を用意した。
この一方の面に、下記組成のプライマー層形成用組成物を塗布、乾燥し、厚さ2.5μmのプライマー層を形成した。
(プライマー層形成用組成物)
・ウレタンアクリレートUV硬化樹脂 57質量部・1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン 3質量部・トルエン 20質量部・イソプロピルアルコール 20質量部
【0085】
上記のようにして形成したプライマー層上に、組成を以下のように変更した光透過部形成用組成物を用いて光学機能層を形成した以外は、実施例1と同様にして、光学積層体を作製した。作製された光学積層体において、浸透層の形成は見られなかった。
(光透過部形成用組成物)
・キシレンジイソシアネート 25質量部・アクリル酸2-ヒドロキシエチル 25質量部・EO変性ビスフェノールA 20質量部・PC変性ビスフェノールA 15質量部・イソボルニルアクリレート 11質量部・ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド 3質量部・ヒンダードフェノール系酸化防止剤 1質量部
【0086】
<<密着性試験-1>>
上記実施例及び比較例において得られた光学積層体における基材と光学機能層との密着性をJIS K 5600-5-6(クロスカット法)に準拠して、評価した。
具体的には、上記実施例及び比較例において得られた光学積層体が備える光学機能層を、100個(1mm×1mm)の格子状に、ガイド(大祐機材(株)製、スーパーカッターガイド(登録商標)NO.315)およびカッター(エヌティー(株)製、SA-400GRP)を用いて、カットし、次いで、セロテープ(登録商標、ニチバン(株)製)を貼着し、剥離した後、目視により、光学積層体を観察し、以下の評価基準に基づいて、評価した。評価結果を表1にまとめた。
(評価基準)
A:どの格子においても剥がれが見られず、基材と光学機能層との高い密着性が確認された。
JIS5600―5-6の分類0相当。
B:格子の剥がれが少し見られたが、実用上問題のない程度であった。
JIS5600―5-6の分類1相当。
NG:格子の剥がれが多く見られた。
JIS5600―5-6の分類2~5相当。
【0087】
<<密着性試験-2>>
上記実施例及び比較例において得られた光学積層体を、105℃、相対湿度0%の環境、65℃、相対湿度95%の環境、及び-40℃、相対湿度20%の環境にそれぞれ1000時間ずつ静置した後、上記密着性試験-1と同様の評価を行った。評価結果を表1にまとめた。
【0088】
<<正面輝度の測定>>
観察者側から、上記実施例1で作製した光学積層体、反射型輝度向上シート、プリズムシート、拡散シート、導光板、反射板及び光源からなる面光源装置を作製した。なお、光学積層体
の光学機能層側に、反射型輝度向上シートを配置した。
この面光源装置の正面輝度を、トプコンテクノハウス社製「BM-7」を用いて、300mm離れた距離から測定した。
光学積層体を、実施例2~5、比較例1において作製した光学積層体に変更し、同様に正面輝度を測定した。
これらの測定結果を表1にまとめた。
表1の結果からも明らかなように、本発明の光学積層体は、比較例1で得られた、浸透層を有しない光学積層体と同程度の正面輝度を示すことがわかる。
【0089】
10:光学積層体、11:基材、12:光透過部、13:光吸収部、14:光学機能層、15:浸透層、16:入射面マット層、17:出射面マット層、18:プライマー層又は第2の浸透層、20:金型ロール、21:ニップロール、22:ダイ、23:光透過部形成用塗工液、24:電離放射線照射装置、25:離型ロール、30:液晶表示装置、31:面光源装置、32:液晶パネル