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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125334
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】捜索支援システム及び捜索支援方法
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20240910BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240910BHJP
   H04W 4/029 20180101ALI20240910BHJP
   G01S 5/02 20100101ALI20240910BHJP
【FI】
H04M11/00 301
G08B25/04 K
H04W4/029
G01S5/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024098203
(22)【出願日】2024-06-18
(62)【分割の表示】P 2020139298の分割
【原出願日】2020-08-20
(71)【出願人】
【識別番号】000202361
【氏名又は名称】綜合警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】加沢 徹
(57)【要約】
【課題】対象者を効率良く確保することを課題とする。
【解決手段】時刻t1では、固定受信機1Bが対象者の無線タグを検知しており、その他の受信機では検知していないことを示し(S1)。時刻t2では、移動受信機1Aが対象者の無線タグを検知し、その他の受信機では検知していないことを示す。固定受信機1Bの円の境界の色を色4に変化させることにより、時刻t2までの過去の一定時間内に対象者の無線タグを検知したことを示す(S2)。時刻t3では、いずれの受信機も対象者の無線タグを検知しておらず、固定受信機1B及び道路A沿いの2か所において、円の境界を色4で表示することにより、時刻t3までの過去の一定時間内に対象者の無線タグを検知したことを示す(S3)。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
捜索対象となる対象者の捜索を依頼する捜索依頼者の端末装置と、前記端末装置に対して前記対象者に係る情報を提供する捜索情報提供装置と、前記対象者が所持する無線タグと、前記対象者の捜索に協力する受信機とを有する捜索支援システムであって、
前記受信機は、前記無線タグのタグ情報を検知したならば、検知したタグ情報、該タグ情報の検知時刻、自装置の位置情報、自装置の位置から無線タグまでの距離及び角度を含む検知情報を前記捜索情報提供装置に通知する
ことを特徴とする捜索支援システム。
【請求項2】
前記捜索情報提供装置は、前記受信機から通知された検知情報に基づいて、所定の時点で前記対象者が存在する領域及び移動方向と、前記対象者が存在した領域及び移動方向とに係る情報を前記端末装置に通知し、
前記端末装置は、前記対象者が存在する領域及び移動方向と、前記対象者が存在した領域及び移動方向とに係る情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の捜索支援システム。
【請求項3】
前記受信機は、
自装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記無線タグから送信された無線タグ識別情報を含むタグ情報を検知する検知手段と、
前記検知手段によりタグ情報を検知したならば、検知したタグ情報、タグ情報の検知時刻、自装置の位置情報、自装置の位置から無線タグまでの距離及び角度を含む検知情報を前記捜索情報提供装置に通知する通知手段と
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の捜索支援システム。
【請求項4】
前記捜索情報提供装置は、
前記受信機から前記検知情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した検知情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶した検知情報に基づいて、前記所定の時点で前記対象者が存在する領域及び移動方向、前記所定の時点までの過去の一定時間内に前記対象者が存在した領域及び移動方向に係る情報を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記所定の時点で前記対象者が存在する領域及び移動方向、前記所定の時点までの過去の一定時間内に前記対象者が存在した領域及び移動方向に係る情報を前記端末装置に通知する通知手段と
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の捜索支援システム。
【請求項5】
前記生成手段は、
前記所定の時点で前記対象者が存在する領域及び移動方向、前記所定の時点までの過去の一定時間内に前記対象者が存在した領域及び移動方向を示す画像を生成し、
前記端末装置は、
前記生成手段により生成された画像を所定の表示部に表示制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の捜索支援システム。
【請求項6】
前記捜索情報提供装置は、前記受信機から通知された検知情報に基づいて、前記対象者が所定の時点以降に存在する可能性の高い領域に関する情報を前記端末装置に通知し、
前記端末装置は、前記対象者が前記所定の時点以降に存在する可能性の高い領域に関する情報を出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の捜索支援システム。
【請求項7】
前記捜索情報提供装置は、
前記受信機から通知された検知情報に基づいて、前記所定の時点以降に前記対象者が存在する可能性の高い領域に関する情報を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記対象者が前記所定の時点以降に存在する可能性の高い領域に関する情報を前記端末装置に通知する通知手段と
を備えたことを特徴とする請求項6に記載の捜索支援システム。
【請求項8】
前記生成手段は、
前記所定の時点で前記対象者が前記所定の時点以降に存在する可能性の高い領域に関する画像を生成し、
前記端末装置は、
前記生成手段により生成された画像を所定の表示部に表示制御する
ことを特徴とする請求項7に記載の捜索支援システム。
【請求項9】
前記受信機は、
所定の移動体に付設された移動受信機と、所定の位置に固定的に配設された固定受信機とを含み、
前記生成手段は、
前記移動受信機と前記固定受信機とを異なる表示対象で示す画像を生成する
ことを特徴とする請求項4、5、7又は8に記載の捜索支援システム。
【請求項10】
捜索対象となる対象者の捜索を依頼する捜索依頼者の端末装置と、前記端末装置に対して前記対象者に係る情報を提供する捜索情報提供装置と、前記対象者が所持する無線タグと、前記対象者の捜索に協力する受信機とを有する捜索支援システムにおける捜索支援方法であって、
前記受信機が、前記無線タグのタグ情報を検知したならば、検知したタグ情報、該タグ情報の検知時刻、自装置の位置情報、自装置の位置から無線タグまでの距離及び角度を含む検知情報を前記捜索情報提供装置に通知する
ことを特徴とする捜索支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、迷子、高齢者、動物等の捜索対象(以下、単に「対象者」と言う)を効率良く確保することができる捜索支援システム及び捜索支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、迷子、動物等の対象者の位置を推定する技術が知られている。例えば特許文献1には、位置推定装置が、自装置の位置(第1の位置情報)を取得し、対象者の発信器から送信される信号に基づいて自装置と発信器の距離(第1の距離情報)を特定し、他の位置推定装置の位置(第2の位置情報)と他の位置推定装置と発信器との距離(第2の距離情報)を特定し、第1の位置情報、第1の距離情報、第2の位置情報及び第2の距離情報に基づいて、対象の位置を推定し、推定位置を出力する位置推定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-124258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のものは、自装置と他の位置推定装置の位置関係から対象者の位置を推定するものであるため、その推定精度には限界がある。発信器から発信される電波は、障害物により回折している場合もあるからである。その結果、捜索者が推定位置に赴いたとしても、この推定位置に対象者が存在するとは限らない。かかる場合に、捜索者は考えられる全領域を隈無く捜索しなければならず、対象者を確保するまでに多大の時間を要する可能性がある。場合によっては、対象者の捜索中に該対象者が負傷等を負う可能性もある。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、対象者を効率良く確保することができる捜索支援システム及び捜索支援方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、捜索対象となる対象者の捜索を依頼する捜索依頼者の端末装置と、前記端末装置に対して前記対象者に係る情報を提供する捜索情報提供装置と、前記対象者が所持する無線タグと、前記対象者の捜索に協力する受信機とを有する捜索支援システムであって、前記受信機は、前記無線タグのタグ情報を検知したならば、検知したタグ情報、該タグ情報の検知時刻、自装置の位置情報、自装置の位置から無線タグまでの距離及び角度を含む検知情報を前記捜索情報提供装置に通知することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記発明において、前記捜索情報提供装置は、前記受信機から通知された検知情報に基づいて、所定の時点で前記対象者が存在する領域及び移動方向と、前記対象者が存在した領域及び移動方向とに係る情報を前記端末装置に通知し、前記端末装置は、前記対象者が存在する領域及び移動方向と、前記対象者が存在した領域及び移動方向とに係る情報を出力することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記発明において、前記受信機は、自装置の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記無線タグから送信された無線タグ識別情報を含むタグ情報を検知する検知手段と、前記検知手段によりタグ情報を検知したならば、検知したタグ情報、タグ情報の検知時刻、自装置の位置情報、自装置の位置から無線タグまでの距離及び角度を含む検知情報を前記捜索情報提供装置に通知する通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記発明において、前記捜索情報提供装置は、前記受信機から前記検知情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した検知情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶した検知情報に基づいて、前記所定の時点で前記対象者が存在する領域及び移動方向、前記所定の時点までの過去の一定時間内に前記対象者が存在した領域及び移動方向に係る情報を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記所定の時点で前記対象者が存在する領域及び移動方向、前記所定の時点までの過去の一定時間内に前記対象者が存在した領域及び移動方向に係る情報を前記端末装置に通知する通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記生成手段は、前記所定の時点で前記対象者が存在する領域及び移動方向、前記所定の時点までの過去の一定時間内に前記対象者が存在した領域及び移動方向を示す画像を生成し、前記端末装置は、前記生成手段により生成された画像を所定の表示部に表示制御することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、捜索対象となる対象者の捜索を依頼する捜索依頼者の端末装置と、前記端末装置に対して前記対象者に係る情報を提供する捜索情報提供装置と、前記対象者が所持する無線タグと、前記対象者の捜索に協力する受信機とを有する捜索支援システムであって、前記受信機は、前記無線タグのタグ情報を検知したならば、検知したタグ情報、該タグ情報の検知時刻、自装置の位置情報、自装置の位置から無線タグまでの距離及び角度を含む検知情報を前記捜索情報提供装置に通知し、前記捜索情報提供装置は、前記受信機から通知された検知情報に基づいて、前記対象者が所定の時点以降に存在する可能性の高い領域に関する情報を前記端末装置に通知し、前記端末装置は、前記対象者が前記所定の時点以降に存在する可能性の高い領域に関する情報を出力することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記捜索情報提供装置は、前記受信機から通知された検知情報に基づいて、前記所定の時点以降に前記対象者が存在する可能性の高い領域に関する情報を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記対象者が前記所定の時点以降に存在する可能性の高い領域に関する情報を前記端末装置に通知する通知手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記生成手段は、前記所定の時点で前記対象者が前記所定の時点以降に存在する可能性の高い領域に関する画像を生成し、前記端末装置は、前記生成手段により生成された画像を所定の表示部に表示制御することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記受信機は、所定の移動体に付設された移動受信機と、所定の位置に固定的に配設された固定受信機とを含み、前記生成手段は、前記移動受信機と前記固定受信機とを異なる表示対象で示す画像を生成することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、捜索対象となる対象者の捜索を依頼する捜索依頼者の端末装置と、前記端末装置に対して前記対象者に係る情報を提供する捜索情報提供装置と、前記対象者が所持する無線タグと、前記対象者の捜索に協力する受信機とを有する捜索支援システムにおける捜索支援方法であって、前記受信機が、前記無線タグのタグ情報を検知したならば、検知したタグ情報、該タグ情報の検知時刻、自装置の位置情報、自装置の位置から無線タグまでの距離及び角度を含む検知情報を前記捜索情報提供装置に通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、対象者を効率良く確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態1に係る捜索支援システムの概要の説明図である。
図2図2は、実施形態1に係る捜索支援システムのシステム構成を示す図である。
図3図3は、図2に示した情報集約サーバの構成を示す図である。
図4図4は、図3に示した無線タグ管理データ、受信機管理データ及び移動受信機表示設定データの一例を示す図である。
図5図5は、図3に示した検知情報表示設定データ、表示範囲内受信機管理データ及び表示データの一例を示す図である。
図6図6は、実施形態1に係る画像データの一例を示す図である。
図7図7は、実施形態1に係る情報集約サーバの処理手順を示すフローチャート(その1)である。
図8図8は、実施形態1に係る情報集約サーバの処理手順を示すフローチャート(その2)である。
図9図9は、実施形態1に係る情報集約サーバの処理手順を示すフローチャート(その3)である。
図10図10は、実施形態1に係る対象者の移動及び受信機の配置の一例を示す図である。
図11図11は、実施形態1に係る画像データの一例を示す図(その1)である。
図12図12は、実施形態1に係る画像データの一例を示す図(その2)である。
図13図13は、実施形態1に係る画像データの一例を示す図(その3)である。
図14図14は、実施形態2に係る捜索支援システムの概要の説明図である。
図15図15は、実施形態2に係る情報集約サーバの構成を示す図である。
図16図16は、図15に示した受信機管理データ及び表示範囲内受信機管理データの一例を示す図である。
図17図17は、図15に示した表示データの一例を示す図である。
図18図18は、実施形態2に係る対象者の移動方向を特定する要領を示す図である。
図19図19は、実施形態2に係る画像データの一例を示す図である。
図20図20は、実施形態2に係る情報集約サーバの処理手順を示すフローチャート(その1)である。
図21図21は、実施形態2に係る情報集約サーバの処理手順を示すフローチャート(その2)である。
図22図22は、実施形態2に係る情報集約サーバの処理手順を示すフローチャート(その3)である。
図23図23は、実施形態2に係る情報集約サーバの処理手順を示すフローチャート(その4)である。
図24図24は、実施形態2に係る情報集約サーバの処理中における表示データの一例を示す図である。
図25図25は、実施形態2に係る画像データの一例を示す図(その1)である。
図26図26は、実施形態2に係る画像データの一例を示す図(その2)である。
図27図27は、実施形態2に係る画像データの一例を示す図(その3)である。
図28図28は、実施形態3に係る捜索支援システムの概要の説明図である。
図29図29は、実施形態3に係る確率密度関数を用いた表示要領を説明する図である。
図30図30は、実施形態3に係る画像データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施形態1]
以下に、本実施形態1に係る捜索支援システム及び捜索支援方法について詳細に説明する。本実施形態1では、移動受信機を所持する捜索者が迷子、高齢者等の対象者を捜索する場合を示すこととする。また、対象者は、BLE(Bluetooth Low Energy;"Bluetooth"は登録商標)等の近距離無線通信の電波を発信する無線タグを所持するものとする。
【0019】
<実施形態1に係る捜索支援システムの概要>
まず、本実施形態1に係る捜索支援システムの概要について説明する。図1は、本実施形態1に係る捜索支援システムの概要を説明するための説明図である。ここでは、説明の便宜上、情報集約サーバ(HTTPサーバ)によりビットマップ形式の画像データを生成し、捜索者の携帯端末のWEBブラウザ又はアプリによるHTTPリクエストに応答して、情報集約サーバがビットマップ形式の画像データを捜索者の携帯端末に送信し、捜索者の携帯端末の操作表示部に画像データを表示する場合を示すこととする。
【0020】
捜索支援システムには、対象者の捜索に協力する協力者(移動体)が所持する受信機又は協力者の自転車、自動車に設けられた受信機(以下、「移動受信機」と言う)と、所定の位置に固定的に設置された固定受信機とが含まれる。なお、本実施形態では、移動受信機と固定受信機とを「受信機」と総称する。
【0021】
受信機は、あらかじめ設定された時間(例えば10秒)ごとに、GPS(Global Positioning System)により測位された自装置の位置座標を取得し、取得した位置座標を現在時刻とともに受信機位置データとして後述する情報集約サーバに通知する。また、対象者が所持する無線タグから送信された電波を受信したならば、GPSにより測位された自装置の位置座標を取得し、取得した位置座標と、無線タグから受信した電波に含まれる無線タグの識別情報(以下、「無線タグID」と言う)を、無線タグIDを受信した時刻とともに、検知情報(検知データ)として情報集約サーバに通知する。
【0022】
情報集約サーバは、受信機から受信した受信機位置データに含まれる受信機の位置座標及び時刻情報を対応付けて管理する。また、情報集約サーバは、受信機から受信した検知データに含まれる無線タグID、受信機の位置座標及び時刻情報を対応付けて管理する。捜索者の携帯端末から対象者の捜索依頼を受け付けたならば、無線タグID、受信機の位置座標及び時刻情報に基づいて、対象者が時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に存在した領域を示す捜索情報を生成し、生成した捜索情報を携帯端末に送信する。つまり、本情報集約サーバは、対象者が時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に存在した領域の画像を表示させることにより、捜索者による捜索範囲の絞り込みを容易にするものである。なお、本実施形態1では、ある時刻t2から一定時間遡った時刻から時刻t2までの期間を「時刻t2までの過去の一定時間」と表記するものとする。
【0023】
例えば、かかる捜索情報の一例として、図1に示した画像を携帯端末に送信することができる。この画像には、受信機の位置座標を中心として、受信機の能力(例えば、受信可能な半径が数m~数10m)に応じた検知可能な円形の領域が含まれる。ここでは、受信機が無線タグを検知した場合には円形内を色1(例えば青色)とし、無線タグを検知していない場合は色2(例えば黒色)とする。また、移動受信機が時刻t1までの過去の一定時間(T1)内に移動した各地点において無線タグを検知可能な領域を色3(例えば灰色)とする。また、受信機が時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に無線タグを検知した場合に、検知した地点の位置座標を中心として受信機の能力に応じた検知可能な領域の円形の境界線を色4(例えば紺色)とする場合を示している。
【0024】
図1に示すように、時刻t1の時点では、固定受信機1Bが対象者の無線タグを検知しており、その他の受信機では無線タグを検知していない状況を示している(S1)。
【0025】
時刻t2の時点では、移動受信機1Aが対象者の無線タグを検知し、他の受信機が無線タグを検知していない状況を示している。このため、固定受信機1Bの検知可能な領域の色は、時刻t1の色1から時刻t2の色2に変化する。また、固定受信機1Bは、時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に対象者の無線タグを検知したため、時刻t2における固定受信機1Bの検知可能な領域の円形の境界線が色4に変化する(S2)。
【0026】
時刻t3の時点では、いずれの受信機も対象者の無線タグを検知していない。このため、移動受信機1Aの検知可能な領域の色は、時刻t2の色1から色2に変化する。また、固定受信機1B及び道路沿いの2か所において、時刻t3までの過去の一定時間(T3)内に無線タグが検知されたため、それぞれの時点における受信機の検知可能な円形の領域の境界線の色が色4で表示される(S3)。
【0027】
このように、本実施形態1に係る捜索支援システムは、過去の一定時間内に対象者の無線タグが存在した領域を提供することにより、捜索者による捜索範囲の絞り込みを行うことができるようにしている。
【0028】
<システム構成>
次に、本実施形態1に係る捜索支援システムのシステム構成について説明する。図2は、本実施形態1に係る捜索支援システムのシステム構成を示す図である。図2に示す捜索支援システムは、無線タグ10と、固定受信機20と、移動受信機30と、情報集約サーバ40と、携帯端末50とを含むシステムである。無線タグ10は、BLE通信により固定受信機20及び移動受信機30と通信可能であり、固定受信機20、移動受信機30及び携帯端末50は、インターネットを介して情報集約サーバ40と通信可能である。なお、インターネット以外の他のネットワークを利用することもできる。
【0029】
無線タグ10は、対象者が所持する装置であり、自装置の無線タグIDをBLE電波に乗せて送信するデバイスである。ここでは、あらかじめ設定された時間(例えば10秒)ごとに無線タグIDを送信するものとする。
【0030】
固定受信機20は、道路沿いの建物などに設置され、無線タグ10からのBLE電波を受信する装置である。この固定受信機20は、GPSにより測位された自装置の位置座標及び自装置の受信機IDを記憶しており、あらかじめ設定された時間(例えば10秒)ごとに、自装置の受信機ID、位置座標及び現在時刻を、受信機位置データとして情報集約サーバ40に送信する。また、BLE電波を受信したならば、BLE電波に乗せられた無線タグID、受信機ID、自装置の位置座標及び無線タグIDの受信時刻を、検知データとして情報集約サーバ40に送信する。なお、本実施形態1では、複数の固定受信機20を示す場合に、固定受信機1B、2B、3Bと表記する場合がある。
【0031】
移動受信機30は、対象者の捜索に協力する協力者が所持するスマートフォン等の携帯端末であり、GPSにより自装置の位置座標を取得する機能と、BLE電波を受信する機能を有する。また、自装置の受信機IDが記憶部に記憶されている。また、この移動受信機30には、あらかじめ専用アプリがインストールされている。かかる専用アプリは、あらかじめ設定された時間(例えば10秒)ごとに、自装置の受信機ID、GPSにより取得した自装置の位置座標及び現在時刻を、受信機位置データとして情報集約サーバ40に送信する。また、BLE電波を受信したならば、BLE電波に乗せられた無線タグID、受信機ID、GPSにより取得した自装置の位置座標及び無線タグIDの受信時刻を、検知データとして情報集約サーバ40に送信する。なお、本実施形態1では、複数の移動受信機30を示す場合に、移動受信機1A、2A、3Aと表記する場合がある。
【0032】
情報集約サーバ40は、捜索者の位置等を管理するサーバ装置であり、捜索者の携帯端末50からの「対象者の捜索依頼」に応答して、該携帯端末50に対して画像データを送信する。具体的には、固定受信機20及び移動受信機30から、受信機位置データとして受信機ID、位置座標及び時刻情報を受信したならば、これらの情報を記憶部に記憶する。また、固定受信機20及び移動受信機30から、検知データとして無線タグID、受信機ID、位置座標及び無線タグIDの受信時刻を受信したならば、これらの情報を記憶部に記憶する。さらに、携帯端末50から捜索依頼を受け付けたならば、対象者の捜索情報を示す画像を生成して携帯端末50に送信する。捜索情報には、現在の検知状況、移動受信機30の時刻t1までの過去の一定時間(T1)内の移動領域と、固定受信機20が時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に検知した状況とを含む。
【0033】
携帯端末50は、対象者を捜索する捜索者(例えば、対象者の家族)が所持するスマートフォン等の端末装置であり、情報集約サーバ40と通信する機能と、情報集約サーバ40から送信される画像を表示する機能とを有する。なお、この携帯端末50には、あらかじめ捜索用のアプリをインストールすることができるが、WEBブラウザにより情報集約サーバ40(HTTPサーバ)等にアクセスして捜索依頼を行い、情報集約サーバ40から送信される画像を表示することもできる。
【0034】
<実施形態1に係る情報集約サーバ40の構成>
次に、図2に示した情報集約サーバ40の構成について説明する。図3は、図2に示した情報集約サーバ40の構成を示すブロック図である。図3に示すように、情報集約サーバ40は、表示部41及び入力部42と接続され、通信部43、記憶部44及び制御部45を有する。
【0035】
表示部41は、液晶パネルやディスプレイ装置等の表示デバイスである。入力部42は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。通信部43は、インターネットを介して固定受信機20、移動受信機30及び携帯端末50と通信するためのインタフェース部である。
【0036】
記憶部44は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、無線タグ管理データ44a、受信機管理データ44b、移動受信機表示設定データ44c、検知情報表示設定データ44d、表示範囲内受信機管理データ44e、画像データ44f、地図データ44g及び表示データ44hを記憶する。
【0037】
無線タグ管理データ44aは、対象者に係る対象者ID、無線タグID、捜索者ID等を関連付けたデータである。受信機管理データ44bは、各時刻における受信機の位置座標、受信機により受信された無線タグID等を関連付けたデータである。
【0038】
移動受信機表示設定データ44cは、移動受信機30の表示設定時間を示すデータである。移動受信機30が過去の一定時間にわたり覆っていた検知領域を地図上に表示するための表示設定時間である。検知情報表示設定データ44dは、検知情報の表示設定時間を示すデータである。表示範囲内受信機管理データ44eは、受信機管理データ44bの中で、携帯端末50から捜索依頼された領域内のデータである。
【0039】
表示データ44hは、携帯端末50から捜索依頼された対象者の存在領域を地図上に描画するための、受信機の検知範囲の中心点の座標、半径等からなるデータである。地図データ44gは、例えばRGBにより形成されるカラーの地図データである。なお、かかる地図データ44gは、例えばベクトル画像等の他の形式の画像であってもよい。画像データ44fは、携帯端末50から捜索依頼された対象者の存在領域を地図上に表示した画像データである。本実施形態では、一度表示データ44hを生成した後に、この表示データ44hと地図データ44gとから画像データ44fを生成するものとする。
【0040】
制御部45は、情報集約サーバ40の全体制御を行う制御部であり、無線タグ管理部45a、受信機管理部45b、表示設定部45c、画像データ生成部45d及び画像データ通知部45iを有する。実際には、これらのプログラムをCPU(Central Processing Unit)にロードして実行することにより、無線タグ管理部45a、受信機管理部45b、表示設定部45c、画像データ生成部45d及び画像データ通知部45iにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0041】
無線タグ管理部45aは、無線タグ管理データ44aを管理する処理部である。無線タグ管理部45aは、無線タグID、対象者ID、捜索者ID等を入力部42から受け付け、無線タグ管理データ44aに記憶する。
【0042】
受信機管理部45bは、受信機管理データ44bを管理する処理部である。受信機管理部45bは、固定受信機20及び移動受信機30から受信機位置データを受信したならば、受信機位置データに含まれる時刻情報、受信機ID、位置座標とともに、受信無線タグIDを「無」として受信機管理データ44bに記憶する。受信機管理部45bは、固定受信機20及び移動受信機30から検知データを受信したならば、検知データに含まれる無線タグIDを受信した時刻、受信機ID、位置座標、受信無線タグIDを受信機管理データ44bに記憶する。
【0043】
表示設定部45cは、移動受信機表示設定データ44c及び検知情報表示設定データ44dを管理する処理部である。表示設定部45cは、移動受信機表示設定時間及び検知情報表示設定時間を入力部42から受け付け、移動受信機表示設定データ44c及び検知情報表示設定データ44dに記憶する。画像データ通知部45iは、画像データ44fを携帯端末50に通知する処理部である。
【0044】
画像データ生成部45dは、画像データ44fを生成する処理部であり、表示範囲内データ抽出部45e、現在情報処理部45f、移動受信機過去情報処理部45g、過去検知情報処理部45h及び表示データ描画部45jを有する。表示範囲内データ抽出部45eは、受信機管理データ44bの中から、表示範囲内のデータを抽出する処理部である。表示範囲内データ抽出部45eは、受信機管理データ44bの中で、携帯端末50からの捜索依頼に含まれる表示範囲内に該当するデータを抽出し、表示範囲内受信機管理データ44eに記憶する。
【0045】
現在情報処理部45fは、現在の検知状況を含む表示データ44hを生成する処理部である。現在情報処理部45fは、表示範囲内受信機管理データ44eから、捜索依頼に含まれる指定時刻tの直近時刻におけるデータを抽出する。現在情報処理部45fは、抽出されたデータの位置座標を描画座標、受信半径を描画半径、受信無線タグIDを無線タグIDとして、抽出したデータの時刻、受信機IDとともに、表示データ44hに含める。
【0046】
現在情報処理部45fは、無線タグ管理データ44aから、捜索依頼に含まれる対象者ID又は捜索者IDを用いて対象者の無線タグIDを特定する。現在情報処理部45fは、抽出したデータの受信無線タグIDに対象者の無線タグIDが含まれるならば、当該データの領域描画色を色1とし、対象者の無線タグIDが含まれないならば、当該データの領域描画色を色2として、表示データ44hに含める。
【0047】
移動受信機過去情報処理部45gは、移動受信機30の時刻t1までの過去の一定時間(T1)内の移動領域を処理して表示データ44hに含める処理部である。移動受信機過去情報処理部45gは、捜索依頼に含まれる指定時刻tの直近時刻より過去であり、かつ、指定時刻tから移動受信機表示設定データ44cの移動受信機表示設定時間を減じた時刻以降のデータを、表示範囲内受信機管理データ44eから抽出する。
【0048】
移動受信機過去情報処理部45gは、表示範囲内受信機管理データ44eから抽出されたデータを検索して、移動受信機30に該当するならば、検索したデータの領域描画色を色3、位置座標を描画座標、受信半径を描画半径として検索したデータの時刻、受信機IDとともに、表示データ44hに含める。
【0049】
過去検知情報処理部45hは、受信機が時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に検知した状況を処理して表示データ44hに含める処理部である。過去検知情報処理部45hは、捜索依頼に含まれる指定時刻tの直近時刻より過去であり、かつ、指定時刻tから検知情報表示設定データ44dの検知情報表示設定時間を減じた時刻以降のデータを、表示範囲内受信機管理データ44eから抽出する。
【0050】
過去検知情報処理部45hは、表示範囲内受信機管理データ44eから抽出されたデータを検索して、受信無線タグIDに対象者の無線タグIDが含まれるならば、境界色を色4とし、検索したデータの位置座標を描画座標、受信半径を描画半径として、検索したデータの時刻、受信機IDとともに、表示データ44hに含める。
【0051】
表示データ描画部45jは、表示データ44hと地図データ44gとから画像データ44fを生成する処理部である。表示データ描画部45jは、表示データ44hに含まれる描画座標を中心点とし、描画半径を半径とする円を、内部を領域描画色に該当する色で、境界を境界色に該当する色で、地図データ44g上に重ねて描画することによって画像データ44fを生成する。
【0052】
次に、図3に示した記憶部44に記憶されたデータの一例を説明する。図4及び図5は、図3に示した無線タグ管理データ44a、受信機管理データ44b、移動受信機表示設定データ44c、検知情報表示設定データ44d、表示範囲内受信機管理データ44e及び表示データ44hの一例を示す図である。
【0053】
図4(a)に示す無線タグ管理データ44aは、対象者ID「A101」、対象者名「特許太郎」、対象者連絡先「090-1234-5678」、対象者住所「東京都新宿区・・・」、捜索者ID「B101」、捜索者名「特許花子」及び捜索者連絡先「080-2345-6789」を無線タグID「R001」に関連付けた状況を示している。
【0054】
図4(b)に示す受信機管理データ44bは、時刻「t1」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「102」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x2/y2」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「103」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x3/y3」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「R001」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「201」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x11/y11」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付けた状況を示している。
【0055】
また、時刻「t1」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x21/y21」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「203」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x31/y31」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「102」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x2/y2」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付けた状況を示している。
【0056】
また、時刻「t2」の受信機ID「103」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x3/y3」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「201」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x12/y12」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x22/y22」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「R001」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「203」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x32/y32」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付けた状況を示している。
【0057】
図4(c)に示す移動受信機表示設定データ44cは、移動受信機表示設定時間が「1分」に設定された状況を示している。図5(a)に示す検知情報表示設定データ44dは、検知情報表示設定時間が「5分」に設定された状況を示している。
【0058】
図5(b)に示す表示範囲内受信機管理データ44eは、時刻「t1」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「103」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x3/y3」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「R001」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「201」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x11/y11」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x21/y21」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付けた状況を示している。
【0059】
また、時刻「t2」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「103」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x3/y3」、受信半径「20m」及び受信無線タグID「無」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x22/y22」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「R001」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「203」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x32/y32」、受信半径「5m」及び受信無線タグID「無」を関連付けた状況を示している。
【0060】
次に、表示データ44hの一例について説明する。図5(c)は、表示データ44hの一例を示す図である。図5(c)に示すように、表示データ44hには、時刻「t8」の受信機ID「101」、無線タグID「R001」、描画座標「x1/y1」、描画半径「20m」、領域描画色「色1」及び境界色「-」のデータと、時刻「t8」の受信機ID「102」、無線タグID「無」、描画座標「x2/y2」、描画半径「20m」、領域描画色「色2」及び境界色「-」のデータと、時刻「t8」の受信機ID「103」、無線タグID「R005」、描画座標「x3/y3」、描画半径「20m」、領域描画色「色2」及び境界色「-」のデータと、時刻「t8」の受信機ID「201」、無線タグID「無」、描画座標「x18/y18」、描画半径「5m」、領域描画色「色2」及び境界色「-」のデータとが含まれる。
【0061】
また、時刻「t8」の受信機ID「202」、無線タグID「無」、描画座標「x28/y28」、描画半径「5m」、領域描画色「色2」及び境界色「-」のデータと、時刻「t8」の受信機ID「203」、無線タグID「R001」、描画座標「x38/y38」、描画半径「5m」、領域描画色「色2」及び境界色「色4」のデータと、時刻「t7」の受信機ID「201」、無線タグID「無」、描画座標「x17/y17」、描画半径「5m」、領域描画色「色3」及び境界色「-」のデータと、時刻「t7」の受信機ID「202」、無線タグID「無」、描画座標「x27/y27」、描画半径「5m」、領域描画色「色3」及び境界色「-」のデータとが含まれる。
【0062】
また、時刻「t7」の受信機ID「203」、無線タグID「無」、描画座標「x37/y37」、描画半径「5m」、領域描画色「色3」及び境界色「-」のデータと、時刻「t3」の受信機ID「102」、無線タグID「R001」、描画座標「x2/y2」、描画半径「20m」、領域描画色「-」及び境界色「色4」のデータと、時刻「t2」の受信機ID「202」に対し、無線タグID「R001」、描画座標「x22/y22」、描画半径「5m」、領域描画色「-」及び境界色「色4」のデータと、時刻「t1」の受信機ID「103」に対し、無線タグID「R001」、描画座標「x3/y3」、描画半径「20m」、領域描画色「-」及び境界色「色4」のデータとが含まれる。
【0063】
<実施形態1に係る画像データの表示>
次に、本実施形態1に係る画像データ44fの一例について説明する。図6は、本実施形態1に係る画像データ44fの一例を示す図である。まず、画像データ44fは、表示データ描画部45jが、地図データ44gをビットマップメモリ上に展開し、そこへ重ねるように、表示データ44hに含まれる描画座標を中心点とし、描画半径を半径とする円をビットマップメモリ上に生成し、円の領域及び境界をそれぞれ表示データ44hに含まれる領域描画色及び境界色に該当する色で描画する。
【0064】
具体的には、図6に示す固定受信機1Bは、時刻tの直近時刻におけるデータとして、中心点「(x1,y1)」、半径「r1」の円であり、色「色2」(例えば黒色)とする。移動受信機1Aは、時刻tの直近時刻におけるデータとして、中心点「(x18,y18)」、半径「r2」の円であり、色「色1」(例えば青色)とする。
【0065】
また、時刻tの直近時刻より過去であり、かつ、時刻tから検知情報表示設定データ44dの検知情報表示設定時間を減じた時刻までの間の検知データとして、中心点「(x1,y1)」、半径「r1」の円の境界部分であり、色「色4」(例えば紺色)とする。
【0066】
また、時刻tの直近時刻より過去であり、かつ、時刻tから移動受信機表示設定データ44cの移動受信機表示設定時間を減じた時刻までの間の移動受信機データとして、複数の円が連続して表示される。例えば、連続表示された移動受信機1Aの一つは、中心点「(x12,y12)」、半径「r2」の円であり、色「色3」(例えば灰色)とする。なお、複数の円が重なって表示される場合、時刻が新しいほうの円が手前になるように重ね表示される。
【0067】
<実施形態1に係る情報集約サーバ40の処理手順>
次に、情報集約サーバ40の処理手順について説明する。図7図9は、情報集約サーバ40の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、情報集約サーバ40は、固定受信機20又は移動受信機30から、受信機位置データ又は検知データを受信したならば(ステップS101;Yes)、受信したデータを受信機管理データ44bに記憶する(ステップS102)。
【0068】
固定受信機20及び移動受信機30から、受信機位置データ及び検知データのいずれも受信していない場合(ステップS101;No)、又は携帯端末50から捜索依頼を受信していない場合は(ステップS103;No)、ステップS101に移行する。これに対して、携帯端末50から捜索依頼を受信したならば(ステップS103;Yes)、捜索依頼に含まれる表示範囲に基づいて受信機管理データ44bから表示範囲内のデータを抽出し、表示範囲内受信機管理データ44eに記憶する(ステップS104)。
【0069】
その後、表示範囲内受信機管理データ44eから、捜索依頼に含まれる指定時刻tの直近時刻におけるデータを抽出し(ステップS105)、抽出されたデータの位置座標を描画座標、受信半径を描画半径として表示データ44hに含める(ステップS106)。
【0070】
無線タグ管理データ44aから、捜索依頼に含まれる対象者ID又は捜索者IDを用いて対象者の無線タグIDを特定し(ステップS107)、表示データ44hから最上位のデータを抽出する(ステップS108)。
【0071】
抽出されたデータの無線タグIDに対象者の無線タグIDが含まれるならば(ステップS109;Yes)、領域描画色を色1として表示データ44hに含め(ステップS110)、対象者の無線タグIDが含まれないならば(ステップS109;No)、領域描画色を色2として表示データ44hに含める(ステップS111)。
【0072】
その後、表示データ44hから次のデータを抽出し(ステップS112)、次のデータがある場合は(ステップS113;No)、ステップS109に移行する。次のデータがない場合は(ステップS113;Yes)、表示データ44hから最上位のデータを抽出する(ステップS114)。
【0073】
抽出されたデータの時刻及び受信機IDが同じデータを表示範囲内受信機管理データ44eの中で特定し、その一つ上位のデータを抽出する(ステップS115)。
【0074】
抽出されたデータの受信機が移動受信機30であるならば(ステップS116;Yes)、領域描画色を色3とし、該データの位置座標を描画座標、受信半径を描画半径として表示データ44hに含める(ステップS117)。該データの受信機が固定受信機20であるならば(ステップS116;No)、ステップS118に移行する。
【0075】
該データの一つ上位のデータを表示範囲内受信機管理データ44eから抽出し(ステップS118)、抽出されたデータの時刻が、時刻tから移動受信機表示設定データ44cの移動受信機表示設定時間を減じた時刻以降であれば(ステップS119;No)、ステップS116に移行する。
【0076】
該データの時刻が、時刻tから移動受信機表示設定時間を減じた時刻より前であれば(ステップS119;Yes)、表示データ44hから最上位のデータを抽出する(ステップS120)。
【0077】
抽出されたデータと時刻及び受信機IDが同じデータを表示範囲内受信機管理データ44eの中で特定し、その一つ上位のデータを抽出する(ステップS121)。
【0078】
抽出されたデータの無線タグIDに対象者の無線タグIDが含まれるならば(ステップS122;Yes)、境界色を色4とし、該データの位置座標を描画座標、受信半径を描画半径として表示データ44hに含める(ステップS123)。該データの無線タグIDに対象者の無線タグIDが含まれないならば(ステップS122;No)、ステップS124に移行する。
【0079】
該データの一つ上位のデータを表示範囲内受信機管理データ44eから抽出し(ステップS124)、抽出されたデータの時刻が、時刻tから検知情報表示設定データ44dの検知情報表示設定時間を減じた時刻以降であれば(ステップS125;No)、ステップS122に移行する。
【0080】
該データの時刻が、時刻tから検知情報表示設定時間を減じた時刻より前であれば(ステップS125;Yes)、表示データ44hと地図データ44gとから画像データ44fを生成して携帯端末50に送信し(ステップS126)、処理を終了する。
【0081】
<実施形態1に係る画像データ44fの表示例>
次に、本実施形態1に係る画像データ44fの表示の具体例について説明する。図10は、本実施形態1に係る画像データ44fの表示の具体例の前提となる、対象者の移動及び受信機の配置の一例を示す図である。
【0082】
図10に示すように、無線タグ10を所持した対象者(二重白丸で表示)が、時刻t1からt9の順に破線で示した経路を移動する。固定受信機20は、受信半径が数10mであり、固定受信機1B、固定受信機2B及び固定受信機3Bとして地図上の黒丸の場所に設置されている。固定受信機20の受信半径数10mの範囲を表す黒丸の外側の円内を対象者が通過したならば、固定受信機20は無線タグ10を検知する。
【0083】
移動受信機30は、受信半径が10m以下であり、移動受信機1A、移動受信機2A及び移動受信機3A(黒丸で表示)がそれぞれ独自に移動する。時刻t4の時点で移動受信機1Aの受信半径10m以下の範囲を表す黒丸の外側の円内を対象者が通過しているため、移動受信機1Aが無線タグ10を検知し、同じように時刻t2の時点で移動受信機2Aが無線タグ10を検知し、時刻t3の時点で移動受信機3Aが無線タグ10を検知する。
【0084】
次に、本実施形態1に係る画像データ44fの表示の一例について説明する。図11図13は、本実施形態1に係る画像データ44fの表示の一例を示す図である。図11は、時刻t1における表示例である。固定受信機3Bの領域描画色が色1とされ、無線タグ10を検知したことを示している。その他の受信機の領域描画色は色2又は色3とされ、無線タグ10を検知していない状況を示している。
【0085】
図12は、時刻t2における表示例である。移動受信機2Aの検知可能な円形の領域の領域描画色が色1とされ、無線タグ10を検知したことを示している。その他の受信機の領域描画色は色2又は色3とされ、時刻t2、および時刻t2から移動受信機表示設定時間を減じた時刻から時刻t2までの間において、無線タグ10を検知していない状況を示している。なお、固定受信機3Bは、検知可能な円形の領域の境界色が色4とされ、時刻t2から検知情報表示設定時間を減じた時刻から時刻t2までの間で、無線タグ10を検知した状況を示している。
【0086】
図13は、時刻t9における表示例である。いずれの受信機も検知可能な円形の領域の領域描画色が色2又は色3とされ、時刻t9、および時刻t9から移動受信機表示設定時間を減じた時刻から時刻t9までの間において、無線タグ10を検知していない状況を示している。なお、固定受信機1B、固定受信機2B及び固定受信機3B、並びに、交差点a、交差点b及び交差点c付近の4か所においては、それぞれの時点における受信機の検知可能な円形の領域の境界色が色4とされ、時刻t9から検知情報表示設定時間を減じた時刻から時刻t9までの間で、無線タグ10を検知した状況を示している。
【0087】
このように、本実施形態1に係る捜索支援システムは、対象者の時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に存在した領域を提供することにより、捜索者による捜索範囲の絞り込みを行うことができる。
【0088】
[実施形態2]
ところで、上記の実施形態1では、受信機が無線タグ10から受信した電波の有無のみ検知可能とする場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、受信機が受信した電波によって無線タグ10までの距離と方向を検知可能とした場合に、対象者の時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に存在した領域及び移動方向を提供するよう構成することもできる。
【0089】
本実施形態2では、受信機が受信した電波によって無線タグ10までの距離と方向を検知可能とした場合に、対象者の時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に存在した領域及び移動方向を提供する場合について説明する。
【0090】
<実施形態2に係る捜索支援システムの概要>
まず、本実施形態2に係る捜索支援システムの概要について説明する。図14は、本実施形態2に係る捜索支援システムの概要を説明するための説明図である。まず、受信機は、あらかじめ設定された時間ごとに、自装置の位置座標を現在時刻とともに受信機位置データとして後述する情報集約サーバ100に通知する。また、対象者が所持する無線タグ10から送信された電波を受信したならば、自装置の位置座標、無線タグID、受信距離及び受信角度を検知情報(検知データ)として、後述する情報集約サーバ100に通知する。
【0091】
情報集約サーバ100は、受信機から受信した受信機位置データに含まれる受信機の位置座標及び時刻情報を対応付けて、後述する受信機管理データ111として管理する。また、情報集約サーバ100は、受信機から受信した検知データに含まれる受信機の位置座標、無線タグID、受信距離及び受信角度及び時刻情報を対応付けて、後述する受信機管理データ111として管理する。捜索者の携帯端末50から対象者の捜索依頼を受け付けたならば、受信機管理データ111に基づいて、対象者の時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に存在した領域及び移動方向を示す捜索情報を生成し、生成した捜索情報を携帯端末50に送信する。
【0092】
例えば、かかる捜索情報の一例として、図14に示した画像を携帯端末50に送信することができる。この画像には、時刻tにおいて受信機が無線タグ10を検知した場合に、無線タグ10を検知している該受信機が検知可能な領域の中で、対象者の存在する確率の低い領域を色5(例えば水色)の円形とし、対象者の存在する確率の高い領域を色1(例えば青色)の角丸四角形とし、時刻tから検知情報表示設定時間を減じた時刻から時刻tまでの間に検知された対象者の存在する確率の高い領域を色4(例えば紺色)の角丸四角形とし、対象者の移動方向を色6(例えば黄色)の矢印とする場合を示している。
【0093】
また、受信機が無線タグ10を検知しない場合は色2(例えば黒色)とし、移動受信機30が時刻tから移動受信機表示設定時間を減じた時刻から時刻tまでの間に移動した各地点での検知可能な領域を色3(例えば灰色)とする場合を示している。
【0094】
図14に示すように、時刻t1の時点では、固定受信機1Bが対象者の無線タグ10を検知し、色1の角丸四角形で示した領域を180度の方向に移動している確率が高い状況を示している(S11)。
【0095】
時刻t2の時点では、移動受信機1Aが対象者の無線タグ10を検知し、色1の角丸四角形で示した領域を270度の方向に移動している確率が高いことと、時刻t2から検知情報表示設定時間を減じた時刻から時刻t2までの間で、固定受信機1Bの近傍を色4の角丸四角形で示した領域を180度の方向に移動した確率が高い状況を示している(S12)。
【0096】
時刻t3の時点では、対象者の無線タグ10を検知していないが、時刻t3から検知情報表示設定時間を減じた時刻から時刻t3までの間で、固定受信機1Bの近傍及び道路沿いに、色4の角丸四角形で示した領域をそれぞれの方向に移動した確率が高い状況を示している(S13)。
【0097】
このように、本実施形態2に係る捜索支援システムは、受信機が受信した電波によって無線タグ10までの距離と方向を検知可能とした場合に、対象者の時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に存在した領域及び移動方向を提供することにより、捜索者による捜索範囲の絞り込みを行うことができるようにしている。
【0098】
<実施形態2に係る情報集約サーバ100の構成>
次に、実施形態2に係る情報集約サーバ100の構成について説明する。図15は、実施形態2に係る情報集約サーバ100の構成を示すブロック図である。なお、図3に示した情報集約サーバ40と同様の機能部についての説明は省略する。
【0099】
図15に示すように、情報集約サーバ100は、表示部41及び入力部42と接続され、通信部43、記憶部110及び制御部120を有する。
【0100】
記憶部110は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、無線タグ管理データ44a、受信機管理データ111、移動受信機表示設定データ44c、検知情報表示設定データ44d、表示範囲内受信機管理データ112、画像データ113、地図データ44g、表示データ114及び表示データ生成用フラグデータ115を記憶する。
【0101】
受信機管理データ111は、各時刻における受信機の位置座標、受信機により受信された無線タグID、受信距離、受信角度等を関連付けたデータである。表示範囲内受信機管理データ112は、受信機管理データ111の中で、携帯端末50から捜索依頼された領域内のデータである。表示データ114は、携帯端末50から捜索依頼された対象者の存在領域を地図上に描画するための、受信機の検知範囲の中心点の描画座標、描画半径、描画形状等からなるデータである。画像データ113は、携帯端末50から捜索依頼された対象者の存在領域を地図上に表示した画像データである。本実施形態2では、一度表示データ114を生成した後に、この表示データ114と地図データ44gとから画像データ113を生成するものとする。表示データ生成用フラグデータ115は、移動方向を表す表示データの生成が開始されたか否かを示すとともに、表示データ内において更新中である受信機IDを示すデータである。
【0102】
制御部120は、情報集約サーバ100の全体制御を行う制御部であり、無線タグ管理部45a、受信機管理部121、表示設定部45c、画像データ生成部122及び画像データ通知部45iを有する。実際には、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、無線タグ管理部45a、受信機管理部121、表示設定部45c、画像データ生成部122及び画像データ通知部45iにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0103】
受信機管理部121は、受信機管理データ111を管理する処理部である。受信機管理部121は、固定受信機20及び移動受信機30から受信機位置データを受信したならば、受信機位置データに含まれる時刻情報、受信機ID、位置座標とともに、受信無線タグIDを「無」として受信機管理データ111に記憶する。
【0104】
受信機管理部121は、固定受信機20及び移動受信機30から検知データを受信したならば、検知データに含まれる無線タグIDを受信した時刻、受信機ID、位置座標、受信無線タグID、受信距離、受信角度等を受信機管理データ111に記憶する。
【0105】
画像データ生成部122は、画像データ113を生成する処理部であり、表示範囲内データ抽出部123、現在情報処理部124、移動受信機過去情報処理部45g、詳細検知情報処理部125、座標算出部126、表示データ変更処理部127、移動方向算出部128及び表示データ描画部129を有する。
【0106】
表示範囲内データ抽出部123は、受信機管理データ111の中から、表示範囲内のデータを抽出する処理部である。表示範囲内データ抽出部123は、受信機管理データ111の中から、携帯端末50からの捜索依頼に含まれる表示範囲内に該当するデータを抽出し、表示範囲内受信機管理データ112に記憶する。
【0107】
現在情報処理部124は、現在の検知状況を含む表示データ114を生成する処理部である。現在情報処理部124は、表示範囲内受信機管理データ112から、捜索依頼に含まれる指定時刻tの直近時刻におけるデータを抽出する。現在情報処理部124は、形状を円とし、抽出されたデータの位置座標を描画座標1、受信半径を描画半径として表示データ114に含める。
【0108】
現在情報処理部124は、無線タグ管理データ44aから、捜索依頼に含まれる対象者ID又は捜索者IDを用いて対象者の無線タグIDを特定する。現在情報処理部124は、表示データ114を検索して、受信した無線タグIDに対象者の無線タグIDが含まれるならば、当該データの領域描画色を色5とし、受信無線タグIDが「無」であるならば、当該データの領域描画色を色2として表示データ114に含める。
【0109】
詳細検知情報処理部125は、固定受信機20及び移動受信機30が、時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に検知した状況を処理して表示データ114に含める処理部である。詳細検知情報処理部125は、捜索依頼に含まれる指定時刻tの直近時刻より過去であり、かつ、指定時刻tから検知情報表示設定データ44dの検知情報表示設定時間を減じた時刻以降のデータを、表示範囲内受信機管理データ112から抽出するとともに、表示データ生成用フラグデータ115の移動方向データに「未生成」を記憶する。
【0110】
詳細検知情報処理部125は、表示範囲内受信機管理データ112から抽出されたデータを検索して、受信した無線タグIDに対象者の無線タグIDが含まれ、かつ、表示データ114内の最下位のデータと抽出されたデータの受信機IDが異なったならば、あるいは、表示データ変更処理部127から処理を受け渡されたならば、表示データ生成用フラグデータ115に抽出されたデータの受信機ID及び「生成済み」を記憶する。詳細検知情報処理部125は、描画形状を円とし、座標算出部126により算出された受信した無線タグ10の位置座標を描画座標1、受信半径の1/5を描画半径として表示データ114に含める。詳細検知情報処理部125は、抽出されたデータの時刻がtと同じであれば領域描画色を色1として、tと異なるのであれば領域描画色を色4として表示データ114に含める。
【0111】
詳細検知情報処理部125は、表示範囲内受信機管理データ112から抽出されたデータを検索して、受信した無線タグIDに対象者の無線タグIDが含まれ、かつ、表示データ114内の最下位のデータと抽出されたデータの受信機IDが同じであるならば、表示データ変更処理部127に処理を受け渡す。
【0112】
座標算出部126は、無線タグ10の位置座標を算出する処理部である。座標算出部126は、表示範囲内受信機管理データ112の受信無線タグIDに関連する受信距離及び受信角度から、無線タグ10の位置座標を算出する。
【0113】
表示データ変更処理部127は、表示データ生成用フラグデータ115の移動方向データが「未生成」である、又は、抽出されたデータの受信機IDが表示データ生成用フラグデータ115の表示データ内更新中受信機IDと異なるならば、詳細検知情報処理部125に処理を受け渡す。
【0114】
表示データ変更処理部127は、表示データ生成用フラグデータ115の移動方向データが「生成済み」であり、かつ、抽出されたデータの受信機IDが表示データ生成用フラグデータ115の表示データ内更新中受信機IDと同じならば、表示データ114内の最下位のデータの形状を確認する。
【0115】
表示データ変更処理部127は、表示データ114内の最下位のデータの形状が円であるならば、当該データの描画形状を角丸四角とし、受信した無線タグ10に関して座標算出部126により算出された位置座標を座標2として再設定し、表示データ114に含める。表示データ変更処理部127は、当該データを用いて移動方向算出部128により算出された中点座標及び角度により、中点座標を描画座標1、描画形状を矢印・角度、領域描画色を色6として表示データ114に含める。
【0116】
表示データ変更処理部127は、表示データ114内の最下位のデータの形状が円でないならば、当該データの一つ上位のデータを抽出し、受信した無線タグ10に関して座標算出部126により算出された位置座標を当該データの描画座標2として再設定し、表示データ114に含める。表示データ変更処理部127は、抽出されたデータを用いて移動方向算出部128により算出された中点座標及び角度により、表示データ114内の最下位のデータに中点座標を描画座標1、描画形状を矢印・角度として再設定し、表示データ114に含める。
【0117】
移動方向算出部128は、与えられた描画座標1及び描画座標2から、2点の間の中点の位置座標及び描画座標1から描画座標2への角度を算出する処理部である。
【0118】
次に、図15に示した情報集約サーバ100の記憶部110が記憶するデータの具体例について説明する。図16及び図17は、図15に示した受信機管理データ111、表示範囲内受信機管理データ112、表示データ114及び表示データ生成用フラグデータ115の一例を示す図である。
【0119】
図16(a)に示す受信機管理データ111は、時刻「t1」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」、受信無線タグID「R001」、受信距離「20m」及び受信角度「300度」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「102」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x2/y2」、受信半径「20m」、受信無線タグID「無」、受信距離「-」及び受信角度「-」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「103」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x3/y3」、受信半径「20m」、受信無線タグID「無」、受信距離「-」及び受信角度「-」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「201」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x11/y11」、受信半径「5m」、受信無線タグID「無」、受信距離「-」及び受信角度「-」を関連付けた状況を示している。
【0120】
また、時刻「t1.4」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」、受信無線タグID「R001」、受信距離「15m」及び受信角度「240度」を関連付け、時刻「t1.5」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」、受信無線タグID「R001」、受信距離「20m」及び受信角度「210度」を関連付け、時刻「t1.6」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」、受信無線タグID「無」、受信距離「-」及び受信角度「-」を関連付けた状況を示している。
【0121】
また、時刻「t1.8」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x21i/y21i」、受信半径「5m」、受信無線タグID「R001」、受信距離「5m」及び受信角度「330度」を関連付け、時刻「t1.9」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x21j/y21j」、受信半径「5m」、受信無線タグID「R001」、受信距離「5m」及び受信角度「0度」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x22a/y22a」、受信半径「5m」、受信無線タグID「R001」、受信距離「5m」及び受信角度「30度」を関連付け、時刻「t2.1」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x22b/y22b」、受信半径「5m」、受信無線タグID「無」、受信距離「-」及び受信角度「-」を関連付けた状況を示している。
【0122】
図16(b)に示す表示範囲内受信機管理データ112は、時刻「t1」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」、受信無線タグID「R001」、受信距離「20m」及び受信角度「300度」を関連付け、時刻「t1」の受信機ID「103」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x3/y3」、受信半径「20m」、受信無線タグID「無」、受信距離「-」及び受信角度「-」を関連付け、時刻「t1.4」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」、受信無線タグID「R001」、受信距離「15m」及び受信角度「240度」を関連付け、時刻「t1.5」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」、受信無線タグID「R001」、受信距離「20m」及び受信角度「210度」を関連付けた状況を示している。
【0123】
また、時刻「t1.6」の受信機ID「101」に対し、固定/移動「固定」、位置座標「x1/y1」、受信半径「20m」、受信無線タグID「無」、受信距離「-」及び受信角度「-」を関連付け、時刻「t1.8」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x21i/y21i」、受信半径「5m」、受信無線タグID「R001」、受信距離「5m」及び受信角度「330度」を関連付け、時刻「t1.9」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x21j/y21j」、受信半径「5m」、受信無線タグID「R001」、受信距離「5m」及び受信角度「0度」を関連付け、時刻「t2」の受信機ID「202」に対し、固定/移動「移動」、位置座標「x22a/y22a」、受信半径「5m」、受信無線タグID「R001」、受信距離「5m」及び受信角度「30度」を関連付けた状況を示している。
【0124】
図17(a)に示す表示データ114には、時刻「t8」の受信機ID「101」、無線タグID「無」、描画座標1「x1/y1」、描画座標2「-」、描画半径「20m」、領域描画色「色2」及び描画形状「円」のデータと、時刻「t8」の受信機ID「102」、無線タグID「無」、描画座標1「x2/y2」、描画座標2「-」、描画半径「20m」、領域描画色「色2」及び描画形状「円」のデータと、時刻「t8」の受信機ID「103」、無線タグID「無」、描画座標1「x3/y3」、描画座標2「-」、描画半径「20m」、領域描画色「色2」及び描画形状「円」のデータと、時刻「t8」の受信機ID「201」、無線タグID「無」、描画座標1「x18a/y18a」、描画座標2「-」、描画半径「5m」、領域描画色「色2」及び描画形状「円」のデータと、時刻「t8」の受信機ID「202」、無線タグID「無」、描画座標1「x28a/y28a」、描画座標2「-」、描画半径「5m」、領域描画色「色2」及び描画形状「円」のデータとが含まれる。
【0125】
また、時刻「t8」の受信機ID「203」、無線タグID「R001」、描画座標1「x38a/y38a」、描画座標2「-」、描画半径「5m」、領域描画色「色5」及び描画形状「円」のデータと、時刻「t7.9」の受信機ID「201」、無線タグID「無」、描画座標1「x17j/y17j」、描画座標2「-」、描画半径「5m」、領域描画色「色3」及び描画形状「円」のデータと、時刻「t7.9」の受信機ID「202」、無線タグID「無」、描画座標1「x27j/y27j」、描画座標2「-」、描画半径「5m」、領域描画色「色3」及び描画形状「円」のデータと、時刻「t7.9」の受信機ID「203」、無線タグID「無」、描画座標1「x37j/y37j」、描画座標2「-」、描画半径「5m」、領域描画色「色3」及び描画形状「円」のデータとが含まれる。
【0126】
また、時刻「t2」の受信機ID「202」、無線タグID「R001」、描画座標1「x22aa/y22aa」、描画座標2「x21ja/y21ja」、描画半径「1m」、領域描画色「色4」及び描画形状「角丸四角」のデータと、時刻「t2」の受信機ID「202」、無線タグID「R001」、描画座標1「x22ab/y22ab」、描画座標2「-」、描画半径「-」、領域描画色「色6」及び描画形状「矢印180度」のデータと、時刻「t1.5」の受信機ID「101」、無線タグID「R001」、描画座標1「x11fa/y11fa」、描画座標2「x11ca/y11ca」、描画半径「4m」、領域描画色「色4」及び描画形状「角丸四角」のデータと、時刻「t1.5」の受信機ID「101」、無線タグID「R001」、描画座標1「x11fc/y11fc」、描画座標2「-」、描画半径「-」、領域描画色「色6」及び描画形状「矢印270度」のデータとが含まれる。
【0127】
図17(b)に示す表示データ生成用フラグデータ115は、移動方向データが「未生成」、表示データ内更新中受信機IDが「202」である状況を示している。
【0128】
<実施形態2に係る対象者の移動方向を特定する要領>
次に、実施形態2に係る対象者の移動方向を特定する要領について説明する。図18は、実施形態2に係る対象者の移動方向を特定する要領を示す図である。図18に示すように、位置座標が「x1/y1」である受信機が、時刻「t1.1」に受信点Aにおいて対象者の無線タグ10を検知し、時刻「t1.2」に受信点Bにおいて対象者の無線タグ10を検知し、時刻「t1.3」に受信点Cにおいて対象者の無線タグ10を検知した場合を考える。
【0129】
受信点Aに対する検知データは、受信距離「19m」、受信角度「70度」であり、受信点Bに対する検知データは、受信距離「18m」、受信角度「90度」であり、受信点Cに対する検知データは、受信距離「18m」、受信角度「120度」である。
【0130】
受信距離r及び受信角度θを用いると、受信機の位置座標「x1/y1」からの受信点の位置座標「x1´/y1´」は次の式で表される。
x1´=x1+r×sinθ (式1)
y1´=y1+r×cosθ (式2)
【0131】
(式1)及び(式2)を用いて各受信点の位置座標を算出すると、受信点Aの位置座標は「x1+17.9/y1+6.5」、受信点Bの位置座標は「x1+18/y1」、受信点Cの位置座標は「x1+15.6/y1-9」となる。
【0132】
同一の受信機が、連続して対象者の無線タグ10を検知した場合、最初に検知した受信点と最後に検知した受信点を採用し、この2点を用いて当該受信機における対象者の移動方向及び移動方向を描画するための2点間の中点を算出する。
【0133】
点P「x/y」から点Q「x´/y´」に対象者が移動する場合、移動方向の角度φ及び中点「x´´/y´´」は次の式で表される。
φ=arctan(x´-x/y´-y) (式3)
x´´=(x´+x)/2 (式4)
y´´=(y´+y)/2 (式5)
【0134】
最初に検知した受信点である受信点Aの位置座標は「x1+17.9/y1+6.5」、最後に検知した受信点である受信点Cの位置座標は「x1+15.6/y1-9」であるので、(式3)、(式4)及び(式5)を用いて移動方向の角度φ及び中点の位置座標を算出すると、角度φは「188度」、中点は「x1+16.75/y1-1.25」となる。
【0135】
<実施形態2に係る画像データの表示>
次に、本実施形態2に係る画像データ113の一例について説明する。図19は、本実施形態2に係る画像データ113の一例を示す図である。画像データ113は、表示データ描画部129が、地図データ44gをビットマップメモリ上に展開し、そこへ重ねるように、表示データ114に含まれる描画座標1及び描画座標2により算出される中点を重心点とした角丸四角及び矢印、並びに、描画座標1を中心点とし、描画半径を半径とする円をビットマップメモリ上に生成し、それぞれの領域を該当する色で描画する。
【0136】
具体的には、図19に示すように、表示データ114に含まれる形状が「角丸四角」又は「矢印」である場合、描画座標1及び描画座標2により算出される中点を重心点として、角丸四角を色1(例えば青色)又は色4(例えば紺色)とし、矢印を色6(例えば黄色)とする。
【0137】
また、固定受信機1Bは色5(例えば水色)とし、移動受信機1Aは色2(例えば黒色)及び色3(例えば灰色)とする。なお、地図データ44gを展開したビットマップメモリに図形を描画する場合には、「矢印」、「角丸四角形」、「円」の優先順位で描画され、「矢印」、「角丸四角形」、「円」の優先順位で画面の前面に表示される。
【0138】
<実施形態2に係る情報集約サーバ100の処理手順>
次に、本実施形態2に係る情報集約サーバ100の処理手順について説明する。図20図23は、本実施形態2に係る情報集約サーバ100の処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、情報集約サーバ40は、固定受信機20又は移動受信機30から、受信機位置データ又は検知データを受信したならば(ステップS201;Yes)、受信したデータを受信機管理データ111に記憶する(ステップS202)。
【0139】
固定受信機20及び移動受信機30から、受信機位置データ及び検知データのいずれも受信していない場合(ステップS201;No)、又は携帯端末50から捜索依頼を受信していない場合は(ステップS203;No)、ステップS201に移行する。これに対して、携帯端末50から捜索依頼を受信したならば(ステップS203;Yes)、捜索依頼に含まれる表示範囲に基づいて受信機管理データ111から表示範囲内のデータを抽出し、表示範囲内受信機管理データ112に記憶する(ステップS204)。
【0140】
その後、表示範囲内受信機管理データ112から、捜索依頼に含まれる指定時刻tの直近時刻におけるデータを抽出し(ステップS205)、形状を円とし、抽出されたデータの位置座標を描画座標1、受信半径を描画半径として表示データ114に含める(ステップS206)。
【0141】
無線タグ管理データ44aから、捜索依頼に含まれる対象者ID又は捜索者IDを用いて対象者の無線タグIDを特定し(ステップS207)、表示データ114から最上位のデータを抽出する(ステップS208)。
【0142】
抽出されたデータの無線タグIDが対象者の無線タグIDであるならば(ステップS209;Yes)、領域描画色を色5として表示データ114に含め(ステップS210)、対象者の無線タグIDが含まれないならば(ステップS209;No)、領域描画色を色2として表示データ114に含める(ステップS211)。
【0143】
その後、表示データ114から次のデータを抽出し(ステップS212)、次のデータがある場合は(ステップS213;No)、ステップS209に移行する。次のデータがない場合は(ステップS213;Yes)、表示データ114から最上位のデータを抽出する(ステップS214)。
【0144】
抽出されたデータの時刻及び受信機IDが同じデータを表示範囲内受信機管理データ112の中で特定し、その一つ上位のデータを抽出する(ステップS215)。
【0145】
抽出されたデータの受信機が固定受信機20であるならば(ステップS216;No)、ステップS218に移行する。該データの受信機が移動受信機30であるならば(ステップS216;Yes)、領域描画色を色3とし、該データの位置座標を描画座標1、受信半径を描画半径として表示データ114に含める(ステップS217)。
【0146】
この時点での表示データ114の一例を図24(a)に示す。図24(a)に示すように、表示データ114は、時刻「t7.9」の受信機ID「201」に対して、無線タグID「無」、描画座標1「x17j/y17j」、描画座標2「-」、描画半径「5m」、領域描画色「色3」及び描画形状「円」を対応付けている。
【0147】
次に、該データの一つ上位のデータを表示範囲内受信機管理データ112から抽出し(ステップS218)、抽出されたデータの時刻が、時刻tから移動受信機表示設定データ44cの移動受信機表示設定時間を減じた時刻以降であれば(ステップS219;No)、ステップS216に移行する。
【0148】
該データの時刻が、時刻tから移動受信機表示設定時間を減じた時刻より前であれば(ステップS219;Yes)、表示データ114から最上位のデータを抽出し、抽出されたデータの時刻をtとするとともに、表示データ生成用フラグデータ115の移動方向データに「未生成」を記憶する(ステップS220)。
【0149】
表示範囲内受信機管理データ112の中で時刻がtのデータを特定し、その中で最下位のデータを抽出し(ステップS221)、抽出されたデータの無線タグIDが対象者の無線タグIDであるならば(ステップS222;Yes)、受信した無線タグ10の座標を算出する(ステップS223)。
【0150】
次に、表示データ114内の最下位のデータと抽出されたデータの受信機IDが同じでないならば(ステップS224;No)、表示データ生成用フラグデータ115に抽出したデータの受信機ID及び「生成済み」を記憶し(ステップS225)、描画形状を円として、受信した無線タグ10の位置座標を描画座標1、受信半径の1/5を描画半径として新たに表示データ114に含める(ステップS226)。
【0151】
抽出されたデータの時刻がtであるならば(ステップS227;Yes)、領域描画色を色1として新たな表示データ114に含める(ステップS228)。該データの時刻がtでないならば(ステップS227;No)、領域描画色を色4として新たな表示データ114に含める(ステップS229)。
【0152】
この時点での表示データ114の一例を図24(b)に示す。図24(b)に示すように、表示データ114は、時刻「t8」の受信機ID「203」に対して、無線タグID「R001」、描画座標1「x38aa/y38aa」、描画座標2「-」、描画半径「1m」、領域描画色「色1」及び描画形状「円」を、時刻「t2」の受信機ID「202」に対して、無線タグID「R001」、描画座標1「x22aa/y22aa」、描画座標2「-」、描画半径「1m」、領域描画色「色4」及び描画形状「円」を対応付けている。
【0153】
次に、ステップS221において抽出されたデータの無線タグIDが対象者の無線タグIDでないならば(ステップS222;No)、表示データ生成用フラグデータ115の表示データ内更新中受信機IDと抽出したデータの受信機IDを比較する(ステップS230)。当該比較結果が同一であるならば(ステップS230;Yes)、表示データ生成用フラグデータ115の表示データ内更新中受信機IDをクリアし(ステップS231)、ステップS232に移行する。また、当該比較結果が異なるならば(ステップS230;No)、ステップS232に移行する。
【0154】
次に、ステップS224での比較において、表示データ114内の最下位のデータと抽出されたデータの受信機IDが同じであり(ステップS224;Yes)、かつ、表示データ生成用フラグデータ115の移動方向データが「未生成」である(ステップS235;Yes)、又は、表示データ生成用フラグデータ115の表示データ内更新中受信機IDと抽出したデータの受信機IDが同じでないならば(ステップS236;No)、ステップS225に移行する。
【0155】
また、ステップS224での比較において、表示データ114内の最下位のデータと抽出されたデータの受信機IDが同じであり(ステップS224;Yes)、かつ、表示データ生成用フラグデータ115の移動方向データが「未生成」ではなく(ステップS235;No)、かつ、表示データ生成用フラグデータ115の表示データ内更新中受信機IDと抽出したデータの受信機IDが同じであるならば(ステップS236;Yes)、表示データ114内の最下位のデータの形状を確認する(ステップS237)。
【0156】
表示データ114内の最下位のデータの形状が円であるならば(ステップS237;Yes)、表示データ114内の最下位のデータについて、形状を角丸四角、受信した無線タグ10の位置座標を描画座標2として表示データ114に含める(ステップS238)。
【0157】
当該データの描画座標1及び描画座標2を用いて、2点間の中点及び角度を算出する(ステップS239)。当該データの時刻を時刻、中点を描画座標1、描画形状を矢印・角度、領域描画色を色6として、新たに表示データ114に含め(ステップS240)、ステップS232に移行する。
【0158】
この時点での表示データ114の一例を図24(c)に示す。図24(c)に示すように、表示データ114は、時刻「t2」の受信機ID「202」に対して、無線タグID「R001」、描画座標1「x22aa/y22aa」、描画座標2「x21ja/y21ja」、描画半径「1m」、領域描画色「色4」及び描画形状「角丸四角」を関連付けている。これは、図24(b)に示す表示データ114の一例における、時刻「t2」の受信機ID「202」に対応付けられたデータに対して、描画座標2及び描画形状を更新したものである(ステップS238)。
【0159】
また、図24(c)に示す表示データ114は、時刻「t2」の受信機ID「202」に対して、無線タグID「R001」、描画座標1「x22ab/y22ab」、描画座標2「-」、描画半径「-」、領域描画色「色6」及び描画形状「矢印180度」を関連付けている。これは、ステップS240において、表示データ114に新たに含められたデータである。
【0160】
次に、ステップS237での表示データ114内の最下位のデータの形状の確認において、当該データの形状が円でないならば(ステップS237;No)、表示データ114内の最下位のデータの一つ上位のデータに、受信した無線タグ10の位置座標を描画座標2として表示データ114に含める(ステップS241)。
【0161】
当該データの描画座標1及び描画座標2を用いて、2点間の中点及び角度を算出する(ステップS242)。中点を描画座標1、形状を矢印・角度として、表示データ114内の最下位のデータに含め(ステップS243)、ステップS232に移行する。
【0162】
この時点での表示データ114の一例を図24(c)に示す。図24(c)に示すように、表示データ114は、時刻「t1.5」の受信機ID「101」に対して、無線タグID「R001」、描画座標1「x11fa/y11fa」、描画座標2「x11ca/y11ca」、描画半径「4m」、領域描画色「色4」及び描画形状「角丸四角」を対応付けている。これは、ステップS241において、描画座標2を更新したものである。
【0163】
また、図24(c)に示す表示データ114は、時刻「t1.5」の受信機ID「101」に対して、無線タグID「R001」、描画座標1「x11fc/y11fc」、描画座標2「-」、描画半径「-」、領域描画色「色6」及び描画形状「矢印270度」を対応付けている。これは、ステップS243において、描画座標1及び描画形状を更新したものである。
【0164】
次に、ステップS232として、抽出したデータの一つ上位のデータを表示範囲内受信機管理データ112から抽出し(ステップS232)、抽出されたデータの時刻が、時刻tから検知情報表示設定データ44dの検知情報表示設定時間を減じた時刻以降であれば(ステップS233;No)、ステップS222に移行する。
【0165】
該データの時刻が、時刻tから検知情報表示設定時間を減じた時刻より前であれば(ステップS233;Yes)、表示データ114と地図データ44gとから画像データ113を生成して携帯端末50に送信し(ステップS234)、処理を終了する。
【0166】
<実施形態2に係る画像データ113の表示例>
次に、本実施形態2に係る画像データ113の表示の一例について説明する。図25図27は、本実施形態2に係る画像データ113の表示の一例を示す図である。
【0167】
図25は、時刻t2における表示例である。移動受信機2Aの検知領域に重ねて描画した図形が角丸四角形の色1とされ、無線タグ10を検知し、その移動方向が290度方向であることを示している。なお、固定受信機3Bの検知領域に重ねて描画した図形は角丸四角形の色4とされ、時刻t2から検知情報表示設定時間を減じた時刻から時刻t2までの間で、対象者が180度方向に移動した状況を示している。
【0168】
図26は、時刻t3における表示例である。移動受信機3Aの検知領域に重ねて描画した図形が角丸四角形の色1とされ、無線タグ10を検知し、その移動方向が170度方向であることを示している。なお、固定受信機3B及び移動受信機2Aの検知領域にそれぞれ重ねて描画した図形は角丸四角形の色4とされ、時刻t2から検知情報表示設定時間を減じた時刻から時刻t2までの間で、対象者がそれぞれ矢印の方向に移動した状況を示している。
【0169】
図27は、時刻t9における表示例である。各受信機は色2とされ、無線タグ10を検知していないことを示している。なお、固定受信機1B、固定受信機2B及び固定受信機3Bの検知領域にそれぞれ重ねて描画した図形、並びに、交差点c付近の2か所に描画した図形では角丸四角形の色4とされ、時刻t2から検知情報表示設定時間を減じた時刻から時刻t2までの間で、対象者がそれぞれ矢印の方向に移動した状況を示している。
【0170】
このように、本実施形態2に係る捜索支援システムは、対象者の時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に存在した領域及び移動方向を提供することにより、捜索者による捜索範囲の絞り込みを行うことができる。
【0171】
なお、上記の実施形態2では、対象者の移動方向に係る表示データの生成について、表示範囲内受信機管理データ112を時系列に該当するデータを抽出する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、受信機毎に該当するデータを抽出して、対象者の移動方向に係る表示データを生成するよう構成することもできる。
【0172】
具体的には、表示範囲内受信機管理データ112に含まれる受信機IDを受信機一覧データに重複なく記憶する。受信機一覧データの最上位の受信機IDを抽出し、当該受信機IDに係る対象無線タグIDの検知データを表示範囲内受信機管理データ112から抽出し、形状の丸又は角丸四角に関する表示データ114を生成する。当該処理を、受信機一覧データ内の全ての受信機IDに対して行う。
【0173】
次に、表示データ114内の形状が角丸四角のデータを抽出し、当該データの描画座標1及び描画座標2から対象者の移動方向(角度)を算出し、形状が矢印・角度の表示データ114を生成する。当該処理を、表示データ114内の形状が角丸四角のデータの全てに対して行う。
【0174】
このように、表示範囲内受信機管理データ112を受信機毎に該当するデータを抽出して、対象者の移動方向に係る表示データを生成し、対象者の存在した領域及び移動方向を提供することにより、捜索者による捜索範囲の絞り込みを行うことができる。
【0175】
[実施形態3]
ところで、上記の実施形態1及び実施形態2では、時刻t2までの過去の一定時間(T2)内に対象者が存在した領域等を明確にする場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、対象者が現時点以降に存在する可能性の高い領域を予測した情報を提供するよう構成することもできる。そこで、本実施形態3では、対象者が現時点以降に存在する可能性の高い領域を予測した情報を提供する場合について説明する。
【0176】
<実施形態3に係る捜索支援システムの概要>
まず、本実施形態3に係る捜索支援システムの概要について説明する。図28は、本実施形態3に係る捜索支援システムの概要を説明するための説明図である。図28に示すように、表示範囲内受信機管理データ112を用いて、検知された無線タグ10の位置座標、移動速度及び移動方向を蓄積する(S21)。ここで、移動速度は、同一の受信機が、連続して対象者の無線タグ10を検知した場合、最初に検知した受信点と最後に検知した受信点を採用し、この2点の時刻と無線タグの位置座標から求められる。
【0177】
例えば、無線タグ10を最初に検知した受信点が、時刻「t1」における位置座標「x1/y1」、最後に検知した受信点が、時刻「t2」における位置座標「x2/y2」の場合、速度vは次の式で表される。
v=SQRT((x2-x1)^2+(y2-y1)^2)/(t2-t1) (式6)
ここで、「SQRT」は平方根、「^2」は二乗を表す。
【0178】
蓄積したデータを用いて、予測移動速度、予測移動方向及び確率密度関数を統計処理により算出し(S22)、次のサンプリング時間における対象者の存在する確率の高い領域を予測する(S23)。ここでは、色7、色8及び色9で示した領域が、次のサンプリング時間における対象者の存在する確率の高い領域であることを示している。
【0179】
具体的には、予測移動速度は、短期スカラー値に重み付けした全区間平均値とする。重み付けは、予測する時刻の直近のデータに高い重み付けをする。これは、一般的に歩行の速さは、瞬間的な気分、時間の経過に伴う疲れ、周囲の風景等の環境の条件により比較的短い時間で変化すると考えられるためである。
【0180】
予測移動方向は、短時間又は長時間の値に重み付けした移動方向角度の平均値とする。重み付けは、目的位置が明確である場合、移動ベクトルを、検知開始点を始点とした長時間移動ベクトルとして捉えて、平均及び分散を算出する。これは、大局的な方向に変動が少なく、方向が絞りやすいためである。
【0181】
また、目的位置が明確でない場合の重み付けは、短時間移動ベクトルの方向角度を、直近の値に重み付けを行って平均を算出する。これは、方向を絞り込むことは、歩行が不規則であるほど困難であり、逆にばらつきの範囲を広く表示することが重要なためである。
【0182】
なお、移動方向の予測は、長時間ベクトルの平均値を平均値、短時間ベクトルの分散を分散として求めることでもよい。これは、目的方向を絞りつつ、ばらつきの範囲を広く表示できるためである。
【0183】
また、確率密度関数の表示においては、移動方向に係る上記の2種類の予測方法のそれぞれに対応して色分けをして表示することもできるし、いずれかを選択して表示するよう構成することもできる。
【0184】
予測移動速度及び予測移動方向を平均値として、一定値を分散値とした予想位置確率密度関数を求める。さらに、道路上は存在傾向が高く、道路以外は存在傾向が低い値を設定した存在傾向密度関数を予想位置確率密度関数に乗算し、受信機により無線タグ10の存在を検知しない領域を除外して、確率密度関数を求める。
【0185】
スカラー速度及び方向角がそれぞれ正規分布又はフォン・ミーゼス分布に従うと仮定して、当該確率密度関数を用いて、次のサンプリング時間における対象者の存在する確率の高い領域を予測する。なお、分布を機械学習によって求めるよう構成することもできる。
【0186】
<実施形態3に係る確率密度関数を用いた表示要領>
次に、本実施形態3に係る確率密度関数を用いた表示要領について説明する。図29は、本実施形態3に係る確率密度関数を用いた表示要領を説明する図である。まず、図29(a)に示すように、確率密度関数を用いて、位置座標毎に確率密度関数マップとして表される。
【0187】
具体的には、確率密度関数は、位置座標が「X座標1/y」において、yがY座標1の場合に「0.0162」、yがY座標2の場合に「0.0187」、yがY座標3の場合に「0.0201」、yがY座標4の場合に「0.0192」、yがY座標5の場合に「0.0149」、yがY座標6の場合に「0.0085」、yがY座標7の場合に「0.0034」であることを示している。
【0188】
また、位置座標が「X座標2/y」において、yがY座標1の場合に「0.0106」、yがY座標2の場合に「0.0169」、yがY座標3の場合に「0.0212」、yがY座標4の場合に「0.0234」、yがY座標5の場合に「0.0157」、yがY座標6の場合に「0.0156」、yがY座標7の場合に「0.0051」であることを示している。
【0189】
また、位置座標が「X座標3/y」において、yがY座標1の場合に「0.0085」、yがY座標2の場合に「0.0089」、yがY座標3の場合に「0.0129」、yがY座標4の場合に「0.0200」、yがY座標5の場合に「0.0250」、yがY座標6の場合に「0.0214」、yがY座標7の場合に「0.0116」であることを示している。
【0190】
また、位置座標が「X座標4/y」において、yがY座標1の場合に「0.0021」、yがY座標2の場合に「0.0027」、yがY座標3の場合に「0.0042」、yがY座標4の場合に「0.0143」、yがY座標5の場合に「0.0165」、yがY座標6の場合に「0.0240」、yがY座標7の場合に「0.0103」であることを示している。
【0191】
また、位置座標が「X座標5/y」において、yがY座標1の場合に「0.0009」、yがY座標2の場合に「0.0004」、yがY座標3の場合に「0.0035」、yがY座標4の場合に「0.0115」、yがY座標5の場合に「0.0219」、yがY座標6の場合に「0.0242」、yがY座標7の場合に「0.0156」であることを示している。
【0192】
また、位置座標が「X座標6/y」において、yがY座標1の場合に「0.0012」、yがY座標2の場合に「0.0019」、yがY座標3の場合に「0.0035」、yがY座標4の場合に「0.0128」、yがY座標5の場合に「0.0153」、yがY座標6の場合に「0.0227」、yがY座標7の場合に「0.0098」であることを示している。
【0193】
また、位置座標が「X座標7/y」において、yがY座標1の場合に「0.0053」、yがY座標2の場合に「0.0062」、yがY座標3の場合に「0.0099」、yがY座標4の場合に「0.0166」、yがY座標5の場合に「0.0218」、yがY座標6の場合に「0.0192」、yがY座標7の場合に「0.0106」であることを示している。
【0194】
次に、図29(b)の描画マップについて説明する。描画マップは、確率密度関数マップの数値が0.0150以上の位置座標を抽出し、0.0240以上の位置座標は色7(例えば濃緑色)、0.0200以上、0.240未満の位置座標は色8(例えば緑色)、0.0150以上、0.200未満の位置座標は色9(例えば薄緑色)で描画したものである。
【0195】
<実施形態3に係る画像データ113の表示例>
次に、本実施形態3に係る画像データ113の表示の一例について説明する。図30は、本実施形態3に係る画像データ113の表示の一例を示す図である。図30は、時刻t3における表示例であり、実施形態2に係るt3における表示例(図26)に、確率密度関数を用いて求めた、次のサンプリング時間における対象者の存在する確率の高い領域を追加表示したものである。
【0196】
次のサンプリング時間における存在位置の確度の高い領域は、色7、色8及び色9で示されている。この表示例は、移動受信機3Aの位置から180度方向の道路沿いを中心として、次のサンプリング時間における対象者の存在する確率の高い領域が存在することを示している。
【0197】
このように、本実施形態3に係る捜索支援システムは、対象者が現時点以降に存在する可能性の高い領域を予測した情報を提供することができる。
【0198】
なお、上記の各実施形態で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0199】
本発明に係る捜索支援システム及び捜索支援方法は、対象者を効率良く確保する場合に適している。
【符号の説明】
【0200】
1A,2A,3A,30 移動受信機
1B,2B,3B,20 固定受信機
10 無線タグ
40 情報集約サーバ
41 表示部
42 入力部
43 通信部
44 記憶部
44a 無線タグ管理データ
44b 受信機管理データ
44c 移動受信機表示設定データ
44d 検知情報表示設定データ
44e 表示範囲内受信機管理データ
44f 画像データ
44g 地図データ
44h 表示データ
45 制御部
45a 無線タグ管理部
45b 受信機管理部
45c 表示設定部
45d 画像データ生成部
45e 表示範囲内データ抽出部
45f 現在情報処理部
45g 移動受信機過去情報処理部
45h 過去検知情報処理部
45i 画像データ通知部
45j 表示データ描画部
50 携帯端末
100 情報集約サーバ
110 記憶部
111 受信機管理データ
112 表示範囲内受信機管理データ
113 画像データ
114 表示データ
115 表示データ生成用フラグデータ
120 制御部
121 受信機管理部
122 画像データ生成部
123 表示範囲内データ抽出部
124 現在情報処理部
125 詳細検知情報処理部
126 座標算出部
127 表示データ変更処理部
128 移動方向算出部
129 表示データ描画部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
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図16
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