(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125360
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】改善された破壊ひずみを有する高弾性率構造発泡体材料
(51)【国際特許分類】
C08L 29/14 20060101AFI20240910BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20240910BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20240910BHJP
C08L 51/04 20060101ALI20240910BHJP
C08L 71/08 20060101ALI20240910BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20240910BHJP
C08K 7/04 20060101ALI20240910BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240910BHJP
C08K 3/34 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C08L29/14
C08L63/00 A
C08L101/00
C08L51/04
C08L71/08
C08K3/013
C08K7/04
C08K3/36
C08K3/34
【審査請求】有
【請求項の数】33
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102127
(22)【出願日】2024-06-25
(62)【分割の表示】P 2021500996の分割
【原出願日】2019-08-06
(31)【優先権主張番号】62/714,842
(32)【優先日】2018-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】508036075
【氏名又は名称】ゼフィロス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】チャプリツキ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マドゥス,キース
(72)【発明者】
【氏名】コサル,ディヴィッド
(57)【要約】 (修正有)
【課題】消音、接着、及び/又は補強のための改善された材料であって、既存の材料に比較して向上した引張弾性率、破壊ひずみ、及び接着耐久性をもたらす材料を提供する。
【解決手段】少なくとも約10重量%のポリビニルブチラールと、熱可塑性エポキシであってポリビニルブチラール対熱可塑性エポキシの比を約1対10~約1対4とする熱可塑性エポキシと、少なくとも2重量%ただし15重量%未満の付加型カルボキシル基末端ポリマーと、を備えている材料であって、2%より大きい破壊ひずみ及び少なくとも700MPaの弾性率を有している材料。前記材料の、接着剤としての使用。好ましくは、前記材料の、輸送車両内の部材を接着するための使用。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料において、
i)少なくとも10重量%のポリビニルブチラール、
ii)熱可塑性エポキシであって、前記ポリビニルブチラール対当該熱可塑性エポキシの比が、ポリビニルブチラール3重量部~7重量部に対し熱可塑性エポキシ1重量部~2重量部であるか、又はポリビニルブチラール1重量部~10重量部に対し熱可塑性エポキシ1重量部~4重量部である、熱可塑性エポキシ、及び、
iii)少なくとも16重量%の量で存在するポリマー粒子成分、
を備えている材料であって、
当該材料は、ISO527により測定された破壊ひずみであって2%より大きい破壊ひずみと、当該材料が硬化したときに、ASTM D638タイプIV試験方法により測定された引張弾性率であって少なくとも900MPaの引張弾性率とを有している、材料。
【請求項2】
硬化剤を含んでいる請求項1に記載の材料。
【請求項3】
前記材料はポリビニルブチラールを10重量%~30重量%含有している、請求項1又は請求項2に記載の材料。
【請求項4】
前記ポリマー粒子成分は平均して200nmのサイズのコアシェルゴム粒子を含んでいる、請求項1から請求項3の何れか一項に記載の材料。
【請求項5】
前記ポリマー粒子成分は凝塊粒子を含んでいない、請求項1から請求項4の何れか一項に記載の材料。
【請求項6】
エポキシ/エラストマー付加物を含んでいる請求項1から請求項5の何れか一項に記載の材料。
【請求項7】
前記エポキシ/エラストマー付加物中のエラストマーは、スチレンブタジエンゴム、ポリサルファイド、ポリブタジエン、アクリル、天然ゴム、カルボキシル基末端ブタジエン-アクリロニトリル、ポリシロキサン、ポリエステル、ウレタンプレポリマー、又はそれらの何れかの組合せから選択されている、請求項6に記載の材料。
【請求項8】
前記材料は硬化剤を当該材料の0.5重量%~5.0重量%の範囲で含んでいる、請求項1から請求項7の何れか一項に記載の材料。
【請求項9】
発泡剤を含んでいる請求項1から請求項8の何れか一項に記載の材料。
【請求項10】
前記材料は発泡剤を当該材料の0.5重量%~5.0重量%の範囲で含んでいる、請求項1から請求項9の何れか一項に記載の材料。
【請求項11】
前記材料は刺激へ曝されると発泡する、請求項1から請求項10の何れか一項に記載の材料。
【請求項12】
フェノールベースの可撓性付与剤を含んでいる請求項1から請求項11の何れか一項に記載の材料。
【請求項13】
鉱物補強材を備える1つ又はそれ以上の補強成分を含んでいる請求項1から請求項12の何れか一項に記載の材料。
【請求項14】
前記1つ又はそれ以上の補強成分は、シリカ、珪藻土、ガラス、クレイ、ガラスビーズ又はガラス球、ガラス、炭素繊維又はセラミック繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、又はポリアミド繊維、ピロフィライト、サウコナイト、サポナイト、ノントロナイト、ウォラストナイト、又はモンモリロナイトから選択されている、請求項13に記載の材料。
【請求項15】
シリカ及び/又はカルシウムベースの鉱物補強材を含んでいる請求項13に記載の材料。
【請求項16】
繊維ベースの補強成分を含んでいる請求項1から請求項15の何れか一項に記載の材料。
【請求項17】
前記補強成分がウォラストナイトである、請求項13に記載の材料。
【請求項18】
前記付加型カルボキシル基末端ポリマー対前記鉱物補強材の比は、付加型カルボキシル基末端ポリマー1重量部~4重量部に対し鉱物補強材1重量部~10重量部である、請求項13から請求項15の何れか一項に記載の材料。
【請求項19】
前記付加型カルボキシル基末端ポリマー対前記鉱物補強材の比は、付加型カルボキシル基末端ポリマー1重量部~2重量部に対し鉱物補強材3重量部~7重量部である、請求項13から請求項15の何れか一項に記載の材料。
【請求項20】
前記エポキシ/エラストマー付加物対前記熱可塑性エポキシの比はエポキシ/エラストマー付加物1重量部~10重量部に対し熱可塑性エポキシ1重量部~4重量部である、請求項6に記載の材料。
【請求項21】
前記エポキシ/エラストマー付加物対前記熱可塑性エポキシの比はエポキシ/エラストマー付加物3重量部~7重量部に対し熱可塑性エポキシ1重量部~2重量部である、請求項6に記載の材料。
【請求項22】
請求項1から請求項21の何れか一項に記載の材料の、接着剤としての使用。
【請求項23】
請求項1から請求項22の何れか一項に記載の材料の、輸送車両内の部材を接着するための使用。
【請求項24】
第1の基材を第2の基材へ接着する方法であって、請求項1から請求項21の何れか一項に記載の材料を前記第1の基材へ適用する段階と、前記材料を活性化する段階と、前記材料を活性化する段階の後に前記材料を前記第2の基材へ接触させる段階と、を含んでいる方法。
【請求項25】
材料において、
i)30重量%未満ただし少なくとも16重量%のポリマー粒子成分であって、ビスフェノールA型エポキシ樹脂中に分散させたコアシェルゴム粒子を含み、前記コアシェルゴム粒子は当該ポリマー粒子成分の少なくとも20%の濃度で存在している、ポリマー粒子成分、
ii)少なくとも13重量%のポリビニルブチラール、
iii)補強成分、及び、
iv)熱可塑性エポキシであって、前記ポリビニルブチラール対当該熱可塑性エポキシの比が、ポリビニルブチラール3重量部~7重量部に対し熱可塑性エポキシ1重量部~2重量部であるか、又はポリビニルブチラール1重量部~10重量部に対し熱可塑性エポキシ1重量部~4重量部である、熱可塑性エポキシ、
を備えている材料であって、
当該材料は、ISO527により測定された破壊ひずみであって2%より大きい破壊ひずみと、当該材料が硬化したときに、ASTM D638タイプIV試験方法により測定された引張弾性率であって少なくとも900MPaの引張弾性率とを有している、材料。
【請求項26】
硬化剤を含んでいる請求項25に記載の材料。
【請求項27】
前記材料はポリビニルブチラールを15重量%~30重量%含有している、請求項25又は請求項26に記載の材料。
【請求項28】
前記補強成分は鉱物補強材であり、前記材料は付加型カルボキシル基末端ポリマーを備えており、前記付加型カルボキシル基末端ポリマー対前記鉱物補強材の比は、付加型カルボキシル基末端ポリマー1重量部~4重量部に対し鉱物補強剤1重量部~10重量部である、請求項25から請求項27の何れか一項に記載の材料。
【請求項29】
前記補強成分は鉱物補強材であり、前記材料は付加型カルボキシル基末端ポリマーを備えており、前記付加型カルボキシル基末端ポリマー対前記鉱物補強材の比は、付加型カルボキシル基末端ポリマー1重量部~2重量部に対し鉱物補強剤3重量部~7重量部である、請求項25から請求項27の何れか一項に記載の材料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本教示は、概括的には、活性化可能な(activable)材料、活性化可能な材料を形成する方法、及び活性化可能な材料を自走車両の様な製造物品の構成要素の消音などの音の調節、接着、又は補強のために使用する方法に関しており、活性化可能な材料は改善された接着耐久性を有している。
【背景技術】
【0002】
長年にわたり、産業界特に輸送業界は、自走車両の様な製造物品の音響的減衰、接着、及び補強に腐心してきた。ひいては、産業界はその様な音を調節する(baffling)ことや物、接着、及び補強を提供するための広範に様々な材料を開発してきた。接着材料及び補強材料としてのより望ましい特性の幾つかには、高い引張弾性率、高い破断ひずみ、及び接着耐久性が含まれる。これらの特性同士はおおむね逆の関係を有していて、一方の特性の向上は他方の特性の低下を招くことが往々にしてある。接着耐久性を維持又は改善しながらも、向上した引張弾性率、及び共存する向上した破壊ひずみ、耐剥離性、耐衝撃性、破壊靭性を提供する材料を有するのが望ましいだろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公開第2004/02045551号
【特許文献2】米国特許第3,984,497号
【特許文献3】米国特許第4,096,202号
【特許文献4】米国特許第4,034,013号
【特許文献5】米国特許第3,944,631号
【特許文献6】米国特許第4,306,040号
【特許文献7】米国特許第4,495,324号
【特許文献8】米国特許第4,304,709号
【特許文献9】米国特許第4,536,436号
【特許文献10】米国特許第3,985,703号
【特許文献11】米国特許第5,275,853号
【特許文献12】米国特許第5,464,924号
【特許文献13】米国特許第5,962,093号
【特許文献14】米国特許第6,474,723号
【特許文献15】米国特許第6,467,834号
【特許文献16】米国特許第6,419,305号
【特許文献17】米国特許第6,358,584号
【特許文献18】米国特許第6,311,452号
【特許文献19】米国特許第6,296,298号
【特許文献20】米国特許第6,263,635号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、したがって、消音、接着、及び/又は補強のための改善された材料であって、既存の材料に比較して向上した引張弾性率、破壊ひずみ、及び接着耐久性をもたらす材料を提供することを目指している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書の教示は、少なくとも約10重量%のポリビニルブチラールと、熱可塑性エポキシであってポリビニルブチラール対熱可塑性エポキシの比を約1対10~約1対4とする熱可塑性エポキシと、少なくとも2重量%ただし15重量%未満の付加型(付加された)カルボキシル基末端ポリマー(adducted carboxyl-terminated polymer)(例えば、カルボキシル基末端ポリマーとエポキシ基末端分子の付加物)と、を備えている材料を提供する。材料は、約2%より大きい破壊ひずみ、及び少なくとも約700MPaの弾性率(計測値は硬化中の発泡量によって影響を受けることもある)を有する。
【0006】
材料は硬化剤を含んでいてもよい。材料は約15重量%~約30重量%のポリビニルブチラールを含有していてもよい。材料は少なくとも約3%の破壊ひずみを有することができるだろう。材料は少なくとも約900MPaの弾性率を有することができるだろう。材料は、材料の約5重量%~約30重量%の量で存在するポリマー粒子を含んでいてもよい。本明細書での使用に際し、「ポリマー粒子」という用語は、ポリマー材料を備える粒子と定義され、粒子は、破壊靭性(例えば、モード1のG1C破壊靭性)、耐剥離性、及び耐衝撃性のうちの1つ又はそれ以上を改善するように選択される。ポリマー粒子は、平均約200nmのサイズのコアシェルゴム粒子を含んでもよい。ポリマー粒子は、実質的に凝塊粒子不含(例えば脱凝塊ポリマー粒子)とすることができる。
【0007】
材料は、エポキシ/エラストマー付加物又はエポキシ/エラストマー配合物を含んでいてもよい。付加物中のエラストマーは、スチレンブタジエンゴム、ポリサルファイド、ポリブタジエン、アクリル、天然ゴム、CTBN、ポリシロキサン、ポリエステル、ウレタンプレポリマー、又はそれらの何れかの組合せから選択されてもよい。材料は付加型カルボキシル基末端ポリマーを含んでいてもよい。
【0008】
材料は硬化剤を材料の約0.5重量%~約5.0重量%の範囲で含んでいてもよい。材料は発泡剤を含んでいてもよい。材料は発泡剤を材料の約0.5重量%~約5.0重量%の範囲で含んでいてもよい。
【0009】
材料は硬化したときに約700MPa~約3000MPaの引張弾性率を示すことができるだろう。材料は硬化したときに少なくとも約400psiの重ね剪断強度を示すことができるだろう。材料は未加工状態から膨張状態への約100%~約500%の体積膨張を示すことができるだろう。材料は少なくとも約4N/mmの硬化時T剥離強度を示すことができるだろう。改善されたT剥離強度は、ポリビニルブチラール、付加型カルボキシル基末端ポリマー、及びポリマー粒子の組合せの結果であるとしてもよい。改善された破壊ひずみは、付加型カルボキシル基末端ポリマー、エポキシ/エラストマー付加物、及び熱可塑性エポキシの組合せの結果であるとしてもよい。材料は刺激に曝されると発泡するようになっていてもよい。材料は可撓性付与剤を含んでいてもよい。
【0010】
材料は、材料を補強するための、材料の膨張を方向決めするための、材料の流れを制御するための、及び/又は材料の粘度を改質するための1つ又はそれ以上の材料(例えば1つ又はそれ以上の補強成分)を含んでいてもよい。1つ又はそれ以上の補強成分は、珪藻土、クレイ(例えばナノクレイを含む)、パイロフィライト、サウコナイト、サポナイト、ノントロナイト、ウォラストナイト、又はモンモリロナイトの様な鉱物補強材から選択されてもよい。補強成分は、シリカ及び/又はカルシウム鉱物補強材を含んでもよい。補強成分は、ガラス、ガラスビーズ又はガラス球、炭素繊維又はセラミック繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、又はポリアミド繊維(例えばケブラー(登録商標))を含んでもよい。補強成分はウォラストナイトであってもよい。補強成分は約20:1~約3:1のアスペクト比を有する繊維であってもよい。補強成分は約15:1~約10:1のアスペクト比を有する繊維であってもよい。補強成分は約12:1のアスペクト比を有する繊維であってもよい。補強成分は第1の物理的特性を改善すると同時に実質的に第2の物理的特性への何らかの有意な有害効果を回避することが見込まれる。1つの実施例として、選択された補強成分は、破壊ひずみへの有害性を最小限にしながらも材料の全体的な弾性率を改善することができるだろう。材料は、顔料又は着色剤、炭酸カルシウム、タルク、珪酸塩鉱物、バーミキュライト、雲母などを含む1つ又はそれ以上の充填材を更に含んでいてもよい。
【0011】
ポリビニルブチラール成分は熱可塑性エポキシと共に特定の比で存在していてもよい。ポリビニルブチラール対熱可塑性エポキシの比は、ポリビニルブチラール約3部~約7部に対し熱可塑性エポキシ約1部~約2部であってもよい。付加型カルボキシル基末端ポリマー対鉱物補強材の比は、付加型カルボキシル基末端ポリマー約1部~約10部に対し鉱物補強材約1部~約4部であってもよい。付加型カルボキシル基末端ポリマー対鉱物補強材の比は、付加型カルボキシル基末端ポリマー約3部~約7部に対し鉱物補強材約1部~約2部であってもよい。エポキシ/エラストマー付加物対熱可塑性エポキシの比は、エポキシ/エラストマー付加物約1部~約10部に対し熱可塑性エポキシ約1部~約4部であってもよい。エポキシ/エラストマー付加物対熱可塑性エポキシの比は、エポキシ/エラストマー付加物約3部~約7部に対し熱可塑性エポキシ約1部~約2部であってもよい。
【0012】
本明細書の教示は、更に、本明細書に記載されている材料の何れかの、接着剤としての使用を提供する。本明細書の教示は、本明細書に記載されている材料の何れかの、輸送車両の部材を接着するための使用を提供する。
【0013】
本明細書の教示は、第1の基材を第2の基材へ接着するための方法であって、本明細書に記載されている材料を第1の機材へ適用する段階と、次いで材料を活性化させる段階と、次いで材料を第2の基材へ接触させる段階と、を含んでいる方法を提供する。
【0014】
本明細書の教示は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂中に分散させたコアシェルゴム粒子を含む約30重量%未満のポリマー粒子と、少なくとも約10重量%のポリビニルブチラールと、熱可塑性エポキシと、付加型カルボキシル基末端ポリマーと、鉱物強化剤と、を備えている材料にも向けられている。
【0015】
本明細書の教示は、更に、少なくとも約10重量%のポリビニルブチラールと、少なくとも約10重量%のポリマー粒子と、少なく2重量%ただし約15重量%未満のカルボキシル基末端付加物と、を備えている材料に向けられている。材料は80℃にて少なくとも350MPaの弾性率を有することができるだろう。
【0016】
材料は少なくとも2重量%の熱可塑性エポキシを含んでいてもよい。材料は1つ又はそれ以上の鉱物補強材を含んでいてもよい。材料は2%より大きい破壊ひずみを有することができるだろう。材料は1つ又はそれ以上の鉱物補強材及び1つ又はそれ以上の繊維補強成分を含んでいてもよい。鉱物補強材対繊維補強成分の比は鉱物補強材約3部~約7部に対し繊維補強成分約1部~約2部であってもよい。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書に提示されている解説及び例示は、当業者に本教示、その原理、及びその実践的適用に習熟してもらうことを意図している。示されている本教示の特定の実施形態は網羅的であろうとする意図もなければ本教示を限定する意図もない。本教示の範囲は、付随の特許請求の範囲並びにその様な特許請求の範囲が権利を有する等価物の完全な範囲を参照して確定されるべきである。特許出願及び特許公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で参照により援用される。更に、付随の特許請求の範囲から収集され得るところの他の組合せが実施可能であり、その様な組合せもまたこれによりこの書面による記述へ参照により組み入れられる。本明細書中のパーセンテージは、別段の指示のない限り、重量パーセントを指す。
【0018】
本発明には、改善された材料(例えば活性化可能な材料)及び同材料を組み入れた物品の提供が見込まれている。活性化可能な材料は、構造物の腔部内又は表面上に又は製造物品の1つ又はそれ以上の構造部材へ、構造的補強、接着、消音、音響減衰の特性又はそれらの組合せを提供するのを支援することができるだろう。本明細書での使用に際し、活性化可能な材料という語句は、周囲条件又は別の条件によって、溶融するように、流動するように、硬化(例えば熱硬化)するように、膨張するように、発泡するように、又はそれらの組合せを実現させるように活性化され得る何れの材料をも含む。例えば、材料は、熱、圧力、化学的曝露、それらの組合せの様な条件に曝されると、膨張する、発泡する、流動する、溶融する、硬化する、接着性を発現させる、それらの組合せなどを実現させることができるだろう。
【0019】
活性化可能な材料は、典型的には、ポリマー粒子、ポリビニルブチラール、及び付加型カルボキシル基末端ポリマーを含んでいる。活性化可能な材料は、更に、エポキシ/エラストマー付加物、可撓性付与剤、熱可塑性エポキシ、フェノキシ樹脂、発泡剤、硬化剤、1つ又はそれ以上の補強成分、及び1つ又はそれ以上の充填材、の1つ又はそれ以上の組合せを含んでいてもよい。
【0020】
本教示の活性化可能な材料は、様々な製造物品に対し、それら物品の部分又は部材へ構造的完全性を付加するために適用することができる。その様な製造物品の例には、限定するわけではないが家庭用又は工業用電化製品、家具、貯蔵容器、建物、構造物、などが挙げられる。活性化可能な材料は、自走車両のボディ又はフレーム部材(例えば車両フレームレール)の様な、自走車両の部分に適用されてもよい。本教示の1つの方法は、活性化可能な材料を未膨張又は部分膨張の状態で上記構造物の1つの表面へ適用し、材料を未膨張状態での体積よりも大きい(例えば、少なくとも5%大きい、少なくとも20%大きい、少なくとも50%大きい、少なくとも100%大きい、少なくとも200%大きい、少なくとも400%大きい、又はそれより大きい又は高い)体積へ膨張させる(例えば発泡させる)ように材料を活性化することを企図している。更に、典型的には、少なくとも補強用途については体積膨張が元の未膨張体積に対比して800%未満、より典型的には500%未満、なおいっそう典型的には400%未満、場合によっては300%未満であるのが好ましい。また、活性化可能な材料の発泡後バージョン又は未発泡バージョンについては、活性化後には硬化(例えば架橋)のせいで材料の体積が縮むこともあると考えられる。
【0021】
材料は、エポキシエラストマー付加物であってもよいとされる付加物を含むように調合されてもよい。エポキシエラストマー付加物は、活性化可能な材料へ可塑化効果を与え、塑性変形を開始する能力を与えることができるだろう。更に、それは破壊靭性及び耐衝撃性を改善するのに有効である離散エラストマー粒子を現出させるように硬化中に分相することができるだろう。本教示では、様々なエポキシ/エラストマー付加物を採用することができる。エポキシ/エラストマーハイブリッド又は付加物は活性化可能な材料の約75重量%までの量で含まれていてもよい。エポキシエラストマー付加物は、近似的には、活性化可能な材料の少なくとも約5重量%、より典型的には少なくとも約10重量%、より典型的には少なくとも約15重量%、なおいっそう典型的には少なくとも約20重量%の量であってもよい。エポキシエラストマー付加物は、近似的には、活性化可能な材料の約75重量%以下、より典型的には約70重量%以下、より典型的には約65重量%以下、なおいっそう典型的には約60重量%以下であってもよい。エラストマー含有付加物は2つ又はそれ以上の特定の付加物の組合せであってもよい。付加物は、23℃の温度にて固体付加物、液体付加物、又は半固体物であってもよく、同様にそれらの何らかの組合せであってもよい。付加物は実質的に全体(即ち、少なくとも70%、80%、90%又はそれ以上)が23℃の温度にて固体である1つ又はそれ以上の付加物で構成されることも実施可能である。付加物は、メタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS)の様なポリマー粒子、及びポリビニルブチラール(PVB)の様なポリマー材料と一緒に使用されてもよく、そうすると比較的少量の付加物を採用した場合でも、広い温度範囲に亘って望ましい接着性能及び物理的特性を実現させることができるだろう。
【0022】
付加物自体は、概して、エラストマーに対して約1:5~5:1部のエポキシ、より好ましくはエラストマーに対して約1:3~3:1部のエポキシを含んでいる。より典型的には、付加物は、少なくとも約10%、より典型的には少なくとも約20%、及び又はいっそう典型的には少なくとも約30%のエラストマーを含み、更に典型的には約60%を超えない量を含むが、より高い又はより低いパーセンテージも実施可能である。付加物に適したエラストマー化合物は反応性官能基を含有していてもよい。例示的なエラストマーには、限定するわけではないが、天然ゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、イソプレン-ブタジエンコポリマー、ネオプレン、ニトリルゴム(例えば、カルボキシル基末端ブチルニトリルの様なブチルニトリル)、ブチルゴム、ポリサルファイドエラストマー、アクリルエラストマー、アクリロニトリルエラストマー、シリコーンゴム、ポリシロキサン、ポリエステルゴム、ジイソシアネート結合縮合エラストマー、EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンゴム)、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素化炭化水素などが挙げられる。本教示での使用に適した追加的又は代替的なエポキシ/エラストマー又は他の付加物の例は、米国特許公開第2004/02045551号に開示されている。
【0023】
エラストマー含有付加物は、活性化可能な材料の強度、破壊ひずみ、破壊靭性(G1c)、剥離性、接着耐久性、未硬化材料完全性(使用前に、粘着、破断、又は変形する可能性が低い)、剛性、又は他の特性の様な構造的特性を改質するために含まれる。カルボキシル基末端ブタジエン-アクリロニトリル(CTBN)及びその付加物は、汚れた表面、特に自動車産業に典型的なスタンピング潤滑剤で汚れた表面への接着性を発現させるうえで特に有用である。
【0024】
概して、活性化可能な材料は、少なくとも1つの種類のポリマー粒子を含んでいるのが好ましい。その様なポリマー粒子は、破壊靭性(G1C)、耐剥離性、及び耐衝撃性を改善するために利用することができる。本明細書での使用に際し、本教示の何れの他の成分とも同様に「ポリマー粒子」という用語は1つ又はそれ以上の種類のポリマー粒子を含み得る。様々な種類のポリマー粒子が、本教示の実践で採用されることができ、多くの場合、1つ又はそれ以上のエラストマーを含む。概して、ポリマー粒子は、活性化可能な材料の、少なくとも4重量%、より典型的には少なくとも7重量%、なおいっそう典型的には少なくとも10重量%、さらになお典型的には少なくとも13重量%、なおいっそう典型的には少なくとも16重量%であるのが好ましく、同様にポリマー粒子は、活性化可能な材料の90重量%未満、より典型的には40重量%未満、さらに典型的には30重量%未満であるのが好ましいが、特定の実施形態ではより高い量又はより低い量が使用されてもよい。
【0025】
ポリマー粒子は、エポキシ中に予め分散されている1つ又はそれ以上のコア/シェルポリマーを含んでいてもよい。液体エポキシ中にコアシェル材料を形成するためのプロセスは、「乾燥」コアシェルポリマー粒子の場合によくあるコアシェル粒子の凝塊(例えば、乾燥プロセス中には凝塊が起こり得る)を回避する。このプロセスによって作られる生成物の例は、米国特許第3,984,497号;同第4,096,202号;同第4,034,013号;同第3,944,631号;同第4,306,040号;同第4,495,324号;同第4,304,709号;及び同第4,536,436号のうちの1つ又はそれ以上に記載されているだろう。ポリマー粒子は乳化重合プロセスを経て形成されてもよい。このプロセスは、溶媒を樹脂と共に添加することを含んでもよい。樹脂/溶媒と水の間の不相溶性の結果として、コアシェル粒子が樹脂の中へ動くにつれて水は材料から沈降し、凝塊の低減化がもたらされることになる。代替的には、高速分散がコア/シェル材料の脱凝塊に効果があるかもしれない。また一方、コア/シェル材料の噴霧乾燥又は凝固後に界面活性剤が残留することもある。この残留界面活性剤は、塩水噴霧や湿気の様な水を伴う環境的曝露条件に対する材料の耐性にとって有害となりかねない。環境的曝露条件に曝されない材料なら、典型的には、乾燥材料の十分な脱凝塊があることを前提として乾燥コアシェルマスターバッチと液体コアシェルマスターバッチの間に差を示すことはないだろう。
【0026】
本明細書での使用に際し、コアシェルポリマーという用語は、ポリマー材料であってその実質的な部分(例えば、30重量%より大きい、50重量%より大きい、70重量%より大きい、又はそれ以上)が、第2のポリマー材料(即ち第2の材料またはシェル材料)によって実質的に全体をカプセル化された第1のポリマー材料(即ち第1の材料又はコア材料)で構成され得るポリマー材料を意味するとしてもよい。第1のポリマー材料及び第2のポリマー材料は、本明細書での使用に際しては、組み合わせた及び/又は反応させた(例えば順次的に重合化させた)1つ、2つ、3つ又はそれ以上のポリマーで構成されていてもよいし、又は、別々の又は同じコア/シェル系の一部であってもよい。コア/シェルポリマーは、調合物と相溶性があるのがよく、好ましくは延性コアと、活性化可能な材料の他の成分との好ましい接着性を有する剛性シェルと、を有しているのがよい。
【0027】
コア/シェルポリマーの第1及び第2のポリマー材料は、エラストマー、ポリマー、熱可塑性プラスチック、コポリマー、他の成分、又はそれらの組合せを含むことができる。第1のポリマー材料、第2のポリマー材料、又はそれら両方は、1つ又はそれ以上の熱可塑性物質を含むか、又は実質的に全体(例えば、少なくとも70重量%、80重量%、90重量%、又はそれ以上)が1つ又はそれ以上の熱可塑性物質で構成されていてもよい。例示的な熱可塑性物質には、限定するわけではないが、スチレン系樹脂、アクリロニトリル、アクリレート、アセテート、ポリアミド、ポリエチレン、又はそれらの組合せが挙げられる。
【0028】
有用なコア-シェルグラフトコポリマーの例は、スチレン、アクリロニトリル、又はメチルメタクリレートの様な硬質の含有化合物が、ブタジエン又はブチルアクリレートのような軟質又はエラストマー性化合物のポリマーから作られたコアへグラフトされたものであってもよい。米国特許第3,985,703号は、有用なコア-シェルポリマーを記載しており、それらのコアはブチルアクリレートから作られているが、エチルイソブチル、2-エチルヘキシル、又は他のアルキルアクリレート、又はそれらの混合物をベースにすることもできる。コアポリマーはまた、スチレン、酢酸ビニル、メチルメタクリレート、ブタジエン、イソプレンなどの様な他の共重合可能な含有化合物を含んでいてもよい。コアポリマー材料は、同様に、エチレングリコールジアクリレート、ブチレングリコールジメタクリレートなどの様な、近似的に同等の反応性の非共役二重結合を2つ又はそれ以上有する架橋性モノマーを含んでいてもよい。コアポリマー材料は、同様に、例えばマレイン酸ジアリルやメタクリル酸アリルの様な、同等でない反応性の非共役二重結合を2つ又はそれ以上有するグラフト結合性モノマーを含んでいてもよい。
【0029】
シェル部分は、メチルメタクリレートの様なメチルアクリレート及び随意的には他のアルキルアクリレート及びアルキルメタクリレート、例えばエチル系、ブチル系、又はそれらの混合系のアクリレート及びメタクリレートなどから重合されていてもよく、というのもこれらの材料はフェノキシ樹脂及び調合物中に使用される何れかのエポキシ樹脂と相溶性があるからだ。シェルモノマーの最大40重量パーセント又はそれ以上がスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどであってもよい。コア-シェルグラフトコポリマーの例としては、限定するわけではないが、ポリブタジエン又はポリブタジエンコポリマーゴムの存在下にメチルメタクリレートを重合することによって作られる「MBS」(メタクリレート-ブタジエン-スチレン)ポリマーが挙げられる。MBSグラフトコポリマー樹脂は、概して、スチレン-ブタジエンゴムのコアと、アクリル系ポリマー又はコポリマーのシェルとを有しているだろう。他の有用なコア-シェルグラフトコポリマー樹脂の例としては、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、MABS(メタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)、ASA(アクリレート-スチレン-アクリロニトリル)、すべてのアクリル、SA EPDM(エチレン-プロピレン-ジエンモノマーのエラストマー性バックボーンへグラフトされたスチレン-アクリロニトリル)、MAS(メタクリル-アクリルゴムスチレン)、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0030】
有用なコア/シェルポリマーの例としては、限定するわけではないが、カネカ社から商業的に入手可能なカネエースという商標名で販売されているものが挙げられる。カネエースのコア/シェルの特に好適な銘柄は、アルケマ社(Arkema)から入手可能なMX-257及びM711又はクリアストレングスE-950(Clear Strength E-950)の等級で販売されている。コア/シェルポリマーは、活性化可能な材料の約5重量%~約30重量%であってもよい。
【0031】
活性化可能な材料は、強度、破壊ひずみ、及び/又は膨張の特性を高めるためのポリマー又は他の添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、材料が添加剤なしの材料に比較してヤング率(ASTM D638によって計測)と破壊ひずみの間で改善されたバランスを有することを可能にするだろう。例えば、添加剤は、添加剤なしの材料とは対照的に、弾性率と破壊ひずみの両方を同時に高めることを可能にするだろう。硬化後、材料は、少なくとも約500MPa、より典型的には少なくとも約700MPa、なおいっそう典型的には少なくとも約900MPaの引張弾性率を示すことができるだろう。硬化後、材料は、約1500MPa以下、より典型的には約1200MPa以下、更には約1000MPa以下の引張弾性率を示すことができるだろう。添加剤は、添加剤なしの材料に比較して、活性化可能な材料が活性化中により高い体積膨張を有することを可能にするだろう。添加剤は、弾性率を高めながら又は少なくとも維持しながらに向上した体積膨張を可能にすることができるだろう。硬化後、活性化可能な材料は、未硬化状態からの少なくとも約200%、より典型的には少なくとも約250%、より典型的には少なくとも約300%、なおいっそう典型的には少なくとも約330%の体積膨張を示すことができるだろう。硬化後、活性化可能な材料は、未硬化状態からの約500%以下、より典型的には約450%以下、より典型的には約400%以下、なおいっそう典型的には約300%以下の体積膨張を示すことができるだろう。
【0032】
添加剤は、特にコア/シェルポリマー粒子、エポキシ-エラストマー付加物、又はそれら両方と組み合わせて使用されたときに、活性化可能な材料へ望ましい物理的特性を提供するのを支援することができるだろう。弾性率、破壊ひずみ、及び/又は体積膨張を高めるための添加剤は、活性化可能な材料の他の所望の特性を維持しながらどちらも実現させることのできる何れの添加剤であってもよい。例示的な添加剤は、ポリビニルブチラール(PVB)である。ポリビニルブチラールは、近似的には、活性化可能な材料の少なくとも約5重量%、より典型的には少なくとも約10重量%、なおいっそう典型的には少なくとも約15重量%であってもよい。ポリビニルブチラールは、近似的には、活性化可能な材料の約30重量%以下、より典型的には約25重量%以下、更には約20重量%以下であってもよい。ポリビニルブチラールの適切な例には、CCPポリビニルブチラール樹脂B08HXが挙げられる。
【0033】
材料は可撓性付与剤を含んでいてもよい。可撓性付与剤という用語の使用は、単一の可撓性付与剤に関連していることもあれば複数の異なる可撓性付与剤の組合せに関連していることもある。他の可撓性付与剤が採用されてもよいが、好適な可撓性付与剤には、アミン変性ポリマー、エポキシ変性ポリマー、又はそれら両方のポリマーが挙げられる。これらのポリマーには、熱可塑性物質、熱硬化性物質又は熱硬化が可能な物質(thermosettables)、エラストマー、及びそれらの組合せなどを含めることができる。これらのポリマーは、芳香族エポキシ又は非芳香族エポキシで変性されていてもよく、及び/又はビスフェノール-F型、ビスフェノール-A型、それらの組合せ、又は他の型のエポキシで変性されていてもよい。好適な可撓性付与剤の例は、アクゾノーベル社(Akzo Nobel)から商業的に入手可能なEPS-350及びEPS-80の商標名で販売されているエポキシ化ポリサルファイドである。
【0034】
可撓性付与剤Rez-Cure EP1820(イノベイティブ・レジン・システムス社(Innovative Resin Systems)から入手可能)の様なフェノール含有分子は、利用することのできる1つの有力な材料である。別の好適な可撓性付与剤の例は、CVCスペシャルティ・ケミカルズ社(CVC Specialty Chemicals)から商業的に入手可能なHYPOX DA 323という商標名で販売されているエポキシ二量体酸エラストマーである。他の好適な可撓性付与剤の例は、GNSテクノロジーズ社(GNS Technologies)から商業的に入手可能なGME-3210及びGME-3220の商標名で販売されているポリウレタン変性エポキシである。実験結果から、ポリウレタン変性エポキシ可撓性付与剤は、衝撃強度(とりわけ楔衝撃試験によって実証)を改善し、かつ同時にガラス転移温度の低下に対する効果を最小限に抑えることができる、ということが観察されている。好適な可撓性付与剤の更なる例は、ハンツマン社(Huntsman)から商業的に入手可能なJEFFAMINE D-2000やダウ・ケミカル・カンパニー社(Dow Chemical Company)から商業的に入手可能なDER 732の様な、アミン基又はエポキシ基末端ポリエーテルである。エポキシ化された液体Cardolite NC-514やCardolite Lite 2513 HPの様なカシューナッツ殻液をベースにした可撓性付与剤も有用な可撓性付与剤である。本明細書に論じられている個々の可撓性付与剤はどれも、別段の記載のない限り、本発明の材料中に別々に又は組み合わせて使用することができる。
【0035】
典型的には、可撓性付与剤は、材料の少なくとも1重量%、より典型的には少なくとも2重量%、更に場合によっては少なくとも5重量%であり、ただし典型的には材料の50重量%未満、より典型的には35重量%未満、更に場合によっては20重量%未満であるが、別段の記載がない限り、より高い値及びより低い値も実施可能である。更に、可撓性付与剤がエポキシ成分で変性されている実施形態では、可撓性付与剤の量はより高くてもよいと考えられる。
【0036】
本明細書に記載されている材料は、1つ又はそれ以上のエポキシド官能性材料とポリビニルブチラールとを備えるベース樹脂を含んでいる。エポキシ樹脂(例えば、ポリマー粒子組成物の一部として含まれている何れかのエポキシ樹脂とは区別されるエポキシ樹脂)が、活性化可能な材料の接着性、接着耐久性、流動性又はそれらの何らかの組合せを向上させるように活性化可能な材料へ添加されてもよい。エポキシ材料は、更に、材料硬化時の架橋ネットワークに対する成分として作用することができる。1つの例示的なエポキシ樹脂はフェノール樹脂であってもよく、フェノール樹脂はノボラック型樹脂であってもよいし他の型の樹脂であってもよい。他の好適なエポキシ含有材料は、ビスフェノール-A型エピクロルヒドリンエーテルポリマー、又は、ブタジエン又は他のポリマー添加剤で変性されていているビスフェノール-A型エポキシ樹脂、又はビスフェノール-F型エポキシ樹脂を含んでいてもよい。また同様に、幾つかの異なるエポキシ樹脂の様々な混合物を採用することもできる。エポキシ樹脂は、シラン変性エポキシ樹脂又はシリコーン不含エポキシ樹脂であってもよい。例えば、シラン変性エポキシ樹脂は、活性化可能な材料をアルミニウムの様な金属へ接着できるようにするのに役立つだろう。エポキシ樹脂はカルボン酸基含有分子と予備反応させておいてもよい。
【0037】
材料はフェノキシ樹脂成分を含んでいてもよい。フェノキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロル-ヒドリン及びその誘導体の高分子量熱可塑性縮合生成物である。採用することのできるフェノキシ樹脂は以下の基本式のものであってもよい。
【化1】
ここに、nは、典型的には30~100、好適には50~90である。変性フェノキシ樹脂を使用することもできる。使用することのできるフェノキシ樹脂の例には、インケム・コープ社(Inchem Corp.)によって市販されている製品がある。適した材料の例は、PKHB、PKHC、PKHH、PKHJ、PKHPペレット及び粉末である。代替的には、フェノキシ/ポリエステルハイブリッド及びエポキシ/フェノキシハイブリッドが使用されてもよい。活性化可能な材料の生産を増強するために、溶液としてフェノキシ樹脂が他の成分へ供給されるのが好ましい。何れの溶媒が使用されてもよいが、活性化時の接着特性に寄与することができることから液体エポキシ樹脂を溶媒として使用するのが特に好ましい。
【0038】
活性化可能な材料内に所望に応じて開いた及び/又は閉じたセル状構造を形成する不活性ガスを発生させるために、1つ又はそれ以上の発泡剤が活性化可能な材料へ添加されてもよい。このやり方では、特定の用途について要求される、材料から製作される物品の密度を改質することが見込まれるだろう。
【0039】
発泡剤は、アミド、アミンなどの様な、1つ又はそれ以上の窒素含有基を含んでいてもよい。適した発泡剤の例としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、4,4i-オキシ-ビス-(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、トリヒドラジノトリアジン、及びN,Ni-ジメチル-N,Ni-ジニトロソテレフタルアミドが挙げられる。材料は、限定するわけではないがアクゾノーベル社(AkzoNobel)社から入手可能なExpancel(登録商標)の様な発泡剤を含む物理的発泡剤を含んでいてもよい。代替的には、材料は、トレクセル社(Trexel)から入手可能なMuCell(登録商標)プロセスに従って製造されてもよい。
【0040】
活性化可能な材料中には更に発泡剤のための促進剤が提供されていてもよい。発泡剤が不活性ガスを形成する速度を上げる及び/又は発泡剤が不活性ガスを形成する温度を下げるために様々な促進剤を使用することができるだろう。1つの好適な発泡剤促進剤は、金属塩であるか又は酸化物、例えば酸化亜鉛の様な金属酸化物である。他の好適な促進剤は、変性及び非変性のチアゾール、尿素、及びイミダゾールを含む。
【0041】
発泡剤及び発泡剤促進剤の量は、所望されるセル状構造の型式、活性化可能な材料の所望膨張量、所望膨張速度などに依存して、活性化可能な材料内で広範に変わり得る。活性化可能な材料中の発泡剤及び発泡剤促進剤の量の例示的な範囲は、約0.001重量%~約5重量%までの範囲であり、活性化可能な材料中にごくわずかの重量%で含まれているのが好ましい。発泡剤は、活性化可能な材料の少なくとも約0.5重量%、より典型的には少なくとも約1重量%、なおいっそう典型的には約1.2重量%であってもよい。発泡剤は、活性化可能な材料の約2.5重量%以下、より典型的には約2.0重量%以下、なおいっそう典型的には約1.8重量%以下であってもよい。例示的な発泡剤にはCellcom CF810及びCelogen(登録商標)754Aが挙げられる。
【0042】
本教示はまた発泡剤の省略も考えている。とはいえ、本教示の材料、発泡剤、又はそれら両方は熱的に活性化されるのが好ましい。代替的には、水分、放射線、又はそれ以外の様な、他の手段によって活性化を実現するための他の薬剤が採用されてもよい。
【0043】
活性化可能な材料は、熱可塑性物質、エラストマー、プラストマー、それらの組合せなどの様な、様々な異なるポリマーを含み得る1つ又はそれ以上の追加のポリマー又はコポリマーを含んでいてもよい。例えば、限定するわけではないが、適切に組み入れられることのできるポリマーは、ハロゲン化ポリマー、ポリカーボネート、ポリケトン、ウレタン、ポリエステル、シラン、スルホン、アリル、オレフィン、スチレン、アクリレート、メタクリレート、シリコーン、フェノリック、ゴム、ポリフェニレンオキシド、テレフタル酸塩、アセテート(例えばEVA)、アクリレート、メタクリレート(例えばエチレンメチルアクリレートポリマー)、又はそれらの混合物を含む。他の有望なポリマー材料は、限定するわけではないが、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンイミン)、ポリエステル、ポリウレタン、ポリシロキサン、ポリエーテル、ポリホスファジン、ポリアミド、ポリイミド、ポリイソブチレン、ポリアクリロニトリル、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイソプレン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリレートであり得る又は含み得る。
【0044】
これらのポリマーは、使用されている場合には、膨張可能な材料の小部分又はより実質部分(例えば85重量%又はそれ以上まで)を構成することができる。好ましくは、1つ又はそれ以上の追加のポリマーは、活性化可能な材料の約0.1重量%~約50重量%、より好ましくは約1重量%~約20重量%、なおいっそう好ましくは約2重量%~約10重量%を構成する。
【0045】
特定の実施形態では、活性化可能な材料中に1つ又はそれ以上の熱可塑性ポリエーテル及び/又は熱可塑性エポキシ樹脂を含んでいるのが望ましいいこともある。1つ又はそれ以上の熱可塑性ポリエーテルは、含まれている場合には、好ましくは活性化可能な材料の約1重量%~約90重量%の間、より好ましくは活性化可能な材料の約3重量%~約60重量%の間、なおいっそう好ましくは活性化可能な材料の約4重量%~約25重量%の間を構成している。但し他の材料と同様に、活性化可能な材料の意図された使用に依存してより多い又はより少ない熱可塑性ポリエーテルが採用されてもよい。
【0046】
熱可塑性ポリエーテルは、典型的には、ペンダントヒドロキシル基を含んでいる。熱可塑性ポリエーテルはまた、それらのバックボーンに芳香族エーテル/アミン繰り返し単位を含んでいてもよい。本教示の熱可塑性ポリエーテルは、約2.16Kgの重さのサンプルについて約190℃の温度にて、好ましくは約1グラム/10分~約300グラム/10分、より好ましくは約5グラム/10分~約250グラム/10分の間のメルトインデックスを有している。当然ながら、熱可塑性ポリエーテルは、それらの意図された用途に依存して、より高い又はより低いメルトインデックスを有していてもよい。好適な熱可塑性ポリエーテルは、限定するわけではないが、ポリエーテルアミン、ポリ(アミノエーテル)、モノエタノールアミン又は他のモノアミンとジグリシジルエーテルのコポリマー、それらの組合せなどを含む。
【0047】
1つの実施形態によれば、熱可塑性ポリエーテルは、第一級アミン、ビス(第二級)ジアミン、環状ジアミン、それらの組合せ又は類似物(例えばモノエタノールアミン)をジグリシジルエーテルと反応させることによって又はアミンをエポキシ官能化ポリ(アルキレンオキシド)と反応させてポリ(アミノエーテル)を形成することによって形成される。別の実施形態によれば、熱可塑性ポリエーテルは、二官能性アミンとジグリシジルエーテル又はジエポキシ官能化ポリ(アルキレンオキシド)とを、アミン部分がエポキシ部分と反応してアミン結合、エーテル結合、及びペンダントヒドロキシル基を有するポリマーバックボーンを形成するように仕向けるのに十分な条件下に反応させることによって調製される。随意的には、ポリマーは、第一級アミン又は第二級アミンであってもなくてもよい単官能性求核剤で処理されてもよい。
【0048】
追加的に、熱可塑性ポリエーテルを形成するために、1つの反応性基(例えば1つの反応性水素)を有するアミン(例えば環状アミン)が採用されてもよいと考えられる。その様なアミンは、反応性モノマーのための理論比選択に基づいて形成される熱可塑性エーテルの分子量を制御するのを支援することができるのが好都合である。
【0049】
好適な熱可塑性ポリエーテル及びそれらの形成方法の実施例は、米国特許第5,275,853号、同第5,464924号、及び同第5,962,093号に開示されており、これらはあらゆる目的で言及により本明細書に援用される。好都合にも、熱可塑性ポリエーテルは、本明細書で更に説明されている様に広範に様々な用途のための望ましい物理的特性及び化学的特性の様な、様々な望ましい特性を有する活性化可能な材料を提供することができる。
【0050】
1つ又はそれ以上の硬化剤及び/又は硬化剤促進剤が活性化可能な材料へ添加されてもよい。硬化剤及び硬化剤促進剤の量は、発泡剤と同じく、所望されるセル状構造の型式、活性化可能な材料の所望の膨張量、所望の膨張速度、活性化可能な材料の所望の構造特性などに依存して、活性化可能な材料内で広範に変わり得る。活性化可能な材料中に存在する硬化剤又は硬化剤促進剤の例示的な範囲は、約0.001重量%~約7重量%までの範囲である。
【0051】
硬化剤は、活性化可能な材料がポリマー、エポキシ樹脂、又はそれら両方の架橋によって硬化するのを支援することが見込まれる。更に、硬化剤は活性化可能な材料の発達(advancing)又は鎖延長を支援することが見込まれる。有用な硬化剤のクラスは、脂肪族又は芳香族アミン又はそれら各々の付加物、アミドアミン、ポリアミド、シクロ脂肪族アミン、無水物、ポリカルボン酸ポリエステル、イソシアネート、フェノールベースの樹脂(例えば、フェノール又はクレゾールノボラック樹脂、フェノールテルペン、ポリビニルフェノール、又はビスフェノール-Aホルムアルデヒドコポリマーの様なコポリマー、ビスヒドロキシフェニルアルカン、など)、又はそれらの混合物から選択された材料である。特に好適な硬化剤は、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミンテトラエチレンペンタミン、シアノグアニジン、ジシアンジアミドなどの様な、変性及び非変性ポリアミン又はポリアミドを含む。活性化可能な材料を調製するために、硬化剤のための促進剤(例えば、メチレンジフェニルビス尿素の様な変性又は非変性尿素、イミダゾール、又はそれらの組合せ)が提供されてもよい。
【0052】
活性化可能な材料は、更に、1つ又はそれ以上の補強成分を含んでいてもよい。補強成分は、活性化可能な材料中に存在する他の成分におおむね非反応性である材料を含んでいるのが好ましい。補強成分は、更に、活性化可能な材料へ強度及び耐衝撃性の様な特性を与えることができるだろうと考えられる。
【0053】
補強成分の例には、ウォラストナイト、シリカ、珪藻土、ガラス、クレイ(例えばナノクレイを含む)、ガラスビーズ又はガラス球、ガラス、炭素繊維又はセラミック繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、又はポリアミド繊維などが挙げられる。1つ又はそれ以上の補強成分は、珪藻土、クレイ(例えばナノクレイを含む)、パイロフィライト、サウコナイト、サポナイト、ノントロナイト、ウォラストナイト、又はモンモリロナイトの様な鉱物補強材から選択されてもよい。補強成分はシリカ及び/又はカルシウム鉱物補強材を含んでもよい。補強成分は、ガラス、ガラスビーズ又はガラス球、炭素繊維又はセラミック繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、又はポリアミド繊維(例えばケブラー(登録商標))を含んでもよい。補強成分はウォラストナイトであってもよい。補強成分は約20:1~約3:1のアスペクト比を有する繊維であってもよい。補強成分は約15:1~約10:1のアスペクト比を有する繊維であってもよい。補強成分は約12:1のアスペクト比を有する繊維であってもよい。補強成分は第1の物理的特性を改善すると同時に実質的に第2の物理的特性への何らかの有意な有害効果を回避するものと見込まれる。1つの例として、選択された補強成分は、破壊ひずみへの有害性を最小限にしながらも材料の全体的な弾性率を改善することができるだろう。材料は、更に、顔料又は着色剤、炭酸カルシウム、タルク、ケイ酸塩鉱物、バーミキュライト、雲母などを含む1つ又はそれ以上の充填材を含んでいてもよい。
【0054】
活性化可能な材料中の補強成分は、採用されている場合には、材料の10重量%以下~90重量%以上の範囲とすることができるが、より典型的には、活性化可能な材料の約20重量%~約55重量%の範囲である。幾つかの実施形態によれば、活性化可能な材料は、約0重量%~約30重量%、より好ましくは10重量%にわずかに満たない補強成分を含むことができる。
【0055】
ほぼすべての追加の化学物質、材料、その他は、それらが活性化可能な材料にとって適切であり、活性化可能な材料の選択された用途に適切であるとの前提で、活性化可能な材料へ添加されることができると考えられる。
【0056】
限定するわけではないが、紫外線耐性剤、難燃剤、ポリマー粒子、熱安定剤、着色剤、加工助剤、潤滑剤など、を含む他の添加剤、薬剤、又は性能改質剤もまた所望により活性化可能な材料に含まれることができる。
【0057】
本明細書に記載されている1つ又はそれ以上の材料の特定の組合せ及び相対量は、1つ又はそれ以上の引張弾性率、接着耐久性、T剥離、破壊ひずみ、又は重ね剪断について改善された値を提供するのを支援することができるものと見込まれる。1つの例として、ポリビニルブチラールと熱可塑性エポキシの組合せは、引張弾性率を高め、T剥離を改善することができるだろう。ポリビニルブチラール対熱可塑性エポキシの比は、ポリビニルブチラール約1部~約10部に対し熱可塑性エポキシ約1部~約4部であってもよい。ポリビニルブチラール対熱可塑性エポキシの比は、ポリビニルブチラール約3~約7部に対し熱可塑性エポキシ約1部~約2部であってもよい。別の例として、付加型カルボキシル基末端ポリマーと鉱物補強材との組合せは、改善された破壊ひずみ率(strain to failure rate)を与えるのを支援することができるだろう。付加型カルボキシル基末端ポリマー対鉱物充填材の比は、付加型カルボキシル基末端ポリマー約1部~約4部に対し鉱物補強材約1部~約10部であってもよい。付加型カルボキシル基末端ポリマー対鉱物補強材の比は、付加型カルボキシル基末端ポリマー約1部~約2部に対し鉱物補強材約4部~約7部であってもよい。別の例として、エポキシ/エラストマー付加物と熱可塑性エポキシの組合せは、改善された破壊ひずみ及びT剥離を与えるのを支援することができるだろう。エポキシ/エラストマー付加物対熱可塑性エポキシの比は付加物約1部~約10部に対し熱可塑性エポキシ約1部~約4部である。エポキシ/エラストマー付加物対熱可塑性エポキシの比は付加物約3部~約7部に対し熱可塑性エポキシ約1部~約2部であってもよい。
【0058】
活性化可能な材料のための適切な成分を決定するとき、適切な時間又は適切な温度でのみ活性化しようとする(例えば、流動、発泡、発達、架橋、又はそれ以外のやり方で状態を変化させる)ように材料を形成するのが重要であるだろう。例えば、幾つかの用途では、材料が室温にて又はそれ以外に生産環境中の周囲温度にて反応性であることは望ましくない。より典型的には、活性化可能な材料は、より高い暴露温度にて流動し及び接着性を発現するように活性化を来す。一例として、自動車組立工場内で遭遇する様な温度は適切であるとしてもよく、活性化可能な材料が、例えば塗装準備工程中に、高温又はより高い印加エネルギーレベルにて他の構成要素と共に加工される場合が特にそうである。多くのコーティング作業(例えば塗装及び/又はe-コート硬化用オーブン内)で遭遇する温度は、例えば約250°C又はそれ以上の範囲に及ぶ。
【0059】
活性化可能な材料の形成は、様々な新しい又は既知の技法により達成させることができる。活性化可能な材料は、実質的に均質な組成の材料として形成されるのが好ましい。しかしながら、活性化可能な材料の特定の場所の特定の成分の濃度を増加又は減少させるように様々な組み合わせ技法を使用することができるものと考えらえる。
【0060】
別の実施形態によれば、活性化可能な材料は、ポリマーベースの材料の様な、概して軟化又は流動化しやすい成分の1つ又はそれ以上を加熱して、それら成分を混合可能な状態に誘導することによって形成されてもよい。その後、残りの成分が軟化した成分と混ぜ合わされてもよい。材料は、ツインスクリュー、ダブルアームミキサー、又は何らかの他の溶液を混ぜ合わせる装置の様な溶融加工操作を使用して合成されてもよい。
【0061】
使用される成分に依っては、成分の温度が活性化可能な材料を活性化する(例えば、ガスを形成する、流動する、硬化する、又はそれ以外に活性化する)ように仕向ける又は両方を仕向ける可能性のある特定の活性化温度より下に留まることを保証することが重要であるだろう。着目すべきこととして、活性化可能な材料が発泡剤を含有している場合、典型的には、活性化可能な材料の形成中又は活性化可能な材料が表面へ適用される前は、活性化可能な材料の温度が、発泡剤及び/又は(単数又は複数の)硬化剤(例えば、何であれポリマー材料の分子量の発達(材料内の何らかの反応)を開始させてしまうもの)を活性化させようとする温度より下に維持されることが典型的に望ましい。活性化可能な材料をより低い温度に維持することが望ましい状況では、活性化可能な材料の諸成分を混ぜ合わせるために圧力又は圧力と熱の組合せを使用して諸成分を半固体又は粘弾性状態に維持することが望ましいであろう。様々な機械が、材料へ熱、圧力、又はそれら両方を印加するのを回避するように設計されている。
【0062】
破壊ひずみは、引張試験(例えばISO527)を遂行し、その間に伸び計を使用して、材料のひずみを計算するのに後で使用されることになる変形を記録することによって計測されてもよい。重ね剪断は、ASTM D-1002の修正型を使用して計測することができ、2つのクーポンを取る段階、金属クーポンの間に活性化可能な材料のモールディングを提供する段階、及び材料を硬化させる段階を伴う。ボンドラインは材料の厚さ(硬化プロセス後)である。金属クーポンは、機械的試験用の機械に把持され、引き離される。ピーク荷重をオーバーラップ面積で除算することによって最大応力が計測される。T剥離は、2枚のクーポンがL字形状へ曲げられるASTM D-1876の修正型を使用して計測することができる。未硬化の活性化可能な材料がクーポンの長い部分へ提供される。2枚の金属クーポンは、T字形状を作るように寄せ合わされる。金属クーポンを硬化させてT字形状の試験片を作成する。ボンドラインは、硬化した材料の厚さである。T字形状の2本の脚が機械的試験用の機械の試験グリップに入れられ、引き離される。この試験から材料の幅あたりの平均力が計算される。
【0063】
実施例
【0064】
テーブル1(下記の[表1]により構成される。)は、本教示による様々な例示的な調合物及び比較例並びにそれらの関連づけられる物理的特性を示している。示されているすべての量は、別段の指示のない限り、重量%(wt.%)である。
【0065】
【0066】
下のテーブル2(下記の[表2]により構成される。)はテーブル1の調合された材料の結果として得られる特性を示している。
【表2】
【0067】
テーブル3(下記の[表3]及び[表4]により構成される。)は、本教示による様々な例示的な調合物及び比較例並びにそれらの関連づけられる物理的特性を示している。同じくテーブル3に表示されているところの得られる物理的特性の変化を実証するために対照調合物以外のすべての調合物からは諸成分が除去された。示されているすべての量は、別段の指示のない限り、重量%(wt.%)である。
【0068】
【0069】
活性化可能な材料の形成後、材料は、典型的には表面又は基材(例えば担体)へ適用され、活性化される。活性化可能な材料が発泡剤を含んでいる状況では、材料の活性化は少なくとも或る程度の発泡又は起泡段階を含み得る。その様な発泡又は起泡段階は、活性化可能な材料が基材を濡らし基材との密接結着を形成するのを支援することができる。ただし代替的には、活性化可能な材料は発泡又は起泡段階なしに流動するように活性化されることもでき、それでも実質的に基材を濡らし密接結着を形成し得るものと認識されたい。密接結着の形成は、必ずしもというわけではないが典型的には、活性化可能な材料が硬化し次第起こる。
【0070】
意図される用途次第で、活性化可能な材料は異なるやり方で及び異なる回数で適用され及び活性化されることができるものと理解されたい。ゆえに、活性化可能な材料の適用及び活性化の好適な方法論を説明するために以下に活性化可能な材料の例示的な使用が論じられている。具体的には、活性化可能な材料は、他にもあるが中でも特に補強、接着、音響を調節する(baffling)ことや物などのために使用することができる。
【0071】
活性化可能な材料は、製造物品の構造部材を補強するために使用されてもよい。補強のために使用される場合、活性化可能な材料は、単独で採用されてもよいし、他の材料(例えばバッキング)と共に採用されてもよく、担体部材などへ適用されてもよい。
【0072】
1つの実施形態によれば、本教示の活性化可能な材料が担体部材へ適用されて補強部材を形成し、補強部材が自走車両の構造部材に形成されている腔部内に挿入される。自走車両の構造部材は、限定するわけではないがフレーム部材、ボディ部材、ピラー構造、クロージャパネル、ルーフアセンブリ、バンパー、それらの組合せを含め、車両のほぼ何れの部材であってもよい。
【0073】
担体部材は、様々な従来式構成及び新規な構成から選択されることができる。したがって、本教示の活性化可能な材料は、担体部材へ適用することができ、例えば成形、押出、又は型押された部材など(例えば、金属又はプラスチック、発泡又は非発泡;その例示的な材料には、アルミニウム、マグネシウム、チタン、鋼、成形コンパウンド(例えばシート又はバルク成形コンパウンド)、ポリアミド(例えばナイロン6又はナイロン6,6)、ポリスルホン、熱可塑性イミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルホン、又はそれらの混合物などを含む)に適用することができる。
【0074】
本教示で採用することのできる担体部材、構造補強用途などの例は、米国特許第6,474,723号;同第6,467,834号;同第6,419,305号;同第6,358,584号;同第6,311,452号;同第6,296,298号;同第6,263,635号に開示されており、これらすべてはこれにより言及により援用される。他の例は、米国特許出願第10/236,315号;同第10/098,952号;同第10/337,446号;同第09/939,152号;同第09/459,756号;同第60/409,625号;同第60/333,273号;同第60/317,201号に開示されており、これらすべてもまたあらゆる目的で言及によりここに援用される。担体は、押出成形(複合共押出成形を含む)、引抜成形、射出成形、又はブロー成形を含む製造プロセスの1つ又は組合せによって形成されることがある。したがって、本明細書に記載されている活性化可能な材料は、担体の製造中に、例えば何れかの成形プロセス(マルチショット成形プロセスを含む)の間の押出などによって担体へ適用されてもよい。代替的には、活性化可能な材料は、押出(ミニアプリケーター押出機デバイスを介する押出を含む)、成形、型抜き、ポンピングなどを含む二次プロセスにて適用されてもよい。
【0075】
別の実施形態によれば、本教示による活性化可能な材料は構造用接着剤材料として採用されてもよいと考えられる。その様な実施形態では、材料は、典型的には、第1の部材と第2の部材を接着するために(例えば、e-コート又は自動車塗装作業に一般的な温度で)活性化され、硬化される。第1の部材及び第2の部材の付着面との接触は、材料の活性化及び硬化の前又は最中に起こってもよい。構造用接着剤適用の例は、米国特許出願第10/234,902号;同第10/386,287号;同第60/451,811号に開示されており、これらすべてはあらゆる目的で言及によりここに援用される。
【0076】
1つの非限定的な例として、ポリビニルブチラールは、材料の未加工状態での粘着性を低減することができるだろう。何れかの出荷又は保管過程中に未加工状態の材料が隣接する部品類へ粘着するのを回避するために、粘着性が最小化されてもよい。また、活性化可能な材料は、特に固体として提供されているとき、典型的には、PVBに因り破損(例えば欠け落ちなど)を被りにくい。
【0077】
本教示により形成された特定の活性化可能な材料は、ASTM D638タイプIV試験方法に従って測定されたときに、約500MPaより大きい、より典型的には約700MPaより大きい、場合によっては約900MPaより大きい活性化後引張弾性率を示した。
【0078】
本明細書での使用に際し、別段の言及のない限り、教示は、属(リスト)の何れかの員が属から除外されること及び/又はマーカッシュグルーピングの何れかの員がグルーピングから除外されることもあり得ると想定している。
【0079】
別段の言及のない限り、本明細書に記載されている何れかの数的値は、何れかの下位値と何れかの上位値との間に少なくとも2単位の隔たりがあることを前提に、下位値から上位値までのすべての値を1単位の増分で含む。一例として、成分の量、特性、又はプロセス変数の値、例えば温度、圧力、時間などが、例えば1~90、好ましくは20~80、より好ましくは30~70であると述べられている場合、中間範囲の値(例えば15~85、22~68、43~5で、30~32など)は本明細書の教示の範囲内にあるものとする。同様に、個々の中間値も本教示の範囲内である。1未満の値については、1単位は、それ相応に0.0001、0.001、0.01、又は0.1であるものと見なされる。これらは、何が具体的に意図されているかの一例にすぎず、列挙されている最も低い値と最も高い値との間の数的値のすべての実施可能な組合せが、同様のやり方で、本出願内で明示的に述べられているものと見なされる。見て分かる様に、本明細書での「重量部」として表されている量の教示は更に、同じ範囲が重量%の観点で表されることも考えている。したがって、「結果として得られるポリマー配合組成物の「x」重量部」のという観点での範囲的な表現はまた、同じ記載された量「x」について、結果として得られるポリマーブレンド配合組成物の重量%での範囲の教示も意図している。
【0080】
別段の言及のない限り、すべての範囲は、両方の終点及び終点間のすべての数を含む。範囲に関連しての「約」又は「近似的」の使用は範囲の両端へ適用される。したがって、「約20~30」は、少なくとも指定された終点を含めて「約20~約30」をカバーすることを意図している。
【0081】
特許出願及び特許公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で言及により援用される。組合せを記述するための「本質的に○○から構成される」という用語は、識別されている要素、成分、構成要素、又は工程、並びに組合せの基本的で新規性のある特性に実質的に影響を及ぼさないその様な他の要素、成分、構成要素、又は工程を含むものとする。本明細書での、要素、成分、構成要素、又は工程の組合せを記述するための「○○を備える」又は「○○を含む」という用語の使用は、当該の要素、成分、構成要素、又は工程から成る又は本質的に成る実施形態をも想定している。
【0082】
複数の要素、成分、構成要素、又は工程は、単一の一体化された要素、成分、構成要素、又は工程によって提供されることもできる。代替的に、単一の一体化された要素、成分、構成要素、又は工程が、別々の複数の要素、成分、構成要素、又は工程へ分割されることもあり得る。要素、成分、構成要素、又工程を記述するための原文の「a」又は「one」の対訳である「或る」又は「1つの」という開示は、追加の要素、成分、構成要素、又は工程を排除することを意図していない。
【0083】
以上の記述は説明を目的としており制限を課そうとするものではないことが理解される。当業者には、上記説明が読まれ次第、提供されている実施例の他にも多くの実施形態並びに多くの適用が明らかとなろう。したがって、本発明の範囲は、上記説明を参照して確定されるべきではなく、代わりに、付随の特許請求の範囲並びにその様な特許請求の範囲が権利を有する等価物の完全な範囲を参照して確定されるべきである。特許出願及び特許公開を含むすべての論文及び参考文献の開示は、あらゆる目的で言及により援用される。付随の特許請求の範囲での、本明細書に開示されている主題の何れかの態様の省略は、その様な主題の放棄でもなければ、本発明者らがその様な主題を開示されている発明的主題の一部であると認めていないというように解釈されてもならない。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料において、
i)少なくとも10重量%のポリビニルブチラール、
ii)1重量%~90重量%の熱可塑性ポリエーテル、
iii)少なくとも16重量%の量で存在するポリマー粒子成分、及び、
iv)少なくとも2重量%ただし15重量%未満の付加型カルボキシル基末端ポリマーであって、カルボキシル基末端ポリマーとエポキシ基末端分子の付加物である付加型カルボキシル基末端ポリマー、
を備えており、
前記材料は、ISO527により測定された破壊ひずみであって2%より大きい破壊ひずみと、前記材料が硬化したときに、ASTM D638タイプIV試験方法により測定された引張弾性率であって少なくとも900MPaの引張弾性率とを有している、材料。
【請求項2】
前記熱可塑性ポリエーテルは、第一級アミン、ビスジアミン、環状ジアミン、それらの組合せをジグリシジルエーテルと反応させることによって又はアミンをエポキシ官能化ポリと反応させてポリを形成することによって形成される、請求項1に記載の材料。
【請求項3】
材料において、
i)少なくとも10重量%のポリビニルブチラール、
ii)エポキシ基を含有する熱可塑性樹脂であって、前記ポリビニルブチラール対当該熱可塑性樹脂の比が、ポリビニルブチラール3重量部~7重量部に対し熱可塑性樹脂1重量部~2重量部であるか、又はポリビニルブチラール1重量部~10重量部に対し熱可塑性樹脂1重量部~4重量部である、熱可塑性樹脂、
iii)少なくとも16重量%の量で存在するポリマー粒子成分、及び、
iv)少なくとも2重量%ただし15重量%未満の付加型カルボキシル基末端ポリマーであって、カルボキシル基末端ポリマーとエポキシ基末端分子の付加物である付加型カルボキシル基末端ポリマー、
を備えており、
前記材料は、ISO527により測定された破壊ひずみであって2%より大きい破壊ひずみと、前記材料が硬化したときに、ASTM D638タイプIV試験方法により測定された引張弾性率であって少なくとも900MPaの引張弾性率とを有している、材料。
【請求項4】
前記材料はポリビニルブチラールを10重量%~30重量%含有している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の材料。
【請求項5】
前記ポリマー粒子成分は平均して200nmのサイズのコアシェルゴム粒子を含んでいる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の材料。
【請求項6】
前記ポリマー粒子成分は凝塊粒子を含んでいない、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の材料。
【請求項7】
エポキシ/エラストマー付加物であって、エラストマー対して1:5~5:1重量部のエポキシを含むエポキシ/エラストマー付加物を含んでいる請求項1乃至6のいずれか一項に記載の材料。
【請求項8】
前記エポキシ/エラストマー付加物中のエラストマーは、スチレンブタジエンゴム、ポリサルファイド、ポリブタジエン、アクリル、天然ゴム、カルボキシル基末端ブタジエン-アクリロニトリル、ポリシロキサン、ポリエステル、ウレタンプレポリマー、又はそれらの何れかの組合せから選択されている、請求項7に記載の材料。
【請求項9】
前記材料は、前記材料を硬化するための硬化剤を含んでいる、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の材料。
【請求項10】
前記材料は、前記硬化剤を当該材料の0.5重量%~5.0重量%の範囲で含んでいる、請求項9に記載の材料。
【請求項11】
前記材料は、発泡剤を含んでいる、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の材料。
【請求項12】
前記材料は、前記発泡剤を当該材料の0.5重量%~5.0重量%の範囲で含んでいる、請求項11に記載の材料。
【請求項13】
前記材料は刺激へ曝されると発泡する、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の材料。
【請求項14】
前記材料は、フェノールベースの可撓性付与剤を含んでいる、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の材料。
【請求項15】
前記材料は、鉱物補強材を備える1つ又はそれ以上の補強成分を含んでいる、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の材料。
【請求項16】
前記1つ又はそれ以上の補強成分は、シリカ、珪藻土、ガラス、クレイ、ガラスビーズ又はガラス球、ガラス、セラミック繊維、ピロフィライト、サウコナイト、サポナイト、ノントロナイト、ウォラストナイト、又はモンモリロナイトから選択されている、請求項15に記載の材料。
【請求項17】
前記材料は、シリカ及び/又はカルシウムベースの鉱物補強材を含んでいる、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の材料。
【請求項18】
前記材料は、鉱物補強材として、ウォラストナイトを含んでいる、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の材料。
【請求項19】
前記材料は、繊維ベースの補強成分を含んでいる、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の材料。
【請求項20】
前記付加型カルボキシル基末端ポリマー対前記鉱物補強材の比は、付加型カルボキシル基末端ポリマー1重量部~4重量部に対し鉱物補強材1重量部~10重量部である、請求項15乃至18のいずれか一項に記載の材料。
【請求項21】
前記付加型カルボキシル基末端ポリマー対前記鉱物補強材の比は、付加型カルボキシル基末端ポリマー1重量部~2重量部に対し鉱物補強材3重量部~7重量部である、請求項15乃至18のいずれか一項に記載の材料。
【請求項22】
前記エポキシ/エラストマー付加物対前記熱可塑性樹脂の比はエポキシ/エラストマー付加物1重量部~10重量部に対し熱可塑性樹脂1重量部~4重量部である、請求項3に記載の材料。
【請求項23】
前記エポキシ/エラストマー付加物対前記熱可塑性樹脂の比はエポキシ/エラストマー付加物3重量部~7重量部に対し熱可塑性樹脂1重量部~2重量部である、請求項3に記載の材料。
【請求項24】
請求項1から請求項23のいずれか一項に記載の材料の、接着剤としての使用。
【請求項25】
請求項1から請求項23のいずれか一項に記載の材料の、輸送車両内の部材を接着するための使用。
【請求項26】
第1の基材を第2の基材へ接着する方法であって、請求項1から請求項23のいずれか一項に記載の材料を前記第1の基材へ適用する段階と、前記材料を活性化する段階と、前記材料を活性化する段階の後に前記材料を前記第2の基材へ接触させる段階と、を含んでいる方法。
【請求項27】
材料において、
i)30重量%未満ただし少なくとも16重量%のポリマー粒子成分であって、ビスフェノールA型エポキシ樹脂中に分散させたコアシェルゴム粒子を含み、前記コアシェルゴム粒子は当該ポリマー粒子成分の少なくとも20%の濃度で存在している、ポリマー粒子成分、
ii)少なくとも13重量%のポリビニルブチラール、
iii)カルボキシル基末端ポリマーとエポキシ基末端分子の付加物である付加型カルボキシル基末端ポリマー、及び、
iv)1重量%~90重量%の熱可塑性ポリエーテル、
を備えており、
前記材料は、ISO527により測定された破壊ひずみであって2%より大きい破壊ひずみと、前記材料が硬化したときに、ASTM D638タイプIV試験方法により測定された引張弾性率であって少なくとも900MPaの引張弾性率とを有している、材料。
【請求項28】
前記熱可塑性ポリエーテルは、第一級アミン、ビスジアミン、環状ジアミン、それらの組合せをジグリシジルエーテルと反応させることによって又はアミンをエポキシ官能化ポリと反応させてポリを形成することによって形成される、請求項27に記載の材料。
【請求項29】
材料において、
i)30重量%未満ただし少なくとも16重量%のポリマー粒子成分であって、ビスフェノールA型エポキシ樹脂中に分散させたコアシェルゴム粒子を含み、前記コアシェルゴム粒子は当該ポリマー粒子成分の少なくとも20%の濃度で存在している、ポリマー粒子成分、
ii)少なくとも13重量%のポリビニルブチラール、
iii)カルボキシル基末端ポリマーとエポキシ基末端分子の付加物である付加型カルボキシル基末端ポリマー、及び、
iv)エポキシ基を含有する熱可塑性樹脂であって、前記ポリビニルブチラール対当該熱可塑性樹脂の比が、ポリビニルブチラール3重量部~7重量部に対し熱可塑性樹脂1重量部~2重量部であるか、又はポリビニルブチラール1重量部~10重量部に対し熱可塑性樹脂1重量部~4重量部である、熱可塑性樹脂、
を備えており、
前記材料は、ISO527により測定された破壊ひずみであって2%より大きい破壊ひずみと、前記材料が硬化したときに、ASTM D638タイプIV試験方法により測定された引張弾性率であって少なくとも900MPaの引張弾性率とを有している、材料。
【請求項30】
前記材料は、前記材料を硬化するための硬化剤を含んでいる、請求項27乃至29のいずれか一項に記載の材料。
【請求項31】
前記材料は、ポリビニルブチラールを15重量%~30重量%含有している、請求項27乃至30のいずれか一項に記載の材料。
【請求項32】
前記材料は鉱物補強材を備えており、前記付加型カルボキシル基末端ポリマー対前記鉱物補強材の比は、付加型カルボキシル基末端ポリマー1重量部~4重量部に対し鉱物補強剤1重量部~10重量部である、請求項27乃至31のいずれか一項に記載の材料。
【請求項33】
前記材料は鉱物補強材を備えており、前記付加型カルボキシル基末端ポリマー対前記鉱物補強材の比は、付加型カルボキシル基末端ポリマー1重量部~2重量部に対し鉱物補強剤3重量部~7重量部である、請求項27乃至31のいずれか一項に記載の材料。