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▶ ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125366
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】抗PD-1抗体
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/00 20060101AFI20240910BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240910BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240910BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240910BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240910BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20240910BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C07K16/00
C12N15/13 ZNA
C12N5/10
C12N1/19
C12N1/21
C12N1/15
C12N15/62 Z
C07K19/00
C12P21/02 C
A61K39/395 N
A61K39/395 U
A61P43/00
A61P25/00
A61P21/00
A61P9/00
A61P17/06
A61P1/04
C12N15/13
【審査請求】有
【請求項の数】41
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024102704
(22)【出願日】2024-06-26
(62)【分割の表示】P 2022572362の分割
【原出願日】2021-05-24
(31)【優先権主張番号】63/029,962
(32)【優先日】2020-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/039,686
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503385923
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ブレア,デイビッド・エー
(72)【発明者】
【氏名】ガラファ,ニコル・ケー
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,パンカジ
(72)【発明者】
【氏名】グプタ,プリヤンカー
(72)【発明者】
【氏名】ハン,フェイ
(72)【発明者】
【氏名】カルラック,アーロン・ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ドンメイ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツ,アイヴォ
(72)【発明者】
【氏名】ンボウ,ムアマドゥ・ラミン
(72)【発明者】
【氏名】モレノ-ガルシア,ミゲル・イー
(72)【発明者】
【氏名】モッツィエルツ,ヨーゼフ・エー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ,ケリー・エル・エム
(72)【発明者】
【氏名】シャアバン,アブドゥルサラム
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト,デラ・エム
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ヘレン・ハイシャ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,グアンウェイ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、治療的及び診断的方法のための新たな抗PD-1(プログラム細胞死1)抗体及びその抗原結合フラグメントならびにそれらを使用する組成物を提供する。
【解決手段】本発明は、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体を提供する。本発明の一態様では、本発明の抗体は、PD-1とPD-L1の間での相互作用を遮断しない、本発明の抗体は、PD-1とPD-L1の間での相互作用を増強する、本発明の抗体は、PD-1シグナル伝達経路を活性化する、本発明の抗体は、抗PD-1アゴニスト抗体である。本発明の抗体は、例えば、PD-1とPD-L1の間での相互作用を調節することにより、特にPD-1経路を活性化することにより軽減することができる疾患又は障害の処置及び/又は予防のために有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号43のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号44のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号45のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号1のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号2のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号3のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号43のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号46のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号45のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号1のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号2のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号3のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号47のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号48のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号49のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号4のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号5のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号6のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号50のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号51のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号52のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号7のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号8のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号9のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号54のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号55のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号10のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号11のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号12のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号56のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号57のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号58のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号13のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号14のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号15のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号59のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号60のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号61のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号16のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号17のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号18のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号62のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号63のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号64のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号19のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号20のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号21のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号65のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号66のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号67のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号22のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号23のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号24のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号68のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号69のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号70のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号25のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号27のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号71のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号58のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号28のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号14のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号29のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号74のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号75のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号76のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号78のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号76のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号164のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号166のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号78のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号166のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号167のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号80のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号81のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号82のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号33のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号14のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号34のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号83のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号84のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号85のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号16のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号35のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号36のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号86のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号87のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号88のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号37のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号38のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号39のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号89のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号90のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号91のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号40のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号41のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号42のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域を含む抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項2】
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号74のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号75のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号76のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号78のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号76のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号164のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号166のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号78のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号166のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号167のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の抗PD-1抗体又は抗原結合フラグメント。
【請求項3】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントがヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項1又は2に記載の抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項4】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体、Fab、F(ab’)2、Fv、及びscFvからなる群より選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号108及び配列番号92;それぞれ配列番号109及び配列番号93;それぞれ配列番号110及び配列番号94;それぞれ配列番号111及び配列番号95;それぞれ配列番号112及び配列番号96;それぞれ配列番号113及び配列番号97;それぞれ配列番号114及び配列番号98;それぞれ配列番号115及び配列番号99;それぞれ配列番号116及び配列番号100;それぞれ配列番号117及び配列番号101;それぞれ配列番号118及び配列番号102;それぞれ配列番号119及び配列番号103;それぞれ配列番号120及び配列番号104;それぞれ配列番号121及び配列番号105;それぞれ配列番号122及び配列番号106;それぞれ配列番号123及び配列番号107のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、又は配列番号139のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号125、配列番号127、又は配列番号129のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号131及び配列番号125;それぞれ配列番号133及び配列番号127;それぞれ配列番号135及び配列番号127;それぞれ配列番号137及び配列番号129;又はそれぞれ配列番号139及び配列番号129のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、請求項1に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項8】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、それぞれ配列番号131及び配列番号125;それぞれ配列番号133及び配列番号127;それぞれ配列番号135及び配列番号127;それぞれ配列番号137及び配列番号129;それぞれ配列番号139及び配列番号129のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項9】
前記抗体が、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA、及びIgE定常領域からなる群より選択される重鎖定常領域を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の抗PD1抗体。
【請求項10】
前記重鎖定常領域が、Ser228Pro変異を伴うIgG4の重鎖定常領域である、請求項9に記載の抗PD1抗体。
【請求項11】
前記重鎖定常領域がIgG1の重鎖定常領域である、請求項9に記載の抗PD1抗体。
【請求項12】
前記重鎖定常領域が、Leu234Ala及びLeu235Ala変異を伴うIgG1の重鎖定常領域である、請求項9に記載の抗PD1抗体。
【請求項13】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、カッパ及びラムダからなる群より選択される軽鎖定常領域を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項14】
前記抗体が、それぞれ配列番号143及び配列番号141;それぞれ配列番号147及び配列番号145;それぞれ配列番号149及び配列番号145;それぞれ配列番号153及び配列番号151;又は配列番号155及び配列番号151のアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖を含む、請求項1に記載の抗PD-1抗体。
【請求項15】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントがモノクローナル抗体である、請求項5から14のいずれか一項に記載のPD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント、及び医薬的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項17】
医薬品としての使用のための、請求項1~16のいずれかに記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項18】
請求項1~16のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの医薬的に有効な量を、それを必要とする患者に投与することを含む、PD-1経路障害を処置する方法。
【請求項19】
PD-1経路障害の処置する際での使用のための、請求項1~16のいずれかに記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項20】
PD-1経路障害を処置するための医薬品の製造における、請求項1~16のいずれかに記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの使用。
【請求項21】
前記疾患が、全身性硬化症(SSc)、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、巨細胞性動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、及び炎症性腸疾患からなる群より選択される、請求項18に記載の方法、請求項19に記載の使用のための抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント、あるいは請求項20に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの使用。
【請求項22】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、投与の非経口経路、静脈内経路、又は皮下経路により投与される、請求項17~21のいずれか一項に記載の方法、使用のための抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント、あるいは使用。
【請求項23】
請求項5~7のいずれか一項に記載の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項24】
請求項14に記載の重鎖及び/又は軽鎖をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項25】
請求項23又は24に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項26】
請求項25に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項27】
細胞が哺乳動物細胞である、請求項26に記載の宿主細胞。
【請求項28】
- 請求項5~7のいずれか一項に記載の重鎖可変領域をコードする単離ポリヌクレオチドを含む発現ベクター及び請求項5~7のいずれか一項に記載の軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む宿主細胞を、抗体の形成を可能にする条件下で培養すること、ならびに
- 前記抗体を回収することの工程を含む、抗体を製造する方法。
【請求項29】
- 請求項14に記載の重鎖をコードする単離ポリヌクレオチドを含む発現ベクター及び請求項14に記載の軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む宿主細胞を、抗体の形成を可能にする条件下で培養すること、ならびに
- 前記抗体を回収することの工程を含む、抗体を製造する方法。
【請求項30】
前記抗体を精製する工程をさらに含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記抗体を医薬組成物中に製剤化する工程をさらに含む、請求項28又は29に記載の方法。
【請求項32】
第1の抗PD-1アゴニスト抗原結合部位及び第2の抗原結合部位を含む多重特異性抗体。
【請求項33】
前記第2の抗原結合部位が、抗CD48結合部位、抗CD-2結合部位、抗CD11a結合部位、又は抗CD3結合部位である、請求項32に記載の多重特異性抗体。
【請求項34】
前記第1の抗PD-1アゴニスト抗原結合部位が、請求項1~8のいずれか一項に記載の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、請求項32に記載の多重特異性抗体。
【請求項35】
前記抗体が二重特異性抗体である、請求項32~34のいずれか一項に記載の多重特異性抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
配列リスト
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出された配列リストを含み、その全体において参照により本明細書中に組み入れられる。こ前記ASCIIコピーは、2021年4月29日に作成されており、09-0701-WO-1_SL.txtと名付けられており、サイズは136,527バイトである。
【0002】
発明の分野
本発明は、一般的に、治療的及び診断的な使用のための抗PD-1(プログラム細胞死1)抗体に関する。より具体的には、PD-1を発現する細胞により特徴付けられる種々の疾患又は障害の処置のための抗PD-1抗体及び使用の方法を開示する。抗PD-1抗体を含む医薬組成物及びキットがまた、開示される。
【0003】
発明の背景
プログラム細胞死1は、また、PD-1及びCD279(分化クラスター279)としても公知であり、主にT細胞上で発現される細胞表面受容体タンパク質であるが、しかし、また、他の免疫細胞上で発現される。PD-1経路は、免疫寛容の誘導及び維持における重要なレギュレーターである。このタンパク質は「免疫チェックポイント」阻害剤として機能する、即ち、自己免疫疾患を調節及び制限するように、免疫系における細胞の活性を調節するように作用する。PD-1は2つのリガンドPD-L1及びPD-L2を有し、それらは細胞表面受容体と相互作用する。結合時に、PD-1は細胞内シグナルを誘導し、それはT細胞応答を負に調節する。活性化T細胞の表面上では、PD-1発現が、T細胞による末梢抗原の認識後に上方調節される;その後、PD-L1及びPD-L2へのPD-1の上昇した結合は、下流の阻害性シグナル伝達のための重要な工程になる。PD-1はまた、増加したTreg細胞増殖及び増強された免疫抑制機能に関連付けられる。
【0004】
最近、多くの癌が「免疫チェックポイント」阻害剤を修飾することにより免疫系からそれ自体を保護し、このように、検出を回避することができることが理解されてきた。PD-1阻害剤は、PD-1を遮断する新たなクラスの薬物であり、免疫系を活性化して腫瘍を攻撃し、特定の型の癌を処置するために使用される。
【0005】
対照的に、欠損したPD-1阻害機能はまた、免疫媒介性疾患の病態生理学に関連付けられており、PD-1又はそのリガンドの発現は調節不全になる、又は特定の自己免疫適応症において完全に関与していないことがある。PD-1活性化の誘導ならびにPD-1/PD-L1及び/又はPD-L2系の使用は、免疫応答を抑制し、種々の免疫障害及び炎症性障害のための処置を提供するための代替アプローチを表す。
【0006】
従って、治療についての必要性があり、それによって、PD-1経路を誘導し、抑制機能を増強し、PD-1/PD-L1及び/又はPD-L2系により制御される免疫障害及び炎症性障害のための処置を提供する。特に、PD-1とPD-L1又はPD-L2の間での相互作用を、そのような相互作用を遮断することなく調節する生物学的治療薬、例えば抗体などについての必要性がある。
【0007】
発明の概要
本発明は、ヒトPD-1に特異的に結合する抗体を提供する。本発明の一態様では、本発明の抗体は、PD-1とPD-L1の間での相互作用を遮断しない。本発明の一態様では、本発明の抗体は、PD-1とPD-L1の間での相互作用を増強する。本発明の一態様では、本発明の抗体は、PD-1シグナル伝達経路を活性化する。本発明の一態様では、本発明の抗体は抗PD-1アゴニスト抗体である。本発明の抗体は、例えば、PD-1とPD-L1の間での相互作用を調節することにより、特にPD-1経路を活性化することにより軽減することができる疾患又は障害の処置及び/又は予防のために有用である。
【0008】
一態様では、本発明は、本明細書中で以下に記載する特性の1つ又は複数を有する、抗PD-1抗体、特にモノクローナル抗PD-1抗体、例えば、ヒト化モノクローナル抗PD-1抗体を提供する。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、例えば、20nM又はそれ以下、例えば、10nM又はそれ以下、例えば、5nM又はそれ以下の高親和性で精製組換えヒトPD-1に結合する。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、50nM又はそれ以下の親和性で精製組換えカニクイザルPD-1に結合する。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、PD-1、特にヒトPD-1に選択的に結合する。一態様では、本発明の抗体は、マウス、ラット、又はウサギのPD-1に結合しない。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、PD-1へのPD-L1の結合を遮断しない。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、PD-1へのPD-L1の結合を増強する。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、例えば、IFNγ産生の阻害、IL-17A産生の阻害、又はIL-21産生の阻害により、機能細胞アッセイにおいてT細胞活性を減弱させる。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、マウスモデルにおけるヒト細胞蓄積を阻害し、マウスモデルにおけるヒト炎症性サイトカインのレベルを低下させる。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、好ましい薬物動態特性を有する。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、好ましい生物物理学的特性、例えば収量、質、安定性、又は溶解度を有する。一態様では、本発明は、本発明の抗体の抗原結合フラグメントを提供する。
【0009】
一実施形態では、本発明は、以下を含む抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する:
配列番号43のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号44のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号45のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号1のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号2のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号3のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号43のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号46のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号45のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号1のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号2のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号3のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号47のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号48のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号49のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号4のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号5のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号6のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号50のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号51のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号52のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号7のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号8のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号9のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号53のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号54のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号55のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号10のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号11のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号12のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号56のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号57のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号58のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号13のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号14のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号15のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号59のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号60のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号61のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号16のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号17のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号18のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号62のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号63のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号64のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号19のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号20のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号21のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号65のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号66のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号67のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号22のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号23のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号24のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号68のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号69のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号70のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号25のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号26のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号27のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号71のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号72のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号58のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号28のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号14のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号29のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号74のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号75のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号76のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号78のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号76のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号164のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号166のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号78のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号166のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号167のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号80のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号81のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号82のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号33のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号14のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号34のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号83のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号84のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号85のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号16のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号35のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号36のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号86のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号87のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号88のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号37のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号38のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号39のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号89のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号90のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号91のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号40のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号41のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号42のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域。
【0010】
一実施形態では、本発明は、以下を含む抗PD-1抗体又は抗原結合フラグメントを提供する:
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号74のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号75のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号76のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号78のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号76のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号164のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号166のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号78のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号166のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号167のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域。
【0011】
一実施形態では、本発明は、以下を含む抗PD-1抗体又は抗原結合フラグメントを提供する:
以下のいずれか1つを含む重鎖可変領域:
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号74のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号75のアミノ酸配列(H-CDR3)、
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号76のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)、
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号78のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)、又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3);
ならびに
以下のいずれかを含む軽鎖可変領域:
配列番号30のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)、
配列番号164のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)、
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号166のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)、
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号167のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)。
【0012】
一実施形態では、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントのCDRは、ケミカルコンピューティング群(CCG)のナンバリングによって定義される。
【0013】
一実施形態では、本発明は、上に示す抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントはヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントである。
【0014】
一実施形態では、本発明は、上に示す抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体、Fab、F(ab’)2、Fv、及びscFvからなる群より選択される。
【0015】
一実施形態では、本発明は、抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号108及び配列番号92;それぞれ配列番号109及び配列番号93;それぞれ配列番号110及び配列番号94;それぞれ配列番号111及び配列番号95;それぞれ配列番号112及び配列番号96;それぞれ配列番号113及び配列番号97;それぞれ配列番号114及び配列番号98;それぞれ配列番号115及び配列番号99;それぞれ配列番号116及び配列番号100;それぞれ配列番号117及び配列番号101;それぞれ配列番号118及び配列番号102;それぞれ配列番号119及び配列番号103;それぞれ配列番号120及び配列番号104;それぞれ配列番号121及び配列番号105;それぞれ配列番号122及び配列番号106;それぞれ配列番号123及び配列番号107のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0016】
一実施形態では、本発明は、抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、又は配列番号139のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び配列番号125、配列番号127、又は配列番号129のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0017】
一実施形態では、本発明は、抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号131及び配列番号125のアミノ酸配列をそれぞれ含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0018】
一実施形態では、本発明は、抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号133及び配列番号127のアミノ酸配列をそれぞれ含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0019】
一実施形態では、本発明は、抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号135及び配列番号127のアミノ酸配列をそれぞれ含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0020】
一実施形態では、本発明は、抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号137及び配列番号129のアミノ酸配列をそれぞれ含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0021】
一実施形態では、本発明は、抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、配列番号139及び配列番号129のアミノ酸配列をそれぞれ含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0022】
一実施形態では、本発明は、抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号131及び配列番号125のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0023】
一実施形態では、本発明は、抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号133及び配列番号127のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0024】
一実施形態では、本発明は、抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号135及び配列番号127のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0025】
一実施形態では、本発明は、抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号137及び配列番号129のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0026】
一実施形態では、本発明は、抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、それぞれ配列番号139及び配列番号129のアミノ酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0027】
一実施形態では、本発明は、上に記載する抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA、及びIgE定常領域、例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgA、又はIgEからなる群より選択される重鎖定常領域を含む。
【0028】
一実施形態では、本発明は、上に記載する抗PD1抗体を提供し、その重鎖定常領域は、Ser228Pro変異を伴うIgG4の重鎖定常領域である。
【0029】
一実施形態では、本発明は、上に記載する抗PD1抗体を提供し、その重鎖定常領域はIgG1の重鎖定常領域である。
【0030】
一実施形態では、本発明は、上に記載する抗PD1抗体を提供し、その重鎖定常領域は、Leu234Ala及びLeu235Ala変異を伴うIgG1の重鎖定常領域である。
【0031】
一実施形態では、本発明は、上に記載する抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供し、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、カッパ及びラムダからなる群より選択される軽鎖定常領域を含む。
【0032】
一実施形態では、本発明は抗PD1抗体を提供し、この抗体は、それぞれ配列番号143及び配列番号141のアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖を含む。
【0033】
一実施形態では、本発明は抗PD1抗体を提供し、この抗体は、それぞれ配列番号147及び配列番号145のアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖を含む。
【0034】
一実施形態では、本発明は抗PD1抗体を提供し、この抗体は、それぞれ配列番号149及び配列番号145のアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖を含む。
【0035】
一実施形態では、本発明は抗PD1抗体を提供し、この抗体は、それぞれ配列番号153及び配列番号151のアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖を含む。
【0036】
一実施形態では、本発明は抗PD1抗体を提供し、この抗体は、それぞれ配列番号155及び配列番号151のアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖を含む。
【0037】
一実施形態では、本発明は抗PD1抗体を提供し、この抗体は重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖のアミノ酸配列は配列番号143のアミノ酸からなり、前記軽鎖のアミノ酸配列は配列番号141のアミノ酸からなる。
【0038】
一実施形態では、本発明は抗PD1抗体を提供し、この抗体は重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖のアミノ酸配列は配列番号147のアミノ酸からなり、前記軽鎖のアミノ酸配列は配列番号145のアミノ酸からなる。
【0039】
一実施形態では、本発明は抗PD1抗体を提供し、この抗体は重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖のアミノ酸配列は配列番号149のアミノ酸からなり、前記軽鎖のアミノ酸配列は配列番号145のアミノ酸からなる。
【0040】
一実施形態では、本発明は抗PD1抗体を提供し、この抗体は重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖のアミノ酸配列は配列番号153のアミノ酸からなり、前記軽鎖のアミノ酸配列は配列番号151のアミノ酸からなる。
【0041】
一実施形態では、本発明は抗PD1抗体を提供し、この抗体は重鎖及び軽鎖を含み、前記重鎖のアミノ酸配列は配列番号155のアミノ酸からなり、前記軽鎖のアミノ酸配列は配列番号151のアミノ酸からなる。
【0042】
一実施形態では、上に記載する抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメントである。
【0043】
一実施形態では、上に記載する抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントは、ヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントである。
【0044】
一実施形態では、上に記載する抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントは、アゴニスト抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントである。
【0045】
一実施形態では、上に記載する抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントは、例えば、20nM又はそれ以下、例えば、10nM又はそれ以下、例えば、5nM又はそれ以下の高親和性でヒトPD-1に結合する。
【0046】
一実施形態では、本発明は、上に記載する抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントと、PD-1への結合について競合する抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態では、本発明は、抗体A、抗体B、抗体C、抗体D、又は抗体Eと、PD-1への結合について競合する抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0047】
一実施形態では、本発明は、上に記載する抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント、及び医薬的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0048】
一実施形態では、本発明は、医薬品としての使用のための、上に記載する抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。
【0049】
一実施形態では、本発明は、上に記載する抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの医薬的に有効な量を、それを必要とする患者に投与することを含む、PD-1経路障害を処置する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、PD-1経路障害を処置する際での使用のための、上に記載する抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態では、本発明は、PD-1経路障害を処置するための医薬品の製造における、上に記載する抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの使用を提供する。
【0050】
一実施形態では、本発明は、抗PD-1抗体又は上に記載する抗原結合フラグメントを、ヒト患者においてPD-1経路を活性化するのに十分な量で含む組成物をヒト患者に投与することを含む、ヒト患者においてPD-1とPD-L1の間での相互作用を調節する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、ヒト患者においてPD-1とPD-L1の間での相互作用を調節する際での使用のための抗PD-1抗体又は上に記載する抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態では、本発明は、ヒト患者においてPD-1とPD-L1の間での相互作用を調節するための医薬品の製造における、抗PD-1抗体又は上に記載する抗原結合フラグメントの使用を提供する。
【0051】
一実施形態では、本発明は、抗PD-1抗体又は上に記載する抗原結合フラグメントを、ヒト患者において免疫応答を下方調節するのに十分な量で含む組成物をヒト患者に投与することを含む、ヒト患者においてPD-1発現T細胞活性を減弱させる方法を提供する。一実施形態では、本発明は、ヒト患者においてPD-1発現T細胞活性を減弱させる際での使用のための抗PD-1抗体又は上に記載する抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態では、本発明は、ヒト患者においてPD-1発現T細胞活性を減弱させるための医薬品の製造における、抗PD-1抗体又は上に記載する抗原結合フラグメントの使用を提供する。
【0052】
一実施形態では、上記の方法において、上記の使用のための抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、あるいは上記の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの使用において、この疾患は、全身性硬化症(SSc)、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、巨細胞性動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、及び炎症性腸疾患からなる群より選択される。
【0053】
一実施形態では、上記の方法において、上記の使用のための抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントにおいて、あるいは上記の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの使用において、この抗体又はその抗原結合フラグメントは、非経口経路、静脈内経路、又は皮下経路の投与により投与される。
【0054】
一実施形態では、本発明は、上に記載する重鎖可変領域アミノ及び/又は軽鎖可変領域をコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0055】
一実施形態では、本発明は、上に記載する重鎖及び/又は軽鎖をコードする単離ポリヌクレオチドを提供する。
【0056】
一実施形態では、本発明は、上に記載するポリヌクレオチドを含む発現ベクターを提供する。
【0057】
一実施形態では、本発明は、上に記載する発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。一実施形態では、宿主細胞は哺乳動物細胞である。
【0058】
一実施形態では、本発明は、以下の工程を含む、抗体を製造する方法を提供する:
- 上に記載する重鎖可変領域をコードする単離ポリヌクレオチドを含む発現ベクター及び上に記載する軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む宿主細胞を、抗体の形成を可能にする条件下で培養すること、ならびに
- 当該抗体を回収すること。
【0059】
一実施形態では、本発明は、以下の工程を含む、抗体を製造する方法を提供する:
- 上に記載する重鎖をコードする単離ポリヌクレオチドを含む発現ベクター及び上に記載する軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む宿主細胞を、抗体の形成を可能にする条件下で培養すること、ならびに
- 当該抗体を回収すること。
【0060】
一実施形態では、上記の方法は、抗体を精製する工程をさらに含む。一実施形態では、上記の方法は、抗体を医薬組成物中に製剤化する工程をさらに含む。
【0061】
一実施形態では、本発明は、第1の抗PD-1アゴニスト抗原結合部位及び第2の抗原結合部位を含む多重特異性抗体を提供する。
【0062】
一実施形態では、第2の抗原結合部位は、抗CD48結合部位、抗CD-2結合部位、抗CD11a結合部位、又は抗CD3結合部位である。
【0063】
一実施形態では、第1の抗PD-1アゴニスト抗原結合部位は、上に記載する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む。
【0064】
一実施形態では、多重特異性抗体は二重特異性抗体である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
図1図1:フローサイトメトリーにより評価された細胞ベースのアッセイにおけるヒトPD-1タンパク質に対する抗PD-1抗体の選択性。MFIは「平均蛍光強度」を表す。
図2図2:ヒトPD-L1-FcへのヒトPD-1-Fc結合の競合結合アッセイ。GLM チップ表面上に結合されたPD-L1-Fcアミンに対する25nM PD-1-Fcの結合曲線を描写するセンサーグラム(図2A)。GLMチップ表面に結合されたPD-L1-Fcアミンに結合する25nM PD-1-Fcと事前に混合された抗体C、MK-3475、及びPD1AB-6-4P(500nM)のセンサーグラム(図2B)。
図3図3:抗PD-1アゴニスト抗体の存在におけるPD-1へのPD-L1の増強した結合。PD-1ビオチン:PD-L1相互作用アッセイ(図3A)。CHO PD-1- PD-L1Delphia-Eu TRFアッセイ(図3B及び3D)。CHO PD-1:ビオチンPD-L1結合アッセイ(図3C)。図3Dでは、個々のデータポイントは、抗体Cについてだけ描写されている;他の抗体についての個々のデータポイントは、それらの互いの近接のため、図3D中には描写されていない。POCは「制御のパーセンテージ」を表す。
図4図4:親723C2アゴニスト抗体(図4A)又は親アゴニスト抗体820C3(図4B)から由来する抗PD-1アゴニスト抗体又はF(ab’)2フラグメントの存在におけるT細胞機能活性。POCは「制御のパーセンテージ」を表す。
図5図5:架橋時のCD48に対するMAbによるPD-1活性化の誘導。
図6図6:CellTrace-Violetでのヒト汎T細胞の標識、CD3 MAbでの活性化、及びCellTraceの希釈による細胞増殖の分析。
図7図7:二重特異性コンストラクト(図7A)。PD-1を過剰発現するJurkat細胞のフローサイトメトリーにより実証されるPD-1又はCD48への各々のアームの結合(図7B)。プレートに結合したPD-1/CD48 BsAb又はコントロール抗体の存在における、プレートに結合した抗CD3eでのヒト記憶CD4+ T(PD1+)細胞の刺激(図7C)。MFIは「平均蛍光強度」を表す。
【0066】
発明の詳細な説明。
本発明は、免疫障害及び炎症性障害、特にPD-1/PD-L1及び/又はPD-L2系により制御される免疫障害及び炎症性障害のための処置についての必要性に対処する。この必要性に対処するために、本発明は抗PD-1抗体を提供し、これはPD-1とPD-L1の間での相互作用を遮断しない。一態様において、本発明は抗体を提供し、それはPD-1とPD-L1の間での相互作用を増強する。本発明の一態様では、本発明の抗体は、PD-1シグナル伝達経路を活性化する。一態様では、本発明の抗体は抗PD-1アゴニスト抗体である。PD-1アゴニズムによって、PD-1が発現されているが、しかし、そのリガンドにより関与しないであろう、又は、場合により、関与しうるヒト疾患において自己反応性T細胞の増殖及びエフェクター機能を阻害することにより、免疫バランスが回復される。一態様では、本発明の抗体は、免疫障害及び炎症性障害ならびに移植片拒絶を処置する際に有用である。例えば、本発明の抗体は、PD-1とPD-L1の間の相互作用を調節することにより、特にPD-1経路を活性化することにより軽減することができる疾患又は障害の処置及び/又は予防のために有用である。一態様では、本発明の抗体は、全身性硬化症(SSc)、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、巨細胞性動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、又は炎症性腸疾患を処置及び/又は予防する際に有用である。
【0067】
一態様では、本発明は、抗PD-1抗体、特にモノクローナル抗PD-1抗体、例えば、ヒト化モノクローナル抗PD-1抗体を提供し、本明細書中で下に記載する特性の1つ又は複数を有する。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、例えば、20nM又はそれ以下、例えば、10nM又はそれ以下、例えば、5nM又はそれ以下の高親和性で精製組換えヒトPD-1に結合する。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、50nM又はそれ以下の親和性で精製組換えカニクイザルPD-1に結合する。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、PD-1、特にヒトPD-1に選択的に結合する。一態様では、本発明の抗体は、マウス、ラット、又はウサギのPD-1に結合しない。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、PD-1へのPD-L1の結合を遮断しない。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、PD-1へのPD-L1の結合を増強する。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、例えば、IFNγ産生の阻害、IL-17A産生の阻害、又はIL-21産生の阻害により、本明細書中で下に示すように、いくつかの機能的細胞アッセイにおいてT細胞活性を減弱させる。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、マウスモデルにおけるヒト細胞蓄積を阻害し、マウスモデルにおけるヒト炎症性サイトカインのレベルを低下させる。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、好ましい薬物動態特性を有する。一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、好ましい生物物理学的特性、例えば、収量、質、安定性、又は溶解度を有する。これらの特性は、例えば、本明細書中の下の実施例において示されている。
【0068】
抗体又は免疫グロブリンの一般化された構造は、当業者に周知であり、これらの分子は、典型的には約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質であり、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖で構成される。各々の軽鎖は、1つのジスルフィド結合により重鎖に共有結合的に連結されてヘテロ二量体を形成し、ヘテロ三量体分子は、ヘテロ二量体の2つの同一の重鎖間での共有結合的なジスルフィド連結を通じて形成される。軽鎖及び重鎖は、1つのジスルフィド結合により一緒に連結されているが、2つの重鎖間でのジスルフィド連結の数は、免疫グロブリンのアイソタイプにより変動する。各々の重鎖及び軽鎖はまた、規則的に間隔のあいた鎖内ジスルフィド架橋を有する。各々の重鎖は、アミノ末端に可変ドメイン(V=可変重鎖)を有し、その後に3つ又は4つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3、及びCH4)、ならびにCH1とCH2の間でのヒンジ領域が続く。各々の軽鎖は、2つのドメイン、アミノ末端可変ドメイン(V=可変軽鎖)及びカルボキシ末端定常ドメイン(C)を有する。Vドメインは、Vドメインと非共有結合的に会合するのに対して、Cドメインは一般に、ジスルフィド結合を介して CH1ドメインに共有結合的に連結される。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの間に界面を形成すると考えられている(Chothia et al., 1985, J. Mol. Biol. 186:651-663、Vargas-Madrazo E, Paz-Garcia E. J Mol. Recognit.2003;16(3):113-120)。可変ドメインは可変領域として、及び定常ドメインは定常領域として本明細書中で言及されることもある。
【0069】
可変ドメイン内の特定のドメインは、異なる抗体間で広範に異なり、即ち、「超可変」である。これらの超可変ドメインは、その特定の抗原決定基についての各々の特定の抗体の結合及び特異性において直接含まれる残基を含む。軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方における超可変性は、相補性決定領域(CDR)又は超可変ループ(HVL)として公知である3つのセグメント中に集中している。CDRは、Kabat et al., 1991, In: Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md.における配列比較により定義されるのに対し、HVLは、Chothia and Lesk, 1987, J. Mol. Biol. 196: 901-917により記載されるように、可変ドメインの三次元構造に従って構造的に定義される。これらの2つの方法によって、CDRのわずかに異なる同定がもたらされる場合、構造的な定義が好まれる。Kabatにより定義されるように、CDR-L1は軽鎖可変ドメイン中の約24~34残基に、CDR-L2は約50~56残基に、及びCDR-L3は約89~97残基に位置付けられる;CDR-H1は重鎖可変ドメイン中の約31~35残基に、CDR-H2は約50~65残基に、及びCDR-H3は約95~102残基に位置付けられる。CDRの代わりの定義は、Chemical Computing Group(CCG)ナンバリングによる(Almagro et al., Proteins 2011;79:3050-3066及びMaier et al, Proteins 2014;82:1599-1610)。重鎖及び軽鎖のCDR1、CDR2、CDR3によって、従って、所与の抗体について特異的な固有の機能的特性が定義される。
【0070】
重鎖及び軽鎖の各々の内の3つのCDRは、フレームワーク領域(FR)により分離されており、それらは、あまり可変性のない傾向にある配列を含む。重鎖及び軽鎖可変ドメインのアミノ末端からカルボキシ末端まで、FR及びCDRは、以下の順序で配置されている:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4。FRの大部分のβシート構成によって、鎖の各々の内のCDRが互いに、ならびに他の鎖のCDRに近接する。結果として得られた立体構造は、抗原結合部位に寄与する(Kabat et al., 1991, NIH Publ. No. 91-3242, Vol. I, page 647-669を参照のこと)が、全てのCDR残基が、必ずしも、抗原結合において直接的に含まれるわけではない。
【0071】
FR残基及びIg定常ドメインは、一般的に、抗原結合において直接的に含まれないが、しかし、抗原結合に寄与し、及び/又は抗体エフェクター機能を媒介する。一部のFR残基は、少なくとも3つの方法において抗原結合に対して有意な効果を有すると考えられる:エピトープに直接的に非共有結合することによる、1つ又は複数のCDR残基と相互作用することによる、及び重鎖と軽鎖の間の界面に影響を及ぼすことによる。定常ドメインは、抗原結合において直接的に含まれないが、しかし、種々のIgエフェクター機能、例えば抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、及び抗体依存性細胞食作用(ADCP)における抗体の関与などを媒介する。
【0072】
脊椎動物免疫グロブリンの軽鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、2つの明らかに異なるクラス、カッパ(λ)及びラムダ(λ)の1つに割り当てられる。比較により、哺乳動物の免疫グロブリンの重鎖は、定常ドメインの配列に従って、5つの主要なクラスの1つに割り当てられる:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM。IgG及びIgAは、それぞれ、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgAにさらに分類される。免疫グロブリンの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、及びμと呼ばれる。天然免疫グロブリンのクラスのサブユニット構造及び三次元配置は周知である。
【0073】
用語「抗体」、「抗PD-1抗体」、「ヒト化抗PD-1抗体」、及び「変異体ヒト化抗PD-1抗体」は、本明細書中で最も広い意味において使用され、具体的には、モノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、多重特異性抗体(例、二重特異性抗体)、軽微な改変、例えばN末端又はC末端切断などを伴う抗体、ならびに抗体フラグメント、例えば可変ドメイン及び所望の生物学的活性、例えば、PD-1結合を示す抗体の他の部分などを包含する。
【0074】
用語「モノクローナル抗体」(mAb)は、実質的に均一な抗体の集団の抗体を指す;すなわち、その集団中の個々の抗体は、自然に生じる変異、又は可能な周知の変化、例えば抗体重鎖からのC末端リジンの除去あるいは翻訳後修飾、例えばアミノ酸異性化もしくは脱アミド化、メチオニン酸化、又は少量で存在しうるアスパラギンもしくはグルタミンの脱アミド化などを除いて同一である。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一の抗原決定基「エピトープ」に対して向けられる。従って、修飾語「モノクローナル」は、同一のエピトープに向けられた抗体の実質的に均一な集団を示しており、任意の特定の方法による抗体の産生を要求するとして解釈すべきではない。モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の任意の技術又は方法論により作製することができることを理解すべきであり;例えば、ハイブリドーマ方法(Kohler et al., 1975, Nature256:495)、又は当技術分野において公知の組換えDNA方法(例、米国特許第4,816,567号を参照のこと)、又はファージ抗体ライブラリーを使用して組換え産生されたモノクローナルの単離の方法、又はClackson et al., 1991, Nature 352: 624-628、及びMarks et al., 1991, J. Mol. Biol.222: 581-597において記載されている技術を使用することを含む。
【0075】
キメラ抗体は、1つの種(例、非ヒト哺乳動物、例えばマウスなど)からの抗体の重鎖及び軽鎖可変領域ならびに別の種(例、ヒト)の抗体の重鎖及び軽鎖定常領域からなり、第1の種(例、マウス)からの抗体の可変領域をコードするDNA配列を、第2の(例、ヒト)種からの抗体の定常領域についてのDNA配列に連結し、宿主を、キメラ抗体を産生することを可能にする連結配列を含む発現ベクターで形質転換することにより得ることができる。あるいは、キメラ抗体はまた、重鎖及び/又は軽鎖の1つ又は複数の領域又はドメインが、別の免疫グロブリンクラスもしくはアイソタイプからの、又はコンセンサス配列もしくは生殖系列配列からの、モノクローナル抗体における対応する配列と同一である、相同である、又はそのバリアントであるキメラ抗体でありうる。キメラ抗体は、抗体フラグメントがその親抗体の所望の生物学的活性、例えば、同じエピトープへの結合を示すという条件で、そのような抗体のフラグメントを含むことができる(例、米国特許第4,816,567号;及びMorrison et al., 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 6851-6855を参照のこと)。
【0076】
用語「抗体フラグメント」、「抗原結合フラグメント」、「抗PD-1抗体フラグメント」、「ヒト化抗PD-1抗体フラグメント」、「バリアントヒト化抗PD-1抗体フラグメント」は、可変領域又は機能的能力、例えば、特異的なPD-1エピトープ結合が保持されている全長抗PD-1抗体の一部を指す。抗体フラグメントの例は、Fab、Fab’、F(ab’)、Fd、Fv、scFv、及びscFv-Fcフラグメント、ダイアボディ、線状抗体、単鎖抗体、ミニボディ、抗体フラグメントから形成されたダイアボディ、及び抗体フラグメントから形成された多重特異性抗体を含むが、これらに限定しない。
【0077】
抗体フラグメントは、例えば、酵素、例えばパパイン又はペプシンなどで処理された全長抗体を処理して、有用な抗体フラグメントを生成することにより得ることができる。パパイン消化を使用し、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同一の抗原結合抗体フラグメントを産生し、各々が単一の抗原結合部位、及び残存「Fc」フラグメントを伴う。Fabフラグメントはまた、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖のCH1ドメインを含む。ペプシン処理によって、2つの抗原結合部位を有し、抗原を架橋することが可能であるF(ab’)2フラグメントが得られる。
【0078】
本発明による抗体フラグメントの別の例は、Fab’フラグメントである。Fab’フラグメントは、CH1ドメインのC末端での抗体ヒンジ領域からの1つ又は複数のシステインを含む、追加の残基の存在によりFabフラグメントとは異なる。F(ab’)抗体フラグメントは、ヒンジ領域中のシステイン残基により連結されたFab’ フラグメントの対である。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも公知である。
【0079】
「Fv」フラグメントは、密接な非共有結合にある1つの重鎖可変ドメイン及び1つの軽鎖可変ドメインの二量体からなる完全な抗原認識及び結合部位を含む。この構成において、各々の可変ドメインの3つのCDRが相互作用し、V-V二量体の表面上で抗原結合部位を定める。集合的に、6つのCDRによって、抗体への抗原結合特異性が付与される。
【0080】
抗体フラグメントはまた、「単鎖Fv」又は「scFv」フラグメントを含みうる。「単鎖Fv」又は「scFv」抗体フラグメントは、抗体のVHドメイン及びVLドメインを含む単鎖Fvバリアントであり、これらのドメインは単一のポリペプチド鎖中に存在している。単鎖Fvは、抗原を認識して結合することが可能である。scFvポリペプチドはまた、場合により、scFvによる抗原結合のための所望の三次元構造の形成を促進するために、VHドメインとVLドメインの間に配置されるポリペプチドリンカーを含みうる(例、Pluckthun, 1994, In The Pharmacology of monoclonal Antibodies, Vol. 113, Rosenburg and Moore eds., Springer-Verlag, New York, pp.269-315を参照のこと)。
【0081】
抗体フラグメントはまた、タンデムFdセグメントを形成しうるが、それは、抗原結合領域の対を形成するタンデムFdセグメント(V-CH1-V-CH1)の対を含む。これらの「線状抗体」は、例えば、Zapata et al. 1995, Protein Eng. 8(10):1057-1062において記載されるように、二重特異性又は単一特異性でありうる。
【0082】
一態様では、本発明の抗PD-1抗体は、ヒト化抗体又は抗体フラグメントである。ヒト化抗体又はヒト化抗体フラグメントは、特定の型のキメラ抗体であり、それは、免疫グロブリンアミノ酸配列バリアント、又はそのフラグメントを含み、所定の抗原に結合することが可能であり、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有する1つ又は複数のFR、及び非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有する1つ又は複数のCDRを含む。しばしば「移入」配列として言及されるこの非ヒトアミノ酸配列は、典型的には、「移入」抗体ドメイン、特に可変ドメインから取られる。一般的に、ヒト化抗体は、ヒト重鎖又は軽鎖可変ドメインのFR間に挿入された、非ヒト抗体の少なくともCDR又はHVLを含む。抗体のヒト化の方法は、例えば、Almagro et al.,(2008) Frontiers in Bioscience 13, 1619-1633により、又はWO12092374 A2において記載されている。
【0083】
本発明は、ヒト生殖系列配列の重鎖及び軽鎖可変ドメインのFR間に挿入されたマウスリード723C2から由来するCDRを含む特異的なヒト化抗PD-1抗体を記載する。加えて、マウスリード723C2の重鎖 CDR3中のシステインは、マウスリード723C2から由来するヒト化抗PD-1抗体中のチロシンで置換された(「DC」から「DY」へ)。
【0084】
一態様では、ヒト化抗PD-1抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメイン(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fabc、及びFvフラグメント中に含まれる)の実質的に全てを含み、それらにおいて、全て又は実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリンのCDRに対応し、具体的には本明細書中では、CDRはマウスリード723C2のマウス配列であり、FRはヒト免疫グロブリンコンセンサス配列又は生殖系列配列のFRである。別の態様では、ヒト化抗PD-1抗体はまた、免疫グロブリンFc領域の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンのそれを含む。通常、抗体は軽鎖ならびに少なくとも重鎖の可変ドメインの両方を含む。抗体はまた、適する場合、重鎖のCH1領域、ヒンジ領域、CH2領域、CH3領域、及び/又はCH4領域の1つ又は複数を含んでもよい。
【0085】
本発明によるヒト化抗PD-1抗体は、免疫グロブリンの任意のクラス(IgM、IgG、IgD、IgA、及びIgEを含む)ならびに任意のアイソタイプ(IgG、IgG、IgG、IgG、IgA、及びIgAを含む)より選択することができる。例えば、定常ドメインは、ヒト化抗体が細胞傷害活性を示すことが望まれる場合、補体固定定常ドメインであることができ、アイソタイプは典型的にはIgGである。そのような細胞傷害活性が望ましくない場合、定常ドメインは別のアイソタイプ、例えば、IgG2であってもよい。代替のヒト化抗PD-1抗体は、1を上回る免疫グロブリンクラス又はアイソタイプからの配列を含むことができ、所望のエフェクター機能を最適化するために特定の定常ドメインを選択することは、当技術分野の技能の範囲内である。
【0086】
一態様では、本発明の抗体の定常ドメインはIgG4Proであり、それはFabアーム交換を防止する1つの置換変異(Ser228Pro)を有する。このSerからProへの変異は、IgG4骨格のヒンジ領域中にあり、一般にSer228Proとして公知であるが、重鎖中でのその位置は、例えば、可変領域の長さ及び/又はIgG1とIgG4の間のヒンジの長さの違いに依存して、数個のアミノ酸だけ変動しうる。ヒンジ領域中でのSerからProへの変異(Cys-Pro-Ser-Cys-Pro)は、重鎖中でのその位置に非依存的に、本明細書中で「Ser228Pro」として言及される。別の態様では、本発明の抗体の定常ドメインはIgG1KOであり、それは、エフェクター機能(ADCC)を低下させるために、ヒンジ領域中に2つの変異Leu234Ala及びLeu235Alaを有する。
【0087】
ヒト化抗PD-1抗体のFR及びCDR、又はHVLは、親配列に正確に対応する必要はない。例えば、移入CDR、又はHVL、又はコンセンサス配列もしくは生殖系列FR配列中の1つ又は複数の残基は、置換、挿入、又は欠失により改変(例、変異誘発)されうるが、結果として得られるアミノ酸残基は、いずれかの親配列における対応する位置における元のアミノ酸残基ともはや同一ではないが、しかし、抗体は、それにもかかわらず、PD-1に結合する機能を保持するようにする。そのような改変は、典型的には、広範囲ではなく、保守的な改変である。通常、ヒト化抗体残基の少なくとも75%は、親コンセンサス配列又は生殖細胞系FR配列及び移入CDR配列の残基に対応しており、よりしばしば少なくとも90%、最も頻繁には95%を上回り、又は98%を上回り、又は99%を上回る。
【0088】
重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間での界面(「VL-VH界面」)に影響を及ぼす免疫グロブリン残基は、互いに対する2本の鎖の近接性又は配向に影響を及ぼすものである。鎖間相互作用において含まれうる特定の残基は、VL残基34、36、38、44、46、87、89、91、96、及び98ならびにVH残基35、37、39、45、47、91、93、95、100、及び103を含む(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health, Bethesda, Md., 1987))に示されているナンバリングシステムを利用)。米国特許第6,407,213号でも、残基、例えばVL残基43及び85、ならびにVH残基43及び60などがまた、この相互作用において含まれうることが考察されている。これらの残基は、ヒトIgGだけについて示されている一方で、それらは種にわたり適用可能である。鎖間相互作用において含まれると合理的に予想される重要な抗体残基が、コンセンサス配列への置換のために選択される。
【0089】
用語「コンセンサス配列」及び「コンセンサス抗体」は、任意の特定のクラス、アイソタイプ、又はサブユニット構造、例えば、ヒト免疫グロブリン可変ドメインの全ての免疫グロブリン中の各々の位置で最も頻繁に生じるアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を指す。コンセンサス配列は、特定の種の又は多くの種の免疫グロブリンに基づきうる。「コンセンサス」配列、構造、又は抗体は、特定の実施形態において記載するコンセンサスヒト配列を包含し、任意の特定のクラス、アイソタイプ、又はサブユニット構造の全てのヒト免疫グロブリン中の各々の位置で最も頻繁に生じるアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を指すと理解される。このように、コンセンサス配列は、1つ又は複数の公知の免疫グロブリン中に存在するアミノ酸を各々の位置に有するアミノ酸配列を含むが、しかし、それは、任意の単一の免疫グロブリンの全アミノ酸配列を正確に複製しないことがある。可変領域コンセンサス配列は、任意の天然に産生された抗体又は免疫グロブリンからは得らない。Kabat et al., 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed.(国立衛生研究所公衆衛生局、メリーランド州ベセスダ)、及びそのバリアント。重鎖及び軽鎖コンセンサス配列のFR、ならびにそれらのバリアントは、ヒト化抗PD-1抗体の調製のために有用な配列を提供する。例えば、米国特許第6,037,454号及び第6,054,297号を参照のこと。
【0090】
ヒト生殖系列配列は、ヒト集団において自然に見出される。それらの生殖細胞系遺伝子の組み合わせによって、抗体多様性が生成される。抗体の軽鎖についての生殖系列抗体配列は、保存されたヒト生殖系列カッパ又はラムダv遺伝子及びj遺伝子から由来する。同様に、重鎖配列は、生殖系列のv、d、及びj遺伝子から由来する(LeFranc, M-P, and LeFranc, G, “The Immunoglobulin Facts Book” Academic Press,2001)。
【0091】
「単離」抗体は、同定され、その自然環境の成分から同定及び/又は分離されたものである。抗体の自然環境の混入成分は、抗体の診断的又は治療的な使用に干渉しうる物質であり、酵素、ホルモン、又は他のタンパク質性もしくは非タンパク質性溶質でありうる。一態様では、抗体は、抗体の少なくとも95重量%を上回るまで単離まで精製され、例えば、少なくとも95%、96%、97%、98%、又は99%を上回るまで精製される。
【0092】
単離抗体は、それが産生される組換え細胞内にin situで抗体を含む。なぜなら、抗体の自然環境の少なくとも1つの成分が存在しないためである。通常、しかし、単離抗体は、組換え細胞材料が除去される少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0093】
本発明に従って使用される用語「抗体性能」は、抗原の抗体認識又はインビボでの抗体の有効性に寄与する要因/特性を指す。抗体のアミノ酸配列における変化は、抗体特性、例えば折り畳みなどに影響を及ぼしうる、ならびに、物理的要因、例えば抗原への抗体結合の初速度(k)、抗原からの抗体の解離定数(k)、抗原についての抗体の親和性定数(K)、抗体の立体構造、タンパク質の安定性、及び抗体の半減期などに影響しうる。
【0094】
本発明に従って使用される用語「アゴニスト(agonist)抗体」又は「アゴニスト(agonistic)抗体」は、PD-1への結合時に、PD-1リガンドPD-L1により誘導される少なくとも1つの生物学的活性を誘導する抗体を指す。一態様では、誘導は、アゴニスト抗体の非存在における誘導と比較した場合、統計的に有意である。一態様では、抗体は、少なくとも1つの生物学的活性が、例えば、本明細書中で下に記載する実施例の1つにおけるように測定された場合、アゴニスト抗体の非存在におけるよりも少なくとも約20%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%大きく誘導される場合、アゴニスト抗体である。一部の実施形態では、「アゴニスト抗体」は、PD-1とPD-L1の間での相互作用を増強する。PD-1アゴニスト特性を検出するための例示的なアッセイが、本明細書中に記載されている、又は当技術分野において公知である。
【0095】
「多重特異性」は、2つ又はそれ以上の別個の抗原あるいは同じ抗原内の2つ又はそれ以上の別個のエピトープに特異的に結合するタンパク質、例えば抗体などを指す。
【0096】
「二重特異性」は、2つの別個の抗原又は同じ抗原内の2つの別個のエピトープに特異的に結合するタンパク質、例えば抗体などを指す。
【0097】
一部の実施形態では、本発明のPD-1又はその抗原結合フラグメントに特異的に結合する抗体は、二重特異性抗体である。一部の実施形態では、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントは、多重特異性抗体である。本明細書中で提供するPD-1に特異的に結合する単一特異性抗体は、二重特異性抗体に操作してもよく、それはまた、本発明の範囲内に包含される。
【0098】
全長二重特異性抗体は、例えば、無細胞環境中でのインビトロで又は同時発現を使用して、のいずれかで別個の特異性を有する2つの抗体の半分子のヘテロ二量体形成を支持する、各々の半分の分子中の重鎖CH3界面に置換を導入することにより、2つの単一特異性二価抗体間のFabアーム交換(例、半分子交換、1つの重鎖-軽鎖対の交換)を使用して生成してもよい。Fabアーム交換反応は、ジスルフィド結合の結果である。
【0099】
二重特異性抗体はまた、デザイン、例えばTriomab/Quadroma(Trion Pharma/Fresenius Biotech)、Knob-in-Hole(Genentech)、CrossMAbs(Roche)及び静電誘導CH3相互作用(Chugai、Amgen、NovoNordisk、Oncomed)、LUZ-Y(Genentech)、Strand Exchange Engineered Domain body(SEEDbody)(EMD Serono)、Biclonic(Merus)、及びDuoBody(登録商標)Products(Genmab A/S)などを使用して生成してもよい。
【0100】
例えば、二重特異性PD-1/CD2、二重特異性PD-1/CD48、二重特異性PD-1/CD11a又はPD-1/CD3抗体は、本明細書中に記載するPD-1抗体のVH/VLドメイン、又は公開された抗PD-1アゴニスト抗体の任意のVH/VL領域及び公開された抗CD2、抗CD48、抗CD11a、又は抗CD3抗体の任意のVH/VL領域をそれぞれ使用して生成することができる。
【0101】
本発明の別の実施形態は、PD-1に結合する第1のドメイン及びCD2、CD48、CD11a、又はCD3に結合する第2のドメインを含む二重特異性抗体である。
【0102】
本明細書中で使用するように、用語「同一の」又は「パーセント同一性」は、2つ又はそれ以上の核酸又はポリペプチド配列の状況において、最大の一致のために比較及び整列された場合に、同じである、あるいは、同じであるヌクレオチド又はアミノ酸残基の特定のパーセンテージを有する2つ又はそれ以上の配列又は部分配列を指す。同一性パーセントを決定するために、配列を最適な比較のために整列させる(例、ギャップを、第2のアミノ酸配列又は核酸配列との最適な整列のために、第1のアミノ酸配列又は核酸配列中に導入することができる)。対応するアミノ酸位置又はヌクレオチド位置でのアミノ酸残基又はヌクレオチドを次に比較する。第1の配列中の位置が、第2の配列中の対応する位置と同じアミノ酸残基又はヌクレオチドにより占められている場合、次に分子はその位置で同一である。2つの配列間での同一性パーセントは、配列により共有される同一位置の数の関数である(即ち、同一性%=同一位置の数/位置の総数(例、重複位置)×100)。一部の実施形態では、比較される2つの配列は、適した場合、配列内にギャップが導入された後に同じ長さである(例、比較される配列を超えて延びる追加の配列を除く)。例えば、可変領域配列を比較する場合、リーダー及び/又は定常ドメイン配列は考慮されない。2つの配列間での配列比較については、「対応する」CDRは、両方の配列中の同じ位置におけるCDRを指す(例、各々の配列のCDR-H1)。
【0103】
2つの配列間のパーセント同一性又はパーセント類似性の決定は、数学的アルゴリズムを使用して達成することができる。2つの配列の比較のために利用される数学的アルゴリズムの好ましい非限定的な例は、Karlin and Altschul, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-2268のアルゴリズムであり、Karlin and Altschul, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5877において改変されている。そのようなアルゴリズムは、Altschul et al., 1990, J. Mol. Biol.215:403-410のNBLAST及びXBLASTプログラム中に組み入れられる。BLASTヌクレオチド検索を、NBLASTプログラム、スコア=100、ワード長=12で実施し、目的のタンパク質をコードする核酸に相同なヌクレオチド配列を得ることができる。BLASTタンパク質検索を、XBLASTプログラム、スコア=50、ワード長=3で実施し、目的のタンパク質に相同なアミノ酸配列を得ることができる。比較目的のためにギャップのあるアラインメントを得るために、Gapped BLASTを、Altschul et al., 1997, Nucleic Acids Res.25:3389-3402において記載されるように利用することができる。あるいは、PSI-Blastを使用して、分子間の遠い関係を検出する反復検索を実施することができる(同上)。BLAST、Gapped BLAST、及びPSI-Blastプログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメータ(例、XBLAST及びNBLAST)を使用することができる。配列の比較に利用される数学的アルゴリズムの別の好ましい非限定的な例は、Myers and Miller, CABIOS(1989)である。そのようなアルゴリズムは、GCG配列アラインメント ソフトウェアパッケージの一部であるALIGNプログラム(バージョン2.0)中に組み入れられている。アミノ酸配列を比較するためにALIGNプログラムを利用する場合、PAM120重み付け残基表、ギャップ長ペナルティ12、及びギャップペナルティ4を使用することができる。配列分析のための追加のアルゴリズムが当技術分野において公知であり、Torellis and Robotti, 1994, Comput. Appl. Biosci. 10:3-5において記載されているADVANCE及びADAM;ならびにPearson and Lipman, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444-8において記載されているFASTAを含む。FASTA内で、ktupは検索の感度及び速度を設定する制御オプションである。ktup=2の場合、比較されている2つの配列中の類似領域は、整列された残基の対を見ることにより見出される;ktup=1の場合、整列されたアミノ酸が検証される。ktupは、タンパク質配列については2又は1、DNA配列については1から6に設定することができる。ktupが特定されていない場合のデフォルトは、タンパク質については2及びDNAについては6である。あるいは、タンパク質配列アラインメントは、Higgins et al., 1996, Methods Enzymol.266:383-402により記載されるように、CLUSTAL Wアルゴリズムを使用して行われ得る。
【0104】
核酸配列は、それが別の核酸配列と機能的な関係に置かれる場合、「作動可能に連結される」。例えば、核酸プレ配列又は分泌リーダーは、それが、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドをコードする核酸に作動可能に連結される;プロモーター又はエンハンサーは、それが配列の転写に影響を及ぼす場合、コード配列に作動可能に連結されている;又は、リボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するように位置付けられる場合、コード配列に作動可能に連結されている。一般的に、「作動可能に連結された」は、連結されているDNA配列が近接しており、分泌リーダーの場合では、近接しており、読み枠中にあることを意味する。しかし、エンハンサーは、場合により、近接している。連結は、便利な制限部位でのライゲーションにより達成することができる。そのような部位が存在しない場合、合成オリゴヌクレオチド アダプター又はリンカーを使用することができる。
【0105】
本明細書中で使用するように、表現「細胞」、「細胞株」、及び「細胞培養物」は互換的に使用され、全てのそのような呼称はその後代を含む。このように、「形質転換体」及び「形質転換細胞」は、移入の数に関係なく、初代対象細胞及びそれに由来する培養物を含み、例えば、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントの1つ又は複数のアミノ酸配列をコードする1つ又は複数の発現ベクターでトランスフェクトされていてもよい。
【0106】
本発明による処置の目的のための用語「哺乳動物」は、哺乳動物として分類される任意の動物を指しヒト、家畜及び農場動物、及び動物園、スポーツ、又はペットの動物、例えばイヌ、ウマ、ネコ、ウシなどを含む。好ましくは、哺乳動物はヒトである。
【0107】
「障害」は、本明細書中で使用するように、本明細書中に記載する抗PD-1抗体、特に本明細書中に記載するヒト化抗PD-1抗体での処置から利益を得うる任意の状態である。これは、慢性及び急性の障害又は疾患(哺乳動物を問題の障害に罹りやすくする病理学的状態を含む)を含む。
【0108】
本明細書中で使用するように、用語「PD-1経路障害」又は「PD-1経路疾患」は状態を指し、それは、PD-1とPD-L1の間での相互作用を調節することにより、特にPD-1経路を活性化することにより軽減することができる。「PD-1経路障害」又は「PD-1経路疾患」は、PD-1が発現されるT細胞関連疾患を含む。「PD-1経路障害」又は「PD-1経路疾患」はまた、PD-1を発現し、慢性炎症及び自己免疫疾患のドライバーであり、PD-1を発現するT細胞活性の減弱及び/又は免疫応答の下方調節が望まれる、活性化された自己反応性T細胞により特徴付けられる状態を含む。PD-1経路障害の例は、疾患又は障害、例えば全身性硬化症(SSc)、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、巨細胞性動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、及び炎症性腸疾患などを含む。
【0109】
用語「特異的に結合する」などは、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントが、生理学的条件下で比較的安定である抗原と複合体を形成することを意味する。2つの分子が特異的に結合するか否かを決定するための方法は、本明細書中に記載されている、又は当技術分野において公知であり、例えば、平衡透析、表面プラズモン共鳴などを含む。一実施形態では、特異的結合は、本明細書中の実施例のセクションにおいて記載される親和性結合方法に従った、約1×10-7M(100nM)又はそれ以下のKにより特徴付けられる。別の実施形態では、特異的結合は、本明細書中の実施例セクションにおいて記載される親和性結合方法に従って、約5×10-8M(50nM)又はそれ以下のKにより特徴付けられる。別の実施形態では、特異的結合は、本明細書中の実施例セクションにおいて記載される親和性結合方法に従って、約1×10-8M(10nM)又はそれ以下のKにより特徴付けられる。別の実施形態では、特異的結合は、本明細書中の実施例セクションにおいて記載される親和性結合方法に従って、約5×10-9M(5nM)又はそれ以下のKにより特徴付けられる。ヒトPD-1に特異的に結合する、単離抗体は、他の抗原、例えば他の種からのPD-1分子などに対して交差反応性を有しうる。さらに、単離抗体は、他の細胞物質及び/又は化学物質を実質的に含まなくてもよい。
【0110】
用語「皮下投与」は、薬物容器からの比較的遅い持続的な送達による、動物又はヒト患者の皮膚下、好ましくは、皮膚とその下の組織の間のポケット内への薬物、例えば、本発明の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの導入を指す。皮膚をつまむ又は引っ張って下の組織から離すことで、ポケットが作られうる。
【0111】
用語「皮下注入」は、30分又はそれ以下、あるいは90分又はそれ以下を含むが、それらに限定しない期間にわたる薬物容器からの比較的遅い持続的送達による、動物又はヒト患者の皮膚の下、好ましくは、皮膚とその下の組織の間のポケット内への薬物、例えば、本発明の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの導入を指す。場合により、注入は、動物又はヒト患者の皮膚下に移植された薬物送達ポンプの皮下移植により行ってもよく、このポンプによって、所定の時間、例えば30分、90分、又は処置レジメンの長さに及ぶ期間など、にわたって所定の量の薬物が送達される。
【0112】
用語「皮下ボーラス」は、動物又はヒト患者の皮膚の下への薬物投与を指し、ここで、ボーラス薬物送達は約15分未満;別の態様では5分未満、さらに別の態様では60秒未満である。さらに別の態様では、投与は、皮膚と下層組織の間のポケット内であり、ここで、このポケットは、皮膚をつまむ又は引っ張って下の組織から離すことにより作ってもよい。例えば、「皮下ボーラス」は、約15分未満;別の態様では5分未満、さらに別の態様では60秒未満での、ヒト患者への本発明の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの投与を指す。
【0113】
用語「治療有効量」は、処置される障害の症状の1つ又は複数を緩和又は寛解する抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの量を指すために使用される。そうする際に、それは、有益な患者転帰を有する量である。有効性は、処置される状態に依存して、従来の方法において測定することができる。
【0114】
用語「処置」及び「治療」などは、本明細書中で使用するように、臨床的に望ましい又は有益な効果(1つ又は複数の症状の軽減又は緩和、疾患又は障害の進行の退行、遅延、又は停止を含むが、それらに限定しない)に導く、疾患又は障害についての治療的な、ならびに予防的な、又は抑制的な手段を含むことを意味する。このように、例えば、用語「処置」は、疾患又は障害の症状の発症前又は後での抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの投与を含み、それにより疾患又は障害の1つ又は複数の徴候を予防又は除去することを含む。別の例として、この用語は、疾患の症状と闘うための、疾患の臨床発現の後での抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの投与を含む。さらに、発症後及び臨床症状が発生した後での抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの投与、ここで、投与は、疾患又は障害の臨床パラメータ、例えば組織損傷の程度又は転移の量もしくは範囲などに影響を及ぼし、処置が疾患の寛解に導くか否かに関わらず、本明細書中で使用する「処置」又は「治療」を含む。さらに、本発明の組成物が、単独で、又は別の治療用薬剤との組み合わせにおいて、抗PD-1抗体組成物又はその抗原結合フラグメントの使用の非存在における症状と比較して、処置される障害の少なくとも1つの症状を軽減又は寛解する限り、結果は、障害の全ての症状が軽減されるか否かに関係なく、基礎障害の有効な処置と考えるべきである。
【0115】
用語「添付文書」は、治療用産物の商業的なパッケージ中に慣習的に含まれる説明書を指すために使用され、そのような治療用製品の使用に関する適応症、使用法、投与、禁忌、及び/又は警告に関する情報を含む。
【0116】
抗体
【0117】
本明細書中に記載及び開示するのは、抗PD-1抗体、特にヒト化抗PD-1抗体、ならびに本発明の抗PD-1抗体を含む組成物及び製造品である。また、記載するのは、抗PD-1抗体の抗原結合フラグメントである。抗PD-1抗体及びその抗原結合フラグメントは、多様な疾患又は障害、特に、PD-1を発現し、慢性炎症及び自己免疫疾患のドライバーである、活性化された自己反応性T細胞により特徴付けられる疾患又は障害の処置において使用することができる。抗PD-1抗体及びその抗原結合フラグメントは、各々が、少なくとも、PD-1エピトープを特異的に認識する部分を含む。一態様では、本発明の抗PD-1抗体及びその抗原結合フラグメントは、アゴニスト抗PD-1抗体及びその抗原結合フラグメントである。
【0118】
本発明による抗PD-1抗体の生成及びそれらの特徴付けが、実施例において記載されている。初期の特徴付けでは、抗PD-1キメラリード723C2が、例えば、下の実施例において記載されるように、その優れた抗体性能に基づいて選択された。バリアントのライブラリーが、キメラリードのCDRをヒトコンセンサス重鎖及び軽鎖可変ドメインのFR中に配置し、さらに、異なる改変を伴ってFRを操作することにより生成された。加えて、マウスリード723C2の重鎖CDR3中のシステインを、マウスリード723C2から由来するヒト化抗PD-1抗体中のチロシンで置換した(「DC」から「DY」へ)。「DC」から「DY」への変化は、抗体の薬理学的特性に対する影響を有さなかった。ヒト化抗体の産生のための過程が、実施例において記載されている。
【0119】
代表的なマウスリードの可変領域のアミノ酸配列を表1及び2中に示す。これらのマウスリードのCDR領域及びリード723C2の操作バリアントのCDR領域を表3及び4中に示す。
【表1】


【表2】

【0120】
種々のマウス抗体のマウス軽鎖及び重鎖CDRを、それぞれ表3及び表4中に示す。表3及び4はまた、ヒト化過程を通じてマウス抗体723C2から由来する3つの軽鎖CDR及び3つの重鎖CDRを示す。
【表3】


【表4】

【0121】
上の表3及び4中に列挙されているCDRは、Chemical Computing Group(CCG)ナンバリングを使用して定義される。
【0122】
マウス抗体723C2から由来する代表的な数のヒト化軽鎖及び重鎖可変領域を表5及び6中に提供して示す。
【表5】

【表6】

【0123】
マウス抗体723C2から由来するヒト化軽鎖及び重鎖可変領域の選択された組み合わせによって、抗体A、B、C、D、及びびEがもたらされた:
抗体A:IgK-463-60を伴う723C2-IgG4Pro-463-60(重鎖可変領域723C2VH-463-60及び軽鎖可変領域723C2VK-463-60);
抗体B:IgK-462-07を伴う723C2-IgG4Pro-461-41(重鎖可変領域723C2VH-461-41及び軽鎖可変領域723C2VK-462-07);
抗体C:IgK-462-07を伴う723C2-IgG4Pro-461-47(重鎖可変領域723C2VH-461-47及び軽鎖可変領域723C2VK-462-07);
抗体D:IgK-462-08を伴う723C2-IgG4Pro-461-44(重鎖可変領域723C2VH-461-44及び軽鎖可変領域723C2VK-462-08);
抗体E:IgK-462-08を伴う723C2-IgG4Pro-461-40(重鎖可変領域723C2VH-461-40及び軽鎖可変領域723C2VK-462-08)。
【0124】
抗体A、B、C、D、及びEは、表7中に示される重鎖及び軽鎖配列を有する。
【表7】








【0125】
抗体A、B、C、D、及びEの軽鎖及び重鎖可変領域に、表7中で下線を引いている。重鎖定常領域中のヒンジ領域を太字で示しており、Ser228Pro変異を四角で囲んでいる。
【0126】
マウスリード723C2がまた、ヒトIgG1WT、IgG1KO、及びIgG4Proフォーマットに変換されている。IgG4Proは、ヒンジ領域中に1つの変異Ser228Proを有し、それによってFabアームの交換が防止される。IgG1KOは、エフェクター機能(ADCC)を低下させるために、ヒンジ領域中に2つの変異Leu234Ala及びLeu235Alaを有する。
【0127】
ヒトIgG1WT、IgG1KO、及びIgG4Proフォーマット中のキメラ723C2を表8中に示す。
【表8】





H-CDR3のDCからDYへの変化に対応するアミノ酸に、表8中でアミノ酸配列において下線を引いている。
【0128】
ヒト化及びアミノ酸配列バリアント
【0129】
さらなるバリアント抗PD-1抗体及び抗体フラグメントを、表3及び4中に描写されるCDRのセットに基づいて操作することができる。バリアント抗PD-1抗体及び抗体フラグメントにおいて、CDRのアミノ酸配列は不変のままであるが、しかし、周囲の領域、例えば、FR領域を操作することができることを理解すべきである。抗PD-1抗体のアミノ酸配列バリアントは、適したヌクレオチド変化を抗PD-1抗体DNA中に導入することにより、又はペプチド合成により調製することができる。そのようなバリアントは、例えば、本明細書中の実施例の抗PD-1抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又は残基中への挿入及び/又は残基の置換を含む。欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせが、最終コンストラクトが所望の特徴を持つという条件で、最終コンストラクトに到達するために作製される。アミノ酸変化はまた、ヒト化又はバリアント抗PD-1抗体の翻訳後過程を改変しうる(例えばグリコシル化部位の数又は位置を変化させる、など)。
【0130】
一部の実施形態では、本発明は、可変重鎖及び可変軽鎖を有する抗PD-1抗体又はその抗体フラグメントを含み、そこで、可変重鎖アミノ酸配列及び可変軽鎖アミノ酸配列は、表1、2、5、及び6中に開示されるアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92.5%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である。
【0131】
一部の実施形態では、本発明は、可変重鎖及び可変軽鎖を有する抗PD-1抗体又はその抗体フラグメントを含み、ここで、可変重鎖アミノ酸配列及び可変軽鎖アミノ酸配列は、それぞれ配列番号131、133、135、137、又は139、及び配列番号125、127、又は129のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92.5%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である。
【0132】
一部の実施形態では、本発明は、重鎖及び軽鎖を有する抗PD-1抗体を含み、ここで、重鎖アミノ酸配列及び軽鎖アミノ酸配列が、表7及び8中に開示されるアミノ酸配列と少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一である。
【0133】
抗体のアミノ酸バリアントの別の型は、抗体の元のグリコシル化パターンを改変することを含む。この文脈における用語「改変する」は、抗体において見出される1つ又は複数の糖部分を欠失させること、ならびに/あるいは抗体において以前は存在しなかった1つ又は複数のグリコシル化部位を加えることを意味する。例えば、抗体は、アスパラギン297を置換することにより(例、N297A、N297G)、オリゴサッカリルトランスフェラーゼ酵素複合体媒介性グリコシル化を抑止するために、ヒトIgG1重鎖の位置297でのアミノ酸置換を含みうる。
【0134】
一部の態様では、本発明は、本明細書中に記載する抗PD-1抗体のアミノ酸配列バリアントをコードする核酸分子を含む。抗PD-1抗体のアミノ酸配列バリアントをコードする核酸分子は、当技術分野において公知の多様な方法により調製される。これらの方法は、天然供給源からの単離(天然に生じるアミノ酸配列バリアントの場合において)又は抗PD-1抗体の初期に調製されたバリアントもしくは非バリアントバージョンのオリゴヌクレオチド媒介性(又は部位特異的)変異誘発、PCR変異誘発、及びカセット変異誘発による調製を含むが、これらに限定しない。例えば、本発明による核酸分子はまた、ストリンジェントな条件下で、本明細書中に開示される核酸分子にハイブリダイズする核酸分子も包含し、それにより、本発明の範囲内の用語「ストリンジェントな条件」は、例えば、42℃で50%ホルムアミド、5×SSC、及び1%SDSを含む緩衝液中でのハイブリダイゼーション、又は65℃で5×SSC及び1%SDSを含む緩衝液中でのハイブリダイゼーション(両方とも0.2×SSC及び0.1%SDSで洗浄)を含むことができる。例示的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件はまた、37℃で40%ホルムアミド、1M NaCl、及び1% SDSの緩衝液中でのハイブリダイゼーション、ならびに45℃で1×SSC中での洗浄を含む。
【0135】
特定の実施形態では、抗PD-1抗体は抗体フラグメントである。抗体フラグメントの産生のために開発された技術がある。フラグメントは、インタクトな抗体のタンパク質分解消化を介して由来しうる(例、Morimoto et al., 1992, Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117;及びBrennan et al., 1985, Science 229:81を参照のこと)。あるいは、フラグメントは組換え宿主細胞中で直接的に産生することができる。例えば、Fab’-SHフラグメントは、大腸菌から直接的に回収され、化学的に共役されて、F(ab’)フラグメントを形成することができる(例、Carter et al., 1992, Bio/Technology 10:163-167を参照のこと)。別のアプローチにより、F(ab’)フラグメントを、組換え宿主細胞培養から直接的に単離することができる。抗体フラグメントの産生のための他の技術は、当業者には明らかであろう。
【0136】
一態様では、抗PD-1抗体及びその抗原結合フラグメントは、修飾、例えばグリコシル化又は脱アミド化などを含むことができる。
【0137】
特定の実施形態では、インタクトな抗体ではなく、抗PD-1抗体フラグメントを使用することが望ましいであろう。その血清半減期を増加させるために、抗体フラグメントを修飾することが望ましいであろう。これは、例えば、抗体フラグメント中へのサルベージ受容体結合エピトープの組み入れにより達成することができる。1つの方法では、抗体フラグメントの適した領域を改変(例、変異)させることができる、又はエピトープをペプチドタグ中に組み入れることができ、それを次に、例えば、DNA又はペプチド合成により、抗体フラグメントに、いずれかの末端で又は中央において融合させる。例えば、WO96/32478を参照のこと。例えば、本発明の抗体フラグメントを、全長IgG1スキャフォールドの使用が望ましくない場合には、ヒト血清アルブミンに融合させて血清半減期を増加させてもよい。抗体フラグメントとヒト血清アルブミンとのそのような融合タンパク質は、2つの異なる抗体フラグメントを融合させて結合力を増加させる、又は延長された血清半減期を伴う二重特異性結合タンパク質を生成する必要がある状況において有利でありうる(例、WO05077042 A2を参照のこと)。
【0138】
他の実施形態では、本発明は、抗PD-1抗体の共有結合的な修飾を含む。共有結合的な修飾は、システイニル残基、ヒスチジル残基、リシニル残基及びアミノ末端残基、アルギニル残基、チロシル残基、カルボキシル側基(アスパルチル又はグルタミル)、グルタミニル残基及びアスパラギニル残基、あるいはセリル残基、又はスレオニル残基の修飾を含む。別の型の共有結合的な修飾は、グリコシドを抗体に化学的又は酵素的に共役することを含む。そのような修飾は、適用可能な場合、化学合成により、又は抗体の酵素的もしくは化学的な切断により作製することができる。抗体の共有結合的な修飾の他の型を、抗体の標的アミノ酸残基を、選択された側鎖又はアミノもしくはカルボキシ末端残基と反応させることが可能である有機誘導体化剤と反応させることにより、分子中に導入することができる。
【0139】
抗体上に存在する任意の糖部分の除去は、化学的又は酵素的に達成することができる。化学的な脱グリコシル化は、Hakimuddin et al., 1987, Arch. Biochem. Biophys.259:52により、及びEdge et al., 1981, Anal. Biochem., 118:131により記載されている。抗体上の糖部分の酵素的切断は、Thotakura et al., 1987, Meth. Enzymol 138:350により記載されているように、多様なエンドグリコシダーゼ及びエキソグリコシダーゼの使用により達成することができる。
【0140】
有用な共有結合的な修飾の別の型は、米国特許第4,640,835号、米国特許第4,496,689号、米国特許第4,301,144号、米国特許第4,670,417号、米国特許第4,791,192号、及び米国特許第4,179,337号の1つ又は複数において示されている様式において、抗体を、多様な非タンパク質性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリオキシアルキレンの1つに連結することを含む。
【0141】
エピトープ結合
【0142】
別の態様では、本発明は、特異的な「PD-1抗原エピトープ」及び「PD-1エピトープ」を認識する抗体又はその抗原結合フラグメントに関する。
【0143】
本明細書中で使用するように、用語「PD-1抗原エピトープ」及び「PD-1エピトープ」は、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントに結合することが可能な分子(例、ペプチド)又は分子のフラグメントを指す。これらの用語は、例えば、本発明の抗体又は抗体フラグメントのいずれかにより認識されるPD-1抗原決定基をさらに含む。
【0144】
PD-1抗原エピトープは、タンパク質、タンパク質フラグメント、ペプチドなどにおいて含まれることができる。エピトープは、最も一般的には、タンパク質、短いオリゴペプチド、オリゴペプチド模倣体(即ち、PD-1抗原の抗体結合特性を模倣する有機化合物)、又はそれらの組み合わせである。
【0145】
一態様では、本発明の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、抗体媒介性アゴニズムをもたらす生理学的リガンドの結合を模倣する様式においてPD-1エピトープに特異的に結合する。
【0146】
本発明はまた、PD-1への結合について、本発明による抗PD-1抗体と競合する抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態では、本発明は、PD-1への結合について、本明細書中に記載する抗体A、抗体B、抗体C、抗体D、又は抗体Eのいずれか1つと競合する抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。競合アッセイは、例えば、バイオセンサーを使用したPLoS One.2014;9(3): e92451、もしくはPLoS One2020 Mar 5;15(3):e0229206において記載されるように、又は本明細書中で開示する方法により行ってもよい。
【0147】
治療的な使用
【0148】
一実施形態では、本発明の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、PD-1経路障害を処置又は予防するために有用である。
【0149】
別の実施形態では、本発明の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、医薬品として有用である。
【0150】
したがって、一実施形態では、本発明は、ヒト患者においてPD-1経路を活性化するのに十分な量の本発明による抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを含む組成物をヒト患者に投与することを含む、ヒト患者においてPD-1とPD-L1の間での相互作用を調節する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、ヒト患者においてPD-1とPD-L1の間での相互作用を調節する際での使用のための、本発明による抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態では、本発明は、ヒト患者においてPD-1とPD-L1の間での相互作用を調節するための医薬品の製造における、本発明による抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの使用を提供する。
【0151】
一実施形態では、本発明は、ヒト患者において免疫応答を下方調節するのに十分な量の本発明による抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを含む組成物をヒト患者に投与することを含む、ヒト患者においてPD-1発現T細胞活性を減弱させる方法を提供する。一実施形態では、本発明は、ヒト患者においてPD-1発現T細胞活性を減弱する際での使用のための、本発明による抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態では、本発明は、ヒト患者においてPD-1発現T細胞活性を減弱するための医薬品の製造における、本発明による抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの使用を提供する。
【0152】
一実施形態では、PD-1経路の疾患又は障害は、全身性硬化症(SSc)、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、巨細胞性動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、又は炎症性腸疾患である。したがって、一実施形態では、本発明は、本発明による抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを含む組成物をヒト患者に投与することを含む、ヒト患者において全身性硬化症(SSc)、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、巨細胞性動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、又は炎症性腸疾患を処置又は予防する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、ヒト患者において全身性硬化症(SSc)、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、巨細胞性動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、又は炎症性腸疾患を処置又は予防する際での使用のための、本発明による抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態では、本発明は、ヒト患者において全身性硬化症(SSc)、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、巨細胞性動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、又は炎症性腸疾患を処置又は予防するための医薬品の製造における、本発明による抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの使用を提供する。
【0153】
一実施形態では、PD-1経路の疾患又は障害は慢性又は急性であり、例えば慢性炎症性疾患又は急性炎症性疾患などである。一実施形態では、PD-1経路の疾患又は障害は、関節炎、関節リウマチ、喘息、COPD、骨盤内炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペイロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、乾癬性関節炎、血管炎、外科的癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、髄膜脳炎、自己免疫性ぶどう膜炎、多発性硬化症、狼瘡(例えば全身性エリテマトーデスなど)、ギラン・バー症候群、アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維化性肺胞炎、バセドウ病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、他の自己免疫疾患、膵炎、外傷(手術)、移植片対宿主病、移植拒絶反応、心臓疾患(虚血性疾患、例えば心筋梗塞ならびにアテローム性動脈硬化などを含む)、血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、変形性関節症、歯周炎及び低酸症、胎児母体耐性の欠如に関連する不妊症、シェーグレン症候群、白斑、重症筋無力症、又は全身性硬化症である。
【0154】
したがって、一実施形態では、本発明は、本発明による抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを含む組成物をヒト患者に投与することを含む、ヒト患者において上の疾患又は障害の1つを処置又は予防する方法を提供する。一実施形態では、本発明は、ヒト患者において上の疾患又は障害の1つを処置又は予防する際での使用のための、本発明による抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態では、本発明は、ヒト患者において上の疾患又は障害の1つを処置又は予防するための医薬品の製造における、本発明による抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの使用を提供する。
【0155】
一態様では、上に記載する使用のための、又は使用における、あるいは上に記載する方法におけるPD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、アゴニスト抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントである。
【0156】
非治療的な使用
【0157】
本明細書中に記載する抗体は、親和性精製剤として有用である。この過程では、抗体を、当技術分野において周知の方法を使用して、固相、例えばプロテインA樹脂などに固定化する。固定化された抗体は、精製されるPD-1タンパク質(又はそのフラグメント)を含むサンプルと接触させられ、その後、支持体を、固定化された抗体に結合しているPD-1タンパク質を除く、サンプル中の実質的に全ての物質を除去する適切な溶媒で洗浄する。最後に、支持体を、抗体からPD-1タンパク質を放出する別の適切な溶媒で洗浄する。
【0158】
本明細書中に開示する本発明の抗PD-1抗体及びそのフラグメントはまた、PD-1タンパク質を検出及び/又は定量化するための診断アッセイにおいて、例えば、特定の細胞、組織、組織、又は血清中のPD-1発現を検出する際に有用である。
【0159】
一部の実施形態では、例えば、診断目的のために、抗体を検出可能な検出可能な部分で標識することが有利である。多数の検出可能な標識が利用可能であり、放射性同位体、蛍光標識、酵素基質標識、量子ドットなどを含む。標識は、種々の公知の技術を使用して抗体と間接的にコンジュゲートしてもよい。例えば、抗体をビオチンとコンジュゲートすることができ、上で言及する標識の3つの広いカテゴリーのいずれかをアビジンとコンジュゲートすることができ、又はその逆もできる。ビオチンはアビジンに選択的に結合し、このように、標識を、この間接的な様式において抗体とコンジュゲートすることができる。あるいは、標識と抗体との間接的なコンジュゲーションを達成するために、抗体を小さなハプテン(例えばジゴキシンなど)とコンジュゲートすることができ、上で言及する異なるタイプの標識の1つを、抗ハプテン抗体(例、抗ジゴキシン抗体)とコンジュゲートする‘。このように、標識と抗体との間接的なコンジュゲーションを達成することができる。
【0160】
例示的な放射性同位体標識は、35S、14C、125I、H、及び131Iを含む。抗体は、例えば、Current Protocols in Immunology, Volumes 1and2, 1991, Coligen etal., Ed. Wiley-Interscience, New York, N.Y., Pubsにおいて記載される技術を使用して放射性同位体で標識することができる。放射活性は、例えば、シンチレーション計数により測定することができる。
【0161】
例示的な蛍光標識は、希土類キレート(ユーロピウムキレート)から由来する標識を含み、又はフルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、リサミン、フィコエリトリン、及びテキサスレッドが利用可能であり、例えば、以下の蛍光標識のいずれかである:ジアルキルアミノクマリン、ローダミンイソチオシアネート、Alexa350、Alexa 430、Alexa Fluor 488、Alexa Fluor 532、Alexa Fluor 546、Alexa Fluor 568、Alexa Fluor 594、Alexa Fluor 633、Alexa Fluor 660、Alexa Fluor 680、AMCA、アミノアクリジン、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665、BODIPY-FL、BODIPY-R6G、BODIPY-TMR、BODIPY-TRX、BODIPY FL、BODIPY R6G、BODIPY TMR、BODIPY TR、BODIPY 530/550、BODIPY 558/568、BODIPY 564/570、BODIPY 576/589、BODIPY 581/591、BODIPY 630/650、BODIPY 650/665)、カルボキシローダミン6G、カルボキシ-X-ローダミン(ROX)、カスケードブルー、カスケードイエロー、クマリン343、シアニン色素(Cy3、Cy5、Cy3.5、Cy5.5)、ダンシル、ダポキシル、ジアルキルアミノクマリン、.DM-NERF、エオシン、エリスロシン、フルオレセイン、FA、ヒドロキシクマリン、IRDyes(IRD40、IRD700、IRD 800)、JOE、リサミンローダミンB、マリーナブルー、メトキシ クマリン、ナフトフルオレセイン、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、PyMPO、5-カルボキシ-4’,5,-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセイン、5-カルボキシ-2’,4’,5,,7’-テトラクロロフルオレセイン、5-カルボキシフルオレセイン、5-カルボキシローダミン、6-カルボキシローダミン、6-カルボキシテトラメチルアミノ、カスケードブルー、Cy2、Cy3、Cy5,6-FAM、塩化ダンシル、フルオレセイン、HEX、6-JOE、NBD(7-ニトロベンズ-2-オキサ-1,3-ジアゾール)、オレゴングリーン488、オレゴングリーン500、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、クレシルファストバイオレット、クレシルブルーバイオレット、ブリリアントクレシルブルー、パラアミノ安息香酸、エリスロシン、フタロシアニン、アゾメチン、シアニン、キサンチン、スクシニルフルオレセイン、希土類金属クリプテート、ユーロピウムトリスビピリジンジアミン、ユーロピウムクリプテート又はキレート、ジアミン、ジシアニン、ラジョラブルー色素、アウオピコシアニン、アロコシアニンB、フィコシアニンC、フィコシアニンR、チアミン、フィコエリスロシアニン、フィコエリトリンR、REG、ローダミングリーン、ローダミンイソチオシアネート、ローダミンレッド、TAMRA、TET、TRIT(テトラメチルローダミンイソチオール)、テトラメチルローダミン、又はテキサスレッド。蛍光標識は、公知の技術、例えば、Current Protocols in Immunology(上記)において開示されている技術などを介して抗体にコンジュゲートさせることができる。蛍光を、蛍光光度計を使用して定量化することができる。
【0162】
当技術分野において公知である、十分に特徴付けられた種々の酵素基質標識がある(総説については、例えば、米国特許第4,275,149号を参照のこと)。酵素は、一般的に、種々の技術を使用して測定することができる発色基質の化学的変化を触媒する。例えば、変化は、分光光度的に測定することができる基質における色の変化でありうる。あるいは、酵素は、基質の蛍光又は化学発光を変化させうる。蛍光における変化を定量化するための技術が、上に記載されている。化学発光基質は、化学反応により電子的に励起され、次に、例えば、ケミルミノメーターを使用して測定することができる光を発しうる、又は蛍光アクセプターにエネルギーを供与する。
【0163】
酵素標識の例は、ホタルルシフェラーゼ及び細菌ルシフェラーゼ(米国特許第4,737,456号)などのルシフェラーゼ、ルシフェリン、2,3-ジヒドロフタラジンジオン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ、ウレアーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)などのペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、グルコアミラーゼ、リゾチーム、糖オキシダーゼ(グルコースオキシダーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼなど)、ヘテロサイディックオキシダーゼ(ウリカーゼ、キサンチンオキシダーゼなど)、ラクトペルオキシダーゼ、ミクロペルオキシダーゼなど。酵素を抗体にコンジュゲートするための技術は、例えば、O’Sullivan et al., 1981, Methods for the Preparation of Enzyme-Antibody Conjugates for use in Enzyme Immunoassay, in Methods in Enzym.(J. Langone & H. Van Vunakis, eds.), Academic press, N.Y.,73: 147-166において記載されている。
【0164】
酵素-基質の組み合わせの例としては、例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRPO)と基質としての水素ペルオキシダーゼ(水素ペルオキシダーゼは、オルトフェニレンジアミン(OPD)又は3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン塩酸塩(TMB)などの色素前駆体を酸化する); アルカリホスファターゼ(AP)と発色基質としてパラニトロフェニルリン酸;β-D-ガラクトシダーゼ(β-D-Gal)とp-ニトロフェニル-β-D-ガラクトシダーゼなどの発色基質又は蛍光発生基質4-メチルウンベリフェリル-β-D-ガラクトシダーゼが含まれる。
【0165】
多数の他の酵素-基質の組み合わせが、当業者に利用可能である。これらの一般的な概説については、米国特許第4,275,149号及び米国特許第4,318,980号を参照のこと。
【0166】
別の実施形態では、本発明の抗PD-1抗体又は抗体フラグメントを非標識で使用し、抗PD-1抗体又はそのフラグメントに結合する標識抗体で検出する。例えば、標識抗ヒトFc抗体、又は抗ヒトFab抗体を使用し、非標識抗PD-1抗体又はフラグメントを検出してもよい。本発明による非標識抗PD-1抗体又はそのフラグメントの使用は、より良好な組織浸透を達成するために有利でありうる。なぜなら、蛍光標識は、それが融合される抗体又は抗体フラグメントの分子量を増加させ、及び/又は疎水性を増加させて、それにより、組織浸透を低下させるためである。
【0167】
本明細書中に記載する抗体は、任意の公知のアッセイ方法、例えば競合結合アッセイ、直接及び間接サンドイッチアッセイ、ならびに免疫沈降アッセイなどにおいて用いてもよい。例えば、Zola, Monoclonal Antibodies: A Manual of Techniques, pp. 147-158(CRC Press, Inc. 1987). Diagnostic Kitsを参照のこと。
【0168】
本発明のヒト化抗PD-1抗体は、診断キット、即ち、診断アッセイを実施するための説明書を伴う、所定量の試薬のパッケージ化された組み合わせにおいて使用することができる。抗体が酵素で標識されている場合、キットは、酵素により要求される基質及び補因子、例えば検出可能な発色団又はフルオロフォアを提供する基質前駆体などを含みうる。また、他の添加剤を含めてもよく、例えば安定剤、緩衝剤(例えば、ブロック緩衝剤又は溶解緩衝剤)などである。種々の試薬の相対量は広く変動し、アッセイの感度を実質的に最適化する試薬の溶液中の濃度を提供しうる。試薬は、溶解時に適した濃度を有する試薬溶液を提供する賦形剤を含む、通常は凍結乾燥された乾燥粉末として提供されてもよい。
【0169】
診断キット
【0170】
抗PD-1抗体又はそのフラグメントは、診断キット、即ち、診断アッセイを実施するための説明書を伴う、所定量の試薬のパッケージ化された組み合わせにおいて使用することができる。抗体が酵素で標識されている場合、キットは、酵素により要求される基質及び補因子、例えば検出可能な発色団又はフルオロフォアを提供する基質前駆体などを含みうる。また、他の添加剤を含めてもよく、例えば安定剤、緩衝剤(例えば、ブロック緩衝剤又は溶解緩衝剤)などである。種々の試薬の相対量は広く変動し、アッセイの感度を実質的に最適化する試薬の溶液中の濃度を提供しうる。試薬は、溶解時に適した濃度を有する試薬溶液を提供する賦形剤を含む、通常は凍結乾燥された乾燥粉末として提供されてもよい。
【0171】
組成物及びその投与
【0172】
本発明による抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを含む組成物は、本明細書中に記載するPD-1経路の疾患又は障害を有する、あるいはそのリスクがある対象に投与することができる。本発明はさらに、PD-1経路疾患又は障害の予防又は処置のための医薬品の製造における抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの使用を提供する。本明細書中で使用する用語「対象」は、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを投与することができる任意の哺乳動物患者を意味し、例えば、ヒト及び特定の非ヒト哺乳動物、例えば霊長類など、及びイヌなどを含む。本明細書中に記載する方法を用いた処置について特に意図される対象は、ヒトを含む。本発明の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、単独で、又は他の組成物との組み合わせにおいて投与することができる。
【0173】
一態様では、本発明はまた、本発明の抗体又はその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物を提供する。
【0174】
種々の送達系が公知であり、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを投与するために使用することができる。導入の方法は、硝子体内、点眼、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、及び経口の経路を含むが、これらに限定しない。抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、例えば注入、ボーラス、又は注射により投与することができ、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与することができる。投与は全身的又は局所的であることができる。そのような注射用の製剤は、例えば、プレフィルドシリンジ中で調製してもよい。
【0175】
抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、治療有効量の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント及び1つ又は複数の医薬的に適合する成分を含む医薬組成物として投与することができる。
【0176】
典型的な実施形態では、医薬組成物は、ヒトへの静脈内又は皮下投与のために適合された医薬組成物として、ルーチン的な手順に従って製剤化される。典型的には、注射による投与のための組成物は、滅菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要な場合、医薬品はまた、可溶化剤及び、注射の部位での疼痛を和らげるための局所麻酔薬、例えばリグノカインなどを含むことができる。一般的に、成分は、例えば、活性薬剤の量を示す密閉容器、例えばアンプル又は小袋などの中の乾燥凍結乾燥粉末又は水を含まない濃縮物として別々に供給される、又は、単位投与形態で一緒に混合される。医薬品が注入により投与される場合、それは、滅菌医薬品グレードの水又は生理食塩水を含む注入ボトルを用いて調合することができる。医薬品が注射により投与される場合、注射用滅菌水又は生理食塩水のアンプルを、成分を投与前に混合できるように提供することができる。
【0177】
さらに、医薬組成物は、(a)凍結乾燥形態の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを含む容器、及び(b)注射用の医薬的に許容可能な希釈剤(例、滅菌水)を含む医薬的キットとして提供することができる。医薬的に許容可能な希釈剤は、凍結乾燥抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの再構成又は希釈のために使用することができる。場合により、そのような容器に関連するのは、医薬品又は生物学的製品の製造、使用、又は販売を規制する政府機関により規定された形式の通知でありうるが、この通知は、ヒトへの投与のための製造、使用、又は販売の機関による承認を反映する。
【0178】
PD-1経路の疾患又は障害の処置又は予防において有効な抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの量は、標準的な臨床技術により決定することができる。また、インビトロアッセイを、場合により、最適な投与量範囲の特定を助けるために用いてもよい。製剤化において用いられる正確な用量はまた、投与の経路、及び障害の段階に依存し、医師の判断及び各々の患者の状況に従って決定されるべきである。有効用量は、インビトロ又は動物モデルテスト系から由来する用量反応曲線から外挿してもよい。
【0179】
例えば、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの毒性及び治療有効性は、細胞培養又は実験動物において、ED50(集団の50%において治療的に有効な用量)を決定するための標準的な医薬的手順により決定することができる。大きな治療指数を示す抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントが好ましい。
【0180】
細胞培養アッセイ及び動物試験から得られたデータは、ヒトにおける使用のための投与量の範囲を製剤化する際に使用することができる。抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの投与量は、典型的には、毒性がほとんど又は全くないED50を含む循環濃度の範囲内にある。投薬量は、用いられる投薬形態及び利用される投与の経路に依存して、この範囲内で変動しうる。本方法において使用される任意の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントについて、治療有効用量は、最初に細胞培養アッセイから推定することができる。用量は、細胞培養において決定されるIC50(即ち、症状の最大阻害の半分を達成するテスト化合物の濃度)を含む循環血漿濃度範囲を達成するように、動物モデルにおいて製剤化することができる。そのような情報は、ヒトにおける有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。血漿中のレベルは、例えば、高速液体クロマトグラフィー、ELISAなどにより測定することができる。
【0181】
一実施形態では、抗PD-1抗体は定期的な間隔で投与される。
【0182】
一部の実施形態では、本発明の抗体は、例えば、1mg/mlから250mg/ml、例えば、20mg/mlから200mg/mlを含む用量に製剤化することができる。
【0183】
一部の実施形態では、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物は、結合剤にコンジュゲートされた又はコンジュゲートされていない治療用薬剤をさらに含むことができる。
【0184】
そのような併用治療の投与は、疾患パラメータ(例、症状の重症度、症状の数、又は再発の頻度)に対して相加的又は相乗的な効果を有することができる。
【0185】
コンビナトリアル投与のための治療レジメンに関して、特定の実施形態では、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントは、治療用薬剤と同時に投与される。別の特定の実施形態では、治療用薬剤は、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの投与の前に又はそれに続いて投与される。
【0186】
ポリヌクレオチド、ベクター、宿主細胞、及び組換え方法
【0187】
本発明は、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントをコードする配列を含む単離ポリヌクレオチド、ベクター、及びポリヌクレオチドを含む宿主細胞、ならびに抗体の産生のための組換え技術に関する。単離ポリヌクレオチドは、抗PD-1抗体の任意の所望の形態(例えば、全長モノクローナル抗体、Fab、Fab’、F(ab’)、及びFvフラグメント、ダイアボディ、線状抗体、単鎖抗体分子、及び抗体フラグメントから形成される多重特異性抗体を含む)をコードすることができる。
【0188】
抗PD-1抗体又はそのフラグメントもしくは鎖をコードする配列を含むポリヌクレオチドは、当技術分野において公知であるように、1つ又は複数の調節配列又は制御配列に融合することができ、当技術分野において公知である適切な発現ベクター又は宿主細胞中に含めることができる。重鎖又は軽鎖可変ドメインをコードするポリヌクレオチド分子の各々を、定常ドメイン、例えばヒト定常ドメインなどをコードするポリヌクレオチド配列に非依存的に融合することができ、インタクトな抗体の産生を可能にする。あるいは、ポリヌクレオチド、又はその一部を一緒に融合し、単鎖抗体の産生のための鋳型を提供することができる。
【0189】
組換え産生のために、抗体をコードするポリヌクレオチドを、クローニング(DNAの増幅)のために又は発現のために複製可能なベクター中に挿入する。組換え抗体を発現するための多くの適切なベクターが利用可能である。ベクター成分は、一般的に、以下の1つ又は複数を含むが、これらに限定しない:シグナル配列、複製起点、1つ又は複数のマーカー遺伝子、エンハンサーエレメント、プロモーター、及び転写終結配列。
【0190】
抗PD-1抗体はまた、抗体が、成熟タンパク質又はポリペプチドのアミノ末端に特異的な切断部位を有する異種ポリペプチド、例えばシグナル配列又は他のポリペプチドなどと融合している融合ポリペプチドとして産生することもできる。選択される異種シグナル配列は、典型的には、宿主細胞により認識され、処理される(即ち、シグナルペプチダーゼにより切断される)ものである。抗PD-1抗体シグナル配列を認識及び処理しない原核宿主細胞については、シグナル配列を原核シグナル配列により置換することができる。シグナル配列は、例えば、アルカリホスファターゼ、ペニシリナーゼ、リポタンパク質、耐熱性エンテロトキシンIIリーダーなどでありうる。酵母分泌のために、天然シグナル配列は、例えば、酵母インベルターゼアルファ因子(サッカロミセス及びクルイベロミセスα因子リーダーを含む)、酸性ホスファターゼ、C.アルビカンスグルコアミラーゼ、又はWO90/13646において記載されているシグナルで置換することができる。哺乳動物細胞においては、哺乳動物シグナル配列ならびにウイルス分泌リーダー、例えば、単純ヘルペスgDシグナルを使用することができる。そのような前駆体領域のためのDNAは、ヒト化抗PD-1抗体をコードするDNAにリーディングフレームで連結される。
【0191】
発現及びクローニングベクターは、ベクターが1つ又は複数の選択された宿主細胞中で複製することを可能にする核酸配列を含む。一般的に、クローニングベクター中では、この配列は、ベクターが宿主染色体DNAに非依存的に複製することを可能にするものであり、複製起点又は自律的に複製する配列を含む。そのような配列は、多様な細菌、酵母、及びウイルスで周知である。プラスミドpBR322からの複製起点は、大半のグラム陰性細菌について適切であり、2-νプラスミド起点は酵母について適切であり、種々のウイルス起点(SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、VSV、及びBPV)が、哺乳動物細胞においてベクターをクローニングするために有用である。一般的に、複製起点成分は、哺乳動物の発現ベクターについて必要とされない(SV40起点は、典型的には、それが初期プロモーターを含むだけのために使用されうる)。
【0192】
発現及びクローニングベクターは、発現の同定を促進する選択マーカーをコードする遺伝子を含みうる。典型的な選択マーカー遺伝子は、抗生物質又は他の毒素、例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート、又はテトラサイクリンに対する耐性を付与するタンパク質をコードする、あるいは、補体栄養要求性欠損である、又は他の代替物では、複合培地中には存在しない特定の栄養素を供給し、例えば、桿菌でのD-アラニンラセマーゼをコードする遺伝子である。
【0193】
選択スキームの1つの例では、宿主細胞の増殖を停止させるために薬物を利用する。異種遺伝子を用いて成功裏に形質転換されたそれらの細胞は、薬剤耐性を付与するタンパク質を産生し、このように、選択レジメンで生存する。そのような優性選択の例では、薬物、ネオマイシン、ミコフェノール酸、及びハイグロマイシンを使用する。哺乳動物細胞のための一般的な選択マーカーは、ヒト化抗PD-1抗体をコードする核酸を取り込む能力のある細胞の同定を可能にするものであり、例えばDHFR(ジヒドロ葉酸レダクターゼ)、チミジンキナーゼ、メタロチオネイン-I及び-II(例えば霊長類のメタロチオネイン遺伝子など)、アデノシンデアミナーゼ、オルニチンデカルボキシラーゼなどである。DHFR選択遺伝子で形質転換された細胞は、DHFRの競合的アンタゴニストであるメトトレキセート(Mtx)を含む培地ですべての形質転換体を培養することにより最初に識別される。野生型 DHFRを使用する場合の適切な宿主細胞は、DHFR活性を欠くチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞株(例えば、DG44)である。
【0194】
あるいは、抗PD-1抗体、野生型DHFRタンパク質、及び別の選択マーカー、例えばアミノグリコシド3’-ホスホトランスフェラーゼ(APH)などをコードするDNA配列で形質転換又は同時形質転換された宿主細胞(特に、内因性DHFRを含む野生型宿主)は、選択マーカーのための選択薬剤、例えばアミノグリコシド系抗生物質、例えば、カナマイシン、ネオマイシン、又はG418 などを含む培地中での細胞増殖により選択することができる。例えば、米国特許第4,965,199号を参照のこと。
【0195】
組換え産生を、宿主細胞として酵母細胞中で実施する場合、酵母プラスミドYRp7中に存在するTRP1遺伝子(Stinchcomb et al., 1979, Nature 282:39)を選択マーカーとして使用することができる。TRP1遺伝子は、トリプトファン中で増殖する能力を欠く酵母の変異株、例えば、ATCC No.44076又はPEP4-1(Jones, 1977, Genetics 85:12)についての選択マーカーを提供する。酵母宿主細胞ゲノム中でのtrp1損傷の存在は次に、トリプトファンの非存在における増殖による形質転換を検出するための効果的な環境を提供する。同様に、Leu2p欠損酵母株、例えばATCC20,622及び38,626などは、LEU2遺伝子を持つ公知のプラスミドにより補完される。
【0196】
また、1.6μm環状プラスミドpKD1から由来するベクターを、クルイベロミセス酵母の形質転換のために使用することができる。あるいは、組換えウシキモシンの大規模産生のための発現系が、Kラクチスについて報告された(Van den Berg, 1990, Bio/Technology 8:135)。クルイベロミセスの工業株による成熟組換えヒト血清アルブミンの分泌のための安定なマルチコピー発現ベクターも開示されている(Fleer et al., 1991, Bio/Technology 9:968-975)。
【0197】
発現及びクローニングベクターは、通常、宿主生物により認識され、抗PD-1抗体又はそのポリペプチド鎖をコードする核酸分子に作動可能に連結されるプロモーターを含む。原核宿主との使用のために適切なプロモーターは、phoAプロモーター、β-ラクタマーゼ及びラクトースプロモーター系、アルカリホスファターゼ、トリプトファン(trp)プロモーター系、及びハイブリッドプロモーター、例えばtacプロモーターなどを含む。他の公知の細菌プロモーターも適切である。細菌系における使用のためのプロモーターはまた、ヒト化抗PD-1抗体をコードする DNAに作動可能に連結されたShine-Dalgamo(S.D.)配列を含む。
【0198】
多くの真核プロモーター配列が公知である。実質的に全ての真核生物の遺伝子が、転写が開始される部位から約25~30塩基上流に位置するATリッチ領域を有する。多くの遺伝子の転写の開始から70~80塩基上流に見出される別の配列は、Nが任意のヌクレオチドであるCNCAAT領域である。大半の真核遺伝子の3’末端に、コード配列の3’末端へのポリAテールの付加のためのシグナルでありうるAATAAA配列がある。これらの配列の全てが、真核発現ベクター中に適切に挿入される。
【0199】
酵母宿主との使用のための適切な促進配列の例は、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ又は他の解糖系酵素、例えばエノラーゼ、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸デカルボキシラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、及びグルコキナーゼのためのプロモーターを含む。
【0200】
誘導性プロモーターは、増殖条件により制御される転写の追加の利点を有する。これらは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソシトクロム C、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関連付けられる誘導体酵素、メタロチオネイン、グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ、ならびにマルトース及びガラクトースの利用に関与する酵素のための酵母プロモーター領域を含む。酵母発現における使用のための適切なベクター及びプロモーターが、EP73,657又はBaghban et al. Molecular Biotechnology(2019) 61:365-384においてさらに記載されている。酵母エンハンサーがまた、酵母プロモーターと有利に使用される。
【0201】
哺乳動物宿主細胞におけるベクターからの抗PD-1抗体の転写は、例えば、ウイルス、例えばポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(例えばアデノウイルス2など)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、及びシミアンウイルス40(SV40)のゲノムから、異種哺乳動物プロモーター、例えば、アクチンプロモーター又は免疫グロブリンプロモーターから、あるいは熱ショックプロモーターから得られるプロモーターにより制御され、そのようなプロモーターが宿主細胞系と適合することを条件とする。
【0202】
SV40ウイルスの初期及び後期プロモーターが、SV40ウイルスの複製起点も含むSV40制限フラグメントとして便利に得られる。ヒトサイトメガロウイルスの最初期プロモーターは、HindIII E制限フラグメントとして便利に得られる。ベクターとしてウシパピローマウイルスを使用して哺乳動物宿主中でDNAを発現させるためのシステムが、米国特許第4,419,446号において開示されている。このシステムの改変が、米国特許第4,601,978号において記載されている。また、Reyes et al., 1982, Nature297:598-601を参照のこと(単純ヘルペスウイルスからのチミジンキナーゼプロモーターの制御下でのマウス細胞におけるヒトp-インターフェロンcDNAの発現が開示されている)。あるいは、ラウス肉腫ウイルスの長い末端反復をプロモーターとして使用することができる。
【0203】
組換え発現ベクターにおいて使用することができる別の有用なエレメントは、エンハンサー配列であり、それは、高等真核生物による抗PD-1抗体をコードするDNAの転写を増加させるために使用される。多くのエンハンサー配列が、現在、哺乳動物の遺伝子から公知である(例、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテイン、及びインスリン)。典型的には、しかし、真核細胞ウイルスからのエンハンサーが使用される。例は、複製開始点の後期側(bp 100-270)のSV40エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製開始点の後期側のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーを含む。また、真核生物プロモーターの活性化のための増強エレメントの説明については、Yaniv, 1982, Nature297:17-18を参照のこと。エンハンサーは、抗PD-1抗体をコードする配列に対して5’又は3’の位置でベクター中にスプライシングされうるが、しかし、好ましくは、プロモーターから5’の部位に位置する。
【0204】
真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物からの有核細胞)において使用される発現ベクターはまた、転写の終結のために及びmRNAを安定化するために必要な配列を含むことができる。そのような配列は一般に、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの5’及び、時折、3’の非翻訳領域から入手可能である。これらの領域は、抗PD-1抗体をコードするmRNAの非翻訳部分中のポリアデニル化フラグメントとして転写されるヌクレオチドセグメントを含む。1つの有用な転写終結成分は、ウシ成長ホルモンのポリアデニル化領域である。WO94/11026及びそれにおいて開示されている発現ベクターを参照のこと。一部の実施形態では、抗ANGPT2抗体は、CHEF系を使用して発現させることができる。(例えば、米国特許第5,888,809号を参照のこと;その開示は、参照により本明細書中に組み入れられる。)
【0205】
本明細書中のベクターにおいてDNAをクローニング又は発現するために適切な宿主細胞は、上に記載する原核細胞、酵母細胞、又は高等真核細胞である。この目的のための適切な原核生物は、真正細菌、例えばグラム陰性菌又はグラム陽性菌など、例えば、腸内細菌、例えばエシェリヒアなど、例、大腸菌、エンテロバクター、エルウィニア、クレブシエラ、プロテウス、サルモネラ、例、サルモネラ・チフィリウム、セラチア、例、セラチア・マルセスカンス(Serratia marcescans)、及び赤痢菌、ならびにバチルス、例えばB.ズブチリス及びB.リケニフォルミス(1989年4月12日に公開されたDD266,710において開示されているB.リケニフォルミス41P)、シュードモナス、例えば緑膿菌など、及びストレプトマイセスなどを含む。1つの好ましい大腸菌クローニング宿主は大腸菌294(ATCC31,446)であるが、他の株、例えば大腸菌B、大腸菌X1776(ATCC31,537)、及び大腸菌W3110(ATCC27,325)などが適切である。これらの例は、限定的よりむしろ、例証的である。
【0206】
原核生物に加えて、真核微生物、例えば糸状菌又は酵母などは、抗PD-1抗体をコードするベクターのための適切なクローニング又は発現宿主である。サッカロマイセス・セレビシエ、又は一般的なパン酵母が、下等真核宿主微生物の中で最も一般的に使用されている。しかし、多くの他の属、種、及び株が一般に入手可能であり、本明細書中で有用である(例えばシゾサッカロミセス・ポンベなど;クルイベロミセス宿主、例えば、K.ラクチス、K.フラギリス(ATCC 12,424)、K.ブルガリクス(ATCC 16,045)、K.ウィッケラミ(ATCC24,178)、K.ウォルティ(ATCC 56,500)、K.ドロソフィララム(ATCC36,906)、K.サーモトレランス、及びK. マルシアヌス;ヤロウイア(EP 402,226);ピキア・パストス(Pichia pastors)(EP 183,070);カンジダ;トリコデルマ・リーシア(EP244,234);ニューロスポラ・クラッサ;シュワニオマイセス、例えばシュワンニオマイセス・オクシデンタリスなど;及び糸状菌、例えばニューロスポラ、ペニシリウム、トリポクラジウムなど、及びアスペルギルス宿主、例えばA.ニドゥランス及び A.ニガ-など)。
【0207】
グリコシル化抗PD-1抗体の発現のための適切な宿主細胞は、多細胞生物から由来する。無脊椎動物細胞の例は、植物細胞及び昆虫細胞を含み、例えば、多数のバキュロウイルス株及びバリアント、ならびに宿主、例えばスポドプテラ・フルギペルダ(毛虫)、ネッタイシマカ(蚊)、ヒトスジシマカ(蚊)、キイロショウジョウバエ(ショウジョウバエ)、及びボンビクス・モリ(蚕)などからの対応する許容昆虫宿主細胞を含む。トランスフェクション用の多様なウイルス株が公的に入手可能であり、例えば、オートグラファ・カリフォルニアNPVのL-1バリアント及びボンビクス・モリNPVのBm-5 株があり、そのようなウイルスは、特にスポドプテラ・フルギペルダ細胞のトランスフェクションのために使用してもよい。
【0208】
ワタ、トウモロコシ、ジャガイモ、ダイズ、ペチュニア、トマト、及びタバコの植物細胞培養物も宿主として利用することができる。
【0209】
抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントはまた、ウイルスベクター中に組み入れることができ、即ち、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドをウイルスベクター中に導入し、次に、ウイルスでの感染後に患者の身体において発現させる。
【0210】
別の態様では、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの発現は、脊椎動物細胞において行われる。培養(組織培養)中での脊椎動物細胞の増殖は、ルーチン的な手順になっており、技術は広く利用可能である。有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40(COS-7、ATCC CRL 1651)により形質転換されたサル腎臓 CV1株、ヒト胎児腎臓株(浮遊培養中での増殖のためにサブクローニングされた293又は293細胞、(Graham et al., 1977, J Gen Virol.36: 59)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR1(CHO、Urlaub et al., 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA77: 4216;例、DG44)、マウスセルトリ細胞(TM4、Mather, 1980, Biol. Reprod.23:243-251)、サル腎細胞(CV1ATCC CCL70)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587)、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL2)、イヌ腎細胞(MDCK、ATCC CCL34)、バッファローラット肝細胞(BRL3A、ATCC CRL 1442)、ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL75)、ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51)、TR1細胞(Mather et al., 1982, Annals N.Y. Acad. Sci.383: 44-68)、MRC 5細胞、FS4細胞、及びヒト肝細胞癌株(Hep G2)である。
【0211】
宿主細胞を、抗体産生のための上に記載する発現ベクターもしくはクローニングベクター又はその抗原結合フラグメントで形質転換し、プロモーターを誘導する、形質転換体を選択する、又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために適宜改変された従来の栄養培地中で培養する。
【0212】
本明細書中に記載する抗体又はその抗原結合フラグメントを産生するために使用される宿主細胞は、多様な培地中で培養してもよい。商業的に利用可能な培地、例えばHam’s F10(Sigma-Aldrich Co.、ミズーリ州セントルイス)、Minimal Essential Medium((MEM)、(Sigma-Aldrich Co.)、RPMI-1640(Sigma-Aldrich Co.)、及びダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、Sigma-Aldrich Co.)などが、宿主細胞を培養するために適切である。また、Ham et al., 1979, Meth. Enz. 58: 44, Barnes et al., 1980、Anal. Biochem. 102:255、米国特許第4,767,704号、米国特許第4,657,866号、米国特許第4,927,762号、米国特許第4,560,655号、米国特許第5,122,469号、WO 90/103430、及びWO 87/00195の1つ又は複数において記載されている任意の培地を、宿主細胞のための培養培地として使用してもよい。これらの培地のいずれも、必要に応じてホルモン及び/又は他の成長因子(例えばインスリン、トランスフェリン、又は上皮成長因子など)、塩類(例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びリン酸塩など)、緩衝剤(例えばHEPESなど)、ヌクレオチド(例えばアデノシン及びチミジンなど)、抗生物質(例えばゲンタマイシンなど)、微量元素(無機化合物として定義され、通常、マイクロモル範囲中の最終濃度で存在する)、及びグルコース又は等価のエネルギー源を添加してもよい。他の添加剤がまた、当業者に公知でありうる適した濃度で含まれてもよい。培養条件、例えば温度、pHなどは、発現のために選択された宿主細胞で以前に使用されたものであり、当業者には明らかであろう。
【0213】
組換え技術を使用する場合、抗体は、ペリプラズム間隙において細胞内で産生されうる、又は培地中に直接的に分泌されうる。抗体が細胞内で産生される場合、細胞を、最初の工程として破壊してタンパク質を放出させてもよい。粒子状細片(宿主細胞又は溶解フラグメントのいずれか)は、例えば、遠心分離又は限外ろ過により除去することができる。Carter et al., 1992, Bio/Technology 10:163-167は、大腸菌のペリプラズム間隙に分泌される抗体を単離するための手順を記載している。簡単には、細胞ペーストを酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフェニルメチルスルホニルフルオライド(PMSF)の存在において約30分にわたり解凍する。細胞細片は遠心分離により除去することができる。抗体が培地中に分泌される場合、そのような発現系からの上清は、一般的に、商業的に利用可能なタンパク質濃縮フィルター、例えば、Amicon又はMillipore Pellicon限外ろ過ユニットを使用して最初に濃縮される。プロテアーゼ阻害剤、例えばPMSFなどが、タンパク質分解を阻害するために前述の工程のいずれかに含まれてもよく、抗生物質が、外来性の混入物の増殖を防止するために含まれてもよい。多様な方法を、宿主細胞から抗体を単離するために使用することができる。
【0214】
細胞から調製された抗体組成物は、例えば、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、及び親和性クロマトグラフィーを使用して精製することができ、親和性クロマトグラフィーは典型的な精製技術である。親和性リガンドとしてのプロテインAの適合性は、抗体中に存在する免疫グロブリンFcドメインの種及びアイソタイプに依存する。プロテインAは、ヒトガンマ1、ガンマ2、又はガンマ4重鎖に基づく抗体を精製するために使用することができる(例、Lindmark et al., 1983 J. Immunol. Meth. 62:1-13を参照のこと)。プロテインGは、全てのマウスアイソタイプについて及びヒトガンマ3について推奨される(例、Guss et al., 1986 EMBO J. 5:1567-1575を参照のこと)。親和性リガンドが付着されるマトリックスは、最もしばしば、アガロースであるが、しかし、他のマトリックスが利用可能である。機械的に安定したマトリックス、例えば制御された細孔ガラス又はポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどは、アガロースで達成することができるよりも速い流速及び短い処理時間を可能にする。抗体がCH3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J. T. Baker、ニュージャージー州フィリップスバーグ)が精製のために有用である。タンパク質精製のための他の技術、例えばイオン交換カラムでの分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカでのクロマトグラフィー、ヘパリンSEPHAROSE(商標)でのクロマトグラフィー、陰イオン又は陽イオン交換樹脂(例えばポリアスパラギン酸カラムなど)でのクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、及び硫酸アンモニウム沈殿がまた、回収される抗体に依存して利用可能である。
【0215】
任意の予備精製工程後、目的の抗体及び混入物を含む混合物を、典型的には低塩濃度(例、約 0~0.25Mの塩)で実施される、溶出緩衝液を約2.5~4.5のpHで使用した低pH疎水性相互作用クロマトグラフィーに供してもよい。
【0216】
また、含まれるのは、本明細書中で定義するように、低、中程度、高ストリンジェンシー条件下で、特に高ストリンジェンシー条件下で、抗PD-1抗体又は抗体フラグメントをコードする単離ポリヌクレオチド配列により表されるヌクレオチド配列の全部又は一部(例、可変領域をコードする部分)にハイブリダイズする核酸である。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズする部分は、典型的には、少なくとも15(例、20、25、30、又は50)ヌクレオチドの長さである。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズする部分は、抗PD-1ポリペプチド(例、重鎖又は軽鎖可変領域)、又はその補体をコードする核酸の一部又は全部の配列と少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも98%同一である。本明細書中に記載する型のハイブリダイズする核酸は、例えば、クローニングプローブ、プライマー、例、PCRプライマー、又は診断プローブとして使用することができる。一態様では、「高ストリンジェンシー条件」は、少なくとも100ヌクレオチド長さのプローブについての、12~24時間にわたり標準的なサザンブロッティング手順に従った、5×SSPE、0.3% SDS、200マイクログラム/mlの剪断及び変性サケ精子DNA、ならびに50%ホルムアミド中での42℃でのプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションを意味する。キャリア材料を、最後に、65℃で0.2×SSC、0.2% SDSを使用して15分間にわたり3回ずつ洗浄する。
【0217】
一実施形態では、本発明は、配列番号108~123のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0218】
一実施形態では、本発明は、配列番号92~107のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0219】
一実施形態では、本発明は、配列番号131、配列番号133、配列番号135、配列番号137、又は配列番号139のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0220】
一実施形態では、本発明は、配列番号130、配列番号132、配列番号134、配列番号136、又は配列番号138のいずれか1つのヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0221】
一実施形態では、本発明は、配列番号125、配列番号127、又は配列番号129のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0222】
一実施形態では、本発明は、配列番号124、配列番号126、又は配列番号128のいずれか1つのヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0223】
一実施形態において、本発明は、配列番号143、配列番号147、配列番号149、配列番号153、又は配列番号155のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0224】
一実施形態では、本発明は、配列番号142、配列番号146、配列番号148、配列番号152、又は配列番号154のいずれか1つのヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0225】
一実施形態では、本発明は、配列番号141、配列番号145、又は配列番号151のいずれか1つのアミノ酸配列を含む軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0226】
一実施形態では、本発明は、配列番号140、配列番号144、又は配列番号150のいずれか1つのヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0227】
一実施形態では、本発明は、配列番号159、配列番号161、又は配列番号163のいずれか1つのアミノ酸配列を含む重鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0228】
一実施形態では、本発明は、配列番号158、配列番号160、又は配列番号162のいずれか1つのヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0229】
一実施形態では、本発明は、配列番号157のアミノ酸配列を含む軽鎖をコードするヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0230】
一実施形態では、本発明は、配列番号156のヌクレオチド配列を含む単離ポリヌクレオチドに関する。
【0231】
製造品
【0232】
別の態様では、上に記載する障害の処置のために有用な材料を含む製造品が含まれる。製造品は容器及びラベルを含む。適切な容器は、例えば、ボトル、バイアル、注射器、及び試験管を含む。容器は、多様な材料、例えばガラス又はプラスチックなどから形成されうる。容器は、状態を処置するために有効である組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有しうる。例えば、容器は、皮下注射針により貫通可能な栓を有する静脈内溶液バッグ又はバイアルでありうる。組成物中の活性薬剤は、抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントである。容器上の又はそれに関連するラベルは、組成物が、選択された状態を処置するために使用されることを示す。製造品は、医薬的に許容可能な緩衝液、例えばリン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液、及びデキストロース溶液などを含む第2の容器をさらに含んでもよい。それは、商業的な及び使用者の観点から望ましい他の材料(他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、注射器、及び使用説明書を伴う添付文書を含む)をさらに含みうる。
【0233】
本発明は、以下の実施例においてさらに記載されているが、それらは本発明の範囲を限定することを意図しない。
【0234】
実施例
【0235】
実施例1:抗体生成(免疫化)
MHC型A、C、D、E、H、G系統のマウスを、組換え単量体ヒトPD-1又はヒトPD-1-ヒトFc-Hisタンパク質で免疫化した。この組換えタンパク質についての遺伝子記号はPDCD1であり、GeneIDは5133である。血清学を次に、結合のためにヒトPD-1抗原を発現するCHOヒトPD-1細胞を使用したフローサイトメトリーにより評価した。選択された血清学的に陽性のマウスに、B細胞単離前に最終追加免疫を与えた。全ての選択されたマウスが、血清中で陽性の抗体価を示した。陽性の血清学で、脾細胞を、抗原特異的B細胞の回収のために回収した。全ての手順を、IACUC(Institutional Animal Careand Use Committee)により承認されたプロトコルに従って行った。
【0236】
実施例2:ヒト化抗PD-1抗体の産生
マウスリード抗体723C2を、723C2のマウス可変ドメイン及びヒト定常IgG1WT、IgG1KO、又はIgG4Proドメインからなるキメラ抗体に変換した。マウス抗体723C2軽鎖可変領域(Vκ)及び重鎖可変領域(VH)の配列を、本明細書中の上の表1及び2において示す。IgG4Proは、Fab アーム交換を防止する1つの置換変異(Ser228Pro)を有する。IgG1KOは、エフェクター機能(ADCC)を低下させるために、ヒンジ領域中に2つの変異、Leu234Ala及びLeu235Alaを有する。キメラ抗体を生成し、抗体の機能を確認し、正しい配列が得られていることを保証する。ヒトIgG1WT、IgG1KO、及びIgG4Proフォーマット中のキメラ723C2の配列を表8中に示す。ヒトIgG1WT及びIgG4Pro中のキメラ723C2は、H-CDR3における変異、DCからDYを含む。しかし、ヒトIgG1KO中のキメラ723C2は変異を有さない。この部位における変異を表8中で強調している。抗体の可変領域を次に、設計及びスクリーニング過程を通じてヒト化させる。ライブラリーを作成し、ここでヒト残基及びマウス残基を、任意の所与の位置においてヒト残基又はマウス残基のいずれかがありうるように変動させた。そのようなライブラリーを、ヒト生殖系列とマウス抗体の間で異なるアミノ酸について作成した。親マウス抗体の機能を保持しているクローンだけを選択した。抗体723C2についての代表的なヒト化可変領域を表5及び6中に示す。
この様式において、抗体A、抗体B、抗体C、抗体D、及び抗体Eは、マウス抗体723C2(ヒトIgG4Pro/カッパ骨格中にクローニングされた)から由来するヒト化抗体であった。抗体A、B、C、D、及びEを表7中に示す。
【0237】
実施例3:組換えPD-1タンパク質への抗体の結合
A)組換えヒトPD-1に結合するヒトIgG4Pro骨格におけるキメラ抗PD-1抗体の動態及び親和性を下に示す(表9)。動態及び結合親和性を、ProteOn XPR36(Biorad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使用し、単一カラム精製後の一過性トランスフェクションから生成された材料を使用して測定した。
【表9】

B)親和性を、マウス抗体723C2から由来するヒト化抗PD-1抗体について測定した。動態結合データが、ProteOn XPR36(Biorad、カリフォルニア州ハーキュリーズ)を使用して測定され、1:1結合モデルに包括的に適合され、組換えヒトPD-1との相互作用が 1nM~10nMの範囲中であることを実証した(表10)。抗体PD1AB-6-4P(Celgeneに対するWO2017/058859において開示されているIgG4Pro骨格中の抗体)もテストした。
【表10】

C)カニクイザルPD-1に結合する抗PD-1抗体の親和性及び動態データをProteOn XPR36で測定し、1:1結合モデルに包括的に適合させた(表11)。抗体、PD1AB-6-4Pもテストした。
【表11】

D)ヒトPD-1への分子選択性
細胞ベースのアッセイにおけるヒトPD-1タンパク質に対する抗PD-1抗体の選択性を、フローサイトメトリーにより評価した。ヒトPD-1タンパク質を発現しない親 Jurkat細胞又はヒトPD-1タンパク質を発現するJurkat細胞を、下に示す濃度のAlexaFluor 647で標識した抗PD-1抗体とインキュベートした。コントロールとして、親細胞及びPD-1発現 Jurkat細胞を、抗TNPアイソタイプコントロール抗体とインキュベートした。インキュベーション後、細胞を洗浄して非結合抗体を除去し、PFA中で固定し、次に染色緩衝液中で洗浄した。Jurkat細胞への抗体の結合を、フローサイトメトリーにより評価された。非染色細胞をまた、ネガティブコントロールとしてフローサイトメトリーにより評価した。抗PD-1抗体は、少なくとも1マイクロモルまでヒトPD-1に選択的に結合し、ヒトPD-1タンパク質を発現する Jurkat細胞への用量依存的な抗体結合及びPD-1発現を欠く親 Jurkat細胞へのAlexaFluor 647標識抗PD-1抗体の結合の欠如により示される通りである。抗体C(Ab C)を使用した代表的な実験の結果を図1中に示す。
【0238】
実施例4:ヒトPD-L1-FcへのヒトPD-1-Fc結合の競合結合アッセイ
ヒトPD-L1-Fcは、BioRad ProteOn XPR36機器でのGLMチップのチャンネル1~3に 60μg/mLの濃度で結合したアミンであった;3つのテスト抗体、抗体C、MK-3475(ペンブロリズマブ)、及びPD1AB-6-4Pは、30μg/mLでそれぞれチャネル 4、5、及び6上に結合したアミンであった。ヒトPD1-Fcをチップ表面上のチャネル1~ 6にわたり25nMの濃度で注入した。センサーグラムは、PD-L1とPD-1受容体の間での特異的結合を示す(図2A)。500nM 抗体C、MK-3475、及びPD1AB-6-4Pを25nM PD1-Fcと事前に混合し、チップ上の全てのチャネルにわたり分析物として注入し、個々の抗体がPD-1へのPD-L1の結合を阻害するか否かを評価した。抗体C及びPD1AB-6-4Pの両方が、センサーグラムにより実証されるように、PD-1抗原への結合についてPD-L1と非競合的である。MK-3475及びPD-L1は、競合アッセイにおいて観察された非結合センサーグラムに基づくPD-1との互いの潜在的な結合ブロッカーである(図2B)。
【0239】
実施例5.抗PD-1アゴニスト抗体の存在におけるPD-1へのPD-L1の増強した結合
PD-1/PD-L1相互作用を、H-CDR3中でのDCからDYへの変異を伴わないヒトIgG4Pro骨格中でのPD-1アゴニスト抗体723C2の存在において調べた。複数のアッセイを利用して、抗体723C2によってPD-L1のPD-1への結合が増強されることを実証した。生化学的ELISAベースのアッセイを利用して、プレート結合PD-L1へのPD-1の結合を評価した(BPS Bioscience)。白色96ウェルマイクロプレートを、PBS溶液中の2μg/mlでの50μlのPD-L1で、一晩4℃でコーティングした。上清を除去し、プレートを、製造元であるBPS Bioscienceにより提供された1×イムノ緩衝液(カタログ番号72005)で3回洗浄し、その後にブロッキング緩衝液を用いた室温(RT)で1時間にわたるブロッキングが続いた。抗体を、関連コントロールと共に加え、その後に室温で2時間にわたる0.5ng/ml(10ng)のPD-1ビオチンの添加が続いた。プレートをブロッキング緩衝液で10分間にわたり遮断した。ストレプトアビジンホースラディッシュペルオキシダーゼ二次抗体を、洗浄したプレートに1時間にわたり加えて、その後にPD-1アッセイ緩衝液での洗浄が続いた。プレートを10分間にわたり遮断した。化学発光基質混合物を読み取り直前にプレートに加えた。化学発光シグナルは、ルミノメーター(Envision)で、又は化学発光を読み取ることが可能なマイクロタイタープレートで読み取った。
PD-1とPD-L1との増強した相互作用が、抗体723C2の存在において観察されたが、アイソタイプコントロールで処理されたサンプルと比較し、増加した化学発光シグナルにより示される(図3A)。抗体723C2は、図3A中で723C2-4Pとして命名されている。これは、MK3475(公知の抗PD-1アンタゴニスト抗体)とは対照的であり、それは、PD-L1とPD-1との相互作用を遮断した。抗体PD1AB-6-4Pは、このアッセイにおいて PD-1-PD-L1の限定的な増強を実証した(図3A)。
細胞ベースのアッセイを利用して、抗体723C2の存在においてPD-1/PD-L1相互作用の増強を実証するELISAベースの結果を確認した。ここで、PD-1/PD-L1の相互作用を、DELFIA(解離増強ランタニド蛍光イムノアッセイ)受容体-リガンド結合アッセイ(Perkin Elmer)を用いて、PD-1を過剰発現するCHO細胞への可溶性PD-1の結合を測定することにより評価した。
10,000個の細胞を播種し、37℃+5% CO2インキュベーター(加湿インキュベーター)で一晩インキュベートした。ビオチン標識PD-L1EC 10(130nM)及び10μlのPD-1抗体を各々のウェルに加えて、RTで1時間にわたりインキュベートした。プレートを50μlの1×TRF 洗浄緩衝液で2回洗浄した。20μLのEu-ストレプトアビジン試薬をアッセイプレートに加えて、室温で1時間にわたりインキュベートした。Enhancement Solutionを加えて、RTで30分間にわたりインキュベートした。プレートを蛍光プレートリーダーで読み取った(励起:320又は340nm、発光:615nm)。このアッセイでは、ELISAアッセイの確認では、この細胞ベースのアッセイにおける抗体723C2の存在によって、PD-1/PD-L1相互作用が強化された(図3B)。抗体723C2は、図3B中で723C2-4Pとして命名されている。
PD-1がCHO細胞で発現された第2の細胞ベースのアッセイをまた、PD-1/PD-L1相互作用を評価するために利用した。このアッセイでは、PD-1を発現するCHO細胞へのPD-L1多量体結合をフローサイトメトリーにより測定した。50μlの2×10細胞/mlを各々のウェルに加えた(100,000個細胞/ウェル)。細胞を遠心分離し、50μlの示した濃度の抗体中に再懸濁し、氷上で60分間にわたりインキュベートした。PDL1-ビオチン及びストレプトアビジン-APCを染色緩衝液中で組み合わせた(1μg/ml PDL1-ビオチン+0.25μg/mlストレプトアビジン-APC)。50μlの2×PDL1-ビオチン/ストレプトアビジン-APC 混合液を細胞に加え、氷上で60分間にわたりインキュベートする。細胞を洗浄し、180μlの染色緩衝液+20μPFA中に再懸濁し、データをBD LSR IIで取得した。図3C中に示すように、この細胞ベースのアッセイはまた、抗体723C2の存在における PD-1へのPD-L1の増強した結合を実証した。抗体PD1AB-6-4Pは、PD-L1結合に対する効果を有さなかった一方で、MK3475アンタゴニスト抗体は、PD-1へのPD-L1の結合を阻害した(図3C)。抗体723C2は、図3C中で723C2-4Pとして命名されている。
上に記載するCHO PD-1-PD-L1Delphia-Eu TRFアッセイをまた、抗体C、抗体PD1AB-6-4P、抗体1-4Pro、抗体PD1B1090-4Pro、抗体PD1B1094-4Pro、及び抗体ANB-030-4Proを使用して実施した。抗体1-4Proは、Eli LillyへのWO2019/168745において記載されている抗体1の重鎖及び軽鎖可変領域をIgG4-Pro骨格に含む。抗体PD1B1090-4Pro及び抗体PD1B1094-4Proは、Janssen BiotechへのWO2018/226580において記載されている、それぞれPD1B1090及びPD1B1094の重鎖及び軽鎖の可変領域をIgG4-Pro骨格中に含む。抗体ANB-030-4Proは、CAS番号 CAS2412764-40-8の下に記載されている抗体ANB-030の重鎖及び軽鎖可変領域をIgG4-Pro骨格中に含む(また、AnaptysbioへのWO2020/247648において記載されているAPE12537の重鎖及び軽鎖可変領域に対応する)。IgG4-Pro骨格中の抗TNP抗体も含まれた。
抗体Cは、濃度依存的にPD-1\PDL-1結合の一貫した(N=3) 増強を示した(図3D)。全ての他の抗PD-1アゴニストは、PD-1\PDL-1結合の増強を一貫して示さなかった(図3D)。
【0240】
実施例6:機能的細胞アッセイ、THP-1/Jurkat-PD-1アゴニストレポーターアッセイにおけるNFAT活性化の阻害
THP-1/Jurkat PD1NFAT 共培養アッセイを、複数のキャンペーンから生成された抗PD1抗体のアゴニスト活性を評価するために開発した。THP-1細胞株をATCCから得た。Jurkatレポーター細胞株を内部で生成した。Jurkatレポーター細胞は、細胞表面上でヒトPD-1(hPD-1)を過剰発現し、NFAT駆動型ルシフェラーゼレポーターも発現し、刺激への応答における細胞の活性化状態が測定される。Jurkat PD1NFAT細胞は、THP-1細胞の存在においてCD3xCD33 BiTEで活性化される。BiTEの抗CD33アームは、THP-1細胞上に発現されるCD33に結合する一方で、抗CD3アームはJurkat細胞上のCD3分子に結合する。BiTEは、THP-1とJurkat細胞を会合させる役割を果たし、Jurkat細胞を活性化しながら、2つの細胞間に免疫シナプスの形成をもたらす。Jurkat PD-1NFAT細胞の活性化を、NFAT 駆動型ルシフェラーゼレポーターにより測定する。このアッセイを、アゴニスト抗体を同定するために、抗PD1抗体の存在において実行した。活性化における20%又はそれ以上の低下を示した分子を、ルシフェラーゼシグナルの喪失により示されるように、アゴニスト抗体として分類した(表12)。表12中の抗PD-1抗体306E6から820C3は、マウスIgG1骨格上にあった。これらの抗体のいくつかを、ヒトIgG4Pro骨格(表12中でキメラ抗体として示されている)での追加のプロファイリングのために選択した。
【表12】
【0241】
実施例7:機能的細胞アッセイ-ヒトPD-1ノックイン脾細胞からのIFNγ産生の阻害
上位の抗PD1抗体を選択するために使用された初代細胞アッセイは、hPD1ノックインマウス脾細胞アッセイであった。脾臓を、マウスPD1の代わりにヒトPD1を発現するC57BL/6マウスから収集した。脾細胞を脾臓から単離し、0.1μg/mlの濃度の抗CD3(クローン2C11)で活性化した。T細胞の活性化を、MSD分析(Meso Scale Discovery)によりmIFNγレベルを定量化することにより、48時間後に測定した。このアッセイは、THP-1/Jurkat PD1NFAT スクリーニングアッセイより選択された抗PD1抗体の存在において実行された。このアッセイから同定された上位の分子を、mIFNγの阻害%(50%又はそれ以上)及び配列クレードに基づいて選択した。阻害値及びIC50値を表13中に示す。
【表13】
【0242】
実施例8:機能的細胞アッセイ、ヒトPBMCアッセイからのIFNγ産生の阻害
抗PD-1アゴニスト抗体を、ヒト初代細胞アッセイにおいて、IFNγ産生により測定されるように、T細胞の機能活性を調節するそれらの能力についてさらに特徴付けた。PBMCをヒト全血から単離して、1.5pMの抗CD3(クローンOKT3、BioLegend)で活性化させた。T細胞の活性化及び機能を、MSD分析によりhIFNγレベルを定量化することにより、72時間後に評価した。同定された抗PD-1アゴニスト抗体は、アイソタイプコントロール処理細胞と比較して、IFNγ分泌を低下させることができた(表14A)。
【表14】

抗体C、抗体1-4Pro、抗体PD1B1090-4Pro、抗体PD1B1094-4Pro、抗体ANB-030-4Pro、及びアバタセプトをまた、このアッセイにおいてテストした。結果を表14B中に示す。抗体C、IgG1野生型骨格中の及びIgG1KO骨格中の抗体1-4Pro、抗体PD1B1090-4Pro、抗体PD1B1094-4Pro、及び抗体ANB-030-4Proの可変領域、ならびにアバタセプトをまた、このアッセイにおいてテストした。結果を、下に要約する表14C中に示す。各々の実験では、5人のドナーをテストした。
【表15】

【表16】

IgG1KO骨格中の抗体1-4Pro、抗体PD1B1090-4Pro、抗体PD1B1094-4Pro、及び抗体ANB-030-4Proの可変領域についてのIFNγの阻害は、30nMを上回るIC50値で40%未満であった。
【0243】
実施例9:機能的細胞アッセイ、Th17-単球共培養アッセイからのIL-17A産生の阻害
抗PD-1アゴニスト抗体を、Th17分化T細胞によるIL-17分泌の機能的阻害についてテストした。初代細胞共培養アッセイを、PD-1によるIL-17の調節を評価するために開発した。PBMC から単離されたヒト初代T細胞は、以下の傾斜条件下でTh17分化した:CD4 T細胞は、Th17傾斜培地(X-VIVO15培地+IL-1β(10ng/mL)、IL-23(10ng/mL)、IL-6(10ng/mL)、IL-2(2ng/mL)、TGFβ(0.5ng/mL)、5μg/mL 抗IL4、5μg/mL 抗IFNγ)中で4日間にわたり0.5μg/mlプレート結合抗CD3(クローンUCHT1)で刺激した。4日後、細胞を抗CD3コーティングプレートから取り出し、Th17傾斜培地を含むフラスコに移した。分化後、Th17細胞を少なくとも3日間にわたり休止させ、次に自己単球と共培養し、PD-1抗体の存在において40fM 抗CD3(クローンOKT3)で再刺激した。共培養系は、抗PD-1抗体がアゴニスト活性を示すために必要なFc要件に起因して要求された。IL-17の阻害が、このアッセイにおいて、抗PD-1アゴニスト抗体の存在において観察された。抗体のIC50及びIL-17応答の最大阻害を下の表中に示す(表15)。最大阻害をアイソタイプコントロール抗体に対して比較した。
【表17】
【0244】
実施例10:機能的細胞アッセイ、Tfh-単球共培養アッセイからのIL-21産生の阻害
濾胞性ヘルパー T(Tfh)細胞活性をインビトロで阻害する抗PD-1アゴニスト抗体の能力を評価するためのアッセイを開発した。CD4T細胞及び自己単球をALLCELLSから得た。T細胞を、IL-23(25ng/ml)及びTGFβ(5ng/ml)の存在においてDynabeads Human T-Activator CD3/CD28(Gibco)で細胞を5日間にわたり活性化することによりTfh系統に傾斜させ、次に、細胞を洗浄し、活性化ビーズを除去した後、4.5pM 抗CD3(クローンOKT3、BioLegend)及び抗PD-1アゴニスト抗体の存在において自己単球と組み合わせた。24時間後、上清を収集し、IL-21の存在についてアッセイした(Meso Scale Discovery、MSD V-Plex Human IL-21Kit)。再刺激されたTfh分化細胞のIL-21産生は、抗PD-1アゴニスト抗体により阻害した。代表的なIC50及びEmax阻害値を表16中に示す。
【表18】
【0245】
実施例11:PD-1アゴニスト活性に対するFcgR相互作用の役割
アゴニスト抗体の機能活性に対するFc-Fcg受容体相互作用の役割を、異なる骨格フォーマット(IgG1野生型、IgG1KO、又はIgG4 Pro)又は二価抗体フラグメント(F(ab’)2フラグメント)での候補PD-1アゴニスト抗体を利用することにより特徴付けた。抗体バリアントの機能活性を、上に記載するヒトPBMCアッセイにおいて活性化 T細胞からのIFNγ産生を調節する能力により評価した。機能的アゴニスト活性は、IFNg産生における低下により測定され、親の723C2及び820C3抗体の二価F(ab’)2フラグメントでは失われる(図4A及び4B)。対照的に、ヒトIgG4Pro骨格における全長抗体は、用量依存的な様式においてIFNγ産生を阻害した(図4A及び4B、それぞれ723C2-4P及び820C3-4Pとして命名する)。これらのアッセイでは、ヒトPBMCを全血から単離し、抗PD-1抗体又は示された抗PD-1抗体のF(ab’)2フラグメントの存在において1.5pMの抗CD3クローンOKT3で活性化した。72時間後、上清中のヒトIFNガンマサイトカインレベルをMSD分析により測定した。
これは、Fc相互作用が抗PD-1抗体の機能的アゴニスト活性のために要求されることを示唆しているため、723C2抗体をIgG1WT、IgG1KO、及びIgG4Pro骨格で生成して、これらの相互作用をさらに特徴付けた(それぞれ723-IgG1WT、723-IgG1KO、及び723-IgG4Pro、下の表17中)。IgG1WT及びIgG4 Proの両方が、異なる程度でヒトFc受容体に結合する一方で、IgG1KO骨格はFc受容体への大きく低下した結合を有する。IgG4 Pro上の抗PD-1アゴニスト抗体が、ヒトPBMCアッセイにおける最も高い程度のIFNγ阻害を示した一方で、IgG1KO上の抗体は、大きく低下した結合を示した(表17)。まとめると、これらのデータは、抗PD-1抗体の機能的アゴニズムがFc相互作用に依存的であることを示す。
【表19】
【0246】
実施例12:インビボモデル-異種CD4T細胞GvHDモデル
インビボ異種CD4T細胞GvHDマウスモデルを使用して、PD-1アゴニスト抗体の有効性をテストした。群当たり8匹のNSG マウス(NOD.Cg-PrkdcscidIl2rgtm1Wjl/SzJ、Jackson Laboratory)に、健常ドナーleukopaksからの5×10個CD4T細胞(ネガティブセレクションにより精製)を静脈注射した。マウスに、以下に従って0.625mg/kg IPを週2回投与した:群1:723(IgG4-Pro)、群2:PD1AB-6-4P(IgG4-Pro)、群3:抗TNPアイソタイプ(IgG4-Pro)、群4:アベルマブ(hIgG1-LALAPG)、群5:抗TNPアイソタイプ(hIgG1-LALAPG)、群6:CTLA4-Ig(hIgG1-LALA)。TNPはトリニトロフェノールである。LALAは、抗体のエフェクター機能を破壊するために一般に使用されるLeu234Ala/Leu235Ala変異を表する。PGはPro329Gly変異を表し、それは、Fcガンマ受容体への結合を防止することによりエフェクター機能を排除する。
3回の実験的繰り返しを実行し、各々が固有のドナーを伴った。第4週までに、ヒト細胞蓄積の有意な阻害が、テストされた全てのドナーについてのそれらのアイソタイプが一致されたコントロールと比較して、群1、2、及び6において認められた(表18)。4週目での炎症性サイトカインの定量化は、全てのドナーにおいてヒトIFNγ、TNFα、及びIL-10のレベルにおける有意な低下を示した(表19)。ヒトIL-1β、IL-2、IL-4、IL-6、IL-8、IL-12p70、及びIL-13をまたテストしたが、しかし、全てが、アッセイについての検出の限度を下回った。
【表20】

【表21】
【0247】
実施例13:カニクイザルにおける薬物動態試験
抗体Cの薬物動態(PK)を、0.1、0.3、及び1.5mg/kgの単回静脈内(IV)ボーラス投与又は1.5mg/kgの皮下(SC)投与後に、中国起源の雄カニクイザルにおいて評価した(n=3/群)。抗体Cの血清中濃度を、2つの異なる MSDイムノアッセイフォーマットを使用して決定された:(1)「総」薬物の一般的な抗ヒト捕捉及び検出アッセイならびに(2)抗原(PD1-ECD)捕捉及び抗ヒト検出を伴う「遊離」薬物アッセイ。両方のアッセイのPK プロファイルを重ね合わせることができ、内因性sPD-1が抗体Cの測定に干渉せず、TMDDに対するほとんど又はまったく効果を有さなかったことを示唆している。抗体Cは、全体的なクリアランスへの標的媒介性薬物動態(TMDD)の寄与を示唆する、0.1~0.3mg/kgの間の用量依存的なCLを示した(遊離アッセイと「総」アッセイの両方を使用)。それぞれの用量の各々についてのNCA薬物動態パラメータの要約を、下の表20中に示す。
【表22】
【0248】
実施例14:CHO細胞におけるトランスフェクション及び産生ならびに生物物理学的データ
CHO細胞におけるトランスフェクション及び産生:
CHO-E細胞を~2x10E6個細胞/mLで、Irvine BalanCD Transfectory CHO + 4mM L-グルタミン(又はGlutamax)中にトランスフェクトする。1Lのトランスフェクションのために要求される量は、0.15mgのHC DNAプラス0.3mgのLC DNA及び1.05mgのフィラーDNA(ニシンの精子)及び0.15mgのXBP1DNAである。DNAを100mLのOptiPro SFM中に希釈し、0.2μmフィルターを通じて滅菌ろ過する。0.75mLのMirus TransIT Proトランスフェクション試薬を、希釈したDNA 混合物に加え、DNA複合体を、調製したCHO-E細胞に直ぐに加え、振盪フラスコを、37℃、5% CO2、140rpmのシェーカーに戻す。トランスフェクション後の24時間に、温度を32℃に変えて、2mLのGibco Anti-Clumping Agent及び100mLのIrvine Transfectory Supplementを、トランスフェクトされた細胞に加える。トランスフェクション後の5日に、シェーカーの温度を30℃に変える。200mLのIrvine Transfectory Supplementを、グルコースレベルがいつ2g/L~1g/Lの間に下落するかに依存して、5日目又は7日目の間に加える。トランスフェクトされた培養物を10日間にわたり維持する。回収は、細胞をスピンダウンし、その後の0.2μm PESフィルター(Thermo Scientific)を通じた滅菌ろ過により行う。
回収後、清澄化された細胞培養上清を、以下のように、プロテインAバイオセンサーを伴うForteBio/Pall Octet Red 96機器により、力価についてサンプリングした。
抗体A、抗体C、及び抗体Eについての力価は18~38mg/Lの間であり、タンパク質精製からの約80%回収、及びSEC精製後の98%を上回る単量体を伴った。タンパク質を、10mMヒスチジン-HCl、pH6.0を含む最終緩衝液中で緩衝液交換して、4℃で少なくとも4ヶ月間にわたり安定であり、この緩衝液中での180mg/mlまでの溶解度を伴う。
【表23】

【表24】

AUC:0.5~1mg/mlの濃度での沈降速度方法により測定される分析用超遠心分離;SEC:サイズ排除クロマトグラフィー。%M:単量体のパーセント。
【0249】
実施例15:二重特異性抗体
材料及び方法
マウス抗体及び試薬。抗hPD1(EH12.2H7)(Biolegend、329912);抗hCD48(Bio-gems、10511-25-500);IgG1(カタログ番号16-4714-85)、抗hCD3(OKT3)(16-0037-85)、抗hCD3(UCHT1)(16-0038-85)、及び抗CD11a(140011982)(eBiosciencesから);抗hCD71(Southern Biotech、9670-14)。aCD3/aCD28ヒトT細胞アクチベーターDynabeads(Gibco、11131D)。
Imagestream。Jurkat PD-1細胞を、AF-488コレラ毒素(Life Technologies、V-34403)及び架橋抗体(Jackson ImmunoResearch)及びAPCaCD3(Biolegend、317318)、PV786aPD-1(Biolegend、329930)、又はAPCaCD48(Sigma、SAB4700193)のいずれかを用いて、XVIVO 15培地(Lonza)中で、氷上で10分間にわたりインキュベートした。細胞を、予熱したX-VIVO 15への移入により活性化し、追加の12分間にわたりインキュベートした。細胞の活性化を、冷PBS-2%PFA(約1:10の比率、細胞:PFA)の添加により停止させ、細胞を、氷上で20分間にわたり固定溶液中でインキュベートした。細胞を洗浄し、XVIVO中に再懸濁し、Imagestreamソフトウェアを使用してキャップ形成及び周囲長閾値について分析した。
フローサイトメトリー。1×10個のJurkat、Jurkat-PD-1、又はaCD3/aCD28で刺激された初代ヒトT細胞を、1mg/mlの初代 MAbと4℃で1時間にわたりインキュベートした、又は二重特異性分子がテストされた場合、8点結合曲線を6.25mg/mlの開始濃度から生成し、1:4で段階希釈した。6.25mg/mlの開始濃度から1:4に段階希釈する。細胞を洗浄し、それぞれ1:100希釈のPE-抗マウスIg(Life Technologies、P852)、又は1:800希釈のPE-ヤギ抗ヒトF(ab’)2(Invitrogen AHI1707)を用いて4℃で1時間にわたり染色した。サンプルを洗浄し、1×固定/溶解緩衝液(eBioscience、00-5333-57)中で固定し、LSR2(BD)で分析した。
PD-1相補性アッセイ。全長 PD-1-PK及び細胞内全長 SHP1-EA 融合タンパク質を過剰発現する2×10個のJurkat T細胞をDiscoverX(DRX-BI-080515A)から購入し、製造元の説明に従って培養した。細胞を細胞播種培地(DiscoverX、93-0563R4B)中に再懸濁し、一次マウス又はヒト抗体と4℃で30分間にわたりプレインキュベートした。実験に依存して、細胞を、10mMのpan-Srcキナーゼ阻害剤PP2(Abcam、ab120308)又は不活性類似体PP3(Abcam、ab120617)と追加でプレインキュベートした。細胞を洗浄し、架橋二次ヤギ抗マウスIgG(Thermo Scientific、31170)を伴って、又は伴わずに処理した。細胞を、384-white Opti-Plates(PerkinElmer)に移し、Flash Detection試薬(DiscoverX、93-0247)を受けて、EnVision Plate Reader(PerkinElmer)において読み取った。
初代huT細胞活性化。初代ヒトPan-T細胞(AllCells、PB009-1F)を500nMのCell Trace Violet(Life technologies、カタログ番号c34557)で標識した。Epoxy-dynabeads M450(Invitrogen、14011)を、製造元の指示に従って、2.5mgのマウスAbs/107ビーズで共有結合的にコーティングした。細胞を未刺激で放置するか、又はAbコーティングされたエポキシ ビーズの存在において、プレートに結合した抗CD3(UCHT1)(250及び500ng/mL)で刺激した。細胞を96時間後に回収し、BV510抗CD4(BD、562970)Abs及びPeCy7 抗CD8(BD、335787)Absで染色し、細胞増殖を、LSR2(BD)中でのCell Trace Violet希釈により分析した。初代記憶CD4+/CD45RO+ T細胞(AllCells、PB009-7F)を、それぞれ1mg/ウェルのプレート結合アイソタイプコントロール(ISO)又はBsAbの存在において1mg/ウェルのプレート結合抗CD3(UCHT1)で刺激した。培養上清を72時間で回収し、IL-2及びIL-10分泌(MSD)について分析した。
BsAbsの生成及びコンストラクトの設計。二重特異性抗体(BsAb)を、公開された抗CD48(US2012/0076790)及び抗PD1(WO2011/110621Al)配列から生成し、それらをビルディングブロックとして使用した。二重特異性コンストラクトを、2つの異なる標的可変領域(IgG1-KO)のヘテロ二量体化を促進するノブインツーホール技術を用いて設計し、抗PD-1及び抗CD48(PD-1/CD48)、又はコントロールとして抗PD-1及び抗TNP(PD-1/ISO)を含むBsAbsを生成した(図7A)。それぞれの標的について得られた可変領域配列を、ヒト定常領域を含むpTT-5(カナダ国立研究評議会からライセンス供与)発現ベクター中にクローニングした。簡単には、可変領域のアミノ酸配列を、哺乳動物での発現のためにコドン最適化した。標的V遺伝子の軽鎖及び重鎖を、結合リンカーセグメントを含む同じ発現ベクター中にクローニングした。ベクターを、EcoRI及びNheI認識部位を使用した制限酵素消化により直線化した。可変領域についてのDNA配列を、Integrated DNA Technologies(IDTDNA)からGブロック(dsDNA)として注文し、ベクター及び隣接するリンカーセグメントへの重複した相同末端を伴う。Gブロックを次に、製造元のプロトコルに従って、Gibsonアセンブリ方法(NEBuilder HiFiキット、New England Biolabs、カタログ番号E5510S)を介して連結させた。従来のクローニングを次に、アセンブリ混合物をコンピテント細胞(NEB 5-alpha C2987、New England Biolabs)中に形質転換することにより完了し、100μg/mlカルベニシリン(Teknova)を伴うLB寒天プレート上で、37℃で一晩増殖させた。個々のコロニーを採取し、カルベニシリンを伴うLB 培地中で、37℃で一晩増殖させた。インサートについての陽性クローンを、Lasergeneソフトウェア パッケージ(DNAstar)を使用した配列分析により確認した。配列が確認されたプラスミド DNAを0.5L培養中でスケールアップし、次に、製造元のプロトコルに従って、Plasmid Plus megaprepキット(Qiagen、カタログ番号12981)を介して精製した。
CHO-E一過性トランスフェクション。CHO-E細胞を、2mMグルタミンを添加したFS-CHO中で2e6個細胞/mLでトランスフェクトする。1L mAbトランスフェクション容量について、1mgの軽鎖(LC)プラスミドDNA及び0.5mgの重鎖(HC)プラスミド DNAを100mLのOptiPro SFM(Gibco)中で希釈し、0.2μmフィルター(Millipore)を通じて滅菌ろ過する。1.5mLのTransIT Pro(Mirus Bio LLC)トランスフェクション試薬を加えて、室温で15~30分間にわたりインキュベートする。複合体を次に、調製したCHO-E細胞に加えて、振盪フラスコをシェーカーに戻す。トランスフェクション後の24時間に、10mLのAnti-Clumping Agent及び150mLのCHO CD Efficient Feed B(両方ともGibcoから)をトランスフェクトした細胞に加えて、温度を32℃に変える。トランスフェクトされた培養物を6~12日間にわたり維持し、細胞増殖、生存率、及び栄養消費について培養を通して定期的にモニターする。培養物の回収を、4℃で4700rpmでの遠心分離により完了し、その後に滅菌ろ過が続く。
BsAbs精製。収集した培養上清を、1.0ml/分で、緩衝液A(DPBS、pH7.2)で事前に平衡化したGE(カタログ番号11003493)からの1ml HiTrap MabSelect SuReカラムにロードする。カラムを緩衝液A、緩衝液B(DPBSプラス1.0M NaCl)の各々の10mlで、1ml/分の緩衝液 Aで再び洗浄する。次に、結合したタンパク質を30mM酢酸ナトリウム、pH3.5で溶出する。5ml画分を1%体積対体積の3M酢酸ナトリウム、pH~9で中和する。最終緩衝液は、プロテインA 溶出後に60mM NaOAc、pH~5である。単量体のパーセンテージは、aSECにより、PD1/ISOについて71%&PD1/CD48について63%であった。
MabSelect Sureで精製された材料をさらに研磨して、陽イオン交換により凝集物を除去した。Thermo FisherからのPoros GoPure HS Pre-packedカラム(カタログ番号 4481316)をイオン交換のために使用した。緩衝液A(60mM NaOAc. pH 5.0)で事前に平衡化した1mlのPoros HSカラム上にプロテインA サンプルをロードし、10カラム体積の緩衝液Aでカラムを洗浄する。次に、結合したタンパク質を、20カラム体積中の緩衝液B(60mM NaOA、1M NaCl、pH 5.0)中の0%から40%の勾配で、0.5ml/分で溶出する。ピーク付近の画分をプールし、塩濃度を100mM NaClに調整する。ろ過ユニットでサンプルを無菌的にろ過する。タンパク質濃度を測定し、エンドトキシンレベルを測定し、SDS-PAGEならびにaSECを実行する。
NFATルシフェラーゼアッセイ。Jurkat PD-1NFATレポーター細胞株を社内で生成した。GeneCopoeiaからのヒトPD-1(EX-B0169-M02)をベクター中にクローニングし、それを、エレクトロポレーションを介してJurkat細胞(ATCC)中にトランスフェクトした。NFATルシフェラーゼレポーター(Promega E8481)を次に、エレクトロポレーションを介してPD-1発現クローン中にトランスフェクトした。THP-1細胞株をから購入しATCC(TIB-202)、製造元の指示に従って培養した。
Jurkat PD-1及びNFATレポーター細胞をアッセイ培地(RPMI、2% HI-FBS)中に再懸濁し、3×10個細胞/条件を、BsAbsの用量(100nMの開始濃度及び1:3希釈)を用いて、384の平底Opti-Plates中で15分間にわたりプレインキュベートした。THP-1細胞(3×10個細胞/条件)を加えて、細胞を、CD3×CD33アクチベーターの10nM溶液を用いて、37℃で6時間にわたり刺激した。NFATレポーターを、Steady-Glo(登録商標)Luciferase Assay reagent form 15 min(Promega、E2520)の添加により分析し、EnVisionプレートリーダーにおいて読み取った。
【0250】
結果
CD48及びPD-1の架橋によって、PD-1リン酸化が促進される。CD48は、マウス及びヒトのリンパ球における確立された脂質ラフト及びIS常在タンパク質である(Elishmereni and Levi-Schaffer,2011)。PD-1及びCD3のものと比べて、脂質ラフトにおけるCD48の存在及び存在量をより良く評価するために、本発明者らはImageStream実験を行って、PD-1を過剰発現するJurkat細胞におけるコレラ毒素(CT)誘導性脂質ラフト合体(キャッピング)とこれらの受容体の共局在を単一細胞レベルで定量化した。CTにより誘導された脂質ラフトキャップ内のCD48、CD3、及びPD-1の共局在の分析を、フルオロフォア標識MAbを使用して行った。この分析によって、PD-1とは異なり、CD3及びCD48がCTにより誘導されたキャッピング内で容易に観察されることが示された。周囲長の定量化では、より小さな周囲長の値がキャッピングと相関し、活性化後にCD48のキャッピングが明らかであるが、しかし、CD3よりもわずかに少ないことが明らかになった。対照的に、PD-1は通常、CTと共局在しなかったが、PD-1が、脂質ラフトに富むISに動員されるために、活性な過程(例、PDL-1との相互作用)を要求するという仮説と一致している(Yokosuka et al.,2012)。
脂質ラフト中へのCD48の存在及びSrcキナーゼ(T細胞のLck)との構成的会合によって、CD3と同様に、CD48とPD-1の近似が PD-1活性化/リン酸化を誘導するという仮説を本発明者らは立てることが可能であった。なぜなら、PD-1活性化のための基準機構が、PD-1の細胞内ITSM及びITIMドメインのLck媒介性リン酸化を要求するからである(Chemnitz et al.,2004;Parry et al.,2005;Sheppard et al.,2004)。この仮説をテストするために、カスタマイズされたJurkat細胞株を、bガラクトシダーゼ(PK)の1つの半分を伴うヒトPD-1融合タンパク質(PK)、及びbガラクトシダーゼの相補的な半分を伴うサイトゾル全長SHP1融合タンパク質(EA)を発現するように生成した。PD-1活性化を、このように、リン酸化PD1へのSHP1の動員に起因する PK/EA相補性の機能として測定し、それによって機能的なbガラクトシダーゼが産生される。これらの細胞におけるPD-1、CD48、及びCD3の発現を確認した後、実験を設定し、架橋時にPD-1活性化を誘導する、CD48に対する MAbの潜在能を評価した(図5)。PD-1活性化は、PD-1MAb又はFc特異的二次F(ab’)2抗体の非存在において誘導されなかった。二次抗体との架橋によって、PD-1活性化が約3倍だけ誘導された;しかし、CD48又はCD3 Mabの存在において、PD-1活性化が約9倍だけ増強され、CD48又はCD3とPD-1との密接な会合が、PD-1活性化を増強させることができることを示している。自己架橋により誘導される低レベルのPD-1活性化は驚くべきことではなかった。なぜなら、試験によって、Lckの小さな分画が、T細胞におけるPD-1と構成的に会合していることが実証されているためである(Sheppard et al.,2004)。
【0251】
PD-1のCD48依存性活性化は、Srcキナーゼ活性を要求する。CD48によるPD-1活性化/リン酸化の増強が、Srcキナーゼ活性に依存的であるか否かを決定するために、架橋実験を、pan-Src キナーゼ阻害剤 PP2又は不活性類似体 PP3の存在において行った。Src-キナーゼ阻害によって、CD48との自己架橋又は共架橋時のPD-1活性化が抑止されたが、Lck活性がPD-1活性化のために要求されることを示している。この概念をさらに検証するために、PD-1活性化を、CD71(脂質ラフト中に移行せず、Src-キナーゼと結合しない受容体(Schatzlmaier et al.,2015))に対する抗体の存在において最適量以下の抗PD-1でPD-1を架橋することにより評価した。PD-1とCD71の架橋はPD-1活性化をもたらさず、活性化されたSrc キナーゼに富む環境へのPD-1の転座によって、PD-1リン酸化及び活性化が可能になるという知見を裏付けている。
【0252】
CD48依存性PD-1活性化は、初代ヒトT細胞のAR誘導性増殖を鈍らせる。T細胞機能を調節するCD48依存性PD-1活性化の能力を機能的に評価するために、磁気ビーズをCD48、PD-1MAb、及びアイソタイプコントロールで共有結合的に共コーティングし、プレート結合抗CD3で刺激された初代ヒトT細胞(CD4+及びCD8+)でテストした。最初に、本発明者らは、活性化前のヒトCD4+及びCD8+ T リンパ球における CD48及びPD-1の発現を確認した。細胞活性化に対するコーティングビーズの効果を評価するために、ヒト汎-T細胞をCellTrace-Violetで標識し、次にCD3 MAbで活性化し、細胞増殖をCellTraceの希釈により分析した(図6)。図6中に示すように、CD48及びPD-1MAbの両方でコーティングされたビーズは、CD48又はPD-1MAb単独でコーティングされたビーズで処理された細胞と比べて、T細胞増殖を有意に低下させることができ、阻害効果は、CD8+細胞よりもCD4+でより有意であった。追加のコントロールとして、本発明者らは、PD-1及びCD11a Mabで共コーティングされたビーズもテストした;後者は、CD11aが構成的に脂質ラフト常在タンパク質ではないという前提で選択された。予想通り、PD-1は、CD11aとの動員時に阻害機能を有さなかった。これらの結果は、脂質ラフト常在分子(即ち、CD48)による PD-1活性化が、PD-1を効果的に活性化し、T細胞増殖を阻害することができるという仮説をさらに裏付ける。
【0253】
PD-1及びCD48に対する二重特異性抗体は、PD-1活性化を誘導し、AR 刺激されたヒトT細胞におけるサイトカイン分泌及びNFAT活性化を調節する。別々のモノクローナル抗体でコーティングされたビーズを使用して得られた結果によって、CD48を用いたPD-1の分子局在化が、活性化ヒトT細胞に対して阻害シグナルを提供するという仮説をテストするために、本発明者らが二重特異性抗体(BsAb)を生成するように促された(図7)。公開された抗体が生成され(特許出願 WO2011/110621Alからのアゴニスト抗PD-1抗体)、及びUS2012/0076790 からの抗CD48 Ab)、BsAbをノブ又はホールの単一の重鎖/軽鎖コンストラクトとして操作し、BsAbを含む抗PD-1及び抗CD48(PD-1/CD48)、又はコントロールとしての抗PD-1及び抗TNP(PD-1/ISO)を生成した(図7A)。PD-1又はCD48への各々のアームの結合が、PD-1及びCD48の両方の結合を検出するために PD-1を過剰発現する、又はCD48 結合だけを検出するために PD-1発現を欠くJurkat細胞でのフローサイトメトリーにより実証された(図7B)。上に記載するJurkat PD-1相補性アッセイ系を使用し、本発明者らは、PD-1/CD48 BsAbが、PD-1/ISOコントロールよりも約3 倍強力にPD-1活性化を誘導することを実証し、このBsAbフォーマットを使用したPD-1/CD48共局在化が、増強されたPD-1リン酸化ももたらすことを確認した(図6)。PD-1/CD48 BsAbの機能的効果を評価するために、ヒト記憶CD4+ T(PD1+)細胞を、プレート結合PD-1/CD48 BsAb又はコントロール抗体の存在において、プレート結合抗CD3eで刺激し、サイトカイン分泌について分析した(図7C)。この分析によって、PD-1/CD48 BsAbの免疫調節効果が明らかになった。なぜなら、それによって、炎症性サイトカインIL2の分泌を有意に低下させたが、しかし、抗炎症性サイトカインIL-10の産生を増強したためである。IL-2分泌はNFAT転写活性化を要求するため(Chow et al., 1999)、NFAT活性化に対する PD-1/CD48 BsAbの効果を、PD-1及びNFAT-ルシフェラーゼレポーターの両方を発現し、共刺激のためにTHP-1細胞の存在において抗CD3eで活性化されたJurkat T細胞において評価した。この分析によって、PD-1/CD48 BsAbが、コントロール抗体よりもNFATレポーターを>10-30%低下させることができたことが示され、PD-1のCD48依存性活性化がまた、IL-2産生に導く、重要なT細胞エフェクター転写事象を阻害することを示す。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
【配列表】
2024125366000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-07-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号78のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号166のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号76のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号164のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号31のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号166のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領域、
又は
配列番号73のアミノ酸配列(H-CDR1);配列番号79のアミノ酸配列(H-CDR2);及び配列番号77のアミノ酸配列(H-CDR3)を含む重鎖可変領域、ならびに
配列番号165のアミノ酸配列(L-CDR1);配列番号167のアミノ酸配列(L-CDR2);及び配列番号32のアミノ酸配列(L-CDR3)を含む軽鎖可変領
含む抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント
【請求項2】
記抗体又はその抗原結合フラグメントがヒト化抗体又はその抗原結合フラグメントである、請求項1に記載の抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項3】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、モノクローナル抗体、Fab、F(ab’)2、Fv、及びscFvからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメント
【請求項4】
記抗体又はその抗原結合フラグメントが、配列番号135、配列番号131、配列番号133、配列番号137、又は配列番号139のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変領域及び配列番号127、配列番号125、又は配列番号129のいずれか1つのアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項5】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが
れぞれ配列番号135及び配列番号127のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域
それぞれ配列番号131及び配列番号125のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域;
それぞれ配列番号133及び配列番号127のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域;
それぞれ配列番号137及び配列番号129のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域;又は
それぞれ配列番号139及び配列番号129のアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも90%の同一性を有する重鎖可変領域及び軽鎖可変領域
を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項6】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、
それぞれ配列番号135及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域;
それぞれ配列番号131及び配列番号125のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域;
それぞれ配列番号133及び配列番号127のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域;
それぞれ配列番号137及び配列番号129のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域;又は
それぞれ配列番号139及び配列番号129のアミノ酸配列のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び軽鎖可変領域
を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項7】
前記抗体が、IgG4、IgG1、IgG2、IgG3、IgM、IgA、及びIgE定常領域からなる群より選択される重鎖定常領域を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗PD1抗体。
【請求項8】
前記重鎖定常領域が、Ser228Pro変異を伴うIgG4の重鎖定常領域である、請求項に記載の抗PD1抗体
【請求項9】
記重鎖定常領域が、Leu234Ala及びLeu235Ala変異を伴うIgG1の重鎖定常領域である、請求項に記載の抗PD1抗体。
【請求項10】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、カッパ及びラムダからなる群より選択される軽鎖定常領域を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗PD1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項11】
前記抗体が、
それぞれ配列番号143及び配列番号141のアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖
それぞれ配列番号147及び配列番号145のアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖;
れぞれ配列番号153及び配列番号151のアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖;又は
それぞれ配列番号155及び配列番号151のアミノ酸配列を含む重鎖及び軽鎖
を含む、請求項1~8及び10のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体。
【請求項12】
前記抗体が、それぞれ配列番号143及び配列番号141のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖からなる、請求項1~8、10及び11のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体。
【請求項13】
前記抗体が、それぞれ配列番号147及び配列番号145のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖からなる、請求項1~8、10及び11のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体。
【請求項14】
前記抗体が、それぞれ配列番号153及び配列番号151のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖からなる、請求項1~8、10及び11のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体。
【請求項15】
前記抗体が、それぞれ配列番号155及び配列番号151のアミノ酸配列からなる重鎖及び軽鎖からなる、請求項1~8、10及び11のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体。
【請求項16】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントがモノクローナル抗体である、請求項1~15のいずれか一項に記載のPD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント及び医薬的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項18】
薬とて使するための、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント
【請求項19】
D-1経路障害処置するための、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項20】
慢性炎症性疾患又は急性炎症性疾患を処置するための、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項21】
関節炎、関節リウマチ、喘息、COPD、骨盤内炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペイロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、乾癬性関節炎、血管炎、外科的癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、髄膜脳炎、自己免疫性ぶどう膜炎、多発性硬化症、狼瘡、全身性エリテマトーデス、ギラン・バレー症候群、アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維化性肺胞炎、グレーブス病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、他の自己免疫障害、膵炎、外傷、手術、移植片対宿主病、移植拒絶反応、心臓疾患、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化、血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、変形性関節症、歯周炎、低酸症;胎児母体耐性の欠如に関連する不妊症;シェーグレン症候群、白斑、重症筋無力症、ならびに全身性硬化症からなる群より選択される障害を処置するための、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項22】
前記PD-1経路障害が、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、巨細胞性動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、及び炎症性腸疾患からなる群より選択される、請求項19に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項23】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、非経口経路、静脈内経路、又は皮下経路により投与される、請求項1922のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメント。
【請求項24】
PD-1経路障害を処置するための医薬の製造における、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの使用。
【請求項25】
慢性炎症性疾患又は急性炎症性疾患を処置するための医薬の製造における、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの使用。
【請求項26】
関節炎、関節リウマチ、喘息、COPD、骨盤内炎症性疾患、アルツハイマー病、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、ペイロニー病、セリアック病、胆嚢疾患、毛巣病、腹膜炎、乾癬、乾癬性関節炎、血管炎、外科的癒着、脳卒中、I型糖尿病、ライム病、髄膜脳炎、自己免疫性ぶどう膜炎、多発性硬化症、狼瘡、全身性エリテマトーデス、ギラン・バレー症候群、アトピー性皮膚炎、自己免疫性肝炎、線維化性肺胞炎、グレーブス病、IgA腎症、特発性血小板減少性紫斑病、メニエール病、天疱瘡、原発性胆汁性肝硬変、サルコイドーシス、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、他の自己免疫障害、膵炎、外傷、手術、移植片対宿主病、移植拒絶反応、心臓疾患、心筋梗塞、アテローム性動脈硬化、血管内凝固、骨吸収、骨粗鬆症、変形性関節症、歯周炎、低酸症;胎児母体耐性の欠如に関連する不妊症;シェーグレン症候群、白斑、重症筋無力症、ならびに全身性硬化症からなる群より選択される障害を処置するための医薬の製造における、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントの使用。
【請求項27】
前記PD-1経路障害が、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、巨細胞性動脈炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、及び炎症性腸疾患からなる群より選択される、請求項24に記載の使用。
【請求項28】
前記抗体又はその抗原結合フラグメントが、非経口経路、静脈内経路、又は皮下経路により投与される、請求項24~27のいずれか一項に記載の使用。
【請求項29】
請求項1~16のいずれか一項に記載の抗PD-1抗体又はその抗原結合フラグメントをコードする、単離ポリヌクレオチド。
【請求項30】
請求項1、2及び4のいずれか一項に記載の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項31】
請求項7~15のいずれか一項に記載の重鎖及び/又は軽鎖をコードする単離ポリヌクレオチド。
【請求項32】
請求項29~31のいずれか一項に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。
【請求項33】
請求項32に記載の発現ベクターを含む宿主細胞。
【請求項34】
細胞が哺乳動物細胞である、請求項33に記載の宿主細胞。
【請求項35】
- 請求項1、2及び4のいずれか一項に記載の重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター及び請求項1、2及び4のいずれか一項に記載の軽鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む宿主細胞を、抗体の形成を可能にする条件下でエキソビボ培養する工程、ならびに
- 前記抗体を回収する工
を含む、抗体を製造する方法。
【請求項36】
前記宿主細胞が、請求項7~15のいずれか一項に記載の重鎖をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクター及び請求項7~15のいずれか一項に記載の軽鎖をコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記抗体を精製する工程をさらに含む、請求項35又は36に記載の方法。
【請求項38】
前記抗体を医薬組成物中に製剤化する工程をさらに含む、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
第1の抗PD-1アゴニスト抗原結合部位及び第2の抗原結合部位を含む多重特異性抗体であって、前記第1の抗PD-1アゴニスト抗原結合部位が、請求項1、2及び4~6のいずれか一項に記載の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含む、多重特異性抗体
【請求項40】
前記第2の抗原結合部位が、抗CD48結合部位、抗CD2結合部位、抗CD11a結合部位、又は抗CD3結合部位である、請求項39に記載の多重特異性抗体
【請求項41】
前記抗体が二重特異性抗体である、請求項39又は40に記載の多重特異性抗体。
【外国語明細書】