(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125374
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20240910BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240910BHJP
H10K 59/131 20230101ALI20240910BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
H10K59/131
G09G3/20 642E
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024103511
(22)【出願日】2024-06-27
(62)【分割の表示】P 2022166751の分割
【原出願日】2005-09-13
(31)【優先権主張番号】P 2004270447
(32)【優先日】2004-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 博之
(72)【発明者】
【氏名】岩淵 友幸
(72)【発明者】
【氏名】福本 良太
(57)【要約】
【課題】発光素子と直列に接続された薄膜トランジスタのオフ電流により、発光素子が微
発光する問題を解決し、表示のコントラストを上げて、明瞭な表示が可能な表示装置及び
その駆動方法を提供する。
【解決方法】発光素子に直列に接続された薄膜トランジスタのオフを選択したときに、発
光素子自体の容量に保持された電荷を放電する。発光素子と直列に接続された薄膜トラン
ジスタにオフ電流が生じても、このオフ電流は発光素子自体の容量が再び所定の電圧を保
持するまでこの容量を充電する。よって、薄膜トランジスタのオフ電流は発光に寄与しな
い。こうして、発光素子の微発光を低減することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のトランジスタと第2のトランジスタと容量と発光素子とを有する画素と、第1の電源線と、第2の電源線とを有し、
前記第1のトランジスタと前記発光素子とは、前記第1の電源線と前記第2の電源線との間に直列に接続され、
前記容量は、前記発光素子と並列に接続され、
前記第2のトランジスタがオン状態となることによって、前記容量の電荷を放電させる機能を有する、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素毎にスイッチング素子を設けたアクティブマトリクス駆動方式の表示装
置及びその駆動方法に関する。特に、発光素子と直列に接続されたスイッチング素子を用
いて、発光素子に流れる電流を制御し発光素子の輝度を制御する表示装置及びその駆動方
法に関する。特に、発光素子としてダイオード特性を有する素子を用いた表示装置及びそ
の駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スイッチング素子として薄膜トランジスタを用いた表示装置及びその駆動方法が提案さ
れている。
図8(a)にその画素構成の一例を示す。
【0003】
図8(a)において、105は発光素子、102は薄膜トランジスタ、103は第1の
電源線、104は第2の電源線である。発光素子105は、2つの電極を有し、2つの電
極間に電流が流れると流れた電流値に応じた輝度で発光する素子である。発光素子105
の2つの電極のうち一方を第1の電極105aで示し、他方を第2の電極105bで示す
。
図8(a)に示す画素では、薄膜トランジスタ102のゲートに与えられる電位G1に
応じて、薄膜トランジスタ102のソースとドレインの間を流れる電流(以下、ドレイン
電流と表記する)の値が制御される。薄膜トランジスタ102のドレイン電流は、薄膜ト
ランジスタ102に直列に接続された発光素子105の第1の電極105aと第2の電極
105bの間を流れる。発光素子は、流れる電流に応じた輝度で発光する。こうして、薄
膜トランジスタ102のドレイン電流を制御することによって、発光素子105の輝度を
制御し表示を行う。
【0004】
発光素子105としてエレクトロルミネッセンス素子等を用いることができる。エレク
トロルミネッセンス素子は、一方向のみに電流を流すダイオード特性を有する素子である
。
図8(a)の発光素子105をダイオードの表記としたものを
図8(b)に示す。
図8
(b)では、第1の電極105aが陽極となり、第2の電極105bは陰極となっている
。
【0005】
発光素子105に順バイアス電圧を印加し発光させるだけでなく、定期的に逆バイアス
電圧を印加する表示装置及びその駆動方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図8(b)において、発光素子105を発光させず「黒」を表示する場合を考える。電
位G1を適当に定めることによって、薄膜トランジスタ102のソースとゲートの電位差
を薄膜トランジスタ102のしきい値電圧以下にし、薄膜トランジスタ102をオフにす
る。こうして、薄膜トランジスタ102のドレイン電流をゼロにして、発光素子105を
発光させず「黒」を表示する。しかし、ソースとゲートにしきい値電圧以下の電圧を印加
したとき薄膜トランジスタ102が完全にオフすれば良いが、実際には完全にはオフにな
らずわずかながらドレイン電流が流れる。この電流を図中I
offで示し以下オフ電流と表
記する。オフ電流I
offによって、本来発光しないはずの発光素子が発光してしまう(以
下、これを黒浮きと表記する)。そのため、表示のコントラストが悪くなるという問題が
ある。
【0008】
特に、発光素子105を順バイアスで動作させ続けた場合、即ち、第1の電極105a
(陽極)の電位が第2の電極105b(陰極)の電位よりも高くなるように動作させ続け
た場合、黒浮きが顕著になるという問題を見出した。
【0009】
発光素子105を順バイアスで動作させ続けた場合に黒浮きが顕著になるのは、第1の
電極105aと第2の電極105bの間に常に発光素子105のしきい値電圧程度の電圧
が保持されていることに原因があることを見出した。
【0010】
発光素子のしきい値電圧とは、
図8(c)におけるV
thのことである。
図8(c)は、
発光素子105において、陽極から陰極に流れる電流Iと第2の電極105b(陰極)の
電位に対する第1の電極105a(陽極)の電位の差V
ELとの関係を示す。V
ELがしきい
値電圧V
thより大きくなると電流Iが流れる。即ち、発光素子105は、しきい値電圧V
thより大きな電圧が第1の電極105a(陽極)と第2の電極105b(陰極)の間に印
加されると電流が流れ、発光する。
【0011】
発光素子105の第1の電極105a(陽極)と第2の電極105b(陰極)の間にし
きい値電圧V
th程度の電圧が保持されるのは、発光素子105自体が有する容量の効果で
ある。
図8(d)に、ダイオードの表記とした発光素子を示し、
図8(e)に
図8(d)
の等価回路図を示す。図中等価回路の容量800が発光素子105自体が有する容量に相
当する。容量800によってしきい値電圧V
thが保持される。
【0012】
発光素子105を順バイアスで動作させ続けた場合、薄膜トランジスタ102をオフし
ても第1の電極105a(陽極)が第2の電極105b(陰極)の電位より高い状態が続
き、発光素子105自体の容量800には常にしきい値電圧V
th程度の電圧を保持される
状態となる。そのため、薄膜トランジスタ102にオフ電流I
offが生じると、オフ電流
I
offは、
図8(e)の等価回路の容量800の側の経路801bではなく、ダイオード
802の側の経路801aに流れて発光に寄与する。こうして、発光素子105を順バイ
アスで動作させ続けた場合、黒浮きの問題が顕著となることを本発明者らは見出した。
【0013】
本発明は、上記の黒浮きを低減し表示のコントラストを上げて、明瞭な表示が可能な表
示装置及びその駆動方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
黒浮きを低減するため、本発明の表示装置及びその駆動方法は下記の第1の手段または
第2の手段を用いる。
【0015】
[第1の手段]
発光素子の第1の電極を陽極とし第2の電極を陰極とした場合には、発光素子と直列に
接続された第1の薄膜トランジスタのオフを選択したとき、第1の電極の電位が第2の電
極の電位以上であり、且つ第1の電極と第2の電極間に印加される電圧が発光素子のしき
い値電圧より小さくなるように、第2の電源線の電位を設定する。
【0016】
発光素子の第1の電極を陰極とし第2の電極を陽極とした場合には、発光素子と直列に
接続された第1の薄膜トランジスタのオフを選択したとき、第1の電極の電位が第2の電
極の電位以下であり、且つ第1の電極と第2の電極間に印加される電圧が発光素子のしき
い値電圧より小さくなるように、第2の電源線の電位を設定する。
【0017】
[第2の手段]
発光素子の第1の電極を陽極とし第2の電極を陰極とした場合には、発光素子と直列に
接続された第1の薄膜トランジスタとは別の第2の薄膜トランジスタを設ける。第2の薄
膜トランジスタのソース及びドレインの一方は、発光素子の第1の電極に接続され、他方
は、電源線に接続する。第1の薄膜トランジスタのオフを選択したとき、第2の薄膜トラ
ンジスタのオンを選択し、且つ当該電源線の電位を発光素子の第2の電極の電位以上とし
、当該第2の電極の電位に発光素子のしきい値電圧をたした電位よりも低くする。
【0018】
発光素子の第1の電極を陰極とし第2の電極を陽極とした場合には、発光素子と直列に
接続された第1の薄膜トランジスタとは別の第2の薄膜トランジスタを設ける。第2の薄
膜トランジスタのソース及びドレインの一方は、発光素子の第1の電極に接続され、他方
は、電源線に接続する。第1の薄膜トランジスタのオフを選択したとき、第2の薄膜トラ
ンジスタのオンを選択し、且つ当該電源線の電位を発光素子の第2の電極の電位以下、当
該第2の電極の電位から発光素子のしきい値電圧を引いた電位よりも高くする。
【0019】
なお、第2の薄膜トランジスタが接続される電源線は、発光素子の第2の電極が接続さ
れる電源線と共用することもできる。
【0020】
また、第1の手段、第2の手段において、第1の薄膜トランジスタとして活性層が多結
晶半導体でなる薄膜トランジスタを用いることができる。
【0021】
上記第1の手段または第2の手段において、次の第3の手段を組み合わせることができ
る。
[第3の手段]
発光素子と並列に接続された容量素子を設ける。
即ち、一方の電極が発光素子の第1の電極と接続され、他方の電極が発光素子の第2の
電極と接続されるように容量素子を設ける。
【発明の効果】
【0022】
本発明の表示装置及びその駆動方法は、発光素子に直列に接続された薄膜トランジスタ
のオフを選択し発光素子の非発光を選択するときに、発光素子自体の容量に保持されたし
きい値電圧に相当する電荷を放電することができる。そのため、発光素子と直列に接続さ
れた薄膜トランジスタにオフ電流が生じても、このオフ電流は発光素子自体の容量が再び
しきい値電圧を保持するまで発光素子自体の容量を充電するために流れる。そのため、発
光素子に直列に接続された薄膜トランジスタのオフを選択した後、薄膜トランジスタのオ
フ電流はしばらく発光に寄与しない。こうして、黒浮きを低減することができる。そのた
め、本発明の表示装置及びその駆動方法は、表示のコントラストを上げて明瞭な表示が可
能である。
【0023】
第1の手段及び第2の手段では、発光素子に直列に接続された薄膜トランジスタのオフ
を選択し発光素子の非発光を選択するときに、発光素子の電極間に印加される電圧を順バ
イアスとし、且つその電圧を発光素子のしきい値電圧より小さくする。第1の手段及び第
2の手段両方において、発光素子に逆バイアス電圧は印加しない。そのため、定期的に発
光素子に逆バイアス電圧を印加する手法と比較して、本発明の表示装置及びその駆動方法
は消費電力を低減することができる。
【0024】
また、第2の手段において、第2の薄膜トランジスタが接続される電源線は、発光素子
の第2の電極が接続される電源線と共用することによって、配線数を減らし、画素の開口
率を向上させることができる。
【0025】
活性層が単結晶半導体や非晶質半導体でなる薄膜トランジスタと比較して、活性層が多
結晶半導体でなる薄膜トランジスタでは結晶粒界等の影響によりオフ電流は大きくなる。
よって本発明は、第1の薄膜トランジスタとして活性層が多結晶半導体でなる薄膜トラン
ジスタを用いる場合に特に有効である。
【0026】
第1の手段または第2の手段において第3の手段を組み合わせることによって、発光素
子に直列に接続された薄膜トランジスタのオフ電流は新たに設けられた容量素子を充電す
るまで当該容量素子に流れる。そのため、発光素子に直列に接続された薄膜トランジスタ
のオフを選択した後、当該薄膜トランジスタのオフ電流が発光に寄与するまでの時間を長
くすることができる。こうして、黒浮きを更に低減することができる。
【0027】
以上のとおり、本発明を用いることにより、表示のコントラストを上げて明瞭な表示が
可能、且つ消費電力が少ない表示装置及びその駆動方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図8】従来の構成を示す(a)及び(b)と、発光素子の構成を示す(c)乃至(e)。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施の形態)
第1の手段と第3の手段を組み合わせた例について、
図1を用いて説明する。
図1にお
いて、105は発光素子、102は薄膜トランジスタ、103は第1の電源線、104は
第2の電源線、101は容量素子、106は電位を設定する手段である。電位を設定する
手段106が第1の手段に対応する。容量素子101が第3の手段に対応する。発光素子
105は、2つの電極を有し、2つの電極間に電流が流れると流れた電流値に応じた輝度
で発光する素子である。発光素子105の2つの電極のうち一方を第1の電極105aで
示し、他方を第2の電極105bで示す。
【0030】
図1(a)を用いて、第1の手段と第3の手段を組み合わせる例について詳述する。
【0031】
発光素子105に直列に接続された薄膜トランジスタ102のオフを選択したときに、
電位を設定する手段106は、発光素子105の電極間に印加される電圧を順バイアスと
し、且つその電圧を発光素子105のしきい値電圧より小さくするように、第2の電源線
104の電位を変化させる。こうして、発光素子105自体の容量に保持された電荷を放
電し、発光素子105の微発光を低減することができる。
【0032】
発光素子105に直列に接続された薄膜トランジスタ102のオンを選択したときに、
電位を設定する手段106は、発光素子105の電極間に印加される電圧を順バイアスと
し、且つその電圧を発光素子105のしきい値電圧以上とするように、第2の電源線10
4の電位を変化させる。ゲートに与えられる電位G1に応じて流れる薄膜トランジスタ1
02のドレイン電流は、発光素子105に流れる。発光素子105は当該ドレイン電流に
応じた輝度で発光する。こうして、発光素子105の輝度を制御し表示を行う。
【0033】
電位を設定する手段106は、例えば、異なる電位が与えられる2つの端子(第1の端
子、第2の端子という)とスイッチとを有する構成の回路とすることができる。当該スイ
ッチは、当該第1の端子と第2の電源線104との接続、または当該第2の端子と第2の
電源線104との接続を選択する。薄膜トランジスタ102のオフを選択したときに当該
スイッチは当該第1の端子と第2の電源線104との接続を選択し、薄膜トランジスタ1
02のオンを選択したときに当該スイッチは当該第2の端子と第2の電源線104との接
続を選択する。第1の端子には、第1の電源線103に与えられる電位との関係において
、発光素子105の電極間に印加される電圧を順バイアスとし、且つその電圧を発光素子
105のしきい値電圧より小さくするような電位が与えられている。また、第2の端子に
は、第1の電源線103に与えられる電位との関係において、発光素子105の電極間に
印加される電圧を順バイアスとし、且つその電圧を発光素子105のしきい値電圧以上と
するような電位が与えられている。
【0034】
1フレーム期間内に発光素子105が発光した時間を制御することで階調を表現するこ
ともできる。
【0035】
容量素子101は、一方の電極が第1の電極105aと接続され、他方の電極が第2の
電極105bと接続されている。即ち、発光素子105と並列に容量素子101が接続さ
れている。発光素子105に直列に接続された薄膜トランジスタ102のオフ電流は新た
に設けられた容量素子101を充電するまで容量素子101に流れる。そのため、発光素
子105に直列に接続された薄膜トランジスタ102がオフした後、薄膜トランジスタ1
02のオフ電流が発光に寄与するまでの時間を長くすることができる。こうして、黒浮き
を更に低減することができる。
【0036】
発光素子105としてエレクトロルミネッセンス素子等を用いることができる。エレク
トロルミネッセンス素子は、一方向のみに電流を流すダイオード特性を有する素子である
。
図1(a)の発光素子105をダイオードの表記としたものを
図1(b)及び
図1(c
)に示す。
図1(b)では、第1の電極105aが陽極となり、第2の電極105bは陰
極となっている。
図1(c)では、第1の電極105aが陰極となり、第2の電極105
bは陽極となっている。
【0037】
図1(b)における電位を設定する手段106について説明する。
【0038】
薄膜トランジスタ102のオンを選択したときには、第1の電極105aの電位が第2
の電極105bの電位より高く、且つ第1の電極105aと第2の電極105b間に印加
される電圧が発光素子105のしきい値電圧より大きくなるように、第2の電源線104
の電位を設定して発光素子105を発光させる。
【0039】
薄膜トランジスタ102のオフを選択したときには、第1の電極105aの電位が第2
の電極105bの電位以上であり、且つ第1の電極105aと第2の電極105b間に印
加される電圧が発光素子105のしきい値電圧より小さくなるように、第2の電源線10
4の電位を設定して発光素子105を発光させない。
【0040】
図1(c)における電位を設定する手段106について説明する。
【0041】
薄膜トランジスタ102のオンを選択したときには、第1の電極105aの電位が第2
の電極105bの電位より低く、且つ第1の電極105aと第2の電極105b間に印加
される電圧が発光素子105のしきい値電圧より大きくなるように、第2の電源線104
の電位を設定して発光素子105を発光させる。
【0042】
薄膜トランジスタ102のオフを選択したときには、第1の電極105aの電位が第2
の電極105bの電位以下であり、且つ第1の電極105aと第2の電極105b間に印
加される電圧が発光素子105のしきい値電圧より小さくなるように、第2の電源線10
4の電位を設定して発光素子105を発光させない。
【0043】
(第2の実施の形態)
第2の手段と第3の手段を組み合わせた例について、
図2を用いて説明する。
図2にお
いて、
図1と同じ部分は同じ符号を用いて示し、説明は省略する。107は薄膜トランジ
スタである。薄膜トランジスタ107及び第3の電源線204が第2の手段に対応する。
容量素子101が第3の手段に対応する。
【0044】
図2(a)を用いて、第2の手段と第3の手段を組み合わせる例について詳述する。
【0045】
発光素子105に直列に接続された薄膜トランジスタ102のオフを選択したときに、
ゲートに与えられる電位G2を制御することによって薄膜トランジスタ107のオンを選
択する。こうして、第1の電極105aに第3の電源線204の電位が与えられる。薄膜
トランジスタ107のオンを選択したとき、第2の電源線104と第3の電源線204と
の電位差は、ゼロ以上、発光素子105のしきい値電圧よりも低くなるよう設定されてい
る。こうして、発光素子105自体の容量に保持された電荷を放電し、発光素子105の
微発光を低減することができる。
【0046】
第2の電源線104と第3の電源線204を共用することもできる。こうして、配線数
を減らして画素の開口率を向上させることができる。
【0047】
発光素子105に直列に接続された薄膜トランジスタ102のオンが選択されたときに
、ゲートに与えられる電位G2を制御することによって薄膜トランジスタ107のオフを
選択する。ゲートに与えられる電位G1に応じて流れる薄膜トランジスタ102のドレイ
ン電流は、発光素子105に流れる。発光素子105は当該ドレイン電流に応じた輝度で
発光する。こうして、発光素子105の輝度を制御し表示を行う。
【0048】
1フレーム期間内に発光素子105が発光した時間を制御することで階調を表現するこ
ともできる。
【0049】
容量素子101を設けることによって、発光素子105に直列に接続された薄膜トラン
ジスタ102のオフを選択した後、薄膜トランジスタ102のオフ電流が発光に寄与する
までの時間を長くすることができる。こうして、黒浮きを更に低減することができる。
【0050】
発光素子105としてエレクトロルミネッセンス素子等を用いることができる。エレク
トロルミネッセンス素子は、一方向のみに電流を流すダイオード特性を有する素子である
。
図2(a)の発光素子105をダイオードの表記としたものを
図2(b)及び
図2(c
)に示す。
図2(b)では、第1の電極105aが陽極となり、第2の電極105bは陰
極となっている。
図2(c)では、第1の電極105aが陰極となり、第2の電極105
bは陽極となっている。
【0051】
(第3の実施の形態)
第1の手段と第3の手段を組み合わせた例について、
図3を用いて説明する。
図3にお
いて、
図1と同じ部分は同じ符号を用いて示し説明は省略する。
【0052】
図3(a)及び
図3(b)は、
図1(a)において容量素子108を設けたものである
。容量素子108は、薄膜トランジスタ102のゲートとソース間の電圧を保持するよう
に設けられる。
図3(a)は、第1の電源線103と接続された側が薄膜トランジスタ1
02のソースとなっている例である。
図3(b)は、発光素子105の第1の電極105
aと接続された側が薄膜トランジスタ102のソースとなっている例である。
【0053】
薄膜トランジスタ102のドレイン電流は、薄膜トランジスタ102のソースの電位に
対するゲートの電位G1の電位差によって変化する。薄膜トランジスタのゲートの電位G
1を制御してもソースの電位が変動すると、ソースの電位に対するゲートの電位の電位差
が変化しドレイン電流が変化してしまう。そのため、薄膜トランジスタ102のソースを
一定の電位に保つのが好ましい。よって、
図3(a)のように、第1の電源線103と接
続された側が薄膜トランジスタ102のソースとなっているのが好ましい。
【0054】
図3(c)及び
図3(d)は、
図3(a)において発光素子105をダイオードの表記
としたものである。
図3(c)では、第1の電極105aが陽極となり、第2の電極10
5bは陰極となっている。
図3(d)では、第1の電極105aが陰極となり、第2の電
極105bは陽極となっている。
【0055】
図3(c)では、第1の電源線103から第2の電源線104の方向に電流が流れ、発
光素子105は発光する。薄膜トランジスタ102の第1の電源線103に接続された側
の電位は、発光素子105の第1の電極105aに接続された側の電位より大きくなる。
薄膜トランジスタ102のソースを第1の電源線103に接続された側とするために、薄
膜トランジスタ102をPチャネル型とする。
【0056】
図3(d)では、第2の電源線104から第1の電源線103の方向に電流が流れ、発
光素子105は発光する。薄膜トランジスタ102において、発光素子105の第1の電
極105aに接続された側の電位は、第1の電源線103に接続された側の電位より大き
くなる。薄膜トランジスタ102のソースを第1の電源線103に接続された側とするた
めに、薄膜トランジスタ102をNチャネル型とする。
【0057】
(第4の実施の形態)
第2の手段と第3の手段を組み合わせた例について、
図4を用いて説明する。
図4にお
いて、
図2や
図3と同じ部分は同じ符号を用いて示し説明は省略する。
【0058】
図4(a)及び
図4(b)は、
図2(a)において容量素子108を設けたものである
。容量素子108は、薄膜トランジスタ102のゲートとソース間の電圧を保持するよう
に設けられる。
図4(a)は、第1の電源線103と接続された側が薄膜トランジスタ1
02のソースとなっている例である。
図4(b)は、発光素子105の第1の電極105
aと接続された側が薄膜トランジスタ102のソースとなっている例である。
【0059】
図4(a)では、
図3(a)と同様に第1の電源線103と接続された側が薄膜トラン
ジスタ102のソースとなっているので好ましい。
【0060】
図4(c)及び
図4(d)は、
図4(a)において発光素子105をダイオードの表記
としたものである。
図4(c)では、第1の電極105aが陽極となり、第2の電極10
5bは陰極となっている。
図4(d)では、第1の電極105aが陰極となり、第2の電
極105bは陽極となっている。
【0061】
図4(c)では、薄膜トランジスタ102のソースを第1の電源線103に接続された
側とするため、薄膜トランジスタ102をPチャネル型とする。
図4(d)では、薄膜ト
ランジスタ102のソースを第1の電源線103に接続された側とするため、薄膜トラン
ジスタ102をNチャネル型となる。
【実施例0062】
発明を実施するための最良の形態に示した構成を用いた画素の具体例について、
図5を
用いて説明する。
図5において、
図1乃至
図4と同じ部分は同じ符号を用いて示し説明は
省略する。
【0063】
図5(a)は、
図1(a)の構成において、薄膜トランジスタ102のゲートに電位G
1を入力する手段の具体例を示した図である。
図5(b)は、
図2(a)の構成において
、薄膜トランジスタ102のゲートに電位G1を入力する手段の具体例を示した図である
。
図5(c)は、
図3(a)の構成において、薄膜トランジスタ102のゲートに電位G
1を入力する手段の具体例を示した図である。
図5(d)は、
図4(a)の構成において
、薄膜トランジスタ102のゲートに電位G1を入力する手段の具体例を示した図である
。
【0064】
図5(a)乃至
図5(d)において、500は画素、501は薄膜トランジスタ、50
2は信号線、503は走査線である。薄膜トランジスタ501のソース及びドレインの一
方は信号線502に接続され、他方は薄膜トランジスタ102のゲートに接続されている
。薄膜トランジスタ501のゲートは走査線503に接続されている。
【0065】
図5(a)乃至
図5(d)に示す画素500の構成では、走査線503に入力された信
号により薄膜トランジスタ501のオンが選択されると、信号線502に入力された信号
が薄膜トランジスタ102のゲートに入力される。こうして、薄膜トランジスタ102の
オンとオフや、オンとなったときのドレイン電流の値を制御する。
【0066】
図5(a)において、薄膜トランジスタ102のオンを選択した場合とオフを選択した
場合それぞれにおける、電位を設定する手段106の動作については、第1の実施の形態
と同様である。
図5(b)において、薄膜トランジスタ102のオンを選択した場合とオ
フを選択した場合それぞれにおける、薄膜トランジスタ107の動作については、第2の
実施の形態と同様である。
図5(c)において、薄膜トランジスタ102のオンを選択し
た場合とオフを選択した場合それぞれにおける、電位を設定する手段106の動作につい
ては、第3の実施の形態と同様である。
図5(d)において、薄膜トランジスタ102の
オンを選択した場合とオフを選択した場合それぞれにおける、薄膜トランジスタ107の
動作については、第4の実施の形態と同様である。
【0067】
実施例1は、発明を実施するための最良の形態と自由に組み合わせることができる。