(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012539
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ピザ製品、ピザ製品用包装材、並びにピザ製品のための調理及び配送方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/34 20060101AFI20240123BHJP
A23L 5/10 20160101ALI20240123BHJP
A23L 35/00 20160101ALI20240123BHJP
A23L 5/00 20160101ALI20240123BHJP
A21D 13/41 20170101ALI20240123BHJP
【FI】
B65D81/34 U
A23L5/10 C
A23L5/10 F
A23L35/00
A23L5/00 G
A21D13/41
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023190495
(22)【出願日】2023-11-08
(62)【分割の表示】P 2021530312の分割
【原出願日】2019-11-27
(31)【優先権主張番号】62/773,843
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ジップロック
(71)【出願人】
【識別番号】521230148
【氏名又は名称】ワイエーイー,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】フィッシュマン,フェルナンド,ベンジャミン
(57)【要約】
【課題】本発明は、加熱後に組み合わされる2種類の生地を利用して別々に準備されるピザ製品に関する。
【解決手段】生地は異なる特性を有し、異なる材料と組み合わせて加熱される。両方の生地のための加熱プロセスは異なる湿度条件下で行われ、単純に従来の電子レンジで行われてよい。本発明はまた、このようなピザの準備のための装置と方法のほか、中央配達ステーションからピザを配達でき、ピザ製品を準備及び/又は調理するための1つ又は複数の加工場所(例えば、実店舗のチェーン)を持つ必要がない、革新的な配達プロセスも含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カリッとしたクラストである下側部分とペースト様の製品である上側部分を有するピザ製品において、
a)第一の生地部であって、高いカリカリさ特性を有し、前記第一の生地部が低湿度条件下で加熱されたときに、前記第一の生地部は安定し且つカリッとした特性を保持するような第一の生地部と、
b)トマトジェル様の風味付きジェル等の高水分製品と組み合わせられたスポンジ状生地を含む第二の生地部であって、前記高水分製品から水分を捕捉する第二の生地部と、
を含み、
前記第一及び第二の生地部の加熱の後に、前記第二の生地部、前記高水分製品、及び追加材料は前記第一の生地部の上に載せられて、前記ピザ製品が形成されるピザ製品。
【請求項2】
前記高水分要素は、トマトで風味付けされたジェル、又はトマトペースト、又は生のトマト、湯剥きトマトその他を含む、請求項1に記載のピザ製品。
【請求項3】
前記第一の生地部はパイ生地であり、第二の生地部はサンドイッチ用パン又はスポンジケーキである、請求項2に記載のピザ製品。
【請求項4】
前記追加材料は、チーズ、ペパロニ、野菜、肉製品及びオレガノ等のトッピング、その他を含む、請求項1に記載のピザ製品。
【請求項5】
加熱プロセスの実行中に、前記第二の生地部を前記関連する高水分製品及び追加材料と共に収容するための電子レンジ対応容器をさらに含み、前記容器は加熱中に、水蒸気飽和状態の制御された高湿度環境を保持し、加熱後、前記第二の生地部と前記高水分製品はペースト様の食感を得る、請求項1に記載のピザ製品。
【請求項6】
前記第一の生地部は従来のオーブンで予備調理される、請求項1に記載のピザ製品。
【請求項7】
前記トッピングは事前に脱水される、請求項1に記載のピザ製品。
【請求項8】
ピザ製品を準備する方法において、
- パイ生地のような、カリッとした特性を有する予備焼成された生地を提供し、
- サンドイッチ用パン又はスポンジケーキのような、スポンジ状生地を提供し、
- 前記カリッとした生地を、そのカリカリさ特性を保持するために低湿度条件下で加熱するステップと、
- 前記スポンジ状生地の中に、トマトジェルのような、加熱されると水分を生成する高水分製品を組み込み、好ましくはまた、チーズ及びトッピング等の追加材料を前記高水分製品上に追加するステップと、
- 前記スポンジ状生地を、前記高水分製品及び追加材料と共に、電子レンジで加熱される際に高い湿度レベルを保持することのできる容器の中に入れるステップと、
- 前記スポンジ状生地を前記高水分製品及び追加材料と共に収容する前記容器を加熱して、前記加熱製品のペースト状食感を生じさせるステップと、
- 前記加熱されたスポンジ状生地と前記高水分製品及び追加材料から得られた前記ペースト状製品を前記加熱され、カリッとした生地の上に載せて、高いカリカリさと高い水分を有する最終的なピザ製品を生成するステップと、
を含み、
前記カリッとした生地と前記容器は、電子レンジで同時に加熱される方法。
【請求項9】
前記加熱された上側生地は前記底側のカリッとした生地の上に上下逆に載せられ、その後、これらの両方が加熱され、その後、結果として得られた層状製品が裏返しにされてから前記包装材が取り除かれる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記カリッとした生地は、10秒~60秒の時間にわたり加熱される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記カリッとした生地は、電子レンジ、トースタ、又は対流式オーブン等の乾燥加熱設備の中で加熱される、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記カリッとした生地は、厚紙又は紙等の水分吸収材料と共に加熱される、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記容器は電子レンジ内で、800Wの平均出力で10~40秒の時間にわたり加熱される、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
厚紙又は紙箱等、組立前のピザ製品の加熱に閉じられた箱が使用される場合、加熱時間は2分超に長くなる、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記スポンジ状生地、前記高水分製品、及び追加材料を加熱することから得られる前記ペースト様製品は、前記電子レンジ対応袋から、前記袋の一部を切ることによって取り出される、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記スポンジ状生地、前記高水分製品、及び追加材料を加熱することから得られる前記ペースト様製品は、前記電子レンジ対応袋から、前記ペースト様合成物を前記袋の閉じられた部分から前記袋の開いた部分への方向へと押すことによって取り出される、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
前記カリッとした生地は従来のオーブンで予備焼成されている、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
ピザ製品のための包装容器において、
- カリッとした第一の生地部を加熱するための下側部分と、
- 第二の生地部、高水分製品、及び追加材料を閉じた環境中で加熱するための上側部分であって、前記高水分製品中に水分が存在する状態の湿潤加熱条件を生成して、ペースト様製品が前記材料から形成されるように配置され、構成される上側部分と、
- 前記上側部分を前記下側部分から分離する中央セクションであって、前記上側部分からの前記ペースト様製品を前記加熱されたカリッとした第一の生地部分へと移動させ、それによって前記完成したピザ製品が形成されるように配置され、構成される中央セクションと、
を含む包装容器。
【請求項19】
第三の生地が提供され、前記第三の生地は食べることができ、前記電子レンジ対応容器の一部であり、前記第一の生地と第二の生地との間の分離層として機能する、請求項18に記載の包装容器。
【請求項20】
前記第三の生地は前記電子レンジ対応容器の下面に対応し、これによって前記最終的なピザ製品の組み立てが容易になる、請求項19に記載の包装容器。
【請求項21】
前記組立プロセスは、プラスチックフィルム又は分離手段を前記パッケージの両方のセクション間から取り除くステップを含み、前記上側生地は前記下側生地の上に上下逆に載せられ、その後、前記パッケージ全体を裏返して、前記最終的な組み立てられたピザ製品が得られる、請求項19に記載の包装容器。
【請求項22】
ピザ製品の配達プロセスにおいて、
- 前記ピザ製品を構成する部分を準備する実店舗である少なくとも1つの準備ハブを提供するステップであって、このような準備ハブは、効率的な配送のために戦略的に配置された冷蔵トラック又は物理的場所等の少なくとも1つの配送ハブに加熱前ピザ製品を提供するようなステップと、
- 前記加熱前ピザ製品を前記配送ハブを通じて配送するステップであって、前記少なくとも1つの配送ハブは、前記ピザ製品の適当な冷蔵温度を保持するための冷蔵設備を装備するようなステップと、
- 2つの生地部を含む前記ピザ製品を、ポータブル電子レンジ装置を装備する、配達車、バイク、又は同様の手段等の移動輸送手段を通じて輸送するステップであって、前記ポータブル電子レンジ装置により、前記ピザ製品の両方の部分、すなわち生地Aと、生地Bを高水分製品及び追加材料と共に収容する容器とを、短時間で加熱できるようなステップと、
- 最終配達先地点までの途中で、又は最終目的地到着時に、前記移動配達手段上で加熱プロセスを実行するステップと、
- 前記加熱されたピザ製品を組立可能ベースで配達するステップであって、配達人又は最終消費者の何れかが前述の方法にしたがって前記ピザを組み立てて、同様の配達方法では実現できなかった高いカリカリさと水分を保持する前記最終的なピザ製品を得るようなステップと、
を含み、
インスタントピザ製品は、ごく低コストで、短時間に、加熱された状態で、高いカリカリさと水分を保ちながら配達される、配達プロセス。
【請求項23】
前記中央配送ハブは固定された場所である、請求項22に記載の配達プロセス。
【請求項24】
前記ピザ製品は加熱前の状態で配達され、前記最終消費者が前記2つの生地部を加熱し、前記最終的なピザ製品を組み立てることを担当する、請求項22に記載の配達プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2019年11月27日にPCT国際特許出願として出願されており、2018年11月30日に出願された米国特許出願第62/773,843号の優先権を主張するものであり、同仮出願の全開示を参照によってすべて本願に援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は一般にピザ製品に関し、より詳しくは2種生地ピザ製品に関し、さらにより詳しくは、第一の生地が高いカリカリさ特性を有し、第二の生地がスポンジ状の生地である、2種生地ピザ製品に関する。本発明はまた、ピザ製品のための、好ましくは最終消費者へのピザ製品の配達とピザ製品の加熱の両方のための、包装材にも関する。本発明はさらにまた、ピザ製品のための任意選択的な配達/配送モデルの実施形態にも関する。
【背景技術】
【0003】
背景
ピザ市場は米国において最も重要な食品市場の1つであり、ピザは消費者の間で非常に人気が高い。2014年に、米国農務省は1日にアメリカ人の8人に1人がピザを食べると推測した。米国のピザレストランの売上げは470億ドルを上回り、2019年の米国のピザ小売売上高は55億ドルに維持されると予測され、その売上げの80%余りを冷凍ピザ市場が占める。全世界では、ピザ市場は1,340億ドル市場へと成長した。
【0004】
ピザを取り巻く市場は、その大半をほぼ3つの別々のカテゴリに集中させることができ、これらはそれぞれ異なる課題と問題を有する:
1.ファストフードピザ市場
2.ピザ配達市場
3.作りたて、及び冷凍ピザ小売市場
【0005】
i.ファストフード
ファストフードピザ市場は大小規模のチェーンを含み、Domino’s、Little Caesars、Papa John’s Pizza、及びPizza Hut等の名前が広く知られている。これらのピザチェーンの多くは世界各地に何千もの小規模施設を有しており、その目的はピザ製品を準備し、調理し、最終消費者に販売することである。これらの施設の一部は、その場で食べるための小さいレストランエリアを含むことがあるが、最も一般的な形態は、大型のピザ準備及び調理セクションと、ほとんどが顧客によるピザの購入と受取り専用のごく小さい顧客受取りセクションを有する、比較的小さい店舗である。要約すれば、この種の店舗は、配達、テイクアウト、テイクンベイク、及びイートイン機能を提供できる。
【0006】
一般に、ファストフードピザ店の最も重要な部分は焼き窯であり、歴史的に、ピザは薪を使用するレンガの焼き窯で焼かれていた。しかしながら、より速く、より自動的なピザ調理の必要性から、以下のような代替的手段が増えている:
- 比較的小型であるだけでなく、調理能力が一度に数枚のピザに限定される、より小規模なレストランに最も適した対流式オーブン。この種のオーブンはまた、ドアが開けられた後、又は低温の製品が追加されたときに適正な調理温度に到達するのにかかる時間を指す「温度回復時間」がより長い。
- 大量販売店で非熟練作業者による生産量を高めるのを助けるコンベヤオーブン。ベルトの調節可能な速度と一定の熱により、調理時間は自動的に増大するが、これらの最大の欠点は、そのサイズの大きさとコストである。
【0007】
そのほかに必要な設備と空間には、生地ミキサ、冷蔵冷凍庫、生地のための大型作業台及びピザ準備台(トッピングとチーズが置かれる)、ピザ用パン及び器具と、保温キャビネット及び配達用パッケージが含まれる。
【0008】
例えば、従来のDomino’sの店舗は平均約1,500平方フィートで、約6~7人の人員を雇用し、フルサービスのイートインエリアは提供しない。一般に、注文を受けると、このピザ店は生地のカットと引き伸ばしを始め、ソースを塗り、チーズをのせ、注文のトッピングを追加し、これには通常4~5分かかる。次にピザはオーブンにセットされ、約550°Fのコンベヤオーブンタイプで調理するのに約7分かかる。すると、ピザはカットされ、配達用の箱に詰められる。したがって、プロセス全体は約12分続き、ビザが完成する(すぐに利用可能な新鮮な生地があることを前提とする)。
【0009】
それに加えて、高温のオーブンで調理されるファストフードピザは一般に、チーズとトッピングが焦げ、比較的ぱさついた上部とふやけたクラスト(ピザの上の具材の水分を吸収している)となり得る。クラストのカリカリさはすぐに気付かれ、時にはそれによってピザの残りの部分から風味が取り除かれ得る。高温のオーブンは原料を乾燥させる傾向があり、その結果、チーズとトッピングのボリュームが減り、風味が損なわれる。また、このようなオーブンは、常にオンの状態にしておく必要があり、エネルギ消費量が大きく、また、ピザが1枚も調理されないデッドタイムも長い。したがって、加熱と焼成プロセスに時間がかかり、一般に、トッピングが乾燥する。
【0010】
ii.配達
米国では消費者がクイックサービスピザに使う金額は毎年約330億米国ドルと推定されており、ピザの配達が市場全体のうちの約100億ドルを占める。
【0011】
ファストフードレストランからの配達オプションに関して、この部分は常に幾つかの問題を伴い、これはふやけて油っこいピザ、柔らかいクラスト、冷めた温度、トッピングの具材が乱雑になる等に係る。
【0012】
長年にわたり、配達プロセスを改善するために、例えば以下のような様々な努力が払われている:
- ピザをパッケージ(通常、厚紙の箱)から分離するための、Crustsave(商標)等のメッシュ状カバー又はスクリーンの使用
- 配達先までの輸送中にピザの適正温度を保持することを目的とした、温度調整及び保持袋及びシステム(例えば、米国特許第6,281,477号参照)
- トッピング具材が乱雑になるのを回避するためにピザボックスの傾斜を示す傾斜アラームを備える配達用袋及び容器(例えば、米国特許第5,270,686号参照)
- 配達時にクラストがふやけるのを回避するための水分吸収ピザボックス(例えば、米国特許第6,932,267号、米国特許第4,922,626号等参照)。
【0013】
テクノロジ企業であるApple(登録商標)まで、特殊なピザ輸送箱の特許を取得しており、これは容器の蓋に一連の穴を有し、空気を排出でき、したがってクラストがふやけないようにするのを助けるように設計されている。
【0014】
例えば米国特許第4556046A号等、配達途中でのピザの準備及び/又は調理を考慮したピザの準備及び配達用車両を開示することにおける改良もある。しかしながら、ピザの実際の配達プロセスに関する改良は常に、準備及び/又は調理プロセスを店舗から移動設備へと移行させて、このようなプロセスを配達途中で行うことに関している。したがって、準備及び/又は調理プロセスを店舗からトラック等の移動配達手段へと移行させることで、配達プロセスに含めなければならない必要な空間、設備、及び労働力から多くの要求事項と高いコストが生じる。よい例が、大規模ピザチェーンの配達プロセスはこのように行われていないことであり、今日のニーズに対する本当に解決策ではない。
【0015】
したがって、世界中のピザ製品改革の約10%は米国発祥であるが、これらの改良の全てがこれらの問題を解決できているわけではない。
【0016】
さらに、ピザが冷めた状態で届き、従来の電子レンジで再加熱されると、ピザは配達時よりさらにもっとふやける。他方で、従来のオーブンで再加熱されると、最終的な食感はパサついた状態となり(配達及びオーブンによる追加の加熱プロセスの温度からその水分のほとんどが失われるため)、それに加えて調理時間のほかにオーブンの予熱のために何分も待たなければならない。
【0017】
iii.冷蔵の作りたて、又は冷凍ピザ小売市場
冷蔵の作りたて、及び冷凍ピザ小売市場は米国だけで50億ドル市場であり、年間成長率は0.2%から5年後には0.5%に延びると予想されている。この50億ドル市場のうち、約80~90%が冷凍ピザ小売売上高に当たる。
【0018】
冷凍ピザは歴史的に最も人気の高い冷凍食品に挙げられ、カスタム化が非常にフレキシブルであることから、何年にもわたり多くの事業者が消費者動向に打ち勝つような様々な新製品を提供するために新たな戦略を考案してきた。米国内の冷蔵ピザの上位ブランドには、Di Giorno、Red Baron、Tombstone等があり、最大手メーカはNestle’s USAで、その市場シェアは43%を超え、それにシェア19%のSchwan Food Co.が続く。
【0019】
また、ここ数年では個人用サイズのピザがますます人気を集めており、日常の軽食時の消費者の通常行動の一部となりつつある。
【0020】
消費者は、ピザをレストランから買う代わりに冷凍ピザを購入することが、配達やテイクアウトより素早く手軽な食事、より安上がり、より長持ち、より手っ取り早いことに即している、と示している。また、薄いクラストが米国の消費者により好まれており、その次がレギュラクラストである。
【0021】
しかしながら、冷蔵及び冷凍ピザの調理時間は、ピザが冷蔵庫/冷凍庫から取り出されて出来上がりの状態である時点からの全体の時間を指すが、それが比較的長い。ほとんどの冷蔵及び冷凍ピザ製品は、従来のオーブンで加熱されるものとされており、一般に、以下のプロセスを行わなければならない:(1)オーブンを400°Fまで予熱し、これには少なくとも10~15分かかり、(2)ピザを20~25分焼く。両方のプロセスを合わせて30~40分かかる可能性があり、これは最終的な加熱済み製品を得るための長い待ち時間である。
【0022】
それに加えて、電子レンジで加熱されると、冷蔵/冷凍ピザはふやけ、カリッとしたクラストではなくなる。
【0023】
電子レンジ用ピザ市場は、美味しく、高い水分量とカリカリさ特性の保たれる高品質の製品を得るための大した改良がこのところ見られなかったため、広がっていない。一般に、冷凍ピザが電子レンジで加熱されると、クラストはしぼみ、柔らかくふやけ、ゴムのようになるか、又は過度に乾燥して硬くなる(生地の種類による)。また、チーズは均等に溶けないことがあり、べたべたするか、又は最終的に焦げてカラカラになることがあり、一方で、生地とチーズ及びトッピングとの水分量の違いから、ピザのそれ以外の部分は適正に加熱されない。電子レンジは熱よりもむしろ輻射により動作するため、輻射が食品中の分子を運動させ、その周囲で食品は温まり、食品中に水分があると、これらは蒸気となる。蒸気は凝縮し、それが原因で食品がふやけ、焦げ、又は干からびる。
【0024】
したがって、市場は電子レンジで加熱できる製品を紹介しているものの、最終的な品質と味が消費者によって広く受け入れられていないため、成功を収めていない。
【0025】
さらに、指示にしたがって調理したときの冷蔵/冷凍ピザの問題は、加熱プロセスの実行中に水分がチーズ、ソース、及びトッピングを含む上側部分からクラストに移り、したがって水分がクラストに与えられ、そのカリカリさが軽減することである。
【0026】
しかしながら、冷蔵及び冷凍ピザ製品は以下の問題を克服できていない:
A.3分未満という短時間で、加熱して、しっとり且つカリッとした、十分に調理されたピザを提供できること
B.カリッとしたクラストと水分が豊富なチーズ及びトッピングを生成し、上側部分からクラストへ水分の移動を回避するのと同時に、上側部分が過剰に調理され、乾燥するのを回避すること。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
上記の問題に鑑み、ピザの加熱又は調理中にクラストへの水分の移動を回避することなく、カリッとしたクラストと水分豊富なチーズ及びトッピングを有するピザ製品が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0028】
発明の概要
本発明は、現在のファストフード及び小売ピザより多くの水分を含むと同時に、より高いカリカリさを有する高品質のピザに関する。本発明の原理によるピザ製品の実施形態は、加熱後に結合される2種の生地を含み、このような生地は異なる特性を有し、異なる材料と組み合わせて加熱され、両方の生地の加熱プロセスが異なる湿度条件下で行われ、(任意選択により)従来の電子レンジで簡単に行われ得る。さらに、本発明はまた、このようなピザを準備するための装置と方法も提供し、このような準備を利用することには、必要な設備、労働力、及び時間が標準的なファストフード及び小売ピザより少なくて済むという利点がある。さらにまた、本発明は、通常は実店舗のチェーンである、ピザ製品を準備及び/又は調理する1つ又は複数の加工地点を有することなく、中央配達ステーションからピザを配達することを可能にする革新的な配達プロセスにも関する。
【0029】
したがって、本発明の1つの態様によれば、カリカリさと水分がより高く、現在のピザ製品より少ない設備及びより少ない労働力で準備可能なピザ製品が短時間で提供され、これは異なる特性を有し、異なる材料が伴い、異なる湿度条件下で加熱されてからピザ製品が組み立てられ、供される2つの別々の生地の組合せにより形成され、ピザ製品は、生地Aとされる、高いカリカリさ特性を有し、生地Aがその安定し且つカリッとした特性を保持するような低湿度条件下で加熱される、例えばパイ生地等の第一の生地部と、生地Bとされる、トマトジェル様の風味付けされたジェル等の高水分製品と組み合わせられる、サンドイッチ用パン又はスポンジケーキ等のスポンジ状の生地を含む第二の生地部と、を含み、生地Bは高水分製品から水分を捕捉することができ、両方の生地部の加熱プロセス中、生地Bは高水分製品と追加材料と共に生地Aの上に載せられ、最終的なピザ製品が形成される。
【0030】
本発明の他の態様によれば、生地Bをその高水分製品及び追加材料と共に収容して、加熱プロセスを実行できるようにする電子レンジ加熱可能容器が提供され、容器は加熱中に、水蒸気飽和状態の制御された高湿度環境を保持し、加熱後、生地Bと高水分製品がペースト様の食感を得るように配置され、構成される。
【0031】
本発明のまた別の態様によれば、ピザ製品のための配達プロセスが提供され、このプロセスは、物理的な場所であり、そこでピザ製品が準備される少なくとも1つの準備ハブを提供するステップであって、このような準備ハブは、冷蔵トラック又は、効率的な配送のために戦略的に位置付けられた物理的場所等の少なくとも1つの配送ハブに加熱前ピザ製品を提供するようなステップと、加熱前ピザ製品を配送ハブを通じて配送するステップであって、少なくとも1つの配送ハブは、ピザ製品の適当な冷蔵温度を保持するための冷蔵設備を装備するようなステップと、2つの生地部を含むピザ製品を、ポータブル電子レンジ装置を装備する移動輸送手段、例えば配達用の車、バイク、又は同様の手段を通じて輸送するステップであって、ポータブル電子レンジ装置は、ピザ製品の両方の部分、すなわち生地Aと、生地Bを高水分製品及び追加材料と共に収容する容器とを短時間で加熱できるようなステップと、最終的な配達先地点までの途中で、又は最終目的地到着時に、移動配達手段上で加熱プロセスを実行するステップと、加熱済みピザ製品を組立可能ベースで配達するステップであって、配達者又は最終消費者の何れかが事前に説明された方法によってピザを組み立てて、同様の配達方法では実現されていなかった高いカリカリさと水分を保持する最終的なピザ製品を得て、インスタントピザ製品が加熱された状態で、ごく低コストで、短時間で、高いカリカリさと水分を保ちながら配達されるようなステップと、を含む。
【0032】
本発明は、好ましい実施形態の構成に関して、及びその中で使用される特定の機器に関して説明されるが、本発明は本明細書に記載のそのような構成又は構成要素の何れによっても一切限定されないと解釈すべきであると理解されたい。本明細書中、特定の生地、電子レンジ加熱可能容器、及び/又は任意選択的な配達/配送モデルの例が提供されているが、本発明の原理は本明細書に記載の属性を有するあらゆる2種生地ピザ製品に当てはまる。本発明のこれら及びその他の変形型は、当業者にとって、本発明のより詳細な説明を読めば明らかとなるであろう。
【0033】
本発明を特徴付ける利点と特徴は、本明細書に附属し、その一部を成す特許請求の範囲で具体的に指摘されている。しかしながら、本発明をよりよく理解するために、本明細書の一部を成す図面及びそれに伴う説明を参照すべきであり、その中では本発明の好ましい実施形態が図解され、説明されている。
【0034】
図面の簡単な説明
図面に関して、複数の図を通じて同様の番号は同様の部品を表す。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】カリッとした生地A(2)の円形の実施形態を示す。
【
図2】トマトジェルのような高水分製品(4)及びチーズやトッピング等の追加材料(5)と組み合わせた生地B(3)の円形の実施形態を示す。
【
図3】容器(6)に高水分製品(4)及びチーズやトッピング等の追加材料(5)と組み合わせた生地B(3)が収容されている、生地B(3)の円形の実施形態を示す。
【
図4】生地A(2)が、吸水性材料(14)と下側部分壁(15)を含んで生地Aのための中空空間を生成する包装材の下側部分で加熱され、生地B(3)がその高水分製品(4)及び追加材料(5)と共に、閉じ込めフィルム(16)を含む包装材の上側部分で加熱され、上側及び下側部分の両方が、最終的な加熱済みピザ製品の容易な組立を可能にする分離トレイ(17)により分離される、ピザ製品用包装材(13)の実施形態を示す。
【
図5】中央フィルム層(19)で包装材の両部分が分離される3層包装材(18)である、ピザ製品用包装材(13)の他の実施形態を示す。
【
図6】3層包装材(18)が電子レンジ(20)でピザ製品を加熱するために使用される加熱の実施形態を示す。
【
図7】底部の生地A(2)と上部の生地B(3)を含み、生地B(3)が高水分製品(4)及び追加材料(5)と組み合わせられている、加熱され、組み立てられたピザ製品(1)の実施形態を示す。
【
図8】少なくとも1つの準備ハブ(7)が、移動ハブであり、戦略的場所に位置付けられ、加熱前ピザ製品を保持するための冷蔵設備(9)を含む少なくとも1つの中央配送ハブ(8)にピザ製品を配送する、本発明による配達プロセスの好ましい実施形態を示す。加熱前ピザ製品は、ピザ製品を加熱するためにポータブル電子レンジ(11)を装備する移動配達手段(10)に提供される。移動配達手段(10)は、ピザ製品を最終的な配達場所(12)まで輸送する。
【発明を実施するための形態】
【0036】
詳細な説明
本発明は、高品質なピザ製品と、ピザが、現在のファストフード及び小売ピザより高い水分量及びそれと同時により高いカリカリさ特性につながるような方法で加熱され、組み立てられる、ピザ製品の準備方法に関する。本発明はまた、任意選択により、中央集中製造配達プロセスも提供し、このような配達プロセスは中央配達ハブからピザを配達し、ピザ製品を準備及び/又は調理するためのローカルの実店舗を持つ必要がない。
【0037】
例えば家庭及びオフィス用の、作りたて、及び冷凍ピザ製品の小売市場に関して、本発明による実施形態は、単純な従来の電子レンジを使って1分未満で加熱され、組み立てられ得、その一方で、短時間で高い水分量及びそれと同時に高いカリカリさ特性が実現される。それに対して現在の、従来の作りたて及び冷凍ピザ製品は一般に、従来の対流式オーブンで加熱する必要があり、これには、必要な加熱温度まで予熱するのに長い時間がかかり、その後ピザ製品を加熱するための追加の時間を要し、これは通常、20分以上かかる。それに加えて、高いカリカリさと高い水分量が同時に実現されることは珍しい。
【0038】
レストラン市場に関して、今日では、ピザ製品を、その提供に必要な、例えば専用のオーブンや生地のための準備及び加工スペース等の設備又はスペースがないために提供できていない店舗は、電子レンジを持つ(又は取り付ける)ことによって、本発明の原理によるピザ製品を利用し得る。これによって、それらの店舗はそのメニューの一部として高品質のピザを提供できるであろう。
【0039】
配達市場に関して、本発明によるピザ製品は、ピザを準備及び/又は調理するためのローカルの実店舗を必要とせずに、高品質のピザを配達することが可能となる。実店舗の代わりに、ポータブルで、配達場所までの途中でピザ製品の加熱を提供してよい電子レンジが利用されてよい。それに加えて、最終消費者が自分で製品を短時間で加熱し、製品を組み立てることができ、従来の配達ピザ製品より水分量が多く、カリカリさの高い高品質のピザ製品を獲得できる加熱前製品の配達を行うことができる。
【0040】
本願で使用されるかぎり、「カリカリさ」という用語は、噛む際に抵抗を提供する能力を指し、柔軟性が低く、噛んだときに認識可能な音をたてる、より歯ごたえのある生地を表す。カリッとする食品の幾つかの例としては、クルトン、クラッカ、ショートブレッドクッキー、ポテトチップ等が含まれる。
【0041】
本明細書では、本発明の好ましい実施形態を開示する。好ましい実施形態のピザ製品は、2つの別々の生地部を含み、第一の生地部(生地A)は、最終的なピザ製品の土台を構成するカリッとした生地であり、第二の生地部(生地B)は、高水分製品と組み合わされるとその水分を捕捉でき、加熱後に、ピザ製品の上部分を構成するペースト様の生成物となるスポンジ状の生地である。両方の生地部は異なる湿度条件下で調理され、加熱プロセス後、これらは、生地Bをその高水分製品及び追加材料と共に生地Aの上に載せることによって一体に結合され、最終的なピザ製品が提供される。後で説明するように、両方の生地部を電子レンジの中で同時に加熱できる点に留意することが重要である。
【0042】
第一の生地部は、本明細書全体を通じて生地Aと呼ばれるが、ピザの底部分を指し、これはミートパイやタルトの生地のようなカリッとした状態を有する。生地Aは、加熱前製品を生成するために従来のオーブンで予備調理される。本発明の実施形態において、生地Aは異なる種類の生地又は生地の組合せを含む。
【0043】
最終的なピザ製品を組み立て、及び/又は供することになった時、加熱前生地Aの製品は、トースタ又はそのカリカリさを保持できる低湿度条件を有する従来の電子レンジ等の乾燥した環境中で加熱される。それに加えて、加熱プロセスは水分吸収要素、例えば紙や厚紙等を含んでいてよい。
【0044】
第二の生地部は、本明細書全体を通じて生地Bと呼ばれるが、ピザの上側部分を指し、これは高水分製品及び追加材料と組み合わせられ、加熱するとペースト様生成物となるスポンジ状の生地を含む。前述のように、生地Bは、生地Bが捕捉できる水分を提供する高水分製品と組み合わせられる。このような製品は、異なるエッセンス又はフレーバで風味付けされる食用ジェル、トマトペースト、生のトマト、湯剥きトマト、肉の濃縮液等を含む。好ましい実施形態において、高水分製品はトマトジェルであり、それによって、加熱されると溶解し、生地Bを濡れた状態にしないペースト様食感を生む、安定した生成物を有することができる。それに加えて、異なる材料、例えば生のトマト及び生の野菜又は、チーズやオレガノ等のその他の製品を生地Bに追加できる。本発明のある実施形態において、生地Bは異なる種類の生地又は生地の組合せを含む。
【0045】
生地Bは加熱前準備を有し、これは、加熱プロセスを、生地B及び高水分製品がペースト様食感を得る高湿度条件下で実行できるようにするために生地Bを高水分製品及び追加材料と共に収容する電子レンジ対応材料、例えばプラスチック又は紙袋等の容器を含む。容器は、生地B、高水分製品、及び追加材料を同じ容器の中でまとめて加熱できるように設計、構成され、これは電子レンジ対応である必要があり、真空密封パッケージ、ジップロック型パッケージ等の開封容易なパッケージ、シュリンクフィルム、プレス&シールパッケージ、及び同様のパッケージを含む。容器は、容器内の圧力上昇による爆発を防止するための安全システム、例えば弁、圧力逃がしシステム、穴、空気が容器から外に出られるような特殊材料、及び同様のシステムを含む。
【0046】
最終的なピザ製品を組み立て、及び/又は供することになったら、生地Bは飽和水蒸気の生成が可能となるような特定の条件で加熱され、生地Bは高水分製品~湿度を捕捉する。これは、生地B、高水分製品、及び追加材料を収容する容器を加熱することによって実現され、この容器は最小の換気口を有し(それが高圧により爆発しないようにするため)、電子レンジで加熱される。
【0047】
したがって、すでに説明したように、生地A及び生地Bはどちらも異なる特性を有し、高水分製品及び異なる材料(使用する場合)と組み合わせることができ、異なる方法により異なる湿度条件下で加熱される。
【0048】
加熱プロセス後、生地A及び生地Bの両方を、ペースト様の加熱済み生地Bを高水分材料及び追加材料と共に生地Aの上に異なる種類の包装材と組立方法を使って載せることによって一体に結合されて、他の小売又はファストフード製品より短時間で、それよりはるかに少ない設備と労働力のみで、水分量が多く、カリカリさの高い高品質製品が生成される。
【0049】
2つの生地部、生地Aと生地Bは別々に提供され、生地Aは生地Bから分離され、生地B、高水分製品、及び追加材料は1つの容器に包装される。
【0050】
両方の生地のための加熱プロセスは、異なる設備で、又は共通の設備若しくは器具を使って同時に行われてよい。
【0051】
本願の第一の実施形態において、単純な電子レンジだけあればよく、生地Aと、生地B、高水分製品、及び追加材料を含む容器が同じ電子レンジ内部空間で、ただし物理的に分離された状態を保ちながら加熱される。例えば、生地Aは電子レンジの中で、任意選択により厚紙等の水分吸収材料を使って加熱され、他方で、生地Bを高水分製品及び追加材料と共に収容する別の容器もまたその電子レンジ内で同時に加熱される。したがって、両方の製品が同じ電子レンジの内部空間内で加熱されている間に生地Bの袋の中の湿度の高い製品からの水分の移動が回避される。
【0052】
本願の第二の実施形態において、生地Aは、生地Aを加熱してカリッとした食感を提供する乾燥加熱を可能にするために、生地Aが単独で加熱されて、追加の包材を必要としない従来のトースタで加熱され、他方で、生地Bを高水分製品及び追加材料と共に収容する容器は従来の電子レンジで同時に加熱される。
【0053】
ピザ製品の両方の部分を加熱した後、これらは、容器から湿った高水分のペースト様具材(生地B、高水分製品、及び追加材料を含む)を生地Aの上に組み込むことによって一体に結合され、優れたカリカリさと水分状態並びに優れた品質と味の最終的なピザ製品が、従来のピザ製品と比較してきわめて短時間に、最小の設備で、最小の労働力しか必要とせずに実現される。
【0054】
特定の状況では、トレイ又は分離手段からスライドさせてその構成及び見た目に影響を与えずに下側生地の上に置くのがより難しい、くっつきやすい製品が結果として得られることにつながり得る、使用される生地B、高水分製品、及び追加材料の種類に応じて、異なる組立方法を使用することができ、例えばピザを上下逆に組み立てて、ピザの上部の移動がより簡単になるようにする。
【0055】
本発明の実施形態では、ピザの構成要素は、ピザ製品の上側部分が下側部分の上に上下逆に載せられ、その後これらが加熱され、その後、組み立てられたピザ製品を裏返してからすべてのパッケージが取り除かれるような方法で組み立てることができる。
【0056】
ピザ製品の形状は、古典的な円形から、より正方形又は長方形の形状まで、加熱機器に対応するように様々とすることができる。
【0057】
本発明の実施形態は、好ましくは、最終消費者に対し、市場の種類に応じて作りたての状態でも、冷凍状態でも、又はすでに加熱済みの状態でも販売されるように設計されてよいピザ製品を提供する。しかしながら、前述のように、ピザ製品は3種類の市場、すなわち(1)ファストフード市場、(2)配達市場、及び(3)小売市場のニーズに応え得る。
【0058】
本発明はまた、ピザ製品の効率的で簡単な加熱に適した包装材を有する実施形態も提供し、包装材は容器、プラスチック袋、ジップロック型の袋、紙袋、オートシールバッグ、開封可能容器、厚紙、シュリンクフィルム、及び同様の材料を含み、包装材は電子レンジ対応材料で製作される。
【0059】
包装材は一般に、上側部分、下側部分、及び分離のための中央部分を含む。
【0060】
本発明のある実施形態において、包装材の下側部分は、生地Aを、そのカリカリさを保持するために乾燥加熱条件下で設置、加熱するための専用の中空空間を有し、下側部分は水分吸収材料と、生地Aを格納する中空空間を作るための下側部分壁を含む。包装材の上側部分は、生地Bをその高水分製品及び追加材料と共に収容できる閉じ込めフィルムを含むことによって、高い湿度の閉鎖された加熱環境を提供し、内部の製品の水分を保持できる。閉じ込めフィルムは、それが生地B、高水分製品、及び追加材料の移動を最小限にして、輸送中にその見た目のきれいさが保たれるように構成される。包装材の両方の部分は分離トレイを通じて分離され、これを加熱後に容易に取り外して、加熱された生地Bをその高水分製品及び追加材料と共に生地Aの上に載せて、最終的な加熱済みピザ製品を組み立てることができる。
【0061】
他の実施形態において、包装材は3層フィルム容器を含み、これは生地Aをその下部に格納し、生地Bをその高水分製品及び追加材料と共に上部に格納し、これらは中央フィルム層によって分離され、これを加熱後に容易に取り外して、加熱された生地Bをその高水分製品及び追加材料と共に生地Aの上に載せて、最終的な加熱済みピザ製品を組み立てることができる。
【0062】
他の実施形態において、包装材は2つのセクションを含み、1つのセクションは、パッケージの外側からアクセスできる易引裂システムを有する容器(生地B、高水分製品及び追加材料を収容する)を格納する。易引裂システムによって、その内容物を生地Aの上に載せることができるようにするために、簡単な動作で容器を開封及び/又は分離できる。易引裂システムは、ケチャップ、ピーナツ、その他等の個々の食品包装材で一般的に利用されているような、当初はミシン目又は半ミシン目が付けられた引裂き線を含んでいてよい。
【0063】
本発明の他の実施形態において、ピザ製品に第三の生地が含まれ、第三の生地は、第一の生地と、第二の生地、高水分製品、及びその追加材料との間の分離手段としての機能を果たす。第三の生地は、第二の生地、高水分製品、及び追加材料を収容する電子レンジ加熱可能容器の一部として使用できる分離層として使用できる。ある実施形態において、第三の生地は容器の下面に対応し、容器の他の面(上面及び側面)は、容易に取り外すことのできるプラスチック又は紙の材料で覆われる。このようにして、第三の生地が電子レンジ加熱可能容器の下面として機能する場合、第二の生地、高水分製品、及び追加材料を設置するための移動プロセスは、容器の底もまた、ピザ製品を組み立てるために第一の生地の上に直接載せられる、食べられる生地でもあるため、簡単になる。第三の生地は、電子レンジ加熱可能容器の下面であるため、第二の生地、高水分製品及び追加材料の加熱プロセスによる水分を吸収するのと同時に、第一の生地への水分の移動を最小化することができる。
【0064】
包装材のこれらの実施形態の全てにおいて、ピザ製品のための組立プロセスは、プラスチックフィルム又は分離手段をパッケージの両方のセクションの間から取り外すステップを含むと考えられ、上の生地が下の生地の上に上下逆に設置され、その後、パッケージごと裏返して、最終的なピザ製品が出来上がりの状態となる。
【0065】
配達プロセスに関して、本発明の実施形態では、ピザ製品の準備と調理のロジスティクス面での要求事項を最小にし、それと同時にピザ製品の準備及び調理のためのローカルの実店舗を不要とすることにより、ピザ配達市場及びプロセスの変貌を可能にする。反対に、本発明ではピザ製品の準備及び調理のための施設、設備、又は空間が必要ではなく、ピザ製品を加熱するための小型電子レンジだけを使用してよい。
【0066】
本発明の配達プロセスは、少なくとも1つの準備ハブを有することを含み、それがピザ製品を調理及び準備する。このような準備ハブは、加熱前ピザ製品を配送ハブに配送する。このような配送ハブは、冷凍又は作りたてのピザ製品をほとんど常に15℃以下の温度に保つための冷蔵設備を備える。好ましい実施形態において、配送ハブは、要求に応じて異なる場所に駐車できる配送トラック又はバン等の移動センタを含む。本発明の他の実施形態において、配送ハブは場所が固定された固定配送センタである。このような配送ハブは、移動式である場合、消費者の行動を考慮して、需要の高い場所に移動できる。
【0067】
製品を受け取ってピザを組み立て、ピザ製品を準備し、調理するための設備とスペースを有する固定された場所の従来の配達店とは異なり、本発明では、配送ハブが加熱前ピザ製品を保持するための小型冷蔵設備を有するだけでよく、したがって、ピザ製品を準備及び/又は調理する実店舗を持つ必要がない。参考として、米国では4大ピザチェーンが19,000を超えるピザ実店舗を擁するが、これらは本発明の革新的な配達プロセスでは不要となるであろう。
【0068】
すると、配送ハブから最終目的地までの配達プロセスが、配達車、小型トラック、バイク、又は同様の手段等の小型移動輸送手段によって行われる。
【0069】
加熱プロセスは、中央配送ハブにおいて配達先地点までの途中で行うことができ、又は最終目的地に到達してから行うこともできる。好ましくは、加熱プロセスは最終配達先地点までの途中で行われ、この場合、移動輸送手段はポータブル電子レンジ装置を装備する。したがって、ポータブル電子レンジ装置は、生地Aと、生地Bを高水分製品及び追加材料と共に収容する容器の両方を、並行して、同じ器具の中で、ごく短時間で加熱し、ピザ製品を標準的な配達ピザより高い温度で配達することができる。
【0070】
すると、ピザ製品は、非常に低コストで短時間に、加熱状態で配達される。
【0071】
ピザ製品の組立について、第一の選択肢は、ピザ製品が加熱された状態ではあるが、出来上がりではない状態で配達され、最終消費者が前述の方法によってピザを組み立てて、同様の配達方法では実現されていなかった、高い品質と風味の、カリカリさと水分特性が保たれた最終的なピザ製品を得ることである。
【0072】
配達時のピザの組立のための他の選択肢は、配達人が、ピザを組み立ててからそれを顧客に手渡すことのできる単純な包装材を使用することである。配達に使用される包装材は、各生地を別に扱うことなく、パッケージと、容器の内容物を生地Aの上に載せるためのその容易な移動システムだけを操作する、簡単な組立を可能にすることができる。
【0073】
本明細書に記載の製品と方法はまた、加熱、包装、及び配達プロセスの簡単さと効率を利用して、同様の食品の準備及び異なる市場にも使用できる。
【実施例0074】
実施例1
本発明のピザ製品を準備して、官能パネルを実行し、この製品のカリカリさと水分を市場に出回っているその他の製品と比較した。
【0075】
第一の生地部、生地Aは、0000タイプの小麦粉、水、マーガリン、及び食塩の混合物から、その新鮮さを保つための食品防腐剤を用いて製造した。生地Aの準備には、小麦粉3カップ、マーガリン大さじ1.5、ぬるま湯1カップ、塩小さじ1の混合物を使用した。
【0076】
第二の生地、パートBは、白いサンドイッチ用パンのタイプの既製の生地から、具体的には耳を取り除き、白い既製の生地をスポンジ状生地のままにすることによって製造した。それに加えて、高水分製品は、トマトソースで風味付けされた、事前に混合され、冷やされたジェルである。
【0077】
ジェルは、500グラムのピザ風味トマトソースと5グラムの粉末寒天を使って準備する。トマトソースを加熱し、寒天粉末を温かいうちに混合物に加え、その後、混合物を攪拌しながら3分間ゆでる。次に、混合物を冷ますことのできる容器に入れ、カットし、ジェル状態で扱いやすい丸い円形を得る。
【0078】
その後、ジェルをスポンジ状のパン生地の上に載せ、トッピングをその上に加える。例えば、トッピングとしてはゴーダチーズとオレガノが含まれていてよい。次にこのような層状製品を電子レンジ対応のプラスチックの袋に入れて、密閉する。
【0079】
理解すべき点として、上記の説明の中では本発明の様々な特性と利点を本発明の構造及び機能の詳細と共に示したが、開示は例示にすぎず、詳細部、特に支持するハードウェア、構成要素、及び機器の点において、付属の特許請求項が表現されている用語の広い一般的な意味により示される範囲の限界まで、変更が加えられてよい。