(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125395
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】Pt-DPEフォス-ヨウ素錯体及びPt-DPEフォス-臭素錯体
(51)【国際特許分類】
C07F 15/00 20060101AFI20240910BHJP
C07F 9/50 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C07F15/00 F CSP
C07F9/50
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024106003
(22)【出願日】2024-07-01
(62)【分割の表示】P 2022193977の分割
【原出願日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】21215377.9
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523448406
【氏名又は名称】エボニック オクセノ ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カロリン シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ ジャックステル
(72)【発明者】
【氏名】マティアス ベルラー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート フランケ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】Pt-DPEフォス-ヨウ素錯体及びPt-DPEフォス-臭素錯体、並びにそれらのヒドロホルミル化の触媒としての使用を提供する。
【解決手段】a)Ptと、b)下記一般式(I)に適合するリガンドと、c)臭素リガンド又はヨウ素リガンドと、を含む錯体である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)Ptと、
b)下記一般式(I)に適合するリガンドと、
【化1】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8は、-H、-(C
1~C
12
)アルキル及び-(C
6~C
20)アリールから選択され、R
5、R
6、R
7及びR
8の
うちの少なくとも2つは-(C
6~C
20)アリールである。)
c)臭素リガンド又はヨウ素リガンドと、
を含む錯体。
【請求項2】
R5、R6、R7、R8は、-(C6~C20)アリールであることを特徴とする請求
項1記載の錯体。
【請求項3】
R5、R6、R7、R8は、Phであることを特徴とする請求項1又は2記載の錯体。
【請求項4】
R1及びR4は、-Hであることを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載の錯体。
【請求項5】
R2及びR3は、-Hであることを特徴とする請求項1~4いずれか1項記載の錯体。
【請求項6】
前記一般式(I)で表される化合物が、下記式(1)の構造を有することを特徴とする
請求項1~5いずれか1項記載の錯体。
【化2】
【請求項7】
前記錯体が、前記式(I)に相当するリガンドを1つ有することを特徴とする請求項1
~6いずれか1項記載の錯体。
【請求項8】
前記錯体が、ヨウ素リガンドを少なくとも2つ有することを特徴とする請求項1~7い
ずれか1項記載の錯体。
【請求項9】
前記錯体が、ヨウ素リガンドを2つ有することを特徴とする請求項8記載の錯体。
【請求項10】
前記錯体が、臭素リガンドを少なくとも2つ有することを特徴とする請求項1~7いず
れか1項記載の錯体。
【請求項11】
前記錯体が、臭素リガンドを2つ有することを特徴とする請求項10記載の錯体。
【請求項12】
ヒドロホルミル化の触媒としての請求項1~11いずれか1項記載の錯体の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Pt-DPEフォス-ヨウ素錯体及びPt-DPEフォス-臭素錯体、及び
それらのヒドロホルミル化の触媒としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
P. Meessen et al., Journal of Organometallic Chemistry, 551, (1998), 165-170は
、3-ペンテノエートのヒドロホルミル化のためのPt(キサントフォス)Cl2の使用を記載し
ている。
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、新規の錯体を提供することである。ここでの錯体は、従来技術に記載
された錯体に比べ、ヒドロホルミルの触媒作用において高い収率を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1記載の錯体により達成される。
a)Ptと、
b)下記一般式(I)に適合するリガンドと、
【0006】
【0007】
(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8は、-H、-(C1~C12
)アルキル及び-(C6~C20)アリールから選択され、R5、R6、R7及びR8の
うちの少なくとも2つは-(C6~C20)アリールである。)
c)臭素リガンド又はヨウ素リガンドと、
を含む錯体。
【0008】
(C1-C12)-アルキルという表現は、1~12個の炭素原子を有する直鎖および
分枝アルキル基を包含する。これらは、好ましくは(C1-C8)-アルキル基、より好
ましくは(C1-C6)-アルキル、最も好ましくは(C1-C4)-アルキルである。
【0009】
適切な(C1-C12)-基は、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブ
チル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、2-メチルブチ
ル、3-メチルブチル、1 ,2-ジメチルプロピル, 1,1-ジメチルプロピル, 2,2-ジメチルプ
ロピル, 1-エチルプロピル, n-ヘキシル, 2-ヘキシル, 2-メチルペンチル, 3-メチルペン
チル, 4-メチルペンチル, 1,1-ジメチルブチル, 1,2-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチ
ル、1,3-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1,1,2-トリメチル
プロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチルブチル、1-エチル-2-メチルプロピル、n
-ヘプチル、2-ヘプチル、3-ヘプチル、2-エチルペンチル、1-プロピルブチル、n-オクチ
ル、2-エチルヘキシル、2-プロピルヘプチル、ノニル、デシルである。
【0010】
(C6-C20)-アリールという表現は、6~20個の炭素原子を有する単環式また
は多環式芳香族ヒドロカルビル基を包含する。 これらは、好ましくは(C6-C14)
-アリール、より好ましくは(C6-C10)-アリールである。
【0011】
適切な(C6-C20)-アリール基は、特にフェニル、ナフチル、インデニル、フル
オレニル、アントラセニル、フェナントレニル、ナフタセニル、クリセニル、ピレニル、
コロネニルである。 好ましい(C6-C20)-アリールは、フェニル、ナフチルおよ
びアントラセニルである。
【0012】
1つの変形では、R5、R6、R7、R8は、-(C6~C20)アリールである。
【0013】
1つの変形では、R5、R6、R7、R8は、-Phである。
【0014】
1つの変形では、R1及びR4は、-Hである。
【0015】
1つの変形では、R2及びR3は、-Hである。
【0016】
1つの変形では、一般式(I)で表される化合物が、下記式(1)の構造を有する。
【0017】
【0018】
1つの変形では、前記錯体が、前記式(I)に相当するリガンドを1つ有する。
【0019】
1つの変形では、前記錯体が、ヨウ素リガンドを少なくとも2つ有する。
【0020】
1つの変形では、前記錯体が、ヨウ素リガンドを2つ有する。
【0021】
1つの変形では、前記錯体が、臭素リガンドを少なくとも2つ有する。
【0022】
1つの変形では、前記錯体が、臭素リガンドを2つ有する。
【0023】
錯体それ自体と同様に、ヒドロホルミル化反応の触媒作用のためのその使用も特許請求
されている。
【0024】
ヒドロホルミル化の触媒としての上述した錯体の使用。
【0025】
本発明は、以下、実施例によって詳細に説明される。
【実施例0026】
バイアルにPtX2(X=ハロゲン)、リガンド、およびオーブンで乾燥させたスターラー バ
ーを入れた。バイアルを、セプタム(PTFEコーティングスチレン-ブタジエンゴム)とフェ
ノールキャップで密閉した。バイアルを排気し、アルゴンを3回再充填した。シリンジを
使用して、トルエンおよび1-オクテンをバイアルに添加した。バイアルを合金板に入れ
、これをアルゴン雰囲気下でパー・インスツルメント社の4560シリーズのオートクレ
ーブに移した。オートクレーブをCO/H2で3回パージした後、合成ガスの圧力を室温で40バ
ールに上げた。反応は120℃で20時間行った。反応が終了したら、オートクレーブを
室温まで冷却し、注意深く減圧した。収率および選択性はGC分析によって決定した。
【0027】
【0028】
反応条件:10.0mmolの1-オクテン、0.1mol%のPtX2、2.2当量のリガンド、溶媒:トルエン、
p(CO/H2):40バール、T:120℃、t:20h
収率:
【0029】
【0030】
実験結果が示すように、この問題は本発明による方法によって解決される。