(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125401
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】ヘテロ接合太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール並びに太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
H01L 31/0747 20120101AFI20240910BHJP
H01L 31/0224 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
H01L31/06 455
H01L31/04 260
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024106338
(22)【出願日】2024-07-01
(31)【優先権主張番号】202311746956.1
(32)【優先日】2023-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】523183389
【氏名又は名称】トリナ・ソーラー・カンパニー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TRINA SOLAR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No. 2 Trina Road, Trina PV Park, Xinbei District, Changzhou, Jiangsu 213031, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】楊 广涛
(72)【発明者】
【氏名】陳 達明
(72)【発明者】
【氏名】陳 奕峰
(72)【発明者】
【氏名】李 宏偉
(57)【要約】 (修正有)
【課題】短絡を回避し、効率損失を低減することができ、高い電流密度を保証するとともに、曲線因子の損失を最小化した、ヘテロ接合太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板と、第1表面Fに順に積層して設けられた第1真性シリコン層、第1ドープ層及び第1透明導電層40と、第2表面Sに順に積層して設けられた第2真性シリコン層、第2ドープ層及び第2透明導電層70とを含み、第1ドープ層のドープタイプは、第2ドープ層のドープタイプとは逆であり、第1透明導電層40は、第1表面Fの少なくとも一部の表面を覆い、第2透明導電層70は、第2表面S及び複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71との間に分離領域81を画定するように、第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71とは間隔をおいて設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、第1真性シリコン層と、第1ドープ層と、第1透明導電層と、第2真性シリコン層と、第2ドープ層と、第2透明導電層とを含み、
前記基板は、対向して設けられた第1表面と第2表面、及び前記第1表面と前記第2表面との間に隣接する複数の側面を含み、
前記第1真性シリコン層、第1ドープ層及び前記第1透明導電層は、前記第1表面に順に積層して設けられ、
前記第2真性シリコン層、第2ドープ層及び前記第2透明導電層は、前記第2表面に順に積層して設けられ、前記第1ドープ層のドープタイプは、前記第2ドープ層のドープタイプとは逆であり、
前記第1透明導電層は、前記第1表面の少なくとも一部の表面を覆い、前記第2透明導電層は、前記第2表面及び前記複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、前記第1透明導電層のエッジと前記第2透明導電層のエッジとの間に分離領域を画定するように、前記第1透明導電層のエッジと前記第2透明導電層のエッジとは間隔をおいて設けられ、
前記第1ドープ層は複数の前記側面の一部の表面を覆い、前記第2透明導電層の一部は前記第1ドープ層の前記基板から離れた側に位置し、且つ前記第2透明導電層と前記第1ドープ層とは正対する膜層領域を有し、
前記ヘテロ接合太陽電池は、前記分離領域の表面に積層して設けられ、且つ前記分離領域を完全に覆う絶縁分離層をさらに含み、
前記絶縁分離層の一部の構造は、前記第2透明導電層及び前記第1ドープ層の前記正対する膜層領域にそれぞれ直接接触し、且つ前記第2透明導電層及び前記第1ドープ層の前記正対する膜層領域の間に位置する、ことを特徴とするヘテロ接合太陽電池。
【請求項2】
前記第2透明導電層のエッジは、前記側面に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項3】
前記第1透明導電層のエッジは、前記第1表面の境界の内側に位置し、
前記第1透明導電層のエッジと前記第1表面の境界との最小間隔D1は、100μmである、ことを特徴とする請求項2に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項4】
前記第2透明導電層のエッジと前記第1表面との最大間隔D2は、100μmである、ことを特徴とする請求項2に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項5】
前記第2透明導電層は、各前記側面を完全に覆うとともに、前記第1表面の一部の領域を覆い、
前記第2透明導電層のエッジは、前記第1透明導電層のエッジの外側に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項6】
前記第1透明導電層のエッジと前記第2透明導電層のエッジとの最小間隔D3は、50μmである、ことを特徴とする請求項5に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項7】
前記第2透明導電層のエッジと前記第1表面の境界との最大間隔D4は、1000μmである、ことを特徴とする請求項5に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項8】
前記第2透明導電層のエッジは、前記第1ドープ層の前記基板から離れた側に積層される、ことを特徴とする請求項1に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項9】
前記絶縁分離層の厚さは、1.8nm以上である、ことを特徴とする請求項8に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項10】
前記第2真性シリコン層及び前記第2ドープ層は、いずれも前記第2表面及び前記複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、
前記第1真性シリコン層は、前記第1表面及び前記複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、
前記第2真性シリコン層の一部の構造は、前記第1真性シリコン層の前記基板から離れた側に積層され、前記第2ドープ層の一部の構造は、前記第1真性シリコン層の前記基板から離れた側に積層され、前記第1ドープ層の一部の構造は、前記第2ドープ層の前記基板から離れた側に積層される、ことを特徴とする請求項9に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項11】
前記絶縁分離層のエッジは、前記第1透明導電層のエッジに隣接する、ことを特徴とする請求項8に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項12】
前記絶縁分離層の材質は、SiOxを含み、
前記絶縁分離層には、炭素元素及び窒素元素がさらにドープされ、及び/又は、
前記絶縁分離層には、第1ドープ元素がさらにドープされ、前記第1ドープ元素は、前記第1ドープ層におけるドープ元素と同じである、ことを特徴とする請求項8に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項13】
前記第2透明導電層のエッジは、前記基板の各前記側面に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項14】
前記第1透明導電層のエッジに近い第1領域の膜層の厚さは、第1方向に沿って徐々に薄くなり、前記第1方向は、前記第1透明導電層の中心から前記第1透明導電層のエッジに向かい、かつ前記第1表面に平行である、ことを特徴とする請求項1に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項15】
前記第1領域の前記第1方向に沿った最小幅寸法D5は、100μmである、ことを特徴とする請求項14に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項16】
第1電極と第2電極とをさらに含み、
前記第1電極は、前記第1透明導電層に設けられ、前記第2電極は、前記第2透明導電層に設けられ、
前記第1電極の第1平面への投影と前記第2電極の前記第1平面への投影とは、互いにずれており、前記第1平面は、前記基板の厚さ方向に垂直である、ことを特徴とする請求項1に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項17】
前記第1透明導電層及び前記第2透明導電層のうちの少なくとも一方は、銀ナノワイヤー層と、少なくとも2層の互いに積層された透明導電膜層とを含み、各前記透明導電膜層の材質が異なり、少なくとも2層の前記透明導電膜層の間に1層の前記銀ナノワイヤー層が介在される、ことを特徴とする請求項1に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項18】
誘電体層をさらに含み、
前記第1透明導電層の前記基板から離れた表面には、少なくとも1層の前記誘電体層が設けられ、及び/又は、
前記第2透明導電層の前記基板から離れた表面には、少なくとも1層の前記誘電体層が設けられる、ことを特徴とする請求項17に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項19】
前記第1透明導電層及び前記第2透明導電層のうちの少なくとも一方は、銀ナノワイヤー層と、1層の透明導電膜層とを含み、前記銀ナノワイヤー層は、前記透明導電膜層における前記基板を向く表面に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のヘテロ接合太陽電池。
【請求項20】
サブストレートを提供するステップであって、前記サブストレートは、基板を含み、前記基板は、対向して設けられた第1表面と第2表面、及び前記第1表面と前記第2表面との間に隣接する複数の側面を含み、前記サブストレートは、前記第1表面に順に積層して設けられた第1真性シリコン層と第1ドープ層、及び前記第2表面に順に積層して設けられた第2真性シリコン層と第2ドープ層をさらに含み、前記第2ドープ層のドープタイプは、前記第1ドープ層のドープタイプとは逆であり、前記第1ドープ層は複数の前記側面の一部の表面を覆うステップと、
前記第1ドープ層上に、前記第1表面の少なくとも一部の表面を覆う第1透明導電層を形成するステップと、
前記第2ドープ層上に、前記第2表面及び前記複数の側面の少なくとも一部の表面を覆う第2透明導電層を形成し、前記第1透明導電層のエッジと前記第2透明導電層のエッジとを間隔をおいて設けることにより、前記第1透明導電層のエッジと前記第2透明導電層のエッジとの間に分離領域を画定するステップと、
前記分離領域上に、前記分離領域を完全に覆う絶縁分離層を形成するステップと、を含み、
前記第2透明導電層の一部は前記第1ドープ層の前記基板から離れた側に位置し、且つ前記第2透明導電層と前記第1ドープ層とは正対する膜層領域を有し、
前記絶縁分離層の一部の構造は、前記第2透明導電層及び前記第1ドープ層の前記正対する膜層領域にそれぞれ直接接触し、且つ前記第2透明導電層及び前記第1ドープ層の前記正対する膜層領域の間に位置する、ことを特徴とするヘテロ接合太陽電池の製造方法。
【請求項21】
前記第1ドープ層上に第1透明導電層を形成し、前記第2ドープ層上に第2透明導電層を形成し、前記分離領域上に絶縁分離層を形成するステップは、具体的には、
中央に肉抜き部が形成されたキャリアプレートを反応チャンバに入れるステップと、
前記サブストレートを前記キャリアプレートに置き、前記第1ドープ層を前記キャリアプレートに向け、前記第1ドープ層の第2領域を前記肉抜き部から外部に露出させるステップであって、前記第1ドープ層は、前記第1ドープ層の前記基板から離れた表面における前記第2領域以外の部分である第3領域をさらに含むステップと、
前記第1ドープ層の第2領域に前記第1透明導電層を形成するとともに、前記第3領域に前記絶縁分離層を形成するステップと、
前記第2ドープ層上に第2透明導電層を形成するステップと、を含む、ことを特徴とする請求項20に記載のヘテロ接合太陽電池の製造方法。
【請求項22】
前記第1ドープ層の第2領域に前記第1透明導電層を形成し、前記第3領域に前記絶縁分離層を形成するステップにおいて、前記反応チャンバ内の水蒸気分圧は、3e-3Pa~9.5e-3Paである、ことを特徴とする請求項21に記載のヘテロ接合太陽電池の製造方法。
【請求項23】
サブストレートを提供するステップは、具体的には、
前記基板の第1表面に、前記第1表面及び前記複数の側面の少なくとも一部の表面を覆う第1真性シリコン層を形成するステップと、
前記基板の第2表面に第2真性シリコン層を形成するステップであって、前記第2真性シリコン層は、前記第2表面及び前記複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、前記第2真性シリコン層の一部の構造は、前記第1真性シリコン層の前記基板から離れた側に積層されるステップと、
前記第2真性シリコン層の前記基板から離れた表面に第2ドープ層を形成するステップであって、前記第2ドープ層は、前記第2表面及び前記複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、前記第2ドープ層の一部の構造は、前記第1真性シリコン層の前記基板から離れた側に積層されるステップと、
前記第1真性シリコン層の前記基板から離れた表面に第1ドープ層を形成するステップであって、前記第1ドープ層は、前記第1表面及び前記複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、前記第1ドープ層の一部の構造は、前記第2ドープ層の前記基板から離れた側に積層されるステップと、を含む、ことを特徴とする請求項20~22のいずれか一項に記載のヘテロ接合太陽電池の製造方法。
【請求項24】
前記第2ドープ層上に第2透明導電層を形成するステップの後に、前記第1透明導電層上に第1電極を形成するステップと、
前記第2透明導電層に第2電極を形成するステップであって、前記第1電極の第1平面への投影と前記第2電極の前記第1平面への投影とは、互いにずれており、前記第1平面は、前記基板の厚さ方向に垂直であるステップと、をさらに含む、ことを特徴とする請求項20~22のいずれか一項に記載のヘテロ接合太陽電池の製造方法。
【請求項25】
少なくとも1つの電池ストリングを含み、各前記電池ストリングは、請求項1~19のいずれか一項に記載のヘテロ接合太陽電池を少なくとも2つ含む、ことを特徴とする太陽光発電モジュール。
【請求項26】
請求項25に記載の太陽光発電モジュールを含む、ことを特徴とする太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の技術分野に関し、特にヘテロ接合太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール並びに太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電産業の急速な発展に伴い、中国内外の市場は、太陽電池及び太陽光発電モジュールの変換効率と製品性能に対してますます高い要求を提出し、これも業界のメーカーに新型電池、モジュール構造及び関連プロセスの研究を積極的に行うように促している。ヘテロ接合(Heterojunction、HJT)太陽電池は、光減衰が低く、温度係数が低いなどの利点を有し、エネルギー消費を低減するとともに、シリコン基板の熱損傷を低減することができ、将来の高効率電池の発展の重要な方向になっている。従来技術において、ヘテロ接合太陽電池は、主にシリコン基板の両側の表面に真性アモルファスシリコン薄膜を堆積してから、P型とN型のアモルファス又は微結晶シリコン薄膜をそれぞれ堆積してヘテロ接合を形成し、シリコン基板の両側のアモルファスシリコン又は微結晶シリコン薄膜の表面に、対応する透明導電酸化物層TCOを製造した後、低温銀ペーストを用いてスクリーン印刷を行い、硬化して表面金属電極を形成する。しかしながら、従来のヘテロ接合太陽電池は、効率が低いという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに基づいて、ヘテロ接合太陽電池の効率を向上させることができるヘテロ接合太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール並びに太陽光発電システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願の実施例の第1態様に係るヘテロ接合太陽電池は、基板と、第1真性シリコン層と、第1ドープ層と、第1透明導電層と、第2真性シリコン層と、第2ドープ層と、第2透明導電層とを含み、
基板は、対向して設けられた第1表面と第2表面、及び第1表面と第2表面との間に隣接する複数の側面を含み、
第1真性シリコン層、第1ドープ層及び第1透明導電層は、第1表面に順に積層して設けられ、
第2真性シリコン層、第2ドープ層及び第2透明導電層は、第2表面に順に積層して設けられ、第1ドープ層のドープタイプは、第2ドープ層のドープタイプとは逆であり、
第1透明導電層は、第1表面の少なくとも一部の表面を覆い、第2透明導電層は、第2表面及び複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、第1透明導電層のエッジと第2透明導電層のエッジとの間に分離領域を画定するように、第1透明導電層のエッジと第2透明導電層のエッジとは間隔をおいて設けられる。
【0005】
一実施例において、第2透明導電層のエッジは、側面に位置する。
【0006】
一実施例において、第1透明導電層のエッジは、第1表面の境界の内側に位置し、
第1透明導電層のエッジと第1表面の境界との最小間隔D1は、100μmである。
【0007】
一実施例において、第2透明導電層のエッジと第1表面との最大間隔D2は、100μmである。
【0008】
一実施例において、第2透明導電層は、各側面を完全に覆うとともに、第1表面の一部の領域を覆い、第2透明導電層のエッジは、第1透明導電層のエッジの外側に位置する。
【0009】
一実施例において、第1透明導電層のエッジと第2透明導電層のエッジとの最小間隔D3は、50μmである。
【0010】
一実施例において、第2透明導電層のエッジと第1表面の境界との最大間隔D4は、1000μmである。
【0011】
一実施例において、第1ドープ層は、第1表面及び複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、第2透明導電層のエッジは、第1ドープ層の基板から離れた表面に積層される。
【0012】
一実施例において、ヘテロ接合太陽電池は、分離領域の表面に積層して設けられ、少なくとも分離領域を覆う絶縁分離層をさらに含む。
【0013】
一実施例において、絶縁分離層は、第1ドープ層を完全に覆って前記分離領域を覆い、かつ絶縁分離層の少なくとも一部の構造は、第1ドープ層と第2透明導電層との間に位置する。
【0014】
一実施例において、絶縁分離層の厚さは、1.8nm以上である。
【0015】
一実施例において、第2真性シリコン層及び第2ドープ層は、いずれも第2表面及び複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、
第1真性シリコン層は、第1表面及び複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、
第2真性シリコン層の一部の構造は、第1真性シリコン層の基板から離れた表面に積層され、第2ドープ層の一部の構造は、第1真性シリコン層の基板から離れた表面に積層され、第1ドープ層の一部の構造は、第2ドープ層の基板から離れた表面に積層される。
【0016】
一実施例において、絶縁分離層は、分離領域を覆い、かつ絶縁分離層のエッジは、第1透明導電層のエッジ及び第2透明導電層のエッジにそれぞれ隣接する。
【0017】
一実施例において、絶縁分離層の材質は、SiOxを含み、
絶縁分離層には、炭素元素及び窒素元素がさらにドープされ、及び/又は、
絶縁分離層には、第1ドープ元素がさらにドープされ、第1ドープ元素は、第1ドープ層におけるドープ元素と同じである。
【0018】
一実施例において、第1ドープ層は、第1表面を覆い、第2透明導電層のエッジは、基板の各側面に位置する。
【0019】
一実施例において、第1透明導電層のエッジに近い第1領域の膜層の厚さは、第1方向に沿って徐々に薄くなり、第1方向は、第1透明導電層の中心から第1透明導電層のエッジに向かい、かつ第1表面に平行である。
【0020】
一実施例において、第1領域の第1方向に沿った最小幅寸法D5は、100μmである。
【0021】
一実施例において、ヘテロ接合太陽電池は、第1電極と第2電極とをさらに含み、
第1電極は、第1透明導電層に設けられ、第2電極は、第2透明導電層に設けられ、
第1電極の第1平面への投影と第2電極の第1平面への投影とは、互いにずれており、第1平面は、基板の厚さ方向に垂直である。
【0022】
一実施例において、第1透明導電層及び第2透明導電層のうちの少なくとも一方は、銀ナノワイヤー層と、少なくとも2層の互いに積層された透明導電膜層とを含み、各透明導電膜層の材質が異なり、少なくとも2層の透明導電膜層の間に1層の銀ナノワイヤー層が介在される。
【0023】
一実施例において、ヘテロ接合太陽電池は、誘電体層をさらに含み、
第1透明導電層の基板から離れた表面には、少なくとも1層の誘電体層が設けられ、及び/又は、
第2透明導電層の基板から離れた表面には、少なくとも1層の誘電体層が設けられる。
【0024】
一実施例において、第1透明導電層及び第2透明導電層のうちの少なくとも一方は、銀ナノワイヤー層と、1層の透明導電膜層とを含み、銀ナノワイヤー層は、透明導電膜層における基板を向く表面に設けられる。
【0025】
本願の実施例の第2態様に係るヘテロ接合太陽電池の製造方法は、
サブストレートを提供するステップであって、サブストレートは、基板を含み、基板は、対向して設けられた第1表面と第2表面、及び第1表面と第2表面との間に隣接する複数の側面を含み、サブストレートは、第1表面に順に積層して設けられた第1真性シリコン層と第1ドープ層、及び第2表面に順に積層して設けられた第2真性シリコン層と第2ドープ層をさらに含み、第2ドープ層のドープタイプは、第1ドープ層のドープタイプとは逆であるステップと、
第1ドープ層上に、第1表面の少なくとも一部の表面を覆う第1透明導電層を形成するステップと、
第2ドープ層上に、第2表面及び複数の側面の少なくとも一部の表面を覆う第2透明導電層を形成し、第1透明導電層のエッジと第2透明導電層のエッジとを間隔をおいて設けることにより、第1透明導電層のエッジと第2透明導電層のエッジとの間に分離領域を画定するステップと、を含む。
【0026】
一実施例において、第1ドープ層上に第1透明導電層を形成し、第2ドープ層上に第2透明導電層を形成するステップは、
第1ドープ層上に第1透明導電層を形成し、第2ドープ層上に第2透明導電層を形成し、少なくとも分離領域を覆う絶縁分離層を分離領域上に形成するステップを含む。
【0027】
一実施例において、第1ドープ層上に第1透明導電層を形成し、第2ドープ層上に第2透明導電層を形成し、分離領域上に絶縁分離層を形成するステップは、具体的には、
中央に肉抜き部が形成されたキャリアプレートを反応チャンバに入れるステップと、
サブストレートをキャリアプレートに置き、第1ドープ層をキャリアプレートに向け、第1ドープ層の第2領域を肉抜き部から外部に露出させるステップであって、第1ドープ層は、第1ドープ層の基板から離れた表面における第2領域以外の部分である第3領域をさらに含むステップと、
第1ドープ層の第2領域に第1透明導電層を形成するとともに、第3領域に絶縁分離層を形成するステップと、
第2ドープ層上に第2透明導電層を形成するステップと、を含む。
【0028】
一実施例において、第1ドープ層の第2領域に第1透明導電層を形成し、第3領域に絶縁分離層を形成するステップにおいて、反応チャンバ内の水蒸気分圧は、3e-3Pa~9.5e-3Paである。
【0029】
一実施例において、サブストレートを提供するステップは、具体的には、
基板の第1表面に、第1表面及び複数の側面の少なくとも一部の表面を覆う第1真性シリコン層を形成するステップと、
基板の第2表面に第2真性シリコン層を形成するステップであって、第2真性シリコン層は、第2表面及び複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、第2真性シリコン層の一部の構造は、第1真性シリコン層の基板から離れた表面に積層されるステップと、
第2真性シリコン層の基板から離れた表面に第2ドープ層を形成するステップであって、第2ドープ層は、第2表面及び複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、第2ドープ層の一部の構造は、第1真性シリコン層の基板から離れた表面に積層されるステップと、
第1真性シリコン層の基板から離れた表面に第1ドープ層を形成するステップであって、第1ドープ層は、第1表面及び複数の側面の少なくとも一部の表面を覆い、第1ドープ層の一部の構造は、第2ドープ層の基板から離れた表面に積層されるステップと、を含む。
【0030】
一実施例において、第2ドープ層上に第2透明導電層を形成するステップの後に、前記方法は、
第1透明導電層上に第1電極を形成するステップと、
第2透明導電層に第2電極を形成するステップであって、第1電極の第1平面への投影と第2電極の第1平面への投影とは、互いにずれており、第1平面は、基板の厚さ方向に垂直であるステップと、をさらに含む。
【0031】
本願の実施例の第3態様に係る太陽光発電モジュールは、少なくとも1つの電池ストリングを含み、各電池ストリングは、少なくとも2つの上記ヘテロ接合太陽電池を含む。
【0032】
本願の実施例の第4態様に係る太陽光発電システムは、上記太陽光発電モジュールを含む。
【発明の効果】
【0033】
上記ヘテロ接合太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール並びに太陽光発電システムの有益な効果は、以下のとおりである。
第1透明導電層のエッジと第2透明導電層のエッジとを間隔をおいて設けることにより、第1透明導電層のエッジと第2透明導電層のエッジとの間に分離領域を画定する。これにより、第1透明導電層と第2透明導電層とを効果的に分離し、両者の接触による短絡を回避し、効率損失を低減することができる。また、第2透明導電層が側面の少なくとも一部の表面を覆うことにより、高い電流密度を保証するとともに、曲線因子の損失を最小化し、ヘテロ接合太陽電池の効率をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本願の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の構造概略図である。
【
図2】本願の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の電池側面における膜層構造の概略図である。
【
図3】本願の別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の構造概略図である。
【
図4】本願のさらに別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の構造概略図である。
【
図5】本願のさらに別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の構造概略図である。
【
図6】本願のさらに別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の構造概略図である。
【
図7】
図6のヘテロ接合太陽電池の電池側面における膜層構造の概略図である。
【
図8】本願のさらに別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の構造概略図である。
【
図9】
図8のヘテロ接合太陽電池の第1表面側における角部の膜層構造の概略図である。
【
図10】本願のさらに別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の構造概略図である。
【
図11】本願の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の製造方法のフローチャートである。
【
図12】本願の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の製造方法におけるサブストレートの構造概略図である。
【
図13】本願の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の製造方法において、サブストレート上に第1透明導電層及び絶縁分離層を形成する概略図である。
【
図14】本願の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の製造方法により形成されたヘテロ接合太陽電池の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本願の上記の目的、特徴及び利点をより明確かつ理解しやすくするために、以下、本願の具体的な実施形態について、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、本願の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が記載される。しかしながら、本願は、ここで説明したものとは異なる他の多くの形態で実施することができ、当業者であれば、本願の趣旨を逸脱することなく同様の改良を行うことができるため、以下に開示する具体的な実施例によって本願が限定されるものではない。
【0036】
本発明の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「径方向」、「周方向」などの用語で示す方位又は位置関係は、図面に示す方位又は位置関係であり、本発明を説明しやすい、又は説明を簡単にするだけに用いられ、示している装置又は部品が必ず特定の方位を有し、特定の方位構造と操作を有することを表す又は暗示することではないことを理解されるべきであり、そのため本発明を限定するものと解釈されるべきではない。
【0037】
また、用語「第1」、「第2」は、目的を説明するためだけに用いられるものであり、比較的な重要性を指示又は暗示するか、或いは示された技術的特徴の数を黙示的に指示すると理解してはいけない。これにより、「第1」、「第2」に限定されている特徴は、少なくとも1つの該特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本発明の説明において、明確かつ具体的な限定がない限り、「複数」は、少なくとも2つ、例えば、2つ、3つなどを意味する。
【0038】
本発明において、特に明確な規定及び限定しない限り、「取り付け」、「連結」、「接続」などの用語は、広義に理解すべきであり、例えば、固定接続であってもよく、着脱可能な接続であってもよく、或いは、一体的な接続であってもよく、機械的な接続であってもよく、電気的な接続であってもよく、直接的に接続してもよく、中間媒体を介して間接的に接続されてもよく、2つの部材の内部の連通又は2つの部材の相互作用関係であってもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて、上記用語の本発明での具体的な意味を理解することができる。
【0039】
本発明において、特に明記しない限り、第1特徴が第2特徴の「上」又は「下」にあることは、第1及び第2特徴が直接接触すること、又は第1及び第2特徴が中間媒体を介して間接的に接触することであってもよい。また、第1特徴が第2特徴の「上」、「上方」及び「上面」にあることは、第1特徴が第2特徴の真上又は斜め上にあることを含み、或いは、第1特徴の水平高さが第2特徴よりも高いことを表すだけである。第1特徴が第2特徴の「下」、「下方」及び「下面」にあることは、第1特徴が第2特徴の直下又は斜め下にあることを含み、或いは、第1特徴の水平高さが第2特徴よりも低いことを表すだけである。
【0040】
なお、要素が別の要素に「固定される」又は「設けられる」と呼ばれる場合、それは別の要素上に直接存在する場合もあれば、介在要素が存在する場合もある。要素が別の要素に「接続される」と考えられる場合、それは別の要素に直接接続される場合もあれば、介在要素が同時に存在する場合もある。本明細書で用いられる用語「垂直」、「水平」、「上」、「下」、「左」、「右」及び同様の表現は、説明のみを目的としており、唯一の実施形態を表すものではない。
【0041】
以下、図面を参照しながら、本願の実施例に係るヘテロ接合太陽電池及びその製造方法、太陽光発電モジュール並びに太陽光発電システムを説明する。
【0042】
図1は、本願の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の構造概略図であり、
図2は、本願の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の側面における膜層構造の概略図である。
【0043】
なお、本願の図面において、ヘテロ接合太陽電池100の厚さ方向に沿った縦断面図における1つの角部の構造のみを例示したが、ヘテロ接合太陽電池100の断面図に示されていない他の部分については同様であるため、ここでは説明を省略する。また、これらの図面において、ヘテロ接合太陽電池100の1つの側面における膜層構造の概略図のみを示したが、ヘテロ接合太陽電池100の他の側面の構造については同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0044】
図1及び
図2に示すように、本願の実施例の第1態様は、基板10と、第1真性シリコン層20と、第1ドープ層30と、第1透明導電層40と、第2真性シリコン層50と、第2ドープ層60と、第2透明導電層70とを含むヘテロ接合太陽電池100を提供する。
【0045】
基板10は、対向して設けられた第1表面Fと第2表面S、及び第1表面Fと第2表面Sとの間に隣接する複数の側面Cを含む。第1真性シリコン層20、第1ドープ層30及び第1透明導電層40は、第1表面Fに順に積層して設けられる。第2真性シリコン層50、第2ドープ層60及び第2透明導電層70は、第2表面Sに順に積層して設けられ、かつ第1ドープ層30のドープタイプは、第2ドープ層60のドープタイプとは逆である。
【0046】
第1透明導電層40は、第1表面Fの少なくとも一部の表面を覆い、第2透明導電層70は、第2表面S及び複数の側面Cの少なくとも一部の表面を覆い、第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71との間に分離領域81を画定するように、第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71とは間隔をおいて設けられる。
【0047】
第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71との間に分離領域81を画定するように、第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71とは間隔をおいて設けられる。これにより、第1透明導電層40と第2透明導電層70とを効果的に分離し、両者の接触による短絡を回避し、効率損失を低減することができる。また、第2透明導電層70が側面Cの少なくとも一部の表面を覆うことにより、高い電流密度を保証するとともに、曲線因子の損失を最小化し、ヘテロ接合太陽電池100の効率をさらに向上させることができる。
【0048】
第1透明導電層40が第1表面Fの少なくとも一部の表面を覆うとは、第1透明導電層40が第1表面Fの一部の表面を覆うこと、又は第1透明導電層40が第1表面Fの全体を覆うことをいう。
【0049】
ここでは、分離領域81とは、第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71とが互いに電気的に分離される領域をいう。また、本願の実施例にいう一方が他方を覆うとは、一方の配置範囲が他方を覆うことができるほど大きく、両者が直接接触するか否かを限定するものではない。例えば、第1透明導電層40が第1表面Fの全体を覆うとは、第1透明導電層40の第1表面Fへの投影が第1表面Fを完全に覆うことができ、第1透明導電層40の配置範囲が第1表面Fの配置範囲よりも大きいが、第1透明導電層40と第1表面Fとが直接接触するか否かを限定しないことをいう。
【0050】
本願の実施例において、第1真性シリコン層20及び第2真性シリコン層50は、アモルファス又は微結晶を呈し、アモルファスを主とし、酸素、炭素、窒素などの元素を含み、第1真性シリコン層20及び第2真性シリコン層50は、例えば、いずれも真性アモルファスシリコンであってもよい。
【0051】
第1ドープ層30又は第2ドープ層60は、N型又はP型ドープであり、酸素、炭素、窒素などの元素を含み、両者のドープタイプの一方はN型であり、他方はP型である。また、第1ドープ層30及び第2ドープ層60は、アモルファス又は微結晶を呈し、微結晶を主とする。例示的には、第1ドープ層30及び第2ドープ層60のうちの一方は、P型ドープ微結晶シリコンであり、他方は、N型ドープ微結晶シリコンである。
【0052】
第1透明導電層40及び第2透明導電層70のうちの少なくとも一方は、銀ナノワイヤー層と、少なくとも2層の互いに積層された透明導電膜層(図示せず)とを含み、各透明導電膜層の材質が異なるか又は同じであり、少なくとも2層の透明導電膜層の間に1層の銀ナノワイヤー層が介在される。任意の2つの隣接する透明導電膜層の間にいずれも銀ナノワイヤー層が設けられてもよく、一部の透明導電膜層の間に銀ナノワイヤー層が設けられてもよい。ここでは、銀ナノワイヤーを設けることにより、導電性を保証するとともに、透明導電膜層の厚さを薄くし、これにより、第1透明導電層40及び第2透明導電層70の厚さを薄くし、透明導電膜層におけるTCO使用量を低減することができる。
【0053】
別の実施例において、第1透明導電層40及び第2透明導電層70のうちの少なくとも一方は、銀ナノワイヤー層と、1層の透明導電膜層とを含み、銀ナノワイヤー層は、透明導電膜層における基板10を向く表面に設けられてもよい。このように、同様に第1透明導電層40及び第2透明導電層70の厚さを薄くすることができる。
【0054】
ここでは、透明導電膜層の材質は、例えば、酸化インジウム(ITO)、酸化インジウム(IWO)、酸化インジウム(ICO)、酸化亜鉛(AZO)などであってもよい。
【0055】
本願の実施例において、ヘテロ接合太陽電池100は、誘電体層(図示せず)をさらに含み、第1透明導電層40の基板10から離れた表面には、少なくとも1層の誘電体層が設けられる。
【0056】
さらに、第2透明導電層70の基板10から離れた表面には、少なくとも1層の誘電体層が設けられる。ここでは、誘電体層は、反射防止層、パッシベーション層のうちの少なくとも1つを含んでもよい。誘電体層の材質は、SiO2、SiNx、SiONのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0057】
本願の実施例において、
図1に示すように、ヘテロ接合太陽電池100は、第1電極91と第2電極92とをさらに含んでもよい。第1電極91は、第1透明導電層40に設けられ、第2電極92は、第2透明導電層70に設けられる。具体的に設けると、第1電極91の第1平面への投影と第2電極92の第1平面への投影とを互いにずらしてもよく、第1平面は、基板10の厚さ方向に垂直である。このように、ヘテロ接合太陽電池100の両側の電極における金属グリッド線は、揃っていない。このように、第1表面F側(裏面)に位置する第1電極91は、第1電極91及び第1透明導電層40に入射する光線を反射することにより、ヘテロ接合太陽電池100の電流密度を向上させることができる。
【0058】
本願の実施例において、各膜層の配置状況について、
図1及び
図2参照すると、第2ドープ層60は、第2真性シリコン層50を覆い、第2透明導電層70は、第2ドープ層60を覆い、即ち、第2真性シリコン層50の配置範囲は、第2ドープ層60よりも小さく、第2ドープ層60のカバー範囲外に延びることができない。第2ドープ層60の配置範囲は、第2透明導電層70よりも小さく、第2透明導電層70のカバー範囲外に延びることができない。第1真性シリコン層20の配置範囲は、第1ドープ層30の配置範囲よりも大きく、第1ドープ層30のカバー範囲外に延びることができる。
【0059】
第1真性シリコン層20、第1ドープ層30は、基板10の側面Cにおいて、第2真性シリコン層50及び第2ドープ層60と互いに重なっていてもよく、互いに接触せずに間隔を有していてもよい。ここでは、第1真性シリコン層20及び第1ドープ層30が基板10の側面Cにおいて第2真性シリコン層50及び第2ドープ層60の一部の構造と重なることができることを例として説明する。
【0060】
本願の実施例において、第1ドープ層30は、第1表面F及び複数の側面Cの少なくとも一部の表面を覆うか、或いは、第1ドープ層30は、第1表面F側のみに設けられ、側面Cまで延びていなくてもよい。
【0061】
第1ドープ層30が第1表面F及び複数の側面Cの少なくとも一部の表面を覆う場合、第2真性シリコン層50及び第2ドープ層60は、いずれも第2表面S及び複数の側面Cの少なくとも一部の表面を覆う。第1真性シリコン層20は、第1表面F及び複数の側面Cの少なくとも一部の表面を覆い、第2真性シリコン層50の一部の構造は、第1真性シリコン層20の基板10から離れた表面に積層され、第2ドープ層60の一部の構造は、第1真性シリコン層20の基板10から離れた表面に積層され、第1ドープ層30の一部の構造は、第2ドープ層60の基板10から離れた表面に積層される。このように、電流密度を向上させるとともに、曲線因子の損失を最小化し、ヘテロ接合太陽電池100の効率をさらに向上させることができる。もちろん、第1真性シリコン層20及び第1ドープ層30と、第2真性シリコン層50及び第2ドープ層60との互いの積層関係は、これに限定されず、他のものであってもよく、主に、これらの膜層の間の形成順序に関連し、製造プロセスにおける後寄りの膜層の一部の構造は、製造プロセスにおける隣接する前寄りの膜層構造に積層される。
【0062】
本願の実施例において、第1透明導電層40は、第1表面F側のみに設けられてもよく、即ち、第1透明導電層40は、側面Cまで延びていない。第1透明導電層40を第2透明導電層70からできるだけ分離することを保証するために、第1透明導電層40は、第1表面Fの一部のみを覆ってもよく、例えば、第1透明導電層のエッジ41が第1表面Fの境界の内側に位置してもよい。もちろん、本願は、このような状況を含むが、これに限定されず、第1透明導電層40の配置範囲は、基板10の側面Cまで延びることができる。
【0063】
図3は、本願の別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池100の構造概略図である。
図4は、本願のさらに別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池100の構造概略図である。
図5は、本願のさらに別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池100の構造概略図である。
【0064】
図3を参照すると、第1透明導電層40が第1表面Fに設けられる場合、第1透明導電層40のエッジに近い第1領域Z1の膜層の厚さは、第1方向Yに沿って徐々に薄くなり、第1方向Yは、第1透明導電層40の中心から第1透明導電層のエッジ41に向かい、かつ第1表面Fに平行である。さらに、第1領域Z1の第1方向Yに沿った最小幅寸法D5は、100μmである。
【0065】
本願の実施例において、第2透明導電層70の配置領域について、
図1、
図3に示すように、第2透明導電層のエッジ71は、側面Cに位置してもよい。或いは、
図4、
図5に示すように、第2透明導電層70は、各側面Cを完全に覆うとともに、第1表面Fの一部の領域を覆ってもよい。
【0066】
図1及び
図3に示すように、第2透明導電層のエッジ71が側面Cに位置する場合、第1透明導電層のエッジ41と第1表面Fの境界との最小間隔D1は、100μmである。第1透明導電層のエッジ41が不規則な形状である可能性があるため、第1透明導電層のエッジ41と第1表面Fの境界との間隔は、第1透明導電層のエッジ41における任意の一点と第1表面Fの境界線における対応点との間の間隔を指してもよく、該間隔において、最小間隔D1が100μmである。この場合、第1透明導電層のエッジ41は、基板10の側面C、即ち、第2透明導電層のエッジ71と十分な間隔を有するため、第1透明導電層40と第2透明導電層70とを効果的に分離し、短絡を回避することができる。
【0067】
さらに、第2透明導電層のエッジ71と第1表面Fとの最大間隔D2は、100μmであり、このように、第2透明導電層70が基板10の側面Cにおいて十分に大きい被覆面積を有し、電流密度をできるだけ向上させ、かつ曲線因子の損失を最小化して、ヘテロ接合太陽電池100の効率を向上させることができる。
【0068】
図4及び
図5に示すように、第2透明導電層70が各側面Cを完全に覆うとともに、第1表面Fの一部の領域を覆う場合、第2透明導電層のエッジ71は、第1透明導電層のエッジ41の外側に位置する。
【0069】
さらに、第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71との最小間隔D3は、50μmである。このように、第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71とがいずれも第1表面Fに位置する場合、第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71との間に十分な間隔を有し、第1透明導電層40と第2透明導電層70とを効果的に分離し、短絡を回避することができる。
【0070】
また、第2透明導電層のエッジ71と第1表面Fの境界との最大間隔D4は、1000μmである。これは、第2透明導電層70の第1表面Fにおける配置範囲を制御するためであり、第2透明導電層のエッジ71と第1表面Fの境界との間隔が小さいほど好ましく、第2透明導電層70の第1表面Fでの被覆めっきは、電池の並列抵抗の低下を招いてヘテロ接合太陽電池100の曲線因子に影響を与えるためであり、最大間隔D4を1000μmに制限すれば、このような状況の発生を回避することができる。
【0071】
さらに、第2透明導電層のエッジ71の位置が側面Cに対応するか、第1表面Fに対応するかにかかわらず、第2透明導電層のエッジ71を第1ドープ層30の基板10から離れた表面に積層することができる。
【0072】
図6は、本願のさらに別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池100の構造概略図であり、
図7は、
図6のヘテロ接合太陽電池100の電池側面Cにおける膜層構造の概略図であり、
図8は、本願のさらに別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池100の構造概略図であり、
図9は、
図8のヘテロ接合太陽電池100の第1表面における電池の角部領域に近接する膜層構造の概略図である。
【0073】
本願の実施例において、分離領域81の分離効果を向上させるために、分離領域81上に絶縁分離層80を設けることも考えられる。
【0074】
具体的に実現する場合、
図1、
図4、
図6及び
図8を参照すると、ヘテロ接合太陽電池100は、分離領域81に積層して設けられ、少なくとも分離領域81を覆う絶縁分離層80をさらに含む。絶縁分離層80を設けることにより、分離領域81を絶縁保護し、短絡の発生をさらに低減することができる。
【0075】
例示的には、絶縁分離層80の材質は、SiOxを含み、絶縁分離層80には、炭素元素及び窒素元素がさらにドープされる。
【0076】
さらに、絶縁分離層80には、第1ドープ元素がさらにドープされ、第1ドープ元素は、第1ドープ層30におけるドープ元素と同じである。
【0077】
例示的には、絶縁分離層80の厚さは、1.8nm以上であり、このように、絶縁分離層80は、分離領域81に対して絶縁保護作用を果たす十分な厚さを有する。
【0078】
本願の実施例において、絶縁分離層80の配置範囲は、分離領域81のみを覆ってもよく、分離領域81よりも若干大きくてもよい。
【0079】
図1及び
図4を参照すると、1つの可能な実施形態として、絶縁分離層80は、分離領域81を覆い、かつ絶縁分離層80のエッジは、第1透明導電層のエッジ41及び第2透明導電層のエッジ71にそれぞれ隣接する。
【0080】
引き続き
図6、
図7、
図8及び
図9を参照すると、
図6及び
図7は、第2透明導電層のエッジ71が側面Cに位置する場合を示し、
図8及び
図9は、第2透明導電層のエッジ71が第1表面Fまで延びる場合を示す。この2つの場合には、絶縁分離層80は、第1ドープ層30を完全に覆って分離領域81を覆い、かつ絶縁分離層80の少なくとも一部の構造は、第1ドープ層30と第2透明導電層70との間に位置する。このように、第1ドープ層30と第2透明導電層70との間に位置する絶縁分離層80の部分の厚さが厚いため、キャリアのトンネル効果が困難になり、第1ドープ層30と第2透明導電層70とを分離する目的を果たす。もちろん、この2つの場合には、絶縁分離層80は、最適な分離目的を達成するために、少なくとも第1ドープ層30を完全に覆う。
【0081】
図10は、本願のさらに別の実施例に係るヘテロ接合太陽電池100の構造概略図である。
【0082】
本願の実施例において、第1ドープ層30と第2透明導電層70とを直接接触させなくてもよく、具体的に実現する場合、
図10に示すように、第1ドープ層30は、第1表面Fのみに設けられ、側面Cまで延びていなくてもよく、例示的には、第1ドープ層30は、第1表面Fを覆い、第2透明導電層70のエッジは、基板10の各側面Cに位置する。このように、第2透明導電層70と第1ドープ層30との接触をできるだけ回避する。
【0083】
図11は、本願の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の製造方法のフローチャートであり、
図12は、本願の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の製造方法におけるサブストレート110の構造概略図である。
図13は、本願の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の製造方法において、サブストレート110上に第1透明導電層40及び絶縁分離層80を形成する概略図であり、
図14は、本願の実施例に係るヘテロ接合太陽電池の製造方法により形成されるヘテロ接合太陽電池100の構造概略図である。
【0084】
図1、
図11、
図12を参照すると、本願の実施例の第2態様に係るヘテロ接合太陽電池の製造方法は、以下のステップS10~ステップS30を含む。
【0085】
S10では、サブストレート110を提供する。サブストレート110は、基板10を含み、基板10は、対向して設けられた第1表面Fと第2表面S、及び第1表面Fと第2表面Sとの間に隣接する複数の側面Cを含み、サブストレート110は、第1表面Fに順に積層して設けられた第1真性シリコン層20と第1ドープ層30、及び第2表面Sに順に積層して設けられた第2真性シリコン層50と第2ドープ層60をさらに含み、第2ドープ層60のドープタイプは、第1ドープ層30のドープタイプとは逆である。
【0086】
S20では、第1ドープ層30上に、第1表面Fの少なくとも一部の表面を覆う第1透明導電層40を形成する。
【0087】
S30では、第2ドープ層60上に、第2表面S及び複数の側面Cの少なくとも一部の表面を覆う第2透明導電層70を形成し、第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71とを間隔をおいて設けることにより、第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71との間に分離領域81を画定する。
【0088】
本願の実施例において、第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71とを間隔をおいて設けることにより、第1透明導電層のエッジ41と第2透明導電層のエッジ71との間に分離領域81を画定する。これにより、第1透明導電層40と第2透明導電層70とを効果的に分離し、両者の接触による短絡を回避し、効率損失を低減することができる。また、第2透明導電層70が側面Cの少なくとも一部を覆うことにより、高い電流密度を保証するとともに、曲線因子の損失を最小化し、ヘテロ接合太陽電池100の効率をさらに向上させることができる。
【0089】
図12を参照すると、上記ステップS10では、サブストレート110を提供するステップは、具体的には、
基板10の第1表面Fに、第1表面F及び複数の側面Cの少なくとも一部の表面を覆う第1真性シリコン層20を形成するステップと、
基板10の第2表面Sに第2真性シリコン層50を形成するステップであって、第2真性シリコン層50は、第2表面S及び複数の側面Cの少なくとも一部を覆い、第2真性シリコン層50の一部の構造は、第1真性シリコン層20の基板10から離れた表面に積層されるステップと、
第2真性シリコン層50の基板10から離れた表面に第2ドープ層60を形成するステップであって、第2ドープ層60は、第2表面S及び複数の側面Cの少なくとも一部の表面を覆い、第2ドープ層60の一部の構造は、第1真性シリコン層20の基板10から離れた表面に積層されるステップと、
第1真性シリコン層20の基板10から離れた表面に第1ドープ層30を形成するステップであって、第1ドープ層30は、第1表面F及び複数の側面Cの少なくとも一部の表面を覆い、第1ドープ層30の一部の構造は、第2ドープ層60の基板10から離れた表面に積層されるステップと、を含む。
【0090】
本願の実施例において、ステップS20、ステップS30では、第1ドープ層30上に第1透明導電層40を形成し、第2ドープ層60上に第2透明導電層70を形成するステップは、第1ドープ層30上に第1透明導電層40を形成し、第2ドープ層60上に第2透明導電層70を形成し、少なくとも分離領域81を覆う絶縁分離層80を分離領域81上に形成するステップを含む。
【0091】
ここでは、絶縁分離層80は、第1透明導電層40及び第2透明導電層70を形成するステップにおいて同時に形成されてもよい。例えば、絶縁分離層80は、第1透明導電層40を形成する過程において形成されてもよい。
【0092】
例示的には、
図13、
図6及び
図14を参照すると、第1ドープ層30上に第1透明導電層40を形成し、第2ドープ層60上に第2透明導電層70を形成し、分離領域81上に絶縁分離層80を形成するステップは、具体的には、以下のステップを含む。
中央に肉抜き部121が形成されたキャリアプレート120を反応チャンバ(図示せず)に入れる。
サブストレート110をキャリアプレート120に置き、第1ドープ層30をキャリアプレート120に向け、第1ドープ層30の第2領域を肉抜き部121から外部に露出させ、第2領域は、肉抜き部121に対応する第1ドープ層30の領域である。第1ドープ層30は、第1ドープ層30の基板10から離れた表面における第2領域以外の部分である第3領域をさらに含む。
第1ドープ層30の第2領域に第1透明導電層40を形成するとともに、第1ドープ層30の第3領域に絶縁分離層80を形成する。
第2ドープ層60上に第2透明導電層70を形成する。
【0093】
第2透明導電層のエッジ71の一部の構造は、絶縁分離層80の基板10から離れた表面に積層されてもよく、このように、第2透明導電層のエッジ71で覆われていない第3領域における部分は、分離領域81を形成する。このように、絶縁分離層80は、分離領域81を覆う一方で、第2透明導電層70と第1ドープ層30との間に位置する絶縁分離層80の部分は、絶縁分離の作用を果たす。
【0094】
また、
図3に示すように、キャリアプレート120の肉抜き部121のエッジの影響により、この時に形成された第1透明導電層40においてエッジに近い第1領域Z1の膜層の厚さは、第1方向に沿って徐々に薄くなる。
【0095】
例示的には、第1ドープ層30の第2領域に第1透明導電層40を形成し、第1ドープ層30の第3領域に絶縁分離層80を形成するステップにおいて、反応チャンバ内の水蒸気分圧は、3e-3Pa~9.5e-3Paであり、好ましくは、5e-3Pa~8e-3Paである。キャリアプレート120の温度は、85℃より高いと設定されてもよい。絶縁分離層80の形成は、反応チャン内の水蒸気分圧を制御することにより実現される。
【0096】
第1透明導電層40は、例えば、PVDで形成されてもよく、第1透明導電層40のターゲットのプラズマ(水蒸気及び酸素含有イオンを含む)は、
図13に示す肉抜き部121領域を通過した後に第2領域の表面に形成することで、第1透明導電層40を形成し、それと同時に、遊離した酸素含有イオンも第1ドープ層30の第2領域以外の部分に絶縁分離層80を形成する。
【0097】
具体的には、高い水蒸気分圧、85℃よりも高いキャリアプレート120の温度及び酸素含有プラズマにより、第1ドープ層30の基板10から離れた表面における、キャリアプレート120によって遮られた領域、及び該表面における第2領域以外の部分は、遊離した酸素含有イオンによって酸化されて絶縁分離層80を形成し、酸素含有イオンは、例えば、O-イオン、HO-イオンを含む。形成された絶縁分離層80の一部の構造は、第1表面Fに位置し、他の一部の構造は、基板10の側面Cに延びる。
【0098】
第2透明導電層70は、絶縁分離層80が形成された後に製造されるため、絶縁分離層80が第2透明導電層70と第1ドープ層30とを分離し、絶縁分離層80の厚さが1.8nm以上であり、この厚さの酸化ケイ素は、既にトンネル層と見なされず、高い抵抗を有し、これにより、第2透明導電層70と第1ドープ層30との間の重畳領域において第2透明導電層70と第1ドープ層30とを電気的に絶縁する役割を果たす。絶縁分離層80が第1ドープ層30の表面に形成されるため、絶縁分離層80におけるドープ元素は、第1ドープ層30と部分的に同じであってもよく、例えば、ボロンであってもよい。
【0099】
本願の実施例において、ステップS30では、第2ドープ層60上に第2透明導電層70を形成するステップの後に、第1透明導電層40上に第1電極91を形成するステップと、第2透明導電層70上に第2電極92を形成するステップであって、第1電極91の第1平面への投影と第2電極92の第1平面への投影とは、互いにずれており、第1平面は、基板10の厚さ方向に垂直であるステップと、をさらに含む。
【0100】
以下、
図12、
図13、
図14を参照すると、具体的な例を挙げて本願に係るヘテロ接合太陽電池の製造方法を説明し、該方法は、以下のステップ1~ステップ5を含む。
【0101】
ステップ1では、洗浄、テクスチャ化の工程により基板10を洗浄し、基板10の表面にピラミッド状のテクスチャ構造を製造する。
【0102】
ステップ2では、PECVD装置により、第1真性シリコン層20、第2真性シリコン層50、第2ドープ層60、第1ドープ層30をそれぞれ順に堆積する。具体的には、サブストレート110の第1表面Fに第1真性シリコン層20を形成し、サブストレート110の第2表面Sに第2真性シリコン層50を形成し、第2真性シリコン層50の基板10から離れた表面に第2ドープ層60を形成し、第1真性シリコン層20の基板10から離れた表面に第1ドープ層30を形成する。
【0103】
ステップ3では、PVD装置又はRPD装置により、第1透明導電層40、絶縁分離層80及び第2透明導電層70を順に製造する。具体的には、第1ドープ層30が形成された基板10をキャリアプレート120に置き、第1ドープ層30をキャリアプレート120に向け、第1ドープ層30の第2領域を肉抜き部121から外部に露出させ、反応チャンバ内の水蒸気分圧を3e-3Pa~9.5e-3Paに設定し、キャリアプレート120の温度が85℃よりも大きい場合、第1ドープ層30の第2領域に第1透明導電層40を形成するとともに、第1ドープ層30の残りの領域、即ち第3領域に絶縁分離層80を形成する。次に、第2ドープ層60上に第2透明導電層70を形成する。
【0104】
ステップ4では、スクリーン印刷により第1透明導電層40及び第2透明導電層70上に金属ペーストを印刷し、一定の温度で硬化して第1電極91及び第2電極92をそれぞれ形成する。
【0105】
ステップ5では、光注入装置により光注入とアニールを行って、ヘテロ接合太陽電池100を形成する。
【0106】
本願の第3態様は、太陽光発電モジュールは、少なくとも1つの電池ストリングを含み、各電池ストリングは、少なくとも2つの上記ヘテロ接合太陽電池100を含む。
【0107】
各ヘテロ接合太陽電池100の間は、シリーズ溶接によって接続され、これにより、単一のヘテロ接合太陽電池100が発生した電気エネルギーを集めて後続の輸送を行うことができる。一実施例において、ヘテロ接合太陽電池100は、間隔をおいて配置されてもよく、積層されてもよい。
【0108】
例示的には、太陽光発電モジュールは、電池ストリングの表面を覆う封止層と、封止層の電池ストリングから離れた表面を覆うカバープレートとをさらに含む。
【0109】
本願の第4態様に係る太陽光発電システムは、上記太陽光発電モジュールを含む。
【0110】
太陽光発電システムは、地上発電所、屋上発電所、水面発電所などの太陽光発電所に適用することができ、また、ユーザ太陽光電源、太陽光街路灯、太陽光カー、太陽光ビルディングなどのような太陽光を利用して発電する設備又は装置に適用することができる。もちろん、理解されるように、太陽光発電システムの利用シーンはこれに限らない。つまり、太陽光発電システムは、太陽光による発電を必要とするあらゆる分野に適用可能である。太陽光発電システムネットワークを例とし、太陽光発電システムは、太陽光発電アレイと、集電ボックスと、インバータとを含んでもよく、太陽光発電アレイは、複数の太陽光発電モジュールのアレイの組み合わせとすることができ、例えば、複数の太陽光発電モジュールは、複数の太陽光発電アレイを構成することができ、太陽光発電アレイは、集電ボックスに接続され、集電ボックスは、太陽光発電アレイによって生成された電流を集電することができ、集電された電流は、インバータを介して商用電力網によって要求される交流に変換された後、商用電力網に接続され、太陽光電力供給を実現する。
【0111】
上述した実施例の各技術的特徴を任意に組み合わせてもよく、簡潔に説明するために、上述した実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを説明していないが、これらの組み合わせは全て本明細書に記載された範囲に属すると考えられるべきである。
【0112】
以上は具体的な実施例を参照しながら本発明の幾つかの態様を説明しているが、本発明の特許範囲を限定するものと理解すべきではない。なお、当業者にとって、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対して各種の変形及び改良を行ってもよく、これらの変形及び修正も本発明の範囲に属する。よって、本発明の保護範囲は、添付する特許請求の範囲に依るものである。
【符号の説明】
【0113】
100 ヘテロ接合太陽電池
110 サブストレート
10 基板
20 第1真性シリコン層
30 第1ドープ層
40 第1透明導電層
41 第1透明導電層のエッジ
50 第2真性シリコン層
60 第2ドープ層
70 第2透明導電層
71 第2透明導電層のエッジ
80 絶縁分離層
81 分離領域
91 第1電極
92 第2電極
120 キャリアプレート
121 肉抜き部
F 第1表面
S 第2表面
C 側面
Z1 第1領域
Y 第1方向