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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125420
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】コンテナ
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20240910BHJP
   B08B 3/02 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
B62B5/00 B
B08B3/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024107504
(22)【出願日】2024-07-03
(62)【分割の表示】P 2021044017の分割
【原出願日】2021-03-17
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和2年10月1日に納品及び設置
(71)【出願人】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】鋤柄 崇
(72)【発明者】
【氏名】杉田 耕輝
(57)【要約】
【課題】コンテナに付着した水滴を効率良く除去することが可能な除滴装置を提供すること。
【解決手段】除滴装置4は、棚板22によって区切られる収容空間を内部に有するコンテナ20に付着した水滴を除去する。除滴装置4は、収容空間の一方側から他方側に向けて棚板22の板面に沿って複数の空気噴流を並べて吹き出すように構成される複数の噴射口103cを有する空気噴射機構102,103を備える。空気噴射機構102,103は、棚板22の板面に向けて空気噴流を吹き付ける一の噴射口103cと、一の噴射口103cによる空気噴流を板面との間に挟むように他の空気噴流を吹き出す他の噴射口103cと、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の食品及び食器を収納して運搬するためのコンテナであって、
開口を有し、前記開口から前記食品及び前記食器を収納可能なコンテナ本体と、
前記コンテナ本体の前記開口を開閉可能な扉本体と、を備え、
前記コンテナ本体は、
前記扉本体に係合して前記扉本体を閉状態に維持するための留め具を有する、
コンテナ。
【請求項2】
請求項1に記載のコンテナであって、
前記留め具は、
前記コンテナ本体の上方に設けられ、前記扉本体の上部に係合する、
コンテナ。
【請求項3】
請求項2に記載のコンテナであって、
前記留め具は、
略L字状の形状を有し、前記扉本体の前記上部に係合する係合位置と、前記扉本体の前記上部と係合しない被係合位置との間を回転可能に構成される、
コンテナ。
【請求項4】
請求項1に記載のコンテナであって、
前記扉本体は、前記開口に対し左右一対の扉から構成され、
各前記扉の下方には上下方向に貫通する貫通孔が設けられており、各前記扉が閉じた状態において各前記貫通孔に固定部材を挿し込むことで前記扉本体を閉状態に維持可能に構成される、
コンテナ。
【請求項5】
請求項4に記載のコンテナであって、
各前記扉の外壁には、前記扉が開方向に回動して前記コンテナ本体の対応する壁に当接する際、当該扉を保護するためのバンパが設けられる、
コンテナ。
【請求項6】
請求項1に記載のコンテナであって、
前記コンテナ本体は、互いに対向し対向方向に連通する一対の前記開口を有し、
当該コンテナは、前記一対の前記開口をそれぞれ開閉可能な一対の前記扉本体を備える、
コンテナ。
【請求項7】
請求項1に記載のコンテナであって、
前記コンテナ本体の内部には、上下方向に間隔を空けて並ぶように複数の棚板が配置される、
コンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棚板によって区切られる収容空間を内部に有するコンテナに付着した水滴を除去する除滴装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、各種の施設(例えば、学校、医療施設及び介護施設等)での食事の提供を目的として、食品や食器等を置くことが可能な棚板を内部に有するコンテナが用いられている。この種のコンテナは、一般に大きな筐体内に棚板で仕切られた多数の収容空間を有していることから、手作業での洗浄が困難である。そこで、使用後のコンテナを洗浄するための専用の洗浄装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-005384号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コンテナの洗浄後、特に棚板の板面やその周辺に水滴が残存することは、コンテナの衛生管理等の観点から好ましくない。更に、そのように溜まった水滴が洗浄後のコンテナから垂れ落ちることで、洗浄装置の周辺の床面に水濡れが生じること等も懸念される。このような理由から、洗浄後のコンテナに付着した水滴を出来る限り除去することが望ましく、上述した従来のコンテナの洗浄装置は、棚板等に効果的に空気を吹き付けるためのノズルを備えている。しかし、このノズルは構造が複雑で大型であり、多数の棚板に対応した数のノズルを用意するために多大なコストを要するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構成を有しながらコンテナに付着した水滴を効率良く除去することが可能な除滴装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る除滴装置は、下記[1]~[4]を特徴としている。
[1]
棚板によって区切られる収容空間を内部に有するコンテナに付着した水滴を除去する除滴装置であって、
前記収容空間の一方側から他方側に向けて前記棚板の板面に沿って複数の空気噴流を並べて吹き出すように構成される複数の噴射口を有する空気噴射機構を備える、
コンテナの除滴装置であること。
[2]
上記[1]に記載の除滴装置において、
前記空気噴射機構は、
前記棚板の前記板面に向けて空気噴流を吹き付ける一の噴射口と、前記一の噴射口による空気噴流を前記板面との間に挟むように他の空気噴流を吹き出す他の噴射口と、を有する、
コンテナの除滴装置であること。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の除滴装置において、
前記棚板の前記一方側が前記他方側よりも下方に位置するように前記コンテナが傾いた姿勢に支持される、ように構成される、
コンテナの除滴装置であること。
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の除滴装置において、
前記空気噴射機構は、
前記複数の噴射口に空気を供給するための空気供給管と、前記空気供給管から前記複数の噴射口の各々へ直線状に空気を誘導する複数の噴射ノズルと、を有する、
コンテナの除滴装置であること。
【0007】
上記[1]の構成の除滴装置によれば、空気噴射機構は、水滴が付着しているコンテナに向けて(具体的には、コンテナの収容空間の一方側から他方側に向けて)、複数の噴射口から、棚板の板面に沿って複数の空気噴流を並べて吹き出すようになっている。これにより、単一の噴射口から空気噴流を吹き出す場合に比べて棚板の広い範囲に空気噴流を行き渡らせることができ、上述した従来の洗浄装置のように複雑な構造のノズルを用いなくても、棚板に付着した水滴を効率良く除去することができる。したがって、本構成の除滴装置は、簡易な構成を有しながらコンテナに付着した水滴を効率良く除去することが可能である。
【0008】
上記[2]の構成の除滴装置によれば、棚板の板面に向けて一の噴射口から空気噴流が吹き付けられながら、その空気噴流を棚板の板面との間に挟むように他の噴射口から空気噴流が吹き出される。これにより、棚板の板面上の水滴を主として前者の(即ち、一の噴射口からの)空気噴流で吹き飛ばしつつ、前者の空気噴流よりも棚板に対して上方を流れる後者の(即ち、他の噴射口からの)空気噴流により、棚板の板面との接触時の圧力損失等に起因して流速が低下した前者の空気噴流を噴射向きに押し流すことで、複数の空気噴流の全体としての流速の低下を抑制できる。これにより、単一の空気噴流のみによって除滴を行う場合に比べ、棚板のより広い範囲に十分な流速の空気噴流を行き渡らせることができ、コンテナに付着した水滴を効率良く除去することができる。
【0009】
上記[3]の構成の除滴装置によれば、棚板の一方側が他方側よりも下方に位置するように傾いた姿勢でコンテナが支持された状態で、その一方側から他方側に向けて棚板の板面に沿って空気噴流が吹き出される。これにより、コンテナ自体の傾斜によって棚板上の水滴を流れ落として除去しながら、空気噴流によって棚板上の水滴を吹き飛ばして除去することで、コンテナに付着した水滴を効率良く除去することができる。
【0010】
上記[4]の構成の除滴装置によれば、空気供給管から複数の噴射ノズルを介して直線状に且つ一括して複数の噴射口に向けて空気が供給される。これにより、空気供給管と噴射口との間に複雑な形状の配管等が介在する場合に比べ、空気供給管から噴射口に至る途中での圧力損失が小さくなる。よって、空気供給管へ空気を供給するポンプ等の性能を過度に高めなくとも、噴射口から吹き出される空気噴流の流速や吐出圧を容易に向上させることができる。したがって、除滴装置の大型化や製造コストの増大を避けながら、コンテナに付着した水滴を効率良く除去することができる。
【発明の効果】
【0011】
このように、本発明によれば、簡易な構成を有しながらコンテナに付着した水滴を効率良く除去することが可能な除滴装置を提供できる。
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施形態に係るコンテナの洗浄機の内部構造の概要を示す側面図である。
図2図2は、運搬時におけるコンテナを示し、図2(a)は、その側面図であり、図2(b)は、図2(a)のA部の拡大図であり、図2(c)は、図2(a)のA部の背面図である。
図3図3は、洗浄及び除滴時におけるコンテナを示し、図3(a)は、その側面図であり、図3(b)は、その背面図であり、図3(c)は、図3(b)のB部の拡大図である。
図4図4は、図1に示すコンテナの洗浄機が有するコンテナの搬送装置の内部構造の概要を示し、図4(a)は、その側面図であり、図4(b)は、その上面図である。
図5図5は、搬送装置によってコンテナが搬送される状態を示す背面図であり、図5(a)は、入口走行部を通過する段階を示し、図5(b)は、水平走行部を通過する段階を示し、図5(c)は、出口走行部を通過する段階を示す。
図6図6は、搬送装置によってコンテナが搬送される過程における、第1搬送路の前輪用突起及び後輪用突起に対するコンテナの前側キャスター及び後側キャスターの接触状態の推移を説明するための図である。
図7図7は、荒洗浄工程の様子を示す背面図である。
図8図8(a)は、除滴工程の第1段階の様子を示す背面図であり、図8(b)は、除滴工程の第2段階の様子を示す背面図である。
図9図9(a)は、除滴工程の第3段階の様子を示す背面図であり、図9(b)は、除滴工程の第4段階の様子を示す背面図である。
図10図10は、除滴工程の第5段階の様子を示す背面図である。
図11図11は、各棚板の上面に対して、棚板の右側に配置された上下2つの第1ノズルから上下2つの左向きの空気噴流が吹き付けられる様子を示す図である。
図12図12(a)及び図12(b)はそれぞれ、変形例における図8(a)及び図8(b)に対応する図である。
図13図13(a)及び図13(b)はそれぞれ、変形例における図9(a)及び図9(b)に対応する図である。
図14図14は、変形例における図10に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る洗浄機1について説明する。図1に示す洗浄機1は、洗浄機1の筐体11に設けた入口12から投入した複数のコンテナ20を搬送装置2(図4等参照)によって順次搬送しながら、洗浄装置3及び除滴装置4(図1等参照)によってコンテナ20に対して洗浄及び除滴を行い、洗浄及び除滴が行われたコンテナ20を筐体11に設けた出口13から排出する装置である。洗浄機1によって洗浄及び除滴が行われるコンテナ20としては、各種の施設(例えば、学校、医療施設及び介護施設等)での食事の提供を目的として、多数の食品や食器等を収納することが可能なコンテナが想定され得る。
【0015】
以下、説明の便宜上、図1図14に示すように、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。前後方向は、搬送装置2によるコンテナ20の搬送方向(搬送経路の方向)と一致しており、前側は、搬送経路の下流側に対応しており、後側は、搬送経路の上流側に対応している。
【0016】
まず、洗浄機1によって洗浄及び除滴が行われるコンテナ20について説明する。コンテナ20は、図2及び図3に示すように、左右両側に開口する矩形箱状の金属製のコンテナ本体21を有している。コンテナ本体21の内部は、上下方向に等間隔を空けて並ぶように配置された複数の棚板22によって、上下方向に区切られた収容空間となっている。各棚板22の上面には、多数の食品や食器等が載置されることになる。
【0017】
コンテナ本体21の矩形状の底面における前側の一対の角部及び後側の一対の角部にはそれぞれ、左右一対の前側キャスター23及び左右一対の後側キャスター24が設けられている。コンテナ本体21には、コンテナ本体21の左側開口及び右側開口の各々について、当該開口を開閉可能な前後一対の金属製の扉25(合計で4枚の扉25)が設けられている。各扉25は、矩形平板状の形状を有しており、同形である。各扉25は、図2(a)に示す閉状態から、開方向に向けて、コンテナ本体21の前後壁のうち対応する壁に当接するまで、略270度回動可能となっている。
【0018】
各扉25の外壁の上端縁には、扉25の閉状態(図2(a)参照)にて前後方向に延びる樹脂製の上側バンパ26が設けられ、各扉25の外壁の下端縁には、扉25の閉状態(図2(a)参照)にて前後方向に延びる樹脂製の下側バンパ27が設けられている。上側バンパ26及び下側バンパ27は、扉25が開方向に回動してコンテナ本体21の前後壁のうち対応する壁に当接する際、扉25を保護する機能を果たす。
【0019】
各扉25の上側バンパ26には、止め金具用切欠き26a(図2(b)参照)が設けられ、各扉25の下側バンパ27には、上下方向に貫通する貫通孔27a(図2(a)参照)が設けられている。コンテナ本体21の矩形状の上面の左右両縁部には、閉状態にある各扉25の止め金具用切欠き26aに対応して、止め金具28がそれぞれ設けられている。各止め金具28は、対応する止め金具用切欠き26aに係合する係合位置(図2(c)における実線を参照)と、対応する止め金具用切欠き26aと係合しない非係合位置(図2(c)における破線を参照)との間を回動可能に、コンテナ本体21の上面に設けられている。
【0020】
コンテナ20の内部の収容空間に食品や食器等が収納されている場合などにおいて、コンテナ20を運搬する際には、図2(a)に示すように、コンテナ本体21の左右両側の扉25を閉じ、閉状態にある前後一対の扉25に属する前後一対の止め金具用切欠き26aに、対応する前後一対の止め金具28が係合され、且つ、閉状態にある前後一対の扉25に属する前後一対の貫通孔27aに、固定部材29に一体に設けられた上下方向に延びる一対のピン29aが上方から挿し込まれる。これらにより、前後一対の扉25の上下が固定され、それら一対の扉25を閉状態に確実に維持することができる。この結果、コンテナ20の運搬時において、扉25が意図せずに開くことが抑制され得る。
【0021】
洗浄機1によってコンテナ20に対して洗浄及び除滴が行われる際には、図3に示すように、コンテナ本体21の前後両側の扉25を、閉状態から略180度回動した状態にまで開く。そのとき、左右一対の扉25に属する左右の貫通孔27aが、左右方向に対向する位置に配置されることになり、ピン29aと略同じ幅で左右方向に延びる連結板31の両端部に設けられた屈曲部31aを上方から挿し込むことができる。こうして連結板31を挿し込むことにより、左右一対の扉25を開状態に確実に維持して、コンテナ20内部の複数の棚板22が露出した状態を維持できる。この結果、コンテナ20の洗浄及び除滴時において、扉25が意図せずに閉じることが抑制され得る。
【0022】
<洗浄機1の全体構成>
次いで、洗浄機1の全体構成について説明する。図1に示すように、洗浄機1は、全体として、前後方向に長い略矩形筒状の筐体11を有する。筐体11は、水平な床面5に設けられた、下方に窪み且つ前後方向に延びる凹部6(図1参照)に載置されている。筐体11の後側開口は、コンテナ20を投入するための入口12として機能し、筐体11の前側開口は、洗浄及び除滴が行われたコンテナ20を排出するための出口13として機能する。
【0023】
筐体11の内部空間は、床面5より下側に位置する(凹部6の内部に位置する)下部空間R1と、床面5より上側に位置する上部空間R2とで構成される。上部空間R2は、上部空間R2の最も後側に位置し且つ後述する荒洗浄工程が行われる荒洗浄室R3と、荒洗浄室R3の前側に隣接し且つ後述する主洗浄工程が行われる主洗浄室R4と、主洗浄室R4の前側に隣接し且つ後述する仕上げ洗浄工程が行われる仕上げ洗浄室R5と、仕上げ洗浄室R5の前側に隣接して上部空間R2の最も前側に位置し且つ後述する除滴工程が行われる除滴室R6と、で構成される。荒洗浄室R3、主洗浄室R4、仕上げ洗浄室R5、及び除滴室R6は、前後方向に亘って連通している。筐体11の上壁の前後方向の所定の複数箇所には、筐体11の内部空間の空気を排出するための排気筒14が設けられている。排気筒14が設けられることで、筐体11内部の湯気や蒸気を排気筒14から排出するとともに、後述する除滴工程においてコンテナ20に対して吹き付けられた空気を排気筒14から排出し、入口12及び出口13から湯気や蒸気が噴き出すことが防止される。
【0024】
<搬送装置2>
次いで、洗浄機1が有する搬送装置2の構成について説明する。図4に示すように、下部空間R1及び上部空間R2の境界近傍の左右方向中央より左寄りの位置にて、前後方向に水平に延びるように構成されたコンベヤ7が設けられている。コンベヤ7は、下部空間R1の前端部に設けられた左右方向に回転軸を有する駆動ギヤ41、下部空間R1の後端部に設けられた左右方向に回転軸を有する従動ギヤ42、及び、駆動ギヤ41及び従動ギヤ42に前後方向に延びるように掛け回された搬送チェーン43(図4(b)参照)を有している。
【0025】
下部空間R1の駆動ギヤ41の近傍には、モータ44が設けられている。モータ44の回転軸には、モータギヤ45が一体に設けられている。モータギヤ45及び駆動ギヤ41には、駆動チェーン46が上下方向に対して傾斜して延びるように掛け回されている。
【0026】
搬送チェーン43は、重量物を載置可能な平坦面を外周側に有する複数のリンクが連結されて構成されている。複数のリンクが直線状に並ぶとき、各々のリンクが有する平坦面が、略連続した平面をなす。そして、搬送チェーン43のうち上部空間R2に面する部分の外側面(上側平坦面)が、コンテナ20の左側の前側キャスター23及び後側キャスター24が載置される搬送路として機能する。このように、コンベヤ7によって構成される搬送路(特に、説明の便宜上、搬送チェーン43の上側平坦面)は「第1搬送路49」に相当する。第1搬送路49は、入口12及び出口13に連続する床面5と面一となっている(図4(a)参照)。
【0027】
搬送チェーン43の外周面(即ち、第1搬送路49)には、図4(b)に示すように、搬送チェーン43の延在方向において所定の第1間隔(搬送される前後に隣接するコンテナ20間の間隔)を空けて並ぶように、複数の前輪用突起47が固定され、且つ、各前輪用突起47から所定の第2間隔だけ後側に離れた位置にて、後輪用突起48がそれぞれ固定されている。前輪用突起47及び後輪用突起48は、本例では、左右方向に延びる突条の形状を有している。
【0028】
前輪用突起47及び後輪用突起48はそれぞれ、コンテナ20の前側キャスター23及び後側キャスター24を係止させるための突起である(後述する図6参照)。第1間隔D1は、第2間隔D2より広く、第2間隔D2は、コンテナ20の前側キャスター23及び後側キャスター24間の前後の間隔D3(図2参照)より広い。
【0029】
第1搬送路49の左右方向両側の近傍には、一対のガイド壁51(図5参照)が前後方向に延びるように設けられている。一対のガイド壁51は、第1搬送路49に載置されたコンテナ20の左側の前側キャスター23及び後側キャスター24の第1搬送路49からの左右方向への脱落を防止する機能を果たす。なお、入口12における一対のガイド壁51は、後方に向け広がる放射状に形成され、前側キャスター23を第1搬送路49に誘導するガイド部材として機能している。
【0030】
コンベヤ7を駆動するには、モータ44の回転軸を左側からみて反時計回りに一定の回転速度で回転駆動する。これにより、その駆動トルクが、駆動チェーン46、駆動ギヤ41、搬送チェーン43、従動ギヤ42に順に伝達される。この結果、搬送チェーン43が左側からみて反時計回りに一定の回転速度で回転駆動されることで、第1搬送路49が前後方向に沿って一定速度で入口12から出口13に向かい移動するようになっている。
【0031】
下部空間R1及び上部空間R2の境界近傍の左右方向中央より右寄りの位置には、金属製のレール52が前後方向に延びるように設けられている。レール52は、底壁53と、底壁53の左右方向両側に位置する一対のガイド壁54とを、一体に有する(図5(a)参照)。レール52の底壁53は、コンテナ20の右側の前側キャスター23及び後側キャスター24が走行して通過する搬送路として機能する。底壁53は「第2搬送路53」に相当する。第2搬送路53は、第1搬送路49と異なり、前後方向に移動しない(筐体11に対して固定されている)。一対のガイド壁54は、第2搬送路53を通過するコンテナ20の右側の前側キャスター23及び後側キャスター24の第2搬送路53からの左右方向への脱落を防止する機能を果たす。なお、入口12における一対のガイド壁54は、後方に向け広がる放射状に形成され、前側キャスター23を第2搬送路53に誘導するガイド部材として機能している。
【0032】
レール52は、具体的には、図4に示すように、レール52の最も後側に位置する入口走行部52aと、入口走行部52aの前側に繋がる第1傾斜部52bと、第1傾斜部52bの前側に繋がる水平走行部52cと、水平走行部52cの前側に繋がる第2傾斜部52dと、第2傾斜部52dの前側に繋がり且つレール52の最も前側に位置する出口走行部52eと、で構成されている。
【0033】
入口走行部52a及び第1傾斜部52bは、荒洗浄室R3の後端位置から途中位置まで前後方向に延在し、水平走行部52cは、荒洗浄室R3の前記途中位置から、主洗浄室R4及び仕上げ洗浄室R5を経て、除滴室R6の途中位置まで前後方向に延在し、第2傾斜部52dは、除滴室R6の前記途中位置から除滴室R6の前端位置まで前後方向に延在し、出口走行部52eは、除滴室R6より前側にて前後方向に延在している。
【0034】
入口走行部52a(即ち、入口走行部52aの第2搬送路53)は、前後方向に水平に延びており、第1搬送路49、及び、入口12に連続する床面5と、面一となっている(図4(a)及び図5(a)参照)。第1傾斜部52b(即ち、第1傾斜部52bの第2搬送路53)は、前方に向かうにつれて下方に移動する向きに(水平方向から)傾斜して前後方向に延びている。
【0035】
水平走行部52c(即ち、水平走行部52cの第2搬送路53)は、前後方向に水平に延びており、第1搬送路49より下方に位置している(図5(b)参照)。第2傾斜部52d(即ち、第2傾斜部52dの第2搬送路53)は、前方に向かうにつれて第1搬送路49に上下方向において近付くように上方に移動する向きに(水平方向から)傾斜して前後方向に延びている。出口走行部52e(即ち、出口走行部52eの第2搬送路53)は、前後方向に水平に延びており、第1搬送路49、及び、出口13に連続する床面5と、面一となっている(図4(a)及び図5(c)参照)。
【0036】
以上の構成を有する搬送装置2において、モータ44が駆動されている状態(即ち、コンベヤ7が駆動し、図4において搬送チェーン43が反時計回りに回転するように移動している状態)において、入口12から、扉25が開状態に維持されているコンテナ20(図3参照)が投入される。例えば、後輪用突起48が従動ギヤ42を回り込んで下部空間R1から上部空間R2に出たタイミングで、報知手段などにより作業者にコンテナ20を洗浄機1に投入すべき旨が報知され、作業者によりコンテナ20が入口12に押し込まれる。このタイミングでコンテナ20が入口12に押し込まれることで、左側の前側キャスター23は、第1搬送路49の後輪用突起48と前輪用突起47との間に載せ置かれた状態になる。同時に右側の前側キャスター23も第2搬送路53に載せ置かれた状態になる。更に搬送チェーン43の反時計回りの移動が続くと、前輪用突起47が後方側から前方側に向けて左側の前側キャスター23に当接し、前輪用突起47が、左側の前側キャスター23を出口13に向けて押すようになる。更に搬送チェーン43の反時計回りの移動が続くと、左側の前側キャスター23の移動が開始され、コンテナ20が入口12に引き込まれて搬送が開始される。このとき、作業者は、入口12の第1搬送路49及び第2搬送路53のガイド部材(即ち、後方に向けて放射状に広がるガイド壁51及びガイド壁54)に誘導されながらコンテナ20を押し込むだけでよく、コンテナ20に牽引具を装着する作業や牽引状態の目視確認などの特別な操作や確認を行う必要は必要ない。
【0037】
これにより、前輪用突起47に係止されている左側の前側キャスター23が第1搬送路49に載せ置かれた状態のままコンベヤ7と一体で前方に移動することで、コンテナ20全体が第1搬送路49に沿って前方に移動していく。コンテナ20が第1搬送路49に沿って前方に移動する際、左側の前側キャスター23及び後側キャスター24は回転しない一方で、右側の前側キャスター23及び後側キャスター24は第2搬送路53上にて従動回転する。
【0038】
このようにしてコンテナ20が前方に移動する過程において、まず、右側の前側キャスター23及び後側キャスター24が入口走行部52aを通過する段階では、第1搬送路49と第2搬送路53との間で高低差がないので、コンテナ20は、左右方向に傾斜することなく前方に移動していく(図5(a)参照)。
【0039】
次いで、右側の前側キャスター23が第1傾斜部52bを通過する段階では、コンテナ20の前方への進行に伴い、第1搬送路49に対して第2搬送路53が相対的に下方に移動していく。これに伴い、左側の前側キャスター23に対して右側の前側キャスター23が相対的に下方に移動していくことで、コンテナ20がやや前側に傾斜し始めるとともに右側にも傾斜し始め、その傾斜角度が次第に増加していく。その傾斜角度の増加は、右側の前側キャスター23が水平走行部52cに進入する時点まで続く。
【0040】
このようなコンテナ20の前側および右側への傾斜に伴い、コンテナ20の重心も右前側に移動し、左側の後側キャスター24が第1搬送路49から一時的に浮く(図6における下側の右図を参照)。このように左側の後側キャスター24の浮きが生じても、左側の前側キャスター23と前輪用突起47との係止が維持されるので、コンテナ20は、第1搬送路49に沿って前方に移動し続ける。このような左側の後側キャスター24の浮きは、右側の後側キャスター24が水平走行部52cに進入する時点まで継続される。以上のように、コンテナ20は、荒洗浄室R3を移動中において、右側に傾斜し始めると共にその傾斜角度が所定の第1角度(=所定の鋭角)まで次第に増加していく。
【0041】
次いで、右側の前側キャスター23及び後側キャスター24が水平走行部52cを通過する段階では、第1搬送路49に対する第2搬送路53の下方への移動量が一定に維持されるので、コンテナ20は、右側に所定の第1角度(=鋭角)だけ傾斜した状態で前方に移動していく(図5(b)参照)。以上のように、コンテナ20は、荒洗浄室R3の途中位置から、主洗浄室R4及び仕上げ洗浄室R5を経て、除滴室R6の途中位置までの区間を通過する間、右側に所定の第1角度(=鋭角)だけ傾斜した状態にて前方に移動していく。
【0042】
次いで、右側の前側キャスター23が第2傾斜部52dを通過する段階では、コンテナ20の前方への進行に伴い、第1搬送路49に対して第2搬送路53が相対的に上方に移動していく。これに伴い、左側の前側キャスター23に対して右側の前側キャスター23が相対的に上方に移動しながら、コンテナ20の右側への傾斜角度が所定の第1角度(=鋭角)に維持される一方で、コンテナ20がやや後側にも傾斜し始めることから、コンテナ20の重心が右後方に移動し、左側の前側キャスター23が第1搬送路49から浮く作用がコンテナ20に働くとともにその浮き量が次第に増加していく。その浮き量の増加は、右側の後側キャスター24が第2傾斜部52dに進入する時点まで続く。
【0043】
このように左側の前側キャスター23の第1搬送路49からの浮き量が増加する過程において、左側の前側キャスター23と前輪用突起47との係止が解除されてしまう(図6における下側の中央図を参照)場合がある。係止が解除されると、コンベヤ7(搬送チェーン43の前輪用突起47)からの押圧がなくなる他、右側の前側キャスター23が第2傾斜部52dから受ける後向きの分力(抵抗)によって、コンテナ20は進まずに第1搬送路49(搬送チェーン43)のみが継続して前方に移動し、左側の後側キャスター24に後輪用突起48が当接する位置まで第1搬送路49(搬送チェーン43)が進む(図6における下側の左図を参照)。左側の後側キャスター24が後輪用突起48に係止された後は、左側の後側キャスター24と後輪用突起48との係止によって、コンテナ20が再び、第1搬送路49に沿って前方に移動し続ける。なお、左側の前側キャスター23の浮きは、右側の後側キャスター24が出口走行部52eに進入する時点まで継続される。
【0044】
次いで、右側の後側キャスター24が第2傾斜部52dを通過する段階では、左側の後側キャスター24に対して右側の後側キャスター24が相対的に上方に移動していくことで、コンテナ20の右側への傾斜角度が次第に減少していく。この傾斜角度の減少は、右側の後側キャスター24が出口走行部52eに進入する時点まで続く。以上のように、コンテナ20の右側への傾斜角度は、除滴室R6を移動中において、減少し始めると共にゼロまで次第に減少していく。
【0045】
そして、右側の前側キャスター23及び後側キャスター24が出口走行部52eを通過する段階では、第1搬送路49と第2搬送路53との間で高低差がないので、コンテナ20は、左右方向に傾斜することなく前方に移動していく(図5(c)参照)。
【0046】
その後、コンテナ20が前方に移動して出口走行部52eの終端部まで到達すると、前輪用突起47が駆動ギヤ41を回り込んで下部空間R1に向けて入り込むため、前側キャスター23の前方に前輪用突起47がない状態となり、作業者は、そのままコンテナ20を引き出すことができる。
【0047】
以上のように、扉25が開状態に維持されているコンテナ20(図3参照)を、作業者により入口12から投入することで、左側の前側キャスター23が第1搬送路49の前輪用突起47に係止され、コンテナ20が、搬送装置2によって筐体11内にて前方へ搬送されていく。即ち、第1搬送路49に設けられた複数の前輪用突起47のうちの一つが第1搬送路49の後端近傍(入口12近傍)に到達する毎に、扉25が開状態に維持されているコンテナ20を、左側の前側キャスター23が第1搬送路49の前輪用突起47に係止されるように順次投入していくことで、複数のコンテナ20を、上述した第1間隔を空けた状態にて、筐体11内にて前方へ搬送することができる。
【0048】
一方、出口13では、前輪用突起47が駆動ギヤ41の回転に伴って下方に回り込むと、作業者はコンテナ20から牽引具を解除する作業や解除状態の目視確認などの特別な操作や確認を行う必要なく、そのままコンテナ20を引き出すことができる。
【0049】
<洗浄装置3>
次いで、洗浄機1が有する洗浄装置3について説明する。洗浄装置3は、荒洗浄系統と、主洗浄系統と、仕上げ洗浄系統と、を備える。以下、まず、荒洗浄系統について説明する。
【0050】
・荒洗浄系統
荒洗浄系統は、荒洗浄工程にて使用される洗浄水を、荒洗浄室R3内にて、搬送装置2によって搬送されるコンテナ20に向けて噴射するための系統である。荒洗浄工程にて使用される洗浄水は、水と洗剤とを混合させて製造される。
【0051】
図1に示すように、荒洗浄室R3の下方の下部空間R1には、荒洗浄工程にて使用される洗浄水を貯留するための洗浄タンク61が設けられている。洗浄タンク61の上方開口は、メッシュ(多数の微細な貫通孔が形成された網目)によって構成されるタンクストレーナ(図示省略)によって覆われている。荒洗浄室R3内にて荒洗浄工程にて使用された洗浄水は、上記タンクストレーナのメッシュを介して洗浄タンク61に回収されるようになっている。洗浄タンク61に貯留されている洗浄水は、図示しないヒータによって加熱されて、所定の高温に維持されている。
【0052】
洗浄タンク61は、図1に示すように、下部空間R1内に位置するポンプ62の吸入側に接続されている。ポンプ62の吐出側は、配管63を介して、荒洗浄用パイプ64に接続されている。本例では、図7に示すように、搬送装置2によって荒洗浄室R3内を右側に傾斜した状態で搬送されるコンテナ20の左右両側に、上下方向に延びる左右一対の荒洗浄用パイプ64が設けられている。また、本例では、図1に示すように、荒洗浄室R3内の前後方向の4箇所にてそれぞれ、図7に示す左右一対の荒洗浄用パイプ64が設けられている。
【0053】
図7に示すように、左側の荒洗浄用パイプ64の上下方向の複数箇所には、コンテナ20に向けて右側に延びる水噴射ノズル65が設けられ、右側の荒洗浄用パイプ64の上下方向の複数箇所には、コンテナ20に向けて左側に延びる水噴射ノズル65が設けられている。これら複数の水噴射ノズル65は、コンテナ本体21の内部にて上下方向に等間隔を空けて配置された複数の棚板22の上下方向の位置に合わせて配置されている。
【0054】
更に、図7に示すように、本例では、コンテナ20の左右のキャスター23,24の各々について、キャスター23,24の左右両側に、上下方向に延びる左右一対のキャスター洗浄用パイプ66が設けられている。各キャスター洗浄用パイプ66は、対応する荒洗浄用パイプ64に接続されている。左右一対のキャスター洗浄用パイプ66には、キャスター23,24に向けて延びる水噴射ノズル67が設けられている。
【0055】
以上の構成を有する荒洗浄系統を利用して、荒洗浄工程が行われる。荒洗浄工程では、ポンプ62により圧送される高温の洗浄水が、コンテナ20の左右方向両側に位置する複数の水噴射ノズル65から、主としてコンテナ本体21内部の複数の棚板22に向けて噴射される。これにより、コンテナ本体21内部の荒洗浄が行われる。更に、ポンプ62により圧送される高温の洗浄水が、複数の水噴射ノズル67から、コンテナ20の左右のキャスター23,24に向けて噴射される。これにより、コンテナ20の左右のキャスター23,24の洗浄が行われる。以上、荒洗浄系統について説明した。次いで、主洗浄系統について説明する。
【0056】
・主洗浄系統
主洗浄系統は、主洗浄工程にて使用される洗浄水を、主洗浄室R4内にて、搬送装置2によって搬送されるコンテナ20に向けて噴射するための系統である。主洗浄工程にて使用される洗浄水も、水と洗剤とを混合させて製造される。主洗浄工程にて使用される洗浄水の洗剤の濃度は、荒洗浄工程にて使用される洗浄水の洗剤の濃度と同じであっても異なっていてもよい。
【0057】
図1に示すように、主洗浄室R4の下方の下部空間R1には、主洗浄工程にて使用される洗浄水を貯留するための洗浄タンク71が設けられている。洗浄タンク71の上方開口は、メッシュ(多数の微細な貫通孔が形成された網目)によって構成されるタンクストレーナ(図示省略)によって覆われている。主洗浄室R4内にて主洗浄工程にて使用された洗浄水は、上記タンクストレーナのメッシュを介して洗浄タンク71に回収されるようになっている。洗浄タンク71に貯留されている洗浄水は、図示しないヒータによって加熱されて、所定の高温に維持されている。主洗浄工程にて使用される洗浄水の温度は、荒洗浄工程にて使用される洗浄水の温度と同じであっても異なっていてもよい。
【0058】
洗浄タンク71は、図1に示すように、下部空間R1内に位置するポンプ72の吸入側に接続されている。ポンプ72の吐出側は、配管73を介して、主洗浄用パイプ74に接続されている。本例では、図7に示す左右一対の荒洗浄用パイプ64と同様、搬送装置2によって主洗浄室R4内を右側に傾斜した状態で搬送されるコンテナ20の左右両側に、上下方向に延びる左右一対の主洗浄用パイプ74が設けられている。また、本例では、図1に示すように、主洗浄室R4内の前後方向の2箇所にてそれぞれ、左右一対の主洗浄用パイプ74が設けられている。
【0059】
左右一対の主洗浄用パイプ74の上下方向の複数箇所には、左右一対の荒洗浄用パイプ64と同様、コンテナ20に向けて延びる水噴射ノズル75が設けられている。これら複数の水噴射ノズル75は、コンテナ本体21の内部にて上下方向に等間隔を空けて配置された複数の棚板22の上下方向の位置に合わせて配置されている。
【0060】
以上の構成を有する主洗浄系統を利用して、主洗浄工程が行われる。主洗浄工程では、ポンプ72により圧送される高温の洗浄水が、コンテナ20の左右方向両側に位置する複数の水噴射ノズル75から、主としてコンテナ本体21内部の複数の棚板22に向けて噴射される。これにより、荒洗浄が終了したコンテナ本体21内部に対して主洗浄が行われる。以上、主洗浄系統について説明した。次いで、仕上げ洗浄系統について説明する。
【0061】
・仕上げ洗浄系統
仕上げ洗浄系統は、仕上げ洗浄工程にて使用される水(温水)を、仕上げ洗浄室R5内にて、搬送装置2によって搬送されるコンテナ20に向けて噴射するための系統である。
【0062】
図1に示すように、仕上げ洗浄室R5より前方の下部空間R1には、仕上げ洗浄工程にて使用される水を貯留するための水タンク81が設けられている。水タンク81に貯留されている水は、図示しないヒータによって加熱されて、所定の高温に維持されている。
【0063】
水タンク81は、図1に示すように、下部空間R1内に位置するポンプ82の吸入側に接続されている。ポンプ82の吐出側は、配管83を介して、仕上げ洗浄用パイプ84に接続されている。本例では、図7に示す左右一対の荒洗浄用パイプ64と同様、搬送装置2によって仕上げ洗浄室R5内を右側に傾斜した状態で搬送されるコンテナ20の左右両側に、上下方向に延びる左右一対の仕上げ洗浄用パイプ84が設けられている。
【0064】
左右一対の仕上げ洗浄用パイプ84の上下方向の複数箇所には、左右一対の荒洗浄用パイプ64と同様、コンテナ20に向けて延びる水噴射ノズル85が設けられている。これら複数の水噴射ノズル85は、コンテナ本体21の内部にて上下方向に等間隔を空けて配置された複数の棚板22の上下方向の位置に合わせて配置されている。
【0065】
仕上げ洗浄室R5の下方の下部空間R1には、仕上げ洗浄工程にて使用された水を貯留するための還元タンク86が設けられている。還元タンク86の上方開口は、メッシュ(多数の微細な貫通孔が形成された網目)によって構成されるタンクストレーナ(図示省略)によって覆われている。仕上げ洗浄室R5内にて仕上げ洗浄工程にて使用された水は、上記タンクストレーナのメッシュを介して還元タンク86に回収されるようになっている。
【0066】
還元タンク86は、図1に示すように、下部空間R1内に位置するポンプ87の吸入側に接続されている。ポンプ87の吐出側に接続された配管88は、洗浄タンク71まで延びている。配管88の途中には、開閉電磁弁89が介挿されている。開閉電磁弁89を制御することで、ポンプ87により圧送される水が、適宜、洗浄タンク71に還流されるようになっている。
【0067】
配管88における開閉電磁弁89より上流側に位置する分岐部88aから分岐する配管91は、洗浄タンク61まで延びている。配管91の途中には、開閉電磁弁92が介挿されている。開閉電磁弁92を制御することで、ポンプ87により圧送される水が、適宜、洗浄タンク61に還流されるようになっている。
【0068】
以上の構成を有する仕上げ洗浄系統を利用して、仕上げ洗浄工程が行われる。仕上げ洗浄工程では、ポンプ82により圧送される温水が、コンテナ20の左右方向両側に位置する複数の水噴射ノズル85から、主としてコンテナ本体21内部の複数の棚板22に向けて噴射される。これにより、主洗浄が終了したコンテナ本体21内部に対して仕上げ洗浄が行われる。以上、仕上げ洗浄系統について説明した。
【0069】
<除滴装置4>
次いで、洗浄機1が有する除滴装置4について説明する。除滴装置4は、仕上げ洗浄が終了したコンテナ本体21に対して空気噴流を吹き付けることで、コンテナ本体21に付着している水滴を除去する装置である。図1に示すように、除滴装置4は、ブロワ101に接続され且つ上下方向に延びる空気供給管102を備えている。空気供給管102には、ブロワ101にて生成された圧縮空気が供給されるようになっている。なお、本例では、空気供給管102に供給される空気を加熱する装置が設けられていないが、このような装置が設けられていてもよい。
【0070】
本例では、図1に示すように、除滴室R6内の前後方向の5箇所にて、それぞれ搬送装置2によって除滴室R6内を右側に所定の第1角度(=鋭角)だけ傾斜した状態で搬送されるコンテナ20の左右両側又は片側に、鉛直方向に延びる空気供給管102が設けられている(図8図10も参照)。除滴装置4では、このようにコンテナ20が左右どちらかに傾斜した状態、例えば棚板22の右側が左側よりも下方に位置するように棚板22が第1角度(=鋭角)だけ傾いた姿勢にコンテナ20が支持された状態で、棚板22に向けて空気噴流が吹き出される。これにより、棚板22自体の傾斜によって棚板22上の水滴を流れ落として除去しながら、空気噴流によって棚板22上の水滴を吹き飛ばして除去することができる。
【0071】
具体的には、除滴室R6内に設けられた5つの空気供給管102の内、コンテナ20が最初に通過する(最も後側に位置する)空気供給管102として、図8(a)に示すように、コンテナ20の傾斜した姿勢のうち、高い方になる左側にて鉛直方向に延びる単一の空気供給管102aが設けられている。空気供給管102aには、右を向いた複数の第1噴射ノズル103が、コンテナ本体21の上下方向略全域に亘って上下方向に等間隔に並ぶように設けられている。各第1噴射ノズル103は、空気供給管102aから垂直な方向に直接延び出している。このため、空気供給管102と噴射ノズルとの間に複雑な配管が介在する場合(例えば、後述する第2噴射ノズル104)に比べ、空気供給管102aから第1噴射ノズル103に至る途中での圧力損失が小さくなる。
【0072】
空気供給管102aに設けられた複数の第1噴射ノズル103から棚板22に向け略水平方向に噴射された空気は、コンテナ本体21内の複数の棚板22の下面に対して鋭角に吹き付けられる。これにより、単一の空気供給管102aから吹き付けられる空気噴流によって、主として、複数の棚板22の下面に付着している水滴が除去され得る。このように棚板22の下面を先に除滴することで、後述するように棚板22の上面を除滴した後、棚板22の下面からその直下にある棚板22の上面に水滴が落ちて棚板22の上面が再び濡れてしまう事態が抑制される。更に、一連の除滴処理の最初にコンテナ本体21の内側全体に上記の通り空気が噴射されるため、複数の第1噴射ノズル103による空気の噴射は、コンテナ20全体の水滴量を減らす荒除滴としても作用する。そのため、後述する各除滴処理を効果的に行うことができる。なお、図8(a)に示す例では、第1噴射ノズル103の長さが全て同じであるが、第1噴射ノズル103とコンテナ本体21との間隔が場所ごとに異ならないよう、コンテナ本体21の傾斜に合わせて第1噴射ノズル103の長さを変更してもよい。
【0073】
以下、説明の便宜上、コンテナ本体21内の収容空間を上下方向に等間隔に4つの空間に区分した場合において、最も上側の空間に属する複数の棚板22を第1棚板群と呼び、上から2番目の空間に属する複数の棚板22を第2棚板群と呼び、上から3番目の空間に属する複数の棚板22を第3棚板群と呼び、最も下側の空間に属する複数の棚板22を第4棚板群と呼ぶ。
【0074】
除滴室R6内に設けられた5つの空気供給管102の内、空気供給管102aの前側に隣接配置された空気供給管102として、図8(b)に示すように、コンテナ20の左右両側にて鉛直方向に延びる左右一対の空気供給管102bが設けられている。
【0075】
右側の空気供給管102bには、左を向いた複数の第1噴射ノズル103が、第1棚板群に対応して上下方向に等間隔に並ぶように設けられている。各第1噴射ノズル103は、右側の空気供給管102bから直接延び出している。左側の空気供給管102bには、右下を向いた複数の第2噴射ノズル104が、第1棚板群に対応して上下方向に等間隔に並ぶように設けられている。各第2噴射ノズル104は、左側の空気供給管102bから立設している枝管を介して延びている。第2噴射ノズル104の向きは、枝管を中心に回転するように上下方向について調整可能となっている。なお、第2噴射ノズル104から噴射される空気の噴射圧は、第1噴射ノズル103から噴射される空気の噴射圧に対して、空気供給管102bと第2噴射ノズル104との間に位置する枝管での圧力損失分だけ、低い。
【0076】
より具体的には、複数の第2噴射ノズル104は、第1棚板群に属する各棚板22に対応して1本ずつ配置されている。これに対し、複数の第1噴射ノズル103は、図11に示すように、第1棚板群に属する各棚板22に対応して上下2本ずつ配置されている。
【0077】
第1棚板群に属する各棚板22の上面に対して、右側の空気供給管102bに設けられた上下2本の第1噴射ノズル103から、鋭角に交差する向きに左向きの上下2つの空気噴流が吹き付けられ、主として各棚板22を除滴するとともに、左側の空気供給管102bに設けられた1本の第2噴射ノズル104から、棚板22の上面に対して鋭角に交差する向きに右向きの空気噴流が吹き付けられ、第1噴射ノズルで除去しにくい領域を除滴する。このように左右一対の空気供給管102bから吹き付けられる空気噴流によって、主として、第1棚板群に属する複数の棚板22の上面に付着している水滴が除去され得る。
【0078】
更には、上下2本の第1噴射ノズル103のうち下側の第1噴射ノズル103aの噴射口103c(図11参照)から、除滴噴流として棚板22の上面に向けて下側の空気噴流を吹き付けるとともに、その除滴噴流を棚板22の上面とで挟むように、上側の第1噴射ノズル103bの噴射口103c(図11参照)から、ガイド噴流として上側の空気噴流を吹き出している。これにより、棚板22の上面上の水滴を主として下側の除滴噴流で吹き飛ばしつつ、除滴噴流よりも上方を流れるガイド噴流により、棚板22の上面との接触時の圧力損失等に起因して流速が低下した除滴噴流を噴射向き(左向き)に押し流すことで、上下2つの空気噴流の全体としての流速の低下を抑制できる。除滴噴流に沿うガイド噴流の吹き出しにより、単一の空気噴流のみによって除滴を行う場合に比べ、棚板22のより広い範囲に十分な流速の空気噴流を行き渡らせて除滴することができる。
【0079】
なお、第1噴射ノズル103は、ノズル内面に凹凸のない筒状の単管からなり、ノズル長さは、ノズル内径より十分に長い。例えば、ノズル長さは、ノズル内径の4倍以上である。このため、第1噴射ノズル103から吹き付けられた空気噴流の直進性は、極めて高い。
【0080】
また、図8(b)に示す例では、複数の第1噴射ノズル103の長さが全て同じとなっている。このため、コンテナ20の傾斜に起因して、複数の第1噴射ノズル103の噴射口103cとコンテナ本体21との間隔が、下方の第1噴射ノズル103ほど大きくなり、棚板22への噴射力が弱まるおそれがある。これに対し、複数の第1噴射ノズル103の噴射口103cとコンテナ本体21との間隔を全て同じにするため、第1噴射ノズル103の長さを、下方の第1噴射ノズル103ほど長くしてもよい。
【0081】
除滴室R6内に設けられた5つの空気供給管102の内、空気供給管102bの前側に隣接配置された空気供給管102として、図9(a)に示すように、コンテナ20の左右両側にて鉛直方向に延びる左右一対の空気供給管102cが設けられている。
【0082】
右側の空気供給管102cには、左を向いた複数の第1噴射ノズル103が、第2棚板群に対応して上下方向に等間隔に並ぶように設けられている。左側の空気供給管102cには、右下を向いた複数の第2噴射ノズル104が、第2棚板群に対応して上下方向に等間隔に並ぶように設けられている。
【0083】
左右一対の空気供給管102cは、第2棚板群に対応して複数の第1噴射ノズル103及び第2噴射ノズル104が設けられている点においてのみ、第1棚板群に対応して複数の第1噴射ノズル103及び第2噴射ノズル104が設けられている左右一対の空気供給管102bと異なる。即ち、左右一対の空気供給管102cから吹き付けられる空気噴流によって、主として、第2棚板群に属する複数の棚板22の上面に付着している水滴が除去され得る。
【0084】
除滴室R6内に設けられた5つの空気供給管102の内、空気供給管102cの前側に隣接配置された空気供給管102として、図9(b)に示すように、コンテナ20の左右両側にて鉛直方向に延びる左右一対の空気供給管102dが設けられている。
【0085】
右側の空気供給管102dには、左を向いた複数の第1噴射ノズル103が、第3棚板群に対応して上下方向に等間隔に並ぶように設けられている。左側の空気供給管102dには、右下を向いた複数の第2噴射ノズル104が、第3棚板群に対応して上下方向に等間隔に並ぶように設けられている。
【0086】
左右一対の空気供給管102dは、第3棚板群に対応して複数の第1噴射ノズル103及び第2噴射ノズル104が設けられている点において、第2棚板群に対応して複数の第1噴射ノズル103及び第2噴射ノズル104が設けられている左右一対の空気供給管102cと異なる。即ち、左右一対の空気供給管102dから吹き付けられる空気噴流によって、主として、第3棚板群に属する複数の棚板22の上面に付着している水滴が除去され得る。
【0087】
更には、左側の空気供給管102dには、右下を向いた1本の第2噴射ノズル104aが、コンテナ本体21の上面に対応して設けられている。これにより、第2噴射ノズル104aから吹き付けられる空気噴流によって、主として、コンテナ本体21の上面に付着している水滴が除去され得る。
【0088】
除滴室R6内に設けられた5つの空気供給管102の内、空気供給管102dの前側に隣接配置され且つ最も前側に位置する空気供給管102として、図10に示すように、コンテナ20の左右両側にて鉛直方向に延びる左右一対の空気供給管102eが設けられている。
【0089】
右側の空気供給管102eには、左を向いた複数の第1噴射ノズル103が、第4棚板群に対応して上下方向に等間隔に並ぶように設けられている。左側の空気供給管102eには、右下を向いた複数の第2噴射ノズル104が、第4棚板群に対応して上下方向に等間隔に並ぶように設けられている。
【0090】
左右一対の空気供給管102eは、第4棚板群に対応して複数の第1噴射ノズル103及び第2噴射ノズル104が設けられている点において、第3棚板群に対応して複数の第1噴射ノズル103及び第2噴射ノズル104が設けられている左右一対の空気供給管102dと異なる。即ち、左右一対の空気供給管102eから吹き付けられる空気噴流によって、主として、第4棚板群に属する複数の棚板22の上面に付着している水滴が除去され得る。
【0091】
更には、左側の空気供給管102eには、左側の空気供給管102dと同様、右下を向いた1本の第2噴射ノズル104aが、コンテナ本体21の上面に対応して設けられている。これにより、第2噴射ノズル104aから吹き付けられる空気噴流によって、主として、コンテナ本体21の上面に付着している水滴が除去され得る。
【0092】
以上に説明したように、除滴装置4を利用して除滴工程が行われる。即ち、除滴工程では、まず、空気供給管102aから吹き付けられる空気噴流によって、複数の棚板22の下面に付着している水滴が除去され、次いで、空気供給管102bから吹き付けられる空気噴流によって、第1棚板群に属する複数の棚板22の上面に付着している水滴が除去され、次いで、空気供給管102cから吹き付けられる空気噴流によって、第2棚板群に属する複数の棚板22の上面に付着している水滴が除去され、次いで、空気供給管102dから吹き付けられる空気噴流によって、第3棚板群に属する複数の棚板22の上面に付着している水滴が除去され、最後に、空気供給管102eから吹き付けられる空気噴流によって、第4棚板群に属する複数の棚板22の上面に付着している水滴が除去される。このような順番で水滴を除去することで、コンテナ20に付着している水滴を簡易な構成で効率良く除去することができる。更に、各空気供給管102には、ブロワ101しか接続されていないので、除滴装置4をコンパクトに構成できることから、コンテナ20を短い距離で除滴することができる。
【0093】
上述した除滴装置4(図8図10参照)では、空気供給管102b,102c,102d及び102eの各々について、コンテナ20の左右両側にて鉛直方向に延びる左右一対の空気供給管102が設けられ、右側の空気供給管102に複数の第1噴射ノズル103が設けられ、且つ、左側の空気供給管102に複数の第2噴射ノズル104が設けられている。
【0094】
これに対し、図12図14に示すように、空気供給管102b,102c,102d及び102eの各々について、コンテナ20の左右両側にて、コンテナ20の右側への傾斜角度(=第1角度(=鋭角))より大きい傾斜角度だけ(鉛直方向に対して)右側に傾斜する左右一対の空気供給管102が設けられ、左側の空気供給管102に複数の第1噴射ノズル103が設けられ、且つ、右側の空気供給管102に複数の第2噴射ノズル104が設けられてもよい。
【0095】
図12図14に示す例では、対応する各棚板22の上面に対して、右側の空気供給管102に設けられた対応する1本の第2噴射ノズル104から、鋭角に交差する向きに左向きの空気噴流が吹き付けられ、左側の空気供給管102に設けられた対応する上下2本の第1噴射ノズル103から、鋭角に交差する向きに右向きの上下2つの空気噴流が吹き付けられる。これらにより、上述した除滴装置4(図8図10参照)と同様、左右一対の空気供給管102から吹き付けられる空気噴流によって、主として、対応する各棚板22の上面に付着している水滴が除去され得る。更に、この例では、棚板22を主として除滴する上下2本の第1噴射ノズル103が、左右に傾斜した棚板22の高い方に位置するため、第1噴射ノズル103により除滴される水滴が棚板22の低い方に流れやすくなり、より効率よく除滴することができる。
【0096】
除滴装置4によってコンテナ20から除去された水滴は、除滴室R6の下方の下部空間R1に設けられた排水槽93(図1参照)に回収される。排水槽93に回収された水は、排水槽93に設けられた排水口94を介して、洗浄機1の外部に排出される。
【0097】
<作用・効果>
本実施形態に係る洗浄機1が有する除滴装置4によれば、水滴が付着しているコンテナ20に向けて(具体的には、コンテナ20の収容空間の一方側から他方側に向けて)、複数の噴射口103cから、棚板22の板面に沿って複数の空気噴流を並べて吹き出す。これにより、単一の噴射口から空気噴流を吹き出す場合に比べて棚板22の広い範囲に空気噴流を行き渡らせることができ、上述した従来の洗浄装置のように複雑な構造のノズルを用いなくても、棚板22に付着した水滴を効率良く除去することができる。したがって、本構成の除滴装置4は、簡易な構成を有しながらコンテナ20に付着した水滴を効率良く除去することが可能である。
【0098】
更に、本実施形態に係る洗浄機1が有する除滴装置4によれば、棚板22の板面に向けて第1噴射ノズル103aの噴射口103cから空気噴流が吹き付けられながら、その空気噴流を棚板22の板面との間に挟むように第1噴射ノズル103bの噴射口103cから空気噴流が吹き出される。これにより、棚板22の板面上の水滴を主として前者の(即ち、第1噴射ノズル103aの噴射口103cからの)空気噴流で吹き飛ばしつつ、前者の空気噴流よりも棚板22に対して上方を流れる後者の(即ち、第1噴射ノズル103bの噴射口103cからの)空気噴流により、棚板22の板面との接触時の圧力損失等に起因して流速が低下した前者の空気噴流を噴射向きに押し流すことで、複数の空気噴流の全体としての流速の低下を抑制できる。これにより、単一の空気噴流のみによって除滴を行う場合に比べ、棚板22のより広い範囲に十分な流速の空気噴流を行き渡らせることができ、コンテナ20に付着した水滴を効率良く除去することができる。
【0099】
更に、本実施形態に係る洗浄機1が有する除滴装置4によれば、棚板22の一方側が他方側よりも下方に位置するように傾いた姿勢でコンテナ20が支持された状態で、その一方側から他方側に向けて棚板22の板面に沿って空気噴流が吹き出される。これにより、コンテナ20自体の傾斜によって棚板22上の水滴を流れ落として除去しながら、空気噴流によって棚板22上の水滴を吹き飛ばして除去することで、コンテナ20に付着した水滴を効率良く除去することができる。
【0100】
更に、本実施形態に係る洗浄機1が有する除滴装置4によれば、空気供給管102から複数の第1噴射ノズル103を介して直線状に且つ一括して複数の噴射口103cに向けて空気が供給される。これにより、空気供給管102と噴射口103cとの間に複雑な形状の配管等が介在する場合に比べ、空気供給管102から噴射口103cに至る途中での圧力損失が小さくなる。よって、空気供給管102へ空気を供給するポンプ等の性能を過度に高めなくとも、噴射口103cから吹き出される空気噴流の流速や吐出圧を容易に向上させることができる。したがって、除滴装置4の大型化や製造コストの増大を避けながら、コンテナ20に付着した水滴を効率良く除去することができる。
【0101】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0102】
上記実施形態では、搬送装置2において、第1搬送路49に前輪用突起47及び後輪用突起48が設けられている。これに対し、第1搬送路49に前輪用突起47及び後輪用突起48が設けられなくてもよい。更に、前輪用突起47及び後輪用突起48に代えて、前側キャスター23及び後側キャスター24の車輪部分に係合せず且つ前側キャスター23及び後側キャスター24の本体部分に直接係合するように構成される係合部材を設けてもよい。
【0103】
更に、上記実施形態では、搬送装置2において、第1搬送路49のみが搬送チェーン43(即ち、コンベヤ7)を有するように構成されている。これに対し、第2搬送路53も、第1搬送路49と同様に、搬送チェーン等のコンベヤを有するように構成されてもよい。この場合、第2搬送路53のコンベヤにも、第1搬送路49と同様に、前輪用突起47及び後輪用突起48が設けられてもよい。
【0104】
更に、上記実施形態では、除滴装置4において、各棚板22の上面に対して、上下2本の第1噴射ノズル103から上下2つの空気噴流が吹き付けられている。これに対し、各棚板22の上面に対して、上下に並ぶ3本以上の第1噴射ノズル103から上下に並ぶ3つ以上の空気噴流が吹き付けられてもよい。
【0105】
更に、上記実施形態では、コンテナ20が、扉25によりコンテナ本体21の右側開口および左側開口の各開口を開閉することで収納空間を閉じられるように構成されている。これに対し、コンテナ20は必ずしも扉25を有する必要はなく、扉25を備えていないコンテナ20を洗浄機1で洗浄してもよい。
【0106】
更に、上記実施形態では、搬送チェーン43(即ち、コンベヤ7)が設けられている第1搬送路49が、搬送経路の一部(即ち、水平走行部52c)において、第2搬送路53よりも上方に位置している。これに対し、搬送経路の一部(例えば、水平走行部52c)において第1搬送路49が第2搬送路53よりも下方に位置するように構成されてもよいし、搬送経路の全体において第1搬送路49と第2搬送路53とが上下方向において同じ位置にある(即ち、第1傾斜部52b及び第2傾斜部52dが存在しない)ように構成されてもよい。
【0107】
ここで、上述した本発明に係る洗浄機1が有する除滴装置4の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
棚板(22)によって区切られる収容空間を内部に有するコンテナ(20)に付着した水滴を除去する除滴装置(4)であって、
前記収容空間の一方側から他方側に向けて前記棚板(22)の板面に沿って複数の空気噴流を並べて吹き出すように構成される複数の噴射口(103c)を有する空気噴射機構(102,103)を備える、
コンテナの除滴装置(4)。
[2]
上記[1]に記載の除滴装置において、
前記空気噴射機構(102,103)は、
前記棚板(22)の前記板面に向けて空気噴流を吹き付ける一の噴射口(103c)と、前記一の噴射口(103c)による空気噴流を前記板面との間に挟むように他の空気噴流を吹き出す他の噴射口(103c)と、を有する、
コンテナの除滴装置(4)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の除滴装置において、
前記棚板(22)の前記一方側が前記他方側よりも下方に位置するように前記コンテナ(20)が傾いた姿勢に支持される、ように構成される、
コンテナの除滴装置(4)。
[4]
上記[1]~上記[3]の何れか一つに記載の除滴装置において、
前記空気噴射機構(102,103)は、
前記複数の噴射口(103c)に空気を供給するための空気供給管(102)と、前記空気供給管(102)から前記複数の噴射口(103c)の各々へ直線状に空気を誘導する複数の噴射ノズル(103)と、を有する、
コンテナの除滴装置(4)。
【符号の説明】
【0108】
1 洗浄機
2 搬送装置
3 洗浄装置
4 除滴装置
20 コンテナ
22 棚板
102 空気供給管(空気噴射機構)
103 第1噴射ノズル(噴射ノズル、空気噴射機構)
103c 噴射口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14