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特開2024-125426心臓オルガノイド培養及び移植のための脱細胞心臓組織由来支持体及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125426
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】心臓オルガノイド培養及び移植のための脱細胞心臓組織由来支持体及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20240910BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C12N5/071
C12M3/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024107709
(22)【出願日】2024-07-03
(62)【分割の表示】P 2022549234の分割
【原出願日】2021-02-15
(31)【優先権主張番号】10-2020-0018365
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】522011562
【氏名又は名称】セルアートジェン インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】522323007
【氏名又は名称】リパブリック オブ コリア(ミニストリー オヴ フード アンド ドラッグ セーフティー)
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 渓
(74)【代理人】
【識別番号】100192603
【弁理士】
【氏名又は名称】網盛 俊
(72)【発明者】
【氏名】チョ,スン ウ
(72)【発明者】
【氏名】ミン,ソン ジン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,イ ソン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ス ラン
(57)【要約】
【課題】 ブタ心臓組織に一連の化学的処理を施すことにより多量の脱細胞心臓組織由来支持体を製作し、それを心臓オルガノイド培養に適用する。
【解決手段】 脱細胞心臓組織由来細胞外基質(Heart Extracellular Matrix、HEM)を含む培養支持体組成物であって、培養支持体組成物は、0.1~10Hz基準の弾性係数が1~150Paである。培養支持体組成物の製造方法は、(a)分離した心臓組織を脱細胞化することにより、脱細胞した心臓組織を製造するステップと、(b)脱細胞した心臓組織を乾燥することにより、脱細胞心臓組織(Heart Extracellular Matrix、HEM)を製造するステップとを含み、培養支持体組成物は、0.1~10Hz基準の弾性係数が1~150Paである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱細胞心臓組織由来細胞外基質(Heart Extracellular Matrix、HEM)を含む培養支持体組成物であって、
前記培養支持体組成物は、0.1~10Hz基準の弾性係数が1~150Paである、培養支持体組成物。
【請求項2】
前記脱細胞心臓組織由来細胞外基質は、0.01~10mg/mLで含まれる、請求項1に記載の培養支持体組成物。
【請求項3】
前記培養支持体組成物は、心臓オルガノイドの培養に使用されることを特徴とする、請求項1に記載の培養支持体組成物。
【請求項4】
(a)分離した心臓組織を脱細胞化することにより、脱細胞した心臓組織を製造するステップと、
(b)前記脱細胞した心臓組織を乾燥することにより、脱細胞心臓組織由来細胞外基質(Heart Extracellular Matrix、HEM)を製造するステップとを含む培養支持体組成物の製造方法であって、
前記培養支持体組成物は、0.1~10Hz基準の弾性係数が1~150Paである、培養支持体組成物製造方法。
【請求項5】
前記ステップ(a)は、1~10℃の条件下で、前記分離した心臓組織を0.1~2%のSDS(sodium dodecyl sulfate)で12~36時間処理し、脱細胞化溶液で撹拌することで脱細胞化する、請求項4に記載の培養支持体組成物製造方法。
【請求項6】
前記脱細胞化溶液は、0.1~5%のTriton X-100及び0.01~0.5%の水酸化アンモニウムを含む、請求項5に記載の培養支持体組成物製造方法。
【請求項7】
前記ステップ(a)の脱細胞は、心臓組織細胞が95~99.9%除去されたものである、請求項4に記載の培養支持体組成物製造方法。
【請求項8】
前記ステップ(b)の後、脱細胞心臓組織由来細胞外基質は、0.01~10mg/mLで含まれるように調節するステップをさらに含む、請求項4に記載の培養支持体組成物製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、心臓オルガノイド培養及び移植のための脱細胞心臓組織由来支持体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オルガノイドは、3次元細胞構造体であって、組織を構成している様々な細胞により構成されており、生体組織の環境を疑似できるという点で最近注目されている。そのため、基礎生物学研究分野から新薬開発、疾病モデリング、再生治療など様々な応用研究分野に至るまで幅広く活用されている。
【0003】
新薬開発のための疾病モデルの場合、現在は殆ど動物モデルが多く利用されているが、動物は遺伝学的、生理的な側面で人間とは異なっているため、実際にヒトの疾病を動物で具現するには限界があり、動物実験に対する倫理的な問題も持続的に台頭している実情である。患者由来の細胞で製作されたオルガノイドモデルを利用すれば、疾病に対する機転研究と患者固有の診断及び治療までも可能という点で多く脚光を浴びている。
【0004】
現在、生体内の多くの臓器の幹細胞から由来する様々な種類のオルガノイドモデルが構築されている。このような様々な種類のオルガノイドを培養する際、全世界的に多くの研究者が殆どマトリゲルを培養支持体として利用している。しかし、マトリゲルはマウス肉腫から由来した成分であり、感染及び免疫拒絶反応の危険性から、マトリゲルにおいて培養されたオルガノイドをヒトに移植する試みへの懸念が引き起こされている。また、マトリゲルは、実際の組織に含まれた細胞外基質の成分ではないため、細胞の成長及び分化に必須の組織特異的細胞外基質の微小環境を具現することができない。よって、このようなマトリゲルの問題点を解決することのできる生体適合で且つ組織特異的オルガノイド培養支持体の開発が切実に求められている。
【0005】
本発明は、脱細胞過程を通じて心臓組織から細胞外基質成分のみが存在するマトリックスを製作し、それを心臓オルガノイド培養に利用する新たな培養プラットフォームを提示している。このように脱細胞化された心臓組織由来支持体は、心臓組織に存在する様々な細胞外基質成分と成長因子を含んでいるので、心臓組織特異的微小環境を提供することにより心臓オルガノイドの形成、生長及び分化を促進できることが期待される。このように製作された成熟した心臓オルガノイドは、心臓疾患モデリング及び薬物毒性評価プラットフォームとして活用できるだけでなく、再生医学分野にも適用されることができると期待される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、ブタ心臓組織に一連の化学的処理を施すことにより多量の脱細胞心臓組織由来支持体を製作し、それを心臓オルガノイド培養に適用するためのものである。
【0007】
しかし、本発明が解決しようとする技術的課題は、上記したような課題に限定されるものではなく、言及されていない他の課題は、以下の記載から当業者にとって明確に理解できるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下では、添付した図面を参照しながら本発明を説明することとする。ところが、本発明は様々な異なる形態に具現されることができ、よって、ここで説明する実施例に限定されるものではない。ある部分がある構成要素を「含む」という場合、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0009】
他に定義されない限り、分子生物学、微生物学、タンパク質精製、タンパク質工学、及びDNA序列分析及び当業者の能力範囲内において再組合DNA分野で良く使用される通常の技術によって行われても良い。上記技術は当業者に知られており、多くの標準化された教材及び参照著書に記述されている。
【0010】
本明細書に他に定義されていなければ、使用された全ての技術及び科学用語は、当業界において通常の技術者が通常理解するような意味を有する。
【0011】
本明細書に含まれる用語を含む様々な科学辞典が良く知られており、当業界において利用可能である。本明細書に説明されたことと類似又は等価の任意の方法及び物質が本願の実行又は試験に使用されており、いくつかの方法及び物質が説明されている。当業者が使用する脈絡により様々に使用され得るため、特定の方法学、プロトコル及び試薬に本発明が限定されるものではない。以下、本発明をさらに詳しく説明する。
【0012】
本発明の一態様は、脱細胞心臓組織由来細胞外基質(Heart Extracellular Matrix、HEM)を含む支持体組成物を提供する。
【0013】
上記「細胞外基質(extracellular matrix)」は、哺乳類及び多細胞生物(multicellular organisms)から発見された組織の脱細胞化を通じて製造された細胞成長用の自然支持体を意味する。上記細胞外基質は、透析又は架橋化によりさらに処理しても良い。
【0014】
上記細胞外基質は、コラーゲン、エラスチン(elastins)、ラミニン(laminins)、グリコサミノグリカン(glycosaminoglycans)、プロテオグリカン、抗菌剤(antimicrobials)、化学誘引物質(chemoattractants)、サイトカイン(cytokines)、及び成長因子に制限されない、構造型及び非構造型生体分子(biomolecules)の混合物であっても良い。
【0015】
上記細胞外基質は、哺乳動物において様々な形態として約90%のコラーゲンを含んでいても良い。様々な生体組織から由来した細胞外基質は、それぞれの組織に必要な固有の役割のため全体の構造体及び組成が異なっていても良い。
【0016】
上記「由来(derive)」、「由来した(derived)」は、有用な方法により言及した源泉から得られた成分を意味する。
【0017】
また、本発明の一具体例において、上記脱細胞心臓組織由来細胞外基質は、0.01~10mg/mL、具体的には0.5~9mg/mL、さらに具体的には1mg/mL~8mg/mL、最も具体的には2、4又は6mg/mL、最適化された具体例としては2mg/mLを含んでいても良い。上記範囲外の濃度で含まれる場合、本発明が目的とする効果が得られないか、製造又は活用において不適合であり得る。
【0018】
本発明の一具体例において、上記組成物は、0.1~10Hz基準の弾性係数が1~150Paであっても良く、上記組成物が上記範囲の弾性係数を有することによって、安定的な高分子ネットワークを形成することができる。
【0019】
上記支持体組成物は、脱細胞化することで得られた心臓組織マトリックス組成物を基に製造した3次元培養ハイドロジェルを含み、心臓オルガノイド又は心臓単一細胞の培養に効果的に活用されることができる。
【0020】
上記脱細胞化された心臓組織は、実際の組織特異的細胞外基質成分を含んでいるので、当該組織の物理的、機械的、生化学的環境を提供することができ、心臓組織細胞への分化及び組織特異的機能性を増進するのに非常に効率的である。
【0021】
上記「オルガノイド(organoid)」は、組織又は多能性幹細胞から由来した細胞を3D形態で培養し、人工臓器のような形態に製作した超小型生体器官を意味する。
【0022】
上記オルガノイドは、幹細胞から発生し、生体内状態と類似した方式で自己組織化(又は自己パターン化)する臓器特異的細胞を含む3次元組織類似体であり、制限された要素(Ex.growth factor)パターニングによって特定の組織に発達し得る。
【0023】
上記オルガノイドは、細胞の本来の生理学的特性を有し、細胞混合物(限定された細胞類型だけでなく残存幹細胞、近接生理学的ニッチ(physiological niche)を全て含む)の元の状態を模倣する解剖学的構造を有していても良い。上記オルガノイドは、3次元培養方法を通じて細胞と細胞の機能がより良く配列され、機能性を有する器官のような形態と組織特異的機能を有していても良い。
【0024】
上記組成物は、心臓オルガノイド又は単一心筋細胞をカプセル化するためのものであっても良い。具体的に、単一心筋細胞自体をカプセル化し、それを培養して心臓オルガノイドを製作するか、培養された心臓オルガノイドをカプセル化しても良い。ここで、単一心筋細胞をカプセル化する際は、体内の微小環境を反映するために他の細胞をさらに含んでいても良く、具体的には、血管細胞と心臓線維芽細胞をさらに含んでいても良い。上記組成物として心臓オルガノイド又は単一心筋細胞をカプセル化し、心筋分化を増進させても良い。
【0025】
本発明の他の一態様は、(a)分離した心臓組織を脱細胞化することにより、脱細胞した心臓組織を製造するステップと、(b)上記脱細胞した心臓組織を乾燥することにより、脱細胞心臓組織由来細胞外基質(Heart Extracellular Matrix、HEM)を製造するステップとを含む支持体組成物製造方法を提供する。
【0026】
上記ステップ(a)は、分離した心臓組織を脱細胞化することにより、脱細胞した心臓組織を製造するステップである。
【0027】
本発明の一具体例において、上記ステップ(a)は、上記分離した心臓組織を1~10℃で12~36時間0.1~2%のSDS(sodium dodecyl sulfate)、具体的には、2~9℃で15~30時間0.5~1.5%のSDS(sodium dodecyl sulfate)、さらに具体的には、24時間4℃で1%のsodium dodecyl sulfate(SDS)処理し、脱細胞化溶液で撹拌することで脱細胞化するものであっても良い。脱細胞化溶液で撹拌する前にかかる処理を追加することによって、全体的な脱細胞効率を高くすることができる。
【0028】
上記脱細胞化溶液は、心臓組織から細胞を除去するための様々な成分を含んでいても良く、例えば、高張食塩水(hypertonic saline)、過酢酸(peracetic acid)、トリトンX-100(Triton X-100)、SDS又はその他の洗剤の成分を含んでいても良いが、本発明の一具体例において、上記脱細胞化溶液は、0.1~5%のTriton X-100及び0.01~0.5%の水酸化アンモニウム、さらに具体的には、1%のTriton X-100及び0.1%の水酸化アンモニウム(ammonium hydroxide)を含んでいても良い。上記のような脱細胞化溶液を使用することで、既存の工程に比べて緩和された条件で脱細胞を進行することにより、製造された支持体内のDNAを効果的に除去すると同時に心臓組織内の様々なタンパク質がより多く保存されることができる。
【0029】
上記撹拌は、3~24時間、さらに具体的には4~12時間、最も具体的には5~8時間、一例として6時間行われても良く、上記撹拌は、1~10℃、具体的には2~9℃、最も具体的には4℃で行われても良い。このような撹拌(脱細胞)過程を通じて、心臓組織細胞が95~99.9%、さらに具体的には96~98%が除去されたものであっても良い。上記範囲外の時間又は心臓組織細胞除去水準に脱細胞が行われる場合、製造された支持体組成物の品質が低下したり、工程経済性が低下するといった問題点がある。
【0030】
上記ステップ(b)は、上記脱細胞した心臓組織を乾燥することにより、脱細胞心臓組織由来細胞外基質(Heart Extracellular Matrix、HEM)を製造するステップである。
【0031】
上記脱細胞した心臓組織を乾燥する方法は、公知の方法によって行われても良く、自然乾燥又は凍結乾燥されても良く、滅菌のために、乾燥後に電子ビーム又はガンマ放射線によってエチレンオキサイドガス又は超臨界二酸化炭素に露出させても良い。
【0032】
本発明の一具体例において、上記ステップ(b)の後、脱細胞心臓組織由来細胞外基質は、0.01~10mg/mL、具体的には0.5~9mg/mL、さらに具体的には1mg/mL~8mg/mL、最も具体的には2、4又は6mg/mL、最適化された具体例としては2mg/mLで含んでいても良い。上記範囲外の濃度で含まれる場合、本発明が目的とする効果が得られないか、製造又は活用において不適合であり得る。
【0033】
上記乾燥した細胞外基質は、剥離(tearing)、製粉(milling)、切断、粉砕及びせん断ステップを含む方法により細分されても良い。上記細分された細胞外基質は、冷凍状態又は冷凍乾燥状態において、粉砕又は製粉のような方法によって粉末状に加工されても良い。
【0034】
また、上記支持体組成物製造方法は、追加で(c)上記乾燥した脱細胞心臓組織由来細胞外基質をゲル化(gelation)するステップをさらに含んでいても良い。
【0035】
上記ステップ(c)は、上記乾燥した脱細胞心臓組織由来細胞外基質をゲル化(gelation)するステップである。
【0036】
上記ゲル化により、脱細胞心臓組織由来細胞外基質を架橋させて3次元ハイドロジェル形態の支持体を製作しても良く、ゲル化された支持体は、実験、スクリーニングだけでなくオルガノイド培養と係わる分野において様々に活用されることができる。
【0037】
上記「ハイドロジェル」は、ゾル-ゲル相変異を通じて水を分散媒にする液体が固くなり流動性を失くし、多孔性構造をなす物質であって、3次元網目構造と未結晶構造を有する親水性高分子が水を含有して膨張することにより形成されても良い。
【0038】
上記ゲル化は、脱細胞心臓組織由来細胞外基質を酸性溶液においてペプシン又はトリプシンのようなタンパク質分解酵素で溶液化し、10×PBSと1MのNaOHを利用して中性のpHと1×PBSバッファの電解質状態に合わせ、37℃の温度で30分間行われるものであっても良い。
【0039】
上記ゲル化により、心臓オルガノイド又は単一心筋細胞をカプセル化しても良い。具体的に、上記ゲル化により、単一心筋細胞自体をカプセル化し、それを培養して心臓オルガノイドを製作するか、培養された心臓オルガノイドをカプセル化しても良い。ここで、単一心筋細胞をカプセル化する際は、体内の微小環境を反映するために他の細胞をさらに含んでいても良く、具体的には、血管細胞と心臓線維芽細胞をさらに含んでいても良い。上記組成物として心臓オルガノイド又は単一心筋細胞をカプセル化し、心筋分化を増進させても良い。
【0040】
本発明の他の一態様は、上記支持体組成物又は上記製造方法によって製造された支持体組成物で心臓オルガノイドを培養する方法を提供する。
【0041】
既存のマトリゲルベースの培養システムは、動物癌組織由来の抽出物であって、配置間の差が大きく、実際間の環境を疑似できておらず、心臓オルガノイドに分化、発達される効率が不十分であるのに対し、上記支持体組成物は、心臓組織類似環境を造成することができるので、心臓オルガノイド培養において適合である。
【0042】
具体的には、上記支持体組成物又は上記製造方法によって製造された支持体組成物は、心臓オルガノイド又は単一心筋細胞をカプセル化して心臓オルガノイドを培養するものであっても良い。さらに具体的には、単一心筋細胞自体をカプセル化し、それを培養して心臓オルガノイドを培養するか、培養された心臓オルガノイドをカプセル化して培養しても良い。ここで、単一心筋細胞をカプセル化する際は、体内の微小環境を反映するために他の細胞をさらに含んでいても良く、具体的には、血管細胞と心臓線維芽細胞をさらに含んでいても良い。上記組成物として心臓オルガノイド又は単一心筋細胞をカプセル化し、心筋分化を増進させても良い。
【0043】
上記培養は、適合な条件で細胞を維持及び成長させる過程を意味し、適合な条件とは、例えば、細胞が維持される温度、栄養素可用性、大気中のCO含量及び細胞密度を意味しても良い。
【0044】
互いに異なる類型の細胞を維持、増殖、拡大及び分化させるための適切な培養条件は当該技術分野において公知になっており、文書化されている。上記オルガノイドの形成に適合な条件は、細胞分化及び多細胞構造の形成を容易にするか、許容する条件であっても良い。
【発明の効果】
【0045】
本発明において製作された脱細胞心臓組織由来支持体を利用すれば、支持体内に豊富に存在する心臓組織特異的細胞外基質成分による心臓微小環境の具現が可能となり、実際の心臓組織を疑似するさらに高度化されたオルガノイドを製作することができる。これは既存の常用化された代表的なオルガノイド培養支持体であるマトリゲルを代替して産業的に高付加価値の創出が可能である。
【0046】
また、構造と機能が高度化されたヒト心臓オルガノイドは、次世代新薬の開発及び薬物の毒性評価に活用可能な高い潜在性を有する。新薬開発過程のうち、薬物の心臓毒性を正確に予測することは、新薬開発において重要な成功要因の一つである。既存の細胞株又は動物モデルでは薬物の心臓毒性を正確に予測できないことが多く、新薬開発において莫大な費用と時間が無駄にされ、大きな障害物となってきた。ヒト心臓オルガノイドは、薬物の有効性及び安全性を判断するにおいて既存のモデルと比べて正確度が高く、時間と費用の面から経済的であるため、新薬開発のための製薬産業に大いに寄与することができると期待される。
【0047】
本発明において確立されたヒト心臓オルガノイドは、心臓組織を構造的、機能的に精密に疑似できるため、現在具現することのできない様々な心臓疾患モデルの製作に活用されることができる。よって、脱細胞心臓組織由来支持体ベースのオルガノイド培養技術を適用した心臓疾患モデリングプラットフォームは、難治性心臓疾患の機転研究に適用され、医療産業の発展に寄与することができる。オルガノイドを患者の幹細胞から製作すれば、患者固有の精密医療プラットフォームとしての開発が可能であり、しいては、心筋梗塞など損傷した心臓組織を再建する再生医学的な用途としても適用できることが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1】心臓オルガノイドを培養するための脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)を製作及び分析したものである。
図2】心臓オルガノイドを培養するための脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)を製作及び分析したものである。
図3】心臓オルガノイドを培養するための脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)のタンパク体を分析したものである。
図4】脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)のmatrisomeタンパク質の種類及び定量分析結果である。
図5】脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)のnon-matrisomeタンパク質分析結果である。
図6】心臓組織の脱細胞方法比較分析及び最適化の選定を示すものである。
図7】脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)を利用した心臓オルガノイドの製作過程である。
図8】ヒト脱分化幹細胞由来心筋細胞の製作及びオルガノイドのカプセル化方法を利用した脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの製作結果を示すものである。
図9】オルガノイドのカプセル化方法を利用した脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの遺伝子発現を分析したものである。
図10】オルガノイドのカプセル化方法を利用した脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの心筋分化度を評価分析したものである。
図11】オルガノイドのカプセル化方法を利用した脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの分化度を評価分析したものである。
図12】オルガノイドのカプセル化方法を利用した脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの薬物反応性を分析した結果を示すものである。
図13】単一心筋細胞のカプセル化方法を通じた脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの製作方法及び遺伝子発現分析結果を示すものである。
図14】脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースの血管細胞培養結果を示すものである。
図15】心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のカプセル化方法を通じた脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの製作及び最適化された培養条件の選別を示すものである。
図16】心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のカプセル化方法を適用した血管構造を有する高度化されたヒト心臓オルガノイドの製作及びそのための脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)の濃度選別過程、結果を示すものである。
図17】心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のカプセル化方法を適用した血管構造を有する高度化されたヒト心臓オルガノイドの製作及びそのための脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)の濃度選別過程、結果を示すものである。
図18】心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のカプセル化方法を適用した血管構造を有する高度化されたヒト心臓オルガノイドの製作及びそのための脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)の濃度選別過程を示すものである。
図19】心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のHEMカプセル化方法及びマイクロ流体チップを活用したヒト心臓オルガノイドの培養方法及び結果を示すものである。
図20】心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のカプセル化方法と脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)を利用したLQT患者の心臓オルガノイドの製作過程及び結果を示すものである。
図21】心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のHEMカプセル化方法及びマイクロ流体チップを活用したLQT患者の心臓オルガノイドの培養及び分析結果を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明においては、ブタ心臓組織に一連の化学的処理を通じて多量の脱細胞心臓組織由来支持体を製作し、それを心臓オルガノイドの培養に適用した。心臓オルガノイドを培養するために、細胞外基質成分が十分に残り得る最適なプロトコルで脱細胞支持体を製作して実験を進行した。脱細胞過程を進行した結果、心臓組織内の細胞を効果的に除去すると同時に心臓組織特異的細胞外基質成分を良く保存できることが確認された。製作された脱細胞心臓組織由来細胞外基質成分で3次元オルガノイド培養のためのハイドロジェルの形成が可能であることが確認された。
【0050】
本発明においては、ヒト脱分化幹細胞を心筋細胞に分化させ、この細胞を脱細胞心臓組織由来細胞外基質により製作されたハイドロジェル内において3次元培養することで心臓オルガノイドを製作した。脱細胞心臓組織由来ハイドロジェル支持体において培養された心臓オルガノイドは、常用化された支持体であるマトリゲル及びコラーゲンハイドロジェルと比べて心臓組織への分化が増進されたことを遺伝子発現分析を通じて確認した。
【0051】
また、脱細胞心臓組織由来ハイドロジェル支持体において培養された心臓オルガノイドの方が、マトリゲル及びコラーゲンハイドロジェルにおいて培養されたオルガノイドに比べて拍動が最も活発で、心筋特異的タンパク質の発現が最も優れており、心筋細胞特異的筋節構造が最も明確に観察されることが確認された。これにより、脱細胞心臓組織由来支持体が、心臓オルガノイド培養支持体として既存の培養支持体を代替可能な新たな機能性培養プラットフォームとして開発される可能性があることを確認した。
【0052】
新たに開発された脱細胞心臓組織由来支持体培養プラットフォームは、既存の高価な培養マトリックス及び高分子支持体に比べて製作が簡単で且つ経済的という長所があり、商用化に非常に有利である。
【0053】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明をより容易に理解するために提供されるだけであり、下記実施例によって本発明の内容が限定されるものではない。
【0054】
実施例1:心臓オルガノイド培養のための脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)の製作及び分析
実施例1-1.脱細胞心臓組織由来細胞外基質の製作及び分析
図1に示すように、脱細胞工程を通じてブタ心臓組織から脱細胞心臓組織由来細胞外基質(Heart Extracellular Matrix、HEM)支持体を製作し、その特性を分析した。
【0055】
心臓脱細胞過程は、24時間冷蔵条件において1%のsodium dodecyl sulfate(SDS)処理をした後、1%のTriton-X100及び0.1%のNH4OHを6時間冷蔵条件において追加処理することで進行した。脱細胞過程を通じて製作された細胞外基質成分は、凍結乾燥を通じてパウダー状に製作した。対照群としては、脱細胞されていない心臓組織を使用した。
【0056】
製作された脱細胞心臓組織由来HEM支持体において、細胞が十分に除去されたか否か、細胞外基質成分が良く保存されているか否かを確認するために、それぞれDNAとGAG(Glycosaminoglycans)定量を分析した結果、製作された脱細胞心臓組織支持体の何れにおいても脱細胞過程の後にDNAは十分に除去され、GAGは実際の心臓組織と類似した水準で存在していることが確認された(図1(A))。
【0057】
実施例1-2.支持体組成物の製作及び分析
凍結乾燥することで製作されたパウダー状の脱細胞心臓組織由来支持体(Lyophilized HEM)10mgを4mg/mlのペプシン溶液(ブタ胃粘膜由来ペプシンパウダー(4mg)を0.02MのHCL(1ml)に溶かした溶液)処理し、48時間常温で溶液化過程を進行した。その後、細胞培養に使用できるように10×PBS及び1MのNaOHを利用して中性のpHと1×PBSバッファの電解質状態に合わせておいた。最後に、インキュベータ内の37℃温度条件において30分間ハイドロジェルの形成(gelation)を誘導した。
【0058】
流変学分析を実施してハイドロジェルの物性を測定したところ、製作された脱細胞心臓組織由来ハイドロジェル支持体が安定した高分子ネットワーク構造に構成されており、オルガノイド培養に適した機械的物性を有していることが確認された(図1(B))。
【0059】
一方、ブタ心臓組織から脱細胞支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)を製作し、特性を分析した。
【0060】
その結果、図2から分かるように、脱細胞過程前後の心臓組織をH&E組織学分析を通じて観察したところ、細胞核は殆ど除去されたものの、組織の全般的な構造は維持されていることが確認された(図2(A))。そして、脱細胞心臓組織由来支持体から形成されたハイドロジェルの内部構造を確認するために、走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)分析を実施した結果、HEMハイドロジェルの内部がナノ繊維形態の細胞外基質成分により構成されていることが分かり、これによって製作されたハイドロジェルが心臓オルガノイドの成長に適した微小環境を提供できることが確認された(図2(B))。
【0061】
実験例1:脱細胞心臓組織由来細胞外基質の分析
実験例1-1.心臓オルガノイド培養のための脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)タンパク体の分析
脱細胞心臓組織由来支持体に含有された細胞外基質成分を確認するために、質量分析器を利用したタンパク体の分析を実施した。
【0062】
その結果、図3から分かるように、様々なCollagens、Proteoglycans、Glycoproteinsなど多くの細胞外基質成分及び糖タンパク質が脱細胞心臓組織由来支持体に含まれていることが確認された。これにより、実際の心臓組織に存在するこのような心臓特異的成分が心臓オルガノイドの分化、構造発達及び機能増進を促進させることができると期待される。
【0063】
実験例1-2.脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)のmatrisomeタンパク質の種類及び定量分析
HEMに含まれたmatrisomeタンパク質を、質量分析器を利用したタンパク体分析を通じて検出してタンパク質の種類別に分類し、相対的な定量分析を進行した。
【0064】
様々な種類の心臓組織タンパク質がHEMに存在することが確認され、この成分が心臓オルガノイドの培養に肯定的な影響を及ぼすことを予測することができた(図4(a、b))。
【0065】
そして、タンパク質の相対定量分析を通じてHEMに最も多く含まれている10種のmatrisomeタンパク質を確認したところ、コラーゲンとフィブリノーゲンのサブタイプが多く検出され、lumican、perlecan、laminin(gamma1)も多量が検出されたことが確認された。また、HEM内において実際の心臓組織に特異的に多く存在すると知られているmatrisomeタンパク質(laminin(alpha 2)、thrombospondin 4、collagen type 6(alpha 6)、fibulin 2など)が様々検出されることが確認された(図4(c))。
【0066】
よって、マトリゲル、コラーゲン、フィブリンなど、単一成分タンパク質又は心臓非特異的タンパク質に基づく既存の培養システムと比べて様々な心臓組織のmatrisomeタンパク質を含有しているHEMハイドロジェルが心臓オルガノイドの発達に役立つ心臓組織特異的な微小環境を提供することにより、より高度化された成熟した心臓オルガノイドを製作するのに役立つことが分かる。
【0067】
実験例1-3.脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)のnon-matrisomeタンパク質の分析
本発明の脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)のnon-matrisomeタンパク質を分析した。
【0068】
その結果、HEMには、matrisomeだけでなく多量のnon-matrisomeタンパク質が含有されていることが確認された(図5(a))。また、実際の心臓組織に多く含有されている様々なnon-matrisomeタンパク質がHEM内に含有されていることが確認された(図5(b))。
【0069】
一方、Non-matrisomeタンパク質をGOBP(gene ontology biological process)方法で分析し、どのbiological processと係わるタンパク質が多く含まれているかを分析した。その結果、細胞骨格構成(cytoskeleton organization)、細胞成分構成(cellular component organization)、細胞成分結合(cellular component assembly)、細胞器官構成(organelle organization)など組織の形成に係わるタンパク質を特に多く含有していることが確認された(図5(c))。
【0070】
よって、このようなnon-matrisomeタンパク質を含んでいるHEM支持体を利用すれば、成熟した心臓オルガノイドの培養が可能であることが分かる。
【0071】
実験例1-4.心臓組織の脱細胞プロトコルの比較分析及び最適化
本発明の脱細胞方法(Protocol 1)と他の脱細胞方法(Protocol 2)とを比較するための実験を進行した。プロトコル2は、プロトコル1とは異なり、1%のsodium dodecyl sulfate(SDS)処理はせず、1%のTriton-×100及び0.1%のNHOHを6時間だけ処理した。
【0072】
その結果、心臓の脱細胞工程後に残っているDNAの量を比較したところ、プロトコル1で製作された脱細胞心臓マトリックスは、DNAが殆ど除去されていることが確認されたが、プロトコル2で製作された組織においては相当部分残っていることが確認された。また、GAG定量分析を通じて残っている細胞外基質成分を比較すると、プロトコル1の処理後にGAG成分が良く保存されているのに対し、プロトコル2の処理後には残っているGAG成分が有意に減少したことが確認された(図6(a))。
【0073】
そして、製作した脱細胞マトリックスを利用してハイドロジェルを製作した後に機械的物性(modulus)を測定した結果、プロトコル1で製作したハイドロジェルの物性が有意に高いことが確認された(図6(b))。
【0074】
また、H&E組織学分析により比較した結果、プロトコル2で製作されたマトリックスにおいては細胞が多く残っており、依然として実際の心臓組織と類似した形態を維持していることが確認された(図6(c))。
【0075】
一方、各脱細胞方法により製作されたマトリックスのタンパク体(proteomics)分析を実施した結果、プロトコル1がプロトコル2に比べてより多数の細胞外基質タンパク質を保存することが確認された(図6(d))。
【0076】
よって、本研究で確立した脱細胞方法の方が、他の脱細胞方法に比べて心臓組織の細胞外基質タンパク質をより良く保存することができ、心臓オルガノイドの培養により適した支持体の製作を可能にすることが分かる。
【0077】
実施例2:脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)を利用した心臓オルガノイドの製作
脱細胞心臓組織由来HEMハイドロジェルと心筋細胞を利用して心臓オルガノイドを製作する2つの方法を図7のように行った。
【0078】
具体的に、1つ目の方法は、単一心筋細胞をマイクロウェル(Microwell)を利用して3次元オルガノイド形態に製作した後、製作された心臓オルガノイドをHEMハイドロジェル内にカプセル化して培養を進行する方法であり、2つ目の方法は、単一心筋細胞をHEMハイドロジェル内にカプセル化した後、オルガノイドの形成を誘導してHEMハイドロジェルが細胞の間に混合された形態の心臓オルガノイドを製作する方法である。
【0079】
以下では、各方法によりHEMハイドロジェルを利用して心筋分化が増進された心臓オルガノイドを製作できることを検証する。
【0080】
実験例2:オルガノイドのカプセル化方法の検証
実験例2-1.ヒト脱分化幹細胞由来心筋細胞の製作及びオルガノイドのカプセル化方法を利用した脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの製作
ヒト誘導万能幹細胞を心筋細胞へ分化誘導し、分化された心筋細胞をマイクロウェル(Microwell)を利用して3次元オルガノイド形態に製作した。その後、心臓オルガノイドをHEMハイドロジェル(4mg/ml)内で3次元培養することで、分化及び成熟度が増進された心臓オルガノイドを製作した。
【0081】
一般的なプレート(plate)においてヒト誘導万能幹細胞を心筋細胞へ分化誘導したところ、分化15日目に細胞同士が有機的に連結されて拍動することが確認された。また、17日目に免疫染色を通じて心臓特異的タンパク質であるα-actininの発現と筋節(sarcomere)構造も確認した(図8(A))。
【0082】
マイクロウェル(Microwell)を利用して分化された心筋細胞を3次元オルガノイド形態に製作した。形成されたオルガノイドを、HEMハイドロジェル内において3次元培養を進行した。コラーゲンハイドロジェル(Col I)及びマトリゲル(Mat)を利用して培養したグループと、マトリックスなしに培養液に浮遊培養したグループ(No ECM)とを比較群として使用した。その結果、HEMハイドロジェルにおいて培養された心臓オルガノイドの方が、比較群の条件において培養されたオルガノイドと比較してより活発に拍動することが確認された(図8(b))。
【0083】
実験例2-2.オルガノイドのカプセル化方法を利用した脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの遺伝子発現分析
HEMハイドロジェル(4mg/ml)内において3次元培養したヒト心臓オルガノイドの分化増進程度を確認するために、培養7日目にqPCR分析を進行した。コラーゲンハイドロジェル(Col I)及びマトリゲル(Mat)を利用して培養したグループと、マトリックスなしに培養液に浮遊培養したグループ(No ECM)とを比較群として適用した。
【0084】
その結果、図9から分かるように、HEMハイドロジェルを利用して製作したヒト心臓オルガノイドにおいて心筋特異的遺伝子であるTNNT2、NPPA、SCN5Aの発現が対照群に比べてより増進したことが確認された。
【0085】
よって、HEMハイドロジェルの方が、既存のオルガノイド培養支持体よりもヒト心臓オルガノイドの心筋分化をさらに促進することが確認された。
【0086】
実験例2-3.オルガノイドのカプセル化方法を利用した脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの心筋分化度の評価分析
HEMハイドロジェルがヒト心臓オルガノイドの心筋分化に及ぼす影響を確認するために、培養7日目に心筋特異的マーカーであるTroponin I(TNNI)に対する免疫染色を実施した。コラーゲンハイドロジェル(Col I)及びマトリゲル(Mat)を利用して培養したグループと、マトリックスなしに培養液に浮遊培養したグループ(No ECM)とを比較群として使用した。
【0087】
その結果、図10から分かるように、HEMハイドロジェル(4mg/ml)を利用して製作したヒト心臓オルガノイドにおいて心筋細胞の形状がより成熟した形態で存在し、TNNIの発現が非常に高いことが確認された。また、筋節(sarcomere)特異的構造が対照群に比べて確然として明確に観察された。
【0088】
実験例2-4.オルガノイドのカプセル化方法を利用した脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの分化度の評価分析
HEMハイドロジェルが心臓オルガノイドの心筋分化に及ぼす影響を確認するために、培養7日目に心筋細胞特異的マーカーであるα-actinin及びcTnTに対する免疫染色を実施することで、当該マーカーのタンパク質発現水準を比較した。コラーゲンハイドロジェル(Col I)及びマトリゲル(Mat)を利用して培養したグループを比較群として適用した。
【0089】
その結果、図11において、HEMハイドロジェル(4mg/ml)を利用して製作したヒト心臓オルガノイドにおいて心筋細胞がより成熟した形態で存在することが確認され、心筋特異的筋節(sarcomere)構造が対照群に比べて確然として明確に観察された。
【0090】
実験例2-5.オルガノイドのカプセル化方法を利用した脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの薬物反応性の分析
HEMハイドロジェル(4mg/ml)において培養したヒト心臓オルガノイドの薬物に対する反応性を確認するために、心筋拍動数に影響を及ぼす2つの代表薬物(isoproterenol及びpropranolol)を培養7日目に処理し、それに対するオルガノイドの反応をカルシウムイメージングを通じて確認した。
【0091】
その結果、図12から分かるように、拍動数を増加させるisoproterenolを1μMの濃度で処理した際に心臓オルガノイドの拍動数が速くなることが確認され、propranololを10μMの濃度で処理した際は拍動が遅くなることが確認された。
【0092】
これにより、HEMハイドロジェルにおいて培養したヒト心臓オルガノイドが薬物に対して適切な反応性を現わし得ることが確認され、よって、様々な薬物に対する心臓反応を評価する用途で活用可能であることが検証された。
【0093】
実験例3:単一心筋細胞のカプセル化方法の検証
実験例3-1.単一心筋細胞のカプセル化方法を通じた脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの製作方法及び遺伝子発現の分析
形成されたオルガノイドをHEMハイドロジェル内にカプセル化する方法とは異なり、ヒト誘導万能幹細胞由来の心筋細胞を単一細胞の状態でHEMハイドロジェルにカプセル化することによりヒト心臓オルガノイドを製作する方法を試みた。
【0094】
その結果、細胞を培養するほどハイドロジェルが収縮し、堅い固まりの心臓オルガノイドが形成された。様々な濃度のHEMハイドロジェルを利用して心臓オルガノイドを製作し、オルガノイドをカプセル化する方法に比べて比較的大きい心臓オルガノイドを製作できることが確認された(図13(A))。
【0095】
そして、HEMハイドロジェルの心筋分化増進効果を確認するために、培養7日目にqPCR分析を進行し、マトリゲル(Mat)内において培養した心臓オルガノイドを対照群として比較した。
【0096】
その結果、HEMハイドロジェルを利用して製作したヒト心臓オルガノイドにおいて、心筋特異的遺伝子であるTNNT2、NPPAの発現が、対照群であるマトリゲルにおいて培養された心臓オルガノイドに比べてより増進したことが確認された(図13(B))。
【0097】
よって、HEMハイドロジェルは、単一心筋細胞のカプセル化方法を通じてもヒト心臓オルガノイドの形成と心筋分化をさらに促進することが確認された。
【0098】
実験例3-2.脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースの血管細胞培養
オルガノイド内部の血管構造の形成は、オルガノイドの成長、発達及び機能において非常に重要な要素であるため、心臓オルガノイドの血管化のためにHEMハイドロジェル内において血管細胞が培養可能であるか否かを調べた。
【0099】
具体的に、HEMハイドロジェルが血管内皮細胞(endothelial cell)の培養に適合であるか否かを判断するために、様々な濃度のHEMハイドロジェルにおいてHUVEC(human umbilical vein endothelial cell)細胞を単一細胞のカプセル化方式で封入し、培養を進行した。
【0100】
培養7日目に血管マーカーCD31とVE-Cadherinの免疫染色を通じて分析した結果、図14から分かるように、全ての濃度において培養は可能であるものの、2mg/mlのHEMハイドロジェル条件における血管細胞マーカーの発現が高く、細胞のspreadingが最も良く起こることを確認することにより、培養に最適の濃度であることが確認された。
【0101】
実験例3-3.心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のカプセル化方法を通じた脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)ベースのヒト心臓オルガノイドの製作及び最適化された培養条件の選別
構造的、機能的にさらに高度化された血管構造を備えた心臓モデルを製作するために、実際の心臓に存在する非心筋細胞(Non-myocyte)である血管細胞(endothelial cell)と心臓線維芽細胞(cardiac fibroblast)とを共にHEMハイドロジェルに単一細胞のカプセル化方式で封入することによって、3種の細胞が共培養された心臓オルガノイドを製作した。血管細胞はHUVEC細胞を利用し、心臓線維芽細胞はヒト誘導万能幹細胞から分化して使用した(図15(A))。
【0102】
具体的に、共培養液条件を選別するために、心筋細胞培養液と血管細胞培養液とを様々な割合で混合し、培養条件選別実験を進行した。
【0103】
培養7日目に免疫染色を通じて心筋細胞マーカー(cTnT)と血管細胞マーカー(CD31)でのタンパク質発現を確認したところ、CM(心筋細胞培養液)+50%のEGM(血管細胞培養液)条件において血管化が最も良く行われ、心筋特異的タンパク質の発現にも問題がないことが確認された(図15(B))。
【0104】
よって、その後の共培養心臓オルガノイドの製作は、CM+50%EGM培養液条件で進行した。
【0105】
実験例3-4.心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のカプセル化方法を適用した血管構造を有する高度化されたヒト心臓オルガノイドの製作及びそのための脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)の濃度選別
心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のカプセル化方法を適用した血管構造を有する高度化されたヒト心臓オルガノイドの製作及びそのための脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)の濃度を選別した。
【0106】
具体的に、2、4、6mg/mlの濃度のHEMハイドロジェルにおいて、3種の細胞(心筋細胞、血管細胞、心臓線維芽細胞)を単一細胞のカプセル化方式により計2×10(割合2:1:1)の細胞を培養することで心臓オルガノイドを製作した。
【0107】
その結果、培養7日目に顕微鏡分析を通じて、成功的に球状の心臓オルガノイドが製作されたことが確認された(図16(A))。また、培養7日目に各濃度のHEMハイドロジェルから形成された心臓オルガノイドの大きさを比較したところ、HEM濃度が低いほどオルガノイドが凝縮し、より密な構造を有する小さいサイズのオルガノイドが形成されることが確認された(図16(B))。
【0108】
そして、培養7日目にqPCR分析を通じてHEMハイドロジェルの濃度別にmRNA発現程度を比較した結果、心筋特異的マーカーであるTNNT2、NPPAの発現と血管特異的マーカーであるPECAM1、vWFの発現を確認したところ、濃度の低いHEMハイドロジェル条件において心筋分化と血管成熟がさらに増進したことが確認された(図16(C))。
【0109】
よって、2mg/mlの濃度のHEMハイドロジェルにおいて3種の細胞が共培養された心臓オルガノイドが密な構造を有する最も凝縮した形態に培養され、血管化及び心筋分化がさらに増進されることが確認された。
【0110】
そして、培養7日目に免疫染色を通じて心筋細胞(cTnT)、血管細胞(CD31)、心臓線維芽細胞(VIM、DDR2)の分布を確認した。
【0111】
その結果、図17から分かるように、濃度が低いほど心臓オルガノイドが凝縮して細胞間の連結が良く行われ、各マーカーの発現も優れていることが確認された。
【0112】
よって、2mg/mlの濃度のHEMハイドロジェルにおいて3種の細胞が共培養された心臓オルガノイドが最も凝縮した形態に培養されつつ、血管化及び心筋分化がさらに増進したことが確認された。
【0113】
実験例3-5.心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のカプセル化方法を適用した血管構造を有する高度化されたヒト心臓オルガノイドの製作及びそのための脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)の濃度選別
様々な濃度のHEMハイドロジェルにおいて14日間3種の細胞が共培養された心臓オルガノイドの内部構造を確認するために、組織学分析を利用して免疫染色を進行した。
【0114】
心筋細胞マーカーcTnT、血管細胞マーカーCD31、心臓線維芽細胞マーカーVIMを確認した結果、図18から分かるように、2mg/ml及び4mg/mlの濃度のHEMハイドロジェルにおいて細胞が緊密に連結され、密集された構造体を形成していることが確認された。6mg/mlのHEMグループと対照群であるマトリゲルの場合、細胞が単一細胞の形態で残っており、オルガノイドの内部に有機的な構造を形成していないことが確認された。
【0115】
実験例3-6.心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のHEMカプセル化方法及びマイクロ流体チップを活用したヒト心臓オルガノイドの培養
さらに高度化されたヒト心臓モデルを製作するために、人体の血流を疑似する微細な培養液の流れを提供することのできるマイクロ流体チップを利用し、チップ内においてHEMハイドロジェルを利用して心臓オルガノイドを培養した。マトリゲル(Mat)は対照群として使用した。
【0116】
培養14日目に免疫染色を通じて心筋細胞(cTnT)、血管細胞(CD31)、心臓線維芽細胞(VIM)マーカーの発現を比較したところ、図19から分かるように、2mg/mlのHEMハイドロジェル内の心臓オルガノイドにおいて全ての細胞マーカーの発現が最も優れており、有機的な構造を有する高度化されたオルガノイドを形成することができた。
【0117】
よって、本実験を通じて、HEMハイドロジェルとマイクロ流体チップを組み合わせれば、さらに高度化された3種の細胞が共培養されたヒト心臓オルガノイドを製作できることが確認された。
【0118】
実験例4:本発明の支持体組成物の活用可能性の確認
実験例4-1.心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のカプセル化方法と脱細胞心臓組織由来細胞外基質支持体(Heart Extracellular Matrix、HEM)を利用したLQT患者の心臓オルガノイドの製作
QT延長症候群(long QT syndrome;LQT)患者の誘導万能幹細胞から分化された心筋細胞を利用し、単一細胞のカプセル化方法を通じて心臓オルガノイドを製作した。具体的に、2mg/mlの濃度のHEMハイドロジェルを利用して進行した。心筋細胞の他に2種の非心筋細胞(血管細胞及び心臓線維芽細胞)を共にカプセル化し、類型の異なるLQT患者の幹細胞(LQT2及びLQT3)から分化された心筋細胞を利用して心臓オルガノイドを製作した。
【0119】
その結果、図20から分かるように、培養14日目に、光学顕微鏡分析を通じて、HEMハイドロジェル内においてLQT心臓オルガノイドが形成され、培養が成功的に行われることが確認された。
【0120】
これにより、HEMハイドロジェルを利用してヒト心臓疾患オルガノイドモデルの製作が可能であることを確認することによって、HEMハイドロジェルが体外疾患モデリングのための効果的なオルガノイド培養マトリックスとして適用可能であることが分かる。
【0121】
実験例4-2.心筋細胞と2種の非心筋細胞(Non-myocyte)のHEMカプセル化方法及びマイクロ流体チップを活用したLQT患者の心臓オルガノイドの培養及び分析
実験例4-1のようにLQT患者の誘導万能幹細胞由来心筋細胞と血管細胞、心臓線維芽細胞を2mg/mlのHEMハイドロジェル内において共培養し、それをマイクロ流体チップ内に適用して微細な培養液の流れを提供する動的培養を通じてLQT疾患の心臓オルガノイドを製作した。
【0122】
その結果、図21から分かるように、培養14日目に心臓オルガノイドの拍動分析を通じて、正常な心臓オルガノイドは規則的な拍動となっているのに対し、LQT疾患のオルガノイドは不規則な拍動となっていることが確認された。
【0123】
本実験を通じて、HEMハイドロジェルを利用して製作したLQT疾患のオルガノイドが当該疾患の特性を有していることが確認された。
【0124】
上述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更せずに他の具体的な形態に容易に変形可能であるということを理解できるはずである。それゆえ、上記した実施例は全ての面において例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21