(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125430
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】化粧剤の送達、化粧用組成物、及びそれらの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 8/72 20060101AFI20240910BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20240910BHJP
A61K 8/87 20060101ALI20240910BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20240910BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
A61K8/72
A61K8/81
A61K8/87
A61K8/891
A61Q19/00
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024108040
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2022552829の分割
【原出願日】2021-03-01
(31)【優先権主張番号】62/984,168
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シャー、スネハル
(72)【発明者】
【氏名】ブラテスク、ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】コーエン、アイザック デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】チョウ、チーハン
(72)【発明者】
【氏名】スメール、メアリー アン
(72)【発明者】
【氏名】ソイカ、ミラン フランツ
(72)【発明者】
【氏名】コーラス、ジョー エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ランダ、ピーター エー.
(57)【要約】 (修正有)
【課題】皮膚の変化を修復又は低減するための新規の方法、並びにそれらのシステム、レジメン、及び化粧用組成物を提供する。
【解決手段】電界紡糸ポリマー繊維と、少なくとも1つの活性成分と、少なくとも1つの化粧用として許容可能な担体とを含む、化粧用組成物であり、電界紡糸繊維は、本組成物中に分散されている。本組成物は、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、エマルション、トナー、軟膏、ペースト、発泡体、ヒドロゲル、フィルム形成生成物、又は顔面皮膚マスクの形態である。本組成物は、少なくとも1つの活性成分を含み、酸化防止剤、保湿液、界面活性剤、又は保湿剤を更に含む。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界紡糸ポリマー疎水性繊維と、少なくとも1つの活性成分と、少なくとも1つの化粧用として許容可能な担体と、を含む、化粧用組成物であって、前記電界紡糸ポリマー疎水性繊維が、ポリカルボタン、ポリ酢酸ビニル、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリラクチド(PLA)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリテトラフルオロエチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記電界紡糸ポリマー疎水性繊維が、前記組成物中に分散されており、前記組成物が、エマルション、クリーム、ローション、ゲル、セラム、溶液、スプレー、又は発泡体の形態である、化粧用組成物。
【請求項2】
前記活性成分が、化粧剤、ペプチド、DNA、RNA、ポリマー、タンパク質、ビタミン、有機酸、酵素、油、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記活性成分が、AA2G又はカフェインである、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記繊維が、0.5nm~0.5μmの直径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記繊維が、前記組成物の総重量に対して0.01重量%~10重量%で前記組成物中に存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、酸化防止剤、保湿液、界面活性剤、又は保湿剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
対象の皮膚の皮膚欠陥を低減する方法であって、電界紡糸ポリマー疎水性繊維と、少なくとも1つの活性成分とを含む、組成物を局所的に適用することを含み、前記電界紡糸ポリマー疎水性繊維が、ポリカルボタン、ポリ酢酸ビニル、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリラクチド(PLA)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリテトラフルオロエチレン、及びこれらの混合物からなる群から選択され、前記電界紡糸ポリマー疎水性繊維が、前記組成物中に分散されており、前記組成物が、エマルション、クリーム、ローション、ゲル、セラム、溶液、スプレー、又は発泡体の形態である、方法。
【請求項8】
前記活性成分が、AA2G又はカフェインである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、1つ以上の化粧用として許容可能な担体を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記方法が、前記対象の皮膚の視覚的外観を更に改善する、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記方法が、静脈の拡張、眼の下の涙袋、眼の下のクマ、眼の周囲の腫れ、小じわ、しわ、弾性の喪失、ハリの喪失、色の均一性の喪失、色調、粗い表面若しくは手触り、加齢によるシミ、又は前記皮膚の水分含量を更に改善する、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が、少なくとも1日1回適用される、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、朝及び寝る前に適用される、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、マイクロ繊維及びナノ繊維を含むポリマー繊維を使用して、皮膚欠陥を修復及び低減するための方法、システム、及び化粧品又は皮膚科学組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
加齢、有害な環境因子への曝露、汚染物質、良好な栄養の欠如、疲労は、皮膚の視覚的外観、物理的特性、又は生理学的機能に影響を与え得る。これらの要因は、皮膚に視覚的に望ましくない外観をもたらし得る。皮膚に対する顕著な変化としては、例えば、静脈の拡張、眼の下の涙袋、眼の下のクマ、及び眼の周囲の腫れなどの眼領域の変化が挙げられる。顔の他の領域の変化としては、例えば、小じわ及びしわ、弾性の喪失、ハリの喪失、色若しくは色調の均一性の喪失、粗い表面の手触り、加齢によるシミ、及び水分含量減少が挙げられる。皮膚の外観及び機能におけるこのような変化の多くは、皮膚の外側表皮層の変化によって引き起こされるが、他の変化は、下部真皮の変化によって引き起こされる。
【0003】
ポリマー系ナノ繊維は、医薬品業界において埋め込み型薬物送達ビヒクルとして使用される。しかしながら、その高コストかつ低生産性に起因して、化粧用製品におけるこのような材料の適用は限定される。更に、電界紡糸技術の開発によって、生産コスト及びスケールアップ能力は、近年、著しく改善されている。
【0004】
したがって、本発明の目的は、化粧品送達システム、化粧用組成物、及びそれらの使用のためにポリマーマイクロ繊維又はナノ繊維を利用することである。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一態様は、電界紡糸ポリマー繊維と、少なくとも1つの活性成分と、少なくとも1つの化粧用として許容可能な担体とを含む、化粧用組成物に関し、電界紡糸繊維は、本組成物中に分散されている。本組成物は、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、エマルション、懸濁液、トナー、軟膏、ペースト、発泡体、ヒドロゲル、フィルム形成生成物、又は顔面皮膚マスクの形態である。本組成物は、化粧剤、ペプチド、DNA、RNA、ポリマー、タンパク質、ビタミン、有機酸、酵素、油、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの活性成分を含む。本組成物は、酸化防止剤、保湿液、界面活性剤、又は保湿剤を更に含む。電界紡糸ポリマー疎水性繊維は、ポリカルボタン、ポリ酢酸ビニル、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリラクチド(PLA)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリテトラフルオロエチレン、酢酸セルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される。繊維は、本組成物の総重量に対して約0.01重量%~約10重量%で存在し、約0.5nm~約0.5μmの直径を更に含む。
【0006】
本発明の別の態様は、皮膚欠陥を低減するか、又は対象の皮膚の外観を改善する方法に関する。本方法は、電界紡糸疎水性繊維と、少なくとも1つの活性成分とを含む、組成物を、それを必要とする対象の皮膚に局所的に適用することを含む。本方法は、静脈の拡張、眼の下の涙袋、眼の下のクマ、及び眼の周囲の腫れ、小じわ及びしわ、弾性の喪失、しわ、ハリの喪失、色若しくは色調の均一性の喪失、粗い表面の手触り、加齢によるシミ、又は皮膚の水分含量を改善する。本方法は、朝及び寝る前を含む少なくとも1日1回、本組成物を適用することを更に含む。本方法は、皮膚の変化をもたらすための治療レジメンとしての本組成物の使用を更に含む。
【0007】
本発明の別の態様は、電界紡糸繊維疎水性繊維と、少なくとも1つの活性成分と、化粧用として許容可能な担体とを含む、組成物を含む、システム又はキットに関する。本システム又はキットは、使用に関する説明書を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】皮膚モデル(フランツセル)浸透研究からの製剤のAA2Gの浸透パーセンテージを示す。
【
図1B】皮膚モデル(フランツセル)浸透研究からの製剤のAA2Gの浸透パーセンテージを示す。
【
図2A】皮膚PAMPA研究におけるAA2Gの透過性を示す。
【
図2B】皮膚PAMPA研究におけるAA2Gの透過性を示す。
【
図2C】3時間時点で始まる皮膚浸透研究の結果を示す。
【
図2D】皮膚PAMPA研究と皮膚浸透研究結果との間のAA2Gの6時間浸透の比較結果を示す。
【
図3】24時間の細断繊維製剤中のカフェインの浸透研究(皮膚浸透(フランツセル))を示す。
【
図4A】結果が皮膚PAMPA研究におけるカフェインの透過性を示すことを示す。
【
図4B】結果が皮膚PAMPA研究におけるカフェインの透過性を示すことを示す。
【
図4C】細断繊維を用いたカフェインの皮膚モデル浸透(フランツセル)の結果を示す。
【
図5】皮膚浸透研究(フランツセル)による、24時間における疎水性活性物質及び細断繊維の浸透の結果を示す。
【
図6】皮膚PAMPA研究によって得られた疎水性活性物質の浸透を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語を以下に定義する。本明細書で定義される用語は、本発明に関連する分野の当業者によって一般的に理解される意味を有する。「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」などの用語は、単数の実体のみを指すことを意図するものではなく、例示のために特定の例が使用され得る一般的な分類を含む。本明細書における用語は、本発明の特定の実施形態を説明するために使用されるが、それらの使用法は、特許請求の範囲に概説されるものを除き、本発明の範囲を定めるものではない。
【0010】
「活性成分」又は「活性剤」又は「化粧剤」という用語は、皮膚に利益をもたらすために利用される化粧剤を意味する。「活性成分」又は「活性剤」又は「化粧剤」は、対象の皮膚に変化を引き起こすか、又は考慮される利益をもたらし、それ故に、所望、期待される、又は意図された結果を達成するのを補助するであろう。本発明による「活性成分」又は「活性剤」又は「化粧剤」という用語には、組成物/製剤中に存在し得る化粧用として許容可能な賦形剤又は担体が含まれる。
【0011】
「予防する」及び「予防すること」という用語は、皮膚若しくは毛髪の状態の再発、拡がり、又は発症の予防を含む。本発明が完全な予防に限定されることは意図されない。
【0012】
「対象」という用語は、任意の哺乳動物、好ましくは、ヒトを指す。
【0013】
「局所」という用語は、皮膚への1つ又は複数の薬剤(例えば、化粧品、ビタミンなど)の投与を指す。
【0014】
「経皮」又は「局所」という用語は、皮膚を介した(例えば、粒子集団の少なくとも一部分が皮膚の下層に到達するような)薬剤(例えば、化粧品、皮膚科学剤、ビタミンなど)の送達を指す。
【0015】
「親水性」という用語は、水と一過的に会合することができる、すなわち、水素結合を介して水と結合することができる、分子の物理的特性を指す。「疎水性」という用語は、水の塊から反発する分子の物理的特性を指す。
【0016】
「溶媒」という用語は、溶液を生成する液体、固体、又は気体溶質を指す。
【0017】
「阻害すること」、「低減すること」、若しくは「予防」という用語、又はこれらの用語の任意の変化形は、特許請求の範囲及び/又は本明細書において使用される場合、所望される結果を達成する任意の測定可能な減少又は完全な阻害を含む。
【0018】
「有効な」という用語は、この用語が本明細書及び/又は特許請求の範囲において使用される場合、所望の、期待される、又は意図される結果を達成するのに十分であることを意味する。
【0019】
マイクロ繊維という用語は、1000nm超の直径を有する繊維を指す。
【0020】
ナノ繊維という用語は、1000nm未満の直径を有する繊維を指す。
【0021】
実施例及び比較例、又は別様に明示的に示される場合を除き、材料又は反応条件の量又は比率、材料及び/又は使用の物理的特性を示す本明細書における全ての数は、「約」という語によって修飾されるものとして理解されるべきである。全ての量は、別途指定されない限り、最終的な化粧剤の重量パーセンテージとして提示される。
【0022】
本発明は、マイクロ繊維及びナノ繊維を含むポリマー電界紡糸繊維を使用して、ヒトの皮膚を修復するための方法に関する。一部の実施形態において、本発明は、ポリマー電界紡糸ナノ繊維を使用して皮膚を修復するための組成物に関する。皮膚の加齢によるか、又は皮膚が環境若しくは加齢に関連する損傷に晒されると、測定可能な変化が皮膚に現れる。このような損傷は、細胞及び組織の活力の全般的な低減、細胞複製速度の低減、皮膚の血流の低減、水分含量の低減、構造及び機能のエラー、生化学的経路の変化、並びに皮膚自体が再構築及び修復する能力の低減を引き起こす。
【0023】
非限定的な例として、眼窩周囲領域の周囲(すなわち、眼の周囲)のヒトの皮膚は、薄く繊細である。眼窩周囲領域は、小さな毛細血管が網目状になっており、血液がこれらの毛細血管から漏れることがあり、眼の下のクマの外観を引き起こす。眼の下のクマの他の既知の原因としては、紫外線曝露(例えば、太陽への曝露によって、天然のメラニンレベルが増加し、メラニンが皮膚の表面に引き出され、より黒くなり得る)、加齢(例えば、年齢とともに、眼の周囲の皮膚は更に薄くなる可能性があり、これによって眼の下のクマがより顕著になる)、疲労(疲れると、皮膚がより青白くなり、これによってクマがより黒く見える)、アレルギー(例えば、アレルギー反応によって、眼の下の領域のくすみが引き起こされることがあり、アレルギー反応によってヒトが眼を擦ってしまい、クマがより悪化し得るが、これは、掻くこと又は擦ることが皮膚をより黒くさせ得るためである)、妊娠又は月経(例えば、皮膚は妊娠及び月経中に青白くなり、これによってクマがより黒く見える)、及び不十分な栄養である。
【0024】
別の非限定的な例として、眼の下の皮膚が腫れ、視覚的に望ましくなくなる状態は、腫れぼったい眼と呼ばれる。腫れぼったい眼は、増加した血管新生、漏出性毛細血管、より多くの流体で満たされ得る薄化/弛緩皮膚、眼の下の涙袋に寄与し得る眼の下の脂肪パッドの喪失、並びにアレルギー、ダスト、及び化学物質の放出を引き起こし得る汚染物質(これらによって、眼の周囲の組織が腫れる)を含むいくつかの要因によって引き起こされ得る。
【0025】
皮膚を治療又は修復するための方法は、多くの化粧用活性成分での真皮又は表皮の刺激を含む。このような薬剤の使用は、皮膚細胞速度を更新させ、基底細胞分裂を引き起こし得る。環境因子、化学物質、汚染物質、又は加齢によって引き起こされる、皮膚、特に、眼に対する損傷を予防、低減、又は治療するために、いくつかのアプローチが利用されてきた。最新のアプローチのほとんどは、皮膚に作用する1つ以上の薬剤を送達して、効果を引き起こすことを伴う。このような薬剤の例としては、コラーゲンを刺激するレチノイド、及びパッチ内で活性薬剤で含浸されるか又はそれを担持するフィルム又はパッチなどの、表皮再生を刺激するためのツールが挙げられる。
【0026】
本発明の一態様によれば、ヒトの皮膚の外観を治療するための組成物及び方法が提供され、このような組成物は、水に不溶性であり、かつ本質的に疎水性であるポリマーマイクロ繊維又はナノ繊維を含む。本発明の出願人は、驚くべきことに、化粧用製剤において、不溶性かつ疎水性であるポリマーナノ繊維の存在が、スキンケア活性成分の浸透性を大幅に増強したことを見出した。
【0027】
PVAなどの可溶性親水性ポリマーナノ繊維は、活性成分の浸透を増強することが報告されている。例えば、水溶性PVPナノ繊維は、ヒトの皮膚への疎水性活性物質の浸透を増強する。本発明の出願人らは、驚くべきことに、疎水性及び水不溶性ポリマーナノ繊維が活性成分の浸透を増強したことを発見した。
【0028】
化粧用製剤の技術分野では、製剤中の疎水性物質の使用は、美容的利益及び本組成物を調製するプロセスにおいて利用され得る製造方法を妨げるであろうことがかねてより知られている。したがって、一般的なアプローチは、水溶性及び親水性材料を利用することに依拠する。
【0029】
本出願の発明者らは、疎水性ナノ繊維の使用が、皮膚への活性成分の送達を防止しなかったことを発見した。反対に、疎水性ナノ繊維は、皮膚への活性剤の浸透を大幅に増強した。また、水不溶性ポリマーナノ繊維の添加が、皮膚の水和を助長及び増強した閉塞層として作用したことを発見した。更に、閉塞層の感覚的感触は、主に疎水性ナノ繊維の柔らかく可撓性のある性質に起因して、皮膚への活性成分の浸透を増強した。
【0030】
したがって、本発明の一態様は、本組成物中に分散される電界紡糸疎水性ポリマー繊維を含む、局所的化粧用組成物を含む。本組成物はまた、本組成物中に親水性ポリマー繊維を任意の量で含み得る。本組成物は、化粧用活性成分と、担体とを更に含む。
【0031】
一部の実施形態において、ポリマーマイクロ又はナノ繊維としては、ポリカルボタン(脂肪族、ポリカーボネート系TPU)、ショアA75~ショアD72、ポリ(酢酸ビニル)、ポリスルホンポリ(塩化ビニル)、生分解性ポリラクチド(PLA)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、エポキシ、ポリ乳酸、ポリテトラフルオロエチレン、ポリケタール、酢酸セルロースが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態において、酢酸セルロースを含むポリマーナノ繊維が利用される。
【0032】
一部の実施形態において、本組成物は、製剤中に分散される任意の形状又はサイズの電界紡糸親水性ポリマー繊維を含み得る。親水性ポリマーとしては、とりわけ、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリピロリドン、又はポリビニルピロリドン(PVP)、及び生分解性ポリ活性物質(ハードポリブチレンーテレフタレートとともにソフトポリエチレングリコール-テレフタレートブロックコポリマー)が挙げられるが、これらに限定されない。ポリマー繊維は、電界紡糸繊維である。
【0033】
任意の種類のスキンケア活性物質が使用され得、本発明の開示内にあると企図される。スキンケア活性物質は、疎水性、親水性、又は両親媒性であり得る。スキンケア活性物質は、小分子、脂質、ペプチド、DNA分子、生体分子、酵素、又はこれらの組み合わせであり得る。ポリマーナノ繊維をより良好に分散させるために、ナノ繊維は、所定の長さに事前切断又は細断され、分散された繊維として本組成物中に存在し、本開示において本組成物中に「分散している」とも言及される。
【0034】
好ましい実施形態において、ナノ繊維は、本組成物中に分散されており、約0.5nm~約5μmの範囲の直径を有する細断繊維として存在する。更なる実施形態において、ナノ繊維は、約5nm~1000nmの範囲の直径を含む。好ましい実施形態において、ナノ繊維は、約0.05μm~0.5μmの範囲の直径を含む。繊維の長さ(細断繊維の形態の分散液として)は、約0.1~10mmである。一部の実施形態において、長さは、約1~3mmである。全ての範囲及び部分範囲は、本発明の主題内にあると企図される。組成物において、ナノ繊維は、組成物の総重量に対して約0.01重量%~約10重量%で存在する。
【0035】
ある実施形態によると、化粧用組成物は、DNA修復酵素、日焼け止め活性物質、保湿剤、植物抽出物、ペプチド、油、増粘剤、界面活性剤、ビタミン、酸化防止剤、防腐剤、又は担体のうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。担体は、組成物中に存在する場合、皮膚科学的に又は化粧用として許容可能である。
【0036】
本組成物は、エマルション、クリーム、ローション、ゲル、セラム、溶液、スプレー、基剤、又は発泡体の形態で化粧用担体において化粧用製品として製剤化され得る。
【0037】
一実施形態において、本発明は、皮膚上で使用するためのポリマー電界紡糸疎水性マイクロ又はナノ繊維を含む液体組成物を企図する。ある実施形態によると、ポリマー電界紡糸疎水性マイクロ又はナノ繊維を含む組成物は、活性成分、化粧剤、又は化粧用として許容可能な担体若しくは賦形剤若しくは軟化剤を更に含む。一実施形態において、本組成物は、疎水性ポリマー繊維(マイクロ繊維又はナノ繊維を含む)を更に含む。ポリマー繊維は、多孔質、軟質、及び可撓性である。疎水性ポリマー繊維は、本組成物中に分散されている。それらは、任意の形状、配向、又はサイズの細断繊維の形態で分散液として本組成物中に存在し得る。
【0038】
本発明の出願者らは、予想外かつ驚くべきことに、本明細書に開示される組成物を使用して、皮膚の外観を改善するという美容的利益を達成した。本組成物は、静脈の拡張、眼の下の涙袋、眼の下のクマ、及び眼の周囲の腫れ、小じわ及びしわ、弾性の喪失、しわ、ハリの喪失、色又は色調の均一性の喪失、粗い表面の手触り、加齢によるシミ、並びに眼の周囲の皮膚及び顔の皮膚における水分含量減少の低減を示す、著しい利益を提供した。本組成物によって得られる追加の利益としては、酸化防止剤、コラーゲンブースターとしての本組成物の使用、並びに黒いシミの美白化、しわの平滑化、治癒の促進、及び/又は瘢痕の低減が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
本発明の組成物は、マイクロニードル、イオントフォレ-シス、及び/又はエレクトロポレーションを含む他の送達様式で利用されてもよい。例えば、一実施形態において、マイクロニードルを皮膚に適用し、その後に組成物を塗布する。使用時の任意及び全ての組み合わせ及び順列は、本発明の一部であることが企図される。
【0040】
本発明の組成物は、化粧用製品として製剤化され得る。一部の実施形態において、組成物は、約1~10の範囲のpHを有するように製剤化することができる。一部の実施形態において、本組成物は、約3.0未満、3.5、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9、10.0、10.1、10.2、10.3、10.4、10.5、10.6、10.7、10.8、10.9、11.0、11.1、11.2、11.3、11.4、11.5、11.6、11.7、11.8、11.9~約12.0以上、又はその中から引き出され得る任意の範囲若しくは整数のpHを有するように製剤化され得る。
【0041】
本組成物は、エマルション、クリーム、ローション、ゲル、セラム、溶液、基剤、スプレー、又は発泡体として化粧用担体中の化粧用製品として製剤化され得る。一部の実施形態において、組成物は、1日に1回を上回る、2回を上回る、3回を上回る、4回を上回る使用のために製剤化されてもよい。好ましい実施形態において、本組成物は、1日1回、1日2回、又はそれ以上の使用のために製剤化され得る。より好ましい実施形態において、組成物は、朝及び夜寝る前に使用するために製剤化されてもよい。
【0042】
本組成物において、ポリマーマイクロ繊維(又はナノ繊維)は、疎水性ポリマーを含む。更に好ましい実施形態において、ポリマーナノ繊維は、酢酸セルロースを含む疎水性ポリマーを含む。
【0043】
本発明による組成物は、マイクロ繊維(又はナノ繊維)に使用されるポリマーの性質によって限定されない。疎水性及び水不溶性である任意の様々なポリマーが使用され得る。一部の実施形態において、複数の(異なる)ポリマーが一緒に又は別々に使用され得る。本発明はまた、生体材料の性質によって限定されない。
【0044】
一実施形態において、ポリマー疎水性マイクロ又はナノ繊維を含む組成物は、活性成分を更に含む。活性成分は、製剤に組み込まれ得るか、又は分散繊維内に含浸されることによって繊維に組み込まれ得る。一部の実施形態において、活性成分は、電界紡糸中に繊維に組み込まれ得る。
【0045】
本発明の別の態様は、局所送達システムである。一実施形態において、局所送達システムは、化粧用組成物中に少なくとも1つのスキンケア活性成分と、ポリマーマイクロ又はナノ繊維とを含む。ポリマーマイクロ又はナノ繊維は、電界紡糸、水不溶性、及び疎水性であり、細断繊維の形態で分散液として本組成物中に存在する。このシステムは、治療レジメン、本発明の組成物を任意の他の類似の化粧用組成物とともに使用する方法、又は適用に関する説明書を更に含み得る。
【0046】
本発明の別の態様は、ヒト対象による化粧品の適用を含む、個人使用のための疎水性電界紡糸ポリマーマイクロ又はナノ繊維を含む組成物の使用である。一部の実施形態において、本組成物は、スキンケア剤として利用され得る。一部の他の実施形態において、本組成物は、皮膚における状態を治療又は予防するための薬剤として利用され得る。一部の実施形態において、本組成物は、洗浄剤、角質除去剤、又は皮膚修復剤として利用され得る。
【0047】
別の態様において、皮膚の視覚的外観を改善、治療、修復、又は低減する方法が提供される。活性成分又は化粧剤を含む電界紡糸ポリマー疎水性ナノ繊維を含む、有効量の組成物を局所投与することを含む、方法。本発明は、皮膚を修復又は改善するための方法に関し、ヒト対象に、本発明によるスキンケア組成物を提供することと、スキンケア組成物を対象の皮膚に適用するか又はそれと接触させることによって投与することとを含む。実施形態において、本組成物は、液体形態である。更なる実施形態において、本組成物は、局所的又は経皮的に投与される。一部の実施形態において、本組成物は、所与の日に1回又は2回以上適用され得る。一部の実施形態において、本組成物は、夜寝る前に適用され得る。
【0048】
特に、本組成物は、静脈の拡張、眼の下の涙袋、眼の下のクマ、及び眼の周囲の腫れ、小じわ及びしわ、弾性の喪失、しわ、ハリの喪失、色若しくは色調の均一性の喪失、粗い表面の手触り、加齢によるシミ、並びに皮膚における水分含量減少など、皮膚に対する変化を予防又は治療するために使用され得る。特に、本発明は、静脈の拡張、眼の下の涙袋、眼の下のクマ、眼の周囲の腫れ、小じわ及びしわ、弾性の喪失、しわ、ハリの喪失、つっぱり、硬化、色又は色調の均一性の喪失、粗い表面の手触り、加齢によるシミ、並びに眼の周囲の皮膚及び顔の皮膚における水分含量減少を修復又は低減するための方法に関する。
【0049】
更なる実施形態において、対象は、起こり得る静脈の拡張、眼の下のたるみ、眼の下のクマ、及び眼の周囲の腫れを含む、皮膚に対する視覚的に望ましくない外観、皮膚に対する環境的損傷、小じわ及びしわ、弾性の喪失、しわ、ハリの喪失、色又は色調の均一性の喪失、粗い表面の手触り、加齢によるシミ、並びに水分含量減少などの皮膚が影響を受けている視覚的な外観、物理的な特性、又は生理学的機能と関連する症状を呈するか、又はそれらを有することが疑われる。本組成物の局所適用によって、このような皮膚状態を治療又は予防することができる。本組成物の有効性を、本発明の組成物で治療又は対処されていない皮膚と比較することができる。特定の非限定的な実施形態において、皮膚の治療は、本組成物が皮膚に適用される領域(眼など)及び/又はその周囲に局在され得る。皮膚は、顔、胴体、背部、首、耳、骨盤部、腕、手、脚(例えば、足首、膝、大腿)、足、又は臀部の皮膚であり得る。本発明の組成物で治療又は予防され得る皮膚状態の非限定的な例としては、毛細血管拡張症(すなわち、くも状静脈)、眼のクマ(例えば、眼の下のクマ)、腫れぼったい眼、そう痒症、色斑、加齢によるシミ、老人性紫斑、角化症、肝斑、シミ、しわ、小じわ、結節、日焼けした皮膚、ニキビ、又は色素沈着過剰が挙げられる。特定の態様において、皮膚状態は、紫外線、年齢、照射、慢性日光曝露、環境汚染物質、空気汚染、風、寒さ、熱、化学物質、疾患病理、又は喫煙への曝露によって引き起こされ得る。治療される皮膚は、加齢した、栄養が損なわれた、又は環境的に損傷を受けた皮膚であり得る。特定の態様において、本組成物は、皮膚の角質層代謝速度、皮膚のコラーゲン合成産生、皮膚の脂肪産生、皮膚の堅さ、又は皮膚の弾性を増加させるのに有効な量で局所的に適用され得る。他の態様において、本組成物は、皮膚内若しくは皮膚付近の新たな毛細血管の形成、皮膚への血流、皮膚内若しくは皮膚付近の流体量、又は皮膚内のメラニン産生を低減又は阻害するのに有効な量で局所的に適用され得る。
【0050】
実施形態において、本発明は、酢酸セルロースナノ繊維、酢酸セルロースマイクロ繊維、両方の組み合わせなどのポリマー疎水性繊維を企図する。好ましい実施形態において、ポリマー繊維は、小さいサイズで細断及び分散され、約5nm~約1000nm、より好ましくは約5nm~500nmの直径を有する。繊維は、本組成物中に分散され得る。
【0051】
また、本発明の組成物を含み得るシステム又はキットも開示される。
【0052】
特定の非限定的な態様において、組成物は容器内に含まれる。容器は、ボトル、ディスペンサ、パッケージなどであり得る。容器は、所定量の組成物を分配するように構成することができる。容器は、液体、スプレー、エマルション、又はエアロゾール形態で本組成物を分配するように構成することができる。特定の態様において、本システム又はキットは、その表面上の指標及び/又は組成物の使用説明書を含み得る。
【0053】
本発明の他の態様において、本組成物は、皮膚状態を治療するためのレジメンの一部として使用することができる。例えば、レジメンは、本明細書全体を通して開示されるように、第1の事例において本発明の組成物を適用することを含み得る。このレジメンは、次に、第1の事例と同一、類似、又は異なる追加の適用を含んでもよい。追加の適用としては、例えば、本発明の組成物の第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、若しくはそれ以上の適用、及び/又は特定の皮膚状態を治療するための別の方法の有無(例えば、他の組成物など)を含み得る。レジメンはまた、朝及び/又は夜寝る前に組成物を塗布することを含んでもよい。
【0054】
活性成分及び形態
本発明のある態様によると、化粧用組成物は、DNA修復酵素、日焼け止め活性物質、保湿剤、植物抽出物、ペプチド、油、増粘剤、界面活性剤、ビタミン、酸化防止剤、防腐剤、又は担体のうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。存在する場合、提案される範囲は、約0.0001~35%、好ましくは約0.0005~20%、より好ましくは約0.001~15%である。担体は、組成物中に存在する場合、皮膚科学的に又は化粧用として許容可能である。
【0055】
一部の実施形態において、組成物は液体組成物である。本組成物は、エマルション、クリーム、ローション、ゲル、セラム、溶液、基剤、又は発泡体として化粧用担体において化粧用製品として製剤化され得る。
【0056】
一実施形態によると、化粧剤を含む製剤は、哺乳類のケラチン性組織に、ヒトの皮膚、顔、又は毛髪に、塗布されてもよい。化粧剤を含む製剤は、様々な形態のものであり得る。例えば、このような形態のいくつかの非限定的な例としては、溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、エマルション、懸濁液、トナー、軟膏、洗浄剤、角質除去剤、液体シャンプー及びヘアコンディショナー、ペースト、発泡体、粉末、ムース、シェービングクリーム、ヒドロゲル、フィルム形成製品、顔及び皮膚用マスクなどが挙げられる。
【0057】
本発明の化粧剤の製剤種類は、溶液系、可溶性系、エマルション系、ゲル系、粉末分散系、又は水油二相系を含む任意の種類のものであり得る。
【0058】
本組成物は、水溶液、ゲル、クリーム、ローション、エマルション、セラム、スプレー、又は懸濁液の形態であり得る。エマルションは、油中水型又は水中油型のいずれであってもよい。組成物はまた、無水であってもよい。組成物は、液体、半固体、又は固体形態であり得る。
【0059】
本組成物が水溶液又は分散液として存在する場合、存在する水の量は、約0.01~99%の範囲であり得、溶解又は分散固体の量は、約10~99.99%の範囲であり得る。本発明の組成物がエマルションの形態で存在する場合、それは、約0.1~99%の水と、約0.1~80%の油とを含み得る。本発明の組成物が無水物の形態である場合、それは、約0.1~99%の油を含有し得る。
【0060】
添加剤として好適であり得る従来の化粧用補助剤は、例えば、共乳化剤、脂質及びワックス、安定剤、増粘剤、生物原性剤、フィルム形成剤、芳香剤、染料、真珠光沢剤、防腐剤、顔料、電解質(例えば、硫酸マグネシウム)、並びにpH調節剤である。共乳化剤は、好ましくは、ポリグリセロールエステル、ソルビタンエステル、又は部分的にエステル化されたグリセリドなどの既知のW/O及び更にはO/V乳化剤である。脂質の典型的な例は、グリセリドであり、とりわけ、ミツロウ、パラフィンワックス、又は微晶質ワックスを成長させる親水化されたレンと組み合わせて記載され得るワックスがある。ステアリン酸マグネシウム、アルミニウム、及び/又は亜鉛などの脂肪酸の金属塩が用いられ得る。好適な増粘剤は、例えば、架橋ポリアクリル酸及びその誘導体、多糖類、より具体的には、キサンタンガム、グアー-グアー、寒天、アルギネート及びチロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシエチルセルロース、並びに更には脂肪族アルコール、モノグリセリド及び脂肪酸、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、及びポリビニルピロリドンである。慣例的なフィルム形成剤は、例えば、キトサン、微晶質キトサン、又は四級化キトサンなどの親水コロイド、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸系のポリマー、四級セルロース誘導体、及び同様の化合物である。好適な防腐剤は、例えば、ホルムアルデヒド溶液、p-ヒドロキシ安息香酸、又はソルビン酸である。例えば、エチレングリコールジステアリン酸エステルなどの真珠光沢剤には、コールジステアレートがあるが、脂肪酸も考慮される。美容目的に好適な染料、及び認可された物質を使用することができる。このような染料は、通常、総混合物に基づいて0.001~0.1重量%の濃度で使用される。
【0061】
したがって、本発明の組成物は、例えば、油中水型クリーム、水中油型クリーム、及びローション、エアロゾール発泡体クリーム、ゲル、油、グリースペンシル、散布剤、スプレー、又はヒドロアルコール性ローションとして、液体、ペースト、又は固体形態であり得る。本組成物は、化粧用として許容可能な賦形剤又は担体とともに、任意の活性成分又は化粧剤を含み得る。
【0062】
DNA修復酵素
組成物はまた、1つ以上のDNA修復酵素を含有してもよい。DNA修復酵素は、約0.00001~約35%、好ましくは約0.00005~約30%、より好ましくは約0.0001~約25%の量の範囲の1つ以上のDNA修復酵素で存在し得る。
【0063】
米国特許第5,077,211号、同第5,190,762号、同第5,272,079号、及び同第5,296,231号に開示されているDNA修復酵素は、本明細書に記載の組成物及び本発明の方法における使用に好適である。このようなDNA修復酵素の一例は、商標名Roxisomes(登録商標)でAGI/Dermaticsから購入され得、Arabidopsis Thaliana抽出物というINCI名を有する。これは、単独で、又はレシチン及び水と混合して、存在してもよい。このDNA修復酵素は、8-オキソ-ジグアニン塩基変異損傷を修復するのに有効であることが知られている。
【0064】
使用され得る別の種類のDNA修復酵素は、06-メチルグアニン塩基変異損傷の修復に有効であることが知られているものである。それは、AGI/Dermaticsによって商標名Adasomes(登録商標)で販売されており、乳酸桿菌発酵液というINCI名を有し、これは、本発明の組成物に、それ自体で、又はレシチン及び水と混合して、添加され得る。
【0065】
使用され得る別の種類のDNA修復酵素は、T-T二量体の修復に有効であることが知られているものである。酵素は、生物学的材料又は植物性材料の混合物中に存在する。そのような成分の例は、商標名Ultrasomes(登録商標)又はPhotosomes(登録商標)でAGI/Dermaticsにより販売されている。Ultrasomes(登録商標)は、マイクロコッカス溶解物(様々な種のマイクロコッカスの制御された溶解の最終生成物)、レシチン、及び水の混合物を含む。Photosomes(登録商標)は、プランクトン抽出物(これは、以下の生物のうちの1つ以上を含む海洋バイオマスの抽出物である:タラソプランクトン、緑色微細藻類、珪藻、藍藻及び窒素固定性海藻)、水、及びレシチンの混合物を含む。
【0066】
別の種類のDNA修復酵素は、ビフィズス菌溶解物又はビフィズス菌発酵溶解物などの様々な不活性化細菌溶解物の成分であってもよく、後者は、ビフィズス菌が培養され、不活性化され、次いで分解されたときの代謝産物及び細胞質画分を含有するビフィズス菌由来の溶解物である。この材料は、ビフィズス菌発酵溶解物というINCI名を有する。
【0067】
日焼け止め剤
本発明の組成物は、1つ以上の日焼け止め活性物質又は日焼け止め剤を含んでもよい。好適な日焼け止め活性物質の例としては、油溶性日焼け止め剤、不溶性日焼け止め剤、及び水溶性日焼け止め剤が挙げられる。好適な油溶性日焼け止め剤の非限定的な例は、The Cosmetic,Toiletry,and Fragrance Association’s The International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,10th Ed.,Gottschalck,T.E.and McEwen,Jr.,Eds.(2004),p.2267 and pp.2292-93に開示されており、ベンゾフェノン-3、ビス-エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、ブチルメトキシジベンゾイル-メタン、ジエチルアミノヒドロキシ-ベンゾイルヘキシルベンゾエート、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルヘキシルメトキシ-シンナメート、エチルヘキシルサリチレート、エチルヘキシルトリアゾン、オクトクリレン、ホモサレート、ポリシリコーン-15、並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられる。好適な不溶性日焼け止め剤の非限定的な例としては、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチル-フェノール、二酸化チタン、酸化亜鉛セリウム、酸化亜鉛、並びにこれらの誘導体及び混合物が挙げられる。好適な水溶性日焼け止め剤の非限定的な例としては、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(phenylbenzimidazole sulfonic acid、PBSA)、テレフタリリデンジカンファースルホン酸、(Mexoryl(商標)SX)、ベンゾフェノン-4、ベンゾフェノン-5、ベンジリデンカンファースルホン酸、シンナミドプロピル-トリモニウムクロリド、メトキシシンナミド-プロピルエチルジモニウムクロリドエーテル、ビスエチルフェニルトリアミノトリアジンスチルベンジスルホン酸二ナトリウム、ジスチリルビフェニルジスルホン酸二ナトリウム、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム、メトキシシンナミド-プロピルヒドロキシスルタイン、メトキシシンナミド-プロピルラウルジモニウムトシレート、PEG-25 PABA(p-アミノ安息香酸)、ポリクオタルニウム-59、TEA-サリチレート、並びにこれらの塩、誘導体、及び混合物が挙げられる。全ての既知の日焼け止め活性物質は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0068】
保湿剤
組成物は、1つ以上の保湿剤を含有してもよい。存在する場合、保湿剤は、約0.1~75%、好ましくは約0.5~70%、より好ましくは約0.5~40%の範囲であり得る。好適な保湿剤の例としては、グリコール、糖などが挙げられるが、これらに限定されない。好適なグリコールは、モノマー形態又はポリマー形態であり、4~10個の繰り返しエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールであるPEG4~10などのポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール、並びにC1~6アルキレングリコール、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコールなどが挙げられる。好適な糖もまた、好適な保湿剤でもあり、これらの糖のうちのいくつかは、多価アルコールでもある。このような糖の例としては、グルコース、フルクトース、ハチミツ、水素添加ハチミツ、イノシトール、マルトース、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、スクロース、キシリトール、キシロースなどが挙げられる。また、尿素も好適である。好ましくは、本発明の組成物に使用される保湿剤は、C1~6、好ましくはC2~4アルキレングリコール、最も具体的にはブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又はヘキシレングリコールである。
【0069】
植物抽出物
組成物に1つ以上の植物抽出物を組み込むことが所望され得る。存在する場合、提案される範囲は、約0.0001~20%、好ましくは約0.0005~15%、より好ましくは約0.001~10%である。好適な植物抽出物としては、限定するものではないが、酵母発酵抽出物、パディナ・パボニカ(Padina Pavonica)抽出物、サーマス・サーモフィリス(Thermus Thermophilis)発酵抽出物、アマナズナ(Camelina Sativa)種子油、ボスウェリア・セラータ(Boswellia Serrata)抽出物、オリーブ抽出物、フサアカシア(Acacia Dealbata)抽出物、ギンヨウカエデ(Acer Saccharinum)(サトウカエデ)、アシドフォルス(Acidopholus)、ショウブ属(Acorus)、トチノキ属(Aesculus)、ハラタケ属(Agaricus)、リュウゼツラン属(Agave)、キンミズヒキ属(Agrimonia)、藻類、アロエ、柑橘類、アブラナ属(Brassica)、シナモン、オレンジ、リンゴ、ブルーベリー、クランベリー、モモ、西洋ナシ、レモン、ライム、エンドウマメ、海藻、カフェイン、緑茶、カモミール、ヤナギの樹皮(willowbark)、クワの実、ケシ、及びCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,Eighth Edition,Volume 2の第1646~1660頁に記載されているものを含む、花、果実、野菜などの植物(草本、根、花、果実、種子)からの抽出物が挙げられる。更なる具体例としては、限定するものではないが、カンゾウ(Glycyrrhiza Glabra)、クロヤナギ(Salix Nigra)、オオウキモ(Macrocycstis Pyrifera)、パイラス・マルス(Pyrus Malus)、ユキノシタ(Saxifraga Sarmentosa)、ヨーロッパブドウ(Vitis Vinifera)、クロミグワ(Morus Nigra)、コガネバナ(Scutellaria Baicalensis)、ローマカミツレ(Anthemis Nobilis)、クラリセージ(Salvia Sclarea)、アーモンド(Prunus Amygdalus)、ローズマリー(Rosmarinus Officianalis)、ムクロジ(Sapindus makurossi)、カエサルピニアスピノサ(Caesalpinia spinosa)、レモン(Citrus Medica Limonum)、オタネニンジン(Panax Ginseng)、ツクシメナモミ(Siegesbeckia Orientalis)、マンゴー(Mangifera Indicia)、ウメ(Fructus Mume)、グアバ(Psidium Guajava)、アスコフィラム・ノドサム(Ascophyllum Nodosum)、ベニバナセンブリ(Centaurium erythrea)、ツルマメ(Glycine Soja)抽出物、サトウダイコン(Beta Vulgaris)、フッカツソウ(Haberlea Rhodopensis)、イタドリ(Polygonum Cuspidatum)、オレンジ(Citrus Aurantium Dulcis)、ヨーロッパブドウ(Vitis Vinifera)、イワヒバ(Selaginella Tamariscina)、ホップ(Humulus Lupulus)、ポンカン(Citrus Reticulata)の皮、ザクロ(Punica Granatum)、アスパラゴプシス(Asparagopsis)、ウコン(Curcuma Longa)、ミツガシワ(Menyanthes Trifoliata)、ヒマワリ(Helianthus Annuus)、オオムギ(Hordeum Vulgare)、キュウリ(Cucumis Sativus)、ツノマタゴケ(Evernia Prunastri)、エベルニア・フルフラセア(Evernia Furfuracea)、ヒメコラノキ(Kola Acuminata)、グリチルレチン酸、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
ペプチド
組成物に1つ以上のペプチドを組み込むことが所望され得る。用語「ペプチド」は、ペプチド結合によって接続された約2~20個のアミノ酸を有する生体分子を指す。本組成物中に存在するペプチドの好ましい範囲は、約0.001~20%、好ましくは約0.005~15%、より好ましくは約0.01~10%である。C.T.F.A.International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,Eleventh Edition,2006,page 2712に記載されているものを含め、生物学的に活性なペプチドが好ましい。このようなペプチドとしては、CTFA名:アセチルヘキサペプチド-1、7、8;アセチルペンタペプチド-1、2、3、若しくは5;アセチルトリペプチド-1;アセチルジペプチド-1セチルエステル;アセチルグルタミルヘプタペプチド-3;アセチルグルタミルヘキサペプチド-6;アセチルモノフルオロペプチド-1;ヘプタペプチド-1、2、若しくは3;ヘキサペプチド-1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、若しくは14;マンガントリペプチド-1;ミリストイルヘキサペプチド-5、12、若しくは13;ミリストイルノナペプチド-2;ミリストイルペンタペプチド-4;ミリストイルテトラペプチド-4若しくは6;ミリストイルトリペプチド-4;ナイシン、ノナペプチド-1若しくは2;オリゴペプチド-1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10;パルミトイルヘキサペプチド-14;パルミトイルペンタペプチド-4;パルミトイルペンタペプチド-4若しくは5;パルミトイルトリペプチド-1若しくは5;ペンタペプチド-1、2、3、4、5、若しくは6;テトラペプチド-1、2、3、4、5、6、若しくは7;トリペプチド-1、2、3、4、若しくは5;又はパルミトイルオリゴペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。化粧品又は皮膚科学用途を有する全てのペプチドは、本発明の範囲内であると考えられる。
【0071】
1つの好ましい実施形態において、本組成物は、商標名Argireline(登録商標)を有するアセチルヘキサペプチド-8を含む。
【0072】
油
組成物はまた、天然油、合成油、又はシリコーン油の形態の1つ以上の油を含んでもよい。「油」という用語は、室温、例えば、25℃で注入可能である成分を指す。油は、揮発性又は不揮発性であってもよい。「揮発性」という用語は、油が、20℃の水銀柱で約2mm超の蒸気圧力を有することを意味する。「不揮発性」という用語は、油が、20℃の水銀柱で約2mm未満の蒸気圧力を有することを意味する。存在する場合、提案される範囲は、約0.1~60%、好ましくは約0.5~45%である。
【0073】
揮発性油の例としては、揮発性線状、環状、若しくは分枝状シリコーン、例えば、シクロペンタシロキサン、シクロヘキサシロキサン(2cst)、ヘキサメチルジシロキサン(0.65cst、センチストークス)、オクタメチルトリシロキサン(1.0cst)、デカメチルテトラシロキサン(1.5cst)、若しくはドデカメチルペンタシロキサン(2.0cst)、又は分枝状揮発性シリコーン、例えば、メチルトリメチコン(1.5cst)が挙げられる。イソドデカン、イソヘキサデカン、C11~14アルカン、及びこれらの混合物などの揮発性パラフィン系炭化水素もまた好適である。
【0074】
不揮発性油としては、一般にジメチコンと称される線状シリコーン、フェニル置換シリコーン、例えば、フェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、セチルジメチコン、ペルフルオロジメチコン、フェネチルジメチコンなどが挙げられる。不揮発性油は、エステル又は炭化水素も含み得る。エステルとしては、C1~20カルボン酸のC1~10アルキルエステルが挙げられる。1つの好ましい種類のエステルは、直鎖又は分枝鎖の飽和又は不飽和C1~22アルキルの脂肪酸(C6~22)エステルである。例としては、例えば、室温で、10~100cstの範囲の低粘度を有するエステルが挙げられる。このようなエステルの例としては、ホホバエステルが挙げられるが、これに限定されない。他の不揮発性油としては、ステロール、例えば、フィトステロール、フィトスフィンゴシン、及び同様の植物ステロールが挙げられる。
【0075】
増粘剤
好適な増粘剤を、組成物に組み込むことができる。好適な増粘剤は、約0.0001~45%、好ましくは約0.0005~40%の範囲で存在し得る。
【0076】
増粘剤の例としては、約30~150℃の範囲の融点を有し得る、動物、植物、鉱物、シリコーン、又は合成ワックスが挙げられ、これらとしては、フィッシャー・トロプシュ合成によって作製されたワックス、例えば、ポリエチレン若しくは合成ワックス、又は様々な植物ワックス、例えば、ヤマモモ、カンデリラ、オゾケライト、アカシア、ミツロウ、セレシン、セチルエステル、フラワーワックス、柑橘類ワックス、カルナバワックス、ホホバワックス、木ろう、ポリエチレン、微晶質、米ぬか、ラノリンワックス、ミンク、モンタン、ヤマモモ、オウリカリ、オゾケライト、パーム核ろう、パラフィン、アボカドワックス、リンゴワックス、シェラックワックス、クラリワックス、ビール粕ワックス、ブドウワックス、及びこれらのポリアルキレングリコール誘導体、例えば、PEG6-20ミツロウ、若しくはPEG-12カルナバワックス、又は脂肪酸若しくは脂肪アルコール(これらのエステルを含む)、例えば、ヒドロキシステアリン酸(例えば、12-ヒドロキシステアリン酸)、トリステアリン、トリベヘニンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
また、シリカ、ケイ酸塩、シリル化シリカ、及びそれらのアルカリ金属又はアルカリ土類金属誘導体などの好適な増粘剤が本組成物において利用され得る。これらのシリカ及びケイ酸塩は、一般に、粒子形態で見出され、シリカ、シリル化シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどを含んでもよい。
【0078】
シリコーンエラストマーもまた、増粘剤として使用することができる。このようなエラストマーとしては、付加反応硬化によって、白金金属触媒の存在下で、SiH含有ジオルガノシロキサン、及び末端オレフィン不飽和を有するオルガノポリシロキサン、又はα-ωジエン炭化水素を反応させることによって形成されるものが挙げられる。このようなエラストマーはまた、有機スズ化合物の存在下で、ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンとSiH含有ジオルガノポリシロキサン若しくはアルファーオメガジエンとの間の脱水素反応を介して、オルガノポリシロキサン組成物を縮合硬化させること、又は有機スズ化合物若しくはチタン酸エステルの存在下で、ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと加水分解性オルガノシロキサンとの間の縮合反応を使用して、オルガノポリシロキサン組成物を縮合硬化させること、有機過酸化物触媒の存在下で熱硬化するオルガノポリシロキサン組成物を過酸化物硬化させることなどの他の反応方法によって形成されてもよい。
【0079】
好適であり得る1つの種類のエラストマーは、各々の分子中に少なくとも2つの低級アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン又はアルファ-オメガジエン、及び各々の分子中に少なくとも2つのケイ素結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン、及び白金種の触媒を付加反応硬化させることによって調製される。ビニルなどの低級アルケニル基は、分子中の任意の位置に存在し得るが、一方又は両方の分子末端上の末端オレフィン不飽和が好ましい。この構成成分の分子構造は、直鎖、分枝直鎖、環状、又はネットワークであり得る。これらのオルガノポリシロキサンは、メチルビニルシロキサン、メチルビニルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-ジフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン-メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端メチル(3,3,3-トリフルオロプロピル)ポリシロキサン、及びジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン-メチル(3,3,-トリフルオロプロピル)シロキサンコポリマー、デカジエン、オクタジエン、ヘプタジエン、ヘキサジエン、ペンタジエン、又はテトラジエン、又はトリジエンが挙げられる。
【0080】
硬化は、本明細書に記載の触媒を使用した触媒反応下において、ジメチルメチル水素シロキサン中のケイ素結合水素原子と、シロキサン又はα-ωジエンとの付加反応によって進行する。高度に架橋した構造を形成するために、メチル水素シロキサンは、架橋剤としての機能を最適化するために、それぞれの分子中に少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含有しなければならない。
【0081】
ケイ素結合水素原子及びアルケニル基の付加反応に使用される触媒としては、具体的には、塩化白金酸(可能性としてアルコール又はケトンに溶解されこの溶液が任意に熟成される)、塩化白金酸-オレフィン錯体、塩化白金酸-アルケニルシロキサン錯体、塩化白金酸-ジケトン錯体、白金黒、及び担体担持白金が挙げられる。
【0082】
本発明の組成物において使用するのに好適なシリコーンエラストマーの例は、粉末形態であり得るか、又は揮発性若しくは不揮発性シリコーンなどの溶媒、又はパラフィン系炭化水素若しくはエステルなどのシリコーン適合性ビヒクル中に分散若しくは可溶化され得る。シリコーンエラストマー粉末の例としては、Shin-EtsuのKSP-100、KSP-101、KSP-102、KSP-103、KSP-104、KSP-105のようなビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン架橋ポリマー、フルオロシリコーンエラストマーであるShin-EtsuのKSP-200のようなフルオロアルキル基を含有するハイブリッドシリコーン粉末、及びフェニル置換シリコーンエラストマーであるShin-EtsuのKSP-300などのフェニル基を含有するハイブリッドシリコーン粉末、並びにDow ComingのDC9506が挙げられる。シリコーン適合性ビヒクル中に分散されたシリコーンエラストマー粉末の例としては、Dow Corning Corporationからの商標名9040又は9041、GE Siliconesからの商標名SFE839、又はShin-Etsu Siliconesからの商標名KSG-15、16、18を含む、様々な供給業者によって供給されているジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーが挙げられる。KSG-15は、シクロペンタシロキサン/ジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーというCTFA名を有する。KSG-18は、フェニルトリメチコン/ジメチコン/フェニルビニルジメチコン架橋ポリマーというINCI名を有する。シリコーンエラストマーはまた、商標名GransilでGrant Industriesから購入することもできる。また、Shin Etsuにより商標名KSG-31、KSG-32、KSG-41、KSG-42、KSG-43、及びKSG-44で供給されるラウリルジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーなどの長鎖アルキル置換を有するシリコーンエラストマーも好適である。本発明において有用な架橋オルガノポリシロキサンエラストマー、及びそれらを製造するためのプロセスは、1990年11月13日に発行されたSakutaらへの米国特許第4,970,252号;1998年6月2日に発行されたKilgourらへの米国特許第5,760,116号;1997年8月5日に発行されたSchulz,Jr.らへの米国特許第5,654,362号、及びPola Kasei Kogyo KKに譲渡された日本特許出願公開第61-18708号に更に記載されている。
【0083】
多糖類は、好適な水相増粘剤であり得る。このような多糖類の例としては、寒天、アガロース、アルカリゲネス産生多糖体、アルギン、アルギン酸、アカシアガム、アミロペクチン、キチン、デキストラン、カッシアガム、セルロースガム、ゼラチン、ジェランガム、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ペクチン、スクレロチウムガム、キサンタンガム、ペクチン、トレハース、ゼラチンなどの天然由来の材料が挙げられる。
【0084】
また、異なる種類の合成ポリマー増粘剤も好適である。1つの種類としては、モノマーA及びBから構成されるアクリルポリマー増粘剤が挙げられ、Aが、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの混合物からなる群から選択され、Bが、C1~22アルキルアクリレート、C1~22アルキルメタクリレート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが好適である。アクリルポリマー溶液としては、Seppic,Inc.により商標名Sepigel(登録商標)で販売されているもの、又は商標名Aristoflex(登録商標)で販売されているものが挙げられる。
【0085】
Aモノマー、Bモノマー、及びCモノマーのコポリマーであるアクリルポリマー増粘剤も好適であり、A及びBは上記で定義したとおりであり、Cは、一般式:
【化1】
を有し、式中、Zは、-(CH
2)
mであり、mは、1~10であり、nは、2~3であり、oは、2~200であり、Rは、C
10~30直鎖又は分枝鎖アルキルである。上述の二次増粘剤の例は、A及びBが上記のように定義され、CがCOであり、n、o、及びRが上記に定義されるとおりである、コポリマーである。このような二次増粘剤の例としては、Rohm & Haasにより商標名Acrysol ICS-1で販売されているアクリレート/ステアレス-20メタクリレートコポリマーが挙げられる。
【0086】
また、少なくとも1つの親水性単位と、脂肪鎖を含有する少なくとも1つのアリルエーテル単位とを含有する、アクリレート系アニオン性両親媒性ポリマーも好適である。親水性単位がエチレン不飽和アニオン性モノマー、より具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、又はこれらの混合物などのビニルカルボン酸を含有し、脂肪鎖を含有するアリルエーテル単位が、式:
CH2=CR’CH2OBnR
のモノマーに対応し、式中、R’が、H又はCH3を表し、Bが、エチレンオキシラジカルを表し、nが、ゼロ又は1~100の範囲の整数であり、Rが、8~30個の炭素原子、好ましくは10~24個、更により具体的には12~18個の炭素原子を含有するアルキルラジカル、アリールアルキルラジカル、アリールラジカル、アルキルアリールラジカル、及びシクロアルキルラジカルから選択される炭化水素ラジカルを表すものが好ましい。この事例では、R’がHを表し、nが10に等しく、Rがステアリル(C18)ラジカルを表すものがより好ましい。この種のアニオン性両親媒性ポリマーは、米国特許第4,677,152号及び同第4,702,844号に記載されており、調製されている。これらのアニオン性両親媒性ポリマーの中でもとりわけ、20~60%重量%のアクリル酸及び/又はメタクリル酸、5~60重量%の低級アルキルメタクリレート、上述の脂肪鎖を含有する2~50重量%のアリルエーテル、並びに周知の共重合性ポリエチレン不飽和モノマー、例えば、ジアリルフタレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、及びメチレンビスアクリルアミドである0~1重量%の架橋剤から形成されるポリマーがある。このようなポリマーの1つの市販の例は、メタクリル酸、エチルアクリレート、ステアリルアルコール又はステアレス-10のポリエチレングリコール(10個のEO単位を有する)エーテルの架橋ターポリマーであり、特に、SALCARE SC80及びSALCARE SC90の名称でAllied Colloidsから販売されているものがあり、これは、メタクリル酸、エチルアクリレート、及びステアレス-10アリルエーテル(40/50/10)の架橋ターポリマーを30%含有する水性エマルションである。
【0087】
メタクリル酸、メチルメタクリレート、メチルスチレンイソプロピルイソシアネート、及びPEG-40ベヘネートモノマーのコポリマーであるポリアクリレート-3;アクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、アクリルアミド、及びビニルピロリドンモノマーのコポリマーであるポリアクリレート-10;又はアクリロイルジメチルアクリロイルジメチルタウリン酸ナトリウム、アクリル酸ナトリウム、ヒドロキシエチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ブチルアクリレート、及びアクリルアミドモノマーのコポリマーであるポリアクリレート-11などのアクリレートコポリマーもまた、好適である。
【0088】
アクリル基のうちの1つ以上が置換長鎖アルキル(6~40、10~30など)基を有し得る架橋アクリレート系ポリマー、例えば、C10~30アルキルアクリレートと、アクリル酸、メタクリル酸、又はスクロースのアリルエーテル若しくはペンタエリスリトールのアリルエーテルで架橋したそれらの単純なエステルのうちの1つの1つ以上のモノマーとのコポリマーであるアクリレート/C10~30アルキルアクリレート架橋ポリマーもまた、好適である。このようなポリマーは、Carbopol又はPemulenの商標名で一般に販売されており、カルボマーというCTFA名を有する。
【0089】
1つの特に好適な種類の水相増粘剤は、アクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/VPコポリマーであるAristoflex AVC;カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリラウレス-4、及びポリグリセリル-2セスキイソステアレートを含有する混合物中に分散された、AVCにおいて見出されるものと同じポリマーであるAristoflex AVL;又はアクリロイルジメチルタウリン酸アンモニウム/ベヘネス-25メタクリレート架橋ポリマーであるAristoflex HMBなどのAristoflexの商標でClariantによって販売されているアクリレート系ポリマー増粘剤である。
【0090】
また、重合度が1,000~200,000の範囲である様々なポリエチレングリコール(PEG)誘導体も、増粘剤として好適である。このような成分は、「PEG」に続いて千単位での重合度の表記、例えば、PEG-45Mによって示され、これは、45,000個の繰り返しエチレンオキシド単位を有するPEGを意味する。好適なPEG誘導体の例としては、PEG 2M、5M、7M、9M、14M、20M、23M、25M、45M、65M、90M、115M、160M、180Mなどが挙げられる。
【0091】
繰り返し部分の数が15~200、好ましくは、約20~100の範囲である繰り返しグリセリン部分であるポリグリセリンもまた、好適である。好適なポリグリセリンの例としては、ポリグリセリン-20、ポリグリセリン-40などのCTFA名を有するものが挙げられる。
【0092】
界面活性剤
本発明の組成物は、1つ以上の界面活性剤を含有してもよい。これは、組成物が水性ゲル又はエマルションの形態である場合に特に望ましい。存在する場合、界面活性剤は、組成物全体の重量の約0.001~50%、好ましくは、約0.005~40%、より好ましくは、約0.01~35%の範囲であり得る。好適な界面活性剤は、シリコーン、又は有機、非イオン性、アニオン性、両性、若しくは双性イオン性であり得る。このような界面活性剤としては、本明細書に記載されるものが挙げられるが、これらに限定されず、当該技術分野において周知である。
【0093】
ビタミン及び酸化防止剤
本発明の組成物は、ビタミン及び/又は補酵素、並びに酸化防止剤を含有し得る。組成物は、組成物全体の重量の約0.001~10%%、好ましくは、0.01~8%、より好ましくは、0.05~5%の範囲の量のビタミン及び/補酵素を含んでもよい。好適なビタミンとしては、アスコルビン酸及びその誘導体、例えば、パルミチン酸アスコルビル、テトラヘキシデシルアスコルビン酸、及びチアミン、リボフラビン、ピリドキシンなどのビタミンB、並びにチアミンピロリン酸、フラビンアデニンジヌクレオチド、葉酸、ピリドキサルリン酸、テトラヒドロ葉酸などの補酵素が挙げられる。また、ビタミンA及びその誘導体も好適である。例としては、パルミチン酸レチニル、レチノール、レチノイン酸、並びにベータカロテンの形態のビタミンAである。また、ビタミンE及びその誘導体、例えば、ビタミンEアセテート、ニコチネート、又はこれらの他のエステルが好適である。加えて、ビタミンD及びKが好適である。
【0094】
好適な酸化防止剤は、腐敗の予防又は遅延を助長する成分である。本発明の組成物において使用するのに好適な酸化防止剤の例は、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、エリスロビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、システイン塩酸塩、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールなどである。
【0095】
防腐剤
組成物は、組成物全体の重量の0.001~8%、好ましくは、0.01~6%、より好ましくは、0.05~5%の防腐剤を含有してもよい。安息香酸、ベンジルアルコール、ベンジルヘミホルマール、ベンジルパラベン、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-1,3-ジオール、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ジアゾリジニル尿素、安息香酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、カプリリルグリコール、ビグアニド誘導体、フェノキシエタノール、カプタン、クロルヘキシジンジアセテート、クロルヘキシジンジグルコネート、クロルヘキシジンジヒドロクロリド、クロロアセトアミド、クロロブタノール、p-クロロ-m-クレゾール、クロロフェン、クロロチモール、クロロキシレノール、m-クレゾール、o-クレゾール、DEDMヒダントイン、DEDMヒダントインジラウレート、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、ジブロモプロパミジンジイセチオネート、DMDMヒダントインなどを含む、様々な防腐剤が、好適である。1つの好ましい実施形態において、本組成物は、パラベンを含まない。
【0096】
粒子状材料
本発明の組成物は、粒子状材料を、顔料、不活性粒子、又はこれらの混合物の形態で含有してもよい。このような粒子状材料は、組成物全体の重量の約0.01~75%、好ましくは、約0.5~70%、より好ましくは、約0.1~65%の範囲で存在し得る。組成物が顔料と粉末との混合物を含み得る場合、好適な範囲としては、組成物全体の重量を基準とした重量で約0.01~75%の顔料及び0.1~75%の粉末が挙げられる。
【0097】
A.粉末
粒子状物質は、有色又は無色(例えば、白色)非着色粉末であってよい。好適な非着色粉末としては、オキシ塩化ビスマス、チタン化雲母、ヒュームドシリカ、球状シリカ、ポリメチルメタクリレート、微粉化テフロン、窒化ホウ素、アクリレートコポリマー、ケイ酸アルミニウム、オクテニルコハク酸デンプンアルミニウム、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、セルロース、チョーク、トウモロコシデンプン、珪藻土、フラー土、グリセリルデンプン、ヘクトライト、水和シリカ、カオリン、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微晶質セルロース、米デンプン、シリカ、タルク、雲母、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリル化シリカ、シルクパウダー、絹雲母、大豆粉、酸化スズ、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミの殻粉末、又はこれらの混合物が挙げられる。上述の粉末は、レシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーン、又は様々な他の薬剤を用いて単独で、又は組み合わせて表面処理されてもよく、これによって、粉末表面がコーティングされ、粒子が本質的により親油性になる。
【0098】
B.顔料
粒子状材料は、様々な有機及び/又は無機顔料を含んでもよい。有機顔料は、一般に、D&C及びFD&C青色、茶色、緑色、オレンジ色、赤色、黄色などと表記される、アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントロキノン、及びキサンチン染料を含む、様々な芳香族タイプがある。有機顔料は、一般に、Lakesと称される認定された色添加剤の不溶性金属塩からなる。無機顔料としては、酸化鉄、ウルトラマリン、クロム、水酸化クロムの色、及びこれらの混合物が挙げられる。赤色、青色、黄色、茶色、黒色、及びこれらの混合物の酸化鉄が好適である。
【0099】
担体
本組成物は、スキンケア活性材料のための皮膚科学的に又は化粧用として許容可能な担体を含む。本明細書で使用するとき、「皮膚科学的に/化粧用として許容可能な」は、記載される組成物又は構成成分が、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを伴わずにヒトケラチン性組織と接触させて使用するのに好適であることを意味する。本組成物は、約50%~約99.99%、あるいは約60%~約99.9%、あるいは約70%~約98%、あるいは約80%~約95%の組成物を含み得る。
【0100】
担体は、幅広い種類であり得、その非限定的な例としては、溶液、分散液、エマルション、及びこれらの組み合わせが挙げられる。「エマルション」は、一般に、水相及び油相を含有する。油は、動物、植物、又は石油由来であってもよく、天然又は合成であってもよく、シリコーン油を含んでもよい。エマルション担体としては、水中油型、油中水型、及び水中油中水型エマルションが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、担体は、水中油型エマルション、油中水型エマルション、水中シリコーン型エマルション、及び/又はシリコーン中水型エマルションを含む。エマルションは、約0.01%~約10%、あるいは約0.1%~約5%の非イオン性、アニオン性、又はカチオン性乳化剤、及びこれらの組み合わせを含み得る。好適な乳化剤は、例えば、米国特許第3,755,560号、同第4,421,769号、及びMcCutcheon’s Detergents and Emulsifiers,North American Edition,pages 317-324(1986)に開示されている。
【0101】
例示のみを目的として記載する以下の実施例に関連して、本発明を更に記載する。
【0102】
実験
非限定的な皮膚の例示的な浸透研究を行って、様々な親水性の活性成分を含む実施例1として本明細書に開示される組成物の効果を評価した。実験で使用した製剤を表1に示す。
【0103】
実施例1
【0104】
【0105】
表1に示される全ての製剤は、1.8%のAA2G、0.1%のカフェイン、及び0.18%の疎水性活性物質を含む。製剤を、活性成分及び細断ポリマーナノ繊維又はマイクロ繊維を混合することによって調製した。酢酸セルロースマイクロ繊維又は酢酸セルロースナノ繊維を、本発明に従って利用し、実験を実施した。研究は、本組成物中の細断ナノ繊維の存在下での活性成分の浸透効能を評価した。製剤において異なる親水性を有する活性物質の送達及び浸透効能を研究した。具体的には、疎水性ナノ繊維を含有する製剤からのカフェイン、疎水性活性物質、及びアスコルビン酸2-グルコシド(AA2G)の送達効能を分析した。研究した活性成分は、親水性から非常に疎水性までの範囲を網羅した。2種類のポリマーナノ繊維を使用した。ポリマーナノ繊維をより良好に分散させるために、ナノ繊維を数cmの長さに事前に切断した。このような種類のナノ繊維を、「細断繊維」と称した。
【0106】
データは、酢酸セルロース細断繊維の存在下で、皮膚へのAA2Gの送達が、ロード後の最初の6時間で増強されたことを示した。次いで、対照として繊維を含まない製剤を使用して、浸透研究を行った。次いで、カフェイン及びAA2Gの浸透効能を比較した。
【0107】
MatTek皮膚を使用した皮膚浸透研究(フランツセル)
6ウェルプレートにおいて、MatTek300皮膚(MatTekから得られた生細胞によって構築された皮膚モデル)を、2.00mLのインキュベーション培地(これもMatTekによって提供された)とともにウェルに入れた。皮膚の上に、400ulの試料を装填した。次いで、皮膚を、37℃でインキュベートした。3時間及び6時間で、インキュベーション培地を収集し、更に2.00mLの培地をウェルに添加した。次いで、皮膚を、24時間までインキュベートした。最後に、培地を24時間の時点で収集した。収集した培地を、0.45umのPTFEシリンジフィルターを通してHPLCバイアルに濾過した。次いで、試料をUPLC研究に提出した。
【0108】
UPLC分析
Waters ACQUITY H UPLCを使用して、浸透研究から収集した試料を分析した(フランツセル研究)。UPLCパラメータを表2に示す。
【0109】
【0110】
各活性物質の較正曲線を、標準物を使用してプロットした。
【0111】
皮膚PAMPA研究
製剤中の活性成分のインビトロでの送達を、皮膚PAMPA研究を使用して評価した。活性成分及び粉砕した薄繊維を製剤に添加し、極性化合物のPAMPA SC膜を使用して透過について試験した。以下の試料を調製した。製剤をパーセンテージで表3に提供する。
・表3に示す製剤1。
・製剤2:製剤1及び1%の微晶質セルロース(9μm)。
・製剤3:製剤1及び1%分散液の最大量(水中の酢酸セルロース繊維)。
・製剤4:製剤1、並びに1%の微晶質セルロース(9μm)及び1%分散液の最大量(水中の酢酸セルロース繊維)。
【0112】
【0113】
細断ナノ繊維の存在下でのAA2Gの浸透
AA2Gには、高い親水性のスキンケア活性がある。製剤からのAA2Gの浸透パーセンテージを、皮膚モデル(フランツセル)浸透研究から得られた
図1A及び
図1Bに示した。3時間及び6時間の時点で、酢酸セルロース細断繊維を含有する製剤は、対照よりも高い浸透効能を示した。3時間時点で、増強は33%であり、6時間の時点で、増強は30%であった。24時間で、この差は、著しくはなく、すなわち、10%未満であり、細断繊維が特定の期間、すなわち、適用後の初期段階においてAA2Gの浸透を増強し得ることを示す。
【0114】
図2A及び
図2Bは、皮膚PAMPA研究におけるAA2Gの透過性を示す。
【0115】
図2Aは、皮膚PAMPA研究の結果を示し、繊維を有さない対照(製剤1)がPAMPA研究で得られた活性成分の浸透を示さなかったことを示す。しかしながら、
図2Aにおいて、活性物質を有する酢酸セルロース(細断ナノ繊維)が活性の高い浸透を示し、酢酸セルロースマイクロ繊維とナノ繊維との組み合わせが続いた。
【0116】
図2Bは、皮膚PAMPA研究におけるAA2Gの透過性を示し、ここで、AA2Gの送達が、対照及びVivapure(1%微晶質セルロース(9μm))では非常に低い一方で、AA2Gの送達及び透過性が、細断繊維を有する製剤(製剤3:水中に酢酸セルロース繊維を含む1%分散液及び製剤4:1%微晶質セルロース及び水中に1%酢酸セルロース繊維を含む分散液)では実質的であり、かつ増加することが見出されたことを示した。
【0117】
皮膚モデルの浸透(
図1A及び
図1B)に基づいて、フランツセル研究の3時間での増強は33%であり、6時間での増強は30%であった。24時間で、この差は、著しくはなかった(10%未満)。これは、細断繊維が特定の期間、すなわち、適用後の初期段階においてAA2Gの浸透を増強し得ることを示す。対照と酢酸セルロース繊維を含有する製剤との間のAA2Gの浸透パーセンテージの統計的有意性を分析した。p値は、0.05超である。PAMPA研究結果(
図2Aに示す)と組み合わせて、この研究のデータは、酢酸セルロース細断繊維を有する製剤がAA2Gの浸透を増強したことを示した。
図2Bに示す透過量は、約0~300μg/cm2である。
【0118】
図2Cは、3時間の時点からの皮膚モデル浸透(フランツセル)研究の結果を示す。
図2Dは、皮膚PAMPA研究と皮膚浸透研究結果との間のAA2Gの6時間浸透の比較結果を示す。
【0119】
実施例2
細断ナノ繊維の存在下でのカフェインの浸透
カフェインは、水及び油溶性の両方である活性物質である。
図3は、24時間における細断繊維製剤におけるカフェインの浸透研究を示す。
図3に示すデータに基づいて、カフェインの浸透は、6時間の時点で細断繊維の添加によって著しく増強されなかった(<10%)。
【0120】
カフェインについての皮膚PAMPA研究の結果を
図4A及び
図4Bに示す。
図4Aは、PAMPA研究結果の結果を示し、
図4Bは、対照と比較して細断繊維の存在下での透過の倍加を引き起こす細断繊維を含む組成物中のカフェインの送達を示す。
図4Bは、皮膚PAMPA研究の結果である。
【0121】
図4Aは、皮膚PAMPAによって得られたカフェインの6時間浸透研究データが、酢酸セルロースナノ繊維が活性成分の透過量をわずかに増加させ、マイクロ繊維とナノ繊維との組み合わせがそれに続くことを示したことを示す。この結果は、AA2Gの浸透研究の結果と一致する。
【0122】
図4Cは、細断繊維が添加された製剤からのカフェインの送達の皮膚モデル浸透(フランツセル)の結果を示す。
【0123】
6時間時点での
図3の結果は、皮膚PAMPA研究から得られたデータによって説明され得る。皮膚PAMPA研究における、ポリマーによって作製された人工皮膚層の使用のために、生きた皮膚層を模倣するための変形物が存在し得る。また、カフェインの浸透パーセンテージ%は、他のクリームモデリング及びインシリコモデリングを使用した以前の浸透研究と一致して、AA2Gの浸透パーセンテージよりも大きかった。[[請求項の利益に関連する]]
【0124】
実施例3
細断ナノ繊維の存在下での疎水性活性物質の浸透
本研究では、疎水性活性物質を利用した。それは、水溶性ではない。
図5は、皮膚浸透研究(フランツセル)を介した24時間における疎水性活性物質及び細断繊維の浸透の結果を示す。
図5に示すデータに基づいて、疎水性活性物質の浸透は、細断繊維の添加によって著しく増強されなかった。これは、
図6に示すように、皮膚PAMPA研究によって得られたデータと一致する。
【0125】
本発明の出願者らは、予想外かつ驚くべきことに、本組成物を使用して、皮膚の外観を改善するという美容的利益を達成した。本組成物は、静脈の拡張、眼の下の涙袋、眼の下のクマ、及び眼の周囲の腫れ、小じわ及びしわ、弾性の喪失、しわ、ハリの喪失、色又は色調の均一性の喪失、粗い表面の手触り、加齢によるシミ、並びに眼の周囲の皮膚及び顔の皮膚における水分含量減少の低減を示す、著しい利益を提供した。本組成物によって得られる追加の利益としては、酸化防止剤、コラーゲンブースターとしての本組成物の使用、並びに黒いシミの美白化、しわの平滑化、治癒の促進、及び/又は瘢痕の低減が挙げられるが、これらに限定されない。
【0126】
実験及び結果の分析は、皮膚浸透研究及びPAMPA研究の両方を介した細断繊維の存在下での様々な活性物質の浸透効能の増強を示す。モデル化の皮膚は生細胞からなり、それらは、皮膚の透過性をより良好に模倣するために使用された。酢酸セルロース細断繊維は、AA2Gの浸透を増強し、カフェインの浸透をわずかに強化した。増強効果には疎水性依存性があった。酢酸セルロース(分散された)のマイクロ繊維は、全ての選択された活性物質の浸透において著しい増強を示さなかった。しかしながら、分散/細断ナノ繊維は、活性物質の増強された浸透を示した。このような結果は、皮膚PAMPA研究によって得られた結果と一致した。
【0127】
任意の相互参照又は関連特許若しくは出願を含む、本明細書に引用される全ての文献は、明示的に除外されるか、ないしは別の方法で限定されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、それが本明細書に開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であることを認めるものではないか、又は単独で若しくは任意の他の参照文献との任意の組み合わせにおいて、任意のこのような発明を教示、示唆、若しくは開示することを認めるものではない。更に、本文書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照により組み込まれる文書における同じ用語のいずれかの意味又は定義と矛盾する限りでは、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0128】
本発明の特定の実施形態が例示及び記載されてきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な他の変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって、添付の特許請求の範囲において、かかる変更及び修正は全て本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0129】
いくつかの実施形態を以下に示す。
項1
電界紡糸ポリマー疎水性繊維と、少なくとも1つの活性成分と、少なくとも1つの化粧用として許容可能な担体と、を含む、化粧用組成物であって、前記電界紡糸繊維が、前記組成物中に分散されている、化粧用組成物。
項2
溶液、懸濁液、ローション、クリーム、ゲル、エマルション、トナー、軟膏、ペースト、発泡体、ヒドロゲル、フィルム形成生成物、又は顔面マスクの形態である、項1に記載の組成物。
項3
前記活性成分が、化粧剤、ペプチド、DNA、RNA、ポリマー、タンパク質、ビタミン、有機酸、酵素、油、及びこれらの混合物からなる群から選択される、項1に記載の組成物。
項4
前記電界紡糸ポリマー疎水性繊維が、ポリカルボタン、ポリ酢酸ビニル、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリラクチド(PLA)、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリジメチルシロキサン、ポリウレタン、ポリ乳酸、ポリテトラフルオロエチレン、酢酸セルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択される、項1に記載の組成物。
項5
前記繊維が、約0.5nm~約0.5μmの直径を有する、項4に記載の組成物。
項6
前記繊維が、前記組成物の総重量に対して約0.01重量%~約10重量%で前記組成物中に存在する、項4に記載の組成物。
項7
前記組成物が、酸化防止剤、保湿液、界面活性剤、又は保湿剤を更に含む、項1に記載の組成物。
項8
対象の皮膚の皮膚欠陥を低減する方法であって、電界紡糸疎水性繊維と、少なくとも1つの活性成分とを含む、組成物を局所的に適用することを含み、前記繊維が、前記組成物中に分散されている、方法。
項9
前記組成物が、1つ以上の化粧用として許容可能な担体を更に含む、項8に記載の方法。
項10
前記方法が、前記対象の皮膚の視覚的外観を更に改善する、項8に記載の方法。
項11
前記方法が、静脈の拡張、眼の下の涙袋、眼の下のクマ、眼の周囲の腫れ、小じわ、しわ、弾性の喪失、ハリの喪失、色の均一性の喪失、色調、粗い表面若しくは手触り、加齢によるシミ、又は前記皮膚の水分含量を更に改善する、項8に記載の方法。
項12
前記組成物が、少なくとも1日1回適用される、項8に記載の方法。
項13
前記組成物が、朝及び寝る前に適用される、項8に記載の方法。
項14
前記局所適用が、治療レジメンである、項8に記載の方法。
項15
前記治療レジメンが、少なくとも1つの追加の化粧用組成物を適用することを更に含む、項14に記載の治療レジメン。