(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125431
(43)【公開日】2024-09-18
(54)【発明の名称】コーヒーオイルを用いた脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法
(51)【国際特許分類】
C07C 303/06 20060101AFI20240910BHJP
C07C 309/12 20060101ALI20240910BHJP
C09K 23/08 20220101ALI20240910BHJP
C11D 1/28 20060101ALI20240910BHJP
【FI】
C07C303/06
C07C309/12
C09K23/08
C11D1/28
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024108277
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2022554604の分割
【原出願日】2021-11-15
(31)【優先権主張番号】10-2021-0040328
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】522357389
【氏名又は名称】ビージェイバイオケム カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,グ イン
(72)【発明者】
【氏名】チャ,キュン オン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン,チェ フン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コーヒー由来のオイルを用いた脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法、製造された脂肪酸アルキルエステルスルホネート、および製造された脂肪酸アルキルエステルスルホネートを含む洗浄剤を提供する。
【解決手段】コーヒー豆又はコーヒー滓から抽出したオイルに短鎖アルコール及び塩基性触媒を添加し、トランスエステル化することによって不飽和脂肪酸アルキルエステルを製造する1段階;前記不飽和脂肪酸アルキルエステルに水素を添加し、水素化反応させることによって飽和脂肪酸アルキルエステルを製造する2段階;及び前記飽和脂肪酸アルキルエステルにスルホン化剤を混合し、脂肪酸アルキルエステルスルホネートを合成する3段階;を含む、脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒーオイルを用いた脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は、主にパームオイルや牛脂を用いて脂肪酸メチルエステルを合成し、脂肪酸メチルエステルの硫酸化を通じて脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)を合成した。上記のようにパームオイルや牛脂を用いて合成された脂肪酸メチルエステルスルホネートは、界面活性剤として、衣類用洗浄剤、硬質表面洗浄剤、食器洗浄剤などの多様な生活化学製品に適用された。
【0003】
このうち、パームオイルは、植物成分であるという長所を有し、一時持続可能なオイルとして脚光を浴び、四季の生産が可能で、実の重さ当たりのオイル含有量もココナッツの3倍、大豆油の10倍に達するほどにコスパの高いオイルであり、経済的に大量栽培が可能であるという側面で地球上で最も多く使用する植物オイルとして成長した。そこで、パームオイルは、食用のみならず、バイオディーゼル、洗剤、化粧品などの基礎原料として広く用いられている。しかし、パーム農場を作るために熱帯雨林を燃やすことが繰り返されながら、環境を破壊するという逆効果が表れている。実際に、パームオイルの最大生産国家であるインドネシアは、パーム農場を拡大するために毎年大韓民国の面積の3/4に該当する熱帯雨林を燃やしており、一時広い面積の熱帯雨林を有するアジアの肺と呼ばれていたインドネシアは、今は世界3位の温室ガス排出国に転落した。
【0004】
パームオイルの拡大による熱帯雨林の破壊は、動物棲息地及び気候の問題をもたらした。そこで、EUは、パームオイルで作ったバイオディーゼルを退出する法案を論議し、東南アジアのパームオイル生産国はWTOに提訴するなどのように、パームオイル市場に変化が必要な状況が展開されている。パームオイルを使用してきた各コンシューマー製品の間でも「パームフリー」コンセプトが活用され、パームを使用する各消費者製品に対する規制可能性も台頭している実情にある。パームオイルを代替し得るものとして、海洋藻類を用いた藻オイル(Algae oil)、大豆油、ココナッツオイルなどが論議されているが、パームオイルに比べて価格競争力が低いので、市場拡大の障壁が高い状況にある。そこで、パームオイルを代替し得る新たな植物オイルが切実に必要な状況にある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、捨てられるコーヒー滓から抽出したオイルを始めとして、コーヒー豆から抽出するオイルを用いた脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、捨てられるコーヒー滓から抽出したオイルを始めとして、コーヒー豆から抽出するオイルを用いた脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、前記製造方法によって製造された炭素数16又は炭素数18を主成分とする脂肪酸アルキルエステルスルホネートを提供することにある。
【0008】
本発明の更に他の目的は、前記製造方法によって製造された脂肪酸アルキルエステルスルホネートを含む洗浄剤を提供することにある。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、コーヒー由来のオイルを用いた脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法に関する。
【0010】
本発明のコーヒー由来のオイルを用いて製造された脂肪酸アルキルエステルスルホネートは、市販のアルキルベンゼンスルホネート(LAS)に比べて優れた洗浄力を有していた。
【0011】
また、コーヒー由来のオイルを用いて製造された脂肪酸アルキルエステルスルホネートを含む洗浄剤は、パームオイルを用いて製造された脂肪酸アルキルエステルスルホネートを含む洗浄剤と同等水準以上の洗浄力を示し、コーヒー由来のオイルがパームオイルを代替し得ることを確認した。一方、コーヒー由来のオイル中のコーヒー滓を回収し、オイルを抽出する場合、コーヒー豆から抽出するオイルと類似する組成及び品質のオイルを収得することができ、このような回収オイルは、パームオイルを栽培して収得する費用よりも相対的に低い価格でオイルを得ることができ、経済的にも有利であるという結果を得た。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)の綿(cotton)汚染布であるWFK10Dに対する洗浄力を示した図である。
【
図2】脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)の混紡汚染布であるWFK20Dに対する洗浄力を示した図である。
【
図3】脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)の生活汚染綿布であるJIS汚染布に対する洗浄力を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
前記目的を達成するための一つの様態として、本発明は、コーヒー豆又はコーヒー滓から抽出したオイルに短鎖アルコール及び塩基性触媒を添加し、トランスエステル化することによって不飽和脂肪酸アルキルエステルを製造する1段階;前記不飽和脂肪酸アルキルエステルに水素を添加し、水素化反応させることによって飽和脂肪酸アルキルエステルを製造する2段階;及び前記飽和脂肪酸アルキルエステルにスルホン化剤を混合し、脂肪酸アルキルエステルスルホネートを合成する3段階;を含む、脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法を提供する。
【0014】
コーヒー由来のオイルの不飽和脂肪酸アルキルエステルの合成
本発明において、前記脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法は、コーヒー豆又はコーヒー滓から抽出したオイルに短鎖アルコール及び塩基性触媒を添加し、トランスエステル化することによって不飽和脂肪酸アルキルエステルを製造する1段階を含む。
【0015】
前記用語「トランスエステル化反応」は、短鎖アルコール及び塩基性触媒を用いて実行される。
【0016】
本反応で使用されるアルコールは、炭素数1~4であるアルコールであって、メタノール、エタノール、プロパノール、及びブタノールで構成される群から選ばれ得る。また、前記アルコールは、コーヒー由来のオイルに比べて2~10モル倍、具体的には4~6モル倍で添加され得る。すなわち、コーヒー由来のオイルとアルコールは、1:2~1:10のモル比で混合され得る。
【0017】
前記反応において、塩基性触媒は、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、ナトリウムアルコキシド(Sodium alkoxide)、水酸化カリウム(KOH)、炭酸カリウム(K2CO3)、及びカリウムアルコキシド(Potassium alkoxide)からなる群から選ばれ得る。
【0018】
本発明において、用語「コーヒー由来のオイル」は、コーヒー豆又はコーヒー滓から抽出したオイルであって、乾燥したコーヒー滓を基準にして10%~20%のオイルが混じっている。
【0019】
本発明において、前記コーヒー豆又はコーヒー滓から抽出したオイルは、炭素数12~20又は炭素数14~20の脂肪酸を含み、炭素数16~18の不飽和脂肪酸を主成分として含んでいる。前記コーヒー由来のオイルは、炭素数14の脂肪酸0.01重量%~1重量%、炭素数16の脂肪酸25重量%~30重量%、炭素数18の脂肪酸60重量%~70重量%、及び炭素数20の脂肪酸1重量%~10重量%を含む。
【0020】
本発明のコーヒー由来のオイルは、炭素数16(パルミチン酸)、炭素数18(ステアリル酸)の脂肪酸を最も多く含有しており、本発明の実施例では、炭素数12乃至炭素数20の脂肪酸を含むコーヒーオイルを用いて製造された脂肪酸メチルエステルスルホネートを界面活性剤として洗浄剤などの生活化学製品に適用したとき、洗浄力において優れた効果を有することを確認した。
【0021】
また、本発明の一実施例において、コーヒーオイルは、下記の[表1]のように動物油である牛脂(Tallow)を除いては、植物油の中でもパームオイルと最も類似する組成であるという長所を有し、脂肪酸アルキルエステルスルホネートの最適な炭素分布が炭素数16のパルミチン酸と炭素数18のステアリン酸であるという点で、パームオイルを代替する最も効果的なオイルである。[表1]は、コーヒーから抽出したオイル、パームオイル、パームカーネルオイル(Palm kernel oil)、ココナッツオイル(coconut oil)、大豆油(Soya oil)、コーンオイル(Corn oil)などのアルキル基組成を示す。パームカーネルオイル及びココナッツオイルを除いた全てのオイルは、不飽和結合を主成分とする。
【0022】
特に、コーヒーオイルは、C20の不飽和結合構造を2重量%~4重量%含有しており、他の物性を期待することができる。具体的には、コーヒーオイルを用いて製造した脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)でパウダー洗剤を製造する場合、表面の強度が過度に弱くならずに適切な強度を維持するが、これは、分子内のC
20のアラキジン酸(Arachidic)の脂肪酸で製造されたMESが少量含まれているためである。
【表1】
【0023】
不飽和脂肪酸アルキルエステルの水添反応
本発明の脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法は、前記不飽和脂肪酸アルキルエステルに水素を添加し、水素化反応させることによって飽和脂肪酸アルキルエステルを製造する2段階を含む。
【0024】
本発明において、用語「水添」又は「水素添加」は、一般に不飽和結合に水素を添加させる反応を言い、還元の一種である。
【0025】
本発明において、用語「水素化(hydrogenation)」は、不飽和有機化合物に水素を添加することによって飽和有機化合物を合成する方法である。不飽和脂肪酸に水素が添加されると、炭素が水素と結合し、二重結合が単一結合に変わりながら飽和脂肪酸になり、融点が高くなりながら組織が硬い状態になる。このように、水素化は、有機化合物の物性及び特性を変化させる目的で多様に使用されている。
【0026】
本発明において、用語「完全水素化」は、不飽和脂肪酸に水素が添加され、二重結合が単一結合に全て変わることを意味する。
【0027】
本発明において、用語「不完全水素化」は、不飽和脂肪酸に水素が添加され、二重結合が単一結合に全て変わらず、一部には二重結合が残っていることを意味する。
【0028】
水添(水素添加)反応前の不飽和脂肪酸アルキルエステル、具体的には不飽和脂肪酸メチルエステルのヨウ素価(Iodine value)は95~115ほどであり、完全又は部分水素化反応によって水添又は部分水添されたヨウ素価が0.03~20である飽和脂肪酸アルキルエステルを製造するようになる。前記水添反応は、水添度を調節し、ヨウ素価(Iodine value)を調節するが、完全水添を通じて0.03までヨウ素価を低下させたり、部分水添を通じて飽和脂肪酸アルキルエステル、具体的には飽和脂肪酸メチルエステルのヨウ素価を40まで低下させる範囲内で水添度を調節し、好ましくはヨウ素価0.03~20に調節する。
【0029】
本明細書において、「ヨウ素価(Iodine value)」は、物質に存在する非芳香族二重結合の平均個数を意味する。
【0030】
ヨウ素価が低いほど洗浄剤としての機能が優秀であり、スルホン化過程での変色を調節しやすい。ヨウ素価が50以上であると、最終製品の洗浄剤としての機能が多く低下し、部分水添によってヨウ素価が10~20水準になると、洗浄力は多少低くなるが、液体製品の製造時、貯蔵安定性で相対的な強点を有することもある。
【0031】
本発明では、水素化反応のために水素化触媒を含むことができる。
【0032】
【0033】
前記化学式1において、a、b、c及びdは、触媒の総重量に対する含量を意味し、aは50重量%~80重量%で、bは1重量%~10重量%で、cは1重量%~10重量%で、dは15重量%~30重量%である。具体的には、前記ニッケル酸化物は50重量%~80重量%で、マグネシウム酸化物は1重量%~10重量%で、亜鉛酸化物は1重量%~10重量%で、アルミニウム酸化物は15重量%~30重量%である。
【0034】
具体的には、前記化学式1において、aは60重量%~70重量%で、bは4重量%~8重量%で、cは2重量%~6重量%で、dは20重量%~26重量%であってもよく、ニッケル酸化物は60重量%~70重量%で、マグネシウム酸化物は4重量%~8重量%で、亜鉛酸化物は2重量%~6重量%で、アルミニウム酸化物は20重量%~26重量%であってもよい。
【0035】
本発明では、(NiO)64・(MgO)6・(ZnO)4・(Al2O3)234成分系触媒ペレット320mlを充填し、前記1段階で製造された不飽和脂肪酸アルキルエステル、具体的には不飽和脂肪酸メチルエステルを供給し、水素化反応によってヨウ素価が0.03~20である飽和脂肪酸アルキルエステル、具体的には飽和脂肪酸メチルエステルを製造した。
【0036】
前記1段階と2段階の反応、すなわち、メチル化と水添反応の順序は変更可能であり、前記コーヒー豆又はコーヒー滓から抽出したオイルに水素を添加し、不飽和度を低下させた後、短鎖アルコール及び塩基性触媒を添加することによって飽和脂肪酸アルキル(メチル)エステルを得ることができる。
【0037】
スルホン化反応
本発明の脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法は、前記飽和又は部分飽和脂肪酸アルキルエステルにスルホン化剤を混合することによって脂肪酸アルキルエステルスルホネートを合成する3段階を含む。
【0038】
飽和又は部分飽和脂肪酸メチルエステルとスルホン化剤とを混合することによって脂肪酸メチルエステルスルホネートを合成する過程は、下記の反応式の通りである。
【0039】
前記飽和脂肪酸メチルエステルは、炭素原子の間に単一結合のみを有しており、部分飽和脂肪酸メチルエステルは二重結合を一つ以上含んでいる。
【0040】
前記スルホン化剤は、クロロスルホン酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、硫酸及びアシルスルフェートからなる群から選ばれる一つ以上であってもよく、具体的には三酸化硫黄(SO
3)であってもよいが、これに制限されない。
【化2】
【化3】
【化4】
その後、化学式(IV)をNaOHで中和し、脂肪酸メチルエステルスルホネート塩を製造する。
【化5】
このとき、反応式3において、分子末端のSO
3が完全に除去されていない状態でNaOH中和がなされると、反応式5のように副反応が起こるが、-COONaの形態がさらに進められながらジ塩(Disalt)が形成され、ジ塩が形成されると、水に対する溶解性が非常に悪くなり、最終製品に不溶性残留物が生じたり、性能低下をもたらす。
【化6】
一方、脂肪酸メチルエステルスルホネートが正常に合成されたとしても加水分解がなされ、-COOHに再びNaが結合しながら-COONaの形態で進められ、反応式6のような他の経路でジ塩が形成される場合も発生するので、pH及び温度などの諸般の要素の管理も重要である。
【化7】
【0041】
前記飽和脂肪酸アルキルエステルとスルホン化剤は、1:1~1:2のモル比で混合することができ、具体的には1:1.05のモル比で混合することができる。
【0042】
前記製造された脂肪酸アルキルエステルスルホネートは、炭素数16又は炭素数18を主成分とし、炭素数20を1重量%~10重量%含む脂肪酸アルキルエステルスルホネートであって、具体的には、炭素数16又は炭素数18を有する脂肪酸アルキルエステルスルホネートであり得る。
【0043】
コーヒーオイルの脂肪酸アルキルエステルスルホネートの可能性検討
コーヒーオイルは、植物オイルの中でもC16とC18部分が多いオイルである。通常、洗浄剤の用途で活用される界面活性剤は、ほとんどがC12とC14を主成分とするので、C16とC18を主成分とするコーヒーオイルの脂肪酸アルキルエステルスルホネートの活用可能性を試験するために、単一脂肪酸を用いてアルキル基別にMESを製造した。
【0044】
純度が高い炭素数12のラウリン酸、炭素数14のミリスチン酸、炭素数16のパルミチン酸、炭素数18のステアリン酸のそれぞれに対して上述した方法で脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)を製造し、それぞれのMESを主成分とする洗浄剤を製造し、洗浄力(オイル除去能力)を評価した後、その結果を
図1~
図3に示した。
【0045】
洗浄試験は、Terg-O-tometer、100RPM、20℃で10分間行われ、水の硬度によって50ppm CaCO3、150ppm CaCO3の濃度条件で実施した。洗浄に使用された汚染布は、綿(cotton)汚染布であるWFK10D(人工汚染布製造社であるドイツのWFKから購入)、混紡汚染布であるWFK20D(人工汚染布製造社であるドイツのWFKから購入)、及び生活汚染綿布であるJIS汚染布(日本洗濯科学協会で購入)であり、測定は、比色計(日本電色工業株式会社、D65/10)を使用して行った。
【0046】
脂肪酸のそれぞれに対して製造したMESの洗浄力試験結果では、炭素数16と炭素数18の脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)の洗浄力が最も優秀であり、この炭素分布では、商業的に最も多く使用されるアルキルベンゼンスルホネート(LAS)より著しく優秀であることを確認した。
【0047】
この評価を通じて、他の界面活性剤と異なり、脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)では、コーヒーオイル成分の特徴であるC16とC18が最適であることを確認し、また、MES製造オイルとして最適であることを確認した。
【0048】
また、比較例3のパームオイルを用いて製造された脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)を含有する洗浄剤と、実施例1のコーヒーオイルを用いて製造した脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)を含有する洗浄剤との間の洗浄力を比較した結果、パームオイルを用いて製造した脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)を含有する洗浄剤と、コーヒーオイルを用いて製造した脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)を含有する洗浄剤の洗浄力において有意な差がなかった。よって、コーヒーオイルで作った洗浄剤も、パームオイルで作った洗浄剤と同様に十分な競争力を有することを確認した。
【0049】
他の一つの様態として、本発明は、前記脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法によって製造された炭素数16又は炭素数18を主成分とする脂肪酸アルキルエステルスルホネートを提供する。
【0050】
本発明において、用語「脂肪酸アルキルエステルスルホネート」は、上述した通りであり、上述した脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法によって製造される。
【0051】
また、上述したように、炭素数16又は炭素数18の脂肪酸アルキルエステルスルホネートの洗浄力が優秀であるので、前記製造方法によって炭素数16又は炭素数18を主成分とする脂肪酸アルキルエステルスルホネートを製造することができる。
【0052】
更に他の一つの様態として、本発明は、前記製造方法によって製造された脂肪酸アルキルエステルスルホネートを含む洗浄剤組成物を提供する。
【0053】
本発明において、用語「脂肪酸アルキルエステルスルホネート」及び「脂肪酸アルキルエステルスルホネートの製造方法」は、上述した通りである。
【0054】
前記洗浄剤組成物は、脂肪酸メチルエステルスルホネートを5重量%乃至20重量%で含むことができ、具体的には10重量%乃至15重量%で含むことができる。
【0055】
前記洗浄剤組成物は、手洗浄剤、食器洗浄用洗剤、住居用洗浄剤、衣類用液体洗剤、野菜果物洗浄剤、及び哺乳瓶洗浄剤を含み、これに制限されない。
【0056】
その他にも、脂肪酸アルキルエステルスルホネートを界面活性剤として用いて多様な生活化学製品に適用可能である。前記生活化学製品は、界面活性剤を含む製品であれば制限されなく、前記生活化学製品の一例としては、ウェットティッシュ、脱臭剤、芳香剤、消毒剤、除菌剤、シャンプー、リンス、ヘアコンディショナー、フォームクレンザー、ボディークレンザー、液体せっけんなどがあり、これに制限されない。
【実施例0057】
以下、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例に対して添付の図面を参考にして詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態に具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0058】
<実験例1>.オイルの脂肪酸組成
コーヒー滓から抽出したコーヒーオイルと他のオイルの脂肪酸のアルキル基構成を比較した。その結果、コーヒーオイルは、他のオイルに比べてパームオイルと最も類似するアルキル基分布を有していた。
【表2】
【0059】
<実験例2>.脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)の製造
下記のように、実施例1、比較例1乃至比較例3の脂肪酸メチルエステルスルホネートを製造した。
【0060】
実施例1.コーヒーオイルを用いた脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)の製造
1)不飽和脂肪酸メチルエステルの合成
コーヒーオイルにメタノールを5モル倍で添加し、水酸化ナトリウム(NaOH)を触媒として添加し、トランスエステル化反応を通じて炭素数14、炭素数16、炭素数18を有する不飽和脂肪酸メチルエステルを合成した。生成物のヨウ素価をA.O.C.Sオフィシャルメソッド(Official Method)のウィイス(Wijis)方法で測定した。合成された不飽和脂肪酸メチルエステルのヨウ素価は106であった。
【0061】
2)飽和脂肪酸メチルエステルの転換
内径が24mmであるステンレス管型反応器に(NiO)64・(MgO)6・(ZnO)4・(Al2O3)234成分系触媒ペレット320mlを充填し、水素ガスをGHSV 500hr-1の速度で供給しながら反応器の温度を220℃に昇温した。昇温後に10時間維持し、反応温度に温度を下げ、実施例1の1)で合成された不飽和脂肪酸メチルエステル(ヨウ素価106)を供給しながら水素化反応を開始した。反応温度、反応圧力、反応物供給速度、及び水素供給速度を変化しながら水添反応を行い、水添又は部分水添程度によってヨウ素価を50まで低下させた。
【0062】
実施例1の1)で製造された不飽和脂肪酸メチルエステルのヨウ素価(Iodine value)は106で、実施例1の2)方法で水素化反応によって合成された水添又は脂肪酸メチルエステルのヨウ素価は、水添度によって異なるようになる。
【0063】
本実施例1の2)では、ヨウ素価106の不飽和脂肪酸メチルエステルの完全水添によってヨウ素価1.6まで飽和度を高め、部分水添によってヨウ素価14まで飽和度を高め、また、部分水添によってヨウ素価50まで飽和度を高めた。
【表3】
【0064】
3)脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)の合成
脂肪酸メチルエステル定量注入装置と、液体SO3を気化しながら乾燥空気と混合した後、SO3気体を任意の濃度に調節して注入できる装置を設置した。脂肪酸メチルエステルは、実施例1の2)で合成されたヨウ素価1.6、14、50の脂肪酸メチルエステルを加熱し、完全溶融した後で循環させ、50℃の一定の温度に維持させた後で注入した。そして、温度と圧力測定装置が設置された物理的混合器に、前記50℃に維持させた不飽和脂肪酸メチルエステルと20v/v%のSO3気体を1:1.05のモル比で注入することによってマイクロバブルを作った後、これを管型反応器に噴射し、エマルジョン化されたスルホン化反応物を製造した。このとき、注入速度は、総反応物の滞留時間が70分になるようにした。物理的混合器としては、高速回転による混合器を使用し、管型反応器は、内部に温度測定機を保有し、外部に冷却のためのジャケットを有することによって反応及び熟成温度を70℃に維持させた。
【0065】
上記のように不飽和脂肪酸メチルエステル及び三酸化硫黄(SO
3)を用いて、下記のような反応式によって脂肪酸メチルエステルスルホネートを合成した。
【化8】
【化9】
【化10】
[反応式3]の化学式(III)のように、α-位置にSO
3Hが共有結合した後、真空状態で分子末端のSO
3を完全に除去し、化学式(IV)の脂肪酸メチルエステルスルホネートを用いて反応式4のようにNaOHで中和することによって脂肪酸メチルエステルスルホネート塩を製造した。
【化11】
【0066】
前記実施例1の2)で製造された飽和脂肪酸メチルエステルを用いて、炭素数12、炭素数14、炭素数16、炭素数18の脂肪酸メチルエステルスルホネート塩を反応式1乃至4の段階を経て合成した。
【0067】
前記合成された脂肪酸メチルエステルスルホネート塩は、それぞれ物理的混合によるバブリング装置の真後ろに設置されたサンプリング装置と、管型反応器の後端にあるサンプリング装置から採取した。
【0068】
比較例1.コーヒーオイルを用いた脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)の製造
1)不飽和脂肪酸メチルエステルの合成
実施例1の1)と同一の方法でヨウ素価が106である不飽和脂肪酸メチルエステルを合成した。
2)飽和脂肪酸メチルエステルの転換
実施例1の2)と同一の方法でヨウ素価が1.6、14、50である飽和脂肪酸メチルエステルを合成した。
3)脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)の合成
前記比較例1の2)で製造された飽和脂肪酸メチルエステルを用いて、実施例1の3)と同一に反応式1乃至3の過程に基づいて脂肪酸メチルエステルスルホネートを合成した。しかし、反応式4のように真空状態で分子末端にSO
3を除去する工程を省略し、反応式5のようにNaOHで中和した。その結果、下記の反応式5のように-COONaが形成され、分子内でジ塩の形態になりながら水に対する溶解性が悪くなり、使用感及び性能が低下することを確認することができた。
【化12】
【0069】
比較例2.コーヒーオイルを用いた脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)の製造
1)不飽和脂肪酸メチルエステルの合成
実施例1の1)と同一の方法でヨウ素価が106である不飽和脂肪酸メチルエステルを合成した。
2)飽和脂肪酸メチルエステルの転換
実施例1の2)と同一の方法でヨウ素価が1.6、14、50である飽和脂肪酸メチルエステルを合成した。
3)脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)の合成
前記比較例2の2)で製造された飽和脂肪酸メチルエステルを用いて、実施例1の3)と同一に反応式1乃至3の過程に基づいて脂肪酸メチルエステルスルホネートを合成した後、加水分解によって-COOHになると、反応式6のようにNaOHで中和した。その結果、下記の反応式6のように、-COOCH
3ではない-COONaの形態のジ塩が形成された。-COONaの形態になりながら溶解性が非常に悪くなり、界面活性剤として洗浄剤製品に適用することができなかった。
【化13】
【0070】
比較例3.パームオイルを用いた脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)の製造
1)不飽和脂肪酸メチルエステルの合成
コーヒーオイルの代わりにパームオイルを使用することを除いては、実施例1の1)と同一の方法でヨウ素価52の不飽和脂肪酸メチルエステルを合成した。
2)飽和脂肪酸メチルエステルの合成
比較例3の1)で製造された不飽和脂肪酸メチルエステルを用いて、実施例1の2)と同一の方法で飽和脂肪酸メチルエステルを合成し、完全水添によってヨウ素価1.2まで飽和度を高めた。
3)脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)の合成
比較例3の2)で製造された飽和脂肪酸メチルエステルを用いて、実施例1の3)と同一に反応式1乃至3の方法で脂肪酸メチルエステルスルホネートを合成し、反応式4の方法でNaOHで中和することによって脂肪酸メチルエステルスルホネート塩を製造した。
【0071】
比較例4.ココナッツオイルを用いた脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)の製造
1)不飽和脂肪酸メチルエステルの合成
コーヒーオイルの代わりにアルキル基C12、C14が主成分であるココナッツオイルを使用することを除いては、実施例1の1)と同一の方法でヨウ素価10の不飽和脂肪酸メチルエステルを合成した。
2)飽和脂肪酸メチルエステルの合成
比較例4の1)で製造された不飽和脂肪酸メチルエステルを用いて、実施例1の2)と同一の方法で飽和脂肪酸メチルエステルを合成し、完全水添によってヨウ素価0.8まで飽和度を高めた。
3)脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)の合成
比較例4の2)で製造された飽和脂肪酸メチルエステルを用いて、実施例1の3)と同一に反応式1乃至3の方法で脂肪酸メチルエステルスルホネートを合成し、反応式4の方法でNaOHで中和することによって脂肪酸メチルエステルスルホネート塩を製造した。
【0072】
比較例5.大豆油オイルを用いた脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)の製造
1)不飽和脂肪酸メチルエステルの合成
コーヒーオイルの代わりに、アルキル基C18が主成分である大豆油を使用することを除いては、実施例1の1)と同一の方法でヨウ素価132の不飽和脂肪酸メチルエステルを合成した。
2)飽和脂肪酸メチルエステルの合成
比較例5の1)で製造された不飽和脂肪酸メチルエステルを用いて、実施例1の2)と同一の方法で飽和脂肪酸メチルエステルを合成し、完全水添によってヨウ素価1.9まで飽和度を高めた。
3)脂肪酸メチルエステルスルホネート(MES)の合成
比較例5の2)で製造された飽和脂肪酸メチルエステルを用いて、実施例1の3)と同一に反応式1乃至3の方法で脂肪酸メチルエステルスルホネートを合成し、反応式4の方法でNaOHで中和することによって脂肪酸メチルエステルスルホネート塩を製造した。
【0073】
<実験例3>脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)の洗浄力評価
実施例1で製造された炭素数14、炭素数16、炭素数18の脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)を用いて洗浄力(オイル除去能力)を評価した。対照群としては、市販用LAS(LINEAR ALKYLBENZENE SULFONATE)を使用した。
【0074】
また、コーヒーオイルは、炭素数12のアルキル基をほとんど含まないので、別途にコーヒーオイルから炭素数12のアルキル基を分離し、これを用いて実施例1の方法で炭素数12の脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)を合成した。
【0075】
洗浄試験は、Terg-O-tometerを用いて、100RPMの20℃条件で10分間行われ、水の硬度によって50ppm CaCO3、150ppm CaCO3の濃度条件で実施した。
【0076】
洗浄に使用された汚染布は、綿(cotton)汚染布であるWFK10D(人工汚染布製造社であるドイツのWFKから購入)、混紡汚染布であるWFK20D(人工汚染布製造社であるドイツのWFKから購入)、及び生活汚染綿布であるJIS汚染布(日本洗濯科学協会で購入)であり、測定は、比色計(日本電色工業株式会社、D65/10)を使用して行った。
【0077】
炭素数12、炭素数14、炭素数16、炭素数18の脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)のそれぞれに対する洗浄力を
図1乃至
図3に示した。
図1は、脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)の綿(cotton)汚染布であるWFK10Dに対する洗浄力を示した図である。
図2は、脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)の混紡汚染布であるWFK20Dに対する洗浄力を示した図である。
図3は、脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)の生活汚染綿布であるJIS汚染布に対する洗浄力を示した図である。
【0078】
その結果、
図1乃至
図3に示したように、炭素数16と炭素数18の脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)の洗浄力が最も優秀であり、市販用LASより遥かに優秀であった。
【0079】
<実験例4>脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)の洗浄力評価
ヨウ素価106の不飽和脂肪酸メチルエステルを完全水添し、ヨウ素価1.6まで飽和度を高めた実施例1-A、部分水添によってヨウ素価14まで飽和度を高めた実施例1-B、及び部分水添によってヨウ素価50まで飽和度を高めた実施例1-Cを用いて製造された脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)、そして、比較例3乃至5で製造された脂肪酸メチルエステルスルホネート塩(MES)を用いて洗浄力(オイル除去能力)を評価した。
【表4】
【0080】
実施例1-Aは、コーヒー由来のオイルを用いてヨウ素価106の不飽和脂肪酸メチルエステルを完全水添し、ヨウ素価1.6まで飽和度を高め、MESを製造したものである。実施例1-Bは、コーヒー由来のオイルを用いてヨウ素価106の不飽和脂肪酸メチルエステルを部分水添し、ヨウ素価14まで飽和度を高め、MESを製造したものである。実施例1-Cは、コーヒー由来のオイルを用いてヨウ素価106の不飽和脂肪酸メチルエステルを部分水添し、ヨウ素価50まで飽和度を高め、MESを製造したものである。比較例3は、パームオイルを用いてヨウ素価52の不飽和脂肪酸メチルエステルを完全水添し、ヨウ素価1.2まで飽和度を高め、MESを製造したものである。比較例4は、アルキル基C12、C14が主成分であるココナッツオイルを用いてヨウ素価10の不飽和脂肪酸メチルエステルを完全水添し、ヨウ素価0.8まで飽和度を高め、MESを製造したものである。比較例5は、アルキル基C18が主成分である大豆油を用いて、ヨウ素価132の不飽和脂肪酸メチルエステルを完全水添し、ヨウ素価1.9まで飽和度を高め、MESを製造したものである。
【0081】
洗浄試験は、実験例3と同一の方法で評価した。その結果、実施例1-Aのコーヒーオイルは、比較例3のパームオイルを代替し得るほどの洗浄性能を示した。実施例1-3のようにヨウ素価50以上の不飽和結合が存在する場合、洗浄性能が多少低くなると評価された。しかし、比較例5でC18の比率が極端に高い場合、実施例1-Aや比較例3のようにC16とC18とが混合されたオイルを用いた場合に比べて洗浄力が低く表れた。
【0082】
また、比較例4でアルキル基C12、C14が主成分であるココナッツオイルの場合にも、実施例1-Aや比較例3のようにC16とC18とが混合されたオイルを用いた場合に比べて洗浄力が低く表れた。
【0083】
したがって、C16とC18が主成分であるオイルを用いて、ヨウ素価が0.3~20である飽和脂肪酸アルキルエステルを製造し、これを用いてMESを製造した実施例1-A、1-B及び比較例3の洗浄力が最も良いことを確認した。
【0084】
以上では、本発明の好ましい実施例に対して詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の多くの変形及び改良形態も本発明の権利範囲に属する。