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特開2024-125432抗マラリア活性を有するキノロン誘導体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125432
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】抗マラリア活性を有するキノロン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 215/22 20060101AFI20240911BHJP
   C07D 401/04 20060101ALI20240911BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20240911BHJP
   C07D 401/08 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 31/47 20060101ALI20240911BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20240911BHJP
   C07D 215/48 20060101ALI20240911BHJP
   A61P 33/06 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
C07D215/22 CSP
C07D401/04
C07D405/12
C07D401/08
A61K31/47
A61K31/4709
C07D215/48
A61P33/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021088906
(22)【出願日】2021-05-27
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】504205521
【氏名又は名称】国立大学法人 長崎大学
(71)【出願人】
【識別番号】000001926
【氏名又は名称】塩野義製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113789
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100209598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】稲岡 健ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】佐倉 孝哉
(72)【発明者】
【氏名】高谷 健二
(72)【発明者】
【氏名】中村 里奈
【テーマコード(参考)】
4C063
4C086
【Fターム(参考)】
4C063AA01
4C063BB01
4C063BB06
4C063BB08
4C063CC14
4C063CC78
4C063DD12
4C063DD14
4C063EE01
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC28
4C086GA02
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB38
(57)【要約】
【課題】
抗マラリア作用を有し、マラリアの治療および/または予防剤として有用な化合物またはその製薬上許容される塩、およびそれらを含有する医薬組成物に関する。
【解決手段】
式(I):

(式中、環Aはベンゼン環等であり、Rは置換もしくは非置換のアルキル等であり、Rはハロゲン等であり、nは0~4の整数であり、Rは置換もしくは非置換のアルキルであり、Rは置換もしくは非置換のアルキルオキシであり、Rは水素原子等である。)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、環Aは、ベンゼン環または6員の芳香族複素環であり、
は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の芳香族複素環式基であり、
は、ハロゲン、シアノまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、
nは、0~4の整数であり、
は、置換もしくは非置換のアルキルであり、
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシであり、
は、水素原子、シアノ、ハロゲンまたはアルキルであり、
ただし、Rが、水素原子、ハロゲンまたはアルキルである時は、Rは、置換もしくは非置換の芳香族炭素環アルキルまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環アルキルである。)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項2】
が、シアノである、請求項1記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項3】
が、置換もしくは非置換のハロC1-C4アルキルまたは置換もしくは非置換のハロC1-C4アルキルオキシである、請求項1または2記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項4】
が、置換もしくは非置換のハロC1-C4アルキルオキシである、請求項1または2記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項5】
が、置換もしくは非置換のハロC1-C4アルキルである、請求項1または2記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項6】
が、
【化2】

(式中、Rは、置換もしくは非置換のハロアルキルまたは置換もしくは非置換のハロアルキルオキシであり、環Bは、ベンゼン環または6員の芳香族複素環である。)で示される基である、請求項1または2記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項7】
環Bが、ベンゼン環である、請求項6記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項8】
環Aが、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環またはピリミジン環である、請求項1~7のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項9】
【化3】

で示される基が、
【化4】

(式中の記号は、請求項1と同意義である。)
で示される基である、請求項1~7のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項10】
nが、0または1である、請求項1~9のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項11】
【化5】

で示される基が、
【化6】

(式中の記号は、請求項1と同意義である。)
で示される基である、請求項1~7のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項12】
が、メチルである、請求項1~11のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項13】
が、メチルまたはエチルである、請求項1~12のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項14】
が、メチルオキシである、請求項1~13のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩を含有する、医薬組成物。
【請求項16】
請求項1~14のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩を含有する、マラリア予防および/または治療用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗マラリア作用を有する化合物またはその製薬上許容される塩、およびそれらを含有する医薬組成物、特にマラリアの予防剤および/または治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
マラリアは主に熱帯地域で流行している、蚊が媒介する感染症であり、現在年間約2億人の発症者、及び約40万人の死亡者が発生している。死亡者の多くは5歳以下の子供や、妊婦であることから、その治療や予防における薬剤選択肢が極めて限られている。例えば5歳以下の子供や妊婦のマラリア予防のため、スルファドキシンとピリメタミンが併用されているが、薬剤耐性マラリアの少ない地域に使用が制限されており、また有効性も十分ではない。またマラリア治療においては、アルテミシニンを中心とした併用療法(ACT)が現在広く用いられているが、東南アジアを中心にアルテミシニン耐性マラリアが広がりつつある。さらに、既存治療薬は1日1回から2回の投与を3日以上続ける必要があるため、服薬を完遂できない場合に薬剤耐性が発生するリスクになると考えられている。また世界保健機関(WHO)は2030年までにマラリア患者を90%減らす目標を掲げ、将来的なマラリア排除・撲滅を目指しているが、近年マラリア患者の減少ペースが鈍っている(非特許文献1)。こうしたことから、既存薬への耐性を克服し、有効性と安全性が高く、1回で治療が完結する新規治療薬、あるいは長期間有効性を保持できる新規予防薬が求められている(非特許文献2-4)。 マラリアは、真核生物であるプラスモジウム属原虫が引き起こす疾患である。近年そのミトコンドリア呼吸鎖の阻害剤が、治療、あるいは予防に高い有効性を示すことがわかってきている(非特許文献5-7)。例えばアトバコンは、マラリアミトコンドリア呼吸鎖のComplex IIIの機能を阻害することが知られ、治療薬、予防薬として高い有効性を示し、プログアニルと併用で、特に予防薬として先進国中心に広く用いられている(非特許文献6-7)。一方で、アトバコン・プログアニルは妊婦への使用が推奨されないこと、1日1回投与が必要なこと、価格の問題等から、流行地域で広く使われるには至っていない。最近、同じくマラリアComplex IIIを阻害する新たな化合物としてELQ-300やELQ-331が報告されている。(特許文献1-2、非特許文献8-10)。
感染症予防の手段としては、一般的にワクチンが広く知られている。しかしながら、マラリアに対しては度重なる感染を受けた成人であっても限定的な免疫に留まることが知られ、有効性の高いワクチンの開発は困難である。近年マラリア感染予防ワクチンとしてRTS,S/AS01が実用化されたものの、予防効果は十分ではなく、また時間と共に有効性が減弱することが報告されている(非特許文献11)。こうしたことから、薬剤によるマラリア予防のニーズは依然として高い。
抗マラリア作用を有することが知られている化合物が、特許文献1-19、非特許文献8-10、12-51に開示されている。しかしながら、いずれの文献にも本発明に関連する化合物は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】:国際公開WO2012/167237号
【特許文献2】:国際公開WO2017/015360号
【特許文献3】:国際公開WO2010/065905号
【特許文献4】:国際公開WO2017/112678号
【特許文献5】:国際公開WO2017/127820号
【特許文献6】:国際公開WO2010/142741号
【特許文献7】:国際公開WO2010/081904号
【特許文献8】:国際公開WO2006/094799号
【特許文献9】:国際公開WO2009/068623号
【特許文献10】:国際公開WO2012/069856号
【特許文献11】:国際公開WO2017/103615号
【特許文献12】:国際公開WO2008/064011号
【特許文献13】:米国公開US2020/0369616号
【特許文献14】:国際公開WO2020/051130号
【特許文献15】:国際公開WO2018/133862号
【特許文献16】:国際公開WO2017/222996号
【特許文献17】:米国公開US2013/0123258号
【特許文献18】:米国公開US2012/0115904号
【特許文献19】:米国公開US2012/0010237号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】:World Malaria Report 2020、World Health Organization
【非特許文献2】:Malaria Journal、第16巻、文献番号26、2017年
【非特許文献3】:Malaria Journal、第18巻、文献番号93、2019年
【非特許文献4】:Nature Reviews Drug Discovery、第17巻、693-695頁、2018年
【非特許文献5】:The Lancet Infectious Diseases、第18巻、874-883頁、2018年
【非特許文献6】:American Journal of Tropical Medicine and Hygiene、第54巻、62-66頁、1996年
【非特許文献7】:Travel Medicine and Infectious Disease、第19巻、49-55頁、2017年
【非特許文献8】:Science Translational Medicine、第5巻、文献番号177ra37、2013年
【非特許文献9】:ACS Infectious Diseases、第3巻、728-735頁、2017年
【非特許文献10】:Malaria Journal、第18巻、文献番号291、2019年
【非特許文献11】:New England Journal of Medicine、第374巻、2519-2529頁、2016年
【非特許文献12】:Journal of Medicinal Chemistry、第62巻、3422-3435頁、2018年
【非特許文献13】:Future Medicinal Chemistry、第4巻、2311-2323頁、2012年
【非特許文献14】:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、第112巻、755-760頁、2015年
【非特許文献15】:Journal of Medicinal Chemistry、第61巻、1450-1473頁、2018年
【非特許文献16】:Journal of Medicinal Chemistry、第59巻、6943-6960頁、2016年
【非特許文献17】:Medicinal Chemistry Communications、第3巻、39-44頁、2012年
【非特許文献18】:IUCrJ、第5巻、200-210頁、2018年
【非特許文献19】:Medicinal Chemistry Communications、第6巻、1252-1259頁、2015年
【非特許文献20】:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、第109巻、8298-8303頁、2012年
【非特許文献21】:Journal of Medicinal Chemistry、第62巻、3475-3502頁、2019年
【非特許文献22】:Nature、第459巻、270-273頁、2009年
【非特許文献23】:Experimental Parasitology、第114巻、47-56頁、2006年
【非特許文献24】:Journal of Medicinal Chemistry、第54巻、4399-4426頁、2011年
【非特許文献25】:Journal of Medicinal Chemistry、第53巻、7076-7094頁、2010年
【非特許文献26】:Journal of Medicinal Chemistry、第57巻、8860-8879頁、2014年
【非特許文献27】:Journal of Medicinal Chemistry、第57巻、3818-3834頁、2014年
【非特許文献28】:Scientific Reports、第6巻、文献番号29179、2016年
【非特許文献29】:Journal of Biological Chemistry、第295巻、7235-7249頁、2020年
【非特許文献30】:bioRxiv、 Microbiology、1-24頁、2018年
【非特許文献31】:Pharmaceutical Development and Technology、第25巻、625-639頁、2020年
【非特許文献32】:Malaria Journal、第19巻、文献番号1、2020年
【非特許文献33】:Malaria Journal、第18巻、文献番号291、2019年
【非特許文献34】:ACS Infectious Diseases、第4巻、1574-1584頁、2018年
【非特許文献35】:FEBS Letters、第592巻、1346-1356頁、2018年
【非特許文献36】:Antimicrobial Agents and Chemotherapy、第61巻、e01866-16/1-e01866-16/8頁、2017年
【非特許文献37】:Journal of Experimental Medicine、第213巻、1307-1318頁、2016年
【非特許文献38】:American Journal of Tropical Medicine and Hygiene、第92巻、1195-1201頁、2015年
【非特許文献39】:Antimicrobial Agents and Chemotherapy、第59巻、5555-5560頁、2015年
【非特許文献40】:Antimicrobial Agents and Chemotherapy、第59巻、1977-1982頁、2015年
【非特許文献41】:Journal of Organic Chemistry、第80巻、2513-2520頁、2015年
【非特許文献42】:Antimicrobial Agents and Chemotherapy、第57巻、6187-6195頁、2013年
【非特許文献43】:Journal of Molecular Graphics & Modelling、第46巻、105-124頁、2013年
【非特許文献44】:Journal of Molecular Graphics & Modelling、第46巻、105-124頁、2013年
【非特許文献45】:Current Computer-Aided Drug Design、第9巻、336-349頁、2013年
【非特許文献46】:Antimicrobial Agents and Chemotherapy、第57巻、417-424頁、2013年
【非特許文献47】:Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America、第109巻、15936-15941頁、2012年
【非特許文献48】:Journal of Medicinal Chemistry、第54巻、8321-8327頁、2011年
【非特許文献49】:Chemometrics and Intelligent Laboratory Systems、第109巻、146-161頁、2011年
【非特許文献50】:Structural Chemistry、第24巻、1369-1381頁、2013年
【非特許文献51】:Antimicrobial Agents and Chemotherapy、第60巻、4972-4982頁、2016年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、抗マラリア作用を有する化合物またはその製薬上許容される塩、およびそれらを含有する医薬組成物、特にマラリアの予防剤および/または治療剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下に関する。
(1)式(I):
【化1】

(式中、環Aは、ベンゼン環または6員の芳香族複素環であり、
は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の芳香族複素環式基であり、
は、ハロゲン、シアノまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、
nは、0~4の整数であり、
は、置換もしくは非置換のアルキルであり、
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシであり、
は、水素原子、シアノ、ハロゲンまたはアルキルであり、
ただし、Rが、水素原子、ハロゲンまたはアルキルである時は、Rは置換もしくは非置換の芳香族炭素環アルキルまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環アルキルである。)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。
(2)Rが、シアノである、上記(1)記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(3)Rが、置換もしくは非置換のハロC1-C4アルキルまたは置換もしくは非置換のハロC1-C4アルキルオキシである、上記(1)または(2)記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(4)Rが、置換もしくは非置換のハロC1-C4アルキルオキシである、上記(1)または(2)記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(5)Rが、置換もしくは非置換のハロC1-C4アルキルである、上記(1)または(2)記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(6)Rが、
【化2】

(式中、Rは、置換もしくは非置換のハロアルキルまたは置換もしくは非置換のハロアルキルオキシであり、環Bは、ベンゼン環または6員の芳香族複素環である。)で示される基である、上記(1)または(2)記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(7)環Bが、ベンゼン環である、上記(6)記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(8)環Aが、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環またはピリミジン環である、上記(1)~(7)のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(9)
【化3】

で示される基が、
【化4】

(式中の記号は、上記(1)と同意義である。)
で示される基である、上記(1)~(7)のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(10)nが、0または1である、上記(1)~(9)のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(11)
【化5】

で示される基が、
【化6】

(式中の記号は、上記(1)と同意義である。)
で示される基である、上記(1)~(7)のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(12)Rが、メチルである、上記(1)~(11)のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(13)Rが、メチルまたはエチルである、上記(1)~(12)のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(14)Rが、メチルオキシである、上記(1)~(13)のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
(15)上記(1)~(14)のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩を含有する、医薬組成物。
(16)上記(1)~(14)のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩を含有する、マラリア予防および/または治療用医薬組成物。
(17)上記(1)~(14)のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩を投与することを特徴とする、マラリアの治療および/または予防方法。
(18)マラリアの治療および/または予防剤を製造するための、上記(1)~(14)のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩の使用。
(19)マラリアの治療および/または予防に使用するための、上記(1)~(14)のいずれかに記載の化合物、またはその製薬上許容される塩。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る化合物は、抗マラリア作用を有し、マラリアの治療剤および/または予防剤として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本明細書において用いられる各用語の意味を説明する。各用語は特に断りのない限り、単独で用いられる場合も、または他の用語と組み合わせて用いられる場合も、同一の意味で用いられる。
「からなる」という用語は、構成要件のみを有することを意味する。
「含む」という用語は、構成要件に限定されず、記載されていない要素を排除しないことを意味する。
以下、本発明について実施形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。
また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、当上記分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0009】
「ハロゲン」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を包含する。特にフッ素原子および塩素原子が好ましい。
【0010】
「アルキル」とは、炭素数1~15、好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~6、さらに好ましくは炭素数1~4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシル、n-へプチル、イソヘプチル、n-オクチル、イソオクチル、n-ノニル、n-デシル等が挙げられる。
「アルキル」の好ましい態様として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチルが挙げられる。さらに好ましい態様として、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、tert-ブチルが挙げられる。
【0011】
「ハロアルキル」とは、1以上の上記「ハロゲン」が上記「アルキル」に結合した基を意味する。例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、2-モノフルオロエチル、3-モノフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、モノクロロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、1,2-ジブロモエチル、1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル等が挙げられる。
「ハロアルキル」の好ましい態様として、ジフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、トリフルオロメチルが挙げられる。
【0012】
「ハロC1-C4アルキル」とは、1以上の上記「ハロゲン」が炭素数1~4の上記「アルキル」に結合した基を意味する。2以上のハロゲンで置換されている場合、該ハロゲンは同一であっても、異なっていてもよい。例えば、モノフルオロメチル、ジフルオロメチル、2-モノフルオロエチル、3-モノフルオロプロピル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピル、モノクロロメチル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、2,2,2-トリクロロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、1,2-ジブロモエチル、1,1,1-トリフルオロプロパン-2-イル、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチル等が挙げられる。
「ハロC1-C4アルキル」の好ましい態様として、ジフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、トリフルオロメチルが挙げられる。
【0013】
「アルキルオキシ」とは、上記「アルキル」が酸素原子に結合した基を意味する。例えば、メチルオキシ、エチルオキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n-ブチルオキシ、tert-ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec-ブチルオキシ、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-へキシルオキシ等が挙げられる。
「アルキルオキシ」の好ましい態様として、メチルオキシ、エチルオキシ、n-プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、tert-ブチルオキシが挙げられる。
【0014】
「ハロアルキルオキシ」とは、上記「ハロアルキル」が酸素原子に結合した基を意味する。例えば、ジフルオロメチルオキシ、2-モノフルオロエチルオキシ、3-モノフルオロプロピルオキシ、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2,2,2-トリフルオロエチルオキシ、2,2,2-トリクロロエチルオキシ、2,2,2-トリフルオロエチルオキシ、2,2-ジフルオロエチルオキシ、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルオキシ等が挙げられる。
「ハロアルキルオキシ」の好ましい態様として、ジフルオロメチルオキシ、2,2,2-トリフルオロエチルオキシ、2,2-ジフルオロエチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルオキシ、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルオキシが挙げられる。
【0015】
「ハロC1-C4アルキルオキシ」とは、上記「ハロC1-C4アルキル」が酸素原子に結合した基を意味する。例えば、ジフルオロメチルオキシ、2-モノフルオロエチルオキシ、3-モノフルオロプロピルオキシ、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2,2,2-トリフルオロエチルオキシ、2,2,2-トリクロロエチルオキシ、2,2,2-トリフルオロエチルオキシ、2,2-ジフルオロエチルオキシ、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルオキシ等が挙げられる。
「ハロC1-C4アルキルオキシ」の好ましい態様として、ジフルオロメチルオキシ、2,2,2-トリフルオロエチルオキシ、2,2-ジフルオロエチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルオキシ、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルオキシが挙げられる。
【0016】
「アルケニル」とは、任意の位置に1以上の二重結合を有する、炭素数2~15、好ましくは炭素数2~10、より好ましくは炭素数2~6、さらに好ましくは炭素数2~4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。例えば、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、イソブテニル、プレニル、ブタジエニル、ペンテニル、イソペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、イソヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル等が挙げられる。
「アルケニル」の好ましい態様として、ビニル、アリル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニルが挙げられる。
【0017】
「アルキニル」とは、任意の位置に1以上の三重結合を有する、炭素数2~10、好ましくは炭素数2~8、さらに好ましくは炭素数2~6、さらに好ましくは炭素数2~4の直鎖又は分枝状の炭化水素基を包含する。さらに任意の位置に二重結合を有していてもよい。例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル、ノニニル、デシニル等が挙げられる。
「アルキニル」の好ましい態様として、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニルが挙げられる。
【0018】
「芳香族炭素環式基」とは、単環または2環以上の、環状芳香族炭化水素基を意味する。例えば、フェニル、ナフチル、アントリル、フェナントリル等が挙げられる。
「芳香族炭素環式基」の好ましい態様として、フェニルが挙げられる。
【0019】
「芳香族炭素環」とは、上記「芳香族炭素環式基」から導かれる環を意味する。
【0020】
「非芳香族炭素環式基」とは、単環または2環以上の、環状飽和炭化水素基または環状非芳香族不飽和炭化水素基を意味する。2環以上の「非芳香族炭素環式基」は、単環または2環以上の非芳香族炭素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含する。
さらに、「非芳香族炭素環式基」は、以下のように架橋している基、またはスピロ環を形成する基も包含する。
【化7】

単環の非芳香族炭素環式基としては、炭素数3~16が好ましく、より好ましくは炭素数3~12、さらに好ましくは炭素数4~8である。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられる。
2環以上の非芳香族炭素環式基としては、炭素数8~20が好ましく、より好ましくは炭素数8~16である。例えば、インダニル、インデニル、アセナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル等が挙げられる。
【0021】
「非芳香族炭素環」とは、上記「非芳香族炭素環式基」から導かれる環を意味する。
【0022】
「芳香族複素環式基」とは、O、SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、単環または2環以上の、芳香族環式基を意味する。
2環以上の芳香族複素環式基は、単環または2環以上の芳香族複素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含し、該結合手はいずれの環に有していても良い。
単環の芳香族複素環式基としては、5~8員が好ましく、より好ましくは5員または6員である。5員芳香族複素環式基としては、例えば、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、オキサゾリル、オキサジアゾリル、イソチアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル等が挙げられる。6員芳香族複素環式基としては、例えば、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル等が挙げられる。
2環の芳香族複素環式基としては、8~10員が好ましく、より好ましくは9員または10員である。例えば、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、プリニル、プテリジニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンズオキサジアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イミダゾピリジル、トリアゾロピリジル、イミダゾチアゾリル、ピラジノピリダジニル、オキサゾロピリジル、チアゾロピリジル等が挙げられる。
3環以上の芳香族複素環式基としては、13~15員が好ましい。例えば、カルバゾリル、アクリジニル、キサンテニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、ジベンゾフリル等が挙げられる。
【0023】
「芳香族複素環」とは、上記「芳香族複素環式基」から導かれる環を意味する。
【0024】
「非芳香族複素環式基」とは、O、SおよびNから任意に選択される同一または異なるヘテロ原子を環内に1以上有する、単環または2環以上の、非芳香族環式基を意味する。2環以上の非芳香族複素環式基は、単環または2環以上の非芳香族複素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」、「非芳香族炭素環式基」、および/または「芳香族複素環式基」におけるそれぞれの環が縮合したもの、さらに、単環または2環以上の非芳香族炭素環式基に、上記「芳香族複素環式基」における環が縮合したものも包含し、該結合手はいずれの環に有していても良い。
さらに、「非芳香族複素環式基」は、以下のように架橋している基、またはスピロ環を形成する基も包含する。
【化8】

単環の非芳香族複素環式基としては、3~8員が好ましく、より好ましくは5員または6員である。
3員非芳香族複素環式基としては、例えば、チイラニル、オキシラニル、アジリジニルが挙げられる。4員非芳香族複素環式基としては、例えば、オキセタニル、アゼチジニルが挙げられる。5員非芳香族複素環式基としては、例えば、オキサチオラニル、チアゾリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、テトラヒドロフリル、ジヒドロチアゾリル、テトラヒドロイソチアゾリル、ジオキソラニル、ジオキソリル、チオラニル等が挙げられる。6員非芳香族複素環式基としては、例えば、ジオキサニル、チアニル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、モルホリノ、チオモルホリニル、チオモルホリノ、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロオキサジニル、テトラヒドロピリダジニル、ヘキサヒドロピリミジニル、ジオキサジニル、チイニル、チアジニル等が挙げられる。7員非芳香族複素環式基としては、例えば、ヘキサヒドロアゼピニル、テトラヒドロジアゼピニル、オキセパニルが挙げられる。
2環以上の非芳香族複素環式基としては、8~20員が好ましく、より好ましくは8~10員である。例えば、インドリニル、イソインドリニル、クロマニル、イソクロマニル等が挙げられる。
【0025】
「非芳香族複素環」とは、上記「非芳香族複素環式基」から導かれる環を意味する。
【0026】
「芳香族炭素環アルキル」とは、1以上の上記「芳香族炭素環式基」で置換されている上記「アルキル」を意味する。例えば、ベンジル、フェネチル、フェニルプロピル、ベンズヒドリル、トリチル、ナフチルメチル、以下に示される基
【化9】

等が挙げられる。
「芳香族炭素環アルキル」の好ましい態様としては、ベンジル、フェネチル、ベンズヒドリルが挙げられる。
【0027】
「芳香族複素環アルキル」とは、1以上の上記「芳香族複素環式基」で置換されている上記「アルキル」を意味する。例えば、ピリジルメチル、ピリジルエチル、ピリミジルメチル、フラニルメチル、イミダゾリルメチル、インドリルメチル、ベンゾチオフェニルメチル、オキサゾリルメチル、イソキサゾリルメチル、チアゾリルメチル、イソチアゾリルメチル、ピラゾリルメチル、イソピラゾリルメチル、ピロリジニルメチル、ベンズオキサゾリルメチル、以下に示される基
【化10】

等が挙げられる。
「芳香族複素環アルキル」の好ましい態様としては、ピリジルメチル、ピリミジルメチル、ピリジルエチルが挙げられる。
【0028】
「芳香族炭素環オキシ」とは、上記「芳香族炭素環」が酸素原子に結合した基を意味する。例えば、フェニルオキシ、ナフチルオキシ等が挙げられる。
【0029】
「非芳香族炭素環オキシ」とは、上記「非芳香族炭素環」が酸素原子に結合した基を意味する。例えば、シクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシ、シクロへキセニルオキシ等が挙げられる。
【0030】
「芳香族複素環オキシ」とは、上記「芳香族複素環」が酸素原子に結合した基を意味する。例えば、ピリジルオキシ、ピリミジルオキシ、オキサゾリルオキシ等が挙げられる。
【0031】
「非芳香族複素環オキシ」とは、上記「非芳香族複素環」が酸素原子に結合した基を意味する。例えば、ピペリジニルオキシ、テトラヒドロフリルオキシ、テトラヒドロピラニルオキシ等が挙げられる。
【0032】
「トリアルキルシリル」とは、上記「アルキル」3個がケイ素原子に結合している基を意味する。3個のアルキル基は同一でも異なっていてもよい。例えば、トリメチルシリル、トリエチルシリル、tert-ブチルジメチルシリル等が挙げられる。
【0033】
本明細書中、「置換基群αで置換されていてもよい」とは、「置換基群αから選択される1以上の基で置換されていてもよい」ことを意味する。置換基群β、γおよびγ’についても同様である。
【0034】
「置換アルキル」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、「置換アルキルオキシ」、「置換アルケニルオキシ」、「置換アルキニルオキシ」、「置換アルキルカルボニルオキシ」、「置換アルケニルカルボニルオキシ」、「置換アルキニルカルボニルオキシ」、「置換アルキルカルボニル」、「置換アルケニルカルボニル」、「置換アルキニルカルボニル」、「置換アルキルオキシカルボニル」、「置換アルケニルオキシカルボニル」、「置換アルキニルオキシカルボニル」、「置換アルキルスルファニル」、「置換アルケニルスルファニル」、「置換アルキニルスルファニル」、「置換アルキルスルフィニル」、「置換アルケニルスルフィニル」、「置換アルキニルスルフィニル」、「置換アルキルスルホニル」、「置換アルケニルスルホニル」、「置換アルキニルスルホニル」等の置換基としては、次の置換基群Aが挙げられる。任意の位置の炭素原子が次の置換基群Aから選択される1以上の基と結合していてもよい。
置換基群A:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、ホルミルオキシ、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、ペンタフルオロチオ、トリアルキルシリル、
置換基群αで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルホニル、
置換基群βで置換されていてもよいアミノ、置換基群βで置換されていてもよいイミノ、置換基群βで置換されていてもよいカルバモイル、置換基群βで置換されていてもよいスルファモイル、
置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルホニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルホニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルホニルおよび置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルホニル。
【0035】
置換基群α:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、アルキルオキシ、ハロアルキルオキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、スルファニル、およびシアノ。
【0036】
置換基群β:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換基群αで置換されていてもよいアルキル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルホニル、
置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルホニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルホニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルホニルおよび置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルホニル。
【0037】
置換基群γ:置換基群α、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルケニルカルボニル、およびアルキニルカルボニル。
【0038】
置換基群γ’:置換基群γおよびオキソ。
【0039】
「置換芳香族炭素環式基」、「置換芳香族複素環式基」、「置換芳香族炭素環オキシ」、「置換芳香族複素環オキシ」、「置換芳香族炭素環カルボニルオキシ」、「置換芳香族複素環カルボニルオキシ」、「置換芳香族炭素環カルボニル」、「置換芳香族複素環カルボニル」、「置換芳香族炭素環オキシカルボニル」、「置換芳香族複素環オキシカルボニル」、「置換芳香族炭素環スルファニル」、「置換芳香族複素環スルファニル」、「置換芳香族炭素環スルフィニル」、「置換芳香族複素環スルフィニル」、「置換芳香族炭素環スルホニル」および「置換芳香族複素環スルホニル」等の「芳香族炭素環」および「芳香族複素環」の環上の置換基としては、次の置換基群Bが挙げられる。環上の任意の位置の原子が次の置換基群Bから選択される1以上の基と結合していてもよい。
置換基群B:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、ホルミル、ホルミルオキシ、スルファニル、スルフィノ、スルホ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、ヒドラジノ、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、ペンタフルオロチオ、トリアルキルシリル、
置換基群αで置換されていてもよいアルキル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニルオキシ、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルオキシカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルホニル、
置換基群βで置換されていてもよいアミノ、置換基群βで置換されていてもよいイミノ、置換基群βで置換されていてもよいカルバモイル、置換基群βで置換されていてもよいスルファモイル、
置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシ、「置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニルオキシ」、「置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニルオキシ」、「置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニルオキシ」、および「置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニルオキシ」、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシ、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシ、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキルオキシアルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキルオキシアルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキルオキシアルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキルオキシアルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルホニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルホニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルホニルおよび置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルホニル。
【0040】
「置換非芳香族炭素環式基」、「置換非芳香族複素環式基」、「置換非芳香族炭素環オキシ」、「置換非芳香族複素環オキシ」、「置換非芳香族炭素環カルボニルオキシ」、「置換非芳香族複素環カルボニルオキシ」、「置換非芳香族炭素環カルボニル」、「置換非芳香族複素環カルボニル」、「置換非芳香族炭素環オキシカルボニル」、「置換非芳香族複素環オキシカルボニル」、「置換非芳香族炭素環スルファニル」、「置換非芳香族複素環スルファニル」、「置換非芳香族炭素環スルフィニル」、「置換非芳香族複素環スルフィニル」、「置換非芳香族炭素環スルホニル」、および「置換非芳香族複素環スルホニル」の「非芳香族炭素環」および「非芳香族複素環」の環上の置換基としては、次の置換基群Cが挙げられる。環上の任意の位置の原子が次の置換基群Cから選択される1以上の基と結合していてもよい。
置換基群C:置換基群Bおよびオキソ。
【0041】
「非芳香族炭素環」および「非芳香族複素環」が「オキソ」で置換されている場合、以下のように炭素原子上の2個の水素原子が置換されている環を意味する。
【化11】
【0042】
「置換アミノ」、「置換イミノ」、「置換カルバモイル」および「置換スルファモイル」の置換基としては、次の置換基群Dが挙げられる。置換基群Dから選択される1または2の基で置換されていてもよい。
置換基群D:ハロゲン、ヒドロキシ、カルボキシ、シアノ、置換基群αで置換されていてもよいアルキル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルカルボニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルファニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルフィニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルケニルスルホニル、置換基群αで置換されていてもよいアルキニルスルホニル、
置換基群βで置換されていてもよいアミノ、置換基群βで置換されていてもよいイミノ、置換基群βで置換されていてもよいカルバモイル、置換基群βで置換されていてもよいスルファモイル、
置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環式基、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環式基、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環アルキル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環アルキル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環カルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環カルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環オキシカルボニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルファニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルファニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルフィニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルフィニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族炭素環スルホニル、置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族炭素環スルホニル、置換基群γで置換されていてもよい芳香族複素環スルホニルおよび置換基群γ’で置換されていてもよい非芳香族複素環スルホニル。
【0043】
式(I)で示される化合物における、環A、R、R、n、R、RおよびRの好ましい態様を以下に示す。式(I)で示される化合物としては、以下に示される具体例のすべての組み合わせの態様が例示される。
環Aは、ベンゼン環または6員の芳香族複素環が挙げられる(以下、A-1とする。)。
環Aは、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環またはピリミジン環が挙げられる(以下、A-2とする。)。
環Aは、ベンゼン環、ピリジン環またはピリミジン環が挙げられる(以下、A-3とする。)。
環Aは、ベンゼン環またはピリジン環が挙げられる(以下、A-4とする。)。
【化12】

で示される基は、以下で示される基が挙げられる(以下、A-5とする。)。
【化13】

【化14】

で示される基は、以下で示される基が挙げられる(以下、A-6とする。)。
【化15】

【化16】

で示される基は、以下で示される基が挙げられる(以下、A-7とする。)。
【化17】
【0044】
は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の芳香族複素環式基が挙げられる。ただし、Rが、水素原子、ハロゲンまたはアルキルである時は、Rは置換もしくは非置換の芳香族炭素環アルキルまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環アルキルが挙げられる(以下、B-1とする。)。
は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の芳香族複素環式基が挙げられる(以下、B-2とする。)。
は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の芳香族複素環式基が挙げられる(以下、B-3とする。)。
は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシまたは置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基が挙げられる(以下、B-4とする。)。
は、置換もしくは非置換のアルキルまたは置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、B-5とする。)。
は、ハロアルキルまたはハロアルキルオキシが挙げられる(以下、B-6とする。)。
は、フッ素で置換されたアルキルまたはフッ素で置換されたアルキルオキシが挙げられる(以下、B-7とする。)。
は、置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、B-8とする。)。
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、B-9とする。)。
は、置換もしくは非置換の芳香族炭素環アルキルが挙げられる(以下、B-10とする。)。
は、置換もしくは非置換の芳香族複素環アルキルが挙げられる(以下、B-11とする。)。
【0045】
は、ハロゲン、シアノまたは置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、C-1とする。)。
は、ハロゲンまたは置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、C-2とする。)。
は、置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、C-3とする。)。
【0046】
nは、0~4の整数が挙げられる(以下、D-1とする。)。
nは、0~3の整数が挙げられる(以下、D-2とする。)。
nは、0~2の整数が挙げられる(以下、D-3とする。)。
nは、0または1の整数が挙げられる(以下、D-4とする。)。
nは、1が挙げられる(以下、D-5とする。)。
nは、0が挙げられる(以下、D-6とする。)。
【0047】
は、置換もしくは非置換のアルキルが挙げられる(以下、E-1とする。)。
は、アルキルが挙げられる(以下、E-2とする。)。
【0048】
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシが挙げられる(以下、F-1とする。)。
は、ハロアルキルオキシまたはアルキルオキシが挙げられる(以下、F-2とする。)。
は、アルキルオキシが挙げられる(以下、F-3とする。)。
【0049】
は、水素原子、シアノ、ハロゲンまたはアルキルが挙げられる(以下、G-1とする。)。
は、シアノ、ハロゲンまたはアルキルが挙げられる(以下、G-2とする。)。
は、シアノまたはハロゲンが挙げられる(以下、G-3とする。)。
は、シアノが挙げられる(以下、G-4とする。)。
【0050】
本発明化合物は、特に以下の式(i)~(vii)の態様が好ましい。
(i)式(I):
【化18】

(式中、環Aは、ベンゼン環または6員の芳香族複素環であり、
は、置換もしくは非置換の芳香族炭素環アルキルまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環アルキルであり、
は、ハロゲン、シアノまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、
nは、0~4の整数であり、
は、置換もしくは非置換のアルキルであり、
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシであり、
は、ハロゲンである。)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。

(ii)式(I):
【化19】

(式中、環Aは、ベンゼン環であり、
は、置換もしくは非置換の芳香族炭素環アルキルまたは置換もしくは非置換の芳香族複素環アルキルであり、
は、ハロゲン、シアノまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、
nは、0または1の整数であり、
は、置換もしくは非置換のアルキルであり、
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシであり、
は、ハロゲンである。)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。
【0051】
(iii)式(I):
【化20】

(式中、環Aは、ベンゼン環または6員の芳香族複素環であり、
は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の芳香族複素環式基であり、
は、ハロゲン、シアノまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、
nは、0~4の整数であり、
は、置換もしくは非置換のアルキルであり、
は、置換もしくは非置換のアルキルオキシであり、
は、シアノである。)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。
【0052】
(iv)式(I):
【化21】

(式中、環Aは、ベンゼン環または6員の芳香族複素環であり、
は、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の芳香族複素環式基であり、
は、ハロゲン、シアノまたは置換もしくは非置換のアルキルであり、
nは、0~4の整数であり、
は、アルキルであり、
は、アルキルオキシであり、
は、シアノである。)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。
【0053】
(v)式(I):
【化22】

(式中、
【化23】

で示される基は、
【化24】

(式中、Rは、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環オキシ、置換もしくは非置換の非芳香族複素環オキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の芳香族複素環式基であり、
は、アルキルであり、
nは、0または1の整数である。)であり、
は、アルキルであり、
は、アルキルオキシであり、
は、シアノである。)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。

(vi)式(I):
【化25】

(式中、
【化26】

で示される基は、
【化27】

(式中、Rは、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の芳香族複素環式基であり、
は、アルキルである。)であり、
は、アルキルであり、
は、アルキルオキシであり、
は、シアノである。)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。
(vii)式(I):
【化28】

(式中、
【化29】

は、
【化30】

(式中、Rは、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアルキルオキシ、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の芳香族複素環式基である。)であり、
は、アルキルであり、
は、アルキルオキシであり、
は、シアノである。)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩。
【0054】
式(I)で示される化合物は、特定の異性体に限定するものではなく、全ての可能な異性体(例えば、ケト-エノール異性体、イミン-エナミン異性体、ジアステレオ異性体、光学異性体、回転異性体等)、ラセミ体またはそれらの混合物を含む。
【0055】
式(I)で示される化合物の一つ以上の水素、炭素および/または他の原子は、それぞれ水素、炭素および/または他の原子の同位体で置換され得る。そのような同位体の例としては、それぞれH、H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F、123Iおよび36Clのように、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素および塩素が包含される。式(I)で示される化合物は、そのような同位体で置換された化合物も包含する。該同位体で置換された化合物は、医薬品としても有用であり、式(I)で示される化合物のすべての放射性標識体を包含する。また該「放射性標識体」を製造するための「放射性標識化方法」も本発明に包含され、該「放射性標識体」は、代謝薬物動態研究、結合アッセイにおける研究および/または診断のツールとして有用である。
【0056】
式(I)で示される化合物の放射性標識体は、当該技術分野で周知の方法で調製できる。例えば、式(I)で示されるトリチウム標識化合物は、トリチウムを用いた触媒的脱ハロゲン化反応によって、式(I)で示される特定の化合物にトリチウムを導入することで調製できる。この方法は、適切な触媒、例えばPd/Cの存在下、塩基の存在下または非存在下で、式(I)で示される化合物が適切にハロゲン置換された前駆体とトリチウムガスとを反応させることを包含する。トリチウム標識化合物を調製するための他の適切な方法は、“Isotopes in the Physical and Biomedical Sciences,Vol.1,Labeled Compounds (Part A),Chapter 6 (1987年)”を参照することができる。14C-標識化合物は、14C炭素を有する原料を用いることによって調製できる。
【0057】
式(I)で示される化合物の製薬上許容される塩としては、例えば、式(I)で示される化合物と、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム等)、マグネシウム、遷移金属(例えば、亜鉛、鉄等)、アンモニア、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、エチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン等)およびアミノ酸との塩、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸、ヨウ化水素酸等)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)との塩が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
【0058】
本発明の式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩は、溶媒和物(例えば、水和物等)、共結晶および/または結晶多形を形成する場合があり、本発明はそのような各種の溶媒和物、共結晶および結晶多形も包含する。「溶媒和物」は、式(I)で示される化合物に対し、任意の数の溶媒分子(例えば、水分子等)と配位していてもよい。式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、大気中に放置することにより、水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。また、式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、再結晶することで結晶多形を形成する場合がある。「共結晶」は、式(I)で示される化合物または塩とカウンター分子が同一結晶格子内に存在することを意味し、任意の数のカウンター分子を含んでいても良い。
【0059】
本発明の式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩は、プロドラッグを形成する場合があり、本発明はそのような各種のプロドラッグも包含する。プロドラッグは、化学的又は代謝的に分解できる基を有する本発明化合物の誘導体であり、加溶媒分解により又は生理学的条件下でインビボにおいて薬学的に活性な本発明化合物となる化合物である。プロドラッグは、生体内における生理条件下で酵素的に酸化、還元、加水分解等を受けて式(I)で示される化合物に変換される化合物、胃酸等により加水分解されて式(I)で示される化合物に変換される化合物等を包含する。適当なプロドラッグ誘導体を選択する方法および製造する方法は、例えば “Design of Prodrugs, Elsevier, Amsterdam, 1985”に記載されている。プロドラッグは、それ自身が活性を有する場合がある。
【0060】
式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩がヒドロキシル基を有する場合は、例えば、ヒドロキシル基を有する化合物と適当なアシルハライド、適当な酸無水物、適当なスルホニルクロライド、適当なスルホニルアンハイドライド及びミックスドアンハイドライドとを反応させることにより或いは縮合剤を用いて反応させることにより製造されるアシルオキシ誘導体やスルホニルオキシ誘導体のようなプロドラッグが例示される。例えば、CHCOO-、CCOO-、tert-BuCOO-、C1531COO-、PhCOO-、(m-NaOOCPh)COO-、NaOOCCHCHCOO-、CHCH(NH)COO-、CHN(CHCOO-、CHSO-、CHCHSO-、CFSO-、CHFSO-、CFCHSO-、p-CHO-PhSO-、PhSO-、p-CHPhSO-が挙げられる。
【0061】
本発明に係る化合物は、抗マラリア作用を有するため、マラリアの治療剤および/または予防剤として有用である。
【0062】
(本発明の化合物の製造法)
本発明に係る式(I)で示される化合物は、例えば、下記に示す一般的合成法によって製造することができる。抽出、精製等は、通常の有機化学の実験で行う処理を行えばよい。
本発明の化合物は、当該分野において公知の手法を参考にしながら合成することができる。
【0063】
(A法)
【化31】

(式中、Xはハロゲン(臭素原子、ヨウ素原子等)であり、Lは脱離基(臭素原子、ヨウ素原子、スクシンイミジル基等)であり、Pはフェノール性水酸基の適切な保護基であり、L’は脱離基(臭素原子、ヨウ素原子、メタンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等)であり、その他の記号は前記と同意義である。)

工程1
市販または公知の方法により調製できる化合物(a-1)をエタノール、トルエン、ジオキサン等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、酢酸、パラトルエンスルホン酸、過塩素酸亜鉛等の酸の共存下、アセト酢酸エチル(a-2)と、50℃~120℃、好ましくは60℃~90℃にて1時間~24時間、好ましくは3時間~12時間反応させることにより、イミン中間体を形成させることができる。そのイミン中間体に対し、イートン試薬、ポリリン酸等の酸性の脱水剤を加え、50~120℃、好ましくは、70~100℃で、0.5時間~12時間、好ましくは1時間~3時間反応させることにより、化合物(a-3)を得ることが出来る。化合物がこれらの条件に不安定な場合は、イミン中間体をジフェニルエーテル、ニトロベンゼン等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、200~250℃で反応させることにより、化合物(a-3)を得ることが出来る。

工程2
化合物(a-3)をジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、炭酸カリウム、リン酸三カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、n-ブチルアミン等の塩基の存在下、ヨウ素、臭素、N-ヨードスクシンイミド、N-ブロモスクシンイミド等のハロゲン化剤(a-4)と、0℃~100℃、好ましくは10~50℃で0.5時間~24時間、好ましくは1~6時間反応させることにより、化合物(a-5)を得ることが出来る。

工程3
化合物(a-5)をジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、炭酸カリウム、リン酸三カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、臭化ベンジル、ヨードエタン等のアルキル化剤(a-6)と、20℃~100℃、好ましくは50~80℃で0.5時間~24時間、好ましくは1~6時間反応させることにより、化合物(a-7)を得ることが出来る。

工程4
化合物(a-7)をジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエン、ジオキサン、水等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム、ジクロロビスジフェニルホスフィノフェロセンパラジウム、ジクロロビスジ-t-ブチルホスフィノフェロセンパラジウム等の遷移金属触媒、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸三カリウム、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の塩基の存在下、市販または公知の方法により調製できる化合物(a-8)と、50℃~150℃、好ましくは80℃~120℃で、0.5時間~24時間、好ましくは1時間~3時間反応させることにより、化合物(a-9)を得ることが出来る。

工程5
化合物(a-9)を酢酸、トリフルオロ酢酸、水、エタノール、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、テトラヒドロフラン等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、臭化水素酸、塩酸、メタンスルホン酸、三フッ化ホウ素等の酸の存在下、10℃~140℃、好ましくは20℃~120℃で反応させることにより、化合物(I-a)を得ることが出来る。
【0064】
(B法)
【化32】

(式中、各記号は前記と同意義である。)

工程1
市販または公知の方法により調製できる化合物(a-1)をエタノール、トルエン、ジオキサン等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、化合物(b-1)と、20℃~140℃、好ましくは80℃~120℃にて1時間~24時間、好ましくは3時間~6時間反応させることにより、イミン中間体を形成させることができる。そのイミン中間体を、ジフェニルエーテル、ニトロベンゼン等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、150~250℃、好ましくは180~220℃で反応させることにより、化合物(b-2)を得ることが出来る。

工程2
上記A法の工程2~工程5に記載の方法と同様にして、化合物(b-2)から化合物(I-b)を得ることができる。
【0065】
(C法)
【化33】

(式中、Rは置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の芳香族複素環式基であり、その他の各記号は前記と同意義である。)

工程1
上記A法の工程1~工程4およびB法の工程1に記載の方法により調製できる化合物(c-1)を、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の塩基存在下、塩化メタンスルホニルと、-20℃~80℃、好ましくは0℃~60℃で、0.5時間~72時間、好ましくは3時間~24時間反応させることで、化合物(c-2)を得ることが出来る。

工程2
化合物(c-2)を、トルエン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、ジクロロビスt-ブチルホスフィノフェロセンパラジウム、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム等の遷移金属触媒、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸三カリウム、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の塩基の存在下、市販または公知の方法により調製できる化合物(c-3)と、50℃~120℃、好ましくは70℃~100℃で、0.5時間~12時間、好ましくは1時間~3時間反応させることにより、化合物(c-4)を得ることが出来る。

工程3
上記A法の工程5に記載の方法と同様にして、化合物(c-4)から化合物(I-c)を得ることができる。
【0066】
(D法)
【化34】

(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基、置換もしくは非置換の芳香族複素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり、Yは炭素原子または窒素原子であり、その他の各記号は前記と同意義である。)

工程1
市販または公知の方法により調製できる化合物(d-2)を、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、ナトリウムt-ブチルブトキシド、炭酸カリウム、リン酸三カリウム等の塩基存在下、上記A法の工程1~工程4およびB法の工程1に記載した手法により合成した化合物(d-1)と、0℃~100℃、好ましくは20℃~70℃で、0.5時間~24時間、好ましくは0.5時間~3時間反応させることにより、化合物(d-3)を得ることが出来る。

工程2
上記A法の工程5に記載の方法と同様にして、化合物(d-3)から化合物(I-d)を得ることができる。
【0067】
(E法)
【化35】

(式中、Rは置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換の非芳香族炭素環式基または置換もしくは非置換の非芳香族複素環式基であり、その他の各記号は前記と同意義である。)

工程1
上記A法の工程1~工程4およびB法の工程1に記載した手法により合成した化合物(e-1)を、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸三カリウム、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の塩基存在下、市販または公知の方法により調製できる化合物(e-2)と、-10℃~120℃、好ましくは、20℃~80℃で0.5時間~48時間、好ましくは1時間~12時間反応させることにより、化合物(e-3)を得ることが出来る。

工程2
上記A法の工程5に記載の方法と同様にして、化合物(e-3)から化合物(I-e)を得ることができる。
【0068】
(F法)
【化36】

(式中の各記号は前記と同意義である。)

工程1
上記A法の工程1~工程4およびB法の工程1に記載した手法により合成した化合物(e-1)を、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、ジオキサン、ジクロロメタン等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、トリフェニルホスフィン、市販または公知の方法により調製できる化合物(f-1)存在下、アゾジカルボン酸ジイソプロピルと、-10℃~70℃、好ましくは、0℃~50℃で0.5時間~24時間、好ましくは1時間~6時間反応させることにより、化合物(f-2)を得ることが出来る。

工程2
上記A法の工程5に記載の方法と同様にして、化合物(f-2)から化合物(I-f)を得ることができる。
【0069】
(G法)
【化37】

(式中の各記号は前記と同意義である。)

工程1
上記A法の工程1~工程4およびB法の工程1に記載した手法により合成した化合物(e-1)を、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、テトラヒドロフラン等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、炭酸カリウム、リン酸三カリウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の塩基存在下、無水トリフルオロメタンスルホン酸と、-20℃~50℃、好ましくは、0℃~20℃で0.5時間~6時間、好ましくは0.5時間~2時間反応させることにより、化合物(g-1)を得ることが出来る。

工程2
化合物(g-1)を、トルエン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、水、エタノール等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、ジクロロビスt-ブチルホスフィノフェロセンパラジウム、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム等の遷移金属触媒、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、リン酸三カリウム、トリエチルアミン、ジアザビシクロウンデセン等の塩基の存在下、市販または公知の方法により調製できる化合物(g-2)と、50℃~120℃、好ましくは70℃~100℃で、0.5時間~12時間、好ましくは1時間~3時間反応させることにより、化合物(g-3)を得ることが出来る。

工程3
上記A法の工程5に記載の方法と同様にして、化合物(g-3)から化合物(I-g)を得ることができる。
【0070】
(H法)
【化38】

(式中の各記号は前記と同意義である。)

工程1
上記A法の工程1~工程4およびB法の工程1に記載した手法により合成した化合物(c-1)を、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、トルエン、ジオキサン、ジクロロメタン等の溶媒またはそれらの混合溶媒中、トリフェニルホスフィン、市販または公知の方法により調製できる芳香族アルコール化合物(f-1)存在下、アゾジカルボン酸ジイソプロピルと、-10℃~70℃、好ましくは、0℃~50℃で0.5時間~24時間、好ましくは1時間~6時間反応させることにより、化合物(h-1)を得ることが出来る。

工程2
上記A法の工程5に記載の方法と同様にして、化合物(h-1)から化合物(I-h)を得ることができる。
【0071】
本発明に係る化合物は、抗マラリア作用を有し、マラリアの治療剤および/または予防剤として有用である。
さらに本発明化合物は、医薬としての有用性を備えており、好ましくは、下記のいずれか、または複数の優れた特徴を有している。
a)CYP酵素(例えば、CYP1A2、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP3A4等)に対する阻害作用が弱い。
b)高いバイオアベイラビリティー、適度なクリアランス、適度な血中濃度半減期等良好な薬物動態を示す。
c)代謝安定性が高い。
d)CYP酵素(例えば、CYP3A4)に対し、本明細書に記載する測定条件の濃度範囲内で不可逆的阻害作用を示さない。
e)変異原性を有さない。
f)心血管系のリスクが低い。
g)高い溶解性を示す。
【0072】
本発明化合物を含有する医薬組成物は、経口的、非経口的のいずれの方法でも投与することができる。非経口投与の方法としては、経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経粘膜、吸入、経鼻、点眼、点耳、膣内投与等が挙げられる。
【0073】
経口投与の場合は常法に従って、内用固形製剤(例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、フィルム剤等)、内用液剤(例えば、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、酒精剤、芳香水剤、エキス剤、煎剤、チンキ剤等)等の通常用いられるいずれの剤型に調製して投与すればよい。錠剤は、糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、徐放錠、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、チュアブル錠または口腔内崩壊錠であってもよく、散剤および顆粒剤はドライシロップであってもよく、カプセル剤は、ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤または徐放性カプセル剤であってもよい。
【0074】
非経口投与の場合は、注射剤、点滴剤、外用剤(例えば、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、エアゾール剤、吸入剤、ローション剤、注入剤、塗布剤、含嗽剤、浣腸剤、軟膏剤、硬膏剤、ゼリー剤、クリーム剤、貼付剤、パップ剤、外用散剤、坐剤等)等の通常用いられるいずれの剤型でも好適に投与することができる。注射剤は、O/W、W/O、O/W/O、W/O/W型等のエマルジョンであってもよい。
【0075】
本発明化合物の有効量にその剤型に適した賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の各種医薬用添加剤を必要に応じて混合し、医薬組成物とすることができる。さらに、該医薬組成物は、本発明化合物の有効量、剤型および/または各種医薬用添加剤を適宜変更することにより、小児用、高齢者用、重症患者用または手術用の医薬組成物とすることもできる。例えば、小児用医薬組成物は、新生児(出生後4週未満)、乳児(出生後4週~1歳未満)幼児(1歳以上7歳未満)、小児(7歳以上15歳未満)若しくは15歳~18歳の患者に投与されうる。例えば、高齢者用医薬組成物は、65歳以上の患者に投与されうる。
【0076】
本発明化合物を含有する医薬組成物の投与量は、患者の年齢、体重、疾病の種類や程度、投与経路等を考慮した上で設定することが望ましいが、経口投与する場合、通常0.05~100mg/kg/日であり、好ましくは0.1~10mg/kg/日の範囲内である。非経口投与の場合には投与経路により大きく異なるが、通常0.005~10mg/kg/日であり、好ましくは0.01~1mg/kg/日の範囲内である。これを1日1回~数回に分けて投与すれば良い。
【0077】
本発明化合物は、該化合物の作用の増強または該化合物の投与量の低減等を目的として、他の薬剤(例えば、抗マラリア薬等。他の薬剤は複数であってもよい。(以下、併用薬剤と称する。))と組み合わせて用いることができる。この際、本発明化合物と併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、本発明化合物と併用薬剤とは、それぞれの活性成分を含む2種類以上の製剤として投与されてもよいし、それらの活性成分を含む単一の製剤として投与されてもよい。
【0078】
併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。また、本発明化合物と併用薬剤の配合比は、投与対象、投与ルート、対象疾患、症状、組み合わせ等により適宜選択することができる。例えば、投与対象がヒトである場合、本発明化合物1重量部に対し、併用薬剤を0.01~100重量部用いればよい。
【実施例0079】
以下に実施例および参考例、ならびに試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
【0080】
また、本明細書中で用いる略語は以下の意味を表す。
CDCl:重クロロホルム
DMSO-d:重ジメチルスルホキシド
PdCl(dtbpf):[1,1’-ビス(ジ-tert-ブチルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド
PdCl(dppf):[1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ]フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド
【0081】
(化合物の同定方法)
各実施例で得られたNMR分析は400MHzで行い、DMSO-d、CDClを用いて測定した。また、NMRデータを示す場合は、測定した全てのピークを記載していない場合が存在する。
LC/MS:液体クロマトグラフィー/質量分析は、以下の条件で測定した。
(測定条件1)
カラム:ACQUITY UPLC(登録商標)BEH C18 (1.7μm i.d.2.1x50mm) (Waters)
流速:0.8mL/分
UV検出波長:254nm
移動相:[A]は0.1%ギ酸含有水溶液、[B]は0.1%ギ酸含有アセトニトリル溶液
グラジエント:3.5分間で5%-100%溶媒[B]のリニアグラジエントを行った後、0.5分間、100%溶媒[B]を維持した。
なお、明細書中、[M+H]との記載は、質量分析で観測された値を示す。
【0082】
参考例1 化合物Zの合成
【化39】

工程1 化合物3の合成
市販の化合物1(96mg、0.647mmol)をトルエン(1.4mL)に懸濁し、市販の化合物2(140mg、0.647mmol)を加え、120℃で3時間撹拌した。反応液を濃縮し、ジフェニルエーテル(0.4mL)を加え、200℃で30分間攪拌した。反応液を室温に冷却し、得られた固体をろ取することで化合物3(65mg、収率47%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:2.32 (s, 3H), 3.97 (s, 3H), 5.92 (s, 1H), 7.01 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 11.76 (s, 1H).

工程2 化合物4の合成
化合物3(23.5g、110mmol)をジメチルホルムアミド(100mL)に懸濁し、炭酸カリウム(45.5g、329mmol)、ヨウ素(41.8g、165mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液(300mL)を加え、得られた固体をろ過し、水、ジイソプロピルエーテルで洗浄し乾燥することで化合物4(30.1g、収率80%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:2.61 (s, 3H), 3.98 (s, 3H), 7.03 (s, 1H), 8.32 (s, 1H).

工程3 化合物Zの合成
化合物4(5.0g、14.7mmol)をジメチルホルムアミド(50mL)に懸濁し、炭酸カリウム(4.06g、29.4mmol)、臭化ベンジル(2.62mL、22.1mmol)を加え、50℃で3時間撹拌した。水、酢酸エチルを加え、得られた固体をろ過し、水、酢酸エチルで洗浄し乾燥することで化合物Z(4.6g、収率73%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:2.98 (s, 3H), 4.03 (s, 3H), 5.17(s, 2H), 7.39 (s, 1H), 7.45(m, 3H), 7.54 (m, 2H), 8.14 (s, 1H).
【0083】
参考例2 化合物Yの合成
【化40】

工程1 化合物6の合成
市販の化合物1(643mg、4.34mmol)をトルエン(5mL)に懸濁し、市販の化合物5(1g、4.34mmol)を加え、100℃で1時間撹拌した。反応液を濃縮し、ジイソプロピルエーテルで洗浄し、ろ取した。得られた残渣にジフェニルエーテル(10mL)を加え、200℃で20分間攪拌した。室温に冷却し、ジイソプロピルエーテル、酢酸エチルを加え、得られた固体をろ取することで化合物6(713mg、収率72%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.24(t, J = 7.6Hz, 3H), 2.60 (q, J = 7.5Hz, 2H), 3.98 (s, 3H), 5.94 (s, 1H), 7.06 (s, 1H), 8.27 (s, 1H), 11.65 (s, 1H).

工程2 化合物7の合成
化合物6(538mg、2.36mmol)をジメチルホルムアミド(5mL)に懸濁し、炭酸カリウム(977mg、7.07mmol)、ヨウ素(1.2g、4.71mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。飽和チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、得られた固体をろ過し、水、酢酸エチルで洗浄し乾燥することで化合物7(597mg、収率71%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.24(t, J = 7.6Hz, 3H), 2.89 (q, J = 7.5Hz, 2H), 3.98 (s, 3H), 7.07 (s, 1H), 8.32 (s, 1H).

工程3 化合物Yの合成
化合物7(10.2g、28.8mmol)をジメチルホルムアミド(100mL)に懸濁し、炭酸カリウム(7.96g、57.6mmol)、臭化ベンジル(5.42mL、45.6mmol)を加え、50℃で2時間撹拌した。水を加え、得られた固体をろ取した。ろ液に水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、減圧濃縮した。得られた残渣を、先に得られたろ物と合わせてジクロロメタンに溶解し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル、その後クロロホルム-メタノール)で精製することで、化合物Y(7.6g、収率59%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.40(t, J = 7.5Hz, 3H), 3.23 (q, J = 7.5Hz, 2H), 4.04 (s, 3H), 5.16(s, 2H), 7.44-7.47 (m, 4H), 7.54-7.56 (m, 2H), 8.15 (s, 1H).
【0084】
実施例1 化合物I-025の合成
【化41】

工程1 化合物8の合成
化合物Y(合成法は参考例2に記載)(90mg、0.203mmol)、PdCl(dtbpf)(6.6mg、0.010mmol)、4-ヒドロキシメチル-2-メチルフェニルボロン酸(40mg、0.243mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に懸濁し、2mol/L炭酸カリウム水溶液(0.30mL、0.608mmol)を加え、窒素雰囲気下、マイクロウェーブ照射下、100℃で1時間撹拌した。酢酸エチル、飽和食塩水を加えて抽出後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物8(62mg、収率70%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=2.31分、[M+H]=439

工程2 化合物9の合成
化合物8(62mg、0.141mmol)をジクロロメタン(0.7mL)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(24mg、0.184mmol)を加えた。氷冷下、メタンスルホニルクロリド(18mg、0.156mmol)を加え、室温で3時間攪拌した。さらに室温で68時間静置した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物9(44mg、収率68%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=3.15分、[M+H]=457

工程3 化合物10の合成
化合物9(42mg、0.092mmol)、4-トリフルオロメトキシフェニルボロン酸(28mg、0.138mmol)、酢酸パラジウム(1mg、0.004mmol)、トリフェニルホスフィン(2.4mg、0.009mmol)、リン酸三カリウム(59mg、0.276mmol)をトルエン(0.5mL)に懸濁し、マイクロウェーブ照射下、100℃で1時間撹拌した。4-トリフルオロメトキシフェニルボロン酸(15mg)、酢酸パラジウム(1mg)、トリフェニルホスフィン(2.4mg)を加え、さらにマイクロウェーブ照射下、100℃で1時間撹拌した。酢酸エチル、飽和食塩水を加えて不溶物をろ過し、ろ液から有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、化合物10(28mg、収率52%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=3.36分、[M+H]=583

工程4 化合物I-025の合成
化合物10(51mg、0.088mmol)を酢酸(0.8mL)、臭化水素酸(47%)(0.2mL)に溶解し、室温で24時間撹拌した。飽和炭酸カリウム水溶液、ジイソプロピルエーテルを加え、得られた固体をろ取し、水、酢酸エチルで洗浄後、乾燥することで化合物I-025(24mg、収率56%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.06 (t, J = 7.5Hz, 3H), 1.99 (s, 3H), 2.24 (m, 1H), 2.42 (m, 1H), 3.99 (s, 2H), 4.00 (s, 3H), 6.97 (d, J = 7.7Hz, 1H), 7.07 (d, J = 7.5Hz, 1H), 7.12 (s, 1H), 7.16 (bs, 1H), 7.31 (d, J = 8.2Hz, 2H), 7.42 (d, J = 8.5Hz, 2H), 8.29 (s, 1H), 11.72 (s, 1H).
【0085】
実施例2 化合物I-001の合成
【化42】

工程1 化合物12の合成
化合物11(合成法はWO2012167237A2に記載)(300mg、0.794mmol)、PdCl(dppf)(29mg、0.040mmol)、4-ヒドロキシメチルフェニルボロン酸(157mg、1.03mmol)をテトラヒドロフラン(2.5mL)に懸濁し、2mol/L炭酸カリウム水溶液(1.2mL、2.4mmol)を加え、窒素雰囲気下、マイクロウェーブ照射下、100℃で1時間撹拌した。酢酸エチル、飽和食塩水を加えて抽出後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物12(290mg、収率100%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=1.74分、[M+H]=358

工程2 化合物13の合成
化合物12(262mg、0.732mmol)をジクロロメタン(4mL)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(123mg、0.952mmol)を加えた。氷冷下、メタンスルホニルクロリド(92mg、0.805mmol)を加え、室温で40時間攪拌し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物13(240mg、収率87%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=2.35分、[M+H]=376

工程3 化合物14の合成
化合物13(23mg、0.061mmol)、4-トリフルオロメトキシフェニルボロン酸(20mg、0.098mmol)、酢酸パラジウム(0.7mg、0.003mmol)、トリフェニルホスフィン(1.6mg、0.006mmol)、リン酸三カリウム(26mg、0.122mmol)をトルエン(0.5mL)に懸濁し、マイクロウェーブ照射下、80℃で1時間撹拌した。4-トリフルオロメトキシフェニルボロン酸(20mg)、酢酸パラジウム(1mg)、トリフェニルホスフィン(1.6mg)を加え、さらにマイクロウェーブ照射下、80℃で1時間撹拌した。酢酸エチル、飽和食塩水を加えて抽出後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、化合物14(28mg、収率91%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=3.22分、[M+H]=502

工程4 化合物I-001の合成
化合物14(28mg、0.056mmol)を酢酸(0.3mL)、臭化水素酸(47%)(0.3mL)に溶解し、100℃で7時間撹拌した。さらに105℃で3時間攪拌した後、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液、飽和重曹水を加えた。得られた固体をろ取し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、化合物I-001(12mg、収率45%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 2.19 (s, 3H), 3.96 (s, 3H), 4.01 (s, 2H), 7.06 (s, 1H), 7.16 (d, J = 8.0Hz, 2H), 7.25 (d, J = 8.0Hz, 2H), 7.30 (d, J = 8.3Hz, 2H), 7.41 (d, J = 8.5Hz, 2H), 7.98 (s, 1H), 11.62 (s, 1H).
【0086】
実施例3 化合物I-014の合成
【化43】

工程1 化合物15の合成
化合物Y(合成法は参考例2に記載)(200mg、0.450mmol)、PdCl(dtbpf)(15mg、0.023mmol)、6-フルオロ-2-メチルピリジン-3-ボロン酸(105mg、0.675mmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に懸濁し、2mol/L炭酸カリウム水溶液(0.7mL、1.4mmol)を加え、窒素雰囲気下、マイクロウェーブ照射下、100℃で1時間撹拌した。酢酸エチル、飽和食塩水を加えて抽出後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物15(113mg、収率59%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=2.44分、[M+H]=428

工程2 化合物16の合成
2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノール(119mg、0.793mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、氷冷下、水素化ナトリウム(60%オイル)(26mg、0.661mmol)を加え、5分間攪拌した。氷冷下、化合物15(113mg、0.264mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1mL)を加え、55℃で4時間攪拌した。酢酸エチル、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え抽出し、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物16(142mg、収率96%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=3.14分、[M+H]=558

工程3 化合物I-014の合成
化合物16(142mg、0.255mmol)を酢酸(0.4mL)、臭化水素酸(47%)(0.15mL)に溶解し、室温で20分間攪拌した。さらに55℃で30分間撹拌し、飽和重曹水、酢酸エチルを加え抽出後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、化合物I-014(102mg、収率86%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 1.07 (t, J = 7.6Hz, 3H), 2.17 (s, 3H), 2.30 (m, 1H), 2.45 (m, 1H), 4.01 (s, 3H), 5.11 (m, 2H), 6.83 (d, J = 8.3Hz, 1H), 7.14 (s, 1H), 7.49 (d, J = 8.2Hz, 1H), 8.32 (s, 1H), 11.91 (s, 1H).
【0087】
実施例4 化合物I-057の合成
【化44】

工程1 化合物17の合成
化合物Z(合成法は参考例1に記載)(150mg、0.349mmol)、PdCl(dtbpf)(22.7mg、0.035mmol)、6-フルオロ-2-メチルピリジン-3-ボロン酸(64.8mg、0.418mmol)、炭酸カリウム(96mg、0.697mmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に懸濁し、水(0.35mL)を加え、マイクロウェーブ照射下、100℃で3時間撹拌した。酢酸エチル、飽和食塩水を加えて抽出後、有機層に硫酸マグネシウムを加え、ろ過し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物17(40mg、収率27.7%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=2.21分、[M+H]=414

工程2 化合物18の合成
2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブタノール(48mg、0.239mmol)をテトラヒドロフラン(0.5mL)に溶解し、氷冷下、水素化ナトリウム(60%オイル)(8mg、0.200mmol)を加え、5分間攪拌した。氷冷下、化合物17(33mg、0.080mmol)のテトラヒドロフラン溶液(0.3mL)を加え、55℃で5時間攪拌した。酢酸エチル、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え抽出し、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物18(37mg、収率78%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=3.04分、[M+H]=594

工程3 化合物I-057の合成
化合物18(37mg、0.062mmol)を酢酸(0.3mL)、臭化水素酸(47%)(0.1mL)に溶解し、室温で5時間撹拌した。飽和重曹水を加え、得られた固体をろ取し、化合物I-057(27mg、収率86%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 2.11 (s, 3H), 2.17 (s, 3H), 4.00 (s, 3H), 5.14 (m, 2H), 6.82 (d, J = 8.3Hz, 1H), 7.07 (s, 1H), 7.48 (d, J = 8.3Hz, 1H), 8.32 (s, 1H), 11.94 (s, 1H).
【0088】
実施例5 化合物I-026の合成
【化45】

工程1 化合物19の合成
化合物Y(合成法は参考例2に記載)(200mg、0.450mmol)、PdCl(dtbpf)(15mg、0.023mmol)、6-フルオロ-4-メチルピリジン-3-ボロン酸(105mg、0.675mmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に懸濁し、2mol/L炭酸カリウム水溶液(0.7mL、1.4mmol)を加え、窒素雰囲気下、マイクロウェーブ照射により100℃で1時間撹拌した。酢酸エチル、飽和食塩水を加えて抽出後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物19(89mg、収率46%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=2.46分、[M+H]=428

工程2 化合物20の合成
2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロパノール(109mg、0.729mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に溶解し、氷冷下、水素化ナトリウム(60%オイル)(25mg、0.625mmol)を加え、5分間攪拌した。氷冷下、化合物19(89mg、0.208mmol)のテトラヒドロフラン溶液(1mL)を加え、55℃で4時間攪拌した。酢酸エチル、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え抽出し、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物20(81mg、収率70%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=3.09分、[M+H]=558

工程3 化合物I-026の合成
化合物20(81mg、0.145mmol)を酢酸(0.4mL)、臭化水素酸(47%)(0.1mL)に溶解し、室温で20分間攪拌した。さらに55℃で20分間撹拌し、飽和重曹水、酢酸エチルを加え、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、化合物I-026(60mg、収率88%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 1.09 (t, J = 7.6Hz, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.29 (m, 1H), 2.45 (m, 1H), 4.01 (s, 3H), 5.10 (m, 2H), 6.95 (s, 1H), 7.14 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 8.31 (s, 1H), 11.94 (s, 1H).
【0089】
実施例6 化合物I-056の合成
【化46】

工程1 化合物21の合成
化合物Z(200mg、0.465mmol)、PdCl(dtbpf)(15mg、0.023mmol)、6-フルオロ-4-メチルピリジン-3-ボロン酸(122mg、0.790mmol)をテトラヒドロフラン(2mL)に懸濁し、2mol/L炭酸カリウム水溶液(0.7mL、1.4mmol)を加え、窒素雰囲気下、マイクロウェーブ照射下、100℃で1時間撹拌した。酢酸エチル、飽和食塩水を加えて抽出後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物21(78mg、収率40%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=2.19分、[M+H]=414

工程2 化合物22の合成
2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブタノール(113mg、0.556mmol)をテトラヒドロフラン(0.3mL)に溶解し、氷冷下、水素化ナトリウム(60%オイル)(19mg、0.472mmol)を加え、室温で15分間攪拌した。室温下、化合物21(78mg、0.189mmol)のテトラヒドロフラン溶液(0.4mL)を加え、55℃で30分間、60℃で40分間攪拌した。酢酸エチル、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え抽出し、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物22(90mg、収率80%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=3.13分、[M+H]=594

工程3 化合物I-056の合成
化合物22(90mg、0.152mmol)を酢酸(0.5mL)、臭化水素酸(47%)(0.15mL)に溶解し、室温で7時間攪拌した。飽和重曹水、酢酸エチルを加え、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、化合物I-056(65mg、収率85%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 2.05 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 4.01 (s, 3H), 5.13 (m, 2H), 6.94 (s, 1H), 7.08 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 11.97 (s, 1H).
【0090】
実施例7 化合物I-035の合成
【化47】

工程1 化合物23の合成
2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブタノール(82mg、0.409mmol)をテトラヒドロフラン(0.5mL)に溶解し、氷冷下、水素化ナトリウム(60%オイル)(14mg、0.351mmol)を加え、5分間攪拌した。氷冷下、化合物19(合成法は実施例5に記載)(50mg、0.117mmol)のテトラヒドロフラン溶液(0.5mL)を加え、55℃で2時間攪拌した。酢酸エチル、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え抽出し、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物23(66mg、収率93%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=3.25分、[M+H]=608

工程2 化合物I-035の合成
化合物23(66mg、0.109mmol)を酢酸(0.5mL)、臭化水素酸(47%)(0.15mL)に溶解し、55℃で1時間撹拌した。飽和重曹水を加え、得られた固体をろ取し、化合物I-035(50mg、収率89%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ: 1.09 (t, J = 7.6Hz, 3H), 2.05 (s, 3H), 2.30 (m, 1H), 2.45 (m, 1H), 4.01 (s, 3H), 5.14 (m, 2H), 6.95 (s, 1H), 7.15 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 11.95 (s, 1H).
【0091】
実施例8 化合物I-008の合成
【化48】

工程1 化合物24の合成
化合物Z(合成法は参考例1に記載)(700mg、1.63mmol)、PdCl(dtbpf)(53mg、0.081mmol)、4-トリフルオロメチル-2-メチル-フェニルボロン酸(498mg、2.44mmol)、リン酸三カリウム(1.04g、4.88mmol)をテトラヒドロフラン(8mL)と水(2mL)に懸濁し、窒素雰囲気下、マイクロウェーブ照射下、110℃で45分間撹拌した。酢酸エチル、水を加えて抽出、有機層を分取、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製し、化合物24(333mg、収率44%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:2.10 (s, 3H), 2.33 (s, 3H), 4.06 (s, 3H), 4.72 (d, J = 10.9Hz, 1H), 4.85 (d, J = 10.8Hz, 1H), 6.95 (d, J = 7.0Hz, 2H), 7.21-7.30 (m, 3H), 7.58 (d, J = 8.0Hz, 1H), 7.62 (s, 1H), 7.68 (d, J = 8.0Hz, 1H), 7.80 (s, 1H), 8.50 (s, 1H).

工程2 化合物I-008の合成
化合物24(85mg、0.184mmol)を酢酸(0.5mL)、臭化水素酸(47%)(0.1mL)に溶解し、室温で5時間撹拌した。飽和重曹水を加え、得られた固体をろ過し、化合物I-008(51mg、収率74%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:2.08 (s, 3H), 2.12 (s, 3H), 4.01 (s, 3H), 7.08 (s, 1H), 7.30 (d, J = 7.8Hz, 1H), 7.57 (d, J = 8.0Hz, 1H), 7.66 (s, 1H), 8.33 (s, 1H), 11.96 (s, 1H).
【0092】
実施例9 化合物I-011の合成
【化49】

工程1 化合物25の合成
化合物Y(合成法は参考例2に記載)(100mg、0.225mmol)、PdCl(dtbpf)(14.7mg、0.023mmol)、炭酸カリウム(93mg、0.675mmol)、4-トリフルオロメチル-2-メチルベンゼンボロン酸(68.9mg、0.338mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)と水(0.2mL)に懸濁し、窒素雰囲気下、マイクロウェーブ照射下、100℃で3時間撹拌した。水、酢酸エチルを加えて抽出し、有機層を分取、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)により精製して化合物25(63mg、収率59%)を得た。
1H-NMR(CDCl3)δ:1.18 (t, J = 7.5Hz, 3H), 2.16 (s, 3H), 2.62-2.69 (m, 2H), 4.08 (s, 3H), 4.58 (d, J = 10.8Hz, 1H), 4.65 (d, J = 10.8Hz, 1H), 6.95 (dd,J = 7.5Hz, J = 1.6Hz, 2H), 7.29-7.31 (m, 3H), 7.38 (d, J = 7.9Hz, 1H), 7.48 (s, 1H), 7.57 (d, J = 7.9Hz, 1H), 7.62 (s, 1H), 8.34 (s, 1H).

工程2 化合物I-011の合成
化合物25(9mg、0.019mmol)を酢酸(0.5mL)、臭化水素酸(47%)(0.1mL)に溶解し、室温で1時間撹拌した。飽和炭酸カリウム水溶液を加え、得られた固体をろ過し、水、ジイソプロピルエーテルで洗浄、乾燥することで化合物I-011(6mg、収率82%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.08 (t, J = 7.6Hz, 3H), 2.12 (s, 3H), 2.21-2.45 (m, 2H), 4.01 (s, 3H), 7.15 (s, 1H), 7.31 (d, J = 7.9Hz, 1H), 7.57 (d, J = 8.9Hz, 1H), 7.67 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 11.85 (s, 1H).
【0093】
実施例10 化合物I-049の合成
【化50】

工程1 化合物26の合成
化合物Y(合成法は参考例2に記載)(245mg、0.551mmol)、PdCl(dtbpf)(18mg、0.028mmol)、4-ヒドロキシ-2-メチルフェニルボロン酸(126mg、0.827mmol)をテトラヒドロフラン(1mL)に懸濁し、2mol/L炭酸カリウム水溶液(0.69mL、1.38mmol)を加え、窒素雰囲気下、マイクロウェーブ照射下、110℃で1時間撹拌した。PdCl(dtbpf)(16mg)、4-ヒドロキシ-2-メチルフェニルボロン酸(100mg)、テトラヒドロフラン(0.3mL)、2mol/L炭酸カリウム水溶液(0.2mL)を加え、さらにマイクロウェーブ照射下、120℃で1時間攪拌した。酢酸エチル、飽和食塩水を加えて抽出後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物26(85mg、収率36%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=2.15分、[M+H]=425

工程2 化合物27の合成
化合物26(40mg、0.094mmol)をジメチルホルムアミド(0.4mL)に溶解し、炭酸カリウム(26mg、0.188mmol)、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルトリフルオロメタンスルホネート(29.2mg、0.104mmol)を加え、50℃で2時間撹拌した。酢酸エチル、飽和食塩水を加えて抽出後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物27(43mg、収率82%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=3.14分、[M+H]=557

工程3 化合物I-049の合成
化合物27(43mg、0.077mmol)を酢酸(0.4mL)、臭化水素酸(47%)(0.15mL)に溶解し、60℃で1時間撹拌した。酢酸エチル、飽和重曹水を加えて抽出後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、化合物I-049(33mg、収率92%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.07 (t, J = 7.5Hz, 3H), 2.01 (s, 3H), 2.26 (m, 1H), 2.43 (m, 1H), 4.00 (s, 3H), 4.84 (t, J = 13.2Hz, 1H), 6.91 (dd, J = 8.4Hz, J = 2.6Hz, 1H), 7.00 (d, J = 5.1Hz, 1H), 7.01 (s, 1H), 7.21 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 11.72 (s, 1H).
【0094】
実施例11 化合物I-018の合成
【化51】

工程1 化合物28の合成
化合物Z(合成法は参考例1に記載)(520mg、1.209mmol)、PdCl(dtbpf)(79mg、0.121mmol)、4-ヒドロキシ-2-メチルフェニルボロン酸(202mg、1.329mmol)、炭酸カリウム(501mg、3.63mmol)を1,4-ジオキサン(5mL)に懸濁し、水(0.5mL)を加え、窒素雰囲気下、マイクロウェーブ照射下、100℃で3時間撹拌した。酢酸エチル、水を加えて抽出後、有機層を分取し、硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物28(210mg、収率42%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=2.04分、[M+H]=411

工程2 化合物29の合成
化合物28(30mg、0.073mmol)をテトラヒドロフラン(1.2mL)に懸濁し、シクロペンタノール(12.6mg、0.146mmol)、トリフェニルホスフィン(38mg、0.146mmol)、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(30mg、0.146mmol)を加え、室温下1時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物29の粗精製物(62mg)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=3.18分、[M+H]=479

工程3 化合物I-018の合成
化合物29の粗精製物(62mg)を酢酸(0.8mL)、臭化水素酸(47%)(0.15mL)に溶解し、50℃で1時間30分間撹拌した。飽和炭酸カリウム水溶液に反応液を加え、得られた固体をろ過し、化合物I-018(15mg、収率52%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.59 (m, 2H), 1.77 (m, 4H), 1.92 (m, 2H), 1.98 (s, 3H), 2.07 (s, 3H), 3.99 (s, 3H), 4.82 (m, 1H), 6.73 (dd, J = 8.3Hz, J = 2.3Hz, 1H), 6.80 (d, J = 2.1Hz, 1H), 6.90 (d, J = 8.4Hz, 1H), 7.05 (s, 1H), 8.30 (s, 1H), 11.80 (s, 1H).
【0095】
実施例12 化合物I-051の合成
【化52】

工程1 化合物30の合成
化合物26(合成法は実施例10に記載)(39mg、0.092mmol)をジクロロメタン(0.5mL)に懸濁し、ジイソプロエチルアミン(0.048mL、0.276mmol)を加えた。氷冷下、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.017mL、0.101mmol)を加え、氷冷下で1時間攪拌した。さらにトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.010mL)を加え、氷冷下で20分間攪拌した。酢酸エチル、飽和食塩水を加えて抽出後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物30(40mg、収率78%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=3.06分、[M+H]=557

工程2 化合物31の合成
化合物30(40mg、0.072mmol)、PdCl(dtbpf)(2.3mg、0.0036mmol)、4-トリフルオロメトキシ-2-フルオロフェニルボロン酸(24mg、0.108mmol)をテトラヒドロフラン(0.5mL)に懸濁し、2mol/L炭酸カリウム水溶液(0.11mL、0.216mmol)を加え、窒素雰囲気下、マイクロウェーブ照射下、90℃で1時間撹拌した。PdCl(dtbpf)(4mg)、4-トリフルオロメトキシ-2-フルオロフェニルボロン酸(24mg、0.108mmol)を加え、さらにマイクロウェーブ照射下、100℃で2時間攪拌した。酢酸エチル、飽和食塩水を加えて抽出後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物31(35mg、収率83%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=3.52分、[M+H]=587

工程3 化合物I-051の合成
化合物31(35mg、0.060mmol)を酢酸(0.4mL)、臭化水素酸(47%)(0.15mL)に溶解し、60℃で1時間撹拌した。酢酸エチル、飽和重曹水を加えて抽出後、有機層を分取し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム-メタノール)で精製し、化合物I-051(28mg、収率94%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.12 (t, J = 7.6Hz, 3H), 2.10 (s, 3H), 2.31 (m, 1H), 2.46 (m, 1H), 4.01 (s, 3H), 7.15 (s, 1H), 7.19 (d, J = 7.8Hz, 1H), 7.36 (d, J = 8.7Hz, 1H), 7.42 (d, J = 7.8Hz, 1H), 7.49 (s, 1H), 7.53 (d, J = 12.5Hz, 1H), 7.74 (t, J = 8.8Hz, 1H), 8.33 (s, 1H), 11.79 (s, 1H).
【0096】
実施例13 化合物I-050の合成
【化53】

工程1 化合物32の合成
化合物26(合成法は実施例10に記載)(40mg、0.091mmol)をテトラヒドロフランに懸濁し、4-トリフルオロメトキシフェノール(33mg、0.182mmol)、トリフェニルホスフィン(48mg、0.182mmol)を加えた。氷冷下、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(37mg、0.182mmol)を加え、1時間攪拌した。酢酸エチル、飽和重曹水を加えて抽出し、有機層を分取、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン-酢酸エチル)で精製し、化合物32(42mg、収率77%)を得た。
LC/MS:測定条件1、保持時間=3.26分、[M+H]=599

工程2 化合物I-050の合成
化合物32(40mg、0.067mmol)を酢酸(0.8mL)、臭化水素酸(47%)(0.1mL)に溶解し、室温で48時間撹拌した。飽和炭酸カリウム水溶液、ジイソプロピルエーテルを加え、得られた固体をろ過し、化合物I-050(18mg、収率53%)を得た。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:1.07 (t, J = 7.5Hz, 3H), 2.04 (s, 3H), 2.26 (m, 1H), 2.43 (m, 1H), 4.00 (s, 3H), 5.11 (s, 2H), 7.07 (d, J = 7.7Hz, 1H), 7.12(s, 1H), 7.14-7.16 (m, 2H), 7.28 (dd, J = 8.5Hz, J = 1.1 Hz, 1H), 7.33 (d, J = 8.5Hz, 2H), 7.35 (d, J = 4.3Hz, 1H), 8.30 (s, 1H), 11.81 (s, 1H).
【0097】
上記一般的合成法および実施例に記載の方法に準じて、以下の化合物を合成した。
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【0101】
【表5】
【0102】
【表6】
【0103】
【表7】
【0104】
【表8】

【0105】
【表9】
【0106】
【表10】
【0107】
以下に、本発明化合物の生物試験例を記載する。本発明化合物は、本質的に下記試験例のとおり試験することができる。
本発明に係る式(I)で示される化合物は、抗マラリア作用を有する。
具体的には、以下に記載する評価方法において、IC50値は1000nM以下が好ましく、より好ましくは、100nM以下、さらにより好ましくは10nM以下である。
【0108】
試験例1:抗マラリア作用の測定
赤血球(日本赤十字社)に、熱帯熱マラリア原虫実験室株である3D7を感染させ評価に使用する。3D7の維持培養には、Incomplete medium[RPMI1640](インビトロジェン社)、23.8 mM 炭酸水素ナトリウム、50 mg/L ヒポキサンチン、25 mg/L ゲンタマイシン]に0.5% AlubuMAX 2(ギブコ社)を添加した培地を使用する。黒色の384ウェル平底プレートに100 nL DMSOに調製した被験物質(最終濃度250 nmol/L~0.11 nmol/L)を添加する。3D7感染赤血球を5%(w/v)ソルビトール溶液で10分間処理し輪状体に同調させたのち、感染率0.3%、ヘマトクリット1%になるよう2%ヒト血清あるいは0.5% AlbuMAX IIを含むIncomplete mediumで希釈する。希釈した感染赤血球25 μLを各ウェルに添加し、プレートを湿潤箱に入れた状態で5% O2、5% CO2、90% N2ガスに置換する。湿潤箱を37℃で72時間培養後、プレートをシールで密閉し-30℃で凍結する。
熱帯熱マラリア原虫の増殖は、マラリア原虫のLactate dehydrogenase (LDH)活性を指標に評価する。LDH活性検出試薬[100 mM トリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩(Tris-HCl) pH8.0、150 mM L-乳酸リチウム、0.25 % Triton X-100、100 μM 3-アセチルピリジン-アデニン ジヌクレオチド、100 μM nitrobenzyl-umbelliferone、0.015% KM-70(信越シリコーン社)、10 μg/mL Nitroreductase]を調製し、室温で解凍したプレートに35 μLを各ウェルに添加する。20分間室温で反応させた後、マイクロプレートリーダーにより励起波長360 nm、蛍光波長465 nmの蛍光を測定し、ジメチルスルホキシドのみを添加したウェルの蛍光を阻害活性0%、アトバコンとジヒドロキシアルテミシニンを終濃度1 μMずつ添加したウェルの蛍光を阻害活性100%とする。
阻害率(%)=(1-(被験物質添加時の蛍光量-阻害活性100%蛍光量)/(阻害活性0%蛍光量-阻害活性100%蛍光量))x100
化合物濃度250 nmol/Lから3倍希釈系列0.11 nmol/Lまでの8点について阻害率を求め、ロジスティック近似法によりIC50値(nmol/L)を算出する。
本発明化合物を本質的に上記のとおり試験した。結果を以下に示す。
【0109】
【表11】

上記化合物以外の本発明化合物も抗マラリア活性を有する。
【0110】
試験例2:BA試験
経口吸収性の検討実験材料と方法
(1)使用動物:マウスあるいはラットを使用する。
(2)飼育条件:マウスあるいはラットは、固形飼料および滅菌水道水を自由摂取させる。
(3)投与量、群分けの設定:所定の投与量で経口投与および静脈内投与する。以下のように群を設定する。(化合物ごとで投与量は変更有)
経口投与 2~60μmol/kgあるいは1~30mg/kg(n=2~3)
静脈内投与 1~20μmol/kgあるいは0.5~10mg/kg(n=2~3)
(4)投与液の調製:経口投与は溶液または懸濁液として投与する。静脈内投与は可溶化して投与する。
(5)投与方法:経口投与は、経口ゾンデにより強制的に胃内に投与する。静脈内投与は、注射針を付けたシリンジにより尾静脈から投与する。
(6)評価項目:経時的に採血し、血漿中本発明化合物濃度をLC/MS/MSを用いて測定する。
(7)統計解析:血漿中本発明化合物濃度推移について、モーメント解析法により血漿中濃度‐時間曲線下面積(AUC)を算出し、経口投与群と静脈内投与群の投与量比およびAUC比から本発明化合物のバイオアベイラビリティ(BA)を算出する。
なお、希釈濃度や希釈溶媒は、必要に応じて変更する。
本発明化合物を本質的に上記のとおり試験することができる。
【0111】
試験例3 静脈内投与試験
静脈内投与試験の検討実験材料と方法
(1)使用動物:SDラットを使用する。
(2)飼育条件:SDラットは、固形飼料および滅菌水道水を自由摂取させる。
(3)投与量、群分けの設定:所定の投与量により静脈内に投与する。以下のように群を設定する。(化合物ごとで投与量は変更有)
静脈内投与 1μmol/kg(n=2)
(4)投与液の調製:ジメチルスルホキシド/プロピレングリコール=1/1溶媒を用いて可溶化して投与する。(5)投与方法:静脈内投与は、注射針を付けたシリンジにより尾静脈から投与する。
(6)評価項目:経時的に採血し、血漿中本発明化合物濃度をLC/MS/MSを用いて測定する。
(7)統計解析:血漿中本発明化合物濃度推移について、モーメント解析法により全身クリアランス(CLtot)及び消失半減期(t1/2,z)を算出する。なお、希釈濃度や希釈溶媒は、必要に応じて変更する。
本発明化合物を本質的に上記のとおり試験することができる。
【0112】
以下に示す製剤例は例示にすぎないものであり、発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
本発明の化合物は、任意の従来の経路により、特に、経腸、例えば、経口で、例えば、錠剤またはカプセル剤の形態で、または非経口で、例えば注射液剤または懸濁剤の形態で、局所で、例えば、ローション剤、ゲル剤、軟膏剤またはクリーム剤の形態で、または経鼻形態または座剤形態で医薬組成物として投与することができる。少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤と一緒にして、遊離形態または薬学的に許容される塩の形態の本発明の化合物を含む医薬組成物は、従来の方法で、混合、造粒またはコーティング法によって製造することができる。例えば、経口用組成物としては、賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤等および有効成分等を含有する錠剤、顆粒剤、カプセル剤とすることができる。また、注射用組成物としては、溶液剤または懸濁剤とすることができ、滅菌されていてもよく、 また、保存剤、安定化剤、緩衝化剤等を含有してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明に係る化合物は、抗マラリア作用を有し、マラリアが関与する疾患または状態の治療剤および/または予防剤として有用であると考えられる。