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特開2024-125439半導体装置及び半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125439
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20240911BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240911BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20240911BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20240911BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
H01L29/78 658J
H01L29/78 652T
H01L29/78 652K
H01L29/78 653A
H01L29/78 652P
H01L29/78 652H
H01L29/78 652J
H01L29/78 652N
H01L29/78 658E
H01L29/78 658G
H01L29/78 655Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021127768
(22)【出願日】2021-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】原田 一範
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 雄
(57)【要約】
【課題】パッシベーション層の応力集中を緩和しながら剥がれを抑制できる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、第1主面を有する基板と、前記第1主面の上方に設けられた電極と、前記電極を覆うパッシベーション層と、を有し、前記パッシベーション層に前記電極の一部を露出する開口部が形成され、前記パッシベーション層は、前記電極に接する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面に連なり、前記開口部を構成する第3面と、を有し、前記第1面、前記第2面及び前記第3面と交差する断面視において、前記第3面は、前記パッシベーション層からみて前記第3面の外側に接触円の中心が位置する方向に湾曲している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面を有する基板と、
前記第1主面の上方に設けられた電極と、
前記電極を覆うパッシベーション層と、
を有し、
前記パッシベーション層に前記電極の一部を露出する開口部が形成され、
前記パッシベーション層は、
前記電極に接する第1面と、
前記第1面とは反対側の第2面と、
前記第1面及び前記第2面に連なり、前記開口部を構成する第3面と、
を有し、
前記第1面、前記第2面及び前記第3面と交差する断面視において、前記第3面は、前記パッシベーション層からみて前記第3面の外側に接触円の中心が位置する方向に湾曲している半導体装置。
【請求項2】
前記第3面と前記第2面との境界を前記第1面に射影した射影境界と、前記第3面と前記第1面との境界と、の間の最短距離をAとし、
前記第1面と前記第2面との間の距離をBとしたとき、
A/Bの値は0.5以上3.0以下である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記パッシベーション層は、窒化シリコン層を含む請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記パッシベーション層は、前記窒化シリコン層と前記電極との間に設けられ、前記第1面を構成する酸化シリコン層を含む請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記パッシベーション層は、前記第2面を構成するポリイミド層を含み、前記窒化シリコン層が前記電極と前記ポリイミド層との間に設けられている請求項3または請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記パッシベーション層には、前記第1面に平行な方向で圧縮応力が作用している請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記基板は炭化珪素基板である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項8】
第1主面を有する基板の、前記第1主面の上方に電極を形成する工程と、
前記電極を覆うパッシベーション層を形成する工程と、
前記パッシベーション層に前記電極の一部を露出する開口部を形成する工程と、
を有し、
前記パッシベーション層は、
前記電極に接する第1面と、
前記第1面とは反対側の第2面と、
を有し、
前記開口部を形成する工程は、等方性エッチングにより、前記第1面及び前記第2面に連なる第3面を前記パッシベーション層に形成する工程を有し、
前記第1面、前記第2面及び前記第3面と交差する断面視において、前記第3面は、前記パッシベーション層からみて前記第3面の外側に接触円の中心が位置する方向に湾曲する半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線を覆うように、窒化膜を含むパッシベーション層が形成された半導体装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-216771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体装置では、パッシベーション層の応力集中を緩和しながら剥がれを抑制することが困難である。
【0005】
本開示は、パッシベーション層の応力集中を緩和しながら剥がれを抑制できる半導体装置及び半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の半導体装置は、第1主面を有する基板と、前記第1主面の上方に設けられた電極と、前記電極を覆うパッシベーション層と、を有し、前記パッシベーション層に前記電極の一部を露出する開口部が形成され、前記パッシベーション層は、前記電極に接する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面に連なり、前記開口部を構成する第3面と、を有し、前記第1面、前記第2面及び前記第3面と交差する断面視において、前記第3面は、前記パッシベーション層からみて前記第3面の外側に接触円の中心が位置する方向に湾曲している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、パッシベーション層の応力集中を緩和しながら剥がれを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態におけるパッシベーション層を示す断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その1)である。
図4図4は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その2)である。
図5図5は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その3)である。
図6図6は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その4)である。
図7図7は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その5)である。
図8図8は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その6)である。
図9図9は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その7)である。
図10図10は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その8)である。
図11図11は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その9)である。
図12図12は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その10)である。
図13図13は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その11)である。
図14図14は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その12)である。
図15図15は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その13)である。
図16図16は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その14)である。
図17図17は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図(その15)である。
図18図18は、第2実施形態におけるパッシベーション層を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施するための形態について、以下に説明する。
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。以下の説明では、同一又は対応する要素には同一の符号を付し、それらについて同じ説明は繰り返さない。本明細書中の結晶学的記載においては、個別方位を[]、集合方位を<>、個別面を()、集合面を{}でそれぞれ示している。また結晶学上の指数が負であることは、通常、"-"(バー)を数字の上に付すことによって表現されるが、本明細書中では数字の前に負の符号を付している。
【0011】
〔1〕 本開示の一態様に係る半導体装置は、第1主面を有する基板と、前記第1主面の上方に設けられた電極と、前記電極を覆うパッシベーション層と、を有し、前記パッシベーション層に前記電極の一部を露出する開口部が形成され、前記パッシベーション層は、前記電極に接する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、前記第1面及び前記第2面に連なり、前記開口部を構成する第3面と、を有し、前記第1面、前記第2面及び前記第3面と交差する断面視において、前記第3面は、前記パッシベーション層からみて前記第3面の外側に接触円の中心が位置する方向に湾曲している。
【0012】
パッシベーション層の第3面が、第1面、第2面及び第3面と交差する断面視において、パッシベーション層からみて第3面の外側に接触円の中心が位置する方向に湾曲している。このため、パッシベーション層とソース電極との間に良好な密着性が得られる程度に大きな面積を第2面に確保しながら、第3面が第1主面に垂直で場合よりも、パッシベーション層の体積を低減できる。パッシベーション層の体積の低減により、パッシベーション層における応力集中を緩和できる。
【0013】
〔2〕 〔1〕において、前記第3面と前記第2面との境界を前記第1面に射影した射影境界と、前記第3面と前記第1面との境界と、の間の最短距離をAとし、前記第1面と前記第2面との間の距離をBとしたとき、A/Bの値は0.5以上3.0以下であってもよい。この場合、パッシベーション層の剥がれの抑制と応力集中の緩和とを特に両立しやすい。
【0014】
〔3〕 〔1〕又は〔2〕において、前記パッシベーション層は、窒化シリコン層を含んでもよい。この場合、半導体装置の内部を保護しやすい。
【0015】
〔4〕 〔3〕において、前記パッシベーション層は、前記窒化シリコン層と前記電極との間に設けられ、前記第1面を構成する酸化シリコン層を含んでもよい。この場合、半導体装置の内部をより保護しやすい。
【0016】
〔5〕 〔3〕又は〔4〕において、前記パッシベーション層は、前記第2面を構成するポリイミド層を含み、前記窒化シリコン層が前記電極と前記ポリイミド層との間に設けられていてもよい。この場合、半導体装置の内部をより保護しやすい。
【0017】
〔6〕 〔1〕~〔5〕において、前記パッシベーション層には、前記第1面に平行な方向で圧縮応力が作用していてもよい。圧縮応力が作用していても、応力集中を緩和して、剥がれを抑制できる。
【0018】
〔7〕 〔1〕~〔6〕において、前記基板は炭化珪素基板であってもよい。この場合、高い耐圧を得やすい。
【0019】
〔8〕 本開示の他の一態様に係る半導体装置の製造方法は、第1主面を有する基板の、前記第1主面の上方に電極を形成する工程と、前記電極を覆うパッシベーション層を形成する工程と、前記パッシベーション層に前記電極の一部を露出する開口部を形成する工程と、を有し、前記パッシベーション層は、前記電極に接する第1面と、前記第1面とは反対側の第2面と、を有し、前記開口部を形成する工程は、等方性エッチングにより、前記第1面及び前記第2面に連なる第3面を前記パッシベーション層に形成する工程を有し、前記第1面、前記第2面及び前記第3面と交差する断面視において、前記第3面は、前記パッシベーション層からみて前記第3面の外側に接触円の中心が位置する方向に湾曲する。
【0020】
等方性エッチングによりパッシベーション層に開口部を形成するため、第1面、第2面及び第3面と交差する断面視において、パッシベーション層からみて第3面の外側に接触円の中心が位置する方向に湾曲するように第3面が形成される。このため、パッシベーション層の剥がれの抑制と応力集中の緩和とを両立できる。
【0021】
[本開示の実施形態]
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について説明する。第1実施形態は、炭化珪素半導体装置の一例であり、いわゆる縦型のMOS(metal - oxide)電界効果トランジスタ(field effect transistorFET)に関する。図1は、第1実施形態に係る半導体装置を示す断面図である。
【0022】
図1に示されるように、第1実施形態に係るMOSFET100は、炭化珪素基板10と、ゲート絶縁膜71と、埋込部72と、ゲート電極73と、層間絶縁膜74と、ソース電極75と、ドレイン電極76と、パッシベーション層90とを主に有している。炭化珪素基板10は、炭化珪素単結晶基板20と、炭化珪素単結晶基板20上にある炭化珪素エピタキシャル層30とを含む。炭化珪素基板10は、第1主面11と、第1主面11とは反対側の第2主面12とを有する。炭化珪素エピタキシャル層30は第1主面11を構成し、炭化珪素単結晶基板20は第2主面12を構成する。炭化珪素単結晶基板20及び炭化珪素エピタキシャル層30は、例えばポリタイプ4Hの六方晶炭化珪素から構成されている。炭化珪素単結晶基板20は、例えば窒素(N)等のn型不純物を含みn型(第1導電型)を有する。
【0023】
第1主面11は、{0001}面又は{0001}面がオフ方向に8°以下のオフ角だけ傾斜した面である。第1主面11は、(000-1)面又は(0001)面であってもよく、(000-1)面又は(0001)面がオフ方向に8°以下のオフ角だけ傾斜した面であってもよい。オフ方向は、例えば<11-20>方向であってもよいし、<1-100>方向であってもよい。オフ角は、例えば1°以上であってもよいし、2°以上であってもよい。オフ角は、6°以下であってもよいし、4°以下であってもよい。
【0024】
炭化珪素エピタキシャル層30は、ドリフト領域31と、ボディ領域32と、ソース領域33と、シールド領域35と、接続領域39と、コンタクト領域34とを主に有する。
【0025】
ドリフト領域31は、例えば窒素又はリン(P)等のn型不純物を含み、n型の導電型を有する。ドリフト領域31は、例えば第1ドリフト層41と、第2ドリフト層42とを主に有する。第2ドリフト層42は第1ドリフト層41上に設けられている。すなわち、第2ドリフト層42は、第1ドリフト層41よりも第1主面11側に設けられている。
【0026】
ボディ領域32はドリフト領域31上に設けられている。ボディ領域32は、例えばアルミニウム(Al)等のp型不純物を含み、p型(第2導電型)の導電型を有する。
【0027】
ソース領域33は、ボディ領域32によってドリフト領域31から隔てられるようにボディ領域32上に設けられている。ソース領域33は、例えば窒素又はリン等のn型不純物を含んでおり、n型の導電型を有する。ソース領域33は、第1主面11を構成する。
【0028】
コンタクト領域34は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。コンタクト領域18は、第1主面11を構成する。コンタクト領域34は、ソース領域33を貫通し、ボディ領域32に接する。コンタクト領域34がボディ領域32を貫通していてもよい。
【0029】
第1主面11には、第1トレンチ50と、第2トレンチ60とが設けられている。第1トレンチ50は、第1主面11と連なる第1側面52と、第1側面52と連なる第1底面51とにより規定される。第2トレンチ60は、第1主面11と連なる第2側面62と、第2側面62と連なる第2底面61とにより規定される。
【0030】
第2側面62は、ソース領域33及びボディ領域32を貫通してドリフト領域31に至る。第2底面61は、ドリフト領域31に位置する。第2底面61は、例えば第2主面12と平行な平面である。第2側面62は、好ましくは、{0-33-8}面を有する。{0-33-8}面は、優れた移動度が得られる結晶面である。
【0031】
シールド領域35は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。シールド領域35は、第1主面11に垂直な方向からの平面視において、第1トレンチ50と重なるようにして第1ドリフト層41の表面に形成されている。
【0032】
接続領域39は、例えばアルミニウム等のp型不純物を含み、p型の導電型を有する。接続領域39は、第1トレンチ50の周囲に形成されており、ボディ領域32及びシールド領域35の両方に接する。接続領域39が第2ドリフト層42及びソース領域33に更に接してもよい。接続領域39は、第1側面52及び第1底面51に露出する。第1側面52及び第1底面51は、接続領域39に位置する。第1底面51は、例えば第2主面12と平行な平面である。
【0033】
ゲート絶縁膜71は、例えば酸化膜である。ゲート絶縁膜71は、例えば二酸化珪素を含む材料により構成されている。ゲート絶縁膜71は、第2側面62及び第2底面61に接する。ゲート絶縁膜71は、第2底面61においてドリフト領域31と接する。ゲート絶縁膜71は、第2側面62においてソース領域33、ボディ領域32及びドリフト領域31の各々と接している。ゲート絶縁膜71は、第1主面11においてソース領域33及び接続領域39と接していてもよい。ゲート絶縁膜71は、第1側面52及び第1底面51において接続領域39と接していてもよい。
【0034】
ゲート電極73は、ゲート絶縁膜71上に設けられている。ゲート電極73は、例えば導電性不純物を含むポリシリコン(ポリSi)から構成されている。ゲート電極73は、第2トレンチ60の内部に配置されている。ゲート電極73の一部は、第1主面11上に配置されていてもよい。
【0035】
埋込部72は、第1トレンチ50の内側でゲート絶縁膜71上に設けられている。埋込部72は、例えば導電性不純物を含むポリSiから構成されている。埋込部72の一部は、第1主面11上に配置されていてもよい。
【0036】
層間絶縁膜74は、埋込部72、ゲート電極73及びゲート絶縁膜71に接して設けられている。層間絶縁膜74は、例えば二酸化珪素を含む材料から構成されている。層間絶縁膜74は、埋込部72及びゲート電極73とソース電極75とを電気的に絶縁している。
【0037】
層間絶縁膜74及びゲート絶縁膜71には、コンタクトホール74Aが形成されている。コンタクトホール74Aを通じて、ソース領域33及びコンタクト領域34が層間絶縁膜74及びゲート絶縁膜71から露出している。
【0038】
ソース電極75は、第1主面11に接する。ソース電極75は、例えば、層間絶縁膜74を覆うバリアメタル膜と、ソース領域33及びコンタクト領域34に接触するオーミック電極と、バリアメタル膜及びオーミック電極の上の本体部とを有する。オーミック電極は、例えばニッケルシリサイド(NiSi)を含む材料から構成されている。オーミック電極が、チタン(Ti)と、アルミニウムと、シリコンとを含む材料から構成されていてもよい。オーミック電極は、ソース領域33と、コンタクト領域34とにオーミック接合している。本体部は、例えばアルミニウムを含む材料から構成されている。
【0039】
ドレイン電極76は、第2主面12に接する。ドレイン電極76は、第2主面12において炭化珪素単結晶基板20と接している。ドレイン電極76は、ドリフト領域31と電気的に接続されている。ドレイン電極76は、例えば、炭化珪素単結晶基板20に接触するオーミック電極と、オーミック電極の上の本体部とを有する。オーミック電極は、例えばニッケルシリサイドを含む材料から構成されている。オーミック電極が、チタンと、アルミニウムと、シリコンとを含む材料から構成されていてもよい。オーミック電極は、炭化珪素単結晶基板20にオーミック接合している。本体部は、例えばアルミニウムを含む材料から構成されている。
【0040】
ここで、パッシベーション層90について詳細に説明する。図2は、第1実施形態におけるパッシベーション層90を示す断面図である。
【0041】
パッシベーション層90は、ソース電極75の上に形成されており、ソース電極75の上面を覆う。パッシベーション層90にソース電極75の一部を露出する開口部90Aが形成されている。パッシベーション層90は、ソース電極75に接する第1面91と、第1面91とは反対側の第2面92と、第1面91及び第2面92に連なり、開口部90Aを構成する第3面93とを有する。第3面93は、第1面91、第2面92及び第3面93と交差する断面視において、パッシベーション層90からみて第3面93の外側に接触円の中心が位置する方向に湾曲している。第3面93は、第1面91に対して負の曲率を有してもよい。
【0042】
パッシベーション層90は、例えば厚さが180nm以上860nm以下の窒化シリコン層である。MOSFET100の用途に応じて、パッシベーション層90の厚さが180nm以上220nm以下であってもよく、700nm以上860nm以下であってもよい。パッシベーション層90の厚さは、第1面91と第2面92との間の距離である。パッシベーション層90に、第1面91に平行な方向で圧縮応力が作用していてもよい。
【0043】
第3面93と第2面92との境界94を第1面91に射影した射影境界94Xと、第3面93と第1面との境界95との間の最短距離をAとし、第1面91と第2面92との間の距離をBとしたとき、A/Bの値は、好ましくは0.5以上3.0以下である。
【0044】
次に、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図3図17は、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0045】
第1実施形態では、まず、図3に示されるように、炭化珪素単結晶基板20を準備する。次に、炭化珪素単結晶基板20の上にn型の第1ドリフト層41を形成する。例えば、炭化珪素単結晶基板20は、窒素等のn型不純物を含み、n型を有する。例えば、第1ドリフト層41は窒素を添加したエピタキシャル成長により形成できる。
【0046】
次に、図4に示されるように、第1ドリフト層41の表面に、p型のシールド領域35と、p型の埋込接合終端構造(junction termination extension:JTE)領域81と、p型の埋込ガードリング(guard ring:GR)領域82とを形成する。例えば、シールド領域35、埋込JTE領域81及び埋込GR領域82はアルミニウムのイオン注入により形成できる。
【0047】
次に、図5に示されるように、第1ドリフト層41の上に第2ドリフト層42を形成する。例えば、第2ドリフト層42は窒素を添加したエピタキシャル成長により形成できる。第1ドリフト層41のn型不純物の濃度は、第2ドリフト層42のn型不純物の濃度と同じであってもよいし、第2ドリフト層42のn型不純物の濃度より低くてもよい。
【0048】
次に、図6に示されるように、第1ドリフト層41の表面にp型のボディ領域32を形成する。例えば、ボディ領域32はアルミニウムのイオン注入により形成できる。次に、ボディ領域32の表面にn型のソース領域33を形成する。例えば、ソース領域33は窒素又はリンのイオン注入により形成できる。
【0049】
次に、図7に示されるように、ソース領域33、ボディ領域32及び第2ドリフト層42に、p型のコンタクト領域34と、p型のGR領域83とを形成する。例えば、コンタクト領域34及びGR領域83はアルミニウムのイオン注入により形成できる。第1ドリフト層41及び第2ドリフト層42がドリフト領域31に含まれる。
【0050】
次に、図8に示されるように、ソース領域33、ボディ領域32及び第2ドリフト層42にソース用の第1トレンチ50を形成する。第1トレンチ50は、シールド領域35の上方に形成する。第1トレンチ50は、次のようにして形成できる。
【0051】
まず、第1トレンチ50を形成しようとする領域上に開口を有するマスク(図示せず)を形成する。次に、マスクを用いて、ソース領域33の一部と、ボディ領域32の一部と、第2ドリフト層42の一部とをエッチングにより除去する。エッチングは、例えば誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング(inductively coupled plasma - reactive ion etching:ICP-RIE)である。エッチングにより、第1トレンチ50を形成しようとする領域に、第1主面11に対してほぼ垂直な側部と、側部と連続的に設けられ、かつ第1主面11とほぼ平行な底部とを有する凹部が形成される。
【0052】
次に、凹部において熱エッチングを行う。熱エッチングは、第1主面11上にマスクが形成された状態で、例えば、少なくとも1種類以上のハロゲン原子を有する反応性ガスを含む雰囲気中での加熱によって行い得る。少なくとも1種類以上のハロゲン原子は、塩素(Cl)原子及びフッ素(F)原子の少なくともいずれかを含む。当該雰囲気は、例えば、塩素(Cl)、三塩化ホウ素(BCl)、六フッ化硫黄(SF)又は四フッ化炭素(CF)を含む。例えば、塩素ガスと酸素ガスとの混合ガスを反応ガスとして用い、熱処理温度を800℃以上900℃以下として、熱エッチングが行われる。なお、反応ガスは、上述した塩素ガスと酸素ガスとに加えて、キャリアガスを含んでいてもよい。キャリアガスとしては、例えば窒素(N)ガス、アルゴン(Ar)ガス又はヘリウム(He)ガス等を用いることができる。
【0053】
上記熱エッチングにより、第1主面11に第1トレンチ50が形成される。第1トレンチ50は、第1側面52と、第1底面51とにより規定される。第1側面52は、ソース領域33と、ボディ領域32と、第2ドリフト層42とにより構成される。第1底面51は、第2ドリフト層42により構成される。
【0054】
マスクの除去後、図9に示されるように、第1トレンチ50の周囲において、ソース領域33、ボディ領域32及び第2ドリフト層42にp型の接続領域39を形成する。例えば、接続領域39はアルミニウムのイオン注入により形成できる。接続領域39は、ボディ領域32及びシールド領域35の両方に接するように形成する。
【0055】
次に、図10に示されるように、ソース領域33、ボディ領域32及び第2ドリフト層42にゲート用の第2トレンチ60を形成する。第2トレンチ60は、第1主面11に垂直な方向からの平面視において、シールド領域35から離して形成する。第2トレンチ60は、第1トレンチ50と同様にして形成でき、第2側面62と、第2底面61とにより規定される。第2側面62は、ソース領域33と、ボディ領域32と、第2ドリフト層42とにより構成される。第2底面61は、第2ドリフト層42により構成される。
【0056】
次に、図11に示されるように、第1主面11と、第1側面52と、第1底面51と、第2側面62と、第2底面61との上にゲート絶縁膜71を形成する。
【0057】
次に、図12に示されるように、第1トレンチ50内でゲート絶縁膜71の上に埋込部72を形成し、第2トレンチ60内でゲート絶縁膜71の上にゲート電極73を形成する。
【0058】
次に、図13に示されるように、ゲート絶縁膜71、埋込部72及びゲート電極73の上に層間絶縁膜74を形成する。次に、ソース領域33及びコンタクト領域34を露出するコンタクトホール74Aを層間絶縁膜74に形成する。
【0059】
次に、図14に示されるように、層間絶縁膜74の上に、コンタクトホール74Aを通じてソース領域33及びコンタクト領域34にオーミック接触するソース電極75を形成する。ソース電極75は、例えば、層間絶縁膜74を覆うバリアメタル膜と、ソース領域33及びコンタクト領域34に接触するオーミック電極と、バリアメタル膜及びオーミック電極の上の本体部とを有する。次に、炭化珪素基板10の第2主面12の上にドレイン電極76を形成する。ドレイン電極76は、例えば、炭化珪素単結晶基板20に接触するオーミック電極と、オーミック電極の上の本体部とを有する。
【0060】
次に、図15に示されるように、ソース電極75の上にパッシベーション層90を形成する。例えば、パッシベーション層90は、プラズマ化学気相成長(chemical vapor deposition:CVD)法により形成できる。パッシベーション層90は、ソース電極75に接する第1面91と、第1面91とは反対側の第2面92とを有する。
【0061】
次に、図16に示されるように、パッシベーション層90の上に、開口部96Aを有するレジストパターン96を形成する。開口部96Aは、パッシベーション層90の開口部90Aが形成される予定の領域の上に設けられる。
【0062】
次に、図17に示されるように、パッシベーション層90の等方性エッチングを行うことにより、パッシベーション層90に開口部90Aを形成する。パッシベーション層90に、第1面91及び第2面92に連なり、開口部90Aを構成する第3面93が形成される。第3面93は、等方性エッチングにより形成されるため、曲面となる。すなわち、第3面93は、第1面91、第2面92及び第3面93と交差する断面視において、パッシベーション層90からみて第3面93の外側に接触円の中心が位置する方向に湾曲した曲面となる。開口部90Aの形成後に、レジストパターン96を除去する。
【0063】
等方性エッチングは、ドライエッチングであってもよく、ウェットエッチングであってもよい。
【0064】
ドライエッチングの場合、例えば、エッチャントして酸素(O)ガス及び四フッ化炭素(CF)ガスの混合ガスを用い、基板温度を115℃以上125℃以下とし、チャンバ内の圧力を75Pa以上85Pa以下とする。また、たとえAB、混合ガスにおける酸素ガスの流量L1と四フッ化炭素(CF)ガスの流量L2との比(L1:L2)は3:7とする。
【0065】
ウェットエッチングの場合、例えばエッチャントとして、温度が21℃以上25℃以下のバッファードフッ酸を用いる。このバッファードフッ酸は、例えばフッ化アンモニウムを10質量%以上30質量%以下の濃度で含有し、フッ化水素アンモニウムを0.5質量%以上10質量%以下の濃度で含有する。
【0066】
このようにして、電界効果トランジスタを含む半導体装置を製造できる。
【0067】
次に、第1実施形態に係るMOSFET100の作用効果について説明する。
【0068】
第1実施形態に係るMOSFET100では、パッシベーション層90の第3面93が、第1面91、第2面92及び第3面93と交差する断面視において、パッシベーション層90からみて第3面93の外側に接触円の中心が位置する方向に湾曲している。このため、パッシベーション層90とソース電極75との間に良好な密着性が得られる程度に大きな面積を第2面92に確保しながら、第3面93が第1主面11に垂直で場合よりも、パッシベーション層90の体積を低減できる。パッシベーション層90の体積の低減により、パッシベーション層90における応力集中、例えば境界95近傍での応力集中を緩和できる。
【0069】
A/Bの値は、好ましくは0.5以上3.0以下である。A/Bの値が0.5未満であると、第2面92の十分な面積の確保とパッシベーション層90の体積の十分な低減との両立が困難になるおそれがある。また、A/Bの値が3.0超であると、パッシベーション層90が過剰に薄くなるおそれがある。A/Bの値は、より好ましくは1.0以上2.5以下であり、更に好ましくは1.5以上2.0以下である。
【0070】
パッシベーション層90に、第1面91に平行な方向で圧縮応力が作用していてもよい。第1実施形態では、第3面93が凹むように湾曲してるため、パッシベーション層90に圧縮応力が作用していても、境界95等での応力集中を緩和しやすい。
【0071】
パッシベーション層90が窒化シリコン層を含むため、MOSFET100の内部を保護しやすい。
【0072】
また、MOSFET100の製造にあたり、等方性エッチングによりパッシベーション層90に開口部90Aを形成する。このため、第1面91、第2面92及び第3面93と交差する断面視において、パッシベーション層90からみて第3面93の外側に接触円の中心が位置する方向に湾曲するように第3面93が形成される。従って、パッシベーション層90の剥がれの抑制と応力集中の緩和とを両立しやすい。
【0073】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態は、主として、パッシベーション層の構成の点で第1実施形態と相違する。図18は、第2実施形態におけるパッシベーション層90を示す断面図である。
【0074】
図18に示されるように、第2実施形態においては、パッシベーション層90が3層構造を備える。すなわち、パッシベーション層90は、酸化シリコン層97Aと、窒化シリコン層97Bと、ポリイミド層97Cとを有する。酸化シリコン層97Aは、ソース電極75に接し、第1面91を構成する。窒化シリコン層97Bは酸化シリコン層97Aの上に設けられている。ポリイミド層97Cは窒化シリコン層97Bの上に設けられ、第2面92を構成する。酸化シリコン層97Aは、窒化シリコン層97Bとソース電極75との間に設けられている。また、窒化シリコン層97Bは、ポリイミド層97Cと酸化シリコン層97A及びソース電極75との間に設けられている。
【0075】
例えば、酸化シリコン層97Aの厚さは450nm以上1100nm以下であり、窒化シリコン層97Bの厚さは180nm以上860nm以下であり、ポリイミド層97Cの厚さは7200nm以上8800nm以下である。MOSFET100の用途に応じて、酸化シリコン層97Aの厚さが900nm以上1100nm以下、窒化シリコン層97Bの厚さが700nm以上860nm以下、かつポリイミド層97Cの厚さが7200nm以上8800nm以下であってもよい。MOSFET100の用途に応じて、酸化シリコン層97Aの厚さが450nm以上550nm以下、窒化シリコン層97Bの厚さが180nm以上220nm以下、かつポリイミド層97Cの厚さが7200nm以上8800nm以下であってもよい。
【0076】
他の構成は第1実施形態と同様である。
【0077】
第2実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。また、パッシベーション層90が酸化シリコン層97A及びポリイミド層97Cを含むため、MOSFET100の内部をより保護しやすい。第2実施形態において、パッシベーション層90が酸化シリコン層97A又はポリイミド層97Cのどちらかを含まなくてもよい。
【0078】
なお、本開示において、半導体装置はMOSFETに限定されず、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)等の他のトランジスタであってもよく、ダイオード等であってもよい。
【0079】
半導体装置の基板は炭化珪素基板であることが好ましい。炭化珪素はバンドギャップが大きく高耐圧を得やすい。このため、炭化珪素基板は半導体装置の薄型化に好適である。単純に基板を薄くした場合には、基板が反りやすく、パッシベーション層に剥がれが生じやすくなるおそれがあるが、本開示によれば、応力集中を緩和できるため、基板を薄くしてもパッシベーション層の剥がれを抑制できる。ただし、基板の材料は炭化珪素に限定されず、シリコン又は窒化ガリウム等であってもよい。
【0080】
以上、実施形態について詳述したが、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
10 炭化珪素基板
11 第1主面
12 第2主面
18 コンタクト領域
20 炭化珪素単結晶基板
30 炭化珪素エピタキシャル層
31 ドリフト領域
32 ボディ領域
33 ソース領域
34 コンタクト領域
35 シールド領域
39 接続領域
41 第1ドリフト層
42 第2ドリフト層
50 第1トレンチ
51 第1底面
52 第1側面
60 第2トレンチ
61 第2底面
62 第2側面
71 ゲート絶縁膜
72 埋込部
73 ゲート電極
74 層間絶縁膜
74A コンタクトホール
75 ソース電極
76 ドレイン電極
81 埋込JTE領域
82 埋込GR領域
83 GR領域
90 パッシベーション層
90A 開口部
91 第1面
92 第2面
93 第3面
94 境界
94X 射影境界
95 境界
96 レジストパターン
96A 開口部
97A 酸化シリコン層
97B 窒化シリコン層
97C ポリイミド層
100 MOSFET
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図17
図18