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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125450
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】プログラム
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20240911BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240911BHJP
【FI】
B66B1/18 N
G06T7/00 660A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023026972
(22)【出願日】2023-02-24
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-10
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【テーマコード(参考)】
3F502
5L096
【Fターム(参考)】
3F502HB02
3F502JA05
3F502JA20
3F502KA19
3F502MA03
3F502MA19
5L096BA20
(57)【要約】
【課題】利用者による行先階の登録に顔認証技術が用いられるエレベータにおいて、利用者が自身の顔認証用データを安心して提供できるようにするための技術を提供する。
【解決手段】プログラムは、管理処理部に対して、対応管理データに記録するための情報を端末装置から送信することを可能にする。具体的に、プログラムは、利用者の顔から顔特徴量を抽出する抽出処理ステップと、利用者によって指定された行先階を受け付ける受付処理ステップと、これらの情報(顔特徴量と行先階)を含む2次元画像を生成する生成処理ステップと、当該2次元画像を管理処理部に送信する送信処理ステップと、を端末装置に実行させる。そして管理処理部は、そのようなプログラムを実行する端末装置から2次元画像を受信した場合、当該2次元画像に含まれている顔特徴量及び行先階を顔認証用データ及び呼び登録用行先階として互いに対応付けて対応管理データに記録する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの利用者ごとに、顔認証用データと、呼び登録用行先階と、が互いに対応付けて記録される対応管理データ、を管理する管理処理部に対して、前記対応管理データに記録するための情報を端末装置から送信することを可能にするプログラムであり、
利用者の顔から顔特徴量を抽出する抽出処理ステップと、
利用者によって指定された行先階を受け付ける受付処理ステップと、
前記顔特徴量と前記行先階とを含む2次元画像を生成する生成処理ステップと、
前記2次元画像を前記管理処理部に送信する送信処理ステップと、
を前記端末装置に実行させ、
前記管理処理部は、前記2次元画像を受信した場合、当該2次元画像に含まれている前記顔特徴量及び前記行先階を前記顔認証用データ及び前記呼び登録用行先階として互いに対応付けて前記対応管理データに記録する、プログラム。
【請求項2】
前記管理処理部が第1暗号キーを有している場合において、当該第1暗号キーに対応した第2暗号キーが組み込まれている、又は、当該第2暗号キーを取得することが可能な、請求項1に記載のプログラムであり、
前記生成処理ステップでは、前記端末装置は、前記顔特徴量と前記行先階とを前記第2暗号キーでエンコードして前記2次元画像を生成し、
前記管理処理部は、前記2次元画像を受信した場合、その2次元画像を前記第1暗号キーでデコードすることにより、当該2次元画像から前記顔特徴量及び前記行先階を読み出す、プログラム。
【請求項3】
前記抽出処理ステップでは、前記端末装置は、前記顔特徴量の抽出を実行する前に、当該顔特徴量の抽出に対する許可を利用者に求め、その利用者から許可が得られた場合に前記顔特徴量の抽出を実行する、請求項1又は2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記生成処理ステップでは、前記端末装置は、前記2次元画像としてQRコード(登録商標)又は2次元バーコードを生成する、請求項1又は2に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔認証技術を用いたエレベータの制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの制御技術として、行先階登録装置にて利用者による行先階の登録が行われるごとに、登録された行先階を用いて乗りかごへの割当てを行う技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような制御技術において、近年、顔認証技術を用いて行先階の登録を自動化することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この技術では、先ず、利用者の顔認証用データ(顔認証の基準となるデータ)と、当該利用者の行先階と、を互いに対応付けて対応管理データに予め記録する。そして、乗場などに設置されたカメラなどで利用者の顔情報が得られた場合に、その顔情報を対応管理データ内の顔認証用データと照合することによって顔認証を行う。その結果として顔認証に成功した場合に、顔情報と合致した顔認証用データに対応付けられている行先階を対応管理データから抽出し、その行先階を用いて乗りかごへの割当てを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-55976号公報
【特許文献2】特許第7188509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、顔認証技術を用いて行先階の登録が自動化された従来の技術では、上記対応管理データに記録される顔認証用データは、利用者の顔画像そのもの、或いは、利用者から提供された顔画像から抽出された顔特徴量であり、何れの場合にも、利用者から顔画像を提供してもらう必要があった。しかし、近年、個人情報を保護する意識の高まりから、利用者は、自身の顔画像を提供することに抵抗を感じやすくなっている。このため、顔認証に必要な対応管理データを作成することが難しくなってきている。
【0006】
そこで本発明の目的は、利用者による行先階の登録に顔認証技術が用いられるエレベータにおいて、利用者が自身の顔認証用データを安心して提供できるようにするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプログラムは、対応管理データを管理する管理処理部に対して、当該対応管理データに記録するための情報を端末装置から送信することを可能にするプログラムである。ここで、対応管理データは、エレベータの利用者ごとに、顔認証用データと、呼び登録用行先階と、が互いに対応付けて記録されるデータである。具体的に、プログラムは、利用者の顔から顔特徴量を抽出する抽出処理ステップと、利用者によって指定された行先階を受け付ける受付処理ステップと、これらの情報(顔特徴量と行先階)を含む2次元画像を生成する生成処理ステップと、当該2次元画像を管理処理部に送信する送信処理ステップと、を端末装置に実行させる。そして管理処理部は、そのようなプログラムを実行する端末装置から2次元画像を受信した場合、当該2次元画像に含まれている顔特徴量及び行先階を顔認証用データ及び呼び登録用行先階として互いに対応付けて対応管理データに記録する。
【0008】
上記プログラムによれば、顔特徴量が2次元画像に変換されるため、その2次元画像を以て、対応管理データへの記録(登録)に利用される情報が利用者の顔画像でないことを当該利用者に認識させることが可能になる。そして、そのような認識を利用者に与えることにより、利用者の顔画像が外部へ流出したり不正利用されたりすることへの利用者の不安感を緩和することができる。また、そのような安全なプログラムであることを利用者に認識してもらうことにより、当該プログラムの利用を利用者に促すことができる。
【0009】
上記プログラムは、管理処理部が第1暗号キーを有している場合において、当該第1暗号キーに対応した第2暗号キーが組み込まれている、又は、当該第2暗号キーを取得することが可能なプログラムであってもよい。このような構成において、生成処理ステップでは、端末装置は、顔特徴量と行先階とを第2暗号キーでエンコードして2次元画像を生成してもよい。また、管理処理部は、そのようなプログラムを実行する端末装置から2次元画像を受信した場合、その2次元画像を第1暗号キーでデコードすることにより、当該2次元画像から顔特徴量及び行先階を読み出してもよい。この構成によれば、万が一にも2次元画像が外部へ流出した場合でも、当該2次元画像に含まれている情報が暗号キーで保護されるため、当該情報が第三者に読み取られてしまうことを防ぐことができる。よって、個人情報の1つである顔特徴量に対するセキュリティを確保することができる。
【0010】
上記プログラムにおいて、抽出処理ステップでは、端末装置は、顔特徴量の抽出を実行する前に、当該顔特徴量の抽出に対する許可を利用者に求め、その利用者から許可が得られた場合に顔特徴量の抽出を実行してもよい。この構成によれば、利用者から情報を取得する段階で、対応管理データへの記録(登録)に利用する情報が顔画像でないことを当該利用者に認識させることができる。そして、そのような認識を利用者に与えることにより、利用者の顔画像が外部へ流出したり不正利用されたりすることへの利用者の不安感を緩和することができる。
【0011】
上記プログラムにおいて、生成処理ステップでは、端末装置は、2次元画像としてQRコード(登録商標)又は2次元バーコードを生成してもよい。この構成によれば、対応管理データへの記録(登録)に利用される情報が顔画像でないことを、2次元画像という間接的な手段で利用者に認識させることが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利用者による行先階の登録に顔認証技術が用いられるエレベータにおいて、利用者が自身の顔認証用データを安心して提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】(A)利用者による行先階の登録に顔認証技術が用いられたエレベータの全体構成を例示した概念図、及び(B)事前登録用アプリがインストールされた端末装置の構成を示した概念図である。
図2】乗場呼び装置のタッチパネルに表示される(A)待機画面、(B)通知画面、及び(C)登録画面、をそれぞれ例示した概念図である。
図3】対応管理データの一例を示した概念図である。
図4】管理サーバが実行する顔認証処理及び送信処理を示したフローチャートである。
図5】装置管理データの一例を示した概念図である。
図6】群管理制御装置が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。
図7】事前登録用アプリに基づいて端末装置が実行する制御処理及び利用者が行う操作、並びに管理サーバが実行する管理処理、をそれぞれ示したフローチャートである。
図8】端末装置の表示部に表示される(A)行先階指定画面、(B)顔撮影画面、及び(C)画像表示画面をそれぞれ例示した概念図である。
図9】第1変形例における(A)エレベータの全体構成及び(B)端末装置の構成をそれぞれ例示した概念図である。
図10】第2変形例にて表示される顔撮影画面を例示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[1]実施形態
[1-1]エレベータの全体構成
図1(A)は、利用者による行先階Fdの登録に顔認証技術が用いられたエレベータの全体構成を例示した概念図である。図1(A)の例では、エレベータは、乗場呼び装置1と、管理サーバ2と、群管理制御装置3と、を備える。このエレベータでは、当該エレベータを利用するために乗場に訪れた利用者ごとに顔認証が行われ、顔認証に成功した場合に、その利用者が予め登録していた呼び登録用行先階Frが、そのときの当該利用者の行先階Fdとして登録される。以下、各部について具体的に説明する。
【0015】
<乗場呼び装置>
乗場呼び装置1は、行先階Fdの登録に用いられる装置であり、各階の乗場に設置される。本実施形態では、利用者は、エレベータを利用するためには、その都度、乗場呼び装置1での行先階Fdの登録によって乗場呼びを行う必要である。そして、乗場呼び装置1は、利用者による行先階Fdの登録が行われた場合、その利用者を対象とした呼び登録を群管理制御装置3に依頼する。また、乗場呼び装置1が呼び登録を依頼したときに、どの乗場呼び装置1から依頼があったのか(即ち、どの乗場呼び装置1で行先階Fdが登録されたのか)を群管理制御装置3に認識させることが可能となるように、乗場呼び装置1には、それらを識別するための装置情報Pdが設定されている。
【0016】
より具体的な構成として、各乗場呼び装置1は、顔情報取得部11と、タッチパネル12と、を備える。
【0017】
顔情報取得部11は、エレベータの利用のために利用者が乗場呼びを行おうとして乗場呼び装置1に近づいた場合に、当該利用者から、その利用者を識別するための顔情報Piを取得する。そして本実施形態では、この顔情報Piに対して管理サーバ2にて顔認証が行われることにより、利用者ごとに顔認証が行われる。そこで、そのような利用者ごとの顔認証が可能となるように、乗場呼び装置1は、顔情報取得部11が顔情報Piを取得した場合には、その都度、当該顔情報Piを管理サーバ2へ送信する。このとき、乗場呼び装置1は、顔情報Piの送信元である自身の位置を管理サーバ2に認識させるために、自身の装置情報Pdも管理サーバ2へ送信する。尚、顔情報取得部11は、乗場呼び装置1の本体に設置されたものに限らず、乗場呼び装置1の本体から分離した状態で乗場に設置されてもよい。
【0018】
本実施形態では、顔情報取得部11は、顔情報Piとして、利用者の識別を可能にする顔の特徴(例えば、顔の骨格形状など)をデータ化して捉えた顔特徴量Pkを取得する。より具体的な構成として、顔情報取得部11は、利用者の顔画像を一時的に取得するカメラなどの撮像部と、当該顔画像に対する画像処理によって顔特徴量Pkを抽出するCPUなどの処理部と、を含む。尚、顔特徴量Pkの抽出は、管理サーバ2で実行されてもよい。この場合、顔情報取得部11は、利用者ごとに当該利用者の顔画像を取得し、その顔画像を管理サーバ2へ送信することになる。
【0019】
タッチパネル12は、入力部としての機能と表示部としての機能とを兼ね備えており、当該タッチパネル12には、利用者に各種情報を通知するための画面や、利用者に各種情報を入力(選択を含む)してもらうための画面などが表示される。本実施形態では、タッチパネル12に、待機画面M0と、通知画面M1と、登録画面M2と、が表示される(図2(A)~図2(C)参照)。ここで、待機画面M0は、エレベータを利用するためには乗場呼び装置1での行先階Fdの登録が必要であることを利用者に認識させるための画面である。通知画面M1は、乗車すべき乗りかごの情報を利用者に通知するための画面である。登録画面M2は、利用者に行先階Fdを入力操作(選択操作を含む)によって登録してもらうための画面である。
【0020】
尚、乗場呼び装置1は、タッチパネル12に代えて、入力部(機械式のボタンなど)と表示部(表示専用のモニタなど)とを別個に備えたものに適宜変更されてもよい。
【0021】
<管理サーバ>
管理サーバ2は、制御処理として、乗場呼び装置1に近づいた利用者に対する顔認証を行い(顔認証処理)、顔認証に成功した場合に、その利用者を対象とした呼び登録を群管理制御装置3に依頼するべく、当該利用者の呼び登録用行先階Frを群管理制御装置3へ送信する(送信処理)。また、管理サーバ2は、顔認証処理及び送信処理に必要な情報として、利用者ごとに、顔認証の基準となる顔認証用データPrと、呼び登録用行先階Frと、を互いに対応付けて管理する(管理処理)。
【0022】
より具体的な構成として、管理サーバ2は、記憶部21と制御部22とを備える。
【0023】
記憶部21は、管理サーバ2が行う各種処理に必要な情報が保存される部分であり、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成される。本実施形態では、そのような情報の1つとして対応管理データDrが記憶部21に保存されており、当該対応管理データDrにおいて、利用者ごとに、顔認証用データPrと呼び登録用行先階Frとが互いに対応付けて記録される。図3は、対応管理データDrの一例を示した概念図である。本実施形態では、図3に示されるように、顔認証用データPrは、各利用者の顔特徴量Pkであり、呼び登録用行先階Frは、各利用者が希望する1つの行先階Fd(デフォルト階)である。
【0024】
制御部22は、顔認証処理、送信処理、及び管理処理を実行する部分であり、CPUなどの処理デバイスで構成される。
【0025】
図4は、管理サーバ2(制御部22)が実行する顔認証処理及び送信処理を示したフローチャートである。制御部22は、乗場呼び装置1から顔情報Pi(本実施形態では、顔特徴量Pk)を受信した場合(ステップS100)、その都度、当該顔情報Piに対して顔認証を実行する(顔認証処理。ステップS101)。具体的には、制御部22は、乗場呼び装置1から顔情報Piを受信した場合、その顔情報Piが、対応管理データDrに記録されている顔認証用データPrの何れかと合致するか否かを判断する。より具体的には、制御部22は、対応管理データDrに記録されている顔認証用データPrの中に、受信した顔情報Piから認識できる利用者と同一の利用者を認識できるものが存在するか否かを判断する。
【0026】
制御部22は、ステップS101にて利用者の顔情報Piに対する顔認証に「成功」した場合、群管理制御装置3に対して呼び登録の依頼を行うべく、その利用者の呼び登録用行先階Frを群管理制御装置3へ送信する(送信処理。ステップS102A)。具体的には、制御部22は、顔認証処理にて利用者の顔情報Piに対する顔認証に成功した場合、対応管理データDrから、当該顔情報Piと合致した顔認証用データPrに対応付けられている呼び登録用行先階Frを抽出する。そして、制御部22は、抽出した呼び登録用行先階Frを群管理制御装置3へ送信する。このとき、制御部22は、顔認証の対象となった顔情報Piの送信元である乗場呼び装置1の位置を群管理制御装置3にも認識させるために、当該乗場呼び装置1の装置情報Pd(当該乗場呼び装置1から顔情報Piと共に受信した装置情報Pd)も群管理制御装置3へ送信する。
【0027】
詳細については後述するが、群管理制御装置3は、管理サーバ2から呼び登録用行先階Frを受信した場合、その都度、当該呼び登録用行先階Frを用いて乗りかごへの割当てを行う。そして、群管理制御装置3は、当該呼び登録用行先階Frと共に管理サーバ2から受信した装置情報Pdで特定される乗場呼び装置1において、タッチパネル12の画面を待機画面M0から通知画面M1へ切り替える(図2(A)及び図2(B)参照)。このとき、通知画面M1には、群管理制御装置3で割り当てられた乗りかごの情報が表示され、利用者は、当該通知画面M1を確認することにより、自身が乗車すべき乗りかごを認識することができる。このような一連の流れにおいては、利用者は、自身の顔情報Piを顔情報取得部11に取得させるだけで、行先階Fdを自動で登録することができる。
【0028】
一方、制御部22は、ステップS101にて利用者の顔情報Piに対する顔認証に「失敗」した場合、顔認証に失敗したことを示す失敗信号Spを、顔認証の対象となった顔情報Piの送信元である乗場呼び装置1の装置情報Pd(当該乗場呼び装置1から顔情報Piと共に受信した装置情報Pd)と共に群管理制御装置3へ送信する(送信処理。ステップS102B)。
【0029】
詳細については後述するが、群管理制御装置3は、管理サーバ2から失敗信号Spを受信した場合、当該失敗信号Spと共に管理サーバ2から受信した装置情報Pdで特定される乗場呼び装置1において、タッチパネル12の画面を待機画面M0から登録画面M2へ切り替える(図2(A)及び図2(C)参照)。これにより、利用者は、手動ではあるが行先階Fdを登録することが可能になる。
【0030】
そして、このような顔認証技術を用いた行先階Fdの登録の自動化(即ち、上述した顔認証処理及び送信処理による行先階Fdの登録)を可能にするべく、上述した対応管理データDr(図3参照)に、利用者ごとの顔認証用データPr及び呼び登録用行先階Frが互いに対応付けて予め記録される。また本実施形態では、管理サーバ2は、端末装置4とのネットワーク通信が可能であり、各利用者の顔認証用データPr及び呼び登録用行先階Frは、当該利用者の端末装置4から管理サーバ2に送信される。そして、制御部22は、端末装置4から顔認証用データPrと呼び登録用行先階Frとを受信した場合に、その都度、それらの情報を互いに対応付けて対応管理データDrに記録する(管理処理)。
【0031】
換言すれば、このような対応管理データDrへの記録により、顔認証用データPrと呼び登録用行先階Frとが対応管理データDrに事前に登録されることになる。そして本実施形態では、そのような対応管理データDrへの事前の登録を可能にするためのアプリケーションプログラム(即ち、対応管理データDrに記録するための情報を端末装置4から管理サーバ2へ送信することを可能にするアプリケーションプログラム)が端末装置4にて実行される。以下では、このアプリケーションプログラムを「事前登録用アプリ」と称す。
【0032】
一方、従来の技術では、上記対応管理データDrに記録される顔認証用データPrは、利用者の顔画像そのもの、或いは、利用者から提供された顔画像から抽出された顔特徴量Pkであり、何れの場合にも、利用者から顔画像を提供してもらう必要があった。しかし、近年、個人情報を保護する意識の高まりから、利用者は、自身の顔画像を提供することに抵抗を感じやすくなっている。このため、顔認証に必要な対応管理データDrを作成することが難しくなってきている。
【0033】
そこで本実施形態では、上述した事前登録用アプリとして、利用者が自身の顔認証用データPrを安心して提供できるようにするためのアプリケーションプログラムが端末装置4にて実行される。尚、事前登録用アプリ及び端末装置4の詳細については後述する。
【0034】
このような管理サーバ2において、上述した顔認証処理、送信処理、及び管理処理は、当該管理サーバ2の制御部22内に構築される顔認証処理部221、送信処理部222、及び管理処理部223によって実行される(図1(A)参照)。本実施形態では、これらの処理部は、制御部22にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが管理サーバ2の記憶部21に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部21に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、管理サーバ2内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0035】
<群管理制御装置>
群管理制御装置3は、エレベータが備える複数の乗りかごを一元的に管理する(群管理処理)。群管理処理の1つとして、群管理制御装置3は、呼び登録処理を実行する。具体的には、管理サーバ2から呼び登録用行先階Frを受信した場合、その都度、当該呼び登録用行先階Frを用いて乗りかごへの割当てを行う。そして、群管理制御装置3は、当該呼び登録用行先階Frと共に管理サーバ2から受信した装置情報Pdで特定される乗場呼び装置1において、タッチパネル12の画面を待機画面M0から通知画面M1へ切り替える(図2(A)及び図2(B)参照)。
【0036】
より具体的な構成として、群管理制御装置3は、記憶部31と制御部32とを備える。
【0037】
記憶部31は、群管理処理(呼び登録処理など)に必要な情報が保存される部分であり、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成されている。本実施形態では、そのような情報の1つとして装置管理データDsが記憶部31に保存されており、当該装置管理データDsには、乗場呼び装置1ごとに、装置情報Pdと設置階Fsとが互いに対応付けて予め記録されている。図5は、装置管理データDsの一例を示した概念図である。
【0038】
ここで、設置階Fsは、装置情報Pdで特定される乗場呼び装置1が設置された階である。本実施形態では、利用者は、エレベータを利用するためには、その都度、乗場呼び装置1にて行先階Fdの登録を行う必要である。このため、利用者は、行先階Fdの登録のために用いた乗場呼び装置1の設置階Fsから乗りかごに乗車することになる。従って、乗場呼び装置1の設置階Fsは、群管理制御装置3が乗りかごへの割当てを行う際に、利用者の出発階Fc(乗車階)として用いられる。
【0039】
制御部32は、群管理処理(呼び登録処理など)を実行する部分であり、CPUなどの処理デバイスで構成されている。
【0040】
図6は、群管理制御装置3(制御部32)が実行する呼び登録処理を示したフローチャートである。この呼び登録処理は、群管理制御装置3が管理サーバ2から情報(呼び登録用行先階Frを含んだ情報、又は、失敗信号Spを含んだ情報)を受信した場合(ステップS200A)に、その都度、実行される。以下では、ステップS200Aにて群管理制御装置3が受信した情報を纏めて「受信情報Ph1」と称す。
【0041】
呼び登録処理が実行されると、制御部32は、先ず、受信情報Ph1が顔認証に成功した利用者の情報(即ち、呼び登録を依頼する情報)であるのか、それとも顔認証に失敗した利用者の情報であるのかを判断するべく、受信情報Ph1内に呼び登録用行先階Frと失敗信号Spのどちらの情報が含まれているのかを判断する(ステップS200B)。
【0042】
制御部32は、ステップS200Bにて「呼び登録用行先階Fr」が含まれていると判断した場合、その判断を以て、顔認証に成功した利用者を対象とした呼び登録の依頼があったと判断することができる。
【0043】
この場合、制御部32は、装置管理データDsから、受信情報Ph1内の装置情報Pdに対応付けられている設置階Fs(即ち、顔認証に成功した利用者が行先階Fdの登録に用いた乗場呼び装置1の設置階Fs)を抽出する(ステップS201)。そして、制御部32は、ステップS201で抽出した設置階Fsと受信情報Ph1内の呼び登録用行先階Frとを、顔認証に成功した利用者(顔認証によって呼び登録を依頼した利用者)の出発階Fc(乗車階)及び行先階Fd(降車階)とし、且つ、それらを1つの乗場呼びとして、乗りかごへの割当てを行う(ステップS202)。
【0044】
その後、制御部32は、ステップS202での割当ての情報(乗りかごの情報)を利用者に通知する(ステップS203)。具体的には、制御部32は、受信情報Ph1内の装置情報Pdを用いて乗場呼び装置1を特定し、その乗場呼び装置1において、タッチパネル12の画面を待機画面M0から通知画面M1へ切り替える(図2(A)及び図2(B)参照)。そして制御部32は、その通知画面M1に、ステップS202で割り当てた乗りかごの情報を表示する。利用者は、当該通知画面M1を確認することにより、自身が乗車すべき乗りかごを認識することができる。
【0045】
一方、制御部32は、ステップS201にて「失敗信号Sp」が含まれていると判断した場合、その判断を以て、顔認証に失敗した利用者を対象として当該利用者には行先階Fdを登録させる必要があると判断することができる。この場合、制御部32は、受信情報Ph1内の装置情報Pdを用いて乗場呼び装置1を特定し、その乗場呼び装置1において、タッチパネル12の画面を待機画面M0から登録画面M2へ切り替える(ステップS211。図2(A)及び図2(C)参照)。これにより、利用者は、登録画面M2での入力操作(選択操作)によって行先階Fdを登録することが可能になる。
【0046】
登録画面M2にて利用者が行先階Fdを登録した場合(ステップS300)、当該行先階Fdは、当該ステップS300での登録に用いられた乗場呼び装置1から群管理制御装置3へ送信される。このとき、当該乗場呼び装置1の装置情報Pdも群管理制御装置3へ送信される。そして、群管理制御装置3が乗場呼び装置1から行先階Fdを受信した場合(ステップS212)、その受信を以て、制御部32は、顔認証に失敗した利用者からの呼び登録の依頼があったと判断することができる。以下では、このときに群管理制御装置3が受信する情報(行先階Fdと装置情報Pd)を纏めて「受信情報Ph2」と称す。
【0047】
ステップS212の後、制御部32は、装置管理データDsから、受信情報Ph2内の装置情報Pdに対応付けられている設置階Fs(即ち、顔認証に失敗した利用者が行先階Fdの登録に用いた乗場呼び装置1の設置階Fs)を抽出する(ステップS213)。そして、制御部32は、ステップS213で抽出した設置階Fsと受信情報Ph2内の行先階Fdとを、顔認証に失敗した利用者(入力操作によって呼び登録を依頼した利用者)の出発階Fc(乗車階)及び行先階Fd(降車階)とし、且つ、それらを1つの乗場呼びとして、乗りかごへの割当てを行う(ステップS214)。
【0048】
その後、制御部32は、ステップS214での割当ての情報(乗りかごの情報)を利用者に通知する(ステップS215)。具体的には、制御部32は、受信情報Ph2内の装置情報Pdを用いて乗場呼び装置1を特定し、その乗場呼び装置1において、タッチパネル12の画面を登録画面M2から通知画面M1へ切り替える(図2(C)及び図2(B)参照)。そして制御部32は、その通知画面M1に、ステップS214で割り当てた乗りかごの情報を表示する。利用者は、当該通知画面M1を確認することにより、自身が乗車すべき乗りかごを認識することができる。
【0049】
このような呼び登録処理は、群管理制御装置3の制御部32内に構築される呼び登録処理部320によって実行される(図1(A)参照)。本実施形態では、当該処理部は、制御部32にプログラムを実行させることによってソフトウェアで構成される。そして、そのようなプログラムは、携帯可能な記憶媒体(例えば、フラッシュメモリ等)に読取可能な状態で保存され、当該記憶媒体から読み出されてインストールされたものが群管理制御装置3の記憶部31に保存されてもよいし、他のサーバなどにダウンロード可能に保存され、当該サーバからダウンロードされてインストールされたものが記憶部31に保存されてもよい。尚、上記の処理部は、群管理制御装置3内に回路を構築することによってハードウェアで構成されてもよい。
【0050】
尚、エレベータは、乗りかごを1つだけ備えたものであってもよい。この場合、群管理制御装置3に代えて、1つの乗りかごを制御するエレベータ制御装置が、管理サーバ2から情報を受信することになる。
【0051】
[1-2]端末装置
[1-2-1]端末装置の構成
図1(B)は、事前登録用アプリがインストールされた端末装置4の構成を示した概念図である。図1(B)の例では、端末装置4は、通信部41と、入力部42と、表示部43と、撮像部44と、記憶部45と、制御部46と、を備える。
【0052】
通信部41は、ネットワーク通信用のデバイスで構成される部分であり、外部とのネットワーク通信を担う。入力部42は、タッチパネルやボタンなどの入力デバイスで構成される部分であり、利用者による各種情報の入力に用いられる。表示部43は、タッチパネルなどの表示デバイスで構成される部分であり、各種情報の表示を担う。撮像部44は、カメラなどの撮像デバイスで構成される部分であり、本実施形態では利用者からの顔画像の一時的な取得を担う。
【0053】
記憶部45は、ROMやRAMなどの記憶デバイスで構成された部分である。記憶部45には、端末装置4にインストールされた事前登録用アプリや、当該事前登録用アプリの設定に用いられた情報などが保存される。また、記憶部45は、顔画像などのデータの一時的な保存にも用いられる。
【0054】
制御部46は、CPUなどの処理デバイスで構成された部分であり、端末装置4の各部の動作を制御する。そして、利用者が自身の端末装置4にて事前登録用アプリを起動した場合に、制御部46は、事前登録用アプリに基づいた制御処理を実行する。このとき、その制御処理は、当該事前登録用アプリの実行によって端末装置4の制御部46内にソフトウェアで構築される処理部(受付処理部461など)によって遂行される。これにより、利用者は、顔認証用データPrと呼び登録用行先階Frとを自身の端末装置4から事前に登録することが可能になる。
【0055】
そして本実施形態では、利用者ごとに、顔認証用データPrとして、当該利用者の顔特徴量Pkを端末装置4から事前に登録することができ、また、呼び登録用行先階Frとして、当該利用者が希望する1つの行先階Fd(デフォルト階)を端末装置4から事前に登録することができる。以下、事前登録用アプリに基づいて制御部46が実行する制御処理の詳細について説明する。
【0056】
[1-2-2]制御処理
図7は、事前登録用アプリに基づいて端末装置4が実行する制御処理及び利用者が行う操作、並びに管理サーバ2が実行する管理処理、をそれぞれ示したフローチャートである。
【0057】
利用者は、エレベータにて顔認証による行先階Fdの登録(呼び登録の依頼)を可能にしたい場合、必要な情報(顔認証用データPrと呼び登録用行先階Fr)を事前に登録するべく、自身の端末装置4にインストールされている事前登録用アプリを起動する(ステップS301)。事前登録用アプリの起動により、事前登録用アプリに基づいた制御処理が端末装置4にて開始される。尚、事前登録用アプリがインストールされていない場合には、利用者は、先ず、自身の端末装置4に事前登録用アプリをダウンロードしてインストールする必要がある。
【0058】
事前登録用アプリが起動されると、端末装置4は、先ず、表示部43に行先階指定画面M11を表示する(ステップS401)。ここで、行先階指定画面M11(図8(A)参照)は、利用者が、呼び登録用行先階Frとしての登録を希望する行先階Fdを指定(入力や選択を含む)するための画面である。本実施形態にて表示される行先階指定画面M11では、利用者は、登録を希望する行先階Fdをデフォルト階として1つだけ指定することができる。そして行先階指定画面M11において、利用者が、登録を希望する行先階Fdを指定して確定ボタンを押した場合(ステップS302)、端末装置4は、その行先階Fdを受け付ける(ステップS402。受付処理)。このとき、端末装置4は、受け付けた行先階Fdを記憶部45に一時的に保存する。このような受付処理は、端末装置4の制御部46内にソフトウェアで構築される受付処理部461(図1(B)参照)によって実行される。
【0059】
ステップS402の後、端末装置4は、表示部43の画面を、行先階指定画面M11から顔撮影画面M12へ切り替える(ステップS403)。ここで、顔撮影画面M12(図8(B)参照)は、利用者に対して、端末装置4の撮像部44を用いて自身の顔を撮影するように指示する画面である。この顔撮影画面M12では、利用者は、撮影ボタンを押すことにより、自身の顔の撮影を開始することができる(ステップS303)。換言すれば、利用者は、撮影ボタンを押すべきか否かを自分の意志で判断することにより、顔の撮影を許可すべきか否かを自分の意志で選択することができ、許可できる場合にだけ撮影ボタンを押して顔の撮影を開始することができる。
【0060】
また図8(B)の例では、顔撮影画面M12として、撮影によって得られた利用者の顔画像を、端末装置4のミラー機能によってタイムリーに写し出すものが示されている。このような画面によれば、利用者は、顔撮影画面M12の指示に従って自身の顔を撮影する際に、当該顔撮影画面M12に写し出された自身の顔画像を見ながら、顔全体が撮影範囲内に収まるように調整することができる。尚、顔の撮影は、静止画や動画で撮影を行い、その撮影で得られた顔画像を記憶部45に一時的に保存するものに適宜変更されてもよい。
【0061】
本実施形態では、ステップS303での顔の撮影によって得られる顔画像は、顔特徴量Pkの抽出に用いられる。また、当該顔画像は、顔特徴量Pkの抽出のために記憶部45に一時的に保存されはするものの、顔特徴量Pkの抽出後には記憶部45から消去される。
【0062】
ステップS403の後、端末装置4は、撮影で得られた利用者の顔画像(本実施形態では、画面にタイムリーに写し出された利用者の顔画像)からの顔特徴量Pkの抽出を試みる(ステップS404。抽出処理)。本実施形態では、顔特徴量Pkは、顔画像そのものではなく、また、当該顔特徴量Pkから何らかの手段で画像化しようと試みたとしても、人の視覚で認識できるような顔画像の生成には至らない情報である。このような抽出処理は、端末装置4の制御部46内にソフトウェアで構築される抽出処理部462(図1(B)参照)によって実行される。
【0063】
そして、端末装置4は、ステップS404にて顔特徴量Pkを抽出できるまで、ステップS404を繰り返し実行する。このとき、利用者は、端末装置4が顔特徴量Pkを抽出することが可能となるように(即ち、自身の顔が適切な位置や角度で撮影されるように)、撮像部44の位置や角度を調整することになる(ステップS303)。
【0064】
端末装置4は、ステップS404にて顔特徴量Pkを抽出できた場合には、当該顔特徴量Pkと、ステップS402にて記憶部45に保存した行先階Fdと、を用いて、これらを含む2次元画像Cpを生成する(ステップS405。生成処理)。一例として、2次元画像Cpは、QRコード(登録商標)である。このような生成処理は、端末装置4の制御部46内にソフトウェアで構築される生成処理部463(図1(B)参照)によって実行される。尚、2次元画像Cpには、顔特徴量Pkと行先階Fdとを含めることができるものであれば、QRコード(登録商標)に限らず、2次元バーコードやアバターなどの画像が用いられてもよい。また、端末装置4は、ステップS404にて顔特徴量Pkを抽出できなかった場合(本実施形態では、顔特徴量Pkを抽出できないまま所定時間が経過した場合)には、顔特徴量Pkの抽出を一旦停止し、利用者に対して顔の撮影を改めて開始することを促してもよい。
【0065】
このようなステップS405によれば、顔特徴量Pkが2次元画像Cpに変換されるため、その2次元画像Cpを以て、対応管理データDrへの記録(登録)に利用される情報が利用者の顔画像でないことを当該利用者に認識させることが可能になる。具体的には、2次元画像Cpとして、QRコード(登録商標)や2次元バーコードなどの画像を用いることにより、対応管理データDrへの記録(登録)に利用される情報が顔画像でないことを、2次元画像Cpという間接的な手段で利用者に認識させることが可能になる。
【0066】
そして、そのような認識を利用者に与えることにより、利用者の顔画像が外部へ流出したり不正利用されたりすることへの利用者の不安感を緩和することができる。また、事前登録用アプリが、そのような安全なプログラムであることを利用者に認識してもらうことにより、当該事前登録用アプリの利用を利用者に促すことができる。
【0067】
そこで、端末装置4は、2次元画像Cpを利用者に視認させるべく、表示部43の画面を、顔撮影画面M12から画像表示画面M13へ切り替える(ステップS406)。ここで、画像表示画面M13(図8(C)参照)は、ステップS405で生成した2次元画像Cpを表示するための画面である。
【0068】
このような制御処理を実行できる事前登録用アプリによれば、利用者による行先階Fdの登録に顔認証技術が用いられるエレベータにおいて、利用者が自身の顔認証用データPrを安心して提供できるようになる。尚、対応管理データDrへの記録(登録)に利用される情報が顔画像でないことを利用者に認識させる直接的な手段として、画像表示画面M13において、その旨を通知する表示が行われてもよい。
【0069】
そして画像表示画面M13において、利用者が、表示された2次元画像Cpを確認して送信ボタンを押した場合(ステップS304)、端末装置4は、その2次元画像Cpを管理サーバ2へ送信する(ステップS407。送信処理)。このような送信処理は、端末装置4の制御部46内にソフトウェアで構築される送信処理部464(図1(B)参照)によって実行される。
【0070】
管理サーバ2は、端末装置4から2次元画像Cpを受信した場合(ステップS501)、当該2次元画像Cpに含まれている顔特徴量Pk及び行先階Fdを顔認証用データPr及び呼び登録用行先階Frとして互いに対応付けて対応管理データDrに記録する(ステップS502。管理処理)。
【0071】
[2]変形例
[2-1]第1変形例
図9(A)及び図9(B)は、第1変形例におけるエレベータの全体構成及び端末装置4の構成をそれぞれ例示した概念図である。上述したエレベータにおいて、管理サーバ2は、第1暗号キーWc1(秘密鍵など)を有していてもよい。図9(A)の例では、第1暗号キーWc1が管理サーバ2の記憶部21に保存された場合が示されている。また、第1暗号キーWc1に対応した第2暗号キーWc2(公開鍵など)が、事前登録用アプリに組み込まれていてもよい。或いは、事前登録用アプリが、外部から第2暗号キーWc2を取得できるものであってもよい。図9(B)の例では、第2暗号キーWc2が端末装置4の記憶部45に保存された場合が示されている。このような構成において、端末装置4は、事前登録用アプリに基づいた制御処理として、以下の処理を実行することができる。
【0072】
端末装置4は、生成処理(図7のステップS405)において、顔特徴量Pkと行先階Fdとを纏めて第2暗号キーWc2でエンコードして2次元画像Cpを生成する。一例として、2次元画像Cpには、QRコード(登録商標)の1つであるSQRC(登録商標)を用いることができる。尚、2次元画像Cpには、そこに含める情報を暗号化できるものであれば、SQRC(登録商標)に限らず、2次元バーコードやアバターなどを用いることができる。
【0073】
そして、管理サーバ2は、端末装置4から2次元画像Cpを受信した場合(図7のステップS501)、管理処理(ステップS502)において、その2次元画像Cpを第1暗号キーWc1でデコードすることにより、当該2次元画像Cpから顔特徴量Pk及び行先階Fdを読み出す。そして、管理サーバ2は、読み出した顔特徴量Pk及び行先階Fdを顔認証用データPr及び呼び登録用行先階Frとして互いに対応付けて対応管理データDrに記録する。
【0074】
このような制御処理を実行できる事前登録用アプリによれば、万が一にも2次元画像Cpが外部へ流出した場合でも、当該2次元画像Cpに含まれている情報が暗号キーで保護されるため、当該情報が第三者に読み取られてしまうことを防ぐことができる。よって、個人情報の1つである顔特徴量Pkに対するセキュリティを確保することができる。
【0075】
尚、第1変形例において、管理サーバ2は、端末装置4から2次元画像Cpを受信した場合(ステップS501)、その2次元画像Cpをそのまま対応管理データDrに記録して管理してもよい。この場合、管理サーバ2は、顔認証処理(図4のステップS101)を実行する際には、その都度、対応管理データDr内の2次元画像Cpを第1暗号キーWc1でデコードすることが必要になる。
【0076】
[2-2]第2変形例
上述した事前登録用アプリに基づいて端末装置4が実行する制御処理(図7参照)では、顔撮影画面M12において、撮影した利用者の顔から顔特徴量Pkが抽出されることを通知する表示が行われてもよい(図10参照)。
【0077】
この場合、利用者は、顔の撮影が行われる意図を理解した上で、撮影を許可すべきか否かを自分の意志で選択し、許可できる場合にだけ撮影ボタンを押して顔の撮影を開始することができる。換言すれば、端末装置4は、顔撮影画面M12に撮影ボタンを表示することにより、顔特徴量Pkの抽出(ステップS404。抽出処理)を実行する前に、当該顔特徴量Pkの抽出に対する許可を利用者に求め、その利用者から許可が得られた場合に顔特徴量Pkの抽出を実行することができる。
【0078】
このような制御処理を実行できる事前登録用アプリによれば、利用者から情報を取得する段階で、対応管理データDrへの記録(登録)に利用する情報が顔画像でないことを当該利用者に認識させることができる。そして、そのような認識を利用者に与えることにより、利用者の顔画像が外部へ流出したり不正利用されたりすることへの利用者の不安感を緩和することができる。それに加えて、2次元画像Cpの表示によって不安感が更に緩和されることにより、不安感が解消されやすくなる。
【0079】
[2-3]他の変形例
上述したエレベータは、管理サーバ2が実行する制御処理(顔認証処理、送信処理、及び管理処理を含む)の一部又は全部が群管理制御装置3で実行されるものに適宜変更されてもよい。群管理制御装置3が管理処理を実行する場合には、端末装置4は、群管理制御装置3との間でネットワーク通信を行うことになる。
【0080】
上述したエレベータにおいて、乗場呼び装置1は、行先階Fdを入力(選択を含む)するものに限らず、利用者が向かう方向だけを指定するものに適宜変更されてもよい。
【0081】
上述したエレベータにおいて、対応管理データDrでは、利用者ごとに、当該利用者を識別するための識別情報(利用者IDなど)が、顔認証用データPr及び呼び登録用行先階Frに対応付けて記録されてもよい。このような対応管理データDrによれば、識別情報を用いてデータを管理できるため、利用者が事前登録を抹消したい場合には、その利用者の識別情報に基づいて対応管理データDr内における当該利用者の情報(顔認証用データPr及び呼び登録用行先階Fr)を特定し、当該情報を、識別情報と共に対応管理データDrから削除することができる。
【0082】
上述したエレベータにおいて、対応管理データDrでは、利用者ごとに、事前登録の有効期限が、顔認証用データPr及び呼び登録用行先階Frに対応付けて記録されてもよい。この場合、管理サーバ2は、有効期限が切れる前(例えば、有効期限が切れる日から所定期間を遡った日)に、その旨を伝える通知を利用者の端末装置4へ送信してもよい。
【0083】
上述した端末装置4において、送信処理(管理サーバ2への2次元画像Cpの送信。図7のステップS407)は、エレベータの乗場などに設置された画像読取装置(コードリーダなど)に2次元画像Cpを読み取らせることにより、当該画像読取装置を介して実行されてもよい。
【0084】
上述の実施形態及び変形例の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態や変形例ではなく、特許請求の範囲によって示される。更に、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0085】
また、上述の実施形態や変形例からは、発明の対象として、プログラム(事前登録用アプリ)に限らず、それを実行する端末装置4が抽出されてもよい。また、発明の対象として、関連するエレベータやその構成要素(乗場呼び装置1、管理サーバ2、群管理制御装置3など)が個々に抽出されてもよいし、それらの幾つかを組み合わせたものがエレベータの制御システムとして抽出されてもよい。更には、それらの構成要素(端末装置4や制御システムを含む)で実行される制御処理やプログラムが個々に抽出されてもよいし、それらの一部が部分的に抽出されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 乗場呼び装置
2 管理サーバ
3 群管理制御装置
4 端末装置
11 顔情報取得部
12 タッチパネル
21 記憶部
22 制御部
31 記憶部
32 制御部
41 通信部
42 入力部
43 表示部
44 撮像部
45 記憶部
46 制御部
Cp 2次元画像
Dr 対応管理データ
Ds 装置管理データ
Fc 出発階
Fd 行先階
Fr 呼び登録用行先階
Fs 設置階
M0 待機画面
M1 通知画面
M2 登録画面
Pd 装置情報
Pi 顔情報
Pk 顔特徴量
Pr 顔認証用データ
Sp 失敗信号
221 顔認証処理部
222 送信処理部
223 管理処理部
320 呼び登録処理部
461 受付処理部
462 抽出処理部
463 生成処理部
464 送信処理部
M11 行先階指定画面
M12 顔撮影画面
M13 画像表示画面
Ph1、Ph2 受信情報
Wc1 第1暗号キー
Wc2 第2暗号キー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10