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特開2024-12546ワークホール検出装置、ワークホール検出方法、研磨システム及びウェーハの搬送制御方法
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  • 特開-ワークホール検出装置、ワークホール検出方法、研磨システム及びウェーハの搬送制御方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024012546
(43)【公開日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ワークホール検出装置、ワークホール検出方法、研磨システム及びウェーハの搬送制御方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/12 20060101AFI20240123BHJP
   B24B 37/08 20120101ALI20240123BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20240123BHJP
   B23Q 17/20 20060101ALI20240123BHJP
   B23Q 7/04 20060101ALN20240123BHJP
【FI】
B24B49/12
B24B37/08
B23Q17/24 Z
B23Q17/20 Z
B23Q7/04 M
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023191166
(22)【出願日】2023-11-08
(62)【分割の表示】P 2019234226の分割
【原出願日】2019-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000107745
【氏名又は名称】スピードファム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山谷 昭彦
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 信行
(72)【発明者】
【氏名】西 幸則
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昌智
(57)【要約】
【課題】決められた位置に決められた姿勢で配置されていないウェーハに対して研磨加工してしまうことを防止できるワークホール検出装置を提供すること。
【解決手段】研磨機10の下定盤12上に配置されたキャリア13のワークホール14の位置を検出するワークホール検出装置において、対象物Tまでの距離を測定するレーザ変位計Rと、レーザ変位計Rの測定値を使用し、三カ所以上のワークホール14のエッジ部の位置を検出するエッジ検出部33と、エッジ検出部33によって検出された三カ所以上のエッジ部の位置に基づいて、ワークホール14の中心位置を演算する中心演算部34と、レーザ変位計Rによって測定された搬送済みのウェーハの上面高さに基づいて、ウェーハの搬送状態を推定するウェーハ状態推定部36と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨機の定盤の上に配置されたキャリアのワークホールの位置を検出するワークホール検出装置において、
対象物までの距離を測定する距離測定部と、
前記距離測定部の測定値を使用し、前記ワークホールのエッジ部の位置を三カ所以上検出するエッジ検出部と、
前記エッジ検出部によって検出された三カ所以上の前記エッジ部の位置に基づいて、前記ワークホールの中心位置を演算する中心演算部と、
前記距離測定部によって測定された搬送済みのウェーハの上面高さに基づいて、前記ウェーハの搬送状態を推定するウェーハ状態推定部と、
を備えることを特徴とするワークホール検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたワークホール検出装置において、
前記定盤と前記キャリアとの相対的な位置関係に基づいて演算された前記ワークホールの中心位置であるティーチング位置を演算するティーチング位置演算部を備え、
ウェーハ搬送機は、前記ウェーハを前記ワークホール内に搬送する際、前記ティーチング位置と前記中心演算部によって演算された前記ワークホールの中心位置との差異を補正して設定された目標位置に、搬送するウェーハの中心位置を一致させるように制御される
ことを特徴とするワークホール検出装置。
【請求項3】
研磨機の定盤の上に配置されたキャリアのワークホールの位置を検出するワークホール検出方法において、
距離測定部を移動させながら対象物までの距離を測定して得られた測定値に基づいて、前記ワークホールのエッジ部の位置を三カ所以上検出する第1ステップと、
三カ所以上の前記エッジ部の位置に基づいて、前記ワークホールの中心位置を演算する第2ステップと、
ウェーハの搬送後、前記距離測定部を使用して搬送済みのウェーハの上面高さを検出する第3ステップと、
前記ウェーハの上面高さに基づいて、前記ウェーハの搬送状態を推定する第4ステップと、
を備えることを特徴とするワークホール検出方法。
【請求項4】
請求項3に記載されたワークホール検出方法において、
前記第1ステップでは、前記エッジ部の位置を検出する際、前記定盤と前記キャリアとの相対的な位置から演算された前記ワークホールの中心位置を囲むことが可能なエッジ部検出位置を三カ所以上設定し、前記エッジ部検出位置から前記距離測定部を移動させながら、前記エッジ部の位置を三カ所以上検出する
ことを特徴とするワークホール検出方法。
【請求項5】
定盤によってウェーハを研磨する研磨機と、前記定盤の上に配置されたキャリアのワークホール内に前記ウェーハを搬送するウェーハ搬送機と、を備えた研磨システムにおいて、
対象物までの距離を測定する距離測定部と、
前記距離測定部によって測定された搬送済みのウェーハの上面高さに基づいて、前記ウェーハの搬送状態を推定するウェーハ状態推定部と、
を備えることを特徴とする研磨システム。
【請求項6】
定盤によってウェーハを研磨する研磨機と、前記定盤の上に配置されたキャリアのワークホール内に前記ウェーハを搬送するウェーハ搬送機と、を備えた研磨システムによるウェーハの搬送制御方法において、
前記ウェーハ搬送機によって前記ウェーハの搬送後、対象物までの距離を測定する距離測定部を使用して搬送済みのウェーハの上面高さを検出するステップと、
前記ウェーハの上面高さに基づいて、前記ウェーハの搬送状態を推定するステップと、
を備えることを特徴とするウェーハの搬送制御方法。
【請求項7】
定盤によってウェーハを研磨する研磨機と、前記定盤の上に配置されたキャリアのワークホール内に前記ウェーハを搬送するウェーハ搬送機と、を備えた研磨システムにおいて、
対象物までの距離を測定する距離測定部と、
前記距離測定部の測定値を使用し、前記ワークホールのエッジ部の位置を三カ所以上検出するエッジ検出部と、
前記エッジ検出部によって検出された三カ所以上の前記エッジ部の位置に基づいて、前記ワークホールの中心位置である実中心位置を演算する中心演算部と、
前記定盤と前記キャリアとの相対的な位置関係に基づいて演算された前記ワークホールの中心位置であるティーチング位置を演算するティーチング位置演算部と、を備え、
前記ウェーハ搬送機は、前記ウェーハを前記ワークホール内に搬送する際、前記ティーチング位置と前記実中心位置との差異を補正して設定された目標位置に、搬送するウェーハの中心位置を一致させるように制御される
ことを特徴とする研磨システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨機によって研磨されるウェーハを保持するキャリアのワークホールの位置を検出するワークホール検出装置、ワークホール検出方法、研磨システム及びウェーハの搬送制御方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来から、研磨機でウェーハを研磨する際にウェーハを保持するキャリアのワークホールの位置を検出するワークホール検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。従来のワークホール検出装置では、所定の中心角を成すように設置された二つのカメラによって画像データを取得する。そして、この画像データから得られたワークホールのエッジ部上の二点の位置と、カメラ間の中心角とに基づいて、ワークホールの中心位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4492155号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ワークホールの中心位置を検出する際に画像データを利用する場合では、キャリア周囲の照明状態の影響によって画像データの品質がばらつき、ワークホールのエッジ部を適切に検出できないことが考えられる。また、画像データを利用することから、キャリアと、このキャリアが載置される定盤の研磨面(研磨パッド等)との色彩が似ている場合に、ワークホールのエッジ部を検出しにくいという問題が発生する。
【0005】
本発明は、決められた位置に決められた姿勢で配置されていないウェーハに対して研磨加工してしまうことを防止できるワークホール検出装置、ワークホール検出方法、研磨システム及びウェーハの搬送制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、研磨機の定盤上に配置されたキャリアのワークホールの位置を検出するワークホール検出装置であり、対象物までの距離を測定する距離測定部と、前記距離測定部の測定値を使用し、前記ワークホールのエッジ部の位置を三カ所以上検出するエッジ検出部と、前記エッジ検出部によって検出された三カ所以上の前記エッジ部の位置に基づいて、前記ワークホールの中心位置を演算する中心演算部と、前記距離測定部によって測定された搬送済みのウェーハの上面高さに基づいて、前記ウェーハの搬送状態を推定するウェーハ状態推定部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
この結果、決められた位置に決められた姿勢で配置されていないウェーハに対して研磨加工してしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1のワークホール検出装置を適用した研磨システムの全体構成を概略的に示す側面図である。
図2】実施例1のワークホール検出装置を適用した研磨システムの全体構成を概略的に示す平面図である。
図3】レーザ変位計の測定原理を示す説明図である。
図4】ワークホール検出時に設定される各種検出位置と、検出されるエッジ位置を示す説明図である。
図5】ウェーハ搬送状態推定時に設定される各種検出位置と、レーザ変位計の移動軌跡を示す説明図である。
図6】エッジ位置検出時のレーザ変位計の測定値を示す図である。
図7】(a)ウェーハ正常搬送時のウェーハ状態を示す説明図である。(b)ウェーハ正常搬送時のレーザ変位計の測定値を示す図である。
図8】(a)ウェーハ乗り上げ時のウェーハ状態を示す説明図である。(b)ウェーハ乗り上げ時のレーザ変位計の測定値を示す第1図である。(c)ウェーハ乗り上げ時のレーザ変位計の測定値を示す第2図である。
図9】(a)ウェーハ浮き時のウェーハ状態を示す説明図である。(b)ウェーハ浮き時のレーザ変位計の測定値を示す図である。
図10】実施例1のメインコントローラにて実行されるウェーハ搬送制御処理を示すフローチャートである。
図11】エッジ部検出位置の他の設定例を示す説明図である。
図12】(a)ウェーハ搬送状態推定時のレーザ変位計の移動軌跡の第1変形例を示す説明図である。(b)第1変形例の移動軌跡に沿ってウェーハ上面高さを検出したときのウェーハ乗り上げ時のレーザ変位計の検出値を示す図である。
図13】(a)ウェーハ搬送状態推定時のレーザ変位計の移動軌跡の第2変形例を示す説明図である。(b)第2変形例の移動軌跡に沿ってウェーハ上面高さを検出したときのウェーハ乗り上げ時のレーザ変位計の検出値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のワークホール検出装置、ワークホール検出方法、研磨システム及びウェーハの搬送制御方法を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
以下、実施例1のワークホール検出装置を適用した研磨システム1の構成を図1図9に基づいて説明する。
【0011】
図1に示す研磨システム1は、研磨機10と、ウェーハ搬送機20と、メインコントローラ30と、を備えている。
【0012】
研磨機10は、上定盤11及び下定盤12によって薄板状のウェーハ2の表裏両面を研磨加工する両面研磨装置である。ここで、ウェーハ2は、上定盤11に貼付された研磨パッド11aと、下定盤12に貼付された研磨パッド12aとによって研磨加工される。また、ウェーハ2は、図2に示すように、研磨パッド12aの上に配置されたキャリア13のワークホール14内に収容され、キャリア13によって保持されて研磨加工される。
【0013】
キャリア13は、ウェーハ2よりも薄い円盤状の薄板部材である。ワークホール14は、キャリア13を貫通する穴であり、ウェーハ2の直径よりも僅かに大きい内径寸法に設定されている。なお、図2に示す例では、ワークホール14は、キャリア13に一つ形成されているが、キャリア13に形成されるワークホール14の数は、任意に設定可能である。
【0014】
また、このキャリア13は、研磨パッド12a上に配置される際、周方向の向きや位置が規定されると共に、例えば研磨機10のコントローラ(不図示)等によって移動軌跡が常時監視されている。これにより、下定盤12とキャリア13との相対的な位置関係は、常に把握することができ、ワークホール14の中心位置は、この位置関係に基づく演算によって求めることが可能である。なお、下定盤12とキャリア13との相対的な位置関係に基づいて演算されたワークホール14の中心位置を、以下「ティーチング位置α(図4参照)」という。このティーチング位置αは、ウェーハ搬送機20のX-Y座標系で規定される。
【0015】
ウェーハ搬送機20は、メインコントローラ30からの制御指令に基づいて駆動し、ウェーハ2を一枚ずつ自動搬送するロボットアームである。ウェーハ搬送機20は、ウェーハ2を着脱可能に保持する搬送ヘッド21と、搬送ヘッド21を水平方向及び垂直方向に移動させるアーム部22と、を備えている。
【0016】
このウェーハ搬送機20は、ウェーハ2の研磨加工に先立ち、多数のウェーハ2を収納したロードポート(不図示)から取り出されたウェーハ2を搬送ヘッド21で保持する。次に、アーム部22を動かして所定のワークホール14の上方位置まで搬送ヘッド21を搬送する。そして、搬送ヘッド21からウェーハ2を放してワークホール14内に配置する。
【0017】
また、ウェーハ搬送機20は、ウェーハ2の研磨加工後には、アーム部22を動かして所定のワークホール14の上方位置まで搬送ヘッド21を移動させる。続いて、搬送ヘッド21でワークホール14内のウェーハ2を保持し、ウェーハ2を取り出す。そして、アーム部22を動かして図示しないアンロードポートまでウェーハ2を搬送する。
【0018】
さらに、実施例1の搬送ヘッド21には、レーザ変位計R(距離測定部)が搭載されている。このレーザ変位計Rは、図3に示すように、対象物Tにレーザ光S1を照射し、対象物Tによって反射された反射光S2に基づいて対象物Tまでの距離Lを非接触で測定する距離センサである。
【0019】
このレーザ変位計Rは、アーム部22を駆動して搬送ヘッド21を移動した際、搬送ヘッド21と一体になって移動する。また、ウェーハ搬送機20は、レーザ変位計Rの高さ位置を一定に保持したまま移動させることができるため、レーザ変位計Rは、キャリア13の厚みを測定することができる。また、このレーザ変位計Rは、ウェーハ搬送機20によって移動している最中も対象物Tまでの距離を測定可能である。なお、レーザ変位計Rの測定中、対象物Tに付着した水分を除去するため、対象物Tに対して空気を噴射してもよい。
【0020】
メインコントローラ30は、ウェーハ搬送機20に制御指令を出力し、ウェーハ搬送機20によるウェーハ2の搬送を制御すると共に、搬送ヘッド21の移動によるレーザ変位計Rの移動を制御する。また、メインコントローラ30は、下定盤12とキャリア13との相対的な位置関係に基づいてティーチング位置αを演算し、このティーチング位置αを用いてワークホール14のエッジ部の位置を三カ所以上(実施例1では四カ所)検出する。ここで、「エッジ部」とは、ワークホール14の内周縁部であり、ワークホール14とキャリア13との境界である。そして、検出したエッジ部の位置に基づいて、ワークホール14の中心位置を演算する。なお、ワークホール14のエッジ部の位置や、ワークホール14の中心位置は、いずれもウェーハ搬送機20のX-Y座標系で規定される。さらに、メインコントローラ30は、ウェーハ2の搬送後、搬送済みのウェーハの上面高さに基づいて、ウェーハの搬送状態を推定する。
【0021】
すなわち、このメインコントローラ30は、ティーチング位置演算部31と、検出位置設定部32と、エッジ検出部33と、中心演算部34と、搬送制御部35と、ウェーハ状態推定部36と、を備えている。
【0022】
ティーチング位置演算部31は、下定盤12とキャリア13との相対的な位置関係の情報が入力されると、この位置関係情報に基づいてティーチング位置αを演算する。なお、下定盤12とキャリア13との位置関係情報は、例えば研磨機10のコントローラから入力される。ティーチング位置演算部31によって演算されたティーチング位置αの情報は、検出位置設定部32に入力される。
【0023】
検出位置設定部32は、ティーチング位置演算部31からティーチング位置αの情報が入力されると、このティーチング位置情報に基づいて、ワークホール14の位置を検出する際の各種の検出位置を設定する。また、検出位置設定部32は、ウェーハ2の搬送後、中心演算部34によって演算されたワークホール14の中心位置(以下、「実中心位置β(図5参照)」という)の情報が入力される。そして、この実中心位置情報に基づいて、ウェーハ2の搬送状態を推定する際の各種の検出位置を設定する。ここで、「検出位置」とは、レーザ変位計Rの移動目標地点である。検出位置設定部32によって設定された検出位置の情報は、搬送制御部35に入力される。
【0024】
ここで、ワークホール14の位置を検出するときには、ワークホール14のエッジ部を検出する際の基準値となるキャリア13の高さと、第1エッジ位置P11、第2エッジ位置P13、第3エッジ位置P15、第4エッジ位置P17の四カ所の位置(図4参照)が検出される。そのため、検出位置設定部32は、図4に示す基準検出位置P10と、第1エッジ部検出位置P12と、第2エッジ部検出位置P14と、第3エッジ部検出位置P16と、第4エッジ部検出位置P18と、を設定する。なお、「基準検出位置P10」は、キャリア13の高さを検出する際のレーザ変位計Rの移動目標地点である。「第1エッジ部検出位置P12」は、第1エッジ位置P11を検出する際のレーザ変位計Rの移動目標地点である。「第2エッジ部検出位置P14」は、第2エッジ位置P13を検出する際のレーザ変位計Rの移動目標地点である。「第3エッジ部検出位置P16」は、第3エッジ位置P15を検出する際のレーザ変位計Rの移動目標地点である。「第4エッジ部検出位置P18」は、第4エッジ位置P17を検出する際のレーザ変位計Rの移動目標地点である。
【0025】
また、第1エッジ部検出位置P12、第2エッジ部検出位置P14、第3エッジ部検出位置P16、第4エッジ部検出位置P18は、図4に示すように、これら四カ所の位置を順に結ぶ線分γによってティーチング位置αを囲むことが可能な位置に設定されている。すなわち、検出位置設定部32は、エッジ部検出位置を設定する際、ティーチング位置αを囲むことが可能な三カ所以上の検出位置を設定する。
【0026】
そして、基準検出位置P10は、ティーチング位置αに基づいてキャリア13の基板部と推定される位置に設定される。なお、「キャリア13の基板部」とは、ワークホール14の外側位置であり、ワークホール14や捨て穴等が何ら形成されていない平坦部分である。また、第1エッジ部検出位置P12、第2エッジ部検出位置P14、第3エッジ部検出位置P16、第4エッジ部検出位置P18は、ここでは、全てティーチング位置αに基づいてワークホール14の内側になると推定される位置に設定される。
【0027】
さらに、ウェーハ2の搬送状態を推定するときには、実施例1では、ウェーハ搬送状態を判定する際の基準値となるキャリア13の高さと、搬送済みのウェーハ2の上面高さを検出する。そのため、検出位置設定部32は、図5に示す基準検出位置P20と、高さ検出開始位置P21と、を設定する。なお、「基準検出位置P20」は、キャリア13の高さを検出する際のレーザ変位計Rの移動目標地点である。「高さ検出開始位置P21」は、ウェーハ2の上面高さを検出する際のレーザ変位計Rの移動目標地点である。
【0028】
ここで、基準検出位置P20は、実中心位置βに基づいてキャリア13の基板部と推定される位置に設定される。また、高さ検出開始位置P21は、実中心位置βに基づいてウェーハ2と推定される位置に設定される。
【0029】
エッジ検出部33は、レーザ変位計Rの測定値が入力されると、この測定値に基づいてワークホール14のエッジ部の位置を三カ所以上(実施例1では第1エッジ位置P11~第4エッジ位置P17の四カ所)検出する。エッジ検出部33によって検出されたエッジ部の位置情報は、中心演算部34に入力される。
【0030】
このエッジ検出部33は、エッジ部を検出する際、まず、レーザ変位計Rを基準検出位置P10に移動させて得られた測定値に基づいて基準値を設定する。ここでは、基準検出位置P10において得られた測定値から所定値を差し引いた値を基準値とする。続いて、レーザ変位計Rを第1エッジ部検出位置P12から所定軌跡に沿って移動させながら得られた測定値が、基準値を超えるか否かを判断する。そして、測定値が基準値を超えた時点でのレーザ変位計Rの移動量xと、第1エッジ部検出位置P12に基づいて、第1エッジ位置P11を検出する(図6参照)。
【0031】
なお、エッジ検出部33は、第2エッジ位置P13、第3エッジ位置P15、第4エッジ位置P17についても、レーザ変位計Rを移動させる都度、第1エッジ位置P11と同様に検出する。つまり、エッジ検出部33は、エッジ部検出位置(第1エッジ部検出位置P12等)からレーザ変位計Rを移動させながらエッジ部の位置(第1エッジ位置P11等)を検出することを、エッジ部の位置(第1エッジ位置P11等)を三カ所以上検出するまで繰り返す。
【0032】
中心演算部34は、エッジ検出部33から三カ所以上(実施例1では、第1エッジ位置P11~第4エッジ位置P17の四カ所)のエッジ部の位置情報が入力される。そして、このエッジ部の位置情報に基づいて、実中心位置βを演算する。中心演算部34によって演算された実中心位置βの情報は、搬送制御部35に入力される。なお、実中心位置βは、三カ所以上のエッジ部の位置情報と一般的な円の方程式とを利用して求めることが可能である。
【0033】
搬送制御部35は、検出位置設定部32から各種の検出位置(基準検出位置P10等)の情報が入力され、この各種の検出位置に基づいて、ウェーハ搬送機20に制御指令を出力する。そして、予め決められた順とタイミングで各種の検出位置を移動目標地点としてレーザ変位計Rを移動させる。また、搬送制御部35は、所定の検出位置(第1エッジ位置P11等)にレーザ変位計Rを移動させた後、ウェーハ搬送機20に制御指令を出力し、予め決められた方向にレーザ変位計Rを移動させる。
【0034】
ウェーハ状態推定部36は、ウェーハ2の搬送後、レーザ変位計Rの測定値が入力され、この測定値に基づいて搬送済みのウェーハ2の搬送状態を推定する。なお、ウェーハ状態推定部36によって推定された搬送状態情報は、例えば研磨機10のコントローラ等に入力され、研磨システム1のオペレータ等に報知されてもよい。
【0035】
このウェーハ状態推定部36は、ウェーハの搬送状態を推定する際、まず、レーザ変位計Rを基準検出位置P20に移動させたときに得られる測定値に基づいて基準範囲(上閾値及び下閾値)を設定する。続いて、レーザ変位計Rを高さ検出開始位置P21へ移動させ、この高さ検出開始位置P21から予め設定された所定の軌跡(ここでは、ウェーハ2の周縁部に沿った環状軌跡3)に沿って移動しながら得られる測定値(ウェーハの上面高さ)が、基準範囲を超えるか否かを判断する。
【0036】
例えば、図7(a)に示すように、ウェーハ2がワークホール14内に正常に配置された場合は、レーザ変位計Rが環状軌跡3に沿って移動しながら得られる測定値は、基準範囲内に収まる(図7(b)参照)。すなわち、ウェーハ状態推定部36は、測定値が基準範囲内に収まったと判断したときは、ウェーハ2が正常に配置されたと推定する。
【0037】
これに対し、図8(a)に示すように、ウェーハ2がワークホール14のエッジ部に乗り上げた場合は、レーザ変位計Rが環状軌跡3に沿って移動しながらの測定途中で、測定値が基準範囲を超える(図8(b)参照)。なお、高さ検出開始位置P21の設定位置とウェーハ2の乗り上げ位置との関係によっては、図8(c)に示す測定値が得られるが、この場合であっても、レーザ変位計Rが環状軌跡3に沿って移動しながらの測定途中で、測定値が基準範囲を超える。さらに、図9(a)に示すように、ウェーハ2がワークホール14内に配置されても、スラリーや水等の影響で研磨パッド12aから浮き上がっている場合にも、レーザ変位計Rが環状軌跡3に沿って移動しながらの測定途中で測定値が基準範囲を超える(図9(b)参照)。そのため、ウェーハ状態推定部36は、基準範囲を超えた測定値を得たと判断したときは、ウェーハ2が正常に配置されていないと推定する。
【0038】
以下、実施例1のメインコントローラ30にて実行されるウェーハ搬送制御処理の各ステップを、図10に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、このウェーハ搬送制御処理は、研磨パッド12a上の全てのキャリア13のワークホール14にウェーハ2を配置するまで繰り返し実行される。
【0039】
ステップS1では、ウェーハ2の搬送を開始するか否かを判断する。YES(搬送開始)の場合はステップS2へ進む。NO(搬送しない)の場合はステップS1を繰り返す。なお、搬送の開始判断は、例えば搬送制御部35によって行われる。
【0040】
ステップS2(第1ステップ)では、ステップS1での搬送開始との判断に続き、ティーチング位置演算部31にてティーチング位置を演算し、検出位置設定部32によって、演算されたティーチング位置αの情報を読み込み、ステップS3へ進む。
【0041】
ステップS3(第1ステップ)では、ステップS2でのティーチング位置情報の読み込みに続き、検出位置設定部32にて、ティーチング位置情報に基づいて、ワークホール14の位置を検出する際の各種の検出位置(基準検出位置P10、第1エッジ部検出位置P12、第2エッジ部検出位置P14、第3エッジ部検出位置P16、第4エッジ部検出位置P18)を設定し、ステップS4へ進む。
【0042】
ステップS4(第1ステップ)では、ステップS3での検出位置の設定に続き、搬送制御部35からウェーハ搬送機20に制御指令を出力し、ステップS3にて設定した基準検出位置P10を移動目標地点としてレーザ変位計Rを移動し、ステップS5へ進む。
【0043】
ステップS5(第1ステップ)では、ステップS4でのレーザ変位計Rの移動に続き、基準検出位置P10までの距離をレーザ変位計Rによって測定し、ステップS6へ進む。ここで、基準検出位置P10は、キャリア13の基板部と推定される位置に設定されているため、キャリア高さが検出される。そして、このキャリア高さに基づいて、ワークホール14のエッジ部を検出する際の基準値が設定される。
【0044】
ステップS6(第1ステップ)では、ステップS5でのキャリア高さの検出に続き、搬送制御部35からウェーハ搬送機20に制御指令を出力し、ステップS3にて設定した第1エッジ部検出位置P12を移動目標地点としてレーザ変位計Rを移動し、ステップS7へ進む。
【0045】
ステップS7(第1ステップ)では、ステップS6でのレーザ変位計Rの移動に続き、予め決められた方向にレーザ変位計Rを移動させながら、レーザ変位計Rによって下方に存在するキャリア13又は研磨パッド12aまでの距離を測定する。そして、このとき得られた測定値及びステップS5にて検出されたキャリア高さから設定された基準値に基づいて、エッジ検出部33にて第1エッジ位置P11を検出し、ステップS8へ進む。
【0046】
ステップS8(第1ステップ)では、ステップS7での第1エッジ位置P11の検出に続き、搬送制御部35からウェーハ搬送機20に制御指令を出力し、ステップS3にて設定した第2エッジ部検出位置P14を移動目標地点としてレーザ変位計Rを移動し、ステップS9へ進む。
【0047】
ステップS9(第1ステップ)では、ステップS8でのレーザ変位計Rの移動に続き、予め決められた方向にレーザ変位計Rを移動させながら、レーザ変位計Rによって下方に存在するキャリア13又は研磨パッド12aまでの距離を測定する。そして、このとき得られた測定値及びステップS5にて設定された基準値に基づいて、エッジ検出部33にて第2エッジ位置P13を検出し、ステップS10へ進む。
【0048】
ステップS10(第1ステップ)では、ステップS9での第2エッジ位置P13の検出に続き、搬送制御部35からウェーハ搬送機20に制御指令を出力し、ステップS3にて設定した第3エッジ部検出位置P16を移動目標地点としてレーザ変位計Rを移動し、ステップS11へ進む。
【0049】
ステップS11(第1ステップ)では、ステップS10でのレーザ変位計Rの移動に続き、予め決められた方向にレーザ変位計Rを移動させながら、レーザ変位計Rによって下方に存在するキャリア13又は研磨パッド12aまでの距離を測定する。そして、このとき得られた測定値及びステップS5にて設定された基準値に基づいて、エッジ検出部33にて第3エッジ位置P15を検出し、ステップS12へ進む。
【0050】
ステップS12(第1ステップ)では、ステップS11での第3エッジ位置P15の検出に続き、搬送制御部35からウェーハ搬送機20に制御指令を出力し、ステップS3にて設定した第4エッジ部検出位置P18を移動目標地点としてレーザ変位計Rを移動し、ステップS13へ進む。
【0051】
ステップS13(第1ステップ)では、ステップS12でのレーザ変位計Rの移動に続き、予め決められた方向にレーザ変位計Rを移動させながら、レーザ変位計Rによって下方に存在するキャリア13又は研磨パッド12aまでの距離を測定する。そして、このとき得られた測定値及びステップS5にて設定された基準値に基づいて、エッジ検出部33にて第4エッジ位置P17を検出し、ステップS14へ進む。
【0052】
ステップS14(第2ステップ)では、ステップS13での第4エッジ位置P17の検出に続き、第1エッジ位置P11、第2エッジ位置P13、第3エッジ位置P15、第4エッジ位置P17に基づいて、中心演算部34にて実中心位置βを演算し、ステップS15へ進む。
【0053】
ステップS15では、ステップS14での実中心位置βの演算に続き、搬送制御部35からウェーハ搬送機20に制御指令を出力し、ウェーハ2をワークホール14内に搬送し、ステップS16へ進む。このとき、搬送制御部35では、ティーチング位置演算部31にて演算されたティーチング位置αと、中心演算部34にて演算された実中心位置βとの差異(ズレ量)を求める。続いて、ティーチング位置αに対し、算出した差異(ズレ量)を補正して目標位置を設定する。そして、搬送ヘッド21に保持したウェーハ2の中心位置を、この目標位置に一致させる制御指令を出力し、ウェーハ2がワークホール14の中心に配置されるようにアーム部22を制御する。
【0054】
ステップS16(第3ステップ)は、ステップS15でのウェーハ2の搬送に続き、搬送制御部35からウェーハ搬送機20に制御指令を出力し、搬送済みのウェーハ2の上面高さを検出し、ステップS17へ進む。
【0055】
ここで、ウェーハ2の上面高さを検出するに先立ち、まず、検出位置設定部32は、実中心位置βに基づいて基準検出位置P20と、高さ検出開始位置P21を設定する。続いて、搬送制御部35はレーザ変位計Rを基準検出位置P20に移動し、レーザ変位計Rは基準検出位置P20までの距離を測定する。なお、ウェーハ状態推定部36は、このとき得られた測定値に基づいて基準範囲(上閾値及び下閾値)を設定する。その後、搬送制御部35はレーザ変位計Rを高さ検出開始位置P21へ移動する。そして、レーザ変位計Rは、この高さ検出開始位置P21から予め設定された環状軌跡3に沿って移動しながらウェーハ2の上面高さを検出する。
【0056】
ステップS17(第4ステップ)では、ステップS16でのウェーハ2の上面高さの検出に続き、ステップS16にて検出したウェーハ2の上面高さと、基準検出位置P20までの距離から設定された基準範囲と、に基づいて、ウェーハ状態推定部36にてウェーハ2の搬送状態を推定し、エンドへ進む。
【0057】
以下、実施例1のワークホール検出装置及びワークホール検出方法の「ワークホール位置検出作用」を説明する。
【0058】
実施例1の研磨システム1においてウェーハ2を研磨加工するには、ウェーハ搬送機20を用いて研磨機10の下定盤12上にウェーハ2を自動的に搬送する。ここで、下定盤12には予め研磨パッド12aが貼付され、その上にワークホール14を有するキャリア13が配置されている。すなわち、ウェーハ搬送機20は、決められたワークホール14の中に決められた姿勢でウェーハ2を搬送する必要がある。
【0059】
一方、キャリア13は、研磨パッド12a上に配置されるときの周方向の向きや位置が規定されると共に、移動軌跡が常時監視されている。そのため、下定盤12とキャリア13との相対的な位置関係は常に把握されており、ワークホール14の中心位置もティーチング位置αとして求められている。しかしながら、研磨機10のサンギヤやインターナルギヤのバックラッシュや、キャリアのバックラッシュ、さらに摩耗によるバックラッシュの増加等により、実際のワークホール14の中心位置は、ティーチング位置αからずれていることがある。そのため、ティーチング位置αを目標位置としてウェーハ2を搬送すると、ウェーハ2の搬送を適切に行えない場合が生じる。
【0060】
そこで、実施例1のウェーハ搬送機20では、ウェーハ2を配置すべきワークホール14の位置を認識するため、ウェーハ2の配置前にレーザ変位計Rを用いて三カ所以上のワークホール14のエッジ部の位置を検出し、ウェーハ搬送機20のX-Y座標系で規定される実中心位置βを演算する。そして、この実中心位置βと、予め求めたティーチング位置αとの差異を補正してウェーハ2を配置する。
【0061】
すなわち、メインコントローラ30の搬送制御部35において、図10に示すフローチャートのステップS1を実行し、ウェーハ2の搬送を開始すると判断したら、ステップS2を実行する。これにより、ティーチング位置演算部31は、ティーチング位置αを演算し、検出位置設定部32は、ティーチング位置演算部31によって演算されたティーチング位置αの情報を読み込む。
【0062】
続いて、検出位置設定部32は、ステップS3を実行し、ティーチング位置情報に基づいて、ワークホール14の位置を検出する際の各種の検出位置(基準検出位置P10、第1エッジ部検出位置P12、第2エッジ部検出位置P14、第3エッジ部検出位置P16、第4エッジ部検出位置P18)を設定する。
【0063】
ここで、第1エッジ部検出位置P12、第2エッジ部検出位置P14、第3エッジ部検出位置P16、第4エッジ部検出位置P18は、これら四カ所の位置を結ぶ線分γによってティーチング位置αを囲むことが可能な位置に設定される。また、基準検出位置P10は、ティーチング位置αに基づいて、キャリア13の基板部と推定される位置に設定される。
【0064】
検出位置設定部32によって検出位置が設定されたら、ステップS4、ステップS5が実行され、搬送制御部35は、基準検出位置P10を移動目標地点としてレーザ変位計Rを移動し、レーザ変位計Rによって基準検出位置P10までの距離が測定される。ここで、基準検出位置P10は、キャリア13のワークホール14がない位置である。そのため、レーザ変位計Rは、キャリア13の高さを検出することができる。
【0065】
キャリア高さが検出されたら、ステップS6、ステップS7が実行される。すなわち、搬送制御部35は、第1エッジ部検出位置P12を移動目標地点としてレーザ変位計Rを移動する。レーザ変位計Rは、第1エッジ部検出位置P12から移動しながら対象物(キャリア13又は研磨パッド12a)までの距離を測定する。エッジ検出部33は、このとき得られた測定値と、予め検出したキャリア高さから求めた基準値とを比較し、第1エッジ位置P11を検出する。
【0066】
第1エッジ位置P11が検出されたら、ステップS8、ステップS9が実行される。すなわち、搬送制御部35は、第2エッジ部検出位置P14を移動目標地点としてレーザ変位計Rを移動する。レーザ変位計Rは、第2エッジ部検出位置P14から移動しながら対象物(キャリア13又は研磨パッド12a)までの距離を測定する。エッジ検出部33は、このとき得られた測定値と、予め検出したキャリア高さから求めた基準値とを比較し、第2エッジ位置P13を検出する。
【0067】
第2エッジ位置P13が検出されたら、ステップS10、ステップS11が実行される。すなわち、搬送制御部35は、第3エッジ部検出位置P16を移動目標地点としてレーザ変位計Rを移動する。レーザ変位計Rは、第3エッジ部検出位置P16から移動しながら対象物(キャリア13又は研磨パッド12a)までの距離を測定する。エッジ検出部33は、このとき得られた測定値と、予め検出したキャリア高さから求めた基準値とを比較し、第3エッジ位置P15を検出する。
【0068】
第3エッジ位置P15が検出されたら、ステップS12、ステップS13が実行される。すなわち、搬送制御部35は、第4エッジ部検出位置P18を移動目標地点としてレーザ変位計Rを移動する。レーザ変位計Rは、第4エッジ部検出位置P18から移動しながら対象物(キャリア13又は研磨パッド12a)までの距離を測定する。エッジ検出部33は、このとき得られた測定値と、予め検出したキャリア高さから求めた基準値とを比較し、第4エッジ位置P17を検出する。
【0069】
四カ所のエッジ位置(第1エッジ位置P11、第2エッジ位置P13、第3エッジ位置P15、第4エッジ位置P17、以下同様)が検出されたら、ステップS14が実行され、中心演算部34は、四カ所のエッジ位置の情報と、円の方程式を利用して実中心位置βを演算する。
【0070】
そして、実中心位置βが演算されたら、搬送制御部35は、ステップS15を実行する。つまり、搬送制御部35は、ティーチング位置αと実中心位置βとの差異(ズレ量)を求め、この差異(ズレ量)によってティーチング位置αを補正して設定した目標位置にウェーハ2の中心位置を一致させる制御指令を出力し、ウェーハ2をワークホール14の中心に配置する。
【0071】
このように、実施例1では、四カ所のエッジ部の位置の情報に基づいて実中心位置βを検出するが、この四カ所のエッジ部の位置は、対象物Tまでの距離を測定するレーザ変位計Rを移動させながら対象物Tまでの距離を測定して得られた測定値に基づいて検出する。そのため、検出装置周囲の照明状態や、キャリア13の色彩の影響等を受けることなくワークホール14のエッジ部の位置を検出することができる。
【0072】
これにより、研磨機10の下定盤12上に配置されたキャリア13のワークホール14の位置を安定的に検出することができる。そして、ワークホール14の位置を安定的に把握できるため、ウェーハ2を決められた位置に決められた姿勢で精度よく配置することが可能となる。
【0073】
また、対象物Tまでの距離は、レーザ光の反射光によってこの距離を測定するレーザ変位計Rによって測定される。そのため、キャリア13や研磨パッド12aに接触することなく距離を測定することができるため、対象物Tまでの距離Lを移動しながら高精度に測定することができる。これにより、ワークホール14のエッジ部の位置を高精度に検出することができる。
【0074】
さらに、実施例1では、このレーザ変位計Rが、ウェーハ2を搬送するウェーハ搬送機20の搬送ヘッド21に搭載されている。そのため、ワークホール14の近傍まで移動するウェーハ搬送機20を利用してレーザ変位計Rを移動させることができ、レーザ変位計Rを移動させる機構を別途設けなくても、適切な位置にレーザ変位計Rを移動させ、ワークホール14のエッジ部の位置を高精度に検出することができる。
【0075】
また、実施例1では、下定盤12とキャリア13との相対的な位置関係を監視しており、ティーチング位置演算部31によって、下定盤12とキャリア13との相対的な位置関係に基づいてティーチング位置αを演算する。これにより、検出位置設定部32は、ティーチング位置αに基づいて、ワークホール14の位置を検出する際の各種の検出位置を設定することができる。すなわち、ティーチング位置αを目安にしてワークホール14のエッジ部の位置を検出することができる。このため、レーザ変位計Rを不要に移動させる必要がなく、短時間でのワークホール14のエッジ部の位置検出が可能となる。
【0076】
しかも、検出位置設定部32によって設定されたエッジ部検出位置(第1エッジ部検出位置P12、第2エッジ部検出位置P14、第3エッジ部検出位置P16、第4エッジ部検出位置P18、以下同様)は、これら四カ所の位置を結ぶ線分γによってティーチング位置αを囲むことが可能な位置に設定されている。
【0077】
つまり、検出位置設定部32は、ワークホール14のエッジ部の位置を検出する際、ティーチング位置αを囲むことが可能なエッジ部検出位置を三カ所以上設定する。そして、エッジ検出部33は、各エッジ部検出位置からレーザ変位計Rを移動させながらワークホール14のエッジ部の位置を検出することを繰り返し、ワークホール14のエッジ部の位置を三カ所以上検出する。このため、エッジ検出部33によって検出されたワークホール14のエッジ部の位置が、図4に示すように、ティーチング位置αを囲む位置となり、ワークホール14のエッジ部の位置に基づいて実中心位置βを演算する際の演算精度の向上を図ることができる。
【0078】
しかも、実施例1では、四カ所のエッジ部の位置を検出する。そのため、実中心位置βを演算する際に、四つの演算式を立てることが可能となり、例えばワークホール14のエッジ部の位置を三カ所検出する場合と比較して、演算精度を高めることができる。
【0079】
以下、実施例1のワークホール検出装置及びワークホール検出方法の「ウェーハ搬送状態推定作用」を説明する。
【0080】
実施例1の研磨システム1では、ウェーハ2を搬送したら、図10に示すフローチャートにおけるステップS16を実行し、ウェーハ2の上面高さを設定する。すなわち、まず、検出位置設定部32は、実中心位置βに基づいて基準検出位置P20及び高さ検出開始位置P21を設定する。そして、搬送制御部35はウェーハ搬送機20を駆動し、レーザ変位計Rを基準検出位置P20まで移動させ、この基準検出位置P20までの距離を測定する。ここで、基準検出位置P20は、キャリア13の基板部と推定される位置である。そのため、レーザ変位計Rは、キャリア13の高さを検出することができる。また、このとき、ウェーハ状態推定部36は、キャリア高さに基づいて、ウェーハ2の搬送状態を推定する際の基準範囲を設定する。そして、搬送制御部35はウェーハ搬送機20を駆動し、レーザ変位計Rを高さ検出開始位置P21から環状軌跡3に沿って移動させる。レーザ変位計Rは、移動しながらウェーハ2までの距離を測定し、ウェーハ2の上面高さを検出する。
【0081】
レーザ変位計Rによってウェーハ2の上面高さを検出したら、ステップS17を実行し、ウェーハ状態推定部36は、検出されたウェーハ2の上面高さと、予め設定した基準範囲とを比較し、ウェーハ2の搬送状態を推定する。
【0082】
このように、実施例1では、レーザ変位計Rによって測定された搬送済みのウェーハ2の上面高さに基づいて、ウェーハ2の搬送状態を推定するウェーハ状態推定部36を備えている。
【0083】
これにより、ウェーハ2がワークホール14のエッジ部に乗り上げた場合(図8(a)参照)や、ウェーハ2が研磨パッド12aから浮き上がっている場合(図9(a)参照)など、ウェーハ2が決められた位置に決められた姿勢で配置されていないことが推定されたとき、この搬送情報を研磨システム1のオペレータ等に報知することで、搬送済みのウェーハ2の位置や姿勢を修正したり、ウェーハ2の研磨加工を中止したりすることができる。つまり、決められた位置に決められた姿勢で配置されていないウェーハ2に対して研磨加工してしまうことを防止できる。
【0084】
以上、本発明のワークホール検出装置及びワークホール検出方法を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0085】
実施例1では、四カ所のエッジ部検出位置を順に結ぶ線分γによってティーチング位置αを囲むことが可能な位置にエッジ部検出位置を設定する例を示したが、これに限らない。三カ所以上のワークホール14のエッジ部の位置を検出すればよいため、図11に示すように、ティーチング位置αを囲まない位置に三カ所以上のエッジ部検出位置(図11に示す例では、第1エッジ部検出位置P12´、第2エッジ部検出位置P14´、第3エッジ部検出位置P16´、第4エッジ部検出位置P18´)を設定してもよい。すなわち、エッジ部検出位置は任意に設定することができる。
【0086】
また、実施例1では、全てのエッジ部検出位置が、ティーチング位置αに基づいてワークホール14の内側になると推定される位置に設定された例を示したが、これに限らない。ワークホール14の外側(キャリア13の基板部と推定される位置)にエッジ部検出位置を設定してもよい。なお、エッジ部検出位置をワークホール14の内側の位置に設定し、レーザ変位計Rをワークホール14の内側から外側に向かって移動させながら測定する場合、レーザ変位計Rの移動に伴ってキャリア13に空気を吹き付けることで、ワークホール14のエッジ部に付着した水分が除去されやすく、測定誤差の発生を抑制できる。
【0087】
さらに、ティーチング位置演算部31や検出位置設定部32を備えておらず、エッジ部検出位置を設定することなく、レーザ変位計Rを任意の位置から任意の方向に移動させながら得られた測定値を使用してワークホール14のエッジ部の位置を検出するようにしてもよい。
【0088】
また、実施例1では、ウェーハ2の周縁部に沿った環状軌跡3に沿ってレーザ変位計Rを移動させて得られる測定値に基づいてウェーハ2の搬送状態を推定する例を示した。しかしながら、搬送済みのウェーハ2の高さを複数の位置で検出できればよいため、これに限らない。
【0089】
例えば、図12(a)に示すように、実中心位置βで直交する二本の直線状の軌跡(第1軌跡4、第2軌跡5)に沿ってレーザ変位計Rを移動させて得られる測定値に基づいてウェーハ2の搬送状態を推定してもよい。このとき、図12(b)に示すように、第2軌跡5に沿ってレーザ変位計Rを移動させて得られる測定値が一定値であっても、第1軌跡4に沿ってレーザ変位計Rを移動させて得られる測定値が上閾値を超える場合は、ウェーハ状態推定部36は、基準範囲を超えた測定値を得たと判断し、ウェーハ2が正常に配置されていないと推定する。
【0090】
また、図13(a)に示すように、ウェーハ2の周縁部近傍の任意の六カ所の測定点(6a、6b、6c、6d、6e、6f)の上方位置にレーザ変位計Rを移動させ、各測定点6a~6fにおけるウェーハ2の高さ位置に基づいてウェーハ2の搬送状態を推定してもよい。このとき、図13(b)に示すように、六ケ所の測定点6a~6fのいずれかが基準範囲を超えた場合、ウェーハ状態推定部36はウェーハ2が正常に配置されていないと推定する。
【0091】
また、実施例1では、対象物Tまでの距離を測定する距離測定部として、レーザ光の反射光S2によって距離を測定するレーザ変位計Rを用いる例を示したが、これに限らない。例えば、伸縮する測定ロッドを対象物Tまで伸ばし、ロッドの長さによって距離を測定する距離測定器等であってもよい。
【0092】
また、実施例1では、キャリア13に形成された一つのワークホール14にウェーハ2を搬送する例を示したが、キャリア13に複数のワークホール14が形成されていてもよい。この場合、例えば、複数のワークホール14の実中心位置を一つずつ順に検出し、実中心位置を検出したワークホール14にウェーハ2を順に配置していくことができる。
【0093】
また、ワークホール14の実中心位置βの検出は、搬送ヘッド21によってウェーハ2を保持した状態で行ってもよいし、ウェーハ2を保持していない状態で行ってもよい。ウェーハ2を保持した状態で実中心位置βを検出する場合では、実中心位置βの検出後、ウェーハ2を保持するためにアーム部22を駆動する必要がない。そのため、ウェーハ2の搬送時間の増長を抑制できる。
【符号の説明】
【0094】
1 研磨システム
2 ウェーハ
10 研磨機
11 上定盤
12 下定盤
13 キャリア
14 ワークホール
20 ウェーハ搬送機
21 搬送ヘッド
22 アーム部
30 メインコントローラ
31 ティーチング位置演算部
32 検出位置設定部
33 エッジ検出部
34 中心演算部
35 搬送制御部
36 ウェーハ状態推定部
R レーザ変位計(距離測定部)
α ティーチング位置
β 実中心位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13