(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125479
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】送風システム
(51)【国際特許分類】
F24F 9/00 20060101AFI20240911BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20240911BHJP
A61L 9/01 20060101ALI20240911BHJP
A61L 9/12 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
F24F9/00 A
F24F9/00 E
F24F9/00 J
F24F13/08 A
A61L9/01 F
A61L9/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033316
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】澤井 英範
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 郁弥
【テーマコード(参考)】
3L081
4C180
【Fターム(参考)】
3L081AA01
3L081AB06
4C180AA02
4C180AA07
4C180CA01
4C180CA06
4C180CB08
4C180EA58X
4C180HH01
4C180HH05
4C180LL11
4C180MM06
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で机の上面の清浄を行うことができる送風システムを提供する。
【解決手段】制御部16は、二本のノズル10のうち第二ノズル10bの風量を大きくして第二ノズル10bから吹き出された第二直進気流21bを机2の上面3に到達させるように制御する。また、制御部16は、第一ノズル10aの風量を第二ノズル10bよりも小さくして誘引気流22を机2の上面3に近づくにつれて第一ノズル10a側へ発散させて机2の一端5へ流す。吸込口11は、机2の一端5へ流れた誘引気流22を机2の上面3に沿って吸気することで机2の上面3を清浄する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
机の鉛直上方で並列に配置され、鉛直下方へ直進する直進気流を吹き出し、隣り合う前記直進気流によって誘引気流を生成する二本のノズルと、
前記机の上面にて前記ノズルの鉛直下方に位置する吸込口と、
前記ノズルから吹き出された前記直進気流を、前記吸込口を介して前記机の上面よりも下方へ吸気する送風機と、
前記二本のノズルから吹き出される前記直進気流の風量をそれぞれ個別に制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記二本のノズルのうち一方のノズルの風量を大きくして当該一方のノズルから吹き出された前記直進気流を前記机の上面に到達させ、他方のノズルの風量を前記一方のノズルよりも小さくして前記誘引気流を前記机の上面に近づくにつれて前記他方のノズル側へ発散させて前記机の一端へ流し、
前記吸込口は、
前記机の一端へ流れた前記誘引気流を前記机の上面に沿って前記吸気することで前記机の上面を清浄する、送風システム。
【請求項2】
前記誘引気流は、
前記机の上面を除菌するための次亜塩素酸ガスを含む、請求項1に記載の送風システム。
【請求項3】
前記二本のノズルは、
前記机の他端の鉛直上方に位置し、
前記誘引気流は、
前記机の上面よりも上方を通って前記机の一端へ流れ、
前記吸込口は、
前記机の一端へ流れた前記誘引気流を前記机の上面に沿って前記吸気するための整流板を備えた、請求項1に記載の送風システム。
【請求項4】
前記整流板は、
前記吸込口から前記机の上面よりも上方に延出する壁面と、
前記壁面の延出先端から前記机の一端側へ前記机の上面と平行に延出する水平面とを備え、
前記水平面と前記机の上面との間にて前記誘引気流を前記吸込口へ通風するための通風路を形成する、請求項3に記載の送風システム。
【請求項5】
前記二本のノズルは、
前記机の中央の鉛直上方に位置し、
前記誘引気流は、
前記机の上面よりも上側を通って前記机の一端または他端のどちらか一方へ流れ、
前記吸込口は、
前記机の一端へ流れた前記誘引気流を前記机の上面に沿って前記吸気するための第一整流板と、
前記机の他端へ流れた前記誘引気流を前記机の上面に沿って前記吸気するための第二整流板と、を備えた請求項1に記載の送風システム。
【請求項6】
前記第一整流板は、
前記吸込口から前記机の上面よりも上方に延出する第一壁面と、
前記第一壁面の延出先端から前記机の一端側へ前記机の上面と平行に延出する第一水平面とを備え、
前記第一水平面と前記机の上面との間にて前記誘引気流を前記吸込口へ通風するための第一通風路を形成し、
前記第二整流板は、
前記吸込口から前記机の上面よりも上方に延出する第二壁面と、
前記第二壁面の延出先端から前記机の他端側へ前記机の上面と平行に延出する第二水平面とを備え、
前記第二水平面と前記机の上面との間にて前記誘引気流を前記吸込口へ通風するための第二通風路を形成する、請求項5に記載の送風システム。
【請求項7】
前記第一壁面と前記第二壁面との間にて前記ノズルから吹き出された前記直進気流を前記吸込口へ通風するための第三通風路を形成する、請求項6に記載の送風システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、机の上面を清浄するための気流を発生させる送風システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、複数人の利用者が机に着席するところでは、感染リスク低減を目的として、机上に透明なパーティションを設置し、利用者間の空間を遮断することが行われている。しかしながら、このような物理的なパーティションでは、利用者同士の声が聞こえにくく圧迫感があるといった物理的な課題や、会話が途切れたり集中力が途切れたりするといった精神面での課題があった。
【0003】
これに対し、物理的なパーティションを設けることなく、対面して着席する利用者間の空間を遮断するように気流を発生させる送風システムがある。例えば、特許文献1に記載される送風システムは、相対する座席部の上方空間において、それぞれが空気流を吹き出す一対の吹出口と、机の下方空間において、その一対の吹出口から吹き出された空気流を吸い込む吸込口とを備えている。
【0004】
この送風システムは、一対の吹出口から、それぞれ互いに近づく方向に空気流を吹き出し、これら空気流同士を衝突させて、上方空間から机に向かう方向に合流空気流を生じさせる。この送風システムでは、合流空気流がエアパーティション(エアカーテン)となり、利用者間での感染リスクが低減され、且つ、会話の聞き取りにくさが低減される。
【0005】
また、この送風システムは、合流空気流が机の上面と衝突すると、相対する座席部のそれぞれに向かって分流し、分流したそれぞれが利用者に当たった後、利用者の体に沿って方向を転換して、下方空間に回り込むようにして流れる。そして、下方空間に回り込んだ空気流は吸込口から筐体内に吸い込まれ、排気口から外に排気される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さて、机を設置した施設では、机の利用後に除菌シート等を用いて机の上面の清掃を強いられる場面も多く発生している。しかしながら、上記した送風システムは、机の上面の清浄を空気流によって行うことまで考慮されていなかった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で机の上面の清浄を行うことができる送風システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本開示のある態様の送風装置は、二本のノズルと、吸込口と、送風機と、制御部と、を備える。二本のノズルは、机の鉛直上方で並列に配置され、鉛直下方へ直進する直進気流を吹き出し、隣り合う直進気流によって誘引気流を生成する。吸込口は、机の上面にてノズルの鉛直下方に位置する。送風機は、ノズルから吹き出された直進気流を、吸込口を介して机の上面よりも下方へ吸気する。制御部は、二本のノズルから吹き出される直進気流の風量をそれぞれ個別に制御する。制御部は、二本のノズルのうち一方のノズルの風量を大きくして当該一方のノズルから吹き出された直進気流を机の上面に到達させ、他方のノズルの風量を一方のノズルよりも小さくして誘引気流を机の上面に近づくにつれて他方のノズル側へ発散させて机の一端へ流す。吸込口は、机の一端へ流れた誘引気流を机の上面に沿って吸気することで机の上面を清浄する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の送風システムによれば、簡単な構成で机の上面の清浄を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、机に設けられた本発明の第一実施形態に係る送風システムの概略構成を示した斜視図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1に示す切断面IIaで切断した同送風システム及び机の斜視図であり、
図2(b)は、同送風システム及び机の正面図である。
【
図3】
図3は、同送風システム及び机の断面を概略的に示した概略断面図である。
【
図4】
図4は、同送風システムが第一机清浄モードにて動作する場合を説明するための図である。
【
図5】
図5は、同送風システムが、第二机清浄モードにて動作する場合を説明するための図である。
【
図6】
図6は、本発明の第二実施形態に係る送風システムと、同送風システムが設けられた机の断面を概略的に示した概略断面図である。
【
図7】
図7は、本発明の第三実施形態に係る送風システムと、同送風システムが設けられた机の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。よって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。従って、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0013】
(第一実施形態)
まず、本発明の第一実施形態に係る送風システム1の概略構成について、
図1~
図3を参照して説明する。
【0014】
図1は、机2に設けられた送風システム1の概略構成を示した斜視図である。
図2(a)は、
図1に示す切断面IIaで切断した送風システム1及び机2の斜視図であり、
図2(b)は、送風システム1及び机2の正面図である。
図3は、送風システム1及び机2の断面を概略的に示した概略断面図である。
【0015】
なお、第一実施形態に係る送風システム1の説明において、利用者が着座可能な一方の側を机2の正面とし、その正面に対して左右方向を単に「左右方向」と言う。
【0016】
送風システム1は、机2の一端5側(正面側)と他端6側(背面側)とのそれぞれに利用者が着座して正対可能な机2に対して設けられるものである。送風システム1は、正対する利用者の間にエアパーティションを形成し、また、机2の上面3(天板)を清浄する気流を生成できるように構成されている。
【0017】
具体的には、送風システム1は、
図1~
図3に示す通り、二本のノズル10と、吸込口11(
図2(a)、
図3)と、送風機13(
図2(b)、
図3)と、次亜塩素酸水発生装置14(
図2(b))と、制御部16(
図2(b))と、を備える。
【0018】
二本のノズル10は、机2の中央の鉛直上方に位置し、利用者が着座する机2の一端5及び他端6と平行な左右方向に延在して並列に配置された、隣接する第一ノズル10aと第二ノズル10bとにより構成されている。第一ノズル10aは、机2の一端5寄りに位置し、第二ノズル10bは、机2の他端6寄りに位置する。
【0019】
第一ノズル10aの一端及び他端並びに第二ノズル10bの一端及び他端は、机2の左右それぞれに設けられた支柱4に支持されており、第一ノズル10a及び第二ノズル10bは、同じ高さの位置に並列に配置される。なお、第一ノズル10a及び第二ノズル10bの設置方法(支持方法)は、机2の中央の鉛直上方に位置し、左右方向に延在して且つ同じ高さの位置に並列に配置されていれば任意のものであってよい。
【0020】
第一ノズル10aは、
図3に示す通り、鉛直下方に直進する直進気流である第一直進気流21aを吹き出し、第二ノズル10bは、鉛直下方に直進する直進気流である第二直進気流21bを吹き出す。二本のノズル10は、隣り合う第一直進気流21a及び第二直進気流21bによって、誘引気流22を発生させる。
【0021】
また、第一ノズル10aから吹き出される第一直進気流21aの風量と、第二ノズル10bから吹き出される第二直進気流21bの風量とを異ならせると、誘引気流22の一部が風量の小さな直進気流側に引っ張られる。
【0022】
送風システム1は、この物理現象を利用して、第一直進気流21aの風量と第二直進気流21bの風量とを制御することで、風量の小さい直進気流を吹き出す第一ノズル10a又は第二ノズル10b側に、誘引気流22を拡散させる。これにより、送風システム1は、誘引気流22を机2の一端5又は他端6に向けて流すことができる。なお、詳細については、
図4及び
図5参照して後述する。
【0023】
吸込口11は、
図2(a)に示す通り、机2の上面3にてノズル10の鉛直下方に位置して設けられ、ノズル10に沿うようにして左右方向に延在している。また、送風システム1には、机2の上面3よりも下方において、ノズル10の鉛直下方に、吸気空間12が左右方向に延在して設けられている。吸込口11は、この吸気空間12と、机2の上面3よりも上方の空間とを連通する。
【0024】
この吸込口11には、第一整流板31と第二整流板32とが設けられている。第一整流板31は、机2の一端5に流れた誘引気流22を、机2の上面3に沿って吸気するためのものである。第二整流板32は、第一整流板31と所定の距離だけ離れて机2の他端6寄りに設けられ、机2の他端6に流れた誘引気流22を、机2の上面3に沿って吸気するためのものである。
【0025】
第一整流板31は、
図3に示す通り、それぞれが左右方向に延在する第一壁面31aと、第一水平面31bとを有している。第一壁面31aは、吸込口11から机2の上面3よりも上方に鉛直方向に延出する。第一水平面31bは、第一壁面31aの延出先端から机2の一端5側へ、机2の上面3と平行に延出する。この第一水平面31bと机2の上面3との間にて、机2の一端5に流れた誘引気流22を吸込口11へ通風するための第一通風路33が形成される。
【0026】
第二整流板32も、第一整流板31と同様に構成される。即ち、第二整流板32は、それぞれが左右方向に延在する第二壁面32aと、第二水平面32bとを有している。第二壁面32aは、吸込口11から机2の上面3よりも上方に鉛直方向に延出する。第二水平面32bは、第二壁面32aの延出先端から机2の他端6側へ、机2の上面3と平行に延出する。この第二水平面32bと机2の上面3との間にて、机2の他端6に流れた誘引気流22を吸込口11へ通風するための第二通風路34が形成される。
【0027】
また、第一整流板31の第一壁面31aと、第二整流板32の第二壁面32aとの間には、第一ノズル10aから吹き出された第一直進気流21aと、第二ノズル10bから吹き出された第二直進気流21bとを吸込口11へ通風するための第三通風路35が形成される。
【0028】
送風機13は、
図2(b)に示す通り、吸気空間12内に配置され、ノズル10から吹き出された第一直進気流21a及び第二直進気流21bや、誘引気流22(
図3参照)を、吸込口11を介して机2の上面3よりも下方にある吸気空間12へ吸気する。
【0029】
また、送風機13は、吸気空間12の空気を第一ノズル10a及び第二ノズル10bへ給気する役割を担っており、第一ノズル用送風機13aと第二ノズル用送風機13bとにより構成されている。
【0030】
第一ノズル用送風機13aは、吸気空間12の空気を、机2の一方の支柱4に埋め込まれた第一エアー配管17aを介して、第一ノズル10aへ給気する。第一ノズル10aは、この給気された空気を第一直進気流21aとして吹き出す。第一直進気流21aの風量の制御は、第一ノズル用送風機13aの風量を制御することで行われる。
【0031】
第二ノズル用送風機13bは、吸気空間12の空気を、机2の他方の支柱4に埋め込まれた第二エアー配管17bを介して、第二ノズル10bへ給気する。第二ノズル10bは、この給気された空気を第二直進気流21bとして吹き出す。第二直進気流21bの風量の制御は、第二ノズル用送風機13bの風量を制御することで行われる。
【0032】
次亜塩素酸水発生装置14は、吸気空間12に設置され、電気分解により次亜塩素酸を含む電解水を生成して散布するものである。次亜塩素酸は、細菌、真菌、ウイルス、臭い等の除去を行う。次亜塩素酸水発生装置14は、貯水部に貯められた水に塩化ナトリウム等の電界促進錠剤を投入して、塩化物イオンを含む水にしたうえで、その水に浸かるように設置した電極部材に通電することで、塩化物イオンを含む水を電気分解する。この電気分解により、次亜塩素酸水発生装置14は、次亜塩素酸を含む電解水を生成する。
【0033】
次亜塩素酸水発生装置14は、吸気空間12にある空気を筐体内部に取り込み、取り込んだ空気に次亜塩素酸を含む電解水を含ませて、吸気空間12へ散布する。これにより、吸気空間12には、次亜塩素酸ガスを含む空気が存在することになる。よって、送風システム1は、ノズル10から吹き出される第一直進気流21a及び第二直進気流21bに、次亜塩素酸ガスを含ませることができる。従って、これら第一直進気流21a及び第二直進気流21bによって誘引される誘引気流22にも、第一直進気流21a及び第二直進気流21bから拡散した次亜塩素酸ガスが含まれる。
【0034】
制御部16は、第一ノズル10a及び第二ノズル10bの二本のノズル10から吹き出される直進気流である第一直進気流21a及び第二直進気流21bの風量を、それぞれ個別に制御するものである。具体的には、制御部16は、第一ノズル用送風機13aの風量を制御することで、第一ノズル10aから吹き出される第一直進気流21aの風量を制御する。また、制御部16は、第二ノズル用送風機13bの風量を制御することで、第二ノズル10bから吹き出される第二直進気流21bの風量を制御する。
【0035】
なお、机2の上面3よりも下方には、吸気空間12と連通する扉(図示せず)が設けられている。送風システム1は、通常時においてその扉を閉止して使用される。一方、机2の設置者等がその扉を開放することで、吸気空間12に設けられた送風機13、次亜塩素酸水発生装置14、制御部16の点検・保修や、次亜塩素酸水発生装置14への電界促進錠剤の補給等を行うことができる。
【0036】
次いで、このように構成された送風システム1の動作について、
図3~
図5を参照して説明する。まず、
図3を参照して、送風システム1がエアパーティション(エアカーテン)を形成するエアパーティションモードにて動作する場合について説明する。なお、
図3~
図5において、第一直進気流21aを表す矢印の長さと、第二直進気流21bを表す矢印の長さとは、それぞれの気流の風量の大きさを模式的に表している。
【0037】
エアパーティションモードは、例えば、人感センサ(図示せず)の出力によって、机2の一端5側と他端6側との両方に利用者が着座していると制御部16が判断した場合に実行されるモードである。また、エアパーティションモードは、利用者又は机2の設置者等によるスイッチ等の入力装置(図示せず)の操作により指示されることによって、制御部16により実行されるモードであってもよい。
【0038】
制御部16は、送風システム1をエアパーティションモードにて動作させる場合、まず、送風機13をオンする。このとき、制御部16は、第一ノズル10aから吹き出される第一直進気流21aと、第二ノズル10bから吹き出される第二直進気流21bとの風量が等しい風量となるように、第一ノズル用送風機13a及び第二ノズル用送風機13bのそれぞれの風量を制御する。
【0039】
これにより、鉛直下方に直進する第一直進気流21aと第二直進気流21bとが、等しい風量で第一ノズル10a及び第二ノズル10bより吹き出される。そして、隣り合った状態で、等しい風量で鉛直下方に直進する第一直進気流21aと第二直進気流21bとにより、誘引気流22が鉛直下方に向けて流れるように生成される。
【0040】
よって、第一直進気流21a、第二直進気流21bと、これらによって誘引された誘引気流22とにより、机2の一端5側と他端6側との間にエアパーティションが形成される。従って、送風システム1は、形成したエアパーティションにより、机2の一端5側に着座した利用者と他端6側に着座した利用者との間での感染リスクを低減し、且つ、両者の会話の聞き取りにくさを低減できる。
【0041】
また、送風システム1は、送風機13の運転によって、鉛直下方に流れる第一直進気流21a、第二直進気流21b及び誘引気流22を、ノズル10の鉛直下方に位置する吸込口11を介して、机2の上面3よりも下方にある吸気空間12へ吸気する。これにより、送風システム1は、エアパーティションを形成する気流が机2の上面3に沿って利用者側に流れることを抑制できる。従って、送風システム1は、利用者が気流の影響を受けることなく広く机2の上面3を利用できる。
【0042】
また、送風システム1は、第一整流板31の第一壁面31aと第二整流板32の第二壁面32aとの間にて形成された第三通風路35を介して、鉛直下方に流れる第一直進気流21a、第二直進気流21b及び誘引気流22を、気流23として吸込口11へ通風する。第三通風路35は、その奥行方向(机2の正面から背面に向かう方向)の幅が、吸込口11の奥行方向の幅よりも狭く形成されている。これにより、送風システム1は、より強い風速で、第一直進気流21a、第二直進気流21b及び誘引気流22を吸気空間12へ吸気できる。よって、送風システム1により形成されるエアパーティションを強固なものとすることができる。
【0043】
なお、送風システム1は、エアパーティションモードにおいて、次亜塩素酸水発生装置14をオンにしてもよいし、オフにしていてもよい。次亜塩素酸水発生装置14をオンにする場合は、第一直進気流21a、第二直進気流21b及び誘引気流22によって形成されるエアパーティションに次亜塩素酸ガスが含まれることになる。よって、送風システム1は、机2の一端5側に着座した利用者と他端6側に着座した利用者との間での感染リスクをより強固に低減できる。
【0044】
次いで、
図4及び
図5を参照して、送風システム1が机2の上面3を清浄する机清浄モードにて動作する場合について説明する。
図4は、送風システム1及び机2の断面を概略的に示した概略断面図を用いて、送風システム1が、机2の一端5側の上面3を清浄する第一机清浄モードにて動作する場合を説明するための図である。
図5は、その概略断面図を用いて、送風システム1が、机2の他端6側の上面3を清浄する第二机清浄モードにて動作する場合を説明するための図である。
【0045】
第一机清浄モードは、机清浄モードの1つであり、例えば、人感センサ(図示せず)の出力によって、机2の一端5側に着座していた利用者が離席したと制御部16によって判断された場合に実行される。また、人感センサ(図示せず)の出力によって、机2の一端5側に利用者がおらず、机2の他端6側に利用者が着席していると制御部16によって判断された場合に、第一机清浄モードが実行されてもよい。
【0046】
また、第一机清浄モードは、利用者又は机2の設置者等によるスイッチ等の入力装置(図示せず)の操作による指示に基づいて、制御部16により実行されてもよい。
【0047】
制御部16は、送風システム1を第一机清浄モードにて動作させる場合、まず、次亜塩素酸水発生装置14をオンする。これにより、吸気空間12の空気に次亜塩素酸ガスを含ませることができる。
【0048】
また、制御部16は送風機13をオンする。そして、制御部16は、
図4に示す通り、他端6寄りにある第二ノズル10bの風量を大きくして、その第二ノズル10bから吹き出される第二直進気流21bを机2の上面3に到達させるように、第二ノズル用送風機13bの風量を制御する。また、制御部16は、一端5寄りにある第一ノズル10aの風量を第二ノズル10bの風量よりも小さくするように、第一ノズル用送風機13aの風量を制御する。
【0049】
これにより、第一直進気流21aと第二直進気流21bとにより発生する誘引気流22は、風量の大きい第二直進気流21bによって遮蔽され他端6側には拡散しない。一方で、誘引気流22は、風量の小さい第一直進気流21aの方へ緩く引っ張られ、机2の上面3に近づくにつれ、誘引気流22の一部が第一ノズル10a側へ発散される。
【0050】
制御部16は、第一ノズル用送風機13a及び第二ノズル用送風機13bのそれぞれの風量を制御して、誘引気流22が机2の一端5に流れるように第一ノズル10a及び第二ノズル10bの風量を制御する。これにより、送風システム1は、誘引気流22を、机2の上面3よりも上側を通って机2の一端5に流すことができる。
【0051】
机2の一端5に流れた誘引気流22は、送風機13の動作により、机2の上面3に沿った気流24として流れ、吸込口11を介して吸気空間12に吸気される。これにより、送風システム1は、机2の上面3に溜まった塵埃を吸込口11に向けて吹き飛ばすことができる。
【0052】
また、第一ノズル10a及び第二ノズル10bより吹き出される第一直進気流21a及び第二直進気流21bは、吸気空間12にあった空気であり、次亜塩素酸ガスを含んでいる。これにより、誘引気流22は、これら第一直進気流21a及び第二直進気流21bから拡散された次亜塩素酸ガスを含む。
【0053】
よって、送風システム1は、次亜塩素酸ガスを含む誘引気流22を机2の一端5側から上面3に沿って流すことで、机2の一端5側の上面3から細菌、真菌、ウイルス、臭い等を除去できる。従って、送風システム1は、机2の一端5側の上面3の清浄をより確実に行うことできる。
【0054】
また、送風システム1は、第一整流板31によって、机2の一端5へ流れた誘引気流22を、確実に机2の上面3に確実に沿わせて気流24として吸込口11へ吸気することができる。よって、送風システム1は、誘引気流22による机2の上面3の清浄の効果を高めることができる。
【0055】
また、送風システム1は、第一整流板31を構成する第一水平面31bと机2の上面3との間に第一通風路33が形成されており、机2の一端5側へ流れた誘引気流22は、その第一通風路33を介して気流24として吸込口11へ通風される。この第一通風路33により、送風システム1は、机2の一端5に流れた誘引気流22を、より強い風速で机2の上面3に沿って吸気空間12へ吸気できる。よって、送風システム1は、誘引気流22による机2の上面3の清浄の効果を更に高めることができる。
【0056】
また、送風システム1は、第一整流板31を構成する第一壁面31aによって、第一通風路33を介して吸気された誘引気流22を、確実に吸込口11から吸気空間12へと吸気することができる。
【0057】
また、送風システム1は、第一整流板31の第一壁面31aと第二整流板32の第二壁面32aとの間にて形成された第三通風路35により、少なくとも机2の上面3まで到達する第二直進気流21bを、吸込口11を介して吸気空間12へ吸気できる。よって、送風システム1は、第一机清浄モードにおいても、強固なエアパーティションを形成できる。従って、送風システム1は、第一机清浄モードにおいて、机2の一端5側と他端6側の両方に利用者が着座した場合であっても、両者間での感染リスクを低減し、且つ、両者の会話の聞き取りにくさを低減できる。
【0058】
また、送風システム1は、第一通風路33だけでなく第三通風路35を介して、吸気空間12へ吸気できるので、第一ノズル10a及び第二ノズル10bから吹き出される空気を確保できる。
【0059】
次に、第二机清浄モードも、第一机清浄モードと同様に机清浄モードの1つである。第二机清浄モードは、例えば、人感センサ(図示せず)の出力によって、机2の他端6側に着座していた利用者が離席したと制御部16によって判断された場合に実行される。また、人感センサ(図示せず)の出力によって、机2の他端6側に利用者がおらず、机2の一端5側に利用者が着席していると制御部16によって判断された場合に、第二机清浄モードが実行されてもよい。
【0060】
また、第二机清浄モードは、利用者又は机2の設置者等によるスイッチ等の入力装置(図示せず)の操作による指示に基づいて、制御部16により実行されてもよい。
【0061】
第二机清浄モードでは、第一机清浄モードに対して、第一ノズル10aの風量と第二ノズル10bの風量との関係が反対になるように、制御部16の制御が行われる。
【0062】
即ち、制御部16は、送風システム1を第二机清浄モードにて動作させる場合、まず、次亜塩素酸水発生装置14をオンする。これにより、吸気空間12の空気に次亜塩素酸ガスを含ませることができる。
【0063】
また、制御部16は送風機13をオンする。そして、制御部16は、
図5に示す通り、一端5寄りにある第一ノズル10aの風量を大きくして、その第一ノズル10aから吹き出される第一直進気流21aを机2の上面3に到達させるように、第一ノズル用送風機13aの風量を制御する。また、制御部16は、他端6寄りにある第二ノズル10bの風量を第一ノズル10aの風量よりも小さくするように、第二ノズル用送風機13bの風量を制御する。
【0064】
これにより、第一直進気流21aと第二直進気流21bとにより発生する誘引気流22は、風量の大きい第一直進気流21aによって遮蔽され一端5側には拡散しない。一方で、誘引気流22は、風量の小さい第二直進気流21bの方へ緩く引っ張られ、机2の上面3に近づくにつれ、誘引気流22の一部が第二ノズル10b側へ発散される。
【0065】
制御部16は、第一ノズル用送風機13a及び第二ノズル用送風機13bのそれぞれの風量を制御して、誘引気流22が机2の他端6に流れるように第一ノズル10a及び第二ノズル10bの風量を制御する。これにより、送風システム1は、誘引気流22を、机2の上面3よりも上側を通って机2の他端6に流すことができる。
【0066】
机2の他端6に流れた誘引気流22は、送風機13の動作により、机2の上面3に沿った気流25として流れ、吸込口11を介して吸気空間12に吸気される。これにより、送風システム1は、机2の上面3に溜まった塵埃を吸込口11に向けて吹き飛ばすことができる。
【0067】
また、第一ノズル10a及び第二ノズル10bより吹き出される第一直進気流21a及び第二直進気流21bは、吸気空間12にあった空気であり、次亜塩素酸ガスを含んでいる。これにより、誘引気流22は、これら第一直進気流21a及び第二直進気流21bから拡散された次亜塩素酸ガスを含む。
【0068】
よって、送風システム1は、次亜塩素酸ガスを含む誘引気流22を机2の他端6側から上面3に沿って流すことで、机2の他端6側の上面3から細菌、真菌、ウイルス、臭い等を除去できる。従って、送風システム1は、机2の他端6側の上面3の清浄をより確実に行うことできる。
【0069】
また、送風システム1は、第二整流板32によって、机2の他端6へ流れた誘引気流22を、確実に机2の上面3に確実に沿わせて気流25として吸込口11へ吸気することができる。よって、送風システム1は、誘引気流22による机2の上面3の清浄の効果を高めることができる。
【0070】
また、送風システム1は、第二整流板32を構成する第二水平面32bと机2の上面3との間に第二通風路34が形成されており、机2の他端6側へ流れた誘引気流22は、その第二通風路34を介して気流25として吸込口11へ通風される。この第二通風路34により、送風システム1は、机2の他端6に流れた誘引気流22を、より強い風速で机2の上面3に沿って吸気空間12に吸気できる。よって、送風システム1は、誘引気流22による机2の上面3の清浄の効果を更に高めることができる。
【0071】
また、送風システム1は、第二整流板32を構成する第二壁面32aによって、第二通風路34を介して吸気された誘引気流22を、確実に吸込口11から吸気空間12に向けて吸気することができる。
【0072】
また、送風システム1は、第一整流板31の第一壁面31aと第二整流板32の第二壁面32aとの間にて形成された第三通風路35により、少なくとも机2の上面3まで到達する第一直進気流21aを、吸込口11を介して吸気空間12へ吸気できる。よって、送風システム1は、第二机清浄モードにおいても、強固なエアパーティションを形成できる。従って、送風システム1は、第二机清浄モードにおいて、机2の一端5側と他端6側の両方に利用者が着座した場合であっても、両者間での感染リスクを低減し、且つ、両者の会話の聞き取りにくさを低減できる。
【0073】
また、送風システム1は、第二通風路34だけでなく第三通風路35を介して、吸気空間12へ吸気できるので、第一ノズル10a及び第二ノズル10bから吹き出される空気を確保できる。
【0074】
以上説明した本発明の第一実施形態に係る送風システム1は、次の効果を奏する。
【0075】
(1)送風システム1は、机2の鉛直上方で並列に配置された第一ノズル10aから吹き出される第一直進気流21aの風量と、第二ノズル10bから吹き出される第二直進気流21bの風量とを、それぞれ個別に制御するだけで、誘引気流22の方向を変化させることができる。そして、送風システム1は、誘引気流22を机2の一端5又は他端6へ流すよう、第一ノズル10aの風量と第二ノズル10bの風量とを制御することで、誘引気流22を机2の一端5又は他端6へ流すことができる。机2の一端5又は他端6へ流れた誘引気流22は、送風機13によって机2の上面3に沿って吸込口11から吸気される。これにより、送風システム1は、第一ノズル10a及び第二ノズル10bに対し、吹き出す直進気流の風向を変化させる機構を設けることなく、簡単な構成で机2の上面3を清浄できる。
【0076】
(2)送風システム1は、次亜塩素酸水発生装置14を有することで、誘引気流22に次亜塩素酸ガスを含ませることができる。これにより、送風システム1は、次亜塩素酸ガスを含んだ誘引気流22を机2の上面3に沿って流すことができるので、机2の上面3から細菌、真菌、ウイルス、臭い等を除去できる。従って、送風システム1は、机2の一端5側の上面3の清浄をより確実に行うことできる。
【0077】
(3)第一ノズル10a及び第二ノズル10bは、机2の中央の鉛直上方に位置し、左右方向に延在して並列に配置されている。送風システム1は、この第一ノズル10aの風量と第二ノズル10bの風量とをそれぞれ個別に制御することで、誘引気流22を机2の上面3よりも上側を通って机2の一端5又は他端6のどちらか一方へ流すことができる。これにより、机2の一端5側の上面3と他端6側の上面3とを別々に清浄できるので、利用者の机2の着座状況に応じて、机2の上面3が清浄される側を変えることができる。
【0078】
(4)送風システム1は、吸込口11に設けられた第一整流板31によって、机2の一端5へ流れた誘引気流22を机2の上面3に確実に沿わせて吸気できる。また、送風システム1は、吸込口11に設けられた第二整流板32によって、机2の他端6へ流れた誘引気流22を机2の上面3に確実に沿わせて吸気できる。よって、送風システム1は、誘引気流22による机2の上面3の清浄の効果を高めることができる。
【0079】
(5)送風システム1は、第一整流板31が有する第一水平面31bと机2の上面3との間にて形成された第一通風路33を介して、机2の一端5側へ流れた誘引気流22が吸込口11へ通風される。また、送風システム1は、第二整流板32が有する第二水平面32bと机2の上面3との間にて形成された第二通風路34を介して、机2の他端6側へ流れた誘引気流22が吸込口11へ通風される。これにより、送風システム1は、机2の一端5又は他端6に流れた誘引気流22を、より強い風速で机2の上面3に沿って吸気空間12に吸気できるので、机2の上面3の清浄の効果を更に高めることができる。
【0080】
(6)送風システム1は、第一整流板31の第一壁面31aと第二整流板32の第二壁面32aとの間にて形成される第三通風路35によって、第一ノズル10a及び第二ノズル10bから吹き出される第一直進気流21a及び第二直進気流21bの少なくとも一方を吸込口11へ通風することができる。これにより、送風システム1は、エアパーティションを強固に形成できるので、机2の一端5側に着座した利用者と他端6側に着座した利用者との間で感染リスクを低減し、且つ、両者の会話の聞き取りにくさを低減できる。
【0081】
そのほか、送風システム1は、第一実施形態の説明の中で記載した各々の構成に対し、その構成に対応した効果を享受できる。
【0082】
(第二実施形態)
次いで、
図6を参照して、第二実施形態に係る送風システム1について説明する。
図6は、その送風システム1と、送風システム1が設けられた机2の断面を概略的に示した概略断面図である。以下、第二実施形態に係る送風システム1の説明において、第一実施形態に係る送風システム1と相違する点を中心に説明し、第一実施形態と同一の構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0083】
第一実施形態に係る送風システム1は、一端5側と他端6側とのそれぞれに利用者が着座して正対可能な机2に設けられるものであった。これに対し、第二実施形態に係る送風システム1は、一端5側のみ利用者が着座可能であり、他端6側は例えば壁40や物理的なパーティション等に接するようにして設置された机2に設けられるものである。
【0084】
なお、第二実施形態に係る送風システム1の説明において、利用者が着座可能な側(一端5側)を机2の正面とし、その正面に対して左右方向を単に「左右方向」と言う。
【0085】
第二実施形態に係る送風システム1が設けられる机2では、机2の左右において他端6側に支柱4がそれぞれ設けられている。よって、この左右の支柱4に支持される第一ノズル10aと第二ノズル10bとは、机2の他端6の鉛直上方に位置して、利用者が着座する机2の一端5と平行な左右方向に延在し且つ同じ高さの位置で並列に配置される。なお、第一ノズル10a及び第二ノズル10bの設置方法(支持方法)は、机2の他端6の鉛直上方に位置し、左右方向に延在して且つ同じ高さの位置に並列に配置されていれば任意の方法であってよい。
【0086】
吸込口11は、机2の上面3にて、第一ノズル10a及び第二ノズル10bの鉛直下方に位置して左右方向に延在し、また、吸気空間12は、机2の上面3よりも下方にて、第一ノズル10a及び第二ノズル10bの鉛直下方に位置して左右方向に延在する。即ち、吸込口11及び吸気空間12も、机2の他端6側に配置される。
【0087】
吸込口11には、整流板36が設けられている。整流板36は、机2の一端5に流れた誘引気流22を、机2の上面3に沿って吸気するためのものである。整流板36は、それぞれが左右方向に延在する壁面36aと、水平面36bとを有している。壁面36aは、吸込口11から机2の上面3よりも上方に鉛直方向に延出する。水平面36bは、壁面36aの延出先端から机2の一端5側へ、机2の上面3と平行に延出する。この水平面36bと机2の上面3との間にて、机2の一端5に流れた誘引気流22を吸込口11へ通風するための通風路37が形成される。
【0088】
次いで、この送風システム1の動作について説明する。第二実施形態に係る送風システム1は、動作モードとして、机2の上面3を清浄する机清浄モードを有している。
【0089】
机清浄モードは、例えば、人感センサ(図示せず)の出力によって、机2の一端5側に着座していた利用者が離席したと制御部16によって判断された場合に実行される。また、机清浄モードは、利用者又は机2の設置者等によるスイッチ等の入力装置(図示せず)の操作による指示に基づいて、制御部16により実行されてもよい。
【0090】
制御部16は、送風システム1を机清浄モードにて動作させる場合、まず、次亜塩素酸水発生装置14をオンする。これにより、吸気空間12の空気に次亜塩素酸ガスを含ませることができる。また、制御部16は送風機13(第一ノズル用送風機13a及び第二ノズル用送風機13b)をオンする。
【0091】
そして、第一ノズル10aの風量と第二ノズル10bの風量との制御部16による制御は、第一実施形態に係る送風システム1の第一机清浄モードの場合と同様に行う。これにより、その第一机清浄モードと同様に、第一直進気流21aと第二直進気流21bとにより発生する誘引気流22は、風量の小さい第一直進気流21aの方へ緩く引っ張られ、机2の上面3に近づくにつれ、誘引気流22の一部が第一ノズル10a側へ発散される。そして、誘引気流22は、机2の上面3よりも上側を通って机2の一端5に流れる。
【0092】
机2の一端5に流れた誘引気流22は、送風機13の動作により、机2の上面3に沿った気流24として流れ、吸込口11を介して吸気空間12に吸気される。これにより、送風システム1は、机2の上面3に溜まった塵埃を吸込口11に向けて吹き飛ばすことができる。
【0093】
また、第一ノズル10a及び第二ノズル10bより吹き出される第一直進気流21a及び第二直進気流21bは、次亜塩素酸ガスを含んでおり、誘引気流22にも次亜塩素酸ガスが含まれる。よって、送風システム1は、次亜塩素酸ガスを含む誘引気流22を机2の一端5側から上面3に沿って流すことで、机2の一端5側の上面3から細菌、真菌、ウイルス、臭い等を除去できる。従って、送風システム1は、机2の一端5側の上面3の清浄をより確実に行うことできる。
【0094】
また、送風システム1は、整流板36によって、机2の一端5へ流れた誘引気流22を、確実に机2の上面3に確実に沿わせて気流24として吸込口11へ吸気することができる。よって、送風システム1は、誘引気流22による机2の上面3の清浄の効果を高めることができる。
【0095】
また、送風システム1は、整流板36を構成する水平面36bと机2の上面3との間に形成された通風路37を介して、机2の一端5側へ流れた誘引気流22が、気流24として吸込口11へ通風される。この通風路37により、送風システム1は、机2の一端5に流れた誘引気流22を、より強い風速で机2の上面3に沿って吸気空間12に吸気できる。よって、送風システム1は、誘引気流22による机2の上面3の清浄の効果を更に高めることができる。
【0096】
また、送風システム1は、整流板36を構成する壁面36aによって、通風路37を介して吸気された誘引気流22を、確実に吸込口11から吸気空間12へと吸気することができる。
【0097】
また、送風システム1は、整流板36の壁面36aと机2の他端6側に立設された机2の背板との間にて形成された通風路38により、少なくとも机2の上面3まで到達する第二直進気流21bを、吸込口11を介して吸気空間12へ吸気する。これにより、送風システム1は、この吸気空間12に吸気された第二直進気流21bと、誘引気流22とにより、第一ノズル10a及び第二ノズル10bから吹き出される空気を確保できる。
【0098】
以上説明した本発明の第二実施形態に係る送風システム1は、次の効果を奏する。
【0099】
(7)送風システム1は、机2の鉛直上方で並列に配置された第一ノズル10aから吹き出される第一直進気流21aの風量と、第二ノズル10bから吹き出される第二直進気流21bの風量とをそれぞれ個別に制御するだけで、誘引気流22を机2の一端5へ流すことができる。そして、机2の一端5へ流れた誘引気流22は、送風機13によって机2の上面3に沿って吸込口11から吸気される。これにより、送風システム1は、第一ノズル10a及び第二ノズル10bに対し、吹き出す直進気流の風向を変化させる機構を設けることなく、簡単な構成で机2の上面3を清浄できる。
【0100】
(8)送風システム1は、吸込口11に設けられた整流板36によって、机2の一端5へ流れた誘引気流22を机2の上面3に確実に沿わせて吸気できる。よって、送風システム1は、誘引気流22による机2の上面3の清浄の効果を高めることができる。
【0101】
(9)送風システム1は、整流板36が有する水平面36bと机2の上面3との間にて形成された通風路37を介して、机2の一端5側へ流れた誘引気流22が吸込口11へ通風される。これにより、送風システム1は、机2の一端5に流れた誘引気流22を、より強い風速で机2の上面3に沿って吸気空間12に吸気できるので、机2の上面3の清浄の効果を更に高めることができる。
【0102】
そのほか、送風システム1は、第二実施形態の説明の中で記載した各々の構成に対し、その構成に対応した効果を享受できる。また、送風システム1は、第一実施形態に係る送風システム1と同様の構成によって、同様の効果を享受できる。
【0103】
(第三実施形態)
次いで、
図7を参照して、第三実施形態に係る送風システム1について説明する。
図7は、その送風システム1と、送風システム1が設けられた机2の概略斜視図である。以下、第三実施形態に係る送風システム1の説明において、第一実施形態に係る送風システム1と相違する点を中心に説明し、第一実施形態と同一の構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0104】
第一実施形態に係る送風システム1は、利用者が正対可能な机2に設けられるものであった。これに対し、第三実施形態に係る送風システム1は、複数の利用者が、机2に対して同じ側に同じ方向を向いて並んで着座可能な机2に設けられるものである。
【0105】
なお、第三実施形態に係る送風システム1の説明において、利用者が着座可能な側を机2の正面とし、その正面に対して左右方向を単に「左右方向」と言い、また、正面側と背面側とを結ぶ方向を「奥行方向」と言う。
【0106】
第三実施形態に係る送風システム1が設けられる机2は、机2の正面側中央と背面側中央とから、それぞれ支柱4が設けられている。第一ノズル10aと第二ノズル10bとは、これらの支柱4に支持されている。即ち、第一ノズル10aと第二ノズル10bとは、机2の中央の鉛直上方に位置して、利用者が着座する机2の一辺と垂直方向である奥行方向に延在し且つ同じ高さの位置で並列に配置される。なお、第一ノズル10a及び第二ノズル10bの設置方法(支持方法)は、机2の中央の鉛直上方に位置し、奥行方向に延在して且つ同じ高さの位置に並列に配置されていれば任意のものであってよい。
【0107】
そして、送風システム1は、正面に対して机2の右端を一端5として、その一端5寄りに第一ノズル10aを設ける。また、送風システム1は、正面に対して机2の左側を他端6として、他端6寄りに第二ノズル10bを設ける。
【0108】
吸込口11は、机2の上面3にて、第一ノズル10a及び第二ノズル10bの鉛直下方に位置し、また、吸気空間12は、机2の上面3よりも下方にて、第一ノズル10a及び第二ノズル10bの鉛直下方に位置する。即ち、吸込口11及び吸気空間12は、机2の中央において、奥行方向に延在して設けられる。
【0109】
更に、吸込口11には、第一実施形態と同様に構成された第一整流板31と第二整流板32とが、奥行方向に延在して設けられる。
【0110】
この送風システム1も、第一実施形態に係る送風システム1と同様に、エアパーティションモード、第一机清浄モード及び第二机清浄モードを動作モードとして有している。
【0111】
エアパーティションモードは、例えば、人感センサ(図示せず)の出力によって、机2の右側と左側との両方に利用者が着座していると制御部16が判断した場合に実行される。
【0112】
第一机清浄モードは、机清浄モードの1つであり、例えば、人感センサ(図示せず)の出力によって、机2の右側に着座していた利用者が離席したと制御部16によって判断された場合に実行される。また、人感センサ(図示せず)の出力によって、机2の右側に利用者がおらず、机2の左側に利用者が着席していると制御部16によって判断された場合に、第一机清浄モードが実行されてもよい。
【0113】
第二机清浄モードは、例えば、人感センサ(図示せず)の出力によって、机2の左側に着座していた利用者が離席したと制御部16によって判断された場合に実行される。また、人感センサ(図示せず)の出力によって、机2の左側に利用者がおらず、机2の右側に利用者が着席していると制御部16によって判断された場合に、第二机清浄モードが実行されてもよい。
【0114】
エアパーティションモード、第一机清浄モード、第二机清浄モードは、利用者又は机2の設置者等によるスイッチ等の入力装置(図示せず)の操作によって指示されることによって、制御部16により実行されてもよい。
【0115】
エアパーティションモード、第一机清浄モード、第二机清浄モードにおける送風システム1の動作は、それぞれ第一実施形態に係る送風システム1の制御部16と同一の制御が行われることによって実現される。
【0116】
例えば、第一机清浄モードにおいては、送風システム1は、第一実施形態と同様に、第一ノズル10aの風量を第二ノズル10bの風量よりも小さくなるように、第一ノズル用送風機13a及び第二ノズル用送風機13bの風量を制御する。これにより、送風システム1は、発生する誘引気流22を一端5に流す。そして送風システム1は、一端5に流れた誘引気流22を机2の上面3に沿って左右方向に気流24として吸込口11より吸気する。これにより、送風システム1は、机2の右側の上面3を清浄できる。
【0117】
また、第二机清浄モードにおいても、送風システム1は、第一実施形態と同一の制御を行うことで、机2の左側の上面3を清浄できる。また、エアパーティションモードにおいても、送風システム1は、第一実施形態と同一の制御を行うことで、机2の中央、奥行方向にエアパーティションを形成できる。これにより、送風システム1は、机2の右側と左側との両方に利用者が着座した場合であっても、両者間での感染リスクを低減し、且つ、両者の会話の聞き取りにくさを低減できる。
【0118】
以上説明したように、第三実施形態に係る送風システム1は、利用者が同じ側に同じ方向を向いて着座する机2においても、第一ノズル10aと第二ノズル10bとを、机2の中央の鉛直上方に位置して、奥行方向に並列に配置することで、第一実施形態に係る送風システム1と同様の作用効果を享受できる。
【0119】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、各実施形態は、以下に説明する変形例も含めて、それぞれ、他の実施形態が有する構成の一部又は複数部分を、その実施形態に追加しあるいはその実施形態の構成の一部又は複数部分と交換等することにより、その実施形態を変形して構成するようにしても良い。また、上記各実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
【0120】
上記各実施形態では、ノズル10が、第一ノズル10aと第二ノズル10bとの二本のノズルにより構成される場合について説明した。これに対し、ノズル10は、3本以上のノズルによって構成されてもよい。この場合、送風システム1をエアパーティションモードにて動作させるときには、制御部16は、すべてのノズルから同一の風量の直進気流を吹き出すように制御すればよい。送風システム1を机清浄モードにて動作させるときには、制御部16は、次のように制御すればよい。即ち、制御部16は、誘引気流22を流したい机2の端から最も遠くに設けられたノズルより吹き出される直進気流の風量を最大風量として、そのノズルから吹き出された直進気流を机2の上面3に到達させる。また、制御部16は、誘引気流22を流したい机2の端から最も近くに設けられたノズルより吹き出される直進気流の風量を最小風量とする。更に、制御部16は、それらの間にあるノズルより吹き出される直進気流の風量を、誘引気流22を流したい机2の端から遠いノズルより順に、最小風量以上、最大風量以下の範囲で隣のノズルの風量と等しくなるようにするか、隣のノズルの風量より小さくする。そして、制御部16は、それぞれのノズルの風量を、誘引気流22が机2の端まで流れるように調整する。これによっても、送風システム1は、簡単な構成で机2の上面3の清浄を行うことができる。
【0121】
上記各実施形態では、送風システム1が、吸気空間12に次亜塩素酸水発生装置14を有し、吸気空間12にある空気に次亜塩素酸ガスを含ませたうえで、その次亜塩素酸ガスを含んだ空気を第一ノズル10a及び第二ノズル10bから吹き出す場合について説明した。これに対し、本発明は、机2の端へ流れる誘引気流22に次亜塩素酸ガスが含んでいればよく、誘引気流22に対して次亜塩素酸ガスを含ませる方法は、任意の方法であってよい。例えば、送風システム1は、第一ノズル10a及び第二ノズル10bの内部に向けて、次亜塩素酸水発生装置14により発生した次亜塩素酸を含む電解水を噴霧することで、第一ノズル10a及び第二ノズル10bから吹き出す第一直進気流21a及び第二直進気流21bに次亜塩素酸ガスを含ませてもよい。また、送風システム1は、第一ノズル10aと第二ノズル10bとの間に次亜塩素酸を含む電解水を噴霧することで、誘引気流22に対して次亜塩素酸ガスを含ませてもよい。
【0122】
上記各実施形態では、送風機13が、吸気空間12に吸気した空気を、第一ノズル10a及び第二ノズル10bに送って吹き出す場合について説明した。これに対し、送風システム1は、吸気空間12に排気口を設け、送風機13によって吸気空間12に吸気した空気を排気口から外に排気してもよい。この場合、送風システム1は、第一ノズル10a及び第二ノズル10bのそれぞれにあらたな空気を外から供給してもよい。そして、制御部16は、第一ノズル10aに供給する空気の風量及び第二ノズル10bに供給する空気の風量を制御することで、第一ノズル10aの風量及び第二ノズル10bの風量を制御してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本開示に係る送風システムは、机に設けることで、机の上面を誘引気流によって清浄できるので有用である。
【符号の説明】
【0124】
1 送風システム
2 机
3 上面
4 支柱
5 一端
6 他端
10 ノズル
10a 第一ノズル
10b 第二ノズル
11 吸込口
12 吸気空間
13 送風機
13a 第一ノズル用送風機
13b 第二ノズル用送風機
14 次亜塩素酸水発生装置
16 制御部
17a 第一エアー配管
17b 第二エアー配管
21a 第一直進気流
21b 第二直進気流
22 誘引気流
23 気流
24 気流
25 気流
31 第一整流板
31a 第一壁面
31b 第一水平面
32 第二整流板
32a 第二壁面
32b 第二水平面
33 第一通風路
34 第二通風路
35 第三通風路
36 整流板
36a 壁面
36b 水平面
37 通風路
38 通風路
40 壁