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特開2024-125494ケーブル送出装置、及びケーブル送出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125494
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】ケーブル送出装置、及びケーブル送出方法
(51)【国際特許分類】
   H02G 1/02 20060101AFI20240911BHJP
   H02G 15/02 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
H02G1/02
H02G15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033343
(22)【出願日】2023-03-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ・「模擬設備を使用した使用方法説明会」での展示(令和4年3月14日~令和4年3月17日) ・「2022年度全社技術技能競技大会」での展示(令和4年12月6日)
(71)【出願人】
【識別番号】000003687
【氏名又は名称】東京電力ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001335
【氏名又は名称】弁理士法人 武政国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 真人
(72)【発明者】
【氏名】栗原 正樹
(72)【発明者】
【氏名】古川 博基
(72)【発明者】
【氏名】塚原 淳
(72)【発明者】
【氏名】藤田 幹也
(72)【発明者】
【氏名】光村 芳文
(72)【発明者】
【氏名】高村 正和
【テーマコード(参考)】
5G352
5G375
【Fターム(参考)】
5G352AD04
5G352AM04
5G352AM05
5G375AA02
5G375BA21
5G375BA23
5G375CA02
5G375CA19
5G375DA31
5G375DB16
5G375EA17
(57)【要約】
【課題】本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、従来技術に比して所定の方向に電力ケーブルを送出することができ、よりスキルレスで簡易な手法でケーブル挿抜作業を行うことができるケーブル送出装置と、電力ケーブル送出方法を提供することである。
【解決手段】本願発明のケーブル送出装置は、ケーブルを接続部に挿入する(あるいは、引き抜く)際にケーブルを送出する装置であって、第1軸周りに回転する第1回転体と、第2軸周りに回転する第2回転体、回転駆動手段を備えたものである。このうち回転駆動手段は、第1回転体と第2回転体をそれぞれ逆向きに回転させる手段である。第1回転体と第2回転体でケーブルを挟み込んだ状態で、回転駆動手段によって第1回転体と第2回転体を回転させると、ケーブルが前方又は後方に送出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルを接続部に挿入し、又は該ケーブルを該接続部から引き抜く際に、該ケーブルを送出する装置であって、
第1軸周りに回転する第1回転体と、
前記第1軸と平行又は略平行に配置される第2軸周りに回転する第2回転体と、
前記第1回転体と前記第2回転体を、それぞれ逆向きに回転させる回転駆動手段と、を備え、
前記第1回転体と前記第2回転体で前記ケーブルを挟み込んだ状態で、前記回転駆動手段によって該第1回転体と該第2回転体を回転させると、該ケーブルが前方又は後方に送出される、
ことを特徴とするケーブル送出装置。
【請求項2】
前記第1回転体及び/又は前記第2回転体をスライド移動させることによって、該第1回転体と該第2回転体との間隔を調整するスライド駆動手段を、を備え、
前記第1回転体と前記第2回転体との間に前記ケーブルを配置した状態で、前記スライド駆動手段によって該第1回転体と該第2回転体を接近させると、該ケーブルが該第1回転体と該第2回転体に挟み込まれる、
ことを特徴とする請求項1記載のケーブル送出装置。
【請求項3】
嵌合治具を有する板状の基礎台と、
嵌合板を有する支持体と、をさらに備え、
前記第1回転体、前記第2回転体、前記回転駆動手段、及び前記スライド駆動手段が、前記支持体に取り付けられることによって回転本体が形成され、
前記嵌合治具は、平行又は略平行に配置された左レール及び右レールと、該左レールに固定される左フランジ及び該右レールに固定される右フランジと、を含んで構成され、
前記左レール、前記右レール、前記左フランジ、及び前記右フランジによって囲まれたガイド溝が形成されるとともに、該左フランジと該右フランジとの間にはスリットが形成され、
前記嵌合板は前記ガイド溝に収容可能であって、該嵌合板の幅は前記スリットの幅より大きく、
前記ガイド溝に前記嵌合板を収容するとともに、前記支持体の一部を前記スリットに通過させることによって、前記回転本体が前記基礎台に設置される、
ことを特徴とする請求項2記載のケーブル送出装置。
【請求項4】
ケーブルを接続部に挿入し、又は該ケーブルを該接続部から引き抜く際に、ケーブル送出装置を用いて該ケーブルを送出する方法であって、
前記ケーブル送出装置は、第1軸周りに回転する第1回転体と、該第1軸と平行又は略平行に配置される第2軸周りに回転する第2回転体と、該第1回転体と該第2回転体をそれぞれ逆向きに回転させる回転駆動手段と、前記第1回転体及び/又は前記第2回転体をスライド移動させるスライド駆動手段と、を有し、
前記ケーブルの両脇に前記第1回転体と前記第2回転体を配置する回転体配置工程と、
前記第1回転体と前記第2回転体との間に前記ケーブルを配置した状態で、前記スライド駆動手段によって該第1回転体と該第2回転体を接近させることで、該ケーブルを該第1回転体と該第2回転体で挟み込むケーブル挟持工程と、
前記第1回転体と前記第2回転体で前記ケーブルを挟み込んだ状態で、前記回転駆動手段によって該第1回転体と該第2回転体を回転させることで、該ケーブルを前方又は後方に送出する、
ことを特徴とするケーブル送出方法。
【請求項5】
前記ケーブル送出装置は、嵌合治具を有する板状の基礎台と、嵌合板を有する支持体と、をさらに有するとともに、前記第1回転体、前記第2回転体、前記回転駆動手段、及び前記スライド駆動手段が該支持体に取り付けられることによって回転本体が形成され、
前記嵌合治具は、平行又は略平行に配置された左レール及び右レールと、該左レールに固定される左フランジ及び該右レールに固定される右フランジと、を含んで構成され、
前記左レール、前記右レール、前記左フランジ、及び前記右フランジによって囲まれたガイド溝が形成されるとともに、該左フランジと該右フランジとの間にはスリットが形成され、
前記嵌合板は前記ガイド溝に収容可能であって、該嵌合板の幅は前記スリットの幅より大きく、
前記接続部の一部又は前記接続部の周辺の固定構造物に、前記基礎台を固定する基礎台固定工程を、さらに備え、
前記回転体配置工程では、前記ガイド溝の端部の挿入口から前記嵌合板を挿入するとともに、該ガイド溝に沿って該嵌合板をスライド移動して、前記回転本体を前記基礎台の所定位置に配置することによって、前記ケーブルの両脇に前記第1回転体と前記第2回転体を配置する、
ことを特徴とする請求項4記載のケーブル送出方法。
【請求項6】
前記基礎台固定工程で固定された前記基礎台の内側には開口部が形成され、
前記基礎台固定工程では、前記ケーブルを支えたうえで、前記開口部に該ケーブルが収容されるように、前記基礎台を固定する、
ことを特徴とする請求項5記載のケーブル送出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、電力ケーブルの終端接続に関する技術であり、より具体的には、所定の方向に電力ケーブルを送出することができるケーブル送出装置と、これを用いた電力ケーブル送出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所では数千~数万ボルトの電気が生成されるが、電気抵抗によるロスを避けるため数十万ボルト程度の超高圧にしたうえで送電している。そして、超高圧変電所や一次変電所、二次変電所、配電用変電所などの各変電所で徐々に電圧を下げたうえで工場などに供給し、さらに柱上変圧器などで電圧を下げて家庭に供給している。
【0003】
このように発電所から変電所まで送電され、また変電所から家庭まで送電されるが、その送電の役割を果たすのがCVケーブル(Cross-linked polyethylene insulated Vinyl sheath cable)に代表される電力ケーブルである。つまり、電力ケーブルが発電所や変電所、家庭等に接続されることで電気は送られている。なお送電経路のうち、発電所側のことは「1次側(あるいは、電源側)」と、家庭など電気を利用する側のことは「2次側(あるいは、負荷側)」と呼ばれている。
【0004】
発電所や変電所に電力ケーブルを接続するにあたっては、発電所等に設けられた終端接続箱に対して電力ケーブルを挿入する。終端接続箱内には、電力ケーブルの先端が挿入される接触子が設けられている。図11は、終端接続箱TBと電力ケーブルECとを模式的に示す図であり、図11(a)は外観を示す斜視図であり、図11(b)は、導体引出棒DBと、接触子としての一例であるチューリップコンタクトTCとを示す断面図である。
【0005】
電力ケーブルECの端部を終端接続箱TBなどに挿入し、あるいは引抜く「ケーブル挿抜作業」では、電力ケーブルEC端部に対して受け側(つまり、終端接続箱TBなど)が鉛直上方に配置されていることが多く、この場合、電力ケーブルECを上方に持ち上げながら作業を行うこととなる。一般的な電力ケーブルECは15~30kg/m程度の重量を有しており、人力で持ち上げるには困難を極めるため、通常は図12に示すようにチェーンブロックCBを用いて作業が行われている。すなわち、左右に配置された作業者がそれぞれチェーンブロックCBを操作するとともに、中央に配置された作業者が電力ケーブルECを支えながら、電力ケーブルECの端部を上方にある受け側に徐々に持ち上げていくわけである。
【0006】
このように、電力ケーブルECの終端接続においては、多くの場面でチェーンブロックCBを用いた人力作業が行われていた。例えば特許文献1では、碍管とケーブルに捩れが生じるのを防止しつつ、高圧ケーブルの気中終端接続を行う技術を提案しており、その中で不用意な捩れを防ぐために碍管を左右2箇所に取り付けたチェーンブロックで吊り下げる実施例(図3)を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開H09-215138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図12に示すようにチェーンブロックCBを用いてケーブル挿抜作業を行う場合、現地に多くの作業者(図では3人)を配置する必要があり、工事費用の上昇につながる。特に、チェーンブロックCBの操作を伴うことから、一定の技術や経験を備えた作業者が求められることとなり、この点においても工事費用を押し上げる要因となる。そのため、よりスキルレスで簡易な工法が望まれていた。
【0009】
ところで、電力ケーブルECの端部を終端接続箱TBなどに挿入した結果、終端接続材料CDがガイド管GPに対して傾斜して挿入されることがある。特に、チェーンブロックCBを用いて電力ケーブルECを引き上げるケースでは、左右のチェーンブロックCBの引き上げ量の調整が難しく、電力ケーブルECを鉛直上方に引き上げたいところ斜方向に引き上げられてしまうこともある。例えば図11(b)では、電力ケーブルECを引き上げた結果、終端接続材料CDがガイド管GPの軸に対して概ね4°傾斜して挿入されている。この場合、導体引出棒DBがチューリップコンタクトTCの端部に接触することとなり、このまま運用するとチューリップコンタクトTCが変形するといった不具合が生じるおそれがある。
【0010】
本願発明の課題は、従来技術が抱える問題を解決することであり、すなわち、従来技術に比して所定の方向(例えば、鉛直上方)に電力ケーブルを送出することができ、しかもよりスキルレスで簡易な手法でケーブル挿抜作業を行うことができるケーブル送出装置と、これを用いた電力ケーブル送出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、電力ケーブルを挟む左右の回転体を利用して電力ケーブルを送出(挿入や引き抜き)する、という点に着目してなされたものであり、これまでにない発想に基づいて行われたものである。
【0012】
本願発明のケーブル送出装置は、ケーブルを接続部に挿入する(あるいは、引き抜く)際にケーブルを送出する装置であって、第1軸周りに回転する第1回転体と、第2軸(ただし、第1軸と平行又は略平行)周りに回転する第2回転体、回転駆動手段を備えたものである。このうち回転駆動手段は、第1回転体と第2回転体をそれぞれ逆向きに回転させる手段である。そして、第1回転体と第2回転体でケーブルを挟み込んだ状態で、回転駆動手段によって第1回転体と第2回転体を回転させると、ケーブルが前方又は後方に送出される。
【0013】
本願発明のケーブル送出装置は、スライド駆動手段をさらに備えたものとすることもできる。このスライド駆動手段は、第1回転体や第2回転体をスライド移動させることによって、第1回転体と第2回転体との間隔を調整する手段である。この場合、第1回転体と第2回転体との間にケーブルを配置した状態で、スライド駆動手段によって第1回転体と第2回転体を接近させると、ケーブルを第1回転体と第2回転体で挟み込むことができる。
【0014】
本願発明のケーブル送出装置は、嵌合治具を有する板状の基礎台と、嵌合板を有する支持体をさらに備えたものとすることもできる。この場合、第1回転体と第2回転体、回転駆動手段、スライド駆動手段が、支持体に取り付けられることによって回転本体が形成される。また嵌合治具は、略平行(平行を含む)に配置された左レールと右レール、左レールに固定される左フランジと右レールに固定される右フランジを含んで構成され、左レールと右レール、左フランジ、右フランジによって囲まれたガイド溝が形成されるとともに、左フランジと右フランジとの間にはスリットが形成される。なお嵌合板は、ガイド溝に収容可能であって、その幅はスリットの幅より大きい寸法とされる。そして、ガイド溝に嵌合板を収容するとともに、支持体の一部をスリットに通過させることによって、回転本体を基礎台に取り付けることができる。
【0015】
本願発明のケーブル送出方法は、本願発明のケーブル送出装置を用いてケーブルを送出する方法あり、回転体配置工程とケーブル挟持工程を備えた方法である。このうち回転体配置工程では、ケーブルの両脇に第1回転体と第2回転体を配置する。またケーブル挟持工程では、第1回転体と第2回転体との間にケーブルを配置した状態で、スライド駆動手段によって第1回転体と第2回転体を接近させることで、ケーブルを第1回転体と第2回転体で挟み込む。そして、第1回転体と第2回転体でケーブルを挟み込んだ状態で、回転駆動手段によって第1回転体と第2回転体を回転させることで、ケーブルを前方又は後方に送出する。
【0016】
本願発明のケーブル送出方法は、基礎台固定工程をさらに備えた方法とすることもできる。この基礎台固定工程では、接続部の一部(あるいは、接続部の周辺の固定構造物)に基礎台を固定する。この場合、回転体配置工程では、ガイド溝の端部の挿入口から嵌合板を挿入するとともに、ガイド溝に沿って嵌合板をスライド移動して回転本体を基礎台の所定位置に配置し、これによりケーブルの両脇に第1回転体と第2回転体を配置する。
【0017】
本願発明のケーブル送出方法は、その内側に開口部が形成される基礎台を用いてケーブルを送出する方法とすることもできる。この場合、基礎台固定工程では、作業者がケーブルを支えたうえで、開口部にケーブルが収容されるように基礎台を固定する。
【発明の効果】
【0018】
本願発明のケーブル送出装置、及びケーブル送出方法には、次のような効果がある。
(1)従来技術に比して、安定して所定の方向(例えば、鉛直上方)に電力ケーブルを送出することができる。
(2)従来技術に比して少ない作業者(例えば、1人)で作業を行うことができ、しかもスキルレスで簡易な手法でケーブル挿抜作業を行うことができる。その結果、工事費用を低減することができる。
(3)チェーンブロックなどの巻取り装置を使用する必要がないため、作業安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本願発明のケーブル送出装置を用いて電力ケーブルECを発電所などの電力機器に挿入している状況を模式的に示す側面図。
図2】本願発明のケーブル送出装置の主な構成を示すブロック図。
図3】(a)はケーブル送出装置を背面側から見た斜視図、(b)はケーブル送出装置を正面側から見た斜視図。
図4】(a)は第1回転体と第2回転体を模式的に示す上方から見た平面図、(b)は第1ギアと第2ギアを模式的に示す側面図。
図5】(a)は第1回転体が第2回転体から離れた位置にある回転本体を示す正面図、(b)は第1回転体が第2回転体に接近した回転本体を示す正面図。
図6】(a)は基礎台から分離した回転本体を示す正面図、(b)は基礎台に設置された回転本体を示す正面図。
図7】(a)は平面視で四角形の基礎板を含む基礎台の斜視図、(b)は内側に開口部が設けられた基礎板の斜視図。
図8】基礎台の嵌合治具を示す部分断面図。
図9】(a)は2層の回転体が配置された本願発明のケーブル送出装置を模式的に示す断面図、(b)は第1層の回転体と第2層の回転体が異なる面内で回転する本願発明のケーブル送出装置を模式的に示す断面図。
図10】本願発明のケーブル送出方法の主な手順の流れを示すフロー図。
図11】(a)は終端接続箱と電力ケーブルの外観を示す斜視図、(b)はチューリップコンタクトと導体引出棒を示す断面図。
図12】チェーンブロックを用いて電力ケーブルの端部を上方に持ち上げていく状況を模式的に示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本願発明のケーブル送出装置、及びケーブル送出方法の実施形態の一例を図に基づいて説明する。
【0021】
本願発明は、図1に示すように発電所や変電所などに配置された電力機器等(以下、「接続部」という。)に電力ケーブルECを挿入したり、あるいは引き抜いたりする際に特に利用することができるものである。図1は、本願発明のケーブル送出装置100を用いて電力ケーブルECを接続部に挿入している状況を模式的に示す側面図である。この図に示すように本願発明は、電力ケーブルECを左右からボールローラーといった回転体で挟み込み、その状態のまま回転体を回転させることによって電力ケーブルECを送り出すものである。
【0022】
便宜上ここでは、図1に示すように接続部である受け側(図では上側)のことを「前方」と、その反対側(図では下側)のことを「後方」と、前方や後方に向かう軸方向のことを「送出方向」ということとする。つまり、電力ケーブルECを接続部に挿入する場合は「電力ケーブルECを前方に送出する」こととなり、電力ケーブルECを接続部から引き抜く場合は「電力ケーブルECを後方に送出する」こととなる。また、送出方向に対して垂直な方向であって、左右の回転体が並ぶ方向のことを「左右軸方向」ということとする。なお、電力ケーブルECを送出する方向(つまり、前方と後方)は必ずしも図1に示すように上下方向とは限らず、電力ケーブルECを水平方向に送出することも、あるいは電力ケーブルECを斜方向に送出することもあるが、ここでは電力ケーブルECを上下方向に送出する例で説明する。
【0023】
1.ケーブル送出装置
はじめに、本願発明のケーブル送出装置について説明する。なお、本願発明のケーブル送出方法は、本願発明のケーブル送出装置を用いて電力ケーブルECを前方や後方に送り出す方法である。したがって、まずは本願発明のケーブル送出装置について説明し、その後に本願発明のケーブル送出方法について説明することとする。
【0024】
図2は、本願発明のケーブル送出装置100の主な構成を示すブロック図である。この、図に示すように本願発明のケーブル送出装置100は、回転体210と回転駆動手段220を含んで構成され、さらにスライド駆動手段230や支持体240、基礎板310、嵌合治具320などを含んで構成することもできる。なお、支持体240に回転体210と回転駆動手段220、スライド駆動手段230が取り付けられることによって「回転本体200」が形成され、基礎板310と嵌合治具320によって「基礎台300」が形成される。つまりケーブル送出装置100は、大きく回転本体200と基礎台300によって構成することができるわけである。
【0025】
以下、ケーブル送出装置100を構成する主な要素ごとに詳しく説明する。
【0026】
(回転体)
図3は、ケーブル送出装置100を模式的に示す図であり、(a)は回転体210側(以下、「背面側」という。)から見た斜視図、(b)はその反対側(以下、「正面側」という。)から見た斜視図である。図3(a)に示すように回転体210は、左右に配置される第1回転体211と第2回転体212を含んで構成される。そして、第1回転体211と第2回転体212との間には、後述するように電力ケーブルECを挟持するためのスペース(以下、「挟持間隙SG」という。)が形成される。
【0027】
図4(a)に示すように、第1回転体211は第1軸を回転軸として回転するものであり、第2回転体212は第2軸を回転軸として回転するものである。回転体210(第1回転体211と第2回転体212)は、例えばボールローラーを用いることができるが、1軸周りに回転することができれば他のローラーやドラムなど従来用いられている種々のものを利用することができる。
【0028】
第1回転体211の第1軸と第2回転体212の第2軸は、略平行(平行を含む)に配置される回転軸である。また図4(a)に示すように第1軸と第2軸は、左右軸方向に対して略垂直(垂直を含む)に配置され、さらに送出方向に対しても略垂直(垂直を含む)に配置される。例えば図1の場合、第1軸と第2軸は紙面奥行方向となるように配置される。
【0029】
(回転駆動手段)
回転駆動手段220は、第1回転体211と第2回転体212をそれぞれ逆向きに回転させる手段であり、特に第1回転体211と第2回転体212が同期するように(同じ回転周期で)回転させる構成にするとよい。例えば図4に示す回転駆動手段220は、同じ規格(ギア比など)の第1ギア221と第2ギア222を含んで構成されており、第1ギア221には第1回転体211が固定され、第2ギア222には第2回転体212が固定されている。また、第1ギア221は第1回転体211の第1軸周りに回転し、第2ギア222は第2回転体212の第2軸周りに回転する。このような構成とすることによって、第1ギア221と第2ギア222(あるいは、いずれか一方)を回転させると、第1回転体211と第2回転体212はそれぞれ逆向きに、しかも同期して回転するわけである。
【0030】
第1ギア221や第2ギア222を回転させるには、これらギアに取り付けられたハンドルを用いていわば手動で回転させる仕様にすることもできるし、もちろんモーターなど動力設備を利用して回転させる仕様にすることもできる。例えば図3(b)では、第1ギア221(あるいは第2ギア222)と連動する挿入孔に、第1ハンドルHD1が差し込まれており、この第1ハンドルHD1を手動で回すことによって回転体210が回転する機構としている。あるいは、第1ハンドルHD1に代えて電動工具(例えば電動ドリルなど)の一部を挿入孔に差し込み、この電動工具を操作することによって回転体210を回転させてもよい。また回転駆動手段220は、第1回転体211と第2回転体212をそれぞれ逆向きに回転させることができれば図4に示す構造に限られず、例えばギアを用いることなくハンドルやモーターなどによってそれぞれ個別に(相互に独立して)第1回転体211と第2回転体212を回転させる仕様にすることもできる。
【0031】
挟持間隙SG(図3図4)に電力ケーブルECを配置し、さらに第1回転体211と第2回転体212で電力ケーブルECを挟持した状態で、回転駆動手段220が第1回転体211と第2回転体212を回転させると、電力ケーブルECは所定の方向に送出される。より詳しくは、回転駆動手段220が第1回転体211と第2回転体212を所定方向に回転(以下、「順回転」という。)させると電力ケーブルECは前方に送出され、回転駆動手段220が第1回転体211と第2回転体212を順回転とは逆向きに回転(以下、「反回転」という。)させると電力ケーブルECは後方に送出される。
【0032】
(スライド駆動手段)
図5(a)は、第1回転体211が第2回転体212から離れた位置にある回転本体200を示す正面図であり、図5(b)は、第1回転体211が第2回転体212に接近した回転本体200を示す正面図である。なお便宜上この図では、直接的には示されていないものの第1回転体211と第2回転体212は背面側に配置されている。この図に示すようにケーブル送出装置100は、第1回転体211や第2回転体212を左右軸方向にスライド移動させる機能を有することができ、そしてこの機能を実行するのがスライド駆動手段230である。
【0033】
スライド駆動手段230によって第1回転体211や第2回転体212を左右軸方向にスライド移動させるには、従来用いられている種々の手法を採用することができる。例えば、第1回転体211(あるいは第2回転体212)に内周ネジが設けられたネジ孔を形成するとともに、このネジ孔と全ネジが設けられた鋼棒を螺合し、左右軸方向に移動しないように固定された鋼棒をその軸周りに回転させることで、第1回転体211(あるいは第2回転体212)を左右軸方向にスライド移動させる仕様にすることができる。この場合、図3(b)に示すように、スライド駆動手段230と連動する挿入孔に、第2ハンドルHD2を差し込み、この第2ハンドルHD2を手動で回すことによって第1回転体211(あるいは第2回転体212)を左右軸方向にスライド移動させる機構とすることができる。あるいは、第2ハンドルHD2に代えて電動工具(例えば電動ドリルなど)の一部を挿入孔に差し込み、この電動工具を操作することによって回転体210をスライド移動させてもよい。なお、第2ハンドルHD2(あるいは電動工具の一部)を差し込む挿入孔は、第1回転体211と第2回転体212のうちいずれか一方のみに設けることもできるし、両方ともに設けることもできる。そのほかスライド駆動手段230は、ジャッキによるシリンダの伸縮に応じてスライド移動させる仕様にしたり、ウィンチ等で側方から牽引することでスライド移動させる仕様にしたり、ラックピニオン機構を利用してスライド移動させる仕様にしたりすることもできる。なおスライド駆動手段230は、第1回転体211と第2回転体212のうちどちらか一方のみを左右軸方向にスライド移動させる構成とすることもできるし、第1回転体211と第2回転体212のいずれも左右軸方向にスライド移動させる構成とすることもできる。
【0034】
挟持間隙SGの幅寸法と電力ケーブルECの径の関係によっては、挟持間隙SGに電力ケーブルECを配置することが難しいケースも考えられる。この場合、スライド駆動手段230が特に有効に機能する。すなわち、挟持間隙SGの幅寸法が電力ケーブルECの径よりも大きくなるようにあらかじめ第1回転体211と第2回転体212を配置したうえで、幅広とされた挟持間隙SGに電力ケーブルECを配置するとともに、スライド駆動手段230によって第2回転体212に接近するように第1回転体211を左右軸方向にスライド移動させるわけである。これにより、電力ケーブルECは第1回転体211と第2回転体212によって堅固に挟持され、第1回転体211と第2回転体212の回転力が電力ケーブルECに十分に伝達され、より効率的に電力ケーブルECを送出することができる。
【0035】
(基礎台)
図6(a)は、回転本体200と基礎台300を示す図であり、(a)は基礎台300から分離した回転本体200を示す正面図、(b)は基礎台300に設置された回転本体200を示す正面図である。なお便宜上この図では、直接的には示されていないものの回転体210(第1回転体211と第2回転体212)と回転駆動手段220(第1ギア221と第2ギア222)は背面側に配置されている。図6(a)に示すように回転本体200は、支持体240に回転体210と回転駆動手段220が取り付けられて形成されたものであり、スライド駆動手段230を具備する場合はこのスライド駆動手段230も支持体240に取り付けられて回転本体200が形成される。また、支持体240の下方には平板状の嵌合板241が設けられている。
【0036】
基礎台300は、回転本体200を安定して支持するもので、図6に示すように平板状の基礎板310と、嵌合治具320を含んで構成される。また基礎台300は、電力機器など接続部の一部や周辺の構造物(以下、これらを総じて「固定構造物FS」という。)に固定されて、回転本体200を設置するものである。例えば固定構造物FSが形鋼(溝型鋼やH型鋼など)である場合、重ねられた固定構造物FSと基礎板310をクランプや万力などで締め付けることによって、基礎台300を固定構造物FSに固定することができる。あるいは固定構造物FSにクリート孔が設けられているときは、基礎板310に設けられた小孔とクリート孔にボルトやピンを挿通することによって、基礎台300を固定構造物FSに固定することができる。
【0037】
基礎台300は、図7(a)に示すように平面視で四角形の基礎板310を含むものとすることもできるし、図7(b)に示すように平面視でコ字状にされ、すなわち内側に開口部OSが設けられた基礎板310を含むものとすることもできる。接続部に電力ケーブルECを挿入する(あるいは、引き抜く)現地の環境は様々であり、作業スペースに余裕があることもあれば、極めて狭隘なスペースでの作業が強いられることもある。また、電力ケーブルECが終端接続箱TBに対し傾斜した角度で挿入が実施されると、電力ケーブルECの導体引出棒DBを、チューリップコンタクトTCに対して適切に接続することができない。そのため、図1において、左右軸方向のみならず、紙面奥行方向においても、ケーブル挿入角度、すなわち、本願発明のケーブル送出装置100の設置位置を調整する必要がある。後述するように本願発明では、複数種類の基礎板310を用意することで、現地環境に応じた基礎台300を選択できるようにした。
【0038】
図8は、基礎台300の嵌合治具320を示す部分断面図である。この図に示すように嵌合治具320は、左嵌合体321と右嵌合体322を含んで構成される。左嵌合体321は、基礎板310から立ち上がる板状の左レール321Rと、基礎板310に略平行(平行を含む)に配置される板状の左フランジ321Fからなり、断面視でL字状となるように左レール321Rの頂部で左フランジ321Fが連結されている。同様に、右嵌合体322は、基礎板310から立ち上がる板状の右レール322Rと、基礎板310に略平行(平行を含む)に配置される板状の右フランジ322Fからなり、断面視でL字状となるように右レール322Rの頂部で右フランジ322Fが連結されている。
【0039】
図8に示すように嵌合治具320には、左嵌合体321(左レール321Rと左フランジ321F)と右嵌合体322(右レール322Rと右フランジ322F)によって囲まれた空間(以下、「ガイド溝GR」という。)が形成されている。なお、左嵌合体321と右嵌合体322は、それぞれ紙面奥行方向に所定の長さを有する部材であり、また左レール321Rと右レール322Rは略平行(平行を含む)に配置され、いわば嵌合治具320は筒状の部材とされる。そして、支持体240の嵌合板241はこのガイド溝GR内に収容される。そのため嵌合板241の幅寸法(図では左右の長さ)は、左レール321Rと右レール322Rとの離隔よりも短く、嵌合板241の肉厚寸法(図では上下の長さ)は、基礎板310と左フランジ321Fや右フランジ322Fとの離隔よりも短くなるように設計される。
【0040】
また、左フランジ321Fや右フランジ322Fとの間には隙間(以下、「スリットSL」という。)が形成される。そして支持体240の一部は、このスリットSLを通過することができる。なお、嵌合板241がスリットSLから抜け出さないように、嵌合板241の幅寸法はスリットSLの幅寸法よりも大きく(幅広に)なるように設計される。このような構成としたことで、嵌合板241をガイド溝GR内に収容するとともに、支持体240の一部をスリットSLに通過させることによって、回転本体200を基礎台300に設置することができ、すなわち基礎台300は回転本体200を安定して支持することができる。回転本体200を基礎台300に設置するにあたっては、例えばガイド溝GRの開放面(紙面奥行方向の手前側など)を入り口として嵌合板241を挿入するとともに、支持体240の一部をスリットSL内に通しながら、回転本体200を押し込んでいくことによって設置するとよい。
【0041】
ここで、本願発明においては、複数種類の基礎板310が用意されている。前述の通り、電力ケーブルECが終端接続箱TBに対し傾斜した角度で挿入されてしまうと、適切に電力ケーブルECを接続することができない。そのため、複数種類の基礎板310を用いることで、ケーブル送出装置100の設置位置を調整できるようにした方が好ましい。例えば、図7においては、固定構造物FSに対し紙面右側、または紙面左側のどちらに対してもケーブル挿入ルートを確保できるようにした方が好ましい。図7(a)に示すような基礎板310を用いた場合には、電力ケーブルは固定構造物FSに対して、スリットSLの反対側(紙面右側)にケーブル挿入ルートを確保することができる。この場合、固定構造物FSに対してスリットSLの反対側(紙面右側)は開放されているため、基礎板310において開放部は特に必要としない。一方、固定構造物FSに対してスリットSLと同一側(紙面左側)にケーブル挿入ルートを確保する場合には、図7(b)に示す基礎台300を用いる。図7(b)に示す基礎台300の内側には開口部OSが形成されている。開口部OSに電力ケーブルECが収容されることで、固定構造物FSに対してスリットSLと同一側にもケーブル挿入ルートを確保することができる。このように、複数種類の基礎板310を備えることで、様々な敷設環境に対応することができる。
【0042】
(変形例)
図3図4では、第1回転体211と第2回転体212がそれぞれ1つずつ配置されたケーブル送出装置100を示しているが、本願発明のケーブル送出装置100は上下に2層(2段)以上の回転体210が配置されたものとすることもできる。もちろん、上下層の回転体210に係る挟持間隙SGは相互に連通している。例えば図9(a)では、第1層に第1回転体211と第2回転体212が配置されるとともに、その上層である第2層にも第1回転体211と第2回転体212が配置されている。そしてこの図に示す構成では、第1層の第1回転体211と第2層の第1回転体211、第1層の第2回転体212と第2層の第2回転体212がそれぞれ同じ向きに、しかも同期して回転するように、上下層の第1回転体211の間、上下層の第2回転体212の間にそれぞれ中間ギア223が設けられている。なお、回転駆動手段220は、上下層の第1回転体211と上下層の第2回転体212をそれぞれ同じ向きに回転させることができれば図9に示す構造に限られず、例えばギアを用いることなくハンドルやモーターなどによってそれぞれ個別に(相互に独立して)、下層の回転体210と上層の回転体210を回転させる仕様にすることもできる。このように、2層以上の回転体210を備えることによって、1層のみの回転体210を備えるものに比べて全体の総重量は大きくなるものの、電力ケーブルECの送出方向をより特定することができ、しかも迅速に送出することができる。
【0043】
図9(a)では、第1層の回転体210と第2層の回転体210が同一面内で回転するケーブル送出装置100を示しているが、本願発明のケーブル送出装置100は第1層の回転体210と第2層の回転体210が異なる面内で回転するものとすることもできる。もちろん、上下層の回転体210に係る挟持間隙SGは相互に連通している。例えば、第1層の回転体210は図4図9(a)に示すように左右軸方向の面(例えば鉛直面)内で回転するが、第2層の回転体210は図9(b)に示すように左右軸方向に直交する面(例えば鉛直面)内で回転する構成とすることができる。ただし、電力ケーブルECを前方に送出するため第1層の回転体210が順回転するときは第2層の回転体210も順回転することができ、同様に電力ケーブルECを後方に送出するため第1層の回転体210が反回転するときは第2層の回転体210も反回転することができる構成とする。このように、異なる2面に上下層の回転体210を配置することにより、換言すれば異なる方向から電力ケーブルECを挟持することによって、図9(a)に示す構成よりも複雑な構造になるものの、電力ケーブルECをより堅固に挟持することができ、また電力ケーブルECを送出する際に生じる「ねじれ」も抑制することができる。
【0044】
2.ケーブル送出方法
続いて、本願発明のケーブル送出方法ついて図10を参照しながら説明する。なお、本願発明のケーブル送出方法は、ここまで説明したケーブル送出装置100を用いて電力ケーブルECを前方や後方に送り出す方法である。したがって、ケーブル送出装置100で説明した内容と重複する説明は避け、本願発明のケーブル送出方法に特有の内容のみ説明することとする。すなわち、ここに記載されていない内容は、「1.ケーブル送出装置」で説明したものと同様である。
【0045】
図10は本願発明のケーブル送出方法の主な手順の流れを示すフロー図である。本願発明のケーブル送出装置100を用いて電力ケーブルECを送り出すにあたっては、まず
基礎台300を接続部の一部や周辺の構造物といった固定構造物FSに固定する(図10のStep401)。このとき、固定構造物FSが形鋼である場合、重ねられた固定構造物FSと基礎板310をクランプや万力などで締め付けることによって、基礎台300を固定構造物FSに固定することができる。あるいは固定構造物FSにクリート孔が設けられているときは、基礎板310に設けられた小孔とクリート孔にボルトやピンを挿通することによって、基礎台300を固定構造物FSに固定するとよい。なお、図7(b)に示すように基礎台300の内側に開口部OSが設けられているときは、作業者が電力ケーブルECを支えたうえで、開口部OS内に電力ケーブルECが収容されるように基礎台300を固定構造物FSに固定するとよい。
【0046】
基礎台300を固定構造物FSに固定すると、回転本体200を基礎台300に設置する。例えば、基礎台300のガイド溝GRの開放面から回転本体200の嵌合板241を挿入するとともに、支持体240の一部をスリットSL内に通しながら、回転本体200を押し込んでいくことによって、回転本体200を基礎台300に設置することができる。このとき、挟持間隙SGの幅寸法が電力ケーブルECの径よりも大きくなるように、あらかじめ第1回転体211と第2回転体212を配置しておくとよい。そして、回転本体200を基礎台300に設置され、すなわち所定の位置に回転本体200が配置されると、電力ケーブルECの両側に第1回転体211と第2回転体212が配置される(図10のStep402)。
【0047】
第1回転体211と第2回転体212が配置されると、スライド駆動手段230によって第2回転体212に接近するように第1回転体211を左右軸方向にスライド移動させ、第1回転体211と第2回転体212によって電力ケーブルECを挟持する(図10のStep403)。そして、電力ケーブルECを接続部に挿入するときは、回転駆動手段220によって回転体210を順回転させることで電力ケーブルECを前方に送出し、電力ケーブルECを接続部から引き抜くときは、回転駆動手段220によって回転体210を反回転させることで電力ケーブルECを後方に送出する(図10のStep404)。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本願発明のケーブル送出装置、及びケーブル送出方法は、発電所とケーブルとの接続、あるいは変電所とケーブルとの接続など様々な接続箇所で利用することができる。本願発明によれば、適正にケーブルを接続することができ、ひいては電気の安定供給に寄与することを考えれば、産業上利用できるばかりでなく社会的にも大きな貢献を期待し得る発明といえる。
【符号の説明】
【0049】
100 本願発明のケーブル送出装置
200 (ケーブル送出装置の)回転本体
210 (ケーブル送出装置の)回転体
211 (回転体の)第1回転体
212 (回転体の)第2回転体
220 (ケーブル送出装置の)回転駆動手段
221 (回転駆動手段の)第1ギア
222 (回転駆動手段の)第2ギア
223 (回転駆動手段の)中間ギア
230 (ケーブル送出装置の)スライド駆動手段
240 (ケーブル送出装置の)支持体
241 (支持体の)嵌合板
300 (ケーブル送出装置の)基礎台
310 (基礎台の)基礎板
320 (基礎台の)嵌合治具
321 (嵌合治具の)左嵌合体
321R (左嵌合体の)左レール
321F (左嵌合体の)左フランジ
322 (嵌合治具の)右嵌合体
322R (右嵌合体の)右レール
322F (右嵌合体の)右フランジ
CB チェーンブロック
CD 終端接続材料
DB 導体引出棒
EC 電力ケーブル
FS 固定構造物
GP ガイド管
GR ガイド溝
HD1 第1ハンドル
HD2 第2ハンドル
OS 開口部
SG 挟持間隙
SL スリット
TB 終端接続箱
TC チューリップコンタクト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12