(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024125528
(43)【公開日】2024-09-19
(54)【発明の名称】不透過型の堰堤を構築する方法
(51)【国際特許分類】
E02B 7/02 20060101AFI20240911BHJP
E02D 29/02 20060101ALI20240911BHJP
E02D 17/18 20060101ALI20240911BHJP
【FI】
E02B7/02 B
E02D29/02 309
E02D17/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023033384
(22)【出願日】2023-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000231110
【氏名又は名称】JFE建材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 裕介
【テーマコード(参考)】
2D044
2D048
【Fターム(参考)】
2D044CA00
2D048AA83
(57)【要約】
【課題】壁面材により上流壁面が形成された堰堤において、上流側から流れてくる物体を捕捉する捕捉体を上流壁面に設ける。
【解決手段】複数のセグメント21が連結され河川の上流側に面するように設けられた上流壁面20と、複数のセグメント31が連結され河川の下流側に面するように設けられた下流壁面30と、上流壁面20及び下流壁面30の間に設けられた中詰材40と、上流から流れてくる物体を捕捉する少なくとも1つの柱部材51を有する捕捉工50と、水通し部15と、を有する不透過型の堰堤1を構築する。セグメント21,31により、所定の高さの上流壁面20及び下流壁面30を形成する工程と、セグメント21,31間に中詰材40を打設する工程と、捕捉工50を上流壁面20の側で設置する工程と、を含み、捕捉工50を設置する工程において、柱部材51の一端を部分的に中詰材40に埋める。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセグメントが連結され河川の上流側に面するように設けられた上流壁面と、複数のセグメントが連結され河川の下流側に面するように設けられた下流壁面と、前記上流壁面及び前記下流壁面の間に設けられた中詰材と、上流から流れてくる物体を捕捉する少なくとも1つの柱部材を有する捕捉工と、を有する不透過型の堰堤を構築する方法であって、
前記セグメントにより、所定の高さの前記上流壁面及び前記下流壁面を形成する工程と、
前記セグメント間に中詰材を打設する工程と、
前記捕捉工を前記上流壁面の側で設置する工程と、
を含み、
前記上流壁面及び前記下流壁面を形成する工程において、前記柱部材の一端を部分的に前記中詰材に埋める
ことを特徴とする堰堤を構築する方法。
【請求項2】
前記捕捉工を設置する工程において、前記柱部材の一端を高さ方向に連結される2つの前記セグメント間に設置することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記柱部材の一端が設置される前記セグメントとして、前記柱部材の一端を収容するように凹に形成された凹部を有するセグメントを使用することを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記捕捉工を設置する工程において、前記柱部材の前記一端を下方から支持する支持部材を前記上流壁面の前記セグメントの内側に設置することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
河川の上流側に面し複数のセグメントにより形成された上流壁面と、河川の下流側に面し複数のセグメントにより形成された下流壁面と、前記上流壁面及び前記下流壁面の間に設けられた中詰材と、上流から流れてくる物体を捕捉する少なくとも1つの柱部材を有する捕捉工と、を有する不透過型の堰堤を構築する方法であって、
前記セグメントにより、所定の高さの前記上流壁面及び前記下流壁面を形成する工程と、
前記セグメント間に中詰材を打設する工程と、
前記捕捉工を前記上流壁面の側で設置する工程と、
を含み、
前記上流壁面及び前記下流壁面を形成する又は前記捕捉工を設置する工程において、前記上流壁面を形成する前記セグメントに前記柱部材の一端をボルト接合する
ことを特徴とする堰堤を構築する方法。
【請求項6】
前記柱部材の一端にベースプレートが設けられており、
前記ベースプレートがボルト接合される前記セグメントとして、上流に突出した複数のボルトが設けられたセグメントを使用し、
前記捕捉工を設置する工程において、前記柱部材を前記ベースプレート及び前記ボルトを介して前記セグメントに連結する
ことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記柱部材がボルト接合される前記セグメントにはベースプレートが取り付けられており、当該ベースプレートに前記柱部材の前記ベースプレートを接触させて、前記柱部材を前記上流壁面にボルト接合することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不透過型の堰堤を構築する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
山間部等の河川においては、台風や大雨による土砂災害に伴い、大量の土砂などの物体が流されることがあり、被害の拡大を招くことがある。対策工として、例えば、大きな礫が存在せず、多量の細かな礫や土砂などが存在している河川には、不透過型の堰堤が設置される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
不透過型の堰堤は、主に土砂を堰き止める本体と、河川の対象流量を流し得る十分な断面をもった水通し部を形成するように本体上で所定の間隔をあけて設けられた一対の袖部と、有する。不透過型の堰堤は、土砂を堰き止めつつ、河川の水を堰き止めることなく、下流側に流すようになっている。
【0004】
河川に大きな礫が存在しないが、多量の土砂があるため不透過型の堰堤の設置が検討される場合がある。この場合、堰堤の上流側に土砂が堆積し、堆積した土砂の上を流木が水の流れに乗って水通し部を越流することがあるため、水通し部を越流しようとする流木等の物体を捕捉する捕捉工を備えた不透過型の堰堤もある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
また、砂防堰堤には、河川の上流側に面する上流壁面と、河川の下流側に面する下流壁面とを壁面材を配置してなる堰堤がある。この堰堤の中には、複数の鋼製の壁面材(鋼板セグメント)等を連結して上流壁面が構築されているものがある。両壁面の間に形成される空間内には、中詰材として、ソイルセメントが打設される(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-167735号公報
【特許文献2】特開2021-085198号公報
【特許文献3】特許第6431390号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、土砂災害の甚大化により、水通し部を通流する水とともに、流木等の物体が下流側に流されることが想定される。特許文献2に記載された堰堤の本体は、コンクリート又はソイルセメントにより構築されており、本体の上流壁面にコンクリート製の不陸部を形成することにより捕捉工を堰堤に設置することができる。
【0008】
ところで、複数の壁面材を連結して構成された上流壁面を有する特許文献3に記載された堰堤の上流壁面に捕捉工を設けたいという需要がある。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、壁面材により上流壁面が形成された堰堤において、上流側から流れてくる物体を捕捉する捕捉体を上流壁面に設ける技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る堰堤を構築する方法は、複数のセグメントが連結され河川の上流側に面するように設けられた上流壁面と、複数のセグメントが連結され河川の下流側に面するように設けられた下流壁面と、前記上流壁面及び前記下流壁面の間に設けられた中詰材と、上流から流れてくる物体を捕捉する少なくとも1つの柱部材を有する捕捉工と、を有する不透過型の堰堤を構築する方法であって、前記セグメントにより、所定の高さの前記上流壁面及び前記下流壁面を形成する工程と、前記セグメント間に中詰材を打設する工程と、前記捕捉工を前記上流壁面の側で設置する工程と、を含み、前記上流壁面及び前記下流壁面を形成する工程において、前記柱部材の一端を部分的に前記中詰材に埋めることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る方法の一態様においては、前記捕捉工を設置する工程において、前記柱部材の一端を高さ方向に連結される2つの前記セグメント間に設置する。
【0012】
また、本発明に係る方法の一態様において、前記柱部材の一端が設置される前記セグメントとして、前記柱部材の一端を収容するように凹に形成された凹部を有するセグメントを使用する。
【0013】
また、本発明に係る方法の一態様においては、前記捕捉工を設置する工程において、前記柱部材の前記一端を下方から支持する支持部材を前記上流壁面の前記セグメントの内側に設置する。
【0014】
さらに、上記課題を解決するために、本発明に係る堰堤を構築する方法は、河川の上流側に面し複数のセグメントにより形成された上流壁面と、河川の下流側に面し複数のセグメントにより形成された下流壁面と、前記上流壁面及び前記下流壁面の間に設けられた中詰材と、上流から流れてくる物体を捕捉する少なくとも1つの柱部材を有する捕捉工と、を有する不透過型の堰堤を構築する方法であって、前記セグメントにより、所定の高さの前記上流壁面及び前記下流壁面を形成する工程と、前記セグメント間に中詰材を打設する工程と、前記捕捉工を前記上流壁面の側で設置する工程と、を含み、前記上流壁面及び前記下流壁面を形成する又は前記捕捉工を設置する工程において、前記上流壁面を形成する前記セグメントに前記柱部材の一端をボルト接合することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る方法の一態様においては、前記柱部材の一端にベースプレートが設けられており、前記ベースプレートがボルト接合される前記セグメントとして、上流に突出した複数のボルトが設けられたセグメントを使用し、前記捕捉工を設置する工程において、前記柱部材を前記ベースプレート及び前記ボルトを介して前記セグメントに連結する。
【0016】
また、本発明に係る方法の一態様において、前記柱部材がボルト接合される前記セグメントにはベースプレートが取り付けられており、当該ベースプレートに前記柱部材の前記ベースプレートを接触させて、前記柱部材を前記上流壁面にボルト接合する。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、壁面材により上流壁面が形成された堰堤において、上流側から流れてくる物体を捕捉する捕捉体を上流壁面に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】部分的に断面にした第1の実施の形態に係る堰堤を上流側から見た斜視図である。
【
図1B】部分的に断面にした第1の実施の形態に係る堰堤を下流側から見た斜視図である。
【
図2】第1の実施の形態における捕捉工の構成を説明するための概略図である。
【
図3A】コンクリート基礎部に上流壁面と下流壁面とを積み上げる工程を説明する図である。
【
図3B】ソイルセメントを打設する工程を説明する図である。
【
図3C】基礎部を設置する工程を説明する斜視図である。
【
図3D】基礎部を設置する工程を説明する断面図である。
【
図3E】基礎部が取り付けられた状態を示す正面図である。
【
図3F】基礎部に本体部を連結する工程を説明する図である。
【
図4】捕捉工用鋼板セグメントの構成について説明するための図である。
【
図5A】第2の実施の形態に係る堰堤における捕捉工用鋼板セグメントの斜視図である。
【
図5B】第2の実施の形態に係る捕捉工用鋼板セグメントの縦断面である。
【
図6】第2の実施の形態に係る堰堤を構築する工程を説明する図であり、柱部材を捕捉工用鋼板セグメントに設置する工程を説明するための図である。
【
図7A】変形例に係る捕捉工用鋼板セグメントの斜視図である。
【
図7B】変形例に係る捕捉工用鋼板セグメントの縦断面である。
【
図8】柱部材を変形例1に係る捕捉工用鋼板セグメントに設置する工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率等が異なる部分が含まれている場合がある。
【0020】
本発明に係る堰堤は、例えば、渓谷間において川幅方向に設置されて、上流から流れてくる土石流等を堰き止める不透過型の堰堤である。なお、治山を目的として傾斜地の斜面に設置される土留、擁壁等として使用してもよい。
【0021】
<第1の実施の形態>
第1の実施の形態に係る堰堤1は、水通し部15と、複数の鋼板セグメント(セグメント)21が連結され河川の上流側に面するように設けられた上流壁面20と、複数のコンクリートセグメント(セグメント)31が連結され河川の下流側に面するように設けられた下流壁面30と、上流壁面20及び下流壁面30の間に設けられた中詰材40と、少なくとも1つの柱部材51を有し上流壁面20の側に水通し部15に対向するように設けられた捕捉工50と、を備え、少なくとも1つの柱部材51は、一端が中詰材40に埋設されていて、他端が上流壁面20から上流側に突き出ていることを特徴とする。本実施の形態に係る堰堤1について以下に具体的に説明する。
【0022】
(堰堤の構成)
図1Aは、部分的に断面にした第1の実施の形態に係る堰堤1を上流側から見た斜視図である。
図1Bは、部分的に断面にした第1の実施の形態に係る堰堤1を下流側から見た斜視図である。本実施の形態に係る堰堤1は、コンクリート基礎部10と、上流壁面20と、下流壁面30と、中詰材40と、捕捉工50と、を備える。堰堤1は、河川の一方の岸から他方の岸にわたって延びている。
【0023】
コンクリート基礎部10は、コンクリートにより形成されており、河川の流れ方向(上流から下流)に直交する方向(河川の幅方向)に沿って、河川の河床に設けられている。コンクリート基礎部10は、2つ設けられており、河川の流れ方向に所定の間隔をあけて配置されている。上流側のコンクリート基礎部10の上面に上流壁面20が設けられ、下流側のコンクリート基礎部10の上面に下流壁面30が設けられている。
【0024】
堰堤1において、河川の幅方向に沿った中央近傍、つまり、堰堤1が構築される河川の両岸から河川中央に向かって延在する袖部11の間の上端部には水通し部15が形成されている。水通し部15は、周囲、例えば、袖部11の天端部13よりも天端部16が低くなるように凹んだ部分である。天端部13,16は、堰堤1を高さ方向上端において画定する部分であり、例えば、コンクリートにより形成されている。水通し部15は、上流から流れてくる流水を堰堤1の中央近傍に集約して下流に流すために形成されている。水通し部15における側面及び底面は、天端部13,16により画定されている。
【0025】
上流壁面20は、河川の上流側に面するように設けられている。上流壁面20は、複数の壁面材である鋼板セグメント21がボルト及びナット等の締結具によって互いに連結されて構成されている。鋼板セグメント21は、平面視矩形状に構成されていて、例えば、鋼板セグメント21は、平板状の鋼板により形成されている。鋼板セグメント21の外周縁にはフランジが形成されている。鋼板セグメント21は、河川の上流から流れてくる、主に、例えば岩石、木材等を受ける。上流壁面20において左右に隣接する鋼板セグメント21同士は、互いにフランジにより連結されていて、鋼板セグメント21の上下端縁が互いに同じ高さにならないように上下方向に互い違い(千鳥状)に配置されている。なお、断面形状が波形の鋼板(矢板、ライナープレート等)により形成されている。
【0026】
下流壁面30は、河川の下流側に面するように設けられている。下流壁面30は、複数の壁面材であるコンクリートセグメント31がボルト及びナット等の締結具によって互いに連結されて構成されている。コンクリートセグメント31は、コンクリート製の平面視矩形状のパネルにより構成されている。下流壁面30において左右に隣接するセグメント31同士は、左右に隣接するセグメント31の上下端縁が互いに同じ高さにならないように上下方向に互い違い(千鳥状)に配置されている。なお、下流壁面30を上流壁面20と同様に、断面形状が平板状、波形の鋼板(矢板、ライナープレート等)により構成されたセグメント31により構成してもよい。
【0027】
中詰材40は、上流壁面20と下流壁面30との間にある空間S(
図3参照)内に設けられているものであり、流動性を有する。具体的に、中詰材40は、堰堤1を設置する現場の現地発生土にセメントと水を混合して作成したソイルセメントである。ここで用いられるソイルセメントは、スランプの程度について問われることはない。すなわち、堰堤1は、ソイルセメントの流動性があってもなくても対応可能な堰堤であることを意味する。したがって、現地発生土の性状がどのようなものであっても、セメントと水の量を調整することで堰堤として構築することができる。
【0028】
図2は、第1の実施の形態における捕捉工50の構成を説明するための概略図である。第1の実施の形態に係る堰堤1に、上流壁面20の側で水通し部15に対向するように捕捉工50が設けられている。捕捉工50は、鋼管により形成されている複数の柱部材51を有する。柱部材51は、高さ方向において少なくとも水通し部15にわたって延びている。なお、柱部材51は、高さ方向において水通し部15より低くてもよい。
【0029】
柱部材51は、河川の幅方向において互いに所定の間隔をあけて上流壁面20の側に設置されている。柱部材51は、上流壁面20において、一端が中詰材40に埋め込まれた状態において、他端が上流壁面20から上流側に突出して設けられている。なお、捕捉工50は、少なくとも部分的に水通し部15と対向するようになっていればよく、一部が袖部に対向するように設けられていてもよい。
【0030】
柱部材51は、基礎部52と、本体部53と、を有する。柱部材51は、高さ方向において上下に隣接する2つの鋼板セグメント21の間に基礎部52が位置するようになっている。これにより、幅方向において隣接する柱部材51は、それぞれの基礎部52が高さ方向において上下にずれるように上流壁面20の側に設けられている。
【0031】
基礎部52は、例えば、円形の断面形状を有する鋼管により形成されている。基礎部52の両端にはそれぞれ、鋼製の、例えば、平面視円形状のベースプレート52Pが設けられている。基礎部52は、一方のベースプレート52Pが中詰材40内に埋設されており、他方のベースプレート52Pが鋼板セグメント21(後述する捕捉工用鋼板セグメント22)から少しだけ突出しているように水通し部15に設けられている。各ベースプレート52Pは、基礎部52よりも大きな直径を有する。つまり、ベースプレート52Pの周縁部は、基礎部52の外周面に対して外方に延出している。
【0032】
本体部53は、連結管部531と、捕捉管部532と、を有する。連結管部531は、例えば、円形の断面形状を有する鋼管により形成されている。連結管部531及び捕捉管部532は、互いに一体に形成されており、それぞれの軸線が、例えば、直交するように延びている。連結管部531は、捕捉管部532に連結されている側とは反対の側にベースプレート53Pを有する。ベースプレート53Pは、連結管部531よりも大きな直径を有する。連結管部531は、ベースプレート53Pが取り付けられている側とは反対の側の一端において、例えば、溶接等により捕捉管部532に一体に接合されている。
【0033】
捕捉管部532は、例えば、円形の断面形状を有する鋼管により形成されている。捕捉管部532は、柱部材51が堰堤1に取り付けられた状態において、少なくとも水通し部15と重なるように延びている。捕捉管部532の長さは、適宜設定することができ、本体部53が基礎部52に連結された状態において、高さ方向において水通し部15にわたって延び、例えば、袖部11の天端部13に達する程度の長さである。なお、捕捉管部532は、基礎部52に直接的に連結されて上流側に斜め上方に延びる一の鋼管により形成されていてもよく、この場合、連結管部531は省略することができる。
【0034】
<堰堤の構築方法>
次に、堰堤1の施工方法について説明する。第1の実施の形態に係る堰堤1を構築する方法は、複数の鋼板セグメント(セグメント)21が連結され河川の上流側に面するように設けられた上流壁面20と、複数のコンクリートセグメント(セグメント)31が連結され河川の下流側に面するように設けられた下流壁面30と、上流壁面20及び下流壁面30の間に設けられた中詰材40と、上流から流れてくる物体を捕捉する少なくとも1つの柱部材51を有する捕捉工50と、水通し部15と、を有する不透過型の堰堤1を構築する方法であって、鋼板セグメント21及びコンクリートセグメント31により、所定の高さの上流壁面20及び下流壁面30を形成する工程と、鋼板セグメント21及びコンクリートセグメント31間に中詰材40を打設する工程と、捕捉工50を、上流壁面20の側で設置する工程と、を含み、上流壁面20及び下流壁面30を形成する工程において、柱部材51の一端を部分的に中詰材40に埋めることを特徴とする。本実施の形態に係る堰堤1を構築する方法について以下に具体的に説明する。
【0035】
図3Aは、コンクリート基礎部10に上流壁面20と下流壁面30とを積み上げる工程を説明する図である。
図3Bは、ソイルセメントを打設する工程を説明する図である。
図3Cは、基礎部52を設置する工程を説明する斜視図である。
図3Dは、基礎部52を設置する工程を説明する断面図である。
図3Eは、基礎部52が取り付けられた状態を示す正面図である。
図3Fは、基礎部52に本体部53を連結する工程を説明する図である。まず、堰堤1の構築位置にコンクリートを打設し、2つのコンクリート基礎部10を構築する。構築したコンクリート基礎部10の上に、上流壁面20の鋼板セグメント21、及び下流壁面30のコンクリートセグメント31をそれぞれ積み上げていき、一回のソイルセメント打設分の高さに相当する鋼板セグメント21及びコンクリートセグメント31の壁を構築する(
図3A参照)。
【0036】
上記作業後、又は、この作業に並行して、施工現場に混合施設(混合枡)を設け、この混合施設内で現場発生土にセメント及び水を加えて混合し、中詰材40としてのソイルセメントを作成する。なお、この混合作業は、現場発生土を掘削したバックホウのバケットを利用して現場発生土とセメントと水とを混合する。作成したソイルセメントを上流壁面20と下流壁面30との間にできた空間S内に打設する(
図3B参照)。打設作業は、コンクリートバケットをクレーン等で吊して行う。
【0037】
次に、コンクリート用のバイブレータを用いて、打設したソイルセメントを締め固める。なお、ソイルセメントは、上記のように水とセメントを混ぜてスランプを有するようなソイルセメントであってもよいし、スランプ値がゼロのソイルセメントであってもよい。スランプ値がゼロのソイルセメントを打設する際には、上流壁面20と下流壁面30との間にある空間Sに打設して、敷き均した後、締め固める。
【0038】
上流壁面20及び下流壁面30を、捕捉工50を設置する高さまで上記工程を繰り返す。ここで、鋼板セグメント21のうち、捕捉工50の柱部材51を取り付ける捕捉工用鋼板セグメント22について説明する。
図4は、捕捉工用鋼板セグメント22の構成について説明するための図である。
【0039】
捕捉工用鋼板セグメント22は、所定の曲率を持った円弧状の凹部221を有する。凹部221は、柱部材51の基礎部52を収容する部分である。凹部221は、捕捉工用鋼板セグメント22の短手方向22Sに延びる一方の縁に凹に形成されていて、つまり、高さ方向において鋼板セグメント21と隣接する一のフランジ(破線部)22Fの側に設けられている。凹部221の曲率は、基礎部52の外周面における曲率と同じ又は略同じ曲率である。凹部221は、基礎部52を収容した状態において、基礎部52をその外周面の半分又は略半分にわたって収容するようになっている。
【0040】
上流壁面20及び下流壁面30を構築する工程において、捕捉工50を設置する上流壁面20の高さ位置には、捕捉工用鋼板セグメント22を使用する。他の鋼板セグメント21に対して高さ方向に連結された捕捉工用鋼板セグメント22の内側に、基礎部52を下方から支持する架台(支持部材)223を設置する。架台223は、例えば、板状部材であり、一端を、捕捉工用鋼板セグメント22に連結しても、単に、中詰材40内に埋め込んでもよい。架台223の他端には、基礎部52の外周面における曲率と同じ又は略同じ曲率を有する凹部(図示せず)が形成されている。架台223の凹部は、捕捉工用鋼板セグメント22の凹部221と同じ高さ位置にある。なお、架台223は、基礎部52を下方から収容して支持することができればよく、凹部の形状は特に限定されない。なお、架台223は、必須の構成要件ではない。
【0041】
また、上流壁面20及び下流壁面30を構築する工程においては、上流壁面20において左右に隣接する捕捉工用鋼板セグメント22同士は、それぞれの上下端縁が互いに同じ高さにならないように上下方向に互い違い(千鳥状)に配置されるので、凹部221の位置も上下方向にずれている。したがって、捕捉工を設置する工程においては、まず、高さ方向において低い位置にある捕捉工用鋼板セグメント22の凹部221及び対応する架台223に基礎部52を設置し(
図3C、
図3D参照)、凹部221を逆さにして(下に向けて)基礎部52に合わせるようにして他の捕捉工用鋼板セグメント22を下側の捕捉工用鋼板セグメント22に連結する(
図3E参照)。
【0042】
また、上記作業後又は並行して、高さ方向において高い位置にある捕捉工用鋼板セグメント22の凹部221及び対応する架台223に基礎部52を設置し、凹部221を逆さにして(下に向けて)基礎部52に合わせるようにして他の捕捉工用鋼板セグメント22を下側の捕捉工用鋼板セグメント22に連結する。
【0043】
次いで、打設工程においてソイルセメントを打設する。ソイルセメントの固化後、これにより、基礎部52は、上下方向において2つの捕捉工用鋼板セグメント22の間において支持されるようになる。
【0044】
次いで、基礎部52に本体部53を連結する。具体的には、基礎部52の捕捉工用鋼板セグメント22から上流側に突出しているベースプレート52Pと、本体部53の連結管部531におけるベースプレート53Pと、をボルト及びナットにより互いに連結する(
図3F参照)。なお、捕捉工を設置する工程においては、基礎部52が設置されればよく、本体部53は、後述する水通し部15の天端部16の形成後に各基礎部52に連結してもよい。
【0045】
基礎部52の設置後、袖部11の部分まで上流壁面20と下流壁面30とを形成し、ソイルセメントを打設し、締固めた後、保護コンクリートを打設して天端部13,16を形成する。これにより高さ方向及び幅方向にわたって水通し部15に対向する捕捉工50を備える堰堤1が構築される。
【0046】
以上のような堰堤1によれば、例えば、上流から流れてくる水を水通し部15において下流側に流しつつ、流水に含まれる礫、流木等の物体を捕捉工50によって捕捉することができる。本実施の形態に係る方法によれば、複数の鋼板セグメント21を連結して形成された上流壁面20に捕捉工50を設けることができるので、壁面材を連結することにより形成された上流壁面20を有する堰堤1においても、流木等を水通し部15の上流側で捕捉することができる。
【0047】
また、基礎部52は、架台223に支持された状態で設置することができるので、基礎部52の設置作業及びソイルセメントの打設作業が容易になる。さらに、基礎部52は、ベースプレート52Pが設けられたその一端が中詰材40内に設置されているので、基礎部52の引張方向における抵抗となるとともに、基礎部52に押し込まれる方向の力(圧縮力)が作用した場合にも抵抗となる。
【0048】
また、本実施の形態に係る方法においては、凹部221を有する捕捉工用鋼板セグメント22を使用して、捕捉工用鋼板セグメント22の間で、具体的には、凹部221に基礎部52を設置しているので、波形の鋼板により形成された捕捉工用鋼板セグメント22により形成された上流壁面20に対しても、捕捉工50を容易に取り付けることができる。
【0049】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態に係る堰堤について説明する。第2の実施の形態に係る堰堤1Aは、水通し部15と、複数の鋼板セグメント(セグメント)21が連結され河川の上流側に面するように設けられた上流壁面20と、複数のコンクリートセグメント(セグメント)31が連結され河川の下流側に面するように設けられた下流壁面30と、上流壁面20及び下流壁面30の間に設けられた中詰材40と、少なくとも1つの柱部材51Aを有し上流壁面20の側に水通し部15に対向するように設けられた捕捉工50Aと、を備え、少なくとも1つの柱部材51Aは、上流壁面20の捕捉工用鋼板セグメント(セグメント)22Aに設けられたボルトBを介して上流壁面20に連結されていることを特徴とする。本実施の形態に係る堰堤1Aについて以下に具体的に説明する。
【0050】
図5Aは、第2の実施の形態に係る堰堤における捕捉工用鋼板セグメント22Aの斜視図である。
図5Bは、第2の実施の形態に係る捕捉工用鋼板セグメント22Aの縦断面である。なお、以下では、堰堤1と異なる部分についても説明する。
【0051】
上流壁面20は、平板状の鋼板により形成された鋼板セグメント21を連結してなっている。鋼板セグメント21のうち、捕捉工50Aを取り付ける捕捉工用鋼板セグメント22Aは、取付部221Aを有する。取付部221Aは、ベースプレート221Pと、締結具221Fと、を有する。
【0052】
ベースプレート221Pは、鋼製の、例えば、平面視円形状に形成されている。ベースプレート221Pは、捕捉工用鋼板セグメント22Aの上流側に面する面に設けられている。本実施の形態においてベースプレート221Pは、捕捉工用鋼板セグメント22Aの長さ方向において、一方の端の側に設けられているが、捕捉工用鋼板セグメント22Aに取り付けられるベースプレート221Pの位置は特に限定されない。捕捉工用鋼板セグメント22Aには複数の孔(図示せず)が設けられている。これらの孔に対応する孔がベースプレート221Pの周縁部に形成されている。
【0053】
締結具221Fは、複数のボルトBと、各ボルトBに対応するナットNと、を有する。複数のボルトBは、捕捉工用鋼板セグメント22Aの孔とベースプレート221Pの孔とを整合させた状態において、下流壁面30に面する捕捉工用鋼板セグメント22Aの面の側からベースプレート221Pの各孔に挿通されている。上流側に突出したボルトBには、ナットNが締結されていて、これにより、ベースプレート221Pは、捕捉工用鋼板セグメント22Aに取り付けられて取付部221Aが形成される。この状態においてボルトBは、ベースプレート221P及びナットNから所定の長さだけ突出している。なお、ベースプレート221Pは、捕捉工用鋼板セグメント22Aの上流側に面する面に溶接されていてもよい。つまり、この場合、ボルトBがない状態であっても、ベースプレート221Pは、捕捉工用鋼板セグメント22Aから脱落することはない。
【0054】
捕捉工50Aは、鋼管により形成されている複数の柱部材51Aを有する。柱部材51Aは、例えば、円形の断面形状を有する鋼管により形成されている。柱部材51Aの一端には、鋼製の、例えば、平面視円形状のベースプレート51Pが設けられている。柱部材51Aは、ベースプレート51Pが捕捉工用鋼板セグメント22Aに取付部221Aを介して連結されている。
【0055】
ベースプレート51Pは、柱部材51Aに対して同心的に取り付けられているが、柱部材51Aは、その中心を通る軸線がベースプレート51Pに対して傾斜するようになっている。柱部材51Aは、取付部221Aに連結された状態において、上流壁面20から上流側に向かって上方に、水通し部15に対向する程度の長さを持って形成されている。
【0056】
<堰堤の構築方法>
次に、堰堤1Aの施工方法について説明する。第2の実施の形態に係る堰堤1Aを構築する方法は、河川の上流側に面し複数の鋼板セグメント(セグメント)21により形成された上流壁面20と、河川の下流側に面し複数のコンクリートセグメント(セグメント)31により形成された下流壁面30と、上流壁面20及び下流壁面30の間に設けられた中詰材40と、上流から流れてくる物体を捕捉する少なくとも1つの柱部材51Aを有する捕捉工50と、水通し部15と、を有する不透過型の堰堤1Aを構築する方法であって、鋼板セグメント21及びコンクリートセグメント31により、所定の高さの上流壁面20及び下流壁面30を形成する工程と、鋼板セグメント21及びコンクリートセグメント31間に中詰材40を打設する工程と、捕捉工50Aを上流壁面20の側で設置する工程と、を含み、捕捉工50Aを設置する工程において、上流壁面20を形成する鋼板セグメント21に柱部材51Aの一端をボルト接合することを特徴とする。本実施の形態に係る堰堤1Aを構築する方法について以下に具体的に説明する。
【0057】
図6は、第2の実施の形態に係る堰堤1Aを構築する工程を説明する図であり、柱部材51Aを捕捉工用鋼板セグメント22Aに設置する工程を説明するための図である。堰堤1Aの構築位置にコンクリートを打設し、2つのコンクリート基礎部10を構築する。構築したコンクリート基礎部10の上に、上流壁面20の鋼板セグメント21、及び下流壁面30のコンクリートセグメント31をそれぞれ積み上げていき、一回のソイルセメント打設分の高さに相当する鋼板セグメント21及びコンクリートセグメント31の壁を構築する。
【0058】
上記作業後、又は、この作業に並行して、施工現場に混合施設(混合枡)を設け、この混合施設内で現場発生土にセメント及び水を加えて混合し、中詰材40としてのソイルセメントを作成する。なお、この混合作業は、現場発生土を掘削したバックホウのバケットを利用して現場発生土とセメントと水とを混合する。作成したソイルセメントを上流壁面20と下流壁面30との間にできた空間S内に打設する。打設作業は、コンクリートバケットをクレーン等で吊して行う。
【0059】
次に、コンクリート用のバイブレータを用いて、打設したソイルセメントを締め固める。なお、ソイルセメントは、上記のように水とセメントを混ぜてスランプを有するようなソイルセメントであってもよいし、スランプ値がゼロのソイルセメントであってもよい。スランプ値がゼロのソイルセメントを打設する際には、上流壁面20と下流壁面30との間にある空間Sに打設して、敷き均した後、締め固める。
【0060】
上流壁面20及び下流壁面30を構築する工程において、捕捉工50Aを設置する上流壁面20の高さ位置には、捕捉工用鋼板セグメント22Aを使用する。上流壁面20において左右に隣接する捕捉工用鋼板セグメント22A同士は、それぞれの上下端縁が互いに同じ高さにならないように上下方向に互い違い(千鳥状)に配置されているが、第2の実施の形態においては、幅方向において隣接する捕捉工用鋼板セグメント22Aを、互いに上下反転させて取付部221Aの位置が高さ方向において同じ位置になるように設置していく。
【0061】
袖部11の部分まで上流壁面20と下流壁面30とを形成し、ソイルセメントを打設し、締固めた後、保護コンクリートを打設して天端部13,16を形成する。次いで、各捕捉工用鋼板セグメント22Aに柱部材51Aを連結する。まず、取付部221Aを捕捉工用鋼板セグメント22Aに取り付けるために締結されていたナットNを外す。次いで、柱部材51Aの一端に取り付けられているベースプレート51Pの孔に、捕捉工用鋼板セグメント22Aの取付部221Aから突出しているボルトBが挿通されるように柱部材51Aを接近させる。次いで、ベースプレート51Pから突出したボルトBに、先に外したナットNを締結させる。これにより高さ方向及び幅方向にわたって水通し部15に対向する捕捉工50Aを備える堰堤1Aが構築される。なお、柱部材51Aは、上流壁面20及び下流壁面30を形成する過程において、捕捉工用鋼板セグメント22Aが設置された後に取り付けてもよい。なお、ベースプレート221Pと、ベースプレート51Pとを周面において互いに溶接等により接合してもよい。
【0062】
以上のような堰堤1Aによれば、堰堤1と同等の効果を奏することができる。本実施の形態に係る方法によれば、複数の鋼板セグメント21を連結して形成された上流壁面20を備える堰堤1にも捕捉工50Aを設けることができ、さらに、上流壁面20に捕捉工用鋼板セグメント22Aを有しているので、柱部材51Aをボルト接合により上流壁面20に容易に取り付けることができる。捕捉工用鋼板セグメント22Aの取付部221Aには、ベースプレート221Pが設けられているので、仮に、捕捉工用鋼板セグメント22Aの表面に僅かな不陸があったとしても、柱部材51A側のベースプレート51Pを、取付部221A側のベースプレート221Pに対して、平坦に面接触させて、柱部材51Aを捕捉工用鋼板セグメント22Aに連結することができる。
【0063】
なお、第2の実施の形態における取付部221Aは、ベースプレート221Pを締結具221Fにより捕捉工用鋼板セグメント22Aに取り付けることにより形成されていたが、ベースプレート221Pは設けられていなくてもよい。この場合、ボルトBのみをナットNにより捕捉工用鋼板セグメント22Aに取り付けておけばよい。
【0064】
ここで、変形例に係る捕捉工用鋼板セグメント22Bについて説明する。
図7Aは、変形例に係る捕捉工用鋼板セグメント22Bの斜視図である。
図7Bは、変形例に係る捕捉工用鋼板セグメント22Bの縦断面である。
図8は、柱部材を変形例に係る捕捉工用鋼板セグメント22Bに設置する工程を説明するための図である。
【0065】
捕捉工用鋼板セグメント22Bには取付部221Bが設けられている。取付部221Bは、ベースプレート221Pと、複数のアンカーボルトBと、を有する。ベースプレート221Pは、例えば、溶接により捕捉工用鋼板セグメント22Bに取り付けられている。複数のアンカーボルトBは、ベースプレート221Pの周縁部には、例えば、一端がベースプレート221Pに埋設されており、アンカーボルトBは、ベースプレート221Pに一体に取り付けられている。
【0066】
このような捕捉工用鋼板セグメント22Bによれば、各捕捉工用鋼板セグメント22BにはアンカーボルトBが一体に取り付けられた取付部221Bが設けられているので、より容易に柱部材51Aを捕捉工用鋼板セグメント22Bに連結することができる。具体的には、取付部221Bのベースプレート221Pに対して、柱部材51Aのベースプレート51Pを接近させてアンカーボルトBを挿通させ、ナットNをアンカーボルトBに取り付ける。これにより高さ方向及び幅方向にわたって水通し部15に対向する捕捉工50Aを備える堰堤が構築される。
【0067】
<その他>
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。また、例えば、上記実施の形態における各構成要素の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。例えば、第1の実施の形態における捕捉工用鋼板セグメント22と、第2の実施の形態における捕捉工用鋼板セグメント22Aを幅方向において交互に使用してもよい。この場合、捕捉工50を設置する高さ位置を同じにすることができる。
【0068】
また、上記の実施の形態1,2において、柱部材51,51Aは、幅方向に連続する全ての捕捉工用鋼板セグメント22,22A,22Bに設けられていたが、1つおきの捕捉工用鋼板セグメント22,22A,22Bに設けられていてもよい。この場合、第1の実施の形態における柱部材51の基礎部52の全てを同じ高さ位置に設置することができ、共通サイズの柱部材51を使用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1,1A・・・堰堤
15・・・水通し部
20・・・上流壁面、21・・・鋼板セグメント(セグメント)、22,22A,22B・・・捕捉工用鋼板セグメント
30・・・下流壁面、31・・・鋼板セグメント(セグメント)
40・・・中詰材
50・・・捕捉工、51,51A・・・柱部材、52・・・基礎部、53・・・本体部、531・・・連結管部、532・・・捕捉管部